JP7359441B2 - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子 Download PDF

Info

Publication number
JP7359441B2
JP7359441B2 JP2020020417A JP2020020417A JP7359441B2 JP 7359441 B2 JP7359441 B2 JP 7359441B2 JP 2020020417 A JP2020020417 A JP 2020020417A JP 2020020417 A JP2020020417 A JP 2020020417A JP 7359441 B2 JP7359441 B2 JP 7359441B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
metal
layer
organic
electrochromic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020020417A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021124703A (ja
Inventor
昌芳 樋口
幸男 藤井
啓之 大橋
繁樹 黒岩
芳治 濱田
晃弘 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2020020417A priority Critical patent/JP7359441B2/ja
Publication of JP2021124703A publication Critical patent/JP2021124703A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7359441B2 publication Critical patent/JP7359441B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Description

特許法第30条第2項適用 令和1年11月12日公開 The 26th International Display Workshops(IDW ’19) https://confit.atlas.jp/guide/event/idw2019/subject/EP3-1L/advanced
特許法第30条第2項適用 令和1年11月26日発行 Proceedings of the International Display Workshops,Volume 26,ISSN 2189-8391,ISSN-L 1883-2490,EP3-1L(Late-News Paper)P.1415-1417
特許法第30条第2項適用 令和1年11月27日~29日開催 The 26th International Display Workshops(IDW ’19)札幌コンベンションセンター(札幌市白石区東札幌6条1丁目1-1)
特許法第30条第2項適用 令和1年11月25日公開 国立研究開発法人物質・材料研究機構プレスリリース「にじみを表現できる省電力ソフトディスプレイによる芸術的表現の試み」 https://www.nims.go.jp/news/press/2019/11/201911250.html
特許法第30条第2項適用 令和1年11月25日公開 早稲田大学プレスリリース「にじみを表現できる省電力ソフトディスプレイによる芸術的表現の試み」 https://www.waseda.jp/top/news/67458
特許法第30条第2項適用 令和1年11月25日公開 国立研究開発法人科学技術振興機構プレスリリース「にじみを表現できる省電力ソフトディスプレイによる芸術的表現の試み」 https://www.jst.go.jp/pr/announce/20191125/index.html
特許法第30条第2項適用 令和1年11月25日公開 多摩美術大学プレスリリース「にじみを表現できる省電力ソフトディスプレイによる芸術的表現の試み」 https://k.tamabi.ac.jp/activity/kikaku/2560192/ https://www.tamabi.ac.jp/topics/pr_nims_191125.pdf
特許法第30条第2項適用 令和1年11月26日公開 Facebook https://www.facebook.com/nims.jp
特許法第30条第2項適用 令和1年11月26日公開 Instagram https://www.instagram.com/p/B5UfmQ2lUO7/
特許法第30条第2項適用 令和1年11月26日公開 Twitter https://twitter.com/NIMS_PR/status/1199228413430521856
特許法第30条第2項適用 令和1年12月19日放送 テレビ東京株式会社 ワールドビジネスサテライト https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/trend_tamago/post_192980/
特許法第30条第2項適用 令和2年1月10日発行 株式会社誠文堂新光社 子供の科学 第83巻第2号4頁
特許法第30条第2項適用 令和2年1月22日公開 Instagram https://www.instagram.com/p/B7nUcvaFch4/
本発明は、有機/金属ハイブリッドポリマーを用いたエレクトロクロミック(EC)素子に関する。
近年、ディスプレイ材料としてエレクトロクロミック材料が注目されている。このようなエレクトロクロミック材料として、種々の有機/金属ハイブリッドポリマーが開発され、それを用いたエレクトロクロミックデバイスが知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。特許文献1および2では、有機配位子がターピリジン基あるいはフェナントロリン基であり、これに金属イオンが配位した有機/金属ハイブリッドポリマーおよびそのエレクトロクロミックデバイスが開示されている。
このようなエレクトロクロミックデバイスは、表示素子、調光素子、電子ペーパ等に適用される。最近、単一の素子において、グラデーションやランダムなど複雑な着消色を可能にするエレクトロクロミック素子が開発されている(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3のエレクトロクロミック素子によれば、エレクトロクロミック層に電圧を印加すると、電圧分布(不均一な電位差)が生じ、蓄積される電荷量、さらに電荷量が蓄積されるまでの時間が不均一となる。その結果、電荷量の不均一さに応じたグラデーションや色むら、電荷量蓄積に要する時間の不均一さに応じた着消色速度の不均一さ(じわじわ感)といった種々の着消色を可能にする。
しかしながら、特許文献3では、例えば、電極構成によって電荷量の蓄積量や蓄積されるまでの時間を制御するため、電極構成によっては意匠性を損なう場合がある。特に、外部電源との接続に際して、半田やクリップなどを用いると意匠性が損なわれる。このため、さらに意匠性に優れたグラデーションや色むらなどの複雑な着消色を可能にするエレクトロクロミック素子が求められる。
特開2007-112957号公報 特開2012-188517号公報 国際公開第2019/039121号
本発明の課題は、意匠性に優れたエレクトロクロミック素子を提供することである。
本発明によるエレクトロクロミック素子は、第1のかしめ部材を有する第1の透明電極と、前記第1の透明電極上に位置する、有機配位子と、前記有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーを含有するエレクトロクロミック層と、前記エレクトロクロミック層上に位置する電解質層と、前記電解質層上に位置する、第2のかしめ部材を有する第2の透明電極とを備え、前記エレクトロクロミック層は、厚さ方向に前記金属イオンの量の異なる2以上の領域を有し、前記第1のかしめ部材は、前記第1の透明電極のみを貫通しており、前記第2のかしめ部材は、前記第2の透明電極のみを貫通しており、これにより上記課題を解決する。
前記厚さ方向に前記金属イオンの量の異なる2以上の領域は、2以上の異なる厚さを有する領域からなってもよい。
前記2以上の異なる厚さを有する領域における厚さの差は、0.05μmより大きく20μm以下の範囲であってもよい。
前記厚さの差は、0.1μm以上2μm以下の範囲であってもよい。
前記厚さ方向に前記金属イオンの量の異なる2以上の領域における一方の領域における金属イオンの量は、他方の領域における金属イオンの量に対し1.5以上100以下の範囲であってもよい。
前記第1のかしめ部材および前記第2のかしめ部材は、それぞれ、ハトメ、金属リベット、ピアス端子、金属鋲、ホッチキス、ビス、ボルト、ホック、スナップファスナ、および、スナップボタンからなる群から選択されてもよい。
前記第1の透明電極および前記第2の透明電極は、それぞれ、透明基板と前記透明基板上に位置する透明導電膜とを備え、前記透明基板は、ガラス、石英、および、樹脂からなる群から選択されてもよい。
前記樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、非環状ポリオレフィン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、および、ポリスチレン系樹脂からなる群から選択されてもよい。
前記電解質層と前記第2の透明電極との間に対極物質層をさらに備えてもよい。
前記対極物質層は、金属錯体または有機金属錯体であってもよい。
前記有機配位子は、ターピリジン基、フェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基およびこれらの誘導体からなる群から少なくとも1種選択されてもよい。
前記金属イオンは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、オスミウム(Os)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ユーロピウム(Eu)、亜鉛(Zn)およびマンガン(Mn)からなる群から少なくとも1種選択されてもよい。
前記有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(I)、(II)および(III)からなる群から少なくとも1つ選択される一般式で表されてもよい。

前記式(I)において、Mは金属イオンを示し、Xはカウンターアニオンを示し、Sは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R~Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数であり、
前記式(II)において、M~M(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に酸化還元電位の異なる金属イオンを示し、X~X(nは2以上の整数)は、それぞれ独立にカウンターアニオンを示し、S~S(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R ~R 、R ~R 、R ~R 、R ~R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、n~nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数であり、
前記式(III)において、Mは金属イオンを示し、Xはカウンターアニオンを示し、Aは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのフェナントロリン基を直接接続するスペーサを示し、R~Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
前記有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(IV)で表される繰り返し単位、および、(V)で表される部分構造からなる群から選択される少なくとも1つの単位または部分構造と、カウンターアニオンとを有してもよい。

前記式(IV)において、Mは、配位数が4である第1金属イオン並びに配位数が4および6である第3金属イオンであって配位数4の状態である金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種を表し、Lは、単結合又は2価の基を表し、複数あるLおよびMは、同一でも異なっていてもよく、それぞれの炭素原子に結合した水素原子は、それぞれ独立に1価の基で置換されていてもよく、
前記式(V)において、Mは、配位数が6である第2金属イオン並びに配位数が4および6である第3金属イオンであって配位数6の状態である金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種を表し、Lは、単結合又は2価の基を表し、*は、結合位置を表し、複数あるM及びLは、同一でも異なっていてもよく、それぞれの炭素原子に結合した水素原子は、それぞれ独立に1価の基で置換されていてもよい。
前記電解質層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロイソプロピル)(PVdF-co-PHFP)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカーボネート、および、ポリアクリロニトリルからなる群から少なくとも1種選択される高分子と、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、リチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(LiTFSI)、LiCHCOO、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClOおよびMg(BFからなる群から少なくとも1種選択される支持塩とを含んでもよい。
本発明のエレクトロクロミック(EC)素子は、厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域を有するため、にじむように(じわじわと)色が変化し、意匠性に優れた階調表現を可能にする。さらに、第1のかしめ部材および第2のかしめ部材を介して外部電源に接続できるため、銀ペーストを用いた電源との接続部における不純物のEC層への拡散を抑制でき、歩留まりよく、高精度なEC素子が提供される。また、第1のかしめ部材および第2のかしめ部材を使用することにより、外部電源との接続に極細配線材の使用が可能となり、意匠性に優れる。
本発明のEC素子を示す模式図 本発明の別のEC素子を示す模式図 本発明のさらに別のEC素子を示す模式図 参考例1のEC素子の着消色の様子を示す図 参考例2のEC素子の着消色の様子を示す図 ハトメを有するITO付PETフィルムを示す図 別のハトメを有する表側のITO付PETフィルムを示す図 別のハトメを有する裏側のITO付PETフィルムを示す図 塗布用のマスクを示す図 実施例1の葉っぱ型エレクトロクロミック素子を示す図 実施例1の葉っぱ型EC素子の着消色の様子を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
本発明のエレクトロクロミック(EC)素子100の構成および製造方法について説明する。
図1は、本発明のEC素子を示す模式図である。
図2は、本発明の別のEC素子を示す模式図である。
本発明のEC素子100、200は、第1のかしめ部材110を有する第1の透明電極120と、第1の透明電極120上に位置する、有機/金属ハイブリッドポリマーを含有するエレクトロクロミック(EC)層130と、EC層130上に位置する電解質層140と、電解質層140上に位置する、第2のかしめ部材150を有する第2の透明電極160とを備える。有機/金属ハイブリッドポリマーは、有機配位子と、その有機配位子に配位された金属イオンとからなる。
EC層130は、厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域を有する。厚さ方向とは、図1、図2中で紙面に対して上下方向であり、金属イオンの総量が異なる2以上の領域があればよい。これにより、EC層130中に光を吸収する金属イオンの総量が異なる領域ができるため、金属イオンの総量の多い領域は、金属イオンの総量の少ない領域に比べて、ゆっくりと色変化するため、全体としてにじむような色変化を達成できる。
厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域とは、EC層130の厚み方向に沿って金属イオンの単位面積当たりの含有量を合計したとき、その合計量が互いに異なる領域である。なお、金属イオンの量は、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS)等によって測定され得る。
詳細には、図1に示すように、EC層130における厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域は、2以上の異なる厚さを有する領域からなってもよい。これにより、図1の領域170と領域180とでは、厚さ方向の金属イオンの量が異なる。すなわち、領域180の厚さ方向の金属イオンの量は、領域170の厚さ方向のそれよりも多い。特に、EC層130がすべて同じ濃度を有する有機/金属ハイブリッドポリマー溶液から製造する場合に有効である。
厚さの差Hは、好ましくは、0.05μmより大きく20μm以下の範囲である。この範囲であれば、色変化を視認できる。さらに好ましくは、差Hは、0.1μm以上2μm以下の範囲である。これにより、より明瞭な色変化を視認できる。
図1では、2つの異なる厚さを有する領域を示すが、領域は3以上であってもよい。これにより、より複雑な色変化を達成できる。
また、図2に示すように、EC層130における厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域は、有機/金属ハイブリッドポリマーの濃度が互いに異なる領域210と領域220とであってもよい。ここでは、領域210の有機/金属ハイブリッドポリマーの濃度は、領域220の有機/金属ハイブリッドポリマーのそれよりも小さいものとする。すなわち、領域220の厚さ方向の金属イオンの量は、領域210の厚さ方向のそれよりも多い。特に、EC層130の厚さが均一な場合に有効である。
このような厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域のうち一方の領域(例えば、領域220)における金属イオンの量は、好ましくは、他方の領域(例えば、領域210)における金属イオンの量に対して1.5倍以上100倍以下の範囲である。この範囲であれば、色変化を視認できる。さらに好ましくは、2倍以上10倍以下の範囲である。これにより、明瞭な色変化を視認できる。
図2では、2つの異なる濃度を有する領域を示すが、領域は3以上であってもよい。これにより、より複雑な色変化を達成できる。
第1のかしめ部材110は、第1の透明電極120のみを貫通し、第2のかしめ部材150は第2の透明電極160のみを貫通するよう構成されている。第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150を介して外部電源(図示せず)に接続されることになる。このように、第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150は、いずれも、物理的にEC層130から離間した状態を維持できる。さらに、第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150は、例えば、所望の導線等を巻き付けなどするだけで、容易に外部電源と接続できる。特に、導線として極細導線を採用すれば、EC素子全体の意匠性に優れる。
また、第1のかしめ部材110、第2のかしめ部材150を用いることにより、従来必要であった銀ペースト等の半田付けやワイヤボンディングを不要とするため、製造工程が簡略化される。さらには、銀ペーストなど不純物が半田付けの際の温度上昇によりEC層130へ拡散することが抑制されるので、EC層130のエレクトロクロミック特性が良好に維持される。
さらには、第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150に美観や意匠的に優れた部材を選ぶことにより、EC素子全体の美観や意匠性も向上し得る。
このような第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150は、第1の透明電極120および第2の透明電極160のそれぞれを貫通するものであれば特に制限はないが、美観や意匠性の観点から、ハトメ、金属リベット、ピアス端子、金属鋲、ホッチキス、ビス、ボルト、ホック、スナップファスナ、および、スナップボタンからなる群から選択される。これらは、各種サイズのものを容易に入手できるとともに、意匠性にも優れる。
第1の透明電極120および第2の透明電極160は、可視光の各電極の平均透過率が70%以上、好ましくは、80%以上であり、シート抵抗が100Ω/sq.以下の電気伝導度を有するものであれば任意の材料を採用できる。
第1の透明電極120および第2の透明電極160は、好ましくは、透明基板と透明基板上に位置する透明導電膜であってもよい。透明導電膜は、例示的には、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム、金メッシュ、銀メッシュ、銅メッシュ等がある。これらの材料は、いずれも、上述の透光性および電気伝導率を有する。
透明基板は、好ましくは、ガラス、石英、および、樹脂からなる群から選択される。これらの基板は、上述の透光性を有しており、入手可能であり、上述の透明導電膜を物理的気相成長法や化学的気相成長法等によってその上に容易に形成できる。特に樹脂であれば、樹脂の柔軟性を生かした種々の形状のEC素子を実現でき、曲面表示やフレキシブルなEC素子となる。
このような樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ジシクロペンタニルメタクリレートなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1(TPX)などの非環状ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロースエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、および、ポリスチレン系樹脂からなる群から選択され得る。これらの樹脂は、上述の透光性を有する。
EC層130は、有機配位子と、有機配位子に配位された金属イオンとを含む有機/金属ハイブリッドポリマーを含有するエレクトロクロミック材料である。このような有機/金属ハイブリッドポリマーは、消費電力が小さいため、電磁波信号から変換された電気信号によって容易に着色・消色する。
ここで、有機/金属ハイブリッドポリマーについて詳述する。有機配位子とは、金属イオンを配位でき、重合によって高分子化可能である有機化合物であれば、特に制限はない。有機配位子は、好ましくは、ターピリジン基、フェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基およびこれらの誘導体からなる群から選択される。有機/金属ハイブリッドポリマーを構成する有機配位子は、単数種であっても複数種であってもよい。これらの有機配位子が金属イオンと配位し、錯形成することによって、有機配位子と金属イオンとが交互に連結した状態となり有機/金属ハイブリッドポリマーを構成する。
ターピリジン基は、代表的には、2,2’:6’,2”-ターピリジンであるが、これに、種々の置換基を有した誘導体であってもよい。例示的な置換基は、ハロゲン原子、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、及び、ペンタデシル等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、及び、シクロヘキシル等)、アルケニル基(例えば、ビニル、及び、アリル等)、アルキニル基(例えば、エチニル、及び、プロパルギル等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、オクチルチオ、ドデシルチオ等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル、ブチルアミノスルホニル、ヘキシルアミノスルホニル、シクロヘキシルアミノスルホニル、オクチルアミノスルホニル、ドデシルアミノスルホニル、フェニルアミノスルホニル、ナフチルアミノスルホニル等)等が挙げられる。
あるいは、置換基は、アシル基(例えば、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、オクチルカルボニル、2-エチルヘキシルカルボニル、ドデシルカルボニル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル、ナフチルカルボニル等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、フェニルカルボニルオキシ等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、ジメチルカルボニルアミノ、プロピルカルボニルアミノ、ペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ、オクチルカルボニルアミノ、ドデシルカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、2-エチルヘキシルアミノカルボニル、ドデシルアミノカルボニル、フェニルアミノカルボニル、ナフチルアミノカルボニル等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド、エチルウレイド、ペンチルウレイド、シクロヘキシルウレイド、オクチルウレイド、ドデシルウレイド、フェニルウレイド、ナフチルウレイド等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニル、シクロヘキシルスルフィニル、2-エチルヘキシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、2-エチルヘキシルスルホニル、ドデシルスルホニル等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2-エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、ナフチルアミノ等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、フェニルジエチルシリル等)等であってもよい。
これらの各基は、更に置換基を有していてもよく、この置換基としては上記の置換基が挙げられる。例えば、アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基、アルキル基にヒドロキシ基が置換したヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、置換基が更に複数の置換基を有する場合、複数の置換基同士は互いに結合して環を形成してもよい。
置換基は、炭素数1~10のヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましい。
ビピリジン基は、2,2’-ビピリジン、3,3’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、2,3’-ビピリジン、2,4’-ビピリジン、3,4’-ビピリジンであるが、これに種々の置換基を有した誘導体であってもよい。ここでも例示的な置換基は、上述したとおりである。なお、ビピリジン基の誘導体はターピリジン基を含まないものとする。
イミノ基は、C=Nを有し、これに種々の置換基を有した誘導体であり得る。誘導体が有し得る例示的な置換基は、上述したとおりである。
フェナントロリン基は、フェナントレンのうちの任意の2つの炭素原子が窒素原子で置換されたものであるが、これに種々の置換基を有した誘導体であってもよい。誘導体が有し得る例示的な置換基は、メチル基、t-ブチル基、フェニル基、チエニル基、ビチエニル基、ターチエニル基、フェニルアセチル基等であるが、これに限らない。
金属イオンは、酸化還元反応によって価数を変化させる任意の金属イオンであり得るが、好ましくは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、オスミウム(Os)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ユーロピウム(Eu)、亜鉛(Zn)およびマンガン(Mn)からなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンである。これらの金属イオンは、上述の有機配位子と配位する。より好ましくは、有機配位子が、ターピリジン基またはその誘導体である場合には、6配位の金属イオンが選択され、有機配位子がフェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基またはこれらの誘導体である場合には、4配位の金属イオンが選択される。
有機/金属ハイブリッドポリマーは、好ましくは、一般式(I)、(II)および(III)からなる群から選択される一般式で表される。一実施形態で、有機/金属ハイブリッドポリマーは、これらの混合物であってもよい。
式(I)および式(II)で表される有機/金属ハイブリッドポリマーは、いずれも、有機配位子としてターピリジン基またはその誘導体とそれに配位された金属イオンとを含む。式(III)で表される有機/金属ハイブリッドポリマーは、有機配位子としてフェナントロリン基またはその誘導体とそれに配位された金属イオンとを含む。
式(I)において、Mは金属イオンを示し、Xはカウンターアニオンを示し、Sは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R~Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
式(II)において、M~M(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に酸化還元電位の異なる金属イオンを示し、X~X(nは2以上の整数)は、それぞれ独立にカウンターアニオンを示し、S~S(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R ~R 、R ~R 、R ~R 、R ~R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、n~nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数である。
ここで、式(I)および式(II)における金属イオンは、好ましくは、Fe、Co、Ni、ZnおよびRhからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンであり得る。これらの金属イオンは6配位形態をとりうるので、上記有機配位子との錯形成が可能になる。
式(I)および式(II)におけるカウンターアニオンは、酢酸イオン、リン酸イオン、塩素イオン、六フッ化リンイオン、四フッ化ホウ素イオン、および、ポリオキソメタレートからなる群から選択され得る。これらのカウンターアニオンによって、有機/金属ハイブリッドポリマーは電気的に中性となり安定化する。
式(I)および式(II)におけるスペーサが炭素原子および水素原子を含むスペーサである場合、このようなスペーサは炭素原子および水素原子を含む二価の有機基であり得る。例示的には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基等が挙げられる。中でも、フェニレン基、ビフェニレン基などのアリーレン基が好ましい。また、これらの炭化水素基はメチル基、エチル基、ヘキシル基等のアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。また、このようなスペーサは、酸素原子や硫黄原子をさらに含んでいてもよい。酸素原子や硫黄原子は修飾能を有するので、有機/金属ハイブリッドポリマーの材料設計に有利である。
アリーレン基の中でも以下に示すアリーレン基が好ましい。これらであれば、有機/金属ハイブリッドポリマーが安定化する。「*」は結合位置を表す。
スペーサを構成する脂肪族炭化水素基としては、例えば、C~C等のアルキレン基、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、t-ブチレン基等が例示できる。
さらにスペーサを構成する二価の有機基として、これらの基にメチル基、エチル基、ヘキシル基等のC~Cのアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のC~Cのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基を有するものを用いてもよい。
式(I)のR~Rおよび式(II)のR ~R 、R ~R 、R ~R 、R ~R は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えばC~C10)、カルボニル基、カルボン酸エステル基(例えばC~C10)、アミノ基、置換アミノ基、アミド基、置換アミド基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。炭化水素基としては、例えば、C~C10等の直鎖または分岐のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基等が例示できる。さらにこれらの置換基が有していてよい置換基の例として、これらの炭化水素基にメチル基、エチル基、ヘキシル基等のC~C10のアルキル基、メトキシ基、ブトキシ基等のC~C10のアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基を有するものを用いてもよいが、これらに限らない。
式(I)において、nは重合度を示す2以上の整数であり、例えば2~5000、好ましくは10~1000である。式(II)において、n~nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数であり、その合計n+n・・・+nは、例えば2~5000、好ましくは10~1000である。
式(III)において、Mは金属イオンを示し、Xはカウンターアニオンを示し、Aは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのフェナントロリン基を直接接続するスペーサを示し、R~Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
ここで、式(III)における金属イオンは、Pt、Cu、Ni、AgおよびPdからなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンであり得る。これらの金属イオンは4配位形態をとり得るので、上記有機配位子との錯形成が可能になる。式(III)におけるカウンターアニオンは、過塩素酸イオン、トリフラートイオン、四フッ化ホウ素イオン、塩化物イオンおよび六フッ化リン酸イオンからなる群から選択され得る。これらのカウンターアニオンによって、有機/金属ハイブリッドポリマーは電気的に中性となり安定化する。
式(III)におけるスペーサが炭素原子および水素原子を含むスペーサである場合、スペーサは、以下に示すように、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、チエニル基、ビチエニル基、ターチエニル基が代表例として挙げられる。また、ビス(フェナントロリン)誘導体の溶解性を高めるために、アルキル基(炭素数1から16)やアルコキシ基(炭素数1から16)で修飾したスペーサを用いることも望ましい。さらに、ジオキソアルキル基(炭素数2から16)でフェニル基間が連結されたスペーサを用いることもできる。
式(III)におけるRおよびRは、以下に示すように、水素、メチル基、t-ブチル基、フェニル基、チエニル基、ビチエニル基、ターチエニル基が挙げられる。式(III)におけるRおよびRは、水素、フェニル基、フェニルアセチル基が挙げられる。
式(III)において、nは重合度を示す2以上の整数であり、例えば2~5000、好ましくは10~1000である。
上述した有機/金属ハイブリッドポリマーは、例えば、特許文献1および特許文献2を参照して製造できる。
あるいは、有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(IV)で表される繰り返し単位、および、(V)で表される部分構造からなる群から少なくとも1つ選択される単位または部分構造と、カウンターアニオンとを有してもよい。ここで、カウンターアニオンは上述したとおりである。
式(IV)において、Mは、配位数が4である第1金属イオン、並びに、配位数が4および6である第3金属イオンであって配位数4の状態である金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種を表し、Lは、単結合又は2価の基を表し、複数あるLおよびMは、同一でも異なっていてもよく、それぞれの炭素原子に結合した水素原子は、それぞれ独立に1価の基で置換されていてもよい。
このようなMは、好ましくは、Pd、Au、Zn、Cu、CoおよびPtからなる群から少なくとも1種選択される。これらの金属イオンは4配位形態をとり得るので、上記有機配位子との錯形成が可能になる。Lが2価の基である場合、好ましくは、上述したアリーレン基であってもよい。
式(V)において、Mは、配位数が6である第2金属イオン並びに配位数が4および6である第3金属イオンであって配位数6の状態である金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種を表し、Lは、単結合又は2価の基を表し、*は、結合位置を表し、複数あるM及びLは、同一でも異なっていてもよく、それぞれの炭素原子に結合した水素原子は、それぞれ独立に1価の基で置換されていてもよい。
このようなMは、好ましくは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)およびオスミウム(Os)からなる群から少なくとも1種選択される。これらの金属イオンは6配位形態をとり得るので、上記有機配位子との錯形成が可能になる。Lが2価の基である場合、好ましくは、上述したアリーレン基であってもよい。
式(IV)の繰り返し単位、または、式(V)の部分構造を有する有機/金属ハイブリッドポリマーは、例えば、以下の工程によって製造され得る。
工程1:式(IV)または式(V)で表される化合物(化合物Aと称する)を合成する工程;
工程2:化合物Aと、有機溶媒とを含有する溶液と、特定金属イオンのイオン源となる化合物を含有する水溶液とを準備し、上記溶液と水溶液とを接触させて、水/油境界面を形成する工程;
工程3:上記水/油境界面で化合物Aを、特定金属イオンを介して重合させる工程。
工程1は、化合物Aを合成する工程である。化合物Aの合成方法としては特に制限されず公知の方法が適用可能である。化合物Aを合成する方法としては、例えば、ウィッティヒ反応等が使用できる。より具体的には、Inorg.Chem.1995,34,473-487に記載された方法が適用可能であり、上記方法は本明細書に組み込まれる。
工程2は、化合物Aと、有機溶媒とを含有する溶液(化合物A溶液)、及び、特定金属イオン源のイオン源となる化合物を含有する水溶液(金属イオン水溶液)とを準備し、上記溶液と水溶液とを接触させて、水/油境界面を形成する工程である。
・化合物A溶液
化合物A溶液が含有する有機溶媒としては特に制限されず、化合物Aを溶解できること、及び、水と混和しにくい(好ましくは、混和しない)有機溶媒であればよい。有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキルが挙げられる。
化合物A溶液中における化合物Aの含有量としては特に制限されず、一般に化合物A溶液の全質量に対して、0.05mM(mmol/l)以上1.0M(mol/l)以下の範囲が好ましい。化合物A溶液は、化合物Aの2種以上を含有していてもよい。化合物A溶液が化合物Aの2種以上を含有する場合には、その合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
・金属イオン水溶液
金属イオン水溶液は、特定金属イオンを含有する水溶液であり、典型的には、イオン源となる化合物を溶解した水溶液である。なお、特定金属イオンについてはすでに説明したとおりである。イオン源となる化合物は、特定金属イオンと、そのカウンターアニオンからなる金属塩であることが好ましい。このとき、カウンターアニオンとしては、重合体がより優れた安定性を有する観点から酢酸イオン、リン酸イオン、塩素イオン、六フッ化リンイオン、四フッ化ホウ素イオン(ホウフッ化物イオン)、及び、ポリオキソメタレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
金属イオン水溶液中におけるイオン源となる化合物(典型的には金属塩)の含有量としては特に制限されないが、一般に、金属イオン水溶液の全質量に対して、1mM以上500mM以下の範囲が好ましく、10mM以上300mM以下の範囲がより好ましい。
上記化合物A溶液と上記金属イオン水溶液とを接触させて、水/油境界面を形成する方法としては特に制限されないが、例えば室温にて大気圧下、上記化合物A溶液を容器に保持し、そこに上記金属イオン水溶液をゆっくりと添加する方法が挙げられる。
工程3は、上記水/油境界面で化合物Aを、金属イオンを介して重合させる工程である。重合の方法としては特に制限されないが、10℃以上30℃以下で、大気圧下、2時間以上24時間以下の間保持して反応させる方法が挙げられる。本発明の一実施形態に係る重合体は、化合物Aの構造に由来して、一般的に金属イオンに対する配位が速い。結果として、この重合体は、より温和な条件(例えば、室温および大気圧下)で、短時間(例えば24時間以内)で反応が進むという優れた特長を有する。
なお、上記水/油境界面で製造方法については、J.Am.Chem.Soc.2015,137,4681-4689を参照でき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
上述した有機/金属ハイブリッドポリマーは、金属イオンから有機配位子への電荷移動吸収、有機配位子から金属イオンへの電荷移動吸収、有機配位子を介した金属イオン間の電荷移動吸収、金属イオン内での電荷移動吸収、有機配位子内での電荷移動吸収のいずれかに基づき呈色を示す。すなわち、有機/金属ハイブリッドポリマーは、電気化学的に酸化または還元されると発色が消えた消色状態となり、電気化学的に還元または酸化されると発色状態となる。この現象は繰り返し起こすことが可能である。したがって、このような有機/金属ハイブリッドポリマーは、低消費電力のエレクトロクロミック材料として機能する。
電解質層140は、EC層130における金属イオンの酸化還元反応に伴う価数の変化に対し、その電荷を補償する機能を有するものであれば、特に制限はないが、通常、少なくとも、高分子および支持塩を含有する。
高分子は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロイソプロピル)(PVdF-co-PHFP)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカーボネート、および、ポリアクリロニトリルからなる群から少なくとも1種選択される。これらの高分子はゲル電解質層の構成に有利である。
支持塩は、好ましくは、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、リチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(LiTFSI)、LiCHCOO、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClOおよびMg(BFからなる群から少なくとも1種選択される。これらの支持塩は、有機/金属ハイブリッドポリマーのカウンターアニオンとしても効果的に機能する。
好ましくは、電解質層140は、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチレン、γ-ブチロラクトン、スクシノニトリル、および、イオン液体からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤を含有する。ここで、イオン液体は、好ましくは、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド、および、ビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミドからなる群から選択されるアニオンと、イミダゾリウム、ピロリジニウム、および、テトラアルキルアンモニウムからなる群から選択されるカチオンとの組み合わせの少なくとも1種である。これにより、高分子のネットワークに上述の可塑剤および支持塩が存在し、ゲル電解質層を構成できるので、フレキシブルなEC素子を提供できる。
電解質層140は、ビオロゲン、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミンおよび有機金属錯体からなる群から選択される少なくとも1種であるイオン蓄積材料をさらに含有してもよい。これにより、第1の透明電極120とEC層130との間に電荷が蓄積することを抑制できるので、電荷の蓄積によって生じる第1の透明電極120の物理的な損傷を抑制することができる。例示的な有機金属錯体は、フェロセン、プルシアンブルー、ポルフィリン等である。なお、上述のイオン蓄積材料をさらに含有すれば、第1の透明電極120およびそれを備えた基板の損傷をより効果的に防ぐことができる。
図3は、本発明のさらに別のEC素子を示す模式図である。
本発明のEC素子は、対極物質層を含んでもよい。図3に示すように、EC素子300は、電解質層140と第2の透明電極160との間に対極物質層310を含むが、これ以外の構成は図1のEC素子100と同じである。
対極物質層310は、EC層130とは逆反応をすることにより、EC層130の電気化学反応を安定化させ、消色や発色に必要な電位差を小さくできる。EC層130が酸化によって発色する場合には、対極物質層310は還元反応する材料からなればよく、EC層130が還元によって発色する場合にはその逆であればよい。
このような対極物質層310には、酸化還元反応に伴う可視光域での光吸収体の変化が小さく、実質的に色変化を有しない材料、もしくはデバイス内において有機/金属ハイブリッドポリマーの発色時に発色し、消色時に消色する色変化を有する材料であればよく、例えば、酸化アンチモンスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズなどの無機材料や、ポリチオフェン、PEDOT/PSS、ビオロゲンなどの有機材料を使用できるが、EC層130を構成する有機/金属ハイブリッドポリマーが上述のような場合には、対極物質層310は、好ましくは、有機金属錯体や金属錯体を採用できる。これにより、EC素子の動作が安定し、より複雑な発色やグラデーションなどを表現できる。このような有機金属錯体や金属錯体には、フェロセン、プルシアンブルー、プルシアンブルーニッケル誘導体、ポルフィリン等がある。また、EC層130で使用する有機/金属ハイブリッドポリマーとは酸化還元による発色と消色挙動が真逆の有機/金属ハイブリッドポリマーを対極物質層310に用いることもできる。
本発明のEC素子100~300は、エポキシ樹脂および/またはシリコーン樹脂からなる封止剤により封止されていてもよい。これにより、EC素子の酸素や水に対するバリア性が向上する。
このようなEC素子は、例示的には次のようにして製造される。
まず、第1の透明電極120を用意する。第1の透明電極120は、市販の透明導電性基板であってもよいし、例えば、任意の物理的気相成長法または化学的気相成長法によって、上述した透明基板上に透明導電膜を成長させてもよい。
第1の透明電極120に第1のかしめ部材110を取り付ける。第1の透明電極120が樹脂上の透明導電膜である場合には、手動にて貫通させ、第1のかしめ部材110を取り付けることもできるが、穴開け加工後に第1のかしめ部材110を取り付けてもよい。第1のかしめ部材110の取り付け時に配線を併せて取り付けてもよい。
次いで、第1のかしめ部材110を除く、第1の透明電極120上に上述した有機/金属ハイブリッドポリマーを含有する材料を付与し、EC層130を形成する。上述した材料をメタノール等の溶媒に溶解させ、色むら、グラデーションなどの着消色を意図的に変化させる領域を指定するマスク等を用い、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、及び、インクジェットプリント法等によって第1の透明電極120上に塗布する。
例えば、図1に示すように、EC層130に2以上の異なる厚さを有する領域を設ける場合には、1回目の塗布は、第1の透明電極120上全体に塗布し、2回目の塗布は、領域170をマスクして塗布すればよい。なお、用いる塗布方法や濃度によって1回の塗布によるEC層の厚さは異なるため、上述の膜厚の差Hを満たすよう、塗布回数は適宜変更してよい。EC層130に3以上の異なる厚さの領域を設ける場合には、より複雑なマスクを用い、複数回塗布を行えばよい。
例えば、図2に示すように、EC層130に金属イオンの量の異なる2以上の領域を設ける場合には、金属イオンの量が異なる2以上の有機/金属ハイブリッドポリマー溶液を用い、同様にマスクを用い、塗布すればよい。
詳細には、1回目の塗布は、所定量の金属イオンの量を含有する有機/金属ハイブリッドポリマー溶液を用い、領域220をマスクして塗布する。2回目の塗布は、所定量の金属イオンの量に対して1.5倍以上100倍以下の範囲を満たす金属イオンの量を含有する有機/金属ハイブリッドポリマー溶液を用い、領域210をマスクして塗布する。
EC層130に3以上の金属イオンの量の異なる領域を設ける場合には、異なる金属イオンの量を含有する有機/金属ハイブリッドポリマー溶液を用いて、同様に塗布を行えばよい。
次いで、第1の透明電極120と同様に、第2の透明電極160を用意し、第2のかしめ部材150を取り付ける。その上に電解質材料を付与し、電解質層140を形成する。電解質層140の形成は、上述した電解質層140を構成する電解質材料(例えば、高分子、支持塩、イオン液体等を任意に含有する)をEC層130上に付与することによって行うことができる。付与は単に滴下してもよいし、上述の塗布方法を採用してもよい。付与は、例示的には、電解質層140の厚さが10nm以上10mm以下となるように行われる。
好ましくは、電解質材料は、脱水溶媒(脱水処理された溶媒)を含有する。これにより、電解質材料の塗布を容易にし、電解質層140を構成する上述の高分子の結晶化が抑制され、応答速度の低下を防ぐことができる。このような脱水溶媒は、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフランであり得る。
電解質層140を備えた第2の透明電極160と、EC層130を備えた第1の透明電極120とを貼り合わせることにより、本発明のEC素子100、200が得られる。なお、図3のように対極物質層310を設ける場合には、電解質層140の形成に先立って、上述の対極物質層310を構成する対極物質材料を電解質層140上に付与すればよい。ここでも付与は、上述の塗布方法を採用できる。付与は、例示的には、対極物質層310の厚さが、10nm以上10mm以下となるように行われる。
あるいは、EC層130上に電解質層140、必要に応じて対極物質層310を形成し、これに第2の透明電極160を貼り合わせてもよい。
1以上の本発明のEC素子100、200、300を外部電源(図示)と接続し、調光装置、表示装置などの各種装置を構成してもよい。本発明のEC素子100、200、300は、第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150に接続された配線を介して外部電源に接続される。
配線は、第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150に直接巻き付けるなどにより固定できるので、高温にする銀ペーストなどを使用する半田付けの必要はないため、不純物がEC層130に拡散することはない。また、配線には、直径0.01mm以上1mm以下の被覆銅線を使用でき、配線が目立たず、意匠性に優れる。
このような本発明のEC素子100、200、300の動作を説明する。
第1のかしめ部材110および第2のかしめ部材150を介して外部電源(図示せず)に接続された第1の透明電極120と第2の電極160との間に所定の電圧が印加される。これにより、EC層130中の有機/金属ハイブリッドポリマーの金属イオンの酸化還元反応が制御される。すなわち、EC層130を構成する有機/金属ハイブリッドポリマーの金属イオンの酸化還元が制御され、発色および消色を発現できる。
詳細には、EC層130中の有機/金属ハイブリッドポリマー中の金属イオンは、還元状態である場合、色(例えば、金属イオンがRu2+であれば、オレンジ色)を発する。これに、1.5V以上3.0V以下の範囲の電圧を印加すると、金属イオンは酸化され、消色(例えば、Ru3+となり、淡緑色)する、あるいは、別の色を発する。このようにして電圧印加によって色変化を実現する。なお、電圧をとりさると、着色状態を維持し得る。
さらに、EC層130は、厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域を有するため、金属イオンの量に起因して、色むらやにじむような色変化を達成できる。例えば、図1において、金属イオンの総量の多い領域180は、金属イオンの総量の少ない領域170より濃い発色をするが、外部電源からの電圧印加によって、領域170が先に消色し、領域180は、領域170に遅れて消色する。このような領域間で色変化の進行の程度が異なることにより、じわじわとした色変化を視認できる。また、消色の途中の段階で外部電源からの電気を切ると、階調表現やグラデーションが達成される。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[材料]
以降の例で用いた材料について説明する。なお、すべての材料は特級試薬であり、精製することなく用いた。
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA、重量平均分子量(ポリスチレン換算GPC測定、移動相溶媒THF)=350kg/mol)を東京化成工業株式会社から購入した。
スズドープ酸化インジウム(ITO)膜を形成したソーダライムガラス(ITOの厚さ=0.1μm、シート抵抗=10Ω/sq.)を、ジオマテック株式会社から購入した。ITO膜を形成したフレキシブルポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ITOの厚さ=0.1μm、フィルムの厚さ=150μm、シート抵抗=10Ω/sq.)を、日東電工株式会社から購入した。
メタノール、過塩素酸リチウム(LiClO)および炭酸プロピレンを和光純薬工業株式会社から購入した。フェロシアン化ニッケルナトリウム錯体(wNiHCF粒子分散液、固形分散濃度6%)を関東化学工業株式会社から購入した。
過塩素酸リチウム3.0gを炭酸プロピレン20mLに溶解したのち、PMMA粉末20gと少量のスペーサビーズ(ミクロパール、SPL-200)を添加し、真空中(<0.01kPa)で2時間攪拌・混合し、スラリー状の電解質前駆体とした。
フェロシアン化ニッケルナトリウム錯体3mLを40mLのイオン交換水で希釈し、対極塗布液とした。
有機/金属ハイブリッドポリマーとして次式で示される高分子材料(1,4-ビス(2、2’:6’,2”-テルピリジン-4-イル)ベンゼンルテニウムクロライドポリマー)を用いた。高分子材料は、特許文献1あるいはF.S.HanらのJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(6),pp2073-2081を参照し、株式会社ナード研究所が製造した。以降では、簡単のため、この有機/金属ハイブリッドポリマーをpolyRuと称する。polyRu323mgをメタノール100mLに添加・溶解させた後、0.45μm開口メンブレンフィルタでろ過した溶液をエレクトロクロミック層用のRu錯体塗布液とした。
[参考例1]
参考例1では、3つの異なる厚さを有する領域からなるエレクトロクロミック層を備えたエレクトロクロミック素子を製造し、その着消色を調べた。
50mm×50mmのITO付ガラス基板上にスプレーコータ(株式会社アピロス製、API-40RD)を用いて、ステージ温度60℃でRu錯体塗布液を塗布した。1回のスプレーコータからの吐出量は、0.03mL/cmであり(Ru錯体の塗布量は0.15μmol/cm)、マスクを用いて1回塗布、2回塗布、3回塗布の3領域を作製し、3つの厚さの異なる領域を有するエレクトロクロック(EC)層を形成した。
もう一方のITO付ガラス基板上にスプレーコータを用いて、ステージ温度80℃で対極塗布液を塗布し、対極物質層を形成した。スプレーコータからの吐出量は、0.01mL/cmであった。これに、電解質前駆体を滴下し、EC層を付したITO付ガラス基板と貼り合わせた後、気流循環式オーブンで、98℃、5分間加熱し、電解質前駆体をゲル化し、電解質層を形成した。このようにしてエレクトロクロミック(EC)素子を得た。
得られたEC素子を電源に接続し、着消色を調べた。詳細には、EC素子のEC層側のITO付ガラス基板をプラス極に、対向する対極物質層側のITO付ガラス基板をマイナス極に接続し、1.5Vの直流電圧を印加し、電圧印加前後の着消色の様子を観察した。観察結果を図4に示す。
[参考例2]
参考例2では、2つの異なる厚さを有する領域からなるEC層を備えたEC素子を製造し、その着消色を調べた。参考例1において、Ru錯体塗布液をマスクを用いて2回塗布とし、2回目のRu錯体の塗布量を0.05μmol/cmとした以外は、参考例1と同様であった。参考例1と同様にして、EC素子の着消色の様子を観察した。観察結果を図5に示す。
参考例1および参考例2の結果を説明する。表1に参考例1および参考例2のEC素子におけるEC層の厚さを示す。EC層の厚さは触針式表面形状測定器(株式会社アルバック製、Dektak 150)を用い、EC層の断面プロファイルの平均から求めた。
図4は、参考例1のEC素子の着消色の様子を示す図である。
図5は、参考例2のEC素子の着消色の様子を示す図である。
図4(A)および図5(A)は電圧印加前の各EC素子の様子を示し、図4(B)および図5(B)は各EC素子の電圧印加後のEC素子の様子を示す。図4および図5では、グレースケールで示すが、図4(A)および図5(A)は、全体としてオレンジ色の発色であり、図4(B)および図5(B)は、淡緑色の発色であった。
図4(A)によれば、参考例1のEC素子は、オレンジ色の発色をしたが、1回目塗布の領域、2回目塗布の領域、3回目塗布の領域の順に濃く発色し、明瞭なコントラストを示した。一方、図5(A)によれば、参考例2のEC素子も、オレンジ色の発色をしたが、1回目塗布の領域と2回目塗布の領域との間に発色の差はわずかであった。
図4(B)によれば、参考例1のEC素子は、電圧の印加によって、淡緑色に変化し、消色したが、1回目塗布の領域、2回目塗布の領域、3回目塗布の領域の順に早く消色し、明瞭なコントラストを示した。一方、図5(B)によれば、参考例2のEC素子も、淡緑色に消色したが、1回目塗布の領域と2回目塗布の領域との間で消色速度の差はわずかであった。また、いずれのEC素子も両端を短絡することによって、元の発色状態に戻ることを確認した。
このことから、厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域として、同じ濃度を有する有機/金属ハイブリッドポリマーを含有するEC層においては、2以上の異なる厚さを有する領域であればよく、発色の差を視認でき、色むらやグラデーション、あるいは、階調表示を目的にする場合には、領域間における厚さの差は、好ましくは、0.05μmより大きく20μm以下、さらに好ましくは、0.1μm以上2μm以下であればよいことが示された。
[実施例1]
実施例1では、葉っぱの形状を有するエレクトロクロミック素子を製造し、その着消色を調べた。
図6は、ハトメを有するITO付PETフィルムを示す図である。
図6に示すように、第1の透明電極としてITO付PETフィルムを葉っぱの形状に切り出し、フィルムに穴をあけ、第1のかしめ部材としてハトメを貫通させ、取り付けた。図6は、EC素子の表側(すなわち、EC層側)のハトメを有する透明電極を示す。ハトメには、直径0.2mmのポリウレタン被覆銅線が取り付けられている。
図7は、別のハトメを有する表側のITO付PETフィルムを示す図である。
図8は、別のハトメを有する裏側のITO付PETフィルムを示す図である。
図7および図8に示されるように、ハトメを用いることにより、直径0.2mm、0.3mmといった極細のポリウレタン被覆銅線を使用することができる。体積抵抗率5×10-5Ωcmの銀ペースト、体積抵抗率5×10-6Ωcmの銀ナノインクに比べて、銅線の体積抵抗率は、1.7×10-6Ωcmであり、しかも加熱が不要である。さらに、銅線であれば、アスペクト比が1と大きい(銀ナノインクの場合には0.5以上とすることは実質不可能である)ため、電源との接続線の幅を一桁以上小さくして目立たなくさせることができ、意匠性に優れる。
図6に示すハトメを有するITO付PETフィルムをガラス基板に固定し、図9に示すマスクを用いて、参考例1と同様にスプレーコータによりステージ温度60℃でRu錯体塗布液を4回塗布し、エレクトロクロミック層を形成した。
図9は、塗布用のマスクを示す図である。
1回目~3回目のスプレーコータからの吐出量は、各回0.05mL/cmであり、4回目の吐出量は、0.1mL/cmであった。このようにして4つの厚さの異なる領域を有するエレクトロクロック(EC)層を形成した。
もう一方の葉っぱ形状に切り出し、第2のかしめ部材としてハトメを付けた、第2の透明電極であるITO付PETフィルムをガラス基板に固定し、スプレーコータを用いて、ステージ温度80℃で対極塗布液を塗布し、対極物質層(厚さ:0.2μm)を形成した。スプレーコータからの吐出量は、0.06mL/cmであった。これに、電解質前駆体を滴下し、EC層を付したITO付PETフィルムと貼り合わせた後、気流循環式オーブンで、98℃、5分間加熱し、電解質前駆体をゲル化し、電解質層(厚さ:300μm)を形成した。このようにして葉っぱ型エレクトロクロミック(EC)素子を得た。
図10は、実施例1の葉っぱ型エレクトロクロミック素子を示す図である。
図10に示すように、丸で示す領域にハトメが位置している。ハトメには配線が巻き付けられているが、美観を損ねないようして、茎に沿って外部電源へ接続されている。
表2は、実施例1のEC素子におけるEC層の厚さを示す。電解質層との貼り合わせ前のEC層の厚さを、触針式表面形状測定器を用い求めた。各領域間の厚さの差は、いずれも、0.1μm以上2μm以下の範囲を満たした。
得られた葉っぱ型EC素子のEC層側のPETフィルムをプラス極に、対向する対極物質層側のPETフィルムをマイナス極に接続し、1.5Vの直流電圧を印加し、電圧印加後の着消色の様子を観察した。観察結果を図11に示す。
図11は、実施例1の葉っぱ型EC素子の着消色の様子を示す図である。
図11では、グレースケールで示すが、図11(A)は全体として淡緑色を発色し、図11(B)は、淡緑色とオレンジ色とが混ざった発色をし、図11(C)は全体としてオレンジ色の発色をした。
詳細には、電圧印加前(図11(C))は、有機/金属ハイブリッドポリマー中の金属イオンRu2+によるオレンジ色の発色が確認されたが、ところどころに濃く示される領域が存在した。濃く示される領域は、2回以上塗布した領域であり、EC層中の厚さ方向の金属イオンの量が多い領域である。このような領域は、金属イオン量に基づき濃いオレンジ色であった。
電圧印加後5秒~30秒経過後(図11(B))は、有機/金属ハイブリッドポリマー中の金属イオンRu2+の一部がRu3+に酸化され、オレンジ色と淡緑色との両方の発色が確認された。EC層中の1回塗布した領域は主として淡緑色を示し、EC層中の2回以上塗布した領域はオレンジ色を示し、色むら・にじみが生じた。
電圧印加後30秒~40秒経過後(図11(C))は、有機/金属ハイブリッドポリマー中の金属イオンRu2+の大部分がRu3+に酸化され、主として淡緑色の発色であったが、EC層中の4回塗布した領域は、薄いオレンジ色の発色が引き続き見られ、色むら・にじみが生じた。
また、電気を切るとそのときの着色状態が維持された。さらに、短絡させると、図中の矢印の方向に発色が生じ、色むら・にじみが生じることを確認し、紅葉のようなにじむような色変化を再現できた。
このように、本発明のEC素子は、厚さ方向に金属イオンの量の異なる2以上の領域を有するEC層を備えることにより、複雑な発色、色むら、にじみ、グラデーションといった多彩な表示を可能にすることが示された。さらに、本発明のEC素子は、かしめ部材を用いることにより、製造時の配線工程で加熱などを不要とするため、EC層に配線からの不純物が拡散することがなく、エレクトロクロミック特性を維持することができる。また、本発明のEC素子は、かしめ部材を用いることにより、意匠性、美観に優れた芸術的な素子を提供できる。
本発明のエレクトロクロミック素子は、遮光機能や部分的に付与できる窓やサングラスなどの調光素子、グラデーションや模様などの不均一な色彩を表現する表示装置等に適用できるが、自然な風合いや芸術表現を可能にするため意匠性が求められる場面に有用である。
100、200、300 エレクトロクロミック(EC)素子
110 第1のかしめ部材
120 第1の透明電極
130 エレクトロクロミック(EC)層
140 電解質層
150 第2のかしめ部材
160 第2の透明電極
170、180、210、220 領域
310 対極物質層

Claims (15)

  1. 第1のかしめ部材を有する第1の透明電極と、
    前記第1の透明電極上に位置する、有機配位子と、前記有機配位子に配位された金属イオンとからなる有機/金属ハイブリッドポリマーを含有するエレクトロクロミック層と、
    前記エレクトロクロミック層上に位置する電解質層と、
    前記電解質層上に位置する、第2のかしめ部材を有する第2の透明電極と、
    前記第1のかしめ部材および前記第2のかしめ部材に巻き付けられた直径0.3mm以下の極細導線と
    を備え、
    前記第1の透明電極および前記第2の透明電極は、それぞれ、透明基板と前記透明基板上に位置する透明導電膜とを備え、
    前記エレクトロクロミック層は、厚さ方向に前記金属イオンの量の異なる2以上の領域を有し、
    前記第1のかしめ部材は、前記第1の透明電極のみを貫通しており、
    前記第2のかしめ部材は、前記第2の透明電極のみを貫通している、エレクトロクロミック素子。
  2. 前記厚さ方向に前記金属イオンの量の異なる2以上の領域は、2以上の異なる厚さを有する領域からなる、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  3. 前記2以上の異なる厚さを有する領域における厚さの差は、0.05μmより大きく20μm以下の範囲である、請求項2に記載のエレクトロクロミック素子。
  4. 前記厚さの差は、0.1μm以上2μm以下の範囲である、請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記厚さ方向に前記金属イオンの量の異なる2以上の領域における一方の領域における金属イオンの量は、他方の領域における金属イオンの量に対し1.5以上100以下の範囲である、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記第1のかしめ部材および前記第2のかしめ部材は、それぞれ、ハトメ、金属リベット、ピアス端子、金属鋲、ホッチキス、ビス、ボルト、ホック、スナップファスナ、および、スナップボタンからなる群から選択される、請求項1~5のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 記透明基板は、ガラス、石英、および、樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、非環状ポリオレフィン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、および、ポリスチレン系樹脂からなる群から選択される、請求項7に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 前記電解質層と前記第2の透明電極との間に対極物質層をさらに備える、請求項1~8のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 前記対極物質層は、金属錯体または有機金属錯体である、請求項9に記載のエレクトロクロミック素子。
  11. 前記有機配位子は、ターピリジン基、フェナントロリン基、ビピリジン基、イミノ基およびこれらの誘導体からなる群から少なくとも1種選択される、請求項1~10のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  12. 前記金属イオンは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、オスミウム(Os)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ユーロピウム(Eu)、亜鉛(Zn)およびマンガン(Mn)からなる群から少なくとも1種選択される、請求項1~11のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
  13. 前記有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(I)、(II)および(III)からなる群から少なくとも1つ選択される一般式で表される、請求項1~12のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

    前記式(I)において、Mは金属イオンを示し、Xはカウンターアニオンを示し、Rは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R~Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数であり、
    前記式(II)において、M~M(Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に酸化還元電位の異なる金属イオンを示し、X~X(nは2以上の整数)は、それぞれ独立にカウンターアニオンを示し、R ~R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのターピリジン基を直接接続するスペーサを示し、R ~R 、R ~R 、R ~R 、R ~R (Nは2以上の整数)は、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、n~nは、それぞれ独立に重合度を示す2以上の整数であり、
    前記式(III)において、Mは金属イオンを示し、Xはカウンターアニオンを示し、Aは、炭素原子および水素原子を含むスペーサまたは2つのフェナントロリン基を直接接続するスペーサを示し、R~Rは、それぞれ独立に水素原子または置換基を示し、nは重合度を示す2以上の整数である。
  14. 前記有機/金属ハイブリッドポリマーは、一般式(IV)で表される繰り返し単位、および、(V)で表される部分構造からなる群から選択される少なくとも1つの単位または部分構造と、カウンターアニオンとを有する、請求項1~12のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。

    前記式(IV)において、Mは、配位数が4である第1金属イオン並びに配位数が4および6である第3金属イオンであって配位数4の状態である金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種を表し、Lは、単結合又は2価の基を表し、複数あるLおよびMは、同一でも異なっていてもよく、それぞれの炭素原子に結合した水素原子は、それぞれ独立に1価の基で置換されていてもよく、
    前記式(V)において、Mは、配位数が6である第2金属イオン並びに配位数が4および6である第3金属イオンであって配位数6の状態である金属イオンからなる群より選択される少なくとも1種を表し、Lは、単結合又は2価の基を表し、*は、結合位置を表し、複数あるM及びLは、同一でも異なっていてもよく、それぞれの炭素原子に結合した水素原子は、それぞれ独立に1価の基で置換されていてもよい。
  15. 前記電解質層は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロイソプロピル)(PVdF-co-PHFP)、ポリプロピレンカーボネート(PPC)、ポリカーボネート、および、ポリアクリロニトリルからなる群から少なくとも1種選択される高分子と、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、リチウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド(LiTFSI)、LiCHCOO、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClOおよびMg(BFからなる群から少なくとも1種選択される支持塩とを含む、請求項1~14のいずれかに記載のエレクトロクロミック素子。
JP2020020417A 2020-02-10 2020-02-10 エレクトロクロミック素子 Active JP7359441B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020020417A JP7359441B2 (ja) 2020-02-10 2020-02-10 エレクトロクロミック素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020020417A JP7359441B2 (ja) 2020-02-10 2020-02-10 エレクトロクロミック素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021124703A JP2021124703A (ja) 2021-08-30
JP7359441B2 true JP7359441B2 (ja) 2023-10-11

Family

ID=77460177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020020417A Active JP7359441B2 (ja) 2020-02-10 2020-02-10 エレクトロクロミック素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7359441B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7306593B1 (ja) 2022-09-30 2023-07-11 住友ベークライト株式会社 検査装置および検査方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012531940A (ja) 2009-07-03 2012-12-13 ロレアル 電気発色性多層構造を含む化粧品
JP2016065180A (ja) 2014-09-26 2016-04-28 武藤工業株式会社 インク及びそのインクを使用したエレクトロクロミックデバイス及びエレクトロクロミックデバイスを作成する装置
WO2018207591A1 (ja) 2017-05-10 2018-11-15 国立研究開発法人物質・材料研究機構 有機/金属ハイブリッドポリマーを用いたエレクトロクロミックデバイスおよびその製造方法
WO2019039121A1 (ja) 2017-08-23 2019-02-28 国立研究開発法人物質・材料研究機構 エレクトロクロミック素子およびそれを用いた表示システム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01186911A (ja) * 1988-01-21 1989-07-26 Asahi Glass Co Ltd 調光装置及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012531940A (ja) 2009-07-03 2012-12-13 ロレアル 電気発色性多層構造を含む化粧品
JP2016065180A (ja) 2014-09-26 2016-04-28 武藤工業株式会社 インク及びそのインクを使用したエレクトロクロミックデバイス及びエレクトロクロミックデバイスを作成する装置
WO2018207591A1 (ja) 2017-05-10 2018-11-15 国立研究開発法人物質・材料研究機構 有機/金属ハイブリッドポリマーを用いたエレクトロクロミックデバイスおよびその製造方法
WO2019039121A1 (ja) 2017-08-23 2019-02-28 国立研究開発法人物質・材料研究機構 エレクトロクロミック素子およびそれを用いた表示システム

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Manas Kumar BERA et al.,"Construction of Coordination Nanosheets Based on Tris(2,2′-bipyridine)-Iron (Fe2+) Complexes as Potential Electrochromic Materials",ACS Applied Materials & Interfaces,米国,2019年02月28日,Vol. 11, No. 12,p.11893-11903

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021124703A (ja) 2021-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Li et al. Highly contrasted and stable electrochromic device based on well-matched viologen and triphenylamine
EP2157151B1 (en) Electrochromic materials and electrochromic devices using the same
JP4929995B2 (ja) エレクトロクロミック装置
CN104804720B (zh) 电致变色材料及电致变色器件
JP4873146B2 (ja) エレクトロクロミック装置
KR101655245B1 (ko) 전기 변색 물질 및 이를 포함하는 전기 변색 소자
CN110730928B (zh) 使用有机/金属杂化聚合物的电致变色器件及其制造方法
US20140009812A1 (en) Display device and color electronic paper using the same
US20230258994A1 (en) Arbitrarily tailorable electrochromic device and use thereof
JP7359441B2 (ja) エレクトロクロミック素子
CN106094385B (zh) 一种单层电致多变色器件及其制备方法
CN112430314B (zh) 含引达省并二噻吩结构的电致变色聚合物及制备方法、聚合物薄膜与应用
CN106916099A (zh) 一种用于电致变色器件中的阴极电致变色化合物及其制备方法
CN114967264A (zh) 一种电致变色凝胶和防眩光智能玻璃
JP5900813B2 (ja) エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物、及び表示素子
JP2008179725A (ja) 色素化合物、色素化合物の製造方法、およびこれを用いたエレクトロクロミック装置
US9753347B2 (en) Electrochromic gel, method for producing the gel, method for controlling electronic printing and erasing on electrochromic gel, and stretchable display
JP2008111941A (ja) エレクトロクロミック装置
JP5617597B2 (ja) エレクトロクロミック化合物、エレクトロクロミック組成物及び表示素子
JP4894289B2 (ja) エレクトロクロミック装置
JP4857804B2 (ja) エレクトロクロミック装置
CN103554505A (zh) 三联吡啶-芴金属杂化聚合物及含该聚合物的电致变色器件
JP2007279572A (ja) エレクトロクロミック装置
JP2008089705A (ja) エレクトロクロミック装置
JP4946222B2 (ja) エレクトロクロミック装置

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20200225

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230912

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230921

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7359441

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150