JP7358729B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、離型フィルム上に形成された樹脂層を成型体の表面に転写して、成型体の表面に様々な機能を付与する手法や、離型フィルム上に形成された樹脂層を剥離することによる樹脂フィルムや層間絶縁膜の製造に適した離型フィルムに関する。
一般的にプラスチックスや金属の表面は、ガラスに比べると傷が付きやすい。そのため、製品として使用される際に、表面の光沢感や透明性を維持することが求められるプラスチックスや金属の成型体においては、表面に耐傷性を付与する層(以下、ハードコート層とする)を設けることがある。さらに、このハードコート層は耐傷性以外の機能、たとえば耐候性やガスバリア性、ブロッキング防止性などの機能を成型体に付与するために用いられることもある。
このハードコート層は、一般的には成型体を構成するプラスチックスや金属の表面に直接塗布し、次いで硬化させることで形成したり、あらかじめプラスチックフィルム上にハードコート層を形成した「ハードコートフィルム」を貼り付けたり、ハードコートフィルムごと、成型体を構成するプラスチックスや金属と一体成型したりすることにより設けられる。
一方で、成型体を構成する材料の耐熱性や加工温度、耐溶剤性から直接塗布が不可能な場合や、耐傷性以外の機能、たとえば光学機能層や、意匠層などと合わせて形成する点から、離型フィルム上にハードコート層を形成し、それを成型体表面に転写する方法もある。このような離型フィルム上に形成した樹脂層を転写するプロセスを用いると、樹脂フィルムや層間絶縁膜を製造することもできる。
このような、ハードコート層などの機能を持った樹脂層を成型体表面に転写する工法や、樹脂フィルムや、層間絶縁膜を製造する方法として、特許文献1には、「基材の一方の面に少なくとも剥離層、機能層、接着層を有する転写シートにおいて該剥離層にシリコン架橋を形成することにより強固な硬化膜となるシリコンアクリル樹脂を主材として用い、副材としてポリジメチルシロキサン系共重合体を用いることを特徴とする転写シート。」が提案されている。
特許文献2には、「基材フィルムの一方の面に、少なくとも離型層、ハードコート層、接着層を順次積層してなる転写フィルムであって、前記離型層が、炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を有するアクリルウレタン樹脂であることを特徴とする転写フィルム。」が提案されている。
特許文献3には、「プラスチックフイルム上に、少なくとも、離型層、及び紫外線硬化型樹脂からなるハードコート層が順次積層された、ハードコート転写フイルムであって、下記(A)~(C)の条件をすべて満足することを特徴とするハードコート転写フイルム
(A)離型層とハードコート層とが接するようにして積層されている
(B)離型層が熱硬化型樹脂と水酸基含有アクリレートとからなる層である。
(C)熱硬化型樹脂に対する水酸基含有アクリレートの重量比率が3~10重量%である。」が提案されている。
特許文献4には、「基材と、前記基材上に設けられた離型層と、前記離型層上に剥離可能に設けられた保護層とを、少なくとも備えた転写箔であって、前記離型層が、活性光線硬化樹脂と、熱硬化樹脂と、を含んでなり、前記保護層が、活性光線硬化樹脂を含んでなることを特徴とする、転写箔。」が提案されている。
特開2004-034385号公報 特開2014-104705号公報 特開2014-180809号公報 特開2017-65017号公報
このように、ハードコート層のような機能を持った樹脂層を成型体に転写する、もしくは樹脂フィルムを製造する上での本質的な課題は、以下の3点である。
1.樹脂層が、離型層上にハジキなどの欠陥なく、面内均一に形成できること。
2.樹脂層が、成型体に転写するまでの工程で、離型層から剥がれない、浮かないこと。
3.樹脂層が、成型体に転写する際に、破れやジッピングを生じることなく、離型層との界面で容易に剥離できること。
これら3つの課題に対し、特許文献1の技術について本発明者らが確認したところ、明細書に記載の方法は、反射防止層の塗料組成物には有効かもしれないが、ハードコート用の塗料組成物に対して適用すると、塗工時にハジキが発生し、品位良好な塗膜を得られず、前記課題を達成できなかった。
特許文献2~4の技術について本発明者らが確認したところ、明細書に記載の方法は、ハードコート用の塗料組成物に対して確かに厚いハードコート層とプライマー層、接着層が積層されている系では成型物への転写性は良好であるが、ハードコート層が薄くなると、面内均一に剥離することができず、前記課題を達成できなかった。
そこで、前述の3つの課題を同時に解決するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
1)支持基材の少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層を構成する樹脂が化学式1および/または化学式2の構造を有するセグメントを含み、前記離型層の表面自由エネルギーγ(mN/m)と原子間力顕微鏡による表面弾性率E(MPa)とが式1および式2を満たすことを特徴とする離型フィルム。
式1 10≦γ≦45
式2 1≦E≦1,000
Figure 0007358729000001
Figure 0007358729000002
ここでRは、メチル基、フェニル基、ビニル基またはヘキシレン基である。Rは、炭素数8以上のアルキル基または炭素数8以上のアルキレン基である。
2)前記離型層のJIS R1683(2007)に基づく算術平均粗さRaが5nm以下であることを特徴とする、1)に記載の離型フィルム。
3)前記離型層の拡張-収縮法によるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの25℃における後退接触角D(°)が以下の式3を満たすことを特徴とする1)または2)に記載の離型フィルム。
式3 D≦40
4)前記離型層の飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)により測定されるデプスプロファイルにおいて、以下の式4および式5を満たすことを特徴とする1)から3)のいずれかに記載の離型フィルム。
式4 T >T
式5 T 25<T 25
:前記離型層表面におけるSi(CHフラグメントイオンの強度
:前記離型層表面におけるC2n+1フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度
25:前記離型層表面から深さ25nmの位置におけるSi(CHフラグメントイオンの強度
25:前記離型層表面から深さ25nmの位置におけるC2n+1フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度
5)前記離型層を構成する樹脂が化学式3の構造を有するセグメントを含むことを特徴とする1)から4)のいずれかに記載の離型フィルム。
Figure 0007358729000003
ここでRは水素またはメチル基である。Rは以下の(i)~(vi)のいずれかである。
(i)置換または無置換のアルキレン基
(ii)置換または無置換のアリーレン基
(iii)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する置換のアルキレン基
(iv)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
(v)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する置換のアリーレン基
(vi)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する無置換のアリーレン基
6) 原子間力顕微鏡による表面弾性率が100MPa以上2GPa以下の樹脂フィルムの製造に用いられる、1)から5)に記載の離型フィルム。
7) 活性エネルギー線により架橋させた樹脂フィルムの製造に用いられる、前記1)から5)に記載の離型フィルム。
8) 層間絶縁膜の製造に用いられる、前記1)から5)に記載の離型フィルム。
本発明の離型フィルムによれば、離型層の上に形成される樹脂層が薄膜でも、樹脂層にハジキなどの欠陥を生じにくく、樹脂層上に接着層などの層や保護フィルムがない場合でも、転写までの間の種々の工程にて、離型層から剥がれを生じにくくすることができる。さらに、樹脂層が成型体に転写される際にも、樹脂層に破れやジッピングを生じにくく、離型フィルムのみを容易に剥離できる。
本発明の離型フィルムの構成の例を表す断面図である。 本発明の離型フィルムの構成の例を表す断面図である。 離型層表面におけるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの後退接触角の測定概念を表す断面図である。 離型層表面におけるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの後退接触角の測定概念を表す模式図である。 後退接触角の測定で得られる液吸引量と動的接触角との関係を表すグラフの一例である。 離型層表面におけるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの後退接触角の測定概念を表す模式図である。 後退接触角の測定で得られる液吸引量と動的接触角との関係を表すグラフの一例である。
本発明者らは、前述の課題に対して、離型層が特定の物性および特定の形状を有する離型フィルムを用いることで解決できることを見いだした。以下、詳細を述べる。
まず、図1に示すように、本発明の離型フィルム2は、支持基材3の少なくとも一方の面に離型層4を、有する。本発明の離型フィルム2の、離型層4の上に樹脂層5を形成することで、積層体1になる。離型層は、図2のように支持基材8の両方の面にあってもよい。
離型層の詳細については後述するが、離型層を構成する樹脂が化学式1および/または化学式2の構造を有するセグメントを含むことが好ましい。
Figure 0007358729000004
Figure 0007358729000005
ここでRは、メチル基、フェニル基、ビニル基またはヘキシレン基である。Rは、炭素数8以上のアルキル基または炭素数8以上のアルキレン基である。Rは、より好ましくは、炭素数8以上、20以下である。
化学式1および/または化学式2の構造を有するセグメントを含むことにより、剥離力を適切な領域に調整することができる。
化学式1または2の構造を有するセグメントを本発明における離型層を構成する樹脂が含むかどうかは、様々な分析方法により調べることが可能であるが、飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)による方法が容易である。また、離型層を形成する原料から、セグメントの含有、非含有を判断することもできる。
本発明の離型フィルムは、離型層の上に形成される樹脂層が特定の物性を有する樹脂層である時に特に有効に作用する。具体的には、離型層上に形成される樹脂層の原子間力顕微鏡による表面弾性率が100MPa以上2GPa以下である時に特に有効に作用する。樹脂層の表面弾性率が前記範囲を外れる場合、例えば柔軟な粘着層に対しては、効果が不十分な場合がある。樹脂層の表面弾性率の測定方法は、後述する離型層の表面弾性率の表面弾性率の測定方法と同じである。そのため、本発明の離型フィルムは、原子間力顕微鏡による表面弾性率が100MPa以上2GPa以下の樹脂フィルムの製造に好適に用いることができる。なお後述するように本発明においては、離型層から剥離した樹脂層を、樹脂フィルムという。
本発明の離型フィルムは、離型層のJIS R1683(2007)に基づく算術平均粗さRaが5nm以下であることが好ましい。つまり離型層の表面が粗面(Raが5nmよりも大きい面)である離型フィルムにおいては、その効果を十分に発揮しない場合がある。この離型層の算術平均粗さの具体的な測定方法については、後述する。
その上で、離型層の表面自由エネルギーγ(mN/m)と、原子間力顕微鏡による表面弾性率E(MPa)が、特定の関係、すなわち前述の式1および式2を満たすことが好ましく、以下の式1-2および式2-2を満たすことがより好ましい。
式1-2 20≦γ≦45
式2-2 10≦E≦1,000。
離型層の原子間力顕微鏡による表面弾性率E(MPa)が式2の範囲よりも小さいまたは大きい領域では、離型層上に樹脂層を形成したとき、塗膜のハジキなどの外観品位の低下や、樹脂層と離型層間の剥離力が低すぎて、樹脂層を成型体に貼り付けるまでの工程で、樹脂層が剥がれたり浮いたりすることや、樹脂層と離型層間の剥離力が高すぎて、樹脂層を成型体に転写する際に、樹脂層が破れたり、剥離力が不安定で、樹脂層に剥離線が残る、いわゆる「ジッピング」を起こしたりして面内均一に転写することができない場合がある。
この原子間力顕微鏡による表面弾性率は、極微小部分の探針による圧縮試験であり、押し付け力による変形度合いを測定するものである。そのため、ばね定数が既知のカンチレバーを用いて、離型層の表面の弾性率を測定するものである。詳細は実施例の項で記載する。
また、離型層の表面自由エネルギーγは、離型層表面に対し、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンによる25℃での静的接触角を求め、各液体での静的接触角と、以下に記載の非特許文献2に記載の各液体の表面自由エネルギーの分散項、極性項、水素結合項とを、以下に記載の非特許文献1に記載の「畑、北崎の拡張ホークスの式」に導入し、連立方程式を解くことにより求めた。
非特許文献1:北崎寧昭、畑 敏雄:日本接着協会紙,8,(3) 131(1972).
非特許文献2:J.Panzer :J.Colloid Interface Sci.,44,142 (1973).。
さらに、前記離型層の表面特性には好ましい範囲があり、具体的には、拡張-収縮法によりアクリル酸2-ヒドロキシプロピルを測定液とした25℃における後退接触角D(°)が前述の式3の範囲にあることが好ましく、以下の式3-2の範囲であることがより好ましい。
式3-2 D≦30。
式3の値がDの値が40を超える場合、離型層上に樹脂層を形成するときに塗膜にハジキなどが生じ、樹脂層の外観品位の低下が発生する場合がある。式3の値は、離型層の表面粗さや表面自由エネルギーを満たすことができる範囲であれば小さい分には問題なく、最小値は0°である。
ここで後退接触角とは、一般に「接触角」と呼ばれる「静的接触角」とは異なり、動的接触角と呼ばれるものの一つである。拡張-収縮法は、動的接触角の測定方法の1つである。動的接触角とは、測定液が面に沿って移動する際の液滴の形状を特徴付けるものであり、測定液が拡張するときの接触角が前進接触角、収縮するときの接触角が後退接触角である。
本発明にて、離型層表面の特性を表す方法として後退接触角に着目した理由は、離型層上に形成される樹脂層の主な外観不良である「ハジキ」の起こりやすさが、離型層上の被覆物が液相から気相に変わる境界面の動きやすさに支配されると考えたためである。動的接触角の測定液に「アクリル酸2-ヒドロキシプロピル」を用いた理由は、「ハジキ」の発生が乾燥過程の比較的後期にて起きていたことから、その段階で液物性を支配する材料が影響していると考え、樹脂層に含まれる低粘度のアクリルモノマーに着目したためである。
後退接触角の測定条件の詳細は後述するが、拡張-収縮法による測定手法を図3から図7を用いて説明する。図3は後退接触角測定の初期状態を示す。離型層表面12上にシリンジ針13を通して測定液を供給し、液滴14を形成する。このときの接触角15は静的接触角に相当する。
図4は、後退接触角が高い離型層表面の測定状態を示す。シリンジ針17を通して液滴18から測定液を一定流速で吸引すると、離型層表面16の上にある液滴18は小さくなる。後退接触角が高い場合、測定液の広がっている面積は小さくなっていく。このときの接触角19の変化を図5に示す。横軸に測定時間もしくは吸引した測定液の量を、縦軸に各時点での接触角をとり、プロットしている。測定開始直後に接触角が少し低下するが、それ以降は比較的高い値で一定になる。この一定になった値を後退接触角という。
図6は、後退接触角が低い離型層表面の測定状態を示す。測定液を吸引すると液滴は小さくなるが、液滴の端部があまり動かず、液滴の高さが下がっていく。このときの接触角の変化を図7に示す。測定開始から接触角が大きく低下し、下がったところで一定になる。また、サンプルによっては一定にならない場合もあり、この場合には後退接触角は0°となる。拡張-収縮法における接触角の測定は、例えば、Drop Master (協和界面科学株式会社製)を用いて測定することができる。
さらに、前記離型層表面の組成には、好ましい範囲があり、具体的には飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)により測定されるデプスプロファイルにおいて、離型層表面におけるSi(CHフラグメントイオンの強度T (以下、T と記載することもある)、離型層表面におけるC2n+1フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度T (以下、T と記載することもある)、離型層表面から深さ25nmの位置におけるSi(CHフラグメントイオンの強度T 25(以下、T 25と記載することもある)および離型層表面から深さ25nmの位置におけるC2n+1フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度T 25:(以下、T 25と記載することもある)が前述の式4および式5を満たすことが好ましい。
前述の式4および式5を満たすことは、離型層の最表面がジメチルシロキサンセグメントにより被覆されているが、その領域はきわめて薄く、そこよりも支持基材側の部分には、樹脂層に親和的な領域が存在していることを示している。離型層表面のジメチルシロキサンセグメントは、その柔軟性と低い表面エネルギーによって、離型層表面に形成された樹脂層の剥離力を下げるのに効果がある一方で、その領域が極めて薄いため、樹脂層の形成時には、その直下の親溶媒的な領域が影響して、樹脂層形成時にハジキにくさをもたらしていると考えている。
前述の式4を満たさない場合には、剥離力が高くなり、樹脂層を成型体に転写する際に、樹脂層が破れたり、剥離力が不安定で、樹脂層に剥離線が残る、いわゆる「ジッピング」を起こしたりして面内均一に転写することができない場合がある。前述の式5を満たさない場合には、ハジキ等を引き起こし樹脂層の品位が低下する場合がある。
さらに、前記離型層を構成する樹脂は、化学式3の構造を有するセグメントを含むことが好ましい。
Figure 0007358729000006
ここでRは水素またはメチル基である。Rは以下の(i)~(vi)のいずれかである。
(i)置換または無置換のアルキレン基
(ii)置換または無置換のアリーレン基
(iii)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する置換のアルキレン基
(iv)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
(v)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する置換のアリーレン基
(vi)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する無置換のアリーレン基。
化学式3は未反応のアクリル基を含み、もう一端がエーテル結合になっており、離型層の主たる架橋成分と架橋していることで固定化されていることを指す。未反応のアクリル基を含むことにより、離型層表面に樹脂層が形成されたとき、親和性を確保するできるものである。
化学式3の構造を有するセグメントを離型層を構成する樹脂が含むかどうかは、様々な分析方法により調べることが可能であるが、飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)による方法が最も容易である。また、離型層を構成する原料から判断することもできる。
さらに、本発明の離型フィルムは、活性エネルギー線により架橋させた樹脂フィルムの製造に用いることが好ましい。つまり本発明の離型フィルムは、紫外線、電子線により架橋する部位を含む樹脂前駆体を含む塗料組成物を、本発明の離型フィルムの離型層上に塗布し、溶媒を乾燥後、活性エネルギー線を照射して架橋させた後、離型フィルムを剥離することによる、樹脂フィルムの製造方法に、好適に用いられるものである。
さらに、本発明の離型フィルムは、層間絶縁膜の製造に用いることが好ましい。ここで、層間絶縁膜とは、多層プリント配線板を製造する手法として、コアもしくはベースとなる基板上に、絶縁層と導体層を交互に積層する、いわゆる「ビルドアップ工法」に用いられる絶縁材料の一つで、積層する絶縁材料の中でも、フィルム状になったものが対象である。つまり本発明の離型フィルムは、未硬化の樹脂を含む塗料組成物を、離型フィルムの離型層上に塗布し、溶媒を乾燥、さらに加熱により半硬化させることで、未硬化シートを作成し、これを、導体層と積層し、硬化後に離型フィルムを剥離することによる、層間絶縁膜の製造方法に、好適に用いられるものである。
本発明の離型フィルムの、活性エネルギー線により架橋させた樹脂フィルムの製造方法への適用や、層間絶縁膜の製造への適用といった用途では、その機能の発現のため、低粘度の塗料組成物を用いる場合がある。そのため、従来の離型フィルムを使用すると、ハジキなどの品位の欠陥を生じることや、離型層がないフィルムを用いると、転写時に剥離力が著しく上昇したりする場合がある。これに対し、本発明の離型フィルムを使用することで、面内均一な樹脂層が形成でき、また、工程に適した剥離力を提供することができる
[本発明の形態]
以下、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
[離型層]
本発明の離型フィルムにおける離型層は、少なくとも、支持基材の一方の面にあり、離型層の支持基材とは反対の面に、樹脂層を設けることにより使用される。離型層は、密着性や帯電防止性、耐溶剤性等を付与する観点から複数の層から構成されていてもよく、支持基材の両面にあってもよい。
ここで層とは、表面側から厚み方向に向かって、隣接する部位と区別可能な境界面を有し、かつ有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記離型層の断面を電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、不連続な境界面の有無により区別されるものを指す。離型層の厚み方向に組成が変わっていても、その間に前述の境界面がない場合には、1つの層として取り扱う。
離型層の厚みは、樹脂層を設ける側の面が、前述の特定の弾性率分布の標準偏差、および平均値を持つことができれば特に限定されないが、離型層の面内均一性、品位、剥離力の面から10~500nmであることが好ましく、20~300nmであることがより好ましい。
離型層は、前述のように構成する樹脂が化学式1および/または化学式2の構造を有するセグメントを含み、表面自由エネルギーγと原子間力顕微鏡による表面弾性率Eが前述の範囲を満たすことができれば、その材料は特に限定されないが、後述する離型層用塗料組成物により形成されていることが好ましく、後述する離型層の製造方法により、塗布、乾燥、硬化することにより支持基材の表面に形成することが好ましい。

[樹脂層、樹脂フィルム]
樹脂層とは、離型フィルムの離型層上に形成された層であって、離型フィルムより剥離・転写可能な層を指す。この剥離可能、不可能の判断基準は、JIS K5600-5-6:1999に記載のクロスカット法にて評価を行い、分類4以上であるものを剥離可能、分類0から3であるものを剥離不可能とする。
前記樹脂層および離型層、支持基材を含む全て統合したものを積層体とする。離型層上に層が1層のみ形成されている場合は、当該1層が樹脂層となり、離型層上に層が2層以上形成されている場合は、離型層を除いた当該2層以上の層を1つの樹脂層とする。また支持基材および離型層から剥離された樹脂層を、支持基材及び離型層を含まないことを明確化するために「樹脂フィルム」と記載する場合がある。
ここで層とは、積層体の表面側から厚み方向に向かって、厚み方向に隣接する部位と境界面を有することにより区別でき、かつ有限の厚みを有する部位を指す。より具体的には、前記積層体の断面を電子顕微鏡(透過型、走査型)または光学顕微鏡にて断面観察した際、不連続な境界面の有無により区別されるものを指す。そのため、樹脂層の厚み方向に組成が変わっていても、その間に前述の境界面がない場合には、1つの層として取り扱う。

[支持基材]
本発明の離型フィルムに用いられる支持基材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれで構成されていてもよく、ホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。支持基材を構成する樹脂は、フィルム状への成型性が良好であれば好ましく、その点から溶融製膜可能な熱可塑性樹脂や、溶液製膜可能な樹脂を用いることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂は、十分な延伸性と追従性を備える樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、強度・耐熱性・透明性の観点から、特に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、もしくはメタクリル樹脂であることがより好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、酸成分およびそのエステルとジオール成分の重縮合によって得られる。具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを挙げることができる。またこれらに酸成分やジオール成分として他のジカルボン酸およびそのエステルやジオール成分を共重合したものであってもよい。これらの中で透明性、寸法安定性、耐熱性などの点でポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートが特に好ましい。
溶液製膜可能な樹脂の例としては、セルロースエステル(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)などを用いることができ、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
また、支持基材には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。支持基材は、単層構成、積層構成のいずれであってもよい
前記離型層を形成する前に各種の表面処理を施すことも可能である。表面処理の例としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理およびオゾン酸化処理が挙げられる。これらの中でもグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火焔処理が好ましく、グロー放電処理と紫外線処理がさらに好ましい。また、支持基材の表面は、易接着層、帯電防止層、アンダーコート層、紫外線吸収層などの複数の機能性層をあらかじめ設けることも可能である。

[離型層の製造方法]
本発明の離型フィルムの製造方法は、支持基材上に前述の条件を満たす離型層を形成することができれば特に限定されないが、支持基材上に、後述する離型層用塗料組成物を塗布、乾燥、さらに必要により硬化することで、離型フィルムを作成する方法が好ましい。また、この離型フィルムを使用して、離型層上に樹脂層を設ける場合も同様である。
離型層の塗布方法は、支持基材上に、離型層用塗料組成物を塗布し、面内均一な塗布層を形成できれば、特に限定されない。フィルム上への塗布方法としては、ディップコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やダイコート法(米国特許第2681294号明細書)などから適宜、選択できる。ここで塗布層とは、塗布工程により形成された「液体の層」を指す。
離型層の乾燥方法は、支持基材上に形成された塗布層から、溶媒を除去することができれば、特に限定されない。乾燥方法としては、伝熱乾燥(高熱物体への密着)、対流伝熱(熱風)、輻射伝熱(赤外線)、その他(マイクロ波、誘導加熱)によりなどが挙げられるが、この中でも、本発明の離型フィルムを得る製造方法としては、精密に幅方向でも乾燥速度を均一にする必要から、対流伝熱または輻射伝熱を使用した方式が好ましい。
硬化方法は、乾燥後、離型層に熱またはエネルギー線を照射することにより、反応させ、塗膜を硬化するものである。硬化工程において、熱で硬化する場合には、室温から200℃であることが好ましく、硬化反応の活性化エネルギーの観点から、より好ましくは100℃以上200℃以下、さらに好ましくは130℃以上200℃以下である。 硬化は乾燥工程と兼ねて、連続して行ってもよい。
また、エネルギー線により硬化する場合には汎用性の点から電子線(EB線)および/または紫外線(UV線)であることが好ましい。また、紫外線を照射する際に用いる紫外線ランプの種類としては、例えば、放電ランプ方式、フラッシュ方式、レーザー方式、無電極ランプ方式等が挙げられる。

放電ランプ方式である高圧水銀灯を用いて紫外線硬化させる場合、紫外線の照度は、100~3,000(mW/cm)が好ましく、200~2,000(mW/cm)がより好ましく、300~1,500(mW/cm)が、さらに好ましい。そして、紫外線の積算光量は、100~3,000(mJ/cm)が好ましく、200~2,000(mJ/cm)がより好ましく、300~1,500(mJ/cm)がさらに好ましい。
ここで、紫外線の照度とは、単位面積当たりに受ける照射強度で、ランプ出力、発光スペクトル効率、発光バルブの直径、反射鏡の設計及び被照射物との光源距離によって変化する。しかし、搬送スピードによって照度は変化しない。また、紫外線積算光量とは単位面積当たりに受ける照射エネルギーで、その表面に到達するフォトンの総量である。積算光量は、光源下を通過する照射速度に反比例し、照射回数とランプ灯数に比例する。

[離型層用塗料組成物]
離型層用塗料組成物は、前述の離型フィルムの製造方法によって、支持基材上に離型層が形成されたとき、離型層を構成する樹脂が前述の構造を有するセグメントを含み、前述の算術平均粗さRa、原子間力顕微鏡による弾性率、表面自由エネルギーを満たすことができれば、その材料は特に限定されないが、反応性部位を有するシリコーン系樹脂または有機樹脂変性シリコーンレジンと、反応性部位を有するポリアルキレンオキサイドを含む樹脂と、それらと反応可能な有機樹脂成分から構成されることが好ましい。
反応性部位を有するシリコーン系樹脂としては、反応性部位で変性したポリジメチルシロキサン、または反応性部位で変性したシリコーンオリゴマーが好ましい。変性部位は、ポリマー、オリゴマーの側鎖、両末端、片末端のいずれでもよく、反応性部位はアミノ、エポキシ、カルビノール、ジオール、メルカプト、カルボキシル、フェノール、シラノール、(メタ)アクリル、カルボン酸無水物、などのいずれでもよく、後述する、ジメチルシロキサンの部分の分子量や、変性部位の官能基当量は適宜選択される。
有機樹脂変性シリコーンレジンは、シリコーン系樹脂の粘弾性や、表面自由エネルギー調整のため、に用いられ、エポキシ、アルキッド、ポリエステステル等の樹脂などで変性された、シリコーンレジンが挙げられる。
ポリアルキレンオキサイドを含む樹脂としては、アルキレンオキサイドセグメントを含むポリオールや、(メタ)アクリレート、エポキシ、カルボン酸などの反応性部位で変性された変性ポリオールが挙げられる。また、前述のシリコーン樹脂と一体化したものとして、ポリエーテルが反応性部位となった、変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
上記の材料と反応可能な有機樹脂は特に限定されず、アクリルポリオールなどのアクリル樹脂、アルキド樹脂などのポリエステルや、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
[溶媒]
本発明における離型層用塗料組成物は溶媒を含んでもよく、塗布層を面内に均一に形成するためには、溶媒を含む方が好ましい。溶媒の種類数としては1種類以上20種類以下が好ましく、より好ましくは1種類以上10種類以下、さらに好ましくは1種類以上6種類以下、特に好ましくは1種類以上4種類以下である。
ここで「溶媒」とは、前述の乾燥工程にてほぼ全量を蒸発させることが可能な、常温、常圧で液体である物質を指す。ここで、溶媒の種類とは溶媒を構成する分子構造によって決まる。すなわち、同一の元素組成で、かつ官能基の種類と数が同一であっても結合関係が異なるもの(構造異性体)、前記構造異性体ではないが、3次元空間内ではどのような配座をとらせてもぴったりとは重ならないもの(立体異性体)は、種類の異なる溶媒として取り扱う。例えば、2-プロパノールと、n-プロパノールは異なる溶媒として取り扱う。
[塗料組成物中のその他の成分]
本発明における離型層用塗料組成物は、重合開始剤や硬化剤や触媒を含むことが好ましい。重合開始剤および触媒は、樹脂層の硬化を促進するために用いられる。重合開始剤としては、塗料組成物に含まれる成分をアニオン、カチオン、ラジカル重合反応等による重合、縮合または架橋反応を開始あるいは促進できるものが好ましい。
重合開始剤、硬化剤および触媒は種々のものを使用できる。また、重合開始剤、硬化剤および触媒はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の重合開始剤、硬化剤および触媒を同時に用いてもよい。さらに、酸性触媒や、熱重合開始剤を併用してもよい。酸性触媒の例としては、塩酸水溶液、蟻酸、酢酸などが挙げられる。熱重合開始剤の例としては、過酸化物、アゾ化合物が挙げられる。また、光重合開始剤の例としては、アルキルフェノン系化合物、含硫黄系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、アミン系化合物などが挙げられる。また、ウレタン結合の形成反応を促進させる架橋触媒の例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどが挙げられる。
また、前記塗料組成物は、アルコキシメチロールメラミンなどのメラミン架橋剤、3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物系架橋剤、ジエチルアミノプロピルアミンなどのアミン系架橋剤などの他の架橋剤を含むことも可能である。
光重合開始剤としては、硬化性の点から、アルキルフェノン系化合物が好ましい。アルキルフェノン形化合物の具体例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-フェニル)-1-ブタン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-フェニル)-1-ブタン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタン、1-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-エトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、およびこれらの材料を高分子量化したものなどが挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、離型層用塗料組成物にレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を加えてもよい。これにより、離型層はレベリング剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を含有することができる。レベリング剤の例としては、アクリル共重合体またはシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。帯電防止剤の例としてはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩が挙げられる。
[用途]
本発明の離型フィルムは、表面の外観品位、転写までハンドリング性の良さと、成型体への面内均一な転写性を活かし、例えばプラスチックスや金属で構成された成型体の製造工程に好適に用いることができる。
また、本発明の離型フィルムの離型層上にさらに樹脂層を有する積層体は、耐傷性、薄膜での搬送性、表面形状への追従性に優れ、また、たとえば耐候性やガスバリア性、ブロッキング防止性などの機能を有する層を転写するといった利点を活かし、プラスチックスや金属を始めとする成型体に好適に用いることができる。
さらに、前記積層体から、離型層および支持基材を剥離してなる樹脂フィルムや、層間絶縁膜などにも同様に、成型体に好適に用いることができる。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。以下では実施例8、9、11を参考実施例8、9、11と読み替えるものとする。
[離型層用塗料組成物1]
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物1を得た。
・側鎖型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4015 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・アクリル変性アルキド樹脂溶液
(ハリフタール KV-905 ハリマ化成株式会社 固形分濃度 53質量%):100質量部
・イソブチルアルコール変性メラミン樹脂溶液
(メラン2650L 日立化成株式会社 固形分濃度 60質量%):20質量部
・パラトルエンスルホン酸:5質量部。
[離型層用塗料組成物1-2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物1-2を得た。
・側鎖型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4015 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・アクリル変性アルキド樹脂溶液
(ハリフタール KV-905 ハリマ化成株式会社 固形分濃度 53質量%):100質量部
・イソブチルアルコール変性メラミン樹脂溶液
(メラン2650L 日立化成株式会社 固形分濃度 60質量%):20質量部
・4-ヒドロキシブチルアクリレート:5質量部
・パラトルエンスルホン酸:5質量部。
[離型層用塗料組成物1-3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物1-3を得た。
・側鎖型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4015 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・アクリル変性アルキド樹脂溶液
(ハリフタール KV-905 ハリマ化成株式会社 固形分濃度 53質量%):100質量部
・イソブチルアルコール変性メラミン樹脂溶液
(メラン2650L 日立化成株式会社 固形分濃度 60質量%):20質量部
・ヒドロキシプロピルアクリレート:5質量部
・パラトルエンスルホン酸:5質量部。
[離型層用塗料組成物2]
下記材料を混合し、トルエン/ヘプタン混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の離型層用塗料組成物2を得た。
・メチルビニルポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液
(LTC752 Coating 東レ・ダウコーニング(株)製 固形分濃度 30質量%):95質量部
・重剥離添加剤
(BY24-4980 東レ・ダウコーニング(株)製 固形分濃度 30質量%):5質量部
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液
(PL50T 信越化学工業(株)製):0.1質量部。
[離型層用塗料組成物3]
下記材料を混合し、トルエン/ヘプタン混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の離型層用塗料組成物3を得た。
・メチルビニルポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液
(LTC752 Coating 東レ・ダウコーニング(株)製 固形分濃度 30質量%):85質量部
・剥離添加剤
(BY24-4980 東レ・ダウコーニング(株)製 固形分濃度 30質量%):5質量部
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液
(PL50T 信越化学工業(株)製):0.1質量部。
[離型層用塗料組成物4]
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物4を得た。
・片末端型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-170DX 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・アクリル変性アルキド樹脂溶液
(ハリフタール KV-905 ハリマ化成株式会社 固形分濃度 53質量%):100質量部
・イソブチルアルコール変性メラミン樹脂溶液
(メラン2650L 日立化成株式会社 固形分濃度 60質量%):20質量部
・パラトルエンスルホン酸:5質量部。
[離型層用塗料組成物5]
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物5を得た。
・長鎖アルキル基含有アミノアルキド樹脂のトルエン/キシレン/イソブタノール/メタノール混合溶液
(日立化成(株)社製、テスファイン305、固形分濃度 50質量%)。
[離型層用塗料組成物6]
下記材料を混合し、メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度5質量%の離型層用塗料組成物6を得た。
・片末端型カルビノール変性反応型シリコーンオイル
(X-22-170DX 信越化学工業(株) 有効分100質量%):1質量部
・両末端型ポリエーテル変性反応型シリコーンオイル
(X-22-4952 信越化学工業(株) 有効分100質量%):5質量部
・アクリル変性アルキド樹脂溶液
(ハリフタール KV-905 ハリマ化成株式会社 固形分濃度 53質量%):100質量部
・イソブチルアルコール変性メラミン樹脂溶液
(メラン2650L 日立化成株式会社 固形分濃度 60質量%):20質量部
・パラトルエンスルホン酸:5質量部。
[離型層用塗料組成物7]
下記材料を混合し、トルエン/ヘプタン混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の離型層用塗料組成物7を得た。
・メチルビニルポリシロキサンおよびメチル水素化ポリシロキサンのトルエン溶液:10質量部 (KS847H 信越化学工業(株)製 固形分濃度 30質量%)
・メチルビニルポリシロキサンと白金の錯体溶液:0.1質量部(PL-50T 信越化学工業(株)製)
・トルエン:10質量部
・ヘプタン:10質量部。
[離型層用塗料組成物8]
下記材料を混合し、トルエン/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量混合比20/10)を用いて希釈し、固形分濃度4質量%の離型層用塗料組成物8を得た。
・長鎖アルキルウレタンアクリレートと多官能アクリレートモノマーの混合物のトルエン溶液
(TA37-400A 日立化成株式会社製 固形分濃度 50質量%):3質量部
・αヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤
(イルガキュア184 BASFジャパン(株)):3質量部。
[離型層用塗料組成物9]
下記材料を混合し、 トルエン/シクロヘキサノン混合溶媒(質量混合比50/50)を用いて希釈し、固形分濃度2質量%の離型層用塗料組成物9を得た。
・ブチル化メラミンホルムアルデヒド塗料
(RP-50 (株)三羽研究所製):20質量部
・アルキル変性ポリウレタン樹脂
(RP-20 (株)日本触媒):0.3質量部
・亜リン酸エステル
(プラスコートDEPクリア 和信化学工業(株)製):4質量部。
[離型フィルム1~9の作成]
前述の離型層用塗料組成物と支持基材を用いて、以下の方法を用いて離型層を形成し、離型フィルムを作成した。使用する離型層用塗料組成物と離型層の形成方法、離型層厚みの組み合わせは、表1に記載の通りである。
Figure 0007358729000007
[離型層の形成1]
小径グラビアコーターを有する塗布装置を用い、厚み50μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R75X)に、離型層用塗料組成物を表1に記載の離型層厚みになるように、グラビア線数、周速、固形分濃度を調整して塗布し、次いで熱風温度140℃にて30秒保持することで、乾燥と硬化を行い離型フィルムを得た。
[離型層の形成2]
小径グラビアコーターを有する塗布装置を用い、厚み50μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R75X)に、離型層用塗料組成物を表1に記載の離型層厚みになるように、グラビア線数、周速、固形分濃度を調整して塗布し、次いで熱風温度120℃にて30秒保持することで、乾燥と硬化を行い離型フィルムを得た。
[離型層の形成3]
小径グラビアコーターを有する塗布装置を用い、厚み50μmのポリエステルフィルム(東レ(株)製商品名“ルミラー”(登録商標)R75X)に、離型層用塗料組成物を表1に記載の離型層厚みになるように、グラビア線数、周速、固形分濃度を調整して塗布し、次いで熱風温度80℃にて30秒保持することで乾燥し、次いで紫外線の照度400W/cm、紫外線の積算光量が120mJ/cmになる条件での高圧水銀灯を照射することにより硬化を行い、離型フィルムを得た。
[離型層の形成4]
小径グラビアコーターを有する塗布装置を用い、厚み50μmのトリアセチルセルロースフィルム(IPI社製)に、離型層用塗料組成物を表1に記載の離型層厚みになるように、グラビア線数、周速、固形分濃度を調整して塗布し、次いで熱風温度140℃にて30秒保持することで、乾燥と硬化を行い離型フィルムを得た。
[離型層の物性評価]
実施例1~14および比較例1~3で作製した離型フィルムについて、以下に示す物性評価を実施し、得られた結果を表2、表3にまとめた。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。さらに離型層が化学式3に記載の構造を有するセグメントを含有するかしないか、および物性評価結果に基づく、式1から5を満たす、満たさないについても記載した。
Figure 0007358729000008
Figure 0007358729000009
[離型層のJIS R1683(2007)に基づく算術平均粗さRaの測定]
下記の装置と条件にて、離型層表面の測定を行い、JIS R1683(2007)で規定する中心線平均粗さRaを求めた。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード:タッピングモード
カンチレバー: ブルカーAXS社製SCANASYST-AIR
(材質:Si、バネ定数K:0.4(N/m)、先端曲率半径R:2(nm))
測定雰囲気 : 23℃・大気中
測定範囲 : 3(μm)四方
分解能 : 512×512。
[離型層、樹脂フィルムの原子間力顕微鏡による表面弾性率Eの測定]
離型層、樹脂フィルムの表面弾性率Eの測定は、AFM(Burker Corporation製 DimensionIcon)を用い、PeakForceQNMモードにて測定を実施し、得られたフォースカーブから付属の解析ソフト「NanoScopeAnalysis V1.40」を用いて、JKR接触理論に基づいた解析を行い、表面弾性率Eを求めた。
具体的にはPeakForceQNMモードのマニュアルに従い、カンチレバーの反り感度、バネ定数、先端曲率の構成を行った後、下記の条件にて測定を実施し、得られたDMT Modulusチャンネルのデータを表面弾性率Eとして採用した。なお、バネ定数および先端曲率は個々のカンチレバーによってバラつきを有するが、測定に影響しない範囲として、バネ定数0.3(N/m)以上0.5(N/m)以下、先端曲率半径15(nm)以下の条件を満たすカンチレバーを採用し、測定に使用した。測定条件は下記に示す。
測定装置 : Burker Corporation製原子間力顕微鏡(AFM)
測定モード : PeakForceQNM(フォースカーブ法)
カンチレバー: ブルカーAXS社製SCANASYST-AIR
(材質:Si、バネ定数K:0.4(N/m)、先端曲率半径R:2(nm))
測定雰囲気 : 23℃・大気中
測定範囲 : 3(μm)四方
分解能 : 512×512
カンチレバー移動速度: 10(μm/s)
最大押し込み荷重 : 10(nN)。
次いで得られたDMT Modulusチャンネルのデータを解析ソフト「NanoScopeAnalysis V1.40」にて解析し、Roughnessにて処理することにより得られた、ResultsタブのImage Raw Meanの値を、離型層の表面弾性率Eとした。
[離型層の表面自由エネルギーγの測定]
離型層の表面自由エネルギーγの測定は、離型層表面に対し、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンによる25℃での静的接触角を求め、各液体での静的接触角と、非特許文献2に記載の、各液体の表面自由エネルギーの分散項、極性項、水素結合項を、非特許文献1に記載の「畑、北崎の拡張ホークスの式」に導入し、連立方程式を解くことにより求めた。静的接触角の測定は、試料を事前に25℃の環境下で、12時間放置後に実施した。協和界面科学性Drop Master DM-501を使用し、液滴の作成は、ニードルを這い上がらない範囲で、できるだけ小さい液滴を作成できる条件を選択した。静的接触角は離型層表面に着滴してから5秒後に撮影した画像を使用し、θ/2法を用いて、静的接触角を算出した。
[離型層の拡張-収縮法によるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの後退接触角の測定]
離型層の拡張-収縮法によるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの後退接触角の測定は、協和界面科学製接触角計Drop Master DM-501を用いて、同装置の拡張-収縮法測定マニュアルに従った。
測定は、離型層表面に初期液滴量50μLのヒドロキシルプロピルアクリレートの液滴を一旦作成し、次いで、液滴にシリンジ針先端を指したままの状態で液吐出速度8.5μL/sで連続的に吸引し、同液滴の縮小過程の形状を100ミリ秒毎に連続的に撮影しその過程のそれぞれの接触角を求めた。
液滴の収縮過程の接触角は最初、収縮につれて変化し、次いで一定になる挙動を示し、そのときの接触角を後退接触角とした。接触角が一定になったことを判断する方法は、液滴の収縮していく方向に接触角を並べ、その順に連続した5点を選択したとき、連続した5点の標準偏差が最初に1°以下になったときの平均値をその測定の後退接触角D(°)とした。
この測定を1サンプルについて5回行い、その平均値を後退接触角とした。なお、サンプルによっては液滴の収縮過程の接触角が一定にならず、連続的に低下し続けるものもあるが、これについては後退接触角を0°とした。
[離型層の飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)測定]
ION TOF社製、飛行時間型2次イオン質量分析計TOF-SIMS 5および同社測定ソフトSURFACE LAB 6を用い、2次イオン質量分析法によって、離型層表面から深さ方向に測定して、T 、T 、T 25およびT 25を算出した。
測定条件は以下の通りとした。
・測定条件
1次イオン種 :Bi ++
1次イオン加速電圧 :25kV
パルス幅: 125ns
質量範囲(m/z): 0~1,000
ラスターサイズ: 50、100μm
スキャン回数: 48、32スキャン
ピクセル数: 256×256。
[離型層の特性評価]
離型層の機能について評価するため、離型層表面に下記の方法で樹脂層を形成して、積層体を作り、次いで、離型層上に形成された樹脂層の品位、樹脂層の剥がれ、浮き、樹脂層の成型体への転写性、について評価し、得られた結果を表4に示す。
Figure 0007358729000010
[樹脂層用塗料組成物の作成]
[樹脂層用塗料組成物1]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し、固形分濃度30質量%の樹脂層用塗料組成物1を得た。
・ポリマーアクリレート樹脂の酢酸ブチル/酢酸エチル溶液 190質量部
(“ユニディック” V-6850 DIC株式会社 固形分濃度50質量%)
・ウレタンアクリレートオリゴマー 5質量部
(“紫光” UV3200B 日本合成化学工業(株)製)
・αヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤 3.0質量部
(“イルガキュア”(登録商標)184 BASFジャパン株式会社製)。
[樹脂層用塗料組成物2]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し固形分濃度30質量%の樹脂層用塗料組成物2を得た。
・ポリマーアクリレート樹脂の酢酸ブチル/酢酸エチル溶液 200質量部
(“ユニディック” V-6850 DIC株式会社 固形分濃度50質量%)
・αヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤 3.0質量部
(“イルガキュア”(登録商標)184 BASFジャパン株式会社製)。
[樹脂層用塗料組成物3]
下記材料を混合し、メチルエチルケトンを用いて希釈し、固形分濃度30質量%の樹脂層用塗料組成物3を得た。
・ポリマーアクリレート樹脂の酢酸ブチル/酢酸エチル溶液 180質量部
(“ユニディック” V-6850 DIC株式会社 固形分濃度50質量%)
・ウレタンアクリレートオリゴマー
(“紫光” UV3200B 日本合成化学工業(株)製 固形分濃度100%) 10質量部
・αヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤 3.0質量部
(“イルガキュア”(登録商標)184 BASFジャパン株式会社製)。
[樹脂層用塗料組成物4]
下記の溶液A、溶液B、溶液Cを調合し、次いで溶液Bと溶液Cと添加物Dを混合後、溶液Aを混合し、最後に高速回転ミキサーで均一に分散して、塗料組成物を4を得た
溶液A
・エタノール 42.5質量部
・トルエン 42.5質量部
・ポリビニルブチラール樹脂 15質量部
(KS-1 積水化学工業株式会社製)
溶液B
・メチルエチルケトン 15質量部
・シクロヘキサン 15質量部
・液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂 28質量部
(“エピコート”(登録商標)828EL ジャパンエポキシレジン株式会社製
・ナフタレン型4官能エポキシ樹脂 28質量部
(HP4700 大日本インキ化学工業株式会社製)
溶液C
・メチルエチルケトン 55質量部
・ナフトール系硬化剤 55質量部
(SN-485 東都化成株式会社製)
添加剤D
・硬化触媒 0.1部
(2E4MZ 四国化成工業株式会社製)
・球状シリカ 70部
(SOC2 アドマテックス株式会社製)

[積層体の作成]
前述の樹脂層用塗料組成物と離型フィルムを用いて、樹脂層を形成し、積層体を作成した。使用する樹脂層用塗料組成物と樹脂層の形成方法、樹脂層厚みの組み合わせは、表4に記載の通りである。
[樹脂層の形成1(活性エネルギー線架橋性樹脂)]
単層スロットダイコーターを有する連続塗布装置を用い、前述の離型フィルムに、前述の樹脂層用塗料組成物を、表1に記載の樹脂層厚みになるように、スロットからの吐出流量を調整して塗布し、次いで熱風温度80℃にて30秒保持することで乾燥し、次いで、酸素分圧0.1体積%以下、紫外線の照度400W/cm、紫外線の積算光量が120mJ/cmになる条件下で高圧水銀灯を照射することにより硬化を行い、樹脂層を形成した。
[樹脂層の形成2(層間絶縁膜)]
単層スロットダイコーターを有する連続塗布装置を用い、前述の離型フィルムに、樹脂層用塗料組成物を、表1に記載の樹脂層厚みになるように、スロットからの吐出流量を調整して塗布し、次いで熱風温度80℃~120℃の間で、6分から8分乾燥し、保護フィルムとして厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。さらに、ポリプロピレンフィルム剥離後、160℃で15分間加熱後し、樹脂層を形成した。

[樹脂層の品位の評価]
実施例1~14および比較例1~3で作製した積層体について、光源を樹脂層表面に映り込ませた状態で、50mを目視にて検査し、そのうち直径1mm以上の変形(ハジキ、異物)が観察された個数について、以下の基準に則り判定した。評価は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回評価し、その平均値を求め、小数点第一位を四捨五入し、4点以上を合格とした。
10点:直径1mm以上の変形が1個以下
7点: 直径1mm以上の変形が2~3個
4点: 直径1mm以上の変形が4個
1点: 直径1mm以上の変形が5個以上。
[樹脂層の剥がれ、浮きの評価]
実施例1~14および比較例1~3で作製した積層体を、100mm×200mm角にカッターナイフで切断し、直径30mmの円筒に巻き付けた時に切断部の端部を観察し、以下の基準に則り判定した。評価は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回評価し、その平均値を求め、小数点第一位を四捨五入し、4点以上を合格とした。
10点:カッターナイフで切断した時の端部、および円筒に巻き付けたときの端部のいずれも、浮きが発生しない。
7点:カッターナイフで切断した時の端部は浮きが発生せず、円筒に巻き付けたときにわずかに端部に浮きが発生する。
4点:カッターナイフで切断した時の端部はわずかに浮きが発生し、円筒に巻き付けたときにわずかに端部に浮きが発生する。
1点:カッターナイフで切断した時の端部に浮きが発生し、円筒に巻き付けたときには、端部全体に浮きが発生する。
0点:評価可能な樹脂層が形成されていない。
[樹脂層の成型体への転写性の評価]
実施例1~14および比較例1~3で作製した積層体の樹脂層の表面に、粘着フィルム(パナック株式会社 “パナクリーン”(登録商標)PD-S1 25μm品)の一方のセパレーターを剥がした面を気泡が入らないように貼合し、次いで粘着フィルムのセパレーターを剥がして、成型体(PETフィルム(188μm 東レ(株)“ルミラー”(登録商標) T60)に貼り付けた。
離型フィルムと離型層と樹脂層の間で予め少し剥離しておき、離型フィルムを180度方向に剥離し、以下の基準に則り判定した。評価は各実施例・比較例において1つのサンプルについて場所を変えて3回評価し、その平均値を求め、小数点第一位を四捨五入し、4点以上を合格とした。
10点: 剥離速度10,000mm/minでも面内均一に剥がすことができる。
7点 : 剥離速度10,000mm/minでは面内均一に剥がすことができず、1,000mm/minでは面内均一にはがすことができる。
4点 :剥離速度1,000mm/minでは面内均一に剥がすことができず、300mm/minでは面内均一にはがすことができる。
1点 :300mm/minで面内均一に剥がすことができない。
0点:評価可能な樹脂層が形成されていない。
1,6 : 積層体
2,7 : 離型フィルム
3,8 : 支持基材
4,9,10 : 離型層
5,11 : 樹脂層
12,16,21 : 離型層表面
13,17,22 : シリンジ針
14,18,23 : 液滴
15,19,24 : 接触角
20、25: 接触角の時間変化
本発明の離型フィルムは、耐傷性、耐候性、ガスバリア性などの機能を有する樹脂層を成型体表面に転写するプロセスにおいて、樹脂層の品位、後加工工程での樹脂層の浮き防止、転写時の剥離性を両立することができる。

Claims (6)

  1. 支持基材の少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層を構成する樹脂が化学式1の構造を有するセグメントを含み、前記離型層を構成する樹脂が化学式3の構造を有するセグメントを含み、前記離型層の表面自由エネルギーγ(mN/m)と原子間力顕微鏡による表面弾性率E(MPa)とが式1および式2を満たし、前記離型層の飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)により測定されるデプスプロファイルにおいて、以下の式4および式5を満たすことを特徴とする離型フィルム。
    式1 10≦γ≦45
    式2 1≦E≦1,000
    Figure 0007358729000011
    ここでRは、メチル基、フェニル基、ビニル基またはヘキシレン基である。
    Figure 0007358729000012
    ここでR は水素またはメチル基である。R は以下の(i)~(vi)のいずれかである。
    (i)置換または無置換のアルキレン基
    (ii)置換または無置換のアリーレン基
    (iii)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する置換のアルキレン基
    (iv)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する無置換のアルキレン基
    (v)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する置換のアリーレン基
    (vi)内部にエーテル基、エステル基またはアミド基を有する無置換のアリーレン基
    式4 T >T
    式5 T 25<T 25
    :前記離型層表面におけるSi(CHフラグメントイオンの強度
    :前記離型層表面におけるC2n+1フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度
    25:前記離型層表面から深さ25nmの位置におけるSi(CHフラグメントイオンの強度
    25:前記離型層表面から深さ25nmの位置におけるC2n+1フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度
  2. 支持基材の少なくとも一方の面に離型層を有する離型フィルムであって、前記離型層を構成する樹脂が化学式1の構造を有するセグメントを含み、前記離型層の表面自由エネルギーγ(mN/m)と原子間力顕微鏡による表面弾性率E(MPa)とが式1および式2を満たし、前記離型層の飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF-SIMS)により測定されるデプスプロファイルにおいて、以下の式4および式5を満たすことを特徴とする、原子間力顕微鏡による表面弾性率が100MPa以上2GPa以下の樹脂フィルムの製造に用いられる離型フィルム。
    式1 10≦γ≦45
    式2 1≦E≦1,000
    Figure 0007358729000013
    ここでR は、メチル基、フェニル基、ビニル基またはヘキシレン基である。
    式4 T >T
    式5 T 25 <T 25
    :前記離型層表面におけるSi(CH フラグメントイオンの強度
    :前記離型層表面におけるC 2n+1 フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度
    25 :前記離型層表面から深さ25nmの位置におけるSi(CH フラグメントイオンの強度
    25 :前記離型層表面から深さ25nmの位置におけるC 2n+1 フラグメントイオン(nは1から3)の中で最も強いものの強度
  3. 前記離型層のJIS R1683(2007)に基づく算術平均粗さRaが5nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の離型フィルム。
  4. 前記離型層の拡張-収縮法によるアクリル酸2-ヒドロキシプロピルの25℃における後退接触角D(°)が以下の式3を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の離型フィルム。
    式3 D≦40
  5. 活性エネルギー線により架橋させた樹脂フィルムの製造に用いられる、前記請求項1に記載の離型フィルム。
  6. 層間絶縁膜の製造に用いられる、前記請求項1に記載の離型フィルム。
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