JP7378766B2 - 有機無機複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機無機複合粒子の製造方法等に関する。
様々なシリカ(二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする構造物)が生物によって産出されることが知られており、これらのシリカは「バイオシリカ(bio-silica)」とも呼ばれる。バイオシリカを産生する生物の代表例として、珪藻が挙げられる。珪藻はケイ酸質の被殻を有する。
1999年以降Kroegerらにより、海洋性珪藻Cylindrotheca fusiformisの細胞壁をフッ素酸で溶かした溶液から、4kDa~8kDaのポリペプチドSilaffin-1A1,Silaffin-1A2,Silaffin-1Bが単離されている。これら珪藻被殻から単離されたポリペプチド(総称して「シラフィン」と呼ばれる)は、in vitroにおいて、ケイ酸原の存在下、迅速にケイ酸の重合体粒子(バイオシリカ)を形成することが知られている。
これまでに、これらシラフィンまたはそのキメラ蛋白を使用してシリカを製造する方法がいくつか報告されている(例えば特許文献1)。また、シラフィン以外にも、プロタミンや、塩基性アミノ酸が繰り返し配置されているペプチドがバイオシリカ形成能を有することも報告されている(特許文献2、3)。しかしながら、これらのバイオシリカ形成材はペプチドやタンパク質であるので、バイオシリカ製造コストが比較的高くなってしまう。
特開2006-197825号公報 WO2011/049201号 特開2011-219453号公報
本発明は、バイオシリカに代表される有機無機複合粒子の簡便且つ効率的な製造方法、及びバイオシリカ等の有機無機複合粒子を提供することを課題とする。好ましくは、本発明は、抗菌作用に優れた有機無機複合粒子、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を進めた結果、無機粒子原と陽イオン界面活性剤とを混合する工程1を含む、有機無機複合粒子の製造方法、及び該方法により得られる有機無機複合粒子、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. 無機粒子原と陽イオン界面活性剤とを混合する工程1を含む、有機無機複合粒子の製造方法.
項2. 前記工程1が無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤とを混合する工程である、項1に記載の製造方法.
項3. 前記工程1が無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤溶液、陽イオン界面活性剤保持微粒子又は有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液とを混合する工程である、項1又は2に記載の製造方法.
項4. 前記工程1が攪拌状態の無機粒子原溶液に陽イオン界面活性剤溶液を添加する工程である、項1~3のいずれかに記載の製造方法.
項5. さらに微粒子に陽イオン界面活性剤を保持させる工程Aを含み、且つ
前記工程1が前記工程Aで得られた陽イオン界面活性剤保持微粒子と無機粒子原溶液とを混合する工程である、項1~3のいずれかに記載の製造方法.
項6. 溶液中で陽イオン界面活性剤と、脂肪族化合物及び芳香族化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機成分とを接触させることで、陽イオン界面活性剤に前記有機成分が保持された有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液を得る工程Bを含み、且つ
前記工程1が前記工程Bで得られた有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液と無機粒子原溶液とを混合する工程である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法.
項7. 前記無機粒子原が、イオン化した際に金属元素を含む陰イオンまたは半金属元素を含む陰イオンを生じる化合物を少なくとも1種以上含む化合物である、項1~6のいずれかに記載の製造方法.
項8. 前記無機粒子原が、イオン化した際に金属元素を含む陰イオンまたは半金属元素を含む陰イオンを生じる化合物を少なくとも1種類以上含む化合物であって、金属元素または半金属元素が、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、W、Pt、及びAuからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む化合物である、項1~7のいずれかに記載の製造方法.
項9. 前記無機粒子原がケイ酸原を含む、項1~8のいずれかに記載の製造方法.
項10. 前記ケイ酸原がケイ酸、ケイ酸のアルカリ金属塩、ケイ酸のアルカリ土類金属塩、及びアルコキシシランからなる群より選択される少なくとも1種である、項9に記載の製造方法.
項11. 前記陽イオン界面活性剤が4級アンモニウム塩である、項1~10のいずれかに記載の製造方法.
項12. 項1~11のいずれかに記載の製造方法で得られる、有機無機複合粒子.
項13. バイオシリカである、項12に記載の有機無機複合粒子.
項14. 項12又は13に記載の有機無機複合粒子を含有する、抗菌材.
本発明によれば、バイオシリカに代表される有機無機複合粒子の簡便且つ効率的な製造方法、及びバイオシリカ等の有機無機複合粒子を提供することができる。また、本発明によれば、有機無機複合粒子を利用した抗菌材を提供することができる。
実施例1で得られたバイオシリカのSEM観察画像を示す。左: CPCBS, 中央: CTACBS,右: BTCBS。 ケイ酸ソーダのモル比の違いによるCPCBS(実施例4)を比較するSEM観察画像を示す。A: 1 号ケイ酸ソーダ, B:2 号ケイ酸ソーダ, C: 3 号ケイ酸ソーダ, D: 4 号ケイ酸ソーダ, E: 5 号ケイ酸ソーダ。 3~5号ケイ酸ソーダを用いたCPCBS(実施例4)の粒子径を比較するSEM観察画像を示す。A: 3 号ケイ酸ソーダ, B: 4 号ケイ酸ソーダ, C: 5 号ケイ酸ソーダ。 未処理のサイリシア310P(上段)と実施例5で得られたバイオシリカ(サイリシアCPCBS)(下段)のSEM観察画像を示す。 実施例7で得られた有機無機複合粒子のSEM観察画像を示す。 試験例1のハロー法試験の結果を示す。A: A. niger, B: R. solani, C: B. cinerea, D: T. versicolor, E: T. mentagrophytes, どの図においても左がCPCBS,中央がCTACBS,右がBTCBS。 試験例6のハロー法試験の結果を示す。左からコントロール(バイオシリカ含侵させていない濾紙)、CPCBSを含侵させた濾紙、CTACBSを含侵させた濾紙。 試験例7のワニス練り込み試験の結果を示す。左から、コントロール(ワニスのみ)、CPCBSを練り込んだワニス、CTACBSを練り込んだワニス、CPCを練り込んだワニス。 試験例8の目地シール材練り込み試験の結果を示す。左上: コントロール(目地シール材のみ),右上:CPCBSを練り込んだ目地シール材,中段左: CTACBSを練り込んだ目地シール材,中段右: BTCBSを練り込んだ目地シール材。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.有機無機複合粒子及びその製造方法
本発明は、その一態様において、無機粒子原と陽イオン界面活性剤とを混合する工程1を含む、有機無機複合粒子の製造方法(本明細書において、「本発明の製造方法」と示すこともある。)、及び本発明の製造方法で得られる、有機無機複合粒子(本明細書において、「本発明の有機無機複合粒子」と示すこともある。)に関する。以下に、これらについて説明する。
無機粒子原としては、有機無機複合粒子を構成することができるものである限り特に制限されない。無機粒子原は、好ましくは、それ自身が、或いはそれから構成される化合物が、イオン化した際に金属元素を含む陰イオンまたは半金属元素を含む陰イオンを生じるもの、換言すると、水中で金属元素または半金属元素を含む陰イオンを遊離するものである。このような無機粒子原を使用することにより、効率的に有機無機複合粒子を形成させることができる。
無機粒子原が含む金属元素(特に、上記陰イオン中の元素)としては、好ましくはアルカリ土類金属元素、遷移金属元素、卑金属元素等が挙げられる。
無機粒子原が含む金属元素または半金属元素(特に、上記陰イオン中の元素)としては、例えばMg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、W、Pt、Au等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはSiが挙げられる。
Si元素を含む無機粒子原(ケイ酸原)は、バイオシリカの原料となる物質、具体的にはケイ酸イオン、ポリケイ酸、ケイ酸コロイド、ケイ酸ゾルなどのケイ酸、並びにこれらケイ酸生成の原料となりえるケイ素含有化合物を広く包含する意味で用いられる。
一般的に、ケイ酸は重合反応によりシロキサン結合を形成し高次構造を形成する。例えば、ケイ酸ソーダに代表されるケイ酸のアルカリ塩に酸を加える手法や、テトラアルコキシシラン等のアルコキシシランからアルコキシ基を脱離する手法などによりケイ酸のゲルを得ることができる。また、イオン交換樹脂等を用いてケイ酸ソーダ等のケイ酸のアルカリ塩からアルカリ塩を解離させる方法等によって活性ケイ酸と呼ばれるケイ酸ポリマーやケイ酸コロイドなどが生成・製造される。
このため、制限されないものの、「ケイ酸原」としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸のアルカリ塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)、活性ケイ酸、ケイ酸コロイド、及びアルコキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、ケイ酸のアルカリ塩が好ましい。
ケイ酸のアルカリ塩としては、特に限定されないが、例えば、ケイ酸ソーダ(ケイ酸ナトリウム(Na2O・nSiO2・mH2O、式中n及びmは正数を表す。nはSiO2と Na2Oの分子数比であり、モル比と呼ばれる))、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、及びアルミノケイ酸ナトリウム等のケイ酸のアルカリ金属塩、並びにケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、及びケイ酸カルシウムアルミニウム等のケイ酸のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
ケイ酸のアルカリ塩としては、ケイ酸のアルカリ金属塩が好ましく、モル比:SiO2/X2O(Xはアルカリ金属塩を示す。)が2を超える値であるケイ酸アルカリ金属塩が特に好ましい。該モル比は、より好ましくは2.4以上、さらに好ましくは2.7以上、特に好ましくは3以上である。該モル比の上限は、例えば150、120、100である。
アルコキシシランとしては、特に限定されないが、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラエトキシシラン(TEOS)等を挙げることができる。
ケイ酸原としては、限定されないが、酸性シリカゾルや活性ケイ酸、ケイ酸コロイドなども使用することができる。例えば、ケイ酸のアルカリ塩に酸を加えて生成した酸性シリカゾル、テトラアルコキシシランからアルコキシ基を脱離して生成した活性ケイ酸やケイ酸コロイド、イオン交換樹脂等を用いてケイ酸のアルカリ塩からアルカリ塩を脱離して生成した活性ケイ酸やケイ酸コロイドを挙げることができる。
無機粒子原としては、ケイ酸原以外にも、水中で金属元素または半金属元素を含む陰イオンを遊離する化合物を使用することができる。例えばビス(チオスルファト)銀(I)酸塩、ビス(チオスルファト)金(I)酸塩、リン酸二水素アルカリ度土金属塩、アルミン酸塩、ペルオキソチタン酸塩、バナシン酸塩、過マンガン酸塩、ヘキサシアノ鉄塩、モリブデン酸塩等が挙げられる。
無機粒子原は、一種単独で使用してもよいし、任意に二種以上を組み合わせて使用してもよい。
陽イオン界面活性剤としては、特に制限されず、例えば1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等の脂肪族アミン塩、アルキル4級アンモニウム塩、アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩、アルキルエーテルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、有機無機複合粒子形成能、抗菌性等の観点から、4級アンモニウム塩が好ましく挙げられる。
より具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化アルキルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンベトニウム、塩化ジポリオキシエチレン(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレンステアリルメチルアンモニウム、塩化ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。なお、「アルキル」に続くカッコ内の数字は炭素数、「ポリオキシエチレン」及び「ポリオキシプロピレン」に続くカッコ内の数字は付加モル数を表す。
陽イオン界面活性剤は、一種単独で使用してもよいし、任意に二種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機粒子原と陽イオン界面活性剤との混合比(無機粒子原:陽イオン界面活性剤、固形分重量比(一態様において、ケイ酸原の場合はSiO2固形分重量で換算))は、粒子径成功率などの観点から、例えば1:0.1~1:10、好ましくは1:0.2~1:5、より好ましくは1:0.5~1:3、さらに好ましくは1:0.8~1:2.5である。
混合時の無機粒子原溶液のpHは弱酸性からアルカリ性が好ましい。該pHは、好ましくは3以上、4以上、5以上、6以上である。該pHの上限は、例えば14、13、12である。
混合時の温度(溶液を使用する場合は溶液温度)は、特に制限されず、0~80℃が好ましく、5~60℃がより好ましく、10~40℃がさらに好ましい。
無機粒子原と陽イオン界面活性剤との混合の態様は、特に制限されない。混合態様としては、例えば無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤とを混合する態様(態様1)が挙げられる。
態様1において、無機粒子原溶液は、無機粒子原の全部又は一部が溶解している溶液である限り特に制限されない。無機粒子原溶液の溶媒としては特に制限されず、具体的には、水、アルコールなどの両極性溶媒、含水アルコール等の含水有機溶媒等を例示することができる。好ましくは水である。無機粒子原溶液中の無機粒子原の濃度(一態様において、ケイ酸原の場合はSiO2濃度)は、例えば0.05~10%(w/v)、好ましくは0.1~5%(w/v)、より好ましくは0.15~3%(w/v)、さらに好ましくは0.2~2%(w/v)、よりさらに好ましくは0.2~1%(w/v)である。また、無機粒子原溶液には、有機無機複合粒子の形成が著しく阻害されない限りにおいて、他の成分(例えば、脂肪族化合物や芳香族化合物等の有機成分。有機成分のカテゴリーとしては、例えば香気成分、呈味成分、抗微生物成分等)が含まれていてもよい。特に脂肪族化合物や芳香族化合物等の有機成分は、陽イオン界面活性剤の疎水基と親和性を示すので、上記有機成分を含む無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤とを混合することによって上記有機成分を内包した有機無機複合粒子を形成することができる。他の成分の濃度は、例えば5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下である。
態様1において、陽イオン界面活性剤の態様は特に制限されない。態様1において、陽イオン界面活性剤としては、例えば陽イオン界面活性剤溶液、又は陽イオン界面活性剤保持粒子を使用することができる。以下、陽イオン界面活性剤溶液を使用する態様(態様1-1)、及び陽イオン界面活性剤保持粒子を使用する態様(態様1-2)それぞれについて説明する。
態様1-1において、陽イオン界面活性剤溶液は、陽イオン界面活性剤が溶解している溶液である限り特に制限されない。陽イオン界面活性剤溶液の溶媒としては特に制限されず、具体的には、水、アルコールなどの両極性溶媒、含水アルコール等の含水有機溶媒等を例示することができる。好ましくは水である。陽イオン界面活性剤溶液中の陽イオン界面活性剤の濃度は、例えば0.1~30%(w/v)、好ましくは0.5~20%(w/v)、より好ましくは1~15%(w/v)、さらに好ましくは1~10%(w/v)、よりさらに好ましくは1~5%(w/v)、特に好ましくは1.5~3%(w/v)である。また、陽イオン界面活性剤溶液には、有機無機複合粒子の形成が著しく阻害されない限りにおいて、他の成分(例えば、脂肪族化合物や芳香族化合物等の有機成分。有機成分のカテゴリーとしては、例えば香気成分、呈味成分、抗微生物成分等)が含まれていてもよい。特に脂肪族化合物や芳香族化合物等の有機成分は、陽イオン界面活性剤の疎水基と親和性を示すので、上記有機成分を含む陽イオン界面活性剤溶液と無機粒子原溶液とを混合することによって上記有機成分を内包した有機無機複合粒子を形成することができる。有機成分を内包した有機無機複合粒子を製造する場合には、本発明の製造方法は、陽イオン界面活性剤に前記有機成分が保持された有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液を得る工程Bを含むことが望ましい。工程Bの具体的態様としては、特に制限されず、例えば、溶液中で陽イオン界面活性剤と有機成分とを接触させる方法、より具体的には、例えば陽イオン界面活性剤溶液に有機成分を添加し、或いは有機成分溶液に陽イオン界面活性剤を添加して、撹拌(例えば600~800rpm)する方法が挙げられる。他の成分の濃度は、例えば5%(w/v)以下、1%(w/v)以下、0.5%(w/v)以下、0.1%(w/v)以下、0.05%(w/v)以下である。
態様1-1において、無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤溶液との液量比(無機粒子原溶液:陽イオン界面活性剤溶液)は、粒子形成効率等の観点から、好ましくは1:0.1~1:1、より好ましくは1:0.15~1:0.75、さらに好ましくは1:0.15~1:0.5、特に好ましくは1:0.2~1:0.3である。
態様1-1において、混合の順序は特に制限されず、例えば無機粒子原溶液に陽イオン界面活性剤溶液を添加する態様(態様1-1-1)、陽イオン界面活性剤溶液に無機粒子原溶液を添加する態様(態様1-1-2)、無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤溶液とを同時に容器に投入する態様等が挙げられる。これらの中でも、粒子径をより小さく制御する観点、粒子径分布をより狭くする観点、粒子形成効率の観点等から、態様1-1-1が特に好ましい。これらの態様は、粒子形成効率等の観点から、通常、容器中で、両溶液を混合することによって行われる。これらの態様の変法として、両溶液のいずれかを担体(ろ紙、不織布等)に含侵させた後、そこにもう一方の溶液を添加する方法が挙げられる。この方法により、担体中に保持された状態で有機無機複合粒子を得ることができる。
態様1-1-1において、粒子形成効率等の観点から、攪拌状態の無機粒子原溶液に陽イオン界面活性剤溶液を添加することが好ましい。この場合において、攪拌状態とは、例えば鋸歯ディスクタービン型の撹拌翼にて、例えば300~1000rpm、好ましくは500~900rpm、より好ましくは600~800rpmで溶液を攪拌している状態である。また、態様1-1-1においては、粒子形成効率等の観点から、陽イオン界面活性剤溶液を一気に添加することが好ましい。ここで、「一気に」とは、例えば0.5L/秒以上、好ましくは1L/秒以上、より好ましくは1.5L/秒以上で陽イオン界面活性剤溶液を添加することである。
態様1-1において、通常、無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤溶液との混合と同時に或いは数十秒又は数秒以内に、白濁が生じる。この白濁が、有機無機複合粒子が生成したことを示す。白濁が生じない場合は、水酸化ナトリウム等のアルカリ、又は塩酸などの酸を添加すること等により、混合液のpHを弱酸性~アルカリ性に調整することによって、白濁を生じさせることができる。
態様1-2において、陽イオン界面活性剤保持粒子は、陽イオン界面活性剤を内部及び/又は表面に保持する粒子である限り、特に制限されない。粒子の素材としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒素化ケイ素、酸化鉄、マイカ等が挙げられ、好ましくはシリカが挙げられる。陽イオン界面活性剤保持粒子は一次粒子経がナノサイズであることが好ましく、その平均一次粒子径は、例えば1~500nm、好ましくは1~100nm、より好ましくは3~50nm、さらに好ましくは5~20nmである。
態様1-2を採用する場合、本発明の製造方法は、さらに微粒子に陽イオン界面活性剤を保持させる工程Aを含むことが好ましい。保持させる方法としては、特に制限されず、例えば、粒子に陽イオン界面活性剤を接触させる方法(より具体的には、粒子に陽イオン界面活性剤溶液を接触させる方法)が挙げられる。接触後は、必要に応じて、余分な陽イオン界面活性剤を除去する処理(例えばろ過、遠心分離、溶媒洗浄(水洗等))を行うことが好ましい。
態様1-2において、混合の順序は特に制限されず、例えば陽イオン界面活性剤保持粒子に無機粒子原溶液を添加する態様(態様2-1-1)、無機粒子原溶液に陽イオン界面活性剤保持粒子を添加する態様(態様2-1-2)、陽イオン界面活性剤保持粒子と無機粒子原溶液とを同時に容器に投入する態様等が挙げられる。
斯くして得られた本発明の有機無機複合粒子の回収は、特に限定されず、通常の分離法や回収法(例えばろ過、遠心分離、自然沈降等)を適用できる。回収後は、必要に応じて、余分な成分を除去する処理(例えば溶媒洗浄(水洗等)、乾燥)を行うことが好ましい。
本発明の有機無機複合粒子は、一次粒子から構成される。一次粒子は、一部又は全部が凝集していてもよい。一次粒子の形状は、特に限定されず、球状、楕円体状、ロッド状、柱状、リン片状など任意の形状であってよい。一次粒子の平均粒子径は、通常1~1000nmである。該平均粒子径は、好ましくは3~500nm、より好ましくは5~300nm、さらに好ましくは10~250nmである。また、本発明の有機無機複合粒子は、通常、アモルファスである。
本発明の有機無機複合粒子は、無機粒子原としてケイ酸原を使用して得られた有機無機複合粒子(バイオシリカ)であることが好ましい。
2.用途
本発明の有機無機複合粒子は、触媒担体、タンパク質の吸着材、ろ過助剤、酵素等の機能性高分子を固定するための担体(キャリヤー)(より具体的にはバイオリアクターやバイオセンサー等の反応素子)として利用することができる。また、電子材料等の絶縁膜として用いることもできる。さらに、その形状に基づいて、各種用途のフィラーとして用いることもできる。その他にも、バイオシリカについて従来提案されてきたような様々な分野や技術、例えば半導体微細加工技術等のナノテクノロジー分野、光エレクトロニクス分野(フォトニックス材料等)において利用することもできる。
また、本発明の有機無機複合粒子は、好適には、抗菌用途に利用することができる。この観点から、本発明は、その一態様において、本発明の有機無機複合粒子を含有する、抗菌材に関する。具体的には、各種フィルター、例えば抗菌性フィルター若しくは抗カビ性フィルター、工業廃液の浄化処理用フィルター、微量成分の捕集用フィルター若しくは除去用フィルター等の各種機能性フィルターや抗菌性壁紙、抗菌性フィルム、抗菌性繊維、抗菌性樹脂、抗菌性塗料、防汚塗料、抗菌性建材、除菌・殺菌・防菌スプレー等の機能性基材として利用することができる。
対象菌としては、グラム陰性菌、グラム陽性菌等の細菌;真菌等を広く採用することができる。中でも、グラム陽性菌、真菌(特に、酵母系)等、特にグラム陽性菌に対して好適に適用することができる。グラム陰性菌としては、例えば、腸内細菌科細菌(例えば、エシェリヒア属菌、クレブシエラ属菌、サルモネラ属菌、赤痢菌属等)、アシネトバクター属菌、シュードモナス属菌(例えば緑膿菌)、モラクセラ属菌、ヘリコバクター属菌、カンピロバクター属菌、アエロモナス属菌、ビブリオ属菌(例えばコレラ菌、腸炎ビブリオ菌)、ヘモフィルス属菌(例えばインフルエンザ菌)、ナイセリア属菌(例えば淋菌、髄膜炎菌)、バクテロイデス属菌等が挙げられる。グラム陽性菌としては、例えば、ブドウ球菌属菌(例えば黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌)、腸球菌(例えばエンテロコッカス属菌)、レンサ球菌属菌(例えばA群連鎖球菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌、緑色連鎖球菌)、バシラス属菌(例えばセレウス菌、炭疽菌)、クロストリジウム属菌(例えば破傷風菌、ボツリヌス菌、ディフィシル菌)、コリネバクテリウム属菌(例えばジフテリア菌)、リステリア属菌、ラクトバシラス属菌、ビフィドバクテリウム属菌、プロピオニバクテリウム属菌(例えばニキビの原因となるアクネ菌)、放線菌等が挙げられる。真菌としては、酵母、糸状菌など、例えばコウジカビ、白癬菌、カンジダ、ロドトルラ、クリプトコックス、アスペルギルス、植物病原菌、白色腐朽菌等が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1.バイオシリカの製造1
SiO2濃度0.625%の3号ケイ酸ソーダ水溶液2Lを攪拌(700rpm)し、そこへ2.5%陽イオン界面活性剤(CPC:塩化セチルピリジニウム、CTAC:塩化セチルトリメチルアンモニウム、又はBTC:塩化ベンゼトニウム)水溶液0.5Lを一気に(約2L/秒の速度で)投入した。投入時、白濁が生じた(ゲル化・自己組織化)。この白濁溶液40mLを50mL遠沈管に取り3500rpmで10分間遠心し、上清を捨て、20mLの純水を加えて洗浄した後、再び3500rpmで遠心した。この洗浄作業を5回繰り返し、回収した粉体を60℃にて乾燥させた。
乾燥した粉末の色調を確認したところ、CPCバイオシリカ(CPCBS)は淡黄色から淡橙色を示すが、CTACBS及びBTCBSは白色であった。
CPCBS、CTACBS、及びBTCBSのSEM観察を行った(図1)。CPCBS及びCTACBS共に一次粒子は球形をしており、二次凝集を形成しているようであった。一次粒子径は100~500nm、平均粒子径は200nm前後であると考えられた。BTCBSも基本的には一次粒子は球形で二次凝集しているようであるが、一時粒子径はCPCBSやCTACBSよりも小さく、50~300nm、平均粒子径は100nm前後であると考えられた。
実施例2.バイオシリカの製造2(配合検討1)
バイオシリカ作製時の最適な配合の検討を行った。作製方法は、実施例1に準じて行い、スケールダウンした。3号ケイ酸ソーダとCPC溶液の液量比を4:1(20mL:5mL)、CPC溶液の濃度を2.5%に固定し、3号珪酸ソーダのSiO2濃度を0.3125%から2.5%に振って、生成したバイオシリカの乾燥重量を測定しSiO2反応率を算出した。
結果を表1に示す。SiO2濃度0.3125%ではSiO2分がほぼすべて反応していることが予測されたが、この濃度以下になると余剰のCPCが発生することが考えられた。0.625%以上では余剰のSiO2が発生するが、CPCはほぼバイオシリカ形成反応に使用されることが予測された。
実施例3.バイオシリカの製造3(配合検討2)
表2で示すように濃厚系での反応を検討した。作製方法は、実施例1に準じて行い、スケールダウンした。CPC濃度が25%では、バイオシリカの形成は見られるものの、均一な粒子を形成せず、バイオシリカ形成に最適なCPC濃度の上限を超えていることが考えられた。CPC濃度12.5%においてバイオシリカ粒子を形成したが、こちらでは未反応のSiO2およびCPCが多く存在することが考えられた。
Figure 0007378766000002
実施例4.バイオシリカの製造4(配合検討3)
ケイ酸ソーダとして、1号~5号ケイ酸ソーダを用い、実施例1と同様にしてバイオシリカを作製した。SEM観察画像を図2及び図3に示す。1号ケイ酸ソーダでは均一な粒子形成をしておらず、塊状になっているが、モル比が上がるにつれて徐々に粒子性が出てくるようであり、3号になると球形粒子を形成していた。4号、5号では3号と同様に球形粒子を形成していた。また3~5号ケイ酸ソーダを用いたCPCBSの粒子径を比較すると、モル比が高くなるにつれて小さくなる傾向が見られた。
実施例5.バイオシリカの製造5
無水ケイ酸粉末(サイリシア310P)1gに2.5%CPC水溶液10mLを加えて十分に含浸させた。これを濾過した後、20mLの純水により濾過水洗した。ここに20mLのSiO2濃度0.625%の3号ケイ酸ソーダ水溶液を加えて濾過した。粉末を遠沈管に回収して20mLの純水を加えて洗浄し、3500rpmで遠心して上清を捨てた。洗浄作業を5回繰り返し、回収した粉体を60℃にて乾燥させた。未処理のサイリシア310P とサイリシアCPCBSのSEM観察を行った(図4)。未処理のサイリシア310Pは非常に細かい一次粒子(10nm前後)であることがわかる。サイリシアCPCBSはやや一次粒子が大きくなっているように思われる(15nm前後)が、未処理のサイリシア310Pと類似した構造を持つことが考えられた。
実施例6.バイオシリカ以外の有機無機複合粒子の製造1
0.1Mのビス(チオスルファト)銀(I)酸ナトリウム水溶液20mLを攪拌(700rpm)し、そこへ2.5%CPC水溶液5mLを一気に(約2L/秒の速度で)投入した。投入時、白濁が生じた(ゲル化・自己組織化)。3500rpmで10分間遠心し、上清を捨て、20mLの純水を加えて洗浄した後、再び3500rpmで遠心した。この洗浄作業を5回繰り返し、回収した粉体を60℃にて乾燥させた。SEM観察を行ったところ、均一な粒子は形成されておらず、大きな塊のような形状をしていた。
実施例7.バイオシリカ以外の有機無機複合粒子の製造2
0.1Mのリン酸二水素カルシウム水溶液20mLを攪拌(700rpm)し、そこへ2.5%CPC水溶液5mLを一気に(約2L/秒の速度で)投入した。投入時には白濁は生じなかったが、水酸化ナトリウムを加えて中性~弱アルカリ性とすると白濁が生じた(ゲル化・自己組織化)。3500rpmで10分間遠心し、上清を捨て、20mLの純水を加えて洗浄した後、再び3500rpmで遠心した。この洗浄作業を5回繰り返し、回収した粉体を60℃にて乾燥させた。SEM観察を行ったところ(図5)、非常に細かい楕円形状の一次粒子が形成されていることが分かった。楕円の長径は約40~50nmであると思われた。
試験例1.抗菌試験1
実施例1で得られたバイオシリカ(CPCBS、CTACBS、及びBTCBS)の抗菌試験を行った。細菌系においては最少生育阻止試験(MIC試験)、真菌系についてはハロー法試験により抗菌性を検討した。
<MIC試験>
グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus及び虫歯菌Streptococcus mutans、グラム陰性菌である大腸菌Escherichia coli及び緑膿菌Pseudomonas aeruginosa、酵母系細菌であるカンジダ菌Candida albicans及びロドトルラ菌Rhodotorula mucilaginosaを対象に試験を行った。24穴マルチウェルプレートの各穴に1mLずつ培地を加えた。培地はS.aureus、E.coli、P.aeruginosaではMueller-Hinton Broth(MHB)、S.mutansでは5%スクロース入りBrainHeart Infusion Broth(5%sucBHIB)、C.albicans、R.mucilaginosaではYeast Malt Broth(YMB)を使用した。CPCBS、CTACBSまたはBTCBSを2560ppmとなるように各培地に懸濁し、1mLを先ほどのマルチウェルプレートの1穴目に添加し良く懸濁した。更にこれを1mL取り、次の穴に添加し良く懸濁した。これを繰り返し、段階希釈液を作製した。ここに104cells/mLに調整した各菌の培養液を100μLずつ添加し、一晩培養した。菌の生育を抑制した最少濃度を目視にて確認した。試験結果の写真は割愛し、下表に各菌に対する最少生育阻止濃度(ppm)を示す。
Figure 0007378766000003
陽イオン界面活性剤を用いたバイオシリカはグラム陽性菌に最も効果を示し、次に酵母系細菌、グラム陰性菌の順であった。黄色ブドウ球菌や大腸菌に対してはCPCBSが最も抗菌性が高く、カンジダ菌に対してはBTCBSが最も抗菌性が高かった。また、プロタミンバイオシリカ(PBS:特許文献2)や銀系抗菌剤ゼオミックと比較すると抗菌性が高い結果となった(ゼオミックのデータはシナネンゼオミック社HPより参照)。
<ハロー法試験>
黒麹カビAspergillus niger、植物病原菌Rhizoctonia solani及びBotrytis cinerea、白色腐朽菌Trametes versicolor、白癬菌Trichophyton mentagrophytesを対象に試験を行った。培地はA.niger、R.solani、B.cinerea、T.versicolorではPotato Dextorose Agar(PDA)、T.mentagrophytesではSabouraud Glucose Agar(SGA)を使用した。各寒天培地の中央にCPCBS、CTACBSまたはBTCBSをのせ、両端に各菌を塗布し1~2週間培養し、ハローを形成するか確認した。結果を図6に示す。各種バイオシリカが真菌に対しても抗菌作用を有することが分かった。
試験例2.抗菌試験2
実施例5のバイオシリカ(サイリシアCPCBS)、実施例6の有機無機複合粒子、及び実施例7の有機無機複合粒子について、試験例1と同様にして黄色ブドウ球菌に対するMIC試験を行った。その結果、最少生育阻止濃度は、サイリシアCPCBSが0.0003ppmであり、実施例6の有機無機複合粒子が0.00016ppm以下であり、実施例7の有機無機複合粒子が0.005ppmであった。
試験例3.熱耐性試験
実施例1で得られたバイオシリカ(CPCBS、CTACBS、及びBTCBS)それぞれを気中にて121℃で1時間加熱した後、試験例1と同様にして黄色ブドウ球菌に対するMIC試験を行った。その結果、最小生育阻止濃度は加熱前と同程度であった。
試験例4.有機溶媒耐性試験
実施例1で得られたバイオシリカ(CPCBS及びCTACBS)それぞれをメタノールに1時間浸潤した後に乾燥して、試験例1と同様にして黄色ブドウ球菌に対するMIC試験を行った。その結果、CPCBS及びCTACBS共に未処理の場合と比較してMIC値は上昇して0.16ppm程度となったが、失活することはなかった。
試験例5.反復試験
実施例1で得られたバイオシリカ(CPCBS及びCTACBS)それぞれを繰り返し使用し、抗菌性能が低下するかどうか検討した。各バイオシリカが100ppmとなるように遠沈管に加え、培地と黄色ブドウ球菌S.aureusを103cells/mLとなるように添加して一晩培養し、抗菌性を確認した。培養液が澄明であれば抗菌性有りと判断した。抗菌性があれば3500rpmにて遠心してバイオシリカを沈降し、培養液を新しいものに変え、黄色ブドウ球菌を添加して培養した。これにより繰り返し使用回数、抗菌性の持続性を評価した。その結果、CPCBS及びCTACBS共に、7回以上使用しても抗菌性が発揮されていた。
試験例6.紙含侵試験
濾紙にSiO2濃度0.625%の3号ケイ酸ソーダ水溶液を染み込ませた後に、2.5%のCPC又はCTACを注ぎ込み、濾紙中でバイオシリカ形成をさせた。この濾紙を水洗、乾燥させたものを用いて、黒麹カビA.nigerに対するハロー法試験を試験例1と同様にして行った。結果を図7に示す。バイオシリカを含侵させた濾紙は抗菌作用を発揮した。このことから、濾紙の繊維中にバイオシリカが保持されていると考えられた。
試験例7.ワニス練り込み試験
実施例1で得られたバイオシリカ(CPCBS及びCTACBS)それぞれ、或いはCPCを0.1%(w/v)となるようにワニスに練り込んでシャーレの底に塗布して乾燥させた。これを用いて黄色ブドウ球菌S.aureusに対するバイオフィルム形成試験を行い、抗菌性を評価した。即ち、上記のようにワニスを塗布したシャーレに20mLの0.5%グルコース添加MHBを加え、ここに108cells/mLに調整した黄色ブドウ球菌S.aureusの培養液を1mL添加し一晩培養した。培養液を除去し、シャーレの底を20mLの純水で5回洗浄後、風乾した。ここに20mLの0.1%クリスタルバイオレット溶液を加え30分間染色した。染色液を除去し、再び20mLの純水で5回洗浄後、風乾した。染色結果を図8に示す。青く染色されればバイオフィルムが形成していることを意味する。CPCBS及びCTACBSどちらを練り込んだワニスにおいても黄色ブドウ球菌に対するバイオフィルム形成抑制効果が見られた。一方、CPCを練り込んだワニスにおいては、バイオフィルム形成抑制効果が弱かった。
試験例8.目地シール材練り込み試験
目地シール材(アクリル酸エステル)に実施例1で得られたバイオシリカ(CPCBS、CTACBS、及びBTCBS)それぞれを1%(w/w)となるように混練りし、硬化させた。これを用いて黄色ブドウ球菌に対するバイオフィルム形成試験を試験例7と同様にして行った。結果を図9に示す。各バイオシリカを混練した目地シール材ではコントロールと比較して明らかにクリスタルバイオレットによる染色度合が薄く、バイオフィルムの形成を抑制していた。
試験例9.有機成分包含試験
2.5%CPC溶液10mLに200μLのリモネン (d=0.842) を添加し、10分間撹拌 (700rpm) した。SiO2濃度0.625%の3号ケイ酸ソーダ水溶液40mLを撹拌 (700rpm) し、そこへ上記で調整したリモネン添加CPC溶液を一気に(約2L/秒の速度で)投入した。白濁溶液を濾過し、20mLの純水で5回濾過洗浄した。これを60℃で乾燥し、乾燥粉体の重量を測定し、リモネンを添加していないものと比較した。その結果を下表に示す。
Figure 0007378766000004
上記と同様の作製手法でリモネン、イソチオシアン酸アリル (AITC)、アロマオイル (AO,月桃由来)、ヒノキチオール (HT)、イソプロピルメチルフェノール (IPMP) を配合したCPCBSを作製した。リモネン、AITC、AOは200μLを10mLの2.5%CPC溶液に、HT、IPMPは0.2gを10mLの2.5%CPC溶液に添加し、10分間撹拌 (700rpm) して分散した。これを撹拌中 (700rpm) の3号ケイ酸ソーダ水溶液 (SiO2濃度0.625%) 40mLに添加することで粒子化した。これを遠心 (3500rpm) にて回収し、上清を捨て、20mLの純水を加えて洗浄した。この洗浄作業を5回繰り返し、回収した粉体を60℃にて乾燥した。
乾燥した粉体をるつぼに取って1000℃で焼成し、焼成前後の重量変化から粒子化した粉体中のSiO2の割合、および有機物の割合を算出した。その結果を下表に示す。
Figure 0007378766000005
CPC以外の有機成分を配合した粒子では有機物の含有割合が2.8~4.5%上昇する傾向が見られ、各有機成分が粒子中に取り込まれていることが考えられた。

Claims (6)

  1. 無機粒子原と陽イオン界面活性剤とを混合する工程1を含み
    X)前記工程1が攪拌状態の無機粒子原溶液に陽イオン界面活性剤溶液を0~40℃で添加する工程であり、且つさらに陽イオン界面活性剤溶液の添加時に生成した有機無機複合粒子を回収する工程を含む、或いは
    (Y)さらに微粒子に陽イオン界面活性剤を保持させる工程Aを含み、且つ前記工程1が前記工程Aで得られた陽イオン界面活性剤保持微粒子と無機粒子原溶液とを混合する工程であ
    前記無機粒子原がケイ酸のアルカリ金属塩及びケイ酸コロイドからなる群より選択される少なくとも1種であり、且つ
    前記陽イオン界面活性剤が4級アンモニウム塩である、
    有機無機複合粒子の製造方法。
  2. 前記工程1が無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤とを混合する工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程1が無機粒子原溶液と陽イオン界面活性剤溶液、陽イオン界面活性剤保持微粒子又は有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液とを混合する工程である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 溶液中で陽イオン界面活性剤と、脂肪族化合物及び芳香族化合物からなる群より選択される少なくとも1種の有機成分とを接触させることで、陽イオン界面活性剤に前記有機成分が保持された有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液を得る工程Bを含み、且つ
    前記工程1が前記工程Bで得られた有機成分保持陽イオン界面活性剤溶液と無機粒子原溶液とを混合する工程である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記無機粒子原がケイ酸のアルカリ金属塩である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記4級アンモニウム塩がアルキル4級アンモニウム塩、アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩、アルキルエーテルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、及びピリジニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
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