JP7363561B2 - インサートの配置方法 - Google Patents

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本発明はインサートの配置方法に関し、特にロボットハンドを用いたインサートの配置方法に関する。
特許文献1には、シリンダーライナーをボア中子金型の円柱状部に外挿してセットする方法が開示されている。特許文献2には、シリンダーライナー挿入のためのロボット装置が開示されている。
特開2005-016399号公報 特開平07-164263号公報
本願発明者等は、以下の課題を発見した。
このようなロボット装置の一例であるロボットハンドを用いて、断面円形状の孔を有するインサートを、金型の円柱状部に配置する場合がある。このような場合、円柱状部にアルミニウム凝固片等が付着していると、インサートをスムーズに挿入できなくなることがあった。すなわち、断面円形状の孔を有するインサートを金型の円柱状部に素早く配置することができないことがあった。
このような一具体例について説明する。図5に示す鋳造装置90では、金型91の円柱状部91aにアルミニウム凝固片AL91等が付着している場合がある。このような場合、筒状のインサート92の断面円形状の孔92aを円柱状部91aに合わせた後、インサート92を円柱状部91aの軸Z91に沿って金型91側へ並進移動させることによって、インサート92を円柱状部91aへ挿入する。しかし、インサート92は、アルミニウム凝固片AL91と衝突して、アルミニウム凝固片AL91から反力を受けて、インサート92の並進移動が妨げられて、スムーズに挿入できなくなることがあった。
本発明は、断面円形状の孔を有するインサートを金型の円柱状部に素早く配置するものとする。
本発明に係るインサートの配置方法は、
ロボットハンドを用いて、断面円形状の孔を有するインサートを金型の円柱状部に配置する方法であって、
前記インサートを前記円柱状部の軸周りに回転させながら、前記円柱状部の根元側に押し込んで、前記円柱状部に配置する。
このような構成によれば、アルミニウム凝固片が金型の円柱状部に付着しても、インサートを円柱状部の軸周りに回転させながら円柱状部の根元側に押し込む。そのため、インサートの回転方向及び円柱状部の軸方向の2方向へインサートからアルミニウム凝固片に力を与えて、アルミニウム凝固片を潰したり、円柱状部から脱離させたりする。これによって、インサートを円柱状部にスムーズに挿入するため、インサートを金型の円柱状部に素早く配置することができる。
また、前記インサートを前記円柱状部の根元側に押し込むことを開始してから、所定の時間が経過した後、前記配置するステップを行うことを特徴としてもよい。
このような構成によれば、インサートを円柱状部の根元側に押し込むことを開始してから、所定の時間が経過した後、インサートを回転させる。これによって、アルミニウム凝固片がインサートの押し込みにかかる時間を遅延させない場合、インサートを回転させることなく円柱状部の根元側に押し込むことができ、さらに円柱状部に素早く配置することができる。アルミニウム凝固片がインサートの押し込みにかかる時間を遅延させた場合、インサートを回転させつつ円柱状部の根元側に押し込むことができ、アルミニウム凝固片を潰す等して、インサートを円柱状部にスムーズに挿入するため、インサートを金型の円柱状部に素早く配置することができる。
また、前記インサートを前記円柱状部の根元側に押し込むことを開始してから、前記インサートが受ける反力が所定の値を超えた後、前記配置するステップを行うことを特徴としてもよい。
このような構成によれば、インサートを円柱状部の根元側に押し込むことを開始してから、インサートが受ける反力が所定の値を超えた後、インサートを回転させる。これによって、アルミニウム凝固片からインサートへの反力が所定の値を超えない場合、インサートを回転させることなく円柱状部の根元側に押し込むことができ、さらに円柱状部に素早く配置することができる。アルミニウム凝固片からインサートへの反力が所定の値を超えた場合、インサートを回転させつつ円柱状部の根元側に押し込むことができ、アルミニウム凝固片を潰す等して、インサートを円柱状部にスムーズに挿入するため、インサートを金型の円柱状部に素早く配置することができる。
本発明は、断面円形状の孔を有するインサートを金型の円柱状部に素早く配置することができる。
実施の形態1に係るインサートの配置方法を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る実施の形態1に係るインサートの配置方法において使用可能な装置を示す概略図である。 実施の形態1に係るインサートの配置方法の一部を示す概略図である。 実施の形態1に係るインサートの配置方法の一部を示す概略図である。 従来技術に係るインサートの配置方法を示す概略図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施の形態1)
図1~図4を参照して実施の形態1に係るインサートの配置方法について説明する。図1は、実施の形態1に係るインサートの配置方法を示すフローチャートである。図2は、実施の形態1に係るインサートの配置方法において使用可能な装置を示す概略図である。図3及び図4は、実施の形態1に係るインサートの配置方法の一部を示す概略図である。図3及び図4では、分かり易さのため、ロボットアーム3の図示を省略した。
なお、当然のことながら、図2及びその他の図面に示した右手系XYZ座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、Z軸プラス向きが鉛直上向き、XY平面が水平面であり、図面間で共通である。
実施の形態1に係るインサートの配置方法では、図2に示す鋳造装置10を使用することができる。鋳造装置10は、図示しない鋳造機と、金型1と、ロボットアーム3と、を備えるロボットアーム3は、複数のアーム3aと、ハンド3bと、複数の関節3cと、制御部3dとを備える。
複数のアーム3aは、複数の関節3cを介して互いに機械的に接続されている。アーム3aの先端3a1には、ハンド3bが取り付けられている。アーム3a同士が、所定の角度に達するまで回動することによって、ハンド3bを所定の三次元空間の所定の位置に移動させることができる。
ハンド3bは、把持対象物、例えば、インサート2等を把持することができる。ハンド3bは、把持対象物を把持したまま、アーム3aの軸周りに回転可能に、アーム3aの先端3a1に取り付けられている。これによって、ロボットアーム3は、インサート2をハンド3bに把持して回転させたまま、並進移動させることができる。ハンド3bは、荷重センサ3eを取り付けられているとよい。荷重センサ3eは、ハンド3bにかかる荷重を検出する。ハンド3bにかかる荷重は、ハンド3bがインサート2を把持した場合、インサート2が受ける反力に相当する。
関節3cは、駆動部、例えば、サーボモータを備える。制御部3dは、荷重センサ3eから、ハンド3bにかかる荷重を示す信号を取得する。制御部3dは、関節3c及びハンド3bがそれぞれ備える駆動部に、制御信号を送る。関節3cの駆動部は、その送られた制御信号に応じて、アーム3a同士を回動させたり、又はその回動を停止したりしてもよい。ハンド3bの駆動部は、その送られた制御信号に応じて、把持対象物を把持したまま、アーム3aの軸周りに回転させたり、又はその回転を停止したりしてもよい。その送られた制御信号の内容は、ハンド3bにかかる荷重やインサート2の配置方法を開始した時点から経過した時間に応じて、決定してもよい。
制御部3dは、ハードウェア構成として、コンピュータを利用することができる。制御部3dは、具体的には、制御装置、中央処理演算装置、各種プログラムを記憶した記憶媒体、ユーザが入出力可能なインタフェース等を備えるとよい。制御装置が記憶媒体に記憶された各種プログラムを読み込み、中央処理演算装置が各種プログラムに従って実行する。さらに、制御部3dは、図示しない計時部を備えてもよい。当該計時部は、インサート2の配置方法を開始した時点から経過した時間を検出し、経過した時間を示す信号を制御部3dに送ってもよい。
なお、制御部3d等が備える記憶媒体に記録されたプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
本実施の形態1に係るインサートの配置方法では、ロボットアーム3を用いて、断面円形状の孔2aを有するインサート2を金型1の円柱状部1aに配置する。インサート2は鋳込まれることによって、所定の鋳造製品を構成する部材である。インサート2は、例えば、シリンダーライナーである。シリンダーライナーは、車両に搭載されるエンジンのシリンダブロックのシリンダ部分に鋳込まれて利用される。
具体的には、まず、ロボットアーム3によって、インサート2を把持し、金型1の円柱状部1aに接近移動させる(インサート接近ステップST1)。なお、金型1の円柱状部1aの外周面には、アルミニウム凝固片AL1が付着している。アルミニウム凝固片AL1は、例えば、金型1を用いて連続して複数のアルミニウム鋳造製品を製造した場合、アルミニウム鋳造製品を構成する予定のアルミニウム溶湯が凝固して形成されたものである。金型1は、鋳造用金型やダイカスト金型として利用することができる。当該鋳造用金型や当該ダイカスト金型は、例えば、アルミニウム製品を形成するために利用することができる。円柱状部1aは、Z軸上に延びる円柱状体を有する。
続いて、図3に示すように、インサート2を円柱状部1aの軸Z1周りに回転させながら、円柱状部1aの根元側(ここでは、Z軸プラス側)に押し込む(インサート回転押込ステップST2)。
インサート回転押込ステップST2におけるインサート2の回転角度は、幅広い範囲の角度値を設定してもよく、1度以上360度以下の範囲内にある角度値であるとよい。例えば、インサート2の回転角度値の下限値は、1度、30度、45度、60度、90度、135度、180度、又は270度のいずれかであるとよい。例えば、インサート2の回転角度値の上限値は、360度、270度、180度、135度、90度、45度、又は30度のいずれかであるとよい。
インサート2を円柱状部1aの軸Z1周りに回転させながら、円柱状部1aの根元側に押し込むと、インサート2がアルミニウム凝固片AL1に当たる。インサート2は、円柱状部1aの軸Z1周りに回転しつつ円柱状部1aの根元側へ並進移動している。そのため、インサート2は、アルミニウム凝固片AL1に、軸Z1周りに回転する回転方向、及び軸Z1に沿う直線方向(ここでは、Z軸プラス側)の2方向へ力を与える。この力によって、アルミニウム凝固片AL1を潰したり、円柱状部1aから脱落させたりする。インサート2は、アルミニウム凝固片AL1からの反力を受けなくなる。よって、図4に示すように、インサートを円柱状部1aの根元側端部にまでスムーズに挿入することができる。従って、インサートを金型の円柱状部に素早く配置することができる。ここで、ハンド3bにかかる荷重は、ハンド3bがインサート2を把持して円柱状部1aに挿入する場合、インサート2の挿入抵抗力に相当する。
なお、インサート2を金型1の円柱状部1aに配置した後、溶湯を金型1へ射出充填し、鋳造製品を形成する。ここで、インサート2は鋳込まれることによって、鋳造製品を構成することになる。
以上より、実施の形態1に係るインサートの配置方法によれば、インサート2を回転させつつ円柱状部1aに押し込むため、アルミニウム凝固片AL1を潰したり、円柱状部1aから脱落させたりする。そのため、インサート2は、アルミニウム凝固片AL1からの反力を受けなくなり、インサート2を円柱状部1aの根元側端部にまでスムーズに挿入することができる。従って、インサート2を金型1の円柱状部1aに素早く配置することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
例えば、上記した実施の形態1に係るインサートの配置方法のインサート回転押込ステップST2では、インサート2を円柱状部1aの軸Z1周りに回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んだが、インサート2を回転させることなく円柱状部1aの根元側に押し込み、その押し込みを開始した時点から所定の時間が経過した後、インサート回転押込ステップST2を行ってもよい。このようなインサートの配置方法によれば、インサート2を円柱状部1aの根元側に押し込むことを開始してから、所定の時間が経過した後、インサート2を回転させる。これによって、アルミニウム凝固片AL1がインサート2の押し込みにかかる時間を遅延させない場合、インサート2を回転させることなく円柱状部1aの根元側に押し込むことができ、さらに円柱状部1aに素早く配置することができる。アルミニウム凝固片AL1がインサート2の押し込みにかかる時間を遅延させた場合、インサート2を回転させつつ円柱状部1aの根元側に押し込むことができ、アルミニウム凝固片AL1を潰す等して、インサート2を円柱状部1aにスムーズに挿入するため、インサート2を金型1の円柱状部1aに素早く配置することができる。
また、インサート2を回転させることなく円柱状部1aの根元側に押し込み、その押し込みを開始してからインサート2が受ける反力が所定の値を超えた場合、インサート回転押込ステップST2を行ってもよい。このようなインサートの配置方法によれば、インサート2を円柱状部1aの根元側に押し込むことを開始してから、インサート2が受ける反力が所定の値を超えた後、インサート2を回転させる。これによって、アルミニウム凝固片AL1からインサート2への反力が所定の値を超えない場合、インサート2を回転させることなく円柱状部1aの根元側に押し込むことができ、さらに円柱状部1aに素早く配置することができる。アルミニウム凝固片AL1からインサート2への反力が所定の値を超えた場合、インサート2を回転させつつ円柱状部1aの根元側に押し込むことができ、アルミニウム凝固片AL1を潰す等して、インサート2を円柱状部1aにスムーズに挿入するため、インサート2を金型1の円柱状部1aに素早く配置することができる。
また、上記した実施の形態1に係るインサートの配置方法のインサート回転押込ステップST2では、インサート2を円柱状部1aの軸Z1周りに回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んだが、インサート2を所定時間、円柱状部1aの軸Z1周りに所定の方向に回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んだ後、インサート2をその逆の方向に回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んでもよい。言い換えると、インサート2の回転方向は、所定の方向と、その逆方向とに所定の時間ごとに繰り返し変更してもよい。
また、上記インサート回転押込ステップST2では、インサート2を円柱状部1aの軸Z1周りに回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んだが、インサート2を所定時間、円柱状部1aの軸Z1周りに所定の方向に回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んだ後、インサート2を一旦、円柱状部1aの先端側(ここでは、Z軸マイナス側)に戻して、さらに円柱状部1aの軸Z1周りに所定の方向に回転させながら円柱状部1aの根元側に押し込んでもよい。インサート2を円柱状部1aの軸Z1周りに所定の方向に回転させつつ円柱状部1aの軸Z1に沿って円柱状部1aの先端側と根元側とを往復するように移動させて、最終的には、円柱状部1aの根元側に押し込んでもよい。このようなインサート2の押し込みを行うと、アルミニウム凝固片AL1に打撃を与えることによって、アルミニウム凝固片AL1の圧潰や脱落を図ることができてよい。
また、上記した実施の形態1に係るインサートの配置方法では、1つのインサート2を1つの円柱状部1aに配置したが、複数のインサート2を複数の円柱状部1aにそれぞれ配置してもよい。このようなインサート2の配置方法は、多様な鋳造製品に適用することができてよい。
ST1 インサート接近ステップ ST2 インサート回転押込ステップ
10 鋳造装置
1 金型 1a 円柱状部
2 インサート 2a 孔
3 ロボットアーム
3a アーム 3a1 先端
3b ハンド 3c 関節
3d 制御部 3e 荷重センサ
AL1 アルミニウム凝固片 Z1 軸

Claims (1)

  1. ロボットハンドを用いて、断面円形状の孔を有するインサートを金型の円柱状部に配置する方法であって、
    前記インサートを所定時間、前記円柱状部の軸周りに所定の方向に回転させながら、前記円柱状部の根元側に押し込んだ後、前記インサートを一旦、前記円柱状部の先端側に戻して、さらに前記円柱状部の軸周りに前記所定の方向に回転させながら前記円柱状部の根元側に押し込んで、前記円柱状部に配置するステップを含む、
    インサートの配置方法。
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