JP2013127734A - 経路計画立案システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ある活動空間内での複数の移動体の移動を伴う活動について、移動体同士が活動空間内のどの場所でどの程度干渉し合い、移動が遅延する可能性があるのかを、比較的短時間で検証できるような新たな手法を提供する。
【解決手段】互いに隣接する多数のセルの集合である活動空間S内において、移動体の移動毎に設定された、当該移動体の移動において当該移動体が通過するセルを規定する情報、及び単位期間あたりの当該移動の発生頻度を規定する情報を含むアクティビティデータを格納するデータ格納部202と、データ格納部202に格納されているアクティビティデータを読み出し、各セル毎に、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を算出するスコア算出部203と、スコア算出部203で算出した各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度をディスプレイの画面に表示させる表示制御部104とを具備するシステムを構成した。
【選択図】図3
【解決手段】互いに隣接する多数のセルの集合である活動空間S内において、移動体の移動毎に設定された、当該移動体の移動において当該移動体が通過するセルを規定する情報、及び単位期間あたりの当該移動の発生頻度を規定する情報を含むアクティビティデータを格納するデータ格納部202と、データ格納部202に格納されているアクティビティデータを読み出し、各セル毎に、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を算出するスコア算出部203と、スコア算出部203で算出した各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度をディスプレイの画面に表示させる表示制御部104とを具備するシステムを構成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、ある活動空間内での複数の移動体の移動を伴う活動における、空間レイアウトや移動体の移動経路の設計を支援するためのシステムに関する。
工業製品の製造工場や物流倉庫等を新設し、または改修する際には、工場内や倉庫内をどのようにブロック分けしてどのような役割を持たせるか、そしてそれらのブロックをどこに配置するか、ブロック間の物や人の移動をどのようにして行うかという、レイアウトに関するコンセプト設計が重要である。業務を構成する各作業ブロックの位置関係、そしてブロックからブロックへの物や人の移動の経路により、作業効率、生産性またはサービスの質が左右されるからである。
ブロックの数が多い、ブロック間を移動する物や人の数が多い、またはブロック間の移動経路が多岐に亘るケースでは、多種多様な物流が相互に影響し合うこととなり、ブロック及び移動経路のレイアウトの最適化の難易度が著しく上昇する。
例えば、電気製品や自動車等の製造工場では、製品の最終組み立てメインラインに対して、最終ラインとは別の複数のサブラインで液晶モジュールや電源モジュール、制御モジュール等の組み立てがなされる。サブラインで組み立てられたモジュールは、必要に応じてメインラインに搬送される。加えて、工場内には、多量の部品類を蓄えている部品置き場も存在し、そこからメインラインやサブラインに部品類が配給される。
モジュールや部品類の配送の方式には、作業者(人)が運ぶ、フォークリフトで運ぶ、AGV(無人搬送車、Automated Guided Vehicle)で輸送する、ロボットやコンベアで輸送する、等があるが、工場全体におけるメインラインと各サブラインとの関係により、好適な搬送方式が異なってくる。近い距離で同じモジュールを連続的に搬送する場合、ロボットやコンベアを設営して輸送するのがよい。距離が離れた位置に中程度ロットのモジュールを搬送する場合には、AGV等を採用するのがよい。多品種小ロットのモジュールや突発的要求に応じた部品類の配送のためには、作業者が運ぶ方が好都合である。
一般的に、これらの様々な搬送方式が、工場内の共有の搬送路、即ち工場内におけるメインラインやサブライン、部品置き場に占有されていない領域を共用することとなる。加えて、それぞれの搬送事象は、個別の生産要求に従って惹起する。物理的な制約や安全確保の観点から、搬送路では追い越しできない等の制約があるため、ブロック及びモジュール搬送の経路のレイアウト設計が拙いと、複数の物流が干渉、滞留して、目論見通りの物流能力を発揮できないことになる。滞留が拡大すれば輻輳現象が起き、生産能力の極端な低下も発生する。仮に、各搬送がおしなべて時刻表に応じたスケジュール搬送であったとしても、それぞれの搬送作業には時間的な前後の振れがあるため、各搬送間の干渉が発生しないとは断言できない。
搬送毎に独立した搬送路を確保したり、専用ロボット、専用搬送設備で搬送したりすれば、干渉や滞留の問題を回避できる。しかしながら、広い工場面積を必要とし、非常に高コストとなるため、現実的ではない。
工場内の物流計画では、作業ブロックであるメインラインやサブラインのレイアウトを前提に、搬送方法及び搬送経路の束を検討しなければならない。そのために、従来、物流シミュレーション技術が利用される場合が多い(例えば、下記特許文献を参照)。具体的には、個別の物流アクティビティを設定した上で、それらが惹起する条件を定義し、生産計画等の入力を与えることでアクティビティを発生させる。工場内物流におけるレイアウトや経路を検証するためには、二次元または三次元の物流経路を定義し、その中で二次元または三次元の搬送設備(搬送台車、フォークリフト、AGV等)を動作させて、各搬送設備の空間的相互干渉や、荷卸、荷積みにより発生する搬送設備の渋滞その他の物流滞留状況をシミュレーションし、工場全体の物流能力を検証する。
物流シミュレーションは、精確な検証を行い得る反面、幾つかの問題を抱える。シミュレーションを実行するためには、個別の物流アクティビティが、何時発生するのか、またはどのような条件の下で発生するのか、その詳細なロジックを逐一プログラミングする必要がある。しかも、シミュレーションの完遂には、長い計算時間を要する。ある一つの計画パターンを検証するだけでも、数日から数週間、規模によっては数ヶ月の期間が費やされる。
工場計画の企画業務において、様々な計画パターンをシミュレーションにより検証することは時間がかかり過ぎる。それ故、最適な計画パターンを選定することが事実上できていない。実務では、計画担当者がシミュレーションを使わずに計画を策定し、意思決定のための最終確認としてシミュレーションを実行している。つまるところ、計画担当者の勘と経験が決め手となっている。
本発明は、ある活動空間内での複数の移動体の移動を伴う活動について、移動体同士が活動空間内のどの場所でどの程度干渉し合う可能性があるのかを、比較的短時間で検証できるような新たな手法を提供せんとするものである。
本発明では、互いに隣接する多数のセルの集合である活動空間内での、複数の移動体の移動を伴う活動における、移動体の移動経路の設計を支援するものであって、移動体の移動毎に設定された、当該移動体の移動において当該移動体が通過するセルを規定する情報、及び単位期間あたりの当該移動の発生頻度を規定する情報を含むアクティビティデータを格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納されているアクティビティデータを読み出し、各セル毎に、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を算出するスコア算出部と、前記スコア算出部で算出した各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度をディスプレイの画面に表示させる表示制御部とを具備する経路計画立案支援システムを構成した。
前記データ格納部が格納するアクティビティデータが、移動体の移動毎の、当該移動の発生契機を規定する情報をも含んでおり、前記スコア算出部が、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体の移動の発生契機に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変えるものとすれば、移動体の移動の発生契機の違いを頻度スコアに反映させることができ、より現実に則した評価が可能となる。発生契機の種類の例としては、スケジュール型(移動体の移動が予め定められた時分に発生する)、オンデマンド型(移動体の移動の発生する時分が予め定められておらず、生産工程の要求により発生する)等を挙げることができる。
前記データ格納部が格納するアクティビティデータが、移動体の移動毎の、当該移動の速度を規定する情報をも含んでおり、前記スコア算出部が、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体の移動の速度に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変えるものとすれば、移動体の移動の速度の違いを頻度スコアに反映させることができ、より現実に則した評価が可能となる。
前記データ格納部が格納するアクティビティデータが、移動体の移動毎の、当該移動の最中に当該移動体が停留するセル及び当該セルにおける停留時間を規定する情報をも含んでおり、前記スコア算出部が、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体が当該セルに停留する場合、当該セルにおける停留時間に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変えるものとすれば、個々の移動体が(例えば、荷卸、荷積み等の目的で)活動空間内の何れかのセルに停留する事象を頻度スコアに反映させることができ、より現実に則した評価が可能となる。
本システムをクライアント−サーバモデルにて構築する場合には、サーバが、前記データ格納部と、前記スコア算出部と、前記スコア算出部で算出した各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を前記クライアントコンピュータのディスプレイの画面に表示させるためのデータを電気通信回線を介して送信する送信部とを具備し、クライアントコンピュータが、前記サーバから送信される、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度をディスプレイの画面に表示させるためのデータを受信する受信部と、前記表示制御部とを具備するものとする。
なお、クライアントコンピュータが、前記データ格納部と、前記スコア算出部と、前記表示制御部とを具備するものとしてもよい。さすれば、本システムをクライアントを主体として、またはスタンドアロンにて構築することができる。
本発明によれば、ある活動空間内での複数の移動体の移動を伴う活動について、移動体同士が活動空間内のどの場所でどの程度干渉し合う可能性があるのかを、比較的短時間で検証できるようになる。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の経路計画立案支援システムは、計画担当者その他のユーザが直接操作して使用するクライアントコンピュータ1と、ユーザによって作成されるマップのデータを集約するサーバ2とを、インターネットや携帯電話網に代表される公衆網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の電気通信回線を介して相互通信可能に接続して構築される。
はじめに、活動空間S及び移動体について触れる。図5に、活動空間Sを模した仮想的な空間の例を示す。活動空間Sは、互いに隣接する多数のセルの集合である。図5におけるマス目の一つ一つがセルであり、各セルはそれぞれ活動空間Sの一部分である。本実施形態では、活動空間Sを二次元としており、各セルもまた二次元の部分空間である。図示例の各セルは方形状をなしているが、セルの形状は方形には限定されず、例えば六角形状であってもよい。各セルは、当該セルを指し示す位置座標(x,y)によって特定される。現実のセルの大きさは、活動空間S内で移動する移動体の寸法程度またはその寸法の半分程度(例えば、セルの一辺が1m)に設定することが好ましい。
活動空間S内には、何らかの活動や作業が行われるブロックBが設けられる。ブロックBは、活動空間S内のセルの集合である。活動空間Sが工場である場合、工場のメインライン、サブラインや、部品、部材類を蓄えておく部品置き場等がブロックBとして設けられる。部品置き場に蓄えられている部品、部材類は、移動体によりメインラインやサブラインに配送される。また、サブラインで製造された各種モジュール即ち半製品(中間製品)は、移動体によりメインラインに搬送される。メインラインでは、各種モジュールを結合した最終製品が組み立てられる。
部品、部材類やモジュールを搬送する移動体は、作業車自身が手作業で運用する台車、フォークリフト、AGV等が想定される。AGVは、部品、部材類やモジュールを積載可能なトロッコを複数両牽引する列車であることがある。
一般に、部品置き場やサブラインにおける部品、部材類やモジュールの搬出場所(搬出ポート)、当該部品置き場または当該サブラインの所定のセルと決まっている。同様に、サブラインやメインラインにおける部品やモジュールの搬入場所(搬入ポート)もまた、当該サブラインまたは当該メインラインの所定のセルと決まっている。移動体は、作業空間内に確保された搬送用スペース、即ちメインラインやサブライン等のブロックBにより占有されていないセルを移動経路として利用し、ブロックB間を移動する。そして、所要の部品、部材類やモジュールを、搬出ポートから搬出して、搬入ポートに搬入する。
移動体の移動経路、即ち移動体による部品、部材類やモジュールの運搬経路は、無数に考えられる。最低限要求されることは、例えば図5中に太矢印にて示しているように、搬出ポート及び搬入ポートを結ぶような経路を描かなくてはならないということである。計画担当者は、無数の運搬経路の中から、活動空間Sたる工場内での物流が滞らず、生産性や作業性が高まるような経路パターンを計画立案しなければならない。
図2に示すように、クライアントコンピュータ1は、汎用的なパーソナルコンピュータ、ワークステーション、携帯情報端末または携帯電話端末(スマートフォンを含む)等の如く、プロセッサ1a、メインメモリ1b、補助記憶デバイス1c、操作入力デバイス1d、マイク1e、スピーカ1f、オーディオコーデック1g、カメラ1h、ディスプレイ1i、ビデオコーデック1j、通信インタフェース1k等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)1lにより制御されて連携動作するものである。
補助記憶デバイス1cは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、光学ディスクドライブ、その他である。
操作入力デバイス1dは、手指で操作可能なキーボードまたは押下ボタンや、マウス、タッチパネル、トラックパッド等のポインティングデバイスである。操作入力デバイス1dは、クライアントコンピュータ1と無線交信するリモートコントローラであってもよい。
オーディオコーデック1gは、符号化されている音声データを復号化してスピーカ1fから音声出力したり、マイク1eを介して収音した音声を符号化したりする。ビデオコーデック1jは、プロセッサ1aより受けた描画指示を基に表示させるべき画像データを生成(符号化されている静止画または動画データを復号化することを含む)してディスプレイ1iの画面に表示出力したり、カメラ1hを介して撮影した映像を符号化したりする。ビデオコーデック1jは、いわゆるGPU(Graphics Processing Unit)であることがある。また、オーディオコーデック1g、ビデオコーデック1jはそれぞれ、ハードウェアでなくソフトウェアとして実装することも可能である。
通信インタフェース1gは、電気通信回線を介した情報通信を行うためのデバイスであり、NIC(Network Interface Card)や無線トランシーバに代表されるが、これら以外にUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394等のインタフェースを採用することもできる。
プロセッサ1aによって実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス1cに格納され、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。本実施形態では、既知のOS(Operating System)プログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムが予めインストールされており、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。加えて、ウェブブラウザプログラム及びウェブブラウザ上で機能するプラグインプログラム(例えば、アドビ(登録商標)フラッシュプレーヤやJAVA(登録商標)VM等)、映像/音声再生プログラム、ワードプロセッサプログラム、表計算プログラムその他のアプリケーションプログラムも予めインストールされている。
その上で、本発明に係るシステムを構築するために必要となるプログラム(または、スクリプト)がインストールされ、プログラムに従いハードウェア資源を作動して、図3に示す入力受付部101、送信部102、受信部103及び表示制御部104としての機能を発揮する。因みに、このプログラムは、サーバ2から電気通信回線を介して提供され、クライアントコンピュータ1でこれを受信して補助記憶デバイス1cに格納し実行するものであることがある。また、このプログラムは、プラグインによって解釈され、ウェブブラウザ上で動作するものであることがある。
各部の機能を詳説する。入力受付部101は、ユーザの手による、操作入力デバイス1dを介した操作を受け付ける。受け付ける操作としては、移動体の移動経路の適性の分析の基礎となるアクティビティデータを入力する操作や、分析結果の表示を指令する操作等である。
ここで、アクティビティデータに関して詳述する。図6ないし図7に、アクティビティデータを例示する。アクティビティデータは、移動体の移動毎に設定された、当該移動体の移動において当該移動体が通過するセルを規定する情報、及び単位期間あたりの当該移動の発生頻度を規定する情報を少なくとも含んでいる。
一つの移動体の移動に対して、当該移動を識別する識別子としてアクティビティコードが付される。そして、当該移動について、移動体の種類(作業者が運用する台車、フォークリフトまたはAGV)を識別する搬送手段コード、当該移動体が運搬する物品を示す情報(具体的な品種及び当該物品が部品であるか半製品であるか)、移動経路を表す情報(当該移動中に経由する複数のセルの座標。経由するセルには、移動の起点及び終点が含まれる)が記述される。移動体は、アクティビティデータとして記述された座標で示されるセルとセルとを結ぶ線分(直線または曲線。本実施形態では、直線)に沿って移動し、この線分上に存在するセル(線分に重なるセル)を通過することとなる。
アクティビティデータとして記述されたセルの座標には、当該移動体が当該セルで停留する時間の情報が付記されている。移動体が当該セルで停留しない場合には、停留時間の値として0が記述される。通常、移動体が停留する目的は、その場所で荷積みしたり、荷卸したりするためである。
また、移動体の移動毎に、単位期間内にその移動により運搬する物品の総量、及び一度の移動で運搬する物品のロット数が記述される。この情報は、アクティビティコードで識別されるある移動について、単位期間内にその移動が発生する頻度を示すものである。ここに言う単位期間とは、本実施形態では一日を想定しているが、半日(または、午前/午後)であってもよいし、数時間ないし一時間、または数十分、数分であってもよい。何れにせよ、運搬する物品の総量を一度の移動のロット数で割ったものが、当該移動の発生頻度となる。具体例を挙げると、総量が二百、ロット数が五であるならば、当該移動は単位期間(一日)に四十回発生することになる。
加えて、移動体の移動毎に、その移動の発生契機を規定する情報が記述される。発生契機の種別としては、スケジュール型(移動体の移動が予め定められた時分に発生する)、オンデマンド型(移動体の移動の発生する時分が予め定められておらず、生産工程の要求により発生する)が挙げられるが、それ以外の型を定義しても構わない。スケジュール型は、移動体の移動が予め定められた時刻表通りに発生することを意味する。これに対し、オンデマンド型は、移動体の移動の発生時分が予め定められていない、例えば後工程で必要とするモジュールが不足しそうになったときにはじめて前工程から後工程に向けた当該モジュールの輸送が要求されるような(いわゆるカンバン方式)態様を意味する。
重要なことは、本実施形態の経路計画立案支援システムでは、スケジュール型であるにしろオンデマンド型であるにしろ、その移動体の移動が実際に何時何分に行われるのかは全く気にしないということであり、この点で大規模な計算タスクを要する離散型シミュレーションシステムと大きく異なっている。本実施形態の経路計画立案支援システムでは、何時何分にどの移動体が活動空間S内のどのセルに所在しているのかは検討しない。演算するのはあくまでも、単位期間内での発生頻度、換言すれば統計的評価である存在確率である。
さらに、アクティビティデータには、搬送手段コードで識別される各種移動体に係る属性情報が含まれている。移動体の種類毎の属性情報としては、当該種の移動体の移動速度、及び移動体の寸法(幅及び長さ)が記述される。これら属性情報と、アクティビティコードで識別される一つの移動体の移動とは、搬送手段コードによって紐付けがなされている。従って、アクティビティコードで識別される個々の移動について、その移動の速度が属性情報から明らかとなる。のみならず、移動体の寸法は、移動体がある時点で占拠するセルの個数及び形状を明らかにする。幅広の移動体の移動の軌跡は、幅狭の移動体の移動の軌跡と比較して幅が広く(太く)なることは言うまでもない。AGVの列車のような長い移動体であれば、その移動の軌跡に沿って連続した複数のセルを同時に占拠せざるを得ない。要するに、上記の移動体の寸法の情報は、当該移動体が移動の際に通過するセルを規定する情報の一部をなす。
なお、図示していないが、アクティビティデータには、移動体の移動経路として利用不能な(メインライン、サブライン等のブロックBに占有されている)セルの位置座標を規定する情報、または移動体の移動経路として利用可能な(メインライン、サブライン等のブロックBに占有されていない)セルの位置座標を規定する情報も含まれる。
送信部102は、入力受付部101を介して入力され、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に記憶しているアクティビティデータの一部若しくは全部を、サーバに向けて電気通信回線を介して送信する。クライアントコンピュータ1から送信したアクティビティデータは、サーバ(におけるデータ格納部202)に記憶、蓄積される。また、送信部102は、入力受付部101を介して入力された、分析結果の表示を指令する旨の信号等を、サーバに向けて送信することもある。
受信部103は、サーバ2からもたらされる、各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を示す情報、またはその情報をディスプレイ1iの画面に表示させるための情報を、電気通信回線を介して受信する。各セル毎の移動体の存在頻度に関しては、後述する。
表示制御部104は、受信部103で受信した情報を基に、各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度をディスプレイ1iの画面に表示させる。各セル毎の移動体の存在頻度の表示の態様に関しては、後述する。
図4に示すように、サーバ2は、汎用的なサーバコンピュータ等の如く、プロセッサ2a、メインメモリ2b、補助記憶デバイス2c、通信インタフェース2d等のハードウェア資源を備え、これらがコントローラ2eにより制御されて連携動作するものである。
プロセッサ2aによって実行されるべきプログラムは補助記憶デバイス2cに格納され、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス2cからメインメモリ2bに読み込まれ、プロセッサ2aによって解読される。本実施形態では、既知のOSプログラムやこれに付帯する各種デバイスドライバプログラムが予めインストールされており、他のプログラムによる上記ハードウェア資源の利用を仲介する。加えて、ウェブサーバプログラムその他のアプリケーションプログラムや、クライアントコンピュータ1に電気通信回線を介して送信し提供するプログラム等も予めインストールされている。
その上で、本発明に係るシステムを構築するために必要となるプログラムがインストールされ、プログラムに従いハードウェア資源を作動して、図3に示す受信部201、データ格納部202、スコア算出部203及び送信部204としての機能を発揮する。なお、図3に示している各部の機能が複数のサーバコンピュータに分散され、それらサーバコンピュータが協働してサーバ2として成立する態様(特に、いわゆるクラウド)を妨げない。
各部の機能を詳説する。受信部201は、クライアントコンピュータ1からもたらされるアクティビティデータを、電気通信回線を介して受信する。また、受信部201は、クライアントコンピュータ1からもたらされる、分析結果の表示を指令する旨の信号等を受信することもある。クライアントコンピュータ1から受信するこれらの情報は、当該クライアントコンピュータ1を使用するユーザの手で行われ、当該クライアントコンピュータ1で受け付けた操作に基づくものである。
データ格納部202は、メインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域を利用し、受信部201で受信したアクティビティデータを記憶する。データ格納部202は、複数のユーザが入力した複数のアクティビティデータを集約するものとなり得る。
スコア算出部203203は、アクティビティデータに記述された各移動体の移動経路の計画についての分析を司る。即ち、スコア算出部203は、データ格納部202に格納されているアクティビティデータを読み出し、各セル毎に、何れかの移動体が存在する単位期間(本実施形態では、一日)あたりの頻度を算出する。
各セル毎の移動体の存在頻度、及びその算出方法に関して詳述する。図8ないし図13に、各セル毎の移動体の存在頻度の算出の手順例を示している。スコア算出部203はまず、データ格納部202に格納しているアクティビティデータのうち、あるアクティビティコードで識別される一つの移動体の移動に着目し、その情報を参照する。この情報には、当該移動の経由地点となるセル、当該セルにおける停留時間、当該移動の発生の契機、当該移動の発生の頻度(単位期間あたりの総運搬量/ロット数)、そして搬送手段コードにより紐付けされた移動体の移動速度及び寸法が記述されている。
アクティビティコード「1001」で識別される移動体の移動の経路が、図8で示した通りであるとする。この移動は、セルC1を起点とし、セルC2、C3、C4を経由して、セルC5を終点とする。この移動においては、セルC2、セルC3、セルC4及びセルC5においてそれぞれ停留する(停留時間の値は全て5)が、それ以外のセルC1では停留しない(停留時間の値は0)。この移動の主体となる移動体は、幅及び長さがそれぞれセル三つ分のフォークリフトであるから、その移動の軌跡の幅はセル三つ分となる。また、当該移動体は、一時に幅及び長さが三つ分の正方形状の都合九つのセルを占拠する。図8に、当該移動体が移動により通過するセルをハッチングにて図示している。また、当該移動体がセルC2、セルC3、セルC4、セルC5に停留しているときに占拠するセルを、それぞれ太枠で囲っている。
スコア算出部203は、停留を除いた当該移動体の移動による、当該移動体の存在する頻度を計数する。このとき、当該移動体が通過する各セルに対し、頻度スコア値を与える。各セルに与える頻度スコア値は、当該移動体の移動速度、当該移動体の寸法、当該移動体の移動の発生契機、当該移動体の単位期間あたりの発生頻度に応じて異なる。移動体の移動速度が速いほど、与える頻度スコア値は小さくなる。また、移動体の寸法が長いほど、与える頻度スコア値は大きくなる。例えば、移動速度が同等であるならば、あるセルを長さ三の移動体が通過するのに要する時間は、長さ一の移動体が通過するのに要する時間の三倍となる。さらに、移動体の発生契機がオンデマンド型である場合、スケジュール型と比較してより大きなスコア値を与える(または、重み付けを重くする)。これは、スケジュール型の移動よりもオンデマンド型の移動の方が、活動空間Sたる工場内での物流の渋滞を惹起するおそれが高くなることによる。最終的に各セルに与える値は、移動体の移動速度及び移動の発生契機に応じた基本値に、当該移動の発生頻度を乗じた値となる。図9に、移動体が通過することに起因してセルに与えられる頻度スコア値(各セルにスコア値40)を図示している。
並びに、スコア算出部203は、同じアクティビティコードで識別される移動体の移動における、当該移動体の停留による、当該移動体の存在する頻度を計数する。このときには、当該移動体の停留の際に占拠する通過する各セルに対して、頻度スコア値を与える。各セルに与える頻度スコア値は、当該移動体の停留時間、当該移動体の移動の発生契機、当該移動体の単位期間あたりの発生頻度に応じて異なる。移動体の停留時間が短いほど、与える頻度スコア値は小さくなる。また、移動体の発生契機がオンデマンド型である場合、スケジュール型と比較してより大きなスコア値を与える。最終的に各セルに与える値は、移動体の停留時間及び移動の発生契機に応じた基本値に、当該移動の発生頻度を乗じた値となる。図10に、移動体が停留することに起因してセルに与えられる頻度スコア値(各セルにスコア値120。図中では、移動体の通過による頻度スコア40に加算した値160としていることに留意)を図示している。
その上で、スコア算出部203は、各セルに頻度スコア値を加算する場合、そのスコア値と、そのスコア値を加算する原因となった移動体の移動を識別するアクティビティコードと、そのスコア値が移動体の通過によるものか停留によるものかを示す情報とを含むスコアデータを、対象のセルを識別する位置座標に関連付けて、メインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に書き込む。図14に、スコアデータを例示する。
引き続き、スコア算出部203は、未だ検討していない他のアクティビティコードで識別される移動体の移動に着目し、その情報を参照して同様の処理を実行する。
次に着目したアクティビティコード「1002」で識別される移動体の移動の経路が、図11で示した通りであるとする。この移動は、セルC6を起点とし、セルC7、C8を経由して、セルC9を終点とする。この移動においては、セルC6、セルC7、セルC8及びセルC9においてそれぞれ停留する(停留時間の値は、順番に2、5、5、5)。この移動の主体となる移動体は、幅がセル一つ分、長さがセル五つ分のAGVであり、その移動の軌跡の幅はセル一つ分となる。但し、当該移動体は一時に、その移動経路に沿って連続した長さが五つ分のセルを占拠する。図11に、当該移動体が移動により通過するセルをハッチングにて図示している。また、当該移動体がセルC6、セルC7、セルC8、セルC9に停留しているときに占拠するセルを、それぞれ太枠で囲っている。
既に述べた通り、スコア算出部203は、停留を除いた当該移動体の移動による、当該移動体の存在する頻度を計数する。図12に、移動体の通過に起因して与えられる頻度スコア値(各セルにスコア値50。図10に示したスコア値が付与されているセルについては、その値に加算した値としていることに留意)を図示している。
並びに、既に述べた通り、スコア算出部203は、同じアクティビティコードで識別される移動体の移動における、当該移動体の停留による、当該移動体の存在する頻度を計数する。図13に、移動体の停留に起因して与えられる頻度スコア値(セルC6を囲む太枠内のセルについてスコア値40。他の太枠内のセルについてスコア値100。図12に示したスコア値が付与されているセルについては、その値に加算した値としていることに留意)を図示している。
その上で、図14に示しているように、スコア算出部203は、各セルに加算する頻度スコア値と、そのスコア値を加算する原因となった移動体の移動を識別するアクティビティコードと、そのスコア値が移動体の通過によるものか停留によるものかを示す情報とを含むスコアデータを、対象のセルを識別する位置座標に関連付けて、メインメモリ2bまたは補助記憶デバイス2cの所要の記憶領域に書き込む。
しかして、スコア算出部203は、データ格納部202に格納されたアクティビティデータに含まれる、全てのアクティビティコードで識別される移動体の移動について、上述の処理を繰り返す。そうして得られたスコアデータこそ、各セル毎の、何れかの移動体が存在する単位期間あたりの頻度を示す情報となる。
送信部204は、各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を示す情報、またはその情報をディスプレイ1iの画面に表示させるための情報(HTML(HyperText Markup Language)や画像データ、スクリプト等であることがある)を、クライアントコンピュータ1に向けて電気通信回線を介して受信する。特に、クライアントコンピュータ1から、分析結果の表示を指令する旨の信号等がもたらされたときに、スコアデータの一部または全部、またはスコアデータの一部若しくは全部をディスプレイ1iの画面に表示させるための情報を生成して返信する。
以降、クライアントコンピュータ1における分析結果の画面表示例に関して述べる。クライアントコンピュータ1を使用する計画担当者その他のユーザは、計画立案した移動体の移動経路即ち工場内での物流経路のパターンを示すアクティビティデータを入力してサーバ2に向けて送信し、その経路パターンの適否を分析させる。サーバ2は、スコア算出部203の機能によりこれを分析し、分析結果としてスコアデータまたはスコアデータをディスプレイ1iの画面に表示させるための情報をクライアントコンピュータ1に送信する。これを受信したクライアントコンピュータ1は、表示制御部104の機能により分析結果を画面表示して、ユーザの閲覧に供する。
図15、図16及び図17はそれぞれ、活動空間Sたる工場内の各セル毎に、何れかの移動体が存在する頻度のスコア値をマップの形式で可視化して表示した例である。セルに付した色(または、ドットパターン)の濃度は、単位期間あたりの頻度スコア値の高低を表しており、色の濃いセルほど頻度スコア値が高い、つまりは移動体同士の干渉が起こりやすい、渋滞しやすい場所であると言える。頻度スコアが極端に高いセルを少なくし、またはなくすことが、最適な物流経路パターンへと近づく道である。なお、各セルの色付け(または、ドットパターンの描画)以外に、各セル内に頻度スコアの数値そのものを描画して表示するようにしてもよい。
図15は、移動体の停留を除いた、移動体の通過による、移動体の存在頻度のスコアマップである。これに対し、図16は、移動体の通過を除いた、移動体の停留による、移動体の存在頻度のスコアマップである。図15に示している頻度スコア値の高いセルと、図16に示している頻度スコア値の高いセルとは、必ずしも一致しない。後者のセルは、搬出ポートや搬入ポートの付近に集中していることが分かる。図17は、図15と図16とを合算した、移動体の通過及び停留を総合した、移動体の存在頻度のスコアマップである。
このように、本実施形態の経路計画立案支援システムでは、ユーザが指定した条件の下での頻度スコアをディスプレイ1iの画面にマップ表示させることが可能である。条件の例としては、移動体の通過のみによるスコアマップ、移動体の停留のみによるスコアマップ、移動体の通過及び停留を総合したスコアマップの他にも、移動体の移動の発生契機を限定したスコアマップ(スケジュール型の移動のみによるスコアマップ、オンデマンド型の移動のみによるスコアマップ、全契機を総合したスコアマップ)や、運搬対象物品の種別を限定したスコアマップ(部品類の移動のみによるスコアマップ、モジュールの移動のみによるスコアマップ、全物品を総合したスコアマップ)、移動体の種別を限定したスコアマップ(AGVの移動のみによるスコアマップ、その他の移動体を含めたスコアマップ)、等々を挙げることができる。
ユーザは、入力受付部101を介して、上掲の頻度スコアの算出条件の指定を含めた分析結果の表示を指令する旨の入力を行うことができる。この入力を受け付けたクライアントコンピュータ1は、算出条件の指定を含んだ指令をサーバ2に向けて送信する。指令を受信したサーバ2は、指定された算出条件に合致した移動体の移動のみによる頻度スコア値を含むスコアデータ、または当該スコアデータをディスプレイ1iの画面に表示させるための情報をクライアントコンピュータ1に返信する。クライアントコンピュータ1は、サーバ2から返信される情報を受信し、ユーザが指定した算出条件に合致する、図15ないし図17に示しているような分析結果を画面表示するのである。
あるいは、サーバ2が算出したスコアデータの全て(さらに、必要であれば、サーバ2に蓄積しているアクティビティデータの一部または全部)を、サーバ2からクライアントコンピュータ1にダウンロードし、クライアントコンピュータ1のメインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に記憶保持するようにしてもよい。さすれば、クライアントコンピュータ1が、ユーザの手による、頻度スコアの算出条件の指定を含めた分析結果の表示を指令する旨の入力を受け付けたときに、自身に記憶保持しているスコアデータ(必要であれば、アクティビティデータ)を参照して、ユーザが指定した算出条件に合致する、図15ないし図17に示しているような分析結果を表示するための画面情報(HTMLや画像データ、スクリプト等であることがある)を生成、ディスプレイ1iに表示することができる。
また、ユーザは、入力受付部101を介して、図15ないし図17に示している分析結果の画面に表示されている、何れかのセルを指定する入力(マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスによるクリック等)を行うことができる。この入力を受け付けたクライアントコンピュータ1は、セルの指定を含んだ指令をサーバ2に向けて送信し、当該セルの座標に関連付けられているアクティビティデータ及び/またはスコアデータの一部または全部をサーバ2からダウンロードするか、クライアントコンピュータ1自身に記憶保持している、当該セルの座標に関連付けられているアクティビティデータ及び/またはスコアデータの一部または全部を読み出し、表示制御部104の機能によりその内容をディスプレイ1iの画面に表示させる。
図17に、指定されたセルに係るアクティビティデータ及び/またはスコアデータの画面表示例(ダイアログD)を示している。これにより、例えばユーザは、頻度スコアの高い、渋滞の起こりやすいセルについて、どのアクティビティ(アクティビティとは、ある移動体による、ある目的の、ある契機の下で発生する、ある経路を通行する行動のこと)が当該セルを通過し、また当該セルに停留するのかを知ることができる。そして、当該セルにおける渋滞を緩和ないし回避するべく、当該セルを通過しまたは当該セルに停留するアクティビティの移動経路や、そのアクティビティの発生頻度(本実施形態でいえば、その移動により運搬する物品の総量、または一度の移動で運搬する物品のロット数)を変更する等の計画修正を行うことが可能となる。
本実施形態の経路計画立案支援システムは、計画担当者が計画立案した移動体の移動経路即ち工場内での物流経路のパターンについて、そのKPI(Key Performance Indicator)を算定して提示することができる。以下に、KPIの例を列挙する。
・移動体の総移動距離;アクティビティデータに記述された各移動体の移動毎の移動経路の長さ(セル数)と、当該移動の発生頻度との積を、対象となる全ての(ユーザにより頻度スコア値の算出条件が指定されている場合には、その条件に合致した)移動について合算することで得られる。
・密度別マップヒストグラム;頻度スコア値を横軸、その頻度スコア値を持つセル(移動体の移動経路として利用不能なセルを除く)の個数を縦軸にとったヒストグラム。また、移動体の移動経路として利用可能な全てのセルの頻度スコア値の平均値、中央値、合計値、分散、標準偏差等を算出することもできる。
・アクティビティ相互干渉パレート図;当該頻度スコア値を持つセル(移動体の移動経路として利用不能なセルを除く)の個数が最も多い順に頻度スコア値を並べた分析、及びそのパレート図。
・通路利用率;通路面積ロス率。移動体の移動経路として利用可能なセルのうち、移動体が全く通過しないセルの割合。
・工場利用率;工場面積ロス率。活動空間Sたる工場の要素である全セルのうち、メインライン、サブライン等のブロックBとして利用されず、かつ移動体が全く通過しないセルの割合。
・通路稼働率;時間累計通路稼働率。移動体の移動経路として利用可能なセルの各々について、何れかの移動体が存在している時間(稼働時間)を計数し、全てのセルについての稼働時間を総和する。そして、その総和を、(操業時間×移動体の移動経路として利用可能な全セルの総数)で割る。
・停滞影響度;移動体の移動経路として利用可能な各セルについて、移動体の通過による存在頻度のスコアマップ(図15)におけるスコア値と、移動体の停留による存在頻度のスコアマップ(図16)におけるスコア値との間で、加算、論理積演算、または指数関数演算を行う。あるいは、アクティビティから各セル間の遷移関数を求め、セル間ネットワークにおいて、離散系シミュレーションや伝達関数を用いた物流予測を行い、停滞影響度を評価する。
・停止度;停留密度分散。移動体の停留による存在頻度のスコアマップの位置的分散値、時間的分散値、停留時間が長いセルについての位置的分散値、または、停留時間が長いセルについての時間的分散値。
・移動体の総移動距離;アクティビティデータに記述された各移動体の移動毎の移動経路の長さ(セル数)と、当該移動の発生頻度との積を、対象となる全ての(ユーザにより頻度スコア値の算出条件が指定されている場合には、その条件に合致した)移動について合算することで得られる。
・密度別マップヒストグラム;頻度スコア値を横軸、その頻度スコア値を持つセル(移動体の移動経路として利用不能なセルを除く)の個数を縦軸にとったヒストグラム。また、移動体の移動経路として利用可能な全てのセルの頻度スコア値の平均値、中央値、合計値、分散、標準偏差等を算出することもできる。
・アクティビティ相互干渉パレート図;当該頻度スコア値を持つセル(移動体の移動経路として利用不能なセルを除く)の個数が最も多い順に頻度スコア値を並べた分析、及びそのパレート図。
・通路利用率;通路面積ロス率。移動体の移動経路として利用可能なセルのうち、移動体が全く通過しないセルの割合。
・工場利用率;工場面積ロス率。活動空間Sたる工場の要素である全セルのうち、メインライン、サブライン等のブロックBとして利用されず、かつ移動体が全く通過しないセルの割合。
・通路稼働率;時間累計通路稼働率。移動体の移動経路として利用可能なセルの各々について、何れかの移動体が存在している時間(稼働時間)を計数し、全てのセルについての稼働時間を総和する。そして、その総和を、(操業時間×移動体の移動経路として利用可能な全セルの総数)で割る。
・停滞影響度;移動体の移動経路として利用可能な各セルについて、移動体の通過による存在頻度のスコアマップ(図15)におけるスコア値と、移動体の停留による存在頻度のスコアマップ(図16)におけるスコア値との間で、加算、論理積演算、または指数関数演算を行う。あるいは、アクティビティから各セル間の遷移関数を求め、セル間ネットワークにおいて、離散系シミュレーションや伝達関数を用いた物流予測を行い、停滞影響度を評価する。
・停止度;停留密度分散。移動体の停留による存在頻度のスコアマップの位置的分散値、時間的分散値、停留時間が長いセルについての位置的分散値、または、停留時間が長いセルについての時間的分散値。
KPIは、アクティビティデータ及びスコアデータを参照して算定することが可能である。KPIの算定は、サーバ2側(のスコア算出部203)の機能として実装してもよいし、クライアントコンピュータ1(の表示制御部104)の機能として実装してもよい。前者の場合、サーバ2側で算定したKPIの情報がサーバ2からクライアントコンピュータ1に送信され、これを受信したクライアントコンピュータ1(の表示制御部104)がKPIをディスプレイ1iの画面に表示させる。後者の場合、クライアントコンピュータ1自身が保持しているアクティビティデータやスコアデータを参照してKPIを算定し、ディスプレイ1iの画面に表示させる。図15ないし図17では、KPIの一例として、全ての移動体の移動の総移動距離を表示出力してある。
計画担当者は、活動空間Sたる工場内の各セルの頻度スコアやKPIを根拠として現状の物流経路のパターンの適否を判断する。現状の物流経路のパターンが好ましいものではない場合には、何れかの移動体の移動の経路を変更したり、メインライン、サブライン等のブロックBまたはその搬出ポート、搬入ポートの配置を変更したりして、新たなパターンを計画立案する。この新たなパターンの計画立案は、入力受付部101を介したアクティビティデータの再入力によって行う。
クライアントコンピュータ1は、再入力されたアクティビティデータをサーバ2に送信し、サーバ2はこれを受信して頻度スコア値を再計算、スコアデータを更改する。この結果として、クライアントコンピュータ1のディスプレイ1iの画面には、新たに計画した経路パターンに基づく、各セル毎の移動体の存在頻度のスコアが表示されることになる。計画担当者は、これを閲覧し、新たな経路パターンがよりよいものとなっているかどうかを判断する。
以上に述べた計画立案、分析結果の確認及び評価、計画の練り直しのループにより、トライアンドエラー(または、PDCAサイクル)の形で経路パターンをより最適なものへと近づけてゆくことが可能となる。
本実施形態では、互いに隣接する多数のセルの集合である活動空間S内での、複数の移動体の移動を伴う活動における、移動体の移動経路の設計を支援するものであって、移動体の移動毎に設定された、当該移動体の移動において当該移動体が通過するセルを規定する情報、及び単位期間あたりの当該移動の発生頻度を規定する情報を含むアクティビティデータを格納するデータ格納部202と、前記データ格納部202に格納されているアクティビティデータを読み出し、各セル毎に、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を算出するスコア算出部203と、前記スコア算出部203で算出した各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度をディスプレイの画面に表示させる表示制御部104とを具備する経路計画立案支援システムを構成した。
本実施形態によれば、従前の離散的シミュレーションシステムと比較して、遙かに小さな計算量で、活動空間S内のどの場所で移動体同士の干渉や渋滞が起こりやすいのかを評価、確認することができ、移動体の移動の経路パターンをトライアンドエラーにより実時間で最適化してゆくことが容易となる。
前記データ格納部202が格納するアクティビティデータが、移動体の移動毎の、当該移動の発生契機を規定する情報をも含んでおり、前記スコア算出部203が、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体の移動の発生契機に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変えるものとしたため、移動体毎の移動の発生契機の違いを頻度スコアに反映させることができ、より現実に則した評価が可能となる。
前記データ格納部202が格納するアクティビティデータが、移動体の移動毎の、当該移動の速度を規定する情報をも含んでおり、前記スコア算出部203が、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体の移動の速度に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変えるものとしたため、移動体毎の移動の速度の違いを頻度スコアに反映させることができ、より現実に則した評価が可能となる。
前記データ格納部202が格納するアクティビティデータが、移動体の移動毎の、当該移動の最中に当該移動体が停留するセル及び当該セルにおける停留時間を規定する情報をも含んでおり、前記スコア算出部203が、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体が当該セルに停留する場合、当該セルにおける停留時間に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変えるものとしたため、個々の移動体が活動空間S内の何れかのセルに停留する事象を頻度スコアに反映させることができ、より現実に則した評価が可能となる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、クライアント−サーバモデルにて本発明に係る経路計画立案支援システムを構築していたが、クライアントコンピュータ1を主体として、またはクライアントコンピュータのスタンドアロンにより、本発明に係る経路計画立案支援システムを構築することも可能である。
この場合、クライアントコンピュータ1が、プログラムに従いハードウェア資源を作動して、図18に示す入力受付部101、データ格納部112、スコア算出部113及び表示制御部104としての機能を発揮する。
入力受付部101及び表示制御部104の機能は、上記実施形態におけるクライアントコンピュータ1のそれと同様である。また、データ格納部112は、上記実施形態におけるサーバ2のそれと同様である。但し、データ格納部112に格納するアクティビティデータは、クライアントコンピュータ1と電気通信回線を介して接続するサーバ2その他の外部のコンピュータからもたらされるものであることがある。そして、スコア算出部113の機能もまた、上記実施形態におけるサーバ2のそれと同様である。スコア算出部113は、データ格納部112に格納しているアクティビティデータや、入力受付部101を介して受け付けた頻度スコアの算出条件等を参照して、スコアデータ及び/またはKPIを算出し、メインメモリ1bまたは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に書き込む。表示制御部104は、スコアデータやKPIの一部または全部をディスプレイ1iの画面に表示させるための情報を生成して、ディスプレイ1iに表示出力する。
上記実施形態における活動空間S及びセルはそれぞれ二次元平面であったが、活動空間Sを三次元に拡張することは当然に可能である。活動空間Sが三次元空間であるならば、その要素となる各セルも三次元の部分空間(例えば、直方体または立方体)となる。セルを指し示す位置座標(x,y,z)や、移動体の寸法もまた、三次元に拡張される。
本発明による分析の対象は、工場や物流倉庫等には限定されない。例えば、大規模病院な病院における患者、カルテまたは医薬品の移動や配送について、あるいは、コンビニエンスストアや百貨店、アウトレットモール、スーパーマーケットや大形量販店、銀行等における人や物の移動について、本発明を適用して分析を行うことも考えられる。
その他、各部の具体的構成や具体的な処理の手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、ある活動空間内での複数の移動体の移動を伴う活動における、移動体の移動経路の設計に利用することができる。典型的には、工場内や物流倉庫内での、各種移動体の移動経路、物の運搬経路の設計に利用することができる。
1…クライアントコンピュータ
103…受信部
104…表示制御部
112…データ格納部
113…スコア算出部
2…サーバ
202…データ格納部
203…スコア算出部
204…送信部
103…受信部
104…表示制御部
112…データ格納部
113…スコア算出部
2…サーバ
202…データ格納部
203…スコア算出部
204…送信部
Claims (9)
- 互いに隣接する多数のセルの集合である活動空間内での、複数の移動体の移動を伴う活動における、移動体の移動経路の設計を支援するものであって、
移動体の移動毎に設定された、当該移動体の移動において当該移動体が通過するセルを規定する情報、及び単位期間あたりの当該移動の発生頻度を規定する情報を含むアクティビティデータを格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されているアクティビティデータを読み出し、各セル毎に、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度を算出するスコア算出部と、
前記スコア算出部で算出した各セル毎の、単位期間あたりの何れかの移動体が存在する頻度をディスプレイの画面に表示させる表示制御部と
を具備する経路計画立案支援システム。 - 前記データ格納部が格納するアクティビティデータは、移動体の移動毎の、当該移動の発生契機を規定する情報をも含んでおり、
前記スコア算出部は、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体の移動の発生契機に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変える請求項1記載の経路計画立案システム。 - 前記データ格納部が格納するアクティビティデータは、移動体の移動毎の、当該移動の速度を規定する情報をも含んでおり、
前記スコア算出部は、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体の移動の速度に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変える請求項1または2記載の経路計画立案システム。 - 前記データ格納部が格納するアクティビティデータは、移動体の移動毎の、当該移動の最中に当該移動体が停留するセル及び当該セルにおける停留時間を規定する情報をも含んでおり、
前記スコア算出部は、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を算出するに際して、当該セルを通過する移動体が当該セルに停留する場合、当該セルにおける停留時間に応じて、当該セルについて加算する頻度のスコア値を変える請求項1、2または3記載の経路計画立案システム。 - クライアントコンピュータ及びこのクライアントコンピュータが電気通信回線を介して通信接続可能であるサーバを用いて構築され、
サーバが、前記データ格納部と、前記スコア算出部と、前記スコア算出部で算出した各セル毎の何れかの移動体の存在頻度を前記クライアントコンピュータのディスプレイの画面に表示させるためのデータを電気通信回線を介して送信する送信部とを具備しており、
クライアントコンピュータが、前記サーバから送信される、各セル毎の何れかの移動体の存在頻度をディスプレイの画面に表示させるためのデータを受信する受信部と、前記表示制御部とを具備している請求項1、2、3または4記載の経路計画立案システム。 - 請求項5記載の経路計画立案システムを構成するために用いられるものであって、サーバを、前記データ格納部、前記スコア算出部及び前記送信部として機能させるプログラム。
- 請求項5記載の経路計画立案システムを構成するために用いられるものであって、クライアントコンピュータを、前記受信部及び前記表示制御部として機能させるプログラム。
- クライアントコンピュータを用いて構築され、
クライアントコンピュータが、前記データ格納部と、前記スコア算出部と、前記表示制御部とを具備している請求項1、2、3または4記載の経路計画立案システム。 - 請求項8記載の経路計画立案システムを構成するために用いられるものであって、クライアントコンピュータを、前記データ格納部、前記スコア算出部及び前記表示制御部として機能させるプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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