JP7375630B2 - ガラス材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、無容器浮遊法によるガラス材の製造方法に関する。
近年、ガラス材の製造方法として、無容器浮遊法に関する研究がなされている。例えば、特許文献1には、ガス浮遊炉で浮遊させたバリウムチタン系強誘電体の試料にレーザービームを照射して加熱溶融した後に、冷却することにより、バリウムチタン系強誘電体の試料をガラス化させる方法が記載されている。このように、無容器浮遊法では、容器の壁面との接触に起因する結晶化の進行を抑制できるため、従来の容器を用いた製造方法ではガラス化させることができなかった材料であってもガラス化し得る場合がある。従って、無容器浮遊法は、新規な組成を有するガラス材を製造し得る方法として注目に値すべき方法である。
また、特許文献2には、原料バッチの溶融物を冷却して得られた結晶の塊をガラス原料塊として用いて、無容器浮遊法によりガラス材を製造する方法が開示されている。特許文献2では、上記原料バッチの溶融が、坩堝などの容器を用いて行われている。
特開2006-248801号公報 特開2015-059074号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の製造方法では、得られたガラス材に欠陥が生じ易く、均質なガラス材を得ることが難しいという問題がある。
本発明の目的は、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を得ることができる、ガラス材の製造方法を提供することにある。
本発明に係るガラス材の製造方法は、ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱することにより、前記ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る工程と、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程と、前記結晶塊を浮遊させた状態で加熱融解することにより第2の溶融ガラスを得て、該第2の溶融ガラスを冷却することにより、ガラス材を得る工程と、を備えることを特徴としている。
本発明においては、前記ガラス原料塊にレーザー光を照射することにより、前記ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させることが好ましい。
本発明においては、成形型の成形面に開口するガス噴出孔からガスを噴出させることにより、前記成形面の上方に前記ガラス原料塊を浮遊させて保持することが好ましい。
本発明においては、前記第1の溶融ガラスを浮遊させた状態で結晶化させ結晶塊を得ることが好ましい。
本発明においては、前記ガラス原料塊の一部を加熱融解させ未融解部を残存させることにより、結晶核を形成してもよい。
本発明においては、前記ガラス原料塊の90%以上を加熱融解させることが好ましい。
本発明においては、前記ガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下まで徐々に冷却することにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明においては、前記ガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスを冷却し、前記第1の溶融ガラスのガラス転移温度以上、前記第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下の温度で保持することにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明においては、前記ガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後、冷却する際に、前記第1の溶融ガラスを前記成形型の前記成形面に接触させることにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明においては、第1のガラス原料塊を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、該溶融ガラスを冷却することにより得られたガラス材を第2のガラス原料塊として用い、前記第2のガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱することにより、前記第2のガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させた前記第1の溶融ガラスを得てもよい。
本発明においては、前記第2のガラス原料塊の一部を加熱融解させ未融解部を残存させることにより、結晶核を形成してもよい。
本発明においては、前記第2のガラス原料塊の70%以上を加熱融解させることが好ましい。
本発明においては、前記第2のガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後に、該第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下まで徐々に冷却することにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明においては、前記第2のガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスを冷却し、前記第1の溶融ガラスのガラス転移温度以上、前記第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下の温度で保持することにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明においては、前記第2のガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後、冷却する際に、前記第1の溶融ガラスを成形型の成形面に接触させることにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明においては、前記ガラス原料塊を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスを冷却することにより得られた中間体ガラス材を、該中間体ガラス材のガラス転移温度以上、かつ、中間体ガラス材が融解し始める温度未満の温度で保持することにより、結晶化させ結晶塊を得てもよい。
本発明によれば、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を得ることができる、ガラス材の製造方法を提供することができる。
本発明のガラス材の製造方法で用いる一例としての製造装置を示す模式的断面図である。 図1のガラス材の製造装置における成形面の一部分の略図的平面図である 本発明の第1の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明のガラス材の製造方法で得られたガラス材の一例を示す写真である。 本発明の第2の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第2の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第3の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第3の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第4の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第5の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第6の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第6の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第7の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第7の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第8の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第9の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明の第9の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。 本発明のガラス材の製造方法で用いる他の例としての製造装置を示す模式的断面図である。 比較例におけるレーザー出力のタイムチャートである。 比較例の製造方法で得られたガラス材における失透物の一例を示す写真である。 比較例の製造方法で得られたガラス材における泡の一例を示す写真である。 比較例の製造方法で得られたガラス材における脈理の一例を示す写真である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
[第1の実施形態]
本実施形態では、通常のガラス材をはじめ、例えば、網目形成酸化物を含まないような、容器を用いた溶融法によってはガラス化しない組成を有するガラス材であっても好適に製造し得る方法について説明する。本実施形態の方法によれば、具体的には、例えば、チタン酸バリウム系ガラス材、ランタン-ニオブ複合酸化物系ガラス材、ランタン-ニオブ-アルミニウム複合酸化物系ガラス材、ランタン-ニオブ-タンタル複合酸化物系ガラス材、ランタン-タングステン複合酸化物系ガラス材、ランタン-ニオブ-ガリウム複合酸化物系ガラス材、ランタン-チタン-ジルコニウム複合酸化物系ガラス材等を好適に製造し得る。
図1は、本発明のガラス材の製造方法で用いる一例としての製造装置を示す模式的断面図である。図1に示すように、ガラス材の製造装置1は、成形型2を有する。成形型2は、成形面2aを有する。成形面2aは、曲面である。具体的には、成形面2aは、球面状である。
成形型2は、成形面2aに開口しているガス噴出孔2bを有する。図2に示すように、ガラス材の製造装置1では、ガス噴出孔2bが複数設けられている。具体的には、複数のガス噴出孔2bは、成形面2aの中心から放射状に配列されている。
なお、成形型2は、連続気孔を有する多孔質体により構成されていてもよい。この場合、ガス噴出孔2bは、連続気孔により構成される。
ガス噴出孔2bは、ガスボンベなどのガス供給機構3に接続されている。このガス供給機構3からガス噴出孔2bを経由して、成形面2aにガスが供給される。これにより、ガラス原料塊などの浮遊対象物4を浮遊させることができる。
ガスの種類は、特に限定されない。ガスは、例えば、空気や酸素であってもよいし、窒素ガスやアルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスであってもよい。
次に、製造装置1を用いたガラス材の製造方法について説明する。本実施形態では、成形型2の成形面2aに開口するガス噴出孔2bからガスを噴出させることにより、浮遊対象物4としてのガラス原料塊を成形面2a上で浮遊させる。すなわち、浮遊対象物4としてのガラス原料塊が成形面2aに接触していない状態で、ガラス原料塊を保持する。
ガラス原料塊は、例えば、ガラス材の原料粉末をプレス成形等により一体化したもの、ガラス材の原料粉末をプレス成形等により一体化した後に焼結させた焼結体、目標ガラス組成と同等の組成を有する結晶の集合体等が挙げられる。また、ガラス原料塊の形状は、特に限定されず、例えば、レンズ状、球状、円柱状、多角柱状、直方体状、楕球状等とすることができる。
次に、浮遊対象物4としてのガラス原料塊を浮遊させた状態で、レーザー光照射装置5からレーザー光を照射することにより、ガラス原料塊の一部を加熱融解して第1の溶融ガラスを得る。次に、第1の溶融ガラスを浮遊させた状態で冷却することにより、第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る。なお、結晶塊は、完全な(結晶化度が実質的に100%である)結晶塊であることが、欠陥がより少なく均質性により優れたガラス材を得る上で好ましいが、結晶塊中に一部ガラス相が残存していてもよい。本実施形態では、未融解部を有する第1の溶融ガラスを冷却するので、未融解部を結晶核として作用させ、結晶塊を得ることができる。次に、結晶塊を浮遊させた状態で加熱融解することにより第2の溶融ガラスを得る。続いて、第2の溶融ガラスを冷却することにより、ガラス材を得ることができる。
なお、本発明において、ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解することにより得られた溶融ガラスを「第1の溶融ガラス」といい、結晶塊を加熱融解することにより得られた溶融ガラスを「第2の溶融ガラス」という。従って、後述する実施形態に示すように、本発明の製造方法に従って得られたガラス材をガラス原料とし、当該ガラス原料の少なくとも一部を加熱融解することにより得られた溶融ガラスについても、「第1の溶融ガラス」という。また、そのようにして得られた第1の溶融ガラスを結晶化して得られた結晶塊を加熱融解することにより得られた溶融ガラスについても、「第2の溶融ガラス」という。
図3は、第1の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、ガラス原料塊を浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図3に示すように、ガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。ここで、Pm1より高い出力までレーザー光の出力を増加させても構わない。次に、モニターで観察しながら、ガラス原料塊全体が融解する前にレーザー光の照射を停止することにより、ガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを冷却する。これにより、第1の溶融ガラスを、未融解部を結晶核として結晶化させ結晶塊を得る。次に、得られた結晶塊に再度レーザー光を照射し、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。結晶塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射した後、レーザー光の照射を停止させる。これにより、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得ることができる。
このように、本実施形態の製造方法では、ガラス原料塊、ガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経て、ガラス材が製造されている。特に、ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解した第1の溶融ガラスを結晶化させることにより得られた結晶塊を経て、この結晶塊を再度加熱融解し冷却することによりガラス材を得ている。そのため、本実施形態のガラス材の製造方法では、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を得ることができる。
従来、図19に示す比較例におけるレーザー出力のタイムチャートのように、ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解することにより溶融ガラスを得て、該溶融ガラスを冷却することによりガラス材を得る方法では、得られたガラス材に失透物、泡、脈理などの欠陥が生じ易く、均質なガラス材を得ることが難しいという問題があった。また、坩堝などの容器を用いて原料バッチを溶融した溶融物を冷却することにより得られた結晶の塊をガラス原料塊として、無容器浮遊法によりガラス材を製造する方法においても、均質なガラス材を得ることが難しいという問題があった。坩堝などの容器を用いて原料バッチを溶融する場合、撹拌ができない(撹拌しようとすると、撹拌部材を起点として溶融ガラスが結晶化して固化してしまう)ことや、高温により一部の成分が蒸発することなどが原因であると考えられる。なお、このような従来の製造方法で生じる欠陥の例を図20~図22に示す。図20は失透物の一例であり、図21は泡の一例であり、図22は脈理の一例である。
これに対して、本発明者らは、ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解した第1の溶融ガラスを結晶化させることにより得られた結晶塊を経て、この結晶塊を再度加熱融解し冷却することによりガラス材を得ることによって、図4に一例として示すように、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を製造し得ることを見出した。
なお、本実施形態では、ガラス原料塊からガラス材を製造するまでの間、浮遊状態が保持されているが、ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させる工程、及び結晶塊を加熱融解し第2の溶融ガラスを得て冷却固化する工程において浮遊状態が保持されていればよい。もっとも、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を得る観点からは、第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程においても、浮遊状態が保持されていることが好ましい。また、本実施形態では、冷却に際しレーザー光の照射を瞬時に停止させているが、レーザー出力を漸減させてもよい。
また、得られたガラス材をガラス原料塊(中間体ガラス材)として、ガラス原料塊、ガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経てガラス材を製造する第1の実施形態の製造工程を再度繰り返してもよい。また、欠陥が少なくなるよう、この操作を複数回繰り返してもよい。これにより、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を確実に得ることができる。
[第2~4の実施形態]
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、ガラス原料塊を浮遊させた状態で、図5に示すように、ガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、ガラス原料塊全体が加熱融解するまでその出力を保持することにより、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る。次に、第1の溶融ガラスが失透(固化)する出力Pm2まで、レーザー光の出力を漸減させることにより、第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下まで徐々に冷却し、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。そして、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得た後、一旦レ-ザーの出力を低下させ、照射を停止させる。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射し出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、第2の実施形態では、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得ること、及び第1の溶融ガラスを結晶化させる方法が異なること以外は、第1の実施形態と同様である。
また、図6は、第2の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。第2の実施形態の変形例では、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊になったことをモニターで確認(図中、点P)した後、レーザー光の照射を停止させずに、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させて結晶塊を加熱融解する。その他の点は、第2の実施形態と同様である。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、ガラス原料塊を浮遊させた状態で、図7に示すように、ガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、ガラス原料塊全体が加熱融解するまでその出力で保持することにより、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る。次に、レーザー光の出力を、第1の溶融ガラスがガラス転移温度以上となる出力以上、第1の溶融ガラスが失透(固化)する出力Pm2以下まで低下させその出力で保持する。それによって、第1の溶融ガラスの温度を、第1の溶融ガラスのガラス転移温度以上、第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下の温度まで低下させその温度で保持することにより、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。そして、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得た後、一旦レ-ザーの照射を停止させる。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射し出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得ること、及び第1の溶融ガラスを結晶化させる方法が異なること以外は、第1の実施形態と同様である。
また、図8は、第3の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。第3の実施形態の変形例では、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊になったことをモニターで確認(図中、点P)した後、レーザー光の照射を停止させずに、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させて結晶塊を加熱融解する。その他の点は、第3の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、ガラス原料塊を浮遊させた状態で、図9に示すように、ガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、ガラス原料塊全体が加熱融解するまでその出力で保持することにより、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る。次に、レーザー光の照射を停止させることにより、加熱融解させた第1の溶融ガラスを冷却する。そして、この冷却工程において、例えば、ガスの供給量を低減して、第1の溶融ガラスを成形型2の成形面2aに接触させることにより、接触箇所を起点として第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射し出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得ること、及び第1の溶融ガラスを結晶化させる方法が異なること以外は、第1の実施形態と同様である。
第2~第4の実施形態の製造方法では、ガラス原料塊、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経て、ガラス材が製造されている。特に、ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解した第1の溶融ガラスを結晶化させることにより得られた結晶塊を経て、該結晶塊を再度加熱融解し、冷却することによりガラス材を得ている。そのため、本実施形態のガラス材の製造方法においても、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を得ることができる。
なお、第2~第4の実施形態においても、ガラス原料塊からガラス材を製造するまでの間、浮遊状態が保持されているが、ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させる工程、及び結晶塊を加熱融解し第2の溶融ガラスを得て冷却固化する工程において浮遊状態が保持されていればよい。もっとも、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を得る観点からは、第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程においても、浮遊状態が保持されていることが好ましい。
また、第2~第4の実施形態では、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを結晶化させているが、第1の実施形態のようにガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを結晶化させてもよい。もっとも、本発明においては、ガラス原料塊の90%以上を加熱融解させることが好ましく、ガラス原料塊の95%以上を加熱融解させることがより好ましく、ガラス原料塊の99%以上を加熱融解させることが特に好ましい。これにより、欠陥がより少なく、均質性により優れるガラス材を確実に得ることができる。
また、第2及び第3の実施形態のように、結晶塊を形成した後、一旦レーザー光の照射を停止させてもよいし、変形例のように、結晶塊が形成したことを確認してそのままレーザー光の出力を増加させてもよい。なお、変形例のように、結晶塊が形成したことを確認してそのままレーザー光の出力を増加させる場合は、製造コストを低く抑えることができる。
また、得られたガラス材をガラス原料塊(中間体ガラス材)として、ガラス原料塊、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経てガラス材を製造する第2~第4の実施形態の製造工程を再度繰り返してもよい。また、欠陥が少なくなるよう、この操作を複数回繰り返してもよい。これにより、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材をより一層確実に得ることができる。
[第5の実施形態]
図10は、本発明の第5の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、第1のガラス原料塊を浮遊対象物4として浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図10に示すように、第1のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。第1のガラス原料塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射して溶融ガラスとした後、レーザー光の照射を停止させて溶融ガラスを冷却し、ガラス材(中間体ガラス材)を得る。
次に、得られたガラス材を第2のガラス原料塊として浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図10に示すように、第2のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、モニターで観察しながら、第2のガラス原料塊全体を融解させる前にレーザー光の照射を停止することにより、第2のガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを冷却する。これにより、第1の溶融ガラスを、未融解部を結晶核として結晶化させ結晶塊を得る。次に、得られた結晶塊に再度レーザー光を照射し、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。結晶塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射した後、レーザー光の照射を停止させ、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、第5の実施形態は、一旦ガラス化した中間体ガラス材をガラス原料塊として用いること以外は、第1の実施形態と同様である。
第5の実施形態の製造方法では、第1のガラス原料塊、溶融ガラス、中間体ガラス材(第2のガラス原料塊)、第2のガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経て、ガラス材が製造されている。特に、第2のガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解した第1の溶融ガラスを結晶化させることにより得られた結晶塊を経て、該結晶塊を再度加熱融解し、冷却することによってガラス材を得ている。そのため、第1のガラス原料塊をガラス化した際に得られた中間体ガラス材に欠陥が生じ均質なガラス材が得られなかった場合においても、その中間体ガラス材を第2のガラス原料塊として結晶化させ再度ガラス化することにより、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を得ることができる。
なお、本実施形態では、第1のガラス原料塊から最終的なガラス材を製造するまでの間、浮遊状態が保持されているが、第2のガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させる工程、及び結晶塊を加熱融解して第2の溶融ガラスを得て冷却固化する工程において浮遊状態が保持されていればよい。もっとも、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を得る観点からは、第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程などの他の工程においても、浮遊状態が保持されていることが好ましい。
また、本実施形態では、第1のガラス原料塊をガラス化して得られたガラス材を第2のガラス原料塊として再度ガラス化しているが、得られたガラス材をさらに第3のガラス原料塊(中間体ガラス材)として、第3のガラス原料塊、第3のガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラス、ガラス材の順に製造する第5の実施形態の製造工程を再度繰り返してもよい。また、欠陥が少なくなるよう、この操作を複数回繰り返してもよい。これにより、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を確実に得ることができる。
[第6~第8の実施形態]
(第6の実施形態)
図11は、本発明の第6の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、第1のガラス原料塊を浮遊対象物4として浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図11に示すように、第1のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。第1のガラス原料塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射して溶融ガラスとした後、レーザー光の照射を停止させて溶融ガラスを冷却し、ガラス材(中間体ガラス材)を得る。
次に、得られたガラス材を第2のガラス原料塊として浮遊させた状態で、図11に示すように、ガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、第2のガラス原料塊全体が加熱融解するまでその出力で保持することにより、第2のガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る。次に、第1の溶融ガラスが失透(固化)する出力Pm2まで、レーザー光の出力を漸減させることにより、第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下まで徐々に冷却し、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。そして、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得た後、一旦レ-ザーの出力を低下させ、照射を停止させる。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射し出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、第6の実施形態は、一旦ガラス化した中間体ガラス材をガラス原料塊として用いること以外は、第2の実施形態と同様である。
また、図12は、第6の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。第6の実施形態の変形例では、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊になったことをモニターで確認(図中、点P)した後、レーザー光の出力を停止させずに、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させて結晶塊を加熱融解する。その他の点は、第6の実施形態と同様である。
(第7の実施形態)
図13は、本発明の第7の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、第1のガラス原料塊を浮遊対象物4として浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図13に示すように、第1のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。第1のガラス原料塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射して溶融ガラスとした後、レーザー光の照射を停止させて溶融ガラスを冷却し、ガラス材(中間体ガラス材)を得る。
次に、得られたガラス材を第2のガラス原料塊として浮遊させた状態で、図13に示すように、第2のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、第2のガラス原料塊全体が加熱融解するまでその出力で保持することにより、第2のガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る。次に、レーザー光の出力を、第1の溶融ガラスがガラス転移温度以上となる出力以上、第1の溶融ガラスが失透(固化)する出力Pm2以下まで低下させその出力で保持する。それによって、第1の溶融ガラスを、第1の溶融ガラスのガラス転移温度以上、第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下の温度まで低下させその温度で保持することにより、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。そして、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得た後、一旦レ-ザー光の照射を停止させる。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射し出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、第7の実施形態は、一旦ガラス化した中間体ガラス材をガラス原料塊として用いること以外は、第3の実施形態と同様である。
また、図14は、第7の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。第7の実施形態の変形例では、第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊になったことをモニターで確認(図中、点P)した後、レーザー光の照射を停止させずに、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させて結晶塊を加熱融解する。その他の点は、第7の実施形態と同様である。
(第8の実施形態)
図15は、本発明の第8の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、第1のガラス原料塊を浮遊対象物4として浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図15に示すように、第1のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。第1のガラス原料塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射して溶融ガラスとした後、レーザー光の照射を停止させて溶融ガラスを冷却し、ガラス材(中間体ガラス材)を得る。
次に、得られたガラス材を第2のガラス原料塊として浮遊させた状態で、図15に示すように、第2のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。次に、第2のガラス原料塊全体が加熱融解するまでその出力で保持することにより、ガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る。次に、レーザー光の照射を停止してレーザー光の出力を低下させることにより、加熱融解させた第1の溶融ガラスを冷却する。そして、この冷却工程において、例えばガスの供給量を低減して、第1の溶融ガラスを成形型2の成形面2aに接触させることにより、接触箇所を起点として第1の溶融ガラスを結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射し出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、第8の実施形態は、一旦ガラス化した中間体ガラス材をガラス原料塊として用いること以外は、第4の実施形態と同様である。
第6~第8の実施形態の製造方法では、第1のガラス原料塊、溶融ガラス、中間体ガラス材(第2のガラス原料塊)、第2のガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経て、ガラス材が製造されている。特に、第2のガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解した第1の溶融ガラスを結晶化させることにより得られた結晶塊を経て、該結晶塊を再度加熱融解し、冷却することによってガラス材を得ている。そのため、第1のガラス原料塊をガラス化した際に得られたガラスに欠陥が生じ均質なガラスが得られなかった場合においても、そのガラス材を第2のガラス原料塊として結晶化させ再度ガラス化することにより、欠陥が少なく、均質なガラス材を得ることができる。
また、第6~第8の実施形態では、第1のガラス原料塊から最終的なガラス材を製造するまでの間、浮遊状態が保持されているが、第2のガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させる工程、及び結晶塊を加熱融解し第2の溶融ガラスを得て冷却固化する工程において浮遊状態が保持されていればよい。もっとも、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を得る観点からは、第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程においても、浮遊状態が保持されていることが好ましい。
また、第6~第8の実施形態では、第2のガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラスを結晶化させているが、第5の実施形態のように第2のガラス原料塊の一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを結晶化させてもよい。もっとも、本発明においては、第2のガラス原料塊の70%以上を加熱融解させることが好ましく、第2のガラス原料塊の80%以上を加熱融解させることがより好ましく、第2のガラス原料塊の90%以上を加熱融解させることが特に好ましい。この場合、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を確実に得ることができる。
また、第6及び第7の実施形態のように、結晶塊を形成した後、一旦レーザー光の照射を停止させてもよいし、変形例のように、結晶塊が形成したことを確認してそのままレーザー光の出力を増加させてもよい。なお、変形例のように、結晶塊が形成したことを確認してそのままレーザー光の出力を増加させる場合は、製造コストをより低く抑えることができる。
また、第6~第8の実施形態では、第1のガラス原料塊をガラス化して得られた中間体ガラス材を第2のガラス原料塊として再度ガラス化しているが、得られたガラス材(中間体ガラス材)をさらに第3のガラス原料塊として、第3のガラス原料塊、第3のガラス原料塊全体を加熱融解させた第1の溶融ガラス、結晶塊、第2の溶融ガラス、ガラス材の順に製造する第6~第8の実施形態の製造工程を再度繰り返してもよい。また、欠陥が少なくなるよう、この操作を複数回繰り返してもよい。これにより、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を確実に得ることができる。
[第9の実施形態]
図16は、本発明の第9の実施形態におけるレーザー出力のタイムチャートである。本実施形態では、第1のガラス原料塊を浮遊対象物4として浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図16に示すように、第1のガラス原料塊全体を融解させるのに必要な出力Pm1まで、レーザー光の出力を増加させる。第1のガラス原料塊全体が加熱融解するまでレーザー光を照射して第1の溶融ガラスとした後、レーザー光の照射を停止させて第1の溶融ガラスを冷却し、中間体ガラス材を得る。
次に、得られた中間体ガラス材を浮遊させた状態でレーザー光を照射し、図16に示すように、中間体ガラス材がガラス転移温度以上となる出力Pm3以上、かつ、中間体ガラス材が融解し始める温度未満(例えば軟化点未満)まで増加させその出力で保持する。それによって、中間体ガラス材のガラス転移温度以上、かつ、中間体ガラス材が融解し始める温度未満の温度まで上昇させその温度で保持することにより、中間体ガラス材を結晶化させて結晶塊を得る(図中、点P)。そして、中間体ガラス材を結晶化させて結晶塊を得た後、一旦レ-ザーの照射を停止させる。次に、結晶塊に再度レーザー光を照射して出力Pm1までレーザー光の出力を増加させる。それによって、結晶塊全体を加熱融解させた後、第2の溶融ガラスを冷却し、ガラス材を得る。このように、第9の実施形態は、一旦ガラス化した中間体ガラス材をガラス原料塊として用い、結晶化の方法が異なること以外は、第1の実施形態と同様である。
また、図17は、第9の実施形態の変形例におけるレーザー出力のタイムチャートである。第9の実施形態の変形例では、中間体ガラス材を結晶化させて結晶塊になったことをモニターで確認(図中、点P)した後、レーザー光の照射を停止させずに、出力Pm1までレーザー光の出力を増加させて結晶塊を加熱融解する。その他の点は、第9の実施形態と同様である。
第9の実施形態の製造方法では、ガラス原料塊、第1の溶融ガラス、中間体ガラス材、結晶塊、第2の溶融ガラスをこの順に経て、ガラス材が製造されている。特に、ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱融解して得られた中間体ガラス材を結晶化させることにより結晶塊を経て、該結晶塊を再度加熱融解し、冷却することによりガラス材を得ている。そのため、本実施形態のガラス材の製造方法では、欠陥が少なく、均質性に優れたガラス材を得ることができる。
なお、本実施形態では、ガラス原料塊から最終的なガラス材を製造するまでの間、浮遊状態が保持されているが、中間体ガラス材を結晶化させる工程においては、浮遊状態が保持されていなくてもよい。中間体ガラス材を結晶化させる工程は、電気炉等で加熱することにより行ってもよい。
また、本実施形態では、ガラス原料塊をガラス化して得られた中間体ガラス材を結晶化した後に再度ガラス化しているが、得られたガラス材を中間体ガラス材として、結晶塊、第2の溶融ガラス、ガラス材の順に製造する第9の実施形態の製造工程を再度繰り返してもよい。また、欠陥が少なくなるよう、この操作を複数回繰り返してもよい。これにより、欠陥がより少なく、均質性により優れたガラス材を確実に得ることができる。
なお、第1~第9の実施形態で用いるガラス原料塊の大きさ(長径)は、例えば、2mm以上、15mm以下とすることができる。また、得られるガラス材の大きさ(長径)は、例えば、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、特に5.5mm以上とすることができ、12mm以下、11mm以下、10mm以下、特に9mm以下とすることができる。ガラス原料塊及び得られるガラス材の大きさが大きいほど、欠陥が生じ易く、また均質性が低下し易いので、大きなガラス原料塊及び得られるガラス材を用いた場合には、より一層効果的に本発明の効果を得ることができる。
[製造装置の他の例]
図18は、本発明のガラス材の製造方法で用いる他の例としての製造装置を示す模式的断面図である。第1~第9の実施形態では、複数のガス噴出孔2bが成形面2aに開口している製造装置1を用いた例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図18に示すガラス材の製造装置11のように、成形面2aの中央に開口しているひとつのガス噴出孔2bが設けられていてもよい。この場合であっても、第1~第9の実施形態と同様の方法で、ガラス材を製造することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1~12及び比較例1~9)
表1及び表2は本発明の実施例1~12及び比較例1~9を示す。
Figure 0007375630000001
Figure 0007375630000002
表1及び表2に記載のガラス組成になるように調合した原料粉末0.2g~0.6gをプレス成型して、900℃~1100℃で3時間~12時間焼結することによりガラス原料塊を作製した。
上記で得られたガラス原料塊を用いて、図1に準じた装置を用いた無容器浮遊法によって直径約4mm~7mmの略球形状のガラス材を作製した。熱源としては100W COレーザー発振器を1台~4台用いた。レーザー光の出力チャートは、表1及び表2に従って選択した。なお、比較例においては、図19に従い結晶化工程を経ずにガラス材を製造した。ガスの種類は表1及び表2に従って選択し、ガス流量は1L/min~15L/minの範囲で供給した。また、実施例及び比較例においては、ガラス原料塊にレーザー光を照射し始めてから、最終の冷却工程において溶融ガラスが固化してガラス材となるまでガラス材を浮遊させた状態を維持した。
各実施例及び比較例に対して、20個ずつ試料を作製し、失透物や脈理、泡などの欠陥について評価した。実体顕微鏡(ニコン(株)社製、SMZ1000)を用い、10倍で観察することで、欠陥の発生確率(20個の試料のうち欠陥が発生した試料の個数の割合)を評価した。欠陥の発生確率が0%~10%の場合を◎とし、10%を超え30%以下の場合を〇とし、30%を超え80%以下の場合を△とし、80%を超え100%以下の場合を×として、良品率を評価した。表1に示すように、実施例1~12では良品率が◎~〇と良好であったのに対し、比較例1~9では良品率が△~×と劣っていた。
1,11…ガラス材の製造装置
2…成形型
2a…成形面
2b…ガス噴出孔
3…ガス供給機構
4…浮遊対象物
5…レーザー光照射装置

Claims (12)

  1. ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱することにより、前記ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る工程と、
    前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程と、
    前記結晶塊を浮遊させた状態で加熱融解することにより第2の溶融ガラスを得て、該第2の溶融ガラスを冷却することにより、ガラス材を得る工程と、
    を備え
    前記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスを冷却し、前記第1の溶融ガラスのガラス転移温度以上、前記第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下の温度で保持することにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る、ガラス材の製造方法。
  2. 前記ガラス原料塊にレーザー光を照射することにより、前記ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させる、請求項1に記載のガラス材の製造方法。
  3. 成形型の成形面に開口するガス噴出孔からガスを噴出させることにより、前記成形面の上方に前記ガラス原料塊を浮遊させて保持する、請求項1又は2に記載のガラス材の製造方法。
  4. 前記第1の溶融ガラスを浮遊させた状態で結晶化させ結晶塊を得る、請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  5. 前記ガラス原料塊の一部を加熱融解させ未融解部を残存させることにより、結晶核を形成する、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  6. 前記ガラス原料塊の90%以上を加熱融解させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス材の製造方法。
  7. 前記ガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後、冷却する際に、前記第1の溶融ガラスを前記成形型の前記成形面に接触させることにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る、請求項3に記載のガラス材の製造方法。
  8. ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱することにより、前記ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る工程と、
    前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程と、
    前記結晶塊を浮遊させた状態で加熱融解することにより第2の溶融ガラスを得て、該第2の溶融ガラスを冷却することにより、ガラス材を得る工程と、
    を備え、
    第1のガラス原料塊を加熱融解させて溶融ガラスを得た後に、該溶融ガラスを冷却することにより得られたガラス材を第2のガラス原料塊として用い、
    前記第2のガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱することにより、前記第2のガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させた前記第1の溶融ガラスを得て、
    前記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスを冷却し、前記第1の溶融ガラスのガラス転移温度以上、前記第1の溶融ガラスが結晶化し始める温度以下の温度で保持することにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る、ガラス材の製造方法。
  9. 前記第2のガラス原料塊の一部を加熱融解させ未融解部を残存させることにより、結晶核を形成する、請求項に記載のガラス材の製造方法。
  10. 前記第2のガラス原料塊の70%以上を加熱融解させる、請求項又はに記載のガラス材の製造方法。
  11. 前記第2のガラス原料塊全体を加熱融解させて前記第1の溶融ガラスを得た後、冷却する際に、前記第1の溶融ガラスを成形型の成形面に接触させることにより、前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る、請求項に記載のガラス材の製造方法。
  12. ガラス原料塊を浮遊させた状態で加熱することにより、前記ガラス原料塊の少なくとも一部を加熱融解させた第1の溶融ガラスを得る工程と、
    前記第1の溶融ガラスを結晶化させ結晶塊を得る工程と、
    前記結晶塊を浮遊させた状態で加熱融解することにより第2の溶融ガラスを得て、該第2の溶融ガラスを冷却することにより、ガラス材を得る工程と、
    を備え、
    記第1の溶融ガラスを得た後に、前記第1の溶融ガラスを冷却することにより得られた中間体ガラス材を、該中間体ガラス材のガラス転移温度以上、かつ、該中間体ガラス材が融解し始める温度未満の温度で保持することにより、結晶化させ結晶塊を得る、ガラス材の製造方法。
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