1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御装置(1,1A)は、モータ(50)の回転数を制御するための駆動制御信号(Sca1,Sca2)に基づいて前記モータに通電する制御を行うとともに、前記モータの実回転数に対応する周期を有するFG信号(fg1,fg2)を出力する複数のモータ駆動回路(10_1,10_2,10A_1,10A_2)と、前記モータ駆動回路から出力された前記FG信号の夫々を入力し、入力された信号を合成した合成信号(Si)を生成する合成信号生成回路(21,21A)と、前記モータの目標回転数を指示する速度指令信号(Sc)に基づいて前記駆動制御信号を生成して前記モータ駆動回路の夫々に出力するとともに、前記合成信号に基づいて、前記モータおよび前記モータ駆動回路の状態を判定する駆動制御回路(20)と、を備え、夫々の前記モータ駆動回路から出力される前記FG信号は互いに位相差を有し、前記駆動制御回路は、前記合成信号が所定の論理値を示している場合に、前記複数のモータ駆動回路の少なくとも一つを前記FG信号の出力が不能なハイレベル状態に遷移させ、そのときの前記合成信号に基づいて、前記複数のモータ駆動回路の何れか一つが前記FG信号を正常に出力することができないFG故障状態であるか、前記モータが回転不能となるロック状態であるかを判別する第1判定処理(第1FG故障判定処理)を行うことを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕に記載のモータ駆動制御装置において、夫々の前記モータ駆動回路は、その内部における回路の少なくとも一部の動作を停止させ、前記FG信号の出力をハイレベルに固定する省電力状態に遷移可能であり、前記駆動制御回路は、前記合成信号が前記所定の論理値を示している場合に、前記複数のモータ駆動回路の少なくとも一つを前記省電力状態に遷移させ、そのときの前記合成信号に基づいて前記第1判定処理を行ってもよい。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載のモータ駆動制御装置において、夫々の前記モータ駆動回路は、内部電源電圧(Vdd)を生成して出力する内部電源回路(121)と、前記内部電源電圧からの給電によって動作可能に構成され、前記モータのロータの回転位置に応じた位置検出信号(hp,hn)に基づいて前記FG信号を生成して出力するFG信号生成部(124)と、前記FG信号生成部への前記内部電源電圧の供給と遮断を制御するともに、前記駆動制御信号に基づいて、前記モータを通電させるためのモータ駆動制御信号(Sd1,Sd2)を生成する制御部(122)とを有し、前記駆動制御回路は、前記合成信号が前記所定の論理値を示している場合に、前記駆動制御信号の出力を停止し、前記制御部は、前記駆動制御信号が入力されず、且つ前記FG信号が所定の期間切り替わらない場合に、前記FG信号生成部への前記内部電源電圧の供給を遮断してもよい。
〔4〕上記〔3〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記駆動制御回路は、前記第1判定処理において、前記合成信号の所定の変化を検出した場合に、前記複数のモータ駆動回路の何れか一つが前記FG故障状態であると判定し、前記合成信号が前記所定の論理値(例えばハイレベル)に固定されている場合に、前記モータが前記ロック状態であると判定してもよい。
〔5〕上記〔4〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記駆動制御回路は、前記複数のモータ駆動回路の何れか一つが前記FG故障状態であると判定した場合に、前記複数のモータ駆動回路を一つずつ順次駆動させ、そのときの前記合成信号に基づいて、前記モータ駆動回路のどちらが前記FG故障状態であるかを判別する第2判定処理(第3FG故障判定処理)を行ってもよい。
〔6〕上記〔5〕に記載のモータ駆動制御装置において、前記駆動制御回路は、前記第2判定処理によって、前記FG故障状態であると判定した前記モータ駆動回路に対して前記駆動制御信号の出力を停止し、正常状態であると判定した前記モータ駆動回路に対して前記駆動制御信号を出力してもよい。
〔7〕上記〔1〕乃至〔6〕の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置において、前記FG信号は、前記モータの回転数に対応した周期で所定のデューティ比を有する矩形波状の信号であり、前記合成信号生成回路は、それぞれの前記モータ駆動回路から出力された前記FG信号の論理積に基づいて、前記合成信号を生成してもよい。
〔8〕上記〔1〕乃至〔6〕の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置(1A)において、夫々の前記モータ駆動回路(10A_1,10A_2)は、前記モータがロックしている状態であるか否かを示す2値信号であるロック検出信号(ld1,ld2)をそれぞれ出力し、前記FG信号は、前記モータの回転数に対応した周期で所定のデューティ比を有する矩形波状の信号であり、前記合成信号生成回路(21A)は、それぞれの前記モータ駆動回路から出力された前記FG信号の論理積に基づく信号(sf12)と、それぞれの前記モータ駆動回路から出力された前記ロック検出信号の論理積に基づく信号(sl12)との論理積に基づいて、前記合成信号を生成してもよい。
〔9〕本発明の代表的な実施の形態に係るファン(100,100A)は、上記〔1〕乃至〔8〕の何れか一項に記載のモータ駆動制御装置(1,1A)と、前記モータ(50,50B_1,50B_2)と、前記モータの回転力によって回転可能に構成されたインペラ(90,90_1,90_2)とを備えることを特徴とする。
〔10〕本発明の代表的な実施の形態に係るモータ駆動制御方法は、モータ(50)の回転数を制御するための駆動制御信号(Sca1,Sca2)に基づいて前記モータに通電する制御を行うとともに、前記モータの実回転数に対応する周期を有するFG信号(fg1,fg2)を出力する複数のモータ駆動回路(10_1,10_2,10A_1,10A_2)と、前記モータ駆動回路から出力された前記FG信号の夫々を入力し、入力された信号を合成した合成信号(Si)を生成する合成信号生成回路(21,21A)と、前記モータの目標回転数を指示する速度指令信号(Sc)に基づいて前記駆動制御信号を生成して前記モータ駆動回路の夫々に出力するとともに、前記合成信号に基づいて、前記モータおよび前記モータ駆動回路の状態を判定する駆動制御回路(20)とを備えたモータ駆動制御装置(1,1A)によるモータ駆動制御方法であって、夫々の前記モータ駆動回路から出力される前記FG信号は互いに位相差を有し、前記駆動制御回路が、前記合成信号が所定の論理値を示している場合に、前記複数のモータ駆動回路の少なくとも一つを前記FG信号の出力が不能なハイレベル状態に遷移させる第1ステップ(S101~S103)と、前記駆動制御回路が、前記第1ステップにおける前記合成信号に基づいて、前記複数のモータ駆動回路の何れか一つが前記FG信号を正常に出力することができないFG故障状態であるか、前記モータが回転不能となるロック状態であるかを判別する第1判定処理を行う第2ステップ(S104,S105,S108)と、を含むことを特徴とする。
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
図1は、実施の形態1に係るファンの構成を示すブロック図である。
実施の形態1に係るファン(ファンモータ)100は、インペラ(羽根車)を回転させることによって風を発生させる装置である。ファン100は、機器の内部で発生する熱を外部へ排出し、その機器の内部を冷却する冷却装置の一つとして利用可能であり、例えば、サーバ等の情報処理装置の他に、オイルミスト、切削屑、煙、埃などが発生する環境下で使用される工作機械等に搭載可能である。ファン100は、例えば、軸流ファンである。
図1に示すように、ファン100は、モータ50と、インペラ90と、位置検出器41_1、41_2と、モータ駆動制御装置1とを備えている。
本実施の形態において、モータ50は、例えば、ティース(図示せず)に巻回された2系統のコイル80_1,80_2を備えた単相のブラシレスモータである。インペラ90は、モータ50の回転力によって回転可能に構成されている。例えば、インペラ90は、モータ50の出力軸(不図示)に接続されている。
モータ駆動制御装置1は、モータ50の回転を制御するための装置である。モータ駆動制御装置1は、モータ50を構成する各単相のコイル80_1,80_2に周期的に駆動電流を流すことで、モータ50を回転させる。
位置検出器41_1,41_2は、モータ50のロータの位置に応じて位置検出信号を出力する。位置検出器41_1,41_2は、例えば、ホール素子である。ホール素子は、ホール効果を利用して磁界を検出する素子で、ロータに使用された磁石の位置検出信号として、正の極性を有するホール信号hp,hnを電圧値として生成して出力する。以下、位置検出信号を「位置検出信号hp,hn」とも表記する。
なお、本実施の形態では、一例として、位置検出器41_1,41_2としてのホール素子は、制御回路12_1,12_2によって生成される直流電圧(電源電圧)によって駆動可能に構成されており、直流電圧の供給を遮断すると、ホール信号(位置検出信号)hp,hnの出力を停止し、グラウンド電圧GNDと同等なレベルに低下する。
位置検出器41_1は、第1の系統のコイル80_1に対応する位置に配置され、後述するモータ駆動回路10_1の制御回路12_1に位置検出信号を出力する。位置検出器41_2は、第2の系統のコイル80_2に対応する位置に配置され、後述するモータ駆動回路10_2の制御回路12_2に位置検出信号を出力する。位置検出器41_1と位置検出器41_2は、例えば、相対位置が電気角でπ/2(90度)になる位置に配置される。
モータ駆動制御装置1には、外部から直流の電源電圧Vin,Vccが供給される。なお、電源電圧Vcc(≦電源電圧Vin)は、外部から供給されてもよいし、モータ駆動制御装置1内に別途設けたDC/DCコンバータ等の電源回路(不図示)によって電源電圧Vinに基づいて生成されてもよい。
モータ駆動制御装置1は、上位装置500に接続されている。モータ駆動制御装置1には、上位装置500から出力された速度指令信号Scが入力される。モータ駆動制御装置1は、入力された速度指令信号Scに応じてモータ50を駆動させる。また、モータ駆動制御装置1は、上位装置500に対して、モータ50の状態に関する情報を出力する。例えば、後述するように、モータ駆動制御装置1は、モータ50の実回転数に応じた信号や後述するモータの異常状態を示す信号を状態信号Soとして上位装置500に出力する。これにより、上位装置500は、ファン100の回転状態やファン100の異常の有無等を知ることができる。
具体的に、モータ駆動制御装置1は、2系統のモータ駆動回路10_1,10_2と、モータ駆動回路10_1,10_2の動作を制御する駆動制御回路20と、合成信号生成回路21とを備えている。
駆動制御回路20は、第1系統のモータ駆動回路10_1と第2系統のモータ駆動回路10_2とを介してモータ50の駆動を制御するための回路である。駆動制御回路20は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等の各種メモリ、タイマ(カウンタ)、A/D変換回路、入出力I/F回路、およびクロック生成回路等のハードウェア要素を有し、各構成要素がバスや専用線を介して互いに接続されたプログラム処理装置(例えば、マイクロコントローラ:MCU)によって構成されている。
本実施の形態において、駆動制御回路20は、一つの半導体装置(IC:Integrated Circuit)としてパッケージ化されているが、これに限られるものではない。
駆動制御回路20は、上位装置500からの速度指令信号Scに基づいて、モータ50の回転数を制御するための駆動制御信号Sca1,Sca2を生成し、各モータ駆動回路10_1,10_2にそれぞれ出力する。なお、駆動制御回路20は、1つの駆動制御信号を出力し、2つの線路に分岐して駆動制御信号をモータ駆動回路10_1,10_2に出力するようにしてもよい。この場合、モータ駆動回路10_1,10_2に出力する駆動制御信号のそれぞれを地絡することで、駆動制御信号を無効とするスイッチを設けるようにしてもよい。
ここで、速度指令信号Scは、モータ50の目標回転数(目標回転速度)を指示する信号であり、例えば、モータの目標回転数に対応するデューティ比のPWM(パルス幅変調)信号である。なお、速度指令信号Scは、例えば、目標回転数に対応する周期のPFM信号など、他の形式の信号であってもよい。
駆動制御信号Sca1,Sca2は、速度指令信号Scと同様に、モータ50の目標回転数(目標回転速度)を指示する信号であり、例えば、モータの目標回転数に対応するデューティ比のPWM信号である。
また、駆動制御回路20は、上位装置500からの速度指令信号Scに従ってモータ50の駆動を制御する機能に加えて、ファン100(モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2)の異常の有無を判定し、判定結果を出力する機能を有している。
具体的には、駆動制御回路20は、合成信号生成回路21によって生成された合成信号Siに基づいて、モータ50が正常に動作している正常状態と、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG信号(信号fg1,fg2)を正常に出力することができないFG故障状態と、モータ50が回転不能となるロック状態とを判定し、ファン100の状態を示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する。例えば、駆動制御回路20は、ファン100(モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2)が正常状態である場合、合成信号生成回路21によって生成された合成信号Siに基づいて、モータ50の実回転数に応じた周期でデューティ50%のFG信号を状態信号Soとして出力する。FG故障状態とロック状態を含む停止状態である場合、駆動制御回路20は、電源電圧Vcc(ハイレベル)またはグラウンド電圧GND(ローレベル)を状態信号Soとして出力する。これにより、上位装置500は、状態信号Soの周期から、ファン100の駆動状態を知ることができる。
モータ駆動回路10_1,10_2は、駆動制御信号Sca1,Sca2に基づいてモータ50に通電する制御を行うとともに、モータ50の実回転数に対応する周期を有するFG信号(信号fg1,fg2)を出力する回路である。モータ駆動回路10_1およびモータ駆動回路10_2は、例えば、互いに同一の回路構成を有している。
後述するように、モータ駆動回路10_1,10_2は、その内部における回路の少なくとも一部の動作を停止させ、FG信号(信号fg1,fg2)の出力をハイレベルに固定する省電力状態に遷移可能となっている。
モータ駆動回路10_1は、制御回路12_1と、制御回路12_1による制御に基づいてコイル80_1に通電するインバータ回路(通電回路)15_1とを有している。モータ駆動回路10_2は、制御回路12_2と、制御回路12_2による制御に基づいてコイル80_2に通電するインバータ回路(通電回路)15_2を有している。このとき、制御回路12_1,12_2は、それぞれインバータ回路15_1,15_2を含んでもよい。
モータ駆動回路10_1,10_2は、一端が電源電圧Vinに接続されたヒューズ19をそれぞれ有している。モータ駆動回路10_1,10_2において、電源電圧Vinは、ヒューズ19を経由して各モータ駆動回路10_1,10_2のインバータ回路15_1,15_2および制御回路12_1,12_2にそれぞれ供給される。
インバータ回路15_1は、制御回路12_1から出力されたモータ駆動制御信号Sd1に基づいて、出力端子16_1,17_1に接続されたモータ50のコイル80_1に通電する。インバータ回路15_2は、インバータ回路15_1と同様に、制御回路12_2から出力されたモータ駆動制御信号Sd2に基づいて、出力端子16_2,17_2に接続されたモータ50のコイル80_2の通電を制御する。モータ駆動制御信号Sd1,Sd2は、例えば、PWM(パルス幅変調)信号である。
図1に示すように、インバータ回路15_1,15_2は、例えば、Hブリッジ回路であり、電源電圧Vinの両端に設けられた2つのスイッチ素子(例えばトランジスタ)の直列回路の対を2つ有している。各直列回路における2つのスイッチ素子同士の接続点がそれぞれ、コイル80_1,80_2に通電するための出力端子16_1,17_1,16_2,17_2となっている。
インバータ回路15_1,15_2を構成する各スイッチ素子は、制御回路12_1,12_2からそれぞれ出力されるモータ駆動制御信号Sd1,Sd2によって、オン・オフが制御される。これにより、インバータ回路15_1の出力端子16_1,17_1に接続されたコイル80_1の通電と、インバータ回路15_2の出力端子16_2,17_2に接続されたコイル80_2の通電が、それぞれ制御される。
制御回路12_1は、駆動制御回路20から出力される駆動制御信号Sca1と、位置検出器41_1から出力された位置検出信号hp,hnとに基づいて、コイル80_1の通電方向を決定して、モータ駆動制御信号Sd1を生成し、インバータ回路15_1を制御する。制御回路12_2は、駆動制御回路20から出力される駆動制御信号Sca2と、位置検出器41_2から出力された位置検出信号hp,hnとに基づいて、コイル80_2の通電方向を決定して、モータ駆動制御信号Sd2を生成し、インバータ回路15_2を制御する。
例えば、制御回路12_1は、位置検出信号に基づいてモータ50の実回転数を検出し、モータ50の実回転数が駆動制御信号Sca1で指定された回転数と一致するようにデューティ比を調整したPWM信号を生成し、駆動信号Sdr1としてインバータ回路15_1に供給することにより、インバータ回路15_1の各スイッチング素子のオン、オフ動作を制御する。また、制御回路12_2も同様に、位置検出信号に基づくモータ50の実回転数が駆動制御信号Sca2で指定された回転数と一致するようにPWM信号を生成し、駆動信号Sdr2としてインバータ回路15_2に供給する。なお、制御回路12_1,12_2は、それぞれ、実回転数に関わらず、駆動制御信号Sca1,Sca2で指定された回転数に対応したデューティ比のPWM信号を生成し、駆動信号Sdr1,Sdr2としてインバータ回路15_1,15_2に供給するようにしてもよい。
更に、制御回路12_1は、位置検出器41_1からの位置検出信号に基づいて、モータ50の実回転数に対応する第1のFG信号(以下、「信号fg1」と称する。)を生成して出力する。制御回路12_2は、位置検出器41_2からの位置検出信号に基づいて、モータ50の実回転数に対応する第2のFG信号(以下、「信号fg2」と称する。)を生成して出力する。
信号fg1,fg2は、例えば、所定のデューティ比を有する矩形波状の信号であり、位相が互いに相違している。例えば、信号fg1,fg2は、モータ50の実回転数に対応する周期を有し、回転数が一定の場合にデューティ比が50%になるように生成される2値信号(デジタル信号)である。
信号fg1と信号fg2との位相差は、位置検出器41_1と位置検出器41_2の電気角の相対位置により決定され、例えば、π/2(90度)である。なお、信号fg1と信号fg2との位相差がπ/2(90度)である場合、π/2(90度)の近傍(例えば、π/2±10%)であってもよい。
合成信号生成回路21は、制御回路12_1,12_2によって生成された信号fg1,fg2をそれぞれ入力し、入力した信号を合成した合成信号Siを生成する。例えば、合成信号生成回路21は、信号fg1と信号fg2との論理積に基づいて合成信号Siを生成する。以下、合成信号生成回路21とその周辺回路について、詳細に説明する。
図2は、実施の形態1に係る制御回路12_1,12_2および合成信号生成回路21の内部構成を示すブロック図である。なお、図2には、制御回路12_1,12_2の内部構成のうち、FG信号(信号fg1,fg2)の生成に関連する構成のみが図示されている。
なお、以下の説明において、モータ駆動回路10_1,10_2、制御回路12_1,12_2、および駆動制御信号Sca1,Sca2等の接尾辞を付した構成要素について、接尾辞のみが異なる構成要素同士を互いに区別しない場合や総称する場合には、「モータ駆動回路10」、「制御回路12」、および「駆動制御信号Sca」等のように接尾辞を省略して表記することがある。
制御回路12_1と制御回路12_2は、1つの集積回路(IC)によってそれぞれ実現されている。本実施の形態において、制御回路12_1と制御回路12_2はともに、ハードウェアとして同一の回路構成を有する汎用ICを用いて構成されている。なお、制御回路12_1と制御回路12_2は、汎用ICによる構成に限定されない。例えば、マイクロコントローラ(MCU)で構成してもよい。
制御回路12_1と制御回路12_2は、FG信号(信号fg1,fg2)の生成に関連する機能部として、それぞれ、内部電源回路121と、制御部122と、FG信号生成部124と、複数の外部端子と、を有している。
制御回路12_1,12_2は、上記外部端子として、例えば、第1の固定電位としてのグラウンド電圧GNDを入力するためのグラウンド端子GNDと、電源電圧Vin(>GND)を入力するための電源端子VINと、駆動制御信号Sca1,Sca2を入力するための端子SCA1,SCA2と、FG信号としての信号fg1,fg2を出力するための端子FG1,FG2と、位置検出器41_1,41_2からの位置検出信号hp,hnを入力するための端子HP1,HN1,HP2,HN2と、モータ駆動制御信号Sd1,Sd2を出力するための端子SD1,SD2と、位置検出器41_1,41_2に直流電圧Vhbを供給する外部出力電源端子HB1、HB2を有している。
なお、説明の便宜上、図2には、制御回路12_1,12_2の外部端子として、FG信号(信号fg1,fg2)に関連する外部端子のみが図示されている。本実施の形態では、一例として、制御回路12_1と制御回路12_2とが同一の回路構成を有しているものとし、代表的に、制御回路12_1の回路構成について詳細に説明する。
内部電源回路121は、内部電源電圧を生成して出力する回路である。内部電源回路121は、電源端子VINに供給されて直流電圧Vinに基づいて所定の直流電圧を生成し、内部電源電圧Vdd(≦電源電圧Vin)として制御回路12_1内の回路に供給する。また、内部電源回路121は、内部電源電圧Vddに基づいて所定の直流電圧を生成し、外部出力電源電圧Vhb(≦電源電圧Vdd)として位置検出器41_1に供給する。
制御部122は、制御回路12_1内の回路を統括的に制御するための機能部である。制御部122は、例えば、専用ハードウェアロジック回路またはMCU等のプログラム処理装置と、モータ駆動制御信号Sd1を生成するためのプリドライブ回路とによって構成されている。
制御部122は、FG信号生成部124への内部電源電圧Vddの供給と遮断を制御する。具体的に、制御部122は、駆動制御信号Sca1の入力および位置検出信号hp,hnの入力の変化の有無に基づいて、内部電源電圧VddのFG信号生成部124への内部電源電圧Vddの供給と遮断を制御する。例えば、制御部122は、駆動制御信号Sca1が入力されず、位置検出信号hp,hnの入力が変化せず、且つコンパレータ1241の出力が切り替わらない状態(すなわち、信号fg1の次の切り替わりが発生しない状態)が所定の省電力待ち時間(所定の期間の一例、第3期間Ts3)だけ継続した場合に、モータ50が意図して停止したと判定して、省電力状態に遷移し、内部電源回路121を制御して、FG信号生成部124への内部電源電圧Vddの供給を遮断する。このとき、同時に、位置検出器41_1への外部出力電源電圧Vhbの供給が遮断される。
本実施の形態では、制御回路12が内部電源回路121による内部電源電圧Vddの供給を遮断した状態を、モータ駆動回路10の省電力状態という。
制御部122は、駆動制御信号Sca1に基づいて、モータ50を通電させるためのモータ駆動制御信号Sd1を生成する。具体的には、制御部122は、FG信号生成部124に内蔵されたコンパレータ1241によって、位置検出信号hp,hnに基づいて生成された信号に基づいて、コイル80_1の通電方向を決定して、モータ50の実回転数を検出し、モータ50の実回転数が駆動制御信号Sca1の例えばPWM信号のデューティ比で指定された回転数と一致するようにデューティ比を調整したPWM信号を生成し、モータ駆動制御信号Sd1としてインバータ回路15_1に出力する。このモータ駆動制御信号Sd1により、インバータ回路15_1の各スイッチング素子のオン、オフ動作が制御される。また、制御部122は、駆動制御信号Sca1と等しいPWM信号のデューティ比で、モータ駆動制御信号Sd1を出力してもよい。
FG信号生成部124は、端子HP1,HN1に入力された位置検出信号hp,hnに基づいてFG信号を生成し、端子FG1から出力する回路である。FG信号生成部124は、内部電源電圧Vddからの給電によって動作可能に構成されている。
位置検出器41_1としてのホール素子は、磁束密度に対応して出力が変化する。このため、位置検出器41_1は、モータ50のロータの回転に応じて、ロータの回転数に対応する周期の正弦波信号である位置検出信号hp,hnをアナログ電圧で出力する。位置検出信号hp,hnは、互いに位相が180度異なっている。FG信号生成部124は、位置検出信号hpの電圧と位置検出信号hnの電圧との差分(hp-hn)の極性(正負)に応じた2値信号(デジタル信号)を生成し、2値の信号fg1に変換して出力する。
例えば、図2に示すように、FG信号生成部124は、出力トランジスタQ1、コンパレータ(電圧比較器)1241と、プリドライブ回路1242とを含む。
コンパレータ1241は、端子HP1,HN1に入力された位置検出信号hp,hnの差分(hp-hn)の正負に応じた2値信号を生成する回路である。プリドライブ回路1242は、コンパレータ1241によって生成された2値信号に基づいて出力トランジスタQ1を駆動する回路である。
出力トランジスタQ1は、信号fg1を端子FG1から出力するための回路素子であり、端子FG1と第1の固定電位としてのグラウンド電圧GNDとの間に接続されている。
本実施の形態では、制御回路12_1におけるFG信号生成部124の出力トランジスタを「出力トランジスタQ1」と称し、制御回路12_2におけるFG信号生成部124の出力トランジスタを「出力トランジスタQ2」と称する。出力トランジスタQ1,Q2は、例えば、FET(Field Effect Transistor)である。
合成信号生成回路21は、信号fg1と信号fg2とを合成した合成信号Siを生成する回路である。合成信号生成回路21には、回路を駆動するための第2の固定電位として電源電圧Vccが供給されている。合成信号生成回路21は、例えば、信号fg1,fg2の論理積に基づいて合成信号Siを生成する。合成信号生成回路21は、例えば負荷R1を有する。負荷R1は、例えば抵抗である。負荷R1は、制御回路12_1の端子FG1と制御回路12_2の端子FG2とが共通に接続されたノード(接続点)N1と電源電圧Vccとの間に接続されている。合成信号生成回路21のノードN1の電圧は、合成信号Siとして、駆動制御回路20に入力される。
本実施の形態において、合成信号生成回路21は、例えば、制御回路12_1,12_2としての汎用ICと駆動制御回路20としてのMCUとともに一つの回路基板上に搭載されている。
合成信号Siは、ファン100(モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2)の状態に応じてその波形が変化する。駆動制御回路20は、合成信号Siに基づいてファン100の駆動状態を判定する。以下、合成信号Siについて詳細に説明する。
図3は、実施の形態1に係るファンの状態と合成信号Siの態様との関係を示す図である。
図3には、ファン100の通常動作時、すなわち、駆動制御回路20が速度指令信号Scに応じた駆動制御信号Sca1,Sca2をモータ駆動回路10_1,10_2に出力してモータ50を駆動したときの合成信号Siの態様が示されている。
先ず、ファン100(モータ50)が正常に動作している場合、すなわち正常状態について考える。
この場合、制御回路12_1,12_2の各端子FG1,FG2は、合成信号生成回路21の電源電圧Vccにプルアップされているので、制御回路12_1,12_2の各端子FG1,FG2から、電源電圧Vccと同等な電圧をハイ(Hi)レベル(所定の論理値の一例)、グラウンド電圧GNDと同等な電圧をロー(Lo)レベル(所定の論理値の一例)とするデューティ比50%の信号fg1,fg2(2値信号)が夫々出力される。また、上述したように、信号fg1と信号fg2とは90度の位相差がある。したがって、ファン100(モータ50)が正常状態である場合には、合成信号生成回路21(ノードN1)から出力される合成信号Siは、信号fg1,fg2とは周期が同じだが、デューティ比25%の2値信号となる。
次に、FG故障状態として、モータ駆動回路10_1,10_2の端子FG1,FG2の何れか一方が開放状態となる故障が発生した場合を考える。例えば、位置検出器41_1としてのホール素子が故障し、位置検出信号hpが外部出力電源電圧Vhbと同等なレベル、且つ/または、位置検出信号hnがグラウンド電圧GNDと同等なレベルに固定されたとする。この場合には、差分(hp-hn)の極性が常に正になり、コンパレータ1241の出力がハイレベルに固定され、出力トランジスタQ1がオフするため、端子FG1が開放状態となる。また、例えば、コンパレータ1241がハイレベルを出力中に位置検出器41_1への給電が断線・地絡した場合も同様に、端子FG1は開放状態となる。以下、モータ駆動回路10_1,10_2の端子FG1,FG2が高インピーダンス(Hi-Z)状態(開放状態)となる故障を、「FG開放故障」とも称する。
端子FG1が開放状態となった場合、端子FG1からハイレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は正常に動作しているため、モータ50が回転している場合には、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力する。したがって、合成信号生成回路21(ノードN1)から出力される合成信号Siは、信号fg2に応じたデューティ比50%の2値信号になる。
なお、モータ駆動回路10_2の端子FG2のみがFG開放故障となっている場合も同様に、合成信号生成回路21から、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。
次に、FG故障状態として、モータ駆動回路10_1,10_2の端子FG1,FG2の何れか一方が短絡状態となる故障が発生した場合を考える。例えば、位置検出器41_1としてのホール素子が故障し、位置検出信号hpがグラウンド電圧GNDと同等なレベル、且つ/または、hnが外部出力電源電圧Vhbと同等なレベルに固定されたとする。この場合には、差分(hp-hn)の極性が常に負になり、コンパレータ1241の出力がローレベルに固定され、出力トランジスタQ1がオンするため、端子FG1は短絡状態となる。また、例えば、コンパレータ1241がローレベルを出力中に位置検出器41_1への給電が断線・地絡した場合も同様に、端子FG1は短絡状態となる。以下、モータ駆動回路10_1,10_2の端子FG1,FG2が短絡状態となる故障を、「FG短絡故障」とも称する。
端子FG1が短絡状態となった場合、端子FG1からローレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は、正常に動作しているため、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力するが、ノードN1が端子FG1を介して短絡しているため、合成信号生成回路21(ノードN1)から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。
なお、モータ駆動回路10_2の端子FG2のみがFG短絡故障となっている場合も同様に、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。
次に、モータ50がロック状態になった場合を考える。
外部からの機構的な要因等によるロータロックにより、モータ50が回転不能となるロック状態になったとき、位置検出器41_1,41_2から端子HP1,HN1,HP2,HN2に入力されるそれぞれの位置検出信号hp,hnは周期的に変化しなくなるため、信号fg1,fg2は、ローレベルまたはハイレベルの何れか一方に固定されることになる。
例えば、モータ50がロータロックにより、制御回路12_1,12_2から出力される信号fg1,fg2の少なくとも一方がローレベルとなった場合、合成信号生成回路21(ノードN1)から出力される合成信号Siは、ローレベルとなる。
また、例えば、モータ50がロータロックにより、制御回路12_1,12_2から出力される信号fg1,fg2がともにハイレベルとなった場合、合成信号生成回路21(ノードN1)から出力される合成信号Siは、ハイレベルとなる。
以上のように、合成信号Siは、ファン100(モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2)の駆動状態に応じてその波形が変化するので、ファン100の通常動作時における合成信号Siを監視することにより、駆動制御回路20は、ファン100の駆動状態を判定することが可能となる。
具体的には、モータ駆動回路10_1,10_2から出力された信号fg1,fg2の論理積に基づいて合成信号Siを生成することにより、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG開放故障である場合と、モータ駆動回路10_1,10_2の少なくとも一方がFG短絡故障またはモータ50がロータロックである場合とを判定することが可能となる。
しかしながら、図3に示すように、合成信号Siがローレベルとなった場合には、ファン100が「FG短絡故障によるFG故障状態」と「ロック状態」のどちらの状態なのかを判定することができない。
そこで、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置1では、合成信号Siがローレベルである場合に、少なくとも一方のモータ駆動回路10_1,10_2によるFG信号の出力をハイレベル状態に遷移させたときの合成信号Siに基づいて、ファン100が「FG短絡故障によるFG故障状態」と「ロック状態」のどちらの状態なのかを判定する。
具体的には、駆動制御回路20は、合成信号Siが所定の論理値を示している場合、例えば、図2に示す回路構成を有するFG信号生成部124によって生成されたFG信号を合成信号生成回路21で合成した合成信号Siがローレベルを示している場合に、モータ駆動回路10_1,10_2の少なくとも一つを信号fg1,fg2の出力が不能なハイレベル状態に遷移させ、そのときの合成信号Siに基づいて、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG故障状態であるか、モータ50がロック状態であるかを判別する第1FG故障判定処理(第1判定処理の一例)を行う。
具体的には、駆動制御回路20は、合成信号Siが所定の論理値(ローレベルまたはハイレベル)に固定されている場合に、駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止して、モータ駆動回路10_1,10_2の少なくとも一つを省電力状態に遷移させる。
上述したように、モータ駆動回路10の制御回路12(制御部122)は、駆動制御信号Scaが入力されず、且つFG信号の次の切り替わりが発生しない(位置検出信号hp,hnの入力が変化しない)状態が第3期間Ts3だけ継続した場合に、FG信号生成部124への内部電源電圧Vddの供給を遮断する。
したがって、FG短絡故障である片側、またはロータロックである両側のモータ駆動回路10は、駆動制御回路20からの駆動制御信号Scaが入力されず、且つFG信号の次の切り替わりが発生しない状態から第3期間Ts3の経過後に省電力状態に遷移し、出力トランジスタQ1がオフするため、モータ駆動回路10の端子FG(FG1またはFG2)が高インピーダンス状態になる。
すなわち、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_1,10_2の少なくとも一方の端子FG1,FG2を高インピーダンス状態にしたときの合成信号Siに基づいて、ファン100の状態に関する詳細な判定を行う。
例えば、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_1,10_2の少なくとも一方が省電力状態である場合において合成信号Siの所定の変化を検出した場合に、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG短絡故障によるFG故障状態で、モータ50が惰性で回転していると判定し、合成信号Siが所定の論理値(例えばハイレベル)に固定されている場合に、モータ50が回転不能となるロック状態であると判定する。
ここで、合成信号Siの所定の変化とは、合成信号Siの論理値が2回以上切り替わることをいう。
なお、モータ駆動回路10の制御回路12(制御部122)は、駆動制御信号Scaが入力された場合、省電力状態を解除し、FG信号生成部124への内部電源電圧Vddと外部出力電源電圧Vhbの供給を再開する。これにより、モータ駆動回路10は、モータ50のロータの回転位置に応じた位置検出器41からの位置検出信号に基づく、FG信号の出力を再開する。このとき、FG故障状態であるモータ駆動回路10は、コンパレータ1241の再出力により、他方のFG故障状態に切り替わる場合がある。
次に、モータ駆動制御装置1によるファン100の駆動状態の判定処理の流れについて説明する。
図4、図5、図6、図7A乃至図7Dは、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置による、ファンの駆動状態の判定処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図4に示すように、モータ駆動制御装置1に電源が投入された場合、先ず、駆動制御回路20(MCU)等が初期化される(ステップS1)。次に、駆動制御回路20は、モータ50を駆動しない停止モードとなる(ステップS2)。ここで、停止モードにおいて、モータ駆動回路10_1,10_2は、省電力状態でもよい。停止モードにおいて、駆動制御回路20は、上位装置500から速度指令信号Scが入力されているか否かを判定する(ステップS3)。速度指令信号Scが入力されていない場合には(ステップS3:No)、駆動制御回路20は、停止モードで引き続き動作し、速度指令信号Scの入力の有無を監視する。
一方、速度指令信号Scが入力されている場合には(ステップS3:Yes)、駆動制御回路20は、起動待ちモードに移行する(ステップS10)。起動待ちモードにおいて、先ず、駆動制御回路20は、モータ50の回転が確実に始まるように、速度指令信号Scに依らず、予め設定された固定のデューティ比(起動デューティ比)の駆動制御信号Sca1,Sca2を出力する(ステップS11)。この起動デューティ比は、例えば一方のモータ駆動回路10がFG故障によりコイル80への通電方向の切り替え(転流)が発生せず、モータの回転に対してブレーキとなった場合でも、他方の正常なモータ駆動回路10によってモータ50が回転可能なデューティ比の場合、速度指令信号Scに対応したデューティ比でもよい。
次に、駆動制御回路20は、所定の起動待ち時間の期間(第1期間Ts1)内において、モータ50が回転して合成信号Siの所定の変化を検出したか否か、換言すれば、合成信号Siが所定の論理値(ハイレベルまたはローレベル)に固定されているか否かを判定する(ステップS12)。このとき、第1期間Ts1は、後述する第2期間Ts2以上の時間とする。
第1期間Ts1内において、合成信号Siの所定の変化を検出しない(合成信号Siがハイレベルまたはローレベルに固定されている)場合(ステップS12:No)には、モータ50が起動時から、意図せず、ロータロックまたはFG短絡故障であると判定して、駆動制御回路20は、第1FG故障判定処理を開始する(ステップS100)。ここで、合成信号Siの最初の立ち下がりエッジは、省電力状態の解除により内部電源電圧が復帰することで発生する場合があるため、合成信号Siの入力として扱わない。すなわち、駆動制御回路20は、合成信号Siの所定の変化を検出した時点から入力として扱い、合成信号Siの周期とデューティ比の計測を開始する。
ここで、第1FG故障判定処理とは、モータ50のロック状態とモータ駆動回路10のFG故障状態とを判別するための処理である。第1FG故障判定処理の具体的な内容については、後述する。
一方、合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS12:Yes)には、駆動制御回路20は、合成信号Siのデューティ比が50%であるか否かを判定する(ステップS13)。
ここで、“50%”は、多少の誤差を含んでいてもよい。例えば、合成信号Siのデューティ比が“50%±10%”の範囲にあれば、合成信号Siのデューティ比が“50%”であると判定してもよい。また、停止状態からモータ50が回転を開始した場合、回転数の変化が大きく、合成信号Siの最初の数パルスのデューティ比が安定しないため、デューティ比の測定をスキップしてもよい。さらに、合成信号Siの複数のパルスをデューティ比の判定に使用してもよい。
合成信号Siのデューティ比が50%である場合(ステップS13:Yes)には、どちらか一方のモータ駆動回路10がFG開放故障によるFG故障状態であると判定し、駆動制御回路20は、第2FG故障判定処理を開始する(ステップS200)。
ここで、第2FG故障判定処理とは、モータ駆動回路10のFG開放故障によるFG故障状態を判別するための処理である。第2FG故障判定処理の具体的な内容については、後述する。
一方、合成信号Siのデューティ比が50%でない場合(ステップS13:No)、駆動制御回路20は、ファン100(モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2)が正常である(正常状態)と判定し、ファン100が正常に駆動している状態を示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する(ステップS14)。
速度指令信号Scが入力されている場合(ステップS15:Yes)には、駆動制御回路20は、ステップS20に移行する。一方、速度指令信号Scが入力されていない場合(ステップS15:No)には、駆動制御回路20は、モータ50の駆動を停止するため、停止待ちモードに移行する(ステップS30)。
その後、駆動制御回路20は、速度指令信号Scで指定された回転数でモータ50が回転するようにモータ駆動回路10_1,10_2を制御し、モータ50が駆動中に、「ロータロック」や「FG故障」に対応する駆動モードに移行する(ステップS20)。
駆動モードにおいて、先ず、駆動制御回路20は、速度指令信号Scに応じたデューティ比の駆動制御信号Sca1,Sca2を出力する(ステップS21)。次に、駆動制御回路20は、所定の最低回転数時間の期間(第2期間Ts2)内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否か、および合成信号Siの周期から取得した回転数を判定する(ステップS22)。このとき、第2期間Ts2は、第3期間Ts3より短い時間とする。合成信号Siの所定の変化を検出しない、または最低回転数未満の場合(ステップS22:No)には、モータ50が駆動中に、意図せず、ロータロックまたはFG短絡故障に陥ったと判定して、駆動制御回路20は、第1FG故障判定処理を開始する(ステップS100)。
一方、合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS22:Yes)には、駆動制御回路20は、合成信号Siのデューティ比が50%であるか否かを判定する(ステップS23)。ここで、“50%”とは、ステップS13と同様に、判定処理を行ってもよい。
合成信号Siのデューティ比が50%である場合(ステップS23:Yes)には、どちらか一方のモータ駆動回路10がFG開放故障によるFG故障状態であると判定し、駆動制御回路20は、第2FG故障判定処理を開始する(ステップS200)。一方、合成信号Siのデューティ比が50%でない場合(ステップS23:No)には、駆動制御回路20は、モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2が正常である(正常状態)と判定し、ファン100が正常に駆動している状態を示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する(ステップS24)。その後、駆動制御回路20は、再度、速度指令信号Scが入力されているか否かを判定する(ステップS25)。
速度指令信号Scが入力されている場合(ステップS25:Yes)には、駆動制御回路20は、ステップS21~S25を繰り返し実行する。一方、速度指令信号Scが入力されていない場合(ステップS25:No)には、駆動制御回路20は、モータ50の駆動を停止するため、停止待ちモードに移行する(ステップS30)。
停止待ちモードにおいて、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止する(ステップS31)。これにより、モータ50は、惰性により回転を継続し、その後停止する。このとき、駆動制御回路20は、ファン100(モータ50およびモータ駆動回路10_1,10_2)が正常状態である場合、合成信号生成回路21によって生成された合成信号Siに基づいて、モータ50の実回転数に応じた周期でデューティ50%のFG信号を状態信号Soとして上位装置500に出力してもよい。
ステップS31の後、駆動制御回路20は、上位装置500から速度指令信号Scが入力されているか否かを判定する(ステップS32)。速度指令信号Scが入力されている場合(ステップS32:Yes)には、駆動制御回路20は、起動待ちモードに移行し、ステップS10~S25までの処理を再度実行する。一方、速度指令信号Scが入力されていない場合(ステップS32:No)には、駆動制御回路20は、モータ50の惰性による回転が最低回転数未満になるのを待つ。すなわち、駆動制御回路20は、第2期間Ts2内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否か、および合成信号Siの周期から取得した回転数を判定する(ステップS33)。合成信号Siの所定の変化を検出しない、または最低回転数未満の場合(ステップS33:No)、駆動制御回路20は、モータ50が停止したと判定し、停止モードに移行する(ステップS2)。一方、合成信号Siの所定の変化を検出し、且つ最低回転数以上の場合(ステップS33:Yes)、駆動制御回路20は、モータ50が惰性で回転していると判定し、ステップS32に移行し、上位装置500から速度指令信号Scが入力されているか否かを再度判定する。
図8は、モータ駆動回路10_1,10_2が正常状態であり、モータ50が非ロック状態であるときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図8において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図8に示すように、時刻t1において、上位装置500から出力された速度指令信号Scが入力され、停止モードから起動待ちモードに移行したとき(図4のステップS10)、駆動制御回路20は、所定の起動デューティ比の駆動制御信号Sca1、Sca2を出力する(ステップS11)。
その後、モータ駆動回路10_1,10_2は、駆動制御信号Sca1,Sca2に基づいてモータ50を駆動し、モータ50が回転を始める。このとき、モータ駆動回路10_1,10_2はともに正常状態であるため、モータ50の回転に応じて位置検出信号hp,hnがモータ駆動回路10_1,10_2に入力される。これにより、モータ駆動回路10_1,10_2は端子FG1,FG2からデューティ比50%の信号fg1,fg2をそれぞれ出力する。上述したように、信号fg1と信号fg2とは90度の位相差があるので、合成信号Siは、信号fg1,fg2とは周期が同じだが、デューティ比25%の信号となる。
図8に示すように、駆動制御回路20は、起動待ちモードに移行後、第1期間Ts1内に、合成信号Siの所定の変化を検出し、デューティ比25%(非50%)であることを検出した時刻taにおいて、モータ駆動回路10_1,10_2が正常状態であると判定する(ステップS12~S14)。
その後、時刻t2において、駆動制御回路20は、駆動モードに移行し(ステップS20)、速度指令信号Scに応じた駆動制御信号Sca1,Sca2を生成してモータ駆動回路10_1,10_2に出力する(ステップS21)。このとき、第1期間Ts1が終了するのを待たずに、時刻taでの判定直後に、駆動制御回路20は、駆動モードに移行してもよい。
次に、図5を用いて、第1FG故障判定処理(S100)について説明する。
上述したように、第1FG故障判定処理とは、モータ50のロック状態とモータ駆動回路10のFG故障状態とを判別するための処理である。
図5に示すように、第1FG故障判定処理において、駆動制御回路20は、先ず、駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止する(ステップS101)。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3が経過するのを待ち、モータ駆動回路10_1,10_2(制御回路12_1,12_2)を省電力状態に遷移させる(ステップS102)。
第3期間Ts3の経過後、駆動制御回路20は、省電力モードに移行する(ステップS103)。省電力モードは、モータ駆動回路10_1,10_2(制御回路12_1,12_2)を省電力状態に遷移した後の動作モードである。
上述したように、駆動制御回路20は、両系統のモータ駆動回路10_1,10_2(制御回路12_1,12_2)を省電力状態に遷移させるために、駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止する。
モータ50が惰性で回転している場合(FG短絡故障の場合)には、正常である制御回路12は、駆動制御信号Scaの入力が停止しても、位置検出信号hp,hnの入力が変化して、コンパレータ1241の出力が切り替わるため、デューティ50%のFG信号を出力し、省電力状態に遷移しない。しかしながら、FG短絡故障である制御回路12は、位置検出信号hp,hnの入力が変化せず、コンパレータ1241の出力が切り替わらない(ローレベル)ため、駆動制御信号Scaの入力が停止して、コンパレータ1241の出力の次の切り替わりが発生しない状態から第3期間Ts3の経過後に省電力状態に遷移する。その結果、合成信号Siは、正常であるモータ駆動回路10からのFG出力に応じたデューティ比50%となる。
一方、モータ50が回転していない場合(ロータロックの場合)には、位置検出信号hp,hnの入力がもともと変化しないので、制御回路12_1,12_2は、駆動制御信号Sca1,Sca2の入力の停止後、速やかに計時を開始し、第3期間Ts3の経過後に省電力状態に遷移して、端子FG1,FG2が高インピーダンス状態(信号fg1,fg2がハイレベル)となる。その結果、合成信号Siは、ハイレベルとなる。
駆動制御回路20は、省電力モードに移行後、所定の回転検出時間の期間(第4期間Ts4)内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS104)。このとき、第4期間Ts4は、第2期間Ts2以上の時間とし、以下の説明において、第4期間Ts4は、第2期間Ts2と等しい時間とする。ここで、合成信号Siの最初の立ち上がりエッジは、省電力状態への遷移により内部電源電圧の供給を遮断することで発生するため、合成信号Siの入力の変化として扱わない。合成信号Siの所定の変化を検出しない場合(ステップS104:No)には、駆動制御回路20は、モータ50がロック状態であると判定し、ファン100がロック状態を示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する(ステップS105)。
ここで、駆動制御回路20は、ロック状態とFG故障状態とを区別するために、ロック状態である場合、状態信号Soを電源電圧Vcc(ハイレベル)として出力してもよい。その後、駆動制御回路20は、ロータロックモードに移行し(ステップS106)、所定のロータロック再開時間の期間(第5期間Ts5)の経過を待ってから(ステップS107)、ロータロック再開処理を開始する(ステップS900)。具体的に、駆動制御回路20は、ロータロック再開処理として、停止待ちモード(ステップS30)に移行し、モータ50を起動から自動復帰する。
一方、第4期間Ts4内において、合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS104:Yes)には、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG短絡故障によるFG故障状態であると判定する(ステップS108)。その後、駆動制御回路20は、第3FG故障判定処理(S300)を実行する。
ここで、第3FG故障判定処理(第2判定処理の一例)とは、2系統のモータ駆動回路10のうちFG故障であるモータ駆動回路10を特定するとともに、正常状態であるモータ駆動回路10のみを用いてモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続するための処理である。第3FG故障判定処理の具体的な内容については後述する。
図9は、モータ駆動回路10_1,10_2が正常状態であり、且つモータ50がロック状態であるときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図9において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図9に示すように、時刻t1において、停止モードから起動待ちモードに移行したとき(図4のステップS10)、駆動制御回路20は、所定の起動デューティ比の駆動制御信号Sca1、Sca2を出力する(ステップS11)。
その後、モータ駆動回路10_1,10_2は、駆動制御信号Sca1,Sca2に基づいてモータ50を駆動し、モータ50が回転を始める。このとき、モータ駆動回路10_1,10_2は正常状態であるが、モータ50がロック状態であり、位置検出信号hp,hnの入力が変化しないため、信号fg1,fg2は、ハイレベルまたはローレベルの何れか一方に固定された信号となる。
図4に示すように、駆動制御回路20は、起動待ちモードに移行後、第1期間Ts1内において、合成信号Siの所定の変化を検出しないとき、第1FG故障判定処理を開始する(ステップS100)。具体的には、図9に示すように、起動待ちモードに移行後、第1期間Ts1が経過した時刻t2において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1、Sca2の出力を停止し、省電力待ちモードに移行する(図5のステップS101)。
上述したように、モータ駆動回路10_1,10_2は正常状態であるが、モータ50がロック状態であるため、信号fg1,fg2の出力が変化しない。その結果、駆動制御信号Sca1,Sca2の入力が停止した時刻t2から第3期間Ts3が経過した時刻t3において、駆動制御回路20は、省電力モードに移行し、モータ駆動回路10_1,10_2(制御回路12_1,12_2)はともに省電力状態に遷移する(ステップS102,S103)。これにより、モータ駆動回路10_1,10_2の端子FG1,FG2が高インピーダンス状態となり、合成信号Siは、ハイレベルとなる。
省電力モードに移行後、第4期間Ts4内において、合成信号Siの所定の変化を検出せず、ハイレベルに固定された合成信号Siを検出したとき、第4期間Ts4が経過した時刻t4において、駆動制御回路20は、モータ50がロック状態であると判定する(ステップS105)。その後、駆動制御回路20は、時刻t4において、ロータロック再開処理を開始する(S900)。
このように、駆動制御回路20は、合成信号Siがハイレベルまたはローレベルの何れか一方に固定された信号であることを検出した後に、両系統のモータ駆動回路10への駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止して両系統のモータ駆動回路10が省電力状態に遷移した後の合成信号Siの所定の変化を検出せず、ハイレベルであった場合には、モータ50がロック状態であると判定することができる。
図10は、モータ駆動回路10_1が正常状態であり、且つモータ駆動回路10_2がFG短絡故障によるFG故障状態であるときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図10において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図10に示すように、時刻t1において、停止モードから起動待ちモードに移行したとき(図4のステップS10)、駆動制御回路20は、所定の起動デューティ比の駆動制御信号Sca1、Sca2を出力する(ステップS11)。
その後、モータ駆動回路10_1,10_2は、駆動制御信号Sca1,Sca2に基づいてモータ50を駆動し、モータ50が回転を始める。このとき、モータ駆動回路10_1は正常状態であるため、モータ50の回転により位置検出信号hp,hnの入力の変化がモータ駆動回路10_1に入力されることにより、モータ駆動回路10_1は端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2はFG短絡故障によるFG故障状態であるため、端子FG2からローレベルの信号fg2が出力される。これにより、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。
図4に示すように、駆動制御回路20は、起動待ちモードに移行後、第1期間Ts1内において、合成信号Siの所定の変化を検出しないとき、第1FG故障判定処理を開始する(ステップS100)。具体的には、図10に示すように、起動待ちモードに移行後、第1期間Ts1が経過した時刻t2において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1、Sca2の出力を停止し、省電力待ちモードに移行する(図5のステップS101)。
図10に示すように、時刻t2以降、モータ50は惰性で回転するため、モータ駆動回路10_1は正常状態であり、デューティ比50%の信号fg1が出力される。そのため、信号fg1が出力されている間は、モータ駆動回路10_1は、省電力状態に遷移しない。
一方、モータ駆動回路10_2は、FG短絡故障によるFG故障状態であるため、信号fg2の出力がローレベルに固定される。その結果、駆動制御信号Sca2の入力が停止した時刻t2から第3期間Ts3が経過した時刻t3において、駆動制御回路20は、省電力モードに移行し、モータ駆動回路10_2は省電力状態に遷移する(ステップS102,S103)。これにより、モータ駆動回路10_2の端子FG2が高インピーダンス状態となり、合成信号Siは、信号fg1に応じたデューティ比50%となる。
省電力モードに移行後、第4期間Ts4内に、合成信号Siの所定の変化を検出した時刻tbにおいて、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定する(ステップS108)。その後、駆動制御回路20は、時刻t4において、後述する第3FG故障判定処理(S300)を開始する。このとき、第4期間Ts4が終了するのを待たずに、時刻tbでの判定直後に、駆動制御回路20は、第3FG故障判定処理を開始してもよい。
このように、駆動制御回路20は、合成信号Siがローレベルであることを検出した後に、両系統のモータ駆動回路10への駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止し、FG故障状態であるモータ駆動回路10が省電力状態に遷移した後の合成信号Siの所定の変化を検出した場合には、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定することができる。
次に、図6を用いて、第2FG故障判定処理(S200)について説明する。
上述したように、第2FG故障判定処理は、モータ駆動回路10のFG開放故障によるFG故障状態を判別するための処理である。
図6に示すように、第2FG故障判定処理において、先ず、駆動制御回路20は、合成信号Siのデューティ比が50%であることから(図4のステップS13、ステップS23参照)、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG開放故障によるFG故障状態であると判定する(ステップS201)。
次に、第1FG故障判定処理と処理の流れを共通化して、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止する(ステップS202)。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3が経過するのを待つ(ステップS203)。第3期間Ts3の経過後、駆動制御回路20は、省電力モードに移行する(ステップS204)。その後、駆動制御回路20は、第3FG故障判定処理(S300)を実行する。
なお、図6において、駆動制御回路20は、ステップS201の後に、第1FG故障判定処理と処理の流れを共通化せず、ステップS202~S204を実行することなく、第3FG故障判定処理(S300)を実行してもよい。
図11は、モータ駆動回路10_1が正常状態であり、且つモータ駆動回路10_2がFG開放故障によるFG故障状態であるときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図11において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図11に示すように、時刻t1において、停止モードから起動待ちモードに移行したとき(図4のステップS10)、駆動制御回路20は、所定の起動デューティ比の駆動制御信号Sca1、Sca2を出力する(ステップS11)。
その後、モータ駆動回路10_1,10_2は、駆動制御信号Sca1,Sca2に基づいてモータ50を駆動し、モータ50が回転を始める。このとき、モータ駆動回路10_1は正常状態であるため、モータ50の回転により位置検出信号hp,hnの入力の変化がモータ駆動回路10_1に入力されることにより、モータ駆動回路10_1は端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2はFG開放故障によるFG故障状態であるため、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。これにより、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、信号fg1に応じたデューティ比50%の信号になる。
図11に示すように、駆動制御回路20は、起動待ちモードに移行後、第1期間Ts1内に、合成信号Siの所定の変化を検出し、デューティ比50%であることを検出した時刻tc1において、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG開放故障によるFG故障状態であると判定する(ステップS201)。
その後、時刻t2において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1、Sca2の出力を停止し、省電力待ちモードに移行する(ステップS202)。図11に示すように、時刻t2以降、モータ50は惰性で回転するため、モータ駆動回路10_1は正常状態であり、デューティ比50%の信号fg1が出力される。そのため、信号fg1が出力されている間は、モータ駆動回路10_1は省電力状態に遷移しない。
一方、モータ駆動回路10_2は、FG開放故障によるFG故障状態であるため、信号fg2の出力はハイレベルに固定される。その結果、駆動制御信号Sca2の入力が停止した時刻t2から第3期間Ts3が経過した時刻t3において、駆動制御回路20は、省電力モードに移行し、モータ駆動回路10_2は省電力状態に遷移する(図6のステップS203,S204)。その後、時刻t4において、駆動制御回路20は、後述する第3FG故障判定処理(S300)を開始する。このとき、第1期間Ts1が終了するのを待たずに、時刻tc1での判定直後に、駆動制御回路20は、第3FG故障判定処理を開始してもよい。
このように、駆動制御回路20は、両系統のモータ駆動回路10に駆動制御信号Sca1,Sca2を出力している期間に合成信号Siの所定の変化を検出し、デューティ比が50%であることを検出した場合には、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG開放故障によるFG故障状態であると判定することができる。
なお、図11に示すように、駆動制御回路20は、起動待ちモードの期間だけではなく、第1FG故障判定処理と処理の流れを共通化して、省電力モードに移行した後にデューティ比50%の合成信号Siを検出した時刻tc2において、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方がFG開放故障によるFG故障状態であると判定してもよい。このとき、第4期間Ts4が終了するのを待たずに、時刻tc2での判定直後に、駆動制御回路20は、後述する第3FG故障判定処理を開始してもよい。
次に、図7A乃至図7Dを用いて、第3FG故障判定処理(S300)について説明する。
上述したように、第3FG故障判定処理は、2系統のモータ駆動回路10のうちFG故障であるモータ駆動回路10を特定するとともに、正常状態であるモータ駆動回路10のみを用いてモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続するための処理である。この処理により、FG故障状態がFG短絡故障もしくはFG開放故障のどちらの場合であっても、またFG故障状態が切り替わっても、FG故障であるモータ駆動回路10の特定が可能となる。
上述したように、第1FG故障判定処理(S100)によってモータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG短絡故障によるFG故障状態であると判定された場合、または第2FG故障判定処理(S200)によってモータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG開放故障によるFG故障状態であると判定された場合に、駆動制御回路20は、第3FG故障判定処理(S300)を実行する。
図7Aに示すように、第3FG故障判定処理において、先ず、駆動制御回路20は、第1系統片側試行モードに移行する(ステップS301)。
ここで、第1系統片側試行モードとは、FG故障の発生箇所を特定するために、2系統のモータ駆動回路10_1,10_2のうち一方(第1系統)のモータ駆動回路10を予め設定された固定のデューティ比(試行デューティ比)で動作させ、他方(第2系統)のモータ駆動回路10を省電力状態に遷移する動作モードを言う。
なお、以下の説明において、2系統のモータ駆動回路10_1,10_2の何れか一方のモータ駆動回路10を動作させ、他方のモータ駆動回路10を省電力状態に遷移することを、「片側駆動」とも称する。
また、以下の説明では、第1系統片側試行モードとして、モータ駆動回路10_1,10_2のうちモータ駆動回路10_1を片側駆動させる場合を例にとり、説明する。
第1系統片側試行モードにおいて、先ず、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca1を出力する(ステップS302)。このとき、駆動制御信号Sca2は出力しない。ここで、試行デューティ比は、起動デューティ比と同じでもよい。その後、駆動制御回路20は、所定の片側試行時間の期間(第6期間Ts6)が経過するのを待つ(ステップS303)。このとき、第6期間Ts6は、第2期間Ts2以上の時間とし、以下の説明において、第6期間Ts6は、第3期間Ts3と等しい時間とする。
次に、駆動制御回路20は、所定の片側回転検出時間の期間(第7期間Ts7)内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS304)。このとき、第7期間Ts7は、第2期間Ts2以上の時間とする。合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS304:Yes)、駆動制御回路20は、第1系統のモータ駆動回路10_1が正常状態であると仮りに判定し、第1正常フラグをセットし、合成信号Siの周期から第1開始速度を取得する。ここで、合成信号Siの最初の立ち下がりエッジは、省電力状態の解除により内部電源電圧が復帰することで発生する場合があるため、合成信号Siの入力として扱わない。すなわち、駆動制御回路20は、合成信号Siの所定の変化を検出した時点から入力として扱い、合成信号Siの周期とデューティ比の計測を開始する。その後、駆動制御回路20は、第7期間Ts7内の最終の合成信号Siの周期から第1最終速度を取得し、第1速度比率を計算し(ステップS305)、ステップS307に進む。
第1速度比率は、第1開始速度を取得した場合の第1開始速度に対する第1最終速度の比率である。例えば、第1速度比率は、第1最終速度を第1開始速度で除算した百分率(%)である。このため、第7期間Ts7の開始から終了までにモータ50の回転数が減速した場合は100未満の値となる。
一方、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出しない場合(ステップS304:No)、駆動制御回路20は、第1系統のモータ駆動回路10_1がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定し、第1正常フラグをクリアし、ステップS307に進む。このとき、第1速度比率を計算しない。
第7期間Ts7が終了したステップS307において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1の出力を停止する。その後、駆動制御回路20は、第2系統片側試行モードに移行する(ステップS311)。
ここで、第2系統片側試行モードとは、FG故障の発生箇所を特定するために、2系統のモータ駆動回路10_1,10_2のうち、第1系統片側試行モードにおいて動作させた一方(第1系統)のモータ駆動回路10を省電力状態に遷移するとともに、当該モータ駆動回路10とは別の他方(第2系統)のモータ駆動回路10を所定の試行デューティ比で動作させる動作モードを言う。
ここでは、第2系統片側試行モードとして、モータ駆動回路10_1,10_2のうちモータ駆動回路10_2を片側駆動させる場合を例にとり、説明する。
第2系統片側試行モードにおいて、先ず、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca2を出力する(ステップS312)。このとき、駆動制御信号Sca1は出力しない。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS313)。
次に、駆動制御回路20は、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS314)。合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS314:Yes)、駆動制御回路20は、第2系統のモータ駆動回路10_2が正常状態であると仮りに判定し、第2正常フラグをセットし、合成信号Siの周期から第2開始速度を取得する。ここで、合成信号Siの最初の立ち下がりエッジは、省電力状態の解除により内部電源電圧が復帰することで発生する場合があるため、合成信号Siの入力として扱わない。すなわち、駆動制御回路20は、合成信号Siの所定の変化を検出した時点から入力として扱い、合成信号Siの周期とデューティ比の計測を開始する。その後、駆動制御回路20は、第7期間Ts7内の最終の合成信号Siの周期から第2最終速度を取得し、第2速度比率を計算し(ステップS315)、ステップS317に進む。
第2速度比率は、第2開始速度を取得した場合の第2開始速度に対する第2最終速度の比率である。例えば、第2速度比率は、第2最終速度を第2開始速度で除算した百分率(%)である。このため、第7期間Ts7の開始から終了までにモータ50の回転数が減速した場合は100未満の値となる。
一方、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出しない場合(ステップS314:No)、駆動制御回路20は、第2系統のモータ駆動回路10_2がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定し、第2正常フラグをクリアし、ステップS317に進む。このとき、第2速度比率を計算しない。
第7期間Ts7が終了したステップS317において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2の出力を停止する。その後、駆動制御回路20は、FG故障側判定モードに移行する(図7BのステップS320)。
図7Bに示すように、FG故障側判定モードとは、第1系統と第2系統で取得した正常フラグと速度比率から、FG故障の発生箇所を特定する判定モードを言う。具体的には、片側駆動が正常状態である場合、正常フラグがセットされ、所定の試行デューティ比により回転数が安定するため速度比率が高くなるが、FG故障である場合、正常フラグがクリアされ、惰性で回転数が減速するモータ50に対して、コイル80への通電方向の切り替え(転流)が発生せず、モータ50の回転に対してブレーキとなる場合があるため、速度比率が低くなる。
駆動制御回路20は、FG故障側判定モードとして、ステップS321において、第1正常フラグと第2正常フラグのチェック、または第1速度比率と第2速度比率の比較を行い、第2系統がFG故障状態であるか否かを判定する。第1正常フラグがセットされ、且つ第2正常フラグがクリアされた場合(ステップS321:Yes)、駆動制御回路20は、第1系統が正常状態であり、第2系統がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定し、ステップS322に進み、片側故障駆動モードに移行するため、第1系統片側故障駆動処理(S400)を実行する。また、第1速度比率が第2速度比率より大きく、且つ所定の閾値よりも大きい場合(ステップS321:Yes)も、駆動制御回路20は、第1系統が正常状態であり、第2系統がFG開放故障によるFG故障状態であると判定し、ステップS322に進む。
第2系統がFG故障状態でない場合(ステップS321:No)、ステップS323に進む。
次に、駆動制御回路20は、FG故障側判定モードとして、第2系統がFG故障状態でない場合、ステップS323において、第1正常フラグと第2正常フラグのチェック、または第1速度比率と第2速度比率の比較を行い、第1系統がFG故障状態であるか否かを判定する。第1正常フラグがクリアされ、且つ第2正常フラグがセットされた場合(ステップS323:Yes)、駆動制御回路20は、第1系統がFG短絡故障によるFG故障状態であり、第2系統が正常状態であると判定し、ステップS324に進み、片側故障駆動モードに移行するため、第2系統故障駆動処理(S500)を実行する。また、第2速度比率が第1速度比率より大きく、且つ所定の閾値よりも大きい場合(ステップS323:Yes)も、駆動制御回路20は、第1系統がFG開放故障によるFG故障状態であり、第2系統が正常状態であると判定し、ステップS324に進む。
ここで、片側故障駆動モードとは、2系統のモータ駆動回路10のうち、正常状態である、一方のモータ駆動回路10だけを動作させて、速度指令信号Scに依らない回転数でモータ50を強制的に回転させる動作モードをいう。このとき、正常状態であるモータ駆動回路10は、デューティ比50%のFG信号を出力し、FG故障状態であるモータ駆動回路10は、省電力状態であるので、ハイレベルのFG信号を出力し、合成信号生成回路21は、正常状態であるモータ駆動回路10のFG信号に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。これにより、駆動制御回路20は、ファンモータの正回転を、回転数を監視しながら、継続することができる。
駆動制御回路20は、FG故障側判定モードとして、ステップS321およびS323において、両方の正常フラグが同じである場合や速度比率に明確な差が無い場合、ステップS325に進み、両方ともFG故障状態または第2FG故障判定処理を経由したか否かを判定する。両方ともFG故障状態、すなわち正常に動作しない場合(第1正常フラグ、第2正常フラグともにクリア)、または第2FG故障判定処理を経由した場合(ステップ325:Yes)、駆動制御回路20は、夫々の片側試行モードでモータ50がロータロックにより回転しなかったと考え、片側故障ロック状態と判定し(ステップS326)、第5期間Ts5の経過を待ってから(ステップS327)、第3FG故障判定処理(S300)を再開する。
両方とも正常に駆動した場合(第1正常フラグ、第2正常フラグともにセット)で、且つ第1FG故障判定処理を経由した場合(ステップ325:No)、駆動制御回路20は、第1FG故障判定処理の省電力モードの第4期間Ts4の間(図5のステップS104)において、何らかの要因によりモータ50のロータロックが解除され、惰性により回転している状態をFG短絡故障によるFG故障状態と誤判定したと考え、モータ50がロック状態であると再判定し、ファン100がロック状態を示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する。(ステップS330)。その後、駆動制御回路20は、ロータロックモードに移行し(ステップS331)、第5期間Ts5の経過を待ってから(ステップS332)、ロータロック再開処理(S900)を実行する。
次に、図7Cを用いて、第1系統片側故障駆動処理(S400)について説明する。
ステップS401において、駆動制御回路20は、第1系統片側試行モードで動作させたモータ駆動回路10_1を動作させる片側故障起動待ちモードに移行し、モータ駆動回路10_2がFG故障状態であることを示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する。
ここで、駆動制御回路20は、ロック状態とFG故障状態とを区別するために、FG故障状態である場合、状態信号Soをグラウンド電圧GND(ローレベル)として出力してもよい。また、片側で駆動可能なことから、合成信号生成回路21によって生成された合成信号Siに基づいて、モータ50の実回転数に応じた周期でデューティ50%のFG信号を状態信号Soとして出力してもよい。
次に、駆動制御回路20は、予め設定された固定のデューティ比(片側故障駆動デューティ比)の駆動制御信号Sca1を生成して、モータ駆動回路10_1に与える(ステップS402)。ここで、片側故障駆動デューティ比は、試行デューティ比と同じでもよい。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3の経過を待ってから(ステップS403)、片側故障駆動モードに移行する(ステップS404)。
次に、駆動制御回路20は、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca1を出力する(ステップS405)。その後、駆動制御回路20は、第2期間Ts2内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS406)。合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS406:Yes)には、片側故障駆動状態と判定(ステップS407)し、駆動制御回路20は、ステップS405~S407を繰り返し実行する。一方、合成信号Siの所定の変化を検出しない場合(ステップS406:No)には、駆動制御回路20は、モータ50がロータロックにより停止(最低回転数未満)したとして、駆動信号Sca1の出力を停止(ステップS408)し、片側故障ロック状態と判定(ステップS409)し、第5期間Ts5の経過を待ってから(ステップS410)、片側故障駆動を再開する。
次に、図7Dを用いて、第2系統片側故障駆動処理(S500)について説明する。
ステップS501において、駆動制御回路20は、第2系統片側試行モードで動作させたモータ駆動回路10_2を動作させる片側故障起動待ちモードに移行し、モータ駆動回路10_1がFG故障状態であることを示す状態信号Soを上位装置500に対して出力する。次に、駆動制御回路20は、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca2を生成して、モータ駆動回路10_2に与える(ステップS502)。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3の経過を待ってから(ステップS503)、片側故障駆動モードに移行する(ステップS504)。
次に、駆動制御回路20は、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca2を出力する(ステップS505)。その後、駆動制御回路20は、第2期間Ts2内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS506)。合成信号Siの所定の変化を検出した場合(ステップS506:Yes)には、片側故障駆動状態と判定(ステップS507)し、駆動制御回路20は、ステップS505~S507を繰り返し実行する。一方、合成信号Siの所定の変化を検出しない場合(ステップS506:No)には、駆動制御回路20は、モータ50がロータロックにより停止(最低回転数未満)したとして、駆動信号Sca2の出力を停止(ステップS508)し、片側故障ロック状態と判定(ステップS509)し、第5期間Ts5の経過を待ってから(ステップS510)、片側故障駆動を再開する。
図12は、モータ駆動回路10_1が正常状態であり、且つモータ駆動回路10_2がFG短絡故障によるFG故障状態であるときに、正常状態にあるモータ駆動回路10_1から先に片側駆動させたときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図12において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図12に示すように、時刻t10において、第3FG故障判定処理の開始により、駆動制御回路20は、省電力モードから、第1系統のモータ駆動回路10_1を動作させる第1系統片側試行モードに移行する(図7AのステップS301)。第1系統片側試行モードにおいて、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca1を出力する(ステップS302)。このとき、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2を出力しない。
これにより、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、駆動制御信号Sca1に基づいてモータ50を駆動し、惰性により回転または停止していたモータ50が、このデューティ比での回転数に移行する。このとき、モータ駆動回路10_1は、モータ50の回転により位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、FG短絡故障によるFG故障状態であるが、省電力状態を維持するため、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS303)。
次に、図12に示すように、第6期間Ts6が経過した時刻t11において、駆動制御回路20は、第7期間Ts7が経過するのを待ち、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS304)。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、省電力状態であるので、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出し(ステップS304:Yes)、合成信号Siの所定の変化を検出した時刻td1において、駆動制御回路20は、第1系統のモータ駆動回路10_1が正常状態であることを仮に判定し、第1正常フラグをセットし、合成信号Siの周期から第1開始速度を取得する。また、第7期間Ts7内の合成信号Siの周期を検出した最終の時刻td2において、駆動制御回路20は、合成信号Siの周期から第1最終速度を取得し、第1速度比率を計算する(ステップS305)。
次に、図12に示すように、第7期間Ts7が経過した時刻t12において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1の出力を停止し(ステップS307)、第2系統のモータ駆動回路10_2を片側駆動させる第1系統片側試行モードから、第1系統のモータ駆動回路10_1を片側駆動させる第2系統片側試行モードに移行する(ステップS311)。
第2系統片側試行モードにおいて、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca2を出力する(ステップS312)。
これにより、モータ駆動回路10_1に代わり、モータ駆動回路10_2によってモータ50が駆動されようとするが、FG故障により駆動されず、モータ50の回転が惰性により継続する。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、駆動制御信号Sca1が入力されないが、位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、省電力状態に遷移することなく、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、FG短絡故障によるFG故障状態であり、駆動制御信号Sca2が入力されたことにより、省電力状態を解除するため、端子FG2からローレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS313)。
次に、図12に示すように、第6期間Ts6が経過した時刻t13において、駆動制御回路20は、第7期間Ts7が経過するのを待ち、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS314)。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、モータ50が惰性で回転している間は、位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、FG短絡故障によるFG故障状態であり、端子FG2からローレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。その結果、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出しない(ステップS314:No)。
次に、図12に示すように、第7期間Ts7が経過した時刻t14において、駆動制御回路20は、第2正常フラグをクリアし、第2系統のモータ駆動回路10_2がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定する(ステップS316)。その後、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2の出力を停止し(ステップS317)、FG故障側判定モードに移行する(図7BのステップS320)。
FG故障側判定モードでは、第1正常フラグがセット、第2正常フラグがクリアから(ステップS321:Yes)、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_2がFG故障状態であると判定し(ステップS322)、第1系統片側故障駆動処理(図7CのS400)を実行する。
第1系統片側故障駆動処理では、駆動制御回路20は、片側故障起動待ちモードに移行し(ステップS401)、モータ駆動回路10_1に、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca1を生成して、モータ駆動回路10_1に与える(ステップS402)。これにより、モータ駆動回路10_1は、駆動制御信号Sca1に基づいてモータ50を駆動する。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3の経過を待つ(ステップS403)。
次に、図12に示すように、第3期間Ts3が経過した時刻t15において、モータ駆動回路10_2は省電力状態に遷移する。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、省電力状態であるので、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、時刻t15以降、合成信号Siは、モータ50が停止(最低回転数未満)するまで、信号fg1に応じたデューティ比50%の信号となる。
その後、駆動制御回路20は、片側故障駆動モードに移行し(ステップS404)、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca1を引き続き出力して(ステップS405)、正常であるモータ駆動回路10_1のみによってモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続する(ステップS405~S407)。
このように、2系統のモータ駆動回路10のうち何れか一方がFG短絡故障である場合において、正常状態であるモータ駆動回路10_1から先に片側駆動させた場合であっても、駆動制御回路20は、合成信号Siに基づいて正常であるモータ駆動回路10とFG短絡故障であるモータ駆動回路10とを判定することができ、正常であるモータ駆動回路10のみによってモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続させることができる。
図13は、モータ駆動回路10_1がFG短絡故障によるFG故障状態であり、且つモータ駆動回路10_2が正常状態であるときに、FG故障状態にあるモータ駆動回路10_1から先に片側駆動させたときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図13において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図13に示すように、時刻t10において、第3FG故障判定処理の開始により、駆動制御回路20は、省電力モードから、第1系統のモータ駆動回路10_1を動作させる第1系統片側試行モードに移行する(図7AのステップS301)。第1系統片側試行モードにおいて、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca1を出力する(ステップS302)。このとき、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2を出力しない。
これにより、モータ駆動回路10_1は、FG短絡故障によるFG故障状態であり、駆動制御信号Sca1が入力されたことにより、省電力状態を解除するため、端子FG1からローレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は正常状態であり、駆動制御信号Sca2が入力されないが、モータ50が惰性で回転している間は、モータ50の回転により位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、省電力状態に遷移することなく、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力する。したがって、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS303)。
次に、図13に示すように、第6期間Ts6が経過した時刻t11において、駆動制御回路20は、第7期間Ts7が経過するのを待ち、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS304)。このとき、モータ駆動回路10_1は、FG短絡故障によるFG故障状態であり、端子FG1からローレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は、正常状態であり、モータ50が惰性で回転している間は、位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力する。したがって、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。その結果、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出しない(ステップS304:No)。
次に、図13に示すように、第7期間Ts7が経過した時刻t12において、駆動制御回路20は、第1正常フラグをクリアし、第1系統片側のモータ駆動回路10_1がFG短絡故障によるFG故障状態であると判定する(ステップS306)。その後、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1の出力を停止し(ステップS307)、第1系統のモータ駆動回路10_1を片側駆動させる第1系統片側試行モードから、第2系統のモータ駆動回路10_2を片側駆動させる第2系統片側試行モードに移行する(ステップS311)。
第2系統片側試行モードにおいて、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca2を出力する(ステップS312)。
これにより、モータ駆動回路10_1に代わり、モータ駆動回路10_2によってモータ50が駆動され、モータ50の回転が継続する。このとき、モータ駆動回路10_1は、FG短絡故障によるFG故障状態であり、端子FG1からローレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は、正常状態であり、駆動制御信号Sca2に基づいてモータ50を駆動し、惰性により回転または停止していたモータ50が、このデューティ比での回転数に移行する。このとき、モータ駆動回路10_2は、モータ50の回転により位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力する。したがって、合成信号生成回路21から出力される合成信号Siは、ローレベルになる。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS313)。
次に、図13に示すように、第6期間Ts6が経過した時刻t13において、モータ駆動回路10_1は省電力状態に遷移し、駆動制御回路20は、第7期間Ts7が経過するのを待ち、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS314)。このとき、モータ駆動回路10_1は、省電力状態であるので、端子FG1からハイレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は、正常状態であり、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力する。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg2に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出し(ステップS314:Yes)、合成信号Siの所定の変化を検出した時刻te1において、駆動制御回路20は、第2系統のモータ駆動回路10_2が正常状態であることを仮に判定し、第2正常フラグをセットし、合成信号Siの周期から第2開始速度を取得する。また、第7期間Ts7内の合成信号Siの周期を検出した最終の時刻te2において、駆動制御回路20は、合成信号Siの周期から第2最終速度を取得し、第2速度比率を計算する(ステップS315)。
次に、図13に示すように、第7期間Ts7が経過した時刻t14において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2の出力を停止し(ステップS317)、FG故障側判定モードに移行する(図7BのステップS320)。
FG故障側判定モードでは、第1正常フラグがクリア、第2正常フラグがセットから(ステップS323:Yes)、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_1がFG故障状態によるFG故障状態であると判定し(ステップS324)、第2系統片側故障駆動処理(図7DのS500)を実行する。
第2系統片側故障駆動処理では、駆動制御回路20は、片側故障起動待ちモードに移行し(ステップS501)、モータ駆動回路10_2に、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca2を生成して、モータ駆動回路10_2に与える(ステップS502)。これにより、モータ駆動回路10_2は、駆動制御信号Sca2に基づいてモータ50を駆動する。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3の経過を待つ(ステップS503)。
次に、図13に示すように、第3期間Ts3が経過した時刻t15において、モータ駆動回路10_1は省電力状態を維持する。このとき、モータ駆動回路10_1は、省電力状態であるので、端子FG1からハイレベルの信号fg1が出力される。一方、モータ駆動回路10_2は、正常状態であり、端子FG2からデューティ比50%の信号fg2を出力する。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg2に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、時刻t15以降、合成信号Siは、モータ50が停止(最低回転数未満)するまで、信号fg2に応じたデューティ比50%の信号となる。
その後、駆動制御回路20は、片側故障駆動モードに移行し(ステップS504)、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca2を引き続き出力して(ステップS505)、正常であるモータ駆動回路10_2のみによってモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続する(ステップS505~S507)。
このように、2系統のモータ駆動回路10のうち何れか一方がFG短絡故障である場合において、FG故障状態であるモータ駆動回路10_1から先に片側駆動させた場合であっても、駆動制御回路20は、合成信号Siに基づいて正常であるモータ駆動回路10とFG短絡故障であるモータ駆動回路10とを判定することができ、正常であるモータ駆動回路10のみによってモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続させることができる。
図14は、モータ駆動回路10_1が正常状態であり、且つモータ駆動回路10_2がFG開放故障によるFG故障状態であるときに、正常状態にあるモータ駆動回路10_1から先に片側駆動させたときの駆動制御信号Sca1,Sca2(端子SCA1,SCA2)、信号fg1,fg2(端子FG1,FG2)、および合成信号Siを示すタイミングチャートの一例である。図14において、縦軸は各信号の電圧または論理値を表し、横軸は時間を表している。
図14に示すように、時刻t10において、第3FG故障判定処理の開始により、駆動制御回路20は、省電力モードから、第1系統のモータ駆動回路10_1を動作させる第1系統片側試行モードに移行する(図7AのステップS301)。第1系統片側試行モードにおいて、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca1を出力する(ステップS302)。このとき、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2を出力しない。
これにより、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、駆動制御信号Sca1に基づいてモータ50を駆動し、惰性により回転または停止していたモータ50が、このデューティ比での回転数に移行する。このとき、モータ駆動回路10_1はモータ50の回転により位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、FG開放故障によるFG故障状態であり、省電力状態を維持するため、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS303)。
次に、図14に示すように、第6期間Ts6が経過した時刻t11において、駆動制御回路20は、第7期間Ts7が経過するのを待ち、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS304)。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、省電力状態であるので、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出し(ステップS304:Yes)、合成信号Siの所定の変化を検出した時刻tf1において、駆動制御回路20は、第1系統のモータ駆動回路10_1が正常状態であることを仮に判定し、第1正常フラグをセットし、合成信号Siの周期から第1開始速度を取得する。また、第7期間Ts7内の合成信号Siの周期を検出した最終の時刻tf2において、駆動制御回路20は、合成信号Siの周期から第1最終速度を取得し、第1速度比率を計算する(ステップS305)。
次に、図14に示すように、第7期間Ts7が経過した時刻t12において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca1の出力を停止し(ステップS307)、第2系統のモータ駆動回路10_2を片側駆動させる第1系統片側試行モードから、第1系統のモータ駆動回路10_1を片側駆動させる第2系統片側試行モードに移行する(ステップS311)。
第2系統片側試行モードにおいて、駆動制御回路20は、所定の試行デューティ比の駆動制御信号Sca2を出力する(ステップS312)。
これにより、モータ駆動回路10_1に代わり、モータ駆動回路10_2によってモータ50が駆動されようとするが、FG故障により駆動されず、モータ50の回転が惰性により継続する。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、駆動制御信号Sca1が入力されないが、位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、FG開放故障によるFG故障状態であり、駆動制御信号Sca2が入力されたことにより、省電力状態を解除するが、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その後、駆動制御回路20は、第6期間Ts6が経過するのを待つ(ステップS313)。
次に、図14に示すように、第6期間Ts6が経過した時刻t13において、駆動制御回路20は、第7期間Ts7が経過するのを待ち、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出したか否かを判定する(ステップS314)。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、モータ50が惰性で回転している間は、位置検出信号hp,hnの入力が変化するため、省電力状態に遷移することなく、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、FG開放故障によるFG故障状態であり、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、第7期間Ts7内において、合成信号Siの所定の変化を検出し(ステップS314:Yes)、合成信号Siの所定の変化を検出した時刻tf3において、駆動制御回路20は、第2系統のモータ駆動回路10_2が正常状態であることを仮に判定し、第2正常フラグをセットし、合成信号Siの周期から第2開始速度を取得する。また、第7期間Ts7内の合成信号Siの周期を検出した最終の時刻tf4において、駆動制御回路20は、合成信号Siの周期から第2最終速度を取得し、第2速度比率を計算する(ステップS315)。
次に、図14に示すように、第7期間Ts7が経過した時刻t14において、駆動制御回路20は、駆動制御信号Sca2の出力を停止し(ステップS317)、FG故障側判定モードに移行する(図7BのステップS320)。
FG故障側判定モードでは、第1正常フラグがセット、第2正常フラグがセットであるが、駆動により回転数が安定するため第1速度比率が高く、惰性により回転数が減速するため第2速度比率が低いことから(ステップS321:Yes)、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10_2がFG故障状態であると判定し(ステップS322)、第1系統片側故障駆動処理(図7CのS400)を実行する。
第1系統片側故障駆動処理では、駆動制御回路20は、片側故障起動待ちモードに移行し(ステップS401)、モータ駆動回路10_1に、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca1を生成して、モータ駆動回路10_1に与える(ステップS402)。これにより、モータ駆動回路10_1は、駆動制御信号Sca1に基づいてモータ50を駆動する。その後、駆動制御回路20は、第3期間Ts3の経過を待つ(ステップS403)。
次に、図14に示すように、第3期間Ts3が経過した時刻t15において、モータ駆動回路10_2は省電力状態に遷移する。このとき、モータ駆動回路10_1は、正常状態であり、端子FG1からデューティ比50%の信号fg1を出力する。一方、モータ駆動回路10_2は、省電力状態であるので、端子FG2からハイレベルの信号fg2が出力される。したがって、合成信号生成回路21は、信号fg1に応じたデューティ比50%の合成信号Siを出力する。その結果、時刻t15以降、合成信号Siは、モータ50が停止(最低回転数未満)するまで、信号fg1に応じたデューティ比50%の信号となる。
その後、駆動制御回路20は、片側故障駆動モードに移行し(ステップS404)、所定の片側故障駆動デューティ比の駆動制御信号Sca1を引き続き出力して(ステップS405)、正常であるモータ駆動回路10_1のみによってモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続する(ステップS405~S407)。
このように、2系統のモータ駆動回路10のうち何れか一方がFG開放故障である場合において、片側試行モードにおいて一つずつモータ駆動回路10を順次駆動することで、駆動制御回路20は、合成信号Siに基づいて正常であるモータ駆動回路10とFG開放故障であるモータ駆動回路10とを判定することができ、正常であるモータ駆動回路10のみによってモータ50の正回転を、回転数を監視しながら、継続させることができる。
以上、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1は、合成信号Siが所定の論理値(ローレベルまたはハイレベル)を示している場合に、モータ駆動回路10_1,10_2の少なくとも一つを信号fg1,fg2の出力が不能なハイレベル状態に遷移させ、そのときの合成信号Siに基づいて、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つが信号fg1,fg2を正常に出力することができないFG故障状態(例えば、FG短絡故障)であるか、モータ50が回転不能となるロック状態であるかを判別する第1FG故障判定処理を行う。
これによれば、複数のモータ駆動回路10のうちの少なくとも一つがFG短絡故障である場合に、そのモータ駆動回路10をFG信号の出力が不能なハイレベル状態に遷移させることにより、FG短絡故障であるモータ駆動回路10のFG信号の影響を受けずに、合成信号Siを生成することができる。すなわち、FG短絡故障が発生してないモータ駆動回路10からのFG信号のみに応じた合成信号Siを生成することができる。これにより、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つが信号fg1,fg2を正常に出力することができないFG故障状態(例えば、FG短絡故障)であるか、モータ50が回転不能となるロック状態であるかを適切に判定することが可能となる。
図10に示すように、モータ駆動回路10_1が正常状態であり、モータ駆動回路10_2がFG短絡故障によるFG故障状態であるときに、時刻t3以降にモータ駆動回路10_2をFG信号の出力が不能なハイレベル状態に遷移することにより、合成信号Siが、FG短絡故障が発生してないモータ駆動回路10からのFG信号に応じた信号となる。
一方、図9に示すように、モータ50がロータロックであるときに、時刻t3以降にモータ駆動回路10_1,10_2をFG信号の出力が不能なハイレベル状態に遷移することにより、合成信号Siが、ハイレベルに固定される。
このように、合成信号Siがローレベルである場合に、少なくとも一方のモータ駆動回路10をFG信号の出力が不能なハイレベル状態に遷移させることにより、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG短絡故障であるか、モータ50がロータロックであるかを適切に判定することが可能となる。
また、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1は、上述したように、モータ駆動回路10_1,10_2の何れか一つがFG故障状態であると判定した場合に、モータ駆動回路10_1,10_2を一つずつ順次駆動させ、そのときの合成信号Siに基づいて、モータ駆動回路10_1,10_2のどちらがFG故障状態であるかを判別する第3FG判定処理を行う。
例えば、図12に示すように、モータ駆動回路10_1が正常状態、モータ駆動回路10_2がFG短絡故障によるFG故障状態であるときに、時刻t10から時刻t12までの期間にモータ駆動回路10_1を片側駆動させ、モータ駆動回路10_2をFG信号の出力が不能なハイレベル状態(省電力状態)に維持することにより、合成信号Siが、正常状態であるモータ駆動回路10_1からの信号fg1に応じた信号となる。次に、時刻t12から時刻t14までの期間にモータ駆動回路10_2を片側駆動させ省電力状態を解除するが、FG短絡故障によるFG故障状態であることから、合成信号Siは、ローレベルとなる。
このように、順次、モータ駆動回路10_1,10_2を片側駆動させたときの合成信号Siを監視することにより、モータ駆動回路10_1,10_2のどちらがFG短絡故障であるかを容易に判定することが可能となる。
更に、モータ駆動制御装置1は、第3FG判定処理において、FG短絡故障によるFG故障状態であるモータ駆動回路10と正常状態であるモータ駆動回路10を判別した後に、正常状態であるモータ駆動回路10のみを用いてモータ50を駆動させる。
これによれば、ファン100(モータ50)に異常が発生した場合であっても、モータ50の駆動状態を判定し、ファン100の正回転を、回転数を監視しながら、継続させることが可能となる。
また、図2に示すように、各モータ駆動回路10_1,10_2は、その内部における回路の少なくとも一部の動作を停止させ、FG信号の出力をハイレベルに固定する省電力状態に遷移可能な構成としたため、モータ駆動回路10を省電力状態に遷移させることにより、そのモータ駆動回路10をFG信号の出力が不能なハイレベル状態に容易に遷移させることが可能となる。また、各モータ駆動回路10_1,10_2からのFG信号(信号fg1,fg2)が所定の期間切り替わらず、合成信号生成回路21によって生成された合成信号Siが所定の論理値を示している場合に、駆動制御回路20が駆動制御信号Sca1,Sca2の出力を停止することから、各モータ駆動回路10_1,10_2の制御部122は、駆動制御信号Sca1,Sca2が入力されず、且つ位置検出信号hp,hnの入力が変化しないことにより、FG信号生成部124への内部電源電圧Vddの供給を遮断することが可能となる。また、モータ駆動制御装置1は、合成信号生成回路21を構成したことにより、モータ駆動回路10_1,10_2から駆動制御回路20に出力される信号線の本数を削減するとともに、駆動制御回路20における信号処理を軽減することが可能となる。
≪実施の形態2≫
図15は、実施の形態2に係るファンの構成を示すブロック図である。
実施の形態2に係るファン100Aにおけるモータ駆動制御装置1Aは、FG信号に加えて、モータ50が回転不能となるロック状態であるか否かを示すロック検出信号も利用して合成信号Siを生成する点において、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1と相違し、その他の点においては実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1と同様である。
図15に示すように、モータ駆動制御装置1Aにおける各モータ駆動回路10A_1,10A_2の制御回路12A_1,12A_2は、信号fg1,fg2に加えて、ロック検出信号ld1,ld2をそれぞれ生成して出力する。
ここで、ロック検出信号ld1,ld2は、モータ50がロックされている状態であるか否かの判定結果を示す信号である。モータ駆動回路10A_1,10A_2の制御回路12A_1,12A_2が、例えば、駆動制御信号Sca1,Sca2と位置検出信号hp,hnに基づいて、モータ50がロックされている状態であるか否かを判定し、その判定結果をロック検出信号ld1,ld2として出力する。
ロック検出信号ld1,ld2は、例えば、2値信号である。例えば、電源電圧Vccでプルアップされたロック検出信号ld1がローレベル(グラウンド電圧GND)である場合に、モータ50が非ロック状態であることを示し、ロック検出信号ld1がハイレベル(電源電圧Vcc)である場合に、モータ50が回転不能となるロック状態であることを示す。
例えば、制御回路12A_1,12A_2として汎用ICを用いる場合には、その汎用ICのロック検出機能に基づいて出力される信号をロック検出信号ld1,ld2として用いることができる。
図16は、実施の形態2に係る制御回路12A_1,12A_2および合成信号生成回路21Aの内部構成を示すブロック図である。なお、図16には、制御回路12A_1,12A_2の内部構成のうち、FG信号とロック検出信号の生成に関連する構成のみが図示されている。
制御回路12Aは、実施の形態1に係る制御回路12の機能に加えて、位置検出信号に基づいてロック検出信号ld1,ld2をそれぞれ生成する機能を備えている。具体的に、制御回路12A_1は、ロック検出信号ld1を出力するための端子LD1と、モータ50が回転不能となるロック状態を検出し、検出信号を出力するロック検出回路125と、検出信号に基づいてロック検出信号ld1を出力する出力トランジスタQ1Aと、を更に有している。同様に、制御回路12A_2は、ロック検出信号ld2を出力するための端子LD2と、モータ50が回転不能となるロック状態を検出し、検出信号を出力するロック検出回路125と、検出信号に基づいてロック検出信号ld2を出力する出力トランジスタQ2Aと、を更に有している。
出力トランジスタQ1Aは、端子LD1と第1の固定電位としてのグラウンド電圧GNDとの間に接続され、出力トランジスタQ2Aは、端子LD2とグラウンド電圧GNDとの間に接続されている。出力トランジスタQ1A,Q2Aは、例えばFETである。
合成信号生成回路21Aは、制御回路12A_1,12A_2によって生成された信号fg1,fg2とロック検出信号ld1,ld2をそれぞれ入力し、入力した信号を合成した合成信号Siを生成する。例えば、合成信号生成回路21Aは、信号fg1と信号fg2との論理積に基づく信号sf12と、ロック検出信号ld1とロック検出信号ld2との論理積に基づく信号sl12との論理積に基づいて、合成信号Siを生成する。
実施の形態2において、合成信号生成回路21Aは、例えば、実施の形態1に係る合成信号生成回路21と同様に、制御回路12A_1,12A_2としての汎用ICおよび駆動制御回路20としてのMCUが搭載される同一の回路基板上に形成されている。
合成信号生成回路21Aは、例えば、負荷R1~R3とスイッチ素子SW1,SW2を有している。負荷R1~R3は、例えば抵抗である。負荷R1は、制御回路12A_1の端子FG1と制御回路12A_2の端子FG2とが共通に接続されたノード(接続点)N1と第2の固定電位としての電源電圧Vccとの間に接続されている。負荷R2は、制御回路12A_1の端子LD1と制御回路12A_2の端子LD2とが共通に接続されたノード(接続点)N2と電源電圧Vccとの間に接続されている。負荷R3は、その一端が電源電圧Vccに接続されている。
スイッチ素子SW1は、グラウンド電圧GNDと負荷R3の他端との間に接続され、ノードN1の電圧に基づいてオン・オフが制御される。スイッチ素子SW1は、例えば、トランジスタ(バイポーラトランジスタ)を含む。スイッチ素子SW1としてのトランジスタにおいて、エミッタ電極がグラウンド電圧GNDに接続され、コレクタ電極が抵抗R3の他端(ノードN3)に接続されている。
スイッチ素子SW2は、グラウンド電圧GNDと負荷R3の他端との間に接続され、ノードN2の電圧に基づいてオン・オフが制御される。スイッチ素子SW2は、例えば、トランジスタ(バイポーラトランジスタ)を含む。スイッチ素子SW2としてのトランジスタにおいて、エミッタ電極がグラウンド電圧GNDに接続され、コレクタ電極が抵抗R3の他端(ノードN3)に接続されている。
なお、図16に示すように、スイッチ素子SW1,SW2を構成するトランジスタにおいて、エミッタ電極とベース電極との間に抵抗が接続されていてもよいし、ベース電極とノードN1,N2との間に抵抗が接続されていてもよい。
合成信号生成回路21Aにおいて、ノードN3は出力端子であり、ノードN3の電圧が合成信号Siとして駆動制御回路20に入力される。
図17は、実施の形態2に係るファンの状態と合成信号Siの態様との関係を示す図である。
図17には、ファン100Aの通常動作時、すなわち、駆動制御回路20が速度指令信号Scに応じた駆動制御信号Sca1,Sca2をモータ駆動回路10A_1,10A_2に出力してモータ50を駆動したときの合成信号Siの態様が示されている。
なお、実施の形態1と実施の形態2とでは、合成信号Siの論理が反転していることに注意すべきである。例えば、モータ50およびモータ駆動回路10A_1,10A_2が正常である場合には、合成信号生成回路21A(ノードN3)から出力される合成信号Siは、信号fg1,fg2とは周期が同じだが、デューティ比75%の2値信号となる。
上述したように、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aは、FG信号のみならずロック検出信号を用いて合成信号Siを生成しているので、図17に示すように、通常動作時の合成信号Siを監視することにより、モータ50がロック状態であることとモータ駆動回路10A_1,10A_2のうち何れか一方のモータ駆動回路10AがFG故障状態であることを、判定することが可能となる。
しかしながら、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aは、実施の形態1に係るモータ駆動制御装置1と同様に、通常動作時(駆動モード)における合成信号Siを監視するだけでは、モータ駆動回路10A_1,10A_2のうちのどちらのモータ駆動回路10AがFG故障であるかを判定することができない。
そこで、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aにおいて、駆動制御回路20は、実施の形態1に係る駆動制御回路20と同様により、モータ駆動回路10A_1,10A_2の何れか一つがFG故障状態(FG短絡故障またはFG開放故障)であると判定した場合に、第3FG故障判定処理を行う。すなわち、駆動制御回路20は、モータ駆動回路10A_1,10A_2を一つずつ順番にFG信号の出力が可能な状態に遷移させ、そのときの合成信号Siに基づいて、モータ駆動回路10A_1,10A_2のどちらがFG故障状態であるかを判定する。
駆動制御回路20による判定処理の流れは、モータ50がロック状態であることと、モータ駆動回路10A_1,10A_2のうち何れか一方のモータ駆動回路10AがFG短絡故障によるFG故障状態であることを判定できることにより、第1FG故障判定処理を簡略化できるが、実施の形態1に係る駆動制御回路20による判定処理の流れと同様でよい(図4、図5、図6、図7A乃至図7D参照)。
以上、実施の形態2に係るモータ駆動制御装置1Aによれば、2つのFG信号のみならず、2つのロック検出信号ld1,ld2を更に合成して合成信号Siを生成しているので、合成信号Siの波形を判定することにより、ファン100A(モータ50およびモータ駆動回路10A_1,10A_2)の駆動状態をより詳細に判定することが可能となる。
具体的には、信号fg1と信号fg2との論理積と、ロック検出信号ld1とロック検出信号ld2との論理積との論理積に基づいて合成信号Siを生成することにより、モータ駆動回路10A_1,10A_2の何れか一方がFG開放故障である場合と、モータ駆動回路10A_1,10A_2の何れか一方がFG短絡故障である場合と、モータ50がロータロックの場合とを正確に判定することが可能となる。また、モータ駆動制御装置1Aは、合成信号生成回路21Aを構成したことにより、モータ駆動回路10A_1,10A_2から駆動制御回路20に出力される信号線の本数を削減するとともに、駆動制御回路20における信号処理を軽減することが可能となる。
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施の形態において、合成信号生成回路21,21Aは、少なくとも各モータ駆動回路10から出力されるFG信号を合成して合成信号Siを生成することができればよく、図2および図16に示した回路構成に限定されない。また、合成信号Siの論理値は、合成信号Siが入力される駆動制御回路20としてのMCUの入力インターフェース回路の回路構成等に応じて、適宜変更してもよい。
また、上記実施の形態において、図4に示した判定処理のフローにおいて、駆動制御回路20は、停止モード中に速度指令信号Scの入力を検出した場合に、起動待ちモードをスキップして、駆動モードに移行してもよい。
また、上記実施の形態では、モータ駆動制御装置1,1Aを、2系統のコイル80_1,80_2を備えた単相のブラシレスモータを有するファンシステムに適用する場合を例示したが、これに限られない。例えば、モータ駆動制御装置1,1Aを、1系統のコイルを備えた単相のブラシレスモータを2つ有するファンシステムに適用してもよい。
例えば、図18に示すように、モータ駆動制御装置1を、1系統のコイルをそれぞれ有するモータ50B_1,50B_2によって2つのインペラ90_1,90_2をそれぞれ個別に回転させるシステム構成を有するファン100Bに適用してもよい。この場合、駆動制御回路20は、各モータ駆動回路10_1,10_2(制御回路12_1,12_2)から出力される信号fg1,fg2の位相が互いに相違する(例えば位相差:90度)ように、駆動制御信号Sca1,Sca2を生成する。モータ駆動回路10_1は、駆動制御信号Sca1に基づいて、一方のモータ50B_1のコイル80B_1の通電を制御し、モータ駆動回路10_2は、駆動制御信号Sca2に基づいて、他方のモータ50B_2のコイル80B_2の通電を制御する。
これによれば、実施の形態1に係るファン100と同様に、ファン100B(モータ50B_1,50B_2)の駆動状態を判定し、ファン100Bの正回転を、回転数を監視しながら、継続させることが可能となる。
また、上記実施の形態において、モータ50,50B_1,50B_2が単相のブラシレスモータである場合を例示したが、モータ50,50B_1,50B_2の種類や相数等はこれに限定されない。例えば、3相のブラシレスモータであってもよい。
また、上述のフローチャートは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。すなわち、フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではない。例えば、一部の処理の順番が変更されてもよいし、各処理間に他の処理が挿入されてもよいし、一部の処理が並列に行われてもよい。