JP7354048B2 - 油路切換弁及びバルブタイミング変更装置 - Google Patents

油路切換弁及びバルブタイミング変更装置 Download PDF

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本発明は、作動油の油路を切り換える油路切換弁に関し、特に、レンジエクステンダー車両に搭載される発電専用の内燃エンジンにおける吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を変更する際に適用される油路切換弁及びバルブタイミング変更装置に関し、又、二輪車等の内燃エンジンにおいても適用可能な油路切換弁及びバルブタイミング変更装置に関する。
従来のレンジエクステンダー車両としては、発電専用のエンジン、エンジンにより駆動されて発電する発電機、発電機により発電された電力を蓄電するバッテリ、バッテリから供給される電力により車輪を回転駆動する駆動モータ等を備え、エンジンは、吸気バルブの開閉タイミングを変更する可変バルブタイミング機構と、作動油の油圧を調整する電磁駆動式の油圧制御弁を含むものが知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
上記レンジエクステンダー車両において、エンジンは発電専用であるため、バルブタイミングとしては進角位置又は遅角位置のいずれかを選択して二値的に切り換えるものであり、連続的に変化させる必要はない。
しかしながら、その制御には、電磁駆動式の油圧制御弁が採用されているため、エンジンとして高価になり、制御システムも必要であり、車両全体として高コスト化を招く。
また、二輪車に搭載されるエンジンのバルブタイミング変更装置として、カムシャフトに固定されるホルダ、ホルダに保持される従動部材及びガイド部材、従動部材とガイド部材の間のガイド溝に介装される複数の遠心ウェイト、従動部材とガイド部材とを互いに接近する方向に付勢する付勢部材等を備え、従動部材、ガイド部材、遠心ウェイト等の摺動面に潤滑油を供給するようにした位相可変装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
上記位相可変装置においては、エンジンの回転速度が増加すると、遠心ウェイトに作用する遠心力が大きくなることで、遠心ウェイトが移動して従動部材とガイド部材との角度位置が相対的に変化し、バルブタイミングが変更されるようになっている。
しかしながら、上記位相可変装置においては、複数の遠心ウェイトを用いるため、重量化、大型化、構造の複雑化を招く。
特開2012-184695号公報 特許第6252388号公報
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、二輪車を含む車両、特にレンジエクステンダー車両等に搭載されるエンジンに適用され、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を図れる油路切換弁及びバルブタイミング変更装置を提供することにある。
本発明の油路切換弁は、遅角室及び進角室に対する作動油の供給又は排出を行う油路を切り換えてエンジンのバルブタイミングを第1角度位置又は第2角度位置に変更するべく、バルブタイミング変更装置に適用される油路切換弁であって、作動油を供給する供給ポート,作動油を排出する排出ポート,遅角室に連通する遅角ポート,進角室に連通する進角ポートを画定するスリーブと、遅角ポート及び進角ポートと供給ポートの間の油路を開閉するべくスリーブに摺動自在に挿入された弁体と、休止状態において第1角度位置に対応する位置に弁体を位置付けるべくスリーブ内に配置されて弁体を一方向に付勢する付勢バネと、作動油の圧力が第1圧力領域にあるとき第1角度位置に対応する位置に弁体を位置付け、作動油の圧力が第1圧力領域よりも大きい第2圧力領域にあるとき第2角度位置に対応する位置に弁体を位置付けるべく、付勢バネの付勢力に抗しつつ作動油の圧力に応じて弁体の位置を切り換える切換要素を含み、切換要素は、弁体に設けられて作動油の圧力を受ける受圧部である、構成となっている。
上記油路切換弁において、第1角度位置は遅角位置であり、第2角度位置は進角位置である、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、弁体は、作動油を排出ポートに導く排出油路を有する、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、弁体は、遅角ポートと供給ポートの間の油路を開閉する第1弁部と、進角ポートと供給ポートの間の油路を開閉する第2弁部を含み、受圧部は、第1弁部に隣接する第1受圧部と、第1弁部と対向すると共に第1弁部よりも大きい受圧面積を有し第2弁部に隣接する第2受圧部を含む、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングは、第2弁部の開弁タイミングと同時か又は第2弁部の開弁タイミングよりも遅く設定されている、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングは、第2弁部が最大の開弁ストロークに至る前に設定されている、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、弁体には、作動油の圧力が第2圧力領域よりも大きい冷機時圧力であるとき第1角度位置が選択されるべく、冷機時圧力を受けて第2角度位置に対応する位置から外れた位置に弁体を位置付ける補助受圧部が設けられている、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、弁体は、遅角ポートと供給ポートの間の油路を開閉する第1弁部と、進角ポートと供給ポートの間の油路を開閉する第2弁部と、作動油の圧力が第2圧力領域よりも大きい冷機時圧力であるとき第1角度位置が選択されるべく、冷機時圧力を受けて第2角度位置に対応する位置から外れた位置に弁体を位置付ける補助受圧部を含み、受圧部は、第1弁部に隣接する第1受圧部と、第1弁部と対向すると共に第1弁部よりも大きい受圧面積を有し第2弁部に隣接する第2受圧部を含み、補助受圧部は、第2受圧部と同一の受圧面積を有すると共に冷機時圧力を受けるとき供給ポートと進角ポートの間の油路を閉塞し得るべく第1受圧部と第2受圧部の間に配置されている、構成を採用してもよい。
上記補助受圧部を備える油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングは、第2弁部の開弁タイミングと同時か又は前記第2弁部の開弁タイミングよりも遅く設定されている、構成を採用してもよい。
上記補助受圧部を備える油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングは、補助受圧部が供給ポートと進角ポートの間の油路を閉塞するタイミングに至る前に設定されている、構成を採用してもよい。
また、本発明の油路切換弁は、遅角室及び進角室に対する作動油の供給又は排出を行う油路を切り換えてエンジンのバルブタイミングを第1角度位置又は第2角度位置に変更するべく、バルブタイミング変更装置に適用される油路切換弁であって、作動油を供給する供給ポート,作動油を排出する排出ポート,遅角室に連通する遅角ポート,進角室に連通する進角ポートを画定するスリーブと、遅角ポート及び進角ポートと供給ポートの間の油路を開閉するべくスリーブに摺動自在に挿入された弁体と、休止状態において第1角度位置に対応する位置に弁体を位置付けるべくスリーブ内に配置されて弁体を一方向に付勢する付勢バネと、作動油の温度が第1温度領域にあるとき第1角度位置に対応する位置に弁体を位置付け、作動油の温度が第1温度領域よりも大きい第2温度領域にあるとき第2角度位置に対応する位置に弁体を位置付けるべく、付勢バネの付勢力に抗しつつ作動油の温度に応じて弁体の位置を切り換える切換要素を含み、切換要素は、作動油の温度に応じて弁体を付勢する付勢力が変化する付勢部材である、構成となっている。
上記油路切換弁において、第1角度位置は遅角位置であり、第2角度位置は進角位置である、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、弁体は、作動油を前記排出ポートに導く排出油路を有する、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、付勢部材は、付勢バネと対抗して弁体に付勢力を及ぼすべく、スリーブ内に配置されている、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、付勢部材は、第1温度領域において収縮しかつ第2温度領域において伸長して記憶形態に戻る形状記憶合金により形成されている、構成を採用してもよい。
上記油路切換弁において、スリーブは、エンジンの作動油を通す油路を画定する部材に嵌め込まれるように形成されている、構成を採用してもよい。
本発明のバルブタイミング変更装置は、カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するエンジンのバルブタイミング変更装置であって、カムシャフトの軸線上で回転するハウジングロータと、ハウジングロータと協働して遅角室及び進角室を画定すると共に上記軸線上で回転するベーンロータと、ベーンロータをカムシャフトに一体的に締結する締結ボルトと、遅角室及び進角室に対する作動油の供給又は排出を行う油路を切り換える油路切換弁を含み、油路切換弁として、上記構成をなすいずれかの油路切換弁を採用するものである。
上記バルブタイミング変更装置において、締結ボルトは、油路切換弁のスリーブを嵌合する嵌合穴と、作動油を通す油路を含む、構成を採用してもよい。
上記構成をなす油路切換弁によれば、二輪車を含む車両、特にレンジエクステンダー車両等に搭載されるエンジンに適用され、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を達成できる油路切換弁及びそれを用いたバルブタイミング変更装置を得ることができる。
本発明の油路切換弁を含むバルブタイミング変更装置を備えたエンジンを搭載するレンジエクステンダー車両の構成図である。 本発明の油路切換弁を含む第1実施形態に係るバルブタイミング変更装置を示す構成図である。 本発明の第1実施形態に係る油路切換弁を示す外観斜視図である。 図3に示す油路切換弁の分解斜視図である。 第1実施形態に係る油路切換弁において、弁体が遅角位置(第1角度位置)に対応する位置にあり、遅角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 遅角位置において、バルブタイミング変更装置のベーンロータとハウジングロータの位置関係を示す断面図である。 第1実施形態に係る油路切換弁において、弁体が進角位置(第2角度位置)に対応する位置にあり、進角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 進角位置において、バルブタイミング変更装置のベーンロータとハウジングロータの位置関係を示す断面図である。 弁体のストロークと作動油の圧力との関係及び第1圧力領域及び第2圧力領域を示すグラフである。 第1実施形態に係る油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングが、第2弁部の開弁タイミングと同時に設定されている状態を示す断面図である。 第1実施形態に係る油路切換弁において、弁体が往復振動を生じる状態を示す状態図である。 第1実施形態に係る油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングが、第2弁部の開弁タイミングよりも遅く、第2弁部が最大の開弁ストロークに至る前に設定されている状態を示す断面図である。 油路切換動作時における時間経過(作動油の圧力)に対して、弁体の受圧部に作用する作動油の圧力と、弁体のストローク及び往復振動との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る油路切換弁を示す分解斜視図である。 第2実施形態に係る油路切換弁において、弁体が遅角位置(第1角度位置)に対応する位置にあり、遅角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 第2実施形態に係る油路切換弁において、弁体が進角位置(第2角度位置)に対応する位置にあり、進角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 第2実施形態に係る油路切換弁において、作動油の圧力が第2圧力領域よりも大きい冷機時圧力であるとき、補助受圧部が冷機時圧力を受けて、弁体が進角室への作動油の供給を遮断する位置にあり、遅角位置(第1角度位置)が選択された状態を示す状態図である。 第2実施形態に係る油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングが、第2弁部の開弁タイミングと同時に設定されている状態を示す断面図である。 第2実施形態に係る油路切換弁において、弁体が往復振動を生じる状態を示す状態図である。 第2実施形態に係る油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングが、第2弁部の開弁タイミングよりも遅く、補助受圧部が供給ポートと進角ポートの間の油路を閉鎖するタイミングに至る前に設定されている状態を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る油路切換弁を示す分解斜視図である。 第3実施形態に係る油路切換弁において、弁体が遅角位置(第1角度位置)に対応する位置にあり、遅角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 第3実施形態に係る油路切換弁において、弁体が進角位置(第2角度位置)にあり、進角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 弁体のストロークと作動油の温度との関係及び第1温度領域及び第2温度領域を示すグラフである。 本発明の油路切換弁を含む第2実施形態に係るバルブタイミング変更装置を示す外観斜視図である。 図25に示すバルブタイミング変更装置を分解して一方向から視た分解斜視図である。 図25に示すバルブタイミング変更装置を分解して他方向から視た分解斜視図である。 図25に示すバルブタイミング変更装置に含まれる第4実施形態に係る油路切換弁の分解斜視図である。 図25に示すバルブタイミング変更装置において、カムシャフトの軸線を含むと共に油路を通る面における断面図である。 第4実施形態に係る油路切換弁において、弁体が遅角位置(第1角度位置)に対応する位置にあり、遅角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 遅角位置において、バルブタイミング変更装置のベーンロータとハウジングロータの位置関係を示す断面図である。 第4実施形態に係る油路切換弁において、弁体が進角位置(第2角度位置)に対応する位置にあり、進角室に作動油を供給し得る状態を示す状態図である。 進角位置において、バルブタイミング変更装置のベーンロータとハウジングロータの位置関係を示す断面図である。 第4実施形態に係る油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングが、第2弁部の開弁タイミングと同時に設定されている状態を示す断面図である。 第4実施形態に係る油路切換弁において、弁体が往復振動を生じる状態を示す状態図である。 第4実施形態に係る油路切換弁において、第1弁部の閉弁タイミングが、第2弁部の開弁タイミングよりも遅く、第2弁部が最大の開弁ストロークに至る前に設定されている状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本発明の油路切換弁を含むバルブタイミング変更装置は、レンジエクステンダー車両EVのエンジンに適用されるものである。
ここで、レンジエクステンダー車両EVは、図1に示すように、駆動輪1を駆動する駆動モータ2、発電機3、発電専用のエンジン4、バッテリ5、インバータ6、コントロールユニット7を備えている。
駆動モータ2は、車両EVが走行する際の駆動源としてデファレンシャル機構を介して駆動輪1を回転駆動し、又、車両EVの減速時に回生発電する機能を有するモータジェネレータである。
発電機3は、モータの機能を有するモータジェネレータであり、エンジン4により駆動されて発電する共に、エンジン4の始動時にはバッテリ5から電力が供給されてエンジン4を始動させるスタータの役割もなす。
エンジン4は、内燃エンジンであり、図2に示すように、シリンダブロック及びシリンダヘッド等の油路を画定する部材としての本体4a、作動油を溜めるオイルパン4b、作動油を循環させるオイルポンプ4c、吸気側及び排気側のカムシャフト4d、カムシャフト4dにより開閉駆動される吸気バルブ及び排気バルブ、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期を変更するバルブタイミング変更装置M1、油路切換弁V1等を備えている。
本体4aは、油路切換弁V1を嵌め込む嵌合孔4a、供給油路4a、排出油路4a、遅角油路4a、進角油路4aを備えている。
カムシャフト4dは、シリンダヘッドにおいて軸線S1回りに回転可能に、ここでは矢印CR方向に回転するように支持され、吸気バルブ又は排気バルブを開閉駆動する。
また、カムシャフト4dは、円筒部4d、作動油の供給及び排出を行う遅角油路4d及び進角油路4d、締結ボルトB1を捩じ込む雌ネジ部4dを備えている。
バッテリ5は、例えばリチウムイオンバッテリであり、発電機3により発電された電力を充電し、又、駆動モータ2の回生発電により発電された電力を充電すると共に、車両EVを走行させる際に駆動モータ2を駆動する電力を放電し、エンジン4の始動時にスタータとして発電機3を駆動する電力を放電する。
インバータ6は、バッテリ5と駆動モータ2の間及びバッテリ5と発電機3の間に介在して、バッテリ5に充電された電力を駆動モータ2又は発電機3に供給し、又、発電機3により発電された電力をバッテリ5又は駆動モータ2に供給し、駆動モータ2により回生発電され電力をバッテリ5に供給する役割をなす。
コントロールユニット7は、車両EV全体の制御を司るものであり、例えば、以下のような第1走行モード~第4走行モードに応じた制御を司る。
第1走行モードにおいては、通常の発進及び走行時でかつバッテリ5の残量が十分なとき、コントロールユニット7は、エンジン4を停止して、バッテリ5の電力で駆動モータ2を駆動して走行するように制御する。
第2走行モードにおいては、通常の発進及び走行時でかつバッテリ5の残量が少ないとき、コントロールユニット7は、エンジン4を起動して、発電機3で発電した電力をバッテリ5に充電しつつ、バッテリ5の電力で駆動モータ2を駆動して走行するように制御する。
第3走行モードにおいては、急加速及び登坂時でかつ電力を最大限に供給して走行するとき、コントロールユニット7は、エンジン4を起動して、発電機3で発電した電力及びバッテリ5の電力で駆動モータ2を駆動して走行するように制御する。
第4走行モードにおいては、減速及び降坂時でかつバッテリ5の残量が十分なとき、コントロールユニット7は、エンジン4を停止して、駆動モータ2で回生発電した電力をバッテリ5に充電しつつ、惰性により走行するように制御する。
このように、車両EVの走行に際して、エンジン4は発電機3を駆動する発電専用として使用されるため、エンジン4の運転モードとしては、始動時や低回転時の軽負荷モードと、中高負荷モードとの簡単な二つの運転モードに区分けすることができる。
それ故に、エンジン4のバルブタイミング変更装置M1は、バルブタイミングを連続的に変化させる必要はなく、第1角度位置としての遅角位置と、第2角度位置としての進角位置のいずれかを選択する構成でも十分対応することができる。
バルブタイミング変更装置M1は、図2、図6、図8に示すように、カムシャフト4dと同一の軸線S1上で一体的に回転するベーンロータ10、ベーンロータ10を収容すると共に軸線S1上で相対的に回転可能なハウジングロータ20を備えている。
ベーンロータ10は、円柱状のハブ部11、3つのベーン部12、貫通孔13、3つの遅角油路14を備えている。
ハウジングロータ20は、略円盤状の第1ハウジングロータ21、有底円筒状の第2ハウジングロータ22からなる二分割構造をなし、ネジにより互いに締結されている。
第1ハウジングロータ21は、スプロケット21a、カムシャフト4dの円柱部4dに回動自在に嵌合される内周面21b、ベーンロータ10が密接する面において溝状に形成された3つの進角油路21cを備えている。
第2ハウジングロータ22は、開口部22a、3つのシュー部22bを備えている。
ハウジングロータ20は、ベーンロータ10を所定の角度範囲において相対的に回転可能に収容し、ベーンロータ10のベーン部12により収容室が遅角室RCと進角室ACに二分されるように形成されている。
そして、ハウジングロータ20は、チェーン等を介してクランクシャフトの回転に連動し、油路切換弁V1により遅角室RC及び進角室AC内の作動油が調整され、ベーンロータ10を介してクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフト4dに伝達する。
油路切換弁V1は、図2に示すように、エンジン4の本体4aに取り付けられるものであり、図3及び図4に示すように、軸線S2方向に伸長する略円筒状のスリーブ30、軸線S2方向に伸長する略円筒状の弁体40、付勢バネ50、受け部材60、止め輪70、シール部材80を備えている。
スリーブ30は、外周面31、シール部材80を嵌め込むシール溝31a、本体4aにネジを用いて固定するためのフランジ部32、供給ポート33a、排出ポート33b、遅角ポート33c、進角ポート33d、小径の内周面34、大径の内周面35、受け部36、受け溝37、止め輪溝38を備えている。
外周面31は、軸線S2を中心とする円筒面として形成され、本体4aの嵌合孔4aに密接して嵌合される。
供給ポート33aは、供給油路4aと連通する。
排出ポート33bは、排出油路4aと連通する。
遅角ポート33cは、遅角油路4aと連通し、又、遅角油路4d,14を経て遅角室RCと連通する。
進角ポート33dは、進角油路4aと連通し、又、進角油路4d,21cを経て進角室ACと連通する。
内周面34は、軸線S2を中心とする円筒面として形成され、弁体40の第1弁部41を密接させて摺動自在にガイドする。
内周面35は、軸線S2を中心とする円筒面として形成され、弁体40の第2弁部42を密接させて摺動自在にガイドする。
受け部36は、弁体40の第1端部47を受け止めて弁体40を休止状態の位置に停止させる役割をなす。
受け溝37は、受け部材60を受け入れて弁体40側への移動を規制するように形成されている。
止め輪溝38は、受け部材60が受け溝37に嵌め込まれた状態で、止め輪70をスナップフィットにより受け入れるように形成されている。
弁体40は、図5に示すように、円筒部40a、小径の第1弁部41、大径の第2弁部42、受圧部としての第1受圧部43及び第2受圧部44、排出油路としての貫通孔45、受け部46、第1端部47、第2端部48を備えている。
第1弁部41は、スリーブ30の内周面34を摺動するべく、軸線S2を中心とする円筒状に形成され、内周面34の内径と略同径又は僅かに小さい外径の外周面41aを画定し、遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を開閉する。
第2弁部42は、スリーブ30の内周面35を摺動するべく、軸線S2を中心とする円筒状に形成され、内周面35の内径と略同径又は僅かに小さい外径の外周面42aを画定し、進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開閉する。
第1受圧部43は、第1弁部41に隣接して環状斜面として形成され、軸線S2方向において第1弁部41を開弁させる向きに作動油の圧力Pを受ける。
第2受圧部44は、軸線S2方向において第1受圧部43と対向すると共に第1受圧部41の受圧面積よりも大きい受圧面積を画定するべく第2弁部42に隣接して環状斜面として形成され、軸線S2方向において第2弁部42を開弁させる向きに作動油の圧力Pを受ける。
すなわち、第1受圧部43と第2受圧部44とは、第1弁部41及び第2弁部42よりも小さい外径の円筒部40aで接続されている。
そして、受圧部としての第1受圧部43及び第2受圧部44は、付勢バネ50の付勢力に抗しつつ作動油の状態量としての圧力Pに応じて弁体40の位置を切り換える切換要素として機能する。
貫通孔45は、図7に示すように、第1弁部41が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞した状態で、遅角室RC内の作動油を遅角ポート33cから排出ポート33bに向けて排出する役割をなす。
受け部46は、付勢バネ50の一端部を受けるべく、第2端部48から軸線S2方向の内側に向けて貫通孔45の内径を部分的に大きくすることで第2弁部42の内側領域に画定される環状面として形成されている。
第1端部47は、スリーブ30の受け部36に対して離脱可能に当接する。
第2端部48は、スリーブ30の受け溝37に取り付けられた受け部材60に対して離脱可能に当接する。
付勢バネ50は、圧縮型のコイルバネであり、一端部が弁体40の受け部46に当接し、他端部が受け部材60に当接するように組み付けられている。
そして、付勢バネ50は、休止状態及び作動油の圧力Pが第1圧力領域P1にあるとき、弁体40の第1端部47をスリーブ30の受け部36に当接させる位置、すなわち、第1角度位置としての遅角位置に対応する位置に弁体40を停止させる付勢力を及ぼす。
受け部材60は、円環状の円板として形成され、付勢バネ50の他端部を受けると共に、弁体40の第2端部48を受けて弁体40を最大の開弁ストローク位置に停止させる役割をなす。
止め輪70は、C型リングであり、スナップフィットによりスリーブ30の止め輪溝38に嵌め込まれて、受け部材60の抜け落ちを規制する。
シール部材80は、ゴム製のOリングであり、スリーブ30のシール溝31aに嵌め込まれて、本体4aとスリーブ30の間をシールする。
次に、レンジエクステンダー車両EVに搭載のエンジン4が起動される場合において、図5ないし図9に基づいて油路切換弁V1を用いたバルブタイミング変更装置M1の動作を説明する。
先ず、エンジン4の停止状態において、油路切換弁V1は休止状態にある。このとき、弁体40は、図5に示すように、付勢バネ50の付勢力により一方向に付勢されて、第1弁部41が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を開放した開弁状態にあり、第2弁部42が進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を閉塞した閉弁状態にある。このとき、遅角室RCは作動油が供給される状態にあり、進角室ACは作動油が排出される状態にある。
また、エンジン4の停止状態において、バルブタイミングは、図6に示すように、第1角度位置としての遅角位置(ここでは、最遅角位置)に保持されている。ここで、エンジン4の停止状態においては、後述の第2実施形態に係るバブルタイミング変更装置M2で示すようなロック機構により、バルブタイミングが遅角位置に保持されるようにしてもよい。尚、エンジン4の作動中にバルブタイミングが中間位置~進角位置にある状態から、エンジン4が停止状態に移行する際に、バルブタイミングは、カムシャフト4dから伝達される変動トルク及びフリクショントルクにより、自動的に遅角位置に回帰する。
そして、エンジン4が始動されると、オイルポンプ4cを介して、図9に示すように作動油の圧力Pが徐々に大きくなる。
エンジン4の始動時や低回転時の軽負荷モードにおいて、図9に示すように、作動油の圧力Pは切換圧力Pcよりも小さい第1領域としての第1圧力領域P1の範囲にある。
このとき、第2受圧部44と第1受圧部43とが受ける作動油の差圧、すなわち、受圧部が受ける圧力よりも付勢バネ50の付勢力が勝り、弁体40は、図5に示すように第1弁体41が開弁しかつ第2弁体42が閉弁した状態にある。
したがって、供給ポート33aを通して供給された作動油は、遅角ポート33c及び遅角油路4a,4d,14を経て遅角室RCに導かれる。これにより、バルブタイミングは、図6に示す遅角位置に保持される。
ここで、切換圧力Pcとしては、例えば、55~100Kpaの範囲から選定することができるが、この範囲に限定されるものではない。
一方、エンジン4の中高負荷モードにおいて、図9に示すように、作動油の圧力Pは切換圧力Pcよりも大きい第2領域としての第2圧力領域P2の範囲に移行する。
このとき、第2受圧部44と第1受圧部43とが受ける作動油の差圧、すなわち、受圧部が受ける圧力が付勢バネ50の付勢力に打ち勝って、弁体40は付勢バネ50を圧縮する方向に移動し、図7に示すように、第1弁体41が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞した閉弁状態となり、第2弁部42が進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放した開弁状態となる。
したがって、供給ポート33aを通して供給された作動油は、進角ポート33d及び進角油路4a,4d,21cを経て進角室ACに導かれる。一方、遅角室RC内の作動油は、遅角油路14,4d,4a、遅角ポート33c及び貫通孔45を経て排出ポート33bに導かれ、排出油路4aを通してオイルパン4bに戻される。
これにより、バルブタイミングは、図8に示すように、第2角度位置としての進角位置(ここでは、最進角位置)に変更されて保持される。
このように、弁体40に設けられた切換要素としての第1受圧部43及び第2受圧部44は、付勢バネ50の付勢力に抗しつつ作動油の圧力Pに応じて弁体40の位置を切り換えることにより、作動油の圧力Pが第1圧力領域P1にあるとき遅角位置に対応する位置に弁体40を位置付け、作動油の圧力Pが第1圧力領域P1よりも大きい第2圧力領域P2にあるとき進角位置に対応する位置に弁体40を位置付ける。
上記構成をなす油路切換弁V1によれば、弁体40の駆動力が、従来のような電磁力ではなく、作動油の圧力Pによるものであるため、従来の電磁駆動式の切換弁に比べて、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を達成することができる。
ここでは、付勢バネ50がスリーブ30内に配置されているため、油路切換弁V1として部品の集約化による小型化を達成することができる。
また、弁体40は、作動油を排出ポート33bに導く排出油路としての貫通孔45を有するため、排出油路が別の経路に配置される場合に比べて、配置構成の集約化による小型化を達成することができる。
上記第1実施形態に係る油路切換弁V1においては、図5に示す状態から図7に示す状態への油路切換動作の途中で、弁体40を往復振動させて、クリーニングモードを生じるように構成してもよい。
具体的には、図10に示すように、弁体40が付勢バネ50の付勢力に抗してスリーブ30内を移動する際に、第1弁部41の外周面41aが第1受圧部43に面するスリーブ30の内周面34に密接し始めるタイミングRcpは、第2弁部42の外周面42aが第2受圧部44に面するスリーブ30の内周面35から離れ始めるタイミングAopと同時になるように、外周面41aと内周面34のラップ代及び外周面42aと内周面35のラップ代等が設定される。
すなわち、第1弁部41の閉弁タイミングRcpは、第2弁部42の開弁タイミングAopと同時に設定される。
この構成によれば、供給油路4aを通して導かれる作動油の圧力Pの上昇に伴って、図11に示すように、弁体40が、付勢バネ50の付勢力に抗して進角方向Daに移動すると、第1弁体41が閉弁して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞すると共に、第2弁部42が開弁して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放し、第2受圧部44に作用する作動油の圧力が一時的に低下する。
すなわち、弁体40に作用する作動油の圧力Pvの低下に伴って、弁体40は、付勢バネ50の付勢力により遅角方向Drに向けて、作動油の圧力Pvと付勢バネ50の付勢力がバランスする位置まで移動して、第1弁体41が開弁して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を解放すると共に、第2弁部42が閉弁して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を閉塞する。
弁体40に作用する作動油の圧力Pvが再び上昇すると、弁体40は、付勢バネ50の付勢力に抗して進角方向Daに移動し、第1弁体41が閉弁して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞すると共に、第2弁部42が開弁して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放し、第2受圧部44に作用する作動油の圧力が一時的に低下する。
このように、弁体40は、遅角位置に対応する位置から進角位置に対応する位置へ切り換わる際に、図13に示すように、弁体40に作用する作動油の圧力Pvの変動に伴って進角方向Da及び遅角方向Drへの往復移動を複数回に亘って繰り返す。すなわち、弁体40は、スプール弁の形態をなしてスリーブ30内を摺動するため、打音や衝撃等を伴うことなく往復振動を生じる。
そして、作動油の圧力Pが所定レベルを超えて大きくなると、往復振動は発生しなくなり、弁体40は、図7に示すように、最大の開弁ストロークに至って停止する。このとき、バルブタイミングは、図8及び図13に示すように、第2角度位置としての進角位置(ここでは、最進角位置)に保持される。
一方、弁体40が進角位置に対応する位置から遅角位置に対応する位置へ移動する際には、弁体40は往復振動を生じることなく円滑に移動する。
尚、第1弁部41の閉弁タイミングは、第2弁部42の開弁タイミングAopよりも遅く設定されてもよい。例えば、図12に示すように、第1弁部41の閉弁タイミングRcpは、遅くとも第2弁部42が受け部材60に当接して最大の開弁ストロークに至る前に設定されもよい。
この構成においても、前述同様に、打音や衝撃等を伴うことなく、弁体40に往復振動を生じさせることができる。
また、往復振動の振幅量は、弁体40とスリーブ30との関係において、外周面41aと内周面34のラップ代及び外周面42aと内周面35のラップ代を適宜選定することで調整することができる。
上記のように、弁体40に往復振動を生じさせることにより、弁体40に異物の排出や粉砕動作を行わせることができ、異物の噛み込み等による作動不良を防止するためのクリーニングモードを付与することができる。
これにより、従来のような弁体を駆動する電磁駆動源が無くとも、低コスト等を達成しつつ、油路切換弁V1の信頼性も向上させることができる。
図14ないし図17は、本発明の第2実施形態に係る油路切換弁V2を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
油路切換弁V2は、エンジン4の本体4aに取り付けられるものであり、図14に示すように、軸線S2方向に伸長する略円筒状のスリーブ30、軸線S2方向に伸長する略円筒状の弁体140、付勢バネ150、受け部材60、止め輪70、シール部材80を備えている。
弁体140は、図14ないし図17に示すように、円筒部40a、第1弁部41、第2弁部42、受圧部としての第1受圧部43及び第2受圧部44、貫通孔45、受け部46、第1端部47、第2端部48、補助受圧部141を備えている。
補助受圧部141は、第1受圧部43と第2受圧部44の間において、軸線S2方向から視て第2受圧部44と同一の受圧面積を有すると共に第2弁部42の外径と同一の外径をなす円環状に形成されている。
そして、補助部圧部141は、図15に示すように、弁体140の第1端部47が受け部36に当接した状態で供給ポート33aに臨む領域に位置して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を開放し、図16に示すように、弁体140の第2端部48が受け部材60から離れて供給ポート33aに臨む領域に位置するとき、進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放し、図17に示すように、弁体140の第2端部48が受け部材60に当接した状態で内周面35に密接して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を閉塞するように形成されている。
付勢バネ150は、圧縮型のコイルバネであり、一端部が弁体140の受け部46に当接し、他端部が受け部材60に当接するように組み付けられている。
そして、付勢バネ150は、休止状態及び作動油の圧力Pが第1圧力領域P1にあるとき、弁体140の第1端部47をスリーブ30の受け部36に当接させる位置、すなわち、第1角度位置としての遅角位置に対応する位置に停止させる付勢力を及ぼす。
また、付勢バネ150は、作動油の圧力Pが第2圧力領域P2にあるとき、弁体140の第2端部48が受け部材60から離れた位置に弁体140を保持し、作動油の圧力Pが第2圧力領域P2よりも大きい冷機時圧力を受けるとき、弁体140の第2端部48が受け部材60に当接するような付勢力を及ぼす。
次に、レンジエクステンダー車両EVに搭載のエンジン4が起動される場合において、図15ないし図17に基づいて油路切換弁V2を用いたバルブタイミング変更装置M1の動作を説明する。
先ず、エンジン4の停止状態において、油路切換弁V2は休止状態にある。このとき、弁体140は、図15に示すように、付勢バネ150の付勢力により一方向に付勢されて、第1弁部41が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を開放した開弁状態にあり、第2弁部42が進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を閉塞した閉弁状態にあり、補助受圧部141は供給ポート33aに臨む状態にある。
このとき、遅角室RCは作動油が供給される状態にあり、進角室ACは作動油が排出される状態にある。
また、エンジン4の停止状態において、バルブタイミングは、図6に示すように、第1角度位置としての遅角位置に保持されている。ここで、エンジン4の停止状態においては、後述の第2実施形態に係るバブルタイミング変更装置M2で示すようなロック機構により、バルブタイミングが遅角位置に保持されるようにしてもよい。尚、エンジン4の作動中にバルブタイミングが中間位置~進角位置にある状態から、エンジン4が停止状態に移行する際に、バルブタイミングは、カムシャフト4dから伝達される変動トルク及びフリクショントルクにより、自動的に遅角位置に回帰する。
そして、エンジン4が始動されると、オイルポンプ4cを介して、図9に示すように作動油の圧力Pが徐々に大きくなる。
エンジン4の始動時や低回転時の軽負荷モードにおいて、図9に示すように、作動油の圧力Pは切換圧力Pcよりも小さい第1領域としての第1圧力領域P1の範囲にある。
このとき、第2受圧部44と第1受圧部43とが受ける作動油の差圧、すなわち、受圧部が受ける圧力よりも付勢バネ150の付勢力が大きく、弁体140は、図15に示すように第1弁体41が開弁しかつ第2弁体42が閉弁した状態にある。
したがって、供給ポート33aを通して供給された作動油は、遅角ポート33c及び遅角油路4a,4d,14を経て、遅角室RCに導かれる。これにより、バルブタイミングは、図6に示す遅角位置に保持される。
一方、エンジン4の中高負荷モードにおいて、図9に示すように、作動油の圧力Pは切換圧力Pcよりも大きい第2領域としての第2圧力領域P2の範囲に移行する。
このとき、第2受圧部44と第1受圧部42とが受ける作動油の差圧、すなわち、受圧部が受ける圧力が付勢バネ150の付勢力に打ち勝って、弁体140は付勢バネ150を圧縮する方向に移動し、図16に示すように、第1弁体41が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞した閉弁状態となり、第2弁部42が進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放した開弁状態となり、補助受圧部141は依然として供給ポート33aに臨む状態にある。
したがって、供給ポート33aを通して供給された作動油は、進角ポート33d及び進角油路4a,4d,21cを経て進角室ACに導かれる。一方、遅角室RC内の作動油は、遅角油路14,4d,4a、遅角ポート33c及び貫通孔45を経て排出ポート33bに導かれ、排出油路4aを通してオイルパン4bに戻される。
これにより、バルブタイミングは、図8に示すように、第2角度位置としての進角位置に変更されて保持される。
ここで、エンジン4が冷機状態にあるとき、作動油の粘度は暖機状態に比べて高くなり、それ故に、作動油の圧力Pは、エンジン4が低回転であっても第2圧力領域P2よりも大きい冷機時圧力となる。
このような環境下において、エンジン4が始動されると、第1受圧部43と補助受圧部141とが受ける冷機時圧力の差圧が付勢バネ150の付勢力に打ち勝って、図17に示すように、弁体140の第2端部48が受け部材60に当接するまで弁体140が移動する。
これにより、補助受圧部141は、内周面35と密接して供給ポート33aと進角ポート33dの間の油路を閉塞する。したがって、エンジン4の始動時において、作動油が進角室ACに供給されるのが防止される。
このとき、遅角室RCは、遅角油路14,4d,4a、遅角ポート33c、貫通孔45を経て排出ポート33bに連通した状態となり、遅角室RCに作動油は供給されないが、カムシャフト4dから伝達される変動トルク及びフリクショントルクにより、自動的に遅角位置に位置決めされる。それ故に、バルブタイミングは、図6に示す遅角位置に保持される。
そして、エンジン4が暖機状態になると、作動油の粘度も低下して通常の圧力状態となる。
その後、作動油の圧力Pに応じて、弁体140は、図15に示す遅角位置に対応する位置又は図16に示す進角位置に対応する位置のいずれかの位置に切り換えられる。
このように、弁体140に設けられた切換要素としての第1受圧部43及び第2受圧部44は、付勢バネ150の付勢力に抗しつつ作動油の圧力Pに応じて弁体140の位置を切り換えることにより、作動油の圧力Pが第1圧力領域P1にあるとき遅角位置に対応する位置に弁体140を位置付け、作動油の圧力Pが第1圧力領域P1よりも大きい第2圧力領域P2にあるとき進角位置に対応する位置に弁体140を位置付ける。
また、補助受圧部141は、作動油の圧力Pが第2圧力領域P2よりも大きい冷機時圧力であるとき第1角度位置としての遅角位置が選択されるべく、冷機時圧力を受けて第2角度位置に対応する位置から外れた位置に弁体140を位置付ける。
上記構成をなす油路切換弁V2によれば、弁体140の駆動力が、従来のような電磁力ではなく、作動油の圧力Pによるものであるため、従来の電磁駆動式の切換弁に比べて、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を達成することができる。
ここでは、付勢バネ150がスリーブ30内に配置されているため、油路切換弁V2として部品の集約化による小型化を達成することができる。
また、弁体140は、作動油を排出ポート33bに導く排出油路としての貫通孔45を有するため、排出油路が別の経路に配置される場合に比べて、配置構成の集約化による小型化を達成することができる。
さらに、補助受圧部141を備えることにより、冷機時においては、バルブタイミングが進角位置に移行せず遅角位置に保持されるため、エンジン4の始動性を確保することができる。
上記第2実施形態に係る油路切換弁V2においては、図15に示す状態から図16に示す状態への油路切換動作の途中で、弁体140を往復振動させて、クリーニングモードを生じるように構成してもよい。
具体的には、図18に示すように、弁体140が付勢バネ150の付勢力に抗してスリーブ30内を移動する際に、第1弁部41の外周面41aが第1受圧部43に面するスリーブ30の内周面34に密接し始めるタイミングRcpは、第2弁部42の外周面42aが第2受圧部44に面するスリーブ30の内周面35から離れ始めるタイミングAopと同時になるように、外周面41aと内周面34のラップ代及び外周面42aと内周面35のラップ代等が設定される。
すなわち、第1弁部41の閉弁タイミングRcpは、第2弁部42の開弁タイミングAopと同時に設定される。
この構成によれば、供給油路4aを通して導かれる作動油の圧力Pの上昇に伴って、図19に示すように、弁体140が、付勢バネ150の付勢力に抗して進角方向Daに移動すると、第1弁体41が閉弁して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞すると共に、第2弁部42が開弁して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放し、第2受圧部44に作用する作動油の圧力が一時的に低下する。
すなわち、弁体140に作用する作動油の圧力Pvの低下に伴って、弁体140は、付勢バネ150の付勢力により遅角方向Drに向けて、作動油の圧力Pvと付勢バネ150の付勢力がバランスする位置まで移動して、第1弁体41が開弁して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を解放すると共に、第2弁部42が閉弁して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を閉塞する。
弁体140に作用する作動油の圧力Pvが再び上昇すると、弁体140は、付勢バネ150の付勢力に抗して進角方向Daに移動し、第1弁体41が閉弁して遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞すると共に、第2弁部42が開弁して進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放し、第2受圧部44に作用する作動油の圧力が一時的に低下する。
このように、弁体140は、遅角位置に対応する位置から進角位置に対応する位置へ切り換わる際に、図13に示すように、弁体140に作用する作動油の圧力Pvの変動に伴って進角方向Da及び遅角方向Drへの往復移動を複数回に亘って繰り返す。すなわち、弁体140は、スプール弁の形態をなしてスリーブ30内を摺動するため、打音や衝撃等を伴うことなく往復振動を生じる。
そして、作動油の圧力Pが所定レベルを超えて大きくなると、往復振動は発生しなくなり、弁体140は、図16に示す進角位置に対応する位置に停止する。このとき、バルブタイミングは、図8及び図13に示すように、第2角度位置としての進角位置(ここでは、最進角位置)に保持される。
一方、弁体140が進角位置から遅角位置へ移動する際には、弁体140は往復振動を生じることなく円滑に移動する。
尚、第1弁部41の閉弁タイミングは、第2弁部42の開弁タイミングAopよりも遅く設定されてもよい。例えば、図20に示すように、第1弁部41の閉弁タイミングRcpは、遅くとも補助受圧部141が供給ポート33aと進角ポート33dの間の油路を閉塞するタイミングに至る前に設定されてもよい。
この構成においても、前述同様に、打音や衝撃等を伴うことなく弁体140に往復振動を生じさせることができる。
また、往復振動の振幅量は、前述同様に、弁体140とスリーブ30との関係において、外周面41aと内周面34のラップ代及び外周面42aと内周面35のラップ代を適宜選定することで調整することができる。
上記のように、弁体140に往復振動を生じさせることにより、弁体140に異物の排出や粉砕動作を行わせることができ、異物の噛み込み等による作動不良を防止するためのクリーニングモードを付与することができる。
これにより、従来のような弁体を駆動する電磁駆動源が無くとも、低コスト等を達成しつつ、油路切換弁V2の信頼性も向上させることができる。
図21ないし図24は、本発明の第3実施形態に係る油路切換弁V3を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
油路切換弁V3は、エンジン4の本体4aに取り付けられるものであり、図21に示すように、軸線S2方向に伸長する略円筒状のスリーブ230、軸線S2方向に伸長する略円筒状の弁体240、付勢バネ250、受け部材60、止め輪70、シール部材80、付勢部材260を備えている。
スリーブ230は、外周面31、シール部材80を嵌め込むシール溝31a、本体4aにネジを用いて固定するためのフランジ部32、供給ポート33a、排出ポート33b、遅角ポート33c、進角ポート33d、受け部36、受け溝37、止め輪溝38、内周面235、受け部236を備えている。
内周面235は、軸線S2を中心とする円筒面として形成され、弁体240の第1弁部241及び第2弁部242を密接させて摺動自在にガイドする。
受け部236は、付勢部材260の一端部を当接させて受け止める。
弁体240は、円筒部240a、第1弁部241、第2弁部242、環状斜面部243、環状斜面部244、排出油路としての貫通孔245、受け部246、受け部247、第1端部248、第2端部249を備えている。
第1弁部241は、スリーブ230の内周面235を摺動するべく、軸線S2を中心とする円筒状に形成され、内周面235の内径と略同径又は僅かに小さい外径の外周面241aを画定し、遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を開閉する。
第2弁部242は、スリーブ230の内周面235を摺動するべく、軸線S2を中心とする円筒状に形成され、内周面235の内径と略同径又は僅かに小さい外径の外周面242aを画定し、進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開閉する。
環状斜面部243は、第1弁部241に隣接して形成されている。
環状斜面部244は、環状斜面部243と同一面積にて第2弁部242に隣接して形成されている。
すなわち、環状斜面部243と環状斜面部244とは、第1弁部241及び第2弁部242よりも小さい外径の円筒部240aで接続され、軸線S2方向において、供給ポート33aを挟んで互いに対向するように配置されている。
したがって、供給ポート33aから進入した作動油の圧力Pは、環状斜面部243と環状斜面部244にそれぞれ逆向きに作用して相殺され、弁体240を軸線S2方向に移動させる力として作用しない。
貫通孔245は、図23に示すように、第1弁部241が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞した状態で、遅角室RC内の作動油を遅角ポート33cから排出ポート33bに向けて排出する役割をなす。
受け部246は、付勢バネ250の一端部を受けるべく、第2端部249から軸線S2方向の内側に向けて貫通孔245の内径を部分的に大きくすることで第2弁部242の内側領域に画定される環状面として形成されている。
受け部247は、付勢部材260の他端部を受けるべく、第1端部248から軸線S2方向の内側に向けて貫通孔245の内径を部分的に大きくすることで第1弁部241の内側領域に画定される環状面として形成されている。
第1端部248は、スリーブ230の受け部36に対して離脱可能に当接する。
第2端部249は、スリーブ230の受け溝37に取り付けられた受け部材60に対して離脱可能に当接する。
付勢バネ250は、圧縮型のコイルバネであり、一端部が弁体240の受け部246に当接し、他端部が受け部材60に当接するように組み付けられている。
そして、付勢バネ250は、休止状態及び作動油の温度Tが第1温度領域T1にあるとき、付勢部材260の付勢力に打ち勝って、弁体240の第1端部248をスリーブ230の受け部36に当接させる位置、すなわち、第1角度位置としての遅角位置に対応する位置に停止させる付勢力を及ぼす。
付勢部材260は、形状記憶合金を用いてコイル状に形成されており、一端部がスリーブ230の受け部236に当接し、他端部が弁体240の受け部247に当接するように組み付けられ、又、付勢バネ250と対抗して弁体240に付勢力を及ぼすべく、スリーブ230内に配置されている。
そして、付勢部材260は、弁体240を介して作動油の温度の影響を受けることで軸線S2方向に伸縮し、作動油の温度Tに応じて弁体240を付勢する付勢力が変化するようになっている。したがって、弁体240は熱伝導性の高い材料により形成されるのが好ましい。
すなわち、付勢部材260は、付勢バネ250の付勢力に抗しつつ作動油の状態量としての温度Tに応じて弁体240の位置を切り換える切換要素として機能する。
具体的には、付勢部材260は、休止状態及び図24に示すように作動油の温度Tが第1温度領域T1にあるとき、図22に示すように収縮した状態となり、付勢バネ250は、弁体240の第1端部248をスリーブ230の受け部36に当接させる位置、すなわち、第1角度位置としての遅角位置に対応する位置に弁体240を停止させる付勢力を及ぼす。
ここで、切換温度Tcとしては、例えば、約60度の近傍に設定されるが、この値に限定されるものではなく、適用されるエンジン4の仕様に応じて適宜設定され得る。
一方、付勢部材260は、作動油の温度Tが第1温度領域T1よりも大きい第2温度領域T2にあるとき、図23に示すように付勢バネ250の付勢力に打ち勝って記憶形態まで伸長し、弁体240の第2端部249を受け部材60に当接させる位置、すなわち、第2角度位置としての進角位置に対応する位置に弁体240を停止させる付勢力を及ぼす。
次に、レンジエクステンダー車両EVに搭載のエンジン4が起動される場合において、図22ないし図24に基づいて油路切換弁V3を用いたバルブタイミング変更装置M1の動作を説明する。
先ず、エンジン4の停止状態において、油路切換弁V3は休止状態にある。このとき、弁体240は、図22に示すように、付勢バネ250の付勢力により一方向に付勢されて、第1弁部241が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を開放した開弁状態にあり、第2弁部242が進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を閉塞した閉弁状態にある。このとき、遅角室RCは作動油が供給される状態にあり、進角室ACは作動油が排出される状態にある。
また、エンジン4の停止状態において、バルブタイミングは、図6に示すように、第1角度位置としての遅角位置に保持されている。ここで、エンジン4の停止状態においては、後述の第2実施形態に係るバブルタイミング変更装置M2で示すようなロック機構により、バルブタイミングが遅角位置に保持されるようにしてもよい。尚、エンジン4の作動中にバルブタイミングが中間位置~進角位置にある状態から、エンジン4が停止状態に移行する際に、バルブタイミングは、カムシャフト4dから伝達される変動トルク及びフリクショントルクにより、自動的に遅角位置に回帰する。
そして、エンジン4が始動されると、エンジン4全体の暖機及び負荷の増加に伴って、図24に示すように作動油の温度Tが徐々に大きくなる。
エンジン4の始動時や低回転時の軽負荷モードにおいて、図24に示すように、作動油の温度Tは切換温度Tcよりも小さい第1領域としての第1温度領域T1の範囲にある。
このとき、付勢部材260が及ぼす付勢力よりも付勢バネ250の付勢力が大きく、弁体240は、図22に示すように第1弁体241が開弁しかつ第2弁体242が閉弁した状態にある。
したがって、供給ポート33aを通して供給された作動油は、遅角ポート33c及び遅角油路4a,4d,14を経て遅角室RCに導かれる。これにより、バルブタイミングは、図6に示す遅角位置に保持される。
一方、エンジン4の中高負荷モードにおいて、図24に示すように、作動油の温度Tは切換温度Tcよりも大きい第2領域としての第2温度領域T2の範囲に移行する。
このとき、付勢部材260は、付勢バネ250の付勢力に打ち勝って記憶形状まで伸長して弁体240を受け部材60に当接させ、図23に示すように、第1弁体241が遅角ポート33cと供給ポート33aの間の油路を閉塞した閉弁状態となり、第2弁部242が進角ポート33dと供給ポート33aの間の油路を開放した開弁状態となる。
したがって、供給ポート33aを通して供給された作動油は、進角ポート33d及び進角油路4a,4d,21cを経て進角室ACに導かれる。一方、遅角室RC内の作動油は、遅角油路14,4d,4a、遅角ポート33c及び貫通孔245を経て、排出ポート33bに導かれ、排出油路4aを通してオイルパン4bに戻される。
これにより、バルブタイミングは、図8に示すように、第2角度位置としての進角位置に変更されて保持される。
このように、切換要素としての付勢部材260は、付勢バネ250の付勢力に抗しつつ作動油の温度Tに応じて弁体240の位置を切り換えることにより、作動油の温度Tが第1温度領域T1にあるとき遅角位置に対応する位置に弁体240を位置付け、作動油の温度Tが第1温度領域T1よりも大きい第2温度領域T2にあるとき進角位置に対応する位置に弁体240を位置付ける。
上記構成をなす油路切換弁V3によれば、弁体240の駆動力が、従来のような電磁力ではなく、作動油の温度Tによるものであるため、従来の電磁駆動式の切換弁に比べて、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を達成することができる。
ここでは、付勢バネ250及び付勢部材260がスリーブ230内に配置されているため、油路切換弁V3として部品の集約化による小型化を達成することができる。
また、弁体240は、作動油を排出ポート33bに導く排出油路としての貫通孔245を有するため、排出油路が別の経路に配置される場合に比べて、配置構成の集約化による小型化を達成することができる。
図25ないし図33は、本発明の第2実施形態に係るバルブタイミング変更装置M2及び第4実施形態に係る油路切換弁V4を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
バルブタイミング変更装置M2は、図25ないし図27に示すように、カムシャフト8と同一の軸線S1上で一体的に回転するベーンロータ310、ベーンロータ310を収容すると共に軸線S1上で相対的に回転可能なハウジングロータ320、ベーンロータ310をカムシャフト8に締結する締結ボルト330、ロック機構340、締結ボルト330の内部に装着された油路切換弁V4、押え部材W、止め輪SRを備えている。
ここで、カムシャフト8は、前述のエンジン4においてカムシャフト4dに代わるものであり、図26及び図29に示すように、ハウジングロータ320を軸線S1回りに回動自在に支持する円筒部8a、作動油を供給する供給油路8b、締結ボルト330を捩じ込む雌ネジ部8c、位置決めピンDを嵌合する位置決め穴8dを備えている。
ベーンロータ310は、図26、図27、図29に示すように、円柱状のハブ部311、4つのベーン部312、締結ボルト330を通す貫通孔313、供給油路314、遅角油路315a,315b、進角油路316a,316b、ロック機構340を嵌め込む嵌合穴317、嵌合穴317に連通する油路317a及び調整孔317b、位置決めピンDを嵌合する位置決め穴318を備えている。
供給油路314は、カムシャフト8の供給油路8bに連通する連通孔及び貫通孔313の内周面に形成された環状溝をなす。
遅角油路315a,316aは、貫通孔313の内周面に形成された環状溝をなす。
遅角油路315bは、遅角油路315aに連通して径方向に伸長しハブ部311を貫通する貫通孔をなす。
進角油路316bは、進角油路316aに連通して径方向に伸長しハブ部311を貫通する貫通孔をなす。
ハウジングロータ320は、略円盤状の第1ハウジングロータ321、有底円筒状の第2ハウジングロータ322からなる二分割構造をなし、ネジbにより互いに締結されている。
第1ハウジングロータ321は、スプロケット321a、カムシャフト8の円筒部8aに回動自在に嵌合される内周面321b、ベーンロータ310が密接する面において溝状に形成された油路321c、油路321cに連通するロック穴321dを備えている。
第2ハウジングロータ322は、開口部322a、4つのシュー部322bを備えている。
ハウジングロータ320は、ベーンロータ310を所定の角度範囲において相対的に回転可能に収容し、ベーンロータ310のベーン部312により収容室が遅角室RCと進角室ACに二分されるように形成されている。
そして、ハウジングロータ320は、チェーン等を介してクランクシャフトの回転に連動し、油路切換弁V4により遅角室RC及び進角室AC内の作動油が調整され、ベーンロータ310を介してクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフト8に伝達する。
締結ボルト330は、図26、図27、図29に示すように、油路切換弁V4を嵌合する嵌合穴331、供給油路332、遅角油路333、進角油路334、受け溝335、止め輪溝336、端部に形成された開口部337、雄ネジ部338を備えている。
嵌合穴331は、軸線S1を中心とする円筒状の内周面をなす。
供給油路332は、供給油路314及び嵌合穴331に連通する。
遅角油路333は、遅角油路315a及び嵌合穴331に連通する。
進角油路334は、進角油路316a及び嵌合穴331に連通する。
ロック機構340は、ロックピン341、ベーンロータ310の嵌合穴317に嵌合された円筒ホルダ342、円筒ホルダ342内に配置されてロックピン341が突出するように付勢力を及ぼす付勢バネにより構成されている。
ロックピン341は、軸線S1方向に往復動自在でベーンロータ310の端面から突出して第1ハウジングロータ321のロック穴321dに離脱可能に嵌合する。
そして、ロックピン341は、図31に示す遅角位置(休止位置)において、ロック穴321dに嵌合してベーンロータ310をハウジングロータ320に対してロックする。
一方、ロックピン341は、遅角位置において、遅角室RC内に作動油が満たされると、油路317aを経て供給された作動油によりロック穴321d内に押し込まれて、又、進角油路316b及び油路321cを経てロック穴321d内に供給された作動油により円筒ホルダ342内に押し込まれて、ロック穴321dから離脱してロックを解除する。尚、調整孔317bは、ロックピン341が往復動する際の圧力差を調整する。
押え部材Wは、円環状の円板として形成され、締結ボルト330の受け溝335に嵌め込まれて、嵌合穴331に嵌合された油路切換弁V4を押え込む役割をなす。
止め輪SRは、C型リングであり、スナップフィットにより締結ボルト330の止め輪溝336に嵌め込まれて、押え部材Wの抜け落ちを規制する。
油路切換弁V4は、第1実施形態に係る油路切換弁V1と機能的には同様であるが、その配置場所が異なるものであり、図28、図30、図32に示すように、軸線S1方向に伸長する略円筒状のスリーブ350、軸線S1方向に伸長する略円筒状の弁体360、付勢バネ370、受け部材380、止め輪390を備えている。
スリーブ350は、外周面351、供給ポート352、排出ポート353、遅角ポート354、進角ポート355、小径の内周面356、大径の内周面357、受け部358、受け溝359a、止め輪溝359bを備えている。
外周面351は、軸線S1を中心とする円筒面として形成され、締結ボルト330の嵌合穴331に密接して嵌合される。
供給ポート352は、締結ボルト330の供給油路332と連通する。
排出ポート353は、締結ボルト330の開口部337と連通する。
遅角ポート354は、締結ボルト330の遅角油路333と連通し、又、ベーンロータ310の遅角油路315a,315bを経て遅角室RCと連通する。
進角ポート355は、締結ボルト330の進角油路334と連通し、又、ベーンロータ310の進角油路316a,316bを経て進角室ACと連通する。
内周面356は、軸線S1を中心とする円筒面として形成され、弁体360の第1弁部361を密接させて摺動自在にガイドする。
内周面357は、軸線S1を中心とする円筒面として形成され、弁体360の第2弁部362を密接させて摺動自在にガイドする。
受け部358は、弁体360の第1端部367を受け止めて弁体360を休止状態の位置に停止させる役割をなす。
受け溝359aは、受け部材380を受け入れて弁体360側への移動を規制するように形成されている。
止め輪溝359bは、受け部材380が受け溝359aに嵌め込まれた状態で、止め輪390をスナップフィットにより受け入れるように形成されている。
弁体360は、円筒部360a、小径の第1弁部361、大径の第2弁部362、受圧部としての第1受圧部363及び第2受圧部364、排出油路としての貫通孔365、受け部366、第1端部367、第2端部368を備えている。
第1弁部361は、スリーブ350の内周面356を摺動するべく、軸線S1を中心とする円筒状に形成され、内周面356の内径と略同径又は僅かに小さい外径の外周面361aを画定し、遅角ポート354と供給ポート352の間の油路を開閉する。
第2弁部362は、スリーブ350の内周面357を摺動するべく、軸線S1を中心とする円筒状に形成され、内周面357の内径と略同径又は僅かに小さい外径の外周面362aを画定し、進角ポート355と供給ポート352の間の油路を開閉する。
第1受圧部363は、第1弁部361に隣接して環状斜面として形成され、軸線S1方向において第1弁部361を開弁させる向きに作動油の圧力を受ける。
第2受圧部364は、軸線S1方向において第1受圧部363と対向すると共に第1受圧部363の受圧面積よりも大きい受圧面積を画定するべく第2弁部362に隣接して環状斜面として形成され、軸線S1方向において第2弁部362を開弁させる向きに作動油の圧力を受ける。
すなわち、第1受圧部363と第2受圧部364とは、第1弁部361及び第2弁部362よりも小さい外径の円筒部360aで接続されている。
そして、受圧部としての第1受圧部363及び第2受圧部364は、付勢バネ370の付勢力に抗しつつ作動油の状態量としての圧力Pに応じて弁体360の位置を切り換える切換要素として機能する。
貫通孔365は、図30に示すように、第2弁部362が進角ポート355と供給ポート352の間の油路を閉塞した状態で、進角室AC内の作動油を進角ポート355から排出ポート353に向けて排出する役割をなす。
受け部366は、付勢バネ370の一端部を受けるべく、第2端部368から軸線S1方向の内側に向けて貫通孔365の内径を部分的に大きくすることで第2弁部362の内側領域に画定される環状面として形成されている。
第1端部367は、スリーブ350の受け部358に対して離脱可能に当接する。
第2端部368は、スリーブ350の受け溝359aに取り付けられた受け部材380に対して離脱可能に当接する。
付勢バネ370は、圧縮型のコイルバネであり、一端部が弁体360の受け部366に当接し、他端部が受け部材380に当接するように組み付けられている。
そして、付勢バネ370は、休止状態及び作動油の圧力Pが第1圧力領域P1にあるとき、弁体360の第1端部367をスリーブ350の受け部358に当接させる位置、すなわち、第1角度位置としての遅角位置に対応する位置に弁体360を停止させる付勢力を及ぼす。
受け部材380は、円環状の円板として形成され、付勢バネ370の他端部を受けると共に、弁体360の第2端部368を受けて弁体360を最大の開弁ストローク位置に停止させる役割をなす。
止め輪390は、C型リングであり、スナップフィットによりスリーブ350の止め輪溝359bに嵌め込まれて、受け部材380の抜け落ちを規制する。
次に、レンジエクステンダー車両EVに搭載のエンジン4が起動される場合において、図30ないし図33に基づいて油路切換弁V4を用いたバルブタイミング変更装置M2の動作を説明する。
先ず、エンジン4の停止状態において、油路切換弁V4は休止状態にある。このとき、弁体360は、図30に示すように、付勢バネ370の付勢力により一方向に付勢されて、第1弁部361が遅角ポート354と供給ポート352の間の油路を開放した開弁状態にあり、第2弁部362が進角ポート355と供給ポート352の間の油路を閉塞した閉弁状態にある。このとき、遅角室RCは作動油が供給される状態にあり、進角室ACは作動油が排出される状態にある。
また、エンジン4の停止状態において、バルブタイミングは、図31に示すように、第1角度位置としての遅角位置(ここでは、最遅角位置)に保持されている。ここで、エンジン4の停止状態においては、ロック機構340により、バルブタイミングは遅角位置に保持されている。尚、エンジン4の作動中にバルブタイミングが中間位置~進角位置にある状態から、エンジン4が停止状態に移行する際に、バルブタイミングは、カムシャフト8から伝達される変動トルク及びフリクショントルクにより、自動的に遅角位置に回帰する。
そして、エンジン4が始動されると、オイルポンプ4cを介して、図9に示すように作動油の圧力Pが徐々に大きくなる。
エンジン4の始動時や低回転時の軽負荷モードにおいて、図9に示すように、作動油の圧力Pは切換圧力Pcよりも小さい第1領域としての第1圧力領域P1の範囲にある。
このとき、第2受圧部364と第1受圧部363とが受ける作動油の差圧、すなわち、受圧部が受ける圧力よりも付勢バネ370の付勢力が勝り、弁体360は、図30に示すように第1弁体361が開弁しかつ第2弁体362が閉弁した状態にある。
したがって、供給油路314,332及び供給ポート352を通して供給された作動油は、遅角ポート354及び遅角油路333,315a,315bを経て遅角室RCに導かれる。これにより、バルブタイミングは、図31に示す遅角位置に保持される。尚、ロック機構340は、遅角室RC内に導かれた作動油によりロック解除とされる。
一方、エンジン4の中高負荷モードにおいて、図9に示すように、作動油の圧力Pは切換圧力Pcよりも大きい第2領域としての第2圧力領域P2の範囲に移行する。
このとき、第2受圧部364と第1受圧部363とが受ける作動油の差圧、すなわち、受圧部が受ける圧力が付勢バネ370の付勢力に打ち勝って、弁体360は付勢バネ370を圧縮する方向に移動し、図32に示すように、第1弁体361が遅角ポート354と供給ポート352の間の油路を閉塞した閉弁状態となり、第2弁部362が進角ポート355と供給ポート352の間の油路を開放した開弁状態となる。
したがって、供給油路314,332及び供給ポート352を通して供給された作動油は、進角ポート355及び進角油路334,316a,316bを経て進角室ACに導かれる。一方、遅角室RC内の作動油は、遅角油路315b,315a,333、遅角ポート354を経て、排出ポート353に導かれ、開口部337から排出油路4aを通してオイルパン4bに戻される。
これにより、バルブタイミングは、図33に示すように、第2角度位置としての進角位置(ここでは、最進角位置)に変更されて保持される。尚、ロック機構340は、進角室AC内に導かれた作動油によりロックの解除が維持される。
このように、弁体360に設けられた切換要素としての第1受圧部363及び第2受圧部364は、付勢バネ370の付勢力に抗しつつ作動油の圧力Pに応じて弁体360の位置を切り換えることにより、作動油の圧力Pが第1圧力領域P1にあるとき遅角位置に対応する位置に弁体360を位置付け、作動油の圧力Pが第1圧力領域P1よりも大きい第2圧力領域P2にあるとき進角位置に対応する位置に弁体360を位置付ける。
上記構成をなす油路切換弁V4によれば、弁体360の駆動力が、従来のような電磁力ではなく、作動油の圧力Pによるものであるため、従来の電磁駆動式の切換弁に比べて、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を達成することができる。
ここでは、付勢バネ370がスリーブ350内に配置されているため、油路切換弁V4として部品の集約化による小型化を達成することができる。
また、弁体360は、作動油を排出ポート353に導く排出油路としての貫通孔365を有するため、排出油路が別の経路に配置される場合に比べて、配置構成の集約化による小型化を達成することができる。
また、上記構成をなすバルブタイミング変更装置M2によれば、締結ボルト330の嵌合穴331に油路切換弁V4が嵌合されて組み込まれているため、油路切換弁V4を別個に取り扱う場合に比べて、エンジン4を組み付ける際の作業工数の簡素化、管理コストの低減等を達成できる。さらに、エンジン4において、油路切換弁を配置するスペースが不要になり、本体4aの簡素化に寄与する。
上記第4実施形態に係る油路切換弁V4においては、図30に示す状態から図32に示す状態への油路切換動作の途中で、弁体360を往復振動させて、クリーニングモードを生じるように構成してもよい。
具体的には、図34に示すように、弁体360が付勢バネ370の付勢力に抗してスリーブ350内を移動する際に、第1弁部361の外周面361aが第1受圧部363に面するスリーブ350の内周面356に密接し始めるタイミングRcpは、第2弁部362の外周面362aが第2受圧部364に面するスリーブ350の内周面357から離れ始めるタイミングAopと同時になるように、外周面361aと内周面356のラップ代及び外周面362aと内周面357のラップ代等が設定される。
すなわち、第1弁部361の閉弁タイミングRcpは、第2弁部362の開弁タイミングAopと同時に設定される。
この構成によれば、供給油路314を通して導かれる作動油の圧力Pの上昇に伴って、図35に示すように、弁体360が、付勢バネ370の付勢力に抗して進角方向Daに移動すると、第1弁体361が閉弁して遅角ポート354と供給ポート352の間の油路を閉塞すると共に、第2弁部362が開弁して進角ポート355と供給ポート352の間の油路を開放し、第2受圧部364に作用する作動油の圧力が一時的に低下する。
すなわち、弁体360に作用する作動油の圧力Pvの低下に伴って、弁体360は、付勢バネ370の付勢力により遅角方向Drに向けて、作動油の圧力Pvと付勢バネ370の付勢力がバランスする位置まで移動して、第1弁体361が開弁して遅角ポート354と供給ポート352の間の油路を解放すると共に、第2弁部362が閉弁して進角ポート355と供給ポート352の間の油路を閉塞する。
弁体360に作用する作動油の圧力Pvが再び上昇すると、弁体360は、付勢バネ370の付勢力に抗して進角方向Daに移動し、第1弁体361が閉弁して遅角ポート354と供給ポート352の間の油路を閉塞すると共に、第2弁部362が開弁して進角ポート355と供給ポート352の間の油路を開放し、第2受圧部364に作用する作動油の圧力が一時的に低下する。
このように、弁体360は、遅角位置に対応する位置から進角位置に対応する位置へ切り換わる際に、図13に示すように、弁体360に作用する作動油の圧力Pvの変動に伴って進角方向Da及び遅角方向Drへの往復移動を複数回に亘って繰り返す。すなわち、弁体360は、スプール弁の形態をなしてスリーブ350内を摺動するため、打音や衝撃等を伴うことなく往復振動を生じる。
そして、作動油の圧力Pが所定レベルを超えて大きくなると、往復振動は発生しなくなり、弁体360は、図32に示すように、最大の開弁ストロークに至って停止する。このとき、バルブタイミングは、図33及び図13に示すように、第2角度位置としての進角位置(ここでは、最進角位置)に保持される。
一方、弁体360が進角位置から遅角位置へ移動する際には、弁体360は往復振動を生じることなく円滑に移動する。
尚、第1弁部361の閉弁タイミングは、第2弁部362の開弁タイミングAopよりも遅く設定されてもよい。例えば、図36に示すように、第1弁部361の閉弁タイミングRcpは、遅くとも第2弁部362が受け部材380に当接して最大の開弁ストロークに至る前に設定されもよい。
この構成においても、前述同様に、打音や衝撃等を伴うことなく、弁体360に往復振動を生じさせることができる。
また、往復振動の振幅量は、弁体360とスリーブ350との関係において、外周面361aと内周面356のラップ代及び外周面362aと内周面357のラップ代を適宜選定することで調整することができる。
上記のように、弁体360に往復振動を生じさせることにより、弁体360に異物の排出や粉砕動作を行わせることができ、異物の噛み込み等による作動不良を防止するためのクリーニングモードを付与することができる。
これにより、従来のような弁体を駆動する電磁駆動源が無くとも、低コスト等を達成しつつ、油路切換弁V4の信頼性も向上させることができる。
上記実施形態においては、エンジンのバルブタイミングとして、第1角度位置が遅角位置に対応し、第2角度位置が進角位置に対応する場合を示したが、これに限定されるものではなく、エンジンの運転モードに応じて要求される角度位置を選択することができ、例えば、第1角度位置が進角位置に対応し、第2角度位置が遅角位置に対応する場合を適用してもよい。
上記第2実施形態に係るバルブタイミング変更装置M2においては、締結ボルト330内に配置される油路切換弁として第4実施形態に係る油路切換弁V4を示したが、これに限定されるものではなく、第2実施形態に係る油路切換弁V2、第3実施形態に係る油路切換弁V3を適用してもよい。
上記第2実施形態に係るバルブタイミング変更装置M2においては、ロック機構340を採用したが、これに限定されるものではなく、ロック機構340を廃止してコスト削減を図ってもよい。
上記第3実施形態に係る油路切換弁V3においては、付勢部材として形状記憶合金により形成された付勢部材260を示したが、これに限定されるものではなく、作動油の温度に応じて弁体を付勢する付勢力が変化するものであれば、温度に応じて膨縮するパラフィンワックスを内蔵したサーモエレメント、温度に応じて変形するバイメタル等を適用してもよい。
上記実施形態においては、油路切換弁として、作動油の圧力を利用する油路切換弁V1,V2,V4と、作動油の温度を利用する油路切換弁V3とを別々に示したが、これに限定されるものではなく、作動油の圧力と温度を一緒に利用する油路切換弁を採用してもよい。
以上述べたように、本発明の油路切換弁及びバルブタイミング変更装置によれば、構造の簡素化、低コスト化、軽量化、小型化等を達成できるため、レンジエクステンダー車両等に搭載されるエンジンに適用できるのは勿論のこと、二輪車等の他の車両に搭載されるエンジンにおいても有用である。
S1 軸線
RC 遅角室
AC 進角室
4 エンジン
4a 本体(部材)
4a 嵌合穴
4a 供給油路
4a 排出油路
4a 遅角油路
4a 進角油路
4d,8 カムシャフト
E1,E2 バルブタイミング変更装置
V1,V2,V3,V4 油路切換弁
30 スリーブ
33a 供給ポート
33b 排出ポート
33c 遅角ポート
33d 進角ポート
40 弁体
41 第1弁部
42 第2弁部
43 第1受圧部(切換要素)
44 第2受圧部(切換要素)
45 貫通孔(排出油路)
50 付勢バネ
140 弁体
141 補助受圧部
150 付勢バネ
230 スリーブ
240 弁体
241 第1弁部
242 第2弁部
245 貫通孔(排出油路)
250 付勢バネ
260 付勢部材(切換要素)
310 ベーンロータ
320 ハウジングロータ
330 締結ボルト
331 嵌合穴
332 供給油路
333 遅角油路
334 進角油路
350 スリーブ
352 供給ポート
353 排出ポート
354 遅角ポート
355 進角ポート
360 弁体
361 第1弁部
362 第2弁部
363 第1受圧部(切換要素)
364 第2受圧部(切換要素)
365 貫通孔(排出油路)
370 付勢バネ
Rcp,Rcp 第1弁部の閉弁タイミング
Aop 第2弁部の開弁タイミング

Claims (18)

  1. 遅角室及び進角室に対する作動油の供給又は排出を行う油路を切り換えてエンジンのバルブタイミングを第1角度位置又は第2角度位置に変更するべく、バルブタイミング変更装置に適用される油路切換弁であって、
    前記作動油を供給する供給ポート,前記作動油を排出する排出ポート,前記遅角室に連通する遅角ポート,前記進角室に連通する進角ポートを画定するスリーブと、
    前記遅角ポート及び前記進角ポートと前記供給ポートの間の油路を開閉するべく前記スリーブに摺動自在に挿入された弁体と、
    休止状態において前記第1角度位置に対応する位置に前記弁体を位置付けるべく前記スリーブ内に配置されて前記弁体を一方向に付勢する付勢バネと、
    前記作動油の圧力が第1圧力領域にあるとき前記第1角度位置に対応する位置に前記弁体を位置付け、前記作動油の圧力が前記第1圧力領域よりも大きい第2圧力領域にあるとき前記第2角度位置に対応する位置に前記弁体を位置付けるべく、前記付勢バネの付勢力に抗しつつ前記作動油の圧力に応じて前記弁体の位置を切り換える切換要素を含み、
    前記切換要素は、前記弁体に設けられて前記作動油の圧力を受ける受圧部である、
    ことを特徴とする油路切換弁。
  2. 前記第1角度位置は、遅角位置であり、
    前記第2角度位置は、進角位置である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の油路切換弁。
  3. 前記弁体は、前記作動油を前記排出ポートに導く排出油路を有する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の油路切換弁。
  4. 前記弁体は、前記遅角ポートと前記供給ポートの間の油路を開閉する第1弁部と、前記進角ポートと前記供給ポートの間の油路を開閉する第2弁部を含み、
    前記受圧部は、前記第1弁部に隣接する第1受圧部と、前記第1弁部と対向すると共に前記第1弁部よりも大きい受圧面積を有し前記第2弁部に隣接する第2受圧部を含む、
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の油路切換弁。
  5. 前記第1弁部の閉弁タイミングは、前記第2弁部の開弁タイミングと同時か又は前記第2弁部の開弁タイミングよりも遅く設定されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の油路切換弁。
  6. 前記第1弁部の閉弁タイミングは、前記第2弁部が最大の開弁ストロークに至る前に設定されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の油路切換弁。
  7. 前記弁体には、前記作動油の圧力が前記第2圧力領域よりも大きい冷機時圧力であるとき前記第1角度位置が選択されるべく、前記冷機時圧力を受けて前記第2角度位置に対応する位置から外れた位置に前記弁体を位置付ける補助受圧部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の油路切換弁。
  8. 前記弁体は、前記遅角ポートと前記供給ポートの間の油路を開閉する第1弁部と、前記進角ポートと前記供給ポートの間の油路を開閉する第2弁部と、前記作動油の圧力が前記第2圧力領域よりも大きい冷機時圧力であるとき前記第1角度位置が選択されるべく、前記冷機時圧力を受けて前記第2角度位置に対応する位置から外れた位置に前記弁体を位置付ける補助受圧部を含み、
    前記受圧部は、前記第1弁部に隣接する第1受圧部と、前記第1弁部と対向すると共に前記第1弁部よりも大きい受圧面積を有し前記第2弁部に隣接する第2受圧部を含み、
    前記補助受圧部は、前記第2受圧部と同一の受圧面積を有すると共に、前記冷機時圧力を受けるとき前記供給ポートと前記進角ポートの間の油路を閉塞し得るべく前記第1受圧部と第2受圧部の間に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の油路切換弁。
  9. 前記第1弁部の閉弁タイミングは、前記第2弁部の開弁タイミングと同時か又は前記第2弁部の開弁タイミングよりも遅く設定されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の油路切換弁。
  10. 前記第1弁部の閉弁タイミングは、前記補助受圧部が前記供給ポートと前記進角ポートの間の油路を閉塞するタイミングに至る前に設定されている、
    ことを特徴とする請求項に記載の油路切換弁。
  11. 遅角室及び進角室に対する作動油の供給又は排出を行う油路を切り換えてエンジンのバルブタイミングを第1角度位置又は第2角度位置に変更するべく、バルブタイミング変更装置に適用される油路切換弁であって、
    前記作動油を供給する供給ポート,前記作動油を排出する排出ポート,前記遅角室に連通する遅角ポート,前記進角室に連通する進角ポートを画定するスリーブと、
    前記遅角ポート及び前記進角ポートと前記供給ポートの間の油路を開閉するべく前記スリーブに摺動自在に挿入された弁体と、
    休止状態において前記第1角度位置に対応する位置に前記弁体を位置付けるべく前記スリーブ内に配置されて前記弁体を一方向に付勢する付勢バネと、
    前記作動油の温度が第1温度領域にあるとき前記第1角度位置に対応する位置に前記弁体を位置付け、前記作動油の温度が前記第1温度領域よりも大きい第2温度領域にあるとき前記第2角度位置に対応する位置に前記弁体を位置付けるべく、前記付勢バネの付勢力に抗しつつ前記作動油の温度に応じて前記弁体の位置を切り換える切換要素を含み、
    前記切換要素は、前記作動油の温度に応じて前記弁体を付勢する付勢力が変化する付勢部材である、
    ことを特徴とする油路切換弁。
  12. 前記第1角度位置は、遅角位置であり、
    前記第2角度位置は、進角位置である、
    ことを特徴とする請求項11に記載の油路切換弁。
  13. 前記弁体は、前記作動油を前記排出ポートに導く排出油路を有する、
    ことを特徴とする請求項11又は12に記載の油路切換弁。
  14. 前記付勢部材は、前記付勢バネと対抗して前記弁体に付勢力を及ぼすべく、前記スリーブ内に配置されている、
    ことを特徴とする請求項11ないし13いずれか一つに記載の油路切換弁。
  15. 前記付勢部材は、前記第1温度領域において収縮しかつ前記第2温度領域において伸長して記憶形態に戻る形状記憶合金により形成されている、
    ことを特徴とする請求項11ないし14いずれか一つに記載の油路切換弁。
  16. 前記スリーブは、エンジンの作動油を通す油路を画定する部材に嵌め込まれるように形成されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし15いずれか一つに記載の油路切換弁。
  17. カムシャフトにより駆動される吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを変更するエンジンのバルブタイミング変更装置であって、
    前記カムシャフトの軸線上で回転するハウジングロータと、
    前記ハウジングロータと協働して遅角室及び進角室を画定すると共に前記軸線上で回転するベーンロータと、
    前記ベーンロータを前記カムシャフトに一体的に締結する締結ボルトと、
    前記遅角室及び進角室に対する作動油の供給又は排出を行う油路を切り換える油路切換弁を含み、
    前記油路切換弁は、請求項1ないし16いずれか一つに記載の油路切換弁である、
    ことを特徴とするバルブタイミング変更装置。
  18. 前記締結ボルトは、前記油路切換弁のスリーブを嵌合する嵌合穴、及び前記作動油を通す油路を含む、
    ことを特徴とする請求項17に記載のバルブタイミング変更装置。
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