JPH0933424A - 微小体付着力測定装置 - Google Patents

微小体付着力測定装置

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JPH0933424A
JPH0933424A JP18268995A JP18268995A JPH0933424A JP H0933424 A JPH0933424 A JP H0933424A JP 18268995 A JP18268995 A JP 18268995A JP 18268995 A JP18268995 A JP 18268995A JP H0933424 A JPH0933424 A JP H0933424A
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JP
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strain
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minute
pressing
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Withdrawn
Application number
JP18268995A
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English (en)
Inventor
Akitoshi Toda
明敏 戸田
Shuzo Mishima
周三 三島
Yoshihiro Kami
喜裕 上
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】任意の面上に付着している微小体の付着力だけ
を高精度且つ簡単に測定することができる微小体付着力
測定装置を提供する。 【解決手段】基端を支持可能であって且つ先端を任意の
面上に付着した微小体に押当可能な押当部材と、押当部
材が微小体に押し当てられた際、押当部材に生じる歪み
状態を検知可能な歪み検知手段とを備える。押当部材
は、支持部2と支持部から延出した板状のレバー部4と
レバー部表面上に延出方向に沿って一体的に形成された
シリコン製ピエゾ抵抗層6とを備えた歪みセンサ付きカ
ンチレバー8である。また、歪み検知手段は、ピエゾ抵
抗層と、支持部からレバー部に亘る表面上に一体的に形
成され、ピエゾ抵抗層の両端に接続された第1及び第2
のアルミニウム配線10a,10bを備えており、ピエ
ゾ抵抗層は、レバー部の歪み状態に応じて抵抗値が変化
するように構成された歪みセンサとして機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば基板等に付
着している微小体の付着力を測定する微小体付着力測定
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、マイクロマシン技術分野におい
て、従来の機械や機構等(以下、機構等という)をミリ
メータサイズ以下のオーダに縮小することによって、従
来実現できなかった機能を提供する試みが成されてい
る。
【0003】ところで、従来の機構等では、その機構等
の体積に関係した力(例えば重力や慣性力等)が、その
機構等の動きを主に支配している。これに対して、ミリ
メータサイズ以下に縮小された機構等では、その機構等
の表面積に関係した力(例えば静電気力等)が、その機
構等の動きを主に支配するようになる。このようにミリ
メータサイズ以下の機構等では、その動きを支配する主
な力が、従来の機構等とは異なった力となって現れるこ
とが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなミリメータ
サイズ以下の次元において、物体に働く力を説明する例
として、シリコンウェハに付着した塵や埃等の物体は、
その簡単な例として挙げることができる。
【0005】例えば体積に関係した力(例えば、重力や
慣性力等)が支配的となる大きなサイズの物体がシリコ
ンウェハ表面に付着した場合、シリコンウェハを裏返し
すれば、付着している物体は簡単に取り除くことができ
る。
【0006】しかし、ミリメータサイズ以下の物体(以
下、微小体という)では、その体積に関係した力の影響
が小さくなり、むしろ表面積に関連した力(例えば、静
電気力)が支配的となる。このため、シリコンウェハを
裏返しにしただけでは、微小体を取り除くことはできな
い。
【0007】ところで、比較的大きな物体が任意の面に
載置されたとき、この物体の付着力を表す言葉として、
重力作用に基づく摩擦力があり、この摩擦力を測定する
種々の測定方法が従来から知られている。
【0008】しかし、上述したように、ミリメータサイ
ズ以下の微小体では、その表面積に関連した力が支配的
となるため、摩擦力を考慮しただけでは、その微小体の
付着力を説明できなくなる。
【0009】このように微小体の付着力は、従来の付着
力の発生メカニズムを説明する理論では、説明できなく
なる可能性が極めて高い。例えば、従来のバネ秤を応用
して、ミリメータサイズ以下の微小体の付着力を測定し
ようとしても、微小体が小さすぎるため、バネ秤の端を
微小体に取り付けることができず、微小体の付着力を測
定できないといった問題が発生する。このため、微小体
の付着力を正確に測定することができる装置の開発が望
まれている。
【0010】また、上述したような微小体に働く微弱な
力を検出する装置として、例えば特開昭62−1303
02号公報には、尖鋭化した探針が自由端に設けられた
カンチレバーによって、探針と試料表面との間に働く微
弱な力を検出して、試料表面の3次元情報を得る原子間
力顕微鏡(AFM)が開示されている。
【0011】しかし、このようなAFMでは、例えば生
体細胞程度のサイズの試料が基板に付着している場合、
この試料の付着力を測定するために、試料に力を加えて
試料を基板から引き剥がすように動作制御することは難
しい。
【0012】なぜなら、AFMは、探針と試料表面との
間において、試料の面法線方向に働く力によって生じる
カンチレバーの変位量を検出するように構成されている
からである。このような構成によれば、基板に対する試
料の付着力に打ち勝って、試料を基板から引き剥がすよ
うな力を発生させることは困難である。仮に、面法線方
向に試料を摘み上げるようにカンチレバーを制御できた
としても、そのときのカンチレバーの変位量に基づい
て、カンチレバーと試料との間の付着力、試料と基板と
の間の付着力を分離して検出することは難しい。
【0013】本発明は、上述したような課題を解決する
ためになされており、その目的は、任意の面上に付着し
ている微小体の付着力だけを高精度且つ簡単に測定する
ことができる微小体付着力測定装置を提供することにあ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の微小体付着力測定装置は、基端を支
持可能であって且つ先端を任意の面上に付着した微小体
に押当可能な押当部材と、この押当部材に設けられ、前
記押当部材が前記微小体に押し当てられた際、前記押当
部材に生じる歪み状態を検知可能な歪み検知手段とを備
えている。
【0015】また、本発明の微小体付着力測定装置は、
基端を支持可能であって且つ先端を任意の面上に付着し
た微小体に押当可能な押当部材と、この押当部材に設け
られ、前記押当部材が前記微小体に押し当てられた際、
前記押当部材に生じる歪み状態を検知可能な歪み検知手
段と、前記微小体及び前記押当部材の相対位置を光学的
に検知可能な光学顕微鏡と、前記押当部材の基端を支持
し且つ先端を所定方向に励振させる励振手段と、前記押
当部材の先端の励振状態が所定状態に維持されるよう
に、前記歪み検知手段からの出力信号に基づいてフィー
ドバック制御しながら、前記押当部材を前記任意の面に
対して所定位置まで移動させるアプローチ手段と、前記
押当部材と前記微小体とを相対的に接近させて、前記押
当部材の先端を前記微小体に押し当てる押当手段と、前
記押当部材の先端を前記微小体に押し当てた際に前記歪
み検知手段から出力される信号に基づいて、前記押当部
材の先端に生じる歪み状態を検知して、前記微小体の付
着力を測定する付着力測定手段とを備えている。
【0016】このような構成を有する本発明の微小体付
着力測定装置において、押当部材の先端を所定方向に励
振させた状態でフィードバック制御しながら押当部材を
任意の面に対して所定位置まで移動させる。続いて、押
当部材と微小体とを相対的に接近させて押当部材の先端
を微小体に押し当てる。そして、押当部材の先端を微小
体に押し当てた際に歪み検知手段から出力される信号に
基づいて、押当部材の先端に生じる歪み状態を検知する
ことによって、微小体の付着力を測定する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係
る微小体付着力測定装置について、添付図面を参照して
説明する。本実施の形態の微小体付着力測定装置は、基
端を支持可能であって且つ先端を任意の面上に付着した
微小体に押当可能な押当部材と、この押当部材に設けら
れ、押当部材が微小体に押し当てられた際、押当部材に
生じる歪み状態を検知可能な歪み検知手段とを備えてい
る。
【0018】図2に示すように、押当部材は、支持部2
と、この支持部2から延出した板状のレバー部4と、レ
バー部4表面上にボロンイオンをドーピングすることに
よって、レバー部4の延出方向に沿って一体的に形成さ
れた厚さ約0.2μmのシリコン製ピエゾ抵抗層6とを
備えた歪みセンサ付きカンチレバー8である。
【0019】歪み検知手段は、上記のピエゾ抵抗層6
と、歪みセンサ付きカンチレバー8の支持部2からレバ
ー部4に亘る表面上に一体的に形成され、ピエゾ抵抗層
6の両端に接続された第1及び第2のアルミニウム配線
10a,10bを備えており、ピエゾ抵抗層6は、レバ
ー部4の歪み状態に応じて抵抗値が変化するように構成
された歪みセンサとして機能する。
【0020】このような歪みセンサ付きカンチレバー8
は、半導体プロセスを用いて作製されており、板状のレ
バー部4は、その長さLが1mm、幅Wが100μm、
厚さTが5μmとなっている。また、レバー部4の先端
は、この先端が測定すべき微小体にのみ正確に押し当て
られるように、三角形状になっている。
【0021】図1に示すように、上述したような歪みセ
ンサ付きカンチレバー8が設けられた微小体付着力測定
装置は、試料容器12内に付着している微小体14及び
レバー部4の光学像をモニターテレビ16上に表示させ
ることによって、微小体14とレバー部4の相対位置を
光学的に検知可能な落射照明用倒立型光学顕微鏡と、歪
みセンサ付きカンチレバー8を支持可能であって且つレ
バー部4を図中Y軸方向に励振させる励振手段と、レバ
ー部4の励振状態が所定状態に維持されるように、上記
の歪み検知手段から出力された信号に基づいてフィード
バック制御しながら、歪みセンサ付きカンチレバー8を
試料容器12に対して所定位置まで移動させるアプロー
チ手段と、歪みセンサ付きカンチレバー8と微小体14
とを相対的に接近させて、レバー部4を微小体14に押
し当てる押当手段と、レバー部4を微小体14に押し当
てることによって上記の歪み検知手段から出力された信
号に基づいて、レバー部4に生じる歪み状態を検知し
て、微小体14の付着力を測定する付着力測定手段とを
備えている。
【0022】本実施の形態に適用された試料容器12
は、所定の液体18(例えば、水)を収容したガラス容
器(例えば、シャーレ)であり、この試料容器12内に
付着している微小体14は、例えば、細胞,超微粒子,
ミクロンサイズのラテックス球が該当する。
【0023】落射照明用倒立型光学顕微鏡は、試料容器
12をセット可能であって且つXY粗動つまみ20を操
作することによって試料容器12を図中XY軸方向に粗
動可能な粗動XYステージ22と、この粗動XYステー
ジ22の下方に配置された下部鏡体24aとを備えてお
り、この下部鏡体24aには、光源26と、この光源2
6からの照明光を試料容器12方向に射出可能であると
共に、微小体14及びレバー部4からの光学像を取り込
み可能な対物レンズ28と、この対物レンズ28によっ
て取り込まれた光学像を撮像処理する固体撮像カメラ3
0と、この固体撮像カメラ30によって撮像処理された
光学像を表示するモニターテレビ16とが設けられてい
る。
【0024】励振手段は、歪みセンサ付きカンチレバー
8の支持部2を支持する支持基板32と、この支持基板
32に設けられた励振用アクチュエータ34とを備えて
おり、支持基板32は、第1及び第2のコンタクトピン
36,38を介して後述する微動Zステージ40に固定
されている。また、励振用アクチュエータ34は、第1
のボンディングワイヤ42から第1の配線44,第1の
コンタクトピン36及び励振用駆動回路46を介してコ
ンピュータ48に電気的に接続されている。このような
構成によれば、コンピュータ48からの制御信号に基づ
いて、励振用駆動回路46から第1のコンタクトピン3
6,第1の配線44及び第1のボンディングワイヤ42
を介して励振用アクチュエータ34に出力された駆動信
号によって、励振用アクチュエータ34は、支持基板3
2を介して歪みセンサ付きカンチレバー8を振動させ
る。この結果、歪みセンサ付きカンチレバー8のレバー
部4が、図中Y軸方向に励振することになる。
【0025】アプローチ手段は、コンピュータ48によ
って制御された駆動回路50からの駆動信号に基づい
て、図中Z軸方向に微動可能なアクチュエータ(例え
ば、圧電体)を有する微動Zステージ40と、歪みセン
サ付きカンチレバー8の第1及び第2のアルミニウム配
線10a,10b(図2参照)からの出力信号をモニタ
する電流モニタ回路52(例えば、プリアンプ)と、こ
の電流モニタ回路52の出力信号に基づいて、レバー部
4の励振状態が所定状態に維持されるように{即ち、レ
バー部4の先端と試料容器12の底面(又は、この底面
に付着している微小体14)との間の距離が一定値に維
持されるように}、駆動回路50によって微動Zステー
ジ40を微動制御するフィードバック制御回路54とを
備えている。なお、第1及び第2のアルミニウム配線1
0a,10bは、第2のボンディングワイヤ56から第
2の配線58,第2のコンタクトピン38を介して電流
モニタ回路52に電気的に接続されている。
【0026】微動Zステージ40は、Z粗動つまみ60
を操作することによって図中Z軸方向に粗動可能な粗動
Zステージ62に取り付けられており、この粗動Zステ
ージ62は、下部鏡体24aに積載された上部鏡体24
bに設けられている。また、フィードバック制御回路5
4は、コンピュータ48によって制御されており、フィ
ードバック制御値が調整可能に構成されている。また、
フィードバック制御回路54と駆動回路50との間に
は、コンピュータ48によって制御されたスイッチ回路
64が設けられており、フィードバック制御回路54を
ON/OFF制御可能に構成されている。なお、電流モ
ニタ回路52からの出力信号は、スイッチ回路64を不
通(OFF制御)にさせた場合でも常にフィードバック
制御回路54を介してコンピュータ48に入力されるよ
うに構成されている。そして、コンピュータ48に入力
された信号に信号処理を施すことによって、モニターテ
レビ66にレバー部4の励振状態が表示されるように構
成されている。
【0027】押当手段は、粗動XYステージ22上に設
けられ、試料容器12を図中矢印S方向に微動させる微
動用アクチュエータ68と、この微動用アクチュエータ
68を駆動する駆動回路70とを備えており、駆動回路
70は、コンピュータ48によって制御されている。こ
の駆動回路70は、最大100Vの電圧を印加可能に構
成されており、また、微動用アクチュエータ68として
は、100Vの電圧が印加された際、12μmだけ伸び
る Tokin製の積層圧電体(5mm×5mm×18mm)
が適用されている。
【0028】また、本実施の形態に適用された付着力測
定手段としては、電流モニタ回路52とコンピュータ4
8とが該当し、電流モニタ回路52からの出力信号の変
化を検知して、所定の信号処理を施すことによって、微
小体14の付着力が測定されるように構成されている。
【0029】次に、上記の付着力測定手段を用いた微小
体14の付着力測定動作について、図1及び図4を参照
して説明する。なお、付着力測定動作の説明に際し、歪
みセンサ付きカンチレバー8の第1及び第2のアルミニ
ウム配線10a,10bには、例えば、5V程度の電圧
が印加される。なお、加える電圧としては、DC若しく
はACの一定電圧であり、好ましくは、カンチレバー8
が発熱しない程度の低電圧(1〜5V)が印加されると
考えられる。
【0030】まず、液体18が収容され且つその底面に
微小体14が付着した試料容器12を粗動XYステージ
22上にセットした後、粗動つまみ20及びZ粗動つま
み60を操作することによって、歪みセンサ付きカンチ
レバー8と試料容器12との間の位置合わせを行う。
【0031】次に、落射照明用倒立型光学顕微鏡によっ
て、微小体14の位置を光学的に確認した後、コンピュ
ータ48によって制御された励振用駆動回路46から励
振用アクチュエータ34に交番電圧(例えば、交流電
圧)を印加して、歪みセンサ付きカンチレバー8のレバ
ー部4を図中Y軸方向に励振させる。
【0032】続いて、コンピュータ48によって制御さ
れた駆動回路50から微動Zステージ40に駆動信号を
出力して、微動Zステージ40を図中Z軸に沿って微動
させて、歪みセンサ付きカンチレバー8を試料容器12
の底面(微小体14の付着面)に接近させる。
【0033】このような微動制御中において、微小体1
4の付着面と歪みセンサ付きカンチレバー8のレバー部
4の先端とが接近すると、共振点近傍の周波数で振動さ
せていたカンチレバー8が、微小体14表面又は試料容
器12の底面からファンデルワールス力等の力を受け、
その共振点がシフトし、励振しているレバー部4の振幅
(レバー振幅)が急激に小さくなる(図4(a)参
照)。
【0034】レバー部4が励振して歪むと、レバー部4
上に設けられたピエゾ抵抗層6(図2参照)の抵抗値が
変化し、これに伴って第1及び第2のアルミニウム配線
10a,10b(図2参照)を介してピエゾ抵抗層6に
流れる電流値が変化する(ピエゾ抵抗効果)。このよう
な電流値の変化は、第1及び第2のアルミニウム配線1
0a,10bに電気的に接続された電流モニタ回路52
の出力信号の変化となって現われる。従って、この電流
モニタ回路52の出力信号に基づいて、レバー部4の振
幅(レバー振幅)が所定値に維持されるように、フィー
ドバック制御回路54によって微動Zステージ40をフ
ィードバック制御すれば、レバー部4の先端を試料容器
12の底面に衝突させることなく試料容器12の底面に
近接させることができる。
【0035】続いて、上述したようなフィードバック制
御を停止(即ち、スイッチ回路64をOFF制御)した
後、駆動回路50によって微動Zステージ40を微動さ
せて、歪みセンサ付きカンチレバー8を試料容器12の
底面から僅かに離間させる。具体的には、レバー部4の
先端を試料容器12の底面から隙間dだけ離間させる
(図4(b)参照)。なお、この隙間dは、レバー部4
の先端と微小体14の高さ寸法に基づく可変な値であ
り、歪みセンサ付きカンチレバー8を走査した際に、レ
バー部4の先端が試料容器12の底面に接触しない値で
あって且つ微小体14の高さ寸法よりも小さな値であ
る。
【0036】このような状態において、歪みセンサ付き
カンチレバー8は、微小体14の付着力を測定するため
の初期状態にセットされることになる。次に、コンピュ
ータ48によって制御された駆動回路70から微動用ア
クチュエータ68に所定の電圧を印加して、微動用アク
チュエータ68を図中矢印S方向に微動させる。このと
き、試料容器12は、微動用アクチュエータ68の微動
に伴って、図中矢印S方向に移動する。この結果、試料
容器12の底面に付着している微小体14がレバー部4
に接近した後、両者は互いに接触することになる(図4
(c)参照)。なお、本実施の形態に適用された歪みセ
ンサ付きカンチレバー8は、そのレバー部4に設けられ
たピエゾ抵抗層6(図2参照)が微小体14に対面しな
いように、配置されている。
【0037】更に、微動用アクチュエータ68によって
試料容器12を図中矢印S方向に移動させると、試料容
器12と共に移動している微小体14からレバー部4に
押圧力が作用してレバー部4を弾性変形させる。このと
き、微小体14がレバー部4のバネ定数から決まるレバ
ーの硬さに比べて充分に硬い場合、レバー部4に作用す
る押圧力は、微小体14の付着力の大きさに比例した値
をとる。具体的には、微小体14が試料容器12の底面
に大きな付着力で強固に付着されている場合、微小体1
4がレバー部4に圧接しても、この微小体14は容易に
試料容器12の底面から剥がれない。このため、レバー
部4には大きな押圧力が作用し、レバー部4を大きく反
らせる。これに対して、小さな付着力の微小体14がレ
バー部4に圧接した場合には、この微小体14は容易に
剥がれてしまうため、微小体14が剥がれる直前のレバ
ー部4の反り量は小さな値をとる。従って、レバー部4
の反り量の大きさは、微小体14の付着力に対応した押
圧力によって変動することが分かる。
【0038】このようなレバー部4は、一種のバネと等
価と考えられるため、フックの法則が適用される。従っ
て、微小体14からレバー部4に作用する押圧力をF、
レバー部4の反り量をx、レバー部4のバネ定数をkと
すると、押圧力Fと反り量xとは、 F=−kx なる関係を満足することになる。
【0039】この関係式によれば、バネ定数kが既知で
あれば、反り量xは、歪みセンサ付きカンチレバー8の
第1及び第2のアルミニウム配線10a,10b(図2
参照)に電気的に接続された電流モニタ回路52の出力
信号に基づいて、検知することができる。また、バネ定
数が既知でなくても、同一のカンチレバー8を利用し
て、異なる試料毎の上記出力信号を検知すれば、異なる
試料相互の反り量として比較することができる。
【0040】図3には、微小体14からレバー部4に押
圧力が作用してレバー部4が弾性変形した際に、電流モ
ニタ回路52から出力される信号(即ち、歪み信号)の
変化状態が示されている。
【0041】このような歪み信号によれば、図4(c)
に示すように、微小体14がレバー部4に接触した点か
ら、歪み信号が増加した後、レバー部4の弾性力によっ
て微小体14が試料容器12から剥がれて動き始める直
前で、その歪み信号は最大値となる。微小体14が一旦
動き始めると、レバー部4に生じていた歪みが軽減され
るため、歪み信号のレベルは減少する。そして、多くの
場合は、微小体12の移動に伴ってレバー部4に生じる
歪みが変動する。従って、微小体14の付着力を数値化
するために、或いは、ばらつきの少ない測定値を得るた
めに、装置内の付着力測定手段によって、上記歪み信号
に対してピークホールド処理が施される。具体的には、
本実施の形態に適用された付着力測定手段は、電流モニ
タ回路52とコンピュータ48とが該当する。この場
合、電流モニタ回路52からの歪み信号の変化(図3参
照)を検知し、微小体14が動き始める点の歪み信号を
コンピュータ48によってピークホールドすることによ
って、微小体14の付着力のみが高精度に測定されるこ
とになる。
【0042】なお、一定値以上の歪みがレバー部4に加
わると歪みセンサ付きカンチレバー8が損傷する恐れが
あるため、本実施の形態の微小体付着力測定装置には、
リミットスイッチ回路(図示しない)が付加されてお
り、所定のリミットレベル以上にレバー部4に歪みが生
じないように制御されている。
【0043】このように本実施の形態によれば、微小体
14の付着力だけを高精度且つ簡単に測定することがで
きる微小体付着力測定装置を提供することが可能とな
る。また、本実施の形態に適用された歪みセンサ付きカ
ンチレバー8は、試料容器12内の液体18に浸漬され
る部分に酸化シリコン等の絶縁膜がコーティングされて
いるため、耐蝕性も優れている。
【0044】また、半導体プロセスを応用して作製する
歪みセンサ付きカンチレバー8としては、ボロンイオン
をドープしてシリコン製のカンチレバー8中にピエゾ抵
抗層を形成したものの他、カンチレバー8上に多結晶シ
リコン層を形成したもの等も使用可能である。酸化亜鉛
(ZnO)やチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電
体薄膜をレバー部4上に形成しても同様の効果を得るこ
とができるが、酸化亜鉛はDC応答が無く、付着力を測
定するためには出力信号に対して積分処理等を施さなけ
ればならない。このため、装置の回路構成が複雑化して
しまうという問題がある。これに対して、本実施の形態
では、DC応答が得られるピエゾ抵抗効果を利用してい
るため、付着力を測定するための回路構成が簡略化され
るという利点がある。
【0045】更に、本実施の形態の微小体付着力測定装
置を例えば医療分野に用いることによって、抗原抗体反
応の結合力、及び、骨や歯等の生体親和力等を測定する
ことが可能である。更に、本実施の形態の微小体付着力
測定装置を例えば科学技術分野に用いることによって、
分子相互の結合力を測定することも可能である。
【0046】なお、本発明は、上述した構成に限定され
ることはなく、新規事項を追加しない範囲で種々変更す
ることができる。例えば、歪みセンサ付きカンチレバー
8を試料容器12に接近させるプロセス(図4(a)参
照)では、レバー振幅の変化をモニタしたが、レバー部
4の振動の位相変化をモニタしても良い。
【0047】また、歪みセンサ付きカンチレバー8のレ
バー部4の長さLは、比較的長い方が、微小体14から
の押圧力とレバー部4の歪みとの間に高い直線性を得る
ことができる。例えば、出願人は、本発明のカンチレバ
ーとして、長さ250〜350μmで幅が40μmと6
0μmのものを作製し、比較的良好な直線性の高いデー
タを得ることができた。また、このカンチレバーの長さ
を長くすることで、より直線性の高いデータを得ること
が可能であると思われる。
【0048】また、レバー部4によって微小体14を押
圧する好ましい位置としては、例えば微小体14が球状
であれば、試料容器12に付着した微小体14の横に張
り出している位置、即ち、試料容器12の底面と微小体
14の上面と間の距離(微小体14の直径)の半分の位
置を押圧することが好ましい。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、任意の面上に付着して
いる微小体の付着力だけを高精度且つ簡単に測定するこ
とができる微小体付着力測定装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る微小体付着力測定
装置の全体の構成を示す図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る微小体付着力測定
装置に設けられた歪みセンサ付きカンチレバーの構成を
概略的に示す斜視図。
【図3】歪みセンサ付きカンチレバーを走査している間
に生じる歪み信号の変化状態を示す図。
【図4】(a)は、歪みセンサ付きカンチレバーを試料
容器に接近させている状態を示す図、(b)は、歪みセ
ンサ付きカンチレバーが初期状態にセットされた状態を
示す図、(c)は、微小体がレバー部に接触した状態を
示す図。
【符号の説明】
2…支持部、4…レバー部、6…ピエゾ抵抗層、8…歪
みセンサ付きカンチレバー、10a…第1のアルミニウ
ム配線、10b…第2のアルミニウム配線。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基端を支持可能であって且つ先端を任意
    の面上に付着した微小体に押当可能な押当部材と、 この押当部材に設けられ、前記押当部材が前記微小体に
    押し当てられた際、前記押当部材に生じる歪み状態を検
    知可能な歪み検知手段とを備えていることを特徴とする
    微小体付着力測定装置。
  2. 【請求項2】 基端を支持可能であって且つ先端を任意
    の面上に付着した微小体に押当可能な押当部材と、 この押当部材に設けられ、前記押当部材が前記微小体に
    押し当てられた際、前記押当部材に生じる歪み状態を検
    知可能な歪み検知手段と、 前記微小体及び前記押当部材の相対位置を光学的に検知
    可能な光学顕微鏡と、 前記押当部材の基端を支持し且つ先端を所定方向に励振
    させる励振手段と、 前記押当部材の先端の励振状態が所定状態に維持される
    ように、前記歪み検知手段からの出力信号に基づいてフ
    ィードバック制御しながら、前記押当部材を前記任意の
    面に対して所定位置まで移動させるアプローチ手段と、 前記押当部材と前記微小体とを相対的に接近させて、前
    記押当部材の先端を前記微小体に押し当てる押当手段
    と、 前記押当部材の先端を前記微小体に押し当てた際に前記
    歪み検知手段から出力される信号に基づいて、前記押当
    部材の先端に生じる歪み状態を検知して、前記微小体の
    付着力を測定する付着力測定手段とを備えていることを
    特徴とする微小体付着力測定装置。
  3. 【請求項3】 前記押当部材は、支持部と、この支持部
    から延出した板状のレバー部とを備えており、また、前
    記歪み検知手段は、前記レバー部に一体的に形成され且
    つ前記レバー部の歪み状態に応じて抵抗値が変化するピ
    エゾ抵抗層と、前記支持部から前記レバー部に亘って一
    体的に形成され、前記ピエゾ抵抗層に接続された一対の
    配線とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の微小体付着力測定装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100347535C (zh) * 2006-09-15 2007-11-07 清华大学 一种力电耦合加载与三维全场变形测量系统
JP2014178148A (ja) * 2013-03-13 2014-09-25 Seiko Instruments Inc プローブ及びプローブ顕微鏡
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CN110108626A (zh) * 2019-05-11 2019-08-09 金华职业技术学院 一种基于微镊的粘附力测试装置
JP2021152461A (ja) * 2020-03-24 2021-09-30 東ソー株式会社 培養基材の評価方法

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