JP7355772B2 - ニッケル水素蓄電池の製造方法 - Google Patents
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Description
上記製造方法によれば、高SOC状態において合金の水素吸蔵量を多くすることができるため、合金に水素を吸蔵させた状態で充放電を繰り返し行うことができる。
これによれば、1サイクルあたりの時間を短縮化することができるため、ニッケル水素蓄電池を製造するタクトタイムの制限の下で充放電回数を多くすることができる。これにより、微粉化による負極の活性化を促進することができる。
上記方法によれば、1時間以上継続して充電状態を高い充電状態に維持することで、水素吸蔵合金を、内部抵抗を低下させる効果が得られる程度に脆化することができる。
<ニッケル水素蓄電池の構成>
図1はニッケル水素蓄電池の一例を示す。本実施形態のニッケル水素蓄電池は、複数の単電池30を電気的に直列接続して構成された電池モジュール11である。
極板群20は、複数の正極板21、複数の負極板22及びセパレータ23からなる。正極板21及び負極板22は矩形状であり、それらの間にセパレータ23を介して交互に位置する。このとき、正極板21、負極板22及びセパレータ23が積層された方向が積層方向である。正極板21は、側端部に正極集電部24が接合され、負極板22は、側端部に負極集電部25が接合されている。
正極板21は、基板と、正極合材とを有する。基板は、多数の孔を有し主成分を金属とするものであって、例えば発泡ニッケル基板である。正極合材は、正極活物質、及び添加材を含む。正極活物質は、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル等のニッケル酸化物である。添加材は、導電材、結着材等を含む。導電材は、金属化合物であり、ここではオキシ水酸化コバルト(CoOOH)等のコバルト化合物であってニッケル酸化物の表面を被覆している。導電性の高いオキシ水酸化コバルトは、正極内において導電性ネットワークを形成し、正極の利用率(「放電容量/理論容量」の百分率)を高める。正極合材は、基材に保持されている。
<電池モジュール11>
電池モジュール11の充電状態は、SOC(State Of Charge)で示される。SOCは、電池モジュール11に実際に充電されている電気量の定格容量に対する割合である。SOCは、電池モジュール11に対する充放電履歴に基づいて算出可能である他、開放された端子間の端子間電圧(OCV等)やインピーダンス、起電圧の推定等の周知の方法でも算出することができる。
Ni(OH)2+OH-→NiOOH+H2O+e-…(1)
OH-→1/4O2+1/2H2O+e-…(2)
・負極
M+H2O+e-→MH+OH-…(3)
H2O+e-→1/2H2+OH-…(4)
反応式(2)、(4)を合わせると、反応式(5)に示すように、水の電気分解で酸素ガス(酸素分子:O2)と水素ガス(水素分子:H2)とが生じる反応となる。このとき、酸素ガスと水素ガスとの比率(H2/O2比率)であるガス比率は「2」となる。
<電池モジュール11の製造方法>
図2を参照して、電池モジュール11の製造方法について説明する。
過充電工程は、水素吸蔵合金の表面に、微粉化の起点となる割れ(クラック)を新たに発生させるための工程である。この工程では、SOCが100%以上150%以下の範囲に含まれる上限値に到達するまで充電を行う。そして、SOCが上限値に達した直後、放電を行う。
次に図5を参照して、活性化工程において高SOC充放電工程を行わない場合について説明する。通常充放電工程を行った後、SOCの変動範囲に低SOC状態を含む充放電工程(時間T10~T11)と、リフレッシュ充放電工程(T11~T12)を行う。この充放電工程の例では、低いSOCに到達するまで放電を行う点が高SOC充放電工程と異なる。この充放電工程の例では、SOC100%を超える過充電状態を30分程度維持した後に、SOCが10%~20%程度になるまで放電を行う充放電サイクルを2回繰り返している。
(1)SOC100%を含む高SOC状態で充放電サイクルを複数回繰り返す高SOC充放電工程を行うことで、合金内に拡散した水素が合金に脆性をもたらす。高いSOCを継続して維持することにより合金が脆化するのみでも微粉化が進むが、合金に水素を吸蔵させたままで充放電を繰り返すことで、合金を脆化させつつ合金を膨張及び収縮させることができ、微粉化による負極の活性化が促進される。また、高SOC充放電工程では、SOCを低SOC状態に到達させることなく高いSOCで充放電を繰り返すため低いSOCに至るまで放電するための時間を削減できる。このため、合金の膨張及び収縮の増加又は負極の活性化のための時間を短縮化することが可能となるため、微粉化による負極の活性化を効率よく行うことができる。このように合金の微粉化により負極を活性化することが可能となるため、ニッケル水素蓄電池の初期の内部抵抗を低減することができる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、高SOC充放電工程の充電レート及び放電レートを、2.3C以上4.6C以下としたが、充電レート及び放電レートの少なくとも一方が当該範囲内であればよい。また、タクトタイムに応じて、高SOC充放電工程の充電レート及び放電レートを、2.3C未満、又は4.6C超としてもよい。
・上記実施形態では、高SOC充放電工程の前に中間深放電工程を行うようにした。これに代えて、電池モジュール11の内圧が、排気弁141の開弁圧に到達しない条件で当該高SOC充放電工程を行うことができれば、中間深放電工程を省略してもよい。又は、高SOC充放電工程の途中で中間深放電工程を行うようにしてもよい。
21…正極としての正極板
22…負極としての負極板
Claims (5)
- 水酸化ニッケルを活物質として含む正極と、水素吸蔵合金を活物質として含む負極と、アルカリ電解液とを備えたニッケル水素蓄電池の製造方法であって、
前記ニッケル水素蓄電池の充電状態であるSOCの範囲には、SOC100%を含む高SOC状態と前記高SOC状態よりも低い低SOC状態が含まれ、
前記ニッケル水素蓄電池のSOCを、80%以上150%以下の範囲の前記高SOC状態に維持しながら充放電を複数回繰り返す高SOC充放電工程を有する
ニッケル水素蓄電池の製造方法。 - 前記高SOC充放電工程の直前に、10%以下の所定のSOCに到達するまで前記ニッケル水素蓄電池の放電を行う中間深放電工程をさらに含む
請求項1に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。 - 前記高SOC充放電工程の直後に、100%以上且つ前記150%以下のSOCに到達するまでの充電、及び10%以下のSOCに到達するまでの放電を行うリフレッシュ充放電工程を有する
請求項1又は2に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。 - 前記高SOC充放電工程は、充電レート及び放電レートの少なくとも一方が、2.3C以上4.6C以下である
請求項1~3のいずれか1項に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。 - 前記高SOC充放電工程は、前記ニッケル水素蓄電池のSOCを前記高SOC状態に維持する時間が1時間以上である
請求項1~4のいずれか1項に記載のニッケル水素蓄電池の製造方法。
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