JP2015167520A - 細胞接着力の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、基板に対する細胞の接着力の高低に関わらず、基板に対する細胞の接着力を測定することが可能な手法を提供することを目的とする。
【解決手段】(i)基板に接着した細胞の細胞膜上に、細胞外マトリックス層を形成する工程、(ii)該細胞に針状物を挿入し、該針状物を引き上げて該細胞を釣りあげ該基板より剥離する際に該針状物にかかる負荷に基づいて、該基板に対する該細胞の接着力を測定する工程、を含む、基板に対する細胞の接着力を測定する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、細胞の接着力を測定する方法に関する。
細胞は、細胞表面にインテグリンなどのタンパク質からなる接着斑を発現し、これを介して足場となる細胞外マトリックスや基板に接着している。細胞の接着力の大きさは、細胞が発現する接着斑の量に相関する。
基板に対する細胞の接着力は、細胞の遊走性や分化状態等の性質を規定する重要な因子であり、また、細胞が癌細胞である場合、その接着力は転移性に相関する重要なパラメーターである。すなわち、細胞の接着力を正確に評価することによって、細胞のキャラクタリゼーション及び培養条件の最適化(最適な基板の選択等)を可能とする。したがって、当該分野においては、細胞の接着力を正確に測定する手法が求められている。
本発明者らはこれまでに、BSA(ウシ血清アルブミン)及びBAM(Biocompatible Anchor for Membrane)−BSA複合体の混合物で被膜された基板上で培養された細胞に対し、針状の原子間力顕微鏡(以下、「AFM」と記載する。)探針を挿入し引き上げて、細胞を基板より剥離することにより、該AFM探針にかかる負荷をAFMを用いて測定することによって、基板に対する細胞の接着力を測定・評価できたことを報告している(特許文献1)。
一方、特許文献2には、基板上に細胞層と細胞外マトリックス層が相互に積層されてなる三次元組織が開示されている。
特開2013−172690号公報 特許第4919464号公報
本発明者らは、上記基板に対する細胞の接着力を測定する方法において、細胞の基板に対する接着力が比較的小さい場合には、細胞をAFM探針で釣りあげて、基板より剥離することが可能であり良好に細胞の接着力を測定することが可能であるが、細胞の基板に対する接着力が高い場合には、AFM探針を引き上げても基板より細胞が剥離しないどころか、AFM探針の引き上げに伴い細胞膜にかかる負荷が大きくなることから細胞膜の破断を生じ(図1)、細胞の接着力を測定し得ないことを見出した。
そこで、本発明は基板に対する細胞の接着力の高低に関わらず(特に、基板に対する細胞の接着力が高い場合であっても)、基板に対する細胞の接着力を測定することが可能な手法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、基板に接着した細胞の細胞膜上に細胞外マトリックス層を形成することによって当該細胞の細胞膜を補強することができ、それによって、基板に対する細胞の接着力が高い場合であっても、細胞膜の破断を生じることなくAFM探針のような針状物で細胞を釣りあげ、基板より剥離することが可能となること、それによって良好に基板に対する細胞の接着力を測定できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1](i)基板に接着した細胞の細胞膜上に、細胞外マトリックス層を形成する工程、
(ii)該細胞に針状物を挿入し、該針状物を引き上げて該細胞を釣りあげ該基板より剥離する際に該針状物にかかる負荷に基づいて、該基板に対する該細胞の接着力を測定する工程、
を含む、基板に対する細胞の接着力を測定する方法。
[2]工程(i)が、細胞に、第1の物質の含有液と第2の物質の含有液とを交互に接触させ、細胞外マトリックス層を形成する工程であって、該第1の物質と該第2の物質が相互作用するタンパク質又は高分子である、[1]の方法。
[3]第1の物質がフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、カドヘリン、コラーゲン、キチン、キトサン及びポリリジンからなる群から選択される一以上の物質であり、かつ第2の物質がゼラチン、アルブミン、グロブリン、ヘパリン、へパラン硫酸、デキストラン硫酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸及びエラスチンから選択される一以上の物質である、[1]又は[2]の方法。
[4]工程(ii)において、針状物が原子間力顕微鏡(AFM)探針であり、基板に対する細胞の接着力をAFMを用いて測定する、[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5]針状物が鉤型又は矢じり型の形状を有する、[4]の方法。
本発明によれば、基板に接着した細胞の細胞膜上に細胞外マトリックス層を形成することによって当該細胞の細胞膜を補強することができ、これによって基板に対する細胞の接着力の高低に関わらず(特に、基板に対する細胞の接着力が高い場合であっても)、当該細胞に挿入したAFM探針のような針状物で細胞を釣りあげ、細胞膜の破断を生じることなく基板より細胞を剥離することが可能となり、それによって良好に当該細胞の基板に対する接着力を測定することが可能となる。
針状物を用いて釣りあげられ、基板より剥離された細胞(a)及び、基板より剥離せず、挿入された針状物の引き上げにより膜破断を生じた細胞(b)を示す模式図を示す。 矢じり型の針状物の正面写真図(a)及び、側面写真図(b)を示す。 原子間力顕微鏡を用いた細胞接着力の測定結果を示す。
(1)細胞膜上への細胞外マトリックス層の形成
本発明方法は、基板に接着した細胞の細胞膜上に、細胞外マトリックス層を形成する工程を含む。
「細胞」としては、接着性細胞であればよく特に限定はされないが、例えば、線維芽細胞、表皮細胞、上皮細胞、肝細胞、血管内皮細胞、筋細胞、神経細胞、骨細胞、免疫細胞、乳腺細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や、癌細胞等が挙げられる。「癌」としては固形癌が挙げられ、例えば胃癌、食道癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌、肝癌、黒色腫、神経膠腫等が挙げられるが、これらに限定はされない。
「基板」としては、上記細胞の培養に一般的に使用されるものを挙げることができ、例えばガラス、各種ポリマー、ろ紙、金属、ハイドロゲル等があげられる。基板の表面は上記細胞の接着を促すことが公知である手法又は物質で、表面処理又はコーティングすることができる。このような物質としては、例えばフィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、ポリリジンなどを挙げることができ、当業者であれば用いる細胞に応じて、適宜選出することが可能である。
基板上に細胞を播種・培養することによって、基板に接着した細胞を得ることができる。細胞の培養条件は一般的な手法を用いて行うことが可能であり、例えば、イーグル培地、改変イーグル培地、ダルベッコ改変イーグル培地、無血清培地中、20〜40℃、好ましくは30〜37℃にて、1〜120時間、好ましくは1〜24時間培養することができる。
本発明方法によれば、細胞に挿入した針状物を引き上げた際に、細胞が基板より完全に剥離せず、針状物の引き上げに伴う負荷により細胞膜の破断が生じる程度に、基板に対して強く接着している細胞についても、細胞接着力を測定することができる。本法を適用可能な細胞としては、50〜100000nN、好ましくは70〜5000nN(より詳細には、80nM以上、90nM以上、100nM以上、200nM以上、300nM以上、400nM以上、500nM以上、600nM以上、700nM以上、800nM以上、900nM以上、1000nM以上、2000nM以上、3000nM以上、又は4000nM以上かつ5000nN以下)にて基板に対して接着している細胞である。なお、本明細書において特定される「力」は、バネ定数が10N/mのカンチレバーを用いて、5μm/secで移動させた場合(すなわち、負荷速度が50μN/secである場合)の値を示す。
「細胞外マトリックス層」は、基板に接着した細胞の細胞膜の外表面上に、1〜100nm、好ましくは1〜50nmの範囲より選択される厚みをもって形成される。
「細胞外マトリックス層」は、基板に接着した細胞に、細胞外マトリックスを構成することが可能な一又は複数の成分を含有する溶液を接触させることによって形成することができる。
好ましくは「細胞外マトリックス層」は、細胞外マトリックスを構成することができ、相互作用する第1の物質と第2の物質を、それぞれ含有する溶液を調製し、各含有液を交互に、基板に接着した細胞に接触させることによって形成することができる。
「相互作用する」とは、第1の物質と第2の物質とが、共有結合、非共有結合(水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力等)や、タンパク質間の特異的相互作用により、結合、接着、吸着、近接することを意味する。
第1の物質としては、「RGD配列を有するタンパク質又は高分子」が挙げられ、これは細胞接着能を有するアミノ酸配列、すなわち「アルギニン(R),グリシン(G),アスパラギン酸(D)」の3アミノ酸配列を含み、細胞接着能を発揮することが可能なタンパク質又は高分子であればよい。RGD配列を有するタンパク質としては、例えばフィブロネクチン、コラーゲン、ビトロネクチン、ラミニン、カドヘリンや、RGD配列を結合させたコラーゲン、ゼラチン、アルブミン、グロブリン、プロテオグリカン、酵素、抗体等が挙げられる(これらに限定はされない)。また、RGD配列を有する高分子としては、RGD配列を有する、ポリリジン等のポリアミノ酸、キチンやキトサン等の糖、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリペプチドや、これらの共重合体等が挙げられるが、これらに限定はされない。これらの高分子は、天然由来のものであってもよいし、合成されたものであってもよい。
そして「RGD配列を有するタンパク質又は高分子」である第1の物質と相互作用する第2の物質としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、プロテオグリカン、インテグリン、酵素、抗体等のタンパク質や、例えば、ポリアミノ酸、ヘパリンやヘパラン硫酸、デキストラン硫酸等の糖、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリペプチドや、これらの共重合体等の高分子(これらの高分子は、天然由来のものであってもよいし、合成されたものであってもよい。)が挙げられるが、これらに限定はされない。
第1の物質としてはまた、「正電荷を有するタンパク質又は高分子」が挙げられ、例えば、塩基性コラーゲン、塩基性ゼラチン、ミオグロビン等のタンパク質や、例えば、ポリリジン等のポリアミノ酸、糖、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリペプチドや、これらの共重合体等の高分子(これらの高分子は、天然由来のものであってもよいし、合成されたものであってもよい。)が挙げられるが、これらに限定はされない。
そして「正電荷を有するタンパク質又は高分子」である第1の物質と相互作用する第2の物質としては、「負電荷を有するタンパク質又は高分子」が挙げられ、例えば、酸性コラーゲン、酸性ゼラチン、アルブミン、グロブリン等のタンパク質や、例えば、ポリリジン等のポリアミノ酸、糖、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリペプチドや、これらの共重合体等の高分子(これらの高分子は、天然由来のものであってもよいし、合成されたものであってもよい。)が挙げられるが、これらに限定はされない。
好ましくは、第1の物質、及び第2の物質は水溶性であり、下記水性溶媒中に溶解することができる。
第1の物質及び第2の物質の組合せは特に限定されないが好ましくは、第1の物質がフィブロネクチン、コラーゲン、ビトロネクチン、ラミニン、カドヘリン、ポリリジン、キチン、及びキトサンからなる群から選択される一以上の物質であり、第2の物質がゼラチン、アルブミン、グロブリン、ヘパリン、へパラン硫酸、デキストラン硫酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸及びエラスチンから選択される一以上の物質である。より好ましくは、第1の物質がフィブロネクチンであり、第2の物質がゼラチンである。
第1の物質及び第2の物質をそれぞれ、水性溶媒中に含めることにより、各物質を含有する溶液を調製することができる。水性溶媒としては、水、Tris−HCl緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、培養培地等を利用することができる。第1の物質と第2の物質とで用いる水性溶媒が同じであっても良いし、異なっていても良い。第1の物質及び第2の物質はそれぞれ、0.0001〜1質量%、好ましくは0.001〜0.5質量%より適宜選択される濃度にて水性溶媒中に含めることができる。
前記基板に接着した細胞と、第1の物質の含有液及び第2の物質の含有液との接触は、各含有液中に細胞を基板と共に浸漬することによって、及び/又は基板に接着した細胞に対して各含有液を滴下又は噴霧することによって行うことができる。接触の時間や温度等の条件は、接触方法や、含有液中の物質の種類や濃度等の要因に応じて適宜変更することができるが、例えば、各含有液との接触は1〜60分間、好ましくは1〜3分間程度、20〜40℃、好ましくは30〜37℃にて行うことができる。
また、含有液の交換に際しては、最初の含有液を除去した後、細胞をそのまま次の含有液と接触させてもよいし、次の含有液と接触させる前に適当な水性溶媒を用いて洗浄した後に、次の含有液と接触させてもよい。
第1の物質の含有液と、第2の物質の含有液とを、基板に接着した細胞に交互に接触させることによって、細胞上に第1物質と第2物質とが交互に積層されたナノメートルサイズの厚みの細胞外マトリックス層が形成される。接触させる順序は特に限定されないが、細胞との接着性により優れた成分(例えば、フィブロネクチンやラミニン等)を含む含有液を最初に接触させることが好ましい。形成する細胞外マトリックス層の厚みの調整は、第1の物質の含有液及び第2の物質の含有液中の成分濃度、接触条件(時間や温度)、及び/又は接触回数を調整することによって行うことができる。
細胞膜上に細胞外マトリックス層を形成することによって細胞膜を補強することができ、細胞に挿入した針状物を引き上げて当該細胞を釣りあげようとする際に、細胞が完全に剥離する前に細胞膜の破断が生じるのを防ぐことができる。
(2)基板に対する細胞の接着力の測定
本発明方法は、細胞に針状物を挿入し、針状物を引き上げ細胞を釣りあげて基板より剥離する際に針状物にかかる負荷に基づいて、基板に対する細胞の接着力を測定する工程を含む。
基板に対する細胞の接着力の測定手段は、針状物の細胞への接触、穿刺、挿入、引き上げ、及び剥離の各状態における、細胞が針状物に及ぼす微少な力を測定し得るものであればよい。これには例えば、原子間力顕微鏡(AFM)あるいは分子間力測定装置における、プローブに及ぼされる力についての測定手段を利用することができる。具体的にはこれら手段におけるプローブ、プローブをその先端に設けたカンチレバー、及びカンチレバーの変位を検出する手段を挙げることができる。
針状物は、このプローブに固定してもよく、また、プローブ自身を先鋭化し針状に形成しても良い。本発明においてこれら装置を利用する場合、これら装置におけるプローブに及ぼされる力の変動量測定機能を利用するものであって、原子間力あるいは分子間力そのものを測定するものではない。また、原子間力顕微鏡あるいは分子間力測定装置における、プローブないしプローブをその先端に設けたカンチレバーの移動手段及びこれらのその位置の検出あるいは制御手段も利用できる。また、これら装置としては、細胞を培養したシャーレをそのまま使用出来るように、上方からの接触を可能とするカンチレバー駆動型の装置が好ましい。
本発明においてはこのプローブに、細胞に挿入し、該細胞を釣りあげて基板より剥離するための針状物を設ける。針状物の形状としては、細胞に挿入でき、かつ細胞を釣りあげることが可能な形状であればよく特に限定はされないが、例えば矢尻状のもの、鉤状のもの、T字状のもの等が挙げられる。針状物の大きさは、細胞への挿入、釣りあげ等の操作を可能とするものであれば、特に制限されないが、細胞挿入部分の直径が、100〜300nm程度であり、好ましくは200nm程度である。一方、針状物の長さは細胞挿入において十分な長さを確保できればよく、5〜100μm程度であり、好ましくは20μm程度である。
針状物としては、例えばカーボンナノチューブ、シリコン結晶、チタン、ジルコニウム等の金属結晶、ZnO等の金属酸化物等を、プローブ先端に固定するか、あるいは、シリコン、窒化シリコン等からなるプローブを使用し自身を先鋭化加工し、針状にしたものを使用する。
プローブに針状物を取り付けるには、上記カーボンナノチューブの場合、例えば、電子顕微鏡観察下に、基底部に固定されたカーボンナノチューブ先端部分とカンチレバー先端のプローブとを接触させ、該接触部に電子線を照射し、炭素化合物ガスをこの電子線のエネルギーによって分解し、非晶質のカーボンとして堆積させ、プローブとカーボンナノチューブを固着する。その後に、カーボンナノチューブを基底部より取り外す。また、CVD法によりカンチレバー表面にカーボンナノチューブを成長させる方法により、カーボンナノチューブ付きカンチレバーを作製することができる。
また、プローブを針状に加工するには、シリコン製プローブの場合、例えば、集束イオンビーム加工装置等を用いて、ビーム照射によるエッチングにより先端を針状に加工することが出来る。また、窒化シリコン製のプローブの場合は成型時に使用する型の窪み部分を針状の構造にしておき、針状のプローブを作製することができる。
基板に対する細胞の接着力の測定は、原子間力顕微鏡あるいは分子間力測定装置を用いた従来公知の手法(特開2011−182761号公報、特開2013−172690号公報)に基づいて行うことができ、基板上にて培養した細胞に、カンチレバーのプローブ先端に備えられた針状物を挿入及び引き上げて細胞を釣りあげ、基板上より剥離する際に、針状物(及びカンチレバー)にかかる負荷を測定する(フォースカーブを得る)ことにより行うことができる。すなわち、基板上にて培養した細胞の真上にくるようにカンチレバーのプローブ部分を操作して位置あわせを行い、カンチレバーのプローブ先端の針状物を徐々に下げて細胞に接近させていくと、急激にカンチレバーが斥力を受けてたわむ点(針状物と細胞との接触)が観察される。さらに針状物を下げていくとこの斥力はより強くなり、続いて急激に緩和する点(針状物が細胞膜を突き破って細胞内へ侵入)が観察される。次に、針状物を徐々に引き上げていくと、針状物を抜かせまいとする方向に引力が観察され、さらに針状物を引き上げていくとこの引力は急激に緩和される。この引き上げの際に観察される緩和する点が、細胞が基板上より剥離した点である。基板に対する細胞の接着力は、細胞の完全な釣り上げ、剥離に成功した際に観察される引力の最大値として求めることができる。なお、細胞の完全な釣り上げ、剥離は、顕微鏡で観察することにより確認することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1:試料の調製
本実施例では、先ず、フィブロンネクチン及びゼラチンをそれぞれ、リン酸緩衝生理食塩水に0.04mg/mlの濃度となるように溶解し、フィブロンネクチン含有培地及びゼラチン含有溶液を作製した。
10%FBS含有培地を入れた細胞培養用シャーレ(35mmφディッシュ:細胞培養用に表面処理されたポリスチレン製シャーレ)にマウス線維芽細胞(NIH3T3)を播種し、24時間培養し、細胞を基板に接着させた。
次いで、当該シャーレより培地を除去して、フィブロネクチン含有溶液を1ml添加し、37℃で1分間静置した。その後、当該シャーレよりフィブロネクチン含有溶液を除去して、リン酸緩衝生理食塩水(1ml)を用いて1度洗浄した後、ゼラチン含有溶液を1ml添加し、37℃で1分間静置した。この操作を9回繰り返して、細胞上にフィブロネクチンとゼラチンが交互に積層されてなる細胞外マトリックス層を形成した。最後に、ゼラチン含有培地を除去して2mlの10%FBS含有培地を添加して、37℃1時間インキュベーションを行い、以下の実施例に用いた。対照には、細胞外マトリックス層の形成処理を行うことなく、同じ細胞培養用シャーレ中にて、同様に培養されたマウス線維芽細胞(NIH3T3)を用いた。
実施例2:細胞接着力の測定
細胞接着力の測定は、矢じり型に加工したAFM探針(図2:OMCL−AC200TN−C3、オリンパス社製)を用いて、シャーレより細胞を強制的に釣りあげ剥離した際のフォースカーブの最大値を接着力として測定した。測定には原子間力顕微鏡(JPK社製NanoWizardII)を使用した。
結果を図3に示す。
細胞外マトリックス層を細胞膜上に形成していない細胞(対照)においては、細胞(n=14)の剥離効率は20%と低く、そのフォースカーブの最大値の平均値は240nNとなった。
一方、細胞外マトリックス層を形成した細胞(細胞外マトリックス層有)においては、細胞(n=21)の剥離効率は100%となり、そのフォースカーブの引力成分の最大値(すなわち、接着力)の平均値は650nNとなった。
この結果より、マウス線維芽細胞(NIH3T3)の上記シャーレに対する真の接着力は650nNであることが示された。

Claims (5)

  1. (i)基板に接着した細胞の細胞膜上に、細胞外マトリックス層を形成する工程、
    (ii)該細胞に針状物を挿入し、該針状物を引き上げて該細胞を釣りあげ該基板より剥離する際に該針状物にかかる負荷に基づいて、該基板に対する該細胞の接着力を測定する工程、
    を含む、基板に対する細胞の接着力を測定する方法。
  2. 工程(i)が、細胞に、第1の物質の含有液と第2の物質の含有液とを交互に接触させ、細胞外マトリックス層を形成する工程であって、該第1の物質と該第2の物質が相互作用するタンパク質又は高分子である、請求項1に記載の方法。
  3. 第1の物質がフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、カドヘリン、コラーゲン、キチン、キトサン及びポリリジンからなる群から選択される一以上の物質であり、かつ第2の物質がゼラチン、アルブミン、グロブリン、ヘパリン、へパラン硫酸、デキストラン硫酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸及びエラスチンから選択される一以上の物質である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(ii)において、針状物が原子間力顕微鏡(AFM)探針であり、基板に対する細胞の接着力をAFMを用いて測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 針状物が鉤型又は矢じり型の形状を有する、請求項4に記載の方法。
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