この出願の実施形態は、光学素子の形状による制約なしに、垂直な入射光及び斜め入射光についての光学素子の反射率を効果的に低減するための反射防止膜、光学素子、カメラモジュール、及び端末を提供し、それにより、光学素子は、極めて低い反射率を有する。
第1の様態によれば、この出願は、反射防止膜を提供する。反射防止膜は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に形成された複数の凸状構造を含む。各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、可視光波長の最小値未満である。各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造の高さは、310nm以上である。2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離は、220nm以下である。
この出願のこの実施形態で提供される反射防止膜は、光導波路の光透過面上に形成され、光学素子を形成する。この場合、各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造の屈折率は、光透過面から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造の屈折率と光導波路の屈折率の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。しかし、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離、及び、各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、いずれも可視光波長の最小値未満であるため、各凸状構造と、2つの隣接する凸状構造の間の空間とに関する識別は、反射防止膜に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子の反射率は、反射防止膜を利用することによって低減されることができる。加えて、各凸状構造の高さが310nm以上であり、また、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離が220nm以下であるとき、光学素子の形状についての制限なしに、反射防止膜は、可視光が光学素子に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子は、可視光に対する極めて低い反射率を有する。
第1の態様に関連し、第1の態様の第1の可能な実装において、さらに、各凸状構造の高さは、450nm以下であり、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離は、160nm以上である。このようにして、各凸状構造の屈折率が、光透過面から離れる方向にゆっくりと変化することが保証されるとき、凸状構造は、容易に製造される。
第1の態様に関連し、第1の態様の第2の可能な実装において、各凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面の最大径長は、対応する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長の0倍~0.3倍である。
各凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面の最大径長が、対応する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長の0倍であり、また、各凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面の面積が0であるとき、各凸状構造は、実質的に、光透過面から離れる方向に徐々に細くなる針状凸状構造である。この場合、可視光に対する各凸状構造の屈折率は、凸状構造の屈折率が空気の屈折率に等しくなるまで、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。言い換えると、反射防止膜の等価屈折率は、反射防止膜の等価屈折率が空気の屈折率に等しくなるまで、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。このようにして、可視光が空気から光学素子に照射されることができるとき、反射防止膜は、光学素子の反射率をより良好に調整及び制御するために、より自然な方式で可視光を徐々に屈折させることができ、それにより、光学素子は、極めて低い反射率を有する。
対応する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長に対する、各凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面の最大径長の比が、0より大きく、かつ0.3以下であるとき、この場合、各凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面の面積は、0より大きい。従って、反射防止膜は、光学素子の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、各凸状構造を製造する精度も低減されて、反射防止膜を製造する困難性を低減する。加えて、各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。従って、各凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面の最大径長が、対応する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長の0倍より大きいか又は0.3倍に等しいとき、各凸状構造の高さは、光透過面から離れる方向に各凸状構造の屈折率が徐々に減少するように、適切に制御されうる。このようにして、凸状構造の屈折率が低減されることが保証されるとき、各凸状構造を製造する困難性は、さらに低減されることができる。
第1の態様に関連し、第1の態様の第3の可能な実装において、各凸状構造の外形(profile)は、テーパ外形、ガウシアン外形、又はパラボラ外形である。これについては、それに限定されない。例えば、各凸状構造の外形がテーパ外形であるとき、各凸状構造は、テーパ凸状構造、例えば、円錐凸状構造、四角形ピラミッド凸状構造、又は六角形ピラミッド凸状構造である。これについては、本明細書においては限定されない。もちろん、製造の困難性を低減するために、凸状構造が実際に製造されるとき、製造された凸状構造は、テーパ凸状構造に類似する円錐台凸状構造であってもよい。
第1の態様又は第1の態様の第3の可能な実装に関連し、第1の態様の第4の可能な実装において、対応する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長に対する各凸状構造の高さの比は、1以上3までであり、光透過面から離れる方向に各凸状構造の屈折率が減少する割合を最適化する。従って、可視光が光学素子に照射されるとき、凸状構造の屈折率の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題がさらに回避されることができ、光学素子の反射率がさらに低減されることを保証する。
第1の態様又は第1の態様の第1~第4の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第5の可能な実装において、複数の凸状構造の分布方式は、密積層分布方式などのアレイ分布方式である。密積層分布方式が複数の凸状構造に適用されるとき、光導波路に含まれる光透過面は、複数の凸状構造が可能な限り多く光透過面上に均等に形成されるように、全体的に利用されてよい。このようにして、光学素子の反射率をさらに低減するために、均質的な膜層が反射防止膜のために均等に形成されることができる。
第1の態様の第5の可能な実装に関連し、第1の態様の第6の可能な実装において、密積層分布方式は、四辺形密積層分布方式、六角形密積層分布方式などであってよい。このことは、本明細書においては限定されない。
第1の態様又は第1の態様の第1~第6の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第7の可能な実装において、各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離に等しい。従って、複数の凸状構造の分布方式は、密積層分布方式である。光導波路に含まれる光透過面は、複数の凸状構造が可能な限り多く光透過面上に均等に形成されるように、全体的に利用されてよい。このようにして、光学素子の反射率をさらに低減するために、均質的な膜層が反射防止膜のために均等に形成されることができる。
第1の態様又は第1の態様の第1~第7の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第8の可能な実装において、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離は、160nm~200nmであり、2つの隣接する凸状構造の間の距離をさらに低減する。従って、凸状構造が可能な限り多く光透過面上に分布され、反射防止膜を利用することによって可視光に対する光学素子の反射率をより良好に低減する。
第1の態様又は第1の態様の第1の~第8の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第9の可能な実装において、反射防止膜の厚さは、310nm~450nmである。言い換えると、この場合、反射防止膜の厚さは、実質的に、凸状構造の高さである。
第1の態様又は第1の態様の第1~第8の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第10の可能な実装において、反射防止膜は、接着層をさらに含む。接着層は、複数の凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面上に配置される。この場合、反射防止膜が光導波路上に形成されるとき、まず、接着層が光透過面上に形成され、次いで、複数の凸状構造が、接着層のものであり、かつ光透過面から離れている面上に形成される。このようにして、接着層は、光透過面と複数の凸状構造との間の接着を改善するだけでなく、光透過面を保護するために利用されることができる。従って、エンボス加工技術などの製造プロセスを利用することによって複数の凸状構造が光透過面上に直接製造されるとき、製造誤差などの問題に起因して光透過面に引き起こされる損傷が回避される。接着層の高さは、10nm未満である。このようにして、光透過率に対する接着層の効果は最小化され、光透過面上に形成された接着層は、明らかなしわがない良好な平坦さを有し、それにより、接着層と光透過面とは、互いにしっかりと密着される。
第1の態様の第10の可能な実装に関連し、第1の態様の第11の可能な実装において、接着層に含まれる材料の屈折率と、各凸状構造に含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、接着層の屈折率が凸状構造の屈折率に比較的近いことを保証し、それによって、屈折率の変化に起因して光に対する光学素子の反射率が増加する問題を回避する。
第1の態様の第10又は第11の可能な実装に関連し、第1の態様の第12の可能な実装において、接着層の総光透過率及び/又は各凸状構造の総光透過率は、90%より大きく、可視光が反射防止膜を通過するときの可視光のロスを低減する。
第1の態様の第10~第12の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第13の可能な実装において、反射防止膜の厚さは、320nmより大きく、かつ460nm未満であり、接着層を通過する光のロス割合を低減し、凸状構造が光透過面上に安定的に形成されることができることを保証する。
第1の態様の第10~第13の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第14の可能な実装において、接着層に含まれる材料は、変性シラン接着剤などのシラン材料である。例えば、変性シラン接着剤は、様々なシラン末端ポリエーテル接着剤であってよい。
第1の態様又は第1の態様の第1~第14の可能な実装のいずれか1つに関連し、第1の態様の第15の可能な実装において、複数の凸状構造は、エンボス加工技術を利用することによって光透過面上に形成され、それにより、複数の凸状構造の製造は一度に完了されることができ、それによって、反射防止膜を製造する速度が改善する。
第1の態様の第15の可能な実装に関連し、第1の態様の第16の可能な実装において、凸状構造は、光硬化性接着剤の硬化又は熱硬化性接着剤の硬化を通して形成される凸状構造である。凸状構造が、光硬化性接着剤の硬化を通して形成される凸状構造であるとき、透明モールドを利用することによって光硬化性接着剤をエンボス加工するプロセスにおいて、凸状構造をエンボス加工することは、光照射を通して完了されうる。この場合、エンボス加工技術及び光硬化プロセスは、連続的に実行され、凸状構造を連続的に製造する。凸状構造が、熱硬化性接着剤の硬化を通して形成される凸状構造であるとき、モールドを利用することによって熱硬化性接着剤をエンボス加工するプロセスにおいて、エンボス加工後に得られる凸状構造は、加熱され、それにより、凸状構造が素早く硬化される。
第2の態様によれば、この出願は、光学素子を提供する。光学素子は、光導波路と、第1の態様又は第1の態様のいずれかの可能な実装において説明された反射防止膜とを含む。反射防止膜は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に配置される。
この出願のこの実施形態において提供される光学素子は、光導波路だけでなく、第1の態様又は第1の態様のいずれかの可能な実装において説明された反射防止膜も含む。反射防止膜は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に形成された複数の凸状構造を含む。各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造の屈折率は、光透過面から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造の屈折率と光導波路の屈折率の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。加えて、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離、及び、各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、いずれも可視光波長の最小値未満であるため、各凸状構造と、2つの隣接する凸状構造の間の空間とに関する識別は、反射防止膜に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子の反射率は、反射防止膜を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さが310nm以上であり、また、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離が220nm以下であるとき、光学素子の形状についての制限なしに、反射防止膜は、可視光が光学素子に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子は、可視光に対する極めて低い反射率を有するということが分析を通して見いだされる。
第2の態様に関連し、第2の態様の第1の可能な実装及び第2の態様の第2の可能な実装において、各凸状構造に含まれる材料の屈折率と、光導波路に含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、各凸状構造に含まれる材料の屈折率が光導波路に含まれる材料の屈折率に比較的近いことを保証し、それによって、凸状構造の屈折率と光導波路の屈折率の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。
第2の態様又は第2の態様の第1又は第2の可能な実装に関連し、第2の態様の第3の可能な実装において、反射防止膜は、第1の態様又は第1の態様の第9~第13の可能な実装のいずれか1つにおいて説明された反射防止膜である。反射防止膜に含まれる接着層に含まれる材料の屈折率と、光導波路に含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、それにより、接着層に含まれる材料の屈折率が光導波路に含まれる材料の屈折率に比較的近くなり、それによって、接着層の屈折率と光導波路の屈折率との間の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。
第2の態様又は第2の態様の第1~第3の可能な実装のいずれか1つに関連し、第2の態様の第4の可能な実装において、光学素子の最大反射率は、入射角が0°に等しいときに0.5%以下であり、光学素子の最大反射率は、入射角が40°以下であるときに1%以下である。このようにして、光学素子がカメラモジュールに適用されるとき、光入射角が40°以下であるときにカメラモジュールによって撮られた写真においてゴースト問題及びフレア問題が生じない。
第2の態様又は第2の態様の第1~第4の可能な実装のいずれか1つに関連し、第2の態様の第5の可能な実装において、光導波路の総光透過率及び/又は反射防止膜の総光透過率は、90%より大きく、可視光が光学素子を通過するときの可視光のロスを低減する。
第2の態様又は第2の態様の第1~第5の可能な実装のいずれか1つに関連し、第2の態様の第6の可能な実装において、複数の凸状構造が形成されている光透過面は、曲面状の光透過面又は平面状の光透過面である。曲面状の光透過面は、蒲鉾形の光透過面又は波形の光透過面であり、又は他の不規則な曲面状の光透過面であってよい。
反射防止膜は、第1の態様の第10~第14の可能な実装のいずれか1つで説明された反射防止膜であると理解されるべきである。反射防止膜が曲面状の光透過面上に形成されるとき、反射防止膜に含まれる接着層は、曲面状の入射面であり、かつ光透過面の外形に密着され、接着層と光透過面との間の密着性能を増加させ、それにより、接着層と光透過面とは互いに密に接する。反射防止膜が形成される光透過面が平面状の光透過面であるとき、反射防止膜に含まれる接着層は、平面状の入射面であり、接着層と光透過面との間の密着性能を増加させ、それにより、接着層と光透過面とが互いに密に接する。
第2の態様又は第2の態様の第1~第5の可能な実装のいずれか1つに関連し、第2の態様の第7の可能な実装において、光導波路は、保護ダイアフラム、レンズ、又は赤外線カットオフフィルタである。保護ダイアフラムは、紫外線融着シリカガラス、赤外線融着シリカガラス、又はカルシウムフッ化物などの任意の光学ガラスである、このことは本明細書において限定されない。レンズは、様々な材料製の様々な凸レンズである。赤外線カットオフフィルタは、それに限定されないが、青色ガラスである。赤外線フィルタを実装できる任意の材料が利用されることができる。
第2の態様又は第2の態様の第1~第7の可能な実装のいずれか1つに関連し、第2の態様の第8の可能な実装において、光導波路は、互いに対向して配置されている第1の光透過面と第2の光透過面とを含む。反射防止膜は、第1の光透過面及び第2の光透過面の両方に形成され、可視光に対する光学素子の反射率をさらに低減する。
第2の態様又は第2の態様の第1~第8の可能な実装のいずれか1つに関連し、第2の態様の第9の可能な実装において、光導波路は、互いに対向して配置されている第1の光透過面と第2の光透過面とを含む。反射防止膜は、第1の光透過面に形成され、反射防止コーティングは、第2の光透過面に形成される。
第2の態様の第9の可能な実装に関連し、第2の態様の第10の可能な実装において、反射防止コーティングは、第2の光透過面に近づく方向に交互に配置されている第1の材料層と第2の材料層とを含む。第1の材料層の屈折率と第2の材料層の屈折率とは、いずれも比較的低く、第1の材料層の屈折率は、第2の材料層の屈折率より小さい。例えば、第1の材料層は、それに限定されないが、マグネシウムフッ化物材料層又はシリコン二酸化物材料層であり、第2の材料層は、それに限定されないが、チタン二酸化物材料層である。
第3の態様によれば、この出願は、カメラモジュールを提供する。カメラモジュールは、少なくとも1つの第1のタイプの光学素子を含む。第1のタイプの光学素子は、第2の態様又は第2の態様の任意の可能な実装において説明された光学素子である。
この出願のこの実施形態において提供されるカメラモジュールに含まれる第1のタイプの光学素子は、第2の態様又は第2の態様の任意の可能な実装において説明された光学素子であり、それにより、第1のタイプの光学素子は、光導波路だけでなく、第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実装において説明された反射防止膜も含む。反射防止膜は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に形成された複数の凸状構造を含む。各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造の屈折率は、光透過面から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造の屈折率と光導波路の屈折率の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。加えて、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離、及び、各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、いずれも可視光波長の最小値未満であるため、各凸状構造と、2つの隣接する凸状構造の間の空間とに関する識別は、反射防止膜に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子の反射率は、反射防止膜を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さが310nm以上であり、また、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離が220nm以下であるとき、光学素子の形状についての制限なしに、反射防止膜は、可視光が光学素子に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子は、可視光に対する極めて低い反射率を有することが分析を通して見いだされる。
第3の態様に関連し、第3の態様の第1の可能な実装において、カメラモジュールは、少なくとも1つの第2のタイプの光学素子をさらに含む。第2のタイプの光学素子は、また、光導波路及び反射防止膜を含む。しかし、反射防止膜は、第2の態様の第8又は第9の可能な実装において説明された反射防止コーティングであり、カメラモジュールの集光率を改善する。
第3の態様の第1の可能な実装に関連し、第3の態様の第3の可能な実装において、カメラモジュールは、イメージセンサをさらに含む。第1のタイプの光学素子及び第2のタイプの光学素子は、イメージセンサのセンサ面が配置される方向に配置され、それにより、可視光は、光学素子を通過した後に、イメージセンサによって集められることができる。しかし、第1のタイプの光学素子が可視光に対する極めて低い反射率を有するため、イメージセンサは、カメラモジュールによって撮影された景色によって反射されたほとんど全ての可視光を集めることができ、カメラモジュールによって撮影された景色の鮮明度を改善し、それによって、ゴースト問題及びフレア問題を回避する。
第4の態様によれば、この出願は、端末を提供する。端末は、第3の態様又は第3の態様の第1又は第2の可能な実装において説明されたカメラモジュールを含む。
この出願において提供される端末において、カメラモジュールに含まれる第1のタイプの光学素子は、光導波路だけでなく、第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実装において説明された反射防止膜も含む。反射防止膜は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面に形成された複数の凸状構造を含む。各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造の屈折率は、光透過面から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造の屈折率と光導波路の屈折率の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。加えて、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離、及び、各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、いずれも可視光波長の最小値未満であるため、各凸状構造と、2つの隣接する凸状構造の間の空間とに関する識別は、反射防止膜に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子の反射率は、反射防止膜を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さが310nm以上であり、また、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離が220nm以下であるとき、光学素子の形状についての制限なしに、反射防止膜は、可視光が光学素子に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子は、可視光に対する極めて低い反射率を有し、端末によって撮られた写真の鮮明度を保証し、それによって、ゴースト問題及びフレア問題を回避することが分析を通して見いだされる。
第4の態様に関連し、第4の態様の第1の可能な実装において、端末は、プロセッサと、メモリと、ディスプレイ画面とをさらに含む。プロセッサは、別々に電気的にカメラモジュール、メモリ、及びディスプレイ画面に接続される。メモリは、コンピュータ命令を格納するように構成される。コンピュータ命令が実行されるとき、プロセッサは、少なくともカメラモジュールによって伝送されたイメージデータを処理すること、そして、もちろん、端末の内部データを処理すること又は外部デバイスが端末にアクセスしているときに外部デバイスによって伝送されたデータを処理することも可能になる。ディスプレイは、少なくとも、カメラモジュールによって集められたイメージを表示すること、そして、もちろん、内部的に端末に格納されたイメージを表示すること又は外部デバイスが端末にアクセスしているときに外部デバイスによって伝送されたイメージを表示することも行うように構成される。
カメラモジュールが、第3の態様の第3の可能な実装において説明されたカメラモジュールであるとき、プロセッサは、カメラモジュールに含まれるイメージセンサに電気的に接続され、プロセッサを利用することによって、イメージセンサによって集められたイメージデータを処理することを理解されるべきである。
第5の態様によれば、この出願は、光学素子を製造するための方法を提供する。光学素子を製造するための方法は、光導波路を提供するステップと、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に、第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実装において説明された反射防止膜を形成するステップと、を含む。
この出願のこの実施形態において提供される光学素子を製造するための方法を利用することによって製造される光学素子は、光導波路だけでなく、第1の態様又は第1の態様の任意の可能な実装において説明された反射防止膜も含む。反射防止膜は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に形成された複数の凸状構造を含む。各凸状構造の最大径長は、光透過面から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造の屈折率は、光透過面から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造の屈折率と光導波路の屈折率の突然の変化に起因して光学素子の反射率が増加する問題を回避する。加えて、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離、及び、各凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長は、いずれも可視光波長の最小値未満であるため、各凸状構造と、2つの隣接する凸状構造の間の空間とに関する識別は、反射防止膜に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子の反射率は、反射防止膜を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さが310nm以上であり、また、2つの隣接する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の幾何中心の間の距離が220nm以下であるとき、光学素子の形状についての制限なしに、反射防止膜は、可視光が光学素子に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子は、可視光に対する極めて低い反射率を有し、端末によって撮られた写真の鮮明度を保証し、それによって、ゴースト問題及びフレア問題を回避することが分析を通して見いだされる。
第5の態様に関連し、第5の態様の第1の可能な実装において、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に反射防止膜を形成するステップは、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に硬化性材料層を形成するステップと、エンボスモールドを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して複数の凸状構造を得るステップと、複数の凸状構造を硬化するステップと、を含む。
第5の態様又は第5の態様の第1の可能な実装に関連し、第5の態様の第2の可能な実装において、光透過面は、曲面状の光透過面であり、エンボスモールドを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して複数の凸状構造を得るステップは、エンボスモールドを提供するステップであって、エンボスモールドは、光導波路ジグと弾性モールド層とを含み、光導波路ジグは、光透過面の外形に一致するモールド形成面を有し、弾性モールド層は、モールド形成面上に形成され、弾性モールド層は、凸状構造を形成するように構成された複数の弾性ダイスを含む、ステップと、エンボスモールドに含まれる複数の弾性ダイスを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して複数の凸状構造を得るステップと、を含む。
弾性モールド層は、光導波路ジグにしっかりと接着され、弾性モールド層と光導波路ジグとの間にギャップが存在しないと理解されるべきである。従って、光導波路ジグに含まれるモールド形成面が光透過面の外形に一致するとき、同じ形状及び同じサイズを持つ複数の凸状構造は、複数の弾性ダイスが硬化性材料層をエンボス加工するために利用されるときに、光透過面上に形成されることができる。加えて、複数の凸状構造は、光透過面にしっかりと接着されることが保証される。しかし、複数の弾性ダイスが弾性体であるため、複数の弾性ダイスは、複数の弾性ダイスが硬化性材料層をエンボス加工するために利用されるときに、光導波路を傷つけない。モールド形成面と光透過面の外形との間の一致性は、外形精度に基づいて決定されうる。モールド形成面の外形精度が1μm以下であるとき、モールド形成面は、光透過面の外形と一致すると定義される。
第5の態様又は第5の態様の第1の可能な実装に関連し、第5の態様の第3の可能な実装において、光透過面は、平面状の光透過面であり、エンボスモールドを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して複数の凸状構造を得るステップは、エンボスモールドを提供するステップであって、エンボスモールドは、ローラと、ローラの面上に形成された弾性モールド層とを含み、弾性モールド層は、凸状構造を形成するように構成された複数の弾性ダイスを含む、ステップと、エンボスモールドに含まれる複数の弾性ダイスを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して複数の凸状構造を得るステップと、を含む。
光透過面が平面状の光透過面であるとき、特定の圧力下で、硬化性材料層の面上にエンボスモールドを転がすことが必要になると理解されるべきである。このようにして、エンボスモールドに含まれるローラの面上の弾性モールド層の複数の弾性ダイスは、硬化性材料層をエンボス加工するステップを通して複数の凸状構造を得るために利用されうる。従って、エンボスモールドは、凸状構造を製造するために便利に利用されうる。
第5の態様又は第5の態様の第1~第3の可能な実装のいずれか1つに関連し、第5の態様の第4の可能な実装において、硬化性材料層に含まれる硬化性材料は、光硬化性材料であり、エンボスモールドは、透明エンボスモールドであり、複数の凸状構造を硬化するステップは、光硬化方式で複数の凸状構造を硬化するステップを含む。
第5の態様又は第5の態様の第1~第3の可能な実装のいずれか1つに関連し、第5の態様の第5の可能な実装において、硬化性材料層に含まれる硬化性材料は、熱硬化性材料であり、複数の凸状構造を硬化するステップは、熱硬化方式で複数の凸状構造を硬化するステップを含む。
第5の態様又は第5の態様の第1~第5の可能な実装のいずれか1つに関連し、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に反射防止膜を形成するステップの前で、光導波路を提供するステップの後に、光学素子を製造するための方法は、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に接着層を形成するステップであって、接着層は、複数の凸状構造が安定的に光透過面上に形成されることができることを保証し、光透過面上に複数の凸状構造が直接製造されるときに光透過面に引き起こされる損傷を回避するように、光透過面と複数の凸状構造とを接着するように構成される、ステップをさらに含む。
加えて、この出願の実施形態において、用語「例」又は「例えば」は、例、実例、又は説明を与えることを表すために利用される。この出願の実施形態において「例」又は「例えば」として説明される任意の実施形態又は設計様式は、より好適である又は他の実施形態又は設計様式より有利であると解釈されるべきではない。確かに、用語「例」、「例えば」などの使用は、特定の方式における関連概念を表すことが意図されている。
この出願の実施形態は、反射防止膜、光学素子、カメラモジュール、及び端末に関する。以下では、この出願の実施形態における関連概念を簡潔に説明する。
「少なくとも1つ」は、1つ以上を示し、「複数の」は2つ以上を示す。用語「及び/又は」は、関連付けられた対象物を説明するための関連付け関係について説明し、3つの関係が存在しうることを表す。例えば、A及び/又はBは、以下の3つのケース、即ち、Aのみが存在すること、A及びBの両方が存在すること、そして、Bのみが存在することを表してよく、A及びBは、単一のもの又は複数のものであってよい。この出願の説明において、別の方法で記述されない限り、「/」は「又は」を意味する。例えば、A/Bは、A又はBを示しうる。「以下のうちの少なくとも1つ」又はそれの類似表現は、これらのアイテムの任意の組み合わせを意味し、単一アイテム又は複数のアイテムの任意の組み合わせを含む。
p波は、光電界方向が入射面に平行である光波である。
s波は、光電界方向が入射面に垂直である光波である。
光導波路は、誘電体光導波路とも称され、光波の伝播をガイドする誘電体装置である。本明細書における光波は、可視光波だけでなく、紫外光波又は赤外光波などの非可視光波を含む。
光透過面は、光導波路のものであり、かつ光が光導波路を通過する面である。例えば、光導波路の入光面と光導波路の出光面とは、いずれも光導波路に含まれる光透過面である。
可視光は、電磁スペクトル内の、人間の目によって感知されることができる部分である。可視スペクトルは、正確な範囲を有しない。概して、人間の目によって感知されることができる電磁波の波長は、400nmと760nmとの間にある。しかし、一部の人は、380nmと780nmとの間の波長を持つ電磁波を感知することができる。
垂直入射(normal incidence)は、入射波の波面法線が媒体境界面に垂直である入射ケースを示す。ここでは、入射角は0°に等しい。
斜め入射は、入射波の波面法線と媒体境界面との間の夾角が0°より大きく、かつ90°より小さい入射ケースを示す。ここでは、入射角は、0°より大きく、かつ90°より小さい。
総光透過率は、単一周波数での光の透過率というよりはむしろ、可視光(近赤外から近紫外まで)の透過率である。
屈折率は、材料中での光の速度に対する真空での光の速度(一般には、空気中での速度が真空での速度にほぼ等しいため、空気中での速度が利用される)の比である。材料の屈折率が高いほど、入射光を屈折する能力がより強いことを示す。
等価屈折率は、反射防止膜の等価屈折率モデルに基づく計算を通して得られる屈折率である。本明細書においては、等価屈折率モデルは、等価誘電理論に基づいて構築される。
外形精度は、正味の研磨面と理想面との間の誤差量である。外形精度は、2つのパラメータ、即ち、PV値とRMS値とを利用することによって示される。PV値は、ピークトゥバレー値(ピーク値と谷底値との間の差)であり、RMS値は、平均二乗平方根(平均二乗平方根値)である。経験に基づき、RMS値は、PV値の約1/3である。一般に、PV値は、外形精度を示すために利用される。
密積層分布方式は、ドットマトリックス配置方式である。この配置方式において形成されたドットマトリックス構造に含まれるユニットは、面の最良の空間利用率を実現するように面内に密に配置される。
凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面は、凸状構造のものであり、光透過面に平行であり、かつ光透過面までの最小距離を有する面である。
凸状構造のものであり、かつ光透過面から離れている面は、凸状構造のものであり、光透過面に平行であり、かつ光透過面までの最大距離を有する面である。
凸状構造の最大径長は、凸状構造が光透過面に平行である方向での、ある断面の形成された形状の最大長である。例えば、断面が円である場合、凸状構造の最大径長は、円の直径である。他の例において、断面が正方形である場合、凸状構造の最大径長は、正方形の対角線のものである。さらに他の例において、断面が非正則ポリゴンである場合、凸状構造の最大径長は、非正則ポリゴンに含まれ、かつ互いに最も遠く離れている2つの点の間の距離である。
凸状構造の最大径長が、光透過面から離れる方向に徐々に減少するため、凸状構造のものであり、かつ光透過面に平行である断面の形状の最大径長は、断面と光透過面との間の距離に関係すると理解されるべきである。断面と光透過面との間の距離が大きいほど、凸状構造のものであり、かつ光透過面に平行である断面の最大径長がより大きいことを示す。
幾何中心は、正則グラフの幾何中心と、非正則グラフの幾何中心とに分類される。正則グラフについて、正則グラフの幾何中心は、よく知られている。例えば、円の幾何中心は、円の中心であり、正方形の幾何中心は、2つの対角線の交点であり、三角形の幾何中心は、三角形の重心である。非正則グラフについて、非正則グラフの幾何中心は、以下のように、即ち、非正則グラフのエッジの任意の3つの点を選択し、次いで、3つの点に基づいて円を描き、3つの円弧の交点を中心点として利用する、というようにして決定される。
レンズは、透明材料製の非球面光学素子である。
赤外線カットオフフィルタは、熱吸収フィルタとも称され、赤外帯域を取り除くように構成されたフィルタである。
保護ダイアフラムは、レンズを保護するための光学素子であり、レンズの最外側に配置される。
イメージセンサは、感光面上の光学イメージを、光電デバイスの光電変換機能を利用することによって光学イメージに対応する割合で電気信号に変換する装置である。
CMOSイメージセンサは、典型的な固体撮像センサである。CMOSイメージセンサは、一般に、イメージ感知ユニットアレイ、列ドライバ、行ドライバ、逐次制御ロジック、アナログトゥデジタル変換、データバス出力インターフェース、及び制御インターフェースなどの様々な部品を含む。これらの部品は、一般に、同じシリコンチップに統合される。CMOSイメージセンサの動作プロセスは、一般に、以下の部分、即ち、リセット、光電変換、積算、及び読み出しに分けられる。
関連技術において、低反射率を持つ様々な光学コーティングは、迷光を弱めるためにカメラモジュールに含まれる光学素子上に配置される。しかし、これらの光学コーティングは、光学素子の光入射角によって制限されるため、光学コーティングは、斜め入射光に対する光学素子の反射率を効果的に低減するために利用されることができない。図1は、可視光に対する光学コーティングが形成されているレンズの反射率カーブである。ここでは、40°Rsは、40°の入射角で入射するs波の反射率カーブを表し、40°Rpは、40°の入射角で入射するp波の反射率カーブを表し、40°Avgは、40°の入射角で入射するs波とp波との平均反射率カーブを表し、可視光(即ち、垂直光)の反射率カーブを示す。ここでは、0°は、0°の入射角での可視光の反射率カーブを表す。光学コーティングは、垂直入射光に対するレンズの反射率を効果的に低減するために利用されることができるが、40°斜め入射光に対するレンズの反射率を効果的に低減するために利用されることはできないことを、図1を分析することを通して見いだすことができる。
上記の問題に対し、図2又は図6に示すように、この出願の実施形態は、反射防止膜110を提供する。反射防止膜110は、複数の凸状構造111を含む。図3、図5、図7、又は図8に示すように、複数の凸状構造111は、光導波路120に含まれる少なくとも1つの光透過面121に形成される。この出願のこの実施形態において提供される反射防止膜110は、図3に示した光導波路を含まず、光導波路は、反射防止膜が適用される対象であると理解されるべきである。
図3及び図7は、反射防止膜110を含む第1の光学素子の模式的構造図である。光学素子100に含まれる光導波路120の光透過面121は、平面状の光透過面121である。図5及び図8は、反射防止膜110を含む第2の光学素子の模式的構造図である。光学素子100に含まれる光導波路120の光透過面121は、曲面状の光透過面121である。
説明を容易にするため、図2に示すように、この出願のこの実施形態において、凸状構造111のものであり、かつ光透過面121に近接する面は、凸状構造の底面と定義され、凸状構造111のものであり、かつ光透過面121から離れている面は、凸状構造の上面と定義され、光透過面121に近接する2つの隣接する凸状構造111の面の幾何中心の間の距離は、凸状構造の分布周期と定義される。反射防止膜110の厚さは、図2に示したTで示される。凸状構造の底面の最大径長は、図2に示したD1で示される。凸状構造の上面の最大径長は、図2に示したD2で示される。凸状構造の高さは、図2に示したH1で示される。接着層の高さは、図2に示したH0で示される。凸状構造の分布周期は、図2に示したWで示される。
図2又は図6に示すように、各凸状構造の底面の最大径長D1は、可視光波長の最小値より小さく、各凸状構造の最大径長は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少し、各凸状構造の高さH1は、310nm以上であり、凸状構造の分布周期Wは、220nm以下である。反射防止膜110に含まれる各凸状構造111は、底部から上部へと徐々に先細りし、各凸状構造111の最大径長と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とは、いずれも可視光波長の最小値より小さいと知得されることができる。この出願のこの実施形態において提供される反射防止膜110は、各凸状構造111の最大径長と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とが、いずれも可視光波長の最小値より小さく、反射防止膜110に含まれる各凸状構造111が底部から上部へと徐々に先細るとき、ナノモスアイ構造を有すると上記から知得されることができる。ナノモスアイ構造を持つ反射防止膜110に含まれる各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間との識別は、可視光に対してなされず、それにより、反射防止膜110は、均一な薄膜とみなされる。
図4は、この出願の実施形態による、光透過面121から離れる方向における凸状構造111の屈折率の変化傾向図である。図4の水平座標の矢印方向は、光透過面121から離れる方向を表す。垂直座標は、凸状構造111の屈折率である。各凸状構造111の最大径長が、光透過面121から離れる方向に徐々に減少するとき、凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少すると、図4から知得されることができる。従って、反射防止膜110は、光透過面121に近づく方向に屈折率が徐々に増加する均一な薄膜と見なされうる。
光導波路入光面として利用される光透過面121が、光導波路120に形成されるとき、斜め入射光に対する光学素子100の反射率が、この出願のこの実施形態において提供される反射防止膜110を利用することによって低減されるプロセスは、以下のようになる。可視光が斜め入射方式で、反射防止膜110が形成されている光導波路120に照射されるとき、反射防止膜110に含まれる各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とに関する識別は、可視光に対してなされない。加えて、可視光に対する反射防止膜110の屈折率は、可視光が光導波路に入るまで、光導波路入光面として利用される光透過面121に近づく方向に徐々に増加し、突然の屈折率変化に起因して光導波路の反射率が増加する問題を回避する。
光導波路入光面として利用される光透過面121が、光導波路120に形成されるとき、斜め入射光に対する光学素子100の反射率が、この出願のこの実施形態において提供される反射防止膜110を利用することによって低減されるプロセスは、以下のようになる。可視光が光導波路入光面から反射防止膜110へと照射されるとき、可視光に対する反射防止膜110の屈折率は、可視光が反射防止膜110の外に透過されるまで、光導波路入光面として利用される光透過面121から離れる方向に最大値から最小値へと徐々に減少し、突然の屈折率変化に起因して光導波路120の反射率が増加する問題を回避する。
図3、図5、図7、又は図8に示した光導波路120の光透過面121に形成される、図2又は図6に示した反射防止膜110は、図3、図5、図7、又は図8に示した光学素子100の一部になりうるし、又は、もちろん、実際の要件に従って、図15~図18に示した光学素子の一部になりうると上記から知得されることができる。この場合において、各凸状構造111の最大径長は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造111の屈折率と光導波路120の屈折率の突然の変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。しかし、凸状構造の分布周期Wと各凸状構造の底面の最大径長D1とが、いずれも可視光波長の最小値より小さいため、各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とに関する識別は、反射防止膜110に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子100の反射率は、反射防止膜110を利用することによって低減されることができる。加えて、各凸状構造の高さH1が310nm以上であり、かつ凸状構造の分布周期Wが220nm以下であるとき、光学素子100の形状についての制限なしに、反射防止膜110は、可視光が光学素子100に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子100の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子100は、可視光に対する極めて低い反射率を有する。
図2又は図6に示した反射防止膜110は、比較的シンプルな構造を有すると理解されるべきである。反射防止膜110は、各凸状構造111に関する構造的な改善をする代わりに、反射防止膜110に含まれるパラメータを制御することのみを通して、可視光に対する極めて低い反射率を有しうる。加えて、反射防止膜110は、多層反射防止構造を利用する代わりに、複数の凸状構造111を含む必要のみがある。従って、反射防止膜110は、構造が比較的シンプルであり、かつ処理がシンプルであり、比較的軽くて薄くもあり、光学素子の軽量化及び薄型化を容易にする。
いくつかの可能な実装において、図2に示すように、凸状構造111を製造する困難さを低減するために、さらに、図2に示した各凸状構造の高さH1は450nm以下であり、凸状構造の分布周期Wは160nm以上であり、各凸状構造111の屈折率が、光透過面から離れる方向にゆっくりと変化することが保証されるときに凸状構造111の製造を容易にする。
いくつかの可能な実装において、図2又は図6に示すように、各凸状構造の上面の最大径長D2は、対応する凸状構造の底面の最大径長D1の0倍~0.3倍である。
図6に示すように、各凸状構造の上面の最大径長D2が、対応する凸状構造の底面の最大径長D1の0倍であり、各凸状構造の上面の面積が0であるとき、この場合において、各凸状構造111は、実質的に、光透過面121から離れる方向に徐々に細くなる針状の凸状構造である。針状の凸状構造は、図6に示した反射防止膜110に含まれる凸状構造111である。図6に示した反射防止膜110は、平面状の光透過面上に形成されてよく、又は曲面状の光透過面上に形成されてよい。図7は、図6に示した反射防止膜110を含む第1の光学素子の模式的構造図である。光学素子100に含まれる光導波路の光透過面121は、平面的な光透過面である。図8は、図7に示した反射防止膜110を含む第2の光学素子の模式的構造図である。光学素子100に含まれる光導波路の光透過面121は、曲面状の光透過面である。
針状の凸状構造が、図6に示した反射防止膜110に含まれる凸状構造111であるとき、可視光に対する各凸状構造111の屈折率は、各凸状構造111の屈折率が空気の屈折率に等しくなるまで、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。言い換えると、反射防止膜110の等価屈折率は、反射防止膜110の等価屈折率が空気の屈折率に等しくなるまで、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。このようにして、可視光が空気から光学素子100に照射されることができるとき、反射防止膜110は、より自然な方式で可視光が徐々に屈折できるようにすることができ、より良好に光学素子100の反射率を調整及び制御し、それにより、光学素子100は、極めて低い反射率を有する。
図6に示したように、各凸状構造の上面の最大径長D2が、対応する凸状構造の底面の最大径長D1の0倍であるとき、各凸状構造の上面の面積は0であり、各凸状構造111の外形は、テーパ外形であることに留意されるべきである。例えば、各凸状構造111の外形がテーパ外形であるとき、各凸状構造111は、テーパ凸状構造、例えば、円錐凸状構造、又はピラミッド凸状構造などのテーパ凸状構造である。ピラミッド凸状構造は、正三角形ピラミッド凸状構造、四角形ピラミッド凸状構造、又は六角形ピラミッド凸状構造であってよい。代替的に、ピラミッド凸状構造は、非正則ピラミッド構造であってよい。このことは、本明細書において限定されない。
図2に示すように、対応する凸状構造の底面の最大径長D1に対する各凸状構造の上面の最大径長D2の比は、0より大きく、かつ0.3以下であるとき、この場合において、図2に示すように、各凸状構造111のものであり、かつ光透過面121から離れている面の面積は、0より大きく、それにより、反射防止膜110は、図3又は図5に示した光学素子100の反射率を調整及び制御するために利用されることができる。加えて、各凸状構造111が製造されるとき、各凸状構造111の製造精度を低減し、さらに、反射防止膜110を製造することの困難さを低減するために、各凸状構造の上面の面積が0に制限される必要はない。加えて、各凸状構造111の最大径長が光透過面121から離れる方向に徐々に減少するため、対応する凸状構造の上面の最大径長D1に対する各凸状構造の底面の最大径長D1の比が大きくなるほど、各凸状構造の高さH1が大きくなることを示す。より高い凸状構造111は、より高い製造困難性を示す。これに基づき、対応する凸状構造の底面の最大径長D1に対する各凸状構造の上面の最大径長D2の比は、適切な範囲内に各凸状構造の高さH1を制御するように制御される。このようにして、各凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少し、凸状構造111の屈折率が減少することが保証されるときに各凸状構造111を製造する困難性をさらに低減する。
図2に示すように、対応する凸状構造の底面の最大径長D1に対する各凸状構造の上面の最大径長D2の比が、0より大きく、かつ0.3以下であるとき、各凸状構造111の外形は、ガウシアン外形又はパラボラ外形でありうることに留意されるべきである。もちろん、製造困難性を低減するために、凸状構造111が実際に製造されるとき、製造された凸状構造111は、テーパ凸状構造に類似する円錐台凸状構造であってもよい。円錐台凸状構造は、図2に示した反射防止膜110に含まれる凸状構造である。
いくつかの可能な実装において、対応する凸状構造の底面の最大径長D1に対する、図2又は図6に示した各凸状構造の高さH1の比は、1以上3までであり、各凸状構造111の屈折率が、図3又は図5に示した光透過面121から離れる方向に減少する割合を最適化する。従って、可視光が光学素子100に照射されるとき、凸状構造111の屈折率の変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題がさらに回避されることができ、光学素子100の反射率がさらに低減されることを保証する。例えば、凸状構造の高さH1は、310nmに等しく、対応する凸状構造の底面の最大径長D1は、220nmに等しい。この場合において、対応する凸状構造のものであり、かつ光透過面に近接する面の最大径長に対する凸状構造の高さの比は、1.4である。
いくつかの可能な実装において、図2に示した反射防止膜110に含まれる複数の凸状構造111が、図3又は図5に示した光透過面121を全体的に利用することができることを保証するため、複数の凸状構造111の分布方式は、密積層分布方式などのアレイ分布方式である。複数の凸状構造111が密積層分布方式を利用するとき、光導波路120に含まれる光透過面121は、複数の凸状構造111が可能な限り多く光透過面121上に均等に形成されるように、全体的に利用されうる。このようにして、反射防止膜110のために均質的な薄膜が等しく形成され、光学素子100の反射率をさらに低減する。図6に示した反射防止膜110に含まれる複数の凸状構造111は、密積層分布方式などのアレイ分布方式を利用してもよいと理解されるべきである。
図2又は図6に示すように、複数の凸状構造111の分布方式が、密積層分布方式などのアレイ分布方式であるとき、密積層分布方式は、四辺形密積層分布方式、六角形密積層分布方式などであってよい。このことは、本明細書において限定されない。各凸状構造の底面の最大径長D1は、凸状構造の分布周期Wに等しい。複数の凸状構造111の分布方式は、密積層分布方式であり、複数の凸状構造111が可能な限り多く均等に光透過面121上に形成されるように、光導波路120に含まれる光透過面121を全体的に利用する。このようにして、反射防止膜110のための均質的な膜層が等しく形成されることができ、光学素子100の反射率をさらに低減する。例えば、各凸状構造111の底面が円であるとき、各凸状構造111の底面の最大径長D1は、対応する凸状構造111の底面の直径である。この場合において、2つの隣接する凸状構造111の底面の円の中心の間の距離は、底面の直径に等しい。従って、複数の凸状構造111は、光透過面121上で密積層分布方式を利用し、光透過面121の範囲を全体的に利用する。
図2又は図6に示した凸状構造の分布周期Wが160nm~200nmであるとき、2つの隣接する凸状構造111の間の距離はさらに低減されてよく、それにより、凸状構造111は、可能な限り多く、光透過面121上に分布される。加えて、可視光に対する凸状構造111に関する識別がなされる確率は、さらに低減されることができ、反射防止膜110を利用することによって、より良好に、可視光に対する光学素子100の反射率を低減する。凸状構造111が光透過面上に均等に分布されることができることを保証するために、凸状構造の分布周期Wは、可能な限り矛盾なく維持されるべきであると理解されるべきである。
例えば、各凸状構造111の底面の形状は円であり、凸状構造111の底面の直径は50nm~250nmである。複数の凸状構造111が密積層分布方式を利用するとき、2つの隣接する凸状構造111の円の中心の間の距離は、160nm~200nmであり、各凸状構造111の底面の直径は、160nm~200nmである。
いくつかの可能な実装において、図2又は図6に示すように、光透過面121と凸状構造111との間の接着を改善するために、反射防止膜110は、接着層112をさらに含む。接着層112は、複数の凸状構造111の底面に配置される。反射防止膜110が、光導波路120上に形成されるとき、まず、接着層112が光透過面121上に形成され、次いで、複数の凸状構造111が、接着層112のものであり、かつ図3、図5、図7、又は図8に示した光透過面121から離れている面上に形成される。このようにして、接着層112は、光透過面121と複数の凸状構造111との間の接着を改善するために利用されることができ、接着層112は、エンボス加工技術などの製造プロセスを利用することによって複数の凸状構造111が製造されるときの光透過面121に対する圧力又は損傷さえも緩衝するためにさらに利用されることができる。このようにして、接着層112は、光透過面121に対する保護機能を有する。従って、以下のケース、即ち、エンボス加工技術などの製造プロセスを利用することによって光透過面121上に複数の凸状構造111が直接製造されるときのプロセス誤差などの問題に起因して光透過面121が損傷されること、が回避されることができる。
図2又は図6に示したように、接着層の高さH0(接着層の高さH0の方向は、凸状構造の高さH1の方向と一致する)は、可能な限り、0nmより大きく、かつ10nm未満になるように保証されるべきである。このようにして、光透過率に対する接着層112の効果は最小化され、光透過面121上に形成される接着層112は、明らかなしわがない良好な平坦さを有し、それにより、接着層112と光透過面121とは、互いにしっかりと密着される。
図2に示すように、反射防止膜110が接着層112を有しないとき、反射防止膜の厚さT(反射防止膜の厚さTの方向は、接着層の高さH0の方向と一致する)は、310nm~450nmであり、即ち、反射防止膜の厚さは、実質的に凸状構造の高さH1である。反射防止膜110が、高さが10nm未満の接着層112を含むとき、反射防止膜の厚さTは、320nmより大きく、かつ460nm未満であり、接着層112を通過する光のロス割合を低減し、凸状構造111が光透過面121に安定的に形成されることができることを保証する。
可視光が反射防止膜110を通過するときのロスを低減するために、図2に示すように、接着層112の総光透過率、及び/又は各凸状構造111の総光透過率は、90%より大きい。
突然の屈折率変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避するために、図2に示すように、接着層112に含まれる材料の屈折率と、各凸状構造111に含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、接着層112の屈折率が、凸状構造111の屈折率に比較的近いことを保証し、それによって、屈折率変化に起因して光に対する光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。
接着層112に含まれる材料、及び凸状構造111に含まれる材料は、実際の要件に従って選択されうる。例えば、接着層112に含まれる材料は、変性シラン接着剤などのシラン材料である。例えば、変性シラン接着剤は、様々なシラン末端ポリエーテル接着剤であってよい。凸状構造111に含まれる材料は、接着層112に含まれる材料の屈折率に基づいて選択されうる。
いくつかの可能な実装において、図3、図5、図7、又は図8に示すように、複数の凸状構造111は、エンボス加工技術を利用することによって光透過面121上に形成され、それにより、複数の凸状構造111を製造することが一度に完了されることができ、それによって、反射防止膜110を製造する速度を改善する。
複数の凸状構造111がエンボス加工技術を利用することによって光透過面121上に形成されるとき、凸状構造111は、光硬化性接着剤の硬化、又は熱硬化性接着剤の硬化を通して形成された凸状構造である。例えば、凸状構造111が、光硬化性接着剤の硬化を通して形成された凸状構造であるとき、透明モールドを利用することによって光硬化性接着剤をエンボス加工するプロセスにおいて、凸状構造111をエンボス加工するステップは、光照射を通して完了されうる。この場合において、エンボス加工技術及び光硬化プロセスが連続的に実行されて、連続的に凸状構造111を製造する。凸状構造111が、熱硬化性接着剤の硬化を通して形成された凸状構造111であるとき、モールドを利用することによって熱硬化性接着剤をエンボス加工するプロセスにおいて、エンボス加工における凸状構造111が加熱され、それにより、凸状構造111は素早く硬化される。接着層112が存在するとき、接着層112に含まれる材料が、可能な限り、複数の凸状構造111に含まれる材料に近いことが保証されるために、接着層112に含まれる材料は、光硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤が選択されるときに検討されるべきであると理解されるべきである。例えば、接着層112に含まれる材料の屈折率と、各凸状構造111に含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、接着層112に含まれる材料は、シラン材料であり、各凸状構造111のために選択された材料は、紫外光硬化性接着剤である。この場合において、シラン材料の屈折率と紫外光硬化性接着剤の屈折率は、屈折率の間の差が-0.2~0.2の要件を満たすように、いずれも検討される必要がある。
この出願のこの実施形態において提供される反射防止膜が、垂直入射光及び斜め入射光についての光学素子の反射率を効果的に低減するために利用されることができることをさらに改善するために、反射防止膜の構造パラメータが設定され、0°(垂直入射)及び40°(斜め入射)の入射角での入射面に形成される反射防止膜110を持つガラスの反射率カーブがシミュレートされている。反射防止膜に含まれる複数の凸状構造111は、六角形密積層分布方式でガラスの入光面上に分布される。各凸状構造111は、六角形ピラミッドである。入射角が0°に設定されるとき、ガラスの最大反射率Rmaxは、0.5%以下であり、垂直入射におけるガラスの比較的低い反射率を満たす。入射角が40°に等しいとき、ガラスの最大反射率Rmaxは、1%以下であり、斜め入射におけるガラスの比較的低い反射率を満たす。
表1は、反射防止膜の第1のグループの構造パラメータリストを示す。表1に列挙された反射防止膜の第1のグループは、凸状構造の高さH1を除いて同じ構造パラメータを有する。表1におけるカーブラベルは、図9及び図10における、反射防止膜の第1のグループが形成されているガラスの反射率カーブラベルを示す。
図9は、入射角が0°に等しいときの、反射防止膜の第1のグループが形成されているガラスの反射率カーブである。入射角が0°に等しく、反射防止膜の第1のグループに含まれる凸状構造の高さH1が300nmに等しいとき、波長が約420nmである可視光に対する反射防止膜の最大反射率は、極めて大きく、ほぼ1%に等しいことが図9から見いだされうる。反射防止膜の第1のグループに含まれる凸状構造の高さが310nm以上であるとき、様々な波長を持つ可視光に対する反射防止膜の最大反射率は、全て0.5%以下である。
図10は、入射角が40°に等しいときの、反射防止膜の第1のグループが形成されているガラスの反射率カーブである。入射角が40°に等しく、反射防止膜の第1のグループに含まれる凸状構造の高さH1が300nmに等しいとき、波長が700nm以内である可視光に対する反射防止膜の最大反射率は、1%より大きいことが図10から見いだされうる。反射防止膜の第1のグループに含まれる凸状構造の高さが310nm以上であるとき、700nm以内の可視光に対する反射防止膜の最大反射率は、0.5%以下である。
反射防止膜の第1のグループに含まれる各凸状構造の高さH1が310nm以上であるとき、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの最大反射率Rmaxは、入射角が0°に等しいときの垂直入射のケースで0.5%以下であり、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの最大反射率Rmaxは、入射角が40°に等しいときの垂直入射のケースで1%以下であると上記から知得されることができる。加えて、凸状構造111を製造する困難性を低減するために、凸状構造111の最大高さは、450nmに設定される。言い換えると、各凸状構造の高さが310nm~450nmであるとき、凸状構造111は、容易に製造されることができる。加えて、反射防止膜110が形成されるガラスが、可視光に対する比較的低い反射率を有し、そして、波長が420nm~700nmの範囲内にある可視光に対するより一層低い反射率を有することが、2つの入射方式、即ち、垂直入射方式と斜め入射方式とで保証されることができる。
表2は、反射防止膜の第2のグループの構造パラメータリストを示す。表2に列挙された反射防止膜の第2のグループは、凸状構造の分布周期W及び底面の最大径長D1を除いて同じ構造パラメータを有する。
図11は、入射角が0°に等しいときの、反射防止膜の第2のグループが形成されているガラスの反射率カーブである。入射角が0°に等しいときの垂直入射のケースにおいて、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの反射率は僅かに変化し、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの最大反射率は、全て0.5%未満であることが図11から見いだされうる。
図12は、入射角が40°に等しいときの、反射防止膜の第2のグループが形成されているガラスの反射率カーブである。図12における矢印の方向は、入射角が40°に等しいときの、反射防止膜の第2のグループが形成されているガラスの反射率カーブの配置順序を表し、反射防止膜の第2のグループに含まれる凸状構造の分布周期Wは、矢印によって示された方向に徐々に増加する。入射角が40°に等しいときの斜め入射のケースにおいて、凸状構造の分布周期の増加に伴い、共鳴ピークは、凸状構造の分布周期が220nmより大きいときに青色光帯域に現れ、以下の要件、即ち、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの最大反射率Rmaxが、入射角が0°に等しいときの垂直入射のケースにおいて0.5%以下であり、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの最大反射率Rmaxが、入射角が40°に等しいときの垂直入射のケースにおいて1%以下であること、が満たされることができないと、図12から見いだされうる。従って、反射防止膜110に含まれる凸状構造の分布周期Wは、220nm以下であるべきである。加えて、凸状構造の分布周期Wが小さいほど、凸状構造を製造する困難性が高くなることを示す。従って、凸状構造の分布周期Wの最小値は、160nmに設定される。
この出願のこの実施形態において提供される反射防止膜に含まれる凸状構造の分布周期Wは、160nm~220nmであることが知得されうる。この場合において、凸状構造は、容易に製造されることができる。加えて、2つの入射方式、即ち、垂直入射方式及び斜め入射方式において、反射防止膜が形成されているガラスが可視光に対する比較的低い反射率、特に、420nmと700nmとの間で可視光に対する、より一層低い反射率を有することが、さらに保証されることができる。
この出願の実施形態は、光学素子100をさらに提供する。図3又は図7に示すように、光学素子100は、光導波路120と、反射防止膜110とを含む。反射防止膜110は、光導波路120に含まれる少なくとも1つの光透過面121上に配置され、それにより、複数の凸状構造111が、光導波路120に配置される。複数の凸状構造111は、エンボス加工方式などで光透過面121上に形成されうる。凸状構造111のために流動性を持つ材料が選択される場合、エンボス加工が完了した後、材料の物理化学特性に基づく硬化プロセスが実行されて、光透過面121上に複数の凸状構造111を形成する必要がある。光透過面121は、図3又は図7に示した平面状の光透過面であってよく、又は、図5又は図8に示した曲面状の光透過面であってよいと理解されるべきである。
この出願のこの実施形態において提供される光学素子100は、光導波路120だけでなく、上述した反射防止膜110も含む。反射防止膜110は、光導波路120に含まれる少なくとも1つの光透過面121上に形成された複数の凸状構造111を含む。各凸状構造111の最大径長は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造111の屈折率と光導波路120の屈折率の突然の変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。加えて、凸状構造111の分布周期Wと、各凸状構造の底面の最大径長D1とが、いずれも可視光波長の最小値より小さいため、各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とに関する識別は、反射防止膜110に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子100の反射率は、反射防止膜110を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さH1が310nm以上であり、凸状構造の分布周期Wが220nm以下であるとき、光学素子100の形状についての制限なしに、反射防止膜110は、可視光が光学素子100に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子100の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子100は、可視光に対する極めて低い反射率を有することが分析を通して見いだされる。
可能な実装において、図5又は図8に示すように、光学素子100に含まれる反射防止膜110が、図2に示した反射防止膜であるとき、光学素子100の最大反射率は、入射角が0°に等しいときに0.5%以下であり、光学素子100の最大反射率は、入射角が40°以下のときに1%以下である。このようにして、光学素子100がカメラモジュールに適用されるとき、ゴースト問題及びフレア問題は、光入射角が40°以下であるときにカメラモジュールによって撮られた写真に生じない。
可能な実装において、図5又は図8に示すように、各凸状構造111に含まれる材料の屈折率と、光導波路120に含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、各凸状構造111に含まれる材料の屈折率が光導波路120に含まれる材料の屈折率に比較的近いことを保証し、それによって、凸状構造111の屈折率と光導波路120の屈折率の突然の変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。
例えば、図2又は図6に示すように、反射防止膜110に含まれる複数の凸状構造111は、六角形密積層分布方式でガラスの入光面上に分布している。各凸状構造111は、六角形ピラミッドである。凸状構造の分布周期Wは180nmであり、各凸状構造の底面の最大径長D1は180nmであり、各凸状構造の高さH1は375nmであり、接着層の高さH0は0に等しく、各凸状構造の上面の最大径長D2は0nmに等しく、ガラスの屈折率n0は1.5099に等しい。
図13は、入射角が0°に等しいときの、反射防止膜110が形成されている、様々な屈折率を持つガラスの反射率カーブである。図14は、入射角が40°に等しいときの、反射防止膜110が形成されている、様々な屈折率を持つガラスの反射率カーブである。図13及び図14において、カーブAに対応するガラス屈折率は1.3099であり、カーブBに対応するガラス屈折率は1.3499であり、カーブCに対応するガラス屈折率は1.3899であり、カーブDに対応するガラス屈折率は1.4299であり、カーブEに対応するガラス屈折率は1.4699であり、カーブFに対応するガラス屈折率は1.5099であり、カーブGに対応するガラス屈折率は1.5499であり、カーブHに対応するガラス屈折率は1.5899であり、カーブIに対応するガラス屈折率は1.6299であり、カーブJに対応するガラス屈折率は1.6699であり、カーブKに対応するガラス屈折率は1.7099である。
入射角が40°に等しいとき、反射防止膜110が形成されている、様々な屈折率を持つガラスの最大屈折率は、全て1%以下の要件を満たすことが、図13から知得されることができる。入射角が40°に等しく、反射防止膜の屈折率が1.5899より大きいとき、青色光(400nmの位置)帯域においてガラス面反射率に影響を及ぼす共鳴が生じることが、図14から知得されることができる。従って、反射防止膜の屈折率は、1.5899以下であるべきである。反射防止膜の屈折率がガラスの屈折率より小さいとき、様々な波長を持つ可視光に対するガラスの反射率は、入射角が0°に等しいときに増加する。反射防止膜の屈折率が1.3099より小さいとき、入射角が0°に等しいときの様々な波長を持つ可視光に対するガラスの最大反射率Rmaxが0.5%以下であるという要件は満たされない。従って、反射防止膜の屈折率は、1.3099以上であるべきである。
反射防止膜の屈折率が1.3099~1.5899であるとき、反射防止膜が形成されているガラスは、垂直入射及び斜め入射において、可視光に対する比較的低い反射率の要件を満たすことができることが、上記から知得されることができる。具体的な要件については、上記の内容を参照されたい。言い換えると、反射防止膜に含まれる材料の屈折率と、ガラスに含まれる材料の屈折率との間の差が-0.2~0.2であるとき、反射防止膜が形成されているガラスは、反射率要件を満たすことができる。この場合において、反射防止膜に含まれる材料の屈折率と、光導波路に含まれる材料との差が-0.2~0.2であるとき、反射防止膜に含まれる材料の屈折率は、光導波路に含まれる材料の屈折率に近く、反射防止膜は、光導波路の反射率に不利な影響を及ぼさないとみなされうる。反射防止膜に含まれる材料の屈折率と、ガラスに含まれる材料の屈折率との間の差は、-0.2~0.2であり、それは、凸状構造に含まれる材料の屈折率と、接着層に含まれる材料の屈折率との間の差にも適用可能であると理解されるべきである。
光透過率を改善し、光ロスを低減するために、図3、図5、図7、及び図8に示すように、光導波路120の総光透過率及び/又は反射防止膜110の総光透過率は90%より大きく、光透過率を増加させ、光導波路120及び/又は反射防止膜110に入る光が外に透過されることができないために引き起こされる光ロス問題を回避する。
いくつかの可能な実装において、図3、図5、図7、及び図8に示された光導波路120のために選択される比較的大きい数量のタイプがあってよい。詳細については、上記の説明を参照されたい。光導波路120に含まれる材料は、透明材料である。材料は、一般的な無機の透明ガラス材料であってよく、又は有機の透明プラスチックであってよい。これについては、本明細書で限定されない。光導波路120についての大きな選択範囲がある。例えば、図29に示すように、反射防止膜110は、カメラモジュールに適用されるとき、反射防止膜110は、保護ダイアフラム500、レンズ400、又は赤外線カットオフフィルタ600上に形成されうる。保護ダイアフラム500は、紫外線融着シリカガラス、赤外線融着シリカガラス、又はカルシウムフッ化物などの任意の光学ガラスである。このことは本明細書において限定されない。レンズ200は、様々な材料で作られる凸レンズ、又は凹レンズである。赤外線カットオフフィルタ600は、それに限定されないが、青色ガラスである。赤外線をカットオフするために利用されることができる材料が、利用されることができる。
いくつかの可能な実装において、反射防止膜110は、光透過面121によって制限されない。従って、複数の凸状構造111が形成されている光透過面121は、図3又は図7に示した光導波路120に含まれる光透過面121、又は、図5又は図8に示した光導波路120に含まれる光透過面121である。図3又は図7に示した光導波路120に含まれる光透過面121は、平面状の光透過面であり、図5又は図8に示した光導波路120に含まれる光透過面121は、曲面状の光透過面である。曲面状の光透過面は、蒲鉾形の光透過面又は波形の光透過面であってよく、又は他の特別な形状の光透過面であってよい。例えば、図29に示すように、レンズ200は、蒲鉾形の光透過面を有し、赤外線カットオフフィルタ600及び保護ダイアフラム500は、平面状の光透過面を有する。
反射防止膜110が接着層112を含むとき、反射防止膜110が形成されている光透過面121が、図5又は図8に示すように曲面状の光透過面である場合、反射防止膜110に含まれる接着層112は、曲面状の接着層であり、光透過面121の外形に密着され、接着層112と光透過面121との間の密着性能を増加し、それにより、接着層112と光透過面121とは互いに密に接する。反射防止膜110が形成されている光透過面121が、図3又は図7に示すように平面状の光透過面であるとき、反射防止膜110に含まれる接着層112は、平面状の入射面であり、接着層112と光透過面121との間の密着性能を増加し、それにより、接着層112と光透過面121とは互いに密に接する。
いくつかの可能な実装において、図15又は図16に示すように、光導波路120は、少なくとも、互いに対向配置されている第1の光透過面121aと第2の光透過面121bとを含む。反射防止膜110は、第1の光透過面121a上に形成されてよく、又は第2の光透過面121b上に形成されてよい。もちろん、反射防止膜110は、光学素子100の反射率をさらに低減するために、第1の光透過面121a及び第2の光透過面121bの両方に形成されてよい。
例において、図15は、この出願の実施形態による、図2に示した反射防止コーティング130を含む光学素子100を示し、図17は、この出願の実施形態による、図3に示した反射防止コーティング130を含む光学素子100を示す。図15又は図17に示すように、反射防止膜110は、第1の光透過面121a上に形成され、反射防止コーティング130は、第2の光透過面上に形成され、反射防止コーティング130を利用することによって、光導波路120の反射率をさらに低減する。
反射防止コーティング130と第2の光透過面121bとの間の良好な接着性能を保証するために、反射防止コーティング130は、真空蒸着方式で第2の光透過面121b上に形成されるか、又は、マグネトロンスパッタリングなどの他の膜形成方式で第2の光透過面121b上に形成されうる。
反射防止コーティング130は、単層膜構造であってよく、又は多層膜構造であってよい。例えば、図15に示すように、反射防止コーティング130は、第2の光透過面121bに近づく方向に交互に配置される第1の材料層131と第2の材料層132とを含む。図15は、第1の材料層131及び第2の材料層132の2つのグループを示す。第1の材料層131の屈折率と第2の材料層の屈折率とは、いずれも比較的低い。第1の材料層131の屈折率は、第2の材料層132の屈折率より小さい。従って、反射防止コーティング130が形成されている光導波路120の反射率は、交互に配置されている第1の材料層131及び第2の材料層132を利用することによって低減される。
第1の材料層131及び第2の材料層132のために、比較的広い範囲の材料が選択されることができる。例えば、第1の材料層131は、フッ化マグネシウム材料層、又は二酸化ケイ素材料層である。フッ化マグネシウム材料層に含まれるフッ化マグネシウムの屈折率は1.38であり、様々な作製法による、二酸化ケイ素材料層に含まれる二酸化ケイ素の屈折率は1.42~1.52の範囲でありうる。第2の材料層132は、二酸化チタン材料層である。二酸化チタン材料層に含まれる二酸化チタンの屈折率は、2.52である。
他の例において、図16は、この出願の実施形態による、図2に示した反射防止膜110を含む光学素子100の模式的構造図である。図18は、この出願の実施形態による、図3に示した反射防止膜110を含む光学素子100の模式的構造図である。図16又は図18に示すように、第1の反射防止膜110aは、第1の光透過面121a上に形成され、第2の反射防止膜110bは、第2の光透過面121b上に形成される。第1の反射防止膜110a及び第2の反射防止膜110bは、いずれも、図2、図3、又は図5~図8のいずれか1つに示された反射防止膜であり、光導波路120の反射率をより良好に低減する。例えば、第1の反射防止膜110a及び第2の反射防止膜110bに含まれる凸状構造は、図16に示した円錐台凸状構造であってよく、又は、針状凸状構造又は図18に示したテーパ凸状構造であってよい。
図15~図18のいずれか1つに示すように、第1の光透過面121aが光導波路入光面であるとき、第2の光透過面121bは光導波路出光面であり、第1の光透過面121aが光導波路出光面であるとき、第2の光透過面121bは光入光面であると理解されるべきである。
図19に示すように、この出願の実施形態は、光学素子を製造するための方法をさらに提供する。光学素子100を製造するための方法は、以下のステップを含む。
ステップ100:光導波路を提供する。
ステップ200:光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に反射防止薄膜を形成する。
この出願のこの実施形態において提供される光学素子を製造するための方法を利用することによって製造される光学素子は、光導波路だけでなく、上述した反射防止膜も含む。
図3に示すように、反射防止膜は、光導波路120に含まれる少なくとも1つの光透過面121上に形成された複数の凸状構造111を含む。各凸状構造111の最大径長は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造111の屈折率と光導波路120の屈折率の突然の変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。加えて、凸状構造の分布周期Wと、各凸状構造の底面の最大径長D1とは、いずれも可視光波長の最小値より小さいため、各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間との識別は、反射防止膜110に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子100の反射率は、反射防止膜110を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さH1が310nm以上であり、凸状構造の分布周期Wが220nm以下であるとき、光学素子100の形状についての制限なしに、反射防止膜110は、可視光が光学素子100に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子100の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子100は、可視光に対する極めて低い反射率を有し、端末によって撮られる写真の鮮明度を改善し、それによって、ゴースト問題及びフレア問題を効果的に回避することが、分析を通して見いだされる。
いくつかの可能な実装において、図20に示すように、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に反射防止薄膜を形成するステップは、以下のステップを含む。
ステップ220:光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に硬化性材料層を形成する。硬化性材料は、光透過面上に硬化性材料層を形成するために、接着剤塗布方式又はコーティング方式などの方法で少なくとも1つの光透過面上に塗布されうる。
ステップ230:エンボスモールドを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して、複数の凸状構造を得る。
ステップ240:複数の凸状構造を硬化する。硬化方法は、硬化性材料層に含まれる硬化性材料に基づいて選択されうる。
例えば、硬化性材料層に含まれる硬化性材料は、熱硬化性材料である。複数の凸状構造を硬化するステップは、熱硬化方式で複数の凸状構造を硬化するステップを含む。複数の凸状構造が熱硬化方式で硬化される前に、エンボスモールドが取り除かれる必要があり、次いで、複数の凸状構造が熱硬化方式で硬化されると理解されるべきである。
他の例について、硬化性材料層に含まれる硬化性材料は、光硬化性材料であり、エンボスモールドは、透明エンボスモールドである。複数の凸状構造を硬化するステップは、光硬化方式で複数の凸状構造を硬化するステップを含む。エンボスモールドが透明エンボスモールドであるため、エンボスモールドは、複数の凸状構造が硬化された後に取り除かれる必要はなく、即ち、複数の凸状構造は、光硬化方式で硬化されうると理解されるべきである。
いくつかの可能な実装において、図20に示すように、光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に反射防止薄膜が形成される前で、光導波路が提供された後、光学素子を製造するための方法は、以下のステップをさらに含む。
ステップ210:光導波路に含まれる少なくとも1つの光透過面上に接着層を形成し、ここで、接着層は、複数の凸状構造が安定的に光透過面上に形成されることができることを保証し、光透過面上に複数の凸状構造が直接製造されるときに光透過面に引き起こされる損傷を回避するように、光透過面と複数の凸状構造とを接着するように構成される。
例において、光透過面は、曲面状の光透過面である。図21に示すように、エンボスモールドを利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して、複数の凸状構造を得るステップは、以下のステップを含む。
ステップ221A:図24内のCに示されたエンボスモールド300を提供する。エンボスモールド300は、光導波路ジグ310と、弾性モールド層320とを含む。光導波路ジグ310は、光透過面の外形に一致するモールド形成面311を有する。弾性モールド層320は、モールド形成面311上に形成される。弾性モールド層320は、凸状構造を形成するように構成された複数の弾性ダイス321を含む。弾性モールド層320の厚さは、実際の要件に従って設定されうる。例えば、弾性モールド層320の厚さは、200μm未満に設定されうる。弾性ダイス321の形状パラメータ及びサイズパラメータは、製造される必要がある凸状構造のサイズパラメータに基づいて設定される。凸状構造の具体的なサイズパラメータについては、上記の説明を参照されたい。
ステップ222A:エンボスモールド300に含まれる複数の弾性ダイス321を利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して、複数の凸状構造を得る。エンボスモールド300に含まれる複数の弾性ダイス321を利用することによって硬化性材料層をエンボス加工するための圧力は、光透過面への損傷を回避するために、あまり高くすることができない。圧力は、0.5MPaと0.8MPaとの間に設定されうる。
弾性モールド層320は、光導波路ジグ310にしっかりと接着され、弾性モールド層320と光導波路ジグ320との間にギャップ及び空気が存在しないと理解されるべきである。従って、光導波路ジグ310に含まれるモールド形成面311が光透過面の外形に一致しているとき、同じ形状及び同じサイズを持つ複数の凸状構造は、硬化性材料層をエンボス加工するために複数の弾性ダイス321が利用されるときに、光透過面上に形成されることができる。加えて、複数の凸状構造が光透過面にしっかりと接着されることが保証される。しかし、複数の弾性ダイス321は弾性的であるため、複数の弾性ダイス321は、複数の弾性ダイス321が硬化性材料層をエンボス加工するために利用されるときに、光導波路を損傷しない。
理論上は、光導波路ジグ310に含まれるモールド形成面311の外形が、光透過面の外形に一致するべきである。しかし、特定の誤差が、実際に製造する期間において依然として存在する。光導波路ジグ310に含まれるモールド形成面311の外形のPV値と、光透過面121のPV値とは、モールド形成面311の外形が光透過面121の外形と制御可能な範囲で合致することを保証するために、1μm未満に設定されうる。
この出願のこの実施形態において提供される光学素子を製造するための方法について、より詳細に説明するために、図22を参照しながら、以下では、レンズ200が光導波路として利用されるとき、エンボス加工技術及び硬化プロセスを利用することによってレンズ200の入光面a上に、図6に示した反射防止膜を形成する具体的なプロセスについて説明する。
ステップ310:レンズ200の面上にドライ処理及びプラスマ処理を実行し、レンズ200の面上の不純物を取り除いて、レンズ200の面の清潔さを保証する。この場合において、構造としては、図24内のAを参照されたい。
ステップ320:以下のこと、即ち、レンズの入光面の形状が弧状であるためにレンズの入光面上に複数の凸状構造111を直接形成することは困難であること、を考慮して、レンズの入光面上に、図24内のBに示した接着層112を形成する。接着層112は、スピンコーティング(spin-coating)、ディッピング(dipping)、又はディスペンシング(dispensing)などの膜形成プロセスを利用することによって、レンズの入光面上に形成されうる。膜形成プロセスにおけるパラメータは、接着層の高さH0が10nm未満であることを保証するように制御されうる。接着層112の材料は、変性シラン接着剤などの普通のシラン材料であってよい。レンズ200の反射率に関する、突然の屈折率変化の不利な効果を低減するために、接着層112に利用される材料の屈折率と、レンズ200に含まれる材料の屈折率との差は、-0.2~0.2であると理解されるべきである。
ステップ330:図24内のCに示したエンボスモールド300を製造する。図23に示すように、エンボスモールド300を製造するための方法は、特に、以下のステップを含む。
ステップ331:図24内のCに示した200μm未満の厚さを持つ弾性モールド層320を製造する。弾性モールド層320は、凸状構造を形成するように構成された複数の弾性ダイス321を含む。複数の弾性ダイス321は、モスアイ(moth-eye)構造を形成する。各弾性ダイス321のパラメータは、上述した凸状構造111のパラメータに関連して設定される。弾性モールド層320は、紫外光透過性能を有する。弾性モールド層320に含まれる材料は、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、略してPDMS)、SU-8フォトレジスト、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、略してPET)であってよい。
ステップ332:図24内のCに示された光導波路ジグ310として利用されるレンズジグを製造する。レンズジグは、レンズ200の入光面の外形に一致するモールド形成面311を有する。PV値は、1μm未満である。レンズジグのために選択される材料は、弾性材料であってよく、又は非弾性材料であってよい。
ステップ333:弾性モールド層320のものであり、かつ弾性ダイス321から離れている面を、レンズジグのモールド形成面311に密着させ、弾性モールド層320とモールド形成面311との間に空気が存在しないことを保証する。従って、モールド形成面311は、レンズジグにしっかりと密着され、図24内のCに示したエンボスモールド300を得る。
ステップ340:接着層112のものであり、かつレンズ200の入光面aから離れている面上への接着剤塗布を実行する。接着剤の量は、均一な接着剤薄膜400を形成するように、レンズ200全体の入光面aをカバーするように制御される必要がある。接着剤薄膜400は、図24内のDに示されている。レンズ200の反射率に関する、突然の屈折率変化の不利な効果を低減するために、接着剤塗布に利用される接着剤の屈折率と、レンズ200に含まれる材料の屈折率との差が、-0.2~0.2であると理解されるべきである。もちろん、レンズ200の反射率に関する、突然の屈折率変化の不利な効果を低減するために、接着剤塗布に利用される接着剤の屈折率と、接着層112に含まれる材料の屈折率との差が、-0.2~0.2であることも保証されるべきである。
ステップ350:エンボスモールド300に含まれる弾性モールド層320の複数の弾性ダイス321を、接着剤薄膜400に密着させ、エンボスモールド300に含まれるレンズジグを利用することによって弾性モールド層320を押圧し、それにより、複数の弾性ダイス321は、接着剤薄膜400と密に接する。この場合において、接着剤薄膜400は、複数の凸状構造111にエンボス加工される。この場合における状態が図24内のEに示されている。エンボス加工プロセスにおいて利用される圧力は、接着剤薄膜400と複数の弾性ダイス321との実際の接触ケースに応じて、例えば、0.5MPa~0.8MPaに設定されうる。
ステップ360:複数の弾性ダイス321が接着剤薄膜400と密に接しているときに、反射防止膜110がレンズ200の入光面a上に形成されるように、紫外光照射方式又は加熱方式で複数の凸状構造111を硬化し、次いで、エンボスモールド300を取り除く。この場合における状態が図24内のFに示されている。複数の弾性ダイス321は、接着剤薄膜400と密に接している。エンボスモールド300は、透明である。従って、複数の凸状構造111が紫外光照射方式で硬化され、複数の弾性ダイス321が接着剤薄膜400と密に接していることが保証されるとき、紫外光は、エンボスモールド300を通して、複数の凸状構造111にエンボス加工される接着剤薄膜400に照射されうる。
ステップ330がステップ350の前に完了されるのであれば、図24に示すように、ステップ330は、必ずしもステップ320とステップ340との間になくてよいことに留意されるべきである。反射防止膜110が、上記の方式でレンズ200の入光面a上に形成された後、反射防止膜110は、上記の方式でレンズ200の出光面bにさらに形成されてよい。
他の例において、光透過面は、平面状の光透過面である。図25に示すように、エンボスモールド300を利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して、複数の凸状構造を得るステップは、以下のステップを含む。
ステップ221B:図28内のCに示したエンボスモールド300を提供する。エンボスモールド300は、ローラ及びローダ上に形成された弾性モールド層320を含む。弾性モールド層320は、凸状構造を形成するように構成された複数の弾性ダイス321を含む。
ステップ222B:エンボスモールド300に含まれる複数の弾性ダイス321を利用することによって硬化性材料層をエンボス加工して、複数の凸状構造を得る。
図28に示すように、平面状の光透過面について、複数の凸状構造111は、ステップ330で製造された平面状の光透過面をエンボス加工するステップを通して得られてよく、又は、複数の凸状構造111は、ローラエンボス加工方式でエンボス加工するステップを通して得られてよいと理解されるべきである。複数の凸状構造111が、ローラエンボス加工方式でエンボス加工するステップを通して得られ、かつ光透過面121が平面状の光透過面であるとき、特定の圧力下において硬化性材料層の面上でエンボスモールド300を転がすことが必要になる。このようにして、エンボスモールド300に含まれるローラの面上の弾性モールド層320に含まれる複数の弾性ダイス321は、エンボス加工を通して硬化性材料層上の複数の凸状構造111を得るために利用されうる。従って、エンボスモールド300は、凸状構造111を製造するために便利に利用されうる。
この出願のこの実施形態において提供される光学素子を製造するための方法について、より詳細に説明するために、図26を参照しながら、以下では、保護ダイアフラム500が光導波路として利用されるとき、エンボス加工技術及び硬化プロセスを利用することによって、保護ダイアフラム500の入光面a上に、図3に示した反射防止膜を形成する具体的なプロセスについて説明する。
ステップ410:保護ダイアフラム500の面上でドライ処理及びプラズマ処理を実行し、保護ダイアフラム500の面上の不純物を取り除き、保護ダイアフラム500の面の清潔さを保証する。この場合において、構造については、図28内のAを参照されたい。
ステップ420:保護ダイアフラム500の入光面a上に、図28内のBに示した接着層112を形成する。接着層112は、スピンコーティング(spin-coating)、ディッピング(dipping)、又はディスペンシング(dispensing)などの膜形成プロセスを利用することによって、保護ダイアフラム500の入光面上に形成されうる。膜形成プロセスにおけるパラメータは、接着層の高さH0が、10nm未満であることを保証するように制御されうる。接着層112の材料は、変性シラン接着剤などの普通のシラン材料であってよい。保護ダイアフラム500の反射率に関する、突然の屈折率変化の不利な効果を低減するために、接着層112に利用される材料の屈折率と、保護ダイアフラム500に含まれる材料の屈折率との差は、-0.2~0.2であると理解されるべきである。
ステップ430:接着層112のものであり、かつ保護ダイアフラム500から離れている面への接着剤塗布を実行する。接着剤の量は、図28内のBに示した均一な接着剤薄膜400を形成するために、保護ダイアフラム500全体の入光面aをカバーするように制御される必要がある。保護ダイアフラム500の反射率に関する、突然の屈折率変化の不利な効果を低減するために、接着剤塗布に利用される接着剤の屈折率と、保護ダイアフラム500に含まれる材料の屈折率との差は、-0.2~0.2であると理解されるべきである。もちろん、保護ダイアフラム500の反射率に関する、突然の屈折率変化の不利な効果を低減するために、接着剤塗布に利用される接着剤の屈折率と、接着層112に含まれる材料の屈折率との差が、-0.2~0.2であることも保証されるべきである。保護ダイアフラム500は平面的な構造であると理解されるべきである。保護ダイアフラム500の面は比較的滑らかである。このことは、凸状構造111を形成するために便利である。従って、接着剤塗布に利用される材料と、保護ダイアフラムの入光面aとの間の接着の強さに基づいて、接着層112が形成される必要があるかどうかが決定されうる。例えば、接着剤塗布に利用される材料が、保護ダイアフラム500の入光面aにうまく付着するとき、ステップ410の後、接着剤塗布は、均一な接着剤薄膜400を形成するために、保護ダイアフラム500の入光面a上に直接実行される。
ステップ440:図28内のCに示したエンボスモールド300を製造する。図27に示すように、エンボスモールド300を製造するための方法は、特に、以下のステップを含む。
ステップ441:図28内のCに示した200μm未満の厚さを持つ弾性モールド層320を製造する。弾性モールド層320は、凸状構造111を形成するように構成された複数の弾性ダイス321を含む。複数の弾性ダイス321は、モスアイ(moth-eye)構造を形成する。各弾性ダイス321のパラメータは、上述した凸状構造111のパラメータに関連して設定される。弾性モールド層320は、紫外光透過性能を有する。弾性モールド層320に含まれる材料は、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、略してPDMS)、SU-8フォトレジスト、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、略してPET)であってよい。
ステップ442:図28内のCに示した光導波路ジグ310として利用される円柱ローラを製造する。円柱ローラのために選択される材料は、弾性材料であってよく、又は非弾性材料であってよい。
ステップ443:弾性モールド層320のものであり、かつ弾性ダイス321から離れている面を、円柱ローラの面に密着させ、弾性モールド層320と円柱ローラとの間に空気が存在しないことを保証する。従って、モールド形成面311は、円柱ローラにしっかりと密着され、エンボスモールド300を得る。
ステップ450:保護ダイアフラム500の一端でエンボスモールド300を利用し、押圧を通して、エンボスモールド300に含まれる弾性モールド層320の複数の弾性ダイス321が、接着剤薄膜400と密に接していることを保証し、次いで、エンボスモールド300に含まれる円柱ローラを制御し、ある方向に接着剤薄膜400の面上を転がるように弾性モールド層320を動かす。円柱ローラが、その方向に接着剤薄膜400の面上を転がるように弾性モールド層320を動かした後、接着剤薄膜400は、複数の凸状構造111にエンボス加工される。エンボス加工プロセスにおいて利用される圧力は、接着剤薄膜400と複数の弾性ダイス321との実際の接触ケースに応じて設定されてよく、例えば、0.5MPa~0.8MPaである。
円柱ローラは、図28内のCに示したエンボスモールド300の左矢印方向に接着剤薄膜400の面上を転がるように弾性モールド層320を動かすために利用され、ギャップが、円柱ローラと弾性モールド層320との間に容易に生じると理解されるべきである。従って、空気が円柱ローラと弾性モールド層320との間に入り、エンボス加工を通して得られる凸状構造111の精度の逸脱を引き起こす。これに基づき、エンボス加工が完了した後、エンボス加工後に得られる凸状構造111の精度が異常であるかどうかを判定するために、空気が円柱ローラと弾性モールド層320との間に存在するかどうかがチェックされてよい。
ステップ460:紫外光照射方式又は加熱方式で、保護ダイアフラム500の入光面a上に形成された複数の凸状構造111を硬化し、保護ダイアフラム500の入光面a上に反射防止膜110を形成する。
図26に示すように、ステップ440は、ステップ440がステップ450の前に完了されるのであれば、必ずしもステップ430とステップ450との間になくてよいことに留意されるべきである。上記の方式で保護ダイアフラム500の入光面a上に反射防止膜が形成された後、反射防止膜が、上記の方式で保護ダイアフラム500の出光面b上にさらに形成されてよい。
図3又は図7に示すように、光学素子100に含まれる反射防止膜110の厚さは、200nm~600nmであってよい。代替的に、適切な範囲は、光学素子100が比較的低い反射率を有するように、200nm~600nmの範囲内でさらに選択されてよい。例えば、反射防止膜110の厚さは、310nmより大きく、かつ460nmより小さい。他の例では、反射防止膜の厚さは、300nmより大きく、かつ450nmより小さい。反射防止膜110に含まれる接着層112の厚さH0は、0nm~200nmの範囲内に制御されるべきである。接着層112の厚さH0が0nmに等しいとき、反射防止膜110は、実質的に接着層112を含まない。この場合において、反射防止膜110に含まれる凸状構造111は、光導波路の面にしっかりと接着される。
図29に示すように、この出願のこの実施形態は、カメラモジュールを提供する。カメラモジュールは、少なくとも1つの第1のタイプの光学素子Iを含む。第1のタイプの光学素子は、図5~図8のいずれか1つに示した光学素子100である。
この出願のこの実施形態において提供されるカメラモジュールに含まれる第1のタイプの光学素子Iは、上述した光学素子である。従って、第1のタイプの光学素子Iは、光導波路120だけでなく、上述した反射防止膜110も含む。反射防止膜110は、光導波路120に含まれる少なくとも1つの光透過面121上に形成された複数の凸状構造111を含む。各凸状構造111の最大径長は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造111の屈折率と光導波路120の屈折率とが突然変化することに起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。加えて、凸状構造の分布周期Wと、各凸状構造の底面の最大径長D1とが、いずれも可視光波長の最小値より小さいため、各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とに関する識別は、反射防止膜110に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子100の反射率は、反射防止膜110を利用することによって低減されることができる。各凸状構造111の高さH1が310nm以上であり、かつ凸状構造の分布周期Wが220nm以下であるとき、光学素子100の形状についての制限なしに、反射防止膜110は、可視光が光学素子100に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子100の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子100は、可視光に対する極めて低い反射率を有することが分析を通して見いだされる。
図29に示すように、第1のタイプの光学素子Iの構造を有する1枚~2枚のレンズが、一般的なモバイルフォンなどの端末上に構成されたレンズグループとして設定されうると理解されるべきである。しかし、超広角レンズについては、第1のタイプの光学素子Iの構造を有する少なくとも3枚のレンズが設定される必要がある。
いくつかの可能な実装において、図29及び図30に示すように、カメラモジュールは、少なくとも1つの第2のタイプの光学素子IIをさらに含む。第2のタイプの光学素子IIは、光導波路120だけでなく、光導波路120に含まれる光透過面121上に形成された反射防止コーティング130も含み、カメラモジュールの集光率を改善する。
いくつかの可能な実装において、図29に示すように、カメラモジュールは、イメージセンサ700をさらに含む。第1のタイプの光学素子I及び第2のタイプの光学素子IIは、可視光が、第1のタイプの光学素子I及び第2のタイプの光学素子IIを通過した後にイメージセンサ700によって集められることができるように、イメージセンサ700のセンサ面が配置される方向に配置される。しかし、第1のタイプの光学素子Iが、可視光に対する極めて低い反射率を有するため、イメージセンサ700は、カメラモジュールによって撮影される景色によって反射された、ほぼ全ての可視光を集めることができ、カメラモジュールによって撮られた景色の鮮明度を改善し、それによって、ゴースト問題及びフレア問題を回避する。
第1のタイプの光学素子Iと第2のタイプの光学素子IIとの間の位置関係は、カメラモジュールにおける第1のタイプの光学素子I及び第2のタイプの光学素子IIの機能に基づいて決定されると理解されるべきである。
図29は、この出願において提供されるカメラモジュールを示す。カメラモジュールは、保護ダイアフラム500と、複数のレンズ200と、赤外線カットオフフィルタ600と、イメージセンサ700とを含む。保護ダイアフラム500、複数のレンズ、及び赤外線カットオフフィルタ600は、イメージセンサ700のセンサ面に近づく方向に順に配置される。保護ダイアフラム500、複数のレンズ200、及び赤外線カットオフフィルタ600のうちの少なくとも1つは、上記の第1のタイプの光学素子Iの構造を選択してよく、残りのものは、上記の第2のタイプの光学素子IIの構造を選択してよい。上記のレンズ200の数量は、4、6、又は7であってよいと理解されるべきである。しかし、このことは本明細書において限定されない。数量は、カメラモジュールの実際の要件に従って設定されうる。
例えば、上記のレンズ200の数量が5であるとき、イメージセンサ700のセンサ面に近づく方向で、第3のレンズ230、第4のレンズ240、第5のレンズ250、及び赤外線カットオフフィルタ600が全て、第1のタイプの光学素子Iに設定され、第1のレンズ210、第2のレンズ220、及び保護ダイアフラム500が全て、図30に示した第2のタイプの光学素子IIの構造に設定される。保護ダイアフラム500のために選択された材料は、コーニング社において製造されるゴリラガラスである。赤外線カットオフフィルタ600は、赤外線を取り除くための青色ガラスである。
図31に示すように、この出願の実施形態は、端末800をさらに提供する。端末800は、カメラモジュール810を含む。この出願において提供される端末800において、カメラモジュール810に含まれる第1のタイプの光学素子Iは、光導波路120だけでなく、反射防止膜も含む。図3に示すように、反射防止膜110は、光導波路120に含まれる少なくとも1つの光透過面121上に形成された複数の凸状構造111を含む。各凸状構造111の最大径長は、光透過面121から離れる方向に徐々に減少する。各凸状構造111の屈折率は、光透過面121から離れる方向に徐々に変化し、凸状構造111の屈折率と光導波路120の屈折率の突然の変化に起因して光学素子100の反射率が増加する問題を回避する。加えて、凸状構造の分布周期Wと、各凸状構造の底面の最大径長D1とが、いずれも可視光波長の最小値より小さいため、各凸状構造111と、2つの隣接する凸状構造111の間の空間とに関する識別は、反射防止膜110に照射される可視光に対してなされず、従って、可視光に対する光学素子100の反射率は、反射防止膜110を利用することによって低減されることができる。各凸状構造の高さH1が310nm以上であり、隣接する凸状構造の分布周期Wが220nm以下であるとき、光学素子100の形状についての制限なしに、反射防止膜110は、可視光が光学素子100に垂直入射方式又は斜め入射方式のいずれで照射されるかにかかわらず、可視光に対する光学素子100の反射率を調整及び制御するために利用されることができ、それにより、光学素子100は、可視光に対する極めて低い反射率を有し、端末によって撮られる写真の鮮明度を改善し、それによって、ゴースト問題及びフレア問題を回避することが分析を通して見いだされる。
いくつかの可能な実装において、図31に示すように、端末は、プロセッサ980と、メモリ920と、ディスプレイ画面940とをさらに含む。プロセッサ980は、カメラモジュール810、メモリ920、及びディスプレイ画面940に別々に電気的に接続される。
メモリ920は、コンピュータ命令を格納するように構成される。コンピュータ命令が実行されるとき、プロセッサは、少なくともカメラモジュールによって伝送されたイメージデータを処理し、また、もちろん端末の内部データも処理又は外部デバイスが端末にアクセスするときに外部デバイスによって伝送されるデータを処理することが可能になる。メモリ920は、記憶装置であってよく、又は複数の記憶素子の一般的な名称であってよい。メモリ920は、実行可能プログラムコードなどを格納するように構成される。メモリ920は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでよく、又は磁気ディスクストレージ920又はフラッシュメモリ(flash)などの不揮発性メモリ920(non-volatile memory)を含んでよい。
プロセッサ980は、プロセッサであってよく、又は複数の処理要素の一般的な名称であってよい。例えば、プロセッサは、中央処理ユニット(central processing unit、略してCPU)、又は特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、略してASIC)であってよく、又は、本発明のこの実施形態を実装する1つ以上の集積回路、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ(digital signal processors、略してDSP)又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、略してFPGA)として構成されてよい。
ディスプレイ画面940は、少なくともカメラモジュールによって集められた写真を表示し、もちろん、端末に格納されているイメージを表示又は外部デバイスが端末にアクセスするときに外部デバイスによって伝送されたイメージを表示するように構成される。ディスプレイ画面940は、ディスプレイユニット、例えば、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ又は液晶ディスプレイであってよい。
いくつかの可能な実装において、端末800は、モバイルフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant, PDA)、ポイントオブセールス(point of sale, POS)、車載コンピュータなどを含んでよい。
図32に示したモバイルフォン900は、端末800の例として利用される。図32は、この出願の実施形態による端末として利用されるモバイルフォン900の部分構造のブロック図である。図32に示すように、モバイルフォン900は、カメラモジュール、無線周波数(radio frequency, RF)回路910、メモリ920、他の入力デバイス930、ディスプレイ940、センサ、オーディオ回路960、I/Oサブシステム970、プロセッサ980、及び電源990などのコンポーネントを含む。カメラモジュールは、カメラモジュールである。カメラモジュールは、保護ダイアフラム500、複数のレンズ200、及び赤外線カットオフフィルタ600を含む。類似の屈折率を持つ反射防止膜110は、保護ダイアフラム500、複数のレンズ200、及び赤外線カットオフフィルタ600のうちの少なくとも1つの入光面又は出光面上に形成される。反射防止膜110は、接着層112、及び接着層112上に形成された複数の凸状構造111を含む。接着層112は、複数の凸状構造111と、保護ダイアフラム500、複数のレンズ200、及び赤外線カットオフフィルタ600のうちの少なくとも1つの出光面及び/又は入光面とを接着するように構成される。各凸状構造の高さH1は、310nm~450nmである。凸状構造の分布周期Wは、160nm~220nmである。
図32に示したモバイルフォンの構造は、モバイルフォンに関する限定を構成せず、モバイルフォンは、図に示したものより多くの又はより少ないコンポーネントを含んでよく、又はいくつかのコンポーネントは結合されてよく、又はいくつかのコンポーネントは分割されてよく、又は異なるコンポーネント配置が利用されてよいと当業者は理解しうる。ディスプレイ画面940は、ユーザインターフェース(user interface, UI)に属し、モバイルフォンは、図に示したものより多くの又はより少ないユーザインターフェースを含んでよいと当業者は理解しうる。以下では、図32を参照しながら、モバイルフォン900の全てのコンポーネントについて詳細に説明する。
RF回路910は、情報を受信及び送信し、又は呼プロセスにおける信号を受信及び送信し、基地局のダウンリンク情報を受信した後、処理用のプロセッサ980にダウンリンク情報を送信し、関連するアップリンクデータを基地局に送信するように構成されうる。概して、RF回路910は、限定されないが、アンテナ、少なくとも1つの増幅器、トランシーバ、カプラ、低ノイズ増幅器(low noise amplifier, LNA)、デュプレクサなどを含む。加えて、RF回路910は、無線通信を通して、ネットワーク及び他のデバイスとさらに通信してよい。無線通信は、限定されないが、モバイル通信用グローバルシステム(Global System for Mobile Communications, GSM)、汎用パケット無線サービス(general packet radio service, GPRS)、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access, CDMA)、広帯域符号分割多元接続(Wideband Code Division Multiple Access, WCDMA)、ロングタームエボリューション(Long Term Evolution, LTE)、電子メール、ショートメッセージサービス(short message service, SMS)などを含む任意の通信標準又はプロトコルを利用してよい。
メモリ920は、ソフトウェアプログラム及びモジュールを格納するように構成されうる。プロセッサ980は、メモリ920に格納されたソフトウェアプログラム及びモジュールを実行することによって、モバイルフォンの様々な機能的アプリケーションを実行してデータを処理する。メモリ920は、主に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域とを含むことがある。プログラム記憶領域は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能(音声再生機能又はイメージ再生機能など)によって必要とされるアプリケーションプログラムなどを格納しうる。データ記憶領域は、モバイルフォンなどの利用に基づいて作られるデータ(音声データ又はアドレスブックなど)を格納しうる。加えて、メモリ920は、高速ランダムアクセスメモリを含んでよく、不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気記憶デバイス、フラッシュストレージデバイス、又は他の揮発性固体記憶デバイスをさらに含んでよい。
他の入力デバイス930は、入力桁又は文字情報を受信し、モバイルフォンのユーザ設定及び機能制御に関するキー信号入力を生成するように構成されうる。特に、他の入力デバイス930は、限定されないが、物理キーボード、機能キー(ボリューム制御キー又はオン/オフキーなど)、トラックボール、マウス、ジョイスティック、及び光学マウス(光学マウスは、視覚的な出力を表示しないタッチセンサ面、又はタッチスクリーンによって形成されるタッチセンサ面の拡張である)の1つ以上を含んでよい。他の入力デバイス930は、I/Oサブシステムの他の入力デバイスコントローラ971に接続され、他の入力デバイスコントローラ971の制御下で、信号をプロセッサ980と交換する。
ディスプレイ画面940は、ユーザによって入力された情報又はユーザに提供される情報、及びモバイルフォンの様々なメニューを表示するように構成されてよく、ユーザ入力をさらに受信しうる。特に、ディスプレイ画面940は、ディスプレイパネル941と、タッチパネル942とを含みううる。ディスプレイパネル941は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display, LCD)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED)などの形態で構成されうる。タッチパネル942は、タッチスクリーン、タッチセンサスクリーンなどとも称され、ユーザによってタッチパネル942の上又は近傍で実行されるタッチ又は非タッチ操作(例えば、ユーザによって、指又はスタイラスなどの任意の適切なオブジェクト又はアクセサリを利用することによってタッチパネル942の上又は近傍で実行される操作、或いは、動き検知操作であって、操作は、シングルポイント制御操作、マルチポイント制御操作、又は類似のタイプの操作を含むもの。)を集め、事前設定されたプログラムに基づいて、対応する接続装置を駆動しうる。任意選択で、タッチパネル942は、2つの部品、即ち、タッチ検出装置及びタッチコントローラを含みうる。タッチ検出装置は、タッチ位置及びユーザのジェスチャを検出し、タッチ操作によってもたらされる信号を検出し、信号をタッチコントローラに伝送する。タッチコントローラは、タッチ検出装置からタッチ情報を受信し、タッチ情報を、プロセッサ980によって処理されることができる情報に変換し、次いで、プロセッサ980に情報を送信し、そして、プロセッサ980によって送信されたコマンドを受信して実行することができる。加えて、タッチパネル942は、抵抗タイプ、容量タイプ、赤外線、及び弾性表面波などの複数のタイプを利用することによって実装されてよく、又は、タッチパネル942は、将来発展される任意の技術を利用することによって実装されうる。さらに、タッチパネル942は、ディスプレイパネル941をカバーしうる。ユーザは、ディスプレイパネル941に表示された内容(表示内容は、限定されないが、ソフトウェアキーボード、仮想マウス、仮想キー、アイコンなどである)に基づいて、ディスプレイパネル941をカバーするタッチパネル942の上又は近傍での操作を実行しうる。タッチパネル942の上又は近傍での操作を検出した後、タッチパネル942は、I/Oサブシステムを利用することによって操作をプロセッサ980に伝送して、ユーザ入力を決定する。次いで、プロセッサ980は、I/Oサブシステムを利用することによって、ユーザ入力に基づいて、ディスプレイパネル941上に、対応する視覚的な出力を提供する。図32において、タッチパネル942及びディスプレイパネル941は、入力及びモバイルフォンの入力機能を実装するための2つの独立したコンポーネントとして利用される。しかし、いくつかの実装において、タッチパネル942及びディスプレイパネル941は、モバイルフォンの入力及び出力機能を実装するために統合されてよい。
モバイルフォンは、光センサ(例えば、図29に示したイメージセンサ700)、モーションセンサ、又は他のセンサなどの少なくとも1つのタイプのセンサ950をさらに含んでよい。特に、光センサは、外乱光センサ及び近接センサを含みうる。例えば、カメラモジュールに含まれるイメージセンサ700は、光センサの1つのタイプである。図29に示したカメラモジュールによって集められたイメージ情報は、プロセッサ980に伝送されうる。外乱光センサは、外乱光の輝度に基づいてディスプレイパネル941の輝度値を調整してよく、近接光センサは、モバイルフォンが耳に近づくとき、ディスプレイパネル941又はバックライトを遮断してよい。モーションセンサのタイプとしての、加速度センサは、各方向(一般に、3つの軸)における加速度の値を検出してよく、静止状態で重力の値及び方向を検出してよく、モバイルフォン姿勢を識別するためにアプリケーション(ランドスケープ及びポートレートモード間での画面遷移、関連するゲーム、又は磁力計姿勢キャリブレーションなど)、振動識別に関する機能(歩数計又はノックなど)などにおいて利用されてよい。モバイルフォン上にさらに配置されうるジャイロスコープ、バロメータ、湿度計、温度計、又は赤外線センサなどの他のセンサについては、本明細書において詳細に説明されない。
オーディオ回路960、ラウドスピーカ961、及びマイクロフォンは、ユーザとモバイルフォンとの間のオーディオインターフェースを提供しうる。オーディオ回路960は、受信されたオーディオデータを信号に変換し、信号をラウドスピーカ961に伝送してよく、ラウドスピーカ961は、信号を音声信号に変換して音声信号を出力する。加えて、マイクロフォンは、収集された音声信号を信号に変換し、オーディオ回路960は、信号を受信し、信号をオーディオデータに変換し、オーディオデータをRF回路910に出力して、オーディオデータを、例えば、他のモバイルフォンに送信するか、又は、オーディオデータを、さらなる処理のためにメモリ920に出力する。
I/Oサブシステムは、外部入力/出力デバイスを制御するように構成され、他の入力デバイスコントローラ971、センサコントローラ972、及びディスプレイコントローラ973を含んでよい。任意選択で、1つ以上の他の入力制御デバイスコントローラ971は、信号を他の入力デバイス930から受信し及び/又は信号を他の入力デバイス930に送信する。他の入力デバイス930は、物理ボタン(押下ボタン又はロックボタンなど)、ダイアルパッド、スライダスイッチ、ジョイスティック、クリックスクロールホイール、及び光学マウス(光学マウスは、視覚的な出力を表示しないタッチセンサ面であるか、又はタッチスクリーンによって形成されるタッチセンサ面の拡張である)を含んでよい。他の入力制御デバイスコントローラ971は、上記のデバイスのいずれか1つ以上に接続されてよいことに留意されるべきである。I/Oサブシステムにおけるディスプレイコントローラ973は、ディスプレイ940から信号を受信し及び/又は信号をディスプレイ940に送信する。ディスプレイ画面940がユーザ入力を検出した後、ディスプレイコントローラ973は、検出されたユーザ入力を、ディスプレイ画面940に表示されるユーザインターフェースオブジェクトを持つインタラクションに変換し、ヒューマンマシンインタラクションを実装する。センサコントローラ972は、1つ以上のセンサから信号を受信し及び/又は信号を1つ以上のセンサに送信してよい。
モバイルフォンの制御センタとしての、プロセッサ980は、様々なインターフェース及び回線を利用することによってモバイルフォン全体の様々な部分と接続し、モバイルフォンの様々な機能を実行し、メモリ920に格納されたソフトウェアプログラム及び/又はモジュールを稼働又は実行することによって、そして、メモリ920に格納されたデータを呼び出すことによってデータを処理し、モバイルフォン上での総体的なモニタリングを実行する。任意選択で、プロセッサ980は、1つ以上の処理ユニットを含んでよい。好ましくは、アプリケーションプロセッサ及びモデムプロセッサは、プロセッサ980に統合されうる。アプリケーションプロセッサは、主に、オペレーティングシステム、ユーザインターフェース、アプリケーションプログラムなどを処理する。モデムプロセッサは、主に、無線通信を処理する。モデムプロセッサが、代替的に、プロセッサ980に統合されなくてよいと理解されうる。
モバイルフォンは、コンポーネントに電力を供給するための電源990(例えば、バッテリ)をさらに含む。好ましくは、電源990は、電力管理システムによってプロセッサ980に論理的に接続されてよく、電力管理システムを利用することによって充電、放電、及び電力消費管理などの機能を実装する。
図32には示されていないけれども、モバイルフォンは、Bluetoothモジュールなどをさらに含んでよい。詳細については、本明細書において説明されない。
この明細書の説明において、具体的な特徴、構造、材料、又は特性は、実施形態又は例のいずれか1つ以上における適切な方式で結合されてよい。
最後に、上記の実施形態は、単にこの出願の技術的解決策を説明することが意図されており、この出願を限定するものではないことに留意されるべきである。この出願は、上記の実施形態に関連して詳細に説明されたけれども、当業者は、この出願の実施形態の技術的解決策の意図及び範囲を逸脱することなく、彼らが依然として上記の実施形態において説明された技術的解決策に修正を施してよく、又は、それらのいくつかの技術的特徴に対する等価的な置き換えを施してよいと理解すべきである。