JP7355302B2 - 治療支援システム - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (証明書1)令和元年5月25日、5月26日開催 一般社団法人福岡県歯科医師会、福岡県歯科用品商組合主催「2019 九州デンタルショー」 (証明書2)令和元年7月12日公開 https://white-ai.com/ (証明書3)令和元年7月16日、7月26日公開 チラシの配布 配布場所:日本歯科大学附属病院 (証明書4)令和元年7月19日公開 チラシの配布 配布場所:あすか会議室 (証明書5)令和元年8月1日公開 チラシの配布 配布場所:いぐち歯科クリニック (証明書6)令和元年9月27日公開 スライドの公開 配布場所:日本マイクロソフト品川本社 (証明書7)令和元年10月1日公開 デモの公開 配布場所:日本マイクロソフト品川本社
本発明は、主に歯科治療現場等の医療現場において運用される、治療支援システムに関する。
歯科医師は歯番ごとに作成した歯牙歯周の状態の所見に基づいて下記(1)~(4)の準備を経て治療に入る。
(1)問題のある歯牙歯周の歯番ごとの病名を決定する。
(2)病名と所見から歯番ごとの治療方法を決定する。
(3)歯番全体の治療方法から歯番の治療順序を洗い出す。
(4)患者と相談して最適な治療順序を確定する。
なお、歯番とは患者を正面から見た口腔内を正中線の左上、左下、右上、右下ごとに分割し、前から後ろに向けて永久歯は1~8、乳歯はA~Eとした番号のことである。
特許文献1には本発明の先行技術である、歯科医師が遂行する患者の病名の決定、治療方法の策定、治療順序の策定を支援する歯科治療支援システムが開示されている。
特開2019-80900号公報
上述した病名の決定、治療方法の策定、治療順序の策定は単に規則的にできるものではなく、歯科医師が個々に積み上げてきた観察力、経験値あるいは直感力といった暗黙知が必要となる。例えば、患者の食事を妨げないように左右2カ所の同時治療を避ける、抜歯をしないで済むように治療方法や治療順序を決めていくことなどである。すなわち、現状では歯科医師の経験等の差に依存して歯科治療の質が左右される状況である。
もし、病名の決定、治療方法の策定、治療順序の策定を、情報技術を用いて補助することができるなら、経験の浅い歯科医師であっても良質の歯科治療を実現することが期待できる。
以上の背景に基づき、発明者らは歯科医師のノウハウを機械学習システム及び/またはデータベースに登録し、経験の浅い歯科医師がそれらノウハウを利用可能にする歯科治療支援システムを発明した。これが特許文献1で開示した発明である。
特許文献1に係る歯科治療支援システムは、サーバ運営者がサーバを操作することで、複数の歯科医師のノウハウを学習したAI(artificial intelligence:人工知能)を構築し、ユーザである歯科医師が当該AIを利用する利用形態のシステムである。すなわち、サーバ上に形成されるAIは、サーバ運営者の管理下にある、全ユーザに対して共通且つ単一種類のサービスを提供するために利用される。
しかし、治療方法や治療順序は専門分野ごとに異なるため、ユーザの専門分野に適したAIが存在しない場合もある。
そこで、ユーザが独自のAIをサーバ上に構築することができれば、専門分野に特化したAIの構築が可能となり、ユーザは多様なAIの中から、必要なAIを選択して利用することが可能となる。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、医師が独自に治療に関する諸情報を推定するAIを構築し、運用することを支援する治療支援システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の治療支援システムは、機械学習を利用して推定演算を実現するAIを生成し、かつ更新する学習フェーズを実行する学習演算処理部と、学習演算処理部における学習処理によって形成された近似関数パラメータとラベルテーブルを組み合わせることによって、所定の入力データに対する推定演算を行う推定フェーズ実行する推定演算処理部と、指定されたURLに対応して、複数存在する近似関数パラメータから一つを選択してAIと組み合わせ、このAIにより所定の推定演算を実行する入出力制御部と、を備える。
更に、本発明の治療支援システムは、AIを一意に識別するための識別情報であるAIIDが全て格納されるAIIDフィールドと、AIIDに対応するAIにアクセスするためのURLが格納されるURLフィールドとを有するAIIDマスタと、AIを利用したユーザを一意に識別するユーザIDが格納されるユーザIDフィールドと、ユーザが利用したAIのAIIDが格納されるAIIDフィールドと、ユーザが前記AIを利用した日時が格納される利用日時フィールドとを有するAI利用ログテーブルと、端末装置から送信される、AIIDを含むAIに対する問い合わせに対し、AIIDマスタに基づいて、AIIDを前記URLに変換するAI利用要求変換処理部と、AI利用要求変換処理部から得たURLに基づいて入出力制御部へ問い合わせを行うAI通信処理部と、を備える。
そして、AI利用要求変換処理部は、AI通信処理部がAIから入出力制御部を通じて所定の回答を受信したことに呼応して、AI利用ログテーブルに新規レコードを追記録する。
本発明により、医師が独自に治療に関する諸情報を推定するAIを構築し、運用することを支援する治療支援システムを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態に係る歯科治療支援システムの全体構成を示す概略図である。 端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 歯科治療支援サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。 歯科治療支援システムのソフトウェア機能の概略を示すブロック図である。 各種テーブルのフィールド構成を示す表である。 AI処理部における、システム標準AIの学習フェーズを示す機能ブロック図である。 AI処理部における、システム標準AIの推定フェーズを示す機能ブロック図である。 AI処理部における、ユーザ独自AIの学習フェーズを示す図である。 AI処理部における、ユーザ独自AIの推定フェーズを示す図である。 ユーザが端末装置を通じてAIを利用する際のタイミングチャートである。
本発明は、特許文献1に開示した発明の改良発明である。
多くの経験豊富な歯科医師あるいは歯科医院は、それぞれ異なる専門分野を有することが多い。小児向け治療の経験が豊富な歯科医師、インプラント等の保険対象外治療の経験が豊富な歯科医師等、様々である。それら歯科医師あるいは歯科医院は独自の患者データベースを有しており、それらデータには価値がある。
もし、歯科治療支援システムを利用する各々のユーザが、ユーザ独自のデータを基にユーザ独自のAIを構築することができれば、歯科治療支援システムが標準で提供するAIにはない特徴を有して、ユーザによるAIの相互利用が活性化されることが期待できる。
例えば、小児向け治療の経験が豊富な歯科医師がサービスするAIを利用すれば、小児向け治療の為の診断の精度向上が期待できる。
また、インプラント等の保険対象外治療の経験が豊富な歯科医師がサービスするAIを利用すれば、保険対象外治療において適切な差し歯等の選択精度向上が期待できる。
本発明は歯科医師の経験等の差に依存して歯科治療の質が左右される状況を鑑みてなされたものである。
本発明の実施形態は、AIを利用する歯科治療支援システムである。予め、定評のある歯科医師の経験をAI(artificial intelligence:人工知能)に学習させる。そして、本発明の実施形態は、このAIに所見等を入力することにより、まだ経験値が低い歯科医師であっても、病名、治療方法、治療計画などを確定する時に、あたかも経験の深い歯科医師がアドバイスするかのように機能して、歯科治療を一定水準以上になるように支援するものである。
歯科治療支援システムが利用するAIの学習演算処理は、可変長テキストデータを含むデータを読み込んで分類学習を行う機械学習を実行する。この機械学習は、一般的には、自然言語処理機能と推論結果を評価する機能を有するAIによって実現されるものである。この機械学習の一例としては、米マイクロソフト社のクラウドサービス「AZURE」に形成されているMachine Learning StudioやLUIS(Language Understanding Intelligent Service)、あるいは米IBM社のNLC(Natural Language Classifier)などが挙げられる。これ以降、本発明の実施形態に係る歯科治療支援システム101では、AZUREを通じてMachine Learning Studioを利用するものとする。
AZURE上に形成されたAIには一意のURL(Uniform Resource Locator)が割り当てられ、このURLに所定の入力項目を送信することでAIを利用する。
この時、AIのURLがユーザや第三者に知られてしまうと当該AIを無尽蔵に利用されてしまう、という弊害が生じる。
つまり、現状のAZUREは、ある一つのAIを特定多数のユーザが利用することを想定してシステムが構築されていない。
そこで、本発明の実施形態に係る歯科治療支援システムでは、AIのURLを隠蔽し、ユーザ認証を必須とすることで、第三者によるAIの利用を防ぎ、AIの利用量に応じて正しく課金等を発生させるための仕組みを構築している。
[歯科治療支援システム101:全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る歯科治療支援システム101の全体構成を示す概略図である。
経験豊富な歯科医師102は、歯科治療に定評のある歯科医師である。この経験豊富な歯科医師102は、インターネット103を通じて、自身が所有する端末装置104aを歯科治療支援サーバ105に接続する。そして、端末装置104aを用いて経験豊富な歯科医師102自身の過去の治療情報(カルテ)を歯科治療支援サーバ105に入力する。歯科治療支援サーバ105は、端末装置104aから入力された治療情報を学習する。
経験の浅い歯科医師106は、歯科治療の経験の浅い歯科医師である。この経験の浅い歯科医師106は、インターネット103を通じて、自身が所有する端末装置104bを歯科治療支援サーバ105に接続する。そして、端末装置104bを用いてこれから診療を行おうとする患者107の所見等の情報(カルテ)を歯科治療支援サーバ105に入力する。歯科治療支援サーバ105は、端末装置104bから入力された所見等の情報に基づき、患者107の病名の推定、治療方法の推定、治療順序の推定を行い、その結果を端末装置104bへ出力する。
なお、これ以降、端末装置104aと端末装置104bを区別しないときには、端末装置104と呼ぶ。
[端末装置104:ハードウェア構成]
図2は、端末装置104のハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的なパソコンよりなる端末装置104は、バス201に接続された、CPU202、ROM203、RAM204、表示部205、操作部206、不揮発性ストレージ207、NIC208を備える。
なお、端末装置104の表示部205及び操作部206は、歯科治療支援サーバ105の表示部307及び操作部308の代わりに用いられることもある。
[歯科治療支援サーバ105:ハードウェア構成]
図3は、歯科治療支援サーバ105のハードウェア構成を示すブロック図である。
歯科治療支援サーバ105は、バス301に接続された、CPU302、ROM303、RAM304、不揮発性ストレージ305、NIC306、RTC(RealTime Clock)309を備える。
なお、歯科治療支援サーバ105はパソコンを流用することが可能である。その場合、表示部307と操作部308を有することがある。ここでは、表示部307と操作部308は歯科治療支援サーバ105に不可欠なものではないので、点線で示している。
[歯科治療支援システム101:ソフトウェア機能の概略]
図4は、歯科治療支援システム101のソフトウェア機能の概略を示すブロック図である。
歯科治療支援サーバ105は、クラウドのwebサービスである。図3と図4では図示の都合上、単一の計算機資源で図示している。
端末装置104は、入出力制御部401に接続された表示部205と操作部206よりなる。ユーザが操作部206を操作することによって生成される情報は、入出力制御部401からインターネット103を通じて歯科治療支援サーバ105に送信される。また、インターネット103を通じて歯科治療支援サーバ105から入出力制御部401が受信した情報は、表示部205に表示される。
歯科治療支援サーバ105は、端末装置104に対するwebサーバとして機能する。入出力制御部403は端末装置104と周知のHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)にて通信を実行する。
端末装置104が歯科治療支援サーバ105にアクセスすると、入出力制御部403を通じてAI選択画面処理部402が起動される。
AI選択画面処理部402は、ユーザマスタ404を参照して所定のログイン認証を行った後、ユーザ利用AIテーブル405を参照して、端末装置104のユーザが利用可能なAIのリストを作成する。更に、歯科治療支援サーバ105は、作成したAIのリストを基にAI選択画面を構成するHTML文書を作成し、端末装置104に返信する。
ユーザが端末装置104を操作して使用するAIを選択して、患者の年齢、口腔疾患部位を含む所定の入力項目を歯科治療支援サーバ105へ送信すると、歯科治療支援サーバ105のAI利用要求変換処理部406が入出力制御部403を通じてこれを受信する。AI利用要求変換処理部406はAIIDマスタ407を参照して、ユーザが選択したAIのAIIDをURLに変換する。AIIDとは、歯科治療支援サーバ105のAI処理部409に形成される複数のAIを一意に識別するための識別情報である。そして、入出力制御部403はAI利用要求変換処理部406から受け取ったURLと所定の入力項目をAI通信処理部408に引き渡す。
AI通信処理部408は、AI処理部409に対するwebクライアントとして機能する。また、AI処理部409はURLで指定されるAIのリソースを提供するwebサーバである。AI通信処理部408は、AI利用要求変換処理部406から受け取ったURLにアクセスすることでAI処理部409に接続して、所定の入力項目をAI処理部409に送信する。
AI処理部409にはwebサーバプログラムである入出力制御部410とAIの演算処理エンジンである推定演算処理部411が含まれている。
入出力制御部410はAI通信処理部408によって指定されたURLに基づいて近似関数パラメータ412とラベルテーブル413と推定演算処理部411を組み合わせて、所望のAI(分類推定器)を形成する。その上で、入力された所定の入力項目を推定演算
処理部411に与えて、推定結果を得る。
これ以降、本発明の実施形態において説明する、AI処理部409において形成されるAIとは、推定演算処理部411に所定の学習処理によって形成された近似関数パラメータ412とラベルテーブル413を組み合わせることによって実現される分類推定器であり、所定の入力データに対する推定演算処理を実行する機能を持つ。また、近似関数パラメータとは、機械学習において学習処理によって更新される、近似関数を実現するための係数群である。
AIを含む機械学習を利用するためには、推定演算を実現するAIを生成し更新する学習フェーズと、実際に入力データを与えて推定演算を実行する推定フェーズが存在する。
AI処理部409には推定フェーズを実行する推定演算処理部411の他に、所望のAIを生成し更新する学習フェーズを実行する学習演算処理部414が存在する。
AIを含む機械学習を利用する推定演算装置には、推定演算機能を生成し更新する学習フェーズと、実際に入力データを与えて推定演算を実行する推定フェーズが存在する。
AI処理部409には推定フェーズを実行する推定演算処理部411の他に、所望のAIを生成し更新する学習フェーズを実行する学習演算処理部414が存在する。
AI処理部409の学習演算処理部414は、可変長テキストデータを含むデータを読み込み、分類学習を行う機械学習を実行する。この機械学習は、一般的には、自然言語処理機能と推論結果を評価する機能を有するAIによって実現されるものである。一例として、米マイクロソフト社のクラウドサービス「AZURE」に形成されているMachine Learning StudioやLUIS(Language Understanding Intelligent Service)、あるいは米IBM社のNLC(Natural Language Classifier)などが挙げられる。
AI処理部409が形成するAIは、例えば以下の4種類が形成可能である。
(1)患者年齢、口腔疾患部位と口腔疾患病名を入力すると治療計画を出力する、治療計画AI。
治療計画AIは、口腔疾患部位と口腔疾患病名から類推される治療計画を、確率と共に出力することで、歯科医師が治療計画を策定する際の参考情報を提供する。
(2)患者年齢、口腔疾患部位と口腔疾患病名を入力すると所見を出力する、所見AI。
所見AIは、患者年齢、口腔疾患部位と口腔疾患病名を入力すると、他の歯科医師が作成した所見の文章を確率と共に出力する。歯科医師はこの所見の文章を見て、口腔疾患病名の正確性を類推することが可能になる。
(3)患者年齢、口腔疾患部位と第一回目の治療内容を入力すると、口腔疾患病名を出力する、治療病名AI。
治療病名AIは、患者年齢、口腔疾患部位と、実際に行った治療内容から類推される病名を、確率と共に出力することで、歯科医師がカルテに記載する病名を判断する参考情報を提供する。
(4)患者年齢、口腔疾患部位と所見を入力すると、口腔疾患病名を出力する、所見病名AI。
所見病名AIは、患者年齢、口腔疾患部位と、所見の文章から類推される病名を確率と共に出力することで、歯科医師の診察の参考情報を提供する。
以上の説明より明らかなように、各々のAIは、患者年齢及び口腔疾患部位の、2種類の入力項目が共通かつ必須である。これらの入力項目は、AIの推定精度を向上させるために必須である。換言すれば、口腔疾患部位及び口腔疾患と患者年齢にはある種の相関関係が存在するものと思われる。
図4では、歯科治療支援サーバ105の内部に、AI処理部409が、歯科治療支援サーバ105の一部を構成するように図示されているが、前述のように歯科治療支援サーバ105はクラウドのwebサービスに形成されている。したがって、AI処理部409を歯科治療支援サーバ105とは別体のwebサーバとして構築してもよい。
図5は各種テーブルのフィールド構成を示す表である。
ユーザマスタ404は、ログインIDフィールド、パスワードハッシュ値フィールド、ユーザIDフィールド、その他フィールドを有する。
ログインIDフィールドには、ユーザが歯科治療支援サーバ105を利用する際に認証を行うためのログインIDが格納される。
パスワードハッシュ値フィールドには、パスワードのハッシュ値が格納される。
ユーザIDフィールドには、ユーザを一意に識別するユーザIDが格納される。
その他フィールドには、ユーザに関する諸情報が格納される。
ユーザIDが漏洩しただけで悪意ある第三者が他人のAIIDを取得でき、即座にAIを使用できてしまうため、本発明の実施形態に係る歯科治療支援サーバ105では、ユーザIDとは別に、認証のためのログインIDとパスワードハッシュ値をユーザマスタ404に持たせている。
ユーザ利用AIテーブル405は、ユーザIDフィールド、AIIDフィールドを有する。
ユーザIDフィールドは、ユーザマスタ404のユーザIDフィールドと同じである。
AIIDフィールドには、ユーザIDフィールドに記述されているユーザIDの当該ユーザが利用可能なAIを一意に識別するための識別情報であるAIIDが格納される。
このため、ユーザ利用AIテーブル405においてユーザIDとAIIDは1対多の関係を有する。
AIIDマスタ407は、AIIDフィールド、ユーザIDフィールド、URLフィールド、利用料金フィールドを有する。
AIIDフィールドは、ユーザ利用AIテーブル405のAIIDフィールドと概ね同じであり、AIを一意に識別するための識別情報であるAIIDが全て格納される。
ユーザIDフィールドには、AIIDフィールドに記述されているAIIDのAIを作成し、所有するユーザのユーザIDが格納される。
URLフィールドには、AIIDに対応するAIにアクセスするためのURLが格納される。
利用料金フィールドには、ユーザがAIの作成時に設定した、AIの利用料金が格納される。
AI利用ログテーブル415は、利用日時フィールド、ユーザIDフィールド、AIIDフィールド、実行結果フィールド、利用料金フィールド、その他フィールドを有する。
ユーザIDフィールドは、ユーザ利用AIテーブル405のユーザIDフィールドと同じである。すなわち、AIIDフィールドに記載されたAIIDで特定されるAIを利用したユーザのユーザIDが格納される。
AIIDフィールドは、ユーザ利用AIテーブル405のAIIDフィールドと同じである。すなわち、ユーザIDフィールドに記載されたユーザIDで特定されるユーザが利用したAIのAIIDが格納される。
利用日時フィールドには、ユーザIDフィールドに記載されたユーザIDで特定されるユーザが、AIIDフィールドに記載されたAIIDで特定されるAIを利用した日時が格納される。
実行結果フィールドには、AIの実行の結果、正常終了したか否かを示す情報が格納される。
利用料金フィールドには、ユーザがAIを使用した結果として発生した、AIの利用料金が格納される。つまり、AIIDマスタ407の同名フィールドの値をコピーしたものである。
その他フィールドには、ユーザのアクセスに関する諸情報(例えばHTTP(S)のUserAgent等)が格納される。
[歯科治療支援システム101:システム標準AIの構築と運用]
図6は、AI処理部409における、システム標準AIの学習フェーズを示す機能ブロック図である。
図7は、AI処理部409における、システム標準AIの推定フェーズを示す機能ブロック図である。
なお、図6及び図7では、歯科治療支援サーバ105の内部でAI処理部409にデータの引き渡しの際に行われる種々のデータ加工処理を省略している。
先ず、歯科治療支援サーバ105はシステム標準AIを構成するため、学習フェーズでシステム標準近似関数パラメータ601を作成する。
システム標準ラベルテーブル602は、教師データに対応するラベルを保持するテーブルである。
端末装置104は、歯科治療支援サーバ105のAI処理部409に対し、入力データと教師データを与える。
端末装置104から入力される教師データは、長文の自然言語文章であったり、複数のフィールドを有するテーブルのレコードであったりする。これら不定形な教師データの代わりに、それらレコードを一意に識別するラベルを付与して、教師データに代えて入力させることで、学習演算処理部414の負担を軽減し、システム標準近似関数パラメータ601のデータ容量を低減する。
推定フェーズでは、推定演算処理部411が推定結果としてラベルと確率を推定リスト701として出力する。
AI処理部409の入出力制御部410は推定リスト701をそのまま端末装置104に返信するのではなく、システム標準ラベルテーブル602を参照して、ラベルを本来の推定結果に置換して、端末装置104へ返信する。
[歯科治療支援システム101:ユーザ独自AIの構築と運用]
図8は、AI処理部409における、ユーザ独自AIの学習フェーズを示す図である。
図9は、AI処理部409における、ユーザ独自AIの推定フェーズを示す図である。
図6及び図7と比較して、端末装置104には変更がないので、図示を省略している。
図6で作成したシステム標準AIを構成するシステム標準近似関数パラメータ601とシステム標準ラベルテーブル602は、それぞれユーザ独自近似関数パラメータ801とユーザ独自ラベルテーブル802にコピーされた上で、ユーザが自前のデータを用いて学習を行う。
したがって、推定演算処理部411と、ユーザ独自近似関数パラメータ801とユーザ独自ラベルテーブル802を組み合わせることで、ユーザ独自の学習データが反映されたAIが構築され、機能する。
あるユーザが独自のAIを作成すると、AI処理部409によって当該AIを利用するためのURLが生成される。その後、図示しないAI管理処理部によって、当該URLに対応する新規のAIIDが生成され、AIIDマスタ407に新規レコードとして追記録される。その際、ユーザが決定した利用料金も当該レコードの利用料金フィールドに記録される。
他のユーザが新規のAIを利用する際には、AIIDマスタ407からAIIDをユーザ利用AIテーブル405に引き写す。
以上の処理を経て、あるユーザが独自に作成したAIが複数の他のユーザによって利用され、共有されるようになる。
[歯科治療支援システム101:ユーザ独自AIの利用]
図10は、ユーザが端末装置104を通じてAIを利用する際のタイミングチャートである。
ユーザが端末装置104を操作することによってメニュー表示要求操作が行われると、端末装置104からメニュー表示要求がユーザIDと共に歯科治療支援サーバ105のAI選択画面処理部402に送信される(S1001)。
AI選択画面処理部402はユーザマスタ404とユーザ利用AIテーブル405を参照して、端末装置104のユーザが利用可能なAIIDのリストを作成し、これに基づいてAI選択画面HTML文書を作成する。そして、AI選択画面HTML文書を返信する(S1002)。
端末装置104は歯科治療支援サーバ105のAI選択画面処理部402からAI選択画面HTML文書を受信すると、表示部205に使用可能AIメニューを表示する(S1003)。
ユーザは使用したいAIを選択し、所定の入力項目を入力して、歯科治療支援サーバ105に送信する(S1004)。
端末装置104から送信されるユーザID、AIID及び所定の入力項目は、AI利用要求変換処理部406に入力される。AI利用要求変換処理部406は、AIIDマスタ407を参照して、端末装置104から受信したAIIDをURLに置換する。そして、URLと所定の入力項目をAI通信処理部408に引き渡す(S1005)。
AI利用要求変換処理部406からURLと所定の入力項目を受信したAI通信処理部408は、AI処理部409に対するwebクライアントとして機能する。AI通信処理部408は、URLにアクセスすることでAI処理部409に接続して、周知のHTTPSにて所定の入力項目をAI処理部409に送信する(S1006)。
AI通信処理部408からアクセス要求を受信したAI処理部409は、URLで指定されたAIを起動し、AI通信処理部408から受信した所定の入力項目を当該AIに与えて実行し、推定結果を得る。そして、推定結果である回答をAI通信処理部408に返信する(S1007)。
AI通信処理部408は、AI処理部409から受信した回答を、AI利用要求変換処理部406に転送する(S1008)。
AI通信処理部408から回答を受信したAI利用要求変換処理部406は、端末装置104に対して回答を転送(返信)すると共に、AI利用ログテーブル415にAI利用ログを追記録する(S1009)。この時、AI利用要求変換処理部406は、AIIDマスタ407をAIIDで検索してヒットしたレコードの利用料金フィールドの値を、AI利用ログテーブル415の新規レコードの利用料金フィールドに転記する。
歯科治療支援サーバ105から回答を受信した端末装置104は、回答を表示部205に表示する(S1010)。
AI利用ログテーブル415には、いつ、どのユーザがどのAIを使用したのかを示す情報、そしてAIの利用料金が蓄積される。そこで、AI利用ログテーブル415を、所定の利用期間に合致する利用日時とユーザIDで絞り込んだ上で、利用料金フィールドの値を合算すれば、当該ユーザが所定のAI利用期間において支払うべき利用料金を算出することが可能になる。また、AIIDマスタ407のレコードをユーザIDで絞り込んだ上で、ヒットしたレコードのAIIDフィールドにあるAIIDを検索キーとして保持する。そして、AI利用ログテーブル415を、所定の利用期間に合致する利用日時と先に保持したAIIDで絞り込んだ上で、利用料金フィールドの値を合算すれば、AIを作成したユーザが所定のAI利用期間において得られる利用料金を算出することが可能になる。
したがって、AI利用ログテーブル415とAIIDマスタ407を参照することで、AIを作成したユーザがAIを利用したユーザから利用料金を徴収することが可能になる。
なお、AI利用ログテーブル415の利用料金フィールドは、利用料金合算処理を容易にするために設けられているものであり、必ずしも必須ではない。AI利用ログテーブル415のAIIDフィールドをAIIDマスタ407のAIIDフィールドと紐付けた上で、AIIDマスタ407の利用料金フィールドを参照することで、上述した利用料金の合算も可能である。
また、利用料金を算出するタイミングは、AI利用要求変換処理部406がステップS1009の時点でリアルタイムに実行してもよいし、毎月の料金算出日等にバッチ処理等で実行してもよい。この場合、AI利用要求変換処理部406は、AI利用料金算出部として機能する。また、AI利用料金算出部として機能する機能ブロックは、AI利用要求変換処理部406でなく、AI利用要求変換処理部406とは異なる独立したプログラムとして設けてもよい。
ステップS1006において説明したように、AI通信処理部408は、webサーバとして機能するAI処理部409に対するwebクライアントである。AI通信処理部408はAI処理部409にアクセスする際、AI処理部409に固有のユーザIDを使用してAI処理部409にアクセスする。
つまり、入出力制御部403、AI利用要求変換処理部406及びAI通信処理部408は、ユーザの端末装置104とAI処理部409との間に介在して、端末装置104から送信されるAI利用要求を代行する、一種のアプリケーションプロキシとして機能する。
AIに対する端末装置104のアクセスにおいて、AI処理部409に直接アクセスするためのURLはAI利用要求変換処理部406によってユーザから隠蔽される。したがって、悪意ある第三者によるAIに対する不正アクセスを防ぎ、個々のユーザが作成するAIを適切に運用することが可能になる。
なお、図10では、端末装置104からAI利用要求変換処理部406、AI通信処理部408を経てAI処理部409に到達する、というデータの流れであったが、端末装置104から直接、AI通信処理部408を経てAI処理部409に到達する、という流れでもよい。この場合、AI通信処理部408がAI利用要求変換処理部406にAIIDからURLの変換処理を行わせた後、AI処理部409にアクセスする、という手順になる。そして、AI利用ログテーブル415に対するログ記録はAI通信処理部408が実行することとなる。この場合、AI利用要求変換処理部406またはAI通信処理部408は、AI通信処理部408がAIから入出力制御部410を通じて所定の回答を受信したことに呼応して、AI利用ログテーブル415に新規レコードを追記録するログ記録機能を提供する、AI利用ログ記録処理部として機能する。
すなわち、AI通信処理部408とAI処理部409との間の通信は図10に示す通りであるが、端末装置104とAI通信処理部408との間の通信の形態は、様々な形態を取り得る。
以上説明した歯科治療支援システム101は、歯科治療現場を対象とする治療支援システムである。しかし、本発明の適用対象は歯科治療現場にのみ限定されるものではない。
先ず、歯科治療に限らない、内科、外科、眼科、耳鼻咽喉科等、様々な医療現場にも本発明は適用可能である。この場合、推定演算処理部の入力データは、患者年齢、疾患部位及び所定の自然言語文章を有する。すなわち、口腔疾患部位から広い範囲の疾患部位に代わる。
歯科治療以外の医療業務では、治療病名AIが作成される機会は少ないと考えられる。一方で、医科領域においては「クリニカルパス」と呼ばれる、入院から退院までの治療・検査・食事等に関する診療計画書が存在する。したがって、歯科領域の治療計画AIに類似する「診療計画AI」が作成され、運用される可能性は高い。更に、患者年齢、疾患部位と疾患病名を入力すると所見を出力する所見AIと、患者年齢、疾患部位と所見を入力すると疾患病名を出力する所見病名AIも、作成され、運用される可能性が高い。
また、本発明は医療行為を支援するシステムの範疇に留まらず、ネイルサロン、美容院、動物病院など、従来、人の経験や知見の蓄積に基づいて行われた判断行為を有するあらゆる産業分野に適用可能である。
本発明の実施形態においては、歯科治療支援システム101を開示した。
AIに対する端末装置104のアクセスにおいて、AI処理部409に直接アクセスするためのURLはAI利用要求変換処理部406によってユーザから隠蔽される。したがって、悪意ある第三者によるAIに対する不正アクセスを防ぎ、個々のユーザが作成するAIを適切に運用することが可能になる。
また、AIの利用が完遂した時にAI利用ログテーブル415へログ記録を実行する。このAI利用ログテーブル415によって、AIを作成したユーザがAIを利用したユーザから利用料金を徴収することが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
101…歯科治療支援システム、102、106…歯科医師、103…インターネット、104…端末装置、105…歯科治療支援サーバ、107…患者、201…バス、202…CPU、203…ROM、204…RAM、205…表示部、206…操作部、207…不揮発性ストレージ、208…NIC、301…バス、302…CPU、303…ROM、304…RAM、305…不揮発性ストレージ、306…NIC、307…表示部、308…操作部、309…RTC、401…入出力制御部、402…AI選択画面処理部、403…入出力制御部、404…ユーザマスタ、405…ユーザ利用AIテーブル、406…AI利用要求変換処理部、407…AIIDマスタ、408…AI通信処理部、409…AI処理部、410…入出力制御部、411…推定演算処理部、412…近似関数パラメータ、413…ラベルテーブル、414…学習演算処理部、415…AI利用ログテーブル、601…システム標準近似関数パラメータ、602…システム標準ラベルテーブル、701…推定リスト、801…ユーザ独自近似関数パラメータ、802…ユーザ独自ラベルテーブル

Claims (4)

  1. 機械学習を利用して推定演算を実現するAIを生成し、かつ更新する学習フェーズを実行する学習演算処理部と、
    前記学習演算処理部における学習処理によって形成された近似関数パラメータとラベルテーブルを組み合わせることによって、所定の入力データに対する前記推定演算を行う推定フェーズ実行する推定演算処理部と、
    指定されたURLに対応して、複数存在する前記近似関数パラメータから一つを選択して前記AIと組み合わせ、前記AIにより所定の推定演算を実行する入出力制御部と、
    前記AIを一意に識別するための識別情報であるAIIDが全て格納されるAIIDフィールドと、前記AIIDに対応する前記AIにアクセスするための前記URLが格納されるURLフィールドとを有するAIIDマスタと、
    前記AIを利用したユーザを一意に識別するユーザIDが格納されるユーザIDフィールドと、前記ユーザが利用した前記AIのAIIDが格納されるAIIDフィールドと、前記ユーザが前記AIを利用した日時が格納される利用日時フィールドとを有するAI利用ログテーブルと
    端末装置から送信される、前記AIIDを含む前記AIに対する問い合わせに対し、前記AIIDマスタに基づいて、前記AIIDを前記URLに変換するAI利用要求変換処理部と、
    前記AI利用要求変換処理部から得た前記URLに基づいて前記入出力制御部へ問い合わせを行うAI通信処理部と、を備え、
    前記AI利用要求変換処理部は、前記AI通信処理部が前記AIから前記入出力制御部を通じて所定の回答を受信したことに呼応して、前記AI利用ログテーブルに新規レコードを追記録する、
    治療支援システム。
  2. 前記推定演算処理部の前記入力データは、患者年齢、疾患部位及び所定の自然言語文章が含まれる
    請求項1に記載の治療支援システム。
  3. 更に、前記AI利用ログテーブルを検索することで、ユーザが所定のAI利用期間において支払うべき利用料金を算出するAI利用料金算出部を備える
    請求項1または2に記載の治療支援システム。
  4. 前記AI利用料金算出部は、前記AIIDマスタ及び前記AI利用ログテーブルを検索することで、前記AIを作成したユーザが所定のAI利用期間において得られる利用料金を算出する、
    請求項3に記載の治療支援システム。
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