JP7369396B2 - 保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 - Google Patents
保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7369396B2 JP7369396B2 JP2019170816A JP2019170816A JP7369396B2 JP 7369396 B2 JP7369396 B2 JP 7369396B2 JP 2019170816 A JP2019170816 A JP 2019170816A JP 2019170816 A JP2019170816 A JP 2019170816A JP 7369396 B2 JP7369396 B2 JP 7369396B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- protective layer
- layer
- manufacturing
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
Description
また、GaAs中へのAsの分布を均質にするために行うアニール処理を、AsH3雰囲気中で行う方法が挙げられる。
また、GaAs中へZnを拡散させる方法等も採用されている。
上記のような耐熱保護膜として、例えば、以下のような方法で半導体の薄膜を成長させるケースで用いるものが検討されている。
また、Mg等のイオンの打ち込み後における1400~1500℃でのアニール処理を行う際に、半導体層又は基板の表面が熱分解するのを防止できる保護膜等も検討されている。
しかしながら、上記の何れのケースにおいても、高温雰囲気中で十分に長時間の耐性を有する保護膜は知られていない。
一方、窒化物半導体は、融液と気相との平衡条件に関し、極めて高温高圧の条件が必要であることが予想され、実験的にも十分知られていない。従って、シリコンやGaAs等の結晶成長に用いられるCz(Czochralski)法や、LEC(Liquid Encapsulated Czochralski)法等の一般的なバルク成長法を用いることができない。このため、窒化物半導体を成長させる場合には、例えば、アモノサーマル法やNaフラックス法等の方法を用いることが検討され、種々の方法の中でも、成長速度が比較的速い気相成長方法であるHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法が実用化されている。
一方、V族側の原料ガスは、アンモニアガスとして基板近傍に導入される。
そして、III族側V族側の両方の原料ガスを基板近傍に供給し、基板を加熱することで金属塩化物とアンモニアの反応を促進させ、基板上に窒化物を結晶成長させる。このようにして成長した結晶膜積層基板は、自立基板とする他、さらに各種機能性膜を多層に積層することで半導体デバイスとする等の用途があり、特に、厚膜を必要とする縦型電子デバイスへの適用・開発の進捗が注目されている。
HVPE法においては、主として基板のガリウム極性面(III族極性面:+C面)上に窒化ガリウム結晶を成長させるが、近年、デバイス構造の特性を向上させることを目的として、窒素極性面(-C面)上への結晶成長も試みられている(例えば、特許文献1を参照)。
一方、THVPE法においては、立体障害により、ガリウム極性面上には三塩化ガリウムが成長し難いため、通常、窒素極性面にのみ、窒化ガリウム結晶を成長させている。
さらに、上記の保護層自体を無くす試みも行われている(例えば、非特許文献1を参照)。
即ち、高い成長温度で半導体層を成長させた場合、基板のIII族元素極性面からなる裏面がIII族元素と窒素とに熱分解し、この裏面から、III族元素が、例えば1μm/hr以上の速度で激しく蒸発してしまう。このように、基板の裏面からIII族元素が蒸発すると、高濃度のIII族元素の蒸気が基板の表面にまで回り込み、III族元素の液滴(ドロップレット)が基板の表面上に付着する。このようなIII族元素の液滴が基板の表面に付着すると、この基板上への半導体層の成長を阻害してしまう。その結果、半導体層の表面の少なくとも一部が荒れた状態となる可能性がある。さらに、高温で分解速度が増すと、裏面の分解速度が表面の成長速度を超え、結晶厚さが減少してしまうという問題がある。
一方、特許文献1においては、上記の何れの成長方法を採用した場合でも、基板を加熱して保護層を成膜した後、常温付近まで冷却し、成膜装置のチャンバ内に移送して再度昇温させるため、基板と保護層との間の熱膨張率の差によって保護層内部に引張り応力が働くと、保護層にクラックが生じる可能性がある。このため、特許文献1においては、保護層内の応力を緩和することを目的として、結晶格子が揃ったエピタキシャル膜よりも、アモルファス状の膜を形成して保護層とすることを推奨している。
即ち、本発明者等が、GaNからなる基板のガリウム極性面に、AlN、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、及び窒化ケイ素(SiN)からなる各保護層をスパッタ法で成膜した後、HVPE法によって基板の窒素極性面にGaN結晶を成長させたところ、何れの場合も保護層が消失し、GaNからなる基板が分解していることが確認された。
さらに、上記の各保護層材料の中から、2種類の組み合わせで数パターン選択し、2層構造の保護層をスパッタ法で成膜したが、上記同様、保護層ごと分解が進むことが確認された。
一方、非特許文献1に記載の方法では、保護膜を設けることなく活性層の製造を可能としているが、高圧が必要となり、製造コストが上昇するという問題がある。
また、本発明は、窒化物半導体デバイスを製造する工程におけるP型イオンの打ち込みに際し、保護層下の半導体層に残留応力やひずみ等を生じさせることなく、良質なP型活性層を得ることが可能な保護層、保護層付単結晶自立基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
また、窒化物半導体デバイスを製造する工程におけるP型イオンの打ち込みに際し、保護層下の半導体層に残留応力やひずみ等を生じさせることなく、良質なP型活性層を得ることが可能になる。
また、本発明の保護層は、上記構成において、前記エピタキシャル成長膜が窒化アルミニウム(AlN)からなることがより好ましい。
また、窒化物半導体デバイスを製造する工程におけるP型イオンの打ち込みに際し、保護層下の半導体層に残留応力やひずみ等を生じさせることなく、良質なP型活性層を得ることが可能になる。
また、窒化物半導体デバイスを製造する工程におけるP型イオンの打ち込みに際し、保護層下の半導体層に残留応力やひずみ等を生じさせることなく、良質なP型活性層を得ることが可能になる。
図1及び図2に示すように、本発明に係る保護層付単結晶自立基板10は、窒素極性面からなる表面1aと、該表面1aと反対側のIII族元素極性面からなる裏面1bとを有し、III族窒化物半導体からなる基板1と、少なくとも基板1の裏面1b側に設けられ、基板1よりも熱分解速度の低い材料からなる保護層2と、基板1の表面1a側に設けられ、THVPE(Tri Halide Vapor Phase Epitaxy)法によるIII族窒化物半導体の成長膜からなる半導体層3とを備える。
そして、本発明に係る保護層付単結晶自立基板10は、保護層2が、少なくとも2層以上から構成される複合層22を含む層構造で概略構成されている。
また、本実施形態で説明する例の保護層2は、半導体層3又は基板1の少なくとも何れかを保護することが可能な保護膜からなり、半導体層3又は基板1よりも熱分解速度の低い材料からなるエピタキシャル成長膜22bを含む複合層22を備える。本実施形態で説明する例においては、保護層2が、基板1の裏面1b側を保護する例を説明するが、保護層2は、半導体層3を保護するように設けることも可能なものである。
第一の方法は、図5に示すような、AlN層とAlGaN層とを交互に積層した超格子構造から保護層を形成する方法であり、第二の方法は、図7に示すような、GaN層から成長を開始し、徐々に減量ガス中のGaの割合を減らし、徐々にAlの割合を増やすことで、最表面側の層がAlN層となるグレーデッド層から保護層を形成する方法である。しかしながら、上記の2つの方法では、図6のSEM写真(図5の積層構造を撮影)、及び、図8のSEM写真(図7の積層構造を撮影)に示すように、いずれも表面の保護層にクラックが生じることが明らかとなった。
一般に、格子に内部応力が残留していると、AlNのピーク位置が、本来のピーク位置に比べてGaN側にシフトする。このシフト量が大きいと、内部応力が大きいことを示していることから、後工程における結晶成長のための昇温時等において、保護層にクラックが生じる可能性が高い。このため、格子緩和の度合いは、基板となるGaNのピークと、保護層をなすAlNのピークの位置から計算される。
以下、本実施形態の保護層付単結晶自立基板10の構成について詳細に説明する。
本実施形態の保護層付単結晶自立基板10に用いられる基板1は、III族窒化物半導体からなる基板であり、例えば、単結晶のIII族窒化物半導体からなる半導体基板である。
基板1は、後述の半導体層3をエピタキシャル成長させる種基板として機能するように構成されている。
表面1aは、後述の半導体層3がエピタキシャル成長する成長面であり、窒素(N)の極性が表出する面(-c面)である。
裏面1bは、後述の保護層2が形成される面であり、III族元素、例えばガリウム(Ga)の極性が表出する面(+c面)である。
また、基板1の直径が4inch(101.6mm)である場合には、基板1の厚さは、350~650μmの範囲であることが好ましく、450~650μmの範囲であることがより好ましい。
さらに、基板1の直径が6inch(152.4mm)である場合においても、基板1の厚さは、機械的強度等を勘案しながら適宜設定することができる。
保護層2は、上記のように、半導体層3又は基板1を保護するものであり、本実施形態で説明する例においては、少なくとも基板1の裏面1b側に設けられる。
本実施形態の保護層付単結晶自立基板10に備えられる保護層2は、上記のように、少なくとも2層以上から構成される複合層22を含んでなる。図1及び図2に示す例においては、複合層22は、基板1側に配置される低温成長膜22aと、該低温成長膜22aよりも表面側のエピタキシャル成長膜22bとから構成される。さらに、図示例の保護層2は、基板1との界面に、詳細を後述するリグロース層21を備えている。
ここで、本発明で説明する「熱分解速度の低い材料」とは、保護層2、並びに該保護層2が備えられる保護層付単結晶自立基板10を所定の温度に加熱したときに、保護層2が熱分解する速度が低い材料のことをいう。より具体的には、保護層2を構成する材料が、高温雰囲気中において昇華する速度が、基板1又は半導体層3をなす材料(III族窒化物半導体)よりも低いことをいう。
上記のような熱分解特性を有する保護層2を、少なくとも基板1の裏面1b側に設けることにより、詳細を後述する製造方法に備えられる工程(3)において、THVPE法によってIII族窒化物半導体からなる半導体層3を基板1の表面1a上にエピタキシャル成長させる際に、基板1の裏面1bが熱分解するのを抑制することができる。
複合層22が、高温耐性を有するAlNからなることで、詳細を後述する半導体層3をTHVPE法で高温成長させる際に、保護層2、並びに、保護層2によって裏面1bが被覆される基板1が熱分解するのを抑制できる。また、複合層22がAlNからなることで、MOCVD法を用いて高温で高速成長させることができるので、短時間での成膜が可能になり、製造効率が高められるとともに、製造コストを抑制できる。
本実施形態においては、複合層22に低温成長膜22aが含まれていることにより、エピタキシャル成長膜22bの結晶格子が、III族窒化物半導体からなる基板1に対して効果的に格子緩和される。これにより、基板1と保護層2の格子係数が、それぞれ本来の結晶の値に近づき、内部応力がなくなるため、後述の半導体層3をTHVPE法で高温成長させる際に、それぞれの膜の熱膨張差により内部応力が入りやすい状態になった場合でも、保護層2にクラックが生じるのを効果的に防止できる。
なお、上述したように、保護層2を、半導体層3を保護するように設けることも可能であり、この場合には、詳細な図示を省略するが、低温成長膜22aが半導体層3側に配置されるとともに、低温成長膜22aと半導体層3との間にリグロース層21が配置される。
このように、複合層22に含まれるエピタキシャル成長膜22bの成長温度が上記範囲であることで、緻密で強固な膜が高い成長速度で得られるので、エピタキシャル成長膜22b、ひいては複合層22全体を短時間で成長させることができ、製造コストを抑制できる。
半導体層3は、基板1の表面1a側に設けられ、THVPE法によるIII族窒化物半導体の成長膜からなる。
また、半導体層3の表面3aは、基板1の表面1aと同様、(-c面)となる。
以下、本実施形態の保護層付単結晶自立基板の製造方法について、図1及び図2を適宜参照しながら説明する。
本実施形態の製造方法は、上述した保護層付単結晶自立基板10を製造する方法である。
工程(1):窒素極性面からなる表面1aと、該表面1aと反対側のIII族元素極性面からなる裏面1bとを有し、III族窒化物半導体からなる基板1を準備する。
工程(2):少なくとも基板1の裏面1b側に、基板1よりも熱分解速度の低い材料から保護層2を形成する。
工程(3):基板1の表面1a側に、III族窒化物半導体からなる半導体層3を、THVPE法によってエピタキシャル成長させる。
工程(4):半導体層3を切り出して図視略の単結晶自立基板を得る。
以下、各工程(1)~(4)について説明する。
まず、工程(1)においては、上記のように、III族窒化物半導体からなる基板1を準備する。
このような基板1としては、上述したような、窒化ガリウム(GaN)からなる基板が挙げられる。このように、基板1にGaNからなる基板を用いることで、基板1上に成長するIII族窒化物半導体からなる半導体層3の結晶性やデバイス特性がより高められる。また、単結晶自立基板としての機械的強度も確保できる。
次に、工程(2)においては、上記のように、少なくとも基板1の裏面1b側に保護層2を形成する。
具体的には、基板1の裏面1bに、基板1よりも熱分解速度の低い材料を堆積させることで、少なくとも複合層22を含む保護層2を形成する。図1等に示す例では、基板1の裏面1bに、まず、GaNからなるリグロース層21を形成し、その上に、低温成長膜22a及びエピタキシャル成長膜22bを順次積層することで、複合層22を含む保護層2を形成している。
また、MOCVD法によって複合層22をAlNから形成することで、複合層22を高温で高速成長させることができるので、結晶性の良い膜を短時間で成膜することが可能になり、製造コストも抑制できる。
次に、工程(3)においては、上記のように、基板1の表面1a側に、III族窒化物半導体からなる半導体層3を、THVPE法によって形成する。
上記の工程(1)~(3)により、本実施形態の保護層付単結晶自立基板10が得られる。
次に、工程(4)においては、上記のように、半導体層3を切り出して図視略の単結晶自立基板を得る。
具体的には、詳細な図示を省略するが、例えば、基板1の表面1a上に積層された半導体層3を、成長面に平行にスライスすることで、複数枚の単結晶自立基板を平板状に切り出す。
また、この際、基板1及び保護層2は、半導体層3から切り離して廃棄する。あるいは、基板1の表面1aを研磨したうえで、半導体層3を成長させるために再利用する。
上記の工程(4)により、本実施形態の保護層付単結晶自立基板10から複数枚の単結晶自立基板が得られる。
以上説明したように、本実施形態の保護層2、及び、この保護層2が設けられた保護層付単結晶自立基板10によれば、III族窒化物半導体の成長膜からなる半導体層3又は基板1を保護する保護層2が、半導体層3又は基板1よりも熱分解速度の低い材料からなる少なくとも2層以上、即ち、低温成長膜22a及びエピタキシャル成長膜22bからなる複合層22を含む構成を採用している。これにより、基板1上に高温でIII族窒化物半導体を成長させた場合でも、保護層2並びデバイス構造、に基板1が熱分解することがないので、結晶性に優れた半導体層3を、高温雰囲気下で高速成長させることができる。従って、結晶性に優れ、生産性に優れるとともに、製造コストが抑制された保護層2、及び、保護層付単結晶自立基板10が実現できる。
また、窒化物半導体デバイスを製造する工程におけるP型イオンの打ち込みに際し、保護層2下の半導体層3に残留応力やひずみ等を生じさせることなく、良質なP型活性層を得ることが可能になる。
また、窒化物半導体デバイスを製造する工程におけるP型イオンの打ち込みに際し、保護層2下の半導体層3に残留応力やひずみ等を生じさせることなく、良質なP型活性層を得ることが可能になる。
本実施例においては、以下に説明するような手順により、図1及び図2中に示すような保護層付単結晶自立基板10を作製した。
本実施例では、まず、工程(1)において、窒素極性面からなる表面1aと、該表面1aと反対側のIII族元素極性面からなる裏面1bとを有し、III族窒化物半導体であるGaNからなる基板1を準備した。
次に、本実施例では、工程(2)において、基板1の裏面1b側に、基板1よりも熱分解速度の低い材料からなる保護層2を形成した。即ち、工程(2)では、基板1のIII族元素極性面である裏面1b側に、GaNからなるリグロース層21、基板1側に配置される低温成長膜22aを含む複合層22を、MOCVD法によって以下に示す成長条件で積層することにより、保護層2を形成した。また、工程(2)においては、リグロース層21の上に、まず、低温成長膜22aを低温成長させた後、低温成長膜22a以外のエピタキシャル成長膜22bを高温成長させた。
(a)チャンバ内圧力:13kPa
(b)エピタキシャル成長膜(低温成長膜を除く)の成長温度:970℃
(c)低温成長膜の成長温度:500℃
(d)リグロース層21の成長温度:950℃
次に、工程(3)においては、基板1の表面1a上にIII族窒化物半導体であるGaNを成長させ、半導体層3を形成した。即ち、工程(3)では、基板1の窒素極性面である表面1a上に、THVPE法によって以下に示す成長条件でGaNからなる結晶を成長させることにより、半導体層3を形成した。
(a)塩化ガリウム:分圧0.001atm相当
(b)アンモニア:4slm
(c)キャリアガストータル:40slm
(d)成長温度:1340℃
(e)成長圧力:常圧
以上の手順により、本実施例の保護層付単結晶自立基板10を作製した。
一方、本実施例の保護層付単結晶自立基板10は、基板1が透明であり、裏面1bの熱分解が生じてないことが確認できた。
また、本実施例の保護層付単結晶自立基板10の保護層2の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって倍率=1000倍で撮影したところ、図3に示すように、表面にクラックが発生していないことが確認できた。
また、本実施例の保護層付単結晶自立基板10に設けられた保護層2(複合層22)のX線回折を測定したところ、図4のグラフに示すように、AlNのピーク位置にシフトが見られず、基板に対して完全に格子緩和されていることが確認できた。
比較例1においては、図5に示すような、基板のIII族元素極性面である裏面側に、上記実施例と同様の条件で厚さが0.5μmのGaNからなるリグロース層を形成し、その上に、AlN層とAlGaN層とを交互に積層した超格子構造から保護層を形成することにより、従来から採用されている層構造の保護層付単結晶自立基板を作製した。
上記の超格子構造からなる保護層は、以下のような条件により、MOCVD装置を用いて形成した。
(a)成長圧力:15kPa
(b)成長温度:800℃
(c)炉内雰囲気:窒素(N2)ガス
(d)積層数:20ペア(AlxGaN/AlN)
(e)膜厚(AlxGaN/AlN):15nm/5nm(但し1層あたり)
さらに、保護層の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって倍率=1000倍で撮影したところ、図6に示すように、表面に多数のクラックが発生していることを確認した。これは、超格子構造からなる保護層の結晶格子が、基板に対して格子緩和されていないために、保護層全体にクラックが発生したと考えられる。
比較例2においては、図7に示すような、基板のIII族元素極性面である裏面側に、上記実施例と同様の条件で厚さが0.5μmのGaNからなるリグロース層を形成し、その上に、MOCVD法を用いて、膜厚方向で表層側に向けてGaNからAlNへ徐々に変化するグレーデッド層として保護層を形成した。
上記のレーデッド層からなる保護層は、以下に示すような条件により、MOCVD装置を用いて、GaN層から成長を開始し、徐々に減量ガス中のGaの割合を減らし、徐々にAlの割合を増やすことで、最表面側の層がAlN層となるグレーデッド層として形成した。
(a)成長圧力:15kPa
(b)成長温度:800℃
(c)全体膜厚:3μm
さらに、保護層の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって倍率=1000倍で撮影したところ、図8に示すように、表面に多数のクラックが発生していることを確認した。これは、比較例1の場合と同様、超格子構造からなる保護層の結晶格子が、基板に対して格子緩和されていないために、保護層全体にクラックが発生したと考えられる。
1…基板
1a…表面
1b…裏面
2…保護層
21…リグロース層
22…複合層
22a…低温成長膜
22b…エピタキシャル成長膜
3…半導体層
Claims (12)
- III族窒化物半導体の成長膜からなる半導体層、又は、該半導体層を支持するIII族窒化物半導体からなる基板を保護する保護層の製造方法であって、
前記保護層は、前記半導体層又は前記基板よりも熱分解速度の低い材料からなる少なくとも2層以上から構成される複合層を含み、
前記複合層における、前記半導体層側又は前記基板側に配置される膜は低温成長膜からなり、前記低温成長膜以外の層はエピタキシャル成長膜からなり、
前記低温成長膜を400~600℃の成長温度で形成し、
前記エピタキシャル成長膜を800~1200℃の成長温度で形成することを特徴とする保護層の製造方法。 - 前記低温成長膜が窒化アルミニウム(AlN)からなることを特徴とする請求項1に記載の保護層の製造方法。
- 前記エピタキシャル成長膜が窒化アルミニウム(AlN)からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の保護層の製造方法。
- 前記エピタキシャル成長膜の膜厚が0.01~10μmであることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の保護層の製造方法。
- 前記保護層は、前記半導体層又は前記基板との界面に配置され、前記半導体層又は前記基板と同じ材料からなるリグロース層をさらに含むことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の保護層の製造方法。
- 前記リグロース層を900~1150℃の成長温度で形成することを特徴とする請求項5に記載の保護層の製造方法。
- 前記半導体層又は前記基板が窒化ガリウム(GaN)からなることを特徴とする請求項1~請求項6の何れか一項に記載の保護層の製造方法。
- 窒素極性面からなる表面と、該表面と反対側のIII族元素極性面からなる裏面とを有し、III族窒化物半導体からなる基板と、
少なくとも前記基板の前記裏面側に設けられ、前記基板よりも熱分解速度の低い材料からなる保護層と、
前記基板の前記表面側に設けられ、III族窒化物半導体の成長膜からなる半導体層と、を備える保護層付単結晶自立基板の製造方法であって、
前記半導体層をTHVPE(Tri Halide Vapor Phase Epitaxy)法により形成し、
前記保護層を請求項1~請求項7の何れか一項に記載の保護層の製造方法により形成することを特徴とする保護層付単結晶自立基板の製造方法。 - 窒素極性面からなる表面と、該表面と反対側のIII族元素極性面からなる裏面とを有し、III族窒化物半導体からなる基板を準備する工程(1)と、
少なくとも前記基板の前記裏面側に、前記基板よりも熱分解速度の低い材料から保護層を形成する工程(2)と、
前記基板の前記表面側に、III族窒化物半導体からなる半導体層を、THVPE(Tri Halide Vapor Phase Epitaxy)法によってエピタキシャル成長させる工程(3)と、
前記半導体層を切り出して単結晶自立基板を得る工程(4)と、を備え、
前記工程(2)は、前記基板の前記裏面に低温成長膜を成長させ、該低温成長膜を介して、格子緩和したエピタキシャル成長膜を成長させて前記保護層を形成することを特徴とする保護層付単結晶自立基板の製造方法。 - 前記工程(1)は、前記基板として窒化ガリウム(GaN)からなる基板を準備することを特徴とする請求項9に記載の保護層付単結晶自立基板の製造方法。
- 前記工程(2)は、前記保護層に含まれる複合層を、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって窒化アルミニウム(AlN)から形成することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の保護層付単結晶自立基板の製造方法。
- 前記工程(3)は、前記基板の前記表面側に窒化ガリウム(GaN)をエピタキシャル成長させて前記半導体層を形成することを特徴とする請求項9~請求項11の何れか一項に記載の保護層付単結晶自立基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019170816A JP7369396B2 (ja) | 2019-09-19 | 2019-09-19 | 保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019170816A JP7369396B2 (ja) | 2019-09-19 | 2019-09-19 | 保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021046341A JP2021046341A (ja) | 2021-03-25 |
JP2021046341A5 JP2021046341A5 (ja) | 2022-09-15 |
JP7369396B2 true JP7369396B2 (ja) | 2023-10-26 |
Family
ID=74877730
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019170816A Active JP7369396B2 (ja) | 2019-09-19 | 2019-09-19 | 保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7369396B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113668061B (zh) * | 2021-07-27 | 2023-02-03 | 奥趋光电技术(杭州)有限公司 | 一种提高氮化铝晶片紫外透过率的方法 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015046441A (ja) | 2013-08-27 | 2015-03-12 | 富士電機株式会社 | 半導体装置の製造方法および半導体装置 |
WO2015037232A1 (ja) | 2013-09-11 | 2015-03-19 | 国立大学法人東京農工大学 | 窒化物半導体結晶、製造方法および製造装置 |
JP2017208427A (ja) | 2016-05-18 | 2017-11-24 | 富士電機株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP2018010970A (ja) | 2016-07-13 | 2018-01-18 | 富士電機株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP2018170335A (ja) | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 豊田合成株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP2019004047A (ja) | 2017-06-15 | 2019-01-10 | 株式会社サイオクス | 窒化物半導体積層物、半導体装置、窒化物半導体積層物の製造方法、窒化物半導体自立基板の製造方法および半導体装置の製造方法 |
-
2019
- 2019-09-19 JP JP2019170816A patent/JP7369396B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015046441A (ja) | 2013-08-27 | 2015-03-12 | 富士電機株式会社 | 半導体装置の製造方法および半導体装置 |
WO2015037232A1 (ja) | 2013-09-11 | 2015-03-19 | 国立大学法人東京農工大学 | 窒化物半導体結晶、製造方法および製造装置 |
JP2017208427A (ja) | 2016-05-18 | 2017-11-24 | 富士電機株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP2018010970A (ja) | 2016-07-13 | 2018-01-18 | 富士電機株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP2018170335A (ja) | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 豊田合成株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
JP2019004047A (ja) | 2017-06-15 | 2019-01-10 | 株式会社サイオクス | 窒化物半導体積層物、半導体装置、窒化物半導体積層物の製造方法、窒化物半導体自立基板の製造方法および半導体装置の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021046341A (ja) | 2021-03-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5274785B2 (ja) | AlGaN結晶層の形成方法 | |
TWI429797B (zh) | 第 iii 族氮化物半導體結晶基板及半導體元件 | |
JP5079361B2 (ja) | AlGaN結晶層の形成方法 | |
JP5324110B2 (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
JP2009519202A (ja) | Iii族窒化物製品及び同製品の作製方法 | |
US11075077B2 (en) | Nitride semiconductor template and nitride semiconductor device | |
JP2007070154A (ja) | Iii−v族窒化物系半導体基板及びその製造方法 | |
EP2896725A1 (en) | Aluminum nitride substrate and group-iii nitride laminate | |
US20110110840A1 (en) | Method for producing group iii-nitride crystal and group iii-nitride crystal | |
KR20060057042A (ko) | 질화갈륨 단결정 후막 및 이의 제조방법 | |
JP2010010613A (ja) | 積層体、自立基板製造用基板、自立基板およびこれらの製造方法 | |
EP3026693B1 (en) | Pretreatment method for base substrate, and method for manufacturing laminate using pretreated base substrate | |
JP2012250868A (ja) | Iii族窒化物層の成長方法およびiii族窒化物基板 | |
JP2006290677A (ja) | 窒化物系化合物半導体結晶の製造方法及び窒化物系化合物半導体基板の製造方法 | |
JP2017208554A (ja) | 半導体積層体 | |
JP4825747B2 (ja) | 非極性面iii族窒化物単結晶の製造方法 | |
US20230257905A1 (en) | Large-diameter substrate for group-iii nitride epitaxial growth and method for producing the same | |
JP7369396B2 (ja) | 保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 | |
JP4707755B2 (ja) | 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 | |
JP2008285401A (ja) | Iii族窒化物単結晶基板の製造方法、および該基板を積層した積層基板 | |
US20230274934A1 (en) | Semiconductor substrate with nitrided interface layer | |
JP5430467B2 (ja) | Iii族窒化物半導体成長用基板、iii族窒化物半導体自立基板、iii族窒化物半導体素子、ならびに、これらの製造方法 | |
US20230340694A1 (en) | Substrate for group-iii nitride epitaxial growth and method for producing the same | |
CN109637925B (zh) | 氧化镁锌薄膜及其制备方法 | |
JP7469051B2 (ja) | 窒化物結晶基板の製造方法、窒化物結晶基板および積層構造体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191025 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20201106 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220907 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220907 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230419 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230509 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230607 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20231005 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7369396 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |