JP7353759B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、定着装置及び画像形成装置に関し、特に、レーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真記録方式を利用する画像形成装置における定着装置に関する。
従来、画像形成装置の定着装置は、電子写真プロセス等の画像形成手段により記録紙上に形成された未定着画像(トナー像)を記録紙上に定着させるものである。画像形成装置では、ハロゲンヒータを熱源とする熱ローラ式の定着装置やセラミックヒータを熱源とするフィルム加熱方式の定着装置が用いられている。このようなヒータを熱源とする定着装置を有する画像形成装置においては、発熱体の長さよりも短い幅の記録紙(以下、小サイズ紙という)を定着ニップ部に通す(以下、通紙するという)と、次のような現象が発生する場合がある。すなわち、発熱体が発熱している領域かつ記録紙が通紙していない領域(以下、非通紙領域という)において、記録紙が通紙している領域(以下、通紙領域という)に比べて温度が高くなってしまう現象(以下、非通紙部昇温という)が発生する場合がある。非通紙領域において温度が高くなりすぎると、ヒータを支持する部材等、周囲の部材に影響を及ぼす場合がある。従来、この影響を緩和するために、端部の温度を検知/予測して、又は記録紙の幅サイズに従ってスループットを低下させていた。このようなスループットの低下を抑えるために、長さの異なる複数の発熱体と、発熱する発熱体を排他的に切り替えることができる切り替えリレーとを備える定着装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この構成によって、通紙する記録紙の幅に合わせた長さの発熱体を選択的に用いることで非通紙部昇温を防止するとともに、スループットを低下させる制御も不要となる。これにより、小サイズ紙に関しても高い生産性を実現することが可能となる。しかし、このような構成では、装置の誤作動によって、いずれかの発熱体に過剰に電力が供給されて基板の一部分だけが過剰に昇温してしまった場合、次のような課題が生じる。すなわち、昇温した基板の一部だけが大きく伸び、昇温していない部分との伸びの差によって基板内にひずみ(応力)が発生し、基板が変形してしまうおそれがある。
そこで、例えば、次のような構成のヒータが検討されている。例えば、高い電力供給能力を必要とする発熱体は、長手方向における長さが略等しい大きさの発熱体を2つ用意して基板の短手方向において中央からの距離が略等しくなる位置に配置する。これにより、熱応力が発生しないようにする。一方、高い電力供給能力を必要としない発熱体は、発熱体の抵抗値を大きくすることで電力供給能力を小さくする。これにより、熱応力が小さくなるようにする。
特開2001-100558号公報
しかしながら、発熱体間の電力供給能力の差が大きい構成において、発熱体によらず同じ電力制御を継続していると、供給される電力の過不足が生じ、サーミスタにより検知された温度(以下、検知温度という)が目標温度に追従しなくなるおそれがある。そして、検知温度が目標温度に追従しなくなると、定着性が損なわれるおそれがある。
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、安定した発熱体の温度制御を可能とし、定着性を向上させることを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、以下の構成を備える。
(1)記録材に担持された未定着のトナー像を定着する定着装置であって、細長い基板と、第1の発熱体と、前記第1の発熱体と長手方向の長さが略同じ長さの第2の発熱体と、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体よりも前記長手方向の長さが短い第3の発熱体と、前記第3の発熱体よりも前記長手方向の長さが短い第4の発熱体と、を含むヒータと、前記ヒータに電流を供給する、又は電流の供給を遮断する接続手段と、前記定着装置の温度を検知する検知手段と、前記検知手段により検知された検知温度が目標温度となるように前記接続手段を制御する制御手段と、を備え、短手方向において、前記第1の発熱体、前記第3の発熱体、前記第4の発熱体、前記第2の発熱体の順に前記基板上に配置され、前記第1の発熱体、及び前記第2の発熱体の合成抵抗値は第1の値であり、前記第3の発熱体の抵抗値は前記第1の値より大きい第2の値であり、前記第4の発熱体の抵抗値は前記第1の値より大きい第3の値であり、前記制御手段は、前記第1の発熱体、及び前記第2の発熱体に電力を供給する場合、前記検知温度が前記目標温度を維持するように、第1のデューティーで電流を前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体に供給させ、前記第3の発熱体に電力を供給する場合、前記検知温度が前記目標温度を維持するように、第2のデューティーで電流を前記第3の発熱体に供給させ、前記第2のデューティーは、前記第1のデューティーより大きいことを特徴とする定着装置。
(2)記録材に未定着のトナー像を形成する画像形成手段と、記録材上の未定着のトナー像を定着する前記(1)に記載の定着装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、安定した発熱体の温度制御を可能とし、定着性を向上させることができる。
実施例1~3の画像形成装置の全体構成図 実施例1~3の画像形成装置の制御ブロック図 実施例1~3の定着装置とヒータを示す図 実施例1~3のヒータを示す図 実施例1~3のヒータへの電力供給を示す図 実施例1との比較のための画像形成装置の動作を示すタイムチャート 実施例1の画像形成装置の動作を示すタイムチャート 実施例1の画像形成装置のトライアックの制御を示すフローチャート 実施例2の画像形成装置の動作を示すタイムチャート 実施例2の画像形成装置のトライアックの制御を示すフローチャート 実施例3の画像形成装置のトライアックの制御を示すフローチャート
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施例において、用紙を定着ニップ部に通すことを、通紙するという。また、発熱体が発熱している領域で、用紙が通紙していない領域を非通紙領域(又は非通紙部)といい、用紙が通紙している領域を通紙領域(又は通紙部)という。更に、非通紙領域が通紙領域に比べて温度が高くなってしまう現象を、非通紙部昇温という。
[画像形成装置]
図1は実施例1の定着装置を搭載した一例の画像形成装置である、インライン方式のカラー画像形成装置を示す構成図である。図1を用いて電子写真方式のカラー画像形成装置の動作を説明する。なお、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーションとしている。また、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
第1ステーションで、像担持体である感光ドラム1aは、OPC感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層等からなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低くほぼ絶縁である。帯電手段である帯電ローラ2aが感光ドラム1aに当接され、感光ドラム1aの回転に伴い、従動回転しながら感光ドラム1a表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aには直流電圧又は交流電圧を重畳した電圧が印加され、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面とのニップ部から、回転方向の上流側及び下流側の微小な空気ギャップにおいて放電が発生することにより感光ドラム1aが帯電される。クリーニングユニット3aは、後述する転写後に感光ドラム1a上に残ったトナーをクリーニングするユニットである。現像手段である現像ユニット8aは、現像ローラ4a、非磁性一成分トナー5a、現像剤塗布ブレード7aからなる。感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、画像形成装置に対して着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。
露光手段である露光装置11aは、レーザー光を多面鏡によって走査させるスキャナユニット又はLED(発光ダイオード)アレイから構成され、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射する。また、帯電ローラ2aは、帯電ローラ2aへの電圧供給手段である帯電高電圧電源20aに接続されている。現像ローラ4aは、現像ローラ4aへの電圧供給手段である現像高電圧電源21aに接続されている。1次転写ローラ10aは、1次転写ローラ10aへの電圧供給手段である1次転写高電圧電源22aに接続されている。以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成をしている。他のステーションについて、第1ステーションと同一の機能を有する部品は同一の符号を付し、符号の添え字にステーションごとにb、c、dを付している。なお、以下の説明において、特定のステーションについて説明する場合を除き、添え字a、b、c、dを省略する。
中間転写ベルト13は、その張架部材として2次転写対向ローラ15、テンションローラ14、補助ローラ19の3本のローラにより支持されている。テンションローラ14のみバネで中間転写ベルト13を張る方向の力が加えられており、中間転写ベルト13に適当なテンション力が維持されるようになっている。2次転写対向ローラ15はメインモータ(不図示)からの回転駆動を受けて回転し、外周に巻かれた中間転写ベルト13が回動する。中間転写ベルト13は感光ドラム1a~1d(例えば、図1では反時計回り方向に回転)に対して順方向(例えば、図1では時計回り方向)に略同速度で移動する。また、中間転写ベルト13は、矢印方向(時計回り方向)に回転し、1次転写ローラ10は中間転写ベルト13をはさんで感光ドラム1と反対側に配置されて、中間転写ベルト13の移動に伴い従動回転する。中間転写ベルト13をはさんで感光ドラム1と1次転写ローラ10とが当接している位置を1次転写位置という。補助ローラ19、テンションローラ14及び2次転写対向ローラ15は電気的に接地されている。なお、第2~第4ステーションも1次転写ローラ10b~10dは第1ステーションの1次転写ローラ10aと同様の構成としているので説明を省略する。
次に実施例1の画像形成装置の画像形成動作を説明する。画像形成装置は待機状態時に印刷指令を受信すると、画像形成動作をスタートする。感光ドラム1や中間転写ベルト13等はメインモータ(不図示)によって所定のプロセススピードで矢印方向に回転を始める。感光ドラム1aは、帯電高電圧電源20aにより電圧が印加された帯電ローラ2aによって一様に帯電され、続いて露光装置11aから照射された走査ビーム12aによって画像情報に従った静電潜像が形成される。現像ユニット8a内のトナー5aは、現像剤塗布ブレード7aによって負極性に帯電されて現像ローラ4aに塗布される。そして、現像ローラ4aには、現像高電圧電源21aより所定の現像電圧が供給される。感光ドラム1aが回転して感光ドラム1a上に形成された静電潜像が現像ローラ4aに到達すると、静電潜像は負極性のトナーが付着することによって可視化され、感光ドラム1a上には第1色目(例えば、Y(イエロー))のトナー像が形成される。他の色M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各ステーション(プロセスカートリッジ9b~9d)も同様に動作する。各色の1次転写位置間の距離に応じて、一定のタイミングでコントローラ(不図示)からの書き出し信号を遅らせながら、露光による静電潜像が各感光ドラム1a~1d上に形成される。それぞれの1次転写ローラ10a~10dにはトナーと逆極性の直流高電圧が印加される。以上の工程により、順に中間転写ベルト13にトナー像が転写されていき(以下、1次転写という)、中間転写ベルト13上に多重トナー像が形成される。
その後、トナー像の作像に合わせて、カセット16に積載されている記録材である用紙Pは、給紙ソレノイド(不図示)によって回転駆動される給紙ローラ17により給送(ピックアップ)される。給送された用紙Pは搬送ローラによりレジストレーションローラ(以下、レジストローラという)18に搬送される。用紙Pは、中間転写ベルト13上のトナー像に同期して、レジストローラ18によって中間転写ベルト13と2次転写ローラ25との当接部である転写ニップ部へ搬送される。2次転写ローラ25には2次転写高電圧電源26により、トナーと逆極性の電圧が印加され、中間転写ベルト13上に担持された4色の多重トナー像が一括して用紙P上(記録材上)に転写される(以下、2次転写という)。用紙P上に未定着のトナー像が形成されるまでに寄与した部材(例えば、感光ドラム1等)は画像形成手段として機能する。一方、2次転写を終えた後、中間転写ベルト13上に残留したトナーは、クリーニングユニット27によって清掃される。2次転写が終了した後の用紙Pは、定着手段である定着装置50へと搬送され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として排出トレー30へと排出される。定着装置50のフィルム51、ニップ形成部材52、加圧ローラ53、ヒータ54については後述する。
[画像形成装置のブロック図]
図2は画像形成装置の動作を説明するブロック図であり、この図を参照しながら画像形成装置の印刷動作について説明する。ホストコンピュータであるPC110は、画像形成装置の内部にあるビデオコントローラ91に対して印刷指令を出力し、印刷画像の画像データをビデオコントローラ91に転送する役割を担う。
ビデオコントローラ91はPC110からの画像データを露光データに変換し、エンジンコントローラ92内にある露光制御装置93に転送する。露光制御装置93はCPU94から制御され、露光データのオンオフ、露光装置11の制御を行う。制御手段であるCPU94は印刷指令を受信すると画像形成シーケンスをスタートさせる。
エンジンコントローラ92にはCPU94、メモリ95等が搭載されており、予めプログラムされた動作を行う。高電圧電源96は上述の帯電高電圧電源20、現像高電圧電源21、1次転写高電圧電源22、2次転写高電圧電源26から構成される。また、電力制御部97は双方向サイリスタ(以下、トライアックという)56、電力を供給する発熱体を排他的に選択する切替手段としての発熱体切り替え器57等から構成される。電力制御部97は、定着装置50において発熱する発熱体を選択し、供給する電力量を決定する。また、駆動装置98はメインモータ99、定着モータ100等から構成される。またセンサ101は定着装置50の温度を検知する定着温度センサ59、フラグを有し用紙Pの有無を検知する紙有無センサ102等からなり、センサ101の検知結果はCPU94に送信される。CPU94は画像形成装置内のセンサ101の検知結果を取得し、露光装置11、高電圧電源96、電力制御部97、駆動装置98を制御する。これにより、CPU94は、静電潜像の形成、現像されたトナー像の転写、用紙Pへのトナー像の定着等を行い、露光データがトナー像として用紙P上に印刷される画像形成工程の制御を行う。なお、本発明が適用される画像形成装置は、図1で説明した構成の画像形成装置に限定されるものではなく、異なる幅の用紙Pを印刷することが可能で、後述するヒータ54を有する定着装置50を備える画像形成装置であればよい。
[定着装置]
次に、実施例1における定着装置50の構成について図2を用いて説明する。ここで、長手方向とは、後述する用紙Pの搬送方向と略直交する加圧ローラ53の回転軸方向のことである。また、搬送方向に略直交する方向(長手方向)の用紙Pの長さを幅という。図3は、定着装置50の断面模式図である。
図3左側から未定着のトナー像Tnを保持した用紙Pが、定着ニップ部Nにおいて図中左から右に向けて搬送されながら加熱されることにより、トナー像Tnが用紙Pに定着される。実施例1における定着装置50は、円筒状のフィルム51と、フィルム51を保持するニップ形成部材52と、フィルム51と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ53と、用紙Pを加熱するためのヒータ54と、により構成されている。
第1の回転体であるフィルム51は加熱回転体としての定着フィルムである。実施例1では、基層として、例えばポリイミドを用いている。基層の上に、シリコーンゴムからなる弾性層、PFAからなる離型層を用いている。フィルム51の回転によるニップ形成部材52及びヒータ54とフィルム51との間に生じる摩擦力を低減するために、フィルム51の内面には、グリスが塗布されている。
ニップ形成部材52はフィルム51を内側からガイドするとともに、フィルム51を介して加圧ローラ53との間で定着ニップ部Nを形成する役割を果たす。ニップ形成部材52は剛性・耐熱性・断熱性を有する部材であり、液晶ポリマー等により形成されている。フィルム51はこのニップ形成部材52に対して外嵌されている。第2の回転体である加圧ローラ53は加圧回転体としてのローラである。加圧ローラ53は、芯金53a、弾性層53b、離型層53cからなる。加圧ローラ53は、両端を回転可能に保持されており、定着モータ(不図示)によって回転駆動される。また、加圧ローラ53の回転により、フィルム51は従動回転する。加熱部材であるヒータ54は、ニップ形成部材52に保持され、フィルム51の内面と接している。基板54a、発熱体54b1~54b4、保護ガラス層54e、定着温度センサ59については後述する。
[ヒータ]
図4に実施例1のヒータ54の構成を示し、以下に詳細を説明する。基板54aはAl2O3材等で形成された板状のセラミック基板であり、寸法は、例えば、厚みt=1mm、幅W=6.3mm、長さl=280mmである。基板54a上に、発熱体54b1、54b2、54b3、54b4、導電経路である導体54c、電力を供給するための接点54d1、54d2、54d3、54d4、が印刷プロセスによって形成される。以下、複数の発熱体54b1~54b4を発熱体54bと総称することもある。図4において、発熱体54bは白、導体54cは斜線、接点54d1~54d4は黒で表す。
発熱体54bは長手方向の長さ(以下、幅ともいう)の最も長い発熱体54b1、2番目に幅が長い発熱体54b3、3番目に幅が長い発熱体54b4、幅が最も長い発熱体54b2の順に、等間隔に配置する。発熱体54b1と発熱体54b2は、略同じ幅である。発熱体54b間の間隔は、実施例1では例えば0.7mmである。発熱体54b1、54b2の寸法は、実施例1では例えば、厚みt=10μm、幅W=0.7mm、第1の長さである長さl=222mmである。発熱体54b3の寸法は、実施例1では例えば、厚みt=10μm、幅W=0.7mm、第1の長さよりも短い第2の長さである長さl=188mmである。発熱体54b4の寸法は、実施例1では例えば、厚みt=10μm、幅W=0.7mm、第1の長さよりも短い第2の長さである長さl=154mmである。
第1の発熱体である発熱体54b1、54b2は長さl=222mmであり、幅210mmのA4用紙を印刷するときに使用される。第2の発熱体及び第3の発熱体である発熱体54b3は長さl=188mmであり、幅182mmのB5用紙を印刷するときに使用される。第2の発熱体及び第4の発熱体である発熱体54b4は長さl=154mmであり、幅148.5mmのA5用紙を印刷するときに使用される。
発熱体54bは銀とパラジウムが主成分の導電材であり、導体54cと接点54d1~54d4には銀が主成分の導電材を使用する。発熱体54bの長手方向における両端間の電気抵抗は、最長の発熱体54b1、54b2はどちらも20Ω、2番目の長さの発熱体54b3は20Ω、3番目の長さの発熱体54b4も20Ωとする。最長の発熱体54b1、54b2の一方の端部は共通の接点54d1で電気的に接続され、他方の端部は共通の接点54d2で電気的に接続されている。接点54d1、54d2間における最長の発熱体54b1、54b2の合成抵抗値は、発熱体54b1と発熱体54b2とが並列に接続されているため10Ωである。このように、発熱体54b1と発熱体54b2の合成抵抗値は10Ωであり、発熱体54b3や発熱体54b4の抵抗値(20Ω)よりも小さい。
以上のように、ヒータ54は、発熱体54b1と、発熱体54b1と長手方向の長さが略同じ長さの発熱体54b2と、を有する。更に、ヒータ54は、発熱体54b1、54b2よりも長手方向の長さが短い発熱体54b3、54b4を備える。発熱体54b1は、基板54aの短手方向の一方の端部に設けられ、発熱体54b2は、基板54aの短手方向の他方の端部に設けられる。発熱体54b3、54b4は、基板54aの短手方向において発熱体54b1と発熱体54b2との間に設けられる。
また、実施例1では、第1の接点である接点54d1は、発熱体54b1、54b2の一方の端部が電気的に接続された接点である。第2の接点である接点54d2は、発熱体54b1、発熱体54b2及び発熱体54b3の他方の端部が電気的に接続された接点である。第3の接点である接点54d3は、発熱体54b3及び発熱体54b4の一方の端部が電気的に接続された接点である。第4の接点である接点54d4は、発熱体54b4の他方の端部が電気的に接続された接点である。
なお、実施例1では発熱体54bの幅Wを全て0.7mmと同一幅としたが、定着装置50に要求される性能によっては、同一の幅Wの発熱体54bを形成するためには導電材の材料選定が困難なケースがある。その場合は、定着装置50に要求される性能に応じて発熱体54bの幅Wを異ならせてもよい。
(発熱体54b1、54b2について)
前述したヒータ54における最長の幅の発熱体54b1、54b2の特徴について以下に説明する。定着装置50が十分に加熱された定着可能な状態(以下、通紙可能状態ともいう)にいち早く達することができれば、印刷物をユーザにいち早く提供できる。このため、どのサイズの用紙Pが選ばれてもよいように、長手方向の全域を加熱することが可能な最長の発熱体54b1、54b2の電力供給能力を最大とするのがよい。最長の発熱体54b1、54b2よりも長手方向の長さが短い発熱体54b3、54b4は、最長の発熱体54b1、54b2によって定着装置50が十分に加熱された後に使用される。よって、通紙時にトナー像を用紙Pに固着するための電力量が補えればよいので、発熱体54b3、54b4が使用される場合には、最長の発熱体54b1、54b2の高い電力供給能力に比べ、低い電力供給能力にするのが好ましい。
すなわち、CPU94は、発熱体54b1、54b2に電力が供給されている場合は、定着温度センサ59の検知温度が目標温度となるように発熱体54b1、54b2に第1の電力を供給するように制御する。CPU94は、発熱体54b3(又は発熱体54b4)に電力が供給されている場合は、定着温度センサ59の検知温度が目標温度となるように発熱体54b3(又は発熱体54b4)に第1の電力より多い第2の電力を供給するように制御する。
最長の発熱体54b1、54b2が高い電力供給能力を持つということは、万が一の装置故障で最長の発熱体54b1、54b2に過剰に電力が供給された場合の基板54aの変形リスクが大きいということである。実施例1では、最長の発熱体54b1、54b2を2本で構成し、一方の発熱体54b1を基板54aの短手方向における一方の端部に配置し、他方の発熱体54b2を基板54aの短手方向における他方の端部に配置する。これにより、2つの最長の発熱体54b1、54b2を、基板54aの短手方向において対称となるように配置している。
更に、それぞれの発熱体54b1、54b2を共通の接点54d1、54d2によって電気的に接続し、2本の発熱体54b1、54b2は必ず略同時に電力が供給されるような構成としている。これにより、最長の発熱体54b1、54b2に電力が供給されるときは、常にヒータ54の短手方向における両端部が発熱するので、供給される電力量を分散することができ、短手方向における基板54aの温度勾配を小さくすることができる。
以上より、定着装置50を短時間で通紙可能状態に到達させるとともに、万が一の装置故障が発生し、過剰な電力供給状態に至ったとしても、基板54aの短手方向における温度勾配を小さくすることができ、基板54aの変形リスクを低減することができる。
(発熱体54b3、54b4について)
次に、最長でない2種類の発熱体54b3、54b4の特徴について以下に記す。発熱体54b3と発熱体54b4は、一方の端部は1つの接点54d3によって電気的に接続されている。一方、発熱体54b3と発熱体54b4は、他方の端部については、発熱体54b3は接点54d2に電気的に接続され、発熱体54b4は接点54d4に電気的に接続されている。すなわち、発熱体54b3と発熱体54b4は、どちらか一方が発熱するように構成されている。
前述した通り、発熱体54b3はB5用紙の印刷時、発熱体54b4はA5用紙の印刷時に使用される。用紙Pの幅(以下、用紙幅という)と発熱体54b3、54b4の長手方向の長さはほぼ同じ長さであり、発熱体54b3、54b4が発熱する領域(以下、発熱域ともいう)の大部分を用紙Pが通過する。このため、発熱体54b3、54b4から生じる熱の多くを用紙Pに与えることができるため、用紙Pが通過しない非通紙領域の昇温を抑制することができる。これにより、高い生産性を維持することが可能になる。また、定着装置50を通紙可能状態まで加熱するのは最長の発熱体54b1、54b2が担っているため、最長でない発熱体54b3、54b4では、通紙時にトナー像を用紙Pに固着するための電力量が補えればよい。それゆえ、最長でない発熱体54b3、54b4の電力供給能力を小さくすることができ、異常時の発熱体54b3、54b4の昇温の度合いを小さくすることができる。
また、最長の発熱体54b1と発熱体54b2の2本の間に、前述の2種類の発熱体54b3、54b4を配置し、可能な限り基板54aの短手方向の中央に寄せて発熱体54b3、54b4を配置する。これにより、基板54aの短手方向における一方の端部である第1の端部と他方の端部である第2の端部のどちらの端部においてもほぼ同等に昇温させることができ、短手方向における基板54aの温度勾配を小さくできる。
以上より、最長でない発熱体54b3、54b4の電力供給能力を小さくし、最長でない発熱体54b3、54b4を基板54aの短手方向において可能な限り対称に配置する。これにより、万が一の装置故障で過剰な電力供給状態に至ったとしても、基板54aの短手方向における温度勾配を小さくできるので、基板54aの変形リスクを低減できる。また、高い電力供給能力を必要とする最長の発熱体54b1、54b2のみ2本、最長でない発熱体54b3、54b4は短手方向の対称性に配慮しつつも、最低限必要な1本とすることで、基板54aの寸法の小型化を両立することができる。
検知手段である定着温度センサ59は、基板54aに対して保護ガラス層54eと反対の面に配置され(図3参照)、かつ発熱体54bの長手方向における中心位置に設置されており、基板54aと接している。定着温度センサ59は例えばサーミスタであり、ヒータ54の温度を検知し、検知結果をCPU94に出力する。
(発熱体54bの構成の狙い)
最長の発熱体54b1、54b2が複数の発熱体54bの中で最大の電力供給能力を有し、定着装置50を短時間で通紙可能状態に加熱することが一般的であり、上述したように実施例1でもこの構成を採用している。一方で、電力供給能力が高いということは、装置の誤作動などによって、過剰な電力供給を受けやすいということを意味し、基板54aの変形のリスクが高い。実施例1では、高い電力供給能力と基板54aの変形リスクの低減とを両立するために、最長の発熱体を発熱体54b1と発熱体54b2の2本の構成とし、電力の分散、すなわち電力密度の低減をはかる。更に、一方の発熱体54b1を基板54aの短手方向の一方の端部に配置し、もう一方の発熱体54b2を基板54aの他方の端部(反対側の端部)に配置する。そして、2つの発熱体54b1、54b2を共通の接点54d1、54d4で電気的に接続し、2本の最長の発熱体54b1、54b2は必ず同時に電力が供給されるように構成する。これらによって、基板54aの短手方向の一方の端部(一部)のみが発熱することがなく、基板54aの温度分布を均一にすることができ、基板54aの変形リスクを低減できる。
また、実施例1では、最長でない発熱体を発熱体54b3と発熱体54b4の2水準、それぞれ1本ずつ備える。これにより、発熱体54b1、54b2に対応した最大サイズの用紙Pよりも幅の狭い複数のサイズの用紙(幅狭紙、小サイズ紙)に印刷を行う際の生産性を高める。なお、最長でない発熱体54b3、54b4は最長の発熱体54b1、54b2に対して電力供給能力を低く設定し、基板54a上においては、2本の最長の発熱体54b1、54b2の間の短手方向における中央に配置する。これにより、基板54aの短手方向の一端に偏らせて配置する場合に比較して、比較的均一に基板54aを加熱することができ、基板54aの温度分布を緩やかにすることができるため、基板54aの変形リスクを低減できる。高い電力供給能力を必要とする最長の発熱体54b1、54b2を2本の構成とし、最長でない発熱体54b3、54b4は発熱体の長さ1水準につき最小の1本とする。これにより、基板54aの変形を抑え、複数の小サイズ紙に印刷する際の生産性を高めることを達成するとともに、基板54aの寸法の最小化を実現する。
[電力供給回路]
図5に実施例1の電力供給回路を示し、この回路を使用して実施例1と比較例1との比較検証を実施する。それぞれの電力供給回路について、以下に説明する。図5の実施例1において、接点54d1~54d4は、電力供給経路を切り替えるための発熱体切り替え器57と接続されている。なお、発熱体切り替え器57によって電力供給経路を切り替えることによって発熱する発熱体54bが切り替わるため、電力供給経路を切り替えることを、発熱体54bを切り替えるとも表現する。実施例1では、発熱体切り替え器57は、具体的にはC接点構成の電磁リレー57a、57bである。
電磁リレー57aは、トライアック56を介して交流電源55に第1の極に接続された接点57a1と、接点54d1に接続された接点57a2と、接点54d3に接続された接点57a3と、を有する。電磁リレー57aは、エンジンコントローラ92の制御によって、接点57a1と接点57a2とが接続された状態と、接点57a1と接点57a3とが接続された状態と、のいずれか一方の状態となる。電磁リレー57bは、交流電源55に第2の極に接続された接点57b1と、接点54d2に接続された接点57b2と、接点54d4に接続された接点57b3と、を有する。電磁リレー57bは、エンジンコントローラ92の制御によって、接点57b1と接点57b2とが接続された状態と、接点57b1と接点57b3とが接続された状態と、のいずれか一方の状態となる。接続手段であるトライアック56は、複数の発熱体54bのうち所定の発熱体54bに電流を供給し又は電流の供給を遮断する。
図5は電磁リレー57a、57bの無動作時を示しており、電磁リレー57aは接点57a1と接点57a2とが接続され、電磁リレー57bは接点57b1と接点57b2とが接続されている。電磁リレー57a、57bの無動作時には、接点54d1と接点54d2との間に電力が供給されるので、最長の発熱体54b1、54b2が発熱する。
電磁リレー57a、57bを動作させた場合、電磁リレー57aは接点57a1と接点57a3とが接続され、電磁リレー57bは接点57b1と接点57b3とが接続される。電磁リレー57a、57bの動作時には、接点54d3と接点54d4との間に電力が供給されるので、発熱体54b4のみが発熱する。電磁リレー57aのみ動作させた場合、電磁リレー57aは接点57a1と接点57a3とが接続され、電磁リレー57bは接点57b1と接点57b2とが接続された状態となる。電磁リレー57aのみの動作時には、接点54d3と接点54d2と間に電力が供給されるので、発熱体54b3のみが発熱する。電磁リレー57a、57bは、a接点構成の電磁リレー、b接点構成の電磁リレーの有接点スイッチを用いても構わないし、ソリッドステートリレー(SSR)、フォトモスリレー、トライアック等の無接点スイッチを用いても構わない。
[発熱体に流れる電流量(又は電力量)の制御(デューティーの制御)]
次に、図6、図7を用いて、実施例1の画像形成装置の利点に関して説明する。実施例1では、使用する発熱体54bを切り替えたタイミングで、発熱体54bに流れる電流量(電力量)を、変更する前の発熱体54b(第1の発熱体)に応じた電流量から変更した後の発熱体54b(第2の発熱体)に応じた電流量(電力量)に切り替える。発熱体54bに供給される電流量(電力量)は、トライアック56のデューティーによって制御されている。このため、具体的には、使用する発熱体54bを切り替えたタイミングで、トライアック56のデューティーを、変更された発熱体54bに応じたデューティーに設定する。そして、これにより電力の過不足をなくし、発熱体54bに対して安定した温度制御を可能とする。
(比較例の制御)
まず、比較例として、使用する発熱体54bによらず、同じデューティーでトライアック56を制御する例を、図6を用いて説明する。その後で、図7を用いて実施例1の画像形成装置の振る舞いに関して説明する。図6は、図1~図5の構成において、1つのジョブで、A4幅の用紙α1、B5幅の用紙β1~β5の順に6枚の用紙Pに印刷を行うケースの図である。図6で、(i)はビデオコントローラ91とCPU94間のコマンドの送受信を示し、(ii)は定着ニップ部Nに通紙される用紙Pを示す。(iii)は電磁リレー57aの状態を示し、電磁リレー57aによってトライアック56が接点54d1に接続されている場合と接点54d3に接続されている場合を示す。(iv)は電磁リレー57bの状態を示し、電磁リレー57bによってトライアック56が接点54d2に接続されている場合と接点54d4に接続されている場合を示す。(v)はトライアック56がどの発熱体54bに接続されている状態かを示す。(vi)はCPU94によって制御されるトライアック56のデューティー(%)を示す。なお、トライアック56が常時導通状態の場合を100%、常時非導通状態の場合を0%とする。(vii)は定着温度センサ59によって検知された温度(以下、サーミスタ温度という)を示し、TE2は定着温度の目標値(目標)を示す。なお、TE1は室温を示す。
印刷指示を受信する前の状態において、電磁リレー57aは接点54d1に、電磁リレー57bは接点54d2に接続され、これによりトライアック56は発熱体54b1、54b2に接続されている。この状態で、タイミングt601に、CPU94はビデオコントローラ91からA4幅の用紙α1、B5幅の用紙β1~β5の順に6枚の用紙Pに印刷を行うという印刷指示を受信する。CPU94は、タイミングt601でトライアック56を導通状態(オン)にする(図6(vi))。CPU94は、サーミスタ温度が定着可能な温度である目標温度TE2にできるだけ早く到達するよう、印刷開始から目標温度TE2に到達するまでの間は、トライアック56を100%のデューティー(固定デューティー)でオンし続ける。
そして、サーミスタ温度が目標温度TE2に達したタイミングt602で、CPU94はPI制御を開始する。CPU94は、PI制御を開始したとき(t602)のトライアック56のデューティーとして、発熱体54b1、54b2を用いて目標温度TE2を保つために最適なデューティーXを設定する。デューティーXは、第1の記憶手段であるメモリ95に記憶されている。メモリ95には、例えば、発熱体54b1と発熱体54b1に応じたトライアック56のデューティーXとが関連付けられて記憶されている。他の発熱体54b2~54b4についても同様に、他の発熱体54b2~54b4と他の発熱体54bに応じたトライアック56のデューティーXとが関連付けられてメモリ95に記憶されている。
用紙α1は、サーミスタ温度が目標温度TE2にある状態で定着ニップ部Nに到達するように給紙搬送される。そして、用紙α1の後端が定着ニップ部Nを通過すると、CPU94は、非通紙部昇温を発生させることなく用紙βに定着処理を行うことが可能な発熱体54b3を使用するために、次の制御を行う。すなわち、CPU94は、タイミングt603において、電磁リレー57aを接点54d3に接続させる。そして、CPU94は、発熱体54b3を用いて用紙β1~β5に対して定着処理を行っていく。
図4を用いて説明したように、発熱体54b1、54b2の合成抵抗値(10Ω)に比べて、発熱体54b3の抵抗値(20Ω)は大きい。そのため、発熱体54b1、54b2を用いたときのサーミスタ温度を目標温度TE2に維持するために最適なデューティーでは、発熱体54b3を用いる場合は不十分であり、電力が不足してしまう。そして、用紙β1が定着ニップ部Nを通過することで用紙β1に熱が奪われるため、タイミングt604以降は、顕著にサーミスタ温度が低下し始める。サーミスタ温度が低下し始めると、PI制御によりトライアック56のデューティーは徐々に大きくなっていくため(図6(vi))、サーミスタ温度の低下は抑制される(図6(vii))。しかし、サーミスタ温度はなかなか目標温度TE2まで戻らず、結果として、用紙β1~β5においては、定着性が損なわれるおそれがある。
(実施例1の制御)
次に図7を用いて、実施例1の画像形成装置を説明する。図7(i)~(vii)は図6(i)~(vii)と同様の図であり、図の見方の説明は省略する。また、以下の説明にあたり、図6と重複する箇所に関しては、説明しない。なお、タイミングt701でCPU94は印刷指示を受信し、タイミングt702で用紙α1の先端が定着ニップ部Nに到達する。図7では、タイミングt703で、発熱体54b1、54b2から発熱体54b3に切り替えられる。実施例1の画像形成装置は、電磁リレー57aが接点54d3に接続され、発熱体54b3が接続されたタイミングt703で、CPU94は次のように制御する。すなわち、CPU94は、発熱体54b3を用いた場合にサーミスタ温度が目標温度TE2を維持するために最適なトライアック56のデューティーであるデューティーYに設定を変更する(図7(vi))。この点、比較例と異なる(図6(vi))。
各発熱体54bを用いてサーミスタ温度を目標温度TE2に維持するために必要なトライアック56のデューティーは、発熱体54bの抵抗値に大きく起因する。発熱体54b1、54b2の合成抵抗値が10Ω、発熱体54b3の抵抗値が20Ωの場合、トライアック56のデューティーYは、以下の式(1)に示す関係になる。
デューティーY=デューティーX×(発熱体54b3の抵抗値÷発熱体54b1、54b2の合成抵抗値)
=デューティーX×(20[Ω]÷10[Ω])
=2×デューティーX…式(1)
CPU94がこのデューティーYでトライアック56を駆動することにより、実施例1の画像形成装置は、発熱体54b3を用いて定着処理を行う場合においても、電力が不足することがなくなる。このため、タイミングt704以降においても、サーミスタ温度を目標温度TE2に維持することができる(図7(vii))。そして、用紙β1~β5においても定着性が損なわれることなく印刷を行うことができる。なお、このデューティーYに関しても、デューティーXと同様に、メモリ95に記憶されている。すなわち、メモリ95には、各発熱体54bと各発熱体54bに応じたトライアック56のデューティーYとが関連付けられて記憶されている。
以上、図6、図7を用いて説明したように、CPU94は、発熱体切り替え器57によって発熱体54b1、54b2から発熱体54b3に切り替える際に、次のように制御する。すなわち、トライアック56により発熱体54b3に供給される電流量(電力量)を発熱体54b3に応じた電流量(電力量)となるように制御する。メモリ95には、例えば、発熱体54b1、54b2とトライアック56により発熱体54b1、54b2に供給される電流量(電力量)とが関連付けられて記憶されている。他の発熱体54b3、54b4についても同様に、他の発熱体54b3、54b4とトライアック56により他の発熱体54b3、54b4に供給される電流量(電力量)とが関連付けられてメモリ95に記憶されている。このように、定着処理に使用される発熱体54bが第1の発熱体から第2の発熱体に変更されたタイミングで、トライアック56のデューティーを、変更された第2の発熱体に応じたデューティーに設定する。そして、これにより、実施例1の画像形成装置には、電力の過不足をなくし、安定した発熱体54bの温度制御を可能とするという利点がある。
[実施例1の画像形成装置のトライアックの制御フローチャート]
図8は実施例1の画像形成装置のトライアック56の制御フローチャートである。CPU94がビデオコントローラ91より印刷指示を受信した後(図7のタイミングt701以降)の制御に関して説明する。ステップ(以下、Sとする)801でCPU94は、デューティー100%でトライアック56を駆動する。S802でCPU94は、サーミスタ温度が目標温度TE2以上になったか否かを判断する。S802でCPU94は、サーミスタ温度が目標温度TE2未満であると判断した場合、処理をS802に戻し、サーミスタ温度が目標温度TE2以上であると判断した場合、処理をS803に進める。S803でCPU94は、メモリ95から発熱体54bに応じたトライアック56のデューティーXを読み出して、読み出したデューティーXでトライアック56を駆動する。
S804でCPU94は、用紙Pのサイズ(より詳細には、用紙Pの幅)が変わるタイミング(紙サイズ変更タイミング)になったか否かを判断する。S804でCPU94は、用紙Pのサイズが変わるタイミングではないと判断した場合、処理をS806に進め、用紙Pのサイズが変わるタイミングであると判断した場合、処理をS805に進める。S805でCPU94は、発熱体切り替え器57によって用紙Pのサイズに適した発熱体54bに切り替える。そして、CPU94は、メモリ95から切り替えた発熱体54bに応じたトライアック56のデューティーYを読み出して、読み出したデューティーYでトライアック56を駆動する。S806でCPU94は、印刷が終了したか否かを判断する。S806でCPU94は、印刷が終了していないと判断した場合、処理をS804に戻し、印刷が終了したと判断した場合、処理を終了する。
以上のように、実施例1の画像形成装置は、定着処理に使用される発熱体54bが変更されたタイミングで、トライアック56のデューティーを、変更された発熱体54bに即したデューティーYに設定する。そして、これにより電力の過不足をなくし、安定した発熱体54bの温度制御を可能とする。
以上、実施例1によれば、安定した発熱体の温度制御を可能とし、定着性を向上させることができる。
実施例1の画像形成装置は、定着処理に使用される発熱体54bが変更されたタイミングで、トライアック56のデューティーを、変更された後の発熱体54bに即したデューティーに再設定する。そして、これにより電力の過不足をなくし、安定した発熱体54bの温度制御を可能にしている。実施例1では、図7で説明したように、連続印刷中に紙サイズが変わったことに伴って発熱体54bを切り替えるケースを用いて説明した。一方、実施例2では、同一の紙サイズの連続印刷中に発熱体54bを切り替えるケースを用いて、実施例2の画像形成装置について説明する。CPU94は、第1の発熱体54bから第2の発熱体54bに切り替える際に、接続手段であるトライアック56により第1の発熱体54bに供給されていた電流量(電力量)(具体的にはデューティー)をメモリ95に記憶する。そして、CPU94は、発熱体切り替え器57によって第2の発熱体54bから第1の発熱体54bに切り替える(戻す)際に、メモリ95に記憶されている第1の発熱体54bに供給されていた電流量(電力量)(具体的にはデューティー)を読み出す。そして、CPU94は、読み出した電流量(電力量)となるように、すなわち、読み出したデューティーでトライアック56を制御する。
まず、同一の紙サイズの連続印刷であるにもかかわらず、発熱体54bの切り替えを行う理由について説明する。例えば、A5幅の用紙Pの連続印刷を行うケースにおいて、画像形成装置は、基本的にはA5幅の用紙Pを印刷するために最適な発熱体54b3を用いて定着処理を行う。ただし、発熱体54b3を使用し続けると、定着ニップ部Nの長手方向における端部の温度が制御されず、定着ニップ部Nの長手方向における端部と中央部との温度差が大きくなっていく。この温度差が所定の温度差以上になって、これにより定着装置50の膨張具合にもある程度の差が生じると、定着装置50が破損するおそれがある。そのため、画像形成装置では、A5幅の用紙Pの連続印刷を行うケースにおいても、所定の頻度でA4幅の用紙Pの定着処理に用いられる発熱体54b1、54b2も用いる。発熱体54b1、54b2を用いて非通紙部昇温を利用することで、定着ニップ部Nの端部を加熱し、定着ニップ部Nの長手方向における端部と中央部との温度差が小さくなるようにする。これが、A5幅の用紙Pを連続印刷する場合であっても、発熱体54bの切り替えを行う理由である。
そして、実施例2の画像形成装置は、このように特定の間隔(所定の頻度)で発熱体54bを切り替えるケースにおいて、発熱体54bを切り替える前のトライアック56のデューティーをメモリ95に記憶しておく。そして、発熱体54bを切り替える前の発熱体54bに戻す(例えば、A5幅用の発熱体54b3に戻す)際に、メモリ95に記憶しておいたデューティーでトライアック56を駆動(オン)する。これにより、より安定してサーミスタ温度を目標温度TE2に維持し、十分な定着性を確保する。
(実施例2の制御)
以下にA5幅の用紙Pの連続印刷を行うケースを示した図9を用いて、実施例2の画像形成装置の動作を詳しく説明する。図9は、A5幅の用紙γ1~γ12まで、12枚の用紙Pに定着処理を行う場合を示している。図9(i)~(vii)は図7(i)~(vii)と同様の図であり、図の見方についての説明を省略する。また、実施例2の画像形成装置は、実施例1の図1~図5と同じ構成の画像形成装置であり、説明を省略する。
CPU94は、タイミングt801で印刷指示を受信すると、定着ニップ部Nの長手方向における端部の非通紙部昇温を発生させることなくA5幅の用紙Pに定着処理を行うことが可能な発熱体54b3を使用するために、以下の制御を行う。すなわちCPU94は、タイミングt801で電磁リレー57aを接点54d3に、電磁リレー57bを接点57d4に接続する。
CPU94は、図7の説明と同様に、サーミスタ温度が目標温度TE2に達するまでは、100%の固定デューティーでトライアック56を駆動する。タイミングt802でサーミスタ温度が目標温度TE2に到達すると、CPU94はPI制御を開始する。タイミングt802でCPU94は、発熱体54b3を用いてサーミスタ温度を目標温度TE2に維持することが可能なデューティーZにトライアック56のデューティーを設定する。
デューティーZは、式(1)で述べたデューティーXとデューティーYとの関係と同様に、発熱体54bの抵抗値に大きく起因する。発熱体54b1、54b2の合成抵抗値は10Ω、発熱体54b3の抵抗値は20Ωであり、デューティーZは、以下の式(2)のような関係になる。
デューティーZ=デューティーX×(20[Ω]÷10[Ω])
=2×デューティーX …式(2)
デューティーZは、実施例1と同様にメモリ95に記憶されている。
CPU94は、発熱体54b3を用いて用紙γ1以降の用紙Pに対して定着処理を行っていく。用紙γ1は、サーミスタ温度が目標温度TE2に維持されている状態で定着ニップ部Nに到達するように給紙搬送され、その後用紙γ10まで10枚の用紙Pが搬送され、定着ニップ部Nを通過する。
ここで、上述した定着装置50の破損を防止するために、所定の数枚、例えば実施例2では10枚の用紙Pに連続印刷を行うと、CPU94は電磁リレー57aを接点57d1に、電磁リレー57bを接点57d2に切り替える。これにより、CPU94は、本来、A4幅の用紙P用の発熱体54b1、54b2にトライアック56を接続した状態にする。図9に示すように、用紙γ10の後端が定着ニップ部Nを通過したタイミングt803において、発熱体54b3から発熱体54b1、54b2に切り替わる(図9(v))。
用紙γ11は発熱体54b1、54b2を用いて定着処理が行われ、このとき非通紙部昇温によって定着ニップ部Nの長手方向における端部が温められる。これにより、定着ニップ部Nの長手方向における端部と中央部との温度差が小さくなる。実施例2の画像形成装置おいては、所定の頻度を10枚に一度の頻度とし、この頻度で発熱体54b3から発熱体54b1、54b2に切り替えて、発熱体54b1、54b2を定着処理に用いる。これにより、定着ニップ部Nの長手方向における端部と中央部との温度差が所定の温度差以上にならないようにすることができる。所定の頻度は、定着ニップ部Nの長手方向における中央部と端部との温度差に応じて決定される。
また、図7を用いて説明した動作例と同様に、発熱体54b1、54b2に切り替わったタイミングt803で、CPU94は実施例1と同様の制御を行う。すなわち、CPU94は、メモリ95から発熱体54b1、54b2を用いてサーミスタ温度を目標温度TE2に維持するために最適なデューティーXを読み出し、トライアック56をデューティーXで駆動する。これにより、発熱体54b1、54b2に切り替わった後も、サーミスタ温度を目標温度TE2に維持することができる(図9(vii))。
そして、実施例2の動作例では、CPU94は、発熱体54b3から発熱体54b1、54b2に使用する発熱体54bを切り替えたタイミングt803で、次のような動作を行う。すなわち、CPU94は、タイミングt803に、発熱体54b3に対して用いられていたトライアック56のデューティーPを第2の記憶手段であるメモリ95に記憶する。デューティーPは、デューティーZからPI制御により調整されたデューティーであり、切り替え時点(t803)において、発熱体54b3を使用してサーミスタ温度を目標温度TE2に維持するための最適な電力量に応じたデューティーであると言える。サーミスタ温度を目標温度TE2に維持するために最適な電力量が変化する要因の一例として、次のような要因が考えられる。例えば、連続印刷が進むにつれて、定着装置50の部材が温まってくると、温まった部材の熱エネルギーを定着処理に使用することができ、結果として必要な電力量、つまりトライアック56のデューティーが小さくなるといったことがあげられる。
そして、発熱体54b1、54b2で、用紙γ11を印刷した後、具体的には、用紙γ11の後端が定着ニップ部Nを通過したタイミングt804で再び発熱体切り替え器57によって発熱体54b3に切り替える。用紙γ12に対しては発熱体54b3を使用するようにし、CPU94はメモリ95に記憶しておいたデューティーPを読み出して、トライアック56のデューティーとしてデューティーPを設定する。もし、この際に、デューティーPではなくデューティーZでトライアック56を駆動してしまうと、電力が過剰になり、サーミスタ温度が目標温度TE2よりも高くなってしまうおそれがある。このため、発熱体54b1、54b2から発熱体54b3に戻す際には、トライアック56をデューティーPで駆動することで、よりサーミスタ温度を目標温度TE2に維持することが可能となる。なお、実施例2では、非通紙部昇温を利用するために発熱体54b1、54b2を用いて1枚の用紙γ11に定着処理を行った後、発熱体54b3に戻しているが、これに限定されない。発熱体54b1、54b2を用いて定着処理を行う用紙γの枚数は、定着ニップ部Nの端部と中央部との温度差が、定着装置50に影響を及ぼさない範囲の温度差に到達するような枚数にすればよい。
以上、説明したように、実施例2の画像形成装置は、発熱体54bを切り替える際に、変更前のトライアック56のデューティーをメモリ95に記憶しておく。そして、デューティーを記憶したときに使用していた発熱体54bに戻す(再度使用する)際に、記憶しておいたデューティーでトライアック56をオンする。これにより、より安定してサーミスタ温度を目標温度TE2に維持することが可能となる。
なお、実施例2の画像形成装置では、切り替え直前のデューティーの絶対値を記憶して使用したものの、切り替え前後のデューティーの相対値を記憶して使用してもよい。この場合、切り替え後の発熱体54bから切り替え前の発熱体54bへ再度切り替えを行う(元に戻す)際に、出力中のデューティーから記憶したデューティーの相対値を減算することでデューティーを算出する。具体的には、CPU94は、発熱体54b3に対するトライアック56のデューティーZとタイミングt803におけるトライアック56のデューティーPとの相対値ΔD(=Z-P)をメモリ95に記憶しておく。そして、タイミングt804では、CPU94は、メモリ95から相対値ΔDを読み出し、発熱体54b3に対するトライアック56のデューティーZから相対値ΔDを減算し、デューティーPを算出する(Z-ΔD=Z-(Z-P)=P)。
[実施例2の画像形成装置のトライアックの制御フローチャート]
図10は実施例2の画像形成装置のトライアック56の制御フローチャートである。CPU94がビデオコントローラ91から印刷指示を受信した後(図9のタイミングt801以降)の制御に関して説明する。なお、S901~S903の処理は、図8のS801~S803の処理と同様であるため、説明を省略する。
S904でCPU94は、発熱体54bを切り替えるタイミング(発熱体切替タイミング)か否かを判断する。例えば、CPU94は、連続印刷中の用紙Pをカウントするカウンタを有し、カウンタにより印刷枚数を管理している。CPU94は、印刷枚数が所定の枚数(例えば10枚)に到達したと判断した場合に、発熱体54bを切り替えるタイミングになったと判断する。S904でCPU94は、発熱体54bを切り替えるタイミングになっていないと判断した場合、処理をS909に進め、切り替えるタイミングになったと判断した場合、処理をS905に進める。
S905でCPU94は、トライアック56を駆動するために現在用いているデューティーPを、定着処理に現在使用している発熱体54b(切り替え前の発熱体54b)に紐づけてメモリ95に記憶する。S906でCPU94は、メモリ95を参照し、切り替えた後の発熱体54bに紐づいて記憶されているデューティーPがあるか否かを判断する。S906でCPU94は、メモリ95にデューティーPがあると判断した場合、処理をS907に進め、ないと判断した場合、処理をS908に進める。
S907でCPU94は、メモリ95に記憶されている、切り替え後の発熱体54bに紐づいたデューティーPを用いてトライアック56を駆動する。S907の処理は、例えば、図9のタイミングt804の動作に対応する。S908でCPU94は、切り替え後の発熱体54bに応じたメモリ95に格納されたデューティーXを用いてトライアック56を駆動し、処理をS909に進める。S908の処理は、例えば、図9のタイミングt803の動作に対応する。なお、S909の処理は図8のS806の処理と同様であり、説明を省略する。なお、S909の判断においてNOとなった場合は、処理をS904に戻す。
以上のように、実施例2の画像形成装置は、定着処理に使用される発熱体54bが変更されたタイミングで、トライアック56のデューティーを、変更された発熱体54bに即したデューティーに再設定する。更に、変更時に変更前のデューティーを記憶しておき、変更前の発熱体54bに戻す際に記憶したデューティーを用いてトライアック56を駆動する。これにより、電力の過不足をなくし、安定した発熱体の温度制御を可能とする。
以上、実施例2によれば、安定した発熱体の温度制御を可能とし、定着性を向上させることができる。
実施例2の画像形成装置は、発熱体54bを切り替える際に、その際のトライアック56のデューティーをメモリ95に記憶しておいた。そして、デューティーを記憶したときに使用していた発熱体54bを再度使用する際に、メモリ95に記憶しておいたデューティーを用いてトライアック56を駆動(オン)することにより、安定してサーミスタ温度を目標温度TE2に保つことを可能とした。
実施例3の画像形成装置は、発熱体54bを切り替える際に、切り替え前のトライアック56のデューティーと、切り替え前後の発熱体54bの抵抗値の比率と、に基づいて、切り替え後のトライアック56のデューティーを算出する。そして、算出したデューティーを、発熱体54bを切り替えた後のトライアック56の駆動に使用する。実施例1、2で述べたように、発熱体54b毎にサーミスタ温度を目標温度TE2に維持するために必要なトライアック56のデューティーは、発熱体54bの抵抗値に大きく起因する。このことから、発熱体54bの抵抗値に基づいてトライアック56のデューティーを算出することが可能であり、算出したデューティーをトライアック56の駆動に用いる。これにより、安定してサーミスタ温度を目標温度TE2に維持することを可能とする。特に、一種類の発熱体54b(例えば、発熱体54b3)を長時間使用した後で、他の発熱体54b(例えば発熱体54b1、54b2)に切り替えを行うようなケースにおいては、次のような課題が発生するおそれがある。すなわち、時間の経過によって記憶しておいたデューティーとのズレが大きくなるおそれがある。このようなおそれがある場合に、実施例3の画像形成装置が効果的となる。
すなわち、実施例3では、第1の発熱体54bから第2の発熱体54bに切り替える際に、CPU94は、次のように制御する。すなわち、CPU94は、トライアック56により第1の発熱体54bに供給されていた電流量と、第1の発熱体54bの抵抗値及び第2の発熱体54bの抵抗値と、に基づいて、第2の発熱体54bに供給する電流量を求める。そしてCPU94は、求めた電流量となるようにトライアック56を制御する。ここで、実施例1、2と同様に、発熱体54bに供給される電流量(電力量)は、具体的には、トライアック56を制御するためのデューティーに言い換えることができる。
[実施例3の画像形成装置のトライアックの制御フローチャート]
実施例2の画像形成装置との違いは、切り替え後のトライアック56のデューティーを算出して使用する点であることから、これに関して以下でフローチャートを用いて説明する。なお、実施例3の画像形成装置は、実施例1の図1~図5と同じ構成の画像形成装置である。また、実施例3のタイムチャートは、図9を援用する。図11は実施例3の画像形成装置のトライアック56の制御フローチャートである。CPU94がビデオコントローラ91より印刷指示を受信すると、S1001以降の処理を開始する。なお、S1001~S1004の処理は、図10のS901~S904の処理と同様の処理であり、説明を省略する。S1005でCPU94は、発熱体54bを切り替えた後のトライアック56のデューティーを算出する。CPU94は、算出したデューティーで発熱体54bを切り替えた後のトライアック56を駆動する。
発熱体54bを切り替えた後のトライアック56のデューティーは、以下の式(3)を用いて算出することができる。
切り替え後のデューティー=切り替え前のデューティー
×切り替え後の発熱体の抵抗値
÷切り替え前の発熱体の抵抗値…式(3)
なお、S1006の処理は、図10のS909の処理と同様の処理であり、説明を省略する。
以上で述べたように、実施例3の画像形成装置は、発熱体54bを切り替える際に、次のようにして、発熱体54bの切り替え後のデューティーを算出する。すなわち、切り替え前のトライアック56のデューティーと、切り替え前の発熱体54bの抵抗値と切り替え後の発熱体54bの抵抗値との比率と、に基づいて切り替え後のトライアック56のデューティーを算出する。CPU94は、算出したデューティーを用いてトライアック56を駆動する。そして、これにより安定してサーミスタ温度を目標温度TE2に維持することを可能とする。
以上、実施例3によれば、安定した発熱体の温度制御を可能とし、定着性を向上させることができる。
50 定着装置
54b 発熱体
56 双方向サイリスタ
57 発熱体切り替え器
59 定着温度センサ
94 CPU

Claims (13)

  1. 記録材に担持された未定着のトナー像を定着する定着装置であって、
    細長い基板と、第1の発熱体と、前記第1の発熱体と長手方向の長さが略同じ長さの第2の発熱体と、前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体よりも前記長手方向の長さが短い第3の発熱体と、前記第3の発熱体よりも前記長手方向の長さが短い第4の発熱体と、を含むヒータと、
    前記ヒータに電流を供給する、又は電流の供給を遮断する接続手段と、
    前記定着装置の温度を検知する検知手段と、
    前記検知手段により検知された検知温度が目標温度となるように前記接続手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    短手方向において、前記第1の発熱体、前記第3の発熱体、前記第4の発熱体、前記第2の発熱体の順に前記基板上に配置され、
    前記第1の発熱体、及び前記第2の発熱体の合成抵抗値は第1の値であり、前記第3の発熱体の抵抗値は前記第1の値より大きい第2の値であり、前記第4の発熱体の抵抗値は前記第1の値より大きい第3の値であり、
    前記制御手段は、前記第1の発熱体、及び前記第2の発熱体に電力を供給する場合、前記検知温度が前記目標温度を維持するように、第1のデューティーで電流を前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体に供給させ、前記第3の発熱体に電力を供給する場合、前記検知温度が前記目標温度を維持するように、第2のデューティーで電流を前記第3の発熱体に供給させ、
    前記第2のデューティーは、前記第1のデューティーより大きいことを特徴とする定着装置。
  2. 前記制御手段は、前記第1の発熱体、及び前記第2の発熱体に電力を供給する場合、前記検知温度が前記目標温度を維持するように、前記第1のデューティーで電流を前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体に供給させ、前記第4の発熱体に電力を供給する場合、前記検知温度が前記目標温度を維持するように、第3のデューティーで電流を前記第4の発熱体に供給させ、
    前記第3のデューティーは、前記第1のデューティーより大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 記第1の発熱体及び前記第の発熱体の一方の端部が電気的に接続された第1の接点と、
    記第1の発熱体、前記第の発熱体及び前記第3の発熱体の他方の端部が電気的に接続された第2の接点と、
    前記第3の発熱体及び前記第4の発熱体の一方の端部が電気的に接続された第3の接点と、
    前記第4の発熱体の他方の端部が電気的に接続された第4の接点と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体を使用する場合の前記接続手段のデューティー、前記第3の発熱体を使用する場合の前記接続手段のデューティー、及び前記第4の発熱体を使用する場合の前記接続手段のデューティーの情報を記憶した第1の記憶手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体、又は前記第の発熱体に電力を供給するための電力供給経路を切り替える切替手段を備え、
    前記制御手段は、前記切替手段によって電力供給経路を切り替える際に、切り替え後の発熱体を使用する場合のデューティーの情報を前記第1の記憶手段から読み出して、読み出した前記情報に応じたデューティーで前記接続手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体、又は前記第の発熱体に電力を供給するための電力供給経路を切り替える切替手段と、
    第2の記憶手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、
    前記切替手段によって電力供給経路を切り替える際に、切り替え前の前記接続手段のデューティーの情報を前記第2の記憶手段に記憶し、
    前記切替手段によって電力供給経路を戻す際に、前記第2の記憶手段に記憶された前記デューティーの情報に応じたデューティーで前記接続手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  7. 前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体、又は前記第の発熱体に電力を供給するための電力供給経路を切り替える切替手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記切替手段によって電力供給経路を切り替える際に、切り替え前の発熱体に供給されていた電力と、切り替え後の発熱体の抵抗値及び前記切り替え前の発熱体の抵抗値と、に基づいて、前記切り替え後の発熱体に供給する電力を求め、求めた電力となるように前記接続手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  8. 前記制御手段は、前記第の発熱体を用いて連続して定着処理を行う場合に、所定の頻度で前記切替手段によって前記第の発熱体から前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体に切り替えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の定着装置。
  9. 前記接続手段は、双方向サイリスタであり、
    前記制御手段は、前記双方向サイリスタのデューティーを制御することにより前記第1の発熱体及び前記第2の発熱体、前記第3の発熱体、又は前記第の発熱体に供給される電力を制御することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
  10. 前記ヒータにより加熱される第1の回転体と、
    前記第1の回転体とともにニップ部を形成する第2の回転体と、
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の定着装置。
  11. 前記第1の回転体は、フィルムであることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
  12. 前記ヒータは、前記フィルムの内部空間に配置されており、前記ヒータと前記第2の回転体により前記フィルムを挟持しており、
    記録材上の画像は、前記フィルムと前記第2の回転体との間に形成されたニップ部で前記フィルムを介して加熱されることを特徴とする請求項11に記載の定着装置。
  13. 記録材に未定着のトナー像を形成する画像形成手段と、
    記録材上の未定着のトナー像を定着する請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の定着装置と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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