JP7365045B2 - 分析システム - Google Patents
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Description
本手法は、シャーレ内で作製した2倍系列希釈の薬剤液添加寒天培地に前培養した試験菌液を塗沫し、シャーレを37℃の培養温度に保持されているインキュベータ内に入れ、試験菌が微生物などの細菌なら18~20時間、真菌なら48時間の時間の間培養し、試験菌の培養状態を顕微鏡観察する方法で、試験菌の発育が完全に阻止された最小濃度の評価に用いられる。
インキュベータ内の温度は所定の培養温度(37℃)に保持されているため、シャーレ内の気相部は培養液からの水蒸気で飽和状態になっている。従って、シャーレがインキュベータ外部の室温環境下に置かれると、気相部に接するシャーレの光透過面の内面には、温度差により結露が生じてしまう。この結果、顕微鏡の照明光、特に位相差観察のためのリング照明がこの結露面で散乱し、適正な位相差効果が得られないという問題が生じていた。シャーレの蓋を取って観察すれば、結露に起因する問題はなくなるが、空中の落下菌などによるコンタミネーションの危険が生ずる。
然るに、培養状態の観察に際して寒天培地に照射される照明光は、必要に応じてコンデンサレンズにより集光された白色光を含む光が用いられ、この照明光には、多くの熱線成分が含まれている。このため、長時間の観察はもとより短時間でも試験菌の温度が上昇するおそれがある。例えば、培養液の量にもよるが、照明光により試験菌の温度が1分間で数度上昇することが確認されている。
このように、照明光を培養容器(寒天培地)に単に照射することは、危険な状態とも言え、培養状態の観察に際しては、培養対象の温度を所定の培養温度に維持することが必要とされる。
この特許文献1に記載の培養観察装置は、培養対象である微生物が培養可能に構成された筐体内に設けられた照明ユニットによりシャーレ内の寒天培地に照明光を照射し、筐体内に設けられ2次元エリアセンサを備えたカメラユニットにより寒天培地を撮像することで、微生物の培養を行いつつ、微生物の増加状況が観察(コロニー数の計測)可能であるとされている。
しかしながら、インキュベータ内の培養容器についてラインセンサを用いて広域のイメージングを行うためには、撮像モジュールを駆動する駆動部などが必要であって、ラインセンサをインキュベータに一体に設けた場合には、装置自体が概して大型のものとなってしまう、といった問題がある。
また、前記照明装置は、前記培養面に平行光を照射するよう構成されていることが好ましい。
また、前記チャンバ内に供給される温調された空気の温度を測定する温度測定手段が前記供給用通風口に近接した位置に設けられており、前記温度測定手段の出力に基づいて前記ヒーターの動作状態がPID制御されることが好ましい。
しかも、培養対象の培養状態の分析するに際して、培養容器を一定の培養温度に保持された環境から取り出す必要がない。このため、培養容器に生ずる結露によって照明光が散乱するなどして撮像モジュールによる光センシングが妨げられることがなく、適正な位相差効果を得ることができる。従って、培養対象とバックグランドとのコントラストの高い画像を取得することができ、分析結果に高い信頼性を得ることができる。
さらにまた、培養容器を保持するステージが駆動可能に構成されることで培養容器内の培養面を走査可能に構成され、ラインセンサカメラにより構成される撮像モジュールのみが培養対象を培養可能に構成されたチャンバに一体に設けられた構成とされるので、分析システム自体の小型化を図ることができる。
本願請求項5に係る構成によれば、チャンバ内の温度をより精度よく制御することが可能となる。
この分析システムは、培養容器15が内部に収容され培養対象を培養可能に構成されたチャンバ10と、培養容器15における培養領域の画像を取得する光センシング部30と、チャンバ10内の雰囲気温度が一定の培養温度に保持されるよう制御可能に構成された温調装置50と、取得された画像を解析する解析装置(不図示)とを備えている。
培養容器15としては、例えばシャーレ(ペトリ皿)などの開放系容器が用いられ、蓋16が下方に位置される姿勢(皿17内に作製された培地18が上方側に位置される姿勢)で保持される。
ステージ20は、水平に延びる天板部21と、天板部21の一側縁における中央部に連続して下方に延びる支持板部22と、支持板部22の下端に連続して水平に延びる基板部23とを有し、側面視にて略コの字状の形態をなすように構成されている。
ステージ駆動機構28は、例えばアクチュエータにより構成することができる。
撮像モジュール31としてラインセンサカメラが用いられることにより、広域のイメージングを行うことができるため、微小なコロニーの形成や成長を同時多並列にモニタリングすることができる。しかも、培養対象の培養経過を高い時間分解能で経時的に記録することが可能であり、時間経過に伴う変化を生じないバックグラウンドに対して、動的変化を示すコロニー像をシグナルとして判別することにより、コロニー形成の迅速な判定が可能となる。
センサアレイ32における各々の撮像素子33の受光面と培養容器15における皿17の底面との離間距離dは、5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1~3mmである。
透過照明光学系41が平行光を培養容器15に照射するよう構成されていることにより、培養容器15に対する均一な照明を行うことができるため、培養対象とバックグラウンドとのコントラストが高く培養対象をより精度良く強調した画像を得ることができる。
コリメート光学系45は、光軸が照明用光源42の光軸と一致する状態で配置された一対の平凸レンズ46a,46bと、光軸が照明用光源42の光軸に対して直交方向(鉛直方向)に延びるように配置された平凸レンズ47と、平凸レンズ46bからの光を平凸レンズ47に向かって反射する反射部材48とにより構成されている。
このような照明用光源42によれば、照明光に含まれる熱線成分(近赤外光以上の波長成分)が培養容器15に照射されることがないので、培養対象に対する熱的悪影響を軽減することができ、培養状態の分析を行うにあたって培養対象の培養(コロニーの形成や成長など)を阻害することを回避することができる。
なお、照明用光源42として、近赤外光以上の波長成分(熱線成分)を含む光が放射されるものが用いられる場合には、例えばバンドパスフィルターや熱線吸収フィルタといった熱線除去部材を照明光の光路上に設けた構成とすることで、同様の効果が得られる。
供給用通風口は、培養容器15がステージ20によって保持された高さ方向レベル位置において、温調された空気が培養容器15に直接的に吹き付けられることがないように形成されている。本実施形態においては、供給用通風口は、温調された空気が隣接する培養容器間に流れるようスリット状に形成されている。
また、排出用通風口は、隔壁部分の下方位置に形成されている。
チャンバ10内における供給用通風口の近傍位置には、温度測定手段55が配置されており、チャンバ10内の雰囲気の温度が所定の培養温度に保持されるように温度測定手段55の出力に基づいて、ヒーター53の動作状態がPID制御される。
また、コロニー像においては、菌体の単層ないし軽度の積層部分は高輝度部として、多層集積した中心部分は低輝度部として、さらに異なる積層状態の境界部では帯状の低輝度部として、それぞれ可視化される。したがって、得られた画像中のコロニー像の光学パターンから、コロニーの立体形状の推定が可能となる。
しかも、培養対象の培養状態の分析するに際して、培養容器15を一定の培養温度に保持された環境から取り出す必要がない。このため、培養容器15に生ずる結露によって照明光が散乱するなどして撮像モジュール31による光センシングが妨げられることがなく、適正な位相差効果を得ることができる。従って、培養対象とバックグランドとのコントラストの高い画像を取得することができ、分析結果に高い信頼性を得ることができる。
また、培養容器15を保持するステージ20が駆動可能に構成されることで撮像モジュール31が培養容器15内の培養領域を走査可能に構成され、ラインセンサカメラにより構成される撮像モジュール31のみが培養対象を培養可能に構成されたチャンバ10に一体に設けられた構成とされるので、分析システム自体の小型化を図ることができる。
11 断熱材
15 培養容器
16 蓋
17 皿
18 培地
20 ステージ
21 天板部
22 支持板部
23 基板部
24 容器保持部
25 光透過性部材
28 ステージ駆動機構
30 光センシング部
31 撮像モジュール
32 センサアレイ
33 撮像素子
40 照明装置
41 透過照明光学系
42 照明用光源
43 ピンホール
45 コリメート光学系
46a 平凸レンズ
46b 平凸レンズ
47 平凸レンズ
48 反射部材
50 温調装置
51 筐体
52 風洞部
53 ヒーター
54 循環ファン
55 温度測定手段
Claims (6)
- 一方向に駆動可能に構成され培養容器を保持するステージが内部に配置されたチャンバと、前記チャンバ内の雰囲気温度が一定温度に保持されるように制御可能に構成された温調装置と、前記チャンバ内に配置され前記培養容器を透過照明する照明装置と、前記培養容器における培養領域を撮像する撮像モジュールと、前記撮像モジュールによって取得される画像を解析する解析装置とを備え、
前記撮像モジュールは、前記一方向に直交する方向に延びるライン状の領域を撮像するセンサアレイを備えたラインセンサカメラにより構成され、前記ラインセンサカメラのセンサアレイが前記チャンバ内において対物レンズを介さずに前記培養容器に近接して配置されるように設けられ、
前記撮像モジュールには、前記センサアレイの発熱を排熱する排熱手段が設けられていることを特徴とする分析システム。 - 前記照明装置は、波長400nm以上500nm以下の範囲の光を放射する照明用光源を備えていることを特徴とする請求項1に記載の分析システム。
- 前記照明装置は、前記培養面に平行光を照射するよう構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分析システム。
- 前記温調装置は、前記チャンバの内部空間と区画された風洞部を形成する筐体と、前記風洞部に設けられた循環ファンと、前記循環ファンの吐出側の位置に設けられたヒーターとを備え、
前記チャンバの内部空間と前記風洞部を区画する隔壁部分には、温調された空気を前記チャンバ内に供給する供給用通風口および前記チャンバ内の環境雰囲気の空気を排出する排出用通風口が形成され、
前記供給用通風口は、前記培養容器が前記ステージによって保持されるレベル位置において、温調された空気が前記培養容器に直接的に吹き付けられることがないように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の分析システム。 - 前記チャンバ内に供給される温調された空気の温度を測定する温度測定手段が前記供給用通風口に近接した位置に設けられており、前記温度測定手段の出力に基づいて前記ヒーターの動作状態がPID制御されることを特徴する請求項4に記載の分析システム。
- 前記ステージは、前記一方向に並ぶ複数の培養容器保持部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の分析システム。
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JP2003116518A (ja) | 2001-10-12 | 2003-04-22 | Taiei Denki Kk | 生細胞観察用顕微鏡温度制御装置 |
JP2006174764A (ja) | 2004-12-22 | 2006-07-06 | Olympus Corp | 透過照明装置、それを備えた顕微鏡、及び透過照明方法 |
JP2013021960A (ja) | 2011-07-20 | 2013-02-04 | Atect Corp | 培養観察装置 |
JP2015154728A (ja) | 2014-02-20 | 2015-08-27 | 国立大学法人東京農工大学 | 細胞解析方法及び装置 |
JP2017201886A (ja) | 2016-05-09 | 2017-11-16 | 株式会社エアレックス | インキュベータ |
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