JP4689526B2 - Iii族窒化物半導体自立基板の製造方法 - Google Patents
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このような半導体素子に使用されるGaN基板は、サファイア基板上にGaN層を積層することにより製造されている。
このようなGaN基板は、裏面にサファイア基板が設けられているため、半導体レーザを構成した際に劈開しにくい。これに加え、サファイア基板は絶縁体であるため、半導体素子において、p電極、n電極をいずれもGaN基板上に積層された半導体層側に設けなければならないという課題もある。これにより、半導体素子が大型化してしまう。
そこで、GaN自立基板を作製することが求められており、例えば、特許文献1に記載された方法が提案されている。
特許文献1では、サファイア基板上にGaNを成膜した後、サファイア基板側から研磨をして、GaN自立基板を得ている。より詳細に説明すると、サファイア基板上にGaNを成長させてHVPE法により一定の厚さの1次のGaN層を形成する。次に、研磨によりサファイア基板の一部を除去し、1次のGaN層上に2次のGaN層を成長させる。そして、再度、サファイア基板を研磨して除去し、このサファイア基板が完全に除去された1次のGaN層および2次のGaN層上に再び所定の厚さのGaN層を成長させてGaN単結晶を成長させる。そして、最後にGaN単結晶を研磨してGaN自立基板を得る。
また、本発明において、サファイア基板を除去する工程では、サファイア基板に外力を加えて、サファイア基板を除去してもよく、また、外力を加えずに、サファイア基板が自然に分離され、サファイア基板が除去されもよい。
また、サファイア基板は、必ずしもサファイア基板単体で除去される必要はなく、例えば、サファイア基板に第一層の一部、さらには、第二層の一部が付着した状態で除去されてもよい。少なくとも第三層と、サファイア基板とが分離できればよい。
そのため、大きな外力を加えなくても、サファイア基板をスムーズに除去することができ、III族窒化物半導体自立基板を容易に得ることができる。
また、第二層の厚みを3μm以上とすることで、第一層から第三層表面への貫通転位の伝播を減少させることができ、第三層表面でのクラックの発生を抑制することもできる。
さらに、本発明では、第二層の厚みを100μm以下としているので、必要以上に第二層を厚く形成せず、製造コストの低減を図ることができる。
また、サファイア基板上に、AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが略一定である第一層と、AlxGa1−xN(0≦x≦1)層により構成され、組成xが層厚方向に沿って、第三層側に向かって増加する組成分布を有し、厚みが3μm以上、100μm以下の第二層と、GaN層である第三層を形成することで、反りが少ないIII族窒化物半導体自立基板を得ることができる。
ここで、第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、AlxGa1−xN(0<x<1)により構成され、組成xが層厚方向に沿って、前記第三層側に向かって連続的に増加する組成分布を有する前記第二層を形成してもよい。
組成xが第三層に向かって増加する組成分布とすることで、第一層と第二層との界面でのAl組成の差を小さくすることができ、第二層および第一層界面でのAlGaNの多結晶化を防止することができる。
組成xが2段階以上にわたって階段状に増加する組成分布を有する第二層では、組成xが急激に変化する組成不連続界面が形成されることとなる。この組成不連続界面にてミスフィット転位を集中して発生させることができ、これにより、第二層に多数のアレイ状のクラックを確実に生じさせることができる。このアレイ状のクラックは、サファイア基板側に伝播し、サファイア基板にクラックが生じると考えられるため、サファイア基板をより容易に分離することができる。
このようにHClガスの供給量を増加させることにより、発生する塩化アルミニウム(AlCl3)の量を増加させることで、組成xが増加する組成分布を有する第二層を容易に製造することができる。
第三層表面には結晶成長に伴うモホロジーが存在する。また、III族窒化物半導体自立基板裏面は、サファイア基板との分離面が存在する。そこで、III族窒化物半導体自立基板の表裏面を研磨することで、欠陥の少ないIII族窒化物半導体自立基板を提供することができる。
ここで、III族窒化物半導体自立基板の表裏面を研磨して、第一層、第二層を研磨により除去し、第三層のみをIII族窒化物半導体自立基板として使用してもよい。
第一層をGaN層とすることで、第二層は、一対のGaN層に挟まれて配置されることとなる。AlGaNやAlNを含む第二層よりも第一層の方が格子定数が大きいため、第一層上に第二層を積層すると反りが生じる。この反りを、第二層よりも格子定数の大きいGaN層である第三層を設けることにより、戻すことができる。これにより、反りがより一層低減されたIII族窒化物半導体自立基板を得ることができる。
第三層の厚みを100μm以上とすれば、第二層のミスフィット転位に起因するクラックや、第二層からの貫通転位が第三層表面にまで達することを防止できる。
また、第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程の前段で、前記サファイア基板を、第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程での前記サファイア基板の温度よりも低い温度とし、前記サファイア基板上に低温成長GaNバッファ層を形成してもよい。
低温成長GaNバッファ層を形成することで、サファイア基板のみを容易に分離することが可能となる。
図1において、III族窒化物半導体自立基板1は、概ね以下のようにして製造される。
サファイア基板10上に、
AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが略一定である第一層11と、
この第一層11上に形成される第二層12と、
第二層12上に形成されたGaN層である第三層13とを積層させる工程と、
第一層11、第二層12、第三層13およびサファイア基板10を冷却する工程と、
サファイア基板10を除去し、少なくとも第三層13を有するIII族窒化物半導体自立基板1を得る工程とを実施する。
第一層11、第二層12、第三層13を積層する前記工程では、AlxGa1−xN(0≦x≦1)層により構成され、組成xが層厚方向に沿って、変化する組成分布を有し、厚みが3μm以上、100μm以下の第二層12を形成する。
第一層11、第二層12、第三層13を積層する工程では、図1(A)に示すように、第一層11〜第三層13をHVPE法により形成する。
まず、はじめに、サファイア基板10上にAlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが略一定である第一層11を形成する。ここで、第一層11の組成aが略一定であるとは、組成aに対し±0.05程度の変動を含む概念であり、±0.05範囲内の変動があっても一定であるとみなされる。また、組成の値(a、1−aが異なる値である場合には、値の小さいほう)に対して、10μmあたり±5%の範囲の変動があってもよい。
サファイア基板10上には、0.01〜10μmの低温成長GaNバッファ層Bが形成されている。この低温成長GaNバッファ層Bは、加熱したサファイア基板10上にNH3ガスを供給するとともに、GaソースボートにHClガスを供給してGaClガスを発生させ、GaClガスを供給することにより形成される。
なお、低温成長GaNバッファ層Bを形成する際のサファイア基板10の温度は、第一層11〜第三層13を積層する際のサファイア基板10の温度よりも低い。また、低温成長GaNバッファ層Bは、有機金属気相成長(MOCVD)法により積層してもよい。
なお、0.005〜0.5μmの該低温成長GaNバッファ層を形成し、さらに、この低温成長GaNバッファ層上に引き続いて0.1〜10μmの高温成長GaN層を積層してもよい。この高温GaN層上に第一層11を積層する。
このような第一層11は、加熱されたサファイア基板10上にNH3ガスを供給するとともに、GaソースボートにHClガスを供給してGaClガスを発生させ、GaClガスを供給することにより形成される。
第二層12は、AlxGa1−xN層(0≦x≦1)により構成され、組成xが層厚方向に沿って、変化する組成分布を有する。
本実施形態では、第二層12の組成xは、0<x<1である。
また、第一層11の組成aは第一層に接する第二層面の組成xより小さく、第三層13に接する面の組成xが、第一層11に接する表面の組成xよりも高くなる。さらには、組成xは第一層11側から第三層13側に向かって増加している。
また、第二層の組成xは、層全体にわたって変化していることが好ましい。
例えば、階段状に増加する場合には、図2に示すように、第二層12を5層構成(層121〜125)とすることができる。例えば、各層121〜125の組成xが第一層11側から第三層13側に向かい、0.1ずつ増加するような構成を採用することができる。第一層11側の層121をAl0.2Ga0.8N、層122をAl0.3Ga0.7N、層123をAl0.4Ga0.6N、層124をAl0.5Ga0.5N、層125をAl0.6Ga0.4Nとすることができる。
また、階段状に組成を増加させる場合には、第二層12を構成する層の数は、2〜30層が好ましく、なかでも、2〜15層が特に好ましい。
このような第二層12は、第一層11を積層する場合と同じく、GaClを発生させるとともに、AlソースボートにHClガスを供給して、AlCl3を発生させ、これを第一層11上に供給する。
ここで、組成xは第一層11側から第三層13側に向かって増加させるためには、HClガスの供給量を徐々に上げ、AlCl3の発生量を徐々に増加させればよい。
なお、第二層12における組成xの変動幅(最も小さい組成xと、最も大きな組成xとの差)は、0.3以上、0.7以下であることが好ましい。
このような第三層13は、GaソースボートにHClガスを供給し、GaClを発生させ、これを第二層12上に供給することで形成される。
次に、第一層11〜第三層13とサファイア基板10とを冷却する。
その後、図1(B)に示すように、第一層11〜第三層13と、サファイア基板10とを分離する。サファイア基板10に外力を加えることで、サファイア基板10を剥離してもよく、また、冷却後、放置するだけで、自然にサファイア基板10が剥離されてもよい。
また、サファイア基板10の剥離は、第一層11とサファイア基板10との界面で生じてもよく、また、第一層11、さらには、第二層12の一部がサファイア基板10に付着した状態で剥離されてもよい。
仕上がり厚さを100〜800μm、さらに好ましくは、150〜600μmにすることで、加工歩留まりがよく、かつ、厚すぎないIII族窒化物半導体自立基板を得ることができる。
なお、さらなる品質向上のために、機械研磨工程の後に、化学機械研磨(CMP)して、表面を0.01〜20μm除去すれば、デバイス構造作製用のエピタキシャル成長用基板として直ちに使用できるIII族窒化物半導体自立基板1を提供することができる。
ここで、III族窒化物半導体自立基板1は、第一層11、第二層12、第三層13を備えるものであってもよく、また、第二層12、第三層13のみを有するものであってもよい。
さらには、III族窒化物半導体自立基板1は、図1(C)に示すように、第三層13のみから構成されるものであってもよい。
本実施例では、サファイア基板10上に、AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが略一定である第一層11と、AlxGa1−xN(0≦x≦1(本実施形態では、0<x<1))層により構成され、組成xが層厚方向に沿って、第三層13側に向かって増加する組成分布を有し、厚みが3μm以上、100μm以下の第二層12と、GaN層である第三層13を形成し、その後、冷却することにより、サファイア基板10にくもの巣上のクラックが入る。
そのため、大きな外力を加えなくても、サファイア基板10をスムーズに除去することができる。
さらに、第二層の厚みを3μm以上とすることで、第一層11から第三層13表面への貫通転位の伝播を減少させることができ、第三層13表面でのクラックの発生をさらに抑制することもできる。
ここで、GaClの発生量を減少させて、組成xが第三層13に向かって増加する第二層12を形成する方法も考えられるが、GaClガスの発生量を正確に減少させることは難しく、所望の組成分布を有する第二層12を形成することができないおそれがある。
これに対し、本実施形態のように、Alソースボートに対するHClガスの供給量を増加させる方法を採用すれば、組成xが第三層13に向かって増加する第二層12を容易に形成することができる。
これに加え、本実施形態では、第一層11をGaN層としている。そのため、第二層12は、一対のGaN層に挟まれて配置されることとなる。これにより、反りがよりいっそう低減されたIII族窒化物半導体自立基板1を得ることができる。
前記実施形態では、第一層11として、GaN層を形成したが、第一層11は、AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが略一定であればよい。
また、第三層を100μm以上としたが、これに限らず、第三層は100μm以下であってもよい。
また、前記実施形態では、第一層11の下方に低温成長バッファ層Bを設けたが、第一層を低温成長バッファ層としてもよい。さらには、サファイア基板10上に低温成長バッファ層Bを成長して、その上に成長温度が900〜1150℃で高温成長GaN層を設けたが、第一層を低温成長バッファ層としてもよい。
さらに、前記実施形態では、第二層12は、複数のAlxGa1−xN層(0<x<1)を有するものとしたが、これに限らず、複数の層のうち、一層がAlN層や、GaN層であってもよい。
(実施例1)
本実施例では、III族窒化物半導体自立基板をHVPE法により製造した。
まず、高純度ガリウム(Ga)を石英製のGaソースボートの中に充填し、さらに、高純度アルミニウム(Al)をアルミナ製のAlソースボートの中に充填した。そして、Gaソースボート、Alソースボートを、水平型石英製リアクタ内の所定配置にそれぞれ配置した
下地基板としてのサファイア基板は、直径2インチの円形で、(0001)c面で(10−10)方向に0.25°に偏位した面を有するものを用いた。サファイア基板表面には有機金属気相成長(MOCVD)法で成長した厚さ2μmのGaN層があらかじめ形成されている。このようなサファイア基板を、ホルダー上に配置して毎分10回転させた。
まず、窒素(N2)ガスを前記リアクタ内に導入して、リアクタ内の空気を置換した後、窒素を止めた。そして、N2ガスを10000SCCM導入し、抵抗ヒーターによってリアクタ内を昇温した。ここでの加熱方法はリアクタを外壁から加熱する所謂ホットウオール法である。
昇温中はNH3ガスを3000SCCMで導入して、GaN層の分解を防いだ。Alソースボート、Gaソースボート、サファイア基板の温度が、それぞれ500℃、800℃、1050℃に保持されていることを確認した後、AlGaNエピタキシャル基板の気相成長を開始した。
次に、NH3ガスの供給量を変えることなく、GaソースボートにHClガスを50SCCMで供給して、GaClを50SCCMで生成させた。そして、サファイア基板上にGaClを供給してエピタキシャル成長を開始した。
GaClの供給を10分間、行なった。これにより、GaN層である第一層が形成された。第一層の厚みは、17μmであった。
AlCl3の供給量は、階段状に増加させた。
具体的には、HClガスを30SCCM(AlCl3供給量10SCCM)で2分間供給した。
次にHClガスを60SCCM(AlCl3供給量20SCCM)で2分間供給した。
さらに、HClガスを90SCCM(AlCl3供給量30SCCM)で2分間供給した。
次に、HClガスを120SCCM(AlCl3供給量40SCCM)で2分間供給した。
さらに、HClガスを150SCCM(AlCl3供給量50SCCM)で2分間供給した。
次に、HClガスを180SCCM(AlCl3供給量60SCCM)で2分間供給した。
これにより、6層からなる階段状に組成が変化した第二層が得られた。
第二層の厚みは、11μmであった。
第三層の厚みは、610μmであった。
次に、X線回折装置を用いて2θ−ω測定により各層の回折ピーク角度を求め、格子定数から、第一層〜第三層の組成を求めた。
一般に、組成cをもつAlcGa1−cNの格子定数d(c)は、AlNの格子定数0.4981nmとGaNの格子定数0.5185nmとの差に基づいて求めることができる。格子定数d(c)と、AlNの格子定数と、GaNの格子定数との間に、以下の関係が成立する。
d(c)=0.4981+(0.5185−0.4981)×(1−c)…(式1)
この式1に基づいて算出した第三層の組成cは0であった。すなわち、第三層がGaN層であることが確認できた。
また、式1に基づいて、第二層の各層の組成を求めたところ、第一層側から順に、Al0.06Ga0.94N、Al0.15Ga0.85N、Al0.23Ga0.77N、Al0.29Ga0.71N、Al0.38Ga0.62N、Al0.71Ga0.29Nとなっていた。
一方、第三層表面にはクラックが生じておらず、第二層のクラックは第三層表面にまで達していないことがわかった。
その後、III族窒化物半導体自立基板の表裏面をダイアモンド研磨した。これにより、第一層、第二層が除去され、300μmの透明なIII族窒化物半導体自立基板(GaN自立基板)が得られた。
MOCVD法によって低温成長GaNバッファ層が0.07μm形成された(0001)c面サファイア基板を用意した。そして、このサファイア基板上に実施例1と同様の方法により、第一層〜第三層を積層した。低温成長GaNバッファ層が0.07μm形成された(0001)c面サファイア基板を使用した点以外は、実施例1と同じである。
サファイア基板を裏面側から観察したところ、サファイア基板の表面側(第一層が積層されている側)からクラックが入っているのが確認された。また、サファイア基板上に第一層〜第三層が積層された積層体の反りは曲率半径310cmであった。
実施例1と同様に、第一層〜第三層が設けられたサファイア基板をピンセットで軽く力を加えたところ、サファイア基板が割れサファイア基板のみが分離された。これにより、III族窒化物半導体自立基板を得ることができた。
このようにして得られたIII族窒化物半導体自立基板を光学顕微鏡で観察したところ、第二層にアレイ状のクラックが発生しており、このクラックは、第一層にまで達していた。
一方、第三層表面にはクラックが生じておらず、第二層のクラックは第三層表面にまで達していないことがわかった。
その後、III族窒化物半導体自立基板の表裏面をダイアモンド研磨した。これにより、第一層、第二層が除去され、300μmの透明なIII族窒化物半導体自立基板(GaN自立基板)が得られた。
実施例1と同様にMOCVD法によってGaN層が2μm形成された(0001)c面サファイア基板上に第一層を形成した。
次に、第一層上に第二層を形成した。
第二層の製造方法は、以下の通りである。
実施例1と同様にNH3ガスと、GaClガスとを供給し、さらに、AlソースボートにHClガスを供給した。
HClガスを60SCCM(AlCl3供給量20SCCM)で1分間供給した。
次に、HClガスを120SCCM(AlCl3供給量40SCCM)で1分間供給した。
このようにして製造される第二層の厚みは、2μmであった。
その後、実施例1と同様に第三層を形成した。
次に、実施例1と同じく、第一層〜第三層が設けられたサファイア基板を冷却した。
X線回折装置を用いて2θ−ω測定により各層の回折ピーク角度を求め、格子定数から、第二層の各層の組成を求めたところ、第一層側から順に、
Al0.16Ga0.84N、Al0.32Ga0.68Nとなっていた。
次に、以上のような第一層〜第三層が設けられたサファイア基板をピンセットで軽く力をくわえたところ、サファイア基板が割れ、サファイア基板が除去された。
このようにして得られたIII族窒化物半導体自立基板を光学顕微鏡で観察したところ、第三層表面にはクラックが生じていた。
実施例2と同様のMOCVD法によって低温成長GaNバッファ層が0.07μm形成された(0001)c面サファイア基板上に実施例2と同様に第一層を形成した。
次に、第一層上に第二層を形成した。
ここで、第二層は、組成xが一定の層とした。
第二層の製造方法は、以下の通りである。
実施例2と同様にNH3ガスと、GaClガスとを供給した。
HClガスを90SCCM(AlCl3供給量30SCCM)で4分間供給した。
第二層の厚みは4μmであった。
その後、実施例と同様の条件で、第三層を積層し、冷却を行なった。
X線回折装置を用いて2θ−ω測定により各層の回折ピーク角度を求め、格子定数から、第二層の組成xを求めたところ、Al0.25Ga0.75Nであった。
サファイア基板を裏面側から観察したところ、サファイア基板にクラックが入っていた。また、第二層には、アレイ状のクラックが発生し、それが第三層表面まで伝播して、表面には多くのクラックが発生した。さらに、また、サファイア基板上に第一層〜第三層が積層された積層体の反りは曲率半径42cmであった。
次に、以上のような第一層〜第三層が設けられたサファイア基板は冷却工程後に数個に割に割れ、ピンセットでつついたところ、さらに細かく割れてしまった。そのため、III族窒化物半導体自立基板を得ることはできなかった。
10 サファイア基板
11 第一層
12 第二層
13 第三層
121 層
122 層
123 層
124 層
125 層
B 低温成長バッファ層
Claims (9)
- サファイア基板上に、
AlaGa1−aN(0≦a<1)により構成され、組成aが略一定である第一層と
この第一層上に形成される第二層と、
前記第二層上に形成されたGaN層である第三層とを積層させる工程と、
前記第一層、第二層、第三層およびサファイア基板を冷却する工程と、
前記サファイア基板を除去し、少なくとも前記第三層を有するIII族窒化物半導体自立基板を得る工程とを含み、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、AlxGa1−xN(0≦x≦1)により構成され、組成xが第一層の組成aよりも大きく、組成xが層厚方向に沿って、前記第三層側に向かって増加する組成分布を有し、厚みが3μm以上、100μm以下の前記第二層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1に記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、AlxGa1−xN(0<x<1)により構成され、組成xが層厚方向に沿って、前記第三層側に向かって連続的に増加する組成分布を有する前記第二層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1に記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、組成xが2段階以上にわたって階段状に増加する組成分布を有する前記第二層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、ハイドライド気相成長法を使用し、Alソースボートに供給するHClガスの供給量を増加させることにより、第二層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
前記サファイア基板を除去した後、少なくとも前記第三層を有する前記III族窒化物半導体自立基板の表面および裏面を研磨する工程を含むIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、前記第一層として、GaN層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、膜厚50μm以下の前記第一層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程では、膜厚100μm以上の前記第三層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載のIII族窒化物半導体自立基板の製造方法において、
第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程の前段で、前記サファイア基板を、第一層、第二層、第三層を積層させる前記工程での前記サファイア基板の温度よりも低い温度とし、
前記サファイア基板上に低温成長GaNバッファ層を形成するIII族窒化物半導体自立基板の製造方法。
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