JP7363408B2 - 動力伝達装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に使われる動力伝達装置および画像形成装置に関する。
従来、モータからの駆動力を被駆動体に伝達可能な動力伝達装置として、サンギヤ、リングギヤ、キャリアおよびプラネタリギヤを有する遊星歯車機構と、サンギヤと一体に設けられ、回転が規制されることでリングギヤに入力された駆動力をキャリアに伝達でき、回転自在となることでリングギヤに入力された駆動力をキャリアに伝達しないラチェット部と、ラチェット部の突起部に噛み合う爪部を有する規制アームと、ばねの作用により規制アームを爪部を接触部に噛み合わせてラチェット部の回転を規制する状態とソレノイドにより規制アームを爪部を突起部から離間させてラチェット部を回転自在とする状態とに切り替える切換手段とを備えるものが知られている(特許文献1)。
この技術では、モータが正回転する場合およびモータが逆回転する場合の両方の場合で、切換手段によって動力伝達装置を駆動連結された状態と遮断された状態とを切り替えることにより、被駆動体である現像ローラの駆動と停止を切り換えている。
特開2013-113971号公報
ところで、ラチェット部に設けられた突起部の一方の回転方向を向く面を傾斜面とし、モータが逆回転する場合に、回転するラチェット部の傾斜面を規制アームの爪部が滑って突起部を乗り越えられるようにすれば、ラチェット部は回転自在となる。そうすると、モータが逆回転する場合に、ソレノイドによって規制アームを動かさなくても、リングギヤに入力された駆動力をキャリアに伝達しない構成を実現することができる。一方で、このような構成では、回転するラチェット部の突起部が規制アームを弾く音、すなわち、騒音が発生する可能性がある。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、騒音の発生を抑制することができる動力伝達装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
前記した目的を達成するため、本発明の動力伝達装置は、画像形成装置において、モータからの駆動力を被駆動体に伝達可能な動力伝達装置であって、遊星歯車機構と、切替部材と、係合部材と、ワンウェイクラッチと、を備える。
遊星歯車機構は、モータから駆動力が入力される入力要素と、被駆動体に駆動力を出力する出力要素と、回転が規制された場合に入力要素から出力要素に駆動力を伝達可能とし、回転が規制されない場合に入力要素から出力要素に駆動力を伝達しない伝達要素とを有する。
切替部材は、凸部を有し、伝達要素と一体に回転可能である。
係合部材は、凸部に係合して伝達要素の回転を規制する係合位置と凸部から離脱して伝達要素の回転を規制しない離脱位置との間で移動可能である。
ワンウェイクラッチは、伝達要素と切替部材の間に位置し、モータが正回転する場合に伝達要素の回転を切替部材に伝達し、モータが逆回転する場合に伝達要素の回転を切替部材に伝達しない。
そして、動力伝達装置は、係合部材が離脱位置に位置する場合は、モータが正回転する場合およびモータが逆回転する場合の両方の場合で、伝達要素が出力要素に対して空転することでモータからの駆動力を被駆動体に伝達しない。
また、動力伝達装置は、係合部材が係合位置に位置する場合は、モータが正回転する場合には、モータからの駆動力を被駆動体に伝達し、モータが逆回転する場合には、伝達要素が出力要素および切替部材に対して空転することでモータからの駆動力を被駆動体に伝達しない。
このような構成によれば、係合部材が係合位置に位置するときにモータが逆回転しても切替部材を回転させずに伝達要素を空転させることができる。そのため、入力要素から出力要素への駆動力の伝達を遮断しつつ、切替部材の凸部が係合部材を弾く音が発生しない。これにより、騒音の発生を抑制することができる。
前記した動力伝達装置において、遊星歯車機構は、サンギヤ、リングギヤ、キャリアおよびプラネタリギヤを有し、サンギヤ、リングギヤおよびキャリアのうち、1つが入力要素であり、入力要素以外の1つが出力要素であり、残りの1つが伝達要素である構成とすることができる。
前記した動力伝達装置においては、サンギヤが伝達要素であり、リングギヤが入力要素であり、キャリアが出力要素である構成とすることができる。
前記した動力伝達装置において、被駆動体は、現像ローラである構成とすることができる。
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、ローラと、モータと、モータからの駆動力をローラに伝達可能な動力伝達装置と、を備える画像形成装置であって、動力伝達装置は、遊星歯車機構と、切替部材と、係合部材と、ワンウェイクラッチと、を備える。
遊星歯車機構は、モータから駆動力が入力される入力要素と、ローラに駆動力を出力する出力要素と、回転が規制された場合に入力要素から出力要素に駆動力を伝達可能とし、回転が規制されない場合に入力要素から出力要素に駆動力を伝達しない伝達要素とを有する。
切替部材は、凸部を有し、伝達要素と一体に回転可能である。
係合部材は、凸部に係合して伝達要素の回転を規制する係合位置と凸部から離脱して伝達要素の回転を規制しない離脱位置との間で移動可能である。
ワンウェイクラッチは、伝達要素と切替部材の間に位置し、モータが正回転する場合に伝達要素の回転を切替部材に伝達し、モータが逆回転する場合に伝達要素の回転を切替部材に伝達しない。
そして、動力伝達装置は、係合部材が離脱位置に位置する場合は、モータが正回転する場合およびモータが逆回転する場合の両方の場合で、伝達要素が出力要素に対して空転することでモータからの駆動力をローラに伝達しない。
また、動力伝達装置は、係合部材が係合位置に位置する場合は、モータが正回転する場合には、モータからの駆動力をローラに伝達し、モータが逆回転する場合には、伝達要素が出力要素および切替部材に対して空転することでモータからの駆動力をローラに伝達しない。
このような構成によれば、騒音の発生を抑制することができる。
前記した画像形成装置において、遊星歯車機構は、サンギヤ、リングギヤ、キャリアおよびプラネタリギヤを有し、サンギヤ、リングギヤおよびキャリアのうち、1つが入力要素であり、入力要素以外の1つが出力要素であり、残りの1つが伝達要素である構成とすることができる。
前記した画像形成装置においては、サンギヤが伝達要素であり、リングギヤが入力要素であり、キャリアが出力要素である構成とすることができる。
前記した画像形成装置は、現像ローラを備え、ローラは、現像ローラである構成とすることができる。
前記した画像形成装置は、画像形成装置を構成する複数の部材のうちの1つであり、複数の異なる状態に切り替え可能な第1部材を備え、第1部材は、モータが正回転する場合にモータから駆動力を受けることで状態が切り替わるとともに、モータが逆回転する場合にモータから駆動力を受けることで状態が切り替わる構成とすることができる。
これによれば、モータが逆回転する場合の騒音の発生を抑制しつつ、1つのモータで現像ローラの駆動と第1部材の状態の切り替えを行うことができる。
前記した画像形成装置は、感光ドラムを備え、第1部材は、現像ローラであって、感光ドラムに接触する接触位置と、感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能であり、画像形成装置は、モータが正回転する場合にモータから駆動力を受けることで現像ローラを接触位置と離間位置との間で移動させるとともに、モータが逆回転する場合にモータから駆動力を受けることで現像ローラを接触位置と離間位置との間で移動させる移動機構を備える構成とすることができる。
前記した画像形成装置は、感光ドラムと、現像ローラと、を備え、ローラは、現像ローラであって、感光ドラムに接触する接触位置と、感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能であり、画像形成装置は、モータが正回転する場合にモータから駆動力を受けることで現像ローラを接触位置と離間位置との間で移動させるとともに、モータが逆回転する場合にモータから駆動力を受けることで現像ローラを接触位置と離間位置との間で移動させる移動機構を備える構成とすることができる。
前記した画像形成装置において、移動機構は、現像ローラを接触位置と離間位置との間で移動させる第1カム部と、第1カム部とともに回転する第2カム部とを有するカムを備え、係合部材は、第2カム部と接触可能であり、第2カム部から離間した場合に係合位置に位置し、第2カム部に接触した場合に離脱位置に位置する構成とすることができる。
本発明によれば、騒音の発生を抑制することができる。
実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。 モータ、駆動伝達機構および移動機構を右上から見た斜視図である。 モータ、駆動伝達機構および移動機構を右側から見た図である。 駆動伝達機構を左側から見た図である。 現像ローラが接触位置にあり、クラッチが伝達状態にあるときの、カム、カムフォロワ、係合部材を示す斜視図(a)と、側面図(b)である。 現像カートリッジの周辺を上から見た模式図であり、カムフォロワが待機位置に位置するとき(a)と、突出位置に位置するとき(b)を示す。 遊星歯車機構、切替部材およびワンウェイクラッチをサンギヤ側から見た斜視図(a)と、キャリア側から見た斜視図(b)である。 現像ローラが離間位置にあり、クラッチが切断状態にあるときの、カム、カムフォロワ、係合部材を示す斜視図(a)と、側面図(b)である。 係合部材が離脱位置に位置する場合のクラッチの動作を説明する図であり、モータが正回転するとき(a)と、モータが逆回転するとき(b)を示す。 係合部材が係合位置に位置する場合のクラッチの動作を説明する図であり、モータが正回転するとき(a)と、モータが逆回転するとき(b)を示す。
図1に示すように、実施形態に係る画像形成装置1は、カラープリンタであり、筐体10と、シート供給部20と、画像形成部30と、制御部2とを備えている。なお、本実施形態においては、図1の左側を前、右側を後、上下をそのまま上下とし、図1の紙面手前側を右、紙面奥側を左とする。
シート供給部20は、シートSがセットされるシートトレイ21と、供給機構22とを備えている。シートトレイ21は、画像形成部30の下方に配置され、筐体10から前側に引き出して取り外し可能である。供給機構22は、給紙ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、搬送ローラ26と、レジストレーションローラ27とを備えている。シートSは、画像形成装置1で画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
シートトレイ21に収容されたシートSは、給紙ローラ23により送り出された後、分離ローラ24と分離パッド25との間で1枚ずつに分離され、搬送ローラ26によりレジストレーションローラ27に向けて搬送される。その後、シートSは、回転が停止した状態のレジストレーションローラ27により前端の位置が規制された後、レジストレーションローラ27が回転することで画像形成部30に供給される。
画像形成部30は、露光装置40と、複数の感光ドラム50と、複数の現像カートリッジ60と、搬送装置70と、定着器80とを備えている。
露光装置40は、図示しないレーザダイオード、偏向器、レンズおよびミラーを備えている。露光装置40は、複数の感光ドラム50を露光する一点鎖線で示した複数の光ビームを発して、各感光ドラム50の表面を露光するように構成されている。
複数の感光ドラム50は、イエローに対応するY感光ドラム50Yと、マゼンタに対応するM感光ドラム50Mと、シアンに対応するC感光ドラム50Cと、ブラックに対応するK感光ドラム50Kとを含む。なお、本明細書および図面においては、各色に対応して設けられた部材について、色を区別して示す場合には、符号にY,M,C,Kを付し、色を区別しないで説明する場合には、符号にY,M,C,Kを付さない。
現像カートリッジ60は、複数の感光ドラム50のそれぞれに1つずつ対応して設けられている。複数の現像カートリッジ60は、Y感光ドラム50Yにトナーを供給するY現像ローラ61Yを有するY現像カートリッジ60Yと、M感光ドラム50Mにトナーを供給するM現像ローラ61Mを有するM現像カートリッジ60Mと、C感光ドラム50Cにトナーを供給するC現像ローラ61Cを有するC現像カートリッジ60Cと、K感光ドラム50Kにトナーを供給するK現像ローラ61Kを有するK現像カートリッジ60Kとを含む。
各現像ローラ61は、「被駆動体」、「第1部材」および「ローラ」に相当し、画像形成装置1を構成する複数の部材のうちの1つである。現像ローラ61は、複数の異なる状態に切り替え可能である。詳しくは、現像ローラ61は、図1に実線で示した、複数の感光ドラム50のうちの対応する感光ドラム50に接触する接触位置と、図1に仮想線で示した、対応する感光ドラム50から離間する離間位置との間で移動可能である。また、現像ローラ61は、後述するモータ3が正回転する場合にモータ3から駆動力を受けることで状態が切り替わるとともに、モータ3が逆回転する場合にモータ3から駆動力を受けることで状態が切り替わる。詳しくは、現像ローラ61は、モータ3が正回転する場合にモータ3から駆動力を受けることで接触位置と離間位置との間を移動するとともに、モータ3が逆回転する場合にモータ3から駆動力を受けることで接触位置と離間位置との間を移動する。
各現像カートリッジ60は、現像ローラ61が対応する感光ドラム50に接触する接触位置にある位置(実線参照)と、現像ローラ61が対応する感光ドラム50から離間する離間位置にある位置(仮想線参照)との間で移動可能である。
複数の感光ドラム50は、支持部材90に回転可能に支持されている。支持部材90には、各感光ドラム50に対応して配置された、感光ドラム50を帯電させるための帯電器52が設けられている。支持部材90は、筐体10のフロントカバー11を開くことで形成される開口から、筐体10に対して着脱可能である。また、支持部材90は、複数の現像カートリッジ60を着脱可能に支持する。
搬送装置70は、シートトレイ21と複数の感光ドラム50との間に設けられている。搬送装置70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状のベルトからなる搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に張設され、外側の面が各感光ドラム50に対向して配置されている。各転写ローラ74は、各感光ドラム50との間で搬送ベルト73を挟持するように搬送ベルト73の内側に配置されている。
定着器80は、複数の感光ドラム50および搬送装置70の後方に設けられている。定着器80は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に対向して配置された加圧ローラ82とを備えている。シートSの搬送方向における定着器80の下流側には、搬送ローラ15と、排出ローラ16が設けられている。
画像形成部30では、感光ドラム50の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置40から照射される光ビームにより露光される。これにより、感光ドラム50上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、現像カートリッジ60内に収容されたトナーは現像ローラ61の表面に担持され、接触位置に位置する現像ローラ61から感光ドラム50上に形成された静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム50上にトナー像が形成される。次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが搬送ベルト73上を搬送されて感光ドラム50と転写ローラ74との間を通過することで、感光ドラム50上のトナー像がシートSに転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、トナー像がシートSに熱定着される。その後、シートSは、搬送ローラ15および排出ローラ16により排紙トレイ13上に排出される。
次に、現像ローラ61を駆動・停止するための構成と、現像ローラ61を対応する感光ドラム50に対して接触・離間させるための構成について説明する。
図2に示すように、画像形成装置1は、モータ3と、駆動伝達機構100と、移動機構5とを備えている。
モータ3は、現像ローラ61と移動機構5の後述するカム150を駆動するためのモータである。モータ3は、正逆回転可能なモータである。本実施形態においては、画像形成装置1が画像形成する際のモータ3の回転方向を正回転とし、正回転と逆に回転する場合を逆回転とする。モータ3は、回転駆動する出力軸3Aを有し、出力軸3Aには、図示しないギヤが設けられている。モータ3は、制御部2により駆動が制御される。
駆動伝達機構100は、モータ3からの駆動力を現像ローラ61とカム150に伝達するための機構である。図3および図4に示すように、駆動伝達機構100は、駆動力を現像ローラ61に伝達するための第1ギヤ列100Dと、駆動力をカム150に伝達するための第2ギヤ列100Cとを有している。なお、図3および図4では、第1ギヤ列100Dを構成する各ギヤ同士の噛み合いを太い実線で示し、第2ギヤ列100Cを構成する各ギヤ同士の噛み合いを太い破線で示している。
図4に示すように、第1ギヤ列100Dは、アイドルギヤ110,113A,113B,113C,115と、動力伝達装置としてのクラッチ200と、カップリングギヤ117とを備えている。
カップリングギヤ117は、クラッチ200と噛み合い、一体に回転するカップリング軸119(図2参照)を有している。カップリング軸119は、フロントカバー11(図1参照)の開閉に連動して現像ローラ61の軸方向に移動可能であり、フロントカバー11を閉めると現像カートリッジ60の図示しないカップリングと係合してモータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達可能となる。
イエローのカップリングギヤ117Yは、モータ3から駆動力がアイドルギヤ110A,113A,115Yおよびクラッチ200を介して伝達される。マゼンタのカップリングギヤ117Mは、モータ3から駆動力がアイドルギヤ110A,113A,115Mおよびクラッチ200を介して伝達される。シアンのカップリングギヤ117Cは、モータ3から駆動力がアイドルギヤ110B,113B,115Cおよびクラッチ200を介して伝達される。ブラックのカップリングギヤ117Kは、モータ3から駆動力がアイドルギヤ110B,113B,115C,113C,115Kおよびクラッチ200を介して伝達される。クラッチ200の詳細な構成については後述する。
図3に示すように、第2ギヤ列100Cは、アイドルギヤ131~137と、YMCクラッチ140Aと、Kクラッチ140Kとを備えている。
YMCクラッチ140Aは、駆動力の伝達と切断を切り替えることで、カム150Y,150M,150Cの回転と停止を切り替える。YMCクラッチ140Aは、大径ギヤ140Lと小径ギヤ140Sを有し、大径ギヤ140Lがアイドルギヤ132Aと噛み合っており、小径ギヤ140Sがアイドルギヤ133Aと噛み合っている。
Kクラッチ140Kは、駆動力の伝達と切断を切り替えることで、カム150Kの回転と停止を切り替える。Kクラッチ140Kは、YMCクラッチ140Aと同じ構成を有し、大径ギヤ140Lがアイドルギヤ132Bと噛み合っており、小径ギヤ140Sがアイドルギヤ133Bと噛み合っている。
YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kは、電磁クラッチであり、通電してONとすることにより大径ギヤ140Lと小径ギヤ140Sが一体に回転し、通電を止めてOFFとすることにより大径ギヤ140Lが空転して小径ギヤ140Sが回転しない。YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140Kは、制御部2によりON・OFFが制御される。
イエローのカム150Yは、モータ3から駆動力がアイドルギヤ110A,131A,132A、YMCクラッチ140A、アイドルギヤ133A,134を介して伝達される。マゼンタのカム150Mは、駆動力がカム150Yからアイドルギヤ135を介して伝達される。シアンのカム150Cは、駆動力がカム150Mからアイドルギヤ136を介して伝達される。カム150Y,150M,150Cは、YMCクラッチ140AをONとすることにより同時に回転し、OFFとすることにより停止する。
ブラックのカム150Kは、モータ3から駆動力がアイドルギヤ110B,131B,132B、Kクラッチ140K、アイドルギヤ133B,137を介して伝達される。カム150Kは、Kクラッチ140KをONとすることにより回転し、OFFとすることにより停止する。
移動機構5は、現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させるための機構である。移動機構5は、モータ3が正回転する場合にモータ3から駆動力を受けることで現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させるとともに、モータ3が逆回転する場合にもモータ3から駆動力を受けることで現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させるように構成されている。移動機構5は、複数のカム150(150Y,150M,150C,150K)と、複数のカム150のそれぞれに1つずつ対応して設けられた複数のカムフォロワ170とを備えている。
カム150は、回転することにより、対応する現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させる部材である。図5に示すように、カム150は、円板部151と、円板部151の外周に形成されたギヤ部150Gと、第1カム部152と、第2カム部153と、被検出部154とを有している。
第1カム部152は、現像ローラ61を接触位置と離間位置との間で移動させる部分であり、円板部151から現像ローラ61の軸方向に突出している。第1カム部152は、軸方向における端面にカム面152Fを有している。カム面152Fは、第1保持面F11と、第2保持面F12と、第1案内面F13と、第2案内面F14とを有する。第1保持面F11は、カムフォロワ170を後述する待機位置に保持する面であり、第2保持面F12は、カムフォロワ170を後述する突出位置に保持する面である。第1案内面F13は、第1保持面F11と第2保持面F12を繋ぐ、第1保持面F11に対して傾斜した面であり、第2案内面F14は、第2保持面F12と第1保持面F11を繋ぐ、第1保持面F11に対して傾斜した面である。なお、図5等において、第1カム部152に付したドットハッチは、第2保持面F12を表している。
第2カム部153は、後述する係合部材230と協働してクラッチ200の伝達と切断を切り換える部分であり、円板部151の側面のうち、第1カム部152が配置された側面とは反対側の側面から現像ローラ61の軸方向に突出している。第2カム部153は、軸方向から見て、略円弧状に延びている。第2カム部153は、第1カム部152とともに円板部151と一体に形成されている。このため、第2カム部153は、第1カム部152とともに回転する。
被検出部154は、カム150の回転方向の位相を示す部分であり、第1カム部152よりも回転中心に近い位置において、円板部151から現像ローラ61の軸方向に突出している。シアンとブラックのカム150C,150Kの被検出部154は、後述する離間センサ4C,4Kにより検出される。
図2に示すように、各カム150Y,150M,150Cは、第1カム部152のカム150の回転方向の長さがカム150Yが他よりも長い点が異なるだけで、他の構成はほぼ同じである。また、ブラックのカム150Kは、回転方向に短い第1カム部152が2つ設けられている。
図5に戻り、カムフォロワ170は、スライド軸部171と、接触部172と、バネ掛け部174とを有している。
スライド軸部171は、筐体10に設けられた支持軸179(図6(b)参照)に、現像ローラ61の軸方向にスライド移動可能に支持されている。これにより、カムフォロワ170は、軸方向にスライド移動可能である。
接触部172は、第1カム部152のカム面152Fと接触可能な部分であり、スライド軸部171から延出して設けられている。カムフォロワ170は、図6(b)に示す、接触部172が第2保持面F12に接触して現像ローラ61を離間位置に位置させる突出位置と、図6(a)に示す、接触部172が第1保持面F11に接触して現像ローラ61を接触位置に位置させる待機位置との間でスライド移動可能である。
図5に示すように、バネ掛け部174は、バネ176の一端が引っ掛けられる部分であり、スライド軸部171から接触部172とは異なる方向に延出して設けられている。バネ176は、引張バネであり、他端が筐体10の、バネ掛け部174よりも下の位置に設けられた図示しないバネ掛け部に引っ掛けられている。これにより、バネ176は、カムフォロワ170を突出位置から待機位置に向けて付勢している。
図6に示すように、現像カートリッジ60は、支持部材90に前後に移動可能に支持されている。支持部材90は、被当接部94と、押圧部材95とを有している。被当接部94は、後述するスライド部材64が当接する部分であり、上下方向に沿った軸回りに回転可能なローラからなる。押圧部材95は、バネ95Aにより後方に向けて付勢されており、支持部材90に現像カートリッジ60が装着されると、現像カートリッジ60を押圧して現像ローラ61を対応する感光ドラム50に接触する接触位置に移動させる。
現像カートリッジ60は、トナーを収容するケース63と、スライド部材64とを有している。スライド部材64は、ケース63に対して現像ローラ61の軸方向にスライド移動可能な部材であり、カムフォロワ170に押圧されることで軸方向にスライド移動する。スライド部材64は、ケース63にスライド移動可能に支持されたシャフト191と、シャフト191の一端に設けられた第1当接部材192と、シャフト191の他端に設けられた第2当接部材193とを有している。
第1当接部材192は、押圧面192Aと、軸方向に対して傾斜した斜面192Bとを有し、第2当接部材193は、斜面192Bと同様に傾斜した斜面193Bを有している。押圧面192Aは、カムフォロワ170により押圧される。斜面192B,193Bは、スライド部材64がカムフォロワ170により押圧された場合に、被当接部94に当接して現像カートリッジ60を軸方向と直交する方向に付勢し、現像ローラ61を対応する感光ドラム50から離間する離間位置に移動させる。第1当接部材192とケース63の間には、スライド部材64を左側に向けて付勢するバネ194が配置されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、シアンとブラックのカム150C,150Kに対応して設けられた離間センサ4C,4Kを備えている。離間センサ4C,4Kは、カム150C,150Kの位相の原点を検知可能な位相センサであり、離間センサ4C,4Kは、カム150C,150Kが、現像ローラ61C,61Kが離間位置にある所定の位相範囲に位置する場合に信号を出力し、カム150C,150Kが所定の位相範囲に位置しない場合に信号を出力しない。なお、以下では、離間センサ4C,4Kが信号を出力する場合をONと呼び、信号を出力しない場合をOFFと呼ぶ。
離間センサ4C,4Kは、検出光を発する発光部と、発光部からの検出光を受光可能な受光部とを有している。離間センサ4C,4Kは、発光部と受光部の間に被検出部154が入って発光部の検出光を遮り、受光部が検出光を受光しないときに、ON信号を制御部2に出力し、発光部と受光部の間から被検出部154が外れて受光部が発光部の検出光を受光したときに、OFF信号を制御部2に出力する。なお、カム150Y,150Mにも被検出部154が設けられているが、カム150Y,150Mに対応する離間センサは設けられていないので、これらは離間センサにより検出される部分としては機能しない。
次に、クラッチ200の詳細な構成について説明する。
図5および図7に示すように、クラッチ200は、画像形成装置1において、モータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達可能な機構である。詳しくは、クラッチ200は、モータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達する伝達状態と、モータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達しない切断状態とで切替可能に構成されている。クラッチ200は、遊星歯車機構210と、切替部材220と、係合部材230と、ワンウェイクラッチ240とを備えている。
図7に示すように、遊星歯車機構210は、1つの軸を中心に回転可能なサンギヤ211、リングギヤ212およびキャリア213と、キャリア213に支持されるプラネタリギヤ214とを有している。遊星歯車機構210は、サンギヤ211、リングギヤ212およびキャリア213のうち、1つがモータ3から駆動力が入力される入力要素であり、入力要素以外の1つが現像ローラ61に駆動力を出力する出力要素であり、残りの1つが回転が規制された場合に入力要素から出力要素に駆動力を伝達可能な伝達状態とし、回転が規制されない場合に入力要素から出力要素に駆動力を伝達しない切断状態とする伝達要素である。本実施形態においては、サンギヤ211が伝達要素であり、リングギヤ212が入力要素であり、キャリア213が出力要素である。
サンギヤ211は、軸部211Aと、軸部211Aと一体に回転するギヤ部211Bとを有している。
リングギヤ212は、内周面に設けられたインナーギヤ212Aを有している。リングギヤ212の外周面には、入力ギヤ212Bが設けられており、入力ギヤ212Bは、駆動伝達機構100を構成するアイドルギヤ115(図4参照)と噛み合っている。
キャリア213は、プラネタリギヤ214を回転可能に支持する4つの軸部213Aを有している。キャリア213の外周面には、出力ギヤ213Bが設けられており、出力ギヤ213Bは、カップリングギヤ117(図5参照)と噛み合っている。
プラネタリギヤ214は、4つ設けられ、それぞれ、キャリア213の軸部213Aに回転可能に支持されている。プラネタリギヤ214は、サンギヤ211のギヤ部211Bに噛み合っているとともに、リングギヤ212のインナーギヤ212Aに噛み合っている。
遊星歯車機構210は、サンギヤ211が回転しないように止められた状態では、入力ギヤ212Bに入力された駆動力を出力ギヤ213Bに伝達できる伝達状態となる。一方、サンギヤ211が回転できる状態では、入力ギヤ212Bに入力された駆動力を出力ギヤ213Bに伝達できない切断状態となる。遊星歯車機構210は、切断状態かつ出力ギヤ213Bに負荷が掛かっている状態で入力ギヤ212Bに駆動力が入力された場合、キャリア213は回転せず、サンギヤ211がキャリア213に対して空転する。
切替部材220は、サンギヤ211と一体に回転可能な部材であり、リング部221と、リング部221の外周に設けられた複数の凸部222とを有している。凸部222は、リング部221の外周からリング部221の径方向に突出している。
図5に示すように、係合部材230は、回転支持部231と、回転支持部231から延びるように設けられた第1アーム232と、回転支持部231から第1アーム232と異なる方向に延びる第2アーム233とを有している。
回転支持部231は、筐体10に設けられた支持軸239に回動可能に支持されている。
第2アーム233の先端は、切替部材220の外周面に向けて延びている。係合部材230は、第2アーム233にバネ掛け部234が設けられており、バネ掛け部234には、付勢部材としてのバネ250の一端が引っ掛けられている。バネ250は、引張バネであり、他端が筐体10の、バネ掛け部234よりも前の位置に設けられた図示しないバネ掛け部に引っ掛けられている。これにより、バネ250は、係合部材230を後述する離脱位置から係合位置に向けて付勢している。
係合部材230は、第2アーム233の先端が切替部材220の凸部222に係合してサンギヤ211の回転を規制する係合位置と、第2アーム233の先端が凸部222から離脱してサンギヤ211の回転を規制しない離脱位置(図8参照)との間で移動可能である。具体的には、係合部材230は、係合位置と離脱位置との間で揺動可能である。
係合部材230は、第1アーム232の先端部が第2カム部153と接触可能である。係合部材230は、第1アーム232の先端部が第2カム部153から離間した場合にバネ250の付勢力により係合位置に位置し、第1アーム232の先端部が第2カム部153に接触した場合(図8参照)にバネ250の付勢力に抗して揺動し、離脱位置に位置する。
図7に示すように、ワンウェイクラッチ240は、サンギヤ211の軸部211Aと切替部材220のリング部221との間に位置している。ワンウェイクラッチ240は、サンギヤ211と一体に回転する内輪241と、切替部材220と一体に回転する外輪242と、図示しないローラ等からなるワンウェイクラッチ機構とを有している。
ワンウェイクラッチ240は、一方の回転方向に回転する内輪241の回転を外輪242に伝達して内輪241と外輪242が一体に回転し、一方の回転方向と逆の他方の回転方向に回転する内輪241の回転を外輪242に伝達せず内輪241が外輪242に対して空転するように構成されている。このため、ワンウェイクラッチ240は、モータ3が正回転する場合にサンギヤ211の回転を切替部材220に伝達してサンギヤ211と切替部材220を一体に回転可能とし、モータ3が逆回転する場合にサンギヤ211の回転を切替部材220に伝達しないでサンギヤ211を切替部材220に対して空転させる。
クラッチ200は、係合部材230が離脱位置に位置する場合は、モータ3が正回転する場合およびモータ3が逆回転する場合の両方の場合で、サンギヤ211がキャリア213に対して空転することでモータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達しない。また、クラッチ200は、係合部材230が係合位置に位置する場合は、モータ3が正回転する場合には、モータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達し、モータ3が逆回転する場合には、サンギヤ211がキャリア213および切替部材220に対して空転することでモータ3からの駆動力を現像ローラ61に伝達しない。
制御部2は、画像形成装置1の動作を制御する装置である。制御部2は、CPU、ROM、RAM、入出力部等を有し、予め記憶されたプログラムを実行することで各処理を実行する。制御部2は、モータ3の駆動を制御したり、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140KのON・OFFを制御してカム150の動作を制御したりすることで、現像ローラ61の駆動・停止や、現像ローラ61の対応する感光ドラム50に対する接触・離間を制御する。
ここで、制御部2の処理の一例について説明する。
画像形成装置1は、画像形成を実行する前の待機状態において、すべての現像ローラ61が離間位置に位置している。このとき、図8に示すように、カムフォロワ170は、接触部172がカム150の第2保持面F12に接触する突出位置に位置する。
印刷ジョブが入力されて画像形成を実行する場合、制御部2は、モータ3を正回転させるとともに、画像形成に用いるトナーの色に応じてYMCクラッチ140AやKクラッチ140KをONとしてカム150を図の時計回りに回転させる。これにより、カムフォロワ170の接触部172は、第2保持面F12から第2案内面F14に案内され、第2案内面F14上を摺接して、図5に示すように、第1保持面F11に接触する。これにより、カムフォロワ170がバネ176の付勢力によって突出位置から待機位置にスライド移動し、現像ローラ61が離間位置から接触位置に移動する。現像ローラ61が接触位置に移動したら、制御部2は、YMCクラッチ140AやKクラッチ140KをOFFとして、カム150を停止させる。
現像ローラ61による現像が終了した場合、制御部2は、YMCクラッチ140AやKクラッチ140KをONとし、カム150を再び回転させる。これにより、接触部172は、第1保持面F11から第1案内面F13に案内され、第1案内面F13上を摺接して、図8に示すように、第2保持面F12に接触する。これにより、カムフォロワ170が待機位置から突出位置にスライド移動し、現像ローラ61が接触位置から離間位置に移動する。その後、離間センサ4C,4KがONとなった場合に、制御部2は、YMCクラッチ140AやKクラッチ140KをOFFとして、カム150を停止させる。
一方、開いていたフロントカバー11(図1参照)が閉じられた場合、制御部2は、現像ローラ61を離間位置(待機状態のときの位置)に位置させるため、モータ3を逆回転させるとともに、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140KをONとしてカム150を図の反時計回りに回転させる。その後、制御部2は、離間センサ4C,4Kが2回ONとなった場合に、YMCクラッチ140AやKクラッチ140KをOFFとして、カム150を停止させる。
この間、接触部172が、第1保持面F11から第2案内面F14に案内され、第2案内面F14上を摺接して第2保持面F12に接触することで、カムフォロワ170が待機位置から突出位置にスライド移動し、現像ローラ61が接触位置から離間位置に移動する。また、接触部172が、第2保持面F12から第1案内面F13に案内され、第1案内面F13上を摺接して第1保持面F11に接触することで、カムフォロワ170が突出位置から待機位置にスライド移動し、現像ローラ61が離間位置から接触位置に移動する。
カム150を停止させた後、制御部2は、モータ3を正回転させるとともに、YMCクラッチ140AおよびKクラッチ140KをONとしてカム150を回転させる。そして、制御部2は、離間センサ4C,4KがONとなった場合に、YMCクラッチ140AやKクラッチ140KをOFFとして、カム150を停止させる。これにより、現像ローラ61が離間位置(待機状態のときの位置)に位置することとなる。
次に、クラッチ200の動作について説明する。
図5に示すように、係合部材230は、第1アーム232の先端部がカム150の第2カム部153から離間している場合、バネ250の付勢力によって係合位置に位置し、第2アーム233の先端が切替部材220の凸部222に係合する。このとき、切替部材220は、係合部材230によって回転が規制される。
図8に示すように、カム150の回転によって第2カム部153が第1アーム232の先端部に接触し、第2カム部153によって第1アーム232が押し動かされると、係合部材230がバネ250の付勢力に抗して離脱位置に揺動し、第2アーム233の先端が切替部材220の凸部222から離脱する。このとき、切替部材220は、係合部材230によって回転が規制されない。
図9(a)に示すように、係合部材230が離脱位置に位置する場合において、モータ3が正回転する場合、アイドルギヤ115等を介してリングギヤ212にモータ3から駆動力が入力され、リングギヤ212は図の反時計回りに回転する。そうすると、キャリア213は、カップリングギヤ117等から負荷が掛かっていることにより回転が止められているので、プラネタリギヤ214がその場で図の反時計回りに自転するとともに、サンギヤ211が図の時計回りに回転する。このとき、モータ3からの駆動力は、現像ローラ61には伝達されない。また、このとき、切替部材220は、ワンウェイクラッチ240の機能によりサンギヤ211とともに回転する。サンギヤ211は、キャリア213に対して空転することになる。
図9(b)に示すように、係合部材230が離脱位置に位置する場合において、モータ3が逆回転する場合、リングギヤ212は図の時計回りに回転する。そうすると、キャリア213の回転が止められているので、プラネタリギヤ214がその場で図の時計回りに自転するとともに、サンギヤ211が図の反時計回りに回転する。このときも、モータ3からの駆動力は、現像ローラ61には伝達されない。なお、モータ3が逆回転する場合のサンギヤ211の回転は、ワンウェイクラッチ240の機能により切替部材220には伝達されないが、切替部材220は回転が規制されていないので、ワンウェイクラッチ240内の摩擦によってサンギヤ211とともに回転することもある。サンギヤ211は、キャリア213に対して空転することになる。
図10(a)に示すように、係合部材230が係合位置に位置する場合において、モータ3が正回転する場合、リングギヤ212は図の反時計回りに回転する。そうすると、切替部材220とサンギヤ211は、ワンウェイクラッチ240の機能により一体に回転可能であり、かつ、係合部材230により共に回転が規制されているので、プラネタリギヤ214が図の反時計回りに自転しつつサンギヤ211の周りを図の反時計回りに公転する。これにより、キャリア213が図の反時計回りに回転することになるので、モータ3からの駆動力は、カップリングギヤ117等を介して現像ローラ61に伝達される。
図10(b)に示すように、係合部材230が係合位置に位置する場合において、モータ3が逆回転する場合、リングギヤ212は図の時計回りに回転する。そうすると、キャリア213の回転が止められており、かつ、サンギヤ211は、ワンウェイクラッチ240の機能により切替部材220とは独立して回転可能であるので、プラネタリギヤ214がその場で図の時計回りに自転するとともに、サンギヤ211が図の反時計回りに回転する。このとき、モータ3からの駆動力は、現像ローラ61には伝達されない。また、このとき、切替部材220は、ワンウェイクラッチ240の機能によりサンギヤ211の回転が伝達されず、かつ、係合部材230により回転が規制されるので、回転しない。このため、サンギヤ211は、キャリア213および切替部材220の両方に対して空転することになる。
以上説明した本実施形態によれば、係合部材230が係合位置に位置するときにモータ3が逆回転しても切替部材220を回転させずにサンギヤ211を空転させることができる。そのため、リングギヤ212からキャリア213への駆動力の伝達を遮断しつつ、切替部材220の凸部222が係合部材230を弾く音が発生しない。これにより、騒音の発生を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、モータ3が逆回転する場合の騒音の発生を抑制しつつ、1つのモータ3で、現像ローラ61の駆動・停止と、現像ローラ61の状態の切り替え、具体的には、現像ローラ61の接触・離間を行うことができる。
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
例えば、前記実施形態では、切替部材220とワンウェイクラッチ240が別々に設けられていたが、これに限定されず、一体に設けられていてもよい。一例として、切替部材の凸部がワンウェイクラッチの外輪の外周に設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、複数の異なる状態に切り替え可能な第1部材が、現像ローラ61であって、接触位置と離間位置との間で移動可能であったが、これに限定されない。例えば、第1部材は、定着器であって、加熱ローラ等の加熱部と加圧ローラ等の加圧部のニップ圧を、第1ニップ圧と、第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧との間で切り替え可能であってもよい。この場合、画像形成装置は、例えば、モータが正回転する場合にモータから駆動力を受けることでニップ圧を第2ニップ圧から第1ニップ圧に切り替えるとともに、モータが逆回転する場合にモータから駆動力を受けることでニップ圧を第1ニップ圧から第2ニップ圧に切り替えるニップ圧調整機構を備えていてもよい。
また、第1部材は、表面に画像が形成されたシートSの裏面に画像を形成するため、表面に画像が形成されたシートを再び画像形成部に向けて搬送するローラであって、第1回転方向に回転する状態と、第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転する状態に切り替え可能であってもよい。この場合、ローラは、例えば、モータが正回転する場合にモータから駆動力を受けることで第1回転方向に回転してシートを画像形成部から排紙トレイに向けて搬送するととともに、モータが逆回転する場合にモータから駆動力を受けることで第2回転方向に回転してシートを再び画像形成部に向けて搬送する構成とすることができる。
また、前記実施形態では、被駆動体が現像ローラ61である画像形成装置1を例示したが、これに限定されず、被駆動体(ローラ)は、例えば、感光ドラムであってもよい。また、被駆動体は、現像ローラにトナーを供給するための供給ローラや、感光ドラムを帯電させるための帯電ローラ、感光ドラムから転写残トナーを回収するためのクリーニングローラ、シートをシートトレイからピックアップするための給紙ローラ(ピックアップローラ)、シートを搬送するためのローラ等の現像ローラ以外のローラ類であってもよい。
また、前記実施形態では、回転する被駆動体と移動する第1部材が同じ部材(現像ローラ61)であったが、被駆動体と第1部材は、異なる部材であってもよい。例えば、回転する被駆動体が感光ドラムであり、移動する第1部材が現像ローラであってもよい。
また、前記実施形態では、遊星歯車機構210について、サンギヤ211が伝達要素であり、リングギヤ212が入力要素であり、キャリア213が出力要素であったが、このような組み合わせに限定されず、別の組み合わせであってもよい。
また、前記実施形態では、4色のトナーを用いた画像を形成可能な画像形成装置1を例示したが、例えば、2色や3色、または、5色以上のトナーを用いた画像を形成可能な画像形成装置であってもよい。また、1色のトナーのみを用いて画像を形成する画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、複合機やコピー機等であってもよい。
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
1 画像形成装置
3 モータ
5 移動機構
50 感光ドラム
61 現像ローラ
150 カム
152 第1カム部
153 第2カム部
200 クラッチ
210 遊星歯車機構
211 サンギヤ
212 リングギヤ
213 キャリア
214 プラネタリギヤ
220 切替部材
222 凸部
230 係合部材
240 ワンウェイクラッチ

Claims (12)

  1. 画像形成装置において、モータからの駆動力を被駆動体に伝達可能な動力伝達装置であって、
    前記モータから駆動力が入力される入力要素と、前記被駆動体に駆動力を出力する出力要素と、回転が規制された場合に前記入力要素から前記出力要素に駆動力を伝達可能とし、回転が規制されない場合に前記入力要素から前記出力要素に駆動力を伝達しない伝達要素とを有する遊星歯車機構と、
    凸部を有し、前記伝達要素と一体に回転可能な切替部材と、
    前記凸部に係合して前記切替部材の回転を規制する係合位置と前記凸部から離脱して前記切替部材の回転を規制しない離脱位置との間で移動可能な係合部材と、
    前記伝達要素と前記切替部材の間に位置し、前記モータが正回転する場合に前記伝達要素前記切替部材とを一体に回転可能とし、前記モータが逆回転する場合に前記伝達要素の回転を前記切替部材に伝達しないワンウェイクラッチと、を備え、
    前記係合部材が前記離脱位置に位置する場合は、前記モータが正回転する場合および前記モータが逆回転する場合の両方の場合で、前記伝達要素が前記出力要素に対して空転することで前記モータからの駆動力を前記被駆動体に伝達せず、
    前記係合部材が前記係合位置に位置する場合は、前記モータが正回転する場合には、前記切替部材および前記伝達要素の回転が規制されることで前記モータからの駆動力を前記入力要素から前記出力要素を介して前記被駆動体に伝達し、前記モータが逆回転する場合には、前記伝達要素が前記出力要素および前記切替部材に対して空転することで前記モータからの駆動力を前記被駆動体に伝達しないことを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記遊星歯車機構は、サンギヤ、リングギヤ、キャリアおよびプラネタリギヤを有し、
    前記サンギヤ、前記リングギヤおよび前記キャリアのうち、1つが前記入力要素であり、前記入力要素以外の1つが前記出力要素であり、残りの1つが前記伝達要素であることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記サンギヤが前記伝達要素であり、前記リングギヤが前記入力要素であり、前記キャリアが前記出力要素であることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記被駆動体は、現像ローラであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
  5. ローラと、
    モータと、
    前記モータからの駆動力を前記ローラに伝達可能な動力伝達装置と、を備える画像形成装置であって、
    前記動力伝達装置は、
    前記モータから駆動力が入力される入力要素と、前記ローラに駆動力を出力する出力要素と、回転が規制された場合に前記入力要素から前記出力要素に駆動力を伝達可能とし、回転が規制されない場合に前記入力要素から前記出力要素に駆動力を伝達しない伝達要素とを有する遊星歯車機構と、
    凸部を有し、前記伝達要素と一体に回転可能な切替部材と、
    前記凸部に係合して前記切替部材の回転を規制する係合位置と前記凸部から離脱して前記切替部材の回転を規制しない離脱位置との間で移動可能な係合部材と、
    前記伝達要素と前記切替部材の間に位置し、前記モータが正回転する場合に前記伝達要素前記切替部材とを一体に回転可能とし、前記モータが逆回転する場合に前記伝達要素の回転を前記切替部材に伝達しないワンウェイクラッチと、を備え、
    前記係合部材が前記離脱位置に位置する場合は、前記モータが正回転する場合および前記モータが逆回転する場合の両方の場合で、前記伝達要素が前記出力要素に対して空転することで前記モータからの駆動力を前記ローラに伝達せず、
    前記係合部材が前記係合位置に位置する場合は、前記モータが正回転する場合には、前記切替部材および前記伝達要素の回転が規制されることで前記モータからの駆動力を前記入力要素から前記出力要素を介して前記ローラに伝達し、前記モータが逆回転する場合には、前記伝達要素が前記出力要素および前記切替部材に対して空転することで前記モータからの駆動力を前記ローラに伝達しないことを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記遊星歯車機構は、サンギヤ、リングギヤ、キャリアおよびプラネタリギヤを有し、
    前記サンギヤ、前記リングギヤおよび前記キャリアのうち、1つが前記入力要素であり、前記入力要素以外の1つが前記出力要素であり、残りの1つが前記伝達要素であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記サンギヤが前記伝達要素であり、前記リングギヤが前記入力要素であり、前記キャリアが前記出力要素であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 現像ローラを備え、
    前記ローラは、前記現像ローラであることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記画像形成装置を構成する複数の部材のうちの1つであり、複数の異なる状態に切り替え可能な第1部材を備え、
    前記第1部材は、前記モータが正回転する場合に前記モータから駆動力を受けることで状態が切り替わるとともに、前記モータが逆回転する場合に前記モータから駆動力を受けることで状態が切り替わることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 感光ドラムを備え、
    前記第1部材は、前記現像ローラであって、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能であり、
    前記画像形成装置は、前記モータが正回転する場合に前記モータから駆動力を受けることで前記現像ローラを前記接触位置と前記離間位置との間で移動させるとともに、前記モータが逆回転する場合に前記モータから駆動力を受けることで前記現像ローラを前記接触位置と前記離間位置との間で移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 感光ドラムと、
    現像ローラと、を備え、
    前記ローラは、前記現像ローラであって、前記感光ドラムに接触する接触位置と、前記感光ドラムから離間する離間位置との間で移動可能であり、
    前記画像形成装置は、前記モータが正回転する場合に前記モータから駆動力を受けることで前記現像ローラを前記接触位置と前記離間位置との間で移動させるとともに、前記モータが逆回転する場合に前記モータから駆動力を受けることで前記現像ローラを前記接触位置と前記離間位置との間で移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  12. 前記移動機構は、前記現像ローラを前記接触位置と前記離間位置との間で移動させる第1カム部と、前記第1カム部とともに回転する第2カム部とを有するカムを備え、
    前記係合部材は、前記第2カム部と接触可能であり、前記第2カム部から離間した場合に前記係合位置に位置し、前記第2カム部に接触した場合に前記離脱位置に位置することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の画像形成装置。
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