JP2019053019A - 細胞の弾性特性を解析する方法、解析システム、細胞の弾性特性を可視化する方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞の弾性特性を精密に解析するための新規な手法を提供する。
【解決手段】解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして複数のフォースカーブを取得するステップと、取得した各フォースカーブについて、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応する曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付けるステップと、各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成するステップと、作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を色で表現した2次元ヒートマップを生成するステップとを含む方法を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして複数のフォースカーブを取得するステップと、取得した各フォースカーブについて、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応する曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付けるステップと、各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成するステップと、作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を色で表現した2次元ヒートマップを生成するステップとを含む方法を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、細胞の解析技術に関し、より詳細には、細胞の弾性特性を解析する技術に関する。
近年、細胞の機能と細胞の硬さが大きく関係しているという事実に鑑み、細胞の機能の指標として、細胞の硬さを測定することが広く行われている。
この点につき、非特許文献1は、がん細胞の転移能の指標として、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、がん細胞のヤング率を測定する方法を開示する。
ここで、細胞は、細胞膜、細胞骨格、核といった異なる複数の要素で構成されており、その硬さは全体に均一なわけではない。これに対し、非特許文献1が開示する方法は、細胞の硬さを均一と仮定するものであり、細胞の硬さに関して、十分な情報を提供するものではなかった。
T. Watanabe, H. Kuramochi, A. Takahashi, K. Imai, N. Katsuta, T. Nakamura, H. Fujiki, and M. Suganuma,"Higher cell stiffness indicating lower metastatic potential in B16 melanoma cell variants and in (-)-epigallocatechin gallate-treated cells",J. Cancer Res. Clin. Oncol., 138 (2012) 859-866.
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、細胞の弾性特性を精密に解析するための新規な手法を提供することを目的とする。
本発明者は、細胞の弾性特性を精密に解析するための構成につき鋭意検討した結果、以下の構成に想到し、本発明に至ったのである。
すなわち、本発明によれば、細胞の弾性特性を解析する方法であって、解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる、細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして複数のフォースカーブを取得するステップと、取得した各フォースカーブについて、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付けるステップと、各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成するステップと、作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を所定の色スケール上の色で表現した2次元ヒートマップを生成するステップと、を含む方法が提供される。
上述したように、本発明によれば、細胞の弾性特性を精密に解析するための新規な手法が提供される。
以下、本発明を図面に示した実施の形態をもって説明するが、本発明は、図面に示した実施の形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
図1は、本発明の実施形態である細胞解析システム100のシステム構成を模式的に示す。図1に示すように、本実施形態の細胞解析システム100は、原子力間力顕微鏡20(AFM:Atomic Force Microscope)と、位置調整手段30と、コンピュータ10とを含んで構成されている。
原子力間力顕微鏡20は、半導体レーザー22と、先端にピラミッド型の探針24を備えたカンチレバー23と、フォトディテクタ25と、プリアンプ26とを含んで構成されている。原子力間力顕微鏡20においては、半導体レーザー22から出射したレーザー光がカンチレバー23の背面に照射され、その反射光が4分割された受光面を有するフォトディテクタ25に入射する。これを受けて、フォトディテクタ25から入射光のパワーに比例した電流が出力され、これがプリアンプ26を介して電圧値に変換される。プリアンプ26は、フォトディテクタ25が有する4分割された各受光面に対応する電圧値のうち、上側2つの受光面に対応する電圧値の和と、下側2つの受光面に対する電圧値の和をとり、さらに、上側2つの受光面に対する電圧値の和と下側2つの受光面に対する電圧値の和の差をとることで、カンチレバー23のたわみ量を電圧値として出力し、出力されたたわみ量を表す電圧値をコンピュータ10に入力する。
位置調整手段30は、XYZの3軸方向にミリオーダーの移動量を持つXYZ軸ステージ32と、XYZ軸ステージ32の上に配置され、XYZの3軸方向にナノメートルオーダーの分解能を持つピエゾスキャナ34と、XYZ軸ステージ32およびピエゾスキャナ34を制御するコントローラ35とを含んで構成されている。ここで、解析対象となる細胞種に属する複数の細胞を播種したディッシュ40は、ピエゾスキャナ34のZ軸ピエゾ素子の上に設置され、コントローラ35は、ピエゾスキャナ34を構成する3つのピエゾ素子(X、Y、Z)を個別に制御するとともに、少なくともZピエゾ素子の移動量(変位量)をコンピュータ10に入力する。
コンピュータ10は、コントローラ35を介して位置調整手段30を制御するとともに、プリアンプ26およびコントローラ35からの入力に基づいて後述する細胞の解析処理を実行する情報処理装置である。なお、コンピュータ10は、その態様を限定するものではなく、パーソナルコンピュータであってもよいし、本発明の用途に特化した組み込みコンピュータであってもよい。
以上、細胞解析システム100のシステム構成について説明してきたが、続いて、コンピュータ10が実行する細胞の解析処理について説明する。なお、以下の説明においては、図1を適宜参照するものとする。
本実施形態では、コンピュータ10が、大きく分けて2つの処理を実行する。第1の処理では、ディッシュ40に播種された細胞のうち、予め決められた数の個々の細胞に対して、カンチレバー23の探針24を押し当てるという作業を繰り返して複数のフォースカーブを取得する。続く第2の処理では、取得した複数のフォースカーブに基づいて、解析対象となる細胞の弾性特性を可視化するヒートマップを生成する。
ここでは、まず、図2に示すフローチャートに基づいて、フォースカーブを取得する処理を説明する。
ステップ101では、位置調整手段30を制御して、ディッシュ40に播種された測定対象となる細胞のうち、1番目の細胞の測定領域に探針24を位置づける。ここで、本実施形態では、図3(a)に示すように、細胞の核の直上の表面に矩形の測定領域を定義し、当該測定領域の内側に複数の測定位置を定義する。図3(a)に示す例では、細胞の表面に、核の中心を中心とする4μm×4μmの範囲を測定領域として定義し、この測定領域を1μm×1μmの正方形で16分割した各区画の中心を16個の測定位置として定義している。
続くステップ102では、ピエゾスキャナ34のXYピエゾ素子を駆動して、カンチレバー23の探針24を16個の測定位置の中の1番目の測定位置に合わせる。
続くステップ103では、ピエゾスキャナ34のZピエゾ素子を駆動して、所定単位量だけ上方に移動させる。
続くステップ104では、下記(1)〜(3)を算出し、これらを要素とする組データを所定の記憶領域に保存する。
(1)Zピエゾ素子の原点からの移動量z(以下、移動量zという)
(2)カンチレバー23のたわみ量Δ(以下、たわみ量Δという)
(3)探針24にかかる力F(以下、力Fという)
(1)Zピエゾ素子の原点からの移動量z(以下、移動量zという)
(2)カンチレバー23のたわみ量Δ(以下、たわみ量Δという)
(3)探針24にかかる力F(以下、力Fという)
続くステップ105では、力Fが所定の閾値を超えているか否かを判断し、力Fが所定の閾値を超えるまで(ステップ105、No)、ステップ103〜104を繰り返し実行する。
本実施形態では、上述したステップ103〜104が繰り返し実行されることにより、Zピエゾ素子が上方へ一定速度で移動し、これに伴って、Zピエゾ素子の上に配置されたディッシュ40が上方に移動する。すると、ある時点で、カンチレバー23の探針24が、先のステップ102で位置合わせした1番目の測定位置において細胞の表面に接触し、その後、ディッシュ40がさらに上方に移動することに伴って、細胞表面が探針24に押し当てられて弾性変形し、これに伴って、カンチレバー23にたわみが生じる。
この間、コンピュータ10は、コントローラ35からの入力に基づいて「移動量z」を算出し、プリアンプ26から入力される電圧値に基づいて「たわみ量Δ」を取得し、取得した「たわみ量Δ」にカンチレバー23のバネ定数を乗じることにより「力F」を算出する。
その後、力Fが所定の閾値を超えた時点で(ステップ105、Yes)、処理はステップ106に進み、組データ(移動量z、たわみ量Δ、力F)の保存を終了するとともに、ピエゾスキャナ34のZピエゾ素子を原点復帰して、探針24を細胞から引き離す。この時点で、所定の記憶領域には、複数の組データ(移動量z、たわみ量Δ、力F)からなるデータセットが保存されることになる。
続くステップ107では、所定の記憶領域に保存された複数の組データ(移動量z、たわみ量Δ、力F)からなるデータセットに基づいてF-z曲線を取得する。具体的には、所定の記憶領域に保存された複数の組データ(移動量z、たわみ量Δ、力F)から複数の組データ(移動量z、力F)を抽出し、抽出した複数の組データ(移動量z、力F)を、移動量zをX軸とし、力FをY軸とする直交座標上にプロットしてF-z曲線を取得する。
続くステップ108では、先のステップ107で取得したF-z曲線を利用して、以下の手順で、F-δ曲線を取得する。
カンチレバー23が細胞表面に接触した時点におけるZピエゾの原点からの移動量z0、細胞の変形量δ、移動量z、たわみ量Δの間には、下記式(1)が成り立つ。
そこで、ステップ108では、まず、カンチレバー23が細胞表面に接触した時点に対応するF-z曲線上のプロット点(以下、接触点という)を特定し、特定した接触点のX座標値から移動量z0を求める。次に、所定の記憶領域に保存された複数の組データ(移動量z、たわみ量Δ、力F)の各々について、その要素である移動量zおよびたわみ量Δと、求めた移動量z0を上記式(1)に代入して変形量δを算出した上で、算出した変形量δと、組データのもう一つの要素である力Fとを対応付けた組データ(変形量δ、力F)を生成する。最後に、このようにして生成された複数の組データ(変形量δ、力F)を、変形量δをX軸とし、力FをY軸とする直交座標上にプロットしてF-δ曲線を取得する。
続くステップ109では、先のステップ108で取得したF-δ曲線を、1番目の測定位置に係る“フォースカーブ”として、所定の記憶領域に保存する。その後、処理は、再びステップ102に戻り、ピエゾスキャナ34のXYピエゾを駆動して、カンチレバー23の探針24を2番目の測定位置に合わせる。その後、上述したステップ103〜108を実行してF-δ曲線を取得し、続くステップ109で、取得したF-δ曲線を、2番目の測定位置に係るフォースカーブとして、所定の記憶領域に保存する。以降、1番目の細胞の表面に定義された全ての測定位置に係るフォースカーブを取得するまで、上述したステップ102〜109を繰り返す。
1番目の細胞の表面に定義された全ての測定位置に係るフォースカーブを取得した時点で、処理は、再びステップ101に戻り、位置調整手段30を制御して、2番目の細胞の測定領域の上に探針24を位置づける。その後、2番目の細胞の表面に定義された全ての測定位置に係るフォースカーブを取得するまで、上述したステップ102〜109を繰り返し実行する。2番目の細胞の表面に定義された全ての測定位置に係るフォースカーブを取得した時点で、処理は、再びステップ101に戻る。以降、上述したステップ101〜109を繰り返し実行し、予定した数の細胞に係るフォースカーブを取得した時点で、処理を終了する。この時点で、所定の記憶領域には、測定した細胞の数に測定位置の数を乗じた数のフォースカーブが保存されることになる。
以上、フォースカーブ取得処理について説明したので、続いて、図4に示すフローチャートに基づいて、ヒートマップを生成する処理を説明する。
ステップ201では、所定の記憶領域から、解析対象の細胞について取得したP個(P=測定した細胞の数に測定位置の数を乗じた数)のフォースカーブを読み出す。
続くステップ202では、P個のフォースカーブの中から、1番目のフォースカーブを選出し、当該フォースカーブを、接触点(0,0)を起点として、X軸方向に等分割するn個の変形区間δi(i=1,2,…,n)を定義する。なお、別の実施形態では、接触点(0,0)からX軸方向に所定距離だけ離間した点を分割の起点としてもよい。
続くステップ203では、1番目の変形区間δ1に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率E1を算出し、続くステップ204で、算出したヤング率E1を変形区間δ1に対応付けて所定の記憶領域に保存する。
その後、処理は、再びステップ203に戻り、2番目の変形区間δ2に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率E2を算出し、続くステップ204で、算出したヤング率E2を変形区間δ2に対応付けて所定の記憶領域に保存する。以降、n番目の変形区間δnに対応するヤング率Enを取得するまで、上述したステップ203〜204を繰り返す。
なお、先述したフォースカーブ取得処理(図2参照)では、探針24にかかる力Fが所定の閾値を超えた時点で、探針24を細胞から引き離すようにしているので、フォースカーブによっては、変形区間δiに対応する曲線が存在しない場合がある。本実施形態では、そのような場合、対応する曲線が存在しない変形区間δiのヤング率Eiの値としてブランクを対応付けて所定の記憶領域に保存する。
ここで、上述したステップ202〜204で実行される処理の内容を、図5(a)を参照して具体的に説明する。
ステップ202では、フォースカーブを、接触点(0,0)を起点として、X軸方向に距離Δdで等分割することにより、4個の変形区間δ1、δ2、δ3、δ4を定義する。ただし、図6(a)に示す例では、最後の変形区間δ4の長さがΔdに満たないためΔd’となっている。
ここで、ヘルツの接触理論によれば、図3(b)に示すように、半頂角θの円錐形状を有する物体(ヤング率:Et、ポアソン比:νt)の先端が、平面形状の物体(ヤング率:Es、ポアソン比:νs)をδだけ変形させたときに、2つの物体の間に働く力Fは下記式(2)、(3)で表される。
この点、ナノメートルレベルで先鋭な探針24に対するマイクロメートルレベルの細胞の表面は、円錐形状に対する平面形状とみなすことができることから、ステップ203では、上述したヘルツの接触理論に基づき、以下の手順で細胞のヤング率(上記式(3)におけるEs)を算出する。
まず、変形区間δ1に対応するフォースカーブの一部をなす曲線L1に対して、上記式(2)をフィッティングすることで、Kの値を見積もる。なお、フィッティングに際しては、上記式(2)のθに探針24の先端の半頂角を代入し、上記式(2)が必ず接触点(0,0)を通るようにフィッティングする。
次に、フィッティングで見積もったKの値、探針24のヤング率Et、探針24のポアソン比νt、細胞のポアソン比νs(=0.5)を上記式(3)に代入してヤング率Esを算出する。そして、続くステップ204で、算出したヤング率Es(この場合、ヤング率E1)を変形区間δ1に対応付けて所定の記憶領域に保存する。
その後、残りの曲線L2、L3、L4に対しても、上述したのと同様の手順でフィッティングを行い、その結果として算出されたヤング率E2、E3、E4を、それぞれ、変形区間δ2、δ3、δ4に対応付けて所定の記憶領域に保存する。図5(b)は、変形区間δ1〜δ4に対応するヤング率E1〜E4をプロットしたグラフを示す。
なお、ここでは、便宜上、フォースカーブを4個の変形区間に基づいて4分割した場合を例にとって説明したが、実際の運用では、要求される解析の解像度に応じて、変形区間の数(フォースカーブの分割数)を適切な値に設定する。
再び、図4に戻って説明を続ける。
上述したステップ203〜204を繰り返し実行して、1番目のフォースカーブからn個のヤング率E1〜Enを取得すると、処理は、再びステップ202に戻る。続くステップ202では、2番目のフォースカーブを、接触点(0,0)を起点として、X軸方向に等分割するn個の変形区間δi(i=1,2,…,n)を定義した後、2番目のフォースカーブからn個のヤング率E1〜Enを取得するまで、上述したステップ203〜204を繰り返し実行する。2番目のフォースカーブからn個のヤング率E1〜Enを取得すると、処理は、再びステップ202に戻る。以降、上述したステップ202〜204を繰り返し実行し、P番目のフォースカーブからn個のヤング率E1〜Enを取得した時点で、処理はステップ205に進む。
続くステップ205では、所定の記憶領域に保存されている(P×n)個のヤング率を変形区間毎にまとめて、n個の変形区間δi(i=1,2,…,n)の各々に対してP個のヤング率Eiを対応付けたデータセットを生成する。
続くステップ206では、先のステップ205で生成したデータセットに基づき、1番目の変形区間δ1に対応するP個のヤング率E1を所定の階級幅を持つm個の階級Cq(q=1,2,…,m)に分けて相対度数分布D1を作成する。なお、階級分けに際しては、データの数P(=測定した細胞の数に測定位置の数を乗じた数)に応じて適切な階級幅を設定することが好ましい。また、相対度数分布の作成にあたり、ヤング率の値がブランクとなっているデータについては、解析の目的に応じて、これを度数合計に含めるようにしても良いし、含めないようにしても良い。
その後、上述したステップ206を繰り返し実行し、n個の変形区間δi(i=1,2,…,n)の各々に対応するn個の相対度数分布Di(i=1,2,…,n)を作成した時点で、処理はステップ207に進む。
続くステップ207では、先のステップ206で作成したn個の相対度数分布Di(i=1,2,…,n)に基づいて、変形区間δi(i=1,2,…,n)をX軸に取り、ヤング率の階級Cq(q=1,2,…,m)をY軸に取り、相対度数を所定の色スケール上の色で表現した2次元ヒートマップを生成する。
以下、ステップ207の具体的な内容を説明する。ステップ207では、まず、先のステップ206で作成したn個の相対度数分布Di(i=1,2,…,n)の各々から、変形区間δiと、階級Cqと、階級Cqの相対度数とを対応付けた組データ(δi,Cq,相対度数)を生成する。ここでは、階級Cqがm個あることから、結果として、(m×n)個の組データ(δi,Cq,相対度数)からなるデータセットが取得されることになる。
図6(a)は、n個の変形区間δi(i=1,2,…,n)に対応するn個の相対度数分布Di(i=1,2,…,n)をヒストグラムとして表す。図6(a)に示すように、相対度数分布Diを表すヒストグラムは、m個の柱(高さ0の柱を含む)で構成されており、柱の一つ一つが組データ(δi,Cq,相対度数)に対応している。
次に、n個の変形区間δi(i=1,2,…,n)をX軸に割り当て、m個の階級Cq(q=1,2,…,m)をY軸に割り当てた、m行n列の2次元マトリックスを定義する。
次に、2次元マトリックスの、変形区間δiと階級Cqに対応するセル(xi,yq)に対して、取得したデータセットから対応する組データ(δi,Cq,相対度数)の相対度数を割り当てる(i=1,2,…,n、q=1,2,…,m)。
次に、セル(xi,yq)に割り当てた相対度数の値を所定の色スケールに照らし、相対度数の値に対応する色を当該セル(xi,yq)の表示色として決定する(i=1,2,…,n、q=1,2,…,m)。なお、ここでいう「色スケール」は、カラースケールならびにグレースケールを含む概念であり、本実施形態では、予め、所定の色スケールに相対度数の値域を対応付けておく。最後に、各セル(xi,yq)を決定した表示色で表示して、処理を終了する。
図6(b)は、先のステップ207で生成される2次元ヒートマップを例示的に示す。図6(b)に示すように、本実施形態の2次元ヒートマップでは、各セルが1つの変形区間の1つの階級を表しており、各セルの色が対応する階級の相対度数を表している。
以上、説明したように、本実施形態によれば、解析対象となる細胞の弾性特性を2次元ヒートマップによって可視化することができ、これにより、例えば、以下のようなことが期待できる。
近年、がん細胞の転移能とがん細胞の硬さの間に負の相関があることがわかってきており、これを受けて、細胞硬化作用を持つ物質(緑茶カテキンなど)を使用してがんの転移を抑制するための研究がなされている。このような研究において、候補物質の薬効を精密に評価するためには、候補物質の作用を受けたがん細胞の弾性特性を精密に解析する必要がある。この点につき、本実施形態の2次元ヒートマップは、細胞の弾性特性に関して豊富な情報を含んでおり、その精密な解析に寄与するものと考えられる。
また、今後、本実施形態の2次元ヒートマップが表すがん細胞の弾性特性とがんの転移性の間の相関が明らかになってくれば、本実施形態の2次元ヒートマップを使用したがんの悪性度診断が可能になるものと考えられる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうるその他の実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、上述した実施形態では、1つの細胞の表面上の異なる位置に探針24を複数回押し当てる態様を示したが、他の実施形態では、1つの細胞につき1回だけ探針24を押し当てるようにし、その分、測定する細胞の数を増やすようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、細胞の弾性特性を表す2次元ヒートマップを解析結果として出力する態様を示したが、他の実施形態では、m行n列の2次元ヒートマップの元となる(m×n)個の組データ(δi,Cq,相対度数)からなるデータセットを解析結果として出力・保存するようにしてもよく、当該データセットを使用して、上述した候補物質の薬効の評価やがんの悪性度診断を行うようにしてもよい。
なお、図2および図4に示したフローチャートの手順は、適切なプログラム言語によってコンピュータが実行可能なプログラムとして記述することができ、当該プログラムをインストールしたコンピュータによって実行させることができる。また、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの記録媒体に格納して頒布することができ、また、ネットワークを介して伝送することもできる。
以下、本発明について、実施例を用いてより具体的に説明を行なうが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
<細胞の硬化処理>
本実施例では、ヒト非小細胞肺がん細胞(H1299)に対して、既往の研究により細胞を硬くすることが確認されている4種類の処理(EGCG処理、Cur処理、MβCD処理、siAXL処理)を施した4種類の細胞種と、未処理の細胞種を含む合計5種類のサンプルを用意した。以下、各処理の具体的な手順を説明する。
本実施例では、ヒト非小細胞肺がん細胞(H1299)に対して、既往の研究により細胞を硬くすることが確認されている4種類の処理(EGCG処理、Cur処理、MβCD処理、siAXL処理)を施した4種類の細胞種と、未処理の細胞種を含む合計5種類のサンプルを用意した。以下、各処理の具体的な手順を説明する。
(未処理)
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル1(未処理)を得た。
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル1(未処理)を得た。
(EGCG処理)
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、(-)-エピガロカテキンガレート(EGCG)を溶解した無血清RPMI 1640培地に交換した。4時間インキュベーションした後、化合物を含まない無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル2(EGCG処理)を得た。
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、(-)-エピガロカテキンガレート(EGCG)を溶解した無血清RPMI 1640培地に交換した。4時間インキュベーションした後、化合物を含まない無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル2(EGCG処理)を得た。
(Cur処理)
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、クルクミン(Cur)を溶解した無血清RPMI 1640培地に交換した。4時間インキュベーションした後、化合物を含まない無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル3(Cur処理)を得た。
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、クルクミン(Cur)を溶解した無血清RPMI 1640培地に交換した。4時間インキュベーションした後、化合物を含まない無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル3(Cur処理)を得た。
(MβCD処理)
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、メチル-β-サイクロデキストリン(MβCD)を溶解した無血清RPMI 1640培地に交換した。4時間インキュベーションした後、化合物を含まない無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル4(MβCD処理)を得た。
H1299細胞(1×105cells)を6cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、48時間後、メチル-β-サイクロデキストリン(MβCD)を溶解した無血清RPMI 1640培地に交換した。4時間インキュベーションした後、化合物を含まない無血清RPMI 1640培地に交換してサンプル4(MβCD処理)を得た。
(siAXL処理)
H1299細胞(1 x 105 cells)を6 cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、24時間後、H1299細胞の受容体チロシンキナーゼ(AXL)をノックダウンするために、10 nMのAXL特異的siRNA(siAXL)をリポフェクション法で導入し、48時間培養した。その後、無血清RPMI 1640培地に交換して、サンプル5(siAXL処理)を得た。
H1299細胞(1 x 105 cells)を6 cmのディッシュに、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI 1640)で播種し、24時間後、H1299細胞の受容体チロシンキナーゼ(AXL)をノックダウンするために、10 nMのAXL特異的siRNA(siAXL)をリポフェクション法で導入し、48時間培養した。その後、無血清RPMI 1640培地に交換して、サンプル5(siAXL処理)を得た。
<F-z曲線の取得>
上述した手順で作製した5種類のサンプル1〜5のそれぞれについて、先述の実施形態で説明した方法でF-z曲線を取得した。本実施例では、原子間力顕微鏡として、Oxford Instruments社製AFM、MFP-3Dを使用し、先端にピラミッド型の窒化シリコン(Si3N4)製探針を有するカンチレバー(オリンパス社製、OMCL-TR400PSA)を使用した。
上述した手順で作製した5種類のサンプル1〜5のそれぞれについて、先述の実施形態で説明した方法でF-z曲線を取得した。本実施例では、原子間力顕微鏡として、Oxford Instruments社製AFM、MFP-3Dを使用し、先端にピラミッド型の窒化シリコン(Si3N4)製探針を有するカンチレバー(オリンパス社製、OMCL-TR400PSA)を使用した。
F-z曲線の取得に際しては、細胞の核を中心とする4μm×4μmの範囲を1μm×1μmの正方形で16分割した各区画の中心を測定位置とし、16個の測定位置に対して探針を押し当てた後、探針にかかる力Fが0.5pN(閾値)を超えたところで、細胞から探針を離すようにした。この作業を各サンプルの20個の細胞のそれぞれに対して行って、サンプル毎に320個(16×20)のF-z曲線を取得した。
<従来法による細胞の硬さの評価>
先述の実施形態で説明した方法により、各サンプルに係る320個のF-z曲線をフォースカーブ(F-δ曲線)に変換した。各サンプルについて得られた320個のフォースカーブ(F-δ曲線)のそれぞれについて、おおよそ50nm<δ<500nmの範囲でフィッティングを行い、細胞のヤング率を算出した。その上で、各サンプルの細胞の硬さを表す指標として、各サンプルについて算出された320個のヤング率の平均値を求めた。なお、ヤング率の算出に際しては、窒化シリコン製の探針のヤング率Et=290GPaとし、探針のポアソン比νt=0.25とし、探針先端の半頂角θ=17.5°とし、細胞のポアソン比νs=0.5とした。下記表1に、各サンプルについて得られたヤング率(平均値)をまとめて示す。
先述の実施形態で説明した方法により、各サンプルに係る320個のF-z曲線をフォースカーブ(F-δ曲線)に変換した。各サンプルについて得られた320個のフォースカーブ(F-δ曲線)のそれぞれについて、おおよそ50nm<δ<500nmの範囲でフィッティングを行い、細胞のヤング率を算出した。その上で、各サンプルの細胞の硬さを表す指標として、各サンプルについて算出された320個のヤング率の平均値を求めた。なお、ヤング率の算出に際しては、窒化シリコン製の探針のヤング率Et=290GPaとし、探針のポアソン比νt=0.25とし、探針先端の半頂角θ=17.5°とし、細胞のポアソン比νs=0.5とした。下記表1に、各サンプルについて得られたヤング率(平均値)をまとめて示す。
<ヒートマップの生成>
上述した手順で各サンプルから得られた320個のフォースカーブ(F-δ曲線)に基づいて、以下の処理を行った。まず、各フォースカーブ(F-δ曲線)を接触点(0,0)を起点としてx軸方向(変形方向)にΔd=50nmで等分割する53個の変形区間を定義した。その上で、フォースカーブの各変形区間に対応する曲線に対して、接触点(0,0)を通る形でフィッティングを行い、各変形区間に対応するヤング率を算出した。その後、53個の変形区間の各々について算出された320個のヤング率のデータ(ブランクを含む)を、0.4[kPa]の階級幅で、25個の階級に分けて相対度数分布を作成した。なお、相対度数分布の作成にあたり、ヤング率の値がブランクとなっているデータを度数合計に含めた。最後に、各サンプルから得られた53個の相対度数分布に基づいて、25行53列の2次元のヒートマップを生成した。なお、本実施例では、特許図面の制約があるため、グレースケールでヒートマップを生成した。
上述した手順で各サンプルから得られた320個のフォースカーブ(F-δ曲線)に基づいて、以下の処理を行った。まず、各フォースカーブ(F-δ曲線)を接触点(0,0)を起点としてx軸方向(変形方向)にΔd=50nmで等分割する53個の変形区間を定義した。その上で、フォースカーブの各変形区間に対応する曲線に対して、接触点(0,0)を通る形でフィッティングを行い、各変形区間に対応するヤング率を算出した。その後、53個の変形区間の各々について算出された320個のヤング率のデータ(ブランクを含む)を、0.4[kPa]の階級幅で、25個の階級に分けて相対度数分布を作成した。なお、相対度数分布の作成にあたり、ヤング率の値がブランクとなっているデータを度数合計に含めた。最後に、各サンプルから得られた53個の相対度数分布に基づいて、25行53列の2次元のヒートマップを生成した。なお、本実施例では、特許図面の制約があるため、グレースケールでヒートマップを生成した。
図7〜11は、サンプル1〜5について生成されたヒートマップを示す。
図7に示すように、サンプル1(未処理)のヒートマップからは、600nm〜1.1μmの変形区間で1.2〜1.6kPaのヤング率を示す細胞が多数存在することが見て取れる。従来法によるサンプル1のヤング率(1.35 kPa)は、この変形区間のヤング率が反映されたものと考えられる。
一方、図8に示すように、サンプル2(EGCG処理)のヒートマップからは、600nm〜800nmの変形区間で2.8〜3.2kPaのヤング率を示す細胞が多数存在することが見て取れ、その分布の様相がサンプル1(未処理)のそれと全く異なっていることが見て取れる。
一方、図9および図10に示すように、サンプル3(Cur処理)およびサンプル4(MβCD処理)のヒートマップからは、その分布の様相が他の3種類のサンプル(未処理・EGCG添加・siAXL処理)のサンプルのそれと異なっていることはもちろんのこと、他の3種類のサンプルと比べて、閾値(0.5pN)に至るまで探針を押し込んだときの細胞の変形量が小さいことが見て取れる。
図11に示すように、サンプル5(siAXL処理)のヒートマップからは、300nm〜700nmの変形区間で、4.4kPa前後のヤング率を示す細胞が多く存在していることが見て取れる。ここで、サンプル5(siAXL処理)とサンプル2(EGCG処理)の従来法によるヤング率は同値(2.91kPa)であるにもかかわらず、図11と図7を比較するとわかるように、サンプル5(siAXL処理)の分布のばらつきは、サンプル2(EGCG処理)のそれに比べて大きく、両者のヒートマップの様相は明らかに異なっている。このことは、これまで識別できなかった細胞の硬さの状態を識別できるようになることを示唆する。
10…コンピュータ、20…原子力間力顕微鏡、22…半導体レーザー、23…カンチレバー、24…探針、25…フォトディテクタ、26…プリアンプ、30…位置調整手段、32…XYZ軸ステージ、34…ピエゾスキャナ、35…コントローラ、40…ディッシュ、100…細胞解析システム
Claims (4)
- 細胞の弾性特性を解析する方法であって、
解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる、細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして複数のフォースカーブを取得するステップと、
取得した各フォースカーブについて、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付けるステップと、
各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成するステップと、
作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を所定の色スケール上の色で表現した2次元ヒートマップを生成するステップと、
を含む方法。 - 細胞の弾性特性を解析する解析システムであって、
解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる、細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして複数のフォースカーブを取得する手段と、
取得した各フォースカーブについて、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付ける手段と、
各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成する手段と、
作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を所定の色スケール上の色で表現した2次元ヒートマップを生成する手段と、
を含む解析システム。 - 細胞の弾性特性を可視化する方法であって、
解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる、細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして得られた複数のフォースカーブの各々について、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付けるステップと、
各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成するステップと、
作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を所定の色スケール上の色で表現した2次元ヒートマップを生成するステップと、
を含む方法。 - コンピュータに、
解析対象となる個々の細胞の表面に原子間力顕微鏡の探針を押し当てた際に得られる、細胞の変形量と探針にかかる力を対応付けたデータを、細胞の変形量をX軸とし、探針にかかる力をY軸とする直交座標上にプロットして得られた複数のフォースカーブの各々について、フォースカーブをX軸方向に分割する複数の変形区間を定義し、各変形区間に対応するフォースカーブの一部をなす曲線に対してフィッティングを行ってヤング率を算出し、算出したヤング率と該変形区間を対応付けるステップ、
各変形区間に対応付けられた複数のヤング率に基づいて相対度数分布を作成するステップ、
作成された複数の相対度数分布に基づいて、変形区間をX軸に取り、ヤング率の階級をY軸に取り、相対度数を所定の色スケール上の色で表現した2次元ヒートマップを生成するステップ、
を実行させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017179265A JP2019053019A (ja) | 2017-09-19 | 2017-09-19 | 細胞の弾性特性を解析する方法、解析システム、細胞の弾性特性を可視化する方法およびプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017179265A JP2019053019A (ja) | 2017-09-19 | 2017-09-19 | 細胞の弾性特性を解析する方法、解析システム、細胞の弾性特性を可視化する方法およびプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019053019A true JP2019053019A (ja) | 2019-04-04 |
Family
ID=66014686
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017179265A Pending JP2019053019A (ja) | 2017-09-19 | 2017-09-19 | 細胞の弾性特性を解析する方法、解析システム、細胞の弾性特性を可視化する方法およびプログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019053019A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111859739A (zh) * | 2020-07-02 | 2020-10-30 | 大连理工大学 | 一种Sneddon模型拟合细胞弹性模量的修正方法 |
JP2021071287A (ja) * | 2019-10-29 | 2021-05-06 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 被測定細胞の弾性特性分布を解析する方法及び装置、並びに原子間力顕微鏡の探針の形状パラメータを定める方法及び装置 |
WO2022024370A1 (ja) * | 2020-07-31 | 2022-02-03 | 昭和電工マテリアルズ株式会社 | 表面分析方法、表面分析システム、および表面分析プログラム |
WO2022054731A1 (ja) * | 2020-09-08 | 2022-03-17 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 走査カンチレバー法に基づくがん細胞診断方法、被験細胞の弾性特性分布を解析する装置、及び被験細胞の弾性特性分布解析をコンピュータに実行させるプログラム |
-
2017
- 2017-09-19 JP JP2017179265A patent/JP2019053019A/ja active Pending
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JP7318926B2 (ja) | 2019-10-29 | 2023-08-01 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 被測定細胞の弾性特性分布を解析する方法及び装置、並びに原子間力顕微鏡の探針の形状パラメータを定める方法及び装置 |
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