以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
<第1実施形態>
[概要]
図1は、本発明の第1実施形態における制振装置の配置例を示す図である。第1実施形態における制振装置1は、振動エネルギを効率的に吸収するための低降伏点鋼板10(第1板部)の保持構造を含み、建築物の構造体を構成する間柱90に配置される。この例では、間柱90は、H形鋼であり、ウェブ95およびウェブ95の両端に接続されたフランジ92、94を含む。間柱90は、その長手方向が鉛直方向に沿うように配置されている。低降伏点鋼板10は、振動エネルギを吸収するためのダンパとなる板材の一例であって以下に説明するようにウェブ95よりも低い降伏せん断力を有する板材であれば、合金や鉄鋼など様々な構造および材質に変更可能である。
以下、説明の便宜上、空間上の方向としてx、y、z軸を以下の通り定義する。x軸方向(第1方向)は、ウェブ95の面内方向のうち、間柱90の長手方向、すなわちフランジ92、94が延在する方向に対応し、この例では鉛直方向である。y軸方向(第2方向)は、ウェブ95の面内方向のうちx方向に垂直な方向に対応する。z軸方向(第3方向)は、x軸方向とy軸方向とに垂直な方向、すなわちウェブ95の法線方向に対応する。なお、x軸方向、y軸方向およいz軸方向のいずれも、その軸方向に沿った方向を意味し、正方向(図示における矢印の向き)を示すのでは無く、正方向および負方向の双方を示すものとする。すなわち、x軸方向といえば、図1における上下方向を意味する。
制振装置1は、低降伏点鋼板10、第1拘束部20および第2拘束部30を含む。低降伏点鋼板10は、x軸方向およびy軸方向に拡がる面を含む板状の部材であり、ウェブ95に配置された開口部98において、ウェブ95から離隔して配置されている。上部固定部70は、低降伏点鋼板10の上端部とウェブ95とに接続されている。下部固定部75は、低降伏点鋼板10の下端部とウェブ95とに接続されている。上部固定部70と下部固定部75との双方(第1固定部)によって、ウェブ95に対する低降伏点鋼板10の位置が固定されている。これによって、低降伏点鋼板10はウェブ95に保持されている。
第1拘束部20は、2枚の板材によって低降伏点鋼板10を挟むことで、低降伏点鋼板10のz軸方向の変形を制限するように第2固定部40によってウェブ95に固定されている。第2拘束部30は、2枚の板材によって低降伏点鋼板10を挟むことで、低降伏点鋼板10のz軸方向の変形を制限するように第3固定部50によってウェブ95に固定されている。このとき、低降伏点鋼板10は、低降伏点鋼板10の面内方向(xy面内方向)には移動できる状態で、第1拘束部20および第2拘束部30に挟まれている。言い換えると、低降伏点鋼板10は、低降伏点鋼板10の座屈(z軸方向への変形)を制限された状態であって、かつ、面内方向(xy面内方向)の変形を妨げない状態で、第1拘束部20および第2拘束部30に挟まれている。
地震等により建築物が振動すると、間柱90を介して制振装置1に振動が伝達される。制振装置1における低降伏点鋼板10がせん断力によってxy面内方向において塑性変形することで、振動エネルギが吸収される。このようにして建築物の振動が抑制される。このとき、第1拘束部20および第2拘束部30によって、低降伏点鋼板10のz軸方向の変形が制限される。続いて、制振装置1の詳細構造について説明する。
[制振装置の構成]
図2は、本発明の第1実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図3は、図2におけるA1-A2切断線での断面を説明するための模式図である。図4は、図2におけるA3-A4切断線での断面を説明するための模式図である。上述したように、制振装置1は、ウェブ95に配置された開口部98において、ウェブ95から離隔して配置された低降伏点鋼板10を含む。
低降伏点鋼板10は、ウェブ95に対して、より低い降伏せん断力を有する鋼板である。低降伏点鋼板10は、x軸方向の両端部の領域として上部保持領域10uおよび下部保持領域10bを含み、上部保持領域10uと下部保持領域10bとの間に配置された変形領域10mを含む。上部保持領域10uおよび下部保持領域10bは、いずれも四角形の領域でありy軸方向に長手を有する。変形領域10mは、四角形の領域でありx軸方向とy軸方向の長さが概ね等しい正方形に近いが、x軸方向およびy軸方向のいずれか一方に長手を有してもよい。この例では、y軸方向に関し、上部保持領域10uおよび下部保持領域10bは、変形領域10mよりも長い。そのため、上部保持領域10uおよび下部保持領域10bは、変形領域10mよりも降伏せん断力が高くなっている。
ここで、本明細書内で示す降伏せん断力について簡単に説明する。y軸方向への降伏せん断力は、x軸方向を法線方向とする面(y軸およびz軸を含む面)の断面積Aに比例する。また、この断面積Aとせん断応力度(降伏点)τとの積が降伏せん断力Qとなる。したがって、せん断応力度τが変化しない状況では、断面積Aが小さいほど、降伏せん断力Qが小さくなる。低降伏点鋼板10におけるy軸方向の長さをDとし、z軸方向の長さ(厚さに相当)をtとすると、Aは、Dとtの積で表される。
この例では、変形領域10mの断面積A1は、後述する高力ボルト74が貫通する領域を考慮しても上部保持領域10uの断面積A2よりも小さい。下部保持領域10bについても上部保持領域10uと同様である。したがって、変形領域10mは、上部保持領域10uおよび下部保持領域10bよりも、低い降伏せん断力を有する。
開口部98は、低降伏点鋼板10の外縁部に沿った形状の開口端を有する。低降伏点鋼板10の変形領域10mのy軸方向(フランジ92側)には、間隔をあけてフランジ92から拡がるウェブ95(以下、この領域を第1拡張領域952という)が配置されている。低降伏点鋼板10の変形領域10mのフランジ94側には、フランジ94から拡がるウェブ95(以下、この領域を第2拡張領域954という)が配置されている。すなわち、第1拡張領域952のx軸方向(上下方向)および第2拡張領域954のx軸方向(上下方向)には、それぞれ開口部98が拡がっている領域が存在する。言い換えると、間柱90のウェブ95は、I字型の形状(上下方向(x軸方向)の両端において左右方向(y軸方向)に広がる形状)の開口部98を有する。
上部保持領域10uは、上部固定部70を介して、上部保持領域10uの上方向に位置する領域のウェブ95と接続されている。上部固定部70は、スプライスプレート71、72および高力ボルト73、74を含む。上部保持領域10uおよびウェブ95は、スプライスプレート71とスプライスプレート72とに挟まれることでこれらに覆われている。変形領域10mよりも先に降伏しないように、スプライスプレート71、72は、変形領域10mよりも高い降伏せん断力を有する。高力ボルト73は、スプライスプレート71、72およびウェブ95を貫通してこれらの構成を互いに固定する。高力ボルト74は、スプライスプレート71、72および上部保持領域10uを貫通してこれらの構成を互いに固定する。上部保持領域10uは、変形領域10mよりも高い降伏せん断力を有するため、変形領域10mより降伏しにくく、上部固定部70により安定した固定が可能になる。なお、スプライスプレート71、72は、上部保持領域10uの一部を覆っているが、全体を覆っていてもよい。
下部保持領域10bは、下部固定部75を介して、下部保持領域10bの下方向に位置する領域のウェブ95と接続されている。下部固定部75は、スプライスプレート76、77および高力ボルト78、79を含む。下部保持領域10bおよびウェブ95は、スプライスプレート76とスプライスプレート77とに挟まれることでこれらに覆われている。変形領域10mよりも先に降伏しないように、スプライスプレート76、77は、少なくとも変形領域10mよりも高い降伏せん断力を有する。高力ボルト78は、スプライスプレート76、77およびウェブ95を貫通してこれらの構成を互いに固定する。高力ボルト79は、スプライスプレート76、77および下部保持領域10bを貫通してこれらの構成を互いに固定する。下部保持領域10bは、変形領域10mよりも高い降伏せん断力を有するため、変形領域10mより降伏しにくく、下部固定部75により安定した固定が可能になる。なお、スプライスプレート76、77は、下部保持領域10bの一部を覆っているが、全体を覆っていてもよい。
第1拘束部20は、第1拘束板21(第2板部)および第2拘束板22(第3板部)を含む。第1拘束板21および第2拘束板22は、四角形の鋼板である。第1拘束板21および第2拘束板22が、低降伏点鋼板10における変形領域10mよりも面外変形に対する剛性が高いことが好ましい。第1拘束板21と第2拘束板22とは、第2固定部40によってウェブ95の第1拡張領域952に固定されている。このとき、低降伏点鋼板10は、x軸方向およびy軸方向に移動できる状態で、第1拘束板21と第2拘束板22とに挟まれている。第2固定部40は、高力ボルト等の固定具45を有する。固定具45は、第1拘束板21、第2拘束板22およびこれらに挟まれたウェブ95の第1拡張領域952を貫通して、これらの構成を互いに固定する。
第2拘束部30は、第3拘束板31(第4板部)および第4拘束板32(第5板部)を含む。第3拘束板31および第4拘束板32は、四角形の鋼板である。第3拘束板31および第4拘束板32が、低降伏点鋼板10における変形領域10mよりも面外変形に対する剛性が高いことが好ましい。第3拘束板31と第4拘束板32とは、第3固定部50によってウェブ95の第2拡張領域954に固定されている。このとき、低降伏点鋼板10は、x軸方向およびy軸方向に移動できる状態で、第3拘束板31と第4拘束板32とに挟まれている。第3固定部50は、高力ボルト等の固定具55を有する。固定具55は、第3拘束板31、第4拘束板32およびこれらに挟まれたウェブ95の第2拡張領域954を貫通して、これらの構成を互いに固定する。
[制振装置の動き]
続いて、間柱90に振動が伝達されたときの制振装置1の動きについて説明する。
図5は、本発明の第1実施形態における制振装置の動きを示す図である。図5に示す例では、間柱90においてy軸方向の振動が生じた場合の制振装置1の動きを示している。図5に示すように、間柱90がy軸方向に振動すると、制振装置1の近傍において大きく変形する。このフランジ92、94における変形は概ね弾性変形である。一方、低降伏点鋼板10においては、面内での塑性変形により振動エネルギを吸収する。
低降伏点鋼板10は、x軸方向の両端が固定される一方、y軸方向の両端は固定されていない。そのため、低降伏点鋼板10は、y軸方向の振動によるせん断力を効率的に塑性変形に用いることができる。一方、低降伏点鋼板10のy軸方向の両端においては、第1拘束部20および第2拘束部30によって、z軸方向の移動が抑制されている。このとき、第1拘束部20および第2拘束部30は、低降伏点鋼板10の面内の移動を可能とした状態を維持しているため、低降伏点鋼板10の面内の塑性変形には影響をほとんど与えない。このように、低降伏点鋼板10は、面外方向への変形(座屈)が抑制された状態で、せん断力を効率的に塑性変形に用いて振動エネルギを吸収することができる。
また、この例では第1拘束部20および第2拘束部30は、いずれもウェブ95に対して片持ち構造によって固定されている。したがって、制振装置1の近傍において間柱90が変形して第2固定部40と第3固定部50との位置関係に歪みが生じたとしても、第1拘束部20および第2拘束部30は、それぞれ別個に低降伏点鋼板10に対する位置関係を変化させ、第2固定部40および第3固定部50に大きな負荷を発生させずに、低降伏点鋼板10の面外方向への変形(座屈)を抑制する。
<第2実施形態~第5実施形態>
第1実施形態における低降伏点鋼板10、第1拘束部20(第1拘束板21、第2拘束板22)および第2拘束部30(第3拘束板31、第4拘束板32)は、いずれも四角形の鋼板であったが、四角形に限られない。以下、第2実施形態から第5実施形態として、様々な形状について例示する。
図6は、本発明の第2実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。第2実施形態における制振装置1Aは、低降伏点鋼板10とは異なる形状を有する低降伏点鋼板10Aを含む。低降伏点鋼板10Aにおける変形領域10mは、上部保持領域10uとの境界部分および下部保持領域10bとの境界部分において、x軸方向に移動するに伴い徐々にy軸方向の長さが変化する領域10cを有する。言い換えると、領域10cにおける断面積A(x軸方向を法線方向とする面の断面積)は、上述した上部保持領域10uの断面積A2から変形領域10mの断面積A1まで徐々に小さくなり、少なくとも変形領域10mの拘束板に挟まれている領域より上部保持領域10u側において、断面積(第1方向を法線とする面の断面積)が徐々に変化する領域を有するともいえる。下部保持領域10bの断面積と断面積A1との関係も同様である。このようにすると、低降伏点鋼板10Aにおいて、低降伏点鋼板10よりも応力集中をする領域を低減することができる。
図7は、本発明の第3実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。第3実施形態における制振装置1Bは、第1実施形態における低降伏点鋼板10とは異なる形状を有する低降伏点鋼板10Bを含む。低降伏点鋼板10Bにおける変形領域10mBは、上部保持領域10uおよび下部保持領域10bの双方からx軸方向の中央部分に向けて、徐々にy軸方向の長さが短くなり中央部分でy軸方向の長さが極小になる形状を有する。言い換えると、変形領域10mBの断面積A1は、上部保持領域10uの断面積A2からx軸方向の中央部分に向けて徐々に小さくなり、少なくとも変形領域10mBのうち拘束板に挟まれている領域より上部保持領域10u側において、断面積(第1方向を法線とする面の断面積)が徐々に変化する領域を有するともいえる。下部保持領域10bの断面積と断面積A1との関係も同様である。変形領域10mBは、この例では、y軸方向の両端の縁部形状CB1、CB2として曲線形状(例えば円弧形状)を有している。このようにすると、低降伏点鋼板10Bにおいて、低降伏点鋼板10よりも応力集中をする領域を低減することができる。また、x軸方向の中央部分は、他の部分よりもy軸方向の長さが短いことによって降伏せん断力が小さくなるため、変形しやすい領域となる。したがって、この例のように、変形領域10mBのうち少なくともx軸方向の中央部分において拘束板が配置されていることにより、変形領域10mBの面外方向への変形(座屈)を効率的に抑制することができる。
図8は、本発明の第4実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。第4実施形態における制振装置1Cは、第1実施形態における低降伏点鋼板10とは異なる形状を有する低降伏点鋼板10Cを含む。低降伏点鋼板10Cにおける変形領域10mCは、上部保持領域10uおよび下部保持領域10bの双方からx軸方向の中央部分に向けて、徐々にy軸方向の長さが短くなり中央部分でy軸方向の長さが極小になる形状を有する。言い換えると、変形領域10mCの断面積A1は、上部保持領域10uの断面積A2からx軸方向の中央部分に向けて徐々に小さくなり、少なくとも変形領域10mCのうち拘束板に挟まれている領域より上部保持領域10u側において、断面積(第1方向を法線とする面の断面積)が徐々に変化する領域を有するともいえる。下部保持領域10bの断面積と断面積A1との関係も同様である。変形領域10mCは、この例では、y軸方向の両端の縁部形状CC1、CC2として2つの直線を組み合わせた形状を有している。このようにすると、低降伏点鋼板10Cにおいて、低降伏点鋼板10よりも応力集中をする領域を低減することができる。また、x軸方向の中央部分は、他の部分よりもy軸方向の長さが短いことによって降伏せん断力が小さくなるため、変形しやすい領域となる。したがって、この例のように、変形領域10mCのうち少なくともx軸方向の中央部分において拘束板が配置されていることにより、変形領域10mCの面外方向への変形(座屈)を効率的に抑制することができる。
図9は、本発明の第5実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。第5実施形態における制振装置1Dは、第3実施形態における第1拘束部20および第2拘束部30とは異なる形状を有する第1拘束部20Dおよび第2拘束部30Dを含む。第1拘束部20Dにおける第1拘束板21Dは、x軸方向両端からx軸方向の中央部分に向けて、徐々にy軸方向の長さが長くなり中央部分でy軸方向の長さが極大になる形状を有する。第1拘束板21Dは、この例では、変形領域10mBを覆う部分におけるy軸方向の縁部形状CD1として曲線形状(例えば円弧形状)を有している。この縁部形状CD1は、この例では、概ね変形領域10mBの縁部形状CB1に沿った形状を有しているが、違う形状であってもよい。
第1拘束板21Dに対応する第2拘束板22D(図示せず)についても、第1拘束板21Dと同じ形状を有する。第2拘束部30Dにおける第3拘束板31Dおよび第4拘束板32Dについても、第1拘束板21Dと同様の構成を有する。これによって、第1拘束部20Dと第2拘束部30Dとは、x軸方向の中央部分において最も短い距離を有する。上述したように、変形領域10mBは、x軸方向の中央部分において変形しやすい。したがって、この例のように、第1拘束板21D、第2拘束板22D、第3拘束板31Dおよび第4拘束板32Dは、変形領域10mBの形状と対応する形状であることにより、変形領域10mBを挟む領域を拡張することができ、変形領域10mBの面外方向への変形(座屈)を効率的に抑制することができる。
なお、第1拘束板21D、第2拘束板22D、第3拘束板31Dおよび第4拘束板32Dは、第4実施形態における変形領域10mCの外縁形状CC1のように、y軸方向の縁部形状として2つの直線を組み合わせた形状を有していてもよい。このように、拘束板の形状を変形領域の形状と対応する形状にすることで、変形領域の面外方向への変形(座屈)を効率的に抑制することができる。
<第6実施形態>
第1実施形態における第1拘束部20および第2拘束部30は、補剛構造を有することにより、低降伏点鋼板10における変形領域10mの面外方向への変形(座屈)をさらに効率的に抑制してもよい。補剛構造としては様々な構造が取り得るが、第6実施形態では補剛構造としてリブを用いた例について説明する。
図10は、本発明の第6実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図11は、図10におけるA5-A6切断線での断面を説明するための模式図である。第6実施形態における制振装置1Eは、第1実施形態における第1拘束部20および第2拘束部30に補剛構造が設けられた第1拘束部20Eおよび第2拘束部30Eを含む。
第1拘束部20Eは、第1拘束板21、第2拘束板22、第1リブ25および第2リブ26を含む。第1リブ25は、第1拘束板21のうち変形領域10mとは反対側の面から突出した板状部材である。第1リブ25は、第1拘束板21に対して略垂直な面を有し、z軸方向に沿って見た場合にy軸方向に長手を有する。この例では、2つの第1リブ25が第1拘束板21に対して設けられている。第1拘束板21に対して1つの第1リブ25だけが設けられていてもよいし、さらに多くの第1リブ25が設けられていてもよい。また、第1リブ25の形状は、z軸方向に沿って見た場合にy軸方向に沿って長手を有する場合に限らず、他の方向に沿って長手を有してもよいし、途中で曲がった形状を有してもよい。すなわち、第1リブ25は、平面を有する板状に限らず、曲面を有する板状であってもよい。さらに、第1リブ25は、格子形状のように複数の方向の面が交差する構造を組み合わせた構造を有してもよい。第2拘束板22と第2リブ26との関係についても、第1拘束板21と第1リブ25との関係と同様であるため、その関係の説明を省略する。
第2拘束部30Eは、第3拘束板31、第4拘束板32、第3リブ35および第4リブ36を含む。第3拘束板31と第3リブ35との関係および第4拘束板32と第4リブ36との関係についても、第1拘束板21と第1リブ25との関係と同様であるため、その関係の説明を省略する。
このように、リブ等の補剛部材を用いることにより、第1拘束板21、第2拘束板22、第3拘束板31および第4拘束板32の剛性が大きくなるため、低降伏点鋼板10の変形領域10mの面外方向への変形(座屈)をより強固に抑制することができる。
<第7実施形態>
第1実施形態では、第1拘束部20および第2拘束部30は、それぞれ片持ち構造を有していたが、両持ち構造を有していてもよい。第7実施形態では、両持ち構造によって低降伏点鋼板10における変形領域10mの変形を抑制する例について説明する。
図12は、本発明の第7実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図13は、図12におけるB1-B2切断線での断面を説明するための模式図である。図14は、図12におけるB3-B4切断線での断面を説明するための模式図である。第7実施形態における制振装置1Fは、片持ち構造を有する第1実施形態における第1拘束部20および第2拘束部30に代えて、両持ち構造を有する拘束部20Fを含む。拘束部20Fの両端部分は、それぞれ第2固定部40Fおよび第3固定部50Fに回転可能に固定されている。
拘束部20Fは、第1拘束板21F(第1板部)および第2拘束板22F(第2板部)を含む。第1拘束板21Fおよび第2拘束板22Fは、四角形の鋼板である。第1拘束板21Fおよび第2拘束板22Fが、低降伏点鋼板10における変形領域10mよりも面外変形に対する剛性が高いことが好ましい。第1拘束板21Fと第2拘束板22Fとは、第2固定部40Fによってウェブ95の第1拡張領域952に回転可能な状態で固定されている。このとき、低降伏点鋼板10は、x軸方向およびy軸方向に移動できる状態で、第1拘束板21Fと第2拘束板22Fとに挟まれている。第2固定部40Fは、ボルト等の固定具45Fを有する。固定具45Fは、第1拘束板21F、第2拘束板22Fおよびこれらに挟まれたウェブ95の第1拡張領域952を貫通して、これらの構成を互いにxy面内で回転可能な状態で固定する。この回転の中心は、固定具45Fの位置に対応する。第3固定部50Fは、ボルト等の固定具55Fを有する。固定具55Fは、第1拘束板21F、第2拘束板22Fおよびこれらに挟まれたウェブ95の第2拡張領域954を貫通して、これらの構成を互いにxy面内で回転可能な状態で固定する。この回転の中心は、固定具55Fの位置に対応する。
続いて、間柱90に振動が伝達されたときの制振装置1Fの動きについて説明する。
図15は、本発明の第7実施形態における制振装置の動きを示す図である。図15は、第1実施形態において説明した図5に対応する。上述したように、拘束部20Fは、両持ち構造によってウェブ95に固定されていても、回転可能な状態で固定されている。したがって、制振装置1Fの近傍において間柱90が変形して第2固定部40Fと第3固定部50Fとの位置関係に歪みが生じたとしても、図15に示すようにウェブ95(フランジ92、94)に対して拘束部20F(第1拘束板21Fおよび第2拘束板22F)が回転することで、拘束部20Fは、第2固定部40Fおよび第3固定部50Fに大きな負荷を発生させずに、低降伏点鋼板10の面外方向への変形(座屈)を抑制する機能を維持する。
<第8実施形態>
第7実施形態では、1つの低降伏点鋼板10に対して1つの拘束部20Fが設けられていたが、複数の拘束部が設けられてもよい。第8実施形態では、1つの低降伏点鋼板10に対して2つの拘束部20aG、20bGが設けられた制振装置1Gについて説明する。
図16は、本発明の第8実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。第8実施形態における制振装置1Gは、拘束部20aG(第1拘束部)および拘束部20bG(第2拘束部)を含む。拘束部20aGおよび拘束部20bGは、いずれも、第7実施形態における拘束部20Fと同等の構成を有する。すなわち、拘束部20aGにおける第1拘束板21aG(第2板部)(および図示しない第2拘束板22aG(第3板部))は、第2固定部40aG(固定具45aG)と第3固定部50aG(固定具55aG)とによって、その両端のそれぞれがウェブ95(第1拡張領域952、第2拡張領域954)に対して回転可能な状態で固定されている。拘束部20bGにおける第1拘束板21bG(第4板部)(および図示しない第2拘束板22bG(第5板部))は、第4固定部40bG(固定具45bG)と第5固定部50bG(固定具55bG)とによって、その両端のそれぞれがウェブ95(第1拡張領域952、第2拡張領域954)に対して回転可能な状態で固定されている。
一方、拘束部20Fは、変形領域10mのx軸方向の中央部分(1/2の部分)に配置されていたが、拘束部20aGおよび拘束部20bGは、変形領域10mにおけるx軸方向の1/3の部分および2/3の部分に配置されている。なお、拘束部20aGおよび拘束部20bGは、上部保持領域10uから下部保持領域10bの間で、変形領域10mを均等に分けるように配置されていたが、このような配置に限られない。例えば、拘束部20aGおよび拘束部20bGが互いに中央部分に近づくことで、変形領域10mの中央部分における面外方向への変形抑制(座屈抑制)効果を高めるようにしてもよい。
<第9実施形態>
第7実施形態では、第1拘束板21Fおよび第2拘束板22Fがy軸方向に沿って長手を有し、その幅(x軸方向の長さ)が一定であったが、y軸方向の場所によってその幅が異なってもよい。第9実施形態では、拘束板がy軸方向の中央部分ほど幅が広い形状を有する例について説明する。
図17は、本発明の第9実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。第9実施形態における制振装置1Hは、拘束部20Hを含む。拘束部20Hは、第7実施形態における拘束部20Fと同等の構成を有するが、y軸方向の位置に応じて幅が異なる第1拘束板21H(および図示しない第2拘束板22H)を含む。すなわち、拘束部20Hにおける第1拘束板21Hは、第2固定部40H(固定具45H)と第3固定部50H(固定具55H)とによって、その両端のそれぞれがウェブ95(第1拡張領域952、第2拡張領域954)に対して回転可能な状態で固定されている。
第1拘束板21Hは、y軸方向両端からy軸方向の中央部分に向けて、徐々に幅(x軸方向の長さ)が長くなり中央部分で幅が極大になる形状を有する。この例では、第1拘束板21Hは、この例では、x軸方向の縁部形状CH1、CH2として曲線形状(例えば円弧形状)を有している。このようにすると、変形領域10mの面外方向への変形(座屈)をさらに効率的に抑制することができる。なお、この縁部形状CH1、CH2は、この形状に限らず、様々な形状が取り得る。ここで、第6実施形態で説明したようなリブを設ける場合、他の部分より幅が長い領域、特に、第1拘束板21Hの幅が急激に大きくなるような領域において、x軸方向に沿ったリブを配置するとより効果的である。この例では、第1拘束板21Hのy軸方向の中央部分においてx軸方向に沿ったリブを配置するとより効果的である。
<第10実施形態>
第7実施形態では、拘束部20Fは、両持ち構造を有する一方、ウェブ95には回転可能な状態で固定されていたが、板状部材の構造を異ならせることでウェブ95に対して回転可能ではない状態で固定されていてもよい。第10実施形態では、両持ち構造かつ回転可能でない状態でウェブ95に固定されていてもよい拘束部の構造について説明する。
図18は、本発明の第10実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図19は、図18におけるC1-C2切断線での断面を説明するための模式図である。図20は、図18におけるC3-C4切断線での断面を説明するための模式図である。第10実施形態における制振装置1Jは、拘束部20Jを含む。
拘束部20Jは、第1実施形態における第1拘束部20と第2拘束部30とをつないだ構造に対応し、第2固定部40Jおよび第3固定部50Jによってウェブ95に固定されている。拘束部20Jは、第1拘束板21Jおよび第2拘束板22Jを含む。第1拘束板21Jは、y軸方向に長手を有する複数のスリット28Jが形成されている。第2拘束板22Jは、y軸方向に長手を有する複数のスリット29Jが形成されている。第1拘束板21Jおよび第2拘束板22Jは、スリットが形成されることにより、狭い幅でy軸方向に長手を有する複数の板状部材を端部でつないだ構造を有している。
第2固定部40Jは、高力ボルト等の固定具45Jを有する。固定具45Jは、第1拘束板21J、第2拘束板22Jおよびこれらに挟まれたウェブ95の第1拡張領域952を貫通して、これらの構成を互いに固定する。第3固定部50Jは、高力ボルト等の固定具55Jを有する。固定具55Jは、第1拘束板21J、第2拘束板22Jおよびこれらに挟まれたウェブ95の第2拡張領域954を貫通して、これらの構成を互いに固定する。
続いて、間柱90に振動が伝達されたときの制振装置1Jの動きについて説明する。
図21は、本発明の第10実施形態における制振装置の動きを示す図である。図21は、第1実施形態において説明した図5に対応する。上述したように、第1拘束板21Jおよび第2拘束板22Jは、スリット28J、29Jによって幅の狭い複数の板状部材を接続した構造を有している。この幅の狭い板状部材は、その両端部分(スリットの両端部分)の近傍において、xy面内で変形しやすい構造を有している。したがって、拘束部20Jが両持ち構造によってウェブ95に固定された状態で、制振装置1Jの近傍において間柱90が変形することによって第2固定部40Jと第3固定部50Jとの位置関係に歪みが生じたとしても、図21に示すように拘束部20Jにおけるスリット両端近傍においてxy面内での変形をすることで、拘束部20Jは、第2固定部40Jおよび第3固定部50Jに大きな負荷を発生させずに、低降伏点鋼板10の面外方向への変形(座屈)を抑制する機能を維持する。
<第11実施形態>
第1実施形態においては、y軸方向に関し、上部保持領域10uおよび下部保持領域10bは、変形領域10mよりも長くすることによって強度を高めていたが、厚さ(z軸方向の長さ)を厚くすることによって降伏せん断力を高めてもよい。
図22は、本発明の第11実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図23は、図22におけるD3-D4切断線での断面を説明するための模式図である。第11実施形態における制振装置1Kは、低降伏点鋼板10Kを含む。低降伏点鋼板10Kは、上部保持領域10uK、下部保持領域10bKおよび変形領域10mKを含む。上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKは、変形領域10mKと比べて、y軸方向の長さが同じである。そのため、開口部98Kの形状も第1実施形態における開口部98の形状とは異なっている。
一方、上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKは、変形領域10mKと比べて厚くなっている。これによって、上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKは、変形領域10mKと比べて降伏せん断力が大きくなっている。この例では、上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKはウェブ95とほぼ同じ厚さであるため、低降伏点鋼板10Kをウェブ95に固定する方法は、第1実施形態と同じく上部固定部70および下部固定部75によって実現される。一方、変形領域10mKは上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKよりも薄く、すなわちウェブ95よりも薄いため、第1拘束部20Kでは、例えば、第1拘束板21と変形領域10mKとの間に、第1拘束板21に固定された補助板23が配置されている。図示しない第2拘束板22と変形領域10mKとの間にも、第2拘束板22に固定された補助板が配置されている。また、第2拘束部30Kにおける第3拘束板31と変形領域10mKとの間に、第3拘束板31に固定された補助板33が配置され、第4拘束板32と変形領域10mKとの間に第4拘束板32に固定された補助板34が配置される。この例では、拘束板と拘束板に固定された補助板とは別体に形成された鋼板であるが、一体に形成された鋼板であってもよい。
なお、上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKに対する変形領域10mKの位置が、z軸方向における中央部分である例を図23に示したが、中央部分でなく一方に偏った位置であってもよい。この場合には変形領域10mKの両面に配置される補助板の厚さが異なっていてもよいし、一方の補助板が設けられていなくてもよい。また、上部保持領域10uK(下部保持領域10bK)から変形領域10mKまでの間において、徐々に薄くなる領域が配置されてもよく、言い換えると、少なくとも変形領域10mKの拘束板に挟まれている領域より上部保持領域10uK(下部保持領域10bK)側において、断面積(第1方向を法線とする面の断面積)が徐々に変化する領域を有するともいえる。
<第12実施形態>
第1実施形態では、第1拘束部20および第2拘束部30は、ウェブ95に固定されていたが、フランジ92、94に固定されていてもよい。第12実施形態では、第11実施形態において、フランジ92、94に拘束部が固定されている場合について説明する
図24は、本発明の第12実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図25は、図24におけるE1-E2切断線での断面を説明するための模式図である。第12実施形態における制振装置1Lは、第2固定部40Lによってフランジ92に固定された第1拘束部20L、および第3固定部50Lによってフランジ94に固定された第2拘束部30Lを含む。この例では、第11実施形態における開口部98Kとは異なり、変形領域10mKとフランジ92との間、および変形領域10mKとフランジ94との間にウェブ95が形成されないように開口部98Lがウェブ95に形成されている。すなわち、開口部98Lの開口端がフランジ92、94の側面と一致することで、ウェブ95が開口部98Lによって上部と下部とに分離されている。
第1拘束部20Lにおける第1拘束板21Lは、その一部がフランジ92の側面に沿って曲げられた部分を有し、その部分が固定具45Lによってフランジ92に固定されている。第1拘束部20Lにおける第2拘束板22Lは、その一部がフランジ92の側面に沿って曲げられた部分を有し、その部分が固定具45Lによってフランジ92に固定されている。第2拘束部30Lにおける第3拘束板31L、第4拘束板32Lと、第3固定部50Lにおける固定具55Lとの関係も同様である。
このようにすると、第2固定部40Lの位置を調整することにより、第1拘束板21Lと第2拘束板22Lとの距離が調整でき、同様に第3固定部50Lの位置を調整することにより、第3拘束板31Lと第4拘束板32Lとの距離が調整できる。したがって、上部保持領域10uKおよび下部保持領域10bKより薄い変形領域10mKを有する低降伏点鋼板10Kを用いた場合であっても、第11実施形態で説明した補助板のような構造を用いなくても、第1拘束部20Lおよび第2拘束部30Lは、変形領域10mKに接触して、変形領域10mKの面外方向への変形(座屈)を抑制することができる。
<第13実施形態>
第1実施形態における低降伏点鋼板10の変形領域10mは概ね均一な厚さを有していたが、一部の領域において厚さが異なっていてもよい。第13実施形態では、変形領域の中央部分に窪みを有する例について説明する。
図26は、本発明の第13実施形態における制振装置の構造を説明するための図である。図27は、図26におけるF1-F2切断線での断面を説明するための模式図である。第13実施形態における制振装置1Mは、低降伏点鋼板10とは異なる表面形状を有する低降伏点鋼板10Mを含む。低降伏点鋼板10Mにおける変形領域10mMは、中央部分において、窪み領域10Mhを有する。窪み領域10Mhは、図26に示すようにz軸方向に沿って見た場合に円形であり、図27に示すようにx軸方向に沿って見た場合に中央部分ほど深くなるように形成されている。この例では、窪み領域10Mhの表面は、球面の一部の形状を有している。したがって、変形領域10mMは、窪み領域10Mhの中央部分において最も薄くなっている。このようにすると、変形領域10mMの中央部分において降伏せん断力を低くすることができる。
なお、変形領域10mMにおいて、複数の異なる位置に窪み領域10Mhが配置されてもよい。また、窪み領域10Mhの形状は、図26、図27に示す形状に限らず、様々に変更可能である。また、変形領域10mMのうち窪み領域10Mhが形成されることによって薄くなる領域がz軸方向における中央部分である例を図27に示したが、中央部分でなく一方に偏った位置であってもよい。その結果、窪み領域10Mhは、変形領域10mMのいずれかの面にのみ配置されてもよい。
<第14実施形態>
第1実施形態では、間柱90におけるウェブ95に開口部98を設けることにより制振装置1が間柱90全体の一部の構造として配置されていたが、間柱90とは別の構造として配置されてもよい。第13実施形態では、間柱90から着脱可能に構成することで交換可能な制振装置1Nについて説明する。
図28は、本発明の第14実施形態における制振装置の配置例を示す図である。第13実施形態における制振装置1Nは、間柱上部構造90uNと間柱下部構造90bNとの間に着脱可能に取り付けられている。制振装置1Nは、間柱上部構造90uNに対して高力ボルトによって固定するための間柱上部固定部80u、および間柱下部構造90bNに対して高力ボルトによって固定するための間柱下部固定部80bを含む。
このように構成されることで、制振装置1Nは、間柱上部構造90uNと間柱下部構造90bNとの間において着脱可能に配置されることで、制振装置1Nの交換を容易に行うことができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上述した各実施形態は、互いに組み合わせたり、置換したりして適用することが可能である。また、上述した各実施形態では、以下の通り変形して実施することも可能である。なお、以下の記載では、第1実施形態を基準に変形した例を示しているが、その他の実施形態を基準としても変形が可能である。
(1)第1実施形態において、低降伏点鋼板10、第1拘束板21、第2拘束板22、第3拘束板31、第4拘束板32、スプライスプレート71、72、76、77、ウェブ95のそれぞれに対する板厚の大小関係が、図3および図4において一例として示されているが、各構成間の板厚の大小関係は、図示した例とは異なる関係であってもよい。
(2)第1実施形態において、制振装置1は、ウェブに対してフランジが結合されたH形鋼に配置されていたが、ウェブおよびフランジに相当する少なくとも2枚の鋼板が角度を持って形成されている鋼材、例えば、I形鋼、T形鋼、Z形鋼、溝形鋼、山形鋼など、他の形状の鋼材に配置されていてもよい。
(3)第1実施形態において摩擦接合のための高力ボルトを用いた鋼材間の固定は、支圧接合など別の接合方法による固定であってもよい。
(4)第1実施形態において、第2拘束部30が存在しなくてもよい。この場合において、第1拘束部20における第1拘束板21および第2拘束板22は、さらにy軸方向に沿って拡がることにより、変形領域10mにおけるy軸方向の両端部分を覆っていることが望ましい。