以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態を説明する。先ず、図1を参照しながら、実施形態に係るガスケット10の概要の一例について説明する。
図1は、実施形態に係るガスケット10が2つの部材100及び200間に装着された状態を模式的に示す分解斜視図である。
本実施形態では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する3軸の直交座標系を導入する。以下では、Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の反対方向は-Y方向と称される。同様に、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の反対方向は-Z方向と称される。
ガスケット10は、例えば、相対的に静止した2つの部材100及び200の間に装着され、部材100と部材200との間の隙間を密封する。例えば、ガスケット10は、排気マニホールド及びEGR(Exhaust Gas Recirculation)機構等に用いられる配管の接続箇所に用いられてもよい。この場合、接続対象の2つの配管の一方が、部材100(「第1部材」の一例)に該当し、2つの配管の他方が、部材200(「第2部材」の一例)に該当する。
部材100は、ガス等の流体が通過する開口部100opと、ボルト等のネジ300を挿通するためのネジ穴100shとを有する。また、部材200は、ガス等の流体が通過する開口部200opと、ネジ300が螺合されるネジ穴200shとを有する。図1に示す例では、部材100は、ガスケット10に対して、+Y方向の位置に配置され、部材200は、ガスケット10に対して、-Y方向の位置に配置される。なお、図1では、部材100のフランジに対応する部分を図示している。
ガスケット10は、例えば、部材100のシール面100slと部材200のシール面200slとの間に配置される本体部12と、本体部12と一体に形成される2つの突出部14とを有する。なお、突出部14の数は、3つ以上でもよい。
本体部12は、例えば、ステンレス、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板及びアルミニウム合板等の金属基板により形成される。例えば、本体部12は、-Y方向から見たときに部材100の開口部100op及び部材200の開口部200opを包含する範囲に存在するように形成される。なお、-Y方向から見た本体部12の形状は、例えば、部材100の形状(より詳細には、部材100のフランジの形状)に合わせた形状であってもよい。また、本体部12は、金属材料以外の材料により形成されてもよい。例えば、本体部12は、金属以外の弾性材料を含んで形成されてもよいし、金属以外の弾性材料により形成されてもよい。
また、本体部12には、部材100の開口部100opと部材200の開口部200opとの間で流体を通過させる開口部12opと、ネジ300が貫通するネジ穴12shと、ビード部12bdとが設けられている。
開口部12opは、部材100、ガスケット10及び部材200をネジ300によって一体に接続した場合に、部材100の開口部100op及び部材200の開口部200opと対応する位置に設けられる。例えば、開口部12opは、部材100の開口部100op及び部材200の開口部200opと同一の形状になるように形成されてもよいし、部材100の開口部100op及び部材200の開口部200opより広くなるように形成されてもよい。図1に示す例では、+Y方向から見た場合、開口部12op、100op及び200opの形状は円形であるが、開口部12op、100op及び200opの形状は円形に限定されない。また、開口部12opは、ビード部12bdにより囲まれている。例えば、ビード部12bdは、開口部12opの周囲に設けられ、部材100及び200の一方側に凸となる屈曲形状を有する。本実施形態では、ビード部12bdが部材200側に凸となる屈曲形状を有する場合を想定する。
2つの突出部14は、例えば、開口部12opの中心を通りY方向に延在する中心軸を中心に互いに対向する位置に設けられ、本体部12の縁部12edから、本体部12に対して部材100が配置される側に突出している。そして、2つの突出部14が部材100を挟み込む。これにより、ガスケット10は、部材100に仮止めされる。次に、図2を参照しながら、突出部14の詳細を説明する。
図2は、図1に示したガスケット10を+Z方向から見た側面図である。なお、図2は、ガスケット10を部材100に仮止めした状態を示している。
突出部14は、屈曲部14fc(「第1屈曲部」の一例)と、本体部12の縁部12edから屈曲部14fcまでの第1部分14fpと、屈曲部14fcから突出部14の先端14feまでの第2部分14spとを有する。例えば、突出部14は、本体部12の縁部12edにおいて、+Y方向に向かって折り曲げられている。さらに、突出部14は、屈曲部14fcにおいて、本体部12側に折り返されている。すなわち、突出部14の先端14feは、屈曲部14fcに対して本体部12側に位置している。
また、突出部14の第2部分14spは、突出部14の第1部分14fpと部材100との間に位置する。そして、突出部14の第2部分14spの少なくとも一部分が部材100の側面100sdに接触している。すなわち、2つの突出部14の一方の第2部分14spと他方の第2部分14spとの間に、部材100が挟み込まれる。次に、図3を参照しながら、ガスケット10を部材100に仮止めしたときにガスケット10及び部材100に発生する力を説明する。
図3は、ガスケット10を部材100に仮止めしたときにガスケット10及び部材100に発生する力を説明するための説明図である。なお、図3は、図2と同様に、ガスケット10を+Z方向から見た側面図である。図3では、ガスケット10が部材100に仮止めされる前の突出部14の状態を破線で示している。例えば、本体部12と突出部14とのなす角度αbは、ガスケット10が部材100に仮止めされる前の突出部14と本体部12とのなす角度を示し、本体部12と突出部14とのなす角度αaは、ガスケット10が部材100に仮止めされた後の突出部14と本体部12とのなす角度を示している。なお、角度αa及びαbは、後述する図4に示す対比例の説明において対比例のガスケット10Zとガスケット10との比較を分かり易くするために、図3に記載している。
本実施形態では、2つの突出部14が部材100を挟んでいない場合における第2部分14sp間(図3の破線で示した2つの第2部分14sp間)の距離W10は、2つの突出部14が部材100を挟んでいる場合における第2部分14sp間の距離W20より短い。すなわち、2つの突出部14が部材100を挟んでいない状態では、2つの突出部14の一方の第2部分14spと他方の第2部分14spとの間の距離W10は、2つの突出部14を結ぶ線に沿う方向における部材100の幅(図3の距離W20)よりも短い。
このため、2つの突出部14の一方の第2部分14spと他方の第2部分14spとの間に部材100が挟み込まれた場合、2つの突出部14は、図3の破線で示した状態から実線で示した状態に変化する。第2部分14spに着目すると、2つの突出部14の各々の第2部分14spは、部材100により、部材100側とは反対側に押される。このため、2つの突出部14の各々の屈曲部14fc等には、元の状態(図3の破線で示した状態)に復帰しようとする反力(ばね力)が発生する。なお、反力は、屈曲部14fcの他に、本体部12の縁部12edにも発生する場合もあるが、主に屈曲部14fcに発生する。
本実施形態では、屈曲部14fc等に発生した反力によって、第2部分14spにおける部材100の側面100sdに接触している部分から、部材100の側面100sdを押す力Fを発生させる。すなわち、本実施形態では、屈曲部14fcに発生した反力を、部材100の側面100sdを押す力Fとして主に利用する。これにより、ガスケット10が部材100のシール面100slに保持され、部材100に仮止めされたガスケット10の脱落が抑制される。なお、例えば、部材100の側面100sdを押す力Fが大きくなると、2つの突出部14が部材100を挟み込む際の突出部14の締め代が大きくなり、部材100の側面100sdを押す力Fが小さくなると、2つの突出部14が部材100を挟み込む際の突出部14の締め代が小さくなる。以下では、部材100の側面100sdを押す力Fを、部材100を押す力Fと称する場合がある。
このように、ガスケット10の部材100への仮止めは、互いに対向する2つの突出部14の一方の第2部分14spと他方の第2部分14spとを部材100の側面100sdに接触させ、部材100を両側から挟みこむことにより実現される。このため、本実施形態では、部材100に突出部14の一部分を引っ掛けるための凹部等を設ける必要がない。また、本実施形態では、突出部14の長さは、部材100のフランジの厚さ(Y軸に沿う長さ)より短ければよいため、突出部14の長さを部材100のフランジの厚さに揃えるように設計する必要がない。
また、本実施形態では、2つの突出部14の各々の第2部分14spは、曲面形状を有する。この場合、第2部分14spにおける部材100の側面100sdに接触している部分が曲面であるため、部材100の側面100sdを傷つけることを抑制できる。また、本実施形態では、2つの突出部14の各々の屈曲部14fcは、曲面形状を有する。この場合、例えば、2つの突出部14間に部材100が挟み込まれたことにより屈曲部14fcの形状が変化した際に屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中することを、屈曲部14fcが鋭角に折り返されている場合に比べて、抑制することができる。屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中すると、屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中していない場合に比べて、屈曲部14fcが損傷し易くなるおそれがある。本実施形態では、屈曲部14fcが鋭角に折り返されている場合に比べて、屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中することを抑制することができるため、屈曲部14fcが損傷する可能性を低減することができる。
ガスケット10が仮止めされた部材100は、部材200との間にガスケット10を介在させて、部材200とネジ300によって接続される。これにより、ビード部12bdがY軸に沿う方向に圧縮され、ビード部12bdにおいて部材100及び200から受ける力に対して発生する反力によって、シールラインが形成される。なお、シールラインは、ビード部12bdと部材100のシール面100slとの接触部分、及び、ビード部12bdと部材200のシール面200slとの接触部分であり、開口部100op及び200op間から流体が外部に漏れることを防止する。次に、本実施形態に係るガスケット10の利点をより明確化するために、図4を参照しながら、対比例に係るガスケットについて説明する。
図4は、対比例に係るガスケット10Zを+Z方向から見た側面図である。なお、図4では、図3と同様に、ガスケット10Zが部材100に仮止めされる前の突出部14Zの状態を破線で示している。例えば、本体部12と突出部14Zとのなす角度βbは、ガスケット10Zが部材100に仮止めされる前の突出部14Zと本体部12とのなす角度を示し、本体部12と突出部14Zとのなす角度βaは、ガスケット10Zが部材100に仮止めされた後の突出部14Zと本体部12とのなす角度を示している。
対比例に係るガスケット10Zは、図2において説明した第2部分14spを有さない点において、図1から図3に示したガスケット10と相違する。例えば、突出部14Zは、部材100側に凸となる屈曲部14Zcrを有する。そして、2つの突出部14Zの一方の屈曲部14Zcrと他方の屈曲部14Zcrとが部材100を挟み込むことにより、ガスケット10Zが部材100に仮止めされる。
例えば、突出部14Zは、2つの突出部14Zが部材100を挟んでいない場合における屈曲部14Zcr間(図4の破線で示した2つの屈曲部14Zcr間)の距離WZ10が部材100の幅(図4の距離W20)よりも短くなるように、本体部12の縁部12edにおいて、+Y方向に向かって折り曲げられている。そして、突出部14Zの先端14Zfeが、屈曲部14Zcrより、部材100側とは反対側に位置するように、突出部14Zは、屈曲部14Zcrにおいて折り曲げられている。
2つの突出部14Zの一方の屈曲部14Zcrと他方の屈曲部14Zcrとの間に部材100が挟み込まれた場合、2つの突出部14Zは、図4の破線で示した状態から実線で示した状態に変化する。2つの突出部14Zの各々の屈曲部14Zcrは、部材100により、部材100側とは反対側に押される。このため、2つの突出部14Zの各々が接続された本体部12の縁部12edには、元の状態(図4の破線で示した状態)に復帰しようとする反力(ばね力)が発生する。例えば、突出部14Zと本体部12とのなす角度βを角度βaから角度βbに戻そうとする反力が本体部12の縁部12edに発生する。
対比例では、本体部12の縁部12edに発生した反力によって、部材100の側面100sdに接触している屈曲部14Zcrから、部材100の側面100sdを押す力Fを発生させる。すなわち、対比例では、本体部12の縁部12edに発生した反力を、部材100の側面100sdを押す力Fとして利用する。したがって、対比例では、例えば、突出部14Zと本体部12とのなす角度βb、本体部12の縁部12edにおける2つの突出部14Z間の距離、縁部12edから屈曲部14Zcrまでの距離等によって、部材100の側面100sdを押す力F(部材100を挟み込む力)が決まる。
突出部14Zと本体部12とのなす角度βbに着目すると、角度βbを小さくするほど、部材100を押す力Fが大きくなる。すなわち、角度βbを小さくするほど、締め代が大きくなる。換言すれば、締め代を大きくするほど、2つの突出部14Z間に部材100が挟み込まれた場合における本体部12の縁部12edの変形量(例えば、角度βaと角度βbとの差)が大きくなる。2つの突出部14Z間に部材100が挟み込まれた場合における本体部12の縁部12edの変形量が大きくなりすぎると、本体部12の形状が変形するおそれがある。したがって、例えば、突出部14Zと本体部12とのなす角度βbが小さすぎると、本体部12の形状が変形するおそれがある。ガスケット10Zは、本体部12の形状が変形すると、部材100と部材200との間の隙間を密封できなくなるおそれがある。また、突出部14Zと本体部12とのなす角度βbが小さすぎると、2つの屈曲部14Zcr間の距離WZ10が狭くなり、ガスケット10Zを部材100に装着できなくなるおそれがある。また、例えば、突出部14Zと本体部12とのなす角度βbが大きすぎると、部材100の側面100sdを押す力F(部材100を挟み込む力)が弱くなり、ガスケット10Zが部材100から脱落し易くなる。
したがって、対比例では、ガスケット10Zの製造において、例えば、突出部14Zと本体部12とのなす角度βb、本体部12の縁部12edにおける2つの突出部14Z間の距離、縁部12edから屈曲部14Zcrまでの距離等の寸法精度を緩和すると、ガスケット10Zを部材100に正常に仮止めできなくなるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、図3において説明したように、本体部12の縁部12edに発生した反力及び屈曲部14fcに発生した反力の両方(主に屈曲部14fcに発生した反力)を、部材100の側面100sdを押す力Fとして利用する。このため、本実施形態では、本体部12の縁部12edに発生した反力のみを部材100の側面100sdを押す力Fとして利用する対比例に比べて、「本体部12の縁部12edに発生した反力」の「締め代」に寄与する度合いを低減させることができる。この結果、本実施形態では、対比例に係る各種の弊害の発生を抑制できる。
例えば、本実施形態では、屈曲部14fcに発生した反力を、部材100の側面100sdを押す力Fとして主に利用するため、2つの突出部14間に部材100が挟み込まれた場合、屈曲部14fcの形状が主に変形する。したがって、本実施形態では、締め代を大きくしすぎた場合における本体部12の縁部12edの変形量(例えば、図3の角度αaと角度αbとの差)を、対比例における本体部12の縁部12edの変形量(例えば、図4の角度βaと角度βbとの差)に比べて小さくすることができる。この結果、本実施形態では、本体部12の縁部12edが変形することに起因する各種の弊害の発生を抑制できる。例えば、本実施形態では、本体部12の形状が変形することを抑制できる。
また、本実施形態では、屈曲部14fcに発生した反力を部材100の側面100sdを押す力Fとして主に利用するため、ガスケット10の製造において、例えば、突出部14と本体部12とのなす角度等の寸法精度を緩和しても、部材100の側面100sdを押す力Fの製造ばらつきを抑制できる。また、本実施形態では、対比例と比較して、部材100の側面100sdを押す力Fの製造ばらつきを抑制できるため、ガスケット10を部材100に仮止めする際の装着のし易さが低下することを抑制しつつ、部材100に仮止めしたガスケット10の脱落を抑制することができる。
以上、本実施形態では、ガスケット10は、部材100と部材200との間に配置される本体部12と、本体部12の縁部12edから突出し、部材100を挟む複数の突出部14とを有する。複数の突出部14の各々は、本体部12の縁部12edから屈曲部14fcまでの第1部分14fpと、屈曲部14fcから突出部14の先端14feまでの第2部分14spとを含む。また、突出部14の先端14feは、屈曲部14fcに対して本体部12側に位置し、第2部分14spは、第1部分14fpと部材100との間に位置する。そして、第2部分14spの少なくとも一部分は、部材100に接触する。
このように、本実施形態では、第2部分14spが、第1部分14fpと部材100との間に存在するため、第2部分14spが存在しない態様と比較して、部材100を複数の突出部14によって強く挟むことができる。このため、本実施形態では、第2部分14spが存在しない態様と比較して、部材100に仮止めしたガスケット10が脱落する可能性を低減できる。
なお、第2部分14spが存在しない場合、複数の突出部14が部材100を挟み込む力は、本体部12の縁部12edと突出部14との間に生じる変形を元に戻すための復元力(反力)のみに依存する。これに対し、本実施形態では、本体部12の縁部12edと突出部14との間に生じる変形を元に戻すための第1の復元力に加えて、屈曲部14fcに生じる変形を元に戻すための第2の復元力により、部材100を挟み込む。このため、本実施形態では、脱落の抑制に加えて、第1の復元力の低減による本体部12の損傷の低減、及び、ガスケット10の装着のしやすさの向上等の効果を奏する。
例えば、複数の突出部14が部材100を挟み込む場合、本実施形態では、突出部14の屈曲部14fcが主に変形するため、屈曲部14fcに発生した反力を、部材100を押す力Fとして主に利用することができる。このため、本実施形態では、ガスケット10の製造において、例えば、突出部14と本体部12とのなす角度等の寸法精度を緩和しても、部材100を押す力Fの製造ばらつき(締め代の製造ばらつき)を抑制することができる。本実施形態では、部材100を押す力Fの製造ばらつきを抑制できるため、ガスケット10を部材100に仮止めする際の装着のし易さが低下することを抑制しつつ、部材100に仮止めしたガスケット10の脱落を抑制することができる。
また、本実施形態では、複数の突出部14の各々の第2部分14spは、曲面形状を有する。この場合、第2部分14spにおける曲面の部分が部材100の側面100sdに接触する。このため、本実施形態では、部材100の側面100sdが傷つくことを抑制できる。
また、本実施形態では、複数の突出部14の各々の屈曲部14fcは、曲面形状を有する。この場合、例えば、複数の突出部14間に部材100が挟み込まれたことにより屈曲部14fcの形状が変化した際に屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中することを、突出部14が屈曲部14fcにおいて鋭角に折り返されている場合に比べて、抑制することができる。屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中すると、屈曲部14fcにかかる力が特定の部分に集中していない場合に比べて、屈曲部14fcが損傷し易くなるおそれがある。すなわち、本実施形態では、屈曲部14fcが損傷することを抑制できる。
また、本実施形態では、複数の突出部14が部材100を挟んでいない場合における第2部分14sp間の距離W10は、複数の突出部14が部材100を挟んでいる場合における第2部分14sp間の距離W20よりも短い。なお、第2部分14sp間の距離W(W10及びW20)は、例えば、複数の突出部14のうち、一の突出部14が有する第2部分14spと他の突出部14が有する第2部分14spとの距離Wである。本実施形態では、距離W10が距離W20より短いため、例えば、複数の突出部14間に部材100が挟み込まれた場合、第2部分14spにおける部材100の側面100sdに接触している部分から、部材100の側面100sdを押す力Fを発生させることができる。これにより、本実施形態では、部材100に仮止めしたガスケット10の脱落を抑制することができる。
[2.変形例]
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で併合してもよい。
[変形例1]
上述した実施形態では、突出部14における第1部分14fpの形状については特に説明していないが、突出部14における第1部分14fpは、部材100側とは反対側に凸となる屈曲部を有してもよい。
図5は、変形例1に係るガスケット10Aを+Z方向から見た側面図である。図1から図3において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5に示すガスケット10Aは、第1部分14Afpが屈曲部14Asc(「第2屈曲部」の一例)を有する点において、図1から図3に示したガスケット10と相違する。例えば、ガスケット10Aは、本体部12と、本体部12と一体に形成される2つの突出部14Aとを有する。
突出部14Aは、屈曲部14Afcと、本体部12の縁部12edから屈曲部14Afcまでの第1部分14Afpと、屈曲部14Afcから突出部14Aの先端14Afeまでの第2部分14Aspとを有する。屈曲部14Afc及び第2部分14Aspは、図2に示した屈曲部14fc及び第2部分14spと同様である。
第1部分14Afpは、部材100側とは反対側に凸となる屈曲部14Ascを有する。例えば、突出部14Aは、本体部12の縁部12edにおいて、本体部12と突出部14Aとのなす角度αが鈍角となるように、+Y方向に向かって折り曲げられている。そして、突出部14Aは、屈曲部14Ascにおいて、屈曲部14Afcが屈曲部14Ascより部材100側に位置するように、折り曲げられている。
ガスケット10Aでは、例えば、2つの突出部14A間に部材100が挟み込まれた場合、突出部14Aの形状を変形させる力は、主に屈曲部14Afcに加わり、残りの力が屈曲部14Asc及び本体部12の縁部12ed等に分散する。このため、ガスケット10Aでは、屈曲部14Ascの形状が変形することにより、屈曲部14Ascが設けられていないガスケット10に比べて、本体部12の縁部12edが変形することを抑制できる。すなわち、変形例1では、部材100を押す力Fを大きくしすぎた場合(締め代を大きくしすぎた場合)でも、屈曲部14Ascが設けられていない構成に比べて、本体部12の形状が変形することを抑制できる。
[変形例2]
上述した実施形態及び変形例1では、突出部14の屈曲部14fc又は突出部14Aの屈曲部14Afcが曲面形状を有する態様を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、突出部14は、屈曲部14fcにおいて鋭角に折り返されてもよい。また、例えば、突出部14Aは、屈曲部14Afcにおいて鋭角に折り返されてもよい。
図6は、変形例2に係るガスケット10Bを+Z方向から見た側面図である。図1から図5において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図6に示すガスケット10Bは、突出部14Bが屈曲部14Bfcにおいて鋭角に折り返されている点において、図1から図3に示したガスケット10と相違する。例えば、ガスケット10Bは、本体部12と、本体部12と一体に形成される2つの突出部14Bとを有する。
突出部14Bは、屈曲部14Bfcと、本体部12の縁部12edから屈曲部14Bfcまでの第1部分14Bfpと、屈曲部14Bfcから突出部14Bの先端14Bfeまでの第2部分14Bspとを有する。第1部分14Bfp及び第2部分14Bspは、図2に示した第1部分14fp及び第2部分14spと同様である。ガスケット10Bでは、突出部14Bは、屈曲部14Bfcを曲面形状に仕上げることなく、屈曲部14Bfcにおいて、鋭角に折り返されている。このため、ガスケット10Bでは、屈曲部14fcが曲面形状を有するガスケット10に比べて、突出部14Bを容易に形成することができる。
図7は、変形例2に係る別のガスケット10Cを+Z方向から見た側面図である。図1から図6において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図7に示すガスケット10Cは、突出部14Cが屈曲部14Cfcにおいて鋭角に折り返されている点において、図5に示したガスケット10Aと相違する。例えば、ガスケット10Cは、本体部12と、本体部12と一体に形成される2つの突出部14Cとを有する。
突出部14Cは、屈曲部14Cfcと、本体部12の縁部12edから屈曲部14Cfcまでの第1部分14Cfpと、屈曲部14Cfcから突出部14Cの先端14Cfeまでの第2部分14Cspとを有する。第1部分14Cfp及び第2部分14Cspは、図5に示した第1部分14Afp及び第2部分14Aspと同様である。また、屈曲部14Cfcは、図6に示した屈曲部14Bfcと同様である。すなわち、突出部14Cは、屈曲部14Cfcを曲面形状に仕上げることなく、屈曲部14Cfcにおいて、鋭角に折り返されている。したがって、ガスケット10Cにおいても、屈曲部14Afcが曲面形状を有するガスケット10Aに比べて、突出部14Cを容易に形成することができる。
変形例2においても、上述した実施形態又は変形例1と同様の効果を得ることができる。さらに、変形例2では、ガスケット10Bの突出部14Bを、屈曲部14fcが曲面形状を有するガスケット10に比べて、容易に形成することができる。あるいは、変形例2では、ガスケット10Cの突出部14Cを、屈曲部14Afcが曲面形状を有するガスケット10Aに比べて、容易に形成することができる。
[変形例3]
上述した変形例2では、突出部14Bの第2部分14Bsp及び突出部14Cの第2部分14Cspが曲面形状を有する態様を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、突出部14Bの第2部分14Bsp、又は、突出部14Cの第2部分14Cspは、部材100側に凸となる屈曲部を有してもよい。
図8は、変形例3に係るガスケット10Dを+Z方向から見た側面図である。図1から図7において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図8に示すガスケット10Dは、第2部分14Dspが屈曲部14Dtc(「第3屈曲部」の一例)を有する点において、図6に示したガスケット10Bと相違する。例えば、ガスケット10Dは、本体部12と、本体部12と一体に形成される2つの突出部14Dとを有する。
突出部14Dは、屈曲部14Dfcと、本体部12の縁部12edから屈曲部14Dfcまでの第1部分14Dfpと、屈曲部14Dfcから突出部14Dの先端14Dfeまでの第2部分14Dspとを有する。第1部分14Dfp及び屈曲部14Dfcは、図6に示した第1部分14Bfp及び屈曲部14Bfcと同様である。ガスケット10Dでは、突出部14Dの第2部分14Dspは、部材100側に凸となる屈曲部14Dtcを有する。そして、2つの突出部14Dの一方の屈曲部14Dfcと他方の屈曲部14Dfcとが部材100を挟み込むことにより、ガスケット10Dが部材100に仮止めされる。ガスケット10Dでは、第2部分14Dspを曲面形状に仕上げる必要がないため、第2部分14Bspが曲面形状を有するガスケット10Bに比べて、突出部14Dを容易に形成することができる。
図9は、変形例3に係る別のガスケット10Eを+Z方向から見た側面図である。図1から図8において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図9に示すガスケット10Eは、第2部分14Espが屈曲部14Etcを有する点において、図7に示したガスケット10Cと相違する。例えば、ガスケット10Eは、本体部12と、本体部12と一体に形成される2つの突出部14Eとを有する。
突出部14Eは、屈曲部14Efcと、本体部12の縁部12edから屈曲部14Efcまでの第1部分14Efpと、屈曲部14Efcから突出部14Eの先端14Efeまでの第2部分14Espとを有する。第1部分14Efp及び屈曲部14Efcは、図7に示した第1部分14Cfp及び屈曲部14Cfcと同様である。また、第2部分14Espは、図8に示した第2部分14Dspと同様である。すなわち、突出部14Eの第2部分14Espは、部材100側に凸となる屈曲部14Etcを有する。したがって、ガスケット10Eにおいても、第2部分14Espを曲面形状に仕上げる必要がないため、第2部分14Cspが曲面形状を有するガスケット10Cに比べて、突出部14Eを容易に形成することができる。
変形例3においても、部材100の側面100sdが傷つくことを抑制する効果を除いて、上述した変形例2と同様の効果を得ることができる。さらに、変形例3では、ガスケット10Dの突出部14Dを、第2部分14Bspが曲面形状を有するガスケット10Bに比べて、容易に形成することができる。また、変形例2では、ガスケット10Eの突出部14Eを、第2部分14Cspが曲面形状を有するガスケット10Cに比べて、容易に形成することができる。
なお、例えば、突出部14の形状は、図2、図5、図6、図7、図8及び図9に示した形状に限定されず、突出部14の先端14feが、屈曲部14fcに対して本体部12側の位置で、かつ、第1部分14fpと部材100との間に位置する形状であればよい。したがって、突出部14の形状は、突出部14の先端14feが、屈曲部14fcに対して本体部12側の位置で、かつ、第1部分14fpと部材100との間に位置する形状であれば、製造装置及び製造方法に適した製造し易い形状であってもよい。
[変形例4]
上述した実施形態、及び、変形例1から変形例3までの各変形例では、突出部14、14A、14B、14C、14D又は14Eが2つ設けられる態様を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、突出部14の数は、3つ以上でもよい。
例えば、-Y方向から見た部材100のフランジの形状が円形である場合、ガスケット10は、-Y方向から見た本体部12の形状が円形になるように形成されてもよい。この場合、3つの突出部14が、ガスケット10における本体部12の縁部12edに設けられてもよい。例えば、3つの突出部14のうちの一の突出部14と部材100のフランジの中心とを結ぶ線と、他の突出部14と部材100のフランジの中心とを結ぶ線とのなす角度は、120度であってもよい。
また、例えば、-Y方向から見た部材100のフランジの形状が六角形である場合、ガスケット10は、-Y方向から見た本体部12の形状が六角形になるように形成されてもよい。この場合、6つの突出部14が、ガスケット10における本体部12の縁部12edに設けられてもよい。すなわち、六角形の本体部12の各辺に突出部14が設けられてもよい。なお、-Y方向から見た本体部12の形状が六角形の場合でも、互いに対向する2つの突出部14のみが設けられてもよい。