JP7383454B2 - 車両用補強部材の製造方法、及び車両用補強部材 - Google Patents
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Description
ここで、一般に、周壁部(前壁部、上壁部、下壁部、及び後壁部)に開口部が設けられていない筒状(中空状)のバンパーリインフォースメントの剛性は、上記のような開口部を有するバンパーリインフォースメントBRの剛性に比べて高いことが知られている。しかし、一般に、このような筒状(中空状)の部材を押出成形法を用いて製造するための金型の構造は、バンパーリインフォースメントBRのような開口部を有する部材を押出成形法を用いて製造するための金型の構造に比べて複雑である。また、前者の製造速度(押出速度)は、後者の製造速度(押出速度)に比べて遅い。よって、筒状(中空状)のバンパーリインフォースメントの製造コストは、上記のような開口部を有するバンパーリインフォースメントBRの製造コストより高い。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用補強部材の製造方法は、それぞれ所定の方向に延びる複数の帯板状の壁部を有していて、前記所定の方向に対して直交する方向へ開放されているアルミニウム合金製の部材(1a、2a、C)を押出成形法を用いて製造する押出成形工程と、前記押出成形工程の後の期間であって、前記押出成形工程にて前記部材の材料に付与された熱が前記部材に残っている期間内に、前記所定の方向に延びる中空部が内部に形成されるように、前記部材を構成する前記壁部を成形して、それらの端面同士を突き合わせる突合せ工程と、前記突合せ工程の後であって、前記突合せられた端面に沿って摩擦攪拌接合ツール(FT)を走査して、前記着き合わせられた壁部を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌整合工程と、を含む。
つぎに、バンパーリインフォースメント1の構成の概略について説明する。バンパーリインフォースメント1は、図2に示すように、車両の車幅方向における一端(右端)から他端(左端)に亘って水平に延びる角筒状(中空状)を呈する。すなわち、図2に示すように、バンパーリインフォースメント1は、前壁部11、上壁部12及び下壁部13及び後壁部14を有する。各壁部は、車幅方向に延びる帯板状をそれぞれ呈する。
まず、アルミニウム合金材が押出成形用の金型から押し出されて、中間成形体1aが製造される。前記アルミニウム合金材の押出方向(つまり、中間成形体1aの長手方向)が車幅方向に相当する。中間成形体1aは、前壁部11a、上壁部12a及び下壁部13aを備える。各壁部が、前記長手方向に延びる帯板状を呈する。以下の説明において、前壁部11aの長手方向(押出方向)に平行な方向を左右方向と呼ぶ。また、前壁部11aの板厚方向に平行な方向を前後方向と呼び、前壁部11aの幅方向に平行な方向を上下方向と呼ぶ。
中間成形体1aが押出成形法を用いて製造された直後であって、その温度が比較的高い状態において、上壁部12a及び下壁部13aが、周知のロール成形法を用いて成形される。具体的には、上壁部12a及び下壁部13aの後半部の湾曲部の曲率半径が減少され(図4(B)参照)、両者の後端面同士が当接される(突合せられる(図4(C)参照))。つまり、上壁部12aが、上壁部12、及び後壁部14の上半部に変形されるとともに、下壁部13aが、下壁部13、及び後壁部14の下半部に変形される。なお、中間成形体1aの前壁部11aは変形されず、中間成形体1aの前壁部11aが、そのまま、完成品としてのバンパーリインフォースメント1の前壁部11として利用される。
中間成形体1aの左右方向における一端側から、摩擦攪拌接合ツールFT(特開2003-154471号公報を参照)が、上壁部12aと下壁部13aとの突き合わせ部BPに進入させ、突合せ部BPに沿って移動(走査)さされるように、摩擦攪拌接合ツールFT及び中間成形体1aを相対的に移動させて、摩擦攪拌接合ツールFTを中間成形体1aの他端へ至らしめる(図3及び図5参照)。なお、本工程において、上壁部12aと下壁部13aの端面(突き合わせ面)同士のうち、未だ接合されていない部分同士が密着した状態が保持されるように、中間成形体1aをガイドするガイド部材が用いられる。
上記のように、中間成形体1aは、筒状(中空状)ではなく、その左右方向における一端から他端に亘る開口部(上壁部12aの後端と下壁部13aの後端との間)を有する。よって、中間成形体1aを製造する押出成形工程にて用いる金型の構造が比較的単純である。また、同工程におけるアルミニウム合金材を押し出し易い。つまり、アルミニウム合金材の押出速度が比較的速い。その後、中間成形体1aが筒状に成形される。すなわち、上壁部12aの後端面と下壁部13aの後端面とが突合せられて接合される。よって、本実施形態によれば、強度が比較的高く、且つ安価なバンパーリインフォースメント1を提供できる。
つぎに、本発明の第2実施形態に係るバンパーリインフォースメント2及びその製造方法について説明する。バンパーリインフォースメント2は、図6に示すように、バンパーリインフォースメント1と同様の角筒状を呈する。すなわち、バンパーリインフォースメント2は、前壁部11、上壁部12、下壁部13及び後壁部14と同一の前壁部21、上壁部22、下壁部23及び後壁部24を備える。さらに、バンパーリインフォースメント2は、前壁部21、上壁部22、下壁部23及び後壁部24によって囲まれた空間に配置されたリブ25を有する。リブ25は、上壁部22と下壁部23との間に配置されている。リブ25は、上壁部22及び下壁部23に対して平行な帯板部である。リブ25は、前壁部21の車両高さ方向における中央部と、後壁部24の車両高さ方向における中央部との間に架け渡されている。
まず、アルミニウム合金材が押出成形用の金型から押し出されて、中間成形体2aが製造される(図7(A)参照)。前記アルミニウム合金材の押出方向(つまり、中間成形体2aの長手方向)が車幅方向に相当する。中間成形体2aは、前壁部21a、上壁部22a及び下壁部23a及びリブ25aを備える。各壁部が、前記長手方向に延びる帯板状を呈する。以下の説明において、前壁部21aの長手方向(押出方向)に平行な方向を左右方向と呼ぶ。また、前壁部21aの板厚方向に平行な方向を前後方向と呼び、前壁部21aの幅方向に平行な方向を上下方向と呼ぶ。
中間成形体2aが押出成形法を用いて製造された直後であって、その温度が比較的高い状態において、上壁部22a及び下壁部23aが、周知のロール成形法を用いて成形される。具体的には、上壁部22a及び下壁部23aの後半部の湾曲部の曲率半径が減少するようにさらに湾曲される(図7(B)参照)。そして、上壁部22aの後端面が、上側垂直壁部25a2の上端面に当接され、下壁部23aの後端面が、下側垂直壁部25a3の下端面に当接される(図7(C)参照)。なお、中間成形体2aの前壁部21a及びリブ25aは変形されず、それらが、そのまま、完成品としてのバンパーリインフォースメント2の前壁部21及びリブ25として利用される。
中間成形体2aの左右方向における一端側から、2つの摩擦攪拌接合ツールFT(例えば、特開2003-154471号公報を参照)が、上壁部22aと上側垂直壁部25a2との突き合わせ部BP1、及び下壁部23aと下側垂直壁部25a3との突き合わせ部BP2に進入させ、突合せ部BP1,BP2に沿って移動(走査)されるように、摩擦攪拌接合ルールFT及び中間成形体2aを相対的に移動させ、摩擦攪拌接合ツールFT,FTを中間成形体2aの他端へ至らしめる(図8参照)。なお、本工程においても、第1実施形態と同様に、上壁部22a及び下壁部23aのうち、未だリブ25に接合されていない部分が、上側垂直壁部25a2及び下側垂直壁部25a3に密着した状態が保持されるように、中間成形体2aをガイドするガイド部材が用いられる。
これによっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、バンパーリインフォースメント2は、前壁部21、上壁部22、下壁部23及び後壁部24によって囲まれた空間にリブ25を備えている。よって、バンパーリインフォースメント2の強度を、バンパーリインフォースメント1の強度より高く設定できる。
Claims (2)
- それぞれ所定の方向に延びる複数の帯板状の壁部を有していて、前記所定の方向に対して直交する方向へ開放されているアルミニウム合金製の部材を押出成形法を用いて製造する押出成形工程と、
前記押出成形工程の後の期間であって、前記押出成形工程にて前記部材の材料に付与された熱が前記部材に残っている期間内に、前記所定の方向に延びる中空部が内部に形成されるように、前記部材を構成する前記壁部を成形して、それらの端面同士を突き合わせる突合せ工程と、
前記突合せ工程の後であって、前記突合せられた端面に沿って摩擦攪拌接合ツールを走査して、前記突き合わせられた壁部を摩擦攪拌接合する摩擦攪拌接合工程と、
を含む、車両用補強部材の製造方法。 - 請求項1に記載の車両用補強部材の製造方法であって、
前記押出成形工程は、前記所定の方向に延びる帯板状の第1壁部を有し、且つ前記所定の方向にそれぞれ延びる帯板状の第2壁部及び第3壁部であって、それらの幅方向における一端が前記第1壁部の一方の側面に接続され、他端が離間している第2壁部及び第3壁部を有する部材を製造する工程を含み、
前記突合せ工程は、前記部材の前記第2壁部及び前記第3壁部の他端面同士が突合せられるように、前記第2壁部及び第3壁部のいずれか一方又は両方を変形させる工程を含む、車両用補強部材の製造方法。
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