JP7357265B2 - エレクトレット素子および電子装置 - Google Patents
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Description
このようなエレクトレット化フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(特開平8-41260号公報)および特許文献2(特開2010-89496号公報)に記載のものが挙げられる。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、エレクトレット化フィルムの両面に電極層を直接形成する、あるいは粘接着層を介して形成すると、エレクトレット化フィルムの表面に保持された電荷が消失してしまい、その結果、エレクトレット化フィルムに保持された電荷を有効に利用することができず、発生させた電荷を外部に十分に取りだすことができない場合があり、特に非多孔性フィルムでは顕著に発生電荷量が低減することが明らかになった。
すなわち、従来のエレクトレット化フィルムを用いたエレクトレット素子は、保持された電荷を有効に利用し、発生させた電荷を外部に取り出すという点で改善の余地があった。
エレクトレット化フィルム(A)と、
上記エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面上に設けられた第1非粘接着性絶縁層(B1)と、
上記エレクトレット化フィルム(A)と上記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に設けられた電極層(C)と、
を備え、
上記エレクトレット化フィルム(A)の一部と、上記第1非粘接着性絶縁層(B1)の一部とを接合することによって、上記エレクトレット化フィルム(A)と上記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に上記電極層(C)が固定されているエレクトレット素子。
[2]
上記[1]に記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)の一部と、上記第1非粘接着性絶縁層(B1)の一部とが粘接着層(D)、機械的接合、粘接着テープおよび熱融着から選択される少なくとも一種の接合方法によって接合されているエレクトレット素子。
[3]
上記[1]または[2]に記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)と上記電極層(C)との間の少なくとも一部に電気的に絶縁された領域を有するエレクトレット素子。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)と上記電極層(C)との間の少なくとも一部に第2非粘接着性絶縁層(B2)をさらに備えるエレクトレット素子。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記第1非粘接着性絶縁層(B1)と上記電極層(C)との間に粘接着層(D)をさらに備えるエレクトレット素子。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記第1非粘接着性絶縁層(B1)が絶縁樹脂層を含むエレクトレット素子。
[7]
上記[6]に記載のエレクトレット素子において、
上記絶縁樹脂層がポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂およびフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むエレクトレット素子。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
ASTM D257に準拠し、印加電圧500Vで電圧印加後1分後に測定される、23℃での上記第1非粘接着性絶縁層(B1)の体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上であるエレクトレット素子。
[9]
上記[1]乃至[8]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
ASTM D570に準拠して測定される、温度23℃の水中に24時間浸漬した際の上記第1非粘接着性絶縁層(B1)の吸水率が0.5質量%以下あるエレクトレット素子。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記第1非粘接着性絶縁層(B1)の厚みが10μm以上500μm以下であるエレクトレット素子。
[11]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)が環状オレフィン系重合体を含むエレクトレット素子。
[12]
上記[1]乃至[11]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)は非多孔性フィルムであるエレクトレット素子。
[13]
上記[1]乃至[12]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)のガラス転移温度が80℃以上であるエレクトレット素子。
[14]
上記[1]乃至[13]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)の周波数1MHzでの比誘電率が3.0以下であるエレクトレット素子。
[15]
上記[1]乃至[14]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
フィルム状またはシート状であるエレクトレット素子。
[16]
上記[1]乃至[15]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
上記エレクトレット化フィルム(A)の厚みが5μm以上500μm以下であるエレクトレット素子。
[17]
上記[1]乃至[16]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子において、
センサ素子または発電素子であるエレクトレット素子。
[18]
上記[1]乃至[17]のいずれか一つに記載のエレクトレット素子を備える電子装置。
[19]
上記[18]に記載の電子装置において、
発電装置、生体信号取得装置、振動検知装置、衝撃検知装置および変位検知装置から選択される電子装置。
以下、本実施形態に係るエレクトレット素子10について説明する。
図1~図5は、本発明に係る実施形態のエレクトレット素子10の構造の一例を模式的に示した断面図である。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、エレクトレット化フィルムの両面に電極層を直接形成する、あるいは粘接着層を介して形成すると、エレクトレット化フィルムの表面に保持された電荷が消失してしまい、その結果、エレクトレット化フィルムに保持された電荷を有効に利用することができず、発生させた電荷を外部に十分に取りだすことができない場合があることが明らかになった。
すなわち、従来のエレクトレット化フィルムを用いたエレクトレット素子は、保持された電荷を有効に利用し、発生させた電荷を外部に取り出すという点で改善の余地があった。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、エレクトレット化フィルム(A)と第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に電極層(C)を配置し、エレクトレット化フィルム(A)と第1非粘接着性絶縁層(B1)とを接合して電極層(C)を固定することによって、多くの電荷を取り出すことが可能なエレクトレット素子が得られることを初めて見出した。
この理由は明らかではないが、エレクトレット化フィルム(A)と第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に電極層(C)を配置し、エレクトレット化フィルム(A)と第1非粘接着性絶縁層(B1)とを接合して電極層(C)を固定することによって、エレクトレット化フィルム(A)の両側全面が電極層(C)と直接接触した状態または粘接着層で覆われることを抑制できるため、エレクトレット化フィルム(A)の表面にたまった電荷が電極層(C)または粘接着層を通じて消失し難くなると考えられる。また、エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)との間の空間に保持された電荷を有効に利用することができるため、エレクトレット化フィルム(A)から電荷を外部に取り出すことが可能となる。
すなわち、本実施形態に係るエレクトレット素子10は、エレクトレット化フィルム(A)と第1非粘接着性絶縁層(B1)とを接合して電極層(C)を固定することによって、エレクトレット化フィルム(A)の表面にたまった電荷の消失を抑制しながら、エレクトレット化フィルム(A)から多くの電荷を取り出すことが可能となる。
ここで、第1非粘接着性絶縁層(B1)は、エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面に設ければよい。エレクトレット化フィルム(A)の一方の面のみに電気的に絶縁された第1非粘接着性絶縁層(B1)を有する場合、電気的に絶縁された第1非粘接着性絶縁層(B1)が設けられていない側の電極層(C)は、エレクトレット化フィルム(A)の表面に直接形成されていてもよいし、粘接着層を介して形成されていてもよい。エレクトレット化フィルム(A)の表面に直接形成する場合、電極層(C)は、導電性塗料の塗工や金属の蒸着等によって形成してもよい。エレクトレット化フィルム(A)の一方の面のみに粘接着層および電極層(C)を直接形成する場合、エレクトレット化処理前に形成することが好ましい。
エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)との間の一部に存在する電気的に絶縁された領域は、例えば、エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)である金属箔とを粘着剤や接着剤を使用せずにただ単に重ねることによって形成することができる。エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)である金属箔とを粘着剤や接着剤を使用せずにただ単に重ねると、エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)との間の一部は完全に密着しないため空乏層を生じさせることができる。
ここで、電気的に絶縁された領域は、エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面に存在すればよい。エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面のみに電気的に絶縁された領域を有する場合、電気的に絶縁された領域が無い側の電極層(C)は、エレクトレット化フィルム(A)の表面に直接形成されていてもよい。この場合、電極層(C)は、導電性塗料の塗工や金属の蒸着等によって形成してもよい。エレクトレット化フィルム(A)の一方の面のみに粘接着層および電極層(C)を直接形成する場合、エレクトレット化処理前に形成することが好ましい。
エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)との間の少なくとも一部に、電気的に絶縁された第2非粘接着性絶縁層(B2)を設けることによって、エレクトレット化フィルム(A)が電極層(C)と直接接触した状態または粘接着層で覆われることを抑制できるため、エレクトレット化フィルム(A)の表面にたまった電荷が電極層(C)または粘接着層を通じて消失し難くなる。また、エレクトレット化フィルム(A)と電極層(C)との間の第2非粘接着性絶縁層(B2)に保持された電荷を有効に利用することができるため、エレクトレット化フィルム(A)から電荷を外部に取り出すことが可能となる。
本実施形態に係るエレクトレット化フィルム(A)は、電荷保持性や柔軟性、成形性、取扱い性、コスト等のバランスの観点から、樹脂を含むことが好ましく、吸湿性が低くて絶縁性に優れており、電荷保持力が高いことから、熱可塑性樹脂を含むことがより好ましい。
エレクトレット化フィルム(A)を構成する熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;含フッ素環状オレフィン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ポリシアン化ビニル、ポリシアン化ビニリデン等のシアノ系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリベンゾイミダゾール系樹脂;ポリベンゾオキサゾール系樹脂;ポリメチルペンテン系樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
これにより、電荷保持性、機械的特性、取扱い性、成形性、柔軟性、耐熱性、耐湿性、透明性等のバランスにより優れたエレクトレット化フィルム(A)を得ることができる。
また、エレクトレット化フィルム(A)を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、無延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、エレクトレット化フィルム(A)の耐熱性や機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
このような無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレー、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバー等が挙げられる。
また、本実施形態に係るエレクトレット化フィルム(A)は、柔軟性および透明性を向上させる観点から、ガラス転移温度が220℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
また、上記厚み方向の圧電定数d33の絶対値の上限値は特に限定されないが、高温下での電荷保持性をより良好にする観点から、500pC/N以下が好ましく、400pC/N以下がより好ましく、300pC/N以下がさらに好ましい。
このような圧電定数d33を達成するためには、例えば、コロナ荷電処理の方法を工夫することが重要となる。
本実施形態に係るエレクトレット化フィルム(A)は樹脂として環状オレフィン系重合体を含むことが好ましい。これにより、厚み方向の圧電定数d33をより一層良好にすることができる。また、温度変化に対する電荷の発生量(焦電性)を小さくすることができるため、温度変化の影響が小さいエレクトレット素子10を得ることができる。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
Raは、炭素原子数2~20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
Rbは、水素原子、または炭素原子数1~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
Rcは、炭素原子数2~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COORd(Rdは、水素原子、または炭素原子数1~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
Ra、Rb、RcおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
Rbは、水素原子、または炭素原子数1~10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
RaおよびRbは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x、yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。好ましくは50/50≦y/x≦95/5、さらに好ましくは、55/45≦y/x≦80/20である。x、yはモル基準である。
エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体としては、上記式(1)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体または上記式(3)で表現される環状オレフィン系共重合体が水素添加処理された重合体であってもよい。
環状オレフィンの開環重合体としては、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体およびノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体、ならびにこれらの水素化物等が挙げられる。
これらの誘導体の環に置換される置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基、アルキリデン基等が挙げられる。なお、置換基は、1個または2個以上を有することができる。このような環に置換基を有する誘導体としては、例えば、8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチル-8-メトキシカルボニル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデン-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン等が挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウム等の金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒;チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデン等の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒;等を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系単量体等を挙げることができる。
これにより、高温や高温高湿度下での電荷保持性、機械的特性、取扱い性、成形性、柔軟性、耐熱性、耐湿性、透明性等のバランスにより優れたエレクトレット化フィルム(A)を得ることができる。
本実施形態に係るエレクトレット化フィルム(A)には、目的に応じて、各種添加剤を添加してもよい。添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて適宜選択される。
上記添加剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、耐放射線剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、摩擦磨耗性向上剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、耐衝撃剤、表面ぬれ改善剤、塩酸吸収剤および金属不活性化剤からなる群から選択される一種または二種以上の添加剤が挙げられる。
特に、熱可塑性樹脂を原料とし、押出機等を用いてフィルムを成形する場合、フィルム外観上のブツの原因となる押出機内でペレット同士の摩擦によって生じるゲル化をより一層抑制するため、固体原料がペレットである場合、押出機にペレットを供給する前に、予めペレットの外部に滑剤を添加することが好ましい。
このような摩擦やせん断によるゲル化を抑制する滑剤としては、脂肪酸アミド系滑剤や金属石鹸系滑剤、および液状滑剤等が挙げられる。より具体的には、脂肪酸アミド系滑剤の場合、エチレンビスステアリン酸アミド、金属石鹸系滑剤の場合、ステアリン酸カルシムやステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、および液状滑剤の場合、パラフィンオイルやナフテンオイル等が挙げられる。これらの滑剤の添加量としては、原料ペレット100質量部に対して、0.005~0.3質量部であることが好ましく、0.01~0.1質量部であることがより好ましく、0.03~0.08質量部であることがさらに好ましい。
ここで、滑剤の添加量が上記下限値以上であると、滑剤の効果がより一層得られやすく、ゲルの発生をより一層抑制することができる。一方、滑剤の添加量が上記上限値以下であると、フィルムのヘイズがより一層低くなり、透明性をより良好にしたり、外観や機械物性をより一層良好にしたりすることができる。熱可塑性樹脂からなる固体原料であるペレットに対する滑剤の添加方法としては、タンブラーミキサー等の混合器を用いて、ペレットと滑剤とを均一に混合することが挙げられる。
本実施形態に係るエレクトレット化フィルム(A)の製造方法は、例えば、以下の2つの工程を含む。
(1)樹脂フィルムを作製する工程
(2)得られた樹脂フィルムに対してコロナ荷電処理をおこない、エレクトレット化する工程
以下、各工程について説明する。
樹脂フィルムの製造方法としては特に限定はされないが、例えば、公知の各種の成形方法(キャスト成形、押出成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形等)により、樹脂をフィルム状に成形することにより得る方法が挙げられる。
これらの樹脂フィルムの製造方法のうち、単軸押出機およびTダイを用いてフィルムをキャスト成形することが量産性に優れ、製造コストを低減する上で好ましい。特に、樹脂がエチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体の場合であって、単軸押出機およびTダイを用いて、光線透過率が高く、かつヘイズが低い透明性に優れたフィルムを得る場合には、フィルム成形条件として、例えば、ポリマーフィルターの併用を含めて、特開2005-343148号公報に記載の方法を参考とすることができる。また、キャスティング時、フィルムの平滑性を付与する目的で、キャストロールに対するTダイから押し出された溶融ウェブの圧着方法として、公知の静電ピンニング方式、表面が鏡面仕上げされたスリーブタッチ方式(千葉機械工業社製)、または公知の金属弾性体ロールを圧着する手法を用いることができる。さらに、フィルムを二軸方向に加熱延伸することにより、フィルムの脆性を改良してもよい。ここで、フィルムを二軸方向に加熱延伸する手法としては、例えば、逐次延伸法、同時二軸延伸等を挙げることができる。
ここで、(1)針が等間隔に配置された針状電極を用いてコロナ荷電処理をおこなうこと、(2)コロナ荷電処理時の電極間の距離、(3)コロナ荷電処理時の電圧、の3つの条件を高度に制御することが好ましい。すなわち、上記の3つの条件に係る各種因子を高度に制御する製造方法によって厚み方向の圧電定数d33がより一層優れたエレクトレット化フィルム(A)を得ることができる。
より具体的には、直流高圧電源に繋がった針状電極とアース電極の間に樹脂フィルムを固定し電圧を印加することが好ましい。このとき、針状電極とアース電極の間の距離を20~50mmに設定し、さらに印加する電圧を15~30kVもしくは-30~-15kVに設定することが好ましい。
これにより樹脂フィルムに電荷を十分に注入することができ、厚み方向の圧電定数d33がより一層優れたエレクトレット化フィルム(A)を得ることができる。
以下、本実施形態において、第1非粘接着性絶縁層(B1)および第2非粘接着性絶縁層(B2)をまとめて非粘接着性絶縁層(B)とも呼ぶ。
非粘接着性絶縁層(B)は、エレクトレット化フィルム(A)および電極層(C)に対して粘接着性を示さず、かつ、絶縁性を有する層であれば特に限定されないが、例えば、絶縁樹脂層や絶縁性無機物層等が挙げられる。これらの中でも非粘接着性絶縁層(B)としては絶縁樹脂層が好ましい。
熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、環状オレフィン系重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体;スチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;含フッ素環状オレフィン系重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ポリシアン化ビニル、ポリシアン化ビニリデン等のシアノ系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルイミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリベンゾイミダゾール系樹脂;ポリベンゾオキサゾール系樹脂;ポリメチルペンテン系樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用して用いてもよい。
また、非粘接着性絶縁層(B)が絶縁樹脂層の場合、絶縁樹脂層を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、非粘接着性絶縁層(B)の機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
電極層(C)としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、亜鉛箔、金箔、銀箔、プラチナ箔、ニッケル箔、チタン箔、クロム箔、タングステン箔、モリブデン箔、白金箔、タンタル箔、ニオブ箔、ジルコニウム箔、ステンレス箔、合金箔等の金属箔;ITO(酸化インジウム・スズ)膜、酸化スズ膜等の金属酸化物膜;有機導電樹脂膜等の膜;金属ナノワイヤー;金属ナノ粒子;導電性塗料等が挙げられる。
電極層(C)の厚みは特に限定されないが、例えば0.01μm以上50μm以下、好ましくは0.03μm以上20μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上15μm以下である。
本実施形態に係る粘接着層(D)は、各層の位置ズレ等が起きないように各層の位置を固定させる役割を有する。本実施形態において、粘着層と接着層を総称して粘接着層と呼ぶ。
本実施形態に係るエレクトレット素子10は、図4および図5に示すように、第1非粘接着性絶縁層(B1)と電極層(C)との間に粘接着層(D)をさらに備えてもよい。これにより、第1非粘接着性絶縁層(B1)をエレクトレット化フィルム(A)および電極層(C)に固定することができる。
これらの中でも、耐候性および透明性等に優れ、広範な用途に使用できることから、ポリ(メタ)アクリル系粘接着剤が好ましい。ポリ(メタ)アクリル系粘接着剤としては、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型、溶液型等があり、本実施形態においては、いずれの型のものも使用できる。これらの中でも、安全面、品質面、コスト面からエマルジョン型のポリ(メタ)アクリル系粘接着剤が好ましい。
粘接着剤塗布液を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、グラビアコーター法、コンマコーター法、バーコーター法、ナイフコーター法、ダイコーター法、ロールコーター法等の塗布方式;インクジェット方式;スクリーン印刷方式等を用いることができる。
包装材としては、特に限定されず、公知のラミネートフィルムを用いることができる。エレクトレット素子10の長期信頼性を向上させる観点から、ガスバリア性に優れたラミネートフィルムが好ましく、100℃以上の高温下で保持されても形状および接着性を維持できる耐熱性の高いラミネートフィルムがさらに好ましい。
本実施形態に係るセンサは、例えば、公知の情報に基づいて作製することができる。
本実施形態に係る電子装置は、構成部品の一つとして本実施形態に係るエレクトレット素子10を備える。
本実施形態に係るエレクトレット素子10を用いた電子装置としては、例えば、発電装置、生体信号取得装置、振動検知装置、衝撃検知装置および変位検知装置等が挙げられる。
発電装置は、エレクトレット素子10に注入された電荷を外部へ出し入れすることによって発電する装置である。生体信号取得装置は、例えば、脈、呼吸、いびき、声、体動等の生体信号を取得するための装置である。このような生体信号取得装置は、例えば、椅子、椅子用カバー、シートベルト、クッション、ベッド、布団、マットレス、敷きパッド、敷き布団、枕、衣類、靴、首巻、リストバンド、指輪、絆創膏、腕時計、眼鏡、便座、浴槽、ソファー、床、体重計等に設置することにより、人体等の生体から生体信号を取得することができる。
振動検知装置、衝撃検知装置および変位検知装置は、例えば、振動や衝撃、変位に基づいて、人や乗り物の存在を検知したり、建造物または構造物の揺れや異常を検知したりするための装置である。
また、当該電子装置において、本実施形態に係るエレクトレット素子10は、電子装置が受けた振動の機械的エネルギーを電気エネルギーに変換できる。当該電気エネルギーは、電極層(C)を介して他の装置等に送られる。
また、当該電子装置において、本実施形態に係るエレクトレット素子10は、電極層(C)を介して受け取った電気エネルギーを機械的エネルギーに変換できる。これにより、本実施形態に係るエレクトレット化フィルム(A)が変形して、振動し、音を発生できる。
本実施形態に係る電子装置は、例えば、公知の情報に基づいて作製することができる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
(1)圧電定数d33
圧電定数測定装置(PIEZOTEST社製、ピエゾメーターシステムPM200)を用いて、実施例および比較例で得られたエレクトレット素子の厚み方向に荷重0.5N、動的荷重±0.25N、周波数110Hz、温度23℃、湿度50%の条件で押圧力を加え、エレクトレット素子の厚み方向の圧電定数d33を測定した。測定は5回おこない、これらの絶対値の平均値を採用した。
一辺2.5cmの正方形の形状に切り出したエレクトレット素子を、厚み1mmのアルミニウム板で挟み、サンプルの両側面をエレクトロメーター(KEITHLEY社製、Model 617 Programmable Electrometer)に接続した。サンプルの厚み方向に引張試験機(エー・アンド・デイ社製、TENSILON RTG-1250)で繰り返し0.2Nから10Nの圧縮荷重を加え、その際に発生する電荷量をエレクトロメーターで測定した。測定は5回繰り返し行い、ピークtoピークの値の平均値を採用した。
DSC(Differential Scanning Calorimetry)装置(島津製作所社製、DSC-60A)を用いて、エレクトレット化フィルムのガラス転移温度を測定した。
ASTM D570に準拠し、温度23℃の水中にエレクトレット化フィルムおよび非粘接着性絶縁層を24時間浸漬した際のエレクトレット化フィルムおよび非粘接着性絶縁層の重量増加率(=100×重量増加量/浸漬前のエレクトレット化フィルムの重量)を吸水率としてそれぞれ測定した。
プレシジョンLCRメーター(アジレント・テクノロジー社製、4284A)を用いて、エレクトレット化フィルムの周波数1MHzでの比誘電率を測定した。
非粘接着性絶縁層(B)の体積固有抵抗(Ω・cm)を、ASTM D257に準拠し、23℃、印加電圧500Vで電圧印加後1分後に測定した。
(エレクトレット化フィルム(A1)の作製)
単軸押出機とTダイキャスト成形装置を用いて、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとからなる環状オレフィン系共重合体(エチレンの含有量:69モル%、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンの含有量:31モル%)により構成されたペレット100質量部に対し、ペレット外部に滑剤としてエチレンビスステアリン酸アミド(花王社製、カオーワックス EB-FF)0.05質量部を添加したものを押出成形することにより、環状オレフィン系重合体により構成された無延伸の非多孔性フィルムを得た。その後、二軸延伸機により、縦方向、横方向にそれぞれ延伸倍率2倍で加熱延伸し、厚みが50μmの非多孔性フィルムを得た。
次いで、直流高圧電源に繋がった針状電極とアース電極の間(電極間距離:35mm)に非多孔性フィルムを固定した。ここで、直流高圧電源に繋がった針状電極とアース電極を有する装置には、春日電機社製の直流高圧電源、針状電極およびアース電極を使用した。次いで、温度23℃、湿度50%RHの環境下で、直流高電圧(-20kV)を非多孔性フィルムに5秒間印加して非多孔性フィルムを帯電させることによりエレクトレット化フィルムA1(ガラス転移温度:125℃、吸水率:<0.01質量%、周波数1MHzでの比誘電率:2.3)を作製した。
非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%)の表面に水性アクリルエマルジョン型接着剤(3M社製、SP-7533)をパターン状となるように、スクリーン印刷により塗布して塗膜を形成し、次いで、上記塗膜を、25℃で15分間静置した後、加熱乾燥することにより粘接着層(D)を形成した。次いで、非粘接着性絶縁層(B)の表面上に形成したパターン状の粘接着層(D)の間に電極層(C)であるアルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚み11μm)を配置し、電極層(C)および粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を得た。
図1に示すように、エレクトレット化フィルムA1の両面に、電極層(C)および粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を積層し、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
(粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)の作製)
非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%))の片面に、水性アクリルエマルジョン型接着剤(3M社製、SP-7533)を塗布し、塗膜を形成した。次いで、上記塗膜を、25℃で15分間静置した後、加熱乾燥することにより、粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を得た。
図4に示すように、エレクトレット化フィルムA1の両面に、電極層(C)であるアルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚み11μm)および非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%)を積層した。次いで、得られた積層体の両面に、粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を、積層体の非粘接着性絶縁層(B)と粘接着層(D)とが接するように貼り合わせ、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
(粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)の作製)
非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%)の片面に、水性アクリルエマルジョン型接着剤(3M社製、SP-7533)を塗布し、塗膜を形成した。次いで、上記塗膜を、25℃で15分間静置した後、加熱乾燥することにより、粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を得た。
図5に示すように、エレクトレット化フィルムA1の両面に、非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%)および電極層(C)であるアルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚み11μm)を積層した。次いで、得られた積層体の両面に、粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を、電極層(C)と粘接着層(D)とが接するように貼り合わせ、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
実施例1で得られたエレクトレット化フィルムA1の両面に、アルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚み11μm)を積層し、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
実施例1で得られたエレクトレット化フィルムA1の両面に、真空蒸着によりアルミ蒸着膜を形成し、両面に電極層(C)が形成された、エレクトレット素子を作製した。
ここで、エレクトレット化フィルムA1の両面の全体にアルミ蒸着膜が形成されているため、エレクトレット化フィルムA1とアルミ蒸着膜との間には電気的に絶縁された領域は存在しない。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
(粘接着層(D)付きの電極層(C)の作製)
電極層(C)であるアルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚み11μm)の一方の面の全体に水性アクリルエマルジョン型接着剤(3M社製、SP-7533)を塗布して塗膜を形成し、次いで、上記塗膜を、25℃で15分間静置した後、加熱乾燥することにより粘接着層(D)を形成し、粘接着層(D)付きの電極層(C)を得た。
エレクトレット化フィルムA1の両面に、粘接着層(D)付きの電極層(C)を、エレクトレット化フィルムA1と接着層(D)とが接するように貼り合わせ、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
(粘接着層(D)付きの電極層(C)の作製)
電極層(C)であるアルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚み11μm)の一方の面の全体に水性アクリルエマルジョン型接着剤(3M社製、SP-7533)を塗布して塗膜を形成し、次いで、上記塗膜を、25℃で15分間静置した後、加熱乾燥することにより粘接着層(D)を形成し、粘接着層(D)付きの電極層(C)を得た。
図6に示すように、エレクトレット化フィルムA1の両面に、粘接着層(D)付きの電極層(C)および非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%)を積層し、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
(粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)の作製)
非粘接着性絶縁層(B)であるPETフィルム(東レ社製、製品名:ルミラーS10、厚み:50μm、体積抵抗率:4×1017Ω・cm、吸水率:0.4質量%)の一方の面の全体に水性アクリルエマルジョン型接着剤(3M社製、SP-7533)を塗布して塗膜を形成し、次いで、上記塗膜を、25℃で15分間静置した後、加熱乾燥することにより粘接着層(D)を形成し、粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)を得た。
図7に示すように、エレクトレット化フィルムA1の両面に、粘接着層(D)付きの非粘接着性絶縁層(B)および電極層(C)を積層し、エレクトレット素子を得た。得られたエレクトレット素子について各種評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
B 非粘接着性絶縁層
B1 第1非粘接着性絶縁層
B2 第2非粘接着性絶縁層
C 電極層
D 粘接着層
10 エレクトレット素子
Claims (18)
- エレクトレット化フィルム(A)と、
前記エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面上に設けられた第1非粘接着性絶縁層(B1)と、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に設けられた電極層(C)と、
を備え、
前記エレクトレット化フィルム(A)の一部と、前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の一部とを接合することによって、前記エレクトレット化フィルム(A)と前記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に前記電極層(C)が固定されており、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記電極層(C)との間の少なくとも一部に電気的に絶縁された領域を有し、
前記電気的に絶縁された領域が、前記エレクトレット化フィルム(A)と前記電極層(C)との間の一部が完全に密着しないことにより形成された空乏層であるエレクトレット素子。 - エレクトレット化フィルム(A)と、
前記エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面上に設けられた第1非粘接着性絶縁層(B1)と、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に設けられた電極層(C)と、
を備え、
前記エレクトレット化フィルム(A)の一部と、前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の一部とを接合することによって、前記エレクトレット化フィルム(A)と前記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に前記電極層(C)が固定されており、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記電極層(C)との間の少なくとも一部に電気的に絶縁された領域を有し、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記電極層(C)との間の少なくとも一部に第2非粘接着性絶縁層(B2)をさらに備えるエレクトレット素子。 - エレクトレット化フィルム(A)と、
前記エレクトレット化フィルム(A)の少なくとも一方の面上に設けられた第1非粘接着性絶縁層(B1)と、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に設けられた電極層(C)と、
を備え、
前記エレクトレット化フィルム(A)の一部と、前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の一部とを接合することによって、前記エレクトレット化フィルム(A)と前記第1非粘接着性絶縁層(B1)との間に前記電極層(C)が固定されており、
前記エレクトレット化フィルム(A)と前記電極層(C)との間の少なくとも一部に電気的に絶縁された領域を有し、
前記第1非粘接着性絶縁層(B1)と前記電極層(C)との間に粘接着層(D)をさらに備えるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記エレクトレット化フィルム(A)の一部と、前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の一部とが粘接着層(D)、機械的接合、粘接着テープおよび熱融着から選択される少なくとも一種の接合方法によって接合されているエレクトレット素子。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記第1非粘接着性絶縁層(B1)が絶縁樹脂層を含むエレクトレット素子。 - 請求項5に記載のエレクトレット素子において、
前記絶縁樹脂層がポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂およびフッ素系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むエレクトレット素子。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
ASTM D257に準拠し、印加電圧500Vで電圧印加後1分後に測定される、23℃での前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
ASTM D570に準拠して測定される、温度23℃の水中に24時間浸漬した際の前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の吸水率が0.5質量%以下あるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記第1非粘接着性絶縁層(B1)の厚みが10μm以上500μm以下であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記エレクトレット化フィルム(A)が環状オレフィン系重合体を含むエレクトレット素子。 - 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記エレクトレット化フィルム(A)は非多孔性フィルムであるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記エレクトレット化フィルム(A)のガラス転移温度が80℃以上であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至12のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記エレクトレット化フィルム(A)の周波数1MHzでの比誘電率が3.0以下であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
フィルム状またはシート状であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至14のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
前記エレクトレット化フィルム(A)の厚みが5μm以上500μm以下であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至15のいずれか一項に記載のエレクトレット素子において、
センサ素子または発電素子であるエレクトレット素子。 - 請求項1乃至16のいずれか一項に記載のエレクトレット素子を備える電子装置。
- 請求項17に記載の電子装置において、
発電装置、生体信号取得装置、振動検知装置、衝撃検知装置および変位検知装置から選択される電子装置。
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