以下、図面を参照しながら、誘導装置及び誘導システムの実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態にかかる誘導システムのシステム構成の一例を示す図である。
(誘導システムの全体構成の説明)
図1に示すように、本実施形態にかかる誘導システム1は、例えば病院内に設置されて、サーバ装置2と、ユーザ端末3と、職員端末4と、医師端末5と、ビーコン7とを備える。サーバ装置2とユーザ端末3とは、通信ネットワークNを介して、互いに通信可能に接続される。なお、通信ネットワークNは、例えば、インターネットやVPN(Virtual Private Network)などの専用回線である。また、サーバ装置2と職員端末4及び医師端末5とは、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)6により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。なお、ユーザ端末3は、移動者(来院した患者や患者の家族など)が所持するため、複数存在する。なお、以下の説明において、移動者は患者であるものとする。職員端末4は、病院内の複数の職員が所持するため、複数存在する。また、医師端末5は、例えば診察室毎に設置されるため、複数存在する。
誘導システム1は、更に、病院内の複数の位置に設置されたビーコン7を備える。ビーコン7は、自身の設置位置と関連付いた情報を含む信号を、当該ビーコン7の周囲に発信する。ユーザ端末3は、ビーコン7が出力する信号を検出する。そして、ユーザ端末3は、受信した信号強度に基づいて、自身の現在位置を検出する。なお、ユーザ端末3の現在位置を検出する方法は、ビーコン7の信号の受信強度を検出する方法に限定されるものではない。例えば、Wi-Fi(登録商標)などの無線LNのアクセスポイントからの信号の受信強度を検出することによって、ユーザ端末3の現在位置を検出してもよい。さらに、病院の通路に埋設した磁気マーカの信号を、ユーザ端末3の磁気センサで検出することによって、現在位置を検出してもよい。
サーバ装置2は、ユーザ端末3から当該ユーザ端末3の現在位置を取得する。そして、サーバ装置2は、所定時間毎に、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を生成する。また、サーバ装置2は、ユーザ端末3を所持しているユーザ(例えば患者)の目的地(例えば患者の診察を行う診察室)までの推奨経路を算出する。さらに、サーバ装置2は、取得したユーザ端末3の現在位置と、当該ユーザ端末3の目的地までの推奨経路とに基づいて、ユーザ端末3の現在位置に応じた経路案内情報を、当該ユーザ端末3に対して出力する。
また、サーバ装置2は、患者が診察時間に間に合わないことが予測される場合に、医師端末5に対して診察順と診察時間の変更を行わせる。そして、サーバ装置2は、ユーザ端末3に対して、変更した診察時間を案内する。
さらに、サーバ装置2は、患者が行方不明になった際に、当該患者が所持するユーザ端末3の所在を探索する。また、サーバ装置2は、過去のユーザ端末3の移動履歴等の統計情報を生成することによって、病院内のレイアウトの検討などに資する情報提供を行う。なお、サーバ装置2は、誘導装置の一例である。
ユーザ端末3は、患者が所持、又は患者の移動手段である例えば車椅子などに設置されて、患者とともに移動する、例えばスマートフォンやタブレットPC(Personal Computer)などの携帯端末である。ユーザ端末3は、例えばビーコン7の信号を受信して現在位置を検出する。また、ユーザ端末3は、検出した現在位置をサーバ装置2に送信する。さらに、ユーザ端末3は、サーバ装置2からの経路案内情報を受信して、当該ユーザ端末3を所持している患者に対して、目的地までの経路案内を行う。なお、ユーザ端末3は、端末装置の一例である。
また、本実施形態において、ユーザ端末3は、来院時に病院の受付にて、患者に貸与されるものとする。そして、貸与されるユーザ端末3には、当該ユーザ端末3を所持する患者の属性(例えば、徒歩、車椅子等の移動手段の種類など)が関連付けられているものとする。
職員端末4は、例えば、病院の受付や会計に設置された、パーソナルコンピュータなどの端末装置である。また、職員端末4は、看護師などの職員が携帯する携帯端末である。
職員端末4は、患者に貸与されるユーザ端末3と、患者を特定する識別ID(例えば患者番号)とを関連付けて登録する。また、職員端末4は、ユーザ端末3と、患者の移動手段(例えば、徒歩、車椅子、杖などの歩行補助具等)とを関連付けて登録する。さらに、職員端末4は、サーバ装置2を介して、患者の登録情報を医師端末5に送信する。
また、職員端末4は、医師端末5から、当該患者の受診順及び診察時間を受信する。また、職員端末4は、診察が終了した患者が会計を行う際に、会計にかかる処理を行う。
また、職員端末4は、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を表示する。また、職員端末4は、ユーザ端末から会話要求があった際に、ユーザ端末3を所持している患者との間で音声通話を可能とする。さらに、職員端末4は、ユーザ端末3を所持している患者の容態が急変した際に報知を行う。
医師端末5は、例えば、診察室毎に設置された、パーソナルコンピュータなどの端末装置である。医師端末5は、医師が患者を診察する際に、過去の診察記録の閲覧指示や電子カルテなどの情報入力指示を受け付ける。また、医師端末5は、診察時間の遅延が発生した際に、診察時間を変更する。そして、医師端末5は、変更した診察時間をサーバ装置2に送信する。また、医師端末5は、患者が診察時間に間に合わないことが予測される場合に、診察順と診察時間を変更する。そして、医師端末5は、変更した診察順と診察時間をサーバ装置2に送信する。さらに、医師端末5は、患者の行動記録の閲覧指示を受け付ける。
(ユーザ端末のハードウェア構成の説明)
図2は、ユーザ端末3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ユーザ端末3は、制御部301と、記憶部302と、無線通信I/F303と、I/O機器制御部304とが、バス305を介して接続される構成を有する。
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。制御部301は、CPUがROMや記憶部302に記憶された制御プログラムを読み出して、RAMに展開して順次実行することで、ユーザ端末3の各部を制御する。記憶部302は、ハードディスクドライブ装置などであり、制御部301のCPUが実行する制御プログラムや各種設定データなどを記憶する。
無線通信I/F303は、ユーザ端末3とサーバ装置2との間の無線通信を制御する。
I/O機器制御部304は、制御部301の制御の下、各種I/O機器の制御を行う。I/O機器制御部304が制御するI/O機器は、例えば、ユーザ端末3に接続された、タッチパネル、マイクなどの操作部306と、液晶ディスプレイ、スピーカなどの表示部307と、ユーザ端末3を所持する患者に装着されたバイタルセンサ308である。
バイタルセンサ308は、患者に装着された、例えばリストバンド型のウエアラブルセンサである。バイタルセンサ308は、例えば、血圧、体温、脈拍などのバイタルサインを計測する。なお、バイタルセンサ308の計測結果は、サーバ装置2を経由して、職員端末4及び医師端末5に送信される。
なお、ユーザ端末3を所持する患者が院外にいる場合であっても、ユーザ端末3の現在位置を検出できるように、ユーザ端末3は、図2に非図示のGPS(Global Positioning System)受信機を備えていてもよい。
(職員端末と医師端末のハードウェア構成の説明)
図3は、職員端末4と、医師端末5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、職員端末4と医師端末5とは、ハードウェア的には同じ構成を有している。すなわち、図3に示すように、職員端末4と、医師端末5とは、制御部401(501)と、記憶部402(502)と、通信I/F403(503)と、I/O機器制御部404(504)とが、バス405(505)を介して接続される構成を有する。
制御部401(501)は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。制御部401(501)は、CPUがROMや記憶部402(502)に記憶された制御プログラムを読み出して、RAMに展開して順次実行することで、職員端末4と医師端末5との各部を制御する。記憶部402(502)は、ハードディスクドライブ装置などであり、制御部401のCPUが実行する制御プログラムや各種設定データなどを記憶する。
通信I/F403(503)は、職員端末4及び医師端末5とサーバ装置2との間の通信を制御する。なお、職員端末4及び医師端末5は、サーバ装置2との間で、院内LAN6(図1)を介した有線通信を行う。
I/O機器制御部404(504)は、制御部401(501)の制御の下、各種I/O機器の制御を行う。I/O機器制御部404(504)が制御するI/O機器は、例えば、職員端末4及び医師端末5にそれぞれ接続された、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどの操作部406(506)と、液晶ディスプレイ、スピーカなどの表示部407(507)である。
なお、以下の説明において、職員端末4と医師端末5とを分けて説明する際に、ハードウェア構成要素を引用して説明する際には、便宜上、職員端末4の説明には、符号401~407を使用して、医師端末5の説明には、符号501~507を使用する。
(サーバ装置の機能構成の説明)
図4は、サーバ装置2の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、サーバ装置2は、制御部201と、記憶部202とを備える。
制御部201は、CPU、ROM、RAMなどで構成され、CPUがROMや記憶部202が記憶する制御プログラムP1をRAMに展開して順次実行することで、サーバ装置2の各部を制御する。
制御部201は、CPUが制御プログラムP1を順次実行することで、図4に示すユーザ端末位置取得部2011と、経路算出部2012と、経路案内部2013と、到着時刻予測部2014と、診察順変更部2015と、診察時間案内部2016と、会話制御部2017と、患者状態モニタ部2018と、移動経路記憶部2019と、移動経路可視化部2020と、表示制御部2021と、通信制御部2022とを、機能部として実現する。
ユーザ端末位置取得部2011は、複数の患者(移動者)が所持する、各患者の属性が関連付けられたユーザ端末3のそれぞれの現在位置を取得する。また、ユーザ端末位置取得部2011は、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を生成する。なお、ユーザ端末位置取得部2011は、取得部の一例である。
経路算出部2012は、特定の患者(移動者)の現在位置と、特定の患者の診察室(目的地)の位置と、特定の患者のユーザ端末3に関連付けられた属性と、ユーザ端末位置取得部2011が取得した他の移動者のユーザ端末3の現在位置と、特定の患者の現在位置から診察室に至る経路上に存在する、他の患者のユーザ端末3に関連付けられた属性と、に基づいて、特定の患者の診察室までの推奨経路を算出する。
経路案内部2013は、ユーザ端末位置取得部2011が取得した特定の患者のユーザ端末3の現在位置と、経路算出部2012が算出した推奨経路とに基づいて、特定の患者のユーザ端末3の現在位置に応じた経路案内情報を、特定の患者のユーザ端末3に対して出力する。なお、経路案内部2013は、後述する到着時刻予測部2014が予測した、特定の患者の診察室への到着時刻が、予め設定された当該特定の患者の診察時間よりも前の時刻となるタイミングで、特定の患者のユーザ端末3に対して、診察室までの経路案内情報を出力する。また、経路案内部2013は、推奨経路上の車椅子の台数が所定の値を上回ったことを条件として、特定の患者のユーザ端末3に対する経路案内情報の出力を保留するとともに、推奨経路上の車椅子の台数が所定の値を下回ったことを条件として、特定の患者のユーザ端末3に対して経路案内情報を出力してもよい。
到着時刻予測部2014は、ユーザ端末3とともに移動する患者の、目的地(診察室)への到着時刻を予測する。到着時刻予測部2014は、具体的には、現在時刻と、患者のユーザ端末3の現在位置と、患者のユーザ端末3に関連付けられた属性と、診察室の位置と、推奨経路とに基づいて、患者の診察室への到着時刻を予測する。また、到着時刻予測部2014は、予測した到着時刻が、予め設定された患者の診察時間(例えば予約時間)に間に合うかを判定する。なお、到着時刻予測部2014は、予測部の一例である。
診察順変更部2015は、到着時刻予測部2014が予測した到着時刻が、診察時間に遅れると判定されたことを条件として、医師端末5に対して、該当する患者の診察順及び診察時間の変更を指示する。また、診察順変更部2015は、医師端末5が変更した診察順及び診察時間を取得する。なお、診察順変更部2015は、変更部の一例である。
診察時間案内部2016は、診察順変更部2015の指示に基づいて変更された診察順及び診察時間を、変更の対象となる患者のユーザ端末3と、診察時間が変更される他の患者のユーザ端末3と、に対して案内する。また、診察時間案内部2016は、ユーザ端末3から診察の進捗状態の確認依頼を受けて、該当する患者の診察順及び診察時間を案内する。
会話制御部2017は、ユーザ端末3からの会話要求を受け付ける。また、会話制御部2017は、ユーザ端末3と職員端末4との間で音声通話を行わせる。
患者状態モニタ部2018は、ユーザ端末3が備えるバイタルセンサ308の計測結果をモニタする。また、患者状態モニタ部2018は、バイタルセンサ308の計測結果に異常が生じた際に、職員端末4に報知を行わせる。
移動経路記憶部2019は、患者の移動経路の軌跡(以下、移動軌跡と呼ぶ)を累積記憶する。なお、移動経路記憶部2019は、累積記憶部の一例である。
移動経路可視化部2020は、移動経路記憶部2019に累積記憶された移動軌跡の、少なくとも方向と、頻度と、時間と、を含む情報を可視化した移動軌跡累積情報を生成する。
表示制御部2021は、通信制御部2022に対して、ユーザ端末位置取得部2011が生成した、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を、ユーザ端末3と、職員端末4と、医師端末5とに送信させる。
通信制御部2022は、サーバ装置2と、ユーザ端末3、職員端末4、医師端末5との間の通信を制御することによって、ユーザ端末3と、職員端末4と、医師端末5とに必要な情報を送信する。また、通信制御部2022は、ユーザ端末3と、職員端末4と、医師端末5とから必要な情報や処理要請を取得する。
記憶部202は、ハードディスクドライブ装置などであり、制御部201のCPUが実行する制御プログラムP1や各種データなどを記憶する。また、記憶部202は、地図データベース2031と、ユーザ端末登録情報2032と、診察リスト2033と、移動履歴情報2034とを記憶する。
地図データベース2031は、病院内の通路の形状及び位置と、診察室の位置とをデジタルデータとして記憶したデータベースである。具体的には、通路の形状と位置は、通路上に所定間隔で設定された点(ノード)の座標と、隣接するノード間を連結する通路リンクとで表現される。そして、各通路リンク又は各ノードは、通路幅の情報を有する。なお、地図データベース2031の構造は、例えば、カーナビゲーションシステムで使用されている地図データベースの構造と同じであるため、詳細な説明は省略する。また、診察室の位置は、入口の座標と、診察室の領域を表す形状情報とで表現される。
ユーザ端末登録情報2032は、各ユーザ端末3と、当該ユーザ端末3を所持している患者を特定する識別IDとを関連付けた情報である。また、ユーザ端末登録情報2032は、患者の移動手段の種類を表す情報(属性の一例)を関連付けて記憶する。患者の移動手段の種類を表す情報とは、例えば、徒歩、車椅子、歩行補助具などを示す情報である。患者の移動手段の種類を表す情報は、患者の受付時に、受付窓口で毎回自己申告してもらうことによって入手する。申告された情報は、職員端末4に入力されて、当該患者に貸与されるユーザ端末3と関連付けられる。なお、移動手段の種類とともに、患者の移動にかかる情報(階段の昇降が可能か、エレベータの使用が可能か、エスカレータの使用が可能か、介在が必要かなど)も一緒に入手するのが望ましい。
診察リスト2033は、患者を特定する識別IDと、当該患者の診察予定時刻とを関連付けた情報である。診察リスト2033は、患者の受付時に、受付の職員端末4において患者の識別IDを登録した際に、当該識別IDを、患者の診察科の診察予定に追加することによって生成される。診察予定時刻は、例えば、診察科毎に予め決められた、患者一人当たりの平均診察時間に基づいて設定される。なお、診察時間は、患者の容態等によって変動する。したがって、例えば、医師端末5において、診察を担当した医師が、患者の診察が終了する毎に、電子カルテに診察終了を示す情報を入力したことをトリガとして、診察リスト2033に登録された診察予定時刻が変更されるものとする。
また、診察リスト2033は、前述した診察順変更部2015が、ユーザ端末3を所持している患者の診察室への到着が遅延すると判定した際に、変更された診察順と診察予約時間とを記憶する。
移動履歴情報2034は、複数の患者の移動軌跡を記憶した情報である。
(ユーザ端末の機能構成の説明)
図5は、ユーザ端末3の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。前述したように(図2)、ユーザ端末3は、制御部301と、記憶部302とを備える。
制御部301は、CPUが制御プログラムP2を順次実行することで、図4に示す現在位置検出部3011と、経路案内出力部3012と、診察時間出力部3013と、操作制御部3014と、表示制御部3015と、通信制御部3016とを、機能部として実現する。
現在位置検出部3011は、ユーザ端末3自身の現在位置を検出する。具体的には、前述したように、ビーコン7の信号の受信強度に基づいて、病院内における現在位置を検出する。なお、現在位置検出部3011は、検出部の一例である。
経路案内出力部3012は、サーバ装置2から取得した、目的地(診察室)までの推奨経路の経路案内情報を出力する。
診察時間出力部3013は、サーバ装置2から診察リスト2033を受信する。そして、診察時間出力部3013は、患者の診察順又は診察時間に変更があるかを判定する。さらに、診察時間出力部3013は、患者の診察順及び診察時間を表示部307に表示する。
操作制御部3014は、操作部306の作用によって、患者からの処理要請を取得する。
表示制御部3015は、サーバ装置2から受信した経路案内情報や推奨経路、診察時間、診察順などを、表示部307に表示する。
通信制御部3016は、現在位置検出部3011が検出したユーザ端末3の現在位置などをサーバ装置2に送信する。また、通信制御部3016は、サーバ装置2から、目的地(診察室)までの経路案内情報、及び診察順、診察時間などを受信する。
記憶部302は、フラッシュメモリ装置などであり、制御部301のCPUが実行する制御プログラムP2や各種データなどを記憶する。
(職員端末の機能構成の説明)
職員端末4と医師端末5とは、ハードウェア構成は同じである。また、制御部401(501)及び記憶部402(502)には、職員端末4が備える機能と医師端末5が備える機能とが全て実装されているものとする。但し、職員端末4のみが備える機能、及び医師端末5のみが備える機能があるため、職員端末4及び医師端末5を使用する際には、使用者は自身の識別ID等を入力して、職員権限を有する使用者は職員端末4として使用して、医師権限を有する使用者は医師端末5として使用するものとする。なお、職員端末4と医師端末5とで、機能を分けて実装しても構わない。
さらに職員端末4が備える、例えば会計機能は、会計を行う権限を有する職員のみが使用することができる機能であるため、同じ職員権限を有する使用者であっても、識別IDに応じて、職員端末4の使用できる機能に差がある。
図6は、職員端末4の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図3で説明したように、職員端末4は、制御部401と、記憶部402とを備える。
制御部401は、CPUが制御プログラムP3を順次実行することで、図6に示す情報登録部4011と、状態モニタ部4012と、会計処理部4013と、音声通話部4014と、操作制御部4015と、表示制御部4016と、通信制御部4017とを、機能部として実現する。
情報登録部4011は、受付時に取得した患者にかかる情報を登録する。患者にかかる情報とは、例えば、患者ID、既往歴、診察科、予約時間、属性の一例である移動手段の種類などである。
状態モニタ部4012は、病院内における、ユーザ端末3を所持している患者の分布状態をモニタする。具体的には、状態モニタ部4012は、サーバ装置2から、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を取得する。そして、状態モニタ部4012は、表示制御部4016に、受信した院内の見取図を表示部407に表示させる。また、状態モニタ部4012は、ユーザ端末3を所持している患者のバイタルサインをモニタする。
会計処理部4013は、診察にかかった費用の算出処理、患者負担額の算出処理、決済処理などの会計にかかる処理を行う。
音声通話部4014は、ユーザ端末3を所持している患者との間で音声通話を行う。
操作制御部4015は、操作部406の作用によって、職員からの処理要請を取得する。
表示制御部4016は、サーバ装置2から受信した、病院内における患者の分布状態などを、表示部407に表示する。
通信制御部4017は、サーバ装置2を経由して、ユーザ端末3に対して、職員端末4を使用している職員の音声を送信する。また、通信制御部4018は、サーバ装置2から、各ユーザ端末3の現在位置などを受信するとともに、ユーザ端末3から、サーバ装置2を経由して、ユーザ端末3を所持している患者の音声やバイタルセンサ308(図2)の計測結果などを受信する。
記憶部402は、フラッシュメモリ装置などであり、制御部401のCPUが実行する制御プログラムP3や各種データなどを記憶する。また、記憶部402は、会計情報4021などを記憶する。
会計情報4021は、ユーザ端末3を所持している患者の診察に要した費用などを記憶した情報である。
(医師端末の機能構成の説明)
図7は、医師端末5の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図3で説明したように、職員端末4は、制御部501と、記憶部502とを備える。
制御部501は、CPUが制御プログラムP4を順次実行することで、図7に示す状態モニタ部5011と、電子カルテ入力部5012と、診察リスト更新部5013と、操作制御部5014と、表示制御部5015と、通信制御部5016とを、機能部として実現する。
状態モニタ部5011は、病院内における、ユーザ端末3を所持している患者の分布状態をモニタする。また、状態モニタ部4012は、ユーザ端末3を所持している患者のバイタルサインをモニタする。さらに、状態モニタ部5011は、患者の移動軌跡を分析して、病院内における移動回数などを算出するとともに、過去の移動回数との比較などを行う。
電子カルテ入力部5012は、操作部506が受け付けた、医師が入力した情報を、表示部507に表示するとともに、電子カルテとして記憶する。
診察リスト更新部5013は、通信制御部5016を介して、サーバ装置2から診察リスト2033を受信する。また、診察リスト更新部5013は、通信制御部5016を介して、サーバ装置2に診察リスト5022を送信する。さらに、診察リスト更新部5013は、診察が遅延した際に、診察リスト5022を更新する。
操作制御部5014は、操作部506の作用によって、医師からの処理要請を取得する。
表示制御部5015は、サーバ装置2から受信した病院内における患者の分布状態や診察リスト、及び電子カルテの内容などを、表示部507に表示する。
通信制御部5016は、診察時間に変更が生じた際に、診察リスト5022をサーバ装置2に送信する。また、通信制御部5016は、サーバ装置2から、新規患者が登録された診察リスト2033や病院内のユーザ端末3の分布状態などを受信する。なお、診察リスト2033は、新たに来院した患者の情報を含むため、診察リスト5022とは内容が異なっている。
記憶部502は、フラッシュメモリ装置などであり、制御部501のCPUが実行する制御プログラムP4や各種データなどを記憶する。また、記憶部502は、電子カルテ5021と、診察リスト5022などを記憶する。
電子カルテ5021は、患者の基本情報、及び医師が入力した患者の診察情報を含むカルテである。
診察リスト5022は、各診察科及び診察を担当する医師毎に作成された、当日の患者の診察順を示すリストである。なお、診察リスト5022は、医師端末5がサーバ装置2から診察リスト2033を受信した際に、最新の情報に更新される。また、医師の指示によって診察リスト5022が更新された場合は、更新された診察リスト5022がサーバ装置2に送信される。そして、サーバ装置が記憶している診察リスト2033は、送信された診察リスト5022に置き換えられる。
なお、サーバ装置2、ユーザ端末3、職員端末4、医師端末5の各制御部を制御する制御プログラムP1,P2,P3,P4は、予め記憶部202,302,402,502に記憶されているものとして説明したが、制御プログラムP1,P2,P3,P4は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
また、制御プログラムP1,P2,P3,P4を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。さらに、制御プログラムP1,P2,P3,P4をインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
(患者の移動手段の説明)
図8は、患者の移動手段の一例を示す図である。図8(a)は、自律移動型カプセル10aの一例である。自律移動型カプセル10aは、乗車した患者Pを病院内の指定された位置(診察室、売店、トイレなど)まで、自動的に案内する。
自律移動型カプセル10aは、患者Pが乗車する本体部11と、自走機構を備えた駆動部12と、操作用パネル13と、アンテナ14とを備える。
本体部11は、カプセル状に成形されて、患者Pは、本体部に設置されたシート15に着座する。
駆動部12は、本体部11に内蔵されたバッテリーによって駆動されて、本体部11を移動させる、例えばタイヤ、無限軌道などである。なお、自律移動型カプセル10aは、病院内に敷設したレールやケーブルに沿って移動する構成としてもよい。その場合、駆動用の電源は、敷設されたレールやケーブルから供給してもよい。
操作用パネル13は、例えばユーザ端末3である。操作用パネル13は、病院内の状態の表示、目的地までの経路の表示、経路案内情報の表示、目的地の入力などを行う。
アンテナ14は、サーバ装置2との通信、及びビーコン7の信号の受信を行うために使用される。なお、アンテナ14は、操作用パネル13に内蔵してもよい。
なお、図8には図示しないが、自律移動型カプセル10aは、ジャイロセンサなどの加速度センサを備える。加速度センサは、自律移動型カプセル10aの進行方向の変化を即座に検出することができるため、ビーコン7の受信強度に基づく現在位置情報を補間することによって、位置検出精度を向上させることができる。
また、自律移動型カプセル10aは、周囲の障害物を検出する機能を備える。すなわち、自律移動型カプセル10aは、進行方向に障害物があった場合に、当該障害物を回避することができるものとする。なお、障害物の検出は、本体部11に設置した超音波センサの出力や、カメラで撮影した画像を処理することによって行えばよい。
図8(b)は、自律移動型パレット10bの一例である。自律移動型パレット10bは、着座した患者Pを病院内の指定された位置(診察室、売店、トイレなど)まで、自動的に案内する。
自律移動型パレット10bは、患者Pが着座する本体部21と、自走機構を備えた駆動部22と、操作パネル23と、アンテナ24とを備える。
自律移動型パレット10bの基本構成は、前述した自律移動型カプセル10aと同様であるため、詳細な説明は省略する。
なお、操作用パネル13(ユーザ端末3)は、自律移動型パレット10bに設置されるものとして記載したが、これは、自律移動型パレット10bの患者が所持していてもよい。また、アンテナ24は、ユーザ端末3に内蔵されていてもよい。
図8(c)は、誘導杖10cの一例である。誘導杖10cは、加速度センサ31と荷重センサ32とアンテナ33とを内蔵している。また、誘導杖10cを使用する患者Pは、ヘッドセット34を装着している。ヘッドセット34は、ヘッドホン35とマイク36を備える。
誘導杖10cは、アンテナ33が受信したビーコン7の信号強度に基づいて、自身の現在位置を検出する。また、誘導杖10cは、内蔵された加速度センサ31と、先端に内蔵した荷重センサ32の出力に基づいて、ビーコン7の信号強度のみでは得られない小さな移動を検出する。
患者Pは、自身に装着したヘッドセット34によって目的地までの経路案内情報を得る。具体的には、ヘッドホン35が、案内情報を音声で伝達する。また、患者Pは、必要に応じて、マイク36を通して、職員端末4の操作者と会話を行うことができる。
なお、患者Pはユーザ端末3を所持しており、アンテナ33はユーザ端末3に内蔵されていてもよい。
図8(d)は、誘導ロボット10dの一例である。誘導ロボット10dは、自走機構を備えた駆動部43を備える。また、誘導ロボット10dは、アンテナ41と、加速度センサ42とを内蔵している。
駆動部43は、誘導ロボット10dの本体に内蔵されたバッテリーによって駆動されて、誘導ロボット10dを移動させる、例えば動物の脚を模した脚部である。
なお、誘導ロボット10dは、周囲の障害物を検出する機能を備える。すなわち、誘導ロボット10dは、進行方向に障害物があった場合に、当該障害物を回避することができるものとする。なお、障害物の検出は、誘導ロボット10dに取り付けた超音波センサの出力や、カメラで撮影した画像を処理することによって行えばよい。
アンテナ41は、ビーコン7の信号を受信して、受信した信号強度に基づいて、自身の現在位置を検出する。加速度センサ42は、誘導ロボット10dの進行方向の変化を即座に検出することができるため、ビーコン7の受信強度に基づく現在位置情報を補間することによって、位置検出精度を向上させることができる。
患者Pは、自身に装着したヘッドセット44によって目的地までの経路案内情報を得る。具体的には、ヘッドホン45が、案内情報を音声で伝達する。また、患者Pは、必要に応じて、マイク46を通して、職員端末4の操作者と会話を行うことができる。
なお、患者Pはユーザ端末3を所持しており、アンテナ41はユーザ端末3に内蔵されていてもよい。
なお、誘導システム1が誘導の対象とするのは、図8に記載した患者Pに限定されるものではない。すなわち、介助なしで歩行が可能な患者、一般的な車椅子を使用している患者なども誘導の対象とする。
(ユーザ端末に表示される画面の説明)
図9は、患者のユーザ端末3に表示される画面の一例を示す図である。ユーザ端末3の表示部307は、スピーカ50a,50bと、マイク51と、を備える。
表示部307には、院内状態60aと、患者に対するメッセージ61と、現在日時62と、各種操作ボタン(63a~63g)などが表示される。院内状態60aは、病院内におけるユーザ端末3の分布状態などを示す情報である。メッセージ61は、ユーザ端末3を所持している患者に対して提供される、診察時間にかかる情報などである。現在日時62は、現在の日付と時刻である。
なお、別のフロアの院内状態60aは、例えば、図9において、階段またはエレベータ(EV)の箇所に表示された、別のフロアを示すボタンを押下することによって表示することができる。或いは、表示部307に、フロアの階数を示す選択ボタンを表示させて、患者に、当該選択ボタンによって、院内状態60aを表示するフロアを選択させてもよい。
移動ボタン63aは、病院内の任意の場所(例えば、売店、トイレなど)を目的地に設定する。なお、目的地を設定すると、サーバ装置2が、設定された目的地までの推奨経路を算出して、経路案内を行う。また、移動手段が、図8で説明した自律移動型カプセル10a、自律移動型パレット10bである場合は、設定した目的地まで自動的に移動することができる。
会話ボタン63bは、職員と会話を行いたい場合に押下するボタンである。会話ボタン63bを押下すると、ユーザ端末3は、サーバ装置2を経由して職員端末4と接続される。患者は、スピーカ50a,50bと、マイク51と、を用いて職員と会話を行う。
問診ボタン63cは、問診票を読み出すボタンである。患者は、受付でユーザ端末3を受け取った後で、問診ボタン63cを押下して問診票を読み出す。そして、患者は問診票を記入する。記入が完了した問診票は、ユーザ端末3に保存されるとともに、サーバ装置2に送信される。
予約ボタン63dは、診察時間を変更する場合に押下するボタンである。患者は、食事や急な外出などによって予約時間を変更する必要が生じた場合、予約ボタン63dを押下する。すると、サーバ装置2からユーザ端末3に予約情報が送信される。患者は、変更したい予約時間を指定してサーバ装置2に送信する。サーバ装置2は、要求された予約時間への変更が可能であるかを判定する。そして、変更が可能である場合、ユーザ端末3に、予約変更を受け付けた旨のメッセージを送信する。一方、予約の変更ができない場合、サーバ装置2は、ユーザ端末3に対して、予約時間の再設定が必要である旨のメッセージを送信する。メッセージを受信した患者は、ユーザ端末3で、再度予約時間の設定を行う。
待順ボタン63eは、診察の進捗状態を確認する場合に押下するボタンである。待順ボタン63eが押下されたことは、サーバ装置2に伝達される。サーバ装置2の診察時間案内部2016は、該当する患者にかかる診察リスト2033を読み出して、ユーザ端末3に患者の診察順(例えば、「診察待ちは2名です」)や診察時間(例えば、「診察予定時刻は11:30頃です」)などを案内する。なお、案内はスピーカ50a,50bから音声出力してもよいし、表示部307にメッセージ61として表示してもよい。
設定ボタン63fは、ユーザ端末3にかかる各種設定を行う場合に押下するボタンである。例えば、受付において患者にユーザ端末3を貸与する際に、職員が、患者とユーザ端末3とを関連付けるための情報(例えば患者番号)を入力する場合に使用する。
出前ボタン63gは、患者が食事を摂りたい場合に押下するボタンである。出前ボタン63gを押下すると、ユーザ端末3と食堂に設置された職員端末4とが接続されて、会話が可能な状態となる。患者は、スピーカ50a,50bと、マイク51と、を用いて欲しいメニューを注文する。料理が出来上がると、食堂の職員が、職員端末4で患者のユーザ端末3の現在位置をモニタしながら、料理を届ける。
院内状態60aは、自身の存在位置と、ユーザ端末3を所持しているユーザ(患者)の移動手段毎の分布状態と、各ユーザ端末3の移動状態(静止している(移動準備中又は待機中)か、移動中か)と、自身が診察室まで移動する際の推奨経路64とを示す。
なお、ユーザ端末3を所持しているユーザ(患者)の移動手段は、来院時に受付の職員端末4において、情報登録部4011が登録したユーザ端末登録情報2032に基づいて認識される。図9では、病院内の混雑状態を患者にわかりやすく伝えるために、ユーザ端末3の現在位置に、移動手段毎に予め決められたサイズの占有面積を併せて表示している。具体的には、車椅子の占有面積は、歩行者の占有面積に比べて大きいことを、円形領域の面積で表現している。これによって、車椅子が多く存在する通路は混雑していることを、視覚的に即座に伝達することができる。
移動している歩行者及び車椅子は、時間とともに病院内での現在位置が変化するため、異なる時刻で検出した同じユーザ端末3の現在位置から、各ユーザ端末3の移動ベクトルを算出することができる。図9に表示した各矢印は、このようにして算出した移動ベクトルを示す。なお、矢印の方向は移動方向を示している。更に、矢印の長さによって、移動速度を表現してもよい。
推奨経路64は、ユーザ端末3を所持しているユーザが、星印で示す現在位置から、当該ユーザの診察科である内科の診察室(より具体的には、担当医師が診察を行っている診察室)まで移動する際の推奨される経路である。なお、推奨される経路とは、例えば、移動中の障害(他の歩行者や車椅子)が少なくて移動しやすい経路である。図9では、待合から、処置室と内科の診察室の間を通る経路が最短経路であるが、当該経路は車椅子が多く存在しているため、遠回りにはなるが、処置室と整形外科の診察室の間を通る経路が、推奨経路64として選択された例を示す。
なお、図9に示す画面の表示形態は一例であって、これに限定されるものではない。例えば、患者の移動手段は、歩行と車椅子のみでなく、歩行補助具(例えば杖)使用者、図8で説明した各移動手段の使用者などを含めてもよい。
院内状態60aは、時間とともに変化するため、所定の時間間隔で更新するのが望ましい。しかし、ユーザ端末3の数が多くなると、更新処理に伴う計算負荷が増大するため、ユーザ端末3の負担が大きくなる。そのため、院内状態60aの生成と更新はサーバ装置2で実行して、生成又は更新された院内状態60aを、各ユーザ端末3に配信するのが望ましい。
(推奨経路の算出方法及び到着時刻の予測方法の説明)
図10は、経路算出部2012が推奨経路を算出する方法を示す図である。特に、図10は、ノードN1からノードN2を経由してノードN3に至る経路の重みを算出する方法を示す。
なお、ノードN1からノードN2に至る通路リンクL1の近傍には、歩行者Q1,Q2と、車椅子R1,R2,R3が存在しているとする。また、ノードN2からノードN3に至る通路リンクL2の近傍には、歩行者Q3と、車椅子R4,R5が存在しているとする。
このとき、経路算出部2012は、以下の手順で、ノードN1からノードN2を経由してノードN3に至る経路の重みを算出する。
経路算出部2012は、まず、各歩行者及び各車椅子の現在位置から、通路リンクL1又は通路リンクL2のうち、近い通路リンクに垂線を引く。そして、各垂線の長さを求める。
次に、経路算出部2012は、各垂線の長さが、通路幅の半分の値よりも短いかを判定する。すなわち、歩行者又は車椅子が、通路上に存在するかを判定する。例えば、通路リンクL1の場合、歩行者Q1(垂線長d1)と車椅子R2(垂線長d3),R3(垂線長d5)が通路上に存在すると判定される。一方、歩行者Q2(垂線長d4)と車椅子R1(垂線長d2)は、通路上に存在すると判定されない。
同様にして、通路リンクL2の場合、歩行者Q3(垂線長d7)と車椅子R5(垂線長d8)が通路上に存在すると判定される。一方、車椅子R4(垂線長d6)は、通路上に存在すると判定されない。
すなわち、図10の例では、ノードN1からノードN2を経由してノードN3に至る経路上には、車椅子R2,R3,R5と、歩行者Q1,Q3と、が存在していることがわかる。
車椅子は歩行者に比べて占有面積が大きいため、通路上の障害になる可能性が高い。そのため、経路算出部2012は、現在位置から診察室(目的地)に至る経路上に存在するユーザ端末3に対して、当該ユーザ端末3を所持する患者の移動手段の種類(属性)に応じた重みを付与して、現在位置から診察室に至る経路上に存在するユーザ端末3の重みに基づいて前記推奨経路を算出する。
具体的には、車椅子を使用している患者が所持するユーザ端末3に対して、歩行している患者が所持するユーザ端末3よりも高い重みを付与する。例えば、経路算出部2012は、車椅子に対して、重みw1を付与して、歩行者に対して、重みw2を付与する(w1>w2)。そして、経路算出部2012は、経路を進行した際に、当該経路上に存在する歩行者及び車椅子の重みの総和を算出する。このようにして算出した重みの総和が大きいほど、当該経路は進行しにくい経路であることを示す。
すなわち、図10の例において、ノードN1からノードN2を経由してノードN3に至る経路の重みの総和は、車椅子3台分及び歩行者2人分に相当する値、すなわち、(2w2+3w1)となる。
経路算出部2012は、同様の演算を、考えられる全ての経路に対して行う。そして、重みの総和が最も小さい経路を、推奨経路として決定する。なお、重みのかけ方は、前記した方法に限定されるものではない。例えば、更に通路幅の値を加味して、重みの値を調整してもよい。具体的には、狭い通路に存在する車椅子には、広い通路に存在する車椅子に対して、高い重みを付与してもよい。
また、経路算出部2012は、単に、車椅子の台数が最小となる経路を推奨経路としてもよい。
なお、推奨経路を算出する際には、移動する患者の属性(本実施の形態では、移動手段の種類)も加味する。例えば、患者が車椅子を使用している場合には、階段を使用しない経路を算出する。また、患者が徒歩で移動している場合には、車椅子の存在台数に関わらず、診察室までの距離が最短となる経路を算出するなどしてもよい。
次に、到着時刻の予測方法について説明する。到着時刻予測部2014は、経路算出部2012が算出した推奨経路を、属性として記憶された「移動手段の種類」を持つ患者が移動するのに要する時間を算出する。そして、到着時刻予測部2014は、現在時刻に移動に要する時間を加算することによって、診察室への到着時刻を予測する。
なお、到着時刻予測部2014は、移動手段の種類毎に、患者の移動速度を予め記憶している。例えば、徒歩の場合2~4km/h、車椅子の場合1~2km/hなどである。範囲を設定しているのは、移動速度は患者の状態に依存するためである。具体的な移動速度の設定は、来院した際の受付時に、職員に申告する等して行えばよい。
そして、到着時刻予測部2014は、患者が、設定された移動速度で移動する前提で、診察室への到着時刻を予測する。なお、推奨経路が階段やエレベータを含む場合には、到着時刻を遅延させるのが望ましい。
例えば、推奨経路が階段を使用する経路である場合、同じ距離を進むのに必要な時間が、一般の通路の移動時間に対して長くなる。したがって、階段を含む推奨経路を移動する場合には、予め設定した係数を掛けることによって、到着時刻を遅延させるのが望ましい。
また、推奨経路がエレベータを使用する経路である場合、エレベータによる移動時間は、エレベータの待ち人数に応じて変化する。したがって、到着時刻予測部2014は、ユーザ端末位置取得部2011が取得した、エレベータの近傍にいる患者の人数を計数して、計数した結果に応じて、到着時刻を遅延させるのが望ましい。例えば、エレベータ待ちの患者の人数に応じて、予め設定した係数を掛けることによって、到着時刻を遅延させればよい。
さらに、到着時刻予測部2014は、患者が移動の途中で、トイレや売店などに立ち寄った場合には、その都度、予測時間の再計算を行う。
(職員端末に表示される画面の説明)
図11は、職員端末4に表示される患者の分布状態を示す画面の一例を示す図である。職員端末4の表示部407は、スピーカ50a,50bと、マイク51と、を備える。
表示部407には、院内状態60bと、患者に対するメッセージ61と、現在日時62と、各種操作ボタン(63a~63g)などが表示される。院内状態60bは、病院内におけるユーザ端末3の分布状態などを示す情報である。メッセージ61は、ユーザ端末3を所持している患者の状態を示す情報などである。現在日時62は、現在の日付と時刻である。
移動ボタン63a、会話ボタン63b、問診ボタン63c、予約ボタン63d、待順ボタン63e、設定ボタン63f、出前ボタン63gは、ユーザ端末3の表示部307に表示される、前述した各種ボタンと同じ機能を有する。
院内状態60bは、ユーザ端末3の表示部307に表示される、前述した院内状態60aと略等しい情報である。なお、院内状態60bは、更に、ユーザ端末3の状態を示す情報を含む。具体的には、ユーザ端末3を所持する患者が、会話ボタン63bを押下すると、該当する患者の位置に、「会話要求あり」を示すポップアップ表示65が表示される。また、ユーザ端末3を所持する患者に装着されたバイタルセンサ308の計測結果が異常な値である場合に、該当する患者の位置に、「容態悪化、介助必要」を示すポップアップ表示66が表示される。さらに、職員が、院内状態60bに表示された任意の患者を示すアイコンを押下すると、押下された任意のユーザ端末3を所持する患者の基本情報がポップアップ表示67として表示される。また、図11には図示しないが、患者が迷子になって居所がわからない場合に、職員端末4において、該当する患者の患者IDを指定することによって、その患者が所持するユーザ端末3の存在位置が表示される。
(医師端末に表示される画面の説明)
図12は、医師端末5に表示される患者の行動記録を示す画面の一例を示す図である。特に、図12(a)は、医師端末5の表示部507に表示される画面の一例を示す図である。図12(b)は、指定した患者の行動記録の一例を示す図である。
医師端末5の表示部507には、例えば、医師が指定した患者の基本情報が表示される。患者の基本情報とは、例えば、患者番号、氏名、生年月日、性別、血液型、身長、体重などである。
患者の基本情報を示す画面には、図12(a)に示すように、機能ボタン70と、詳細情報表示領域71と、行動記録呼び出しボタン72と、終了ボタン73とが表示される。機能ボタン70は、電子カルテやオーダ種別などの入力操作を行う機能、検査結果の呼び出しを行う機能などを呼び出すボタンである。
詳細情報表示領域71は、機能ボタン70によって呼び出された情報が表示される領域である。行動記録呼び出しボタン72は、患者の病院内での行動記録を呼び出すボタンである。特に、特記すべき行動がある場合には、行動記録呼び出しボタン72の中に、注目記号72aが表示される。注目記号72aは、色を変えて表示してもよい。終了ボタン73は、患者に対する、前記した各種処理を終了する際に押下するボタンである。
図12(b)は、行動記録呼び出しボタン72を押下した際に、詳細情報表示領域71に表示される、患者の行動記録の一例である。患者の行動記録は、前述した状態モニタ部5011(図7)によってモニタされる。患者の行動記録は、図12(b)に示すように、患者の移動軌跡74と、移動回数75と、特記事項76とを含む。
患者の移動軌跡74は、指定した患者が、病院内で動き回った導線の軌跡を示す。なお、移動軌跡74の太さは、移動頻度を示している。図12(b)の例では、患者は、喫煙室に頻繁に移動していることを示す。
移動回数75は、患者の病院内における目的別移動回数を示す。
特記事項76は、患者の行動記録に関する特記事項を示す。特記事項76は、状態モニタ部5011が、例えば、同じ患者の過去の移動軌跡とは異なる移動パターンが検出された場合などに表示される。医師は、患者の診察を行う際に、これらの行動記録を参照することができる。
(サーバ装置が行う処理の流れの説明)
図13は、サーバ装置2が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図13は、サーバ装置2の主な機能である、「病院内の状態モニタ」、「患者登録」、「診察リストの更新」、「経路案内」、「会話要求への対応」、「容態急変時の対応」のそれぞれの処理の流れを示す。なお、前記した各機能は、所定の時間間隔で繰り返し実行されるか、又はサーバ装置2に不定期に割り込み要求がかけられた際に、割り込み要求に対応する処理が実行される。
(病院内の状態モニタ)
ユーザ端末位置取得部2011は、ユーザ端末3が検出した現在位置情報を取得する(ステップS10)。
ユーザ端末位置取得部2011は、ユーザ端末3の分布状態を更新する(ステップS11)。
ユーザ端末位置取得部2011は、通信制御部2022に、ユーザ端末3の分布状態をユーザ端末3と、職員端末4と、医師端末5に送信させる(ステップS12)。以降、サーバ装置2は、ステップS10からステップS12の処理を所定時間間隔で繰り返す。
(患者の登録)
診察順変更部2015は、職員端末4から、通信制御部2022を介して、受付をした患者のユーザ端末登録情報2032を受信する(ステップS20)。
診察順変更部2015は、記憶部202に記憶しているユーザ端末登録情報2032を更新する(ステップS21)。
さらに、診察順変更部2015は、診察リスト2033を、新たな患者の情報を追加することによって更新する(ステップS22)。
診察順変更部2015は、更新した診察リスト2033を、当該診察リスト2033にかかる診察を行う医師が使用する医師端末5に送信する(ステップS23)。その後、患者の登録にかかる処理は終了する。なお、来院した新たな患者が受付を行うたびに、本処理が起動される。
(診察リストの更新)
診察順変更部2015は、医師端末5から、通信制御部2022を介して、診察リスト5022を受信する(ステップS30)。
診察順変更部2015は、受信した診察リスト5022に基づいて、自身が記憶している診察リスト2033を更新する(ステップS31)。
さらに、診察順変更部2015は、更新した診察リスト2033を、ユーザ端末3と職員端末4とへ送信する(ステップS32)。その後、診察リスト2033の更新にかかる処理は終了する。なお、医師の診察に遅延が発生するたびに、本処理が起動される。
(経路案内)
経路算出部2012は、ユーザ端末3に対して、当該ユーザ端末3を所持する患者の診察時間の所定時間前の時刻であるかを確認する(ステップS40)。なお、所定時間は、例えば15分などと予め設定した時間である。この所定時間は、例えば、病院内にいる車椅子で移動する患者が、診察室まで移動するのに要する時間の最大値などが設定される。また、対象となる患者毎に、当該患者の移動手段に応じた所定時間を設定してもよい。診察時間の所定時間前の時刻であると判定される(ステップS40:Yes)と、ステップS41に進む。一方、診察時間の所定時間前の時刻であると判定されない(ステップS40:No)と、ステップS40の判定を繰り返す。
ステップS40において、診察時間の所定時間前の時刻であると判定されると、続くステップS41において、ユーザ端末位置取得部2011は、該当するユーザ端末3の現在位置を取得する。
次に、経路算出部2012は、ユーザ端末3を所持する患者について、現在位置から診察室に至る推奨経路を算出する(ステップS42)。
続いて、到着時刻予測部2014は、ユーザ端末3を所持する患者が診察室に到着する到着時刻を予測する(ステップS43)。
さらに、到着時刻予測部2014は、予測した到着時刻と、診察リスト2033に記載された診察時間とを比較することによって、診察時間に間に合うかを判定する(ステップS44)。診察時間に間に合うと判定される(ステップS44:Yes)と、ステップS45に進む。一方、診察時間に間に合うと判定されない(ステップS44:No)と、ステップS50に進む。
ステップS44において、診察時間に間に合うかを判定されると、ステップS45において、経路算出部2012は、通信制御部2022に対して、算出した推奨経路をユーザ端末3に送信させる。
続いて、ユーザ端末位置取得部2011は、該当するユーザ端末3の現在位置を取得する(ステップS46)。
経路案内部2013は、経路案内を行うタイミングであるかを判定する(ステップS47)。経路案内を行うタイミングであると判定される(ステップS47:Yes)と、ステップS48に進む。一方、経路案内を行うタイミングであると判定されない(ステップS47:No)と、ステップS46に戻る。なお、経路案内を行うタイミングであるかは、例えば、ステップS46で取得したユーザ端末3の現在位置が、右左折などの進路変更を行う必要がある場所の所定距離(例えば10m)手前であるかなどによって判定すればよい。
ステップS47において、経路案内を行うタイミングであると判定されると、ステップS48において、経路案内部2013は、案内情報をユーザ端末3に送信する。なお、案内情報とは、例えば、進路変更箇所における進行方向を示す拡大図、すなわち、カーナビゲーションシステムで用いられている、いわゆるコマ図である。また、案内情報は、「この先、右折して下さい」などの音声情報であってもよい。
なお、ステップS47において、経路案内部2013が、経路案内を行うタイミングであるかを判定する際に、併せて、推奨経路上の車椅子の台数を計数して、車椅子の台数が所定の値を上回っていた場合に、経路案内の出力を保留してもよい。そして、経路案内部2013は、車椅子の台数が所定の値を下回るのを待って、ユーザ端末3に経路案内を出力する。このような構成にすることによって、病院内の患者の移動状態に応じて、できるだけ効率的に移動できるタイミングで案内情報を出力することができる。
ステップS48に続いて、ユーザ端末位置取得部2011は、取得したユーザ端末3の現在位置に基づいて、ユーザ端末3を所持する患者が、目的地に到着したかを判定する(ステップS49)。目的地に到着したと判定される(ステップS49:Yes)と、サーバ装置2は経路案内の処理を終了する。一方、目的地に到着したと判定されない(ステップS49:No)と、ステップS46に戻る。
なお、ステップS44において、診察時間に間に合うと判定されない場合、ステップS50において、診察順変更部2015は、医師端末5に対して、診察順の変更を指示する。具体的には、診察順変更部2015は、医師端末5に対して、診察リスト2033と、該当するユーザ端末3を所持する患者を特定する情報(例えば患者番号)と、を送信する。
続いて、診察順変更部2015は、医師端末5から、診察順及び診察時間が変更された診察リスト5022を受信する(ステップS51)。
次に、診察時間案内部2016は、変更された診察順及び診察時間を、変更の対象となるユーザ端末3(患者)に対して案内する(ステップS52)。その後、ステップS40に戻り、前述した処理を繰り返す。
(会話要求時)
会話制御部2017は、ユーザ端末3から会話要求があるかを判定する(ステップS54)。会話要求があると判定される(ステップS54:Yes)と、ステップS55に進む。一方、会話要求があると判定されない(ステップS54:No)と、会話要求にかかる処理は終了する。そして、ユーザ端末3から会話要求があるたびに、本処理が起動される。
ステップS54において、会話要求があると判定されると、ステップS55において、会話制御部2017は、ユーザ端末3と職員端末4とを音声通過が可能な状態で接続する。これによって、ユーザ端末3を所持している患者と職員端末4を操作している職員とは、会話を行うことができる。なお、職員端末4は複数台存在しているため、全ての職員端末4に対して、患者からの会話要求があることが通知される。そして、最初に応答した職員端末4に会話の優先権が与えられる。会話が終了すると、ユーザ端末3と職員端末4との接続は解除される。
(容態急変時)
患者状態モニタ部2018は、バイタルセンサ308の計測結果に異常があるかを判定する(ステップS60)。バイタルセンサ308の計測結果に異常があると判定される(ステップS60:Yes)と、ステップS61に進む。一方、バイタルセンサ308の計測結果に異常があると判定されない(ステップS60:No)と、容態急変時にかかる処理は終了する。そして、バイタルセンサ308の計測結果に異常が生じるたびに、本処理が起動される。
ステップS60において、バイタルセンサ308の計測結果に異常があると判定されると、ステップS61において、患者状態モニタ部2018は、職員端末4の表示制御部4016に対して、前述したポップアップ表示66などによる報知処理を行わせる。
(ユーザ端末が行う処理の流れの説明)
図14は、ユーザ端末3が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。現在位置検出部3011は、ユーザ端末3の現在位置を検出する(ステップS70)。
現在位置検出部3011は、検出した現在位置を、サーバ装置2に送信する(ステップS71)。
表示制御部3015は、通信制御部3016を介して、サーバ装置2から、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を受信する(ステップS72)。
診察時間出力部3013は、診察順又は診察時間の変更があるかを判定する(ステップS73)。診察順又は診察時間の変更があると判定される(ステップS73:Yes)と、ステップS74に進む。一方、診察順又は診察時間の変更があると判定されない(ステップS73:No)と、ステップS75に進む。
ステップS73において、診察順又は診察時間の変更があると判定されると、ステップS74において、診察時間出力部3013は、サーバ装置2から受信した、診察順及び診察時間を、表示部307に表示する。
次に、経路案内出力部3012は、サーバ装置2から推奨経路を受信したかを判定する(ステップS75)。推奨経路を受信したと判定される(ステップS75:Yes)と、ステップS76に進む。一方、推奨経路を受信したと判定されない(ステップS75:No)と、ステップS70に戻る。
ステップS75において、推奨経路を受信したと判定されると、ステップS76において、現在位置検出部3011は、ユーザ端末3の現在位置を検出する。なお、フローty-とには記載しないが、ステップS75で受信した推奨経路は、表示部307に表示される。
そして、現在位置検出部3011は、検出した現在位置を、サーバ装置2に送信する(ステップS77)。
次に、経路案内出力部3012は、サーバ装置2から受信した、目的地(診察室)までの経路案内情報の中から、ユーザ端末3の現在位置に応じた経路案内情報を出力することによって経路案内を行う(ステップS78)。
現在位置検出部3011は、検出したユーザ端末3の現在位置に基づいて、ユーザ端末3が目的地に到着したかを判定する(ステップS79)。ユーザ端末3が目的地に到着したと判定される(ステップS79:Yes)と、ユーザ端末3が行う処理は終了する。一方、ユーザ端末3が目的地に到着したと判定されない(ステップS79:No)と、ステップS76に戻る。
(職員端末が行う処理の流れの説明)
図15は、職員端末4が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図15は、職員端末4の主な機能である、「患者来院時の登録」、「診察リストの更新」、「病院内の状態モニタ」、「会話要求への対応」、「容態急変時の対応」、「会計時の対応」のそれぞれの処理の流れを示す。なお、前記した各機能は、所定の時間間隔で繰り返し実行されるか、又は職員端末4に不定期に割り込み要求がかけられた際に、割り込み要求に対応する処理が実行される。
(患者来院時)
情報登録部4011は、来院した患者にかかる情報を登録する(ステップS90)。
情報登録部4011は、サーバ装置2に登録した情報を送信する(ステップS91)。
情報登録部4011は、サーバ装置2から診察リスト2033を受信する(ステップS92)。
情報登録部4011は、受信した診察リスト2033に登録された、患者の診察順と診察時間を表示部407に表示する(ステップS93)。その後、患者来院時にかかる処理は終了する。なお、新たな患者が来院するたびに、本処理が起動される。
(病院内の状態モニタ)
状態モニタ部4012は、サーバ装置2から、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を受信する(ステップS110)。
状態モニタ部4012は、ステップS110で受信した情報に基づいて、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を更新する(ステップS111)。その後、病院内の状態モニタにかかる処理は終了する。なお、サーバ装置2が、ユーザ端末3の分布状態を更新するたびに、本処理が起動される。
(会話要求時)
音声通話部4014は、サーバ装置2によって接続されたユーザ端末3との間で音声会話を行う(ステップS120)。会話が終了すると、ユーザ端末3との通信を切断する。なお、ユーザ端末3から会話要求がなされるたびに、本処理が起動される。
(容態急変時)
表示制御部4016は、サーバ装置2からの指示を受けて、前述したポップアップ表示66による報知処理を行う(ステップS130)。なお、ユーザ端末3が備えるバイタルセンサ308の計測結果に異常が生じるたびに、本処理が起動される。
(会計時)
会計処理部4013は、患者の診察に要した費用にかかる会計処理を行う(ステップS140)。また、図15には記載しないが、会計処理の結果を示す会計情報4021は、サーバ装置2に送信されてサーバ装置に保存される。そして、会計処理を終了した際に、患者は、所持していたユーザ端末3を返却する。なお、患者から会計要求がなされるたびに、本処理が起動される。
(医師端末が行う処理の流れの説明)
図16は、医師端末5が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、診察リスト更新部5013は、サーバ装置2から診察リスト2033を受信したかを判定する(ステップS150)。診察リスト2033を受信したと判定される(ステップS150:Yes)と、ステップS151に進む。一方、診察リスト2033を受信したと判定されない(ステップS150:No)と、ステップS156に進む。なお、医師端末5がサーバ装置2から診察リスト2033を受信するのは、「新規患者が受付を済ませた場合(図13のS23)」と、「患者が診察時間までに診察室に到着できない可能性がある場合(図13のS50)」のいずれかの場合である。
ステップS150において、診察リスト2033を受信したと判定されると、ステップS151において、診察リスト更新部5013は、受信した診察リスト2033が新規患者の追加によるものかを判定する。受信した診察リスト2033が新規患者の追加によるものと判定される(ステップS151:Yes)と、ステップS152に進む。一方、受信した診察リスト2033が新規患者の追加によるものと判定されない(ステップS151:No)と、ステップS154に進む。
ステップS151において、受信した診察リスト2033が新規患者の追加によるものと判定されると、ステップS152において、診察リスト更新部5013は、医師端末5が記憶している診察リスト5022を、診察リスト2033で置き換えることによって更新する。さらに、診察リスト更新部5013は、新規患者の診察時間を設定して診察リスト5022に登録する。
次に、診察リスト更新部5013は、通信制御部5016に対して、更新された診察リスト5022を、サーバ装置2に送信させる(ステップS153)。その後、ステップS156に進む。
一方、ステップS151において、受信した診察リスト2033が新規患者の追加によるものと判定されないと、ステップS154において、診察リスト更新部5013は、該当する患者の診察順と診察時間を変更する。具体的には、ステップS150で受信した診察リスト2033の中の、該当する患者の診察順を後の時間に変更する。このとき、診察リスト2033の最後に変更してもよいし、次の患者と入れ替えるだけでもよい。なお、診察リスト更新部5013は、患者の診療順を入れ替えた後で、各患者の診察時間を再計算する。
次に、診察リスト更新部5013は、通信制御部5016に対して、更新された診察順及び診察時間を含む診察リスト5022を、サーバ装置2に送信させる(ステップS155)。その後、ステップS156に進む。
ステップS150において、診察リスト2033を受信したと判定されない場合、及びステップS153又はステップS155に続いて、診察リスト更新部5013は、患者の診察が完了したかを判定する(ステップS156)。患者の診察が完了したと判定される(ステップS156:Yes)と、ステップS157に進む。一方、患者の診察が完了したと判定されない(ステップS156:No)と、ステップS150に戻る。なお、図16には記載しないが、診察を行っている最中、又は診察の完了後に、医師は、電子カルテ入力部5012の作用で、患者の診察結果を電子カルテ5021に入力する。
ステップS156において、患者の診察が完了したと判定されると、ステップS157において、診察リスト更新部5013は、診察リスト5022に記録された診察時間を更新する。なお、診察が予定の時間に終了した場合には、診察時間の更新は行わない。
次に、診察リスト更新部5013は、診察時間に変更があるかを判定する(ステップS158)。診察時間に変更があると判定される(ステップS158:Yes)と、ステップS159に進む。一方、診察時間に変更があると判定されない(ステップS158:No)と、ステップS160に進む。
ステップS158において、診察時間が変更されたと判定されると、ステップS159において、診察リスト更新部5013は、通信制御部5016に対して、診察リスト5022を送信する。その後、ステップS160に進む。
ステップS158において、診察時間が変更されたと判定されない場合、及びステップS159に続いて、状態モニタ部5011は、サーバ装置2から、ユーザ端末3の分布状態を示す病院内の見取図を受信する(ステップS160)。その後、医師端末5は、図16の処理を終了する。なお、新たな患者の診察が開始されると、医師端末5は、再び図16の処理を実行する。
(蓄積記憶した患者の移動軌跡の使用方法の説明)
サーバ装置2は、患者の移動軌跡を、移動経路記憶部2019に累積記憶する。そして、移動経路可視化部2020は、移動軌跡の、少なくとも方向と、頻度と、時間と、を含む情報を可視化した移動軌跡累積情報を生成する。なお、生成された移動軌跡累積情報は、例えば、職員端末4の表示部407に表示される。
図17は、患者の移動軌跡の一例を示す第1の図である。図18は、患者の移動軌跡の一例を示す第2の図である。そして、図19は、患者の移動軌跡の一例を示す第3の図である。特に、図17は、整形外科を受信した患者のうち90%の患者の移動軌跡82aを示す図である。また、図18は、内科を受信した患者のうち90%の患者の移動軌跡82bを示す図である。そして、図19は、移動軌跡82aと、移動軌跡82bとを重畳させた図である。
例えば、図17からは、整形外科の診察室、及びX線撮影室への出入りが多いこと、及び、受付周辺の待合スペースの利用率が高いことがわかる。
また、図18からは、内科の診察室への出入りが多いこと、及び、会計周辺の待合スペースの利用率が高いことがわかる。
そして、図19からは、待合スペースから、各診察科への通路に至る領域84aにおいて、移動軌跡82aと移動軌跡82bとが重複することがわかる。すなわち、領域84aにおいて、患者の衝突又は滞留が発生する可能性があることがわかる。
さらに、図19からは、X線撮影室及び内科の診察室に至る領域84bにおいて、移動軌跡82aと移動軌跡82bとが重複することがわかる。すなわち、領域84bにおいて、患者の衝突又は滞留が発生する可能性があることがわかる。
このように、患者の移動軌跡、すなわち導線の状態を分析することによって、例えば、病院内のレイアウト変更を行う際に、患者が移動しやすい通路の設計に生かすことができる。具体的には、図19の事例から、例えば、X線撮影室への出入口を、整形外科の診察室側に変更することによって、領域84bにおける、整形外科の患者と内科の患者との衝突が緩和又は防止できる可能性があることが推測される。また、この変更によって、領域84aにおける、整形外科の患者と内科の患者との衝突についても、緩和または防止できる可能性があることが推測される。
なお、図17から図19には図示しないが、移動軌跡は、移動方向と頻度と時間の情報を有している。例えば、頻度に着目すると、より多くの患者が使用した経路ほど、より高い頻度を有することになる。したがって、図17から図19を2次元ヒストグラムとして表示することも可能である。
また、移動方向に着目すると、図17から図19に示す移動軌跡は、移動方向別に分けて可視化することができる。例えば、ある通路を左向きに移動した移動軌跡と、右向きに移動した移動軌跡とを分けて表現することができる。そのため、衝突が多い通路であるのか、又は一方向のみの移動が多い通路であるのかを識別することができる。
さらに、時間に着目すると、図17から図19に示す移動軌跡を、時間帯別に表現することができる。例えば、午前中と午後と夜間とで、移動軌跡を比較することなどができる。このように、患者の移動軌跡は、分析目的に応じた形態で表示することが可能である。
以上説明したように、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)は、ユーザ端末位置取得部2011(取得部)が、複数の患者(移動者)が所持するユーザ端末3(端末装置)のそれぞれの現在位置を取得する。そして、経路算出部2012が、特定の患者の現在位置と、特定の患者の目的地の位置と、特定の患者のユーザ端末3に関連付けられた属性と、ユーザ端末位置取得部2011が取得した他の患者の現在位置と、特定の患者の現在位置から診察室(目的地)に至る経路上に存在する、他の患者のユーザ端末3にそれぞれ関連付けられた属性と、に基づいて、特定の患者の診察室までの推奨経路を算出する。したがって、例えば病院において、他の患者(移動者)の移動手段の種類(属性)を考慮した推奨経路を算出することができるため、病院内における患者の移動効率を向上させることができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、目的地は特定の患者(移動者)が診察を行う診察室であって、到着時刻予測部2014(予測部)が、現在時刻と、特定の患者のユーザ端末3(端末装置)の現在位置と、特定の患者のユーザ端末3に関連付けられた属性と、診察室の位置と、推奨経路とに基づいて、特定の患者の診察室への到着時刻を予測する。そして、経路案内部2013が、到着時刻予測部2014が予測した到着時刻が、予め設定された特定の患者の診察時間よりも前の時刻となるタイミングで、特定の患者のユーザ端末3に対して、診察室までの経路案内情報を出力する。したがって、予め設定された診察時間に遅れないタイミングで、診察室までの経路案内を行うことができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、診察順変更部2015(変更部)は、到着時刻予測部2014が予測した到着時刻が、診察時間に遅れると判定されたことを条件として、特定の患者の診察順及び診察時間の変更を行う。そして、診察時間案内部2016は、診察順変更部2015によって変更された診察順及び診察時間を、特定の患者と、診察時間が変更される他の患者と、に対して案内する。したがって、診察時間に遅れると判定されたタイミングで、診察順と診察時間とを変更することができるため、患者の到着遅れによる診察時間の遅延を防止することができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、移動者とともに移動するユーザ端末3に関連付けられる属性は、移動者の移動手段の種類である。したがって、例えば病院において、病院内を移動している他の患者の移動手段を考慮して、自身の移動経路を決定することができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、移動者の移動手段の種類は、少なくとも、徒歩と車椅子とを含む。したがって、例えば移動経路を算出する際に、経路上に存在する複数の患者を、移動手段の種類別に容易に識別することができる。これによって、経路上に存在する患者の属性を考慮した移動経路を算出することができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、経路算出部2012は、現在位置から目的地に至る経路上に存在するユーザ端末3に対して、当該ユーザ端末3を所持する移動者の属性に応じた重みを付与して、現在位置から目的地に至る経路上に存在するユーザ端末3の重みに基づいて推奨経路を算出する。したがって、効率的に移動できる可能性が高い経路を容易に算出することができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、経路算出部2012は、現在位置から目的地に至る経路上の車椅子の台数が最小となる経路を推奨経路とする。したがって、複数の移動手段が混在した状況において、車椅子で移動している患者が最も少ない経路を案内することができるため、できるだけ混雑の少ない経路を案内することができる。
また、実施形態のサーバ装置2(誘導装置)において、移動経路記憶部2019(累積記憶部)は、複数の移動者の移動経路を累積記憶する。そして、移動経路可視化部2020は、移動経路記憶部2019に累積記憶された移動経路の、少なくとも方向と、頻度と、時間と、を含む情報を可視化する。したがって、患者の過去の移動履歴に基づいて、病院内における患者の移動軌跡(導線)の状態を確認できるとともに、病院内のレイアウトの検討などに資する情報を得ることができる。
また、実施形態の誘導システム1は、ユーザ端末3(端末装置)の現在位置検出部3011(検出部)が、移動者とともに移動する複数のユーザ端末3の現在位置をそれぞれ検出する。そして、サーバ装置2が備える経路算出部2012が、特定の患者の現在位置と、特定の患者の目的地の位置と、特定の患者のユーザ端末3に関連付けられた属性と、ユーザ端末位置取得部2011が取得した他の患者の現在位置と、特定の患者の現在位置から診察室(目的地)に至る経路上に存在する、他の患者のユーザ端末3にそれぞれ関連付けられた属性と、に基づいて、特定の患者の診察室までの推奨経路を算出する。さらに、ユーザ端末3(端末装置)の経路案内出力部3012が、サーバ装置2から取得した目的地までの推奨経路の経路案内情報を出力する。したがって、例えば病院において、他の患者(移動者)の移動手段の種類(属性)を考慮した推奨経路を算出することができるため、病院内における患者の移動効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。