JP7377751B2 - 培養基材の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子間力顕微鏡を用いて基材の細胞接着能を評価する方法に関する。
医薬品の製造や生物の研究において、目的細胞を増殖する細胞培養は重要な手段である。多くの細胞の増殖には、細胞が接着する基材が必要であることから、細胞培養に適した基材を開発するための多くの試みがなされている。例えば、特許文献1においては、基材表面にカチオン性高分子を被覆することで細胞接着性を向上させる工夫をしている。このような基材の細胞接着能の評価には、一般的に、当該基材を用いた細胞培養を行う必要があるが、細胞の継代数や評価当事者の僅かな操作方法の違いで評価結果にばらつきが生じてしまい、評価結果のフィードバックが難しいという課題があった。
特許第3511399号公報
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、基材の細胞培養性能を安定的かつ高い精度で評価する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、細胞外マトリックスで修飾した探針を用いた原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定を利用することで、基材の細胞接着能を安定的かつ高い精度で評価することが可能であることを見出した。特に、細胞接着能が既知である複数の異なる基材に対するフォースカーブ測定の測定値を基に作成した検量線に、評価対象の基材に対するフォースカーブ測定の測定値を適用することにより、基材の細胞接着能をより効率的に評価することができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
<1> 基材の細胞接着能を評価する方法であって、細胞外マトリックスで修飾した探針を用いた、原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定により評価する方法。
<2> 細胞接着能が既知である複数の異なる基材に対するフォースカーブ測定の測定値を基に作成した、基材の細胞接着能とフォースカーブ測定の測定値との相関を示す検量線に、解析対象である基材に対するフォースカーブ測定の測定値を適用することにより、解析対象である基材の細胞接着能を評価する、<1>に記載の方法。
<3> 前記細胞外マトリックスが、コラーゲン、フィブロネクチン、およびラミニンからなる群より選択される、<1>または<2>に記載の方法。
<4> 探針が、細胞外マトリックスとスルフィド化合物またはチオール化合物の反応物で修飾されている、<1>~<3>のいずれかに記載の方法。
<5> 探針が、細胞外マトリックスと4-メチルチオベンズアルデヒドの反応物で修飾されている、<4>に記載の方法。
<6> 基材が平滑な平面である、<1>~<5>のいずれかに記載の方法。
<7> 基材が高分子から形成される、<1>~<6>のいずれかに記載の方法。
<8> 基材の水中の気泡接触角が150°以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の方法。
本発明においては、基材の細胞接着能の評価に、細胞外マトリックスで修飾した探針を用いた原子間力顕微鏡によるフォースカーブ測定を利用する。これにより、従来法のような、用いる細胞の状態の違いや操作を行う者の個人差などによる評価結果のばらつきが生じることなく、安定的かつ高精度で評価結果を得ることができる。また、細胞接着能が既知の複数の基板のフォースカーブ測定結果から得た検量線を用いることで、細胞接着能が未知の基材の細胞接着能を効率的に評価することができる。
細胞接着能が既知である複数の異なる基材に対するフォースカーブ測定により得られる探針と基材の吸着力の値と基材の細胞接着能との相関を示す検量線の図である。
本発明は、基材の細胞接着能を評価する方法であって、細胞外マトリックスで修飾した探針を用いた、原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定により評価する方法である。
「原子間力顕微鏡」は、走査型プローブ顕微鏡の一種であり、カンチレバー先端の探針を試料(本発明では、基材)表面に微小な力で接触させることにより、試料の表面形状や性質の情報を取得することができる顕微鏡である。試料表面に接触して走査するため、摩擦力、粘弾性、導電性など、様々な表面物性の評価に応用されている。
原子間力顕微鏡による測定で得られる「フォースカーブ」は、スキャナを上下させることにより探針試料間の距離を変動させ、探針・試料間の距離とカンチレバーに働く力(カンチレバーのたわみ量)との関係をプロットした曲線である。フォースカーブ値は、フックの法則F=kx(Fはフォースカーブ値、kはカンチレバーのバネ定数[N/m]、xはカンチレバーの振れの量[m])で表される。一般的にカンチレバーの振れの量xは、カンチレバーを試料からリリースする際に最大となる振れの量を用いる。
フォースカーブ測定に用いる「カンチレバー」は、自由端近傍に探針が形成された構造体である。本発明に用いるカンチレバーは、探針が細胞外マトリックスで修飾されている。カンチレバーの材質としては、例えば、シリコンや窒化シリコンが使用されるが、これらに制限されない。カンチレバーは、さらに金などの金属膜で被膜されていてもよい。また、カンチレバーの形状は、中抜き三角形や短冊形が一般的であるが、これらに制限されない。カンチレバーの長さは、一般的に、1.0mm~10.0mmであり、厚さは、一般的に、0.1mm~0.5mmである。カンチレバーの共振周波数およびバネ定数は、評価試料の特性に合わせて適宜選択されるが、共振周波数は、例えば、1~2000kHzの範囲内で選択でき、バネ定数としては、例えば、0.001~1000N/mの範囲内で選択できる。
探針を修飾する「細胞外マトリックス」は、細胞の外に存在する物質であり、細胞-細胞間や、細胞-基質間の空間を支持する役割を担う。すなわち、細胞は、他の細胞や基質と直接的に接着するのではなく、細胞外マトリクスを介して接着している。従って、細胞外マトリックスで修飾した探針を用いることで、高い精度で、基材の細胞接着能を評価することが可能となる。細胞外マトリックスの種類としては、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、テネイシン、エンタクチン、エラスチン、フィブリリン、セルロース、キチンなどが挙げられ、基材への接着能を評価したい細胞の種類に応じて適宜選択できるが、多くの種類の細胞の接着を担う細胞外マトリックスであるコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンから選択することが好ましい。コラーゲンを選択する場合、その種類に特に制限はないが、I~IV型のコラーゲンが好ましい。また、コラーゲンの由来する生物種も特に制限はなく、哺乳類由来であっても、魚類由来であっても、他の生物由来であってもよい。
探針を細胞外マトリックスで修飾する方法としては、例えば、探針を細胞外マトリックスとスルフィド化合物またはチオール化合物の反応物の溶液に浸す方法、シランカップリング剤を反応させた探針に細胞外マトリックスを化学結合させる方法、探針を細胞外マトリックス溶液に浸すことにより、疎水相互作用で探針に細胞外マトリックスを結合させる方法などが挙げられるが、細胞外マトリックスを確実かつ配向性よく修飾する観点から、探針を細胞外マトリックスとスルフィド化合物またはチオール化合物の反応物の溶液に浸す方法を用いることが好ましい。
スルフィド化合物またはチオール化合物は、探針と細胞外マトリックスとの結合に適している限り、特に制限はないが、細胞外マトリックスと反応するための官能基と、π-πスタックによる高い配向性を得るための環式構造をもつ化合物が好ましい。細胞外マトリックスと反応するための官能基としては、例えば、ケトン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基などが挙げられるが、これらに制限されない。細胞外マトリックスと低温で反応物を形成できるという観点から、アルデヒド基が好ましい。環式構造は、3~10のいずれの多環構造であっても、複素環構造であってもよいが、構造が安定で、反応物のアルコールへの溶解性が高いことで任意の濃度の溶液が調製しやすく探針への修飾が容易になるという観点から、6員環構造が好ましい。特に好ましいスルフィド化合物の一例としては、4-メチルチオベンズアルデヒドが挙げられる。
細胞外マトリックスとスルフィド化合物またはチオール化合物の反応物の溶液に浸すことにより探針を修飾する場合、当該溶液の調製に用いる溶媒としては、細胞外マトリックスの変性を抑える観点から、水、アルコール類、水やアルコール類を含む混合液であることが好ましい。溶液の濃度は特に制限はないが、修飾する細胞外マトリックスの配向性を高める観点から、0.001~10wt%が好ましい。探針を溶液に浸す時間は特に制限はないが、修飾する細胞外マトリックスの配向性を高める観点から、1分~10時間が好ましい。溶液に浸した後、探針は室温かつ無風環境で穏やかに乾燥することが好ましい。細胞外マトリックスで探針部分を修飾したカンチレバーの保管においては、高温多湿を防ぐことが好ましい。この目的のために、カンチレバーは、例えば、デシケーター内で保管することができる。
本発明における基材の細胞接着能の評価においては、原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定を用いる。また、基材の細胞接着能の評価においては、フォースカーブ測定で得られた測定値をそのまま用いてよいが、細胞接着能が既知の基材のフォースカーブ値から作成した検量線を用いることで、より効率的に細胞接着能の評価を行うことができる。検量線を用いる態様においては、細胞接着能が既知である複数の異なる基材に対するフォースカーブ測定の測定値を基に作成した、基材の細胞接着能とフォースカーブ測定の測定値との相関を示す検量線に、解析対象である基材に対するフォースカーブ測定の測定値を適用し、当該測定値に対応する基材の細胞接着能の値を取得する。
検量線を作成するために用いる複数の異なる基材の細胞接着能は、実際に、それら基材で細胞培養を行って得た情報を基に評価を行うが、一旦、検量線が作成された後は、原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定で得た測定値を当該検量線に適用することにより、細胞接着能が不明の基材の細胞接着能を効率的に評価することができる。検量線作成時の細胞培養による評価では、複数の異なる基材に対し、任意の細胞を用い、培養時間が一律同様の時間経過した際の接着した細胞の割合を評価する。培養時間は一例として、1分間~48時間を取ることができる。検量線を作成するための基材の数は、3以上、好ましくは5以上である。用いる基材の種類は、特に制限はないが、細胞接着能がそれぞれ異なる基材である必要がある。互いに基材全体の性質が異なっている必要はなく、その表面の性質のみが異なっていてもよい。検量線の作成を容易にする観点から、例えば、異なるポリマーを被覆した基材を用いてもよく、プラズマ処理などの表面処理を施した基材を用いてもよい。
基材に接着した細胞の割合の評価の方法は、特に制限はなく、血球計算盤を用いて解析しても、顕微観察の画像データから解析してもよい。血球計算盤を用いて解析する場合は、例えば、基材に非接着の細胞を回収して数を計測し、一方、残りの細胞(基材に接着した細胞)をトリプシンなどの酵素処理で基材から剥離して回収して数を計測し、それぞれの計測結果から、接着した割合を算出することができる。顕微観察の画像データを用いる場合は、例えば、ImageJなどの画像解析ソフトを用いて、基材において細胞が接着した領域と細胞が接着していない領域とで明度が異なることを利用して、明度で閾値を設定して細胞が接着した領域の面積(a)と細胞が接着していない領域の面積(b)を解析し、面積比((a/(a+b)×100))から接着した細胞の割合を評価することができる。
本発明の方法において、フォースカーブ測定の対象とする基材の形状は、特に制限はないが、平滑な平面であることが好ましい。ここで言う「平滑」は、原子間力顕微鏡で測定可能な範囲で平滑であればよい。従って、500マイクロメートル以下の起伏構造の基材は、本発明において、平滑な構造を有する基材である。また、元来、起伏が大きな基材であっても、その加工(例えば、切断)により、平滑な構造をとることができる限り、本発明における基材として用いることができる。基材の種類は、特に制限はなく、プラスチック、金属、セラミックなど、多様な種類の基材を本発明に用いることができ、これら基材は、さらにポリマーや金属の被膜が形成されていてもよい。
原子間力顕微鏡によるフォースカーブ測定は、気温や湿度が一定の条件下、直射日光の入らない環境で行うことが好ましい。また、測定対象の基材は、測定前に除電などの前処理を行うことが好ましい。親水性の高い基材を用いる場合(例えば、水中の気泡接触角が150°を超える基材を用いる場合)は、フォースカーブ測定の測定値が水の影響を受けやすい。従って、この場合には、フォースカーブ測定の測定値と細胞接着能との相関が低下しないよう、液中でフォースカーブ測定を行うことができる。また、基材の前処理として霧吹きを行うことで、同様に、フォースカーブ測定の測定値と細胞接着能との相関の低下を抑制することができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、試薬は市販品を用いた。
<細胞培養基材コーティング用高分子化合物の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM-ECZ400S/LI)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(1H-NMR)スペクトル分析より求めた。
<細胞培養基材コーティング用高分子化合物の分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。SEC装置は、HLC-8320GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムは、TSKgel SuperAWM-H(東ソー(株)製)を2本用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液は10mMトリフルオロ酢酸ナトリウムを含む2,2,2-トリフルオロエタノールを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLで調製して測定した。分子量の検量線の作成においては、分子量既知のポリメタクリル酸メチル(Sigma-Aldrich社製)を用いた。
<膜厚の測定>
ブロック共重合体を含む表面処理剤で基材を被覆することで調製した膜の厚みは、顕微分光膜厚計(大塚電子(株)製、商品名OPTM-F1)を用いて測定した。
<水中接触角測定>
接触角計DMs-401(協和界面科学(株)製)、三態系キット、およびサーキュレーターに連結したヒーター式ステージセットを用い、40℃の気泡(3μL)の接触角(θ)(°)を測定した。
<原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定>
原子間力顕微鏡のフォースカーブは、E-sweep(日立ハイテクサイエンス社製)により測定した。測定モードとしてAFM(原子間力顕微鏡)モードを用いた。
<検量線作成用基材(1)の調製>
100mLの2口フラスコに、n-ブチルメタクリレート14.22g(100mmol)、アゾビスイソブチロニトリル32mg(200μmol)、および1,4-ジオキサン30mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。反応液を500mLメタノールに滴下し、白色粘性物としてn-ブチルメタクリレート重合体を回収し、100℃で減圧加熱を行った。n-ブチルメタクリレート重合体の数平均分子量は5.0万、分子量分布Mw/Mnは2.2であった。0.03wt%のn-ブチルメタクリレート重合体の2-メトキシエタノール溶液を調製し、φ60mmのIWAKI組織培養用ディッシュに100μL塗布し、3000rpmで1分間スピンコートした。膜厚は10nmであった。
<検量線作成用基材(2)の調製>
100mLの2口フラスコに、メチルメタクリレート10.01g(100mmol)、アゾビスイソブチロニトリル32mg(200μmol)、および1,4-ジオキサン30mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。反応液を500mLヘキサンに滴下し、白色粘性物としてメチルメタクリレート重合体を回収し、100℃で減圧加熱を行った。メチルメタクリレート重合体の数平均分子量は5.9万、分子量分布Mw/Mnは2.0であった。0.03wt%のメチルメタクリレート重合体の2-メトキシエタノール溶液を調製し、φ60mmのIWAKI組織培養用ディッシュに100μL塗布し、3000rpmで1分間スピンコートした。膜厚は10nmであった。
<検量線作成用基材(3)の調製>
100mLの2口フラスコに、N-イソプロピルアクリルアミド11.32g(100mmol)、アゾビスイソブチロニトリル32mg(200μmol)、および1,4-ジオキサン30mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。反応液を500mLヘキサンに滴下し、白色固形物とN-イソプロピルアクリルアミド重合体を回収し、100℃で減圧加熱を行った。N-イソプロピルアクリルアミド重合体の数平均分子量は4.3万、分子量分布Mw/Mnは3.0であった。0.03wt%のN-イソプロピルアクリルアミド重合体の2-メトキシエタノール溶液を調製し、φ60mmのIWAKI組織培養用ディッシュに100μL塗布し、3000rpmで1分間スピンコートした。膜厚は10nmであった。
<検量線作成用基材(4)の調製>
検量線作成用基材として、φ60mmのIWAKI組織培養用ディッシュを用いた。
<検量線作成用基材(5)の調製>
検量線作成用基材として、φ60mmのIWAKI未処理ディッシュを用いた。
<細胞培養能が不明の基材の調製A>
200mLの2口フラスコに、成分(B)として2-メトキシエチルアクリレート(MEA)0.650g(5mmol)を加え、さらに、シアノメチルドデシルトリチオカルボナト31.8mg(100μmol)、アゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)、およびtert-ブチルアルコール10mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。1回目の加熱撹拌後、上記に成分(C)としてn-ブチルアクリレート(BA)3.845g(30mmol)を加え、さらに、アゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)およびtert-ブチルアルコール5mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。2回目の加熱撹拌後、上記に成分(A)としてN-イソプロピルアクリルアミド(IPAAm)7.355g(65mmol)を加え、さらに、アゾビスイソブチロニトリル1.6mg(10μmol)およびtert-ブチルアルコール85mLを加え、アルゴンガス置換後、62℃で24時間加熱撹拌した。3回目の加熱撹拌後、反応液を水で再沈精製し、減圧乾燥することで黄色固体を得た。得られた黄色固体をクロロホルムに溶解し、分液ロートを用いクロロホルム相を回収した。回収したクロロホルム相をエバポレーターで濃縮し、ヘプタンで再沈精製した。沈殿物をろ過で回収し、減圧乾燥することで、ブロック共重合体poly(MEA-BA-IPAAm)を得た。得られたブロック共重合体の組成は、MEA:BA:IPAAm=5:30:65(mol%)、Mnは11.8×10、Mw/Mnは1.45であった。0.03wt%のブロック共重合体の2-メトキシエタノール溶液を調製し、φ60mmのIWAKI組織培養用ディッシュに100μL塗布し、3000rpmで1分間スピンコートした。膜厚は10nmであった。
20mLのバイアル瓶に、0.01%I型コラーゲン水溶液[富士フイルム和光純薬(株)製、コラーゲン溶液タイプI(0.01%、弱酸性溶液)]8.00gを加え、さらに、p-(メチルチオ)ベンズアルデヒド0.01gを加え、5分間撹拌した。静置することで析出した白色物を沈降させ、上澄みを除去することでp-(メチルチオ)ベンズアルデヒドとI型コラーゲンの反応物を得た。0.01wt%のp-(メチルチオ)ベンズアルデヒドとI型コラーゲンの反応物のメタノール溶液を調製した。AFMカンチレバー(オリンパス(株)製 OMCL-AC200TS、共振周波数150kHz、バネ定数9N/m)を前記溶液に5分間浸漬させ、室温で風乾することで、コラーゲンを修飾した探針を持つカンチレバーを調製した。
検量線作成用基材(1)~(5)の底面をカッターで13mm×13mmに切り抜いた。コラーゲンを修飾した探針を持つカンチレバーを原子間力顕微鏡に設置し、検量線作成用基材(1)~(5)のフォースカーブ測定を行った。結果を表1に示す。
別途用意した検量線作成用基材(1)~(5)に、0.5×10cells/mLのヒト骨髄由来間葉系幹細胞(ロンザジャパン(株)から購入)の10%牛胎児由来血清を含むDMEM懸濁液を4mL加え、37℃で3時間培養した。培養後、対物レンズ10倍、接眼レンズ10倍のカメラ付き位相差顕微鏡で細胞の様子を10枚撮影した。撮影した画像を画像解析ソフトImageJで、基材接着部位と基材非接着部位に区別し、基材接着部位の比率を細胞接着能として解析した。結果を表1に示す。
上記のフォースカーブ測定の測定値と細胞接着能の検量線を作成した。結果を図1に示す。
細胞培養能が不明の基材の底面をカッターで13mm×13mmに切り抜いた。コラーゲンを修飾した探針を持つカンチレバーを原子間力顕微鏡に設置し、検量線作成用基材(1)~(5)のフォースカーブ測定を行った。さらに前述の検量線を用い、フォースカーブ測定結果から細胞接着能を予測した。結果を表2に示す。
細胞培養能が不明の基材Aに0.5×10cells/mLのヒト骨髄由来間葉系幹細胞(ロンザジャパン(株)から購入)の10%牛胎児由来血清を含むDMEM懸濁液を4mL加え、37℃で3時間培養し、細胞接着能を確認した。結果を表2に示す。予測値と実測値は同等であった。
本発明によれば、安定的かつ高い精度で、基材の細胞接着能を評価することができる。よって、本発明は、細胞培養基材の開発に大きく貢献しうる。

Claims (8)

  1. 基材の細胞接着能を評価する方法であって、細胞外マトリックスで修飾した探針を用いた、原子間力顕微鏡のフォースカーブ測定により評価する方法。
  2. 細胞接着能が既知である複数の異なる基材に対するフォースカーブ測定の測定値を基に作成した、基材の細胞接着能とフォースカーブ測定の測定値との相関を示す検量線に、解析対象である基材に対するフォースカーブ測定の測定値を適用することにより、解析対象である基材の細胞接着能を評価する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞外マトリックスが、コラーゲン、フィブロネクチン、およびラミニンからなる群より選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 探針が、細胞外マトリックスとスルフィド化合物またはチオール化合物の反応物で修飾されている、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
  5. 探針が、細胞外マトリックスと4-メチルチオベンズアルデヒドの反応物で修飾されている、請求項4に記載の方法。
  6. 基材が平滑な平面である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 基材が高分子から形成される、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
  8. 基材の水中の気泡接触角が150°以下である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
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