JP7376224B2 - エンジン制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの吸気量を演算するとともに、同吸気量の演算値に基づき燃料噴射量を決定してインジェクタの燃料噴射制御を行うエンジン制御装置に関する。
気筒内で燃焼する混合気の空燃比(空気に対する燃料の質量比率)を適切に制御するには、エンジンの吸気量を、すなわち気筒内に流入する吸気の質量を正確に把握する必要がある。従来、吸気量の演算方式として、マスフロー方式、スピードデンシティ方式、及びスロットルスピード方式の3つの方式が知られている。マスフロー方式では、吸気通路におけるスロットルバルブよりも上流側の部分に設置されたエアフローメータにより検出した吸気流量から吸気量を演算する。スピードデンシティ方式では、吸気通路におけるスロットルバルブよりも下流側の部分に設置された吸気管圧力センサにより吸気管圧力を検出するとともに、その吸気管圧力とエンジン回転数とに基づき推定した吸気流量から吸気量を演算する。さらに、スロットルスピード方式では、スロットル開度とエンジン回転数とに基づき推定した吸気流量から吸気量を演算する。
通常は、これら3つの演算方式の中でマスフロー方式が、エンジンの定常運転時の吸気量を最も精度良く演算することができる。ただし、エンジンの各気筒は、吸気弁の開閉に応じて間欠的に吸気を吸入しているため、吸気通路の吸気の流れは脈動を伴ったものとなる。そしてそうした吸気脈動の影響は、エアフローメータの検出値にも表れるため、吸気脈動の大きいエンジンの運転領域では、マスフロー方式よりもスピードデンシティ方式やスロットルスピード方式の方が高い精度で吸気量を演算できる場合がある。これに対して従来、特許文献1に見られるように、吸気脈動が小さいときにはマスフロー方式により吸気量を演算し、吸気脈動が大きいときにはスピードデンシティ方式又はスロットルスピード方式により吸気量を演算するように、吸気脈動の大小に応じて演算方式を切り替えつつ吸気量を演算するエンジン制御装置が提案されている。
特開2013-221418号公報
スピードデンシティ方式及びスロットルスピード方式では、推定した吸気流量から吸気量を演算しているため、吸気流量の推定に誤差があると、その演算値にも誤差が生じてしまう。上記従来のエンジン制御装置では、吸気脈動が大きくなったときにそうした誤差が生じていると、空燃比が目標とする値から乖離してエンジンの排気性能の低下を招く虞がある。
上記課題を解決するエンジン制御装置は、エンジンの吸気量を演算するとともに、同吸気量の演算値に基づき燃料噴射量を決定してインジェクタの燃料噴射制御を行うものであって、エアフローメータの吸気流量の検出値に基づいて吸気量を演算する第1吸気量演算処理と、同吸気流量の検出値を用いずに、吸気管圧力の検出値、及びスロットル開度のうちのいずれか一方に基づいて吸気量を演算する第2吸気量演算処理と、吸気通路内の吸気脈動が大きい状態にあるか否かを判定する判定処理と、を行っている。
第1吸気量演算処理では、エアフローメータの吸気流量の検出値に基づいたマスフロー方式の吸気量の演算が行われる。第2吸気量演算処理では、吸気管圧力の検出値に基づいたスピードデンシティ方式の吸気量の演算、又はスロットル開度に基づいたスロットルスピード方式の吸気量の演算が行われる。ここで、第1吸気量演算処理による吸気量の演算値を第1吸気量とするとともに、第2吸気量演算処理による吸気量の演算値を第2吸気量とする。このとき、上記エンジン制御装置は更に、判定処理において吸気脈動が大きい状態にないと判定されているときに第1吸気量に対する第2吸気量の偏差量を演算する偏差量演算処理と、判定処理において吸気脈動が大きい状態にないと判定されているときには第1吸気量を吸気量の演算値として設定するとともに、判定処理において吸気脈動が大きい状態にあると判定されているときには第2吸気量に偏差量を加えた和である補正後第2吸気量を吸気量の演算値として設定する演算方式切替処理と、を行っている。
上記エンジン制御装置では、判定処理により吸気脈動が大きい状態にないと判定(以下、脈動小判定と記載する)されているときには、エアフローメータの吸気流量の検出精度は低下しておらず、その検出値に基づく第1吸気量演算処理での第1吸気量の演算の精度も高いと考えられる。そこで、上記エンジン制御装置では、脈動小判定時には、マスフロー方式で演算した第1吸気量を吸気量の演算値として演算される。また、このときの第1吸気量が正確な値であるとすれば、第1吸気量に対する第2吸気量の偏差は、第2吸気量の演算値の誤差となる。上記エンジン制御装置では、偏差量演算処理において、脈動小判定時の第1吸気量に対する第2吸気量の偏差量を演算している。
一方、判定処理により吸気脈動が大きい状態にあると判定(以下、脈動大判定と記載する)されているときには、エアフローメータの吸気流量の検出精度が低下して、第1吸気量の演算精度も低下する。このときの上記エンジン制御装置では、脈動小判定時に演算した上記偏差量を第2吸気量に加えた和である補正後第2吸気量が吸気量の演算値として演算される。すなわち、このときには、脈動小判定時に確認された第2吸気量の誤差分の補償を、第2吸気量に施した値が吸気量の演算値として演算される。したがって、上記エンジン制御装置によれば、吸気脈動が大きい運転領域での吸気量の演算精度を向上できる。
第1吸気量と第2吸気量との偏差量は、エンジンの運転領域、エンジンの個体差、経時変化などにより変化する。そのため、上記エンジン制御装置における偏差量演算処理において、エンジンの運転状態に応じて区分けされた複数の偏差量学習領域ごとに偏差量の学習値である偏差量学習値の学習を行うようにするとよい。こうした場合、該当するエンジンの現状における運転状態毎の偏差量の適切な値が学習を通じて求められる。そして、その学習の結果が、吸気脈動が大きい運転領域での吸気量の演算に反映される。そのため、吸気脈動が大きい運転領域での吸気量の演算精度を更に向上できる。
上記のような偏差量演算処理における偏差量の学習は、複数の偏差量学習領域のいずれにおいても偏差量の学習が完了していない場合には複数の偏差量学習領域のそれぞれの偏差量学習値を一括して更新し、且つ複数の偏差量学習領域のいずれかにおいて偏差量の学習が完了している場合にはエンジンが現在運転中の偏差量学習領域の偏差量学習値のみを更新することで行うようにするとよい。偏差量のうち、エアフローメータの検出特性やスロットルバルブの開度特性等の個体差により生じる分は、エンジンの運転領域全体で共通した傾向をもって現れることが多い。上記のようにエンジン制御装置を構成した場合には、偏差量学習領域の何れかで偏差量の学習が完了するまでは、全ての偏差量学習領域の偏差量学習値の値が一括更新される。この期間には、偏差量学習領域を区別せずに一括して、エンジンの運転領域全体で共通した傾向をもって現れる分の偏差の学習が行われることになる。そしてその後、偏差量学習領域間の偏差量の相違分が各々の偏差量学習領域毎に個別に行われるようになる。そのため、各偏差量学習領域の偏差量の学習に要する期間を短縮できる。
演算方式間の吸気量の演算値の偏差には、個体差や経時変化により生じるエンジンの個々の機体の状態に依存する部分(以下、機体依存分と記載する)と、それ以外の要因により生じるエンジンの個々の機体の状態に依存しない部分(以下、機体非依存分と記載する)とがある。これらのうち、機体非依存分については、計測等により予め確認しておくことができる。そこで、上記のような偏差量の学習を行う場合、偏差量学習領域ごとの吸気量の演算値の偏差のうちの機体非依存分を示す量をシフト補正量としたとき、エンジンの回転数及び同エンジンの負荷に応じて演算したシフト補正量を偏差量から引いた差に基づき偏差量学習値の値を更新することで偏差量演算処理における偏差量の学習を行うとともに、偏差量学習値にシフト補正量を加えた和を偏差量の値として用いて補正後第2吸気量を演算するとよい。すなわち、予め求めておいたエンジンの回転数及び負荷と上記偏差の機体非依存分の量との関係から同機体非依存分の量をシフト補正量として演算して、偏差量の学習や第2吸気量の演算に反映する。こうした場合の偏差量学習値には、機体依存分だけを反映すればよいため、各偏差量学習領域の偏差量の学習に要する期間を短縮できる。
演算方式間の吸気量の演算値の偏差は、吸気温度等の温度条件や大気圧等の圧力条件のようなエンジンの環境条件によっても変化する。そのため、環境条件の異なった状態で学習を行えば、その学習の結果にばらつきが生じてしまうことになる。そこで、上記のような偏差量の学習を行う場合、エンジンの環境条件に応じた環境補正係数を偏差量に除算した値に基づいて偏差量学習値の値を更新することで偏差量演算処理における偏差量の学習を行うとともに、偏差量学習値に環境補正係数乗算した値を偏差量の値として用いて補正後第2吸気量を演算するとよい。又は、上記のような偏差量の学習を行う場合、エンジンの環境条件に応じた環境補正量を偏差量に減算した値に基づいて偏差量学習値の値を更新することで偏差量演算処理における偏差量の学習を行うとともに、偏差量学習値に環境補正量を加算した値を偏差量の値として用いて補正後第2吸気量を演算するとよい。こうした場合、環境条件の影響が偏差量学習値に反映されにくくなるため、学習精度が向上する。
上記エンジン制御装置を、エアフローメータの吸気流量の検出値から吸気管圧力の時間当りの変化量を演算するとともに、同変化量に応じて値を更新していくことで吸気管圧力を演算する吸気管モデルを備えるとともに、その吸気管モデルにより演算した吸気管圧力を用いて第1吸気量演算処理での第1吸気量の演算を行う構成とすることが考えられる。こうした場合、エアフローメータの検出精度が低下する脈動大判定時には、その検出値に基づいた吸気管モデルでの吸気管圧力の演算精度も低下する。吸気管モデルでは吸気管圧力の絶対値を直接演算していないため、脈動大判定中に生じた吸気管モデルの吸気管圧力の演算誤差は、その後に吸気脈動が小さくなってエアフローメータの検出精度が回復しても残ってしまう。そこで、吸気脈動が大きい状態にあるとの判定から吸気脈動が大きい状態にないとの判定へと判定処理の判定が切り替わったときに、吸気管モデルの吸気管圧力の演算値を、同吸気管圧力の検出値、又はスロットル開度に基づく同吸気管圧力の推定値に置き換えるようにするとよい。脈動大判定中のエアフローメータの検出精度の低下は、吸気管圧力の検出値、及びスロットル開度に基づく同吸気管圧力の推定値には影響しない。そのため、こうした場合には、脈動大判定中に誤差が生じた吸気管モデルの吸気管圧力の演算値が脈動小判定への切り替わりとともに、より誤差の無い値に置き換えられることになる。したがって、脈動大判定から脈動小判定への切り替わり後の吸気量の演算精度の低下を抑えられる。
第1実施形態のエンジン制御装置の構成を模式的に示す略図。 同エンジン制御装置が実行する燃料噴射量の制御に係る処理の流れを示すブロック図。 同エンジン制御装置が実行する吸気量演算処理の流れを示すブロック図。 同エンジン制御装置が脈動判定処理において使用する脈動率の演算態様を示すグラフ。 上記エンジン制御装置が脈動判定処理に際して実行する脈動判定ルーチンのフローチャート。 同エンジン制御装置における吸気量演算処理の実施態様の一例を示すタイムチャート。 第2実施形態のエンジン制御装置が実行する吸気量演算処理の流れを示すブロック図。 第3実施形態のエンジン制御装置が実行する吸気量推定処理の流れを示すブロック図。 第3実施形態のエンジン制御装置における脈動大判定から脈動小判定に切り替わったときの各吸気量の演算状況を示すタイムチャート。 第3実施形態の変形例における脈動大判定から脈動小判定に切り替わったときの各吸気量の演算状況を示すタイムチャート。 第4実施形態のエンジン制御装置における偏差量学習領域の設定態様を示すグラフ。 同エンジン制御装置が実行する偏差量学習ルーチンのフローチャート。 同偏差量学習ルーチンにおいて演算する偏差量学習値の更新量とずれ量との関係を示すグラフ。 第5実施形態のエンジン制御装置における偏差量学習領域の設定態様を示すグラフ。 同エンジン制御装置が実行する学習値更新ルーチンのフローチャート。 第6実施形態のエンジン制御装置におけるシフト補正領域の設定態様を示すグラフ。 シフト補正領域の一つにおける吸気管圧力とシフト補正量との関係を示すグラフ。 上記実施形態のエンジン制御装置における偏差量学習値の更新量の演算に係る処理の流れを示すブロック図。 同エンジン制御装置における補正後AFM同期吸気量の演算に係る処理の流れを示すブロック図。 第7実施形態のエンジン制御装置におけるAFM系吸気量、AFM同期吸気量、及び環境補正係数と、吸気温度との関係を示すグラフ。 同エンジン制御装置における偏差量学習値の更新量の演算に係る処理の流れを示すブロック図。 同エンジン制御装置における補正後AFM同期吸気量の演算に係る処理の流れを示すブロック図。 第7実施形態のエンジン制御装置の変形例における偏差量学習値の更新に係る処理の流れを示すブロック図。
(第1実施形態)
以下、エンジン制御装置の第1実施形態を、図1~図6を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のエンジン制御装置が適用されるエンジン10の吸気通路11の最上流部には、吸気中の塵等をろ過するエアクリーナ12が設けられている。吸気通路11におけるエアクリーナ12よりも下流側の部分には、吸気流量を検出するエアフローメータ13が設けられている。さらに吸気通路11におけるエアフローメータ13よりも下流側の部分には、吸気通路11の吸気流量を調整するための弁であるスロットルバルブ14が設けられている。スロットルバルブ14の近傍には、同スロットルバルブ14を開閉駆動するためのスロットルモータ15と、スロットルバルブ14の開度(スロットル開度TA)を検出するためのスロットルセンサ16と、が設けられている。
吸気通路11におけるスロットルバルブ14よりも下流側の部分には、エンジン10の各気筒に吸気を分配するための分枝管であるインテークマニホールド(以下、インマニ17と記載する)が設けられている。インマニ17の各分枝管は、気筒別の吸気ポート18を介して各気筒の燃焼室19にそれぞれ接続されている。各気筒の吸気ポート18には、同吸気ポート18を通って燃焼室19に流入する吸気中に燃料を噴射するインジェクタ20がそれぞれ設けられている。また、各気筒の燃焼室19には、内部に流入した燃料と吸気との混合気を放電により点火する点火装置21がそれぞれ設けられている。なお、各気筒には、エンジン10の出力軸であるクランクシャフト22の回転に連動して開閉する吸気弁23、及び排気弁24がそれぞれ設けられている。そして、吸気弁23の開弁に応じて吸気ポート18から燃焼室19に吸気が流入し、排気弁24の開弁に応じて燃焼室19から排気が排出される。
エンジン10は、エンジン制御装置としての電子制御ユニット25により制御されている。電子制御ユニット25は、エンジン制御に係る各種の演算処理を行う演算処理回路26と、制御用のプログラムやデータを記憶したメモリ27とを備えている。そして、電子制御ユニット25には、上述のエアフローメータ13、スロットルセンサ16に加え、吸気温度THAを検出する吸気温度センサ28、大気圧PAを検出する大気圧センサ29、及びクランクシャフト22の回転角(クランク角CRNK)を検出するクランク角センサ30などの各種センサの検出信号が入力されている。そして、電子制御ユニット25は、それらセンサの検出信号に基づき、スロットルモータ15、インジェクタ20、点火装置21などのアクチュエータを制御することで、エンジン10の各種制御を行っている。なお、電子制御ユニット25は、クランク角センサ30によるクランク角CRNKの検出結果からエンジン回転数NEを演算している。
図2に、インジェクタ20の燃料噴射量の制御に係る電子制御ユニット25の処理の流れを示す。燃料噴射量の制御に際して電子制御ユニット25はまず、吸気量演算処理P1において、エアフローメータ13の吸気流量の検出値であるAFM検出吸気量GA、スロットル開度TA、エンジン回転数NEに基づき、エンジン10の吸気量を演算する。この吸気量演算処理P1で演算する吸気量(以下、吸気量演算値MCと記載する)は、燃焼室19での燃焼に供される空気の質量の推定値を表している。続いて、電子制御ユニット25は、噴射量決定処理P2において、吸気量演算処理P1で演算した吸気量演算値MCに基づき、燃焼室19で燃焼する混合気の空燃比が目標とする値となるように燃料噴射量QINJを決定する。そして、電子制御ユニット25は、インジェクタ駆動処理P3において、燃料噴射量QINJ分の燃料噴射を行うように各気筒のインジェクタ20を駆動する。
図3に、吸気量演算処理P1に係る電子制御ユニット25の処理の流れを示す。吸気量演算処理P1は、第1吸気量演算処理P4、第2吸気量演算処理P5、判定処理P6、偏差量演算処理P7、及び演算方式切替処理P8の各処理を通じて実行されている。
第1吸気量演算処理P4では、エアフローメータ13の吸気流量の検出値であるAFM検出吸気量GAとエンジン回転数NEとに基づく吸気量の演算が行われる。具体的には、第1吸気量演算処理P4では、AFM検出吸気量GAをエンジン回転数NEで割った商に規定の係数Kを掛けた積(=K×GA/NE)を定常運転時の吸気量の値として求めている。そして、その定常運転時の吸気量に追従しつつ緩変化する値として吸気量を演算している。すなわち、第1吸気量演算処理P4では、エアフローメータ13の吸気流量の検出値を用いた、いわゆるマスフロー方式による吸気量の演算が行われる。以下の説明では、第1吸気量演算処理P4による吸気量の演算値を第1吸気量MC1と記載する。
第2吸気量演算処理P5では、スロットル開度TAとエンジン回転数NEとに基づく吸気量の演算が行われる。具体的には、第2吸気量演算処理P5では、スロットル開度TAとエンジン回転数NEとに基づき吸気流量を推定するとともに、その吸気流量の推定値(推定吸気流量GA*)をエンジン回転数NEで割った商に上記係数Kを掛けた積(=K×GA*/NE)を定常運転時の吸気量の値として求めている。そして、その定常運転時の吸気量に追従しつつ緩変化する値として吸気量を演算している。すなわち、第2吸気量演算処理P5では、エアフローメータ13の吸気流量の検出値の代わりに、スロットル開度TA及びエンジン回転数NEに基づく吸気流量の推定値を用いた、いわゆるスロットルスピード方式による吸気量の演算が行われる。以下の説明では、第2吸気量演算処理P5による吸気量の演算値を第2吸気量MC2と記載する。
判定処理P6では、吸気通路11内の吸気脈動が大きい状態にあるか否かの判定が行われる。判定処理P6の詳細については後述する。
偏差量演算処理P7では、判定処理P6において吸気脈動が大きい状態にないとの判定(以下、脈動小判定と記載する)がなされているときに、第1吸気量MC1に対する第2吸気量MC2の偏差量DEVを演算する。具体的には、偏差量演算処理P7では、脈動小判定時に、第1吸気量MC1から第2吸気量MC2を引いた差を求めるとともに、その差が偏差量DEVの更新後の値となるように偏差量DEVの値を更新する。なお、判定処理P6において吸気脈動が大きい状態にあるとの判定(以下、脈動大判定と記載する)がなされているときには、偏差量演算処理P7は実施されず、偏差量DEVの値が保持される。
演算方式切替処理P8では、脈動小判定時には、第1吸気量MC1を吸気量演算値MCの値として設定する。また、演算方式切替処理P8では、脈動大判定時には、第2吸気量MC2に偏差量DEVを加えた和である補正後第2吸気量MC3(=MC2+DEV)を吸気量演算値MCの値として設定する。
続いて、判定処理P6の詳細を説明する。判定処理P6には、図4に示すような、規定の期間TにおけるAFM検出吸気量GAの最大値GMAX、最小値GMIN、及び平均値GAVEが用いられる。なお、期間Tは、吸気脈動の周期よりも長い時間となるように設定されている。
図5に、判定処理P6において実行される脈動判定ルーチンのフローチャートを示す。本ルーチンの処理は、エンジン10の運転中、吸気量の演算周期ごとに電子制御ユニット25により繰り返し実行される。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、脈動率RTEの演算が行われる。脈動率RTEの値は、上述したAFM検出吸気量GAの最大値GMAXから最小値GMINを引いた差を平均値GAVEで割った商(=(GMAX-GMIN)/GAVE)として演算されている。続いて、ステップS110において、脈動率RTEの値が規定の脈動大判定値α以上であるか否かが判定される。
脈動率RTEの値が脈動判定値α以上の場合(S110:YES)、ステップS120に処理が進められ、そのステップS120において、脈動大フラグFがセットされる。さらにこの場合には、ステップS130においてカウンタCOUNTの値が0にリセットされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。脈動大フラグFは、判定処理P6の判定結果を示すフラグであり、脈動大判定時にはセットされ、脈動小判定時にはクリアされる。上述の偏差量演算処理P7、及び演算方式切替処理P8では、こうした脈動大フラグFがセットされているか否かにより、判定処理P6の判定結果を確認している。
一方、脈動率RTEの値が脈動大判定値α未満の場合(S110:NO)、ステップS140に処理が進められる。そして、ステップS140において、脈動大フラグFがセットされているか否かが判定される。ここで、脈動大フラグFがセットされていなければ(S140:NO)、上述のステップS130に処理が進められ、そのステップS130においてカウンタCOUNTの値が0にリセットされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。一方、脈動大フラグFがセットされている場合には(S140:YES)、ステップS150に処理が進められる。
ステップS150に処理が進められると、そのステップS150においてカウンタCOUNTの値のインクリメントが行われる。そして、続くステップS160において、インクリメント後のカウンタCOUNTの値が規定の脈動オフ判定値β以上であるか否かが判定される。このときのカウンタCOUNTの値が脈動オフ判定値β未満である場合には(S160:NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。これに対してカウンタCOUNTの値が脈動オフ判定値β以上である場合には(S160:YES)、ステップS170において脈動大フラグFがクリアされた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
以上の脈動判定ルーチンにおいて脈動大フラグFは、脈動大判定値α未満の値から同脈動大判定値α以上の値へと脈動率RTEの値が増加したときに、クリアされた状態からセットされた状態へと切り替えられる。また、脈動大フラグFは、脈動率RTEが脈動大判定値α未満であり、且つカウンタCOUNTの値が脈動判定値β以上となったときにセットされた状態からクリアされた状態に切り替えられる。一方、カウンタCOUNTの値は、脈動率RTEが脈動大判定値α未満であり、且つ脈動大フラグFがセットされている場合にインクリメントされ、それ以外の場合には0にリセットされる。すなわち、カウンタCOUNTの値のインクリメントは、脈動率RTEが脈動大判定値α以上の値から脈動大判定値α未満の値に低下したときに開始され、その後、脈動率RTEが脈動大判定値α以上となるか、脈動大フラグFがクリアされるか、のいずれかとなるまで継続される。そして、このときのカウンタCOUNTの値のインクリメントは脈動判定ルーチンの実行ごとに行われ、さらに脈動判定ルーチンは吸気量の演算周期ごとに実行される。よって、脈動大フラグFのセットからクリアへの切り替えは、脈動率RTEが脈動大判定値α以上の値から脈動大判定値α未満の値に低下し、且つその後、脈動率RTEが脈動大判定値α未満の値となっている状態が一定の時間継続したときに行われる。
続いて、以上説明した本実施形態のエンジン制御装置の作用効果を説明する。
図6に、本実施形態のエンジン制御装置における吸気量演算処理P1の実施態様の一例を示す。
エンジン10の吸気通路11では、吸気弁23の間欠的な開弁により、吸気の脈動が発生する。エンジン10の高負荷運転時等には、こうした吸気脈動が大きくなり、その影響がエアフローメータ13の検出結果に表れる。そのため、吸気脈動が大きい状態にあるときには、エアフローメータ13の検出精度が低下する。
一方、マスフロー方式による吸気量の演算は、エアフローメータ13の吸気流量の検出値(AFM検出吸気量GA)に基づいて行われる。そのため、吸気脈動が大きい状態にあってエアフローメータ13の検出精度が低下すると、マスフロー方式による吸気量の演算精度も低下する。
本実施形態では、判定処理P6において吸気脈動が大きい状態にあるか否かを判定している。そして、脈動小判定時にはマスフロー方式により吸気量を演算する一方、脈動大判定時にはスロットルスピード方式により吸気量を演算するようにしている。
図6の場合、時刻t1までは判定処理P6により脈動小判定がなされており、脈動大フラグFはクリアされている。そして、時刻t1に判定処理P6の判定結果が脈動小判定から脈動大判定に切り替わり、その時刻t1以降は脈動大フラグFがセットされた状態となっている。脈動小判定中は、エアフローメータ13の検出精度は低下しておらず、第1吸気量演算処理P4での第1吸気量MC1の演算精度も高いと考えられる。そこで、本実施形態では、脈動小判定中は、第1吸気量MC1を吸気量演算値MCの値として演算するようにしている。
また、脈動小判定中の第1吸気量MC1が正確な値であるとすると、このときの第1吸気量MC1に対する第2吸気量MC2の偏差量DEV分の誤差が、第2吸気量MC2の演算値に生じていることになる。本実施形態では、偏差量演算処理P7において、脈動小判定中にそうした偏差量DEVの演算を行っている。
一方、脈動小判定から脈動大判定に切り替わると、エアフローメータ13の検出精度が低下して、第1吸気量演算処理P4による第1吸気量MC1の演算精度も低下する。このときの本実施形態では、脈動小判定時に演算した偏差量DEVを第2吸気量MC2に加算した和である補正後第2吸気量MC3を、吸気量演算値MCの値として演算している。すなわち、脈動小判定時の偏差量DEVの演算結果から確認された第2吸気量MC2の誤差を補償した値が、脈動大判定時の吸気量演算値MCの値として演算されている。そのため、吸気脈動が大きい状態にあるときにも、吸気量演算値MCを精度良く演算できる。
また、第1吸気量MC1に対する第2吸気量MC2の偏差が偏差量DEVの値として適切に設定されていれば、時刻t1における第1吸気量MC1と、第2吸気量MC2に偏差量DEVを加えた和である補正後第2吸気量MC3とは同値となる。そのため、本実施形態によれば、演算方式の切り替え前後の吸気量演算値MCの値に段差が生じることを抑えられる。
(第2実施形態)
続いて、エンジン制御装置の第2実施形態について、図7を併せ参照して説明する。なお、本実施形態及び後述の各実施形態において、上述の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態のエンジン制御装置が適用されるエンジン10の構成は、第1実施形態の適用されたエンジン10の構成に、図1に破線で示す吸気管圧力センサ31が追加されたものとなっている。吸気管圧力センサ31は、吸気通路11におけるスロットルバルブ14よりも下流側の部分(インマニ17)に設置されており、同部分の吸気の圧力(以下、吸気管圧力PMと記載する)を検出する。そして、吸気管圧力センサ31の検出信号は、電子制御ユニット25に入力されている。
図7に、本実施形態のエンジン制御装置における吸気量演算処理P1に係る電子制御ユニット25の処理の流れを示す。吸気量演算処理P1は、第1吸気量演算処理P4、第2吸気量演算処理P5、判定処理P6、偏差量演算処理P7、及び演算方式切替処理P8の各処理を通じて実行されている。このうち、第1吸気量演算処理P4、判定処理P6、偏差量演算処理P7、及び演算方式切替処理P8の内容は、第1実施形態の場合と同じとなっている。
本実施形態における第2吸気量演算処理P5*では、吸気管圧力PMとエンジン回転数NEとに基づき吸気量の演算が行われる。具体的には、第2吸気量演算処理P5では、吸気管圧力PMとエンジン回転数NEとに基づき吸気流量を推定するとともに、その吸気流量の推定値(推定吸気流量GA*)をエンジン回転数NEで割った商に係数Kを掛けた積(=K×GA*/NE)を定常運転時の吸気量の値として求めている。そして、その定常運転時の吸気量に追従しつつ緩変化する値として吸気量を演算している。すなわち、第2吸気量演算処理P5では、エアフローメータ13の吸気流量の検出値の代わりに、吸気管圧力PM及びエンジン回転数NEに基づく吸気流量の推定値を用いた、いわゆるスピードデンシティ方式により吸気量を演算している。以下の説明では、第2吸気量演算処理P5*による吸気量の演算値を第2吸気量MC2*と記載する。
こうした本実施形態では、脈動小判定時には、マスフロー方式で演算した第1吸気量MC1を吸気量演算値MCの値として演算するとともに、第1吸気量MC1に対する第2吸気量MC2*の偏差量DEVを演算している。このときの偏差量DEVの値は、第2吸気量MC2*の演算誤差に相当する。そして、脈動大判定時には、脈動小判定時に演算した偏差量DEVを第2吸気量MC2*に加えた和である補正後第2吸気量MC3*を吸気量演算値MCの値として演算している。そのため、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、吸気脈動が大きい状態にあるときの吸気量演算値MCを精度良く演算できる。また、演算方式の切り替え前後の吸気量演算値MCの値に段差が生じることが抑えられる。
(第3実施形態)
続いて、エンジン制御装置の第3実施形態について、図8~図11を併せ参照して説明する。
本実施形態のエンジン制御装置では、エンジン10の吸気系の物理モデルであるエアモデルを用いて吸気量の推定を行っている。エアモデルは、スロットルモデルM1、吸気管モデルM2、吸気弁モデルM3、及びエアクリーナモデルM4の各サブモデルにより構成されている。
スロットルモデルM1は、スロットルバルブ14における吸気の挙動についての物理モデルとなっている。具体的には、スロットルモデルM1は、スロットル上流圧力PAC、吸気管圧力PM、上流温度THAC、及びスロットル開度TAを入力とし、式(1)に示す絞りの式の関係からスロットルバルブ14を通過する吸気の流量(スロットル通過吸気量MT)を演算して出力する。スロットル上流圧力PACはスロットルバルブ14の通過前の吸気の圧力を、上流温度はスロットルバルブ14の通過前の吸気の温度をそれぞれ表している。自然吸気式のエンジン10では、吸気通路11におけるスロットルバルブ14よりも上流側の部分での吸気の温度変化があまり大きくないため、本実施形態では上流温度THACとして吸気温度センサ28により検出した吸気温度THAを上流温度THACの値として用いている。
式(1)における「μ」は流量係数を、「R」は気体定数を、「At(TA)」はスロットル開度TAからスロットルバルブ14の開口面積を求める関数を、それぞれ表している。また、式(1)における「φ(PM/PAC)」は、式(2)に示す関数となっている。なお、式(2)における「κ」は吸気の比熱比を表している。
吸気管モデルM2は、インマニ17における吸気の挙動についての物理モデルとなっている。具体的には、吸気管モデルM2は、スロットル通過吸気量MT、上流温度THAC、インマニ流出吸気量MCMを入力とし、それらから吸気管圧力PM、及びインマニ温度THMを演算して出力する。インマニ温度THMは、インマニ17内の吸気の温度を表している。また、インマニ流出吸気量MCMは、インマニ17から流出する吸気の流量を表している。具体的には、吸気管モデルM2ではまず、式(3)及び式(4)の関係からインマニ温度THM、及び吸気管圧力PMのそれぞれの時間当たりの変化量が求められる。そして、インマニ温度THM及び吸気管圧力PMの値を各々の変化量分更新することで、インマニ温度THM及び吸気管圧力PMを求めている。なお、式(3)、式(4)における「VM」はインマニ17の容積を表している。
吸気弁モデルM3は、インマニ17から各気筒の燃焼室19に流出する吸気の挙動についての物理モデルとなっている。具体的には、吸気弁モデルM3は、吸気管圧力PM、及びインマニ温度THMを入力とし、式(5)の関係からインマニ流出吸気量MCMを演算して出力する。なお、インマニ17から燃焼室19への吸気の流出は、吸気弁23の開閉に応じて間欠的に行われるが、ここでは連続した一様な流れであると近似(平均化)した流量をインマニ流出吸気量MCMとして求めている。なお、式(5)における「γ1」「γ2」「δ」及び「ε」はそれぞれエンジン回転数NEに応じて値が決定される係数となっている。
エアクリーナモデルM4は、エアクリーナ12における吸気の挙動についての物理モデルとなっている。具体的には、エアクリーナモデルM4は、大気圧PA、スロットル通過吸気量MT、吸気温度THAを入力とし、式(6)の関係からスロットル上流圧力PACを演算して出力する。式(6)における「k」は定数であり、「ρ」は大気密度を表している。なお、大気密度ρは、吸気温度THAの関数として求められている。
図8に、本実施形態のエンジン制御装置において、吸気量の推定のために電子制御ユニット25が実行する吸気量推定処理P10の処理の流れを示す。なお、電子制御ユニット25は、吸気量推定処理P10による吸気量の推定結果に基づき、燃焼室19で燃焼する混合気の空燃比が目標とする値となるように、各気筒のインジェクタ20の燃料噴射量QINJを決定している。
なお、エアモデルを構成する各サブモデルには、近似やエンジン10の個体差、経時変化等による誤差が生じることがあるため、エアモデルによる吸気量の推定精度には限界がある。そこで、吸気量推定処理P10では、エアモデルを用いた吸気量の推定結果に対して、AFM検出吸気量GAに基づく上記誤差分の修正を施した値を、吸気量の推定値である推定吸気量MC*として演算している。吸気量推定処理P10での推定吸気量MC*の演算に際しては、TA系吸気量演算処理P20、TASM系吸気量演算処理P30、及び修正用吸気量演算処理P40が行われる。
TA系吸気量演算処理P20では、既定の制御周期毎に、上記エアモデルを用いて吸気量を演算している。すなわち、TA系吸気量演算処理P20では、大気圧PA、吸気温度THA、及び前回の制御周期におけるスロットルモデルM1のスロットル通過吸気量MTの出力を、エアクリーナモデルM4に入力して、スロットル上流圧力PACが求められる。また、吸気温度THA及びスロットル開度TAと、今回の制御周期におけるエアクリーナモデルM4のスロットル上流圧力PACの出力をスロットルモデルM1に入力して、スロットル通過吸気量MTが求められる。さらに、今回の制御周期におけるスロットルモデルM1のスロットル通過吸気量MTの出力と、前回の制御周期における吸気弁モデルM3のインマニ流出吸気量の出力(TA系吸気量MC0)と、を吸気管モデルM2に入力して、吸気管圧PM0とインマニ温度THM0とが求められる。そして、TA系吸気量演算処理P20では、今回の演算周期における吸気管モデルM2の吸気管圧PM0及びインマニ温度THM0の出力とエンジン回転数NEとを吸気弁モデルM3に入力して、同吸気弁モデルM3が出力するインマニ流出吸気量を、TA系吸気量MC0の値として出力する。
なお、スロットル通過吸気量MTの変化に対するエアフローメータ13の出力の変化には応答遅れがある。TASM系吸気量演算処理P30では、上記制御周期毎に、TA系吸気量MC0に対してエアフローメータ13の応答遅れと同じだけ遅延した値をAFM同期吸気量MCSMとして演算している。
TASM系吸気量演算処理P30でのAFM同期吸気量MCSMの演算は、AFMモデルM5、吸気管モデルM2’、及び吸気弁モデルM3’を用いて行われる。吸気管モデルM2’、吸気弁モデルM3’の内容はそれぞれ、吸気管モデルM2、吸気弁モデルM3と同じである。一方、AFMモデルM5は、スロットル通過吸気量MTに対してエアフローメータ13の応答遅れと同じだけ遅延した値をAFM同期スロットル通過吸気量MTSMの値として演算して出力する。
TASM系吸気量演算処理P30でのAFM同期吸気量MCSMの演算は次のように行われる。まず、TA系吸気量演算処理P20のスロットルモデルM1による今回の制御周期のスロットル通過吸気量MTの出力をAFMモデルM5に入力し、AFM同期スロットル通過吸気量MTSMを演算する。続いて、このAFM同期スロットル通過吸気量MTSMと、前回の制御周期における吸気弁モデルM3’のインマニ流出吸気量の出力(AFM同期吸気量MCSM)とを吸気管モデルM2’に入力して、AFM同期吸気管圧力PMSMとAFM同期インマニ温度THMSMとを演算する。そして、TASM系吸気量演算処理P30では、AFM同期吸気管圧力PMSM、AFM同期インマニ温度THMSM、及びエンジン回転数NEを吸気弁モデルM3’に入力して、同吸気弁モデルM3’が出力するインマニ流出吸気量をAFM同期吸気量MCSMの値として出力している。
以上のTA系吸気量演算処理P20及びTASM系吸気量演算処理P30では、AFM検出吸気量GAを用いずに、スロットル開度TAに基づいて吸気量(TA系吸気量MC0、AFM同期吸気量MCSM)を演算している。すなわち、TA系吸気量演算処理P20及びTASM系吸気量演算処理P30は、吸気量をスロットルスピード方式により演算する処理となっている。
一方、修正用吸気量演算処理P40では、上記制御周期毎に、エアモデル及びサブモデルの誤差(以下、モデル誤差と記載する)を修正するための修正用吸気量MCADJの演算が行われる。修正用吸気量演算処理P40での修正用吸気量MCADJの演算に際しては、AFM系吸気量演算処理P41と演算方式切替処理P42とが行われる。また、修正用吸気量演算処理P40での修正用吸気量MCADJの演算には、判定処理P50の判定結果と、偏差量演算処理P60による偏差量DEVの演算結果と、が用いられる。判定処理P50の内容は、上述した判定処理P6のものと同じである。
AFM系吸気量演算処理P41では、吸気管モデルM2”及び吸気弁モデルM3”を用いて、AFM検出吸気量GAに基づくAFM系吸気量MCAFMの演算が行われる。吸気管モデルM3”、吸気弁モデルM4”の内容はそれぞれ、吸気管モデルM2、吸気弁モデルM3と同じである。
こうしたAFM系吸気量演算処理P41でのAFM系吸気量MCAFMの演算は次のように行われる。まず、AFM検出吸気量GA、及び前回の制御周期における吸気弁モデルM3”のインマニ流出吸気量の出力(AFM系吸気量MCAFM)を吸気管モデルM2”に入力して、吸気管圧力PMAとインマニ温度THMAとを演算する。すなわち、ここでは、AFM検出吸気量GAがスロットル通過吸気量MTと等しいと見做して吸気管圧力PMA及びインマニ温度THMAを求めている。そして、今回の制御周期における吸気管モデルM2”の吸気管圧力PMA及びインマニ温度THMAの出力と、エンジン回転数NEと、を吸気弁モデルM3”に入力するとともに、その入力に応じて同吸気弁モデルM3”が出力するインマニ流出吸気量をAFM系吸気量MCAFMの値として出力している。こうしたAFM系吸気量演算処理P41では、エアフローメータ13の吸気流量の検出値に基づいて吸気量(AFM系吸気量MCAFM)の演算が行われる。すなわち、AFM系吸気量演算処理P41は、吸気量をマスフロー方式により演算する処理となっている。
また、修正用吸気量演算処理P40では、TASM系吸気量演算処理P30で演算したAFM同期吸気量MCSMに、偏差量演算処理P60において演算された偏差量DEVを加えた和が補正後AFM同期吸気量MCSM*の値として演算されている。後述するように、偏差量DEVは、脈動小判定時におけるAFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量を表している。
一方、演算方式切替処理P42では、脈動小判定時にはAFM系吸気量MCAFMを修正用吸気量MCADJの値として設定する。また、演算方式切替処理P42では、脈動大判定時には補正後AFM同期吸気量MCSM*を修正用吸気量MCADJの値として設定する。
以上のように、脈動小判定時の修正用吸気量演算処理P40は、AFM系吸気量MCAFMを修正用吸気量MCADJの値として演算している。また、脈動大判定時の修正用吸気量演算処理P40は、AFM同期吸気量MCSMに偏差量DEVを加えた和である補正後AFM同期吸気量MCSMを修正用吸気量MCADJの値として演算している。上述のようにAFM系吸気量MCAFMの演算はマスフロー方式で行われ、AFM同期吸気量MCSMの演算はスロットルスピード方式で行われる。よって、修正用吸気量演算処理P40では、脈動小判定時にはマスフロー方式とし、脈動大判定時にはスロットルスピード方式とするように、吸気脈動の大小に応じて修正用吸気量MCADJの演算方式を切り替えている。
吸気量推定処理P10では、以上のTA系吸気量MC0、AFM同期吸気量MCSM、及び修正用吸気量MCADJから推定吸気量MC*を演算している。すなわち、吸気量推定処理P10ではまず、修正用吸気量MCADJからAFM同期吸気量MCSMを引いた差(=MCADJ-MCSM)をモデル修正量ΔMCの値として演算する。そして、TA系吸気量MC0にモデル修正量ΔMCを加えた和(=MC0+ΔMC)を推定吸気量MC*の値として演算している。
なお、偏差量演算処理P60では、脈動小判定時のAFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量DEVの演算が行われる。具体的には、偏差量演算処理P60では、脈動小判定時に、モデル修正量ΔMC(=MCADJ-MCSM)の値に徐々に近づくように偏差量DEVの値を更新する。なお、脈動大判定時には、偏差量演算処理P60での偏差量DEVの値の更新は行われず、同偏差量DEVの値は保持される。
AFM系吸気量演算処理P41では、エアフローメータ13の吸気流量の検出値であるAFM検出吸気量GAを吸気管モデルM2”に入力してAFM系吸気量MCAFMを演算している。これに対してTASM系吸気量演算処理P30では、AFM同期スロットル通過吸気量MTSMを吸気管モデルM2’に入力してAFM同期吸気量MCSMを演算している。AFM同期スロットル通過吸気量MTSMは、スロットルモデルM1、吸気管モデルM2、吸気弁モデルM3、エアクリーナモデルM4、及びAFMモデルM5を通じて求められており、その値には各モデルの誤差が重畳される。そのため、脈動小判定時のエアフローメータ13の検出精度が低下していない状態でのAFM系吸気量MCAFMは、AFM同期吸気量MCSMよりも演算精度の高い値となる。脈動小判定中のAFM系吸気量MCAFMが正確な値であるとすると、このときのAFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量DEVは、AFM同期吸気量MCSMの演算誤差に相当する値となる。
本実施形態では、脈動小判定時には、AFM系吸気量MCAFMを修正用吸気量MCADJの値として演算するとともに、AFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量DEVを演算している。そして、脈動大判定時には、脈動小判定時に演算した偏差量DEVをAFM同期吸気量MCSMに加えた和である補正後AFM同期吸気量MCSM*を修正用吸気量MCADJの値として演算している。このときの補正後AFM同期吸気量MCSM*は、脈動小判定時に確認された誤差分の補償をAFM同期吸気量MCSMに施した値となる。そのため、吸気脈動が大きい状態にあるときの修正用吸気量MCADJを精度良く演算できる。また、演算方式の切り替え前後の修正用吸気量MCADJの値に段差が生じることが抑えられる。
ちなみに、燃料噴射量QINJは直接には、推定吸気量MC*に基づいて決定されている。ただし、そうした推定吸気量MC*の演算には修正用吸気量MCADJが用いられており、修正用吸気量MCADJも、燃料噴射量QINJの決定に用いられる吸気量の演算値となっている。また、本実施形態では、AFM系吸気量演算処理P41が、エアフローメータ13の吸気流量の検出値に基づいて吸気量を演算する第1吸気量演算処理に対応している。さらに本実施形態では、TASM系吸気量演算処理P30が、吸気流量の検出値を用いずに、スロットル開度TAに基づいて吸気量を演算する第2吸気量演算処理に対応している。そして、本実施形態では、AFM系吸気量MCAFMが第1吸気量に、AFM同期吸気量MCSMが第2吸気量に、補正後AFM同期吸気量MCSM*が補正後第2吸気量に、それぞれ対応している。
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態のエンジン制御装置では、脈動小判定時には、AFM系吸気量MCAFMを修正用吸気量MCADJの値として設定するとともに、AFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量DEVを演算していた。そして、脈動大判定時には、その偏差量DEVをAFM同期吸気量MCSMに加えた和を修正用吸気量MCADJの値として設定するようにしていた。こうした場合、偏差量DEVの値として適切な値が演算されていれば、脈動小判定から脈動大判定への切り替わりに際しては、その切り替わりの前後の修正用吸気量MCADJの値に段差は殆ど生じないようになる。
一方、AFM系吸気量演算処理P41では、吸気管モデルM2”により吸気管圧力PMAを演算するとともに、その吸気管圧力PMAを用いてAFM系吸気量MCAFMを演算している。吸気管モデルM2”では、AFM検出吸気量GA等に基づき、吸気管圧力の時間当りの変化量を求めた上で、その変化量ずつ値を更新していくことで、吸気管圧力PMAを演算している。こうした場合、脈動大判定中のAFM系吸気量MCAFMの値には誤差が生じ、その後に脈動小判定に切り替わった後にもその誤差が残ってしまうため、脈動大判定から脈動小判定への切り替わり後に修正用吸気量MCADJの演算精度が低下することがある。
図9に、第3実施形態のエンジン制御装置において、判定処理P50の判定結果が脈動大判定から脈動小判定に切り替わったときの脈動大フラグ、AFM同期吸気管圧力PMSM,吸気管圧力PMA、AFM同期吸気量MCSM、AFM系吸気量MCAFM、及び修正用吸気量MCADJの値の推移状況の一例を示す。
AFM系吸気量演算処理P41でのAFM系吸気量MCAFMの演算は、脈動大判定時にも続けられる。このときの吸気管モデルM2”では、吸気脈動による検出精度が低下したエアフローメータ13の検出値であるAFM検出吸気量GAに基づき、吸気管圧力の時間当りの変化量の演算が行われる。そのため、演算された時間当りの変化量が不正確な値となって、吸気管モデルM2”で演算した吸気管圧力PMAに誤差が生じることがある。
その後に吸気脈動が減少してエアフローメータ13の検出精度が回復すると、吸気管圧力の時間当たりの変化量は適切に演算できるようになる。しかしながら、それまでに生じた吸気管圧力PMAの誤差は、そのまま残ってしまう。そして、誤差が生じた吸気管圧力PMAに基づき演算されたAFM系吸気量MCAFMの値にも誤差が生じてしまう。脈動大判定から脈動小判定への切り替わると、誤差が生じたAFM系吸気量MCAFMの値が修正用吸気量MCADJの値として設定される。そのため、脈動大判定から脈動小判定への切り替わり後に、修正用吸気量MCADJの演算精度が低下することがある。このときの修正用吸気量MCADJの演算精度の低下は、AFM系吸気量演算処理P41の処理内容を下記のように変更することで回避することができる。
上述のようにTASM系吸気量演算処理P30では、吸気管モデルM2’により演算したAFM同期吸気管圧力PMSMを用いてAFM同期吸気量MCSMを演算している。AFM同期吸気管圧力PMSMの演算はAFM検出吸気量GAを用いずに行われるため、脈動大判定時のエアフローメータ13の検出精度の低下時にも、AFM同期吸気管圧力PMSMは比較的正確に求められている。そこで、脈動大判定から脈動小判定への切り替わりに際して、AFM系吸気量演算処理P41で用いる吸気管モデルM2”の吸気管圧力PMAの値を、AFM同期吸気管圧力PMSMの値に置き換えるようにする。
図10に示すように、こうした場合には、脈動大判定中に吸気管圧力PMAの値に誤差が生じた状態となっても、脈動小判定への切り替わりとともに、その値がより適切な値に置き換えられる。そして、これと同時に、脈動大判定中に生じたAFM系吸気量MCAFMの誤差も正される。そのため、脈動大判定から脈動小判定への切り替わり後にも、修正用吸気量MCADJを精度良く演算することができる。なお、エンジン10の吸気通路11に吸気管圧力センサ31が設けられている場合には、脈動大判定から脈動小判定への切り替わりに際して吸気管圧力PMAの値を、吸気管圧力センサ31が検出した吸気管圧力PMに置き換えるようにしてもよい。
(第4実施形態)
第3実施形態のエンジン制御装置では、偏差量演算処理P60において、脈動小判定時にAFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量DEVを演算していた。AFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量DEVは、エアフローメータ13の検出特性、スロットルバルブ14の開度特性などの個体差や経時変化によって変化する。また、エンジン10の運転状態によっても、偏差量DEVの値は変化する。そのため、脈動小判定から脈動大判定への切り替わりの時点での偏差量DEVが適切な値であっても、脈動大判定の継続中にエンジン10の運転領域が変化すれば、偏差量DEVがその運転領域では不適切な値となってしまうことがある。そこで、本実施形態では、エンジン10の運転状態に応じて区分けされた複数の偏差量学習領域ごとに偏差量DEVの学習を行うようにしている。
図11に、本実施形態での偏差量学習領域の設定を示す。同図の線Lは、エンジン10の運転領域におけるエンジン回転数毎の吸気管圧力の最高値を示している。また、同図にハッチングで示される脈動領域は、エアフローメータ13の検出精度の低下を招く程度の大きい吸気脈動が発生するエンジン10の運転領域を示している。同図に示すように、脈動領域は、吸気管圧力が高い運転領域に限定されている。そのため、本実施形態では、吸気管圧力が規定値PMH以上の運転領域を、エンジン回転数NEに応じて区分けすることで、複数(同図の例では5つ)の偏差量学習領域を設定している。
以下の説明では、5つの偏差量学習領域を、エンジン回転数NEの小さい側から順に、偏差量学習領域R[1]、偏差量学習領域R[2]、偏差量学習領域R[3]、偏差量学習領域R[4]、偏差量学習領域R[5]とそれぞれ記載する。また、「i」を1、2、3、4、5のいずれかとしたときの偏差量学習領域R[i]の偏差量DEVの学習値を偏差量学習値DEV[i]と記載する。
図12に、偏差量の学習のため、電子制御ユニット25が実行する偏差量学習ルーチンのフローチャートを示す。電子制御ユニット25は、エンジン10の運転中、規定の制御周期毎に本ルーチンの処理を実行している。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS200において、学習実行条件が成立しているか否かが判定される。そして、学習実行条件が不成立の場合(NO)には、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、学習実行条件は、(イ)偏差量学習領域R[1]~R[5]のいずれかでエンジン10が運転中であること、(ロ)エンジン10の運転条件が変化する過渡時でないこと、(ハ)エンジン10の暖機が完了していること、(ニ)センサやアクチュエータ系に異常がないこと、のすべてが満たされることを成立の要件としている。
学習実行条件が成立している場合(S200:YES)、ステップS210に処理が進められ、そのステップS210において、脈動小判定時であるか否かが判定される。そして、脈動小判定時である場合(YES)にはステップS220に処理が進められ、脈動小判定時でない場合(NO)、すなわち脈動大判定時には、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。
ステップS220に処理が進められると、そのステップS220において、モデル修正量ΔMCから現学習領域の偏差量学習値DEV[i]を引いた差(ΔMC-DEV[i])がずれ量DIの値として演算される。なお、脈動小判定時におけるモデル修正量ΔMCの値は、AFM系吸気量MCAFMからAFM同期吸気量MCSMを引いた差(=MCAFM-MCSM)となっている。
続いて、ステップS230において、エンジン10が現在運転中の偏差量学習領域(以下、現学習領域と記載する)の偏差量学習値DEV[i]の学習が未完了であるか否かが判定される。ここで、現学習領域の偏差量学習値DEV[i]の学習が未完了の場合(YES)にはステップS240に処理が進められ、完了している場合(NO)にはステップS270に処理が進められる。
現学習領域の学習が未完了であり、ステップS240に処理が進められると、そのステップS240において、ずれ量DIの絶対値が規定の収束判定値εを超過しているか否かが判定される。ここで、ずれ量DIの絶対値が収束判定値εを超過した値である場合(S240:YES)には、ステップS250に処理が進められる。これに対して、ずれ量DIの絶対値が収束判定値ε以下の値である場合(S240:NO)には、ステップS260に処理が進められ、そのステップS260において現学習領域の学習の完了を記録した上で、今回の本ルーチンの処理が終了される。
ステップS250に処理が進められると、そのステップS250において、ずれ量DIに応じて現学習領域の偏差量学習値DEV[i]の値の更新が行われた後、今回の本ルーチンの処理が終了される。偏差量学習値DEV[i]の値の更新は、次のように行われる。すなわち、まず、ずれ量DIから更新量ΔDEVの値が求められる。図13に示すように、更新量ΔDEVの値は、ずれ量DIと正負が同じであり、ずれ量DIの絶対値よりも絶対値が小さい値となり、且つずれ量DIの絶対値が大きいときには同ずれ量DIの絶対値が小さいときよりも絶対値が大きい値となるように設定される。そして、更新前の値に更新量ΔDEVを加えた和が更新後の値となるように、現学習領域の偏差量学習値DEV[i]の値が更新される。
これに対して、現学習領域の学習が完了しており(S230:NO)、ステップS270に処理が進められた場合には、そのステップS270において、ずれ量DIの絶対値が規定の乖離判定値ζ以上の値であるか否かが判定される。乖離判定値ζには、収束判定値εよりも大きい値が設定されている。ここで、ずれ量DIの絶対値が乖離判定値ζ未満の場合(NO)にはそのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。一方、ずれ量DIの絶対値が乖離判定値ζ以上の場合(YES)には、ステップS280に処理が進められる。そして、ステップS280において現学習領域の学習状況を完了から未完了に戻した上で、上述のステップS250での偏差量学習値DEV[i]の値の更新が行われる。
なお、第1実施形態や第2実施形態での偏差量演算処理P7においても、同様の偏差量の学習を行うようにしてもよい。この場合には、上記偏差量学習ルーチンのステップS220において、第1吸気量MC1と第2吸気量MC2,MC2*との差から現学習領域の偏差量学習値DEV[i]を引いた差をずれ量DIの値として演算することになる。
(第5実施形態)
第4実施形態では、脈動領域を含む吸気管圧力の高い運転領域(高負荷運転領域)に各偏差量学習領域を設定していたが、エンジン10の高負荷運転領域での運転機会があまり無い場合には、学習の完了に長い時間が必要となる。本実施形態のエンジン制御装置は、そうした場合にも学習をより早く完了できるよう、偏差量学習ルーチンの内容を変更したものとなっている。
図14に、本実施形態での偏差量学習領域の区分け態様を示す。同図の線Lは、エンジン回転数毎の吸気管圧力の最高値を示している。同図に示すように、本実施形態では、第3実施形態と同様の、高負荷運転領域に設定された5つの偏差量学習領域R[1]~R[5]に加え、吸気管圧力が規定値PMH未満の運転領域にも偏差量学習領域R[6]~R[10]を設定している。
図15に、本実施形態のエンジン制御装置において電子制御ユニット25が実行する学習値更新ルーチンのフローチャートを示す。本実施形態では、図12の偏差量学習ルーチンにおいて、ステップS250の処理の代わりに、本ルーチンの処理を実行している。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS251において、上述した10個の偏差量学習領域R[1]~R[10]の全てにおいて偏差量学習値DEV[i]の学習が未完了であるか否かが判定される。ここで、学習が完了した偏差量学習領域が一つでも存在する場合(NO)には、ステップS252に処理が進められ、そのステップS252において、現学習領域の偏差量学習値DEV[i]の値が更新された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、本ルーチンにおけるステップS252での偏差量学習値DEV[i]の値の更新は、第3実施形態におけるステップS250と同様に行われる。
これに対して、全ての偏差量学習領域で偏差量学習値の学習が未完了である場合(S251:YES)にはステップS253に処理が進められる。そして、ステップS253において、全ての偏差量学習領域R[1]~R[10]の偏差量学習値DEV[1]~DEV[10]の値が一斉更新された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。すなわち、ステップS253では、ずれ量DIから更新量ΔDEVが求められた後、その更新量ΔDEVを更新前の値に加えた和が更新後の値となるように、全ての偏差量学習領域R[1]~R[10]の偏差量学習値DEV[1]~DEV[10]の値が一括更新される。
偏差量DEVのうち、エアフローメータ13の検出特性やスロットルバルブ14の開度特性の個体差により生じる分の偏差は、エンジン10の運転領域全体で共通した傾向をもって現れることが多い。本実施形態のエンジン制御装置では、偏差量学習領域R[1]~[10]の何れかで偏差量DEVの学習が完了するまでは、全ての偏差量学習領域R[1]~R[10]の偏差量学習値DEV[1]~DEV[10]の値を一括して更新している。この期間には、偏差量学習領域R[i]を区別せずに一括して、エンジン10の運転領域全体で共通した傾向をもって現れる分の偏差の学習が行われることになる。そしてその後、偏差量学習領域R[i]の間での偏差量DEVの相違分が各々の偏差量学習領域R[i]毎に個別に行われるようになる。そのため、各偏差量学習領域R[1]~R[10]の偏差量DEVの学習に要する期間を短縮できる。
(第6実施形態)
演算方式間の吸気量の演算値の偏差の量は、個体差や経時変化により生じるエンジン10の個々の機体の状態によって変化する。一方、上記偏差には、演算方式の違いにより必然的に生じる部分があり、そうした部分についてはエンジン10の個々の機体の状態に依らず、普遍的に表れるものとなっている。このように、演算方式間の吸気量の演算値の偏差には、エンジン10の個々の機体の状態に依存する部分(以下、機体依存分と記載する)と、依存しない部分(以下、機体非依存分と記載する)とが存在する。そして、そのうちの機体非依存分については、計測等により予め確認しておくことができる。すなわち、複数のエンジン10において、各演算方式の吸気量の演算値の偏差を運転領域毎に測定するとともに、上記複数のエンジンの運転領域毎の測定値の平均を取ることで、各運転領域における機体非依存分の量を求めることができる。
本実施形態では、そうした運転領域毎の偏差の機体非依存分の量をマップ化したもの(以下、シフト補正マップと記載する)を電子制御ユニット25のメモリ27に予め記憶しておくようにいる。シフト補正マップには、エンジン回転数NE及びエンジン負荷と、上記偏差の機体非依存分の量との関係が記憶されている。なお、エンジン負荷の指標値としては、吸気管圧力、スロットル開度TA、負荷率などを用いることができる。負荷率とは、吸気量を最大吸気量に対する比率として表した値であり、最大吸気量は、現在のエンジン回転数NEにおいてスロットル開度TAを最大とした状態でエンジン10を定常運転したときの吸気量を表している。本実施形態では、エンジン負荷の指標値として吸気管圧力を用いてシフト補正マップを構成した場合を例として説明する。
シフト補正マップは、図16に示すようにエンジン回転数NEにより区分けされた複数(同図の例では15個)のシフト補正領域毎にそれぞれ個別に用意されている。図17に示すように、各シフト補正領域のシフト補正マップには、予め計測等で求めた該当シフト補正領域における機体非依存分の量と吸気管圧力との関係が、シフト補正量SFTとAFM同期吸気管圧力PMSMとの関係として記憶されている。そして、本実施形態では、こうしたシフト補正量SFTを、偏差量学習値DEV[i]の更新量ΔDEVの演算、及び補正後AFM同期吸気量MCSM*の演算に適用している。
図18に、本実施形態における偏差量学習値DEV[i]の更新量ΔDEVの演算に係る処理の流れを示す。なお、同図の処理は、第4実施形態のエンジン制御装置における偏差量学習ルーチン(図12)のステップS220、ステップS250の処理に対応している。
更新量ΔDEVの演算に際してはまず、修正用吸気量MCADJからAFM同期吸気量MCSMを引いた差がモデル修正量ΔMCの値として求められる。なお、更新量ΔDEVの演算が行われるのは脈動小判定時であり(図12参照)、このときの修正用吸気量演算処理P40はAFM系吸気量MCAFMを修正用吸気量MCADJの値として設定している。
第4実施形態では、このモデル修正量ΔMCから更新前の偏差量学習値DEV[i]を引いた差をずれ量DIとして求め、そのずれ量DIに基づき更新量ΔDEVの値を演算していた。これに対して本実施形態では、モデル修正量ΔMCからシフト補正量SFTを引き、更に偏差量学習値DEV[i]の更新前の値を引いた差(=ΔMC-SFT-DEV[i])をずれ量DIの値として求めている。シフト補正量SFTは、シフト補正量演算処理P70により演算される。シフト補正量演算処理P70では、エンジン回転数NE及びAFM同期吸気管圧力PMSMに基づき、シフト補正マップを用いてシフト補正量SFTの値を演算している。そして、第4実施形態の場合と同様に図13に示す関係を満たすように、ずれ量DIから更新量ΔDEVの値が演算されている。
図19に、本実施形態における補正後AFM同期吸気量MCSM*の演算に係る処理の流れを示す。同図に示すように本実施形態では、AFM同期吸気量MCSM、偏差量学習値DEV[i]、及びシフト補正量演算処理P70により演算したシフト補正量SFTの3値を加えた和が補正後AFM同期吸気量MCSM*の値として演算されている。
こうした本実施形態では、AFM系吸気量MCAFM、AFM同期吸気量MCSM間の偏差の機体非依存分が、シフト補正量SFTによる補正により予め織り込まれた状態で偏差量学習値DEV[i]の学習が行われる。そのため、偏差量学習値DEV[i]には、上記偏差のうち、機体依存分だけを学習すればよいことになる。したがって、本実施形態では、偏差量学習値DEV[i]の学習を早期に完了することができる。
(第7実施形態)
演算方式間の吸気量の演算値の偏差量DEVは、吸気の温度や圧力などの環境条件によっても変化する。そのため、環境条件の異なった状態で学習を行えば、その学習の結果にばらつきが生じてしまうことになる。そこで、本実施形態では、環境条件による学習精度の低下を抑えるための環境補正を行っている。なお、吸気温度THA、外気温、エンジン水温、エンジン油温、吸気ポート18の壁面温度などの温度条件や、大気圧PAやサージタンク圧、過給エンジンにおける過給圧などの圧力条件が上記のような環境条件に該当する。本実施形態では、吸気温度THAに応じた環境補正を行う場合を例に説明する。
本実施形態のエンジン制御装置では、吸気温度THAに応じた環境補正のための環境補正係数ENVを演算するための環境補正係数演算処理P80(図21、22参照)を行っている。環境補正係数演算処理P80では、吸気温度THAに応じて環境補正係数ENVが演算される。
吸気温度THA毎の環境補正係数ENVの値は、次のような測定結果に基づき、予め定められている。すなわち、複数のエンジン10において、吸気温度THA以外の条件を一定とした状態で、吸気温度THAを変化させながらAFM系吸気量MCAFMとAFM同期吸気量MCSMとの偏差を測定する。そして、各エンジン10の吸気温度THA毎の測定値の平均から、環境補正係数ENVの値が定められている。
図20に、上記測定における各エンジン10のAFM系吸気量MCAFM及びAFM同期吸気量MCSMの平均値と吸気温度THAとの関係を示す。ここで、吸気温度THAが既定の基準温度THA0であるときのAFM系吸気量MCAFM及びAFM同期吸気量MCSMの平均値の偏差量を基準偏差量ΔSTとする。このときの各吸気温度THAにおけるAFM系吸気量MCAFM及びAFM同期吸気量MCSMの平均値の偏差量を基準偏差量ΔSTで割った商が、各吸気温度THAにおける環境補正係数ENVの値として設定されている。
図21に、本実施形態における偏差量学習値DEV[i]の更新量ΔDEVの演算に係る処理の流れを示す。なお、同図の処理は、第4実施形態のエンジン制御装置における偏差量学習ルーチン(図12)のステップS220、ステップS250の処理に対応している。
更新量ΔDEVの演算に際してはまず、修正用吸気量MCADJからAFM同期吸気量MCSMを引いた差がモデル修正量ΔMCの値として求められる。なお、更新量ΔDEVの演算が行われるのは脈動小判定時であり(図12参照)、このときの修正用吸気量演算処理P40はAFM系吸気量MCAFMを修正用吸気量MCADJの値として設定している。
本実施形態では、モデル修正量ΔMCを環境補正係数ENVで割った商から偏差量学習値DEV[i]の更新前の値を引いた差(=ΔMC/ENV-DEV[i])が、ずれ量DIの値として求められる。そして、図13に示す関係を満たすように、ずれ量DIから更新量ΔDEVの値が演算される。
図22に、本実施形態における補正後AFM同期吸気量MCSM*の演算に係る処理の流れを示す。同図に示すように本実施形態では、偏差量学習値DEV[i]に環境補正係数ENVを掛けた積に、AFM同期吸気量MCSMを加えた和(=MCSM+DEV[i]×ENV)を、補正後AFM同期吸気量MCSM*の値として演算している。
更新量ΔDEVの演算は、脈動小判定時に行われ、その脈動小判定時のモデル修正量ΔMCの値は、AFM系吸気量MCAFMに対するAFM同期吸気量MCSMの偏差量となる。また、更新量ΔDEVの演算では、モデル修正量ΔMCを環境補正係数ENVで除算していたが、補正後AFM同期吸気量MCSM*の演算では、モデル修正量ΔMCに環境補正係数ENVを乗算している。ここで、更新量ΔDEVの演算時におけるモデル修正量ΔMCに対する環境補正係数ENVの補正を環境補正とする。このときの補正後AFM同期吸気量MCSM*の演算時における偏差量学習値DEV[i]に対する環境補正係数ENVの補正は、上記環境補正の逆補正となる。このように本実施形態では、偏差量演算処理P60における偏差量の学習は、エンジン10の環境条件に応じた環境補正を偏差量(モデル修正量ΔMC)に施した値に基づいて偏差量学習値DEV[i]の値を更新することで行われている。そして、偏差量学習値DEV[i]に対して上記環境補正の逆補正を施した値を偏差量DEVの値として用いて補正後AFM同期吸気量MCSM*が演算されている。
こうした本実施形態では、環境補正により、吸気温度THAによる偏差量DEVの変化分が予め反映された状態で偏差量学習値DEV[i]の学習が行われる。そのため、環境条件(吸気温度THA)の違いによる偏差量DEVのばらつきが偏差量学習値DEV[i]に反映されにくくなり、学習精度が向上する。
なお、図23に示す態様で、偏差量学習値DEV[i]の更新を行うようにしてもよい。同図の場合、モデル修正量ΔMCから偏差量学習値DEV[i]の更新前の値を引いた差がずれ量DIの値として求められ、そのずれ量DIから更新量ΔDEVが演算される。そして、偏差量学習値DEV[i]の更新前の値に更新量ΔDEVを加えた和を、環境補正係数ENVで除算した商が更新後の値となるように、偏差量学習値DEV[i]の値を更新する。
外気温、エンジン水温、エンジン油温、吸気ポート18の壁面温度、大気圧PA、サージタンク圧、過給エンジンにおける過給圧などの、エンジン10の環境条件となる吸気温度THA以外の状態量に基づき環境補正を行うようにしてもよい。また、複数の状態に基づき環境補正を行うようにしてもよい。そうした場合の図21~図22における環境補正係数ENVの値は、各状態量の環境補正係数のそれぞれを乗算した積となる。
以上説明した各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第6実施形態におけるシフト補正量演算処理P70では、エンジン回転数NEと吸気管圧力(AFM同期吸気管圧力PMSM)とに基づいてシフト補正量SFTを演算していた。こうしたシフト補正量演算処理P70において、スロットル開度TAや負荷率などのエンジン10の負荷の指標値となる他のパラメータを吸気管圧力の代わりに用いてシフト補正量SFTを演算するようにしてもよい。
・第7実施形態では、偏差量学習値DEV[i]の更新量ΔDEVの演算に際してのモデル修正量ΔMCを対象としたエンジン10の環境条件に応じた環境補正を、環境補正係数ENVの除算により行うようにしていた。こうした環境補正を、エンジン10の環境条件に応じて設定した補正量ENV*をモデル修正量ΔMCから減算することで行うようにしてもよい。なお、この場合には、補正後AFM同期吸気量MCSM*の演算時における偏差量学習値DEV[i]の補正は、上記環境補正の逆補正となるように、すなわち偏差量学習値DEV[i]に補正量ENV*を加算することで行われることになる。ちなみに、図20に示した吸気温度THAと偏差量との関係に基づく環境補正を行う場合、次のように補正量ENV*を設定するとよい。すなわち、この場合には、各吸気温度THAにおけるAFM系吸気量MCAFM及びAFM同期吸気量MCSMの平均値の偏差量を基準偏差量ΔSTで引いた差を、各吸気温度THAにおける環境補正係数ENVの値として設定するとよい。
・判定処理P6,P50では、AFM検出吸気量GAから演算した脈動率RTEに基づき、吸気脈動が大きい状態にあるか否かの判定を行っていたが、同判定をそれ以外の方法で行うようにしてもよい。例えば、最大値GMAXから最小値GMINを引いた差が規定の判定値以上であるか否かにより上記判定を行う、エンジン10の運転状態(エンジン回転数NE、推定吸気量など)に基づいて上記判定を行う、といった方法でも吸気脈動が大きい状態にあるか否かを判定できる。
・第4実施形態、第5実施形態のエンジン制御装置における偏差量学習領域の設定態様は、例示したものに限らず適宜変更してもよい。
・第3~第7実施形態のエンジン制御装置は、エアモデルを過給エンジンに対応したものに置き換えることで過給エンジンに適用することができる。
10…エンジン、11…吸気通路、12…エアクリーナ、13…エアフローメータ、14…スロットルバルブ、15…スロットルモータ、16…スロットルセンサ、17…吸気マニホールド、18…吸気ポート、19…燃焼室、20…インジェクタ、21…点火プラグ、22…クランクシャフト、23…吸気弁、24…排気弁、25…電子制御ユニット(エンジン制御装置)、26…演算処理回路、27…メモリ、28…吸気温度センサ、29…大気圧センサ、30…クランク角センサ、P1…吸気量演算処理、P2…噴射量決定処理、P3…インジェクタ駆動処理、P4…第1吸気量演算処理、P5…第2吸気量演算処理、P6,P50…判定処理、P7,P60…偏差量演算処理、P10…吸気量推定処理、P20…TA系吸気量演算処理、P30…TASM系吸気量演算処理(第2吸気量演算処理)、P40…修正用吸気量演算処理(吸気量演算処理)、P41…AFM系吸気量演算処理(第1吸気量演算処理)。

Claims (6)

  1. エンジンの吸気量を演算するとともに、前記吸気量の演算値に基づき燃料噴射量を決定してインジェクタの燃料噴射制御を行うエンジン制御装置において、
    エアフローメータの吸気流量の検出値に基づいて前記吸気量を演算する第1吸気量演算処理と、
    前記吸気流量の検出値を用いずに、吸気管圧力の検出値、及びスロットル開度のうちのいずれか一方に基づいて前記吸気量を演算する第2吸気量演算処理と、
    前記エンジンの高負荷運転時であって前記エンジンの吸気通路内の吸気脈動が大きい状態にあるか否かを判定する判定処理と、
    前記第1吸気量演算処理による前記吸気量の演算値を第1吸気量とするとともに、前記第2吸気量演算処理による前記吸気量の演算値を第2吸気量としたとき、前記判定処理において前記吸気脈動が大きい状態にないと判定されているときに前記第1吸気量に対する前記第2吸気量の偏差量を演算する偏差量演算処理と、
    前記判定処理において前記吸気脈動が大きい状態にないと判定されているときには前記第1吸気量を前記吸気量の演算値として設定するとともに、前記判定処理において前記吸気脈動が大きい状態にあると判定されているときには前記第2吸気量に前記偏差量を加えた和である補正後第2吸気量を前記吸気量の演算値として設定する演算方式切替処理と、
    を行い、
    前記偏差量演算処理において、前記エンジンの運転状態に応じて区分けされた複数の偏差量学習領域ごとに前記偏差量の学習値である偏差量学習値の学習を行い、
    前記偏差量学習領域は、前記吸気管圧力が規定値以上の運転領域を、エンジン回転数に応じて区分けしたものである
    エンジン制御装置。
  2. 前記偏差量演算処理における前記偏差量の学習は、前記複数の偏差量学習領域のいずれにおいても前記偏差量の学習が完了していない場合には前記複数の偏差量学習領域のそれぞれの前記偏差量学習値を一括して更新し、且つ前記複数の偏差量学習領域のいずれかにおいて前記偏差量の学習が完了している場合には前記エンジンが現在運転中の偏差量学習領域の前記偏差量学習値のみを更新することで行われる
    請求項1に記載のエンジン制御装置。
  3. 前記偏差量学習領域ごとの前記吸気量の演算値の偏差のうち、前記エンジンの個々の機体の状態に依存しない機体非依存分を示す量をシフト補正量としたとき、
    前記偏差量演算処理における前記偏差量の学習は、前記エンジンの回転数及び同エンジンの負荷に応じて演算した前記シフト補正量を前記偏差量から引いた差に基づき前記偏差量学習値の値を更新することで行われており、
    且つ前記補正後第2吸気量は、前記偏差量学習値に前記シフト補正量を加えた和を前記偏差量の値として用いて演算されている
    請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
  4. 前記偏差量演算処理における前記偏差量の学習は、前記エンジンの環境条件に応じた環境補正係数を前記偏差量に除算した値に基づいて前記偏差量学習値の値を更新することで行われており、
    且つ前記補正後第2吸気量は、前記偏差量学習値に前記環境補正係数を乗算した値を前記偏差量の値として用いて演算されている
    請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
  5. 前記偏差量演算処理における前記偏差量の学習は、前記エンジンの環境条件に応じた環境補正量を前記偏差量に減算した値に基づいて前記偏差量学習値の値を更新することで行われており、
    且つ前記補正後第2吸気量は、前記偏差量学習値に前記環境補正量を加算した値を前記偏差量の値として用いて演算されている
    請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
  6. 前記エアフローメータの前記吸気流量の検出値から前記吸気管圧力の時間当りの変化量を演算するとともに、同変化量に応じて値を更新していくことで前記吸気管圧力を演算する吸気管モデルを備えており、
    前記第1吸気量演算処理での前記第1吸気量の演算は、前記吸気管モデルにより演算した前記吸気管圧力を用いて行われ、
    且つ前記吸気脈動が大きい状態にあるとの判定から前記吸気脈動が大きい状態にないとの判定へと前記判定処理の判定が切り替わったときに、前記吸気管モデルの前記吸気管圧力の演算値を、同吸気管圧力の検出値、又は前記スロットル開度に基づく同吸気管圧力の推定値に置き換えるようにした
    請求項1~5の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
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