JP7357560B2 - 多層構造体並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体 - Google Patents

多層構造体並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム蒸着層を有する多層構造体並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体に関する。
ウレタンフォーム(ポリウレタンフォーム)からなる断熱体が、冷蔵庫用断熱材、住宅用断熱パネルなどとして用いられている。近年、これに代わる断熱体として真空断熱体も使用されている。真空断熱体は、ウレタンフォームからなる断熱体と同等の断熱特性を、より薄くより軽い断熱体により提供可能である。真空断熱体は、ヒートポンプ応用機器などの熱移動機器、蓄熱機器、居住空間、車両内空間などを断熱するために用いる断熱体として、その用途と需要とを広げつつある。
真空断熱体としては、例えば、真空包装袋と、該真空包装袋により囲まれた内部に配置された芯材とを備える構成が挙げられる。真空断熱体に用いられる真空包装袋に要求される特性の一つはガスバリア性である。このため、ガスバリア性を高めた真空包装袋およびそれに用いるガスバリア性フィルムの検討がなされており、例えば、アルミニウム蒸着層やシリカ蒸着層を備えるフィルムが提供されている。
これらの蒸着層は、通常、厚みが数十nm~百数十nm程度の薄い層であるために、安定的なバリア性を有するフィルムを製造するためには、基材フィルムとの密着性を十分に確保することが必要であった。例えば、特許文献1では、ビニルアルコール系重合体及び飽和ケトンを含む基材フィルム上に蒸着層を積層させた蒸着フィルムであって、前記飽和ケトンの含有量が0.01ppm以上100ppm以下である蒸着フィルムが、基材フィルムに対する蒸着層の密着性に優れることが記載されている。
特開2015-071248号公報
しかしながら、上記従来のフィルムでは長期使用や高温高湿等、より過酷な条件下における基材と蒸着層との密着性が十分でない場合があり、例えば、上記従来のフィルムを真空包装袋として使用し真空断熱体を作製した場合、過酷条件下での使用により断熱性能が著しく低下する場合があった。
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、その目的は、通常条件下における基材と蒸着層との密着性を維持しつつ、過酷条件下における基材と蒸着層との密着性に優れる多層構造体並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体を提供することである。
すなわち、本発明は
[1]ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の少なくとも一方の表面に、アルミニウム蒸着層(Y)が積層された構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が3.0nm以上50nm以下である、多層構造体;
[2]前記ビニルアルコール系重合体が、エチレン単位含有量10~65モル%であり、けん化度90モル%以上のエチレン-ビニルアルコール共重合体である、[1]の多層構造体;
[3]アルミニウム蒸着層(Y)の平均厚さが15nm以上150nm以下である、[1]または[2]の多層構造体;
[4]アルミニウム蒸着層(Y)がビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の両面に積層される、[1]~[3]のいずれかの多層構造体;
[5]JIS K7126-2:2006に準拠して測定した、20℃、85%RHにおける酸素透過度が1.5cc/m・day・atm以下である、[1]~[4]のいずれかの多層構造体;
[6]剥離界面に水を滴下しながら、JIS K6854-3:1999に準拠して測定した、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)とアルミニウム蒸着層(Y)とのT型剥離強度が250gf/15mm以上である、[1]~[5]のいずれかの多層構造体;
[7]アルミニウム蒸着層(Y)の一方の面に有機高分子を含む層(Z)が積層された構造を有する、[1]~[6]のいずれかの多層構造体;
[8][1]~[7]のいずれかの多層構造体の製造方法であって、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の表面温度が60℃以下の状態でアルミニウム蒸着層(Y)を形成する工程を備える、多層構造体の製造方法;
[9][1]~[7]のいずれかの多層構造体を含む、包装材;
[10][9]の包装材の内部が減圧されてなる、真空包装袋;
[11][10]の真空包装袋が、内部に芯材を備える、真空断熱体;
により、達成される。
本発明によれば、通常条件下における基材と蒸着層との密着性を維持しつつ、過酷条件下における基材と蒸着層との密着性に優れる多層構造体、並びに前記多層構造体を備える包装材、真空包装袋及び真空断熱体を提供できる。
基材(X)を製膜する溶融押出装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において特定の機能を発現する材料として具体的な材料(化合物等)を例示する場合があるが、本発明はそのような材料を使用した態様に限定されない。また、例示される材料は、特に記載がない限り、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
本発明の多層構造体は、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の少なくとも一方の表面に、アルミニウム蒸着層(Y)が積層された構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が3.0nm以上50nm以下である。特に、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が3.0nm以上50nm以下であることで、過酷条件下における基材(X)と層(Y)との密着性が良好となる傾向となる。その理由は定かではないが、基材(X)の表面粗さ(Ra)が特定の値を上回ることで、基材(X)と層(Y)との界面積が増大され、蒸着されるアルミニウムの投錨効果が増加する点が、一つの要因であると考えられる。以下、本明細書において「過酷条件下における基材(X)と層(Y)との密着性」を「過酷条件下密着性」と略記する場合がある。なお、過酷条件下の密着性が優れることで、汎用条件下において長期的に性能が維持できる傾向となるため、例えば本発明の真空包装袋及び真空断熱体は、より長期的に安定的な性能を発揮できる傾向となる。
[基材(X)]
本発明の多層構造体は、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)を有する。ここで、「主成分とする」とは、基材(X)を構成するフィルムにおけるビニルアルコール系重合体の割合が50質量%超であることを意味し、かかる割合は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、基材(X)は実質的にビニルアルコール系重合体のみからなるフィルムであってよい。本発明の多層構造体が基材(X)を有することで、本発明の多層構造体のガスバリア性及び過酷条件下密着性が良好となる傾向となる。
ビニルアルコール系重合体としては、ビニルエステル単位がけん化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、例えば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と略記する場合がある。)や、エチレン-ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略記する場合がある。)が挙げられる。ビニルアルコール系重合体は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
PVAは、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステルを単独重合し、さらにそれをけん化して製造される。また、PVAは変性PVAであってもよく、たとえば、酢酸ビニルと酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体を共重合させた後にけん化して製造されるものであっても、PVAを後変性して製造されるものであってもよく、その変性量としては通常10モル%未満である。
上記酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類、3-ブテン-1-オール、4-ペンチン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキンラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ビニレンカーボネート、等が挙げられる。
また、上記後変性の方法としては、PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
PVAの数平均重合度は1,100~4,000が好ましく、1,200~2,600がより好ましい。PVAの重合度が上記範囲であると、得られるフィルムの機械強度や加工性が良好となる傾向にある。また、PVAのけん化度は95~100モル%が好ましく、99~100モル%でがより好ましい。かかるけん化度が上記範囲であると、得られるフィルムの耐湿性が良好となる傾向にある。
EVOHは、通常10~65モル%のエチレンとビニルエステルとの共重合体をけん化して得られるものであり、かかるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
EVOHのエチレン単位含有量は10~65モル%であることが好ましく、15~55モル%であることがより好ましく、20~50モル%であることがさらに好ましい。エチレン単位含有量が10モル%以上であると溶融成形性が向上する傾向となり、エチレン単位含有量が65モル%以下であるとガスバリア性が良好となる傾向となる。なお、かかるEVOHのエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
EVOHのけん化度は90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。けん化度が90モル%以上であると、高湿下でのガスバリア性が良好となる傾向となる。一方、EVOHのけん化度は100モル%以下であってもよい。なお、EVOHが、異なる2種類以上のEVOHの配合物を含む場合には、配合重量比から算出されるそれぞれのエチレン単位含有量またはけん化度を、EVOHのエチレン含有量またはけん化度とする。
EVOHは、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレンとビニルエステル及びそのけん化物以外の他の単量体由来の単位を有していてもよい。EVOHが前記他の単量体単位を有する場合、EVOHの全構造単位に対する前記他の単量体単位の含有量は30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下が特に好ましい。また、EVOHが上記他の単量体由来の単位を有する場合、その下限値は0.05モル%であってもよいし0.10モル%であってもよい。前記他の単量体としては、例えば、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン;3-アシロキシ-1-プロペン、3-アシロキシ-1-ブテン、4-アシロキシ-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-1-ブテン、3-アシロキシ-4-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-1-ペンテン、5-アシロキシ-1-ペンテン、4,5-ジアシロキシ-1-ペンテン、4-アシロキシ-1-ヘキセン、5-アシロキシ-1-ヘキセン、6-アシロキシ-1-ヘキセン、5,6-ジアシロキシ-1-ヘキセン、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン等のエステル基を有するアルケン又はそのけん化物;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、又はモノ若しくはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β-メトキシ-エトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等ビニルシラン化合物;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
EVOHは、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の手法で後変性されたEVOHであってもよい。
EVOHのJIS K 7210:2014に準拠して測定した、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)は0.5g/10min以上が好ましく、1.0g/10min以上がより好ましい。一方、EVOHのMFRは20g/10min以下が好ましく、10g/10min以下がより好ましく、5.0g/10min以下がさらに好ましい。EVOHのMFRが上記範囲であると溶融成形性に優れる傾向となる。
基材(X)は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、例えば、ビニルアルコール系重合体以外の樹脂、カルボン酸化合物、リン酸化合物、ホウ素化合物、金属塩、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、乾燥剤、各種繊維などの補強剤などのその他の成分を含有してもよい。特に、ビニルアルコール系重合体としてEVOHを用いる場合、熱安定性や粘度調整の観点では、金属塩、カルボン酸化合物、リン酸化合物およびホウ素化合物などを含むことが好ましい。
基材(X)の製膜方法は公知のものを適用でき、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にビニルアルコール系重合体の溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によって製膜される。
基材(X)を溶融押出する例について、図1を参照しながら説明する。図1に示す押出装置はビニルアルコール系重合体100を溶融押出するダイ60と、ダイ60より押し出されたビニルアルコール系重合体100を搬送する第1搬送ロール(キャスティングロール)70、第2搬送ロール80及び引取機90と、ビニルアルコール系重合体100のキャスティングロール70とは反対側に配置されるエアナイフ110とを備える。エアナイフ110からは、任意の強さでエアーAを吹き付けることができる。この押出装置により、ビニルアルコール系重合体100を溶融押出し、キャスティングロール70及び第2搬送ロール80により搬送されながら引取機90に巻き取ることにより、ビニルアルコール系重合体100のフィルムロール101が得られる。
溶融成形時の条件は、上記ビニルアルコール系重合体を溶融できる範囲において、任意の条件を用いることができる。引取機90におけるビニルアルコール系重合体100の引取速度は生産性の観点から20m/min以上が好ましい。また、引取機90の引き取り速度は、表面粗さ(Ra)を制御するという観点から150m/min以下が好ましく、120m/min以下がより好ましい。基材(X)の引取速度が高くなると、溶融樹脂が硬化する前に張力を受け、さらにキャストロールと基材(X)との間に多量の空気を含む結果、表面粗さ(Ra)が増大する傾向となる。また、これらのフィルムは、本発明の効果を発現する範疇において、延伸や熱処理を実施していても良い。
基材(X)の平均厚さは特に制限されないが、工業的な生産性の観点から、5~100μmであることが好ましく、8~50μmであることがより好ましく、10~20μmであることが特に好ましい。
基材(X)は、UVオゾン処理、高濃度オゾン水処理、エキシマオゾン処理、コロナ処理、酸素プラズマ処理、またはAPプラズマ処理等の表面処理を行うことで、基材(X)の表面粗さ(Ra)を向上させることができるが、表面処理により生じるオリゴマーによるアルミ蒸着抜けの懸念、製造コストの観点から、基材(X)は表面処理されていないことが好ましい。
[層(Y)]
本発明の多層構造体は、アルミニウム蒸着層(Y)を含むことでガスバリア性及び過酷条件下密着性に優れる傾向となる。ここで「アルミニウム蒸着層」とは、アルミニウムを主たる成分として含む蒸着層を意味し、蒸着層におけるアルミニウムの割合が50質量%超であり、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、実質的にアルミニウムのみからなる蒸着層であることがさらに好ましい。なお、蒸着の際に酸化アルミニウムが不可避的に生じてしまう場合においては、一部酸化アルミニウムが含まれてしまう場合があるが、不可避的に含まれる程度の酸化アルミニウムは、本発明の効果に影響を与えるものではない。本発明の多層構造体は、基材(X)の両面に層(Y)を備えることがガスバリア性をより高める観点から好ましい。
層(Y)の平均厚みの下限としては、15nmが好ましく、20nmがより好ましく、30nmがさらに好ましい。層(Y)の平均厚さの上限としては、150nmが好ましく、130nmがより好ましく、100nmがさらに好ましい。蒸着層の平均厚みが上記下限以上であると、ガスバリア性が良好となる傾向となる。一方、蒸着層の平均厚みが上記上限以下であると、本発明の多層構造体を用いた真空断熱体においてヒートブリッジの発生が起こり辛く、断熱性能が良好となる傾向となる。
層(Y)の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)などを挙げることができる。中でも、生産性の観点から、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着を行う際の加熱方式としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式および誘導加熱方式のいずれかが好ましい。また、層(Y)が形成される基材(X)との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を採用して蒸着してもよい。
蒸着を行う際の基材フィルムの表面温度の上限としては、60℃が好ましく、55℃がより好ましく、50℃がさらに好ましい。また、蒸着時の基材フィルムの表面温度の下限としては、特に限定されないが、0℃が好ましく、10℃がより好ましく、20℃がさらに好ましい。
層(Y)はアルミニウム蒸着層であるため、優れた遮光性や金属光沢を有しており、食品包材や加飾フィルムにおいては、紫外線透過による内容物または基材の劣化を抑制することができる。一方、真空断熱板用途においては、上記に加え、近赤外~赤外線を反射することにより、断熱性能に優れる多層構造体を提供することができる。
[構造(XY)]
本発明の多層構造体は、基材(X)の少なくとも一方の表面に層(Y)が積層された構造(XY)を有する。ここで、「積層された」とは、基材(X)と層(Y)の間に接着層を介していてもよいが、過酷条件下密着性を高める観点から、基材(X)と層(Y)が直接積層されていることが好ましい。本発明の多層構造体が構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が3.0nm以上50nm以下であることで、高いガスバリア性及び密着性を有しつつ、過酷条件下密着性にも優れる傾向となる。
構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)は、界面積や投錨効果増加により密着性が向上する観点から3.0nm以上であり、5.5nm以上が好ましく、7.0nm以上がより好ましい。また、蒸着抜けによってアルミニウム蒸着層のバリア性が低下しない観点から、表面粗さ(Ra)は50nm以下であり、30nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。表面粗さ(Ra)は、例えば、溶融押出後の引取速度、延伸及び熱処理の条件等によって調整できる。特に、基材(X)の延伸を行った場合、配向結晶化により結晶サイズが微少化し、表面粗さ(Ra)が小さくなる傾向となる。したがって、基材(X)は無延伸であることが好ましい。また、蒸着時のフィルムの強度の観点から、基材(X)が無延伸である場合はMD方向に微配向していることが好ましく、かかる微配向は基材(X)の押出成形によって形成される傾向となる。
構造(XY)の基材(X)と層(Y)との間の通常条件下における密着性は、JIS K6854-3:1999に準拠して測定したT型剥離強度によって評価でき、具体的な手法は実施例に記載の通りの手段が適用できる。上記T型剥離強度は300gf/15mm以上が好ましく、400gf/15mm以上がより好ましく、500gf/15mm以上がさらに好ましい。上記T型剥離強度は10kgf/15mm以下であってもよいし、5kgf/15mm以下であってもよい。
構造(XY)の基材(X)と層(Y)との間の過酷条件下密着性は、剥離界面に水を滴下しながらJIS K6854-3:1999に準拠して測定したT型剥離強度によって評価でき、具体的な手法は実施例に記載の通りの手段が適用できる。上記T型剥離強度は250gf/15mm以上が好ましく、350gf/15mm以上がより好ましく、400gf/15mm以上がさらに好ましい。上記T型剥離強度は10kgf/15mm以下であってもよいし、5kgf/15mm以下であってもよい。
[層(Z)]
本発明の多層構造体は、層(Y)の保護特性の観点から層(Y)の一方の面に有機高分子を含む層(Z)(以下「層(Z)」と略記する場合がある)が積層された構造を有してもよい。ここで、「積層された」とは、接着層を介して積層されていてもよいことを示しているが、より層(Y)の保護特性に優れる観点から層(Z)と層(Y)は直接積層されていることが好ましい。
層(Z)に含まれる有機高分子は、水酸基、カルボン酸基およびリン原子を含む官能基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有する有機高分子が含まれることが好ましい。また、該有機高分子は異なる官能基を有する2種類以上の有機高分子の混合物であっても良い。
水酸基を有する有機高分子としては、例えば基材(X)の材料として例示されたビニルアルコール系重合体が挙げられる。カルボン酸基を有する有機高分子としては、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、またはアクリル酸とメタクリル酸との共重合体、およびこれらの重合体中のカルボキシル基の一部が塩になっている重合体が挙げられる。
リン原子を含む官能基としては、例えば、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、およびこれらから誘導される官能基(例えば、塩、(部分)エステル化合物、ハロゲン化物(例えば、塩化物)、脱水物)等を挙げることができ、中でもリン酸基およびホスホン酸基が好ましく、ホスホン酸基がより好ましい。リン原子を含む官能基を有する高分子としては、例えば、アクリル酸6-[(2-ホスホノアセチル)オキシ]ヘキシル、メタクリル酸2-ホスホノオキシエチル、メタクリル酸ホスホノメチル、メタクリル酸11-ホスホノウンデシル、メタクリル酸1,1-ジホスホノエチル等のホスホノ(メタ)アクリル酸エステル類の重合体;ビニルホスホン酸、2-プロペン-1-ホスホン酸、4-ビニルベンジルホスホン酸、4-ビニルフェニルホスホン酸等のホスホン酸類の重合体;ビニルホスフィン酸、4-ビニルベンジルホスフィン酸等のホスフィン酸類の重合体;リン酸化デンプン等が挙げられる。重合体は、少なくとも1種のリン原子を含む官能基を有する単量体の単独重合体であってもよいし、2種以上の単量体の共重合体であってもよい。また、重合体として、単一の単量体からなる重合体を2種以上混合して使用してもよい。中でも、ホスホノ(メタ)アクリル酸エステル類の重合体およびビニルホスホン酸類の重合体が好ましく、ビニルホスホン酸類の重合体がより好ましい。すなわち、重合体としては、ポリ(ビニルホスホン酸)が好ましい。また、重合体は、ビニルホスホン酸ハロゲン化物やビニルホスホン酸エステル等のビニルホスホン酸誘導体を単独または共重合した後、加水分解することによっても得ることができる。
層(Z)は、さらにハロゲン原子およびアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの基が結合した金属原子を含む少なくとも1種の化合物(L)の加水分解縮合物を含んでいても良い。化合物(L)の加水分解縮合物が層(Z)に含まれることによりバリア性が改善する事例が認められた。その原因については明確にはなっていないが、化合物(L)の存在により層(Y)と層(Z)の密着性を改善する効果があるものと考えられる。
[化合物(L)]
化合物(L)が加水分解されることによって、化合物(L)の加水分解可能な特性基の少なくとも一部が水酸基に置換される。さらに、その加水分解物が縮合することによって、金属原子が酸素を介して結合された化合物である加水分解縮合物が形成される。ここで、この加水分解縮合が起こるためには、化合物(L)が加水分解可能な特性基(官能基)を有していることが重要である。それらの基が結合していない場合、加水分解縮合反応が起こらないか極めて緩慢になるため、本発明の効果を得ることは困難になる。なお、Siは、半金属元素に分類される場合があるが、本明細書では、Siを金属として説明する。化合物(L)が有する加水分解可能な特性基としては、後述する式(I)のX等が挙げられる。加水分解縮合物は、例えば、公知のゾルゲル法で用いられる手法を用いて特定の原料から製造できる。原料には、化合物(L)、化合物(L)が部分的に加水分解したもの、化合物(L)が完全に加水分解したもの、化合物(L)が部分的に加水分解縮合したもの、化合物(L)が完全に加水分解しその一部が縮合したもの、或いはこれらを組み合わせたものを使用できる。これらの原料は、公知の方法で製造してもよいし、市販されているものを用いてもよい。特に限定はないが、例えば2~10個程度の分子が加水分解縮合することによって得られる縮合物を、原料として使用できる。
化合物(L)は、下記一般式(I)
SiX (4-r) (I)
[上記式(I)中、Xは、F、Cl、Br、I、RO-、RCOO-、(RCO)CH-、およびNOからなる群より選ばれるいずれか1つを表し、R、R、R、およびRは、それぞれ独立してアルキル基、アラルキル基、アリール基、およびアルケニル基からなる群より選ばれるいずれか1つの基を表し、rは1~4の整数を表す。複数のXが存在する場合、それらのXは互いに同一であってもよいし異なってもよい。複数のRが存在する場合、それらのRは互いに同一であってもよいし異なってもよい。]
で示される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
化合物(L)の具体例には、テトラクロロシラン、テトラブロモシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン、およびビニルトリクロロシランが含まれる。中でも、化合物(L)として、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランが好ましい。
[接着層(H)]
本発明の多層構造体において、接着層(H)を介して他の部材(例えば熱可塑性樹脂フィルム層、紙層等の他の層など)と積層することができる。接着性樹脂からなる接着層(H)は、基材(X)や層(Y)または層(Z)の表面に公知の接着剤を塗布することによって形成できる。当該接着剤としては、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを混合し反応させる二液反応型ポリウレタン系接着剤が好ましい。また、アンカーコーティング剤や接着剤に、公知のシランカップリング剤などの少量の添加剤を加えることによって、さらに接着性を高めることができる場合がある。シランカップリング剤の好適な例としては、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基などの反応性基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。本発明の多層構造体と他の部材とを接着層(H)を介して強く接着することによって、本発明の真空断熱体の真空包装袋を製造する際や加工を施す際に、バリア性や外観の悪化をより効果的に抑制することができる。
接着層(H)を厚くすることによって、本発明の多層構造体の強度を高めることができる。しかし、接着層(H)を厚くしすぎると、外観が悪化する傾向がある。接着層(H)の平均厚さは0.03~0.18μmの範囲にあることが好ましく、0.04~0.14μmの範囲にあることがより好ましく、0.05~0.10μmの範囲にあることが特に好ましい。接着層(H)の平均厚さをこの範囲とすることで、本発明の真空断熱体に用いられる真空包装袋を製造する際や加工を施す際に、バリア性や外観の悪化を抑制することができ、さらに、本発明の真空断熱体の耐衝撃性を高めることができる。
本発明の多層構造体は、該多層構造体以外の他の部材(例えば熱可塑性樹脂フィルム層、紙層等の他の層など)と積層することができる。積層は直接または接着層(H)を介して接着または形成することにより可能である。具体的な構成は、後述する真空包装袋の構成例で示すものを挙げることができる。
本発明によれば、以下の性能を満たす多層構造体を得ることが可能である。
(性能1)JIS K7126-2:2006に準拠して測定した、20℃、85%RHにおける酸素透過度が1.5cc/m・day・atm以下である。
[真空包装袋]
真空包装袋は、内部を減圧して用いられる包装材であり、内部と外部とを隔てる隔壁としてフィルム材(以下、「ラミネート体」と呼ぶことがある)を備えている。本発明の真空包装袋は、基材(X)、層(Y)あるいは基材(X)、層(Y)および層(Z)からなる本発明の多層構造体と該多層構造体以外の他の部材(例えば熱可塑性樹脂フィルム層、紙層等の他の層など)から構成される。また、真空包装袋は、該多層構造体を複数含んでもよい。そのような他の部材(他の層など)を有する真空包装袋は、当該他の部材(他の層など)を直接または接着層を介して接着または形成することによって製造することができる。真空包装袋が、このような他の部材(他の層など)を備えることによって、真空包装袋の特性を向上させたり、新たな特性を付与したりすることができる。例えば、本発明の真空包装袋にヒートシール性を付与したり、バリア性や力学的物性をさらに向上させたりすることができる。
特に、真空包装袋の表面層をポリオレフィン層(以下、PO層と略すことがある)とすることによって、真空包装袋にヒートシール性を付与したり、真空包装袋の力学的特性を向上させたりすることができるため好ましい。ヒートシール性や力学的特性をより一層向上させる観点から、ポリオレフィンはポリプロピレンまたはポリエチレンであることが好ましい。また、真空包装袋の力学的特性を向上させるために、他の層として、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムおよびポリビニルアルコール系フィルムからなる群より選ばれる少なくとも1つのフィルムを積層することが好ましい。力学的特性の向上の観点から、ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく、ポリアミドとしてはナイロン-6が好ましく、ポリビニルアルコール系フィルムとしてはエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましい。なお各層の間には必要に応じて、接着層(H)を設けてもよい。
本発明の真空断熱体に用いられる真空包装袋は、たとえば、真空断熱体の外側となる層から内側となる層に向かって、以下の構成を有していてもよい。以下の構成において、「/」は、「/」を挟む2層が直接的に積層されていることを表す。また、「//」は、「//」を挟む2層が接着層(H)を介して間接的に積層されていることを表す。
(1)層(Y)/基材(X)//PO層、
(2)ポリエステル層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(3)ポリアミド層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(4)PO層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(5)層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(6)ポリエステル層//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(7)ポリアミド層//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(8)PO層//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(9)ポリエステル層/層(Y)//基材(X)//PO層、
(10)ポリアミド層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(11)PO層//層(Y)/基材(X)//PO層、
(12)ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(13)ポリアミド層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(14)PO層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(15)ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(16)ポリアミド層/層(Y)//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(17)PO層/層(Y)//層(Y)/基材(X)/層(Y)//PO層、
(18)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(19)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(20)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(21)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Y)/基材(X)//PO層、
(22)層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(23)ポリエステル層//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(24)ポリアミド層//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(25)PO層//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(26)層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(27)ポリエステル層//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(28)ポリアミド層//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(29)PO層//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(30)ポリエステル層/層(Z)/層(Y)//基材(X)//PO層、
(31)ポリアミド層/層(Z)/層(Y)//基材(X)//PO層、
(32)PO層/層(Z)/層(Y)//基材(X)//PO層、
(33)ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(34)ポリアミド層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(35)PO層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(36)ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)//層(Z)/PO層、
(37)ポリアミド層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(38)PO層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)/層(Y)/層(Z)//PO層、
(39)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(40)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(41)ポリアミド層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
(42)PO層//ポリエステル層/層(Y)//層(Z)/層(Y)/基材(X)//PO層、
以上に例示した真空包装袋の構成の中でも、下記の要件の少なくとも1つ以上を備えていることが好ましい。
(1)少なくとも1層の基材(X)が少なくとも1層の層(Y)よりも芯材側に位置する。
(2)少なくとも1層の層(Y)が、少なくとも1層の基材(X)に直接積層されている。
[芯材]
本発明の真空断熱体に使用される芯材は、断熱性を有するものである限り特に制限はない。たとえば、芯材として、パーライト粉末、シリカ粉末、沈降シリカ粉末、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ガラスウール、ロックウール、および樹脂の発泡体(たとえばスチレンフォームやウレタンフォーム)などが例示できる。また、芯材として、樹脂や無機材料製の中空容器や、ハニカム状構造体などを使用してもよい。また、必要に応じて、水蒸気やガスなどを吸着する吸着材を芯材に含んでもよい。
[真空断熱体]
本発明の真空断熱体においては、真空包装袋内の空間部は真空状態にある。ここでいう真空状態とは必ずしも絶対的な真空状態を意味せず、真空包装袋内の空間部の圧力が大気圧より充分に低いことを示す。内部圧力は、必要な性能と製造の容易さなどから決定されるが、通常、断熱性能を発揮させるためには2kPa(約15Torr)以下である。本発明の真空断熱体の断熱効果を充分に発現させるためには、真空包装袋内部圧力は200Pa(約1.5Torr)以下であることが好ましく、20Pa以下であることがより好ましく、2Pa以下であることがさらに好ましい。真空包装袋内の空間部の圧力の下限に限定はないが、圧力は0.001Pa~2KPaの範囲にあってもよい。
本発明の真空断熱体を作製後すぐに100℃で保管し、保管から1日後の熱伝導率の上限としては、3.0mW/(m・K)が好ましく、2.5mW/(m・K)がより好ましい。一方、上記保管から1日後の熱伝導率の下限としては、1.0mW/(m・K)が好ましく、1.2mW/(m・K)がより好ましい。上記熱伝導率が上記上限を超えると、当該真空断熱体の断熱性能が不十分となるおそれがある。逆に、上記熱伝導率が上記下限未満の場合、当該真空断熱体の製造コストが増大するおそれがある。ここで、「熱伝導率」とは、JIS-A1412-1(1999)に準拠し測定される値である。
本発明の真空断熱体は長期間に亘り断熱性能を保持することができる。断熱性能としては、本発明の真空断熱体を作製後すぐに100℃で保管し、保管から90日後の熱伝導率が4.8mW/(m・K)以下であることが好ましく、4.5mW/(m・K)以下であることがより好ましい。保管から90日後の熱伝導率は、2.0mW/(m・K)以上であってもよい。
本発明の真空断熱体は、通常行なわれている方法によって製造できる。使用目的等に応じ、任意の形状および大きさの真空断熱体を形成できる。例えば、以下の方法1~3によって本発明の真空断熱体を製造できる。
(方法1)まず、少なくとも一方の表面にヒートシール層が配置された2枚の多層構造体を用意する。その2枚の多層構造体を、各々のヒートシール層が内側となるように重ね合わせ、任意の3辺をヒートシールして真空包装袋を作製する。次に、真空包装袋の内部に芯材を充填する。次に、真空包装袋の内部の空間を真空状態にし、そのままの状態で最後の辺をヒートシールする。このようにして真空断熱体が得られる。
(方法2)まず、1枚の多層構造体をヒートシ-ル層が内側となるように折り曲げ、任意の2辺をヒートシールして真空包装袋を作製する。次に、真空包装袋の内部に芯材を充填する。次に、真空包装袋の内部の空間を真空状態にし、そのままの状態で最後の辺をヒートシールする。このようにして真空断熱体が得られる。
(方法3)まず、2枚の多層構造体で芯材を挟むか、または多層構造体を折り曲げるようにして芯材を挟む。次に、多層構造体が重なっている周縁部を、真空排気口を残してヒートシールして内部に芯材が配置された真空包装袋を作製する。次に、真空包装袋の内部の空間を真空状態にし、そのままの状態で真空排気口をヒートシールする。このようにして真空断熱体が得られる。
[用途]
本発明の真空断熱体は、保冷や保温が必要な各種用途に使用することができる。特に、本発明の真空断熱体は、高温高湿下で使用される場合にも、断熱性能の経時的な劣化が極めて起こり難いので、断熱材として充分な耐用期間を達成することが可能となり、給湯機用タンク、温水トイレ用タンク、自動販売機用タンク、燃料電池用タンク、自動車用タンク、食品などの保温用バッグ、温かいペットボトルや缶の保温用、洗濯機のドラムの保温用、コーヒーやお茶のサーバー、ジャーポットといった断熱性を必要とするあらゆる保温の用途にも有用である。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した材料を示す。
EVOH1:エチレン単位含有量32モル%、けん化度100モル%、MFR1.6g/10min(190℃、2160g荷重)
EVOH2:エチレン単位含有量44モル%、けん化度100モル%、MFR5.7g/10min(190℃、2160g荷重)
PVA:ポリビニルアルコール;株式会社クラレ製「クラレポバール(商標)60-98(商品名)
PET12:二軸延伸ポリエチレンレテフタレートフィルム;東レ株式会社製、「ルミラー(商標)P60」(商品名)、平均厚さ12μm
PE50:無延伸直鎖上低密度ポリエチレンフィルム;出光ユニテック株式会社製、「ユニラックス(登録商標)LS-760C、平均厚さ50μm
OPA15:二軸延伸ポリアミドフィルム;ユニチカ株式会社製、「エンブレム(登録商標)ON-BC」、平均厚さ15μm
CPP60:無延伸ポリプロピレンフィルム;三井化学東セロ株式会社製「CP RXC-22」、平均厚さ60μm
[製造例1]
EVOH1のペレットを240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出し、引取速度100m/minで平均厚さ15μmの無延伸のEVOHフィルムである基材(X-1)を得た。
[製造例2]
EVOH1のペレットを240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付けた以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、平均厚さ15μmの無延伸のEVOHフィルムである基材(X-2)を得た。
[製造例3]
吐出量を変更して得られるフィルムの平均厚さを12μmとした以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、無延伸EVOHフィルムである基材(X-3)を得た。
[製造例4]
EVOH2のペレットを用いた以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、平均厚さ15μmの無延伸EVOHフィルムである基材(X-4)を得た。
[製造例5]
EVOH1のペレットを240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出し、平均厚さ170μmの未延伸EVOHフィルムを作製した。得られた未延伸フィルムを80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸設備により90℃にて縦(MD)方向に3.2倍、横(TD)方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間熱処理を行い、全幅3.6m、平均厚さ15μmの二軸延伸EVOHフィルムである基材(X’-1)を得た。
[製造例6]
吐出量を変更した以外は、製造例5と同様の方法で製膜、延伸及び熱処理を行い、平均厚さ12μmの二軸延伸EVOHフィルムである基材(X’-2)を得た。
[製造例7]
EVOH1のペレット100質量部に対して、合成シリカ(富士シリシア化学株式会社製「サイリシア310P」レーザー法で測定された平均粒子径2.7μm)を0.03質量部になるようにタンブラーを用いてドライブレンドしてから240℃にて溶融した以外は、製造例1と同様の方法で無延伸EVOHフィルムである基材(X-5)を作製した。
[製造例8]
引取速度を200m/minに変えたこと以外は、製造例1と同様の方法で製膜し、平均厚さ15μmの無延伸EVOHフィルムである、基材(X’-3)を得た。
<評価方法>
(1)層(Y)および層(Z)の平均厚さ
実施例及び比較例で得られた多層構造体をミクロトームでカットし断面を露出させた後、かかる断面を走査型電子顕微鏡(エス・アイ・アイナノテクノロジー社製「ZEISS ULTRA 55」)の反射電子検出器を用いて測定することで、層(Y)および層(Z)の平均厚さを測定した。
(2)表面粗さ(Ra)
実施例及び比較例で得られた多層構造体を採取(縦1cm×横1cm)し、原子間力顕微鏡装置(日立ハイテクサイエンス社製環境制御型ユニット E-sweep)を使用し、JIS B0601:2001に準拠して、探針:SN-FF01(材質Si3N4)、走査モード:タッピングモード、走査範囲:3μm×3μm、画素数(X/Y):512×256、スキャン速度1.0Hzの条件で測定し、多層構造体の層(Y)表面側の表面粗さ(Ra)(2乗平均粗さ)を算出した。
(3)dry状態及びwet状態における基材(X)と層(Y)とのT型剥離強度
実施例及び比較例で得られた多層構造体の層(Y)側の表面に、ドライラミネート用接着剤(三井化学社製「タケラックA-520」と「タケネートA-50」とを6/1の質量比で混合し、固形分濃度23質量%の酢酸エチル溶液としたもの)を、バーコーターを用いてコートし、50℃で5分間熱風乾燥させ接着層を形成させた後、かかる接着層の約半分をテフロン(登録商標)シートにて覆い、その上からPET12を積層させ、80℃に加熱したニップロールにてラミネートし、40℃で72時間養生し、層(Y)とPET12との界面が一部剥離した、基材(X)/層(Y)/接着層/(一部テフロン(登録商標)シート)PET12の層構成の測定用サンプルを作製した。得られた測定用サンプルを100mm×15mmの短冊に裁断し、通常状態(dry)及び含水状態(wet)でのT型剥離強度を測定した。含水状態(wet)での測定では、PET12および層(Y)の剥離面(界面)に0.5mLの水を滴下しJIS K 6854-1:1999に準じてT型剥離強度を測定した。測定は5回行い、平均値を採用した。測定条件は以下の通りとした。なお、PET12に層(Y)が付着していることを目視で確認することで、基材(X)と層(Y)間の剥離強度が測定できているものとした。また、T型剥離強度がdry状態では500gf/15mm以上、wet状態では420gf/15mm以上となると、PET12への層(Y)の付着が確認できないことから、500gf/15mm及び420gf/15mmをそれぞれの測定上限とした。
装置:株式会社島津製作所製オートグラフAGS-H
剥離速度:250mm/分
温度:23℃
湿度:50%RH
(4)酸素透過度(OTR)の測定
実施例及び比較例で得られた多層構造体を、酸素透過量測定装置にキャリアガス側に基材(X)が向くように取り付け、JIS K7126-2:2006に準じて等圧法により酸素透過度を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:MOCON社製MOCON OX-TRAN2/21
温度:20℃
酸素供給側の湿度:85%RH
キャリアガス側の湿度:0%RH
キャリアガス流量:10mL/分
酸素圧:1.0atm
(5)真空断熱体の熱伝導率
実施例8で得られた真空断熱体を、作製後すぐに100℃で保管し、保管から1、30及び90日後に、熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製FOX314型)を用い、真空断熱体の一方の側を38℃とし、他方の面側を12℃とし、真空断熱体の熱伝導率を測定した。
[実施例1]
製造例1で得られた基材(X-1)を巻き返しながら裁断し、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cm、長さ4000mのロールを得た。
基材(X-1)に対して、バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA-105」)を用い、表面温度38℃、走行速度200m/分として基材(X-1)の一方の面にアルミニウムを蒸着し、基材(X-1)/層(Y)の層構成の多層構造体(1-1)を得た。得られた多層構造体(1-1)について、上記評価方法(1)~(3)に記載の方法に従って、層(Y)の平均厚さ、表面粗さ(Ra)および基材(X)と層(Y)とのT型剥離強度を評価した。結果を表2に示す。
得られた多層構造体(1-1)を用いて、PET12およびPE50の片面のそれぞれに2液型の接着剤(三井化学株式会社製、「タケラックA-520」および「タケネートA-50」)を塗布し、PET12層/接着剤層/層(Y)/基材(X-1)/接着剤層/PE50層、という構成となるように70℃のニップロール圧着しながらラミネートし40℃で4日間エージングすることで、多層構造体(1-2)を得た。得られた多層構造体(1-2)について、上記評価方法(4)に記載の方法に従って、OTRを評価した。結果を表2に示す。
[実施例2~実施例6、比較例1~4]
表2に記載の通り、基材(X)の種類、基材(X)の平均厚み、層(Y)の有無、層(Y)の平均厚みを表1に記載の通り変更する以外は、実施例1と同様の方法で多層構造体(2-1)~多層構造体(6-1)、多層構造体(C1-1)~多層構造体(C4-1)、多層構造体(2-2)~多層構造体(6-2)及び多層構造体(C1-2)~多層構造体(C4-2)を作製し、評価した。結果を表2に示す。なお、比較例4に相当する多層構造体C4-1は、基材(X)及び層(Y)の厚みが不均一であり、蒸着欠点が見られた。
[実施例7]
製造例1で得られた基材(X-1)を巻き返しながら裁断し、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cm、長さ4000mのロールを得た。
基材(X-1)に対して、バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA-105」)を用い、表面温度38℃、走行速度200m/分として基材(X-1)の一方の面にアルミニウムを蒸着し、基材(X-1)/層(Y)の層構成の多層構造体を得た。得られた多層構造体の層(Y)とは反対の面に、層(Y)と同様にして層(Y’)を形成し、層(Y)/基材(X-1)/層(Y’)の多層構造体(7-1)を得た。多層構造体(7-1)について、上記評価方法(1)~(3)に記載の方法に従って、層(Y)の平均厚さ、表面粗さ(Ra)および基材(X)と層(Y)とのT型剥離強度を評価した。結果を表2に示す。
得られた多層構造体(1-1)を用いて、PET12およびPE50の片面のそれぞれに2液型の接着剤(三井化学株式会社製、「タケラックA-520」および「タケネートA-50」)を塗布し、PET12層/接着剤層/層(Y)/基材(X-1)/層(Y’)/接着剤層/PE50層、という構成となるように70℃のニップロール圧着しながらラミネートし40℃で4日間エージングすることで、多層構造体(7-2)を得た。得られた多層構造体(7-2)について、上記評価方法(4)に記載の方法に従って、OTRを評 価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
製造例1で得られた基材(X-1)を巻き返しながら裁断し、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cm、長さ4000mのロールを得た。
基材(X-1)に対して、バッチ式蒸着設備(日本真空技術社の「EWA-105」)を用い、表面温度38℃、走行速度200m/分として基材(X-1)の一方の面にアルミニウムを蒸着し、基材(X-1)/層(Y)の層構成の多層構造体を得た。得られた多層構造体について、上記評価方法(2)に記載の方法に従って、表面粗さ(Ra)を測定した。結果を表2に示す。得られた多層構造体の層(Y)上に、水とメタノールの混合溶媒(質量比で水:メタノール=7:3)に固形分濃度が5質量%となるようにクラレポバール(商標)60-98を溶解したコーティング液を走行速度200m/分で塗工し、基材(X-1)/層(Y)/層(Z)の多層構造体(8-1)を得た。得られた多層構造体(8-1)について、上記評価方法(1)及び(3)に記載の方法に従って、層(Y)の平均厚さおよび基材(X)と層(Y)とのT型剥離強度を評価した。結果を表2に示す。
得られた多層構造体(8-1)を用いて、PET12およびPE50の片面のそれぞれに2液型の接着剤(三井化学株式会社製、「タケラックA-520」および「タケネートA-50」)を塗布し、PET12層/接着剤層/層(Z)/層(Y)/基材(X-1)/接着剤層/PE50層、という構成となるように70℃のニップロール圧着しながらラミネートし40℃で4日間エージングすることで、多層構造体(8-2)を得た。得られた多層構造体(8-2)について、上記評価方法(4)に記載の方法に従って、OTRを評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例1で得られた多層構造体(1-1)を用いて、OPA15およびCPP60の片面のそれぞれに2液型の接着剤(三井化学株式会社製、「タケラックA-520」および「タケネートA-50」)を塗布し、OPA15層/接着剤層/層(Y)/基材(X-1)/接着剤層/CPP60層、という構成となるように、70℃のニップロールで圧着しながらラミネートし40℃で4日間エージングすることで、多層構造体(8-2)を得た。
得られた多層構造体(8-2)を裁断し、サイズが20cm×25cmである被覆材を2枚作製し、CPP層同士が内面となるように重ね合わせ、3方を10mm幅でヒートシールして3方袋である真空包装袋を作製した。
得られた真空包装袋の開口部から断熱性の芯材および吸着剤として酸化カルシウム入り小袋を充填し、真空断熱パネル製造装置(株式会社エヌ・ピー・シー製KT-500RD型)を用いて温度20℃で内部圧力0.5Paの状態で真空包装袋を密封することによって、真空断熱体を作製した。断熱性の芯材には、120℃の雰囲気下で4時間乾燥したガラスファイバーを用いた。得られた真空断熱体について、上記評価方法(5)に記載の方法に従って熱伝導率の評価を行った。結果は、1日後:1.9mW/(m・K)、30日後:2.0mW/(m・K)、90日後:2.3mW/(m・K)であった。
60 押出機
70 第1搬送ロール(キャスティングロール)
80 第2搬送ロール
90 引取機
100 ビニルアルコール系重合体
101 ビニルアルコール系重合体フィルムロール
110 エアナイフ

Claims (11)

  1. ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の少なくとも一方の表面に、アルミニウム蒸着層(Y)が積層された構造(XY)を有し、構造(XY)のアルミニウム蒸着層(Y)表面側のJIS B0601:2001に準拠して測定したAFM(原子間力顕微鏡)による表面粗さ(Ra)が5.5nm以上30nm以下である、多層構造体。
  2. 前記ビニルアルコール系重合体が、エチレン単位含有量10~65モル%であり、けん化度90モル%以上のエチレン-ビニルアルコール共重合体である、請求項1に記載の多層構造体。
  3. アルミニウム蒸着層(Y)の平均厚さが15nm以上150nm以下である、請求項1または2に記載の多層構造体。
  4. アルミニウム蒸着層(Y)がビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の両面に積層される、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層構造体。
  5. JIS K7126-2:2006に準拠して測定した、20℃、85%RHにおける酸素透過度が1.5cc/m・day・atm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の多層構造体。
  6. 剥離界面に水を滴下しながら、JIS K6854-3:1999に準拠して測定した、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)とアルミニウム蒸着層(Y)とのT型剥離強度が250gf/15mm以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層構造体。
  7. アルミニウム蒸着層(Y)の一方の面に有機高分子を含む層(Z)が積層された構造を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の多層構造体。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法であって、ビニルアルコール系重合体を主成分とするフィルムからなる基材(X)の表面温度が60℃以下の状態でアルミニウム蒸着層(Y)を形成する工程を備える、多層構造体の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、包装材。
  10. 請求項9に記載の包装材の内部が減圧されてなる、真空包装袋。
  11. 請求項10に記載の真空包装袋が、内部に芯材を備える、真空断熱体。
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