JP7357560B2 - 多層構造体並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体 - Google Patents
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Description
[1]ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の少なくとも一方の表面に、アルミニウム蒸着層(Y)が積層された構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が3.0nm以上50nm以下である、多層構造体;
[2]前記ビニルアルコール系重合体が、エチレン単位含有量10~65モル%であり、けん化度90モル%以上のエチレン-ビニルアルコール共重合体である、[1]の多層構造体;
[3]アルミニウム蒸着層(Y)の平均厚さが15nm以上150nm以下である、[1]または[2]の多層構造体;
[4]アルミニウム蒸着層(Y)がビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の両面に積層される、[1]~[3]のいずれかの多層構造体;
[5]JIS K7126-2:2006に準拠して測定した、20℃、85%RHにおける酸素透過度が1.5cc/m2・day・atm以下である、[1]~[4]のいずれかの多層構造体;
[6]剥離界面に水を滴下しながら、JIS K6854-3:1999に準拠して測定した、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)とアルミニウム蒸着層(Y)とのT型剥離強度が250gf/15mm以上である、[1]~[5]のいずれかの多層構造体;
[7]アルミニウム蒸着層(Y)の一方の面に有機高分子を含む層(Z)が積層された構造を有する、[1]~[6]のいずれかの多層構造体;
[8][1]~[7]のいずれかの多層構造体の製造方法であって、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の表面温度が60℃以下の状態でアルミニウム蒸着層(Y)を形成する工程を備える、多層構造体の製造方法;
[9][1]~[7]のいずれかの多層構造体を含む、包装材;
[10][9]の包装材の内部が減圧されてなる、真空包装袋;
[11][10]の真空包装袋が、内部に芯材を備える、真空断熱体;
により、達成される。
本発明の多層構造体は、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)を有する。ここで、「主成分とする」とは、基材(X)を構成するフィルムにおけるビニルアルコール系重合体の割合が50質量%超であることを意味し、かかる割合は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、基材(X)は実質的にビニルアルコール系重合体のみからなるフィルムであってよい。本発明の多層構造体が基材(X)を有することで、本発明の多層構造体のガスバリア性及び過酷条件下密着性が良好となる傾向となる。
本発明の多層構造体は、アルミニウム蒸着層(Y)を含むことでガスバリア性及び過酷条件下密着性に優れる傾向となる。ここで「アルミニウム蒸着層」とは、アルミニウムを主たる成分として含む蒸着層を意味し、蒸着層におけるアルミニウムの割合が50質量%超であり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、実質的にアルミニウムのみからなる蒸着層であることがさらに好ましい。なお、蒸着の際に酸化アルミニウムが不可避的に生じてしまう場合においては、一部酸化アルミニウムが含まれてしまう場合があるが、不可避的に含まれる程度の酸化アルミニウムは、本発明の効果に影響を与えるものではない。本発明の多層構造体は、基材(X)の両面に層(Y)を備えることがガスバリア性をより高める観点から好ましい。
本発明の多層構造体は、基材(X)の少なくとも一方の表面に層(Y)が積層された構造(XY)を有する。ここで、「積層された」とは、基材(X)と層(Y)の間に接着層を介していてもよいが、過酷条件下密着性を高める観点から、基材(X)と層(Y)が直接積層されていることが好ましい。本発明の多層構造体が構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が3.0nm以上50nm以下であることで、高いガスバリア性及び密着性を有しつつ、過酷条件下密着性にも優れる傾向となる。
本発明の多層構造体は、層(Y)の保護特性の観点から層(Y)の一方の面に有機高分子を含む層(Z)(以下「層(Z)」と略記する場合がある)が積層された構造を有してもよい。ここで、「積層された」とは、接着層を介して積層されていてもよいことを示しているが、より層(Y)の保護特性に優れる観点から層(Z)と層(Y)は直接積層されていることが好ましい。
化合物(L)が加水分解されることによって、化合物(L)の加水分解可能な特性基の少なくとも一部が水酸基に置換される。さらに、その加水分解物が縮合することによって、金属原子が酸素を介して結合された化合物である加水分解縮合物が形成される。ここで、この加水分解縮合が起こるためには、化合物(L)が加水分解可能な特性基(官能基)を有していることが重要である。それらの基が結合していない場合、加水分解縮合反応が起こらないか極めて緩慢になるため、本発明の効果を得ることは困難になる。なお、Siは、半金属元素に分類される場合があるが、本明細書では、Siを金属として説明する。化合物(L)が有する加水分解可能な特性基としては、後述する式(I)のX1等が挙げられる。加水分解縮合物は、例えば、公知のゾルゲル法で用いられる手法を用いて特定の原料から製造できる。原料には、化合物(L)、化合物(L)が部分的に加水分解したもの、化合物(L)が完全に加水分解したもの、化合物(L)が部分的に加水分解縮合したもの、化合物(L)が完全に加水分解しその一部が縮合したもの、或いはこれらを組み合わせたものを使用できる。これらの原料は、公知の方法で製造してもよいし、市販されているものを用いてもよい。特に限定はないが、例えば2~10個程度の分子が加水分解縮合することによって得られる縮合物を、原料として使用できる。
SiX1 rR(4-r) (I)
[上記式(I)中、X1は、F、Cl、Br、I、R6O-、R7COO-、(R8CO)2CH-、およびNO3からなる群より選ばれるいずれか1つを表し、R5、R6、R7、およびR8は、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基、およびアルケニル基からなる群より選ばれるいずれか1つの基を表し、rは1~4の整数を表す。複数のX1が存在する場合、それらのX1は互いに同一であってもよいし異なってもよい。複数のR5が存在する場合、それらのR5は互いに同一であってもよいし異なってもよい。]
で示される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
本発明の多層構造体において、接着層(H)を介して他の部材(例えば熱可塑性樹脂フィルム層、紙層等の他の層など)と積層することができる。接着性樹脂からなる接着層(H)は、基材(X)や層(Y)または層(Z)の表面に公知の接着剤を塗布することによって形成できる。当該接着剤としては、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合し反応させる二液反応型ポリウレタン系接着剤が好ましい。また、アンカーコーティング剤や接着剤に、公知のシランカップリング剤などの少量の添加剤を加えることによって、さらに接着性を高めることができる場合がある。シランカップリング剤の好適な例としては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基などの反応性基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。本発明の多層構造体と他の部材とを接着層(H)を介して強く接着することによって、本発明の真空断熱体の真空包装袋を製造する際や加工を施す際に、バリア性や外観の悪化をより効果的に抑制することができる。
(性能1)JIS K7126-2:2006に準拠して測定した、20℃、85%RHにおける酸素透過度が1.5cc/m2・day・atm以下である。
真空包装袋は、内部を減圧して用いられる包装材であり、内部と外部とを隔てる隔壁としてフィルム材(以下、「ラミネート体」と呼ぶことがある)を備えている。本発明の真空包装袋は、基材(X)、層(Y)あるいは基材(X)、層(Y)および層(Z)からなる本発明の多層構造体と該多層構造体以外の他の部材(例えば熱可塑性樹脂フィルム層、紙層等の他の層など)から構成される。また、真空包装袋は、該多層構造体を複数含んでもよい。そのような他の部材(他の層など)を有する真空包装袋は、当該他の部材(他の層など)を直接または接着層を介して接着または形成することによって製造することができる。真空包装袋が、このような他の部材(他の層など)を備えることによって、真空包装袋の特性を向上させたり、新たな特性を付与したりすることができる。例えば、本発明の真空包装袋にヒートシール性を付与したり、バリア性や力学的物性をさらに向上させたりすることができる。
(1)層(Y)/基材(X)//PO層、
(2)ポリエステル層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(3)ポリアミド層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(4)PO層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(5)層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(6)ポリエステル層//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(7)ポリアミド層//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(8)PO層//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(9)ポリエステル層/層(Y)//基材(X)//PO層、
(10)ポリアミド層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(11)PO層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(12)ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(13)ポリアミド層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(14)PO層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(15)ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(16)ポリアミド層/層(Y)//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(17)PO層/層(Y)//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(18)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(19)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(20)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(21)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(22)層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(23)ポリエステル層//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(24)ポリアミド層//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(25)PO層//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(26)層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(27)ポリエステル層//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(28)ポリアミド層//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(29)PO層//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(30)ポリエステル層/層(Z)/層(Y)//基材(X)//PO層、
(31)ポリアミド層/層(Z)/層(Y)//基材(X)//PO層、
(32)PO層/層(Z)/層(Y)//基材(X)//PO層、
(33)ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(34)ポリアミド層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(35)PO層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(36)ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)//層(Z)/PO層、
(37)ポリアミド層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(38)PO層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(39)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(40)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(41)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(42)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(1)少なくとも1層の基材(X)が少なくとも1層の層(Y)よりも芯材側に位置する。
(2)少なくとも1層の層(Y)が、少なくとも1層の基材(X)に直接積層されている。
本発明の真空断熱体に使用される芯材は、断熱性を有するものである限り特に制限はない。たとえば、芯材として、パーライト粉末、シリカ粉末、沈降シリカ粉末、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ガラスウール、ロックウール、および樹脂の発泡体(たとえばスチレンフォームやウレタンフォーム)などが例示できる。また、芯材として、樹脂や無機材料製の中空容器や、ハニカム状構造体などを使用してもよい。また、必要に応じて、水蒸気やガスなどを吸着する吸着材を芯材に含んでもよい。
本発明の真空断熱体においては、真空包装袋内の空間部は真空状態にある。ここでいう真空状態とは必ずしも絶対的な真空状態を意味せず、真空包装袋内の空間部の圧力が大気圧より充分に低いことを示す。内部圧力は、必要な性能と製造の容易さなどから決定されるが、通常、断熱性能を発揮させるためには2kPa(約15Torr)以下である。本発明の真空断熱体の断熱効果を充分に発現させるためには、真空包装袋内部圧力は200Pa(約1.5Torr)以下であることが好ましく、20Pa以下であることがより好ましく、2Pa以下であることがさらに好ましい。真空包装袋内の空間部の圧力の下限に限定はないが、圧力は0.001Pa~2KPaの範囲にあってもよい。
(方法1)まず、少なくとも一方の表面にヒートシール層が配置された2枚の多層構造体を用意する。その2枚の多層構造体を、各々のヒートシール層が内側となるように重ね合わせ、任意の3辺をヒートシールして真空包装袋を作製する。次に、真空包装袋の内部に芯材を充填する。次に、真空包装袋の内部の空間を真空状態にし、そのままの状態で最後の辺をヒートシールする。このようにして真空断熱体が得られる。
(方法2)まず、1枚の多層構造体をヒートシ-ル層が内側となるように折り曲げ、任意の2辺をヒートシールして真空包装袋を作製する。次に、真空包装袋の内部に芯材を充填する。次に、真空包装袋の内部の空間を真空状態にし、そのままの状態で最後の辺をヒートシールする。このようにして真空断熱体が得られる。
(方法3)まず、2枚の多層構造体で芯材を挟むか、または多層構造体を折り曲げるようにして芯材を挟む。次に、多層構造体が重なっている周縁部を、真空排気口を残してヒートシールして内部に芯材が配置された真空包装袋を作製する。次に、真空包装袋の内部の空間を真空状態にし、そのままの状態で真空排気口をヒートシールする。このようにして真空断熱体が得られる。
本発明の真空断熱体は、保冷や保温が必要な各種用途に使用することができる。特に、本発明の真空断熱体は、高温高湿下で使用される場合にも、断熱性能の経時的な劣化が極めて起こり難いので、断熱材として充分な耐用期間を達成することが可能となり、給湯機用タンク、温水トイレ用タンク、自動販売機用タンク、燃料電池用タンク、自動車用タンク、食品などの保温用バッグ、温かいペットボトルや缶の保温用、洗濯機のドラムの保温用、コーヒーやお茶のサーバー、ジャーポットといった断熱性を必要とするあらゆる保温の用途にも有用である。
EVOH1:エチレン単位含有量32モル%、けん化度100モル%、MFR1.6g/10min(190℃、2160g荷重)
EVOH2:エチレン単位含有量44モル%、けん化度100モル%、MFR5.7g/10min(190℃、2160g荷重)
PVA:ポリビニルアルコール;株式会社クラレ製「クラレポバール(商標)60-98(商品名)
PET12:二軸延伸ポリエチレンレテフタレートフィルム;東レ株式会社製、「ルミラー(商標)P60」(商品名)、平均厚さ12μm
PE50:無延伸直鎖上低密度ポリエチレンフィルム;出光ユニテック株式会社製、「ユニラックス(登録商標)LS-760C、平均厚さ50μm
OPA15:二軸延伸ポリアミドフィルム;ユニチカ株式会社製、「エンブレム(登録商標)ON-BC」、平均厚さ15μm
CPP60:無延伸ポリプロピレンフィルム;三井化学東セロ株式会社製「CP RXC-22」、平均厚さ60μm
EVOH1のペレットを240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出し、引取速度100m/minで平均厚さ15μmの無延伸のEVOHフィルムである基材(X-1)を得た。
EVOH1のペレットを240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付けた以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、平均厚さ15μmの無延伸のEVOHフィルムである基材(X-2)を得た。
吐出量を変更して得られるフィルムの平均厚さを12μmとした以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、無延伸EVOHフィルムである基材(X-3)を得た。
EVOH2のペレットを用いた以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、平均厚さ15μmの無延伸EVOHフィルムである基材(X-4)を得た。
EVOH1のペレットを240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出し、平均厚さ170μmの未延伸EVOHフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムを80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸設備により90℃にて縦(MD)方向に3.2倍、横(TD)方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間熱処理を行い、全幅3.6m、平均厚さ15μmの二軸延伸EVOHフィルムである基材(X’-1)を得た。
吐出量を変更した以外は、製造例5と同様の方法で製膜、延伸及び熱処理を行い、平均厚さ12μmの二軸延伸EVOHフィルムである基材(X’-2)を得た。
EVOH1のペレット100質量部に対して、合成シリカ(富士シリシア化学株式会社製「サイリシア310P」レーザー法で測定された平均粒子径2.7μm)を0.03質量部になるようにタンブラーを用いてドライブレンドしてから240℃にて溶融した以外は、製造例1と同様の方法で無延伸EVOHフィルムである基材(X-5)を作製した。
引取速度を200m/minに変えたこと以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、平均厚さ15μmの無延伸EVOHフィルムである、基材(X’-3)を得た。
(1)層(Y)および層(Z)の平均厚さ
実施例及び比較例で得られた多層構造体をミクロトームでカットし断面を露出させた後、かかる断面を走査型電子顕微鏡(エス・アイ・アイナノテクノロジー社製「ZEISS ULTRA 55」)の反射電子検出器を用いて測定することで、層(Y)および層(Z)の平均厚さを測定した。
実施例及び比較例で得られた多層構造体を採取(縦1cm×横1cm)し、原子間力顕微鏡装置(日立ハイテクサイエンス社製環境制御型ユニット E-sweep)を使用し、JIS B0601:2001に準拠して、探針:SN-FF01(材質Si3N4)、走査モード:タッピングモード、走査範囲:3μm×3μm、画素数(X/Y):512×256、スキャン速度1.0Hzの条件で測定し、多層構造体の層(Y)表面側の表面粗さ(Ra)(2乗平均粗さ)を算出した。
実施例及び比較例で得られた多層構造体の層(Y)側の表面に、ドライラミネート用接着剤(三井化学社製「タケラックA-520」と「タケネートA-50」とを6/1の質量比で混合し、固形分濃度23質量%の酢酸エチル溶液としたもの)を、バーコーターを用いてコートし、50℃で5分間熱風乾燥させ接着層を形成させた後、かかる接着層の約半分をテフロン(登録商標)シートにて覆い、その上からPET12を積層させ、80℃に加熱したニップロールにてラミネートし、40℃で72時間養生し、層(Y)とPET12との界面が一部剥離した、基材(X)/層(Y)/接着層/(一部テフロン(登録商標)シート)PET12の層構成の測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを100mm×15mmの短冊に裁断し、通常状態(dry)及び含水状態(wet)でのT型剥離強度を測定した。含水状態(wet)での測定では、PET12および層(Y)の剥離面(界面)に0.5mLの水を滴下しJIS K 6854-1:1999に準じてT型剥離強度を測定した。測定は5回行い、平均値を採用した。測定条件は以下の通りとした。なお、PET12に層(Y)が付着していることを目視で確認することで、基材(X)と層(Y)間の剥離強度が測定できているものとした。また、T型剥離強度がdry状態では500gf/15mm以上、wet状態では420gf/15mm以上となると、PET12への層(Y)の付着が確認できないことから、500gf/15mm及び420gf/15mmをそれぞれの測定上限とした。
装置:株式会社島津製作所製オートグラフAGS-H
剥離速度:250mm/分
温度:23℃
湿度:50%RH
実施例及び比較例で得られた多層構造体を、酸素透過量測定装置にキャリアガス側に基材(X)が向くように取り付け、JIS K7126-2:2006に準じて等圧法により酸素透過度を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:MOCON社製MOCON OX-TRAN2/21
温度:20℃
酸素供給側の湿度:85%RH
キャリアガス側の湿度:0%RH
キャリアガス流量:10mL/分
酸素圧:1.0atm
実施例8で得られた真空断熱体を、作製後すぐに100℃で保管し、保管から1、30及び90日後に、熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製FOX314型)を用い、真空断熱体の一方の側を38℃とし、他方の面側を12℃とし、真空断熱体の熱伝導率を測定した。
製造例1で得られた基材(X-1)を巻き返しながら裁断し、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cm、長さ4000mのロールを得た。
表2に記載の通り、基材(X)の種類、基材(X)の平均厚み、層(Y)の有無、層(Y)の平均厚みを表1に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様の方法で多層構造体(2-1)~多層構造体(6-1)、多層構造体(C1-1)~多層構造体(C4-1)、多層構造体(2-2)~多層構造体(6-2)及び多層構造体(C1-2)~多層構造体(C4-2)を作製し、評価した。結果を表2に示す。なお、比較例4に相当する多層構造体C4-1は、基材(X)及び層(Y)の厚みが不均一であり、蒸着欠点が見られた。
製造例1で得られた基材(X-1)を巻き返しながら裁断し、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cm、長さ4000mのロールを得た。
製造例1で得られた基材(X-1)を巻き返しながら裁断し、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cm、長さ4000mのロールを得た。
実施例1で得られた多層構造体(1-1)を用いて、OPA15およびCPP60の片面のそれぞれに2液型の接着剤(三井化学株式会社製、「タケラックA-520」および「タケネートA-50」)を塗布し、OPA15層/接着剤層/層(Y)/基材(X-1)/接着剤層/CPP60層、という構成となるように、70℃のニップロールで圧着しながらラミネートし40℃で4日間エージングすることで、多層構造体(8-2)を得た。
70 第1搬送ロール(キャスティングロール)
80 第2搬送ロール
90 引取機
100 ビニルアルコール系重合体
101 ビニルアルコール系重合体フィルムロール
110 エアナイフ
Claims (11)
- ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の少なくとも一方の表面に、アルミニウム蒸着層(Y)が積層された構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が5.5nm以上30nm以下である、多層構造体。
- 前記ビニルアルコール系重合体が、エチレン単位含有量10~65モル%であり、けん化度90モル%以上のエチレン-ビニルアルコール共重合体である、請求項1に記載の多層構造体。
- アルミニウム蒸着層(Y)の平均厚さが15nm以上150nm以下である、請求項1または2に記載の多層構造体。
- アルミニウム蒸着層(Y)がビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の両面に積層される、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層構造体。
- JIS K7126-2:2006に準拠して測定した、20℃、85%RHにおける酸素透過度が1.5cc/m2・day・atm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 剥離界面に水を滴下しながら、JIS K6854-3:1999に準拠して測定した、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)とアルミニウム蒸着層(Y)とのT型剥離強度が250gf/15mm以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体。
- アルミニウム蒸着層(Y)の一方の面に有機高分子を含む層(Z)が積層された構造を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の多層構造体。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法であって、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の表面温度が60℃以下の状態でアルミニウム蒸着層(Y)を形成する工程を備える、多層構造体の製造方法。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、包装材。
- 請求項9に記載の包装材の内部が減圧されてなる、真空包装袋。
- 請求項10に記載の真空包装袋が、内部に芯材を備える、真空断熱体。
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JP2020013095A JP7357560B2 (ja) | 2020-01-30 | 2020-01-30 | 多層構造体並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体 |
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