JP7380925B2 - 光照射装置、光照射装置の製造方法、回折光学素子多面付体、回折光学素子多面付体の製造方法、回折光学素子、回折光学素子の製造方法 - Google Patents

光照射装置、光照射装置の製造方法、回折光学素子多面付体、回折光学素子多面付体の製造方法、回折光学素子、回折光学素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、光照射装置、光照射装置の製造方法、回折光学素子多面付体、回折光学素子多面付体の製造方法、回折光学素子、回折光学素子の製造方法に関するものである。
従来、カメラモジュール等の分野において、WLO(Wafer Level Optics)、WLP(Wafer Level Package)等の技術が開発されている。これらWLOやWLP等の技術は、光学素子として屈折系レンズをベースにしており、光源やセンサー部との光軸合せを行わないと性能が十分発揮されず、正常に機能しないため、モジュールチップサイズ毎に多面付けする手法が一般的である。
上記従来の技術では、モジュールチップサイズ毎に多面付けを行うので、光源やセンサー部材と光学素子との位置出しが重要となる。特に、光源やセンサー部材と光学素子とを貼り合せる際に、多面付けの端から端までのピッチずれがあると、一部光軸が合わない部分が生じ、歩留り悪化につながるおそれがあった。
また、光学素子に形成されているレンズ領域と光源との位置ずれがあると、レンズの偏向作用がない領域、又は、本来のレンズの偏向作用と異なる偏向作用を有する領域に光源からの光が照射されてしまい、光学素子を通った光について、所望の配光特性が得られない場合があった。
そのため、位置出しの工程が煩雑であったり、各部材の寸法精度を高めたりする必要があった。これらは、コストアップの要因であり、改善が望まれていた。
また、WLOやWLP等では、チップサイズに個片化するために切断が行なわれる。この切断時に発生する塵埃は、光学素子の性能を劣化させるものであり、塵埃の発生を抑制することが望まれていた。特に、回折格子を備える光学素子である回折光学素子(DOE)の場合、回折格子が微細な凹凸形状により構成されているため、切断時に塵埃が発生して、凹凸形状に付着してしまうと、除去が困難であり、かつ、光学特性に及ぼす影響が大きいことから、切断時の塵埃の発生を抑制して容易に製造が可能な手法が望まれていた。
また、近年ではWLOやWLP等に替わる技術手法として、PLP(Panel Level Package)技術の開発も進められているが、WLOやWLP等と同様にチップサイズに個片化するための切断は必要であり、塵埃発生の抑制は同様に必要となる。
特開2003-302526号公報
本発明の課題は、製造が容易であり、かつ、光学的な特性を改善できる光照射装置、光照射装置の製造方法、回折光学素子多面付体、回折光学素子多面付体の製造方法、回折光学素子、回折光学素子の製造方法を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、光源(20,21)と、前記光源(20,21)からの光が照射される位置に配置され、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セル(17)を有した回折光学素子(10)と、を備え、前記回折光学素子(10)は、前記単位セル(17)が周期的に複数配列されて構成されており、当該回折光学素子(10)の端部まで回折格子が形成されている光照射装置(1,1B)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の光照射装置(1,1B)において、前記単位セル(17)が隣接する境界部分では、回折格子のパターンが連続していること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の光照射装置(1,1B)において、前記回折光学素子(10)は、回折格子とは区別して認識可能なマーク(16)を備えること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第4の発明は、第3の発明に記載の光照射装置(1,1B)において、前記マーク(16)は、回折格子が配置された領域に重ねて配置されていること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第5の発明は、第1の発明から第4の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)において、前記単位セル(17)は、前記光源(20,21)から照射される光の照射範囲内に複数配置可能な大きさであること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)において、前記単位セル(17)は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)において、前記回折光学素子(10)は、少なくとも前記回折格子が形成されている面側の端部に、面取り部(18)を有すること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第8の発明は、第7の発明に記載の光照射装置(1,1B)において、前記回折光学素子(10)は、ガラスにより構成された基材(12)を備え、前記面取り部(18)は、少なくとも前記基材(12)に到達する位置まで形成されていること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第9の発明は、第7の発明又は第8の発明に記載の光照射装置(1,1B)において、前記面取り部(18)は、前記回折光学素子(10)の両面それぞれに設けられていること、を特徴とする光照射装置(1,1B)である。
第10の発明は、複数の光源(20,21)が並べて配列された光源多面付体(200)と、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セル(17)が複数並べて配列され、かつ、前記単位セル(17)が周期的に複数配列されて構成され、前記単位セル(17)は、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されている回折光学素子多面付体(100)と、を接合する接合工程と、前記接合工程で接合された前記光源多面付体(200)及び回折光学素子多面付体(100)を切断する切断工程と、を備える光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第11の発明は、第10の発明に記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記単位セル(17)が隣接する境界部分では、回折格子のパターンが連続していること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第12の発明は、第10の発明又は第11の発明に記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記回折光学素子多面付体(100)は、回折格子とは区別して認識可能なマーク(16)を備えること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第13の発明は、第12の発明に記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記マーク(16)は、回折格子が配置された領域に重ねて配置されていること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第14の発明は、第13の発明に記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記切断工程は、前記マーク(16)を利用して切断位置を決定すること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第15の発明は、第10の発明から第14の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記単位セル(17)は、前記光源(20,21)から照射される光の照射範囲内に複数配置可能な大きさであること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第16の発明は、第10の発明から第15の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記単位セル(17)は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第17の発明は、第10の発明から第16の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記切断工程は、少なくとも前記回折格子が形成されている面側に、面取り部(18)を形成する面取り部形成工程を含むこと、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第18の発明は、第17の発明に記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記回折光学素子多面付体(100)は、ガラスにより構成された基材(12)を備え、前記面取り部形成工程では、少なくとも前記基材(12)に到達する位置まで前記面取り部(18)を形成すること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第19の発明は、第17の発明又は第18の発明に記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記面取り部形成工程では、接合された前記光源多面付体(200)及び前記回折光学素子多面付体(100)の両面それぞれに前記面取り部(18)を形成するように前記回折光学素子多面付体(100)の両面から加工を行なうこと、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第20の発明は、第17の発明から第19の発明までのいずれかに記載の光照射装置(1,1B)の製造方法において、前記面取り部形成工程では、前記光源多面付体(200)及び回折光学素子多面付体(100)の少なくとも一方が個片化されずに繋がった状態にあり、前記面取り部形成工程の後にさらに前記光源多面付体(200)及び回折光学素子多面付体(100)を個片化する切断を行なう本切断工程を備えること、を特徴とする光照射装置(1,1B)の製造方法である。
第21の発明は、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セル(17)が複数並べて配列され、かつ、前記単位セル(17)が周期的に複数配列されて構成されており、前記単位セル(17)は、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されている回折光学素子多面付体(100)である。
第22の発明は、第21の発明に記載の回折光学素子多面付体(100)において、前記単位セル(17)が隣接する境界部分では、回折格子のパターンが連続していること、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)である。
第23の発明は、第21の発明又は第22の発明に記載の回折光学素子多面付体(100)において、回折格子とは区別して認識可能なマーク(16)を備え、前記マーク(16)は、回折格子が配置された領域に重ねて配置されていること、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)である。
第24の発明は、第23の発明に記載の回折光学素子多面付体(100)において、前記マーク(16)は、切断が予定される切断予定直線毎に配置されていること、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)である。
第25の発明は、第23の発明又は第24の発明に記載の回折光学素子多面付体(100)において、前記マーク(16)は、切断されて個片化される予定の領域毎に配置されていること、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)である。
第26の発明は、第21の発明から第25の発明までのいずれかに記載の回折光学素子多面付体(100)において、前記単位セル(17)は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)である。
第27の発明は、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セル(17)が複数並べて配列され、かつ、前記単位セル(17)が周期的に複数配列されて構成されている回折光学素子多面付体(100)を製造する回折光学素子多面付体(100)の製造方法であって、回折格子が形成される領域を複数に分割した分割領域に対応する成形型(300,401,402,403)を準備する成形型準備工程と、前記成形型(300,401,402,403)を用いて、回折格子を賦型する賦型工程と、を備える回折光学素子多面付体(100)の製造方法である。
第28の発明は、第27の発明に記載の回折光学素子多面付体(100)の製造方法であって、前記賦型工程は、同一の成形型(300,401,402,403)を用いて異なる領域を順次賦型する工程を含むこと、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)の製造方法である。
第29の発明は、第27の発明又は第28の発明に記載の回折光学素子多面付体(100)の製造方法において、前記単位セル(17)は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、を特徴とする回折光学素子多面付体(100)の製造方法である。
第30の発明は、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セル(17)を有し、端部まで前記回折格子が形成されており、少なくとも前記回折格子が形成されている面側の端部に、面取り部(18)を有する回折光学素子(10)である。
第31の発明は、第30の発明に記載の回折光学素子(10)において、前記単位セル(17)は、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第32の発明は、第30の発明又は第31の発明に記載の回折光学素子(10)において、ガラスにより構成された基材(12)を備え、前記面取り部(18)は、少なくとも前記基材(12)に到達する位置まで形成されていること、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第33の発明は、第30の発明から第32の発明までのいずれかに記載の回折光学素子(10)において、前記面取り部(18)は、前記回折光学素子(10)の両面それぞれに設けられていること、を特徴とする回折光学素子(10)である。
第34の発明は、第30の発明から第33の発明までのいずれかに記載の回折光学素子(10)の製造方法であって、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セル(17)が複数並べて配列され、かつ、前記単位セル(17)が周期的に複数配列されて構成されており、前記単位セル(17)は、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されている回折光学素子多面付体(100)を切断する切断工程を備え、前記切断工程は、少なくとも前記回折格子が形成されている面側の端部に、面取り部(18)を形成する面取り部形成工程を含む回折光学素子(10)の製造方法である。
本発明によれば、製造が容易であり、かつ、光学的な特性を改善できる光照射装置、光照射装置の製造方法、回折光学素子多面付体、回折光学素子多面付体の製造方法を提供することができる。
第1実施形態の光照射装置1の分解斜視図である。 光照射装置1の斜視図である。 光照射装置1の断面図である。 回折光学素子10を図3の上方から見た平面図である。 図4から回折格子のパターンを省略して示した図である。 図4から回折格子のパターンのみを示した図である。 図6の単位セル17の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。 回折光学素子を模式的に示した断面図である。 光照射装置1の製造に用いる回折光学素子ウェハー100及び光源ウェハー200を示す図である。 回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合した状態を断面として示した図である。 インプリント成型の一例を説明する図である。 インプリント成型の他の例を説明する図である。 第2実施形態の光照射装置1Bの断面図である。 回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合した状態で切断を行なう切断工程を示す図である。 回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合した状態で切断を行なう切断工程を示す図である。 第3実施形態の回折光学素子10の断面図である。 回折光学素子ウェハー100を切断する切断工程を示す図である。 先端がV形状の回転刃のみを用いて面取り部18の形成と個片化とを行なう例を示す図である。 4点曲げ試験の試験状況を示す図である。 3種類の試験片を図19中の矢印A-Aの位置で切断した断面図である。 実験条件と実験結果をまとめて示した図である。 実験結果から得られた面取り部の角度と最大曲げ応力との関係を示すグラフである。 実際に回折光学素子を切断した端面を拡大撮影した写真を示す図である。 面取り部18の寸法を説明する図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の光照射装置1の分解斜視図である。
図2は、光照射装置1の斜視図である。
図3は、光照射装置1の断面図である。
なお、図1から図3を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
図1に示すように、光照射装置1は、回折光学素子10と、光源部20とを備える。
本実施形態の光照射装置1は、例えば、バーコードを表す照射パターンを照射して利用してもよいし、車両等から路面等へ各種情報を表す照射パターンを照射してもよい。また、光照射装置1は、距離測定、人体検出、立体物認識等における検出光の照射等に利用してもよい。また、光照射装置1は、カメラ等で物体からの反射光を取込む装置と一体化してもよく、その場合、距離測定、3D認識、人体測定、物体認識、バー認識が可能である。
回折光学素子(光学素子)10は、回折現象により光の進行方向を制御して光を整形するDOEと呼ばれる素子であり、板状に形成されている。
なお、本発明において「光を整形する」とは、光の進行方向を制御することにより、対象物又は対象領域に投影された光の形状(照射パターン)が任意の形状となるようにしたり、照射パターン内の強度分布を平坦化したり、全体的に又は部分的に任意の強度分布になるようにしたりすることをいう。例えば、光源が平面形状の回折光学素子に直接投影した場合に照射スポットが円形となる光を発光する。この光を、回折光学素子を透過させることにより、照射パターンを、正方形の組み合わせや、長方形、円形等、目的の形状とすることを、「光を整形する」いう。
回折光学素子10は、高屈折率部11と、基材12と、密着層13とを備え、光源部20からの光が照射される位置に配置されている。
高屈折率部11は、回折格子に対応する凹凸形状が形成された原版を用いて、例えば、基材上に塗布された紫外線硬化樹脂を賦型して凹凸形状を転写し、紫外線を照射して硬化させることにより形成できる。
紫外線硬化樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリチオール系、ブタジエンアクリレート等を用いることができる。なお、高屈折率部11を形成するための材料は、紫外線硬化樹脂に限定されない。高屈折率部11は、例えば、電子線硬化樹脂で形成してもよい。また、高屈折率部11は、熱硬化型や紫外線硬化型のSOG(Spin on Glass)を用いて構成してもよい。また、回折格子に対応する凹凸形状は、原版から賦型により転写する例に限らず、上記凹凸形状を有する原版から作製された樹脂の中間版を用いて賦型してもよい。
基材12は、高屈折率部11を賦型する際のベースとなる部材である。基材12としては、例えば、ガラスを用いることができる。また、基材12には、ガラスに限らず、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン(MBS)樹脂、メタクリル酸メチル・スチレン(MS)樹脂、アクリル・スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等の透明樹脂を用いることができる。本実施形態では、基材12には、ガラスを採用したので、板状に形成されているが、樹脂シートや樹脂フィルムとしてもよい。
密着層13は、基材12上に塗布されて、紫外線硬化樹脂等との密着性を高めるためのプライマー層である。なお、密着層13は、省略してもよい。
回折光学素子10についての詳細は、後述する。
光源部20は、発光素子(光源)21と、基板22と、ホルダ24とを備えている。
発光素子(光源)21は、赤外光、青色光等を発光し、その光を回折光学素子10に光を投影する。発光素子21としては、例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)等のレーザ光源を用いてもよいし、LED(発光ダイオード)を用いてもよい。発光素子21は、基板22上に実装されている。なお、発光素子21の形態によっては、配線23を用いて基板と接続することもできる。本実施形態では、発光素子21は、波長が850nmの光を発光する垂直共振器面発光レーザとした。
ホルダ24は、回折光学素子10を搭載するための枠形に形成されている。ホルダ24は、例えば、ポリアミド、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックにより形成される。ホルダ24を変形しにくくするため、ポリカーボネート等にガラスファイバーを含有させてもよい。
ホルダ24は、その中央が、貫通した開口部となっている。ホルダ24は、回折光学素子10の周縁部が載せられる頂部24aを備えている。そして、この頂部24aの上に、接着材60を介して回折光学素子10が載せられて固定されている。なお、本実施形態のホルダ24の頂部24aは、平面で構成されているが、溝をさらに設けてもよい。
ホルダ24は、その背面側(図3中の下側)に、不図示の接着材等を用いて、基板22に取り付けられている。
図4は、回折光学素子10を図3の上方から見た平面図である。
図5は、図4から回折格子のパターンを省略して示した図である。
回折光学素子10の表面には、複数箇所に、マーク16が配置されている。本実施形態では、マーク16は、回折格子のパターンが配置された領域に重ねて配置されている。
マーク16は、例えば、光学的検出装置を用いて検知するための種々の目印や基準等として用いられる。
マーク16は、複数の凹凸形状を有するパターンの集合体により形成されており、凹凸のエッジによる光の反射等により、光学的に容易に認識することができる。凹凸形状としては、例えば、ラインアンドスペースパターン、ホールパターン、ドットパターン等を用いることができる。凹凸形状は、それらのうちの1種類を用いてパターンの集合体を形成してもよく、複数種類を用いてパターンの集合体を形成してもよい。これらのパターンの凹凸形状には一定の周期性を持たせることができる。
マーク16を形成する凹凸形状の隣接する一組の凹部と凸部を合わせた幅をピッチとすると、マーク16を形成する凹凸形状のピッチは、光学的検出装置で検知が容易であれば特に限定はされない。例えば、凹凸形状のピッチを、後述する回折格子のパターンのピッチより広くすることにより、回折光学素子10の製造を妨げることがない。また、ピッチが細かい方が凹凸形状のエッジ部分での光の反射により検知しやすくなる。例えば、500nm~10μm程度、より好ましくは1μm~5μmのピッチで設定すればよい。また、複数種類のピッチが含まれていてもよい。
一組の凹部と凸部のそれぞれの幅の比であるデューティー比は、光学的検知装置において検知しやすい1:1でよいが、製造可能な範囲でデューティー比を変えてもよい。
本実施形態において、マーク16は、賦型する方向に合わせて全て同じ方向のラインアンドスペースパターンとして形成されている。凹部と凸部のピッチは、全て一定とし、デューティー比は1:1としている。
また、マーク16の凹部の最大深さは、回折格子の最大深さと同等、又はそれより深いことが好ましい。マーク16の凹部を深くするにしたがい、識別がより容易となる。
なお、回折光学素子10を形成する装置の仕様上マーク16の検出精度が落ちる場合等にはマーク16を凹凸構造ではなく別の反射性、遮光性材料としてもよい、その場合マークの形成は印刷やフォトリソグラフィ等の一般的な手法をとることができるが、金属等を用いる場合はフォトリソグラフィが好適に用いられる。回折光学素子10においては基材12の表面又は裏面に形成される。
次に、回折光学素子10に設けられている回折格子のパターンについて、さらに詳しく説明する。
図6は、図4から回折格子のパターンのみを示した図である。
回折光学素子10には、単位セル17が周期的に複数並べて配置されている。この単位セル17は、複数の回折格子が形成されて特定の配光特性、すなわち、光を所望のパターンに整形することができるように構成されている。このために、単位セル17だけで、所望の配光特性を得ることが可能なように、高屈折率部11上に凹凸形状で構成された回折格子が設計されて配置されている。複数の単位セル17は、いずれも回折格子の構成が全く同じものであり、同一の凹凸形状(回折格子)を持つ単位セル17が複数並べて配置されている。
また、単位セル17同士は、間隔を空けずに配置されており、単位セル同士が隣接する境界部分では、回折格子のパターンが連続するように設定されている。
さらに、回折光学素子10の端部まで、余白等を設けることなく回折格子が形成されている。
本実施形態では、1つの回折光学素子10は、3mm×3mmの正方形に形成されており、単位セル17は、0.6mm×0.6mmの正方形に設定されている。よって、回折光学素子10の表面に25個の単位セル17が配列されている。
発光素子21は、この回折光学素子10に対して光を照射し、その照射領域は、回折光学素子10の全面としてもよいが、通常は、例えば、回折光学素子10の素子面積の略50%~80%程度である。そして、この光の照射領域内に、単位セル17は、複数配列されるように構成されている。例えば、仮に、光の照射領域が、回折光学素子10の素子面積の50%であったとしても、本実施形態の例では、単位セル17が12.5個配列されていることになる。また、本実施形態の回折光学素子10では、回折格子が全面に配列されている。よって、本実施形態の光照射装置1は、回折光学素子10と発光素子21との相対的な位置ずれがあったとしても、常に適切に成形された光を出射可能である。
なお、図6では、理解を容易にするために、単位セル17を大きく表しており、1つの回折光学素子10に9個の単位セル17を配置した例を示した。また、個々の単位セル17がわかりやすくなるように、単位セル17の境界を意図的にわかりやすく表現しているが、実際には、単位セル17の境界は、回折格子のパターンが連続していることから、判別が難しい。
本実施形態の単位セル17は、図6に示したハッチングの異なる領域それぞれの位置において深さが異なっている。すなわち、単位セル17は、4段階の高さの異なる多段階形状により構成されている。そして、単位セル17は、通常、異なる周期構造を持つ複数の領域(部分周期構造)を有している。
図7は、図6の単位セル17の例における部分周期構造の一例を示す斜視図である。
図8は、回折光学素子を模式的に示した断面図である。
単位セル17に構成されている回折格子のパターンは、曲線により構成されているが、回折光学素子の狙いの出射パターンによっては、直線、又は、曲線からなる線分を繋げた折れ線となっているパターンを含む場合もある。したがって、本実施形態の回折格子のパターンは、高屈折率部11(後述)の凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含む。
回折光学素子10は、図7に示すような複雑な形状をしているが、簡略化して模式的に示すと、図8に示すように、断面形状において複数の凸部11aが並んで配置されている高屈折率部11を備えている。
高屈折率部11は、例えば、クオーツ(SiO、合成石英)をエッチング処理により形状を加工して作られたものであってもよい。また、高屈折率部11は、クオーツやシリコンウェハーを加工した物から型取りを行って成形型を作成し、この成形型を利用して電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化したものであってもよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を用いてこのような周期構造の物を製造する方法は、様々な手法が公知であり、単位セル17(回折光学素子10)の高屈折率部11は、それら公知の手法を利用して、適宜作製することができる。
また、凸部11aの間に形成されている凹部14a及び凸部11aの頂部付近の空間14bを含む図8の上方の部分は、空気が存在しており、高屈折率部11よりも屈折率が低い低屈折率部14となっている。これら高屈折率部11及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層15が構成されている。
本実施形態の凸部11aは、側面形状の一方側(図8では、左側)に、高さの異なる4つの段部を備えた多段階形状を有している。具体的には、凸部11aは、最も突出したレベル1段部11a-1と、レベル1段部11a-1よりも一段低いレベル2段部11a-2と、レベル2段部11a-2よりもさらに一段低いレベル3段部11a-3と、レベル3段部11a-3よりもさらに一段低いレベル4段部11a-4とを一側面側に有している。また、凸部11aの側面形状の他方側(図8では、右側)は、レベル1段部11a-1からレベル4段部11a-4まで直線状につながる側壁部11bとなっている。
なお、本実施形態の光照射装置では、発光素子21が波長850nmのレーザ光源であることから、これに合せて、単位セル17の回折格子は、波長が850nmの光を回折するために最適となる深さに構成されている。
上述したような多段階形状により構成されている部分周期構造は、各部分周期構造毎に、主に配列ピッチと配列方向とが異なって形成されている。それぞれの部分周期構造では、光を回折させて所定の方向に偏向させて出射するので、1つの部分周期構造では、非常に小さな点(ドット)として光が照射される。単位セル17には、それぞれ所望の方向に光を偏向させるように構成されたこの部分周期構造が多数配置されており、全体としては、所望の形に光を成形した照射パターンを投影可能となっている。
次に、本実施形態の光照射装置1の製造方法について説明する。
本実施形態では、個々の光照射装置1毎に、光源部20と回折光学素子10とを接合するのではなく、WLO(Wafer Level Optics)又はWLP(Wafer Level Package)と呼ばれる手法をさらに改良して用いる。
図9は、光照射装置1の製造に用いる回折光学素子ウェハー100及び光源ウェハー200を示す図である。
図10は、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合した状態を断面として示した図である。
本実施形態では、図9に示すような回折光学素子ウェハー100及び光源ウェハー200をそれぞれ作製する。
ここで、回折光学素子ウェハー100は、単位セルが複数並べて配列された回折格子多面付体であり、光源ウェハー200は、複数の光源が並べて配列された光源多面付体である。以下の説明では、一般的にWLOやWLP等で用いられるウェハー形状(円形状)の
回折光学素子ウェハー100及び光源ウェハー200を例に挙げて説明するが、回折格子多面付体及び、光源多面付体の形状は、ウェハー形状(円形状)に限定されず、PLP(Panel Level Package)等で用いられる四角形パネル形状であってもよい。
本実施形態の回折光学素子ウェハー100の製造は、先ず、直径8インチの円形のガラス製の基材12上に、密着層13を塗布する。そして、密着層13の上に、高屈折率部11となる未硬化の紫外線硬化樹脂を塗布し、これに後述する原版(成形型)を押し当てて凹凸形状を賦型した状態で紫外線を照射して硬化させることにより回折光学素子ウェハー100が完成する。
ここで、回折光学素子ウェハー100上に賦型される回折格子は、単位セル17が周期的に複数配列されて構成されている。また、回折光学素子ウェハー100上の単位セル17は、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されている。すなわち、回折光学素子ウェハー100上において、高屈折率部11に賦型される回折格子については、切断されて個片化される予定の領域の区別がない。ただし、マーク16については、切断されて個片化される予定の領域毎に設けられている。
本実施形態では、図9の回折光学素子ウェハー100上にハッチングで示す領域Aのように、必要な領域にのみ回折格子の凹凸形状を賦型した。しかし、回折光学素子ウェハー100上の全面に回折格子の凹凸形状を賦型してもよい。
回折光学素子ウェハー100の製造には、上述したように、回折格子の凹凸形状を有する原版を予め作製し、この原版を用いてインプリント成型を行い、紫外線硬化樹脂に凹凸形状を転写(賦型)することにより行う。この原版の作製には、非常に手間がかかり、作製コストも高くなることから、上述したような8インチサイズの原版を準備することは非効率であり現実的ではない。そこで、本実施形態では、8インチサイズの回折光学素子ウェハー100を複数の領域に分けて、全体サイズよりも小型の原版を利用することにより、大型の回折光学素子ウェハー100を効率よく作製する。
図11は、インプリント成型の一例を説明する図である。なお、図11中でハッチングを付した領域は、回折格子の凹凸形状が配置されている領域、及び、それに対応する原版を示している。
図11に示す例では、回折光学素子ウェハー100の表面を4つの領域に分けて、この領域の1つに対応する原版(成形型)300を準備する(成形型準備工程)。そして、この原版300を用いて、回折格子を賦型する賦型工程を行う。この原版300は、回転させて向きを変えれば、4つの領域の全てに利用可能である。したがって、この例では、1つの原版300を準備し、同一の原版300を用いて異なる領域を順次賦型する工程を行えば、原版300よりも大きな回折光学素子ウェハー100の製造が可能である。なお、原版300を4つ用意して、一度の賦型工程で全体の賦型を完了してもよい。
なお、図11では、4つに分けた領域の間に、若干の隙間を設けているが、この隙間をなくしてもよい。
図12は、インプリント成型の他の例を説明する図である。なお、図12中でハッチングを付した領域は、回折格子の凹凸形状が配置されている領域、及び、それに対応する原版を示している。
図12に示す例では、回折光学素子ウェハー100の表面を3種類12個の領域に分けて、この領域の種類毎に対応する原版(成形型)401,402,403を準備する(成形型準備工程)。そして、この原版401,402,403を用いて、回折格子を賦型する賦型工程を行う。原版401,402,403に対応する領域は、それぞれ、4箇所あるので、それぞれの賦型を順次行ってもよいし、原版401,402,403をそれぞれ4つずつ用意して、1回の賦型工程としてもよい。
なお、図12では、12個に分けた領域を密着配置しているが、各領域の間に、若干の隙間を設けてもよい。
図9及び図10に戻って、光源ウェハー200は、光源部20となる構成が密接して並べて配置された構成となっている。切断されて個片化されることにより個々の光源部20となる部分の境界については、光源ウェハー200の状態では、繋がっていて、明確な境界はなく、ホルダ24の壁となる部分が構成されている。
上述した回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを作製して準備したら、両者を接合する接合工程を行う。具体的には、頂部24aの上に、接着材60を塗布して、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合する。
次に、上記接合工程で接合された回折光学素子ウェハー100及び光源ウェハー200を切断する切断工程を行い、個片化することにより、光照射装置1が完成する。
ここで、切断工程では、図10に矢印で示した位置で切断を行うが、回折光学素子ウェハー100に形成されている回折格子が、領域の区別なく配置されていることが、非常に有利に働く。すなわち、回折光学素子ウェハー100の切断位置に関しては、多少の位置ずれがあったとしても、光を整形する特性、すなわち、光照射装置1が発する光の配光特性には、何ら影響を与えない。これは、単位セル17だけで必要な配光特性を得られるような光の整形作用を備えており、かつ、単位セル17が発光素子21からの光の照射領域よりも十分に小さく、照射領域内に単位セル17が多数配列されている構成となっているからである。
このような構成は、屈折系レンズでは実現が困難であり、従来の屈折系レンズを用いた場合には、レンズの光軸を正確に発光素子21と合せ込むことが要求されていた。また、回折光学素子を用いたとしても、照射領域にだけ回折格子を設ける従来の構成では、位置合わせを正確にしないと不必要な方向への漏れ光の発生や、光の利用効率の低下といった現象が生じていた。よって、従来は、発光素子側と光学素子(レンズ)側との相対的な位置を正確に合せる必要があった。そのためには、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200との双方の寸法を非常に厳しく管理して、双方とも精度の高い部品として作製される必要があった。
これらの課題を、本実施形態の光照射装置1では、解決している。基本的には、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200との間の面内方向の相対的な位置ずれに関しては、ラフに位置合わせを行うだけで十分である。回折光学素子ウェハー100上には、マーク16があるので、そのマークが大きくずれないようにするだけでよい。そして、切断時には、光源ウェハー200に対する切断位置だけを調整すればよく、製造時に要求される寸法管理の労力が大きく軽減される。そして、このように製造が容易な構成であるにもかかわらず、位置ずれによる光学的特性の劣化が生じにくく、結果として、得られる光学的な特性を改善できる。
なお面内角度のズレに対しては面内方向の位置ズレと異なり、必要スペックを考慮したあわせ込みが必要であるが、離れた位置の最低2箇所のマークを見てあわせるだけで通常は十分な精度が確保できる。またガイド等を用いた物理的な合わせ込みも可能であり管理の労力は小さいものである。
なお、回折光学素子と光源の間に別のコリメートレンズ素子と組み合わせて用いる場合においては、レンズと光源(又は光源ウェハー)との精密な位置あわせが必要となる。レンズと光源の精密な位置あわせが既になされた素子に対しては回折光学素子の位置あわせをラフに行うことが可能となり、先に回折光学素子とレンズを位置あわせして組み合わせる場合はレンズに形成された位置合わせ用マークを光源との位置あわせに用いればよいため、回折光学素子とレンズの位置あわせをラフに行うことができる。後者の場合、回折光学素子とレンズを基材の両面に形成することもできる。
また回折光学素子10の基材の表裏いずれかに回折以外の機能を持つパターン層を形成して用いる場合には、そのパターン層を見て光源又はコリメートレンズ素子と位置あわせをするように設計することで回折光学素子の形成における位置あわせをラフに行うことができる。パターン層の例としては遮光層、識別層、配線層等がある。
このような本実施形態の特徴的な構成により、切断工程では、基本的には、光源ウェハー200を位置決め基準として、等ピッチで切断を行う。なお、回折光学素子ウェハー100又は光源ウェハー200に設けられたマークを基準として切断を行ってもよい。その場合、回折光学素子ウェハー100に切断用のマークをさらに設けてもよい。この場合、マークは、切断されて個片化される予定の領域毎に配置してもよいし、切断が予定される切断予定直線毎に配置してもよい。また、このマークは、先に示したマーク16のように回折格子と重ねて設けてもよいし、回折格子が形成されていない余白部分に設けてもよい。
回折光学素子ウェハー100にマークを設けて、それを基準として切断工程を行う場合であっても、上述した本実施形態における有利な効果は十分に発揮される。回折光学素子ウェハー100に設けたマークは、回折光学素子ウェハー100が接合されることによって見え難くなる光源ウェハー200の位置を示すものとして利用すればよいからである。その場合、接合時、又は、切断前に、回折光学素子ウェハー100に設けたマークが光源ウェハー200の基準位置と、どの程度ずれているのかを把握しておくとよい。
以上説明したように、本実施形態の光照射装置1の回折光学素子10は、単位セル17が周期的に複数配列されて構成されており、回折光学素子10の端部まで回折格子が形成されている。また、回折光学素子ウェハー100上の単位セル17は、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されている。したがって、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200との面内方向における相対的な位置合わせに高い精度が必要とされない。また、切断工程における位置合わせもラフに行うことが可能となる。よって、製造を容易に行えるとともに、光学的な特性を改善できる。
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態の光照射装置1Bの断面図である。
第2実施形態の光照射装置1Bは、基材12がガラスにより構成されている点と、面取り部18を備えている点とで第1実施形態の光照射装置1と異なっている他は、第1実施形態の光照射装置1と同様な形態をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の光照射装置1Bの基材12は、ガラスにより構成されている。ガラスを基材とすることにより、回折光学素子10の厚さを薄くしても撓みにくく、精度の高い回折光学素子を提供可能である。その一方で、ガラスは、一般的に樹脂素材と比べて脆いことから、切断工程において切断箇所に微細な欠け等が発生するおそれが高い。基材12に欠けた部位が生じると、回折光学素子10の強度が劣化するおそれがある。
また、先に図示したように、回折光学素子10の回折格子(高屈折率部11)は、非常に複雑な形状をしており、かつ、この形状は、非常に微細なものである。そして、この複雑かつ微細な回折格子を回転刃で切断する場合、回転刃との摩擦力等によって高屈折率部が引き剥がされて微細な塵埃となり、回折光学素子10に大量に付着してしまうおそれがある。特に、基材12がガラスにより構成されている場合には、ガラスが欠けるときに、さらに回折格子を引き剥がすおそれも高くなる。
そこで、第2実施形態の光照射装置1Bでは、切断工程において、面取り部18を形成する面取り部形成工程を行ない、ガラス製の基材12の欠けを抑制し、また、回折格子(高屈折率部11)に起因する塵埃の発生を抑えている。
面取り部18は、回折格子が形成されている面側、すなわち、高屈折率部11が設けられている面側にあり、図13中では上面側(光出射面側)の端部の稜線をC面取りした形状に構成されている。よって、面取り部18は、斜面に構成されている。この面取り部18は、高屈折率部11が設けられている面側の全周に形成されている。また、面取り部18は、基材12に到達する位置まで形成されている。
本実施形態では、面取り部18は、回折光学素子10のシート面に対して45度傾斜した斜面とした。したがって、後述する回転刃B1のベベル角θ(刃先全体の角度の半分の角度、図13参照)は、45度とした。
なお、面取り部18は、C面取りに限らず、R面取りとして構成してもよい。その場合には、回転刃B1についても対応するR形状のものを用いればよい。
図14及び図15は、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合した状態で切断を行なう切断工程を示す図である。
第2実施形態の切断工程では、先ず、図14に示すように先端がV形状の回転刃B1を用いて、高屈折率部11が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行ない、面取り部18を形成する(面取り部形成工程)。この面取り部形成工程では、回転刃B1が基材12に到達する位置までVカットを行なう。この段階では、個片化はされず、光源ウェハー200は繋がった状態になっている。
次に、図15に示すように、Vカットされた幅よりも幅の狭い回転刃B2を用いて、光源ウェハー200及び回折光学素子ウェハー100を個片化する切断を行なう本切断工程を行なうことにより、図13に示した面取り部18が回折光学素子10に形成された光照射装置1Bが作製される。
上述したように、先ず、面取り部18を形成する面取り部形成工程を行ない、次に、本切断工程を行なうことにより、従来のように一度で本切断工程を行なう場合と比べて、以下のような効果が得られる。
先ず、面取り部18を形成することにより、切断時の塵埃の発生を大幅に抑えることができる。特に、回折格子を構成する高屈折率部11の一部が剥がれて脱落することによる塵埃の発生を抑制できる。これは、先端がV形状の回転刃B1を用いることにより、深さの深い部分から掻き出す力が高屈折率部11に作用せず、また、切断側から高屈折率部11を押し付ける力が作用することにより得られる効果であると推察される。
また、面取り部18を形成することにより、基材12の欠けを抑制することができる。この効果は、基材12がガラス製である場合に、特に大きな効果が得られる。これは、基材12に達するまで面取り部18が形成されていることにより、基材12の切断時に深さの深い部分から掻き出す力が基材12の端面に生じても、端面が斜めになっていることから、欠けにくいと推察される。
さらに、面取り部18を形成することにより、面取り部18が形成されている側を外側に曲げる力が基材12に加えられた場合の曲げ強さを向上できる。これは、上述した基材12の欠けが少なくなっていることによって、応力集中が生じないことによる効果である。
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態の回折光学素子10の断面図である。
第3実施形態の回折光学素子10は、面取り部18を備えており、上述した第2実施形態の光照射装置1Bに積層されている回折光学素子10と同様な構成をしている。
第2実施形態では、光照射装置1Bにおいて面取り部18を形成した例を挙げて説明した。第2実施形態において説明した面取り部18を形成することにより得られる効果は、回折光学素子ウェハー100と光源ウェハー200とを接合したものを切断する場合に限って得られるものではない。例えば、回折光学素子ウェハー100のみの状態で切断して回折光学素子10を製造する場合にも、上述した面取り部18を設けることによる効果として、第2実施形態と同様な効果を得ることができる。
第3実施形態の回折光学素子10は、回折光学素子ウェハー100から切断される切断工程において、第2実施形態と同様に、面取り部形成工程を行ない、次に、本切断工程を行なうことにより作製可能である。そして、第3実施形態の回折光学素子10は、面取り部18を備えていることにより、切断時の塵埃の発生を大幅に抑えることができ、基材12の欠けを抑制することができ、曲げ強さを向上できる。
(第4実施形態)
図17は、回折光学素子ウェハー100を切断する切断工程を示す図である。
第4実施形態では、両面に面取り部18を備えた回折光学素子10と、これを作製するときの切断工程を説明する。
第4実施形態では、回折光学素子10及び回折光学素子ウェハー100の層構成を第1実施形態から第3実施形態とは異なる形態とした。第4実施形態の回折光学素子10及び回折光学素子ウェハー100では、第1実施形態から第3実施形態において設けていた密着層13を省略している。また、第4実施形態の回折光学素子10及び回折光学素子ウェハー100では、回折格子が設けられていない側の基材12の面に、保証機能層19を設けている。この保証機能層19とは、付加的な機能を付与可能な各種層の総称として示している。保証機能層19としては、例えば、SiO、SION等の保護膜としてもよいし、反射防止膜としてもよいし、ITO膜としてもよく、どのような機能を付加してもよい。また、保証機能層19は、単層に限らず複数層を重ねてもよい。
図17に示す例では、先ず、先端がV形状の回転刃B1-1を用いて、高屈折率部11が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行ない、上面側の面取り部18を形成する(図17(a):面取り部形成工程)。
次に、先端がV形状の回転刃B1-2を用いて、保証機能層19が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行ない、下面側の面取り部18を形成する(図17(b):面取り部形成工程)。
次に、Vカットされた幅よりも幅の狭い回転刃B2を用いて、回折光学素子ウェハー100を個片化する切断を行なう本切断工程(図17(c)を行ない、両面に面取り部18が形成された回折光学素子10が作製される(図17(d))。
なお、保証機能層19が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行なった後に、高屈折率部11が設けられている面側からVカットを行ない、その後に本切断工程を行なってもよい。
また、回転刃B2を用いずに、先端がV形状の回転刃のみを用いて個片化を行なってもよい。
図18は、先端がV形状の回転刃のみを用いて面取り部18の形成と個片化とを行なう例を示す図である。
図18に示す例では、図17に示した回転刃B1-1、B1-2よりもベベル角(刃先の角度)の狭い回転刃B1-3、B1-4を用いた。
先ず、先端がV形状の回転刃B1-3を用いて、高屈折率部11が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行ない、上面側の面取り部18を形成する(図18(a):面取り部形成工程)。
次に、先端がV形状の回転刃B1-4を用いて、保証機能層19が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行ない、下面側の面取り部18を形成する面取り部形成工程と、回折光学素子ウェハー100を個片化する切断を行なう本切断工程とを同時に行ない(図18(b))、両面に面取り部18が形成された回折光学素子10が作製される(図18(c))。
なお、保証機能層19が設けられている面側からVカット(ベベルカット)を行なった後に、高屈折率部11が設けられている面側からVカットを行なって切断してもよい。
以上説明した第4実施形態によれば、面取り部18を両面に構成することができる。よって、切断時の塵埃の発生や基材12の欠けの発生を抑制できるだけでなく、両方向における曲げ強さの向上ができる。なお、図示しないが、回折格子を基材の両面に備える回折光学素子の場合には、本実施形態のように両面に面取り部18を設けることが特に望ましい。
(曲げ強さの確認)
上述したように、第2実施形態から第4実施形態では、面取り部18を設けることにより、面取り部18が設けられている側を外側として曲げられるときの曲げ強さの向上ができると説明した。これを実証する実験を行なったので、実験方法と実験結果を以下に示す。
この実験では、4点曲げ試験により曲げ強さを評価した。
図19は、4点曲げ試験の試験状況を示す図である。
図19に示すように、試験片長Ls=60mm、支点間距離L=45mm、荷重点間距離Li=15mmとした。
図20は、3種類の試験片を図19中の矢印A-Aの位置で切断した断面図である。
試験片は、図20(a)に示した面取り部無しの試験片と、図20(b)に示した上側面に面取り部を設けた試験片と、図20(c)に示した下側面に面取り部を設けた試験片と、図20(d)に示した両面に面取り加工を行った後に本切断された両面に面取り部を設けた試験片と、図20(e)に示したV形状の回転歯のみを用いて個片化を行った両面に面取り部を設けた試験片の5種類を用意した。また、高屈折率部11等は、曲げ強さには殆ど影響を与えないことから、上記試験片は、ガラス製の基材12のみとした。これらの試験片は、いずれも、上記実施形態に例示したものと同様な切断工程によって切断して作製されたものである。
上記試験片を、インストロン製の電気機械式万能材料試験機5900シリーズによって負荷実験を実施した。
図21は、実験条件と実験結果をまとめて示した図である。
図22は、実験結果から得られた面取り部の角度と最大曲げ応力との関係を示すグラフである。
面取り部を備えない試験片では、最大荷重Fmax-aveは、15.87Nであり、最大曲げ応力を最大荷重Fmax-aveから求めると、176.33MPaであった。
上面側に面取り部を備えた試験片では、最大荷重Fmax-aveは、ベベル角θ=30°の場合13.12N、θ=45°の場合14.87N、θ=50°の場合14.82N、θ=60°の場合15.94Nであり、最大曲げ応力を最大荷重Fmax-aveから求めると、θ=30°の場合145.91MPa、θ=45°の場合165.32MPa、θ=50°の場合164.75MPa、θ=60°の場合177.18MPaであり、面取り部を備えない試験片との明確な差異が認められないか、若干の低下傾向。
これらに対して、下面側に面取り部を備えた試験片では、最大荷重Fmax-aveは、θ=30°の場合16.13N、θ=45°の場合19.27N、θ=50°の場合18.09N、θ=60°の場合17.30Nであり、最大曲げ応力を最大荷重Fmax-aveから求めると、θ=30°の場合179.38MPa、θ=45°の場合214.24MPa、θ=50°の場合201.11MPa、θ=60°の場合192.30MPaであり、面取り部を備えない試験片、及び、上面側に面取り部を備えた試験片に対して曲げ強さの向上が確認できた。
加えて、両面に面取り部を備えた試験片では、θ=30°(V形状回転刃のみの2ステップ加工)の場合16.27N、θ=30°(両面面取り加工後に本切断)の場合19.43N、θ=45°の場合19.65N、θ=50°の場合19.87N、θ=60°の場合16.96Nであり、最大曲げ応力を最大荷重Fmax-aveから求めると、θ=30°(V形状回転刃のみの2ステップ加工)の場合181.18MPa、θ=30°(両面面取り加工後に本切断)の場合216.12MPa、θ=45°の場合218.51MPa、θ=50°の場合220.93MPa、θ=60°の場合188.57MPaであり、面取り部を備えない試験片、及び、上面側又は下面側に面取り部を備えた試験片に対して、一層の曲げ強さの向上が確認できた。
この結果は、切断時にガラスに生じる欠けが面取り部の作製によって抑制され、応力集中が生じ難いことによる結果である。
以上のように、面取り部18が設けられている面側を外側に曲げる場合には、面取り部18を設けることによって曲げ強さを向上することができる。
(切断された端部の観察確認)
図23は、実際に回折光学素子を切断した端面を拡大撮影した写真を示す図である。図23(a)は、面取り部を設けずに切断した切断部を回折光学素子の回折格子面に垂直な方向から撮影した写真を示し、図23(b)は、面取り部を設けて切断した切断部を回折光学素子の回折格子面に垂直な方向から撮影した写真を示している。図23中の右側には、切断位置が把握しやすいように参考断面図を併記した。なお、この回折光学素子は、ガラス製の基材12の厚さが300μm(0.3mm)であるのに対して、高屈折率部11の厚さが5μm以下であることから、写真では高屈折率層11の詳細までは確認できない。
図23(a)では、ガラスの欠けが端部に多数発生していることから、端部が荒れていることが確認できる。これに対して図23(b)では、ガラスの欠けが僅かに抑えられており、端部の荒れも殆ど確認できず、綺麗な切断ラインとなっている。
また、図23(a)では、高屈折率部11の破片と思われる塵埃の存在も確認できる。
(面取り部18の好ましい形態)
図24は、面取り部18の寸法を説明する図である。
ここで、図24を参照して、面取り部18として好ましい寸法について説明する。
基材12の厚さtは、0.2mm以上1.0mm以下のものが好ましく用いられている。そして、この厚さtのガラス製の基材12では、面取り部18の各部寸法は、以下の範囲とすることが、塵埃の発生抑制と、基材12の欠け発生抑制との観点において、好ましい。
ベベル角θは、20度以上、70度以下の範囲とすることが望ましい。
ベベル幅Wは、t×5%以上、t×35%以下の範囲とすることが望ましい。
これは、ストレート刃によるチッピング及び汚れ発生を起こさない程度以上に広く、かつ、チップサイズ及びチップ上の各種機能層(DOEパターン、ITO配線、各種マーク等)に影響を与えない程度に狭くすることが望ましいからである。
開先深さDは、t×5%以上、t×35%以下の範囲とすることが望ましい。
また、高屈折率部11の厚さ、及び、保証機能層19の厚さは、いずれも、基材12の厚さtの5%以下とすることが望ましい。
なお,上述した範囲は好ましい範囲ではあるが、この範囲の値に限定するものではない。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態において、回折光学素子10に設けられる回折格子は、4レベルの多段階形状である例を挙げて説明した。これに限らず、回折光学素子10に設けられる回折格子は、8レベルや16レベルの多段階形状であってもよいし、2レベルの凹凸形状、2レベルの凸凹形状が傾斜したスランテッド形状、もしくは前記多段階形状部が連続した斜面となるブレーズド形状であってもよい。また、スランテッド形状及びブレーズド形状の斜面は、平坦面に限定されず、自由曲面を含む曲面形状であってもよい。
(2)各実施形態において、回折光学素子は、基材を備えた構成としたが、高屈折率部のみで構成されている簡単な形態としてもよいし、低屈折率部14を樹脂により構成してもよいし、回折層を被覆する被覆層を設けてもよい。
(3)各実施形態において、回折光学素子は、波長が850nmの光を回折するように設計されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、回折光学素子は、赤外光に限らず、可視光等、どのような波長の光を回折するものに本発明を適用してもよい。
(4)各実施形態において、光照射装置は、波長が850nmの光を照射するように設計されている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、光源が波長500nmの光を発光するものとしてもよいし、赤外光に限らず、可視光等、どのような波長の光を発光する光源を光照射装置に適用してもよい。
(5)各実施形態において、光照射装置は、回折光学素子10を1枚備えている例を挙げて説明した。これに限らず、回折光学素子を複数枚重ねる構成としてもよい。その場合、回折光学素子ウェハーを光源ウェハーに複数枚重ねた後に、切断を行うようにしてもよいし、回折光学素子に面取り部を形成しながら個々に個片化した後に光源と組み合わせて構成してもよい。このような回折光学素子を複数枚重ねる場合には、本願の効果がさらに有効に作用する。
(6)各実施形態において、光源部20は、発光素子(光源)21と、基板22と、ホルダ24とを備えている具体的な構成の一例を示して説明した。これに限らず、光源部の構成は、公知の様々な構成を適宜適用可能である。例えば、実施形態では、発光素子(光源)21は、基板22上に実装されており、発光素子21とホルダ24との間は空間となっている例を示したが、この空間に樹脂等を充填した構成としてもよいし、ホルダ24の機能も充填された樹脂(封止材)により兼ねる構成としてもよい。また、基板22の機能を発光素子ウェハーに含めてより簡単な構成としてもよい。
また、回折光学素子に面取り部を形成して予め回折光学素子を個片化する工程とする場合には、ホルダ24の形態は、実施形態で例示したような単なる壁部のみの構成に限らず、回折光学素子を収める部位を一段低くした段部として構成する等してもよい。また、面取り部を光源側に向けて配置してもよい。面取り部の位置は、応力によって曲げられるおそれのある向きを想定して、適宜最適な配置を選択可能である。
また、回折光学素子に設けられた回折格子の凹凸形状が出射側(光源から遠い側)に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、回折格子の凹凸形状が入射側(光源に近い側)に向けて配置されていてもよい。
また、回折光学素子が複数積層された構成であってもよい。
また、上記例示した構成に限らず、光源部の具体的な構成や作製方法は、公知の形態に適宜置き換えてもよい。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1,1B 光照射装置
10 回折光学素子
11 高屈折率部
11a-1 レベル1段部
11a-2 レベル2段部
11a-3 レベル3段部
11a-4 レベル4段部
11b 側壁部
12 基材
13 密着層
14 低屈折率部
14a 凹部
14b 空間
15 回折層
16 マーク
17 単位セル
18 面取り部
19 保証機能層
20 光源部
21 発光素子
22 基板
23 配線
24 ホルダ
24a 頂部
60 接着材
100 回折光学素子ウェハー
200 光源ウェハー
300,401,402,403 原版

Claims (12)

  1. 複数の光源が並べて配列された光源多面付体と、
    複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セルが複数並べて配列され、かつ、前記単位セルが周期的に複数配列されて構成され、前記単位セルは、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されており、回折格子とは区別して認識可能であり賦型する方向に合わせて全て同じ方向のラインアンドスペースパターンとして形成されているマークが、回折格子が配置された領域に重ねて配置されている回折光学素子多面付体と、
    を接合する接合工程と、
    前記接合工程で接合された前記光源多面付体及び前記回折光学素子多面付体を前記マークを利用して切断位置を決定して切断する切断工程と、
    を備える光照射装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光照射装置の製造方法において、
    前記単位セルが隣接する境界部分では、回折格子のパターンが連続していること、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光照射装置の製造方法において、
    前記単位セルは、前記光源から照射される光の照射範囲内に複数配置可能な大きさであること、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  4. 請求項1から請求項までのいずれかに記載の光照射装置の製造方法において、
    前記単位セルは、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  5. 請求項1から請求項までのいずれかに記載の光照射装置の製造方法において、
    前記切断工程は、少なくとも前記回折格子が形成されている面側に、面取り部を形成する面取り部形成工程を含むこと、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  6. 請求項に記載の光照射装置の製造方法において、
    前記回折光学素子多面付体は、
    ガラスにより構成された基材を備え、
    前記面取り部形成工程では、少なくとも前記基材に到達する位置まで前記面取り部を形成すること、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  7. 請求項又は請求項に記載の光照射装置の製造方法において、
    前記面取り部形成工程では、接合された前記光源多面付体及び前記回折光学素子多面付体の両面それぞれに前記面取り部を形成するように前記回折光学素子多面付体の両面から加工を行なうこと、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  8. 請求項から請求項までのいずれかに記載の光照射装置の製造方法において、
    前記面取り部形成工程では、前記光源多面付体及び前記回折光学素子多面付体の少なくとも一方が個片化されずに繋がった状態にあり、
    前記面取り部形成工程の後にさらに前記光源多面付体及び回折光学素子多面付体を個片化する切断を行なう本切断工程を備えること、
    を特徴とする光照射装置の製造方法。
  9. 複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セルが複数並べて配列され、かつ、前記単位セルが周期的に複数配列されて構成されており、回折格子とは区別して認識可能であり賦型する方向に合わせて全て同じ方向のラインアンドスペースパターンとして形成されているマークが、回折格子が配置された領域に重ねて配置されている回折光学素子多面付体を製造する回折光学素子多面付体の製造方法であって、
    回折格子が形成される領域を複数に分割した分割領域に対応する成形型を準備する成形型準備工程と、
    前記成形型を用いて、回折格子を賦型する賦型工程と、
    を備える回折光学素子多面付体の製造方法。
  10. 請求項に記載の回折光学素子多面付体の製造方法であって、
    前記賦型工程は、同一の前記成形型を用いて異なる領域を順次賦型する工程を含むこと、
    を特徴とする回折光学素子多面付体の製造方法。
  11. 請求項又は請求項10に記載の回折光学素子多面付体の製造方法において、
    前記単位セルは、凹凸形状が形成された面の法線方向から見て凸部と凹部との境界が曲線と複数の線分を繋げた折れ線との少なくとも一方を含むパターンを有する回折格子が形成されていること、
    を特徴とする回折光学素子多面付体の製造方法。
  12. 複数の回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成された矩形形状の単位セルが複数並べて配列され、かつ、前記単位セルが周期的に複数配列されて構成されており、前記単位セルは、切断されて個片化される予定の領域に関わりなく連続して配列されており、回折格子とは区別して認識可能であり賦型する方向に合わせて全て同じ方向のラインアンドスペースパターンとして形成されているマークが、回折格子が配置された領域に重ねて配置されている回折光学素子多面付体を前記マークを利用して切断位置を決定して切断する切断工程を備え、
    前記切断工程は、少なくとも前記回折格子が形成されている面側の端部に、面取り部を形成する面取り部形成工程を含む回折光学素子の製造方法。
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