以下、図面(図1~図15(b))を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
本実施形態における「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハの処理に用いられる基板処理装置を例に採って本実施形態を説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。また、基板の形状についても各種のものを適用可能である。
[実施形態1]
以下、図1~図12を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1を参照して本実施形態の基板処理システム100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理システム100の模式図である。詳しくは、図1は、基板処理システム100の模式的な平面図である。基板処理システム100は、基板Wを処理する。より具体的には、基板処理システム100は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。本実施形態において、基板Wは、円板状の半導体ウエハである。
図1に示すように、基板処理システム100は、複数の基板処理装置1と、流体キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。制御装置101は、基板処理システム100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。本実施形態において、制御装置101は、制御部102と、記憶部104とを含む。
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理装置1との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
基板処理装置1の各々は、処理液を基板Wの表面Wsに供給して、基板Wの表面Wsを処理する。更に、基板処理装置1の各々は、洗浄ブラシ8(図2及び図3参照)を用いて基板Wの裏面Wbを処理する。基板Wの表面Wsは、例えば、基板Wの両面のうち、デバイスが形成される面である。基板Wの裏面Wbは、表面Wsとは反対側の面である。
複数の基板処理装置1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理装置1(図1では3つの基板処理装置1)を含む。
流体キャビネット100Aは、処理液を収容する。流体ボックス100Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置1に供給される。基板処理装置1については、図2及び図3を参照して後述する。
制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
記憶部104は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。
記憶部104は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部104は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理システム100の各部の動作を制御する。
続いて図1~図3を参照して、本実施形態の基板処理システム100について更に説明する。図2及び図3は、基板処理装置1の模式的な断面図である。詳しくは、図2は、基板処理装置1が基板Wの表面Wsを処理している状態を示す。図3は、基板処理装置1が基板Wの裏面Wbを処理している状態を示す。
図2に示すように、基板処理装置1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモータ部4と、第1把持ピン5aと、第2把持ピン5bと、第1移動機構6aと、第2移動機構6bと、第1ノズル7と、ノズル移動機構70と、洗浄ブラシ8と、ブラシ搬送機構80と、第2ノズル9とを備える。また、図2に示すように、基板処理システム100は、第1供給配管P1と、第1バルブV1と、第2供給配管P2と、第2バルブV2とを備える。制御装置101は、スピンモータ部4、第1移動機構6a、第2移動機構6b、ノズル移動機構70、ブラシ搬送機構80、第1バルブV1、及び第2バルブV2を制御する。
チャンバー2は、内部空間を有する箱形状の筐体であり、チャンバー2の内部と外部とは区画される。チャンバー2には、図示しないシャッター及びその開閉機構が設けられる。通常、シャッターは閉じており、その結果、チャンバー2内外の雰囲気は遮断される。センターロボットCR(図1)により基板Wがチャンバー2内部に搬入される際、あるいは、センターロボットCR(図1)により基板Wがチャンバー2内部から搬出される際に、シャッターが開放される。
チャンバー2には基板Wが1枚ずつ収容される。基板処理装置1は、チャンバー2内で基板Wを水平に保持して、基板Wを1枚ずつ処理する。チャンバー2には、スピンチャック3、スピンモータ部4、第1把持ピン5a、第2把持ピン5b、第1移動機構6a、第2移動機構6b、第1ノズル7、ノズル移動機構70、洗浄ブラシ8、ブラシ搬送機構80、及び第2ノズル9が収容される。また、チャンバー2には、第1供給配管P1及び第2供給配管P2のそれぞれの一部が収容される。
スピンチャック3は、真空吸引式のチャック(所謂バキュームチャック)であり、基板処理システム100が設置される工場に設けられた減圧装置に配管を介して接続している。スピンチャック3は、基板Wの裏面Wbの中心部を吸着して基板Wを保持する。詳しくは、スピンチャック3は、基板Wを着脱自在に吸着する。スピンチャック3は、第1保持部の一例である。
スピンチャック3は、吸着ベース3aと、スピン軸3bとを有する。吸着ベース3aは平面視円形状であり、吸着ベース3aの上面は水平面である。スピンチャック3は、吸着ベース3aの上面に載置された基板Wの裏面Wbを吸着する。この結果、基板Wはスピンチャック3によって水平に保持される。スピン軸3bは、鉛直方向に延びる。スピン軸3bの上側の端部は、吸着ベース3aの中央部に結合している。
スピンモータ部4は、鉛直方向に延びる第1回転軸線AX1を中心として、スピンチャック3を回転させる。したがって、スピンチャック3が基板Wを保持している際にスピンモータ部4がスピンチャック3を回転させることにより、基板Wがスピンチャック3と一体的に、第1回転軸線AX1を中心として回転する。具体的には、スピンモータ部4は、第1回転軸線AX1を中心としてスピン軸3bを回転させる。この結果、吸着ベース3aが、第1回転軸線AX1を中心として回転する。スピンモータ部4は、回転駆動部の一例である。スピンモータ部4は、基板Wの表面Wsの洗浄時及び基板Wの裏面Wbの洗浄時にスピンチャック3を回転させる。
第1移動機構6aは、水平方向及び鉛直方向に第1把持ピン5aを移動させる。詳しくは、第1移動機構6aは、鉛直方向に延びる第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って第1把持ピン5aを移動させる。また、第1移動機構6aは、第1把持ピン5aを鉛直方向に昇降させる。
具体的には、第1移動機構6aは、第1アーム61aと、第1軸部62aと、第1駆動部63aとを有する。第1アーム61aは水平方向に沿って延びる。第1アーム61aの先端部に第1把持ピン5aが配置される。詳しくは、第1把持ピン5aは、第1アーム61aの先端部の下面に結合されて、第1アーム61aから下方に突出する。第1アーム61aの基端部は第1軸部62aに結合している。第1軸部62aは、鉛直方向に沿って延びる。
第1駆動部63aは、回転駆動機構と、昇降駆動機構とを有する。第1駆動部63aの回転駆動機構は、第2回転軸線AX2を中心として第1軸部62aを回転させて、第1軸部62aを中心に第1アーム61aを水平面に沿って旋回させる。その結果、第1把持ピン5aが水平面に沿って移動する。詳しくは、第1把持ピン5aは、第1軸部62aの周りを周方向に沿って移動する。第1駆動部63aの回転駆動機構は、例えば、正逆回転可能なモータを含む。
第1駆動部63aの昇降駆動機構は、第1軸部62aを鉛直方向に昇降させる。第1駆動部63aの昇降駆動機構が第1軸部62aを昇降させることにより、第1把持ピン5aが鉛直方向に昇降する。第1駆動部63aの昇降駆動機構は、モータ等の駆動源及び昇降機構を有しており、駆動源によって昇降機構を駆動して、第1軸部62aを上昇又は下降させる。昇降機構は、例えば、ラック・ピニオン機構又はボールねじを含む。
第2移動機構6bは、水平方向及び鉛直方向に第2把持ピン5bを移動させる。詳しくは、第2移動機構6bは、鉛直方向に延びる第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って第2把持ピン5bを移動させる。また、第2移動機構6bは、第2把持ピン5bを鉛直方向に昇降させる。
具体的には、第2移動機構6bは、第1移動機構6aと同様に、第2アーム61bと、第2軸部62bと、第2駆動部63bとを有する。第2把持ピン5bは、第1把持ピン5aと同様に、第2アーム61bの先端部に配置される。なお、第2移動機構6bの構成は、第1移動機構6aと同様であるため、その詳しい説明は割愛する。
第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bは、基板Wの裏面Wbの洗浄時に協働して基板Wを保持する。具体的には、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを移動させて、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに基板Wを把持させる。第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bは、第2保持部の一例である。
第1ノズル7は、スピンチャック3に保持されている基板Wの表面Wsに第1処理液を供給して、基板Wの表面Wsを洗浄する。詳しくは、第1ノズル7は、回転中の基板Wの表面Wsに向けて第1処理液を吐出する。第1ノズル7は、洗浄部の一例である。
第1供給配管P1は、第1ノズル7に第1処理液を供給する。第1供給配管P1は、第1処理液が流通する管状部材である。第1バルブV1は、第1供給配管P1に配置される。第1バルブV1は、第1ノズル7への第1処理液の供給及び供給停止を切り替える。
詳しくは、第1バルブV1が開くと、第1ノズル7から基板Wの表面Wsに向けて第1処理液が吐出される。一方、第1バルブV1が閉じると、第1処理液の吐出が停止する。また、第1バルブV1は、第1供給配管P1において第1バルブV1よりも下流へ流れる第1処理液の流量を制御する。詳しくは、第1バルブV1の開度に応じて、第1バルブV1よりも下流へ流れる第1処理液の流量が調整される。第1バルブV1は、例えば、モータバルブである。
ノズル移動機構70は、水平方向及び鉛直方向に第1ノズル7を移動させる。詳しくは、ノズル移動機構70は、鉛直方向に延びる第4回転軸線AX4を中心とする周方向に沿って第1ノズル7を移動させる。また、ノズル移動機構70は、第1ノズル7を鉛直方向に昇降させる。
具体的には、ノズル移動機構70は、第1移動機構6aと同様に、ノズルアーム71と、ノズル軸部72と、ノズル駆動部73とを有する。第1ノズル7は、スピンチャック3に保持されている基板Wの表面Wsに向けて第1処理液を供給できる姿勢で、ノズルアーム71の先端部に配置される。なお、ノズル移動機構70の構成は、第1移動機構6aと同様であるため、その詳しい説明は割愛する。
第1ノズル7は、水平面に沿って移動しながら、基板Wの表面Wsに向けて第1処理液を吐出する。第1ノズル7は、スキャンノズルと称されることがある。第1ノズル7が移動しながら回転中の基板Wの表面Wsに向けて第1処理液を吐出することにより、基板Wの表面Wsが洗浄される。
本実施形態において、第1処理液は、純水である。但し、第1処理液は純水に限定されない。第1処理液は、例えば、炭酸水、イオン水、脱イオン水(Deionized Water:DIW)、オゾン水、還元水(水素水)、又は磁気水のような機能水であってもよい。あるいは、第1処理液は、例えば、アンモニア水、又は、アンモニア水と過酸化水素水とを混合した希釈濃度の混合液(希釈濃度のSC1)のような薬液であってもよい。第1処理液が薬液である場合、基板処理装置1は、基板Wの表面Wsに向けてリンス液を吐出するノズルを備えてもよい。
続いて、図2及び図3を参照して洗浄ブラシ8、及びブラシ搬送機構80を説明する。ブラシ搬送機構80は、退避位置と、受け渡し位置との間で洗浄ブラシ8を搬送する。退避位置は、平面視において洗浄ブラシ8がスピンチャック3と重ならない位置である。図2は、退避位置に位置する洗浄ブラシ8を示す。受け渡し位置は、洗浄ブラシ8をスピンチャック3に受け渡す位置である。図3は、スピンチャック3に受け渡された洗浄ブラシ8を示す。ブラシ搬送機構80は、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、退避位置から受け渡し位置まで洗浄ブラシ8を搬送して、スピンチャック3に洗浄ブラシ8を受け渡す。ブラシ搬送機構80は、搬送機構の一例である。
具体的には、ブラシ搬送機構80は、ブラシ搬送アーム81と、搬送駆動部82とを有する。ブラシ搬送アーム81は、洗浄ブラシ8を保持する。搬送駆動部82は、ブラシ搬送アーム81を水平方向及び鉛直方向に移動させる。搬送駆動部82が、第1方向D1に沿ってブラシ搬送アーム81を移動させることにより、洗浄ブラシ8が退避位置から受け渡し位置まで搬送される。ここで、第1方向D1は、スピンチャック3に近づく水平な方向である。スピンチャック3は、ブラシ搬送アーム81から洗浄ブラシ8を受け取ると、洗浄ブラシ8を吸着して、洗浄ブラシ8を保持する。
詳しくは、図3に示すように、ブラシ搬送アーム81は、スピンチャック3が洗浄ブラシ8の下面8bを吸着するように、洗浄ブラシ8を受け渡し位置まで搬送する。したがって、スピンチャック3は、ブラシ搬送アーム81から洗浄ブラシ8を受け取ると、洗浄ブラシ8の下面8bを吸着する。
搬送駆動部82は、ブラシ搬送アーム81からスピンチャック3へ洗浄ブラシ8が受け渡されると、ブラシ搬送アーム81を下降させて、図3に示すように、第2方向D2に沿って退避位置までブラシ搬送アーム81を移動させる。ここで、第2方向D2は、第1方向D1と反対の方向である。すなわち、第2方向D2は、スピンチャック3から遠ざかる水平な方向である。
続いて、図3を参照して第1把持ピン5a、第2把持ピン5b、第1移動機構6a、第2移動機構6b、及びスピンモータ部4を更に説明する。図3に示すように、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bは協働して基板Wを保持する。
具体的には、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bは、基板Wのうち、洗浄ブラシ8によって洗浄される範囲とは異なる部位を把持する。詳しくは、第1移動機構6aが、基板Wの側面の一部に接触する位置に第1把持ピン5aを移動させる。また、第2移動機構6bが、基板Wの側面の他の一部に接触する位置に第2把持ピン5bを移動させる。この結果、第1把持ピン5aと第2把持ピン5bとによって基板Wが把持される。第1把持ピン5aと第2把持ピン5bとによって基板Wが把持されている際に、第1把持ピン5aは、基板Wの径方向において第2把持ピン5bと対向する。
第1移動機構6a及び第2移動機構6bは、ブラシ搬送アーム81がスピンチャック3に洗浄ブラシ8を受け渡す際に、基板Wがブラシ搬送アーム81及び洗浄ブラシ8と干渉しない位置まで、基板Wを把持する第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを上昇させる。
第1移動機構6a及び第2移動機構6bは、スピンチャック3が洗浄ブラシ8を保持した後に、基板Wの裏面Wbに洗浄ブラシ8が接触するように、基板Wを保持する第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを移動させる。より具体的には、第1移動機構6a及び第2移動機構6bは、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを下降させる。第1移動機構6a及び第2移動機構6bは、移動機構の一例である。
スピンモータ部4は、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、洗浄ブラシ8を保持するスピンチャック3を回転させる。この結果、基板Wの裏面Wbに接触する洗浄ブラシ8が、スピンチャック3と一体的に第1回転軸線AX1を中心として回転して、基板Wの裏面Wbが洗浄される。
続いて、図3を参照して第2ノズル9、第2供給配管P2、及び第2バルブV2を説明する。第2ノズル9は、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに保持されている基板Wの裏面Wbに向けて第2処理液を供給する。詳しくは、第2ノズル9は、基板Wの裏面Wbのうち、洗浄ブラシ8と接触していない部分に向けて第2処理液を吐出する。
第2供給配管P2は、第2ノズル9に第2処理液を供給する。第2バルブV2は、第2供給配管P2に配置される。第2バルブV2は、第2ノズル9への第2処理液の供給及び供給停止を切り替える。なお、第2供給配管P2及び第2バルブV2の構成は、第1供給配管P1及び第1バルブV1と同様であるため、その詳しい説明は割愛する。
本実施形態において、第2処理液は、純水である。但し、第2処理液は純水に限定されない。第2処理液は、例えば、炭酸水、イオン水、DIW、オゾン水、還元水(水素水)、又は磁気水のような機能水であってもよい。あるいは、第1処理液は、例えば、アンモニア水、又は希釈濃度のSC1のような薬液であってもよい。第2処理液が薬液である場合、基板処理装置1は、基板Wの裏面Wbに向けてリンス液を吐出するノズルを備えてもよい。
なお、基板処理装置1は、チャンバー2内に昇降可能に配設された飛散防止用カップを更に備える。飛散防止用カップは、基板Wの表面Wsの洗浄時に、スピンチャック3に保持された基板Wの周囲に配置されて、回転する基板Wから飛散する液体を受け止める。
続いて、図4を参照してブラシ搬送機構80を更に説明する。図4は、ブラシ搬送機構80を示す斜視図である。図4に示すように、ブラシ搬送アーム81は、薄肉部材であり、平面視においてU字形状を有する。
搬送駆動部82は、第1連結部材83と、第2連結部材84と、支持部材85とを有する。ブラシ搬送アーム81は、第1連結部材83の先端に接続する。ブラシ搬送アーム81と第1連結部材83との接続箇所は、関節部を構成する。第2連結部材84の先端は、第1連結部材83の基端に接続する。第2連結部材84と第1連結部材83との接続箇所は、関節部を構成する。支持部材85の先端は、第2連結部材84の基端に接続する。支持部材85と第2連結部材84との接続箇所は、関節部を構成する。支持部材85は、鉛直方向に延びる。
搬送駆動部82は、第1連結部材83及び第2連結部材84を屈伸させる。この結果、ブラシ搬送アーム81が第1方向D1及び第2方向D2に沿って移動する。搬送駆動部82は、例えば、各関節部に設けられたモータ及びギヤ機構を含む。
搬送駆動部82は、支持部材85を昇降させる。この結果、ブラシ搬送アーム81が昇降する。搬送駆動部82は、例えば、モータ等の駆動源及び昇降機構を有しており、駆動源によって昇降機構を駆動して、支持部材85を昇降させる。昇降機構は、例えば、ラック・ピニオン機構又はボールねじを含む。
続いて、図5(a)を参照して洗浄ブラシ8を説明する。図5(a)は、洗浄ブラシ8の側面図である。図5(a)に示すように、洗浄ブラシ8は、ブラシ本体810と、ホルダー820とを有する。
ブラシ本体810は、基板Wの裏面Wbに接触して、基板Wの裏面Wbを洗浄する。ブラシ本体810は、例えば、多孔質物質から構成される。ブラシ本体810は、スポンジ状であってもよい。また、ブラシ本体810は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)のような樹脂から構成されてもよい。ブラシ本体810は、多数の毛状部材を備えてもよい。
ブラシ本体810は、ホルダー820に取り付けられる。ホルダー820は、下面820bを有する。ホルダー820の下面820bは、ブラシ本体810とは反対側の面であり、洗浄ブラシ8の下面8bを構成する。ホルダー820は、例えば、有底の筒状である。洗浄ブラシ8がホルダー820を有することにより、スピンチャック3に洗浄ブラシ8を吸着させることができる。
本実施形態において、ブラシ本体810の上面は、平坦面である。なお、ブラシ本体810の上面の形状は任意である。ここで、図5(b)及び図5(c)を参照して洗浄ブラシ8の2つの変形例(第1変形例及び第2変形例)を説明する。
図5(b)は、洗浄ブラシ8の第1変形例を示す側面図である。図5(c)は、洗浄ブラシ8の第2変形例を示す側面図である。図5(b)に示すように、ブラシ本体810の上面は、凸形状であってもよい。あるいは、図5(c)に示すように、ブラシ本体810の上面は、凹み形状であってもよい。ブラシ本体810の上面が凸形状であることにより、ブラシ本体810の中心部分による洗浄力が向上する。ブラシ本体810の上面が凹み形状であることにより、ブラシ本体810の外周部分による洗浄力が向上する。したがって、ブラシ本体810の上面形状を調整することにより、所期の目標に合わせた洗浄を実施することができる。
例えば、洗浄ブラシ8の中心を基板Wの中心に合わせて基板Wの裏面Wbを洗浄する場合、基板Wの裏面Wbのうち、基板Wの中心により近い部分が、基板Wの中心から遠い部分と比べて洗浄が難しくなる。回転中の基板Wの裏面Wbにおいて、基板Wの中心に近い位置ほど、速度が遅くなるためである。したがって、ブラシ本体810の上面を凸形状にして、ブラシ本体810の中心部による洗浄力を高めることにより、ブラシ本体810と接触する基板Wの全領域を、より均等に洗浄することができる。
続いて、図6(a)~図6(c)を参照してスピンチャック3、基板W及び洗浄ブラシ8を更に説明する。図6(a)は、スピンチャック3の平面図である。図6(b)は、基板Wを保持しているスピンチャック3を示す平面図である。図6(c)は、洗浄ブラシ8を保持しているスピンチャック3を示す平面図である。
図6(a)~図6(c)に示すように、スピンチャック3の吸着ベース3aは、接触面31と、吸引口32とを有する。スピンチャック3が基板Wを保持する際に、接触面31は、基板Wの裏面Wbと接触する。スピンチャック3が洗浄ブラシ8を保持する際に、接触面31は、洗浄ブラシ8の下面8b(ホルダー820の下面820b)と接触する。接触面31は、スピンチャック3の上面を構成する。
吸引口32は、接触面31に形成されている。具体的には、吸引口32は、接触面31(吸着ベース3a)の中心部に形成されている。吸引口32は、基板処理システム100が設置される工場に設けられた減圧装置に配管を介して連通している。
図6(b)に示すように、スピンチャック3は、基板Wを保持する際に、吸引口32によって、基板Wの裏面Wbの中心部を吸着する。スピンチャック3が基板Wを吸着すると、基板Wの裏面Wbに吸着痕が発生する。吸着痕の範囲は、接触面31及び吸引口32に対向する範囲である。
図6(c)に示すように、本実施形態では、洗浄ブラシ8は、吸着ベース3aと比べて大径の円形状である。スピンチャック3は、洗浄ブラシ8を保持する際に、吸引口32によって、洗浄ブラシ8の下面8b(ホルダー820の下面820b)の中心部を吸着する。したがって、基板Wの裏面Wbを洗浄する前の段階で、基板Wの裏面Wbに吸着痕が発生している場合、洗浄ブラシ8により吸着痕を洗浄することができる。なお、洗浄ブラシ8は、ブラシ本体810が上を向いた状態でスピンチャック3に保持される。
また、図6(b)及び図6(c)に示すように、洗浄ブラシ8は、基板Wと比べて小径である。したがって、基板Wの裏面Wbを洗浄する際に、洗浄ブラシ8が、図2及び図3を参照して説明した第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bと干渉することを回避することができる。
続いて、図7を参照して本実施形態の基板処理方法を説明する。図7は、基板処理システム100による基板洗浄処理のフロー図である。本実施形態の基板処理方法は、基板処理システム100によって実行される。図7に示すように、本実施形態の基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。
工程S1では、基板Wがチャンバー2内に搬入される。具体的には、制御装置101が、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及びチャンバー2に設けられたシャッターを制御して、処理対象の基板Wをチャンバー2内に搬入する。本実施形態では、センターロボットCRは、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに基板Wを受け渡す。詳しくは、制御装置101が第1移動機構6a及び第2移動機構6bを制御して、チャンバー2内に搬入された基板Wを、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに把持させる。
工程S2では、スピンチャック3が基板Wを吸着する。具体的には、制御装置101が第1移動機構6a及び第2移動機構6bを制御して、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに把持されている基板Wがスピンチャック3の接触面31に接触するように、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを移動させる。この結果、基板Wがスピンチャック3によって吸着される。
工程S3では、基板Wの表面Wsが洗浄される。具体的には、制御装置101が、回転する基板Wの表面Wsに対して第1ノズル7が水平方向に移動しながら第1処理液を吐出するように、スピンモータ部4、第1バルブV1及びノズル移動機構70を制御する。基板Wの表面Wsの洗浄後、スピンドライ処理が実行される。スピンドライ処理では、制御装置101がスピンモータ部4を制御して、基板Wを高速で回転させる。スピンドライ処理の後、制御装置101はスピンモータ部4の駆動を停止させる。
工程S4では、基板Wが上昇してスピンチャック3から離れる。具体的には、制御装置101が第1移動機構6a及び第2移動機構6bを制御して、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに把持されている基板Wがスピンチャック3の接触面31から離れて上方へ移動するように、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを上昇させる。
工程S5では、スピンチャック3が洗浄ブラシ8を吸着する。具体的には、制御装置101がブラシ搬送機構80を制御して、退避位置から受け渡し位置まで基板Wを搬送させる。
工程S6では、基板Wが下降して、基板Wの裏面Wbが洗浄ブラシ8のブラシ本体810に接触する。具体的には、制御装置101が第1移動機構6a及び第2移動機構6bを制御して、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに把持されている基板Wが洗浄ブラシ8のブラシ本体810に接触する位置まで下方へ移動するように、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを下降させる。
工程S7では、基板Wの裏面Wbが洗浄される。具体的には、制御装置101がスピンモータ部4を制御してスピンチャック3を回転させることにより、洗浄ブラシ8を回転させる。洗浄ブラシ8は、回転することにより基板Wの裏面Wbを洗浄する。基板Wの裏面Wbの洗浄後、スピンドライ処理が実行される。スピンドライ処理の後、制御装置101はスピンモータ部4の駆動を停止させる。
工程S8では、基板Wが上昇して洗浄ブラシ8から離れる。具体的には、制御装置101が第1移動機構6a及び第2移動機構6bを制御して、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに把持されている基板Wが洗浄ブラシ8のブラシ本体810から離れて上方へ移動するように、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを上昇させる。
工程S9では、洗浄ブラシ8が退避位置に搬送される。具体的には、ブラシ搬送アーム81がスピンチャック3から洗浄ブラシ8を受け取るように、制御装置101がブラシ搬送機構80を制御する。その後、制御装置101がブラシ搬送機構80を制御して、退避位置まで基板Wを搬送させる。
工程S10では、処理後の基板Wがチャンバー2の内部から外部へ搬出される。具体的には、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが把持する基板WをセンターロボットCRが受け取ってチャンバー2の外部へ搬送するように、制御装置101が、センターロボットCR、チャンバー2に設けられたシャッター、第1移動機構6a、及び第2移動機構6bを制御する。
続いて図8(a)~図10(b)を参照して、本実施形態の基板処理装置1による基板洗浄処理を説明する。図8(a)~図10(b)は、基板処理装置1による基板洗浄処理のフローを示す模式図である。
図8(a)は、チャンバー2内に基板Wが搬入される前段階の待機状態を示す。図8(a)に示すように、待機状態において、洗浄ブラシ8は退避位置に位置する。
図8(b)に示すように、チャンバー2内に基板Wが搬入されると、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが基板Wを把持する。具体的には、第1移動機構6aが第1軸部62aを回転させて、基板Wの側面に接触する位置まで第1把持ピン5aを移動させる。同様に、第2移動機構6bが第2軸部62bを回転させて、基板Wの側面に接触する位置まで第2把持ピン5bを移動させる。なお、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bは、スピンチャック3の上方の位置においてセンターロボットCRから基板Wを受け取る。
図8(c)に示すように、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが基板Wを把持した後、基板Wの裏面Wbがスピンチャック3によって吸着される位置まで第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが下降する。この結果、基板Wの裏面Wbがスピンチャック3の上面(吸着ベース3aの接触面31)に接触して、基板Wの裏面Wbの中心部がスピンチャック3の吸引口32によって吸着される。具体的には、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1軸部62a及び第2軸部62bを下降させて、基板Wを下降させる。
図8(d)に示すように、スピンチャック3が基板Wを吸着した後、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1軸部62a及び第2軸部62bを上昇させて、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bを上昇させる。その後、スピンモータ部4がスピンチャック3を回転させ、第1ノズル7が水平方向に移動しながら第1処理液を基板Wの表面Wsに吐出する。この結果、基板Wの表面Wsが洗浄される。基板Wの表面Wsの洗浄後、スピンドライ処理が行われる。
図9(a)に示すように、スピンドライ処理後、スピンチャック3に吸着されている基板Wを第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが把持する。具体的には、スピンチャック3に吸着されている基板Wを第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが把持できる位置まで、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1軸部62a及び第2軸部62bを下降させる。次に、第1移動機構6aが第1軸部62aを回転させて、基板Wの側面に接触する位置まで第1把持ピン5aを移動させる。同様に、第2移動機構6bが第2軸部62bを回転させて、基板Wの側面に接触する位置まで第2把持ピン5bを移動させる。
第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが基板Wを把持した後、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1軸部62a及び第2軸部62bを上昇させる。この結果、基板Wがスピンチャック3から上方へ移動して、スピンチャック3から離れた位置で待機する。
図9(b)に示すように、基板Wがスピンチャック3の上方で待機している間に、ブラシ搬送アーム81が第1方向D1へ移動して、スピンチャック3と基板Wとの間に洗浄ブラシ8を搬送する。
図9(c)に示すように、ブラシ搬送アーム81は、スピンチャック3と基板Wとの間に洗浄ブラシ8を搬送した後、下降する。ブラシ搬送アーム81が下降する過程で、洗浄ブラシ8がスピンチャック3の上面(接触面31)に載置されて、スピンチャック3が洗浄ブラシ8の下面8bの中心部を吸着する。
図9(d)に示すように、ブラシ搬送アーム81は下降を終了すると、第2方向D2へ移動して、退避位置で待機する。
図10(a)に示すように、ブラシ搬送アーム81が退避位置で待機すると、基板Wの裏面Wbが洗浄ブラシ8(ブラシ本体810)に接触する位置まで第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが下降する。この結果、基板Wの裏面Wbが洗浄ブラシ8(ブラシ本体810)に当接する。具体的には、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1軸部62a及び第2軸部62bを下降させて、基板Wを下降させる。
基板Wの裏面Wbが洗浄ブラシ8(ブラシ本体810)に当接した後、スピンモータ部4がスピンチャック3を回転させる。この結果、洗浄ブラシ8が第1回転軸線AX1を中心として回転して、基板Wの裏面Wbを洗浄する。また、基板Wの裏面Wbの洗浄中に、第2ノズル9から基板Wの裏面Wbに向けて第2処理液が吐出される。具体的には、第2ノズル9は、基板Wの裏面Wbのうち、スピンチャック3よりも外側の部分に第2処理液を吐出する。基板Wの裏面Wbの洗浄が終了すると、スピンドライ処理が行われる。
図10(b)に示すように、スピンドライ処理の終了後、第1移動機構6a及び第2移動機構6bが第1軸部62a及び第2軸部62bを上昇させる。この結果、基板Wが洗浄ブラシ8から上方へ移動して、洗浄ブラシ8から離れた位置で待機する。
基板Wが洗浄ブラシ8の上方で待機している間に、ブラシ搬送アーム81がスピンチャック3から基板Wを受け取り、基板Wを退避位置まで搬送する。具体的には、ブラシ搬送アーム81が、洗浄ブラシ8の下方の位置まで移動する。その後、ブラシ搬送アーム81が上昇する。ブラシ搬送アーム81が上昇する過程で、ブラシ搬送アーム81が洗浄ブラシ8を保持して、洗浄ブラシ8をスピンチャック3の上方へ移動させる。ブラシ搬送アーム81は上昇を終了すると、第2方向D2へ移動して、洗浄ブラシ8を退避位置まで搬送する。
続いて図11を参照して、本実施形態の基板処理装置1による基板洗浄処理の他例を説明する。基板処理装置1は、図8(a)~図10(b)を参照した基板洗浄処理に代えて、図11を参照して説明する基板洗浄処理を実行してもよい。図11は、基板処理装置1による基板洗浄処理の他例を示す模式図である。図11に示す基板洗浄処理は、基板Wの表面Wsの洗浄時における処理が、図8(a)~図10(b)を参照した基板洗浄処理と異なる。
図11に示すように、基板Wの表面Wsの洗浄時に、洗浄ブラシ8によって基板Wの裏面Wbの一部を洗浄してもよい。具体的には、ブラシ搬送機構80が、基板Wの表面Wsの洗浄時に、接触位置に洗浄ブラシ8を搬送する。接触位置は、スピンチャック3によって保持されている基板Wの裏面Wbの一部に洗浄ブラシ8のブラシ本体810が接触する位置である。
より詳しくは、接触位置に位置する洗浄ブラシ8のブラシ本体810は、基板Wの裏面Wbのうち、平面視においてスピンチャック3から外れている部分に接触する。この結果、洗浄ブラシ8のブラシ本体810が、回転する基板Wの裏面Wbの一部に接触して、基板Wの裏面Wbの一部を洗浄する。具体的には、基板Wの裏面Wbの外周部が洗浄される。図11に示す基板洗浄処理によれば、基板Wの裏面Wbの中心部に加えて、基板Wの裏面Wbの外周部を洗浄することができる。
以上、図1~図11を参照して実施形態1を説明した。本実施形態によれば、基板Wを反転させることなく基板Wの裏面Wbを処理することができる。より具体的には、基板Wを反転させることなく基板Wの両面を処理することができる。したがって、基板Wの両面を処理するために基板Wを反転させる構成と比べて、1枚の基板Wを処理するための工程数を減らして、スループットを向上させることができる。また、本実施形態によれば、基板Wの裏面Wbの吸着痕を洗浄することができる。
更に、本実施形態によれば、スピンチャック3を用いて洗浄ブラシ8を回転させることができる。したがって、洗浄ブラシ8を回転させるための回転機構を新たに設ける必要がない。
また、本実施形態によれば、基板Wを昇降させる機構を搭載させることにより、基板Wの裏面Wbを洗浄ブラシ8によって洗浄することができる。したがって、簡易な構成によって、基板Wの両面を洗浄することができる。
また、本実施形態によれば、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、スピンチャック3の吸引口32が洗浄ブラシ8によって覆われる。したがって、基板Wの裏面Wbの洗浄時に第2処理液が吸引口32を介してスピンチャック3の内部に侵入することを回避できる。
なお、図1~図11を参照して説明した基板処理装置1において、スピンチャック3は洗浄ブラシ8の下面8bの中心部を吸着したが、図12に示すように、スピンチャック3は洗浄ブラシ8の下面8bの中心部以外の部位を吸着してもよい。換言すると、洗浄ブラシ8の下面8bの中心は、スピンチャック3の中心に対して偏心していてもよい。図12は、洗浄ブラシ8の吸着位置の他例を示す図である。
図12に示すように、洗浄ブラシ8の下面8bの中心が、スピンチャック3の中心に対して偏心していても、基板Wの裏面Wbに対して、接触面31及び吸引口32に対向する範囲を洗浄することができる。すなわち、吸着痕を洗浄することができる。
また、図1~図11を参照して説明した基板処理装置1において、洗浄ブラシ8は、吸着ベース3aと比べて大径であったが、洗浄ブラシ8は、吸着ベース3aと比べて小径であってもよいし、平面視において、吸着ベース3aの面積と同じ面積を有していてもよい。図12に示すように、洗浄ブラシ8の下面8bの中心をスピンチャック3の中心に対して偏心させる場合、洗浄ブラシ8が吸着ベース3aと比べて小径であっても、吸着痕を洗浄することができる。
[実施形態2]
続いて図13(a)~図15(b)を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、スピンチャック3及び洗浄ブラシ8の構成が実施形態1と異なる。
まず、図13(a)及び図13(b)を参照して実施形態2の基板処理装置1が備えるスピンチャック3及び洗浄ブラシ8を説明する。図13(a)は、スピンチャック3を示す平面図である。図13(b)は、スピンチャック3及び洗浄ブラシ8の断面図である。
図13(a)に示すように、スピンチャック3は、第1係合部33を有する。第1係合部33は、接触面31のうち、吸引口32以外の領域に設けられる。本実施形態において、第1係合部33は、第1嵌合凹部33aと、第2嵌合凹部33bとを含む。第1嵌合凹部33aと、第2嵌合凹部33bとは、吸引口32を介して対向している。第1嵌合凹部33a及び第2嵌合凹部33bは、平面視円形状である。
図13(b)に示すように、洗浄ブラシ8は、第2係合部830を有する。第2係合部830は、ホルダー820の下面820bに設けられる。第2係合部830は、スピンチャック3が洗浄ブラシ8を吸着する際に第1係合部33と係合する。
本実施形態において、第2係合部830は、第1凸部830aと、第2凸部830bとを含む。第1凸部830a及び第2凸部830bは、ホルダー820の下面820bから突出する。第1凸部830a及び第2凸部830bはそれぞれ、第1嵌合凹部33a及び第2嵌合凹部33bに対向する位置に配置される。第1凸部830a及び第2凸部830bは、円柱状である。
スピンチャック3が洗浄ブラシ8を吸着する際に、第1凸部830a及び第2凸部830bはそれぞれ、第1嵌合凹部33a及び第2嵌合凹部33bに嵌合する。この結果、第1係合部33と第2係合部830とが係合する。
以上、図13(a)及び図13(b)を参照して実施形態2を説明した。本実施形態によれば、第1係合部33と第2係合部830とが係合することにより、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、洗浄ブラシ8が吸着ベース3aに対して回転方向に相対的に回転する不具合の発生を回避することができる。換言すると、基板Wの裏面Wbの洗浄時に洗浄ブラシ8が回転しない不具合の発生を回避することができる。
なお、第1係合部33は2つの嵌合凹部を有したが、第1係合部33は3つ以上の嵌合凹部を有してもよい。同様に、第2係合部830は2つの凸部を有したが、第2係合部830は3つ以上の凸部を有してもよい。
続いて、図14(a)~図15(b)を参照してスピンチャック3の変形例(第1変形例~第3変形例)を説明する。まず、図14(a)及び図14(b)を参照してスピンチャック3の第1変形例及び第2変形例を説明する。図14(a)は、スピンチャック3の第1変形例を示す平面図である。より詳しくは、図14(a)は、洗浄ブラシ8を吸着しているスピンチャック3を示す。
図13(a)及び図13(b)を参照して説明した第1係合部33は、平面視円形状の凹部を有したが、第1係合部33は、平面視円形状の凹部に限定されない。第1係合部33は、第2係合部830と係合できる形状であればよい。
例えば、図14(a)に示すように、第1係合部33は、溝状でもよい。具体的には、図14(a)に示す第1係合部33は、第1溝部34a及び第2溝部34bを含む。第1溝部34aと第2溝部34bとは、吸引口32を介して対向している。第1溝部34a及び第2溝部34bはそれぞれ、周方向に沿って延びる。
スピンチャック3の第1変形例によれば、第1係合部33と第2係合部830とをより容易に係合させることができる。具体的には、第1溝部34aは周方向に沿って延びているため、第1溝部34aに第1凸部830aを挿入する作業が容易となる。同様に、第2溝部34bは周方向に沿って延びているため、第2溝部34bに第2凸部830bを挿入する作業が容易となる。
なお、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、洗浄ブラシ8が吸着ベース3aに対して回転方向に相対的に回転しても、第1凸部830aが、回転方向における第1溝部34aの一方の端で係止される。あるいは、洗浄ブラシ8が吸着ベース3aに対して回転方向に相対的に回転しても、第2凸部830bが、回転方向における第2溝部34bの一方の端で係止される。したがって、洗浄ブラシ8が回転しない不具合の発生を回避することができる。
図14(b)は、スピンチャック3の第2変形例を示す平面図である。より詳しくは、図14(b)は、洗浄ブラシ8を吸着しているスピンチャック3を示す。図14(b)に示すように、第1係合部33は平面視扇型であってもよい。具体的には、図14(b)に示す第1係合部33は、第1扇形凹部35aと、第2扇形凹部35bとを含む。第1扇形凹部35aと第2扇形凹部35bとは、吸引口32を介して対向している。具体的には、第1扇形凹部35aの要部と、第2扇形凹部35bの要部とが、吸引口32を介して対向している。したがって、第1扇形凹部35a及び第2扇形凹部35bはそれぞれ、吸引口32から径方向外側に向かって末広がり状に拡がる。
スピンチャック3の第2変形例によれば、スピンチャック3の第1変形例と同様に、第1係合部33と第2係合部830とをより容易に係合させることができる。
なお、基板Wの裏面Wbの洗浄時に、洗浄ブラシ8が吸着ベース3aに対して回転方向に相対的に回転しても、第1凸部830aが、回転方向における第1扇形凹部35aの一方の端で係止される。あるいは、洗浄ブラシ8が吸着ベース3aに対して回転方向に相対的に回転しても、第2凸部830bが、回転方向における第2扇形凹部35bの一方の端で係止される。したがって、洗浄ブラシ8が回転しない不具合の発生を回避することができる。
続いて、図15(a)及び図15(b)を参照してスピンチャック3の第3変形例を説明する。図15(a)及び図15(b)は、スピンチャック3の第3変形例を示す平面図である。詳しくは、図15(b)は、洗浄ブラシ8を吸着しているスピンチャック3を示す。
図15(a)に示すように、スピンチャック3は、互いに異なる位置に配置された複数の第1係合部33を有してもよい。スピンチャック3の第3変形例は、3つの第1係合部33を有する。具体的には、3つの第1係合部33は、第1嵌合凹部33a1と第2嵌合凹部33b1との組からなる第1係合部33と、第1嵌合凹部33a2と第2嵌合凹部33b2との組からなる第1係合部33と、第1嵌合凹部33a3と第2嵌合凹部33b3との組からなる第1係合部33とを含む。
以下、第1嵌合凹部33a1と第2嵌合凹部33b1との組からなる第1係合部33を「+X側係合部33」と記載し、第1嵌合凹部33a2と第2嵌合凹部33b2との組からなる第1係合部33を「中央係合部33」と記載し、第1嵌合凹部33a3と第2嵌合凹部33b3の組からなる第1係合部33を「-X側係合部33」と記載する。
+X側係合部33と、中央係合部33と、-X側係合部33とは、この順に並んでいる。具体的には、中央係合部33の第1嵌合凹部33a2及び第2嵌合凹部33b2は、吸引口32を介して対向している。+X側係合部33の第1嵌合凹部33a1は、中央係合部33の第1嵌合凹部33a2に対して一方側(+X側)に位置し、-X側係合部33の第1嵌合凹部33a3は、中央係合部33の第1嵌合凹部33a2に対して他方側(-X側)に位置する。同様に、+X側係合部33の第2嵌合凹部33b1は、中央係合部33の第2嵌合凹部33b2に対して一方側(+X側)に位置し、-X側係合部33の第2嵌合凹部33b3は、中央係合部33の第2嵌合凹部33b2に対して他方側(-X側)に位置する。
スピンチャック3の第3変形例によれば、図15(b)に示すように、洗浄ブラシ8の第2係合部830が係合する第1係合部33を、3つの第1係合部33の間で変更することにより、スピンチャック3に対する洗浄ブラシ8の位置を容易に変更することができる。したがって、洗浄ブラシ8によって洗浄する範囲を容易に変更することができる。
図15(b)において、斜線を付している部分は、洗浄ブラシ8の第2係合部830(第1凸部830a及び第2凸部830b)が係合している第1係合部33を示している。具体的には、図15(b)は、洗浄ブラシ8の第2係合部830(第1凸部830a及び第2凸部830b)が、+X側係合部33(第1嵌合凹部33a1及び第2嵌合凹部33b1)に係合している状態を示している。この場合、洗浄ブラシ8の下面8bの中心は、スピンチャック3の中心に対して一方側(+X側)に偏心する。
なお、図15(a)及び図15(b)を参照して説明したスピンチャック3は3つの第1係合部33を有したが、第1係合部33の数は3つに限定されない。スピンチャック3は2つの第1係合部33を有してもよいし、4つ以上の第1係合部33を有してもよい。
以上、図面(図1~図15(b))を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態において、洗浄ブラシ8のブラシ本体810は平面視円形状であったが、ブラシ本体810の形状は、基板Wの裏面Wbを洗浄できる限り、特に限定されない。例えば、ブラシ本体810は、平面視矩形状であってもよい。
また、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態において、基板処理装置1は、基板Wの表面Wsを処理した後に基板Wの裏面Wbを処理したが、基板処理装置1は、基板Wの裏面Wbを処理した後に基板Wの表面Wsを処理してもよい。
また、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態において、基板処理装置1は、第1処理液によって基板Wの表面Wsを処理したが、基板処理装置1は、洗浄ブラシによって基板Wの表面Wsを処理してもよい。この場合、基板処理装置1は、洗浄ブラシを移動させて基板Wの表面Wsに洗浄ブラシを接触させる移動機構を備える。
また、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態において、センターロボットCRは、チャンバー2内に基板Wを搬入する際に、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bに基板Wを受け渡したが、センターロボットCRは、チャンバー2内に基板Wを搬入する際に、スピンチャック3に基板Wを受け渡してもよい。
また、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態において、基板処理装置1は、基板Wを昇降させたが、基板処理装置1は、スピンチャック3を昇降させてもよい。あるいは、基板W及びスピンチャック3の双方を昇降させてもよい。この場合、基板処理装置1は、スピンチャック3を昇降させる昇降機構を備える。
また、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態では、第1把持ピン5a及び第2把持ピン5bが基板Wを保持したが、基板処理装置1は、把持ピンによって基板Wを保持する構成に代えて、真空吸引によって基板Wを保持する構成を備えてもよい。具体的には、基板処理装置1は、基板Wの表面Wsを真空吸引する構成を備えてもよい。
また、図1~図15(b)を参照して説明した実施形態では、第1移動機構6aにおいて第1把持ピン5aが第1アーム61aから下方に突出し、第2移動機構6bにおいて第2把持ピン5bが第2アーム61bから下方に突出する構成となっているが、第1移動機構6aにおいて第1把持ピン5aが第1アーム61aから上方に突出し、第2移動機構6bにおいて第2把持ピン5bが第2アーム61bから上方に突出する構成としてもよい。
また、図13(a)~図15(b)を参照した実施形態において、第1嵌合凹部33aは平面視円形状であったが、第1嵌合凹部33aは平面視円形状に限定されない。例えば、第1嵌合凹部33aは平面視矩形状であってもよい。同様に、図13(a)~図15(b)を参照した実施形態において、第2嵌合凹部33bは平面視円形状であったが、第2嵌合凹部33bは平面視円形状に限定されない。例えば、第2嵌合凹部33bは平面視矩形状であってもよい。
また、図13(a)~図15(b)を参照した実施形態において、第1凸部830aは円柱状であったが、第1凸部830aは円柱状に限定されない。第1凸部830aの形状は、第1係合部33と係合できる形状であればよく、例えば角柱状であってもよい。同様に、図13(a)~図15(b)を参照した実施形態において、第2凸部830bは円柱状であったが、第2凸部830bは円柱状に限定されない。第2凸部830bの形状は、第1係合部33と係合できる形状であればよく、例えば角柱状であってもよい。
また、図13(a)~図15(b)を参照した実施形態において、第1係合部33は凹部を有し、第2係合部830は凸部を有したが、第1係合部33が凸部を有し、第2係合部830が凹部を有してもよい。