JP7362848B1 - 干渉抑圧装置、衛星地上局、システム、方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】衛星通信システムの下り回線における移動通信システムの基地局からの干渉を抑圧することができる干渉抑圧装置を備える衛星地上局を提供する。【解決手段】干渉抑圧装置は、移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信し、参照信号と衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、基地局のアンテナと衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬路応答を推定し、その推定結果と前記参照信号とに基づいて、受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成する。衛星地上局装置は、受信信号を分岐して干渉抑圧装置に入力し、干渉抑圧装置で生成された干渉レプリカ信号を受信信号に適用することにより干渉信号を抑圧した衛星信号を合成する。【選択図】図3
Description
本発明は、衛星通信システムの下り回線における移動通信の基地局からの干渉を抑圧する干渉抑圧装置、衛星地上局、システム、方法及びプログラムに関するものである。
従来、人工衛星に搭載された衛星局と地上(又は海上)に設けられた衛星地上局(「地球局」ともいう。)との間で無線通信可能な衛星通信システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年、移動通信システムの基地局から端末装置に送信される無線通信において、衛星通信システムの衛星地上局で受信される下り回線の無線通信と同一の周波数帯を利用することが検討されている。このように基地局と衛星地上局の下り回線とで同一周波数帯を利用する場合、移動通信システムの基地局からの送信信号の電波が衛星地上局の下り回線の受信信号に干渉するおそれがある。
本発明の一態様に係る干渉抑圧装置は、人工衛星に搭載された衛星局から送信された下り回線の衛星信号を受信する衛星地上局の受信信号における干渉を抑圧する干渉抑圧装置である。この干渉抑圧装置は、前記衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置との無線通信を行う移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信する参照信号受信手段と、前記有線ネットワークを介して前記基地局から受信した前記参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量を推定する推定手段と、前記干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成する信号生成手段と、を備える。
本発明の他の態様に係る衛星地上局は、衛星局から送信された下り回線の電波を受信するアンテナと、前記アンテナで受信された受信信号を処理する衛星地上局装置と、を備える衛星地上局である。前記衛星地上局装置は、前記干渉抑圧装置と、前記アンテナで受信された前記受信信号を分岐して前記干渉抑圧装置に入力する分岐手段と、前記干渉抑圧装置で生成された前記干渉レプリカ信号を前記受信信号に適用することにより前記干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成する合成手段と、を備える。
前記衛星地上局において、前記分岐手段は、前記受信信号の幹線経路における前記衛星信号の合成点よりも前記アンテナ側に位置する前方位置で、前記受信信号を分岐して前記干渉抑圧装置に入力してもよい。
前記衛星地上局において、前記分岐手段は、前記受信信号の幹線経路における前記衛星信号の合成点よりも前記アンテナの反対側に位置する後方位置で、前記受信信号を分岐して前記干渉抑圧装置に入力してもよい。
前記衛星地上局において、前記分岐手段で分岐されて前記干渉抑圧装置に入力される信号を監視し、前記信号の監視結果に基づいて前記干渉レプリカ信号の前記受信信号への適用をオン・オフ制御する監視手段を備えてもよい。
前記衛星地上局において、前記推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、前記信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成してもよい。
ここで、前記複数の干渉信号のうち、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答に基づいて算出した干渉信号の電力が所定の閾値よりも大きい一又は複数の干渉信号について、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを実行してもよい。
前記衛星地上局において、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、前記複数の推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、前記複数の信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、前記複数の干渉信号について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行してもよい。
ここで、前記複数の信号生成手段はそれぞれ、前記複数の干渉信号のうち、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答に基づいて算出した干渉信号の電力が最大の干渉信号について、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを実行してもよい。
前記衛星地上局において、前記参照信号受信手段は、移動通信システムの複数の基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された複数の参照信号を、有線ネットワークを介して受信し、前記推定手段は、前記有線ネットワークを介して前記複数の基地局から受信した前記複数の参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記複数の基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量を推定し、前記信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量の推定結果と、前記複数の参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成してもよい。
前記衛星地上局において、前記参照信号受信手段は、移動通信システムの複数の基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された複数の参照信号を、有線ネットワークを介して受信し、前記複数の基地局に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、前記複数の基地局について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行してもよい。
前記衛星地上局において、前記複数の基地局について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答に基づいて算出した複数の干渉信号の総電力が大きい基地局の順に、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを実行してもよい。
前記複数の基地局に対応可能な衛星地上局において、前記推定手段は、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、前記信号生成手段は、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の基地局のそれぞれに対応する前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成してもよい。
また、前記複数の基地局に対応可能な衛星地上局において、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の干渉信号について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行してもよい。
前記衛星地上局において、前記アンテナと前記受信信号の分岐点との間又は前記受信信号の分岐点と前記衛星信号の合成点との間に、前記受信信号を遅延させる遅延器を備えてもよい。
本発明の更に他の態様に係るシステムは、前記いずれかの衛星地上局と前記移動通信システムの一又は複数の基地局とを備えるシステムである。ここで、前記基地局の基地局装置とアンテナとの間に、前記送信信号を遅延させる遅延器を備えてもよい。
本発明の更に他の態様に係る方法は、人工衛星に搭載された衛星局から送信された下り回線の衛星信号を受信する衛星地上局の受信信号における干渉を抑圧する干渉抑圧方法である。この干渉抑圧方法は、前記衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置との無線通信を行う移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信することと、前記有線ネットワークを介して前記基地局から受信した前記参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量を推定することと、前記干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成することと、前記干渉レプリカ信号を前記受信信号に適用することにより前記干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成することと、を含む。
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、人工衛星に搭載された衛星局から送信された下り回線の衛星信号を受信する衛星地上局の受信信号における干渉を抑圧する干渉抑圧装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置との無線通信を行う移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信するためのプログラムコードと、前記有線ネットワークを介して前記基地局から受信した前記参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬路応答を推定するためのプログラムコードと、前記干渉信号の伝搬路応答の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成するためのプログラムコードと、を含む。
前記伝搬路応答の推定(計算)及び干渉抑圧信号の生成を行うためのプログラムの全部又は一部は、機械学習に用いられる学習済モデルを含んでもよい。
本発明によれば、衛星通信システムの下り回線における移動通信システムの基地局からの干渉を抑圧することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、第5世代等の移動通信システムの基地局から端末装置に送信される無線通信において、衛星通信システムの衛星地上局で受信される下り回線の無線通信と同一の周波数帯(例えば、1GHz~6GHz内のCバンド)を利用する場合に、衛星地上局の下り回線の受信信号における基地局からの干渉(特に、マルチパス干渉)を抑圧(以下、「キャンセル」ともいう。)できるシステムである。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、第5世代等の移動通信システムの基地局から端末装置に送信される無線通信において、衛星通信システムの衛星地上局で受信される下り回線の無線通信と同一の周波数帯(例えば、1GHz~6GHz内のCバンド)を利用する場合に、衛星地上局の下り回線の受信信号における基地局からの干渉(特に、マルチパス干渉)を抑圧(以下、「キャンセル」ともいう。)できるシステムである。
なお、以下の実施形態では、衛星通信システムの衛星地上局の下り回線の受信信号に対する干渉信号が、第5世代の移動通信システム(以下「5Gシステム」という。)の基地局(例えば、gNodeB)から送信される送信信号の場合について説明するが、本発明の実施形態は、衛星通信システムの下り回線と同一又は部分的に重複する周波数帯を用いるものであれば、LTE(Long Term Evolution)/LTE-Advancedの移動通信システムや第5世代よりも後の次世代の移動通信システム(「NRシステム」ともいう。)等の移動通信システムの基地局からの干渉信号を抑圧する場合に適用することができる。
図1は、実施形態に係る干渉抑圧装置を適用可能な衛星通信システムの一例を示す説明図。図1において、衛星通信システムは、人工衛星10に搭載された衛星局のアンテナ(「衛星局アンテナ」ともいう。)11から送信された所定周波数帯(例えば1GHz~6GHz内のCバンド)の衛星信号S0を受信する衛星地上局(「地球局」ともいう。)20を備える。衛星地上局20は、地球の地上(又は、海上等)に設けられ、衛星局アンテナ11から送信された所定周波数帯の衛星信号S0の電波を受信する地上局アンテナ21と、地上局アンテナ21で受信した受信信号Xを処理して衛星信号S0を復元して出力する衛星地上局装置(以下「地上局装置」ともいう。)22を備える。
一方、地上に設置された移動通信システム(例えば、5Gシステム)の基地局30は、基地局アンテナ31を介して端末装置(「端末」、「ユーザ装置(UE)」、「移動局」ともいう。)40と無線通信することができる。基地局30に割り当てられた周波数帯は、衛星通信システムの下り回線と同一の周波数帯(例えば1GHz~6GHz内のCバンド)である。基地局30の基地局アンテナ31から送信された送信信号の電波は、複数の伝搬経路を通って衛星地上局20の地上局アンテナ21に到達し、マルチパスの干渉信号S10として受信されるおそれがある。この衛星通信システムの下り回線における基地局30からの同一周波数帯の干渉信号S10を回避するためには、基地局30の基地局アンテナ31と衛星地上局20の地上局アンテナ21との間の離隔距離(例えば100km程度)以上にする必要がある。そのため、衛星地上局20の地上局アンテナ21から一定距離D(例えば100km程度)以内の範囲では、移動通信システム(例えば、5Gシステム)の基地局30を構築することができない。
上記基地局30からの与干渉を低減する方法として、例えば、基地局30の送信電力を低減する方法と、基地局アンテナのビームフォーミングによる干渉低減の方法がある。前者の方法では、基地局30の送信電力を低減し、衛星地上局20への与干渉を低減できる。しかしながら、サービスエリアをカバーするために、多くの基地局30を設置する必要がある。また、後者の方法では、例えば図2(a)に示すように基地局アンテナ31から衛星地上局20へ電波が届かないように、衛星地上局20の方向にビームBm(1),Bm(2)のヌルを向けるビームフォーミング(ビームヌルフォーミング)などの処理により衛星地上局20への与干渉を低減する。しかしながら、図2(b)に示すように基地局30と衛星地上局20との間に位置する建物90などによってビームBm(1),Bm(2)の電波が空間的に伝搬する複数の伝搬路(マルチパス)があるような場合、マルチパスの干渉信号S10による衛星地上局20への与干渉を低減できないおそれがある。
そこで、本実施形態では、衛星地上局20に干渉抑圧装置25に設けることにより、基地局30の設置数を高めることなく、基地局30からのマルチパスの干渉信号による衛星地上局20の下り回線への与干渉を低減している。
[干渉抑圧システムの基本概念]
図3は、実施形態に係る干渉抑圧装置25を搭載した衛星地上局20と基地局30とのネットワーク連携を含む干渉抑圧システムの全体構成の一例を示す説明図である。図3において、基地局30の基地局装置としてのgNodeB(gNB)32から出力される送信信号S1が分岐され、基地局30の与干渉を抑圧(キャンセル)するための参照信号S1として、有線ネットワーク50経由で衛星地上局20の地上局装置22へ転送される。有線ネットワーク50は、例えば光ファイバーで構築されている。
図3は、実施形態に係る干渉抑圧装置25を搭載した衛星地上局20と基地局30とのネットワーク連携を含む干渉抑圧システムの全体構成の一例を示す説明図である。図3において、基地局30の基地局装置としてのgNodeB(gNB)32から出力される送信信号S1が分岐され、基地局30の与干渉を抑圧(キャンセル)するための参照信号S1として、有線ネットワーク50経由で衛星地上局20の地上局装置22へ転送される。有線ネットワーク50は、例えば光ファイバーで構築されている。
地上局装置22は、分岐部(分岐手段)23と合成部(合成手段)24と干渉抑圧装置25とを備える。分岐部23は、地上局アンテナ21で受信された受信信号Xを分岐して干渉抑圧装置25に入力する。
干渉抑圧装置25は、人工衛星10の衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置40との無線通信を行う移動通信システムの基地局30のアンテナ31から送信される送信信号から分岐された参照信号S1を、有線ネットワーク50を介して受信する参照信号受信手段として機能を有する。また、干渉抑圧装置25は、有線ネットワーク50を介して基地局30から受信した参照信号S1と、衛星地上局20の地上局アンテナ21を介して受信された受信信号Xとに基づいて、基地局30のアンテナ31と衛星地上局20の地上局アンテナ21との間の無線伝搬路における基地局30からの干渉信号S10の伝搬路応答(又は、伝搬路応答及び伝搬遅延量)を推定する推定手段としても機能する。更に、干渉抑圧装置25は、干渉信号S10の伝搬路応答(又は、伝搬路応答及び伝搬遅延量)の推定結果と、参照信号S1とに基づいて、受信信号Xに含まれる一又は複数の干渉信号S10に対応する一又は複数の干渉レプリカ信号Yを生成する信号生成手段としても機能する。
干渉抑圧装置25は、例えば、有線ネットワーク50経由の参照信号S1と基地局30から到来する電波の受信信号Xとに基づいて、基地局30から到来する干渉信号の電波の伝搬路応答と伝搬遅延量を算出し、有線ネットワーク50経由で得た参照信号S1に算出した伝搬路応答と伝搬遅延量を重畳することにより、基地局30から受信した干渉信号を再現した干渉レプリカ信号Yを生成する。
また、受信信号Xに複数の干渉信号(例えばマルチパス干渉信号)が含まれている場合、干渉抑圧装置25は、その複数の干渉信号のそれぞれについて、参照信号S1と受信信号Xとに基づいて、基地局30から到来する干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量(以下「遅延量」、「遅延時間差」又は「相対遅延」ともいう。)を算出し、参照信号S1を伝搬遅延量だけ遅延させて伝搬路応答に重畳することにより、基地局30から受信した干渉信号を再現した複数の干渉レプリカ信号Yを生成する。
ここで、前記遅延量(遅延時間差、相対遅延)は、受信信号Xの時間軸上の基準タイミングからの複数の干渉信号の受信タイミングまでの相対的な時間差又はその時間差に対応する数値である。
合成部24は、干渉抑圧装置25で生成された一又は複数の干渉レプリカ信号Yからなる干渉抑制信号(以下「干渉キャンセル信号」ともいう。)を受信信号Xに適用することにより、一又は複数の干渉信号を抑圧した衛星信号(復元信号)S0を合成する。合成部24は、例えば、衛星地上局20で受信した受信信号Xから再現した一又は複数の干渉レプリカ信号Yを差し引いて干渉を抑圧(キャンセル)し、所望信号である衛星信号を復元した復元信号S0を出力する。
[干渉抑圧処理の概要]
図4は、実施形態に係る干渉抑圧処理の概要の一例を示す説明図である。図4において、衛星局アンテナ11から送信された衛星信号(所望信号)S0(t)は、アンテナ間の空間(伝搬路応答:h0)を伝搬し、伝搬後の衛星信号h0S0(t)として地上局アンテナ21に受信される。また、基地局アンテナ31から送信された送信信号S1(t)は、アンテナ間の空間(伝搬路応答:h1)を伝搬し、伝搬後の干渉信号h1S1(t)として地上局アンテナ21に受信される。地上局アンテナ21から出力された衛星信号h0S0(t)と干渉信号h1S1(t)とを含む受信信号(h0S0(t)+h1S1(t))は、分岐部23で分岐されて干渉抑圧装置25に入力される。また、基地局30から有線ネットワーク50経由で転送されてきた参照信号S1(t)は干渉抑圧装置25で受信されて入力される。干渉抑圧装置25は、受信信号(h0S0(t)+h1S1(t))と参照信号S1(t)とに基づいて、逆位相の干渉レプリカ信号(-h1S1(t))を作成(生成)し、干渉キャンセル信号として合成部24に出力する。合成部24では、次式(1)に示すように、逆位相の干渉キャンセル信号(-h1S1(t))を受信信号(h0S0(t)+h1S1(t))に加算し、衛星信号(h0S0(t))を復元して出力する。
図4は、実施形態に係る干渉抑圧処理の概要の一例を示す説明図である。図4において、衛星局アンテナ11から送信された衛星信号(所望信号)S0(t)は、アンテナ間の空間(伝搬路応答:h0)を伝搬し、伝搬後の衛星信号h0S0(t)として地上局アンテナ21に受信される。また、基地局アンテナ31から送信された送信信号S1(t)は、アンテナ間の空間(伝搬路応答:h1)を伝搬し、伝搬後の干渉信号h1S1(t)として地上局アンテナ21に受信される。地上局アンテナ21から出力された衛星信号h0S0(t)と干渉信号h1S1(t)とを含む受信信号(h0S0(t)+h1S1(t))は、分岐部23で分岐されて干渉抑圧装置25に入力される。また、基地局30から有線ネットワーク50経由で転送されてきた参照信号S1(t)は干渉抑圧装置25で受信されて入力される。干渉抑圧装置25は、受信信号(h0S0(t)+h1S1(t))と参照信号S1(t)とに基づいて、逆位相の干渉レプリカ信号(-h1S1(t))を作成(生成)し、干渉キャンセル信号として合成部24に出力する。合成部24では、次式(1)に示すように、逆位相の干渉キャンセル信号(-h1S1(t))を受信信号(h0S0(t)+h1S1(t))に加算し、衛星信号(h0S0(t))を復元して出力する。
[参照信号の伝送遅延対策]
図5は、実施形態に係るシステムにおける基地局30から衛星地上局20への干渉信号及び参照信号の伝送の時間ズレの説明図である。有線ネットワーク(光ファイバー等)50での参照信号S1の伝送速度Vr(例えば100μsec/10km)は、無線伝搬路での干渉信号S10の伝送速度Vi(例えば数10μsec/10km)の2/3程度である。そのため、衛星地上局20において同一の送信信号に対応する干渉信号S10が参照信号S1よりも早く受信され、衛星地上局20と基地局30との間の離隔距離が長距離の場合、干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)の生成が間に合わず、干渉信号を抑圧できないおそれがある。そこで、本実施形態において、干渉信号S10を遅延させることにより、参照信号S1で生成する干渉レプリカ信号Yと干渉信号S10との時間調整を行ってもよい。
図5は、実施形態に係るシステムにおける基地局30から衛星地上局20への干渉信号及び参照信号の伝送の時間ズレの説明図である。有線ネットワーク(光ファイバー等)50での参照信号S1の伝送速度Vr(例えば100μsec/10km)は、無線伝搬路での干渉信号S10の伝送速度Vi(例えば数10μsec/10km)の2/3程度である。そのため、衛星地上局20において同一の送信信号に対応する干渉信号S10が参照信号S1よりも早く受信され、衛星地上局20と基地局30との間の離隔距離が長距離の場合、干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)の生成が間に合わず、干渉信号を抑圧できないおそれがある。そこで、本実施形態において、干渉信号S10を遅延させることにより、参照信号S1で生成する干渉レプリカ信号Yと干渉信号S10との時間調整を行ってもよい。
[衛星地上局側での受信タイミング調整]
図6は、実施形態に係るシステムにおける衛星地上局20での干渉信号のタイミング調整の一例を示す説明図である。図6の例では、地上局アンテナ21と受信信号の分岐点(分岐部23)との間に、受信信号Xを遅延させる遅延器26を備えている。遅延器26により、衛星地上局20の無線受信回路に遅延を与え、遅延後の受信信号X'を分岐して干渉抑圧装置25に入力することにより、受信信号X'中の干渉信号S10と参照信号S1とのタイミングを調整することができる。図6の例では、衛星地上局20側で信号遅延処理を行うため、基地局30側での遅延処理による処理負担を抑制できる。
図6は、実施形態に係るシステムにおける衛星地上局20での干渉信号のタイミング調整の一例を示す説明図である。図6の例では、地上局アンテナ21と受信信号の分岐点(分岐部23)との間に、受信信号Xを遅延させる遅延器26を備えている。遅延器26により、衛星地上局20の無線受信回路に遅延を与え、遅延後の受信信号X'を分岐して干渉抑圧装置25に入力することにより、受信信号X'中の干渉信号S10と参照信号S1とのタイミングを調整することができる。図6の例では、衛星地上局20側で信号遅延処理を行うため、基地局30側での遅延処理による処理負担を抑制できる。
[基地局側での送信タイミング調整]
図7は、実施形態に係るシステムにおける基地局30での送信信号(干渉信号)のタイミング調整の一例を示す説明図である。図7の例では、基地局30の基地局装置(gNB)32と基地局アンテナ31との間(図示の例では、送信信号の分岐点(分岐部33)と基地局アンテナ31との間)に、送信信号S1を遅延させる遅延器34を備えている。遅延器34により、基地局30の無線送信回路に遅延を与え、遅延後の送信信号S1'を送信することにより、衛星地上局20での受信信号X'中の干渉信号S10と参照信号S1とのタイミングを調整することができる。図7の例では、基地局30側で信号遅延処理を行うため、衛星地上局20側での遅延処理による処理負担を抑制できる。
図7は、実施形態に係るシステムにおける基地局30での送信信号(干渉信号)のタイミング調整の一例を示す説明図である。図7の例では、基地局30の基地局装置(gNB)32と基地局アンテナ31との間(図示の例では、送信信号の分岐点(分岐部33)と基地局アンテナ31との間)に、送信信号S1を遅延させる遅延器34を備えている。遅延器34により、基地局30の無線送信回路に遅延を与え、遅延後の送信信号S1'を送信することにより、衛星地上局20での受信信号X'中の干渉信号S10と参照信号S1とのタイミングを調整することができる。図7の例では、基地局30側で信号遅延処理を行うため、衛星地上局20側での遅延処理による処理負担を抑制できる。
[線形干渉キャンセラー]
図8は、実施形態に係る干渉抑圧装置25の構成及び処理手順の一例を示す説明図である。図8の例は、線形干渉キャンセラーとして機能する干渉抑圧装置25の例である。なお、図8の例では、分岐部23と合成部24との間に遅延器26を設けているが、遅延器26は必須ではない。干渉抑圧装置25は、衛星地上局20にて、周辺の基地局30から有線ネットワーク(固定ネットワーク)を通じて各基地局30から送信される送信信号S1を参照信号として受信して取得する。干渉抑圧装置25は、取得した参照信号S1を基に、衛星地上局20で受信した複数の基地局からの干渉信号のレプリカを推定し、干渉キャンセル信号として干渉レプリカ信号を作成(生成)する。干渉抑圧装置25は、受信した受信信号に干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)を逆相で加算して基地局30からの干渉信号を抑圧(キャンセル)する。
図8は、実施形態に係る干渉抑圧装置25の構成及び処理手順の一例を示す説明図である。図8の例は、線形干渉キャンセラーとして機能する干渉抑圧装置25の例である。なお、図8の例では、分岐部23と合成部24との間に遅延器26を設けているが、遅延器26は必須ではない。干渉抑圧装置25は、衛星地上局20にて、周辺の基地局30から有線ネットワーク(固定ネットワーク)を通じて各基地局30から送信される送信信号S1を参照信号として受信して取得する。干渉抑圧装置25は、取得した参照信号S1を基に、衛星地上局20で受信した複数の基地局からの干渉信号のレプリカを推定し、干渉キャンセル信号として干渉レプリカ信号を作成(生成)する。干渉抑圧装置25は、受信した受信信号に干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)を逆相で加算して基地局30からの干渉信号を抑圧(キャンセル)する。
図8において、干渉抑圧装置25は、干渉推定処理部251と干渉キャンセル信号生成部252とを備える。干渉推定処理部251は、有線ネットワーク50を介して基地局30から受信した参照信号S1と、衛星地上局20の地上局アンテナ21を介して受信された受信信号Xとに基づいて、基地局30のアンテナ31と衛星地上局20の地上局アンテナ21との間の無線伝搬路における基地局30からの干渉信号の伝搬路応答(又は、伝搬路応答及び伝搬遅延量)を推定する推定手段として機能する。干渉キャンセル信号生成部252は、干渉信号S10の伝搬路応答(又は、伝搬路応答及び伝搬遅延量)の推定結果と、参照信号S1とに基づいて、受信信号Xに含まれる一又は複数の干渉信号S10に対応する一又は複数の干渉レプリカ信号Yを生成する信号生成手段として機能する。
例えば、図8において、周辺の基地局30から有線ネットワークを通じて取得された参照信号S1は、干渉推定処理部251及び干渉キャンセル信号生成部252のそれぞれに入力される。干渉抑圧装置25を用いた干渉キャンセル処理では、まず、干渉推定処理部251により、基地局30から受信して取得した参照信号S1と、地上局アンテナ21で受信した受信信号Xとの相関をとり、干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量を推定して求める(S101)。次に、干渉キャンセル信号生成部252により、上記ステップS101で求めた伝搬路応答と伝搬遅延量と、基地局30から取得した参照信号S1とから、干渉キャンセル信号として干渉レプリカ信号Yを推定して生成する(S102)。次に、合成部24により、上記ステップS102で生成した干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)Yを受信信号Xに合成して干渉信号を抑圧(キャンセル)し(S103)、衛星信号を復元した復元信号を出力する。
[単数の基地局の場合の干渉キャンセルの例]
図9は、単数の基地局30の場合のマルチパス干渉信号の干渉キャンセルの原理を示す説明図である。図9において、基地局30から送信されて複数(K個)のパスを伝搬してきたマルチパス干渉信号h1S1(t-τ1)・・・hKS1(t-τK)は、衛星信号S0とともに、地上局アンテナ21で受信される。次式(2)で表される受信信号x(t)は、分岐部23で分岐されて干渉推定処理部251に入力される。
図9は、単数の基地局30の場合のマルチパス干渉信号の干渉キャンセルの原理を示す説明図である。図9において、基地局30から送信されて複数(K個)のパスを伝搬してきたマルチパス干渉信号h1S1(t-τ1)・・・hKS1(t-τK)は、衛星信号S0とともに、地上局アンテナ21で受信される。次式(2)で表される受信信号x(t)は、分岐部23で分岐されて干渉推定処理部251に入力される。
ここで、(2)式中のhKは各干渉信号の伝搬路応答である。τkは、k(1~K)番目の干渉信号の伝搬遅延(以下、「遅延」又は「遅延量」ともいう。)であり、伝搬路応答に基づいて計算することができる。すなわち、基地局30からの干渉信号はマルチパス干渉信号であり、k番目の伝搬路(パス)で伝搬される干渉信号は伝搬路応答hK及び遅延τkで地上局アンテナ21に到達する。参照信号S1(t)を使用して各干渉信号の伝搬路応答(伝搬路応答hK及び遅延τk)を推定できれば、次式(3)の復元信号z(t)に示すように、マルチパス干渉信号を抑圧(キャンセル)した衛星信号(所望信号)を復元して出力することができる。なお、τkには、信号処理の遅延量(通常は一定)が含まれる。
図9において、基地局30から取得された参照信号S1(t)は、干渉推定処理部251及び干渉キャンセル信号生成部252のそれぞれに入力される。干渉推定処理部251は、参照信号S1(t)と受信信号x(t)との相関処理により各干渉信号の伝搬路応答(伝搬路応答hK及び遅延τk)を推定する。干渉キャンセル信号生成部252は、各干渉信号の伝搬路応答(伝搬路応答hK及び遅延τk)の推定結果と参照信号S1(t)とに基づいて、マルチパス干渉信号を抑圧(キャンセル)するための複数の干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号を生成する。
図9の干渉推定処理部251は、例えば次の相関処理をデジタル処理で行うことにより、各干渉信号の伝搬路応答(伝搬路応答hK及び遅延τk)を推定する。まず、受信信号x(t)と参照信号S1(t)を時間間隔Δtでサンプリングしたものをそれぞれx(i),S1(i)とおく。Δtはサンプリング間隔であり、離散的な時間tはt=i×Δt(i:整数)で表される。
次に、例えば次式(4)の相関計算式を用いて参照信号S1(i)と受信信号x(i)の相関を取ることにより、受信信号x(i)に含まれる干渉信号を検出する。mサンプルずらした参照信号S1(i-m)と受信信号x(i)の相関計算値をh(m)とする。mを0~MSの範囲でシフトさせることで、すべての干渉信号を検出する。なお、(4)式中のMSは相関計算に使用するサンプル数である。mはサンプルシフト量であり、0≦m≦MSの範囲の値である。また、(4)式中の「<>」はアンサンプル平均を表し、「*」は複素共役を表している。
次に、図10に示すように、上記求めた相関値|h(m)|を、雑音を除去するために予め設定した閾値Lthと比較し、閾値Lth以上の相関値|h(m)|を干渉信号の振幅とする。また、その振幅が閾値Lth以上の干渉信号のサンプルシフト量mを、干渉信号の遅延量とする。また、振幅が閾値Lth以上となった干渉信号の総数をKmaxとすると、k番目の干渉信号の振幅は|h(mk)|であり、遅延量はmkである。
図11は、実施形態に係る干渉抑圧装置25の干渉キャンセル信号生成部252の処理例を示す説明図である。干渉キャンセル信号生成部252は、デジタル処理により、例えば次のように干渉レプリカ信号y(i)を作成する。
次に、デジタル信号からなる干渉キャンセル信号y(i)をDA変換して,アナログ信号からなる干渉キャンセル信号y(t)を作成する。干渉キャンセル信号y(t)が、合成部24で受信信号x(t)に対して逆相で加算される(受信信号x(t)から差し引かれる)ことにより、次式(7)に示すように所望信号(衛星信号)を復元した復元信号h0S0(t)を出力することができる。
[基本システム構成:前方分岐方式]
図12は、実施形態に係る前方分岐方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図12において、分岐部(分岐手段)23は、受信信号の幹線経路220における衛星信号の合成点よりも地上局アンテナ21側に位置する前方位置で、受信信号を分岐して干渉抑圧装置25に入力する。すなわち、受信信号と干渉キャンセル信号とが合成される前に、受信信号の幹線経路220から受信信号が分岐されて干渉抑圧装置25に入力される。干渉抑圧装置25は、受信信号と参照信号の相関処理により干渉レプリカ信号を生成する。干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号が受信信号に対して逆相で加算される(差し引かれる)ことにより干渉信号が抑圧(キャンセル)され、所望信号(衛星信号)を復元した復元信号が出力される。図12の前方分岐方式の場合は、構成が簡単である。
図12は、実施形態に係る前方分岐方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図12において、分岐部(分岐手段)23は、受信信号の幹線経路220における衛星信号の合成点よりも地上局アンテナ21側に位置する前方位置で、受信信号を分岐して干渉抑圧装置25に入力する。すなわち、受信信号と干渉キャンセル信号とが合成される前に、受信信号の幹線経路220から受信信号が分岐されて干渉抑圧装置25に入力される。干渉抑圧装置25は、受信信号と参照信号の相関処理により干渉レプリカ信号を生成する。干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号が受信信号に対して逆相で加算される(差し引かれる)ことにより干渉信号が抑圧(キャンセル)され、所望信号(衛星信号)を復元した復元信号が出力される。図12の前方分岐方式の場合は、構成が簡単である。
[基本システム構成:後方分岐方式]
図13は、実施形態に係る後方分岐方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図13において、分岐部(分岐手段)23は、受信信号の幹線経路220における衛星信号の合成点よりも地上局アンテナ21の反対側に位置する後方位置で受信信号を分岐して干渉抑圧装置25に入力する。すなわち、受信信号と干渉キャンセル信号とが合成された後の復元信号が分岐され、受信信号(フィードバック信号)として干渉抑圧装置25に入力される。干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号が受信信号に対して逆相で加算される(差し引かれる)ことにより干渉信号が抑圧(キャンセル)され、所望信号(衛星信号)を復元した復元信号が出力される。図13の後方分岐方式の場合は、干渉抑圧(キャンセル)性能が向上する。
図13は、実施形態に係る後方分岐方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図13において、分岐部(分岐手段)23は、受信信号の幹線経路220における衛星信号の合成点よりも地上局アンテナ21の反対側に位置する後方位置で受信信号を分岐して干渉抑圧装置25に入力する。すなわち、受信信号と干渉キャンセル信号とが合成された後の復元信号が分岐され、受信信号(フィードバック信号)として干渉抑圧装置25に入力される。干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号が受信信号に対して逆相で加算される(差し引かれる)ことにより干渉信号が抑圧(キャンセル)され、所望信号(衛星信号)を復元した復元信号が出力される。図13の後方分岐方式の場合は、干渉抑圧(キャンセル)性能が向上する。
上記後方分岐方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22において、図13に示すように、分岐部(分岐手段)23で分岐されて干渉抑圧装置25に入力されるフィードバック信号(受信信号)を監視する監視手段としてのモニター部27を備えてもよい。モニター部27は、例えば図14に示すように、周波数軸上でフィードバック信号(受信信号)の受信信号品質としてのSIR(信号電力対干渉電力比)を監視する。SIRは、干渉信号S10の受信電力に対する衛星信号(所望信号)の比である。モニター部27は、フィードバック信号(受信信号)の監視結果に基づいて、干渉抑圧装置25に制御信号を送信し、干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)の受信信号への適用(例えば、干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)の合成部24への出力)をオン・オフ制御する。
図15(a)及び(b)は、図13の後方分岐方式の地上局装置22における制御の一例を示す説明図である。図15の制御例は、伝搬路の時間変動が少ない場合に適する。図15(a)の最初の処理ステップでは、干渉抑圧装置25は干渉キャンセル信号を出力しない(y(t)=0)。そのため、分岐部23から干渉抑圧装置25へフィードバックされるフィードバック信号は受信信号x(i)となる。干渉抑圧装置25は、受信信号x(t)と参照信号S1(t)との相関処理より次式(8)の干渉レプリカ信号を生成し、干渉キャンセル信号y1(t)として出力する。合成部24は、受信信号x(t)と干渉抑圧装置25から出力された干渉キャンセル信号y1(t)とを合成し、衛星信号を復元した次式(9)の復元信号z(t)を出力する。その後、復元信号z(t)がフィードバック信号として分岐部23から干渉抑圧装置25へフィードバックされる。
モニター部27で監視している受信信号のSIRが条件1(SIR<閾値Th1)を満す場合、すなわち、受信信号のSIRが条件2(SIR≧閾値Th1)を満たさない場合、図15(b)に示すように、干渉抑圧装置25は、復元信号z(t)と参照信号S1(t)との相関処理より次式(10)の追加干渉キャンセル信号を生成し、次式(11)のように干渉キャンセル信号を更新し、更新後の干渉キャンセル信号y2(t)を出力する。合成部24は、受信信号x(t)と干渉抑圧装置25から出力された更新後の干渉キャンセル信号y2(t)とを合成し、次式(12)の復元信号z(t)を出力する。
上記追加干渉キャンセル信号の生成及び干渉キャンセル信号の更新は、受信信号のSIRが条件1(SIR<閾値Th1)を満たさないようになるまで、すなわち、受信信号のSIRが条件2(SIR≧閾値Th1)を満すようになるまで実行される。
また、干渉抑圧装置25は、モニター部27で監視している受信信号のSIRが所定の条件(SIR<閾値Th1)を満たすまで干渉キャンセル信号を更新し続ける。
[マルチパス一括検出方式]
図16は、マルチパス一括検出方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図16の構成例では、伝搬路が互いに異なる複数(Kmax個)の干渉信号からなるマルチパス干渉信号を一括検出して抑圧することができる。なお、図16の構成例は、マルチパス一括検出方式を前述の前方分岐方式の地上局装置22に適用した場合について示しているが、マルチパス一括検出方式は前述の後方分岐方式の地上局装置22に適用してもよい。
図16は、マルチパス一括検出方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図16の構成例では、伝搬路が互いに異なる複数(Kmax個)の干渉信号からなるマルチパス干渉信号を一括検出して抑圧することができる。なお、図16の構成例は、マルチパス一括検出方式を前述の前方分岐方式の地上局装置22に適用した場合について示しているが、マルチパス一括検出方式は前述の後方分岐方式の地上局装置22に適用してもよい。
図16において、干渉抑圧装置25は、複数の干渉信号に共通の干渉推定処理部251と、干渉信号毎に遅延器2521及び乗算器2522が設けられた干渉キャンセル信号生成部252とを備える。分岐部23で分岐された受信信号は、ADC(アナログ・デジタル変換器)253でデジタル信号に変換され、干渉推定処理部251に入力される。基地局30から受信された参照信号は、ADC254でデジタル信号に変換され、干渉推定処理部251及び干渉キャンセル信号生成部252に入力される。
干渉推定処理部251は、相関検出器にて、受信信号と参照信号とに基づき、各干渉信号の伝搬路応答を推定し、各干渉信号の伝搬路応答h(mk)及び遅延量mk(k=1~Kmax)を決定し、干渉キャンセル信号生成部252に出力する。
干渉キャンセル信号生成部252は、干渉信号の個数(Kmax個)に対応させてKmax組の遅延器2521及び乗算器2522を備えている。干渉キャンセル信号生成部252は、干渉信号毎に干渉レプリカ信号を作成(生成)する。例えば、干渉キャンセル信号生成部252は、k番目の干渉信号について、遅延器2521により、干渉推定処理部251から出力された遅延量mkだけ参照信号S1(i)を遅延させ、乗算器2522により、遅延後の参照信号S1(i-mk)と、干渉推定処理部251から出力された伝搬路応答h(mk)とを乗算する。これにより、k番目の干渉信号に対応する次式(13)の干渉レプリカ信号S1k(i)を作成(生成)する。
干渉キャンセル信号生成部252は、複数の干渉レプリカ信号を足し合わせて干渉キャンセル信号を生成する。干渉キャンセル信号生成部252で生成された干渉キャンセル信号は、DAC(デジタル・アナログ変換器)255でアナログ信号に変換され、合成部24に入力される。
合成部24では、複数の干渉レプリカ信号を足し合わせて生成された干渉キャンセル信号が逆相で受信信号に加算されて合成される。これにより、受信信号に含まれる複数の基地局からの複数の干渉信号を一括抑圧(キャンセル)することができる。
[マルチパス順次検出方式]
図17は、マルチパス順次検出方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図17の構成例では、伝搬路が互いに異なる複数(Kmax個)の干渉信号からなるマルチパス干渉信号を順次検出して抑圧することができる。特に、図17のマルチパス順次検出方式では、干渉信号(干渉波)を一つずつ検出・抑圧(キャンセル)するため、後続の干渉推定処理部になるほど干渉信号の伝搬路応答の推定精度が向上するので、干渉抑圧(キャンセル)性能が向上する。なお、図17の構成例は、前述の前方分岐方式を組み合わせて適用した場合について示しているが、マルチパス順次検出方式に前述の後方分岐方式を組み合わせて適用してもよい。
図17は、マルチパス順次検出方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。図17の構成例では、伝搬路が互いに異なる複数(Kmax個)の干渉信号からなるマルチパス干渉信号を順次検出して抑圧することができる。特に、図17のマルチパス順次検出方式では、干渉信号(干渉波)を一つずつ検出・抑圧(キャンセル)するため、後続の干渉推定処理部になるほど干渉信号の伝搬路応答の推定精度が向上するので、干渉抑圧(キャンセル)性能が向上する。なお、図17の構成例は、前述の前方分岐方式を組み合わせて適用した場合について示しているが、マルチパス順次検出方式に前述の後方分岐方式を組み合わせて適用してもよい。
図17において、受信信号の幹線経路220上に、分岐部23(k)及び合成部24(k)の組み合わせを、複数(Kmax)組備えている。また、干渉抑圧装置25は、干渉信号毎に、干渉推定処理部251(k)、遅延器2521及び乗算器2522が設けられた干渉キャンセル信号生成部252(k)、ADC253(k)及びDAC255(k)を備えている。各干渉推定処理部251(k)は、すべてのマルチパスの伝搬路応答及び遅延を推定する。分岐部23(k)で分岐された受信信号は、ADC253(k)でデジタル信号に変換され、干渉推定処理部251(k)に入力される。基地局30から受信された参照信号は、ADC254でデジタル信号に変換され、干渉推定処理部251(k)及び干渉キャンセル信号生成部252(k)に入力される。
また、干渉抑圧装置25は、干渉信号毎に、干渉推定処理部251(k)で推定されたすべてのマルチパスの伝搬路応答及び遅延量に基づいて、干渉信号の伝搬路応答h(mk)及びと遅延量mkを決定する制御部としてのコントローラ256(k)を備える。コントローラ256(k)で決定された干渉信号の伝搬路応答h(mk)及びと遅延量mkはそれぞれ、対応する干渉キャンセル信号生成部252(k)の遅延器2521及び乗算器2522に出力される。
干渉キャンセル信号生成部252(k)は、遅延器2521及び乗算器2522を備え、k番目の干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を作成(生成)する。例えば、干渉キャンセル信号生成部252(k)は、k番目の干渉信号について、遅延器2521により、コントローラ256(k)から出力された遅延量mkだけ参照信号S1(i)を遅延させ、乗算器2522により、遅延後の参照信号S1(i-mk)と、干渉推定処理部251から出力された伝搬路応答h(mk)とを乗算する。これにより、k番目の干渉信号に対応する次式(14)の干渉レプリカ信号S1k(i)を作成(生成)する。
干渉キャンセル信号生成部252(k)で生成された干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号は、DAC255(k)でアナログ信号に変換され、合成部24(k)に入力される。
合成部24(k)では、干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号が逆相で受信信号に加算されて合成される。これにより、k番目の干渉信号を抑圧(キャンセル)することができる。
図18(a)は、図17のマルチパス順次検出方式の干渉抑圧装置25におけるk番目の干渉信号に対する構成の一例を示す説明図である。図18(b)は、図17のマルチパス順次検出方式のk番目の干渉推定処理部251(k)に入力される受信信号におけるすべての干渉信号の振幅|h(m)|及び閾値Lthの一例を示す説明図である。図18(a)において、k番目のコントローラ256(k)は、干渉推定処理部251(k)から出力された所定の閾値Lthよりも大きな振幅|h(m)|を有する伝搬路が互いに異なる複数(Lmax個)のマルチパス干渉信号(サンプルシフト量m=1~mLmax)のうち、振幅|h(m)|が最大のマルチパス干渉信号(図示の例では、l番目のマルチパス干渉信号)を決定する。k番目のコントローラ256(k)は、l番目のマルチパス干渉信号の伝搬路応答h(ml)を干渉キャンセル信号生成部252(k)の乗算器2522に出力し、l番目のマルチパス干渉信号のサンプルシフト量に対応する遅延量mlを干渉キャンセル信号生成部252(k)の遅延器2521に出力する。
図17のマルチパス順次検出方式では、複数のマルチパス干渉信号のうち最大電力の干渉信号から順次抑圧(キャンセル)されるため、受信電力が小さい干渉信号を後続の干渉推定処理部で検出しやすくなるので、干渉抑圧(キャンセル)性能が大幅に向上する。
[複数の基地局の場合の干渉キャンセルの例]
図19は、実施形態に係る干渉抑圧装置25を搭載した衛星地上局20と複数の基地局30(1)~30(N)とのネットワーク連携を含む干渉抑圧システムの全体構成の一例を示す説明図である。図19に示すように、衛星地上局20の周辺に複数の基地局30(1)~30(N)が存在する場合、地上局装置22に設けられた干渉抑圧装置25は、有線ネットワーク50を介して各基地局30(1)~30(N)から参照信号S1(1)~S1(N)を受信して取得する。干渉抑圧装置25は、基地局毎に、受信信号Xと参照信号S1とに基づいて複数の干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号Yを生成し、干渉キャンセル信号Yを受信信号Xに合成して出力することにより、複数の基地局30(1)~30(N)からのマルチパス干渉信号S10(1)~S10(N)を抑圧(キャンセル)した衛星信号を復元することができる。
図19は、実施形態に係る干渉抑圧装置25を搭載した衛星地上局20と複数の基地局30(1)~30(N)とのネットワーク連携を含む干渉抑圧システムの全体構成の一例を示す説明図である。図19に示すように、衛星地上局20の周辺に複数の基地局30(1)~30(N)が存在する場合、地上局装置22に設けられた干渉抑圧装置25は、有線ネットワーク50を介して各基地局30(1)~30(N)から参照信号S1(1)~S1(N)を受信して取得する。干渉抑圧装置25は、基地局毎に、受信信号Xと参照信号S1とに基づいて複数の干渉レプリカ信号からなる干渉キャンセル信号Yを生成し、干渉キャンセル信号Yを受信信号Xに合成して出力することにより、複数の基地局30(1)~30(N)からのマルチパス干渉信号S10(1)~S10(N)を抑圧(キャンセル)した衛星信号を復元することができる。
なお、図19において、単一のハードウェア構成からなる干渉抑圧装置25を、複数の基地局30(1)~30(N)からの干渉信号の抑制に共用してもよいし、基地局毎に個別のハードウェア構成からなる複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)を地上局装置22に設けてもよい。
図20は、複数の基地局30(1)~30(N)に対応可能な並列信号処理方式の干渉抑圧装置25を備える地上局装置22の構成例を示す説明図である。なお、図20の構成例は、前述の前方分岐方式を組み合わせて適用した場合について示しているが、並列信号処理方式に前述の後方分岐方式を組み合わせて適用してもよい。
図20の並列信号処理方式の干渉抑圧装置25では、複数の基地局30(1)~30(N)からの干渉信号を抑圧するために、複数の個別の干渉抑圧装置25(1)~25(N)が並列に接続されている。複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、対応する基地局30(1)~30(N)から参照信号S11(t)~S1N(t)を受信して取得する。受信信号の幹線経路220上の分岐部23で分岐された受信信号x0(t)は分配部257で分配され、分配された複数の受信信号x(t)が個別の干渉抑圧装置25(1)~25(N)に入力される。複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、受信信号x(t)と参照信号S11(t)~S1N(t)とに基づいて複数の干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)y1(t)~yN(t)を生成する。複数の干渉キャンセル信号y1(t)~yN(t)は合成部258で合成され、受信信号の幹線経路220上の合成部24に入力される。
合成部24では、複数の干渉レプリカ信号を足し合わせて生成された干渉キャンセル信号が逆相で受信信号x0(t)に加算されて合成されることにより、複数の基地局30(1)~30(N)からのマルチパス干渉信号が一括抑圧(キャンセル)される。
図20の並列信号処理方式によれば、複数の基地局30(1)~30(N)からの干渉信号を抑圧する処理を同時に並列処理で行うことができるため、処理遅延時間が少ない。
図21は、複数の基地局に対応可能な直列信号処理方式の干渉抑圧装置を備える地上局装置の構成例を示す説明図である。なお、図21の構成例は、前述の前方分岐方式を組み合わせて適用した場合について示しているが、直列信号処理方式に前述の後方分岐方式を組み合わせて適用してもよい。
図21の直列信号処理方式の干渉抑圧装置25では、複数の基地局30(1)~30(N)からの干渉を削減するために、複数の個別の干渉抑圧装置25(1)~25(N)が直列に接続されている。また、受信信号の幹線経路220上に、分岐部23(n)及び合成部24(n)の組み合わせを、複数(N)組備えている。複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、対応する基地局30(1)~30(N)からスイッチ259を介して参照信号S11(t)~S1N(t)を受信して取得し、複数の分岐部23(1)~23(N)で分岐された受信信号が入力される。干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、受信信号x(t)と参照信号S11(t)~S1N(t)とに基づいて複数の干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)y1(t)~yN(t)を生成する。複数の干渉キャンセル信号y1(t)~yN(t)は、受信信号の幹線経路220上の合成部24(1)~24(N)に入力される。
図21の直列信号処理方式の干渉抑圧装置25では、複数の基地局30(1)~30(N)からの干渉を削減するために、複数の個別の干渉抑圧装置25(1)~25(N)が直列に接続されている。また、受信信号の幹線経路220上に、分岐部23(n)及び合成部24(n)の組み合わせを、複数(N)組備えている。複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、対応する基地局30(1)~30(N)からスイッチ259を介して参照信号S11(t)~S1N(t)を受信して取得し、複数の分岐部23(1)~23(N)で分岐された受信信号が入力される。干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、受信信号x(t)と参照信号S11(t)~S1N(t)とに基づいて複数の干渉キャンセル信号(干渉レプリカ信号)y1(t)~yN(t)を生成する。複数の干渉キャンセル信号y1(t)~yN(t)は、受信信号の幹線経路220上の合成部24(1)~24(N)に入力される。
複数の合成部24(1)~24(N)では、干渉キャンセル信号y1(t)~yN(t)が逆相で受信信号に加算されて合成されることにより、複数の基地局30(1)~30(N)からのマルチパス干渉信号が順次抑圧(キャンセル)される。
図21の直列信号処理方式では、複数の基地局30(1)~30(N)からのマルチパス干渉信号が順次を抑圧(キャンセル)されるため,後続の干渉抑圧装置になるほど干渉信号の低減量を大きくできる。
また、複数の基地局30(1)~30(N)からのマルチパス干渉信号の抑圧処理を行う順番は、例えば以下の処理ステップ1及び2に示すように、複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)において相関処理より求めたマルチパス総電力より決定してもよい。
図22(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、図21の1番目、n番目及びN番目の干渉抑圧装置25(1)、25(n)、25(N)における干渉推定処理部に入力される受信信号(中間復元信号)におけるすべての干渉信号の振幅|h(m)|及び閾値Lthの一例を示す説明図である。
処理ステップ1:
まず、干渉抑圧装置25(1)、25(n)、25(N)のそれぞれにおいて受信信号と参照信号との相関処理を行い、図22(a)、(b)、(c)に示すように、所定の閾値Lthを超えた|h(m)|を二乗して合計することにより、基地局30(1)、30(n)、30(N)それぞれからの受信マルチパス総電力P1、Pn、PNを求める。
まず、干渉抑圧装置25(1)、25(n)、25(N)のそれぞれにおいて受信信号と参照信号との相関処理を行い、図22(a)、(b)、(c)に示すように、所定の閾値Lthを超えた|h(m)|を二乗して合計することにより、基地局30(1)、30(n)、30(N)それぞれからの受信マルチパス総電力P1、Pn、PNを求める。
処理STEP2:
次に、P1、Pn、PNを大きい順番に並べ替え、受信マルチパス総受信電力が大きい基地局順に干渉処理を行う。例えば、Pn>PN>P1であった場合、コントローラ256でスイッチ259をオン・オフ制御しパスを繋ぎ変えることにより、基地局30(n),30(N)、30(1)の順に参照信号を干渉抑圧装置25(n)、25(N)、25(1)に供給し、基地局30(n)、30(N)、30(1)からの干渉信号を順に抑圧(キャンセル)する。このように総受信電力Pが大きい基地局から干渉信号を抑圧(キャンセル)するため,後続の干渉抑圧装置になるほど干渉信号の低減量が大きくなる。
次に、P1、Pn、PNを大きい順番に並べ替え、受信マルチパス総受信電力が大きい基地局順に干渉処理を行う。例えば、Pn>PN>P1であった場合、コントローラ256でスイッチ259をオン・オフ制御しパスを繋ぎ変えることにより、基地局30(n),30(N)、30(1)の順に参照信号を干渉抑圧装置25(n)、25(N)、25(1)に供給し、基地局30(n)、30(N)、30(1)からの干渉信号を順に抑圧(キャンセル)する。このように総受信電力Pが大きい基地局から干渉信号を抑圧(キャンセル)するため,後続の干渉抑圧装置になるほど干渉信号の低減量が大きくなる。
なお、複数の基地局から干渉に対応可能な図20の並列信号処理方式並びに図21及び図22の直列信号処理方式のそれぞれの構成例において、前述の図16に例示したマルチパス一括検出方式を組み合わせてもよい。
例えば、図20及び図21の複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)は、複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれについて、基地局アンテナ31と地上局アンテナ21との間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び遅延量を推定し、複数の干渉信号の伝搬路応答及び遅延量の推定結果と、基地局30からの参照信号とに基づいて、受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成する。合成部24は、複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)で生成された複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれに対応する複数の干渉レプリカ信号を受信信号に一括して適用することにより複数の干渉信号を抑圧した衛星信号を合成する。これにより、複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれからのマルチパス干渉信号を抑制して衛星信号を復元した復元信号を出力できる。
また例えば、図20及び図21の複数の干渉抑圧装置25(1)~25(N)及び合成部24(1)~25(N)を、複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれについて、基地局アンテナ31と地上局アンテナ21との間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号に対応させて複数組備える。複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれにおける複数の干渉抑圧装置は、基地局アンテナ31と地上局アンテナ21との間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び遅延量を推定し、複数の干渉信号の伝搬路応答及び遅延量の推定結果と参照信号とに基づいて、受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成する。そして、複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれにおける複数の干渉信号について、干渉信号の伝搬路応答及び遅延量の推定及び干渉レプリカ信号の生成と、受信信号への干渉レプリカ信号の適用及び衛星信号の合成とを順次実行する。これにより、複数の基地局30(1)~30(N)のそれぞれからのマルチパス干渉信号を抑制して衛星信号を復元した復元信号を出力できる。
以上、本実施形態によれば、第5世代等の移動通信システムの基地局30から端末装置に送信される無線通信において、衛星通信システムの衛星地上局20で受信される下り回線の無線通信と同一の周波数帯を利用する場合に、衛星地上局20と基地局30との間の離隔距離にかかわらず、衛星地上局20の下り回線の受信信号における基地局30からの干渉(特に、マルチパス干渉)を抑圧することができる。
なお、本発明は、第5世代以外の移動通信システムの通信方式にも適用可能である。
また、本発明は、第5世代等の次世代の移動通信システムの基地局と衛星通信システムの下り回線で同一の周波数帯を利用する場合であっても基地局からの干渉信号を抑圧しつつ衛星地上局において下り回線の高品質の通信を実現できるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
なお、本明細書で説明された処理工程並びにシステムの構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
10 :人工衛星
11 :衛星局アンテナ
20 :衛星地上局
21 :地上局アンテナ
22 :地上局装置
23 :分岐部
24 :合成部
25 :干渉抑圧装置
26 :遅延器
27 :モニター部
30 :基地局
31 :基地局アンテナ
33 :分岐部
34 :遅延器
40 :端末装置
50 :有線ネットワーク
90 :建物
220 :受信信号の幹線経路
251 :干渉推定処理部
252 :干渉キャンセル信号生成部
256 :コントローラ
257 :分配部
258 :合成部
259 :スイッチ
2521 :遅延器
2522 :乗算器
11 :衛星局アンテナ
20 :衛星地上局
21 :地上局アンテナ
22 :地上局装置
23 :分岐部
24 :合成部
25 :干渉抑圧装置
26 :遅延器
27 :モニター部
30 :基地局
31 :基地局アンテナ
33 :分岐部
34 :遅延器
40 :端末装置
50 :有線ネットワーク
90 :建物
220 :受信信号の幹線経路
251 :干渉推定処理部
252 :干渉キャンセル信号生成部
256 :コントローラ
257 :分配部
258 :合成部
259 :スイッチ
2521 :遅延器
2522 :乗算器
Claims (21)
- 人工衛星に搭載された衛星局から送信された下り回線の衛星信号を受信する衛星地上局の受信信号における干渉を抑圧する干渉抑圧装置であって、
前記衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置との無線通信を行う移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信する参照信号受信手段と、
前記有線ネットワークを介して前記基地局から受信した前記参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬遅延量と伝搬路応答を推定する推定手段と、
前記干渉信号の伝搬遅延量と伝搬路応答の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成する信号生成手段と、
を備えることを特徴とする干渉抑圧装置。 - 衛星局から送信された下り回線の電波を受信するアンテナと、前記アンテナで受信された受信信号を処理する衛星地上局装置と、を備える衛星地上局であって、
前記衛星地上局装置は、
請求項1の干渉抑圧装置と、
前記アンテナで受信された前記受信信号を分岐して前記干渉抑圧装置に入力する分岐手段と、
前記干渉抑圧装置で生成された前記干渉レプリカ信号を前記受信信号に適用することにより前記干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成する合成手段と、
を備える、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2の衛星地上局において、
前記分岐手段は、前記受信信号の幹線経路における前記衛星信号の合成点よりも前記アンテナ側に位置する前方位置で前記受信信号を分岐して前記干渉抑圧装置に入力する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2の衛星地上局において、
前記分岐手段は、前記受信信号の幹線経路における前記衛星信号の合成点よりも前記アンテナの反対側に位置する後方位置で前記受信信号を分岐して前記干渉抑圧装置に入力する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項4の衛星地上局において、
前記分岐手段で分岐されて前記干渉抑圧装置に入力される信号を監視し、前記信号の監視結果に基づいて前記干渉レプリカ信号の前記受信信号への適用をオン・オフ制御する監視手段を備える、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2の衛星地上局において、
前記推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成する、
ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項6の衛星地上局において、
前記複数の干渉信号のうち、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答に基づいて算出した干渉信号の電力が所定の閾値よりも大きい一又は複数の干渉信号について、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを実行する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2の衛星地上局において、
前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、
前記複数の推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記複数の信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記複数の干渉信号について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行する、
ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項8の衛星地上局において、
前記複数の信号生成手段はそれぞれ、前記複数の干渉信号のうち、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答に基づいて算出した干渉信号の電力が最大の干渉信号について、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを実行する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2の衛星地上局において、
前記参照信号受信手段は、移動通信システムの複数の基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された複数の参照信号を、有線ネットワークを介して受信し、
前記推定手段は、前記有線ネットワークを介して前記複数の基地局から受信した前記複数の参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記複数の基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答と伝搬遅延量の推定結果と、前記複数の参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成する、
ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項10の衛星地上局において、
前記推定手段は、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記信号生成手段は、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の基地局のそれぞれに対応する前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成する、
ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項10の衛星地上局において、
前記複数の基地局のそれぞれについて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、
前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の干渉信号について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2の衛星地上局において、
前記参照信号受信手段は、移動通信システムの複数の基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された複数の参照信号を、有線ネットワークを介して受信し、
前記複数の基地局に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、
前記複数の基地局について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行する、
ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項13の衛星地上局において、
前記複数の基地局について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答に基づいて算出した複数の干渉信号の総電力が大きい基地局の順に、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを実行する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項13の衛星地上局において、
前記推定手段は、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記信号生成手段は、前記複数の基地局のそれぞれについて、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記合成手段は、前記干渉抑圧装置で生成された前記複数の基地局のそれぞれに対応する前記複数の干渉レプリカ信号を前記受信信号に一括して適用することにより前記複数の干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成する、
ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項13の衛星地上局において、
前記複数の基地局のそれぞれについて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号に対応させて、前記推定手段、前記信号生成手段及び前記合成手段を複数組備え、
前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の推定手段は、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の複数の無線伝搬路における複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量を推定し、
前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の信号生成手段は、前記複数の干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる複数の干渉信号に対応する複数の干渉レプリカ信号を生成し、
前記複数の基地局のそれぞれにおける前記複数の干渉信号について、前記推定手段による前記干渉信号の伝搬路応答及び伝搬遅延量の推定と、前記信号生成手段による前記干渉レプリカ信号の生成と、前記合成手段による前記干渉レプリカ信号の適用及び前記衛星信号の合成とを順次実行する、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2乃至16のいずれかの衛星地上局において、
前記アンテナと前記受信信号の分岐点との間に、前記受信信号を遅延させる遅延器を備える、ことを特徴とする衛星地上局。 - 請求項2乃至16のいずれかの衛星地上局と、前記移動通信システムの一又は複数の基地局とを備えるシステム。
- 請求項18のシステムにおいて、
前記基地局の基地局装置とアンテナとの間に、前記送信信号を遅延させる遅延器を備える、ことを特徴とするシステム。 - 人工衛星に搭載された衛星局から送信された下り回線の衛星信号を受信する衛星地上局の受信信号における干渉を抑圧する干渉抑圧方法であって、
前記衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置との無線通信を行う移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信することと、
前記有線ネットワークを介して前記基地局から受信した前記参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬路応答を推定することと、
前記干渉信号の伝搬路応答の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成することと、
前記干渉レプリカ信号を前記受信信号に適用することにより前記干渉信号を抑圧した前記衛星信号を合成することと、
を含むことを特徴とする干渉抑圧方法。 - 人工衛星に搭載された衛星局から送信された下り回線の衛星信号を受信する衛星地上局の受信信号における干渉を抑圧する干渉抑圧装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記衛星局からの下り回線の電波と同一の周波数帯を用いて端末装置との無線通信を行う移動通信システムの基地局のアンテナから送信される送信信号から分岐された参照信号を、有線ネットワークを介して受信するためのプログラムコードと、
前記有線ネットワークを介して前記基地局から受信した前記参照信号と、前記衛星地上局のアンテナを介して受信された受信信号とに基づいて、前記基地局のアンテナと前記衛星地上局のアンテナとの間の無線伝搬路における前記基地局からの干渉信号の伝搬路応答を推定するためのプログラムコードと、
前記干渉信号の伝搬路応答の推定結果と、前記参照信号とに基づいて、前記受信信号に含まれる干渉信号に対応する干渉レプリカ信号を生成するためのプログラムコードと、
を含むことを特徴とするプログラム。
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