以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態の一例を詳細に説明する。
最初に、本実施形態に係る粉塵抑制システム130が使用される作業現場100について説明する。
作業現場100には、図1に示す如く、周囲に足場106が組まれ、足場106の外側に養生シート108が取り付けられている。足場106の内側の作業現場100には作業対象物である建築物104が位置している。建築物104では、後述する粉塵抑制システム130の流体放出機132から散布された流体FDの被覆した部分(包囲部分)である作業箇所102が、作業機械110で解体される。作業機械110は、例えば、無限軌道で方向自在に移動可能とされている。作業機械110には運転室112が設けられている。運転室112から、アーム体114の先端に設けられた作業アタッチメント116と、無限軌道と、を自在に操作することができる(運転室112で、作業者あるいは遠隔操作されたロボットが操作する)。本実施形態では、作業アタッチメント116は圧砕機であり、作業機械110はいわゆる「クラッシャー」とされている。なお、運転室112に持ち込まれた送信機(不図示)で流体放出機132を遠隔制御することができる(送信機は、運転室112の外部で、操作されていてもよい)。なお、作業箇所102は、作業アタッチメント116が建築物104に直接的に接する部分を含むとともに、作業アタッチメント116による解体によって粉塵が直接的に発生する箇所をいう。流体FDは、水でもよいし、気泡を含む流動性のある泡状物を含むことができる。
次に、本発明に係る粉塵抑制システム130の概略構成について、図1、図2(A)、(B)を用いて説明する。
粉塵抑制システム130は、1台の送信機134(図5(A))による遠隔操作によって建築物104の作業箇所102に対して粉塵の発生を抑制可能な流体FDを放出する1台以上の流体放出機132を有している。ここで、流体放出機132は、図2(A)に示す如く、送信機134からの送信信号SCを受信して流体FDの放出する方向を制御する制御機構146と、制御機構146を自身の径方向内側および上下方向内側に脱着可能に支持する支持フレーム172と、を備える。そして、流体放出機132は、流体FDを放出する放出ノズル178Dと、放出ノズル178Dを回転させる第1回転装置166と、放出ノズル178Dを第1回転装置166の回転軸(軸心O1)と直交する回転軸(軸心O2)周りに回転させる第2回転装置168と、遠隔操作によって第1回転装置166と第2回転装置168とを制御する制御装置156(図3(B))と、を備える。
なお、本実施形態では、送信機134と受信機148は、電波法令で定められた特定小電力無線局の規格に準拠して出力と周波数が定められている。このため、送信機134を流体放出機132から50m~100m離して遠隔操作とすることができる。また、本実施形態では、流体放出機132は、大きさが1m未満(例えばWL300mmφ、H600mm)で20kg以下とされている。
以下、送信機134と流体放出機132の各構成要素(部材)の詳細について説明する。
前記送信機134は、図5(A)に示すような携帯可能な直方体形状とされており、図3(A)に示す如く、制御信号入力部136とCHセレクタ138と局部発振器140と変調回路142と、電源装置144とを有する。なお、符号PSWは、送信機134の電源スイッチである(図5(B)の符号PSWも同様)。
制御信号入力部136は、図5(A)に示す如く、2つの左右方向回転指示ボタン136Aと、2つの上下方向回転指示ボタン136Bと、2つの開閉指示ボタン136Cと、を有する。左右方向回転指示ボタン136Aは、回転部材176の右回転を指示する信号を出力するボタンと、回転部材176の左回転を指示する信号を出力するボタンと、を備える。上下方向回転指示ボタン136Bは、放出ノズル178Dの水平方向に対する第1回転角度φを大きくすることを指示する信号を出力するボタンと、放出ノズル178Dの水平方向に対する第1回転角度φを小さくすることを指示する信号を出力するボタンと、を備える。開閉指示ボタン136Cは、弁駆動装置170の(図示しない)開閉弁170Aの開状態を指示する信号を出力するボタンと、開閉弁170Aの閉状態を指示する信号を出力するボタンと、を備える。このため、制御信号入力部136は、図3(A)に示す如く、いずれかのボタンを作業者が押している間は、そのボタンに対応した制御信号SA(6ビット信号)が制御信号入力部136から出力される。
なお、本実施形態では、左右方向回転指示ボタン136Aの2つを同時に押し、更に上側の開閉指示ボタン136Cを押すことで、回転部材176(=放出ノズル178D)の左右方向の往復を自動で行うことを指示することができる。逆に、左右方向回転指示ボタン136Aの2つを同時に押し、更に下側の開閉指示ボタン136Cを押すことで、回転部材176の左右方向の自動往復を解除し、送信機134の指示で回転部材176の左右回転を制御することができるようにされている。また、上下方向回転指示ボタン136Bの2つを同時に押し、更に上側の開閉指示ボタン136Cを押すことで、放出ノズル178Dの上下方向の往復を自動で行うことを指示することができる。逆に、上下方向回転指示ボタン136Bの2つを同時に押し、更に下側の開閉指示ボタン136Cを押すことで、放出ノズル178Dの上下方向の自動往復を解除し、送信機134の指示で放出ノズル178Dの上下回転を制御することができるようにされている。
CHセレクタ138は、図5(A)に示す如く、周波数セレクタ138Aと番号セレクタ138Bと電源スイッチPSWとから構成され、制御対象とする流体放出機132を特定する信号を出力する。周波数セレクタ138Aは、図3(A)に示す如く、局部発振器140で扱われる特定の周波数帯域内に設けられた複数のキャリヤ周波数fi(本実施形態ではi=1~4)のうちの1つのキャリヤ周波数fiを定める出力をする。番号セレクタ138Bは、流体放出機132を特定するための番号j(本実施形態ではj=1~4)のうちの1つの番号を定める出力をする。このため、CHセレクタ138の選択で、最大16(=4*4)台の流体放出機132を識別でき、流体放出機132それぞれに異なる識別信号SBを送信することが可能である。本実施形態では、制御信号入力部136の6ビットの制御信号SAと番号セレクタ138Bの2ビットの識別信号SBとから8ビットの送信信号SCを生成している。
局部発振器140は、図3(A)に示す如く、CHセレクタ138の出力に接続され、周波数セレクタ138Aで定められたキャリヤ周波数fiを生成し出力する。
変調回路142は、図3(A)に示す如く、制御信号入力部136の出力、CHセレクタ138の出力、および局部発振器140の出力に接続されている。変調回路142は、送信信号SCでキャリヤ周波数fiを変調し電波として、アンテナから放射させる構成となっている。なお、電源装置144は、具体的には、各種電池であり、送信機134の上記各構成要素に必要な電力を供給する。
前記流体放出機132の制御機構146は、図3(B)に示す如く、受信機148と、制御装置156と、第1回転装置166と、第2回転装置168と、弁駆動装置170と、を備える。
受信機148は、図5(B)に示すような直方体形状とされているが、受信機148は制御装置156と一体構成とされている。受信機148は、図3(B)に示す如く、CHセレクタ150と局部発振器152と復調回路154とを有し、送信機134からの送信信号SCを受信する。
CHセレクタ150は、図5(B)に示す如く、周波数セレクタ150Aと番号セレクタ150Bと電源スイッチPSWとから構成されている。周波数セレクタ150Aと番号セレクタ150Bは、周波数セレクタ138Aと番号セレクタ138Bと同一の機能なので、説明は省略する。なお、番号セレクタ150Bは、制御装置156に2ビットの識別信号SFを出力する。また、図3(B)に示す局部発振器152は、局部発振器140と同一の機能なので、説明は省略する。
復調回路154は、図3(B)に示す如く、アンテナで受信した電波を復調して、8ビットの受信信号SEを制御装置156に出力する機能を有する。つまり、周波数セレクタ150Aで特定されるキャリヤ周波数fk(本実施形態ではk=1~4)がキャリヤ周波数fiと同一(fk=fi)で、識別信号SFと識別信号SBとが同一のとき(SF=SB)には、復調された受信信号SEは、送信信号SCと同一となる(SE=SC)。なお、キャリヤ周波数fkとキャリヤ周波数fiとが同一でない場合には、アンテナで受信した電波は復調されずに、復調回路154からは受信信号SEを出力しない。
制御装置156は、図3(B)に示す如く、論理回路158と、スイッチ回路160と、第1モード制御部161Aと、第2モード制御部161Bと、駆動回路162と、電源装置164とを備える。そして、制御装置156は、受信機148から出力される受信信号SEに従い第1回転装置166と第2回転装置168と弁駆動装置170とを制御する。
論理回路158は、図3(B)に示す如く、受信機148の復調回路154の出力およびCHセレクタ150の出力に接続されている。論理回路158は、受信信号SEのうちの流体放出機132を特定するための識別信号SD1を識別信号SFで判別する。つまり、論理回路158は、受信信号SEのうちの2ビットの識別信号SD1とCHセレクタ150の番号セレクタ150Bの2ビットの識別信号SFとを比較する。そして、論理回路158は、識別信号SD1と識別信号SFとが同一であれば制御信号SGとしてON信号を出力し、識別信号SD1と識別信号SFとが異なれば制御信号SGとしてOFF信号を出力する。
スイッチ回路160は、図3(B)に示す如く、復調回路154の出力および論理回路158の出力に接続されている。スイッチ回路160は、論理回路158の出力により、受信信号SEのうちの第1回転装置166、第2回転装置168、および弁駆動装置170を制御する制御信号SDのON/OFFを行う。つまり、スイッチ回路160は、6ビットの制御信号SDを論理回路158のON/OFF信号でON/OFFする。即ち、送信機134のCHセレクタ138の設定と受信機148のCHセレクタ150の設定とが同一のときには、送信機134の制御信号入力部136で入力した6ビットの制御信号SA(=SD、SH、SP)と、2ビットの制御信号SXがスイッチ回路160から出力される。なお、制御信号SXは、2つの開閉指示ボタン136Cに対応する2ビットの信号である。
第1モード制御部161Aは、図3(B)に示す如く、スイッチ回路160と第1回転装置166の出力に接続されている。そして、第1モード制御部161Aは、制御信号SIを第1駆動回路162Aに出力するようにされている。そして、第1モード制御部161Aは、図4(A)に示す如く、第1自動制御部161AAと、第1切替部161AHと、を備える。第1自動制御部161AAは、放出ノズル178Dを流体放出機132毎に設定される第1回転範囲φrで自動的に往復制御する。第1切替部161AHは、第1自動制御部161AAから出力される制御信号(第1自動信号)SNと、遠隔操作によって指定された第1回転角度φに放出ノズル178Dを回転させる制御信号(第1操作信号)SH2と、を切り替える。このため、第1切替部161AHが制御信号SNを出力する際には第1自動モードと称し、第1切替部161AHが制御信号SH2を出力する際には第1手動モードと称する。なお、第1回転変位角度φ0は、第1回転装置166から出力される放出ノズル178Dの回転角度をいうものであり、第1回転変位角度φ0は第1回転装置166(の第1回転軸166A)に取り付けられたポテンショメータからの変位信号SOによって求められる。
ここで、第1自動制御部161AAは、図4(A)に示す如く、第1下限設定部161ACと、第1上限設定部161ABと、第1下限比較部161AEと、第1上限比較部161ADと、第1信号反転部161AFと、を備える。第1下限設定部161ACと第1上限設定部161ABは、例えば、可変抵抗器であり、図5(C)に示す如く、第1下限設定部161ACと第1上限設定部161ABは、流体放出機132の制御装置156の入力部156Aにおいて設定される。入力部156Aは、流体放出機132の外部から視認できる場所に設けられている。
図5(C)に示す如く、第1下限設定部161ACは中心角度φCから下方への角度φ1を規定することで、第1回転範囲φrの下限の角度(第1下限角度)φ1を設定する(例えば、中心角度φC=0とすると、角度φ1はマイナスの値となる)。なお、このとき設定した信号を下限信号SKとする。同様にして、第1上限設定部161ABは中心角度φCから上方への角度φ2を規定することで、第1回転範囲φrの上限の角度(第1上限角度)φ2を設定する(例えば、中心角度φC=0とすると、角度φ2はプラスの値となる)。なお、このとき設定した信号を上限信号SJとする。すると、第1回転範囲φrは、-φ1+φ2となる。なお、中心角度φC(=0)は、放出ノズル178Dの回転可能範囲の丁度中央の角度とすることができる。
第1下限比較部161AEは、図4(A)に示す如く、第1下限設定部161ACで設定された第1下限角度φ1と第1回転変位角度φ0(例えば、第1回転変位角度φ0が中心角度φCのときは、第1回転変位角度φ0はゼロとなる)を比較する。そして、第1下限比較部161AEは、例えば、第1回転変位角度φ0が第1下限角度φ1以下であればHレベルの制御信号SMを出力する。逆に、第1回転変位角度φ0が第1下限角度φ1よりも大きければLレベルの制御信号SMを出力する。第1上限比較部161ADは、第1上限設定部161ABで設定された第1上限角度φ2と第1回転変位角度φ0とを比較する。そして、例えば、第1上限比較部161ADは、第1回転変位角度φ0が第1上限角度φθ2以上であればHレベルの制御信号SLを出力する。逆に、第1回転変位角度φ0が第1上限角度φ2よりも小さければLレベルの制御信号SLを出力する。
図4(A)に示す第1信号反転部161AFは、第1下限比較部161AEと第1上限比較部161ADのいずれかの結果が前回の結果と異なる場合には前回出力していた制御信号SNを反転させて出力する。つまり、例えば、第1回転変位角度φ0が第1下限角度φ1以下であれば、第1回転変位角度φ0が第1上限角度φ2よりも小さくなり、制御信号SMはHレベルで制御信号SLはLレベルとなる。このとき、第1切替部161AHに出力していた2ビットの制御信号SNを逆にする(例えば、制御信号SN1、SN2がH、Lレベルであれば、制御信号SN1、SN2をL、Hレベルにする)。逆にした後は、第1回転変位角度φ0が第1下限角度φ1よりも大きく、かつ第1回転変位角度φ0が第1上限角度φ2以上となるまで、制御信号SNをそのまま変更しないで出力継続する。そして、第1回転変位角度φ0が第1上限角度φ2以上となれば、第1回転変位角度φ0が第1下限角度φ1よりも大きいので、制御信号SMはLレベルで制御信号SLはHレベルとなる。このとき、第1切替部161AHに出力していた2ビットの制御信号SNを更に逆にする。自動運転の際には、この動作が繰り返されることとなる。
このため、第1信号反転部161AFは、図4(B)に示す如く、例えば2つの信号保持部161AGを組み合わせた構成とされている。原理的には、互いの信号保持部161AGのON側端子On1、On2とOFF側端子Off1、Off2とが交差して並列接続されており、制御信号SN1あるいは制御信号SN2がHレベルの出力をするようにされている。例えば、制御信号SNの上位ビットを制御信号SN1、下位ビットを制御信号SN2とすることができる。
例えば、信号保持部161AGは、図4(B)に示す如く、2つのNOT回路IN1、IN2とNAND回路NDとダイオードDIとで構成されている。いずれの制御信号SL、SMもLレベルとなった際には、その直前にON側端子On1、On2でHレベルであった信号保持部161AGの制御信号(SN1あるいはSN2)だけはHレベルに保つように構成されている。
図4(A)に示す第1切替部161AHは、スイッチ回路160から出力された6ビットの制御信号SH(=SH1)のパターンにより、制御信号SNを制御信号SIとして、あるいは制御信号SH2を制御信号SIとして出力することを切り替える。つまり、送信機134において、上下方向回転指示ボタン136Bを同時に押し、かつ上側の開閉指示ボタン136Cを押した場合であれば、制御信号SNが制御信号SIとして出力される。即ち、放出ノズル178Dの上下方向の往復が自動で行われることになる。あるいは、送信機134において、上下方向回転指示ボタン136Bを同時に押し、かつ下側の開閉指示ボタン136Cを押した場合であれば、制御信号SH2が制御信号SIとして出力される。即ち、放出ノズル178Dの上下方向の角度を送信機134で遠隔で指示することができるようになる。よって、送信機134による遠隔操作で第1自動モードか第1手動モードかを決定し、放出ノズル178Dの上下方向の回転を制御することができるようになる。つまり、本実施形態では、第1切替部161AHは遠隔操作により制御されている構成である。なお、制御信号SH2は、2つの上下方向回転指示ボタン136Bに対応する2ビットの信号である。
第2モード制御部161Bは、図3(B)に示す如く、スイッチ回路160と第2回転装置168の出力に接続されている。そして、第2モード制御部161Bは、制御信号SQを第2駆動回路162Bに出力するようにされている。そして、第2モード制御部161Bは、図4(C)に示す如く、第2自動制御部161BAと、第2切替部161BHと、を備える。ここで、第2自動制御部161BAは、第2下限設定部161BCと、第2上限設定部161BBと、第2下限比較部161BEと、第2上限比較部161BDと、第2信号反転部161BFと、を備える。即ち、第2モード制御部161Bは、第1モード制御部161Aとほぼ同一の構成と機能となっている。このため、第2モード制御部161Bの各要素の説明は省略する。
なお、第2自動信号は、第2自動制御部161BAから出力される制御信号SVである。第2操作信号は、遠隔操作によって指定された第2回転角度θに放出ノズル178Dを回転させる制御信号SP2である。このため、第2切替部161BHが制御信号SVを出力する際には第2自動モードと称し、第2切替部161BHが制御信号SP2を出力する際には第2手動モードと称する。また、第2回転変位角度θ0は、第2回転装置168から出力される放出ノズル178Dの回転角度をいうものであり、第2回転変位角度θ0は第2回転装置168(の第2回転軸168A)に取り付けられたポテンショメータからの変位信号SWによって求められる。
なお、第2下限設定部161BCと第2上限設定部161BBも、図5(C)に示す如く、流体放出機132の制御装置156の入力部156Aにおいて設定される。
図5(C)に示す如く、第2下限設定部161BCは中心角度θCから左側への角度θ1を規定することで、第2回転範囲θrの下限の角度(第2下限角度)θ1を設定する(例えば、中心角度θC=0とすると、角度θ1はマイナスの値となる)。なお、このとき設定した信号を下限信号SSとする。同様にして、第2上限設定部161BBは中心角度θCから右側への角度θ2を規定することで、第2回転範囲θrの上限の角度(第2上限角度)θ2を設定する(例えば、中心角度θC=0とすると、角度θ2はプラスの値となる)。なお、このとき設定した信号を上限信号SRとする。すると、第2回転範囲θrは、-θ1+θ2となる。なお、中心角度θC(=0)は、回転部材176の回転可能範囲の丁度中央の角度とすることができる。
図4(C)に示す第2下限比較部161BEは、例えば、第2回転変位角度θ0が第2下限角度θ1以下であればHレベルの制御信号SUを出力する。逆に、第2回転変位角度θ0が第2下限角度θ1よりも大きければLレベルの制御信号SUを出力する。第2上限比較部161BDは、例えば、第2回転変位角度θ0が第2上限角度θ2以上であればHレベルの制御信号STを出力する。逆に、第2回転変位角度θ0が第2上限角度θ2よりも小さければLレベルの制御信号STを出力する。
図4(C)に示す第2信号反転部161BFは、第1信号反転部161AFと同一の構成であり、例えば、第2回転変位角度θ0が第2下限角度θ1以下であれば、第2回転変位角度θ0が第2上限角度θ2よりも小さくなり、制御信号SUはHレベルで制御信号STはLレベルとなる。このとき、第2切替部161BHに出力していた2ビットの制御信号SVを逆にする(例えば、制御信号SV1、SV2がH、Lレベルであれば、制御信号SV1、SV2をL、Hレベルにする)。逆にした後は、第2回転変位角度θ0が第2下限角度θ1よりも大きく、かつ第2回転変位角度θ0が第2上限角度θ2以上となるまで、制御信号SVをそのまま変更しないで出力継続する。そして、第2回転変位角度θ0が第2上限角度θ2以上となれば、第2回転変位角度θ0が第2下限角度θ1よりも大きいので、制御信号SUはLレベルで制御信号STはHレベルとなる。このとき、第2切替部161BHに出力していた2ビットの制御信号SVを更に逆にする。自動運転の際には、この動作が繰り返されることとなる。なお、第2信号反転部161BFの構成は、第1信号反転部161AFの構成と同一なので説明は省略する。
図4(C)に示す第2切替部161BHは、送信機134において、左右方向回転指示ボタン136Aを同時に押し、かつ上側の開閉指示ボタン136Cを押した場合であれば、制御信号SVが制御信号SQとして出力される。即ち、放出ノズル178Dの左右方向の往復を自動で行うことができるようになる。あるいは、送信機134において、左右方向回転指示ボタン136Aを同時に押し、かつ下側の開閉指示ボタン136Cをした場合であれば、制御信号SP2が制御信号SQとして出力される。即ち、放出ノズル178Dの左右方向の角度を送信機134で遠隔で指示することができるようになる。よって、送信機134による遠隔操作で第2自動モードか第2手動モードかを決定し、放出ノズル178Dの左右方向の回転を制御することができるようになる。つまり、本実施形態では、第2切替部161BHは遠隔操作により制御されている構成である。なお、制御信号SP2は、2つの左右方向回転指示ボタン136Aに対応する2ビットの信号である。
駆動回路162は、図3(B)に示す如く、第1モード制御部161A、第2モード制御部161B、およびスイッチ回路160の出力に接続されており、第1駆動回路162Aと第2駆動回路162Bと弁駆動回路162Cとを有する。第1駆動回路162Aの出力は、第1回転装置166に接続されている。そして、第1駆動回路162Aは、制御信号SIに従い、第1回転装置166を駆動する。第2駆動回路162Bは、第2回転装置168に接続されている。そして、第2駆動回路162Bの出力は、制御信号SQに従い、第2回転装置168を駆動する。弁駆動回路162Cの出力は、弁駆動装置170に接続されている。そして、弁駆動回路162Cは、制御信号SXに従い、弁駆動装置170を駆動する。つまり、駆動回路162はそれぞれ、2ビットの制御信号SI、SQ、SXに基づき、第1回転装置166、第2回転装置168、および弁駆動装置170を駆動する。
なお、電源装置164は、受信機148、論理回路158、スイッチ回路160、第1モード制御部161A、第2モード制御部161Bおよび駆動回路162に電力を供給する。電源装置164は、図2(A)に示す、電源アダプタ164Aと充電池164Bとを備える。このため、電源アダプタ164Aで直接交流コンセント(AC100V)から電源を取ることができる。あるいは、充電池164B(例えばDC12V)を電源として使用することもできる。なお、本実施形態では、電源装置164として60W以上の電力が供給可能となっている。
第1回転装置166は、図2(A)に示す如く、第1回転軸166Aとケーシング166Bと第1モータ部166Cとケーシング166Bに収納された変速機構とを備える。第1回転装置166では、鋳造したケーシング166Bで、第1回転軸166Aと、第1モータ部166Cと、変速機構とを支持している。変速機構は、第1モータ部166Cの出力を減速して第1回転軸166Aから出力する構成となっている。第1回転軸166Aと第1モータ部166Cとは、ケーシング166Bの同一側面側に突出するように設けられている。なお、第1モータ部166Cには、変位信号SOを出力するポテンショメータが設けられている(第2モータ部168Cも同様)。
第2回転装置168も、図2(A)に示す如く、第2回転軸168Aとケーシング168Bと第2モータ部168Cと変速機構とを備える。第2回転装置168は、第1回転装置166と同一とされているので、説明は省略する。
弁駆動装置170は、図2(A)には示されていないものの、ボール弁で流体FDの放出を制限する機構であり、開閉弁170Aと弁モータ部170Bとを備える。開閉弁170A自体は、流体FDの流路を構成するパイプ内部に収納されている。このパイプに、傾斜部材178(後述)の導入部178Bに接続される導入配管180と、流体供給源186(後述)に接続される供給配管182とが連結されている。つまり、導入配管180は、流体FDを開閉弁170Aから傾斜部材178の放出ノズル178Dまで導く。そして、供給配管182は、流体FDを流体供給源186から流体放出機132の開閉弁170Aまで導く。弁駆動装置170は流体FDを当該パイプ内で水平方向に導き、開閉弁170Aは水平方向に移動する流体FDを遮断する構成となっている。
前記支持フレーム172は、図2(A)に示す如く、支持部材174と、支持部材174に第2回転軸168Aで水平面内の回転が可能となるように支持される回転部材176と、を備える。
支持部材174は、鋼材でできており(アルミ材でもよい)、図2(A)に示す如く、リング部174Aと支持梁部174Bとシャフト部174Cとを備える。リング部174Aは円環形状であり、その底面が足場106や建築物104などに直接接触する(なお、支持部材の代わりに、足場を構成する部材の一部が第2回転軸に接続されていてもよい)。支持梁部174Bは、リング部174A内側から径方向内側に延びる複数の板状部材であり、リング部174Aの中心に位置するシャフト部174Cに溶接されている。シャフト部174Cは、円筒形状の部材である。第2回転軸168Aをシャフト部174Cの内側に嵌入した状態でボルトを締結することで、第2回転軸168Aとシャフト部174Cとが連結される(第2回転軸168Aの軸心O2と支持部材174の中心とは一致する)。
回転部材176は、アルミ材(アルミニウムあるいはアルミニウム合金)でできており、図2(A)に示す如く、第2回転装置168が脱着可能に取付けられるターンテーブル体176Aと、ターンテーブル体176Aの上面に固定される上部フレーム体176Bと、ターンテーブル体176Aの下面に固定される下部フレーム体176Cと、を備える。
ターンテーブル体176Aは、円盤形状の部材であり、2つの貫通孔が設けられ、1つは導入配管180が貫通するために、もう1つは第2回転装置168の形状逃げのために設けたものである。ターンテーブル体176Aの上面の径方向内側には充電池164Bが脱着可能に配置されている。また、ターンテーブル体176Aの下面の径方向内側には、受信機148と制御装置156と電源アダプタ164Aと第2回転装置168と弁駆動装置170とがそれぞれ脱着可能に配置されている。なお、第2回転軸168Aの軸心O2は、ターンテーブル体176A(回転部材176)の中心と一致するようにされている。
上部フレーム体176Bは、図2(A)に示す如く、1対の逆U字形状であって第2回転軸168Aの軸心O2を挟んでターンテーブル体176Aに立設された立設フレーム部と、立設フレーム部の頭頂部同士を連結する連結フレーム部と、を備えている。立設フレーム部は、第1回転装置166の第1回転軸166Aが上側となり第1モータ部166Cが下側となる状態で、脱着可能に第1回転装置166を支持する構成となっている。即ち、上部フレーム体176Bは、第1回転軸166Aが第2回転軸168Aに直交するように、第1回転装置166を支持している。このとき、第1回転装置166の第1回転軸166Aと第1回転軸166Aを回転させる第1モータ部166Cとは共に回転部材176の径方向内側に向けられている。第1回転軸166Aは、傾斜部材178を脱着可能に支持している。
なお、傾斜部材178は、アルミ材でできており、図2(A)に示す如く、支持部178Aと導入部178Bとノズル支持部178Cと放出ノズル178Dとを備える。支持部178Aは、筒状部材であり、その内側に第1回転軸166Aが脱着可能に取付けられる。導入部178Bは、内部に流体FDを導く流路が設けられた部材であり、支持部178Aに支持されている。導入部178Bは、支持部178Aが第1回転軸166Aに取付けられると、流体FDを導入配管180から第1回転軸166Aに並行に導く。ノズル支持部178Cは、内部に流体FDを導く流路が設けられた部材であり、支持部178Aに支持されている。ノズル支持部178Cは、導入部178Bに接続され、導入部178Bに導かれる流体FDを径方向外側に向いた放出ノズル178Dに導く。放出ノズル178Dは筒状部材であり、放出ノズル178Dの方向は第2回転軸168Aの軸心O2を通過するようにされている。放出ノズル178Dは、流体FDを第1回転装置166で制御された方向に放出する。即ち、第1回転装置166は、第2回転軸168Aと直交する第1回転軸166Aで流体FDを放出する放出ノズル178Dを回転可能に支持している構成である。なお、流体FDが泡状物の場合には、泡状物が直接流体供給源186から供給されるが、放出ノズル178Dが例えば空気を吸い込む構造(図示略)とされていてもよい。この場合には、流体FDが泡状物の原料(液体)とされて、放出ノズル178Dから放出された際に泡状物の原料が液体から泡状物に合成されてもよい。その場合には、多量の泡状物を勢いよく、放出ノズル178Dから放出(散布)させることができる。放出ノズル178Dの形状は、流体FDが水である場合と泡状物の場合とでは(遠隔操作で)異なるようにされていてもよい。あるいは、泡状物に対応可能に放出ノズル178Dの形状が統一されていてもよい。
下部フレーム体176Cは、図2(A)に示す如く、ターンテーブル体176Aの外周に沿って立設された複数の支柱フレーム部と、制御機構146の径方向外側に配置される円環形状であって複数の支柱フレーム部に支持されるリングフレーム部と、を備える。支柱フレーム部は、棒状部材であり、具体的には、受信機148、制御装置156、電源アダプタ164A、第2回転装置168、および弁駆動装置170の外側に配置されている。なお、ターンテーブル体176Aの外周には、下部フレーム体176Cを覆う弾性部材(例えば板状の合成ゴム)が2枚、全周を覆うように配置されていてもよい。
なお、流体放出機132は、例えば足場106等の点検の際に交換が容易で、且つ配置位置の変更が自在であるように、充電池164Bで駆動されているが、図示せぬ発電機に電源が接続されて駆動されてもよい。
図2(A)、(B)に示す如く、流体放出機132への流体FDの供給を、供給配管182を介して行う流体供給源186が設けられている。流体供給源186は、図1に示す如く、作業現場100における環境の変動の少ないところでメンテナンスが比較的容易である場所、例えば、作業箇所102から離れた地面に設置されている。流体供給源186は、図2(B)に示す如く、ポンプ部186Aと2つのタンク部186Bを備える。ポンプ部186Aは、タンク部186Bから導入される流体FDの圧力を増大可能としている。2つのタンク部186Bは、互いに異なる流体FDを格納している。本実施形態では、一方のタンク部186Bが水(水を主成分とする水溶液を含む)を保持し、もう一方のタンク部186Bが泡状物あるいは泡状物となる原液を保持している。流体供給源186は、例えば図示せぬ発電機に電源が接続されて駆動されている。なお、タンク部186Bの切り替えは、手動でもよいし、送信機134にボタンを設けてそのボタンのON/OFFにより遠隔操作で行ってもよい。
なお、1台の流体供給源186から1台の流体放出機132に流体FDが供給されてもよいが、1台の流体供給源186から複数の流体放出機132に流体FDが供給されていてもよい。その際には、1台の流体供給源186に複数の流体放出機132が並列に接続されてもよいし、直列に接続されてもよい(例えば、並列の場合は平面的に並んだ複数の流体放出機132に兼用とされる構成でもよい。また、直列の場合は足場106の高さ方向に並んで載置される構成でもよい)。なお、流体FDが水の場合にはポンプ部186Aをなくして、直接水道の蛇口に供給配管182を接続していてもよい。供給配管182は、建築物104を囲む足場106に固定されていてもよい。
次に、粉塵抑制システム130を用いた粉塵抑制方法について、主に図1を用いて説明する。
まず、建築物104の解体に必要な領域(作業機械110の配置転換のための領域を含む)を囲むように足場106を構成し、その外側に養生シート108を取付ける。ここで、足場106の高さは、解体される建築物104の高さよりも高く構成される。そして、例えば、解体される建築物104の作業箇所102よりも放出ノズル178Dの位置が高くなるように、流体放出機132を足場106あるいは建築物104に載置する。流体放出機132は単に載置するだけでもよく、場合によっては足場106に固定してもよい。流体放出機132は、互いに異なる位置に複数載置され、それぞれの流体放出機132からの流体FDを同一の作業箇所(解体する部分)102に放出可能とされている。実際の流体放出機132の数と間隔は、流体放出機132から放出(散布)される流体FDの飛距離や時間当たりの散布量で適宜定めることができる。
次に、作業機械110の作業アタッチメント116で作業箇所102に向けて、その近傍の1つ以上の流体放出機132を、運転室112の作業者あるいは別の作業者により送信機134を操作することで遠隔制御により動作させる。そして、放出ノズル178Dで作業箇所102の上から流体FDを所定の範囲(例えば、作業アタッチメント116が直接接触しなくても作業アタッチメント116の接触で、粉塵の発生しそうな範囲までを含む)に所定の量(粉塵の飛散の抑制にある程度効果が出る以上の量)を散布する。このとき、この散布は、遠隔操作で断続的に放出ノズル178Dの向きを指定することで実現してもよい。あるいは、所定の範囲に対して自動的に放出ノズル178Dを往復させることで実現してもよい。なお、風や湿度の関係で流体FDとして、泡状物と水とを適宜に散布するようにしてもよい。
次に、流体FDの散布された作業箇所102に対して作業アタッチメント116を接触させて解体を行う。このとき、例えば流体放出機132からの流体FDの散布は継続して行うことで、粉塵の飛散抑制を効果的に行うことができる。このときにも、遠隔操作で自ら放出ノズル178Dの向きを断続的に制御してよいし、放出ノズル178Dを自動的に往復運動をさせてもよい。なお、流体FDが泡状物のときには、目標とする作業箇所102の解体が達成できたかどうかの確認を行うため、泡状物の散布を一時的に中止し、水でその泡状物を消失させるようにしてもよい。
上記作業箇所102の解体が達成できたら、次の作業箇所102に向けて作業アタッチメント116を移動させる。同時、若しくはそれ以前に対応する流体放出機132を動作させ、次の作業箇所102を作業アタッチメント116で解体する。これを繰り返すことで、高層化された建築物104の上の階から迅速に解体を進めることができる。なお、すでに解体が終了していても所定の領域で粉塵が発生するようならば、その領域に対しては、1台以上の流体放出機132を用いて放出ノズル178Dを第1、第2自動モードにして、流体FDを散布するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、制御装置156が、第1自動制御部161AAと、第1切替部161AHと、を備える第1モード制御部161Aを備える。即ち、第1切替部161AHで制御信号SNと制御信号SH2とを切り替えることができるので、遠隔操作によって放出ノズル178Dを第1回転角度φとする制御も可能であり、かつ放出ノズル178Dを第1回転範囲φr内で自動的に往復制御することができる。
また、本実施形態では、第1切替部161AHが、遠隔操作により制御される。このため、流体放出機132に物理的に接近しなくても、遠隔操作によって放出ノズル178Dを第1回転角度φとする制御と放出ノズル178Dの自動往復制御とを切り替えることができ、これらを切り替える手間(作業量や工数)を省くことができる。なお、これに限らず、第1切替部が流体放出機に設けられたスイッチで実現されていてもよい。その場合には、遠隔操作のための機能を送信機と受信機とから省くことができ、低コスト化を促進することができる。あるいは、第1切替部が流体放出機に設けられたスイッチ(自動モードボタンと手動モードボタン)でも実現されつつ、遠隔操作によって制御されてもよい。この場合には、どちらでも切り替えることができ、効率的な流体放出機の運用を実現することができる。
また、本実施形態では、第1自動制御部161AAが、第1下限設定部161ACと、第1上限設定部161ABと、第1下限比較部161AEと、第1上限比較部161ADと、第1信号反転部161AFと、を備える。このため、制御も簡便であり、かつ低コストで第1回転範囲φr内を放出ノズル178Dが自動的に往復可能である。なお、これに限らず、例えば第1回転範囲φrが予め特定の角度範囲(90度、180度など)に定まっていて放出ノズルが自動的に往復するようにされていてもよい。あるいは、角度ではなく一定時間で、放出ノズルを自動的に往復させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、第1下限設定部161ACと第1上限設定部161ABが、流体放出機132において設定される。このため、遠隔操作で第1回転範囲φrを設定する手間とその第1回転範囲φrのデータを流体放出機132に送信するための構成を省くことができ、低コスト化を促進することができる。なお、これに限らず、第1下限設定部と第1上限設定部が遠隔操作で設定されてもよい。この場合には、流体放出機の設定を作業の途中で変更するにしても、流体放出機に接近する必要がなく、高い利便性を実現することができる。
また、本実施形態では、流体放出機132が、更に、第2回転装置168を備え、制御装置156が、第2自動制御部161BAと、第2切替部161BHと、を備える第2モード制御部161Bを備える。このため、第2切替部161BHで制御信号SVと制御信号SP2とを切り替えることができるので、遠隔操作によって放出ノズル178Dを第2回転角度θとする制御も可能であり、かつ放出ノズル178Dを第2回転範囲θr内で自動的に往復制御することもできる。例えば、第2回転装置168を第2自動モードで制御し、第1回転装置166を第1手動モードで制御することができる。そして、その逆もできる。あるいは、第1、第2回転装置166、168の両方を自動モードで制御することもできるし、手動モードで制御することもできる。即ち、流体FDの散布パターンを状況に応じて最適にすることが可能である。なお、これに限らず、第2回転装置が存在しなくてもよいし、第2回転装置が存在しても、自動モードと手動モードのいずれかのみを備えているだけでもよい。
また、本実施形態では、第2切替部161BHが、遠隔操作により制御される。このため、流体放出機132に物理的に接近しなくても、遠隔操作によって放出ノズル178Dを第2回転角度θとする制御と放出ノズル178Dの自動往復制御とを切り替えることができ、これらを切り替える手間(作業量や工数)を省くことができる。なお、これに限らず、第2切替部が流体放出機に設けられたスイッチで実現されていてもよい。その場合には、遠隔操作のための機能を送信機と受信機とから省くことができ、低コスト化を促進することができる。あるいは、第2切替部が流体放出機に設けられたスイッチ(自動モードボタンと手動モードボタン)でも実現されつつ、遠隔操作によって制御されてもよい。この場合には、どちらでも切り替えることができ、効率的な流体放出機の運用を実現することができる。
また、本実施形態では、第2自動制御部161BAが、第2下限設定部161BCと、第2上限設定部161BBと、第2下限比較部161BEと、第2上限比較部161BDと、第2信号反転部BFと、を備える。このため、制御も簡便であり、かつ低コストで第2回転範囲θr内を放出ノズル178Dが自動的に往復可能である。なお、これに限らず、例えば第2回転範囲θrが予め特定の角度範囲(90度、180度など)に定まっていて放出ノズルが自動的に往復するようにされていてもよい。あるいは、角度ではなく一定時間で、放出ノズルを自動的に往復させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、第2下限設定部161BCと第2上限設定部161BBが、流体放出機132において設定される。このため、遠隔操作で第2回転範囲θrを設定する手間とその第2回転範囲θrのデータを流体放出機132に送信するための構成を省くことができ、低コスト化を促進することができる。なお、これに限らず、第2下限設定部と第2上限設定部が遠隔操作で設定されてもよい。この場合には、流体放出機の設定を作業の途中で変更するにしても、流体放出機に接近する必要がなく、高い利便性を実現することができる。
また、本実施形態では、流体FDが水あるいは泡状物を含む。このため、流体FDが水であると、建築物104を効果的に濡らすことができる。また、流体FDが泡状物であると、水分の過剰な放出を回避でき、散水だけしか行わない場合と比べると水の使用量を大幅に削減でき、節水をすることができる。そして、粉塵の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、遠隔操作が1台の送信機134から複数の流体放出機132に対してなされる。このため、流体放出機132を操作する作業者の数を低減でき、且つ複数の流体放出機132を効率的に動作させることが可能である。
また、本実施形態では、流体放出機132が作業機械110ではなく足場106や建築物104に載置されている。つまり、流体放出機132の動作は、作業機械110の動作とは独立して行うことができる。このため、予め流体FDで作業箇所102を包囲することを迅速に行うことができ、短い時間で解体作業を進めながら、粉塵の飛散の抑制を効果的に行うことができる。
また、本実施形態では、流体放出機132が遠隔制御されるので、粉塵の発生箇所である作業箇所102近傍への散水作業者の配置を不要としている。即ち、高い足場106からの作業者による散水作業もなく、作業者の労働安全の確保と結果的に作業環境の改善が図れる。更に、作業者への危険度を低減できるので、保険などの事故対応へのコストを低減することもできる。
また、本実施形態では、第1、第2手動モードと第1、第2自動モードの切り替えを、送信機134の2つの左右方向回転指示ボタン136Aと、2つの上下方向回転指示ボタン136Bと、2つの開閉指示ボタン136Cの組合せで実現している、このため、送信機134に別にボタンを設ける必要がなく、上記自動モードが加わってもコストアップを最小限に抑制することができる。なお、これに限らず、自動モードのために、専用ボタンを送信機に設けてもよい。
即ち、本実施形態によれば、粉塵抑制システム130において遠隔操作で放出ノズル178Dの方向を制御可能でありながら、放出ノズル178Dの方向を所定の範囲で自動的に往復運動させることも可能である。よって、効果的に複数の流体放出機132を遠隔操作することができる。
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
例えば、第1実施形態では、第1、第2回転装置166、168の回転方向と流体FDの圧力方向が一致してしまう構成の流体放出機132であったので、流体FDの圧力変動を考慮して、第1、第2回転装置166、168の回転トルクを大きく取る必要があったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6(A)、(B)、図7(A)、(B)、図8(A)、(B)、図9(A)、(B)、(C)に示す第2実施形態の如くであってもよい。なお、第2実施形態では、流体放出機232が、XY方向に長い横型形状(図6(A)、(B))であり、その構成のみが異なる。このため、第1実施形態からは、符号上1桁を変更して、流体放出機232に係る部分以外の説明をなるべく省略する。
本実施形態では、流体放出機232は、図6(A)、(B)、図7(A)、(B)に示す如く、流路構成体277と、支持部材274と、回転部材276と、第2回転装置268と、を備える。
前記流路構成体277は、図6(A)、(B)、図7(A)、(B)に示す如く、流体導入口277Aと、第2スイベルジョイント構造体277Bと、L型配管277E、277Gと、開閉弁277Fと、第1スイベルジョイント構造体278Aと、放出ノズル278Dと、を備える。流体導入口277Aからは、流体供給源から圧送される流体FDが供給配管(図2(B))を介して導入される。第2スイベルジョイント構造体277Bは、支持部材274のシャフト部274Cに脱着可能に固定される第2固定側ボディ277Cと、回転部材276に固定され、第2固定側ボディ277Cの中心軸(軸心O2)周りに回転可能とされた第2回転側ボディ277Dと、を備える(即ち、流路構成体277のうち、流体導入口277Aと、第2固定側ボディ277Cとが支持部材274に支持され、第2回転側ボディ277D、L型配管277E、277G、開閉弁277F、第1スイベルジョイント構造体278Aおよび放出ノズル278Dが回転部材276に支持・固定されている)。L型配管277E、277Gは、L字型の鋼材からなる配管であり、L型配管277Eは、第2回転側ボディ277Dと開閉弁277Fとに接続されている。開閉弁277Fは、例えばボール弁であり、開閉軸277FAの(回転軸Rbを中心とした)回転により、流体FDの放出量を制御する。L型配管277Gは、開閉弁277Fと第1スイベルジョイント構造体278Aに接続されている。第1スイベルジョイント構造体278Aは、L型配管277Gに接続される第1固定側ボディ278Bと、第1固定側ボディ278Bの中心軸(軸心O1)周りに回転可能とされた第1回転側ボディ278Cと、を備える。放出ノズル278Dは、第1回転側ボディ278Cに取り付けられている。このため、シャフト部274Cの中心軸(軸心O2)と第1スイベルジョイント構造体278Aの回転軸(軸心O1)とは直交している構成となっている。なお、第1回転側ボディ278Cと放出ノズル278Dとで、傾斜部材278が構成されている。
前記支持部材274は、図6(A)、(B)に示す如く、鉄棒を放射状に組み合せた支持梁部274Bと、第2スイベルジョイント構造体277Bを介して回転部材276を支持するシャフト部274Cと、を備える。
前記回転部材276は、図6(A)、(B)に示す如く、支持部材274のシャフト部274Cに対して回転可能とされている。回転部材276には、(図7(A)、(B)では破線で示す)直方体形状のケーシング275が取り付けられている(本実施形態では、回転部材276はZ方向で短くX方向あるいはY方向に長い横型形状となっている)。回転部材276は、板状鋼材で枠形状とした支持フレーム276Aの内側に、第1回転装置266と、第2回転装置268と、弁駆動装置270と、制御装置256と、電源装置264と、を備える。そして、第1回転装置266は、第1電動直動機構266Aと、第1回転機構266Fと、を備える。第2回転装置268は、第2電動直動機構268Aと、第2回転機構268Fと、を備える。弁駆動装置270は、第3電動直動機構270Aと、第3回転機構270Fと、を備える。なお、図7(A)、(B)では、制御装置256と電源装置264とが破線で示されている。制御装置256は、受信機と一体とされている。
なお、本実施形態では、図6(B)に示す如く、入力部256Aが流体放出機232の側面に設けられている。入力部256Aには、周波数セレクタ250Aと、番号セレクタ250Bと、自動モードボタン257A、258Aと、手動モードボタン257B、258Bと、第1下限設定部261ACと、第1上限設定部261ABと、第2下限設定部261BCと、第2上限設定部261BBと、電源スイッチPSWと、が設けられている。周波数セレクタ250Aと、番号セレクタ250Bは、受信機に設けられたものであり、第1実施形態で説明した機能と同一である。また、第1下限設定部261ACと、第1上限設定部261ABと、第2下限設定部261BCと、第2上限設定部261BBも、第1実施形態で説明した機能と同一である。自動モードボタン257A、258Aを押すことで、第1切替部と第2切替部から出力される制御信号SI、SQが制御信号SN、SVとなる。つまり、自動モードボタン257A、258Aを押すことで、第1自動モード、第2自動モードとなる。また、手動モードボタン257B、258Bを押すことで、第1切替部と第2切替部から出力される制御信号SI、SQが制御信号SH2、SP2となる。つまり、手動モードボタン257B、258Bを押すことで、第1手動モード、第2手動モードとなる。なお、電源スイッチPSWは、制御装置256と受信機とを一体にON/offさせる。
第1、第2および第3電動直動機構266A、268A、270Aはそれぞれ、図7(A)、(B)に示す如く、取り付け部266B、268B、270Bと、モータ部266C、268C、270Cと、第1、第2および第3支持部266D、268D、270Dと、第1、第2および第3可動部266E、268E、270Eと、を備える。取り付け部266B、268B、270Bは、支持ロッド276Cと保持部276Bを介して支持フレーム276Aに支持されている。即ち、第1支持部266Dの端部、第2支持部268Dの端部および第3支持部270Dの端部が、支持ロッド276Cにより、回動可能に軸支されている構成となっている。同時に、第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268Aおよび第3電動直動機構270Aは、回転部材276内で同一方向に配置されている構成である。ただし、第2電動直動機構268Aのみが、第2回転機構268Fを効果的に配置・駆動させるため、第1電動直動機構266A、第3電動直動機構270Aとは、モータ部268Cと第2支持部268DとのZ方向の位置関係を逆にしている(必ずしも、このような位置関係を保たなくてよい)。
モータ部266C、268C、270Cには、例えば電動モータが収納されている。そして、第1、第2および第3支持部266D、268D、270Dには例えばボールねじが収納されており、電動モータの回転がボールねじの回転に変換される。第1、第2および第3可動部266E、268E、270Eはそれぞれ、ボールねじの回転によって、移動軸On、Or、Ob方向に直線移動可能とされている。なお、そのモータ部266C、268Cそれぞれに図示せぬポテンショメータが設けられ、変位信号SO、SWが出力される構成となっている(ポテンショメータは、リニア型で、第1、第2および第3支持部266D、268D、270Dに設けられ、第1、第2および第3可動部266E、268E、270Eの移動量に応じた変位信号SO、SWが出力されてもよい)。
第1回転機構266Fは、図8(A)に示す如く、第1可動部266Eと第1スイベルジョイント構造体278Aの第1回転側ボディ278Cに設けられた第1レバー部266Jとの間に、板状の第1連結部266Gを備え、それぞれピン266H、266Iで連結されている。なお、放出ノズル278Dと第1レバー部266Jの角度関係は90度であり、第1連結部266Gは伸ばされた形態で、第1レバー部266Jと連結されている。
第3回転機構270Fは、図8(B)に示す如く、第3可動部270Eの直線移動を回転運動に変換し、放出ノズル278Dからの流体FDの放出量を制限する開閉弁277Fを開閉させる。具体的には、第3回転機構270Fは、開閉弁277Fの開閉軸277FAに設けられた第3レバー部270Gと第3可動部270Eとがピン270Hで連結された構成となっている。このため、第3可動部270Eの移動で、移動軸Obは、支持ロッド276C周りで揺動回転することとなる。
前記第2回転機構268Fは、図9(A)、(B)、(C)に示す如く、ベース部材268Jと、金属製のワイヤ(紐状部材:樹脂製・金属製チェーンやベルトでもよい)268Nと、プーリ268Oと、を備える。ベース部材268Jは、移動軸Or方向で第2可動部268Eよりも長い板状部材である。ベース部材268Jの一端は、取り付け部268Gを介して、第2可動部268Eに取り付けられている。なお、取り付け部268Gは、ピン268Hにより第2可動部268Eに取り付けられている。ベース部材268Jのもう一端は、ベース部材268Jの下面に固定されたスライダ部268Iを介して、第2支持部268Dの側面268DAで移動可能に支持されている。側面268DAに当接するスライダ部268Iの面は、側面268DAに倣い、側面268DAと嵌合する形状となっている。このため、ベース部材268Jの方向と移動を安定させることができる(これに限らず、スライダ部がなくてもよい)。
図9(B)に示す如く、ベース部材268Jの上面のピン268Hの位置には、ワイヤ268Nの一端を取り付けるための保持部268Kが取り付けられている。ワイヤ268Nのもう一端は、フック268Mを介して、ベース部材268Jのもう一端に設けられた止め部268Lに取り付けられている。フック268Mの一端は、ワイヤ268Nを吊持可能とするU字形状とされており、もう一端はナットNTが螺合可能な螺子とされている。このため、第2可動部268Eの移動軸Orは、フック268Mと保持部268Kとを結ぶ直線の方向と一致している。そして、止め部268Lの外側からナットNTをフック268Mの螺子の部分に螺合させることで、プーリ268Oを経由し、保持部268Kとフック268Mとの間に配置されたワイヤ268Nの張力を自在に調整することができる。即ち、ワイヤ268Nは、ベース部材268J上で第2可動部268Eの移動軸Orに沿って所定の張力で保持されている状態となる。ここで、所定の張力は、ワイヤ268Nにたるみが出ない状態で、プーリ268Oを相対回転(回転部材276を支持部材274に対して回転)させることができる張力をいうものとする。
ここで、プーリ268Oは、図9(A)に示す如く、第2スイベルジョイント構造体277Bの第2固定側ボディ277Cに固定されている。プーリ268Oは、半径Rの円盤形状であり、2つの溝部Tr1、Tr2を外周全てに備えている(図9(B)、(C);ただし、止め部268Pの設けられた一箇所で溝部Tr1、Tr2が1つになっている)。2つの溝部Tr1、Tr2それぞれでワイヤ268Nが係脱することで、ワイヤ268N同士の引っかかりが防止され、プーリ268Oの相対的な回転をスムーズに実現している。つまり、プーリ268Oは、ワイヤ268Nと係合する外周の設けられた溝部Tr1、Tr2を有しシャフト部274Cに固定されている状態である。なお、ワイヤ268Nは、溝部Tr1、Tr2の全周回りに配置され、交差する形態とされている。
なお、プーリ268Oとベース部材268J(即ち、第2電動直動機構268A)との位置関係は、図9(A)に示す如く、保持部268Kとフック268Mとを結ぶ直線がプーリ268Oの接線となるようにされている。このため、ワイヤ268Nの必要長さを最小とすることができ、ワイヤ268Nの不用意なたるみを防止することができる。
このように、本実施形態では、第1回転機構266Fが、第1可動部266Eの直線移動を回転運動に変換し、第1回転側ボディ278Cを回転変位させる。即ち、流体FDの圧力変動は、第1回転側ボディ278Cの回転軸O1(軸心O1)方向にかかる状態となるので、第1スイベルジョイント構造体278Aの回転軸O1(軸心O1)周りではあまりその圧力変動の影響が出ない。このため、第1電動直動機構266Aの出力について流体FDの圧力変動に対する許容範囲を必要最小限にすることが可能である。同時に、放出ノズル278Dを回転させるのが第1電動直動機構266Aなので、回転装置のように放出ノズル278Dの方向を制限するためのリミットスイッチを別に設けなくてもよく、低コスト化が可能である。
また、本実施形態では、第1回転側ボディ278Cには第1レバー部266Jが設けられ、第1回転機構266Fが、第1可動部266Eと第1レバー部266Jとを連結する第1連結部266Gを備える。このため、第1回転機構266Fを簡素な構成とすることができ、小型化と低コスト化とが可能である。
また、本実施形態では、流体放出機232が、回転部材276に支持される第2回転側ボディ277Dと、シャフト部274Cに配置される第2固定側ボディ277Cとを備える第2スイベルジョイント構造体277Bを備える。このため、流体FDの圧力変動が、第2回転側ボディ277Dの回転軸O2(軸心O2)方向にかかる状態であって、第2スイベルジョイント構造体277Bの回転軸O2(軸心O2)周りではあまりその圧力変動の影響が出ない。このため、第2回転側ボディ277Dを回転させる第2電動直動機構268Aの出力について流体FDの圧力変動に対する許容範囲を必要最小限にすることが可能である。
また、本実施形態では、開閉弁277Fの開閉軸277FAには第3レバー部270Gが設けられ、第3回転機構270Fが、第3可動部270Eと第3レバー部270Gとを連結するピン270Hを備える。このため、第3回転機構270Fを簡素な構成とでき、かつ開閉軸277FAとの軸合わせを簡単に行うことが可能である。つまり、小型化と低コスト化とが可能である。
また、本実施形態では、第3電動直動機構270Aと第3回転機構270Fと開閉弁277Fは回転部材276に支持されている。このため、支持部材274に直接的に支持されている部材を少なくでき、支持部材274が容易に交換可能である。同時に、回転部材276における第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268Aおよび第3電動直動機構270Aの配置を効率的に行うことも可能であり、小型化と軽量化を更に促進することができる。
また、本実施形態では、第1支持部266Dの端部、第2支持部268Dの端部および第3支持部270Dの端部が、回動可能に軸支されている。このため、第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268Aおよび第3電動直動機構270Aの取り付けを容易にすることができる。
また、本実施形態では、第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268Aおよび第3電動直動機構270Aは、回転部材276内で同一方向に配置されている。このため、第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268A、および第3電動直動機構270Aに対する外部環境変化による性能劣化の要因に対してまとめて対応することができる。具体的には、第1、第2および第3可動部266E、268E、270Eと第1、第2および第3支持部266D、268D、270Dとの隙間のある方向を同一方向へ向けることができ、それらの隙間から第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268Aおよび第3電動直動機構270Aに流入するおそれのある水分を効果的に遮断することができる。同時に、このような構成により、小型化と軽量化を推進することができる。
また、本実施形態では、第1電動直動機構266A、第2電動直動機構268Aおよび第3電動直動機構270Aが全て横置きであるので、流体放出機232の形状をXY方向に比べてZ方向に短くすることができ、重心を低くすることができる。つまり、本実施形態では、流体放出機232がより転倒しにくくなっている。
また、本実施形態では、プーリ268Oが一定の半径Rであることから、第2回転機構268Fによる回転部材276の回転トルクを一定とすることができる。同時に、第2回転機構268Fで実現できる回転部材276の回転量を大きくすることができる。なお、本実施形態では、ワイヤ268Nは、プーリ268Oに1巻きであったが、巻き数が多い(ワイヤ268Nとプーリ268Oとが係合している距離が長い)ほど、回転部材276の回転量を増やすことができる。
また、本実施形態では、流体放出機232にも2つの自動モードボタン257A、258Aと、手動モードボタン257B、258Bが設けられている。その上で、第1実施形態と同様に、送信機からでも第1切替部と第2切替部を制御することができるようになっている。このため、送信機からでも流体放出機232からでもどちらでも、第1自動モードあるいは第1手動モードと、第2自動モードあるいは第2手動モードに切り替えることができ、より効率的に流体放出機232の運用することができる。
このようにして、本実施形態では、流体放出機232から所定の作業箇所に流体FDを的確に放出可能としながら、かつ更なる低消費電力化と小型化が可能となる。
なお、本実施形態で使用される第2回転機構と同様の機構は、第1回転機構や第3回転機構の代わりに使用されてもよい。あるいは、第1回転装置、第2回転装置および第3回転装置が、作業機械の作業アタッチメントから流体FDを放出する際の流体FDの放出量を制限する開閉弁の開閉装置として作業機械に搭載されてもよい。
また、上記実施形態では、流体放出機が足場に配置され、圧送機構が地面に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、流体放出機は作業対象物(地面を含む)の上に単に置いてあるだけでもよいし、圧送機構も流体放出機と同じ位置に隣り合わせに配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、流体放出機への流体FDの供給を、導入配管を介して行う流体供給源が設けられていたが、本発明はこれに限定されずに、流体放出機が流体供給源と一体化されていてもよい。
また、上記実施形態では、流体FDが水あるいは泡状物を含んでいたが、本発明はこれに限定されずに、流体FDが水だけでもよいし、泡状物だけでもよい。
また、上記実施形態では、流体放出機が互いに異なる位置に複数載置され、それぞれの流体放出機からの流体FDは同一の作業箇所に放出可能とされていたが、本発明はこれに限定されずに、流体放出機が同一の作業箇所に流体FDを散布できなくてもよい。
また、上記実施形態においては、放出ノズルが1つであり、タンク部を切り替えることで異なる流体FDを放出ノズルまで供給していたが、これに限定されない。例えば、異なる流体FDが別系統で放出ノズルまで供給されていてもよい。
また、上記実施形態では、作業現場に作業機械が1台であったが、本発明はこれに限定されず、作業機械が複数台用いられてもよい。
また、上記実施形態では、流体放出機のみから流体FDが放出されていたが、本発明はこれに限定されず、作業機械の作業部からも、流体FDが散布されてもよい。その際には、作業箇所をより多面的に流体FDで包囲でき、作業箇所で発生する粉塵の飛散を効果的に抑制することができる。同時に、作業現場で使用される流体放出機の数を低減することもできる。このため、流体放出機の制御の負荷を低減でき、より低コストで、粉塵の飛散を抑制することも可能である。
また、上記実施形態においては、作業機械として所謂「クラッシャー」を例に説明しているが、本発明の適用はこれに限られない。例えば、杭打ち機、杭抜き機、ブルドーザー、トラクターショベル、パワーショベル、バックホー、ドラグライン、クラムシェル、クローラドリル、アースドリル、クレーン、ロードカッター、ブレーカー等に適用しても同様の効果を得ることができる。要するに、土木作業や建設作業、解体作業において、粉塵が発生し得る作業を行う作業機械に対して幅広く適用することが可能である。