JP7362411B2 - アブソーバ - Google Patents
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Description
(b) 特許文献2は、図12に示すように、バンパリンフォースメント2の高さと略同じ高さを有しており、車両後側面から車両前側に凹む空間部1aが設けられることで断面コの字状とされたタイプ(コの字タイプ)のアブソーバ1を示している。
(c) 特許文献3は、図13に示すように、高さがバンパリンフォースメント2の高さの半分以下とされており略板状とされたタイプ(板タイプ)のアブソーバ1を示している。
(i)〈アブソーバによるエネルギ吸収効率〉
(i-1)上記(a)-(c)のいずれも、アブソーバ1が発泡樹脂材で構成されているため、衝突荷重の入力初期時に自身が変形するおそれがある。その場合、取付けられるバンパリンフォースメント2に早期に効率よく衝突荷重を伝えられなくなり、衝突荷重を受けた際のアブソーバの荷重-変位曲線(図14)において、入力初期における荷重の立ち上がりが緩やかになるおそれがある。
(i-2)上記(b)コの字タイプにあっては、衝突荷重の入力初期にコの字の天板部1bが撓むおそれがある。その場合、入力初期における荷重の立ち上がりが緩やかになるおそれがある。
(i-3)上記(c)板タイプにあっては、アブソーバ1とバンパ3との接触面積が小さいため、アブソーバ1にかかる応力が大きくなり、衝突荷重により容易に変形してしまう。そのため、アブソーバの荷重-変位曲線において、入力初期における荷重の立ち上がりが緩やかになるおそれがある。
なお、図14は、従来アブソーバの代表例として、上記(b)コの字タイプにおける荷重-変位曲線を示している。
(ii-1)図11~図13に示すように、上記(a)-(c)のいずれも、アブソーバ1がバンパリンフォースメント2の車両前側面(衝突荷重の入力側にある前面)に取付けられているため、アブソーバ1の潰れ残り1cがバンパリンフォースメント2の車両前側(衝突荷重の入力側)に発生してしまう。そのため、衝突荷重の入力方向(前後方向)で、アブソーバ1の変形によるエネルギ吸収のためのスペースだけでなく、潰れ残り1cのスペースも必要になってしまう。
(ii-2)また、上記(c)板タイプにあっては、座屈または折れるようにして破損するおそれがあり、その場合、アブソーバ1のめくれ上がりが発生するため、衝突荷重の入力方向と直交する方向(上下方向)のスペースも必要になってしまう。
(1) 車体または該車体に取付けられる部材からなる車体側部材に取付けられており、衝突荷重の入力時に塑性変形して衝突エネルギを吸収するアブソーバであって、
前記車体側部材に取付けられる取付部と、該取付部から前記衝突荷重の入力側に延びる延出部と、を有しており、
前記延出部は、該延出部の延び方向断面視で、該延出部の延び方向と直交する方向に開放するV字部と、該V字部の開放方向と反対方向に開放する逆V字部と、を有しており、前記延出部の延び方向に前記V字部と前記逆V字部とが交互に、隣り合うV字部と逆V字部の一方の一辺が他方の一辺となるようにして、連続して複数並ぶ形状となっており、
前記延出部の延び方向断面視で、複数の前記V字部および複数の前記逆V字部の少なくとも1つにおけるV字または逆V字の折れ曲がり部は、前記延出部の延び方向と平行な方向に延びている、アブソーバ。
(2) 前記取付部は、前記車体側部材の、前記衝突荷重の入力側にある前面部よりも後側にある部位で、前記車体側部材に取付けられている、(1)記載のアブソーバ。
(3) 前記取付部は、前記延出部の延び方向から見て前記延出部とラップする位置にある、(1)または(2)記載のアブソーバ。
(4) 前記延出部は、前記V字部と前記逆V字部のうちで、最も前記取付部側にあるV字後部と、最も前記延出部の延び方向の先端側にあるV字前部と、前記V字後部とV字前部との間にあるV字中間部と、を有しており、
前記V字前部と前記V字後部における剛性は、前記V字中間部における剛性よりも高く設定されている、(1)~(3)のいずれか1つに記載のアブソーバ。
(5) 前記V字前部における剛性は、前記V字後部における剛性よりも高く設定されている、(4)記載のアブソーバ。
(6) 前記V字中間部は、前記V字後部に隣接する位置にあるV字中間後部と、該V字中間後部と前記V字前部との間にあるV字中間前側部と、を有しており、
前記V字中間前側部における剛性は、前記V字中間後部における剛性よりも高く設定されている、(4)または(5)記載のアブソーバ。
V字前部における剛性がV字中間部における剛性よりも高いため、V字前部に入力される衝突荷重を、V字前部でのめくれ上がりを抑制してV字前部の後側、すなわちV字中間部やV字後部に効率よく伝達できる。
また、V字後部における剛性がV字中間部における剛性よりも高いため、V字中間部がほとんど変形しないうちにV字後部が変形してしまい、V字後部で衝突荷重の入力方向と直交する方向にアブソーバがめくれあがってしまうことを抑制できる。そのため、衝突荷重の入力方向と直交する方向でスペース上有利である。
(b) V字前部30bにおける剛性は、V字後部30aにおける剛性よりも高く設定されている。
(c) V字中間部30cにあっては、V字中間前側部30c2における剛性は、V字中間後部30c1における剛性よりも高く設定されている。
(A1)図2に示すように、延出部30の延び方向断面視で、複数のV字部31および複数の逆V字部32の少なくとも1つにおけるV字または逆V字の折れ曲がり部33が、延出部30の延び方向と平行な方向に延びているため、アブソーバ10に入力される衝突荷重Fを効率よく車体側部材100に取付けられる取付部20まで伝達でき、車体側部材100による支え(反力)を早期に効率よく受けることができる。よって、衝突荷重Fを受けた際のアブソーバ10の荷重-変位曲線(図4の実線)において、衝突荷重Fの入力初期における荷重の立ち上がりを早める(急角度にする)ことができる。
なお、エネルギ吸収効率を高めることができるため、衝突荷重Fの入力方向でアブソーバ10の長さを短くしてもアブソーバ10に要求されるエネルギ吸収量を確保できる。よって、衝突荷重Fの入力方向におけるアブソーバ10の短縮化を図ることができ、スペース上有利である。
V字前部30bにおける剛性がV字中間部30cにおける剛性よりも高いため、V字前部30bに入力される衝突荷重Fを、V字前部30bでのめくれ上がりを抑制してV字前部30bの後側、すなわちV字中間部30cやV字後部30aに効率よく伝達できる。
また、V字後部30aにおける剛性がV字中間部30cにおける剛性よりも高いため、V字中間部30cがほとんど変形しないうちにV字後部30aが変形してしまい、V字後部30aで衝突荷重Fの入力方向と直交する方向にアブソーバ10がめくれあがってしまうことを抑制できる。そのため、衝突荷重Fの入力方向と直交する方向でスペース上有利である。
図9は、本発明実施例のアブソーバ10を、車両(特に限定されるものではないがたとえばSUV車)の歩行者との前面衝突時に、衝突エネルギの少なくとも一部を吸収して歩行者の損傷を抑制するために用いる場合を示している。なお、図中、符号300はフロントバンパ、符号310はラジエータ、符号320はフロントグリルを示している。
車体側部材100は、車両前部で車幅方向に延びており車体の一部を構成する、断面「日」字状のバンパリンフォースメントである。車体側部材100の前面部110は、上下方向に延びるバンパリンフォースメントの車両前側面部であり、車体側部材100の後方延び部120は、バンパリンフォースメントの上下面部と上下面部間のほぼ中央にある橋渡し部である。また、車体側部材100の後面部130は、バンパリンフォースメントの車両後側面部である。
実施例として、図1に示すように、上述したアブソーバ10の実施形態に対応する構造を有するアブソーバのテストピースを作製し、これを本発明品として用いた。
奥行き(衝突荷重の入力方向の長さ):L450mm
幅(水平面内で奥行きと直交する方向の長さ):W300mm
高さ(奥行きおよび幅と直交する方向の長さ):H30mm
板厚:t2.5mm
リブピッチ:20mm~40mm(上述したアブソーバ10の剛性序列に応じて変更)
材質:PP
アブソーバ10の剛性序列:延出部30のV字前部30b→V字後部30a→V字中間前側部30c2→V字中間後部30c1
とした。
(ii)車体側部材100については、
奥行き:L90mm
幅:W250mm
高さ:H110mm
板厚:t2.7mm~t6.8mm
材質:アルミニウム
とした。
(iii)アブソーバ10と車体側部材100との締結については
締結:ボルト(M10ボルト、ワッシャー径φ20mm)
取付ピッチ:150mmピッチ
とした。
また、本発明実施例の比較例として、剛性序列のみを異ならせた比較テストピース10´に同様の試験を行って得られた、衝突試験後の比較テストピース10´を、図5に示す。なお、符号20´は、本発明実施例における取付部20に相当する部分であり、符号30´は、本発明実施例における延出部30に相当する部分である。
「立ち上がり」に関しては、従来アブソーバの中でもソリッドタイプが中実でありコの字タイプや板タイプよりも剛性が高いため、衝突荷重の入力初期の立ち上がりは早まるが、本発明品では、さらに早めることができる。
「落ち込み」に関しては、従来アブソーバの中でもソリッドタイプが中実であり座屈や破損の可能性が低いため、コの字タイプや板タイプよりも落ち込みを抑制できるが、本発明品ではさらに効果的に落ち込みの発生を抑制できる。
「潰れ残り」に関しては、従来アブソーバは車体側部材の前面に配置されているため、いずれも車体側部材の前面に潰れ残りが発生してしまうが、本発明品では、車体側部材の前面部よりも後側に潰れ残りを発生させることができる。
「矩形」に関しては、荷重―変位線図における波形において、従来は立ち上がりや落ち込みの問題があるため矩形からかけ離れた形状となってしまうが、本発明品では矩形に近づけることができる。
「サイズ」は、変形前(衝突エネルギ吸収前)の状態におけるアブソーバの高さ方向のサイズであり、従来アブソーバは発泡樹脂製であったため、高さ方向のサイズのコンパクト化を図ることが困難であるが、本発明品では発泡樹脂製ではないため、高さ方向のサイズのコンパクト化を図ることができる。
20 取付部
21 板状部
22 取付部の入力側の端部
30 延出部
30a V字後部
30b V字前部
30c V字中間部
30c1 V字中間後部
30c2 V字中間前側部
31 V字部
32 逆V字部
33 折れ曲がり部
34 平行部の両端部
35 延出部の延び方向先端面
50 ボルト
60 リブ
100 車体側部材
110 前面部
120 後方延び部
130 後面部
140 反力板部
141 外方延び部
142 入力側延び部
300 フロントバンパ
301 対向面
F 衝突荷重
Claims (5)
- 車体または該車体に取付けられる部材からなる車体側部材に取付けられており、衝突荷重の入力時に塑性変形して衝突エネルギを吸収するアブソーバであって、
前記車体側部材に取付けられる取付部と、該取付部から前記衝突荷重の入力側に延びる延出部と、を有しており、
前記延出部は、該延出部の延び方向断面視で、該延出部の延び方向と直交する方向に開放するV字部と、該V字部の開放方向と反対方向に開放する逆V字部と、を有しており、前記延出部の延び方向に前記V字部と前記逆V字部とが交互に、隣り合うV字部と逆V字部の一方の一辺が他方の一辺となるようにして、連続して複数並ぶ形状となっており、
前記延出部の延び方向断面視で、複数の前記V字部および複数の前記逆V字部の少なくとも1つにおけるV字または逆V字の折れ曲がり部は、前記延出部の延び方向と平行な方向に延びており、
前記延出部は、前記V字部と前記逆V字部のうちで、最も前記取付部側にあるV字後部と、最も前記延出部の延び方向の先端側にあるV字前部と、前記V字後部とV字前部との間にあるV字中間部と、を有しており、
前記V字前部と前記V字後部における剛性は、前記V字中間部における剛性よりも高く設定されている、アブソーバ。 - 前記取付部は、前記車体側部材の、前記衝突荷重の入力側にある前面部よりも後側にある部位で、前記車体側部材に取付けられている、請求項1記載のアブソーバ。
- 前記取付部は、前記延出部の延び方向から見て前記延出部とラップする位置にある、請求項1または請求項2記載のアブソーバ。
- 前記V字前部における剛性は、前記V字後部における剛性よりも高く設定されている、請求項1記載のアブソーバ。
- 前記V字中間部は、前記V字後部に隣接する位置にあるV字中間後部と、該V字中間後部と前記V字前部との間にあるV字中間前側部と、を有しており、
前記V字中間前側部における剛性は、前記V字中間後部における剛性よりも高く設定されている、請求項1または請求項4記載のアブソーバ。
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JP3931419B2 (ja) * | 1998-02-20 | 2007-06-13 | いすゞ自動車株式会社 | 車体用バンパ構造 |
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