JP4707755B2 - 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 - Google Patents
窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4707755B2 JP4707755B2 JP2009168124A JP2009168124A JP4707755B2 JP 4707755 B2 JP4707755 B2 JP 4707755B2 JP 2009168124 A JP2009168124 A JP 2009168124A JP 2009168124 A JP2009168124 A JP 2009168124A JP 4707755 B2 JP4707755 B2 JP 4707755B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum nitride
- single crystal
- layer
- nitride single
- crystal layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C16/00—Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
- C23C16/01—Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes on temporary substrates, e.g. substrates subsequently removed by etching
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C16/00—Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
- C23C16/22—Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes characterised by the deposition of inorganic material, other than metallic material
- C23C16/30—Deposition of compounds, mixtures or solid solutions, e.g. borides, carbides, nitrides
- C23C16/301—AIII BV compounds, where A is Al, Ga, In or Tl and B is N, P, As, Sb or Bi
- C23C16/303—Nitrides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C30—CRYSTAL GROWTH
- C30B—SINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
- C30B25/00—Single-crystal growth by chemical reaction of reactive gases, e.g. chemical vapour-deposition growth
- C30B25/02—Epitaxial-layer growth
- C30B25/18—Epitaxial-layer growth characterised by the substrate
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C30—CRYSTAL GROWTH
- C30B—SINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
- C30B29/00—Single crystals or homogeneous polycrystalline material with defined structure characterised by the material or by their shape
- C30B29/10—Inorganic compounds or compositions
- C30B29/40—AIIIBV compounds wherein A is B, Al, Ga, In or Tl and B is N, P, As, Sb or Bi
- C30B29/403—AIII-nitrides
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
- Chemical Vapour Deposition (AREA)
- Led Devices (AREA)
Description
本発明は、窒化アルミニウム単結晶からなる基板を製造する方法に関する。
窒化アルミニウム(AlN)はその禁制帯幅が6.2eVと大きく、かつ直接遷移型の半導体であることから、紫外光発光素子材料として期待されている。紫外光発光素子などの半導体素子を形成するためには、n電極に電気的に接合したn形半導体層とp電極に電気的に接合したp形半導体層との間にクラッド層、活性層などを含む積層構造を形成する必要があり、発光効率の点から何れの層においても高い結晶性、すなわち、結晶の転位や点欠陥が少ないことが重要である。該積層構造は自立して存在するに十分な機械的強度を有する単結晶基板(以下、「自立基板」とも言う。)上に形成される。該積層構造形成用の自立基板としては、積層構造を形成する窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)もしくは窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)との格子定数差や熱膨張係数差が小さいこと、さらには、素子の劣化を防ぐ観点から熱伝導率が高いことが要求される。そのため、窒化アルミニウムを含有する半導体素子を作製するためには窒化アルミニウム単結晶基板上に上記層構造を形成するのが有利である。
窒化アルミニウム単結晶自立基板については現状では市販されているものが無いため、通常はサファイアなどの異種の単結晶基板(以下、その上に単結晶を成長させるために用いる基板を「ベース基板」とも言う。)上に気相成長法により窒化アルミニウム単結晶厚膜を形成して、それをベース基板から分離することにより窒化アルミニウム単結晶基板の形成が試みられている。このような気相成長法としては、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属気相エピタキシー(MOVPE:Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)法が用いられる。他にも昇華再結晶法や液相を介した成長法が用いられている。中でも、HVPE法は、MOVPE法やMBE法と比較すると膜厚を精密に制御することが困難であるため、半導体発光素子の結晶積層構造形成には向かないが、結晶性の良好な単結晶を速い成膜速度で得ることが可能であるため、単結晶厚膜の形成を目的とした気相成長においては該HVPE法が頻繁に用いられる。
ところが、窒化アルミニウム単結晶を気相成長法により形成する場合には、基板と成長する窒化アルミニウムとの格子不整合による界面からの転位の発生を防ぐことは困難である。さらに、1000℃を大きく上回る高温で成長を行うため、厚い膜を成長した場合は、基板との熱膨張係数差により、成長後に反りが生じ、歪みによる転位の増加や、ひび割れ等が生じる問題点があった。割れやクラックの発生を回避して自立基板を得ることができた場合でも、反りを回避することは非常に困難であり、自立基板とするためには反りを低減させて表面を平滑化するための処理を行う必要があった。
窒化ガリウム(GaN)などのIII族窒化物単結晶自立基板においては、このような問題を解決する手段として次のような方法が提案されている。即ち、砒化ガリウム(GaAs)などの酸又はアルカリ溶液で溶解可能な単結晶基板上にGaNなどのIII族窒化物単結晶を成長させた後に引き続いて多結晶III族窒化物を成長させてから前記単結晶基板を酸又はアルカリ溶液で除去し、次いで残った部分の最初に形成したIII族窒化物単結層上に単結晶III族窒化物層を成長させるという方法が提案されている(特許文献1参照)。そして、特許文献1の実施例には、該方法に従って裏面に保護層としての酸化シリコン(SiO2)層を形成したGaAs(111)基板上に200nmのGaAsバッファ層及び20nmのGaNバッファ層を順次成長させた後に、更に2μmの結晶性の良好なGaN層及び100μmの結晶性を重視しないGaN層(表面付近は多結晶となっている)を順次成長させてからGaAsを溶解除去してGaN基板を得、得られた基板のGaAs基板に接していた側の表面に15μmのGaN単結晶層を成長させたところ、得られたGaN単結晶層にはクラックがなく、転位数も105個/cm2台であったことが記載されている。
本発明者等は窒化アルミニウム単結晶自立基板を製造する場合にも特許文献1に記載された方法と同様の方法を適用すれば良好な自立基板を製造できるのではないかと考え、実際に試みた。しかし、前記実施例と同様の層構成の積層体を製造し、ベース基板を溶解除去した場合、割れやクラックの発生を回避するのは難しく、何とか割れやクラックの発生を回避して自立基板を得ることができた場合でも、反りを十分に抑制することはできなかった。
そこで、本発明は、窒化アルミニウム単結晶自立基板を製造するためのベース基板として好適に使用できる「表面が窒化アルミニウムの単結晶で構成され、クラックや割れ、反りが無い基板」を提供し、延いては高品質の窒化アルミニウム単結晶自立基板を効率良く製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、窒化アルミニウムについて特許文献1に記載された方法と同様の方法を適用した場合にGaNの場合に確認されている効果が得られない原因は、窒化アルミニウムはGaNと比べて硬く弾性力が劣り、気相成長を行う時の温度も高いことにあるのではないかと考えた。即ち、サファイアやSiC、シリコン等のベース基板を用いてIII族窒化物単結晶の厚膜を成膜した場合には、ベース基板とIII族窒化物単結晶との間における格子定数差や熱膨張係数差に起因してIII族窒化物単結晶に応力(以下、「格子不整合応力」ともいう。)が発生する。GaNのように比較的弾性力に富む材料の場合には格子不整合応力が発生してもクラックや割れは発生し難いが、窒化アルミニウムのように硬い材料の場合にはクラックや割れが発生し易いと考えられる。また、結晶成長温度が例えば1100℃以上と高い場合には、成膜後の冷却過程において収縮により熱応力が増大するため、問題が更に顕在化し易くなっていると考えられ、上記のような結果となったものと考えられる。
本発明者等はこのような推定に基づき、ベース基板上に形成する窒化アルミニウム単結晶層の厚さを薄くすれば格子不整合応力によるクラックや割れの発生が防止でき、更には反りも低減することができるのではないかと考え、ベース基板上に形成する窒化アルミニウム単結晶層及び窒化アルミニウム多結晶層の厚さ、並びに両層の厚さの割合が基板(ベース基板除去後に残った部分)の性状に及ぼす影響について検討を行った。その結果、ベース基板上に形成する窒化アルミニウム単結晶層の厚さを厚くし、その上に窒化アルミニウム多結晶層を形成することなしにそのまま冷却した場合にはクラックや割れ、反りが発生し易くなるが、その上に窒化アルミニウム多結晶層を形成してから冷却した場合には単結晶層の厚さを厚くしてもクラックや割れ、反りが発生し難くなる傾向があるという知見、別言すれば多結晶層は単に厚さを増すだけの働きをするだけではなく格子不整合応力を僅かに緩和する機能があるという知見を得た。
また、本発明者等は、さらに、窒化アルミニウム多結晶層の成長条件が、得られる基板(ベース基板除去後に残った部分)に及ぼす影響について検討し、窒化アルミニウム単結晶層の上に、特定の条件で窒化アルミニウム多結晶層を成長させることにより、得られる基板の反りをより低減できることを見出した。また、窒化アルミニウム単結晶層の上に、特定の条件で窒化アルミニウム多結晶層 の薄膜を形成してから、特定の条件で窒化アルミニウム多結晶層を成長させることにより、得られる基板の反りをより低減できるともに、単結晶層のクラックや割れをより低減できることを、見出した。さらに、このとき形成される多結晶層の窒素含量が低減されていることを見出した。以上の知見を基に、本発明者らは、以下の発明を完成させた。
第1の本発明は、窒化アルミニウム単結晶層と、窒化アルミニウム多結晶層と、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(3) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、該窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去するベース基板除去工程を含んでなる、積層体の製造方法である。
窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(3) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、該窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去するベース基板除去工程を含んでなる、積層体の製造方法である。
ここで、窒化アルミニウム単結晶層の主表面とは、該層の表面あるいは裏面をいう。
第1の本発明において、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下である積層体を製造することが好ましい。
第2の本発明は、窒化アルミニウム単結晶層、窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
前記窒化アルミニウム多結晶被覆層、および前記窒化アルミニウム多結晶層を構成する多単結晶の窒素含有量が、前記窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(2.5) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上1100℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.1以上0.5以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程、
(3)上記工程で得られた窒化アルミニウム多結晶被覆層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム多結晶被覆層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、前記窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することによりベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層、前記窒化アルミニウム多結晶被覆層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去する工程を含んでなる、積層体の製造方法である。
前記窒化アルミニウム多結晶被覆層、および前記窒化アルミニウム多結晶層を構成する多単結晶の窒素含有量が、前記窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(2.5) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上1100℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.1以上0.5以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程、
(3)上記工程で得られた窒化アルミニウム多結晶被覆層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム多結晶被覆層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、前記窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することによりベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層、前記窒化アルミニウム多結晶被覆層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去する工程を含んでなる、積層体の製造方法である。
第2の本発明において、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶の窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満であり、窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下である積層体を製造することが好ましい。
第1および第2の本発明において、ベース基板準備工程で使用するベース基板としてシリコン単結晶基板を用いることが好ましい。
第3の本発明は、厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、および該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する積層体であって、
該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、
前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体である。
該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、
前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体である。
第4の本発明は、厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する積層体であって、
該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶の窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、
前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体である。
該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶の窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、
前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体である。
第3および第4の本発明の積層体において、窒化アルミニウム多結晶層は、露出している窒化アルミニウム単結晶層とは反対側の方向からX線回折測定を行った002面の回折強度(I002)と100面の回折強度(I100)との強度比(I002/I100)は1以上であることが好ましい。
第5の本発明は、第3および第4の本発明の積層体の窒化アルミニウム単結晶層上に、窒化アルミニウム単結晶をエピタキシャル成長させて第二の窒化アルミニウム単結晶層を形成する工程を含む、窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法である。第5の本発明の窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法においては、さらに、第二の窒化アルミニウム単結晶層の少なくとも一部を分離する工程を含んでいることが好ましい。
以上説明したように、第1〜第5の本発明は互いに関連し、第5の本発明では、第1および第2の本発明の方法で製造される、第3および第4の本発明の積層体をベース基板として用い、第5の本発明の窒化アルミニウム単結晶の製造方法を利用して、窒化アルミニウム単結晶基板を製造している。図1に、第3の本発明の積層体14を用いて、窒化アルミニウム単結晶基板を製造する方法を模式的に示す。
図1に示されるように、第1の本発明の方法では、工程(1)、(2)および(3)によってベース基板11上に窒化アルミニウム単結晶層12および窒化アルミニウム多結晶層13が順次積層された積層基板を製造し、工程(4)で該積層基板からベース基板11を分離して、窒化アルミニウム単結晶層12と窒化アルミニウム多結晶層13とが接合した第3の本発明の積層体14を製造する。
その後、第5の本発明では、第二の窒化アルミニウム単結晶を層状に成長させて第二の窒化アルミニウム単結晶層15を得、さらに該窒化アルミニウム単結晶層15の少なくとも一部を分離して、自立基板として使用可能な窒化アルミニウム単結晶基板16を得ている。
図2に、第4の本発明の積層体18を用いて、窒化アルミニウム単結晶基板を製造する方法を模式的に示す。図2に示されるように、第2の本発明の方法では、工程(1)、(2)、(2.5)および(3)によってベース基板11上に窒化アルミニウム単結晶層12、窒化アルミニウム多結晶被覆層17および窒化アルミニウム多結晶層13が順次積層された積層基板を製造し、工程(4)で該積層基板からベース基板11を分離して、窒化アルミニウム単結晶層12、窒化アルミニウム多結晶被覆層17および窒化アルミニウム多結晶層13が接合した第4の本発明の積層体18を製造する。その後、第5の本発明では、第二の窒化アルミニウム単結晶を層状に成長させて第二の窒化アルミニウム単結晶層15を得、さらに該窒化アルミニウム単結晶層15の少なくとも一部を分離して、自立基板として使用可能な窒化アルミニウム単結晶基板16を得ている。
そして、第6の本発明は、上記方法で得られた窒化アルミニウム単結晶基板である。
そして、第6の本発明は、上記方法で得られた窒化アルミニウム単結晶基板である。
第1の本発明の製造方法によれば、第3の本発明の積層体を効率良く製造でき、また、第2の本発明の製造方法によれば、第4の本発明の積層体を効率良く製造できる。また、第1および第2の本発明の製造方法では、使用するベース基板の形状や大きさを制御することにより、得られる積層体の形状や大きさを容易に変更することができる。
また、第1の本発明の製造方法、および第2の本発明の製造方法は、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層との形成(第2の本発明の製造方法においては、窒化アルミニウム多結晶被覆層の形成も)を同一装置を用いて連続して行うことができ、積層体の生産性を高めることができる。
また、第1の本発明の製造方法、および第2の本発明の製造方法は、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層との形成(第2の本発明の製造方法においては、窒化アルミニウム多結晶被覆層の形成も)を同一装置を用いて連続して行うことができ、積層体の生産性を高めることができる。
第3および第4の本発明の積層体は、反りが非常に小さい。また、表層部のみが窒化アルミニウム単結晶で構成され、当該窒化アルミニウム単結晶は、優れた平滑性を有する。このため、本発明の積層体は、窒化アルミニウム単結晶を成長させるベース基板として好適に使用できる。
また、第3の本発明の積層体は、第1の本発明の製造方法で、多結晶層成長工程において特定の成長条件により多結晶層を成長させることで、製造されたものである。このため、第3の本発明の積層体の主表面の反りが少なく、平滑性が非常に優れたものとなっている。また、第4の本発明の積層体は、第2の本発明の製造方法で、工程(2.5)において、特定の成長条件にて窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成し、工程(3)において、特定の成長条件にて窒化アルミニウム多結晶層を成長させることで、製造されたものである。このため、第4の本発明の積層体の主表面の平滑性は、同様に優れたものとなっているとともに、窒化アルミニウム単結晶層は、クラックなどのマクロな欠陥がないより良質なものである。
このような効果が得られる理由について、本発明者等は次のように推定している。すなわち、
工程(3)において、窒化アルミニウムを合成するためのアルミニウム原料(Al原子を含有する原料ガス)を単位時間あたりに一定量以上供給し、且つ窒素原料(N原子を含有する原料ガス)の供給量を制限することにより、窒化アルミニウム多結晶層の間にアルミニウムよりなるドロップレットが形成し、続けて供給される窒素原料によって該アルミニウムを窒化アルミニウムにするものと考えられる。そして、この窒化アルミニウムを形成する際、体積膨張を起こして窒化アルミニウム多結晶層を押し広げる力を発生させ、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間に発生する格子不整合応力を緩和する効果をさらに増強していると推定している。
工程(3)において、窒化アルミニウムを合成するためのアルミニウム原料(Al原子を含有する原料ガス)を単位時間あたりに一定量以上供給し、且つ窒素原料(N原子を含有する原料ガス)の供給量を制限することにより、窒化アルミニウム多結晶層の間にアルミニウムよりなるドロップレットが形成し、続けて供給される窒素原料によって該アルミニウムを窒化アルミニウムにするものと考えられる。そして、この窒化アルミニウムを形成する際、体積膨張を起こして窒化アルミニウム多結晶層を押し広げる力を発生させ、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間に発生する格子不整合応力を緩和する効果をさらに増強していると推定している。
また、工程(2.5)において、窒化アルミニウムを形成するためのアルミニウム原料の単位時間あたりの供給量に対して、窒素原料の供給量を、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.1以上0.5以下となるように制限することによって、アルミニウムよりなるドロップレットを大量に形成できるものと考えられる。そして、続けて供給される窒素原料によってアルミニウムを結晶方位がランダムな窒化アルミニウム粒子にすることでエピタキシャル成長を遮断できるものと考えられる。その結果、窒化アルミニウム単結晶層の成長をより抑制することで格子不整合応力の増加を防ぐことができ、クラックなどのマクロな欠陥をほぼ確実に防止すると推定している。
従来のベース基板は、シリコン単結晶やサファイアなど、成膜する窒化アルミニウム単結晶とは格子定数が異なる異質の単結晶で構成されていたため、従来のベース基板を用いて窒化アルミニウム単結晶を成長させた場合には格子定数差や熱膨張係数差に起因する様々な問題が避けられなかった。これに対し、本発明の積層体をベース基板として用いた場合には、窒化アルミニウム単結晶は同質の窒化アルミニウム単結晶からなる面上に成長するため、このような問題は起こらない。
窒化アルミニウム単結晶基板を製造する方法に関する第5の本発明によれば、ベース基板として第3および第4の本発明の積層体を使用することにより、反りやクラックが無く、しかも転位などのミクロな欠陥も少ない高品位の窒化アルミニウム単結晶を成長させることが可能になる。このような高品位な窒化アルミニウム単結晶からなる層(第二の窒化アルミニウム単結晶層)が形成された積層体は、それ自体をLEDなどの半導体素子となる積層構造を形成するための自立基板として使用することもできるし、第二の窒化アルミニウム単結晶層を分離してこれを自立基板とすることもできる。前記したように第3および第4の本発明の積層体の形状および大きさは、該積層体を製造するときに使用するベース基板に応じて適宜設定できる。そのため、結果として、高品位の窒化アルミニウム単結晶基板の大面積化と形状選択が容易になる。
第6の本発明である窒化アルミニウム単結晶基板は、不純物を極めて低減できるものであり、光学特性に優れた基板であるから、紫外光発光素子用の基板として有効に利用することができる。
<第1の本発明の積層体の製造方法>
第1の本発明の積層体の製造方法は、窒化アルミニウム単結晶層と、窒化アルミニウム多結晶層と、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(3) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、該窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去するベース基板除去工程を含んでなる、積層体の製造方法である。
第1の本発明の積層体の製造方法は、窒化アルミニウム単結晶層と、窒化アルミニウム多結晶層と、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(3) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、該窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去するベース基板除去工程を含んでなる、積層体の製造方法である。
((1)ベース基板準備工程)
本発明の積層体の製造方法では、先ず、形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備する(工程(1))。このとき使用するベース基板としては、従来からベース基板として使用できることが知られている単結晶材料からなる基板が特に制限なく使用できる。しかしながら、窒化アルミニウム単結晶を気相成長させるときの温度において分解したり昇華したりし易いガリウム砒素などの材料を用いた場合はその構成元素が窒化アルミニウム単結晶中に取り込まれて不純物となったり、窒化アルミニウム単結晶の組成を変えてしまうことがあるため、上記温度で安定な材料の単結晶基板を使用することが好ましい。このような基板を例示すれば、サファイア基板、炭化ケイ素単結晶基板、酸化亜鉛単結晶基板、シリコン単結晶基板、ホウ化ジルコニウム単結晶基板を挙げることができる。これらの中でも、前述の本発明の効果を十分に得るためには、ベース基板の格子定数が窒化アルミニウム単結晶の格子定数よりも大きいことが好ましく、前述の基板の例ではサファイア基板および炭化ケイ素基板以外の全てが該当する。その中でもベース基板の熱膨張係数が窒化アルミニウム単結晶の熱膨張係数よりも小さいことがさらに好ましいことからすると、シリコン基板が該当する。ベース基板除去工程においてベース基板を分離する際に分離が容易であるという理由からも、シリコン単結晶基板を使用することが好ましい。シリコンは溶液による化学的エッチングが可能であるため、ベース基板除去工程において容易に除去することができる。なお、ベース基板の大きさや形状は、現実的には製造装置などの制約をうけるものの、原理的には任意に設定できる。
本発明の積層体の製造方法では、先ず、形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備する(工程(1))。このとき使用するベース基板としては、従来からベース基板として使用できることが知られている単結晶材料からなる基板が特に制限なく使用できる。しかしながら、窒化アルミニウム単結晶を気相成長させるときの温度において分解したり昇華したりし易いガリウム砒素などの材料を用いた場合はその構成元素が窒化アルミニウム単結晶中に取り込まれて不純物となったり、窒化アルミニウム単結晶の組成を変えてしまうことがあるため、上記温度で安定な材料の単結晶基板を使用することが好ましい。このような基板を例示すれば、サファイア基板、炭化ケイ素単結晶基板、酸化亜鉛単結晶基板、シリコン単結晶基板、ホウ化ジルコニウム単結晶基板を挙げることができる。これらの中でも、前述の本発明の効果を十分に得るためには、ベース基板の格子定数が窒化アルミニウム単結晶の格子定数よりも大きいことが好ましく、前述の基板の例ではサファイア基板および炭化ケイ素基板以外の全てが該当する。その中でもベース基板の熱膨張係数が窒化アルミニウム単結晶の熱膨張係数よりも小さいことがさらに好ましいことからすると、シリコン基板が該当する。ベース基板除去工程においてベース基板を分離する際に分離が容易であるという理由からも、シリコン単結晶基板を使用することが好ましい。シリコンは溶液による化学的エッチングが可能であるため、ベース基板除去工程において容易に除去することができる。なお、ベース基板の大きさや形状は、現実的には製造装置などの制約をうけるものの、原理的には任意に設定できる。
((2)薄膜エピタキシャル成長工程)
薄膜エピタキシャル成長工程(工程(2))においては、上記で準備したベース基板の単結晶面上に窒化アルミニウム単結晶層を形成する。窒化アルミニウム単結晶層の形成方法としては、窒化アルミニウム単結晶層を形成することができる方法として従来から知られている気相成長法、液相法等の各種方法が採用できるが、単結晶層を形成し易く膜厚の制御も容易であるという理由から気相成長法を採用することが好ましい。また、気相成長法を採用した場合には、次いで行われる多結晶層の形成においても温度や原料供給条件などの軽微な条件変更のみで多結晶層の形成を行うことができるというメリットがある。気相成長法としては、HVPE法、MOVPE法、MBE法等の他、スパッタリング法、PLD(Pulse Laser Deposition)法、昇華再結晶法などの公知の気相成長法を採用することができる。中でも、引き続き実施する窒化アルミニウム多結晶層の成長速度を考慮すると、HVPE法が好ましい。
薄膜エピタキシャル成長工程(工程(2))においては、上記で準備したベース基板の単結晶面上に窒化アルミニウム単結晶層を形成する。窒化アルミニウム単結晶層の形成方法としては、窒化アルミニウム単結晶層を形成することができる方法として従来から知られている気相成長法、液相法等の各種方法が採用できるが、単結晶層を形成し易く膜厚の制御も容易であるという理由から気相成長法を採用することが好ましい。また、気相成長法を採用した場合には、次いで行われる多結晶層の形成においても温度や原料供給条件などの軽微な条件変更のみで多結晶層の形成を行うことができるというメリットがある。気相成長法としては、HVPE法、MOVPE法、MBE法等の他、スパッタリング法、PLD(Pulse Laser Deposition)法、昇華再結晶法などの公知の気相成長法を採用することができる。中でも、引き続き実施する窒化アルミニウム多結晶層の成長速度を考慮すると、HVPE法が好ましい。
以下、HVPE法により本発明の積層体を製造する例を説明する。
HVPE法においては、アルミニウム原子(Al原子)を含有する原料ガスと窒素原子(N原子)を含有する原料ガスを導入し、ベース基板上で反応を起こさせ、目的の結晶を成長させる。Al原子を含有する原料ガスとしては、ハロゲン化アルミニウムを使用することができ、具体的には、AlCl3、AlCl、AlBr3などが使用される。N原子を含有する原料ガスとしては、アンモニア、ヒドラジンなどが使用される。
HVPE法においては、アルミニウム原子(Al原子)を含有する原料ガスと窒素原子(N原子)を含有する原料ガスを導入し、ベース基板上で反応を起こさせ、目的の結晶を成長させる。Al原子を含有する原料ガスとしては、ハロゲン化アルミニウムを使用することができ、具体的には、AlCl3、AlCl、AlBr3などが使用される。N原子を含有する原料ガスとしては、アンモニア、ヒドラジンなどが使用される。
この原料ガスの組み合わせは任意に決定できるが、取扱いの安全性、温度域や圧力条件などの使用条件における化学安定性や反応の効率、あるいは成長装置部材との反応性等を考慮すると、窒化アルミニウムの合成には三塩化アルミニウムとアンモニアの組み合わせが好ましい。
HVPE法に用いる代表的な装置としては、図3に模式的に示す装置が挙げられる。具体的には、特開2006−290662号公報に記載されているように、円筒状の石英ガラス反応管からなる反応器本体21と、該反応管の外部に配置される外部加熱手段23と、該反応管の内部に配置される局所加熱装置22および保持サセプタ25とを具備する装置である。
HVPE法に用いる代表的な装置としては、図3に模式的に示す装置が挙げられる。具体的には、特開2006−290662号公報に記載されているように、円筒状の石英ガラス反応管からなる反応器本体21と、該反応管の外部に配置される外部加熱手段23と、該反応管の内部に配置される局所加熱装置22および保持サセプタ25とを具備する装置である。
該装置においては、反応管の一方の端部から下記に詳述するキャリアガス、及び原料ガスを供給し、他方の端部近傍の側壁に設けられた開口部からキャリアガス及び未反応の反応ガスを排出する構造となっている。具体的には、反応菅のガス供給側には、二系統のガス供給ライン26および27が設けられ、一方の流路出口(III族原料供給配管ともいう。)から三塩化アルミニウムガスとキャリアガスとの混合ガスが供給され、もう一方の流路出口(窒素原料供給配管ともいう。)から窒素源ガスであるアンモニアとキャリアガスの混合ガスが供給される。なお、上記外部加熱手段23は、ベース基板24の加熱を目的とするものではなく、主として反応域の反応ガスの温度を所定温度に保持する目的で使用されるものであり、必ずしも必須のものではない。この外部加熱手段23としては、抵抗加熱式ヒーター、高周波加熱装置、高周波誘導加熱装置、ランプヒータなどが使用できる。また、前記局所加熱装置22および保持サセプタ25は、ベース基板24を保持すると共に1600℃程度まで加熱できるようにすることが好ましい。
三塩化アルミニウムガス(Al原子を含有する原料ガス)、および、アンモニアガス(N原子を含有する原料ガス)の供給量は、窒化アルミニウム単結晶層が形成できるように、ベース基板上への結晶成長速度を勘案して適宜決定される。N原子を含有する原料ガスは、Al原子を含有する原料ガスのAl原子の供給量に対して、窒素原子が1倍以上のモル比(以下、原料ガスにおいて、Al原子に対する窒素原子のモル比(N原子モル数/Al原子モル数)をV/III比とも呼ぶ。)となるように供給する。
三塩化アルミニウムガスは、アルミニウム金属とハロゲン化水素もしくは塩素を反応させることにより得ることができる。具体的には、特開2003−303774号公報に記載されている方法により製造できる。また、固体状の三塩化アルミニウムそのものを加熱、気化させることにより製造することもできる。この場合、三塩化アルミニウムは無水結晶であり、かつ不純物の少ないものを使用するのが好ましい。原料ガスに不純物が混入すると形成される結晶に欠陥が発生するばかりでなく、物理的化学的特性の変化をもたらすため、ガスの原料となる物質は高純度品を用いる必要がある。
Al原子を含有する原料ガス、およびN原子を含有する原料ガスは、夫々キャリアガスにより所望の濃度に希釈されて反応容器内に導入されるのが好ましい。このときキャリアガスとしては水素、窒素、ヘリウム、ないしアルゴンの単体ガス、もしくはそれらの混合ガスが使用可能であり、あらかじめ精製器を用いて酸素、水蒸気、一酸化炭素或いは二酸化炭素等の不純物ガス成分を除去しておくことが好ましい。
ベース基板上に、窒化アルミニウム単結晶層をエピタキシャル成長するには、先ず、ベース基板表面に付着した有機物を除去する目的で1100℃程度の高温状態において10分間程度ベース基板を加熱してサーマルクリーニングを行うことが好ましい。さらに望ましくは、1200℃以上で30分間以上行うことが好ましい。サーマルクリーニングは外部加熱装置23による加熱でも、加熱支持台(局所加熱装置22および保持サセプタ25)による加熱でもどちらでも良い。
サーマルクリーニング後、ベース基板温度を800℃以上基板融点未満、好ましくは1000℃以上基板融点より100℃低い温度に加熱し、各種原料ガスの供給を開始してベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層を形成する。ベース基板にシリコンを用いた場合、基板融点は1410℃であるため、好ましい温度の上限は1310℃となる。基板融点よりやや低い温度を好適とする理由としては、融点近傍ではベース基板を構成する原子が、非常に移動しやすい状態となるため、表面の原子配列が乱れたり、成長した窒化アルミニウム結晶中へ拡散して界面の形状を乱す悪影響が発生するためである。
窒化アルミニウム単結晶層の厚さは、10nm以上1.5μm以下である必要がある。窒化アルミニウム単結晶層の厚さがこの範囲から外れる場合には、クラックおよび割れが無く、反りの少ない上記積層体を得ることが困難となる。このような製造上の理由から窒化アルミニウム単結晶層の厚さは、50nm以上1.0μm以下がより好ましく、80nm以上0.5μm以下がさらに好ましく、100nm以上0.3μm以下が特に好ましい。
窒化アルミニウム単結晶層を形成する場合の製造条件は、上記の好ましい形態を考慮した上で、成長させる膜厚を上記範囲とする他は従来法と特に変わる点はない。また、窒化アルミニウム単結晶層の形成は多段階に分けて行うこともできる。
ベース基板上に形成した膜が単結晶かどうかは、X線回折測定のθ−2θモード測定により判断することができる。θ−2θモード測定とは、サンプルに対する入射角をθとしたときに、2θの位置にディテクターを固定して回折を測定する測定法である。一般的には、2θを10〜100°の範囲でX線回折プロファイルを測定するものであり、窒化アルミニウムの場合であれば、(002)回折が観測される測定面において、(002)と平行な面による回折以外が観測されないこと、そして、その測定面から42.7°傾けた面において同様のX線回折プロファイルを測定して、(102)回折および(102)と平行な面による回折以外が観測されなければ、得られた窒化アルミニウムは単結晶であると判断できる。窒化アルミニウムの(002)回折は2θ=36.039°付近、(102)回折は49.814°付近に観測される。
なお、ベース基板上に形成した窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶は、下記の実施例で詳述する装置による測定において、窒素含有量は34.15質量%以上34.70質量%以下となる。窒素含有量が上記範囲を外れると、窒化アルミニウム単結晶とはならない。
((3)多結晶層成長工程)
本発明の方法では、工程(3)として、上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層上に窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層および窒化アルミニウム多結晶層が順次積層された積層基板を製造する。そして、下記に詳述する条件で窒化アルミニウム多結晶層を積層することにより、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ないものとすることができ、得られた積層体は優れた効果を発揮する。その理由は明らかではないが、上記窒化アルミニウム多結晶層を構成することにより、粒界が多数導入されるため、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との格子定数差に起因する応力を緩和することができるものと考えられる。
本発明の方法では、工程(3)として、上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層上に窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層および窒化アルミニウム多結晶層が順次積層された積層基板を製造する。そして、下記に詳述する条件で窒化アルミニウム多結晶層を積層することにより、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ないものとすることができ、得られた積層体は優れた効果を発揮する。その理由は明らかではないが、上記窒化アルミニウム多結晶層を構成することにより、粒界が多数導入されるため、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との格子定数差に起因する応力を緩和することができるものと考えられる。
窒化アルミニウム単結晶層上への窒化アルミニウム多結晶層の形成は、前述の単結晶成長条件とは異なる条件で積層してやればよい。ただし、窒化アルミニウム多結晶層を積層するに際し、高温条件側へのシフトは、ベース基板の融解に繋がるため適切ではない。効果的な操作としては、単結晶成長が困難な低温とする、あるいは原料供給量を数倍ないし数十倍に増量する等の方法が挙げられる。特に原料供給量の増加は、多結晶層の成長速度向上にも繋がるため好適である。
本発明の方法では、多結晶層成長工程において、窒化アルミニウム単結晶層の表面温度、原料ガスの供給比率、および、多結晶層の成長速度を、制御することが必要である。これらを制御することにより、得られる積層体の反りを低減することができる。
本発明によれば、この窒化アルミニウム多結晶層を、本来の窒化アルミニウムが含有する窒素含有量よりも低い組成とすることにより、積層後に体積膨張を起こして窒化アルミニウム多晶層を押し広げる力を発生させ、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間に発生する格子不整合応力を緩和する効果をさらに増強できるものと考えられる。以下、その作製条件を詳細に述べる。
多結晶層成長工程において、多結晶層を形成するベースとなる上記で形成した窒化アルミニウム単結晶層の表面温度は、850℃以上950℃以下とする必要がある。この範囲を満足することにより、窒化アルミニウム多結晶層の形成が容易となる。850℃未満の場合、下記に詳述する原料ガスの供給比率ではアモルファスな窒化アルミニウム層が形成され、得られた積層体にクラック等が生じるため好ましくない。また、化学的エッチングによりベース基板を除去する際に、使用する酸の濃度によっては、アモルファスな層が溶解してしまう場合があるため好ましくない。一方、950℃を超える場合、単結晶層が形成されやすくなるため好ましくない。そのため、該温度は、下限は好ましくは900℃以上、より好ましくは920℃以上であり、上限は好ましくは940℃以下である。
本発明の製造方法によれば、同一装置内で積層体を製造することができる。そのため、上記薄膜エピタキシャル成長工程(工程(2))から連続して、多結晶成長工程(工程(3))を実施することができる。工程(2)における窒化アルミニウム単結晶層の成長温度が、上記温度範囲にない場合には、該窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を調整する必要がある。この場合、窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を変更する際の速度は、特に制限されるものではないが、急激な温度変化による熱衝撃を避ける目的で100℃/分以下、望ましくは20℃/分以下の条件が好適に用いられる。特に、温度を下げなければならない場合には、上記温度変化の条件を満足させることが好ましい。また、温度変更時はアルミニウム原料の供給を停止して成長を中断し、一方で窒素原料の供給は継続して成長した窒化アルミニウム単結晶層の熱分解を防止することが好ましい。
多結晶層成長工程においては、上記の温度に加熱した窒化アルミニウム単結晶層表面に、Al原子を含有する原料ガスとN原子を含有する原料ガスとを供給して、多結晶層を成長させる。このとき、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比(V/III比)が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給する必要がある。この範囲を満足することにより、多結晶層を容易に製造することができる。特に、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、該窒化アルミニウム単結晶層上を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を容易に製造できる。アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が上記範囲を下回った場合、アモルファスな窒化アルミニウム層が形成され、得られた積層体にクラック等が生じ易くなるため好ましくない。さらに、上記の通り、アモルファスは化学的耐性が弱く、後述するベース基板を選択除去する化学エッチングにおいて一緒に溶解してしまうなどの難点も有する。一方、上記範囲を上回る場合、単結晶層が形成されやすくなると同時に、窒化アルミニウム多結晶の窒素含有量が、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量と変わらないものとなりやすく、本発明の効果が得られなくなるため好ましくない。
そのため、より優れた効果を発揮する積層体を製造するためには、上記V/III比は、好ましくは0.6以上2.5以下であり、さらに好ましくは0.6以上1.5以下である。
そのため、より優れた効果を発揮する積層体を製造するためには、上記V/III比は、好ましくは0.6以上2.5以下であり、さらに好ましくは0.6以上1.5以下である。
また、窒化アルミニウム多結晶層の成長速度を、1時間当たりの堆積量が100μmを超える速度とする必要がある。1時間当たりの堆積量が100μm以下の場合には、V/III比が上記範囲を満足していても、窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量と同じ量となり易く、本発明の効果が得られなくなるため好ましくない。一方、1時間当たりの堆積量の上限は、窒化アルミニウム多結晶層中の窒素含有量について、厚み方向または面方向に均一に制御して堆積する観点から、1時間当たりの堆積量が1000μm以下とするのが好ましい。より好ましくは、1時間当たりの堆積量が300μm以下である。また、供給量の上限として、キャリアガス中へのアルミニウム原子の飽和濃度を上回らない範囲としなければならない。その飽和濃度はキャリアガスの流量と温度、Al原子を含有する原料ガスの化学種などで変化する。例えば、キャリアガスとして水素、Al原子を含有する原料ガスとして三塩化アルミニウムを用い、ガス供給ライン26を250℃以上に保持して供給する場合、三塩化アルミニウムは体積比で4%を超えない範囲で供給する必要がある。
上記多結晶層の厚さは、該多結晶層を形成することにより、環境温度が変わっても窒化アルミニウム単結晶層に大きな反りが生じたりクラックが発生したりしないような厚さで、且つ、ベース基板除去工程において、ベース基板を分離した後にも分離後の積層体が自立可能な強度を保てるという理由から、窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上とする必要がある。この多結晶層の厚さは、好ましくは300倍以上、更に好ましくはこれらの条件を満足し、且つ、100μm以上3000μm以下となる厚さであることが好ましい。
なお、上記積層体において窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層とは、必ずしも直接接合している必要はなく、薄い酸化物層などを介して接合していても良い。また、製造目的物である積層体においては、特に必要はないが、補強効果を高めたりベース基板除去工程における分離の作業性を良くしたりするために多結晶層上に他の層を形成してもよい。
上記製法に従い窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、成長中もしくは冷却中においても、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層の反りやクラックが抑制される。すなわち、窒化アルミニウム多結晶層には粒界が存在するために、ベース基板との格子定数差や熱膨張係数差により発生する応力(格子不整合応力)が緩和されているためと考えられる。
加えて本発明の製造方法によれば、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造することができる。その結果、アルミニウムよりなるドロップレットを多結晶層中に形成し、続けて供給される窒素原子を含有する原料ガスによって、アルミニウムから窒化アルミニウムが形成されるものと考えられる。そして、該窒化アルミニウムを形成する際、体積膨張を起こして窒化アルミニウム多結晶層を押し広げる力を発生させ、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間に発生する格子不整合応力を緩和する効果も加わっていると考えられる。
なお、窒化アルミニウム多結晶層においては、該多結晶は窒化アルミニウム結晶の002方向に結晶配向し易い。ここで、結晶配向性とは多結晶層を構成する各々の多結晶の結晶軸がある特定の方向に偏っていることを意味する。このような結晶配向性はX線回折のθ−2θモード測定から定性的に測定することができる。具体的には多結晶層が露出している方向からX線回折測定を行い、002面の回折強度(I002)と100面の回折強度(I100)との強度比(I002/I100)が1以上であり、より確実には1.5以上であれば、002方向に結晶配向性を有するということになる。本発明の好ましい形態によって堆積される多結晶層では、上記強度比は1以上であり、30を超えない。一般に、粉体の場合や、粉体を焼結して得た多結晶体の場合には、このような結晶配向性を示さないことが知られており、X線回折データベース(JCPDS:25−1133)等に示される上記強度比は1未満となっている。
また、上記窒化アルミニウム多結晶層は、多結晶のみから構成されてもよいが、本発明の効果を低下させない範囲で非晶質(アモルファス)な窒化アルミニウムを含むことも可能である。
また、上記窒化アルミニウム多結晶層は、多結晶のみから構成されてもよいが、本発明の効果を低下させない範囲で非晶質(アモルファス)な窒化アルミニウムを含むことも可能である。
多結晶層成長工程では、多結晶層の形成は、下地となる窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく行う必要がある。なお、ここでいう破壊とは、割れのように完全な分離を伴う態様に限らず、クラックの発生のように一部の連続性が大きく損なわれる態様も含む概念である。
窒化アルミニウム単結晶層の厚さが1μm程度と薄い場合には、冷却などを行っても窒化アルミニウム単結晶層が破壊される危険性は少ないが、それを超えると厚さが厚くなるに従い、特に冷却工程で破壊が生じる危険性が高くなる。そのため、窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく窒化アルミニウム多結晶層を形成するためには、窒化アルミニウム単結晶層形成後、基板に冷却を加えないか、もしくは温度変動幅が500℃以内となる温度範囲で冷却を加えて窒化アルミニウム多結晶層の形成を行うことが好ましい。
このような理由から、上記薄膜エピタキシャル成長工程における窒化アルミニウム単結晶層の形成と、上記多結晶層成長工程における多結晶層の形成とを共に気相成長法により行い、窒化アルミニウム単結晶層の形成と窒化アルミニウム多結晶層の形成とを同一装置を用いて連続して行うことが好ましい。ここで、「連続的に」とは「基板を室温付近まで冷却して装置外に出さずに」と同義である。このような条件を満たして十分な厚さの窒化アルミニウム多結晶層を形成させた場合には、窒化アルミニウム単結晶層を厚く形成しても格子不整合応力が小さい加熱状態を保ちながら格子不整合応力を緩和する窒化アルミニウム多結晶層を形成するので、窒化アルミニウム多結晶層の応力緩和効果により基板を冷却するときの格子不整合応力が(多結晶層を形成しない場合と比べて)小さくなり、破壊および反りの発生を防止することができる。その結果、従来の気相成長法では反りの発生や破壊の発生を防止するのが困難であった1μmを越える厚さの窒化アルミニウム単結晶層の形成も可能になる。
窒化アルミニウム多結晶層の形成は、上記条件を満たせば、窒化アルミニウム単結晶層の形成後に直ちに成膜条件を変化させて窒化アルミニウム多結晶層を形成してもよいし、窒化アルミニウム単結晶層の形成後、所定の間隔をおいてから窒化アルミニウム多結晶層を形成してもよい。
また、窒化アルミニウム単結晶層の形成後に酸素を含む原料ガスを供給して窒化アルミニウム単結晶層の表面に薄い酸化膜を形成した後、窒化アルミニウム多結晶層を形成することも可能である。窒化アルミニウム単結晶層の表面に酸化皮膜が存在することにより、次いで形成する窒化アルミニウム多結晶層に対する結晶配向が阻害される。この現象は前記X線回折測定における強度比(I002/I100)が小さくなる結果として捉えられる。表面を酸化してAlの酸化物を意図的に介在させることによりミスフィットの発生を増長するか、もしくは、酸化時に表面平坦性を悪化させる等のメカニズムにより多結晶層の配向性を乱す要因となっていると考えられる。いずれにせよ、酸化皮膜が結晶配向性の不連続面としての役割を有し、多結晶層により多くの粒界が導入され、結果として多結晶層の応力緩和を高める効果が得られると考えられる。
((4)ベース基板除去工程)
本発明の方法では、このようにしてベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層および窒化アルミニウム多結晶層が順次積層された積層基板を製造した後に、工程(4)として、得られた該積層基板からベース基板を除去する。
本発明の方法では、このようにしてベース基板上に窒化アルミニウム単結晶層および窒化アルミニウム多結晶層が順次積層された積層基板を製造した後に、工程(4)として、得られた該積層基板からベース基板を除去する。
ベース基板を除去する手段としては、ベース基板の材質がサファイア、窒化珪素、ホウ化ジルコニウム等の比較的化学的耐久性を有するものである場合には、ベース基板と単結晶層の界面で切断する方法が好適に採用される。切断後に得られる積層体をLEDなどの半導体素子となる積層構造を形成するための自立基板製造用のベース基板として使用する場合には、切断面の表面の荒れにより成長させる結晶の品質が低下するおそれがあるので、切断面を研磨することが好ましい。この場合、窒化アルミニウム単結晶層を表面に残すためにベース基板が表面に残るようにして切断を行い、残ったベース基板部を研磨除去すれば平滑な窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体を得ることができる。
また、ベース基板の材質がシリコンである場合には、化学エッチング処理によりベース基板を容易に除去することが可能である。化学エッチングには、例えばフッ酸および硝酸と酢酸の混合酸が好適に用いられ、混合酸に前記積層体を浸漬静置することによりベース基板であるシリコンが除去される。具体的には、48質量%フッ酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、および超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液が好適に用いられる。このようにしてベース基板を除去した後に得られる積層体の窒化アルミニウム単結晶層表面は、シリコン基板と同様の優れた表面平滑性を有する。このため、シリコン基板をベース基板として用いた場合には窒化アルミニウム単結晶層表面の研磨処理を省略できるというメリットがある。同様の理由でベース基板の材質が酸化亜鉛である場合においても、酸化亜鉛が酸及びアルカリ溶液に可溶であるという理由からベース基板に用いることが可能である。
ベース基板を分離することにより得られた本発明の積層体は、必要に応じて、厚さ調整、形状調整、表面加工、裏面加工などの2次加工を適宜行った後、各種用途で使用される。
本発明の積層体の厚さの測定・管理は、マイクロメータによる接触式測定を行う手法が簡便である。接触式測定は結晶表面を傷つける可能性があるため、両面からレーザーを照射して反りの影響を除外した上で厚みを測定できる三次元形状測定装置を用いても良い。
本発明の積層体の厚さの測定・管理は、マイクロメータによる接触式測定を行う手法が簡便である。接触式測定は結晶表面を傷つける可能性があるため、両面からレーザーを照射して反りの影響を除外した上で厚みを測定できる三次元形状測定装置を用いても良い。
破断やクラックは、微分干渉顕微鏡で段差を顕在化させた検鏡を行い、視認されなければ後述する用途に支障は無い。反り量は光干渉顕微鏡や、レーザー干渉計などで容易に測定でき、曲率半径またはその逆数で評価するのが一般的である。本発明の積層体は、曲率半径が1m以上であれば後述する用途への応用が可能と考えられ、10mを超えるものの作製も可能である。
本発明において、結晶層中の窒素含有量は、一般に、酸素窒素分析装置と呼ばれる分析機器で確認することができる。分析手法の一例を挙げると、不活性ガス−加熱融解法によってサンプル中の酸素および窒素を抽出して、酸素を一酸化炭素として赤外線検出器にて、窒素を熱伝導度検出器にて測定する。測定精度としてはサンプル質量について0.0001g、窒素含有量についてσn−1≦0.2質量%保証の装置を用いた。各結晶層の窒素含有量を評価するため、各工程で成長を停止したサンプルを用意し、それぞれの質量と窒素含有量分析結果の差分から算出する方法を採った。
<第3の本発明の積層体>
上記第1の本発明の製造方法によれば、厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、および該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する積層体であって、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少なく、かつ、前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、第3の本発明の積層体を製造することができる。
上記第1の本発明の製造方法によれば、厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、および該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する積層体であって、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少なく、かつ、前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、第3の本発明の積層体を製造することができる。
特に、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下となる積層体を製造することができる。
この積層体は、上記要件、特に、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下となる要件を満足することにより、優れた効果を発揮するものと考えられる。つまり、本発明においては、所定の条件にて上記多結晶を成長させることにより、窒化アルミニウム多結晶層を形成している。これにより、得られる積層体の窒化アルミニウム単結晶層の主表面を平滑かつ平坦にし、また、該積層体を用いて製造した自立基板の反りを低減できる。
この積層体は、上記要件、特に、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下となる要件を満足することにより、優れた効果を発揮するものと考えられる。つまり、本発明においては、所定の条件にて上記多結晶を成長させることにより、窒化アルミニウム多結晶層を形成している。これにより、得られる積層体の窒化アルミニウム単結晶層の主表面を平滑かつ平坦にし、また、該積層体を用いて製造した自立基板の反りを低減できる。
第3の本発明の積層体は、それ自体を、紫外光発光素子を積層するための自立基板などに利用可能であるが、更に当該積層体の窒化アルミニウム単結晶が露出している面を下地とし、当該単結晶の上に第2の窒化アルミニウム単結晶層を成長させることにより、結晶性に優れた厚膜の窒化アルミニウム単結晶基板を得ることができる。
<第2の本発明の積層体の製造方法>
第2の本発明は、窒化アルミニウム単結晶層、窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
前記窒化アルミニウム多結晶被覆層、および前記窒化アルミニウム多結晶層を構成する多単結晶の窒素含有量が、前記窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(2.5) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上1100℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.1以上0.5以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程、
(3)上記工程で得られた窒化アルミニウム多結晶被覆層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム多結晶被覆層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、前記窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することによりベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層、前記窒化アルミニウム多結晶被覆層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去する工程を含んでなる。
第2の本発明は、窒化アルミニウム単結晶層、窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
前記窒化アルミニウム多結晶被覆層、および前記窒化アルミニウム多結晶層を構成する多単結晶の窒素含有量が、前記窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(2.5) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上1100℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.1以上0.5以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程、
(3)上記工程で得られた窒化アルミニウム多結晶被覆層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム多結晶被覆層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、前記窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することによりベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層、前記窒化アルミニウム多結晶被覆層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去する工程を含んでなる。
第2の本発明の積層体の製造方法では、薄膜エピタキシャル成長工程により窒化アルミニウム単結晶層を形成した後、該単結晶層上に窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成してから、窒化アルミニウム多結晶層を形成する。第1の本発明の積層体の製造方法において、窒化アルミニウム単結晶成長条件とは異なる条件とすることで窒化アルミニウム多結晶層の堆積が実現すると説明した。ただし、条件を変更した直後に、窒化アルミニウム単結晶層の全面で多結晶層の堆積が始まるわけではなく、多結晶の被覆が完了した部分とエピタキシャル成長が継続している部分が混在する状態で数μmないし数十μm堆積した後に、多結晶が該全面を覆って完全な多晶層になるものと考えられる。そのため、窒化アルミニウム単結晶が好適な厚みの上限である1.5μmを超えた箇所についてはクラックや割れが発生する場合がある。
そこで、下記に詳述する方法により、結晶方位がランダムな窒化アルミニウム粒子を多量に含む窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成してエピタキシャル成長を確実に停止させることが好ましい。こうすることにより窒化アルミニウム単結晶層にクラックが発生することをより効果的に防ぐことができ、積層体の歩留まりをより向上させることができる。また、積層体の反りもより低減できる。
本工程の効果は、(3)多結晶層成長工程の説明において述べた、窒化アルミニウム単結晶層の表面に薄い酸化膜を形成した後、窒化アルミニウム多結晶層を形成する手法の効果と本質的に同じである。以下に詳述する工程((2.5)工程)によれば、酸化膜の数十倍ないし数百倍の厚さよりなる多結晶被覆層によって、確実に結晶配向性を崩してエピタキシャル成長を停止でき、さらに酸素を混入させることなく積層体の作製を完了できる。そのため、酸素濃度が低い窒化アルミニウム単結晶基板の製造に有利である。
(1)ベース基板準備工程、および、(2)薄膜エピタキシャル成長工程については、上記した第1の積層体の製造方法における場合と同様である。以下、(2.5)窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程について説明する。
((2.5)窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程)
窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程においては、先の工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく、該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する。窒化アルミニウム多結晶被覆層の厚さは、下限が、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限が、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。該窒化アルミニウム多結晶被覆層が上記範囲を満足することにより、窒化アルミニウム単結晶層の表面全体を多結晶で被覆する目的が十分に達成され、局所的に窒化アルミニウム単結晶層を意図する厚さ以上に成長することをより防ぐことができる。その結果、窒化アルミニウム単結晶層にクラックが発生することをより抑制することができる。
なお、窒化アルミニウム多結晶被覆層の厚さが厚すぎる場合、窒化アルミニウム単結晶層へのクラック導入を防止する効果は変わらず得られるが、従来発生していた反りを打ち消した上で、逆方向の反りを生じてしまう場合がある。そのため、本発明の効果を最大限に発揮するためには、上記範囲を満足することが好ましい。また、後述するように本工程の好ましい条件では、窒素原子を含有する原料ガスの供給量を非常に少なくするため、堆積速度が遅い。つまり、上記好適な厚さを堆積した後はより高速で堆積できる条件、つまり工程(3)の条件に切り替えた方が生産効率の面でも好ましい。
窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程においては、先の工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく、該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する。窒化アルミニウム多結晶被覆層の厚さは、下限が、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限が、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。該窒化アルミニウム多結晶被覆層が上記範囲を満足することにより、窒化アルミニウム単結晶層の表面全体を多結晶で被覆する目的が十分に達成され、局所的に窒化アルミニウム単結晶層を意図する厚さ以上に成長することをより防ぐことができる。その結果、窒化アルミニウム単結晶層にクラックが発生することをより抑制することができる。
なお、窒化アルミニウム多結晶被覆層の厚さが厚すぎる場合、窒化アルミニウム単結晶層へのクラック導入を防止する効果は変わらず得られるが、従来発生していた反りを打ち消した上で、逆方向の反りを生じてしまう場合がある。そのため、本発明の効果を最大限に発揮するためには、上記範囲を満足することが好ましい。また、後述するように本工程の好ましい条件では、窒素原子を含有する原料ガスの供給量を非常に少なくするため、堆積速度が遅い。つまり、上記好適な厚さを堆積した後はより高速で堆積できる条件、つまり工程(3)の条件に切り替えた方が生産効率の面でも好ましい。
本発明の方法では、窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程において、窒化アルミニウム単結晶層の表面温度、および、原料ガスの供給比率を、制御することが必要である。多結晶被覆層を形成するベースとなる窒化アルミニウム単結晶層の表面温度は、850℃以上1100℃以下とする必要がある。該温度は、下限は好ましくは870℃以上、より好ましくは900℃以上であり、上限は好ましくは1000℃以下、より好ましくは950℃以下である。 窒化アルミニウム単結晶層の温度を変更する必要がある場合には、(3)多結晶層成長工程と同様に行うことが好ましい。
また、窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程においては、上記の温度に加熱した窒化アルミニウム単結晶層表面に、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比(V/III比)が0.1以上0.5以下の範囲となるように供給する必要がある。こうすることによって、前記窒化アルミニウム多結晶被覆層、および前記窒化アルミニウム多結晶層を構成する多単結晶の窒素含有量が、前記窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を容易に製造することができる。より好ましいV/III比は0.1以上0.3以下である。
上記条件で製造した該窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶は窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満となり、窒化アルミニウム単結晶層の表面全体を多結晶で被覆する目的に加えて、工程(3)によって堆積する窒化アルミニウム多結晶層と同様に、ベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間に発生する格子不整合応力を緩和する効果が達成される。
窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程の後は、形成した窒化アルミニウム多結晶被覆層の上に、上記した(3)多結晶層成長工程と同様にして、多結晶層が形成される。さらに、(3)多結晶層成長工程の後は、上記(4)ベース基板除去工程を施して、第4の本発明の積層体が得られる。
<第4の本発明の積層体>
上記第2の本発明の製造方法によれば、厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する第4の本発明の積層体を製造することができる。
上記第2の本発明の製造方法によれば、厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する第4の本発明の積層体を製造することができる。
特に、該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶の窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体を製造することができる。
この積層体は、特に、窒化アルミニウム単結晶層上に、窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満である多結晶から構成される窒化アルミニウム多結晶被覆層を有することにより、さらに、積層体の窒化アルミニウム単結晶層のクラックを低減することができ、歩留まりを向上させることができる。つまり、本発明においては、所定の条件にて上記多結晶を成長させることにより、窒化アルミニウム多結晶被覆層、および窒化アルミニウム多結晶層を形成している。これにより、得られる積層体の窒化アルミニウム単結晶層の主表面を平滑かつ平坦にし、また、該積層体を用いて製造した自立基板の反りを低減できる。さらに加えて、窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成することにより、積層体の窒化アルミニウム単結晶層のクラックを低減することができ、歩留まりを向上させることができる。
第4の本発明の積層体は、それ自体を、紫外光発光素子を積層するための自立基板などに利用可能であるが、更に当該積層体の窒化アルミニウム単結晶が露出している面を下地とし、当該単結晶の上に第2の窒化アルミニウム単結晶層を成長させることにより、結晶性に優れた厚膜の窒化アルミニウム単結晶基板を得ることができる。
<窒化アルミニウム単結晶の製造方法>
このようにして得られた本発明の積層体は、窒化アルミニウム単結晶を成長させるためのベース基板として使用でき、窒化アルミニウム単結晶からなる基板、特に自立基板を製造するためのベース基板として好適に使用することができる。
このようにして得られた本発明の積層体は、窒化アルミニウム単結晶を成長させるためのベース基板として使用でき、窒化アルミニウム単結晶からなる基板、特に自立基板を製造するためのベース基板として好適に使用することができる。
窒化アルミニウム単結晶を製造する際に、ベース基板の表面に多数の微小凹部または微小凸部をランダムに或いは規則的に配列して形成することにより基板表面に高低差をつけ、相対的に高い位置にある基板表面上から結晶成長を開始させることにより、単結晶をベース基板に対して垂直方向だけでなく水平方向(横方向)にも成長させ、横方向に成長するときに結晶欠陥を減少させることもできる。具体的には、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法と呼ばれる方法を採用することにより、結晶欠陥が減少した高品位な窒化アルミニウム単結晶を得ることも可能とである。
本発明の積層体をベース基板として窒化アルミニウム単結晶を製造する場合には、本発明の積層体の窒化アルミニウム単結晶層上に、窒化アルミニウム単結晶をエピタキシャル成長させればよい。また、本発明の積層体をベース基板として窒化アルミニウム単結晶基板を製造する場合には、上記方法により窒化アルミニウム単結晶をエピタキシャル成長させて第二の窒化アルミニウム単結晶層を形成し、必要に応じて、切断などの方法により該第二の窒化アルミニウム単結晶層の少なくとも一部を分離すればよい。
第二の窒化アルミニウム単結晶をエピタキシャル成長させる方法としては、HVPE法、MOVPE法、MBE法、スパッタリング法、PLD法、昇華再結晶法などの公知の気相成長法を用いることが可能である。その他、フラックス法などの溶液成長法といったあらゆる公知の方法を用いることも可能である。膜厚制御が容易で高品位の結晶を得ることができるという観点から気相成長法を採用するのが好ましく、中でも高速での成膜が可能であるという理由からHVPE法を採用するのが特に好ましい。
第二の窒化アルミニウム単結晶層を自立基板として分離するには、窒化アルミニウム単結晶層を100μm以上成長させることが望ましい。そこで、窒化アルミニウム単結晶の成長速度を高める条件選定を行うことが好ましい。HVPE法において、窒化アルミニウム単結晶の成長速度を高めるためには、好ましくは1250℃以上、より好ましくは1350℃以上の高温が望ましい。なお、反応容器を石英で構成した場合には、耐用温度が1150℃程度しかないため、この温度以上に加熱する場合は、特開2006−290662号公報に開示するように、反応容器を加熱せず、成長する窒化アルミニウム単結晶層付近のみを加熱する機構を採用することが好ましい。なお、窒化アルミニウム単結晶を成長させる際の温度の上限は、操作性、窒化アルミニウム単結晶および基板保持部材の熱分解反応速度を考慮すると1700℃である。上記の要件を満たした上で特開2006−114845号、特開2008−88048号等にて教示する手順を実施することにより、窒化アルミニウム単結晶の高速成長が実現できる。
本発明の積層体をベース基板として用いた場合には、その結晶成長面は、クラックが防止され、反りが少なく、曲率半径が大きい。このため、結晶層を、10μmをはるかに越えて、例えば200μm以上、好ましくは1000μm以上といった非常に厚い層状に成長させても、結晶成長時や、結晶成長が終了して基板を冷却する際に反り、クラック、割れなどが発生し難く、結果として、高品位な単結晶からなる自立基板として十分な厚さの第二の窒化アルミニウム単結晶を形成することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(窒素含有量の測定方法)
積層体における窒素含有量は、窒素酸素分析装置(堀場製作所製、EMGA−550)により求めた。
<参考例1>
本例は後述する実施例および比較例における各結晶層の窒素含有量を算出するためのサンプルを作製した例について述べたものである。具体的には、図3に示す反応装置を用いて工程(1)にて用意したシリコン基板(ベース基板)を工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程の直前まで、すなわちエピタキシャル成長温度に加熱して、冷却した例である。
積層体における窒素含有量は、窒素酸素分析装置(堀場製作所製、EMGA−550)により求めた。
<参考例1>
本例は後述する実施例および比較例における各結晶層の窒素含有量を算出するためのサンプルを作製した例について述べたものである。具体的には、図3に示す反応装置を用いて工程(1)にて用意したシリコン基板(ベース基板)を工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程の直前まで、すなわちエピタキシャル成長温度に加熱して、冷却した例である。
工程(1):ベース基板準備工程
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を用いた。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.28mmである。処理前の質量は1.2100gであった。このベース基板を5質量%フッ化水素酸水溶液に30秒浸漬して、酸化皮膜を除去するとともに水素終端処理を施した。
このベース基板を図3中の24の位置に、成長面が下向きになるようにして、直径48mmの円形の開口部を備えた熱分解コート窒化ホウ素製の保持サセプタ25で、該開口部が基板の中央となるように固定した。この状態で一度1Torr以下に減圧し、窒素ガスで大気圧まで復圧した後に再度1Torr以下に減圧して空気を排出した。そして水素をIII族化合物供給配管26および窒素原料供給配管27より導入し、大気圧まで復圧して局所加熱装置22に通電して20℃/分で加熱を開始した。加熱および成長中は、容器内圧力と両配管からのガス流量を固定して定常流を形成した。ここでいうガス流量とは、加熱および冷却中の水素流量、成長中の水素流量と原料ガス流量の合計を指す。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を用いた。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.28mmである。処理前の質量は1.2100gであった。このベース基板を5質量%フッ化水素酸水溶液に30秒浸漬して、酸化皮膜を除去するとともに水素終端処理を施した。
このベース基板を図3中の24の位置に、成長面が下向きになるようにして、直径48mmの円形の開口部を備えた熱分解コート窒化ホウ素製の保持サセプタ25で、該開口部が基板の中央となるように固定した。この状態で一度1Torr以下に減圧し、窒素ガスで大気圧まで復圧した後に再度1Torr以下に減圧して空気を排出した。そして水素をIII族化合物供給配管26および窒素原料供給配管27より導入し、大気圧まで復圧して局所加熱装置22に通電して20℃/分で加熱を開始した。加熱および成長中は、容器内圧力と両配管からのガス流量を固定して定常流を形成した。ここでいうガス流量とは、加熱および冷却中の水素流量、成長中の水素流量と原料ガス流量の合計を指す。
III族化合物供給配管26は上流に金属アルミニウムペレットを置いて500℃に加熱しておき、塩化水素ガスを流して三塩化アルミニウムガスを発生させる反応炉を備えている。窒素原料供給配管27からはアンモニアを供給し、いずれの配管も原料を流す間は200℃以上に加熱することとした。本例を含む全ての実施例で外部加熱装置23は熱源として使用しなかった。また本例においては、該配管を通してキャリアガスである水素ガスのみ通流し、塩化水素ガスおよびアンモニアガスの混入は行わなかった。
(サーマルクリーニング)
窒化アルミニウム単結晶成長温度である1200℃に到達後、温度分布を安定化させ、かつサーマルクリーニングを行うため40分間原料を流さずに保持した。その後、水素ガス流量を変えずに20℃/分で冷却を開始した。800℃まで温度が下がったところで同流量の窒素ガスに切り替えて引き続き冷却を行った。500℃まで冷却したら局所加熱装置の出力を切り、窒素ガスの流量は変えずに放冷とした。
窒化アルミニウム単結晶成長温度である1200℃に到達後、温度分布を安定化させ、かつサーマルクリーニングを行うため40分間原料を流さずに保持した。その後、水素ガス流量を変えずに20℃/分で冷却を開始した。800℃まで温度が下がったところで同流量の窒素ガスに切り替えて引き続き冷却を行った。500℃まで冷却したら局所加熱装置の出力を切り、窒素ガスの流量は変えずに放冷とした。
回収したシリコン基板について質量を測定したところ、1.2100gであった。酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行い、検出下限以下であることを確認した。この結果より、加熱処理によるシリコン基板の質量変動および窒素含有量は無視できることを確認した。
以下の実施例、比較例においては、上記方法により窒素含有量を確認したベース基板を使用した。
以下の実施例、比較例においては、上記方法により窒素含有量を確認したベース基板を使用した。
<参考例2>
本例は後述する実施例および比較例における各結晶層の窒素含有量を算出するためのサンプルを作製した例について述べたものである。具体的には、図3に示す反応装置を用いて工程(1)にて用意したシリコン基板を工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程まで実施して冷却した例である。
工程(2):薄膜エピタキシャル成長工程
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を用いた。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.28mmである。処理前の質量は1.2921gであった。このベース基板について工程(2)の直前までの手順は参考例1と同様に行った。
その後三塩化アルミニウムガスおよびアンモニアガスの供給を開始した。供給量は三塩化アルミニウムガスを5.0×10−4atmとして、アンモニアガスがV/III比で16となるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板に吹き付け、ベース基板上に両者を反応させて窒化アルミニウム単結晶を合成した。この状態で5分間保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。800℃まで温度が下がったところでアンモニアガスと水素ガスの供給を停止し、同流量の窒素ガスに切り替えて引き続き冷却を行った。500℃まで冷却したら局所加熱装置の出力を切り、窒素ガスの流量は変えずに放冷とした。
本例は後述する実施例および比較例における各結晶層の窒素含有量を算出するためのサンプルを作製した例について述べたものである。具体的には、図3に示す反応装置を用いて工程(1)にて用意したシリコン基板を工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程まで実施して冷却した例である。
工程(2):薄膜エピタキシャル成長工程
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を用いた。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.28mmである。処理前の質量は1.2921gであった。このベース基板について工程(2)の直前までの手順は参考例1と同様に行った。
その後三塩化アルミニウムガスおよびアンモニアガスの供給を開始した。供給量は三塩化アルミニウムガスを5.0×10−4atmとして、アンモニアガスがV/III比で16となるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板に吹き付け、ベース基板上に両者を反応させて窒化アルミニウム単結晶を合成した。この状態で5分間保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。800℃まで温度が下がったところでアンモニアガスと水素ガスの供給を停止し、同流量の窒素ガスに切り替えて引き続き冷却を行った。500℃まで冷却したら局所加熱装置の出力を切り、窒素ガスの流量は変えずに放冷とした。
回収したサンプルは、製膜した部分で光の干渉が起きており緑がかった黄色を呈していた。膜表面は鏡面であった。質量を測定したところ1.2938gであった。参考例1の結果から、窒化アルミニウム単結晶層の質量は0.0017gであると考えられる。製膜範囲はφ48mmであることから、概算で膜厚は0.289μmとであると推測される。 酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、シリコン基板を含んでの窒素含有量は0.051%であった。参考例1の結果から全ての窒素が窒化アルミニウム単結晶層に含まれているとすると、質量として0.5892mg、窒素含有量は34.66質量%と算出される。
微分干渉顕微鏡による段差を顕在化させた検鏡において破断やクラックは観察されなかった。
微分干渉顕微鏡による段差を顕在化させた検鏡において破断やクラックは観察されなかった。
<参考例3>
本例は後述する実施例および比較例における各結晶層の窒素含有量を算出するためのサンプルを作製した例について述べたものである。具体的には、図3に示す反応装置を用いて工程(1)にて用意したシリコン基板に工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程を実施し、工程(2.5)多結晶被覆層形成工程を、前述の好適な条件において成長を行った例である。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を用いた。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.30mmである。処理前の質量は1.3732gであった。このベース基板について工程(2)までの手順は参考例2と同様に行った。
工程(2.5):多結晶被覆層成長工程
薄膜エピタキシャル成長工程の後、三塩化アルミニウムの供給のみ停止して、20℃/分で冷却を開始して、温度を900℃とした。目標温度到達後、三塩化アルミニウムガスの供給を再開した。三塩化アルミニウムガスの供給量を2.5×10−3atmとして、アンモニアガスをV/III比が0.2となるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板に吹き付け、ベース基板上に両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶被覆層を合成した。この状態で60分保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
本例は後述する実施例および比較例における各結晶層の窒素含有量を算出するためのサンプルを作製した例について述べたものである。具体的には、図3に示す反応装置を用いて工程(1)にて用意したシリコン基板に工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程を実施し、工程(2.5)多結晶被覆層形成工程を、前述の好適な条件において成長を行った例である。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を用いた。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.30mmである。処理前の質量は1.3732gであった。このベース基板について工程(2)までの手順は参考例2と同様に行った。
工程(2.5):多結晶被覆層成長工程
薄膜エピタキシャル成長工程の後、三塩化アルミニウムの供給のみ停止して、20℃/分で冷却を開始して、温度を900℃とした。目標温度到達後、三塩化アルミニウムガスの供給を再開した。三塩化アルミニウムガスの供給量を2.5×10−3atmとして、アンモニアガスをV/III比が0.2となるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板に吹き付け、ベース基板上に両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶被覆層を合成した。この状態で60分保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
回収したサンプルを観察したところ、全面が黒色の微粒子で覆われており、参考例2の鏡面を完全に多結晶で被覆していることが確認された。重量は1.4275gで、シリコン基板および、参考例2と同様の積層がなされたと仮定した上で窒化アルミニウム単結晶層の重量を差し引いた、多結晶被覆層の重量は0.0526gと推測され、φ48mmの範囲に平均8.9μmの層が形成されていると考えられる。酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、シリコン基板を含んでの窒素含有量は1.32%であった。参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶被覆層に含まれている窒素は、質量として16.29mg、窒素含有量は30.97質量%と算出された。
<比較参考例1(アモルファス層の積層)>
本例は工程(2.5)多結晶被覆層成長工程の温度条件を800℃とした他は、全て参考例3と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、全面で光沢が残っており、堆積層は薄い白色を呈していた。粒子と認められる形状は確認されず、平滑な表面を形成していた。しかし微分干渉顕微鏡による観察で、不規則なクラックが確認された。X線回折プロファイルでは単結晶の要件を満たしておらず、それぞれのピーク自体が非常に小さいという特徴が認められた。多結晶被覆層の重量は0.0599gと推測され、φ48mmの範囲に平均10.2μmの層が形成されていると考えられる。以上から判断すると、本例で堆積された多結晶被覆層はいわゆるアモルファスで、しかも、下記の通り、窒素含有量が少ないものであるため、また成長温度が不十分なため層全体が脆弱な構造をとり、堆積後の冷却時にシリコン基板と窒化アルミニウム単結晶との熱応力による変形で容易にクラックが導入されたと考えられる。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、本例の窒化アルミニウム多結晶被覆層に含まれている窒素含有量は26.60質量%と算出された。
本例は工程(2.5)多結晶被覆層成長工程の温度条件を800℃とした他は、全て参考例3と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、全面で光沢が残っており、堆積層は薄い白色を呈していた。粒子と認められる形状は確認されず、平滑な表面を形成していた。しかし微分干渉顕微鏡による観察で、不規則なクラックが確認された。X線回折プロファイルでは単結晶の要件を満たしておらず、それぞれのピーク自体が非常に小さいという特徴が認められた。多結晶被覆層の重量は0.0599gと推測され、φ48mmの範囲に平均10.2μmの層が形成されていると考えられる。以上から判断すると、本例で堆積された多結晶被覆層はいわゆるアモルファスで、しかも、下記の通り、窒素含有量が少ないものであるため、また成長温度が不十分なため層全体が脆弱な構造をとり、堆積後の冷却時にシリコン基板と窒化アルミニウム単結晶との熱応力による変形で容易にクラックが導入されたと考えられる。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、本例の窒化アルミニウム多結晶被覆層に含まれている窒素含有量は26.60質量%と算出された。
<比較参考例2>
本例は工程(2.5)多結晶被覆層成長工程の温度条件を、工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程と同じ1200℃とした他は、全て参考例3と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、参考例3と同様に黒色の粒子で覆われた箇所が確認されたが全面ではなく、一部ではエピタキシャル成長を継続している箇所が見られた。すなわち、温度が高いためにエピタキシャル成長に有利な条件となり、全面において結晶配向性を崩す目的が達成できなかった。
本例は工程(2.5)多結晶被覆層成長工程の温度条件を、工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程と同じ1200℃とした他は、全て参考例3と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、参考例3と同様に黒色の粒子で覆われた箇所が確認されたが全面ではなく、一部ではエピタキシャル成長を継続している箇所が見られた。すなわち、温度が高いためにエピタキシャル成長に有利な条件となり、全面において結晶配向性を崩す目的が達成できなかった。
<実施例1>
本例は前述の参考例2の工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程に続いて、工程(3)多結晶層成長工程を、前述の好適な条件において成長を行い、積層体を作製した例である。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を10枚用意した。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.28mmである。処理前の質量は平均1.2716gであった。これらのベース基板について工程(2)までの手順は参考例2と同様に行った。
工程(3)多結晶層成長工程
薄膜エピタキシャル成長工程の後、三塩化アルミニウムの供給のみ停止して、20℃/分で冷却を開始して、温度を930℃とした。目標温度到達後、三塩化アルミニウムガスの供給を再開した。三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が1となるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶層上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。この状態で120分保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
本例は前述の参考例2の工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程に続いて、工程(3)多結晶層成長工程を、前述の好適な条件において成長を行い、積層体を作製した例である。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板を10枚用意した。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.28mmである。処理前の質量は平均1.2716gであった。これらのベース基板について工程(2)までの手順は参考例2と同様に行った。
工程(3)多結晶層成長工程
薄膜エピタキシャル成長工程の後、三塩化アルミニウムの供給のみ停止して、20℃/分で冷却を開始して、温度を930℃とした。目標温度到達後、三塩化アルミニウムガスの供給を再開した。三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が1となるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶層上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。この状態で120分保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われており、参考例2の鏡面を完全に多結晶で被覆していることが確認された。X線回折測定においても多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は11.6であった。堆積後の重量は平均2.8749gであった。シリコン基板、および参考例2と同様の積層がなされたと仮定し、窒化アルミニウム単結晶層の重量を差し引いた多結晶の重量は、平均1.6016gと推測された。その結果、φ48mmの範囲に平均272μmの層が形成されていると考えられた。従って、本実施例の工程(3)における平均堆積速度は毎時136.0μmとなる。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、シリコン基板を含んでの窒素含有量は平均で19.70%であった。参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層に含まれている窒素は、質量として538.6mg、窒素含有量は33.63質量%と算出された。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、シリコン基板を含んでの窒素含有量は平均で19.70%であった。参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層に含まれている窒素は、質量として538.6mg、窒素含有量は33.63質量%と算出された。
自立強度を有する積層体が得られたため、反り形状の評価を行った。シリコンが付着した状態ではシリコン側を、後述する処理によってシリコンを溶解した後の窒化アルミニウム積層体についてはシリコンを除去した光沢面側について測定し、曲率半径を算出した。ここでは、シリコン面、またはシリコンと界面を形成していた面が凹面を形成している場合の符号を正、凸面を形成している場合の符号を負として湾曲の向きを表すこととする。シリコンが付着した状態の反りは曲率−0.25m〜−0.22mで、著しく歪んでいた。これを48質量%フッ化水素酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液中に1時間浸漬し、ベース基板を化学的に除去して、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層の組み合わせよりなる積層体を得た。全てのサンプルで破断は見られなかったが、除去後に現れた単結晶層表面を微分干渉顕微鏡にて検査したところ、10個中4個で中央付近にクラックの発生が認められた。残りの積層体全面、およびクラックが発生した積層体のクラック以外の部位は、当初のシリコンのCMP研磨面を転写したように光沢を有していた。走査型プローブ顕微鏡で表面粗さを評価したところ、RMS値で平均2.63nmであった。本実施例で得られた積層体の曲率半径は平均−2.6mであった。
<実施例2>
本例は前述の参考例3の工程(2.5)多結晶被覆層成長工程に続いて、工程(3)多結晶層成長工程を、前述の好適な条件において成長を行い、自立基板化を試みた例である。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板10枚を用意した。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.30mmである。処理前の質量は平均1.4040gであった。これらのベース基板について工程(2.5)までの手順は参考例3と同様に行った。
(3)多結晶層成長工程
多結晶被覆層成長工程の後、三塩化アルミニウムの供給のみ停止して、20℃/分で加熱を開始して、温度を930℃とした。目標温度到達後、三塩化アルミニウムガスの供給を再開した。三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が1となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の多結晶被覆層上に吹き付け、該多結晶被覆層上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。この状態で120分保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
本例は前述の参考例3の工程(2.5)多結晶被覆層成長工程に続いて、工程(3)多結晶層成長工程を、前述の好適な条件において成長を行い、自立基板化を試みた例である。
ベース基板として{1 1 1}面を主面とするシリコン単結晶基板10枚を用意した。寸法は直径50.8mm(2インチ)、厚さ0.30mmである。処理前の質量は平均1.4040gであった。これらのベース基板について工程(2.5)までの手順は参考例3と同様に行った。
(3)多結晶層成長工程
多結晶被覆層成長工程の後、三塩化アルミニウムの供給のみ停止して、20℃/分で加熱を開始して、温度を930℃とした。目標温度到達後、三塩化アルミニウムガスの供給を再開した。三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が1となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の多結晶被覆層上に吹き付け、該多結晶被覆層上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。この状態で120分保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止し、アンモニアガスは供給しつづける状態で20℃/分で冷却を開始した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われていた。X線回折測定において多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は8.0であった。堆積後の重量は平均3.0557gであった。シリコン基板および、参考例3と同様の積層がなされたと仮定し、窒化アルミニウム単結晶層、ならびに窒化アルミニウム多結晶被覆層の重量を差し引いた多結晶層の重量は、1.5974gと推測された。その結果、φ48mmの範囲に平均271μmの多結晶層が形成されていると考えられた。従って、本実施例の工程(3)における平均堆積速度は毎時135.6μmとなる。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、シリコン基板を含んでの窒素含有量は平均して19.52%であった。参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層に含まれている窒素は、質量として539.6mg、窒素含有量は33.78質量%と算出された。
シリコンが付着した状態の反りは曲率−0.25m〜−0.23mで、実施例2と同様著しく歪んでいた。これを48質量%フッ化水素酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液中に1時間浸漬し、ベース基板を化学的に除去して、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層の組み合わせよりなる積層体を得た。作製した積層体、全てにおいて除去後に現れた単結晶層表面にクラックや破断の形跡はなく、当初のシリコンのCMP研磨面を転写したように光沢を有していた。走査型プローブ顕微鏡で表面粗さを評価したところ、RMS値で平均2.15nmであった。本実施例で得られた積層体の曲率半径は平均−3.3mであった。
シリコンが付着した状態の反りは曲率−0.25m〜−0.23mで、実施例2と同様著しく歪んでいた。これを48質量%フッ化水素酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液中に1時間浸漬し、ベース基板を化学的に除去して、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層の組み合わせよりなる積層体を得た。作製した積層体、全てにおいて除去後に現れた単結晶層表面にクラックや破断の形跡はなく、当初のシリコンのCMP研磨面を転写したように光沢を有していた。走査型プローブ顕微鏡で表面粗さを評価したところ、RMS値で平均2.15nmであった。本実施例で得られた積層体の曲率半径は平均−3.3mであった。
<実施例3>
本例は、実施例2にて得られた積層体を下地基板として、更にこの上に第2の窒化アルミニウム単結晶層を成長させ、成長後に多結晶部を除去して窒化アルミニウム単結晶基板を作製した例である。
単結晶成長に用いる下地基板には従来CMP研磨処理に相当する平坦化工程が必要であるが、実施例2に記載の通りnmオーダーのRMS値を示す良好な表面が既に得られているために従来の平坦化工程を省略した。
本例は、実施例2にて得られた積層体を下地基板として、更にこの上に第2の窒化アルミニウム単結晶層を成長させ、成長後に多結晶部を除去して窒化アルミニウム単結晶基板を作製した例である。
単結晶成長に用いる下地基板には従来CMP研磨処理に相当する平坦化工程が必要であるが、実施例2に記載の通りnmオーダーのRMS値を示す良好な表面が既に得られているために従来の平坦化工程を省略した。
結晶成長に用いた装置は実施例2、すなわち参考例1と同じ装置を用いた。三塩化アルミニウムガスの発生方法、配管温度管理などの供給方法は同様とした。加熱速度も同様としたが、加熱中に供給するガスは水素ガスに加えて、分圧5.0×10−4atmのアンモニアを混入した。これによって窒化アルミニウムの熱分解が防止され、表面の窒化アルミニウム単結晶層が保存される。
窒化アルミニウム単結晶層成長温度として1400℃まで加熱し、温度分布を安定化させるため40分間三塩化アルミニウムガスを流さずに保持し、その後三塩化アルミニウムガスの供給を開始した。供給量は三塩化アルミニウムガス、アンモニアガスともに5.0×10−3atmとなるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板に吹き付け、ベース基板上で両者を反応させて窒化アルミニウム単結晶を合成した。
窒化アルミニウム単結晶層成長温度として1400℃まで加熱し、温度分布を安定化させるため40分間三塩化アルミニウムガスを流さずに保持し、その後三塩化アルミニウムガスの供給を開始した。供給量は三塩化アルミニウムガス、アンモニアガスともに5.0×10−3atmとなるように、キャリアガスである水素に混入してべース基板に吹き付け、ベース基板上で両者を反応させて窒化アルミニウム単結晶を合成した。
この状態で600分間保持したのち、三塩化アルミニウムガスの供給を停止して、アンモニアガスのみ供給量を変えずに通流を続け、20℃/分で800℃まで冷却した。その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
冷却後の成長表面は六角錐が敷き詰められた形状をしており、その方向は一様に揃っていた。この熱膨張係数差による破断やクラックの発生は確認されなかった。マイクロメータを用いた測定による下地基板と成長層の合計厚みは553μmで、5時間の平均成長速度は毎時42μmであった。
この積層体をエポキシ樹脂に埋めて、平面研削盤にてエポキシ樹脂ごと多結晶層側を研削し、多結晶層の除去を行った。その後ダイヤモンドスラリーによる研磨を両面について行い、クラックフリーの窒化アルミニウム単結晶基板の作製に成功した。
冷却後の成長表面は六角錐が敷き詰められた形状をしており、その方向は一様に揃っていた。この熱膨張係数差による破断やクラックの発生は確認されなかった。マイクロメータを用いた測定による下地基板と成長層の合計厚みは553μmで、5時間の平均成長速度は毎時42μmであった。
この積層体をエポキシ樹脂に埋めて、平面研削盤にてエポキシ樹脂ごと多結晶層側を研削し、多結晶層の除去を行った。その後ダイヤモンドスラリーによる研磨を両面について行い、クラックフリーの窒化アルミニウム単結晶基板の作製に成功した。
<比較例1>
本例は工程(3)多結晶層成長工程を、温度を800℃として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、全面が光沢を有する表面で、暗褐色を呈していた。その光沢面に、直径100〜300μmの液滴が固化したような突起が散在していた。φ48の成長部の外周5mmの部分で円周上に沿った破断が起こり、中央φ38mmが採取できた。
本例は工程(3)多結晶層成長工程を、温度を800℃として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、全面が光沢を有する表面で、暗褐色を呈していた。その光沢面に、直径100〜300μmの液滴が固化したような突起が散在していた。φ48の成長部の外周5mmの部分で円周上に沿った破断が起こり、中央φ38mmが採取できた。
シリコンが付着した状態の反りは曲率+1.23mで、実施例1および実施例2と正反対の方向に歪んでいた。つまり、従来発生していた反りを打ち消した上で、逆方向の反りを生じてしまう結果となった。この状態でX線回折測定を行ったところ窒化アルミニウム多結晶の存在は確認されたが、その検出強度は極めて弱く、積層体の殆どがアモルファスとなっていることが示唆された。酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は26.63質量%と算出された。
これを48質量%フッ化水素酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液中に1時間浸漬し、ベース基板の化学的な除去を試みたところ、堆積した窒化アルミニウム多結晶層が同時に溶解し、自立強度を失って薬液中で四散する結果となった。前述の通り、本比較例の条件では直径100μm超のドロップレットが生成していたと考えられる構造をなしており、非常に窒素含有量の少ないアモルファス層が形成されているものと考えられる。このようなアモルファス層においては化学的耐性が極めて弱いために、上記酸濃度の薬液で溶解したと考えられる。
<比較例2>
本例は工程(3)多結晶成長工程を、温度を1000℃として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルは、全面が黒色の粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できたが、中心を起点に放射状に破断が生じており、7つに分裂していた。その1片について評価を行い、X線回折測定においても多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は26.5であった。
本例は工程(3)多結晶成長工程を、温度を1000℃として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルは、全面が黒色の粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できたが、中心を起点に放射状に破断が生じており、7つに分裂していた。その1片について評価を行い、X線回折測定においても多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は26.5であった。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は34.12質量%と算出された。この結果から、窒素が充分に取り込まれた窒化アルミニウム多結晶層ではベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間で生じる応力を緩和しきれないことが示唆された。
<比較例3>
本例は工程(3)多結晶成長工程を、V/III比を4として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。すなわち、三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が4となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できたが、中心を起点に放射状に破断が生じており、4つに分裂していた。その1片について評価を行い、X線回折測定においても多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は13.1であった。
本例は工程(3)多結晶成長工程を、V/III比を4として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。すなわち、三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が4となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できたが、中心を起点に放射状に破断が生じており、4つに分裂していた。その1片について評価を行い、X線回折測定においても多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は13.1であった。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は34.24質量%と算出された。この結果から、窒素が充分に取り込まれた窒化アルミニウム多結晶層が堆積されており、比較例4と同様にベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間で生じる応力を緩和しきれない構造であったと考えられる。
<比較例4>
本例は工程(3)多結晶成長工程を、V/III比を0.2として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。すなわち、三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が0.2となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。
本例は工程(3)多結晶成長工程を、V/III比を0.2として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。すなわち、三塩化アルミニウムガスを1.0×10−2atmとして、アンモニアガスをV/III比が0.2となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。
回収したサンプルを観察したところ、全面が光沢を有する表面で、暗褐色を呈していた。
ベース基板ごと分裂するような破断はないが、全面に渡って堆積物にクラックが確認され、一部はベース基板の表層部を伴って剥離する挙動が確認された。その薄利片の反り方向は曲率がプラスで、従来発生していた反りを打ち消した上で、逆方向の反りを生じていた。多結晶層の重量は、0.4540gと推測され、φ48mmの範囲に77.1μmの層が形成されたと考えられた。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は30.54質量%と算出された。以上の結果から、原料供給量のアンバランスのために堆積速度が低下して他の実施例に比べて窒化アルミニウム多結晶層が薄いことに加え、窒素含有量が過度に低いために積層体としての強度が不十分な構造となったために上記挙動に繋がったと考えられる。
ベース基板ごと分裂するような破断はないが、全面に渡って堆積物にクラックが確認され、一部はベース基板の表層部を伴って剥離する挙動が確認された。その薄利片の反り方向は曲率がプラスで、従来発生していた反りを打ち消した上で、逆方向の反りを生じていた。多結晶層の重量は、0.4540gと推測され、φ48mmの範囲に77.1μmの層が形成されたと考えられた。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は30.54質量%と算出された。以上の結果から、原料供給量のアンバランスのために堆積速度が低下して他の実施例に比べて窒化アルミニウム多結晶層が薄いことに加え、窒素含有量が過度に低いために積層体としての強度が不十分な構造となったために上記挙動に繋がったと考えられる。
<比較例5>
本例は工程(3)多結晶成長工程を、原料供給量を1/4として、4倍の時間をかけて成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。すなわち、三塩化アルミニウムガスを2.5×10−3atmとして、アンモニアガスをV/III比が1となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。この状態で480分保持した後、その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
本例は工程(3)多結晶成長工程を、原料供給量を1/4として、4倍の時間をかけて成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。すなわち、三塩化アルミニウムガスを2.5×10−3atmとして、アンモニアガスをV/III比が1となるようにキャリアガスである水素に混入して、べース基板上の窒化アルミニウム単結晶層に吹き付け、該窒化アルミニウム単結晶上で両者を反応させて窒化アルミニウム多結晶層を積層した。この状態で480分保持した後、その後の冷却方法は参考例2と同様に行った。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できたが、中心を起点に放射状に破断が生じており、4つに分裂していた。その1片について評価を行い、X線回折測定においても多結晶であることが確認され、強度比(I002/I100)は12.4であった。多結晶の重量は、1.5540gと推測され、φ48mmの範囲に264μmの層が形成されたと考えられた。その結果、本比較例の工程(3)における平均堆積速度は毎時33.0μmであった。
酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は34.19質量%と算出された。この結果から、窒素が充分に取り込まれた窒化アルミニウム多結晶層が堆積されており、比較例4と同様にベース基板と窒化アルミニウム単結晶層との間で生じる応力を緩和しきれない構造であったと考えられる。
<比較例6>
本例は工程(3)多結晶成長工程を、製膜時間を10分として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できた。ベース基板ごと分裂するような破断はないが、全面に渡って堆積物にクラックが確認された。多結晶の重量は0.1341gと推測され、φ48mmの範囲に22.8μmの層が形成されていると考えられる。酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は33.81質量%と算出された。緩和効果を有する窒化アルミニウム多結晶層の存在にも関わらず積層体としての強度が不十分な厚みであったので、積層体全体に及ぶクラックを導入してしまう結果となった。
本例は工程(3)多結晶成長工程を、製膜時間を10分として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルを観察したところ、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶に覆われていることが確認できた。ベース基板ごと分裂するような破断はないが、全面に渡って堆積物にクラックが確認された。多結晶の重量は0.1341gと推測され、φ48mmの範囲に22.8μmの層が形成されていると考えられる。酸素窒素分析装置によって窒素含有量の測定を行った結果、参考例2の結果を考慮して、窒化アルミニウム多結晶層の窒素含有量は33.81質量%と算出された。緩和効果を有する窒化アルミニウム多結晶層の存在にも関わらず積層体としての強度が不十分な厚みであったので、積層体全体に及ぶクラックを導入してしまう結果となった。
<比較例7>
本例は工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程を、成長時間を60分として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルを比較したところ、実施例1同様、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶層の特徴に差違は認められなかった。これを48質量%フッ化水素酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液中に1時間浸漬し、ベース基板を化学的に除去して、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層の組み合わせよりなる積層体を得たところ、ベース基板除去後にあらわれた窒化アルミニウム単結晶層は全面に渡って網目状にクラックが発生していた。
本例は工程(2)薄膜エピタキシャル成長工程を、成長時間を60分として成長した他は全て実施例1と同様にして行った例である。
回収したサンプルを比較したところ、実施例1同様、全面が褐色の微粒子で覆われており、多結晶層の特徴に差違は認められなかった。これを48質量%フッ化水素酸、70質量%硝酸、高純度酢酸、超純水を体積比2:1:1:1の比率で混合した薬液中に1時間浸漬し、ベース基板を化学的に除去して、窒化アルミニウム単結晶層と窒化アルミニウム多結晶層の組み合わせよりなる積層体を得たところ、ベース基板除去後にあらわれた窒化アルミニウム単結晶層は全面に渡って網目状にクラックが発生していた。
この積層体の断面を電子顕微鏡で観察し、窒化アルミニウム単結晶層の厚みを確認したところ、平均して3.40μm積層されていることが分かった。従って、窒化アルミニウム単結晶層の剛性が強く、ベース基板との間に生じる応力を吸収できない厚みでは、応力緩和効果を有する窒化アルミニウム多結晶層の存在にも関わらずクラックが生じることが確認された。
11 ベース基板
12 窒化アルミニウム単結晶層
13 窒化アルミニウム多結晶層
14 第3の本発明の積層体
15 第二の窒化アルミニウム単結晶層
16 窒化アルミニウム単結晶基板(自立基板)
17 窒化アルミニウム多結晶被覆層
18 第4の本発明の積層体
21 反応容器
22 局所加熱装置
23 外部加熱装置
24 ベース基板
25 ベース基板保持サセプタ
26 III族原料供給配管
27 窒素原料供給配管
12 窒化アルミニウム単結晶層
13 窒化アルミニウム多結晶層
14 第3の本発明の積層体
15 第二の窒化アルミニウム単結晶層
16 窒化アルミニウム単結晶基板(自立基板)
17 窒化アルミニウム多結晶被覆層
18 第4の本発明の積層体
21 反応容器
22 局所加熱装置
23 外部加熱装置
24 ベース基板
25 ベース基板保持サセプタ
26 III族原料供給配管
27 窒素原料供給配管
Claims (10)
- 窒化アルミニウム単結晶層と、窒化アルミニウム多結晶層と、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が、窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(3) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、該窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することにより、ベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去するベース基板除去工程を含んでなる、積層体の製造方法。 - 窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下である請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 窒化アルミニウム単結晶層、窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有し、前記窒化アルミニウム単結晶層の一方の主表面が表面に露出しており、
前記窒化アルミニウム多結晶被覆層、および前記窒化アルミニウム多結晶層を構成する多単結晶の窒素含有量が、前記窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量よりも少ない積層体を製造する方法であって、
(1) 形成しようとする窒化アルミニウム単結晶層を構成する材料とは異なる材料の単結晶からなる表面を有するベース基板を準備するベース基板準備工程、
(2) 準備した上記ベース基板の単結晶面上に厚さ10nm〜1.5μmの前記窒化アルミニウム単結晶層を形成する薄膜エピタキシャル成長工程、
(2.5) 上記工程で得られた窒化アルミニウム単結晶層の表面温度を850℃以上1100℃以下とし、該窒化アルミニウム単結晶層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.1以上0.5以下の範囲となるように供給し、該窒化アルミニウム単結晶層を破壊することなく該窒化アルミニウム単結晶層上に、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層を形成する窒化アルミニウム多結晶被覆層形成工程、
(3)上記工程で得られた窒化アルミニウム多結晶被覆層の表面温度を850℃以上950℃以下とし、該窒化アルミニウム多結晶被覆層表面に到達するアルミニウム原子を含有する原料ガスと窒素原子を含有する原料ガスを、アルミニウム原子に対する窒素原子のモル比が0.5を超え3.0以下の範囲となるように供給し、1時間あたりの堆積量が100μmを超える速度で、前記窒化アルミニウム単結晶層の厚さの100倍以上である前記窒化アルミニウム多結晶層を形成することによりベース基板上に前記窒化アルミニウム単結晶層、前記窒化アルミニウム多結晶被覆層および前記窒化アルミニウム多結晶層が積層された積層基板を製造する多結晶層成長工程、及び
(4) 前記工程で得られた積層基板から前記ベース基板を除去する工程を含んでなる、積層体の製造方法。 - 窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶の窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満であり、窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下である請求項3に記載の積層体の製造方法。
- 前記ベース基板準備工程で使用するベース基板としてシリコン単結晶基板を用いる、請求項1〜4の何れかに記載の積層体の製造方法。
- 厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、および該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する積層体であって、
該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、
前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体。 - 厚さ10nm以上1.5μm以下の窒化アルミニウム単結晶層、厚さ1μm以上50μm以下の窒化アルミニウム多結晶被覆層、および、該窒化アルミニウム単結晶層の100倍以上の厚さの窒化アルミニウム多結晶層、を含む積層構造を有する積層体であって、
該窒化アルミニウム単結晶層を構成する単結晶の窒素含有量が34.15質量%以上34.70質量%以下であり、窒化アルミニウム多結晶被覆層を構成する多結晶の窒素含有量が27.00質量%以上32.50質量%未満であり、該窒化アルミニウム多結晶層を構成する多結晶層の窒素含有量が32.50質量%以上34.00質量%以下であり、
前記窒化アルミニウム単結晶層が表面に露出している、積層体。 - 前記窒化アルミニウム多結晶層が、露出している前記窒化アルミニウム単結晶層とは反対側の方向からX線回折測定を行った002面の回折強度(I002)と100面の回折強度(I100)との強度比(I002/I100)が1以上である、請求項6または7に記載の積層体。
- 請求項6〜8の何れかに記載の積層体の窒化アルミニウム単結晶層上に、窒化アルミニウム単結晶をエピタキシャル成長させて第二の窒化アルミニウム単結晶層を形成する工程を含む、窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法。
- さらに、第二の窒化アルミニウム単結晶層の少なくとも一部を分離する工程を含む、請求項9に記載の窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009168124A JP4707755B2 (ja) | 2009-07-16 | 2009-07-16 | 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 |
PCT/JP2010/061789 WO2011007762A1 (ja) | 2009-07-16 | 2010-07-12 | 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009168124A JP4707755B2 (ja) | 2009-07-16 | 2009-07-16 | 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011020900A JP2011020900A (ja) | 2011-02-03 |
JP4707755B2 true JP4707755B2 (ja) | 2011-06-22 |
Family
ID=43449370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009168124A Expired - Fee Related JP4707755B2 (ja) | 2009-07-16 | 2009-07-16 | 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4707755B2 (ja) |
WO (1) | WO2011007762A1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20200132977A (ko) * | 2018-03-27 | 2020-11-25 | 엔지케이 인슐레이터 엘티디 | 질화알루미늄판 |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6019777B2 (ja) * | 2012-06-07 | 2016-11-02 | 住友電気工業株式会社 | AlN結晶基板およびその製造方法 |
CN110191979B (zh) * | 2016-12-27 | 2021-07-30 | 住友化学株式会社 | Iii族氮化物层叠体的制造方法、检查方法、以及iii族氮化物层叠体 |
JP6781271B2 (ja) * | 2017-09-22 | 2020-11-04 | 安徽安努奇科技有限公司Anhui Anuki Technologies Co., Ltd. | 圧電共振器の製造方法と圧電共振器 |
WO2021131966A1 (ja) * | 2019-12-23 | 2021-07-01 | 日本碍子株式会社 | AlN積層板 |
WO2021131967A1 (ja) * | 2019-12-23 | 2021-07-01 | 日本碍子株式会社 | AlN積層板 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009057260A (ja) * | 2007-09-03 | 2009-03-19 | Hitachi Cable Ltd | Iii族窒化物単結晶の製造方法及びiii族窒化物単結晶基板の製造方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3350855B2 (ja) * | 1995-10-16 | 2002-11-25 | 日本電信電話株式会社 | Iii族窒化物半導体基板の製造方法 |
-
2009
- 2009-07-16 JP JP2009168124A patent/JP4707755B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2010
- 2010-07-12 WO PCT/JP2010/061789 patent/WO2011007762A1/ja active Application Filing
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009057260A (ja) * | 2007-09-03 | 2009-03-19 | Hitachi Cable Ltd | Iii族窒化物単結晶の製造方法及びiii族窒化物単結晶基板の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20200132977A (ko) * | 2018-03-27 | 2020-11-25 | 엔지케이 인슐레이터 엘티디 | 질화알루미늄판 |
KR102519299B1 (ko) | 2018-03-27 | 2023-04-06 | 엔지케이 인슐레이터 엘티디 | 질화알루미늄판 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011020900A (ja) | 2011-02-03 |
WO2011007762A1 (ja) | 2011-01-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2009090821A1 (ja) | Al系III族窒化物単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いたAl系III族窒化物単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 | |
US6177292B1 (en) | Method for forming GaN semiconductor single crystal substrate and GaN diode with the substrate | |
JP5324110B2 (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
JP4565042B1 (ja) | Iii族窒化物結晶基板の製造方法 | |
JP4707755B2 (ja) | 窒化アルミニウム単結晶層を有する積層体の製造方法、該製法で製造される積層体、該積層体を用いた窒化アルミニウム単結晶基板の製造方法、および、窒化アルミニウム単結晶基板 | |
JP4823856B2 (ja) | AlN系III族窒化物単結晶厚膜の作製方法 | |
WO2007107757A2 (en) | Growth method using nanostructure compliant layers and hvpe for producing high quality compound semiconductor materials | |
EP2924150B1 (en) | ß-GA2O3-BASED SINGLE CRYSTAL SUBSTRATE | |
CN111164242B (zh) | Iii族氮化物单晶基板 | |
JP4797793B2 (ja) | 窒化物半導体結晶の製造方法 | |
JP2010010613A (ja) | 積層体、自立基板製造用基板、自立基板およびこれらの製造方法 | |
JP6541229B2 (ja) | 窒化ガリウムおよび金属酸化物の複合基板 | |
JP2006290677A (ja) | 窒化物系化合物半導体結晶の製造方法及び窒化物系化合物半導体基板の製造方法 | |
JP2005200250A (ja) | 窒化物半導体結晶の製造方法及び窒化物半導体基板の製造方法 | |
US20230274934A1 (en) | Semiconductor substrate with nitrided interface layer | |
JP2008285401A (ja) | Iii族窒化物単結晶基板の製造方法、および該基板を積層した積層基板 | |
JP2008230868A (ja) | 窒化ガリウム結晶の成長方法および窒化ガリウム結晶基板 | |
JP7369396B2 (ja) | 保護層の製造方法、保護層付単結晶自立基板の製造方法 | |
JP2006008500A (ja) | 窒化物半導体基板の製造方法及び窒化物半導体基板 | |
WO2024004961A1 (ja) | Sam基板の再利用方法 | |
EP4006213A1 (en) | Group iii compound substrate production method and substrate produced by this production method | |
WO2023214590A1 (ja) | 高品質・低コストGaN自立基板の製造方法 | |
JP5047561B2 (ja) | 積層体からの基材層除去方法およびこれを用いてAlN系III族窒化物単結晶の自立基板を作製する方法 | |
JP4689526B2 (ja) | Iii族窒化物半導体自立基板の製造方法 | |
JP2023165572A (ja) | 高品質・低コストGaN自立基板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20101101 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110215 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110315 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |