JP7352517B2 - 液圧回転機 - Google Patents

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Description

本発明は、液圧回転機に関するものである。
特許文献1には、出力が略一定になるような定馬力特性で吐出圧と吐出流量を制御する馬力制御レギュレータを備える斜板式ピストンポンプが開示されている。この斜板式ピストンポンプは、斜板の傾転角を変える傾転アクチュエータとして、傾転角が大きくなる方向に駆動する小径ピストンと、斜板を傾転角が小さくなる方向に駆動する大径ピストンと、を備える。
馬力制御レギュレータは、斜板に追従して変位するフィードバックピンを斜板側に押し付ける外側及び内側制御スプリングと、大径ピストンの圧力室に導かれる油圧を制御する制御スプールと、を備える。外側及び内側制御スプリングは、フィードバックピンと制御スプールとの間に介装される。制御スプールは、筒状のバルブハウジングに摺動可能に設けられる。バルブハウジングの外周に形成される複数のポートは、バルブハウジングに形成される複数の連通孔を介して、制御スプールの油溝又は信号圧ポートに連通可能となる。
特開2008-240518号公報
特許文献1に開示される馬力制御レギュレータは、外側及び内側制御スプリングが発揮する付勢力に応じて移動する制御スプールによって、大径ピストンの圧力室に導かれる油圧を制御する。よって、馬力制御レギュレータの制御特性は、外側及び内側制御スプリングが発揮する付勢力に依存する。つまり、外側及び内側制御スプリングが発揮する付勢力は、馬力制御レギュレータが所望の制御特性を発揮するように設定される。
ここで、制御スプールには加工誤差(寸法誤差)が生じるため、この誤差によって、外側及び内側制御スプリングが制御スプールとフィードバックピンとによって圧縮される量、つまり、外側及び内側制御スプリングが発揮する付勢力にも誤差が生じる。これにより、馬力制御レギュレータの制御特性を所望の制御特性とすることができず、液圧回転機の馬力制御において充分な精度を発揮できないおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、液圧回転機における馬力制御の精度を向上させることを目的とする。
本発明は、液圧回転機であって、駆動軸の回転に伴って回転するシリンダブロックと、シリンダブロックに形成され駆動軸の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダの内部に容積室を区画するピストンと、シリンダブロックの回転に伴って容積室を拡縮するようにピストンを往復動させる、傾転可能な斜板と、供給される制御圧に応じて斜板を付勢する第1付勢機構と、第1付勢機構に抗するように斜板を付勢する第2付勢機構と、第1付勢機構に導かれる制御圧を液圧回転機の自己圧に応じて制御するレギュレータと、を備え、レギュレータは、斜板の傾転に追従して伸縮する付勢部材と、付勢部材の付勢力に応じて移動して、制御圧を調整する制御スプールと、付勢部材の付勢力に抗するように制御スプールに対して付勢力を発揮する補助付勢部材と、補助付勢部材が発揮する付勢力を調整する調整機構と、を有することを特徴とする。
この発明では、レギュレータの制御スプールは、付勢部材の付勢力と補助付勢部材の付勢力とに応じて移動して、制御圧を調整する。よって、調整機構により補助付勢部材の付勢力を調整することで、レギュレータの制御特性を調整し、所望の制御特性を発揮させることができる。
また、本発明は、調整機構が、付勢部材が発揮する付勢力を超えない範囲で補助付勢部材の付勢力を調整可能に構成されることを特徴とする。
この発明では、補助付勢部材の付勢力を調整する際の制御スプールの意図しない移動を防止することができる。
また、本発明は、シリンダブロックを収容するケースをさらに備え、ケースには、制御スプールが摺動自在に挿入されるスプール収容孔が形成されることを特徴とする。
この発明では、制御スプールがケースのスプール収容孔に摺動自在に挿入される。ケースに形成される孔にスリーブが収容され、当該スリーブに制御スプールが摺動自在に挿入されるような場合では、ケースとスリーブとの間、及び、スリーブと制御スプールとの間において、それぞれ作動流体の漏れが生じる。このような場合と比較して、本発明では、制御スプールがケースに直接挿入される構成であるため、作動流体の漏れを抑制することができる。
また、本発明は、レギュレータが、制御スプールと補助付勢部材との間に設けられる間座部材と、間座部材によって区画され、付勢部材の付勢力に抗するように制御スプールを付勢する信号圧が導かれる信号圧室と、をさらに有することを特徴とする。
この発明では、信号圧が信号圧室に導かれることによりレギュレータの制御特性を変更できる。よって、液圧回転機が適用される機器に応じた信号圧を信号圧室に導くことで、用途に応じた適切な制御特性を発揮することができる。また、制御圧を制御する制御スプールとは別の間座部材によって信号圧室が区画されるため、信号圧室を制御スプールに形成する場合と比較して、容易に加工できる。
本発明によれば、液圧回転機の馬力制御の精度が向上する。
本発明の第1実施形態に係る液圧回転機の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る液圧回転機のレギュレータの構成を示す図であり、図1におけるA部の拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る液圧回転機のレギュレータの構成を示す図であり、図2に対応する拡大断面図である。 本発明の比較例に係る液圧回転機のレギュレータの構成を示す拡大断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る液圧回転機100について説明する。
液圧回転機100は、外部からの動力によりシャフト(駆動軸)1が回転してピストン5が往復動することで、作動流体としての作動油を供給可能なピストンポンプとして機能する。また、液圧回転機100は、外部から供給される作動油の流体圧によりピストン5が往復動してシャフト1が回転することで、回転駆動力を出力可能なピストンモータとして機能する。なお、液圧回転機100は、ピストンポンプとしてのみ機能するものでもよいし、ピストンモータとしてのみ機能するものであってもよい。
以下の説明では、液圧回転機100をピストンポンプとして使用した場合について例示し、液圧回転機100を「ピストンポンプ100」と称する。
ピストンポンプ100は、例えば駆動対象を駆動する油圧シリンダ等のアクチュエータ(図示省略)に作動油を供給する油圧供給源として使用される。ピストンポンプ100は、図1に示すように、動力源によって回転するシャフト1と、シャフト1に連結されシャフト1と共に回転するシリンダブロック2と、シリンダブロック2を収容するケース3と、を備える。
ケース3は、有底筒状のケース本体3aと、ケース本体3aの開口端を封止しシャフト1が挿通するカバー3bと、を備える。ケース3の内部は、ドレン通路(図示省略)を通じてタンク(図示省略)に連通する。なお、ケース3の内部は、後述する吸込通路(図示省略)に連通してもよい。
カバー3bの挿通孔3cを通じて外部に突出するシャフト1の一方の端部1aには、エンジン等の動力源(図示省略)が連結される。シャフト1の端部1aは、軸受4aを介してカバー3bの挿通孔3cに回転自在に支持される。シャフト1の他方の端部1bは、ケース本体3aの底部に設けられるシャフト収容孔3dに収容され、軸受4bを介して回転自在に支持される。図示は省略するが、シャフト1の他方の端部1bには、ピストンポンプ100と共に動力源によって駆動されるギアポンプ等の他の油圧ポンプ(図示省略)の回転軸(図示省略)が、シャフト1と共に回転するように同軸的に連結される。
シリンダブロック2は、シャフト1が貫通する貫通孔2aを有し、貫通孔2aを介してシャフト1とスプライン結合される。これにより、シリンダブロック2はシャフト1の回転に伴って回転する。
シリンダブロック2には、一方の端面に開口部を有する複数のシリンダ2bがシャフト1と平行に形成される。複数のシリンダ2bは、シリンダブロック2の周方向に所定の間隔を持って形成される。シリンダ2bには、容積室6を区画する円柱状のピストン5が往復動自在に挿入される。ピストン5の先端側はシリンダ2bの開口部から突出し、その先端部には球面座5aが形成される。
ピストンポンプ100は、ピストン5の球面座5aに回転自在に連結され球面座5aに摺接するシュー7と、シリンダブロック2の回転に伴ってシュー7が摺接する斜板8と、シリンダブロック2とケース本体3aの底部との間に設けられるバルブプレート9と、をさらに備える。
シュー7は、各ピストン5の先端に形成される球面座5aを受容する受容部7aと、斜板8の摺接面8aに摺接する円形の平板部7bと、を備える。受容部7aの内面は球面状に形成され、受容した球面座5aの外面と摺接する。これにより、シュー7は球面座5aに対してあらゆる方向に角度変位可能である。
斜板8は、ピストンポンプ100の吐出量を可変とするため、カバー3bに傾転可能に支持される。シュー7の平板部7bは、摺接面8aに対して面接触する。
バルブプレート9は、シリンダブロック2の基端面が摺接する円板部材であり、ケース本体3aの底部に固定される。図示は省略するが、バルブプレート9には、シリンダブロック2に形成された吸込通路と容積室6とを接続する吸込ポートと、シリンダブロック2に形成された吐出通路と容積室6とを接続する吐出ポートと、が形成される。
ピストンポンプ100は、流体圧に応じて斜板8を傾転させる傾転機構20と、傾転機構20に導かれる流体圧を斜板8の傾転角に応じて制御するレギュレータ50と、をさらに備える。
傾転機構20は、傾転角が小さくなる方向に斜板8を付勢する第1付勢機構30と、傾転角が大きくなる方向に斜板8を付勢する第2付勢機構40と、を有する。つまり、第2付勢機構40は、第1付勢機構30に抗するように斜板8を付勢する。
第1付勢機構30は、カバー3bに形成される第1ピストン収容孔31に摺動自在に挿入され斜板8に当接する大径ピストン32と、大径ピストン32によって第1ピストン収容孔31内に区画される制御圧室33と、を有する。
制御圧室33には、レギュレータ50によって調整される流体圧(以下、「制御圧」と称する。)が導かれる。大径ピストン32は、制御圧室33に導かれた制御圧によって、傾転角が小さくなる方向に斜板8を付勢する。
第2付勢機構40は、ケース本体3aに形成される第2ピストン収容孔41に摺動自在に挿入され斜板8に当接する制御ピストンとしての小径ピストン42と、小径ピストン42によって第2ピストン収容孔41内に区画される圧力室43と、を有する。
小径ピストン42は、第1摺動部42aと、第1摺動部42aよりも外径が小さい第2摺動部42bと、第1摺動部42aと第2摺動部42bの外径差によって形成される段差面42cと、を有する。
第2ピストン収容孔41は、小径ピストン42の第1摺動部42aが摺動する第1収容部41aと、第1収容部41aよりも内径が小さく第2摺動部42bが摺動する第2収容部41bと、第1収容部41aと第2収容部41bとの内径差によって形成される段差面41cと、を有する。第1収容部41aは、ケース3の内部に開口する。小径ピストン42の第2摺動部42bの外周面及び段差面42cと、第2ピストン収容孔41の第1収容部41aの内周面及び段差面41cと、によって圧力室43が区画される。つまり、圧力室43は、小径ピストン42の外周に形成される環状の空間である。
圧力室43には、ケース本体3aに形成される吐出圧通路10を通じて、ピストンポンプ100の吐出圧(自己圧)が常時導かれる。小径ピストン42は、圧力室43に導かれた吐出圧を受けて、傾転角が大きくなる方向に斜板8を付勢する。小径ピストン42の外周に形成される段差面42cが、圧力室43に導かれた吐出圧を受圧する小径ピストン42の受圧面である。
また、小径ピストン42には、後述する外側スプリング51a及び内側スプリング51bの一端部を収容するばね収容孔44aが、斜板8とは反対側の端部に形成される。さらに、小径ピストン42には、ばね収容孔44aとケース3の内部とを連通する連通孔44bが形成される。よって、ばね収容孔44a及び第2ピストン収容孔41の内部は、連通孔44b及びケース3の内部を通じてタンクと連通する。
大径ピストン32は、小径ピストン42よりも制御圧の受圧面積が大きく形成される。大径ピストン32は、図1に示すように、斜板8に対して小径ピストン42とは反対側に設けられる。つまり、大径ピストン32は、シャフト1の中心軸に対する周方向の位置が小径ピストン42と略一致するように配置される。
レギュレータ50は、ピストンポンプ100の吐出圧に応じて制御圧室33に導かれる制御圧を調整し、ピストンポンプ100の馬力(出力)を制御する。
レギュレータ50は、小径ピストン42を斜板8に向けて付勢する付勢部材としての外側スプリング51a及び内側スプリング51bと、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力に応じて移動して、制御圧を調整する制御スプール52と、外側スプリング51a及び内側スプリング51bが制御スプール52に対して発揮する付勢力に抗するように制御スプール52に対して付勢力を発揮する補助付勢部材としての補助スプリング70と、補助スプリング70が発揮する付勢力を調整する調整機構80と、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力による制御スプール52の所定以上の移動を規制するストッパ90と、を有する。
外側スプリング51a及び内側スプリング51bは、それぞれコイルスプリングであり、斜板8の傾転に追従するように伸縮する。内側スプリング51bは、外側スプリング51aよりも巻き径が小さく、外側スプリング51aの内側に設けられる。外側スプリング51a及び内側スプリング51bの一端部は、小径ピストン42のばね収容孔44aに収容され、ばね座72を介してばね収容孔44aの底部に着座する。外側スプリング51a及び内側スプリング51bの他端部は、ばね座73を介して制御スプール52の端面に着座する。一方のばね座72は、小径ピストン42と共に移動し、他方のばね座73は、制御スプール52と共に移動する。
斜板8の傾転角が最大となる状態(図1に示す状態)では、他方のばね座73は、第2ピストン収容孔41の第2収容部41bの底部とは接触せず、第2収容部41bの底部から離れて浮いた状態となる。
外側スプリング51aの自然長(自由長)は、内側スプリング51bの自然長より長い。斜板8の傾転角が最大となる状態(図1に示す状態)では、外側スプリング51aはばね座72によって圧縮された状態となる一方、内側スプリング51bはいずれかの端部がばね座(図1ではばね座72)から離れて浮いた状態(自然長となる状態)となる。つまり、斜板8の傾転角が最大の状態から小さくなる際、初めのうちは外側スプリング51aのみが圧縮され、外側スプリング51aの長さが内側スプリング51bの自然長を超えて圧縮されると、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの両方が圧縮される。これにより、小径ピストン42を介して斜板8に付与される外側スプリング51a及び内側スプリング51bからの弾性力が段階的に高まるように構成される。
ケース本体3aには、制御スプール52が摺動自在に挿入されるスプール収容孔50aが形成される。スプール収容孔50aは、小径ピストン42を収容する第2ピストン収容孔41と同軸に形成され、第2ピストン収容孔41(より具体的には第2収容部41b)に連通して設けられる。
また、ケース本体3aには、ピストンポンプ100の吐出圧が導かれる吐出圧通路10と、大径ピストン32の制御圧室33に制御圧を導く制御圧通路11と、が形成される。吐出圧通路10には、ピストンポンプ100の吐出圧が常時導かれている。制御圧通路11は、カバー3bに形成されるカバー側通路(図示省略)を通じて制御圧室33に連通する。
スプール収容孔50aは、ケース本体3aの端面に開口する。ケース本体3aの端面に対するスプール収容孔50aの開口は、キャップ85により閉塞される。
図2に示すように、キャップ85には、制御スプール52の一端部を収容する凹部86が形成される。凹部86は、第1凹部86aと、第1凹部86aよりも内径が大きい第2凹部86bと、第2凹部86bよりも内径が大きい第3凹部86cと、を有する。第1凹部86aと第2凹部86bとの内径差により、第1凹部段差面86dが形成される。第2凹部86bと第3凹部86cとの内径差により、第2凹部段差面86eが形成される。第3凹部86cは、ケース本体3aの端面に臨んでいる。
制御スプール52は、スプール収容孔50aの内周面に摺接する本体部53と、本体部53の一端部に設けられ本体部53よりも外径が大きく形成されるフランジ部54と、本体部53においてフランジ部54とは反対側の他端部に設けらればね座73に挿入される突出部55と、を有する。
フランジ部54は、キャップ85の第3凹部86c内に収容される。突出部55は、本体部53より外径が小さく形成され、本体部53と突出部55の外径差により生じる段差面55aは、ばね座73に当接する。
制御スプール52の外周には、第1制御ポート56a及び第2制御ポート56bが、それぞれ環状の溝として形成される。また、制御スプール52には、第1制御ポート56aに連通する第1制御通路57a及び第2制御ポート56bに連通する第2制御通路57bが、それぞれ径方向に制御スプール52を貫通するように形成される。
制御スプール52には、一端部(突出部55)から軸方向に沿って設けられる軸方向通路58aと、他端部(フランジ部54)から軸方向に沿って設けられ後述する軸部78が挿入される軸部挿入孔58bと、が形成される。軸方向通路58aは、第1制御通路57aと、ばね座73に形成さればね収容孔44a(第2ピストン収容孔41)に連通する接続通路73aとを連通する。軸部挿入孔58bは、第2制御通路57bに連通する。
このように、第1制御通路57aは、軸方向通路58a、ばね座73の接続通路73a、小径ピストン42のばね収容孔44a及び連通孔44bを通じてケース3の内部と連通する。よって、第1制御通路57a内の圧力は、タンク圧となる。
ストッパ90は、キャップ85の凹部86の第2凹部86bに挿入される円筒状の第1ストッパ部90aと、キャップ85の凹部86の第3凹部86cに挿入され第1ストッパ部90aよりも外径が大きい第2ストッパ部90bと、を有する。ストッパ90には、軸心を通る中央孔90cが軸方向に沿って形成される。図1に示す斜板8の傾転角が最大の状態では、制御スプール52のフランジ部54がストッパ90の第2ストッパ部90bの端面に当接する。また、ストッパ90は、制御スプール52を介して伝達される外側スプリング51aの付勢力によって、第1ストッパ部90aが凹部86の第1凹部段差面86dに当接するように押し付けられる。これにより、外側スプリング51aの付勢力による図中左方向への制御スプール52の所定以上の移動がストッパ90により規制される。
補助スプリング70は、コイルスプリングである。補助スプリング70の一端は、キャップ85の凹部86に収容される着座部材75に着座し、他端は、制御スプール52のフランジ部54に着座する。補助スプリング70は、ストッパ90の中央孔90cを通って、着座部材75と制御スプール52のフランジ部54との間で圧縮された状態で設けられる。
着座部材75は、キャップ85の凹部86の第1凹部86aの内周面に摺接する板状のベース部76と、ベース部76から軸方向に突出し補助スプリング70の内周を支持する支持部77と、支持部77の先端から軸方向に突出し制御スプール52の軸部挿入孔58bに挿入される軸部78と、を有する。ベース部76と支持部77との外径差によって形成される段差面(支持部77側のベース部76の端面)76aに補助スプリング70の一端部が着座する。
制御スプール52の軸部挿入孔58bに着座部材75の軸部78が摺動可能に挿入されることにより、軸部挿入孔58bと軸部78とによって信号圧室59が形成される。第2制御通路57bに導かれる吐出圧は、信号圧として制御スプール52の信号圧室59に導かれ、軸部78に対向する第2制御通路57bの内壁部に作用する。制御スプール52は、軸部78(軸部挿入孔58b)の断面積分に相当する受圧面積によって吐出圧を受け、吐出圧によって外側スプリング51a及び内側スプリング51bを圧縮する方向に付勢される。
調整機構80は、キャップ85に形成される雌ねじ孔81と、雌ねじ孔81に螺合し着座部材75を補助スプリング70の付勢方向に沿って進退させるねじ部材82と、雌ねじ孔81に対するねじ部材82の螺合位置を固定するナット83と、を有する。
雌ねじ孔81は、凹部86の第1凹部86aの底部を貫通して形成され、第1凹部86aに開口する。
ねじ部材82は、補助スプリング70が着座する端面76aとは軸方向の反対側からベース部76に当接する。ねじ部材82は、雌ねじ孔81との螺合位置を調整することで、その軸方向(補助スプリング70の付勢力の方向)に沿って着座部材75に対して進退する。つまり、ねじ部材82を進退させることで、補助スプリング70が伸縮するように着座部材75が進退し、補助スプリング70のセット荷重(初期荷重)を調整することができる。これにより、補助スプリング70が発揮する付勢力が調整可能に構成される。ナット83がねじ部材82に螺合してキャップ85に対して締め付けられることで、雌ねじ孔81に対するねじ部材82の螺合位置が固定される。
以上のように、制御スプール52は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bによる付勢力によって斜板8から離れる方向(図中左方向)に付勢される。また、制御スプール52は、信号圧室59に導かれたピストンポンプ100の吐出圧と、補助スプリング70による付勢力と、によって斜板8に近づく方向に付勢される。つまり、制御スプール52は、外側スプリング51a及び内側スプリング51b、補助スプリング70、及びピストンポンプ100の吐出圧による付勢力が釣り合うように移動する。
具体的には、制御スプール52は、第1ポジションと第2ポジションとの2つのポジションの間で移動する。図1及び図2(後述する図3、図4も同様)は、制御スプール52が第2ポジションである状態を示している。制御スプール52は、図1及び図2に示す第2ポジションから、図中右方向へ移動するのに伴い、第1ポジションに切り換わる。
第1ポジションは、斜板8の傾転角を小さくしてピストンポンプ100の吐出容量を減少させるポジションである。第1ポジションでは、ケース本体3aの吐出圧通路10と制御圧通路11とが、制御スプール52の第2制御ポート56bを通じて連通し、制御スプール52の第1制御通路57aと制御圧通路11とは連通が遮断される。よって、第1ポジションでは、第1付勢機構30の制御圧室33には、ピストンポンプ100の吐出圧が導かれる。
第2ポジションは、斜板8の傾転角を大きくしてピストンポンプ100の吐出容量を上昇させるポジションである。第2ポジションでは、制御圧通路11と制御スプール52の第1制御通路57aとが第1制御ポート56aを通じて連通し、吐出圧通路10と制御圧通路11との連通が遮断される。よって、第2ポジションでは、制御圧室33には、タンク圧が導かれる。
次に、ピストンポンプ100の作用について説明する。
ピストンポンプ100では、レギュレータ50によって、ピストンポンプ100の吐出圧を一定に保つように、ピストンポンプ100の吐出容量(斜板8の傾転角)を制御する馬力制御が行われる。
レギュレータ50の制御スプール52は、ピストンポンプ100の吐出圧による付勢力と補助スプリング70による付勢力とによって第1ポジションとなるように付勢されると共に、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力によって第2ポジションとなるように付勢される。
ピストンポンプ100の吐出圧及び補助スプリング70による付勢力が外側スプリング51aの付勢力以下に保たれた状態では、レギュレータ50の制御スプール52は第2ポジションに位置し、斜板8の傾転角が最大に保たれる(図1参照)。
ピストンポンプ100の吐出圧は、ピストンポンプ100の吐出圧で駆動する油圧シリンダの負荷が上昇するのに伴い上昇する。斜板8の傾転角が最大に保たれた状態から、ピストンポンプ100の吐出圧が上昇すると、吐出圧及び補助スプリング70による付勢力の合力が外側スプリング51aの付勢力を上回るようになる。これにより、制御スプール52は、第2ポジションから第1ポジションに切り換わる方向(図中右方向)へ移動する。制御スプール52が第1ポジションまで移動すると、制御圧通路11に吐出圧通路10から吐出圧が導かれるため、制御圧が上昇する。より具体的には、制御スプール52が第1ポジションに移動するにつれて、制御圧通路11に対する制御スプール52の第2制御ポート56bの開口面積(流路面積)が増加する。よって、第1ポジションに切り換わる方向(図中右方向)への制御スプール52の移動量が大きくなるについて、制御圧通路11に導かれる制御圧が上昇する。制御圧通路11に導かれる制御圧が上昇することにより、大径ピストン32(図1参照)が斜板8に向けて移動し、傾転角が小さくなる方向に斜板8が傾転する。よって、ピストンポンプ100の吐出容量が減少する。
傾転角が小さくなる方向に斜板8が傾転すると、小径ピストン42は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bを圧縮するように、斜板8に追従して図中左方向へ移動する。言い換えれば、傾転角が小さくなる方向に斜板8が傾転すると、小径ピストン42は、第2ポジションに切り換わる方向へ外側スプリング51a(及び内側スプリング51b)を通じて制御スプール52を付勢するように移動する。これにより、制御スプール52が押し戻されて第2ポジションに切り換わる方向へ移動すると、制御圧通路11を通じて制御圧室33へ供給される制御圧が減少する。制御圧の減少に伴い、制御圧により斜板8に付与される付勢力が、外側スプリング51a(及び内側スプリング51b)から斜板8に付与される付勢力と釣り合うと、大径ピストン32の移動(斜板8の傾転)が停止する。このように、ピストンポンプ100の吐出圧が上昇すると、吐出容量が減少する。
反対に、ピストンポンプ100の吐出圧は、ピストンポンプ100の吐出圧で駆動する油圧シリンダの負荷が低下するのに伴い低下する。ピストンポンプ100の吐出圧が低下すると、ピストンポンプ100の吐出圧及び補助スプリング70による付勢力の合力が外側スプリング51a及び内側スプリング51bによる付勢力を下回るようになる。これにより、制御スプール52は、第1ポジションから第2ポジションへ切り換わる方向へ移動する。制御スプール52が第2ポジションに移動すると、制御圧通路11がタンク圧である第1制御通路57aに連通するため、制御圧は低下する。制御圧が低下することにより、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力を受ける小径ピストン42によって傾転角が大きくなる方向に斜板8が傾転する。
傾転角が大きくなる方向に斜板8が傾転すると、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力を受ける小径ピストン42は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bが伸長するように、斜板8に追従して図中右方向へ移動する。これにより、外側スプリング51a及び内側スプリング51bから制御スプール52が受ける付勢力が小さくなる。このため、制御スプール52は、第2制御通路57bに導かれる吐出圧を受けて、外側スプリング51a及び内側スプリング51bを圧縮する方向へ移動する。つまり、制御スプール52は、小径ピストン42に追従するように、第2ポジションから第1ポジションへと切り換わる方向へ移動する。制御スプール52が再び第1ポジションに位置して制御圧が上昇し、制御圧により斜板8に付与される付勢力が、外側スプリング51a(及び内側スプリング51b)から斜板8に付与される付勢力と釣り合うと、大径ピストン32の移動(斜板8の傾転)が停止する。このように、ピストンポンプ100の吐出圧が低下すると、吐出容量が増加する。
以上のように、ピストンポンプ100の吐出圧が上昇することによりピストンポンプ100の吐出容量が減少し、吐出圧が低下することにより吐出容量が増加するように馬力制御が行われる。
ここで、本発明の理解を容易にするために、図4を参照して、本発明の比較例に係るレギュレータ250について説明する。上記実施形態と同様の構成については、上記実施形態と同様の符号を付して説明を省略する。
比較例に係るレギュレータ250は、ケース本体3aに形成される取付孔3eに取り付けられるスリーブ260を有する。また、比較例では、本実施形態における補助スプリング70及び調整機構80は設けられない。
スリーブ260は、ケース本体3aの取付孔3eに形成される雌ねじ203に螺合することで、ケース本体3aに取り付けられる。スリーブ260には、制御スプール52が挿入されるスプール収容孔250aが形成される。また、スリーブ260には、外周に形成される第1ポート260aを通じて制御圧通路11に連通する第1連通孔261aと、外周に形成される第2ポート260bを通じて吐出圧通路10に連通する第2連通孔261bと、が形成される。第1ポート260a及び第2ポート260bは、それぞれスリーブ260の外周面に形成される円環状の溝である。第1連通孔261aと第2連通孔261bとは、それぞれスプール収容孔250aと交差し、スプール収容孔250aに連通する。
スリーブ260に形成されるスプール収容孔250aの一端は、上記実施形態と同様に、小径ピストン42を収容する第2ピストン収容孔41に開口する。スプール収容孔250aの他端は、スリーブ260に螺合して取り付けられるプラグ270によって封止される。また、プラグ270は、制御スプール52に形成される軸部挿入孔58bに挿入される軸部278を有する。プラグ270の軸部278は、上記実施形態における軸部78に対応する構成である。
比較例では、第1ポジションにおいて、スリーブ260の第1連通孔261aと第2連通孔261bとが制御スプール52の第2制御ポート56bを通じて連通し、制御スプール52の第1制御通路57aと第1連通孔261aとは連通が遮断される。よって、第1ポジションでは、第1付勢機構30の制御圧室33には、ピストンポンプ100の吐出圧が導かれる。
第2ポジションでは、第1連通孔261aと制御スプール52の第1制御通路57aとが第1制御ポート56aを通じて連通し、第1連通孔261aと第2連通孔261bとの連通が遮断される。よって、第2ポジションでは、制御圧室33には、タンク圧が導かれる。
ここで、制御スプールや外側スプリングには加工誤差(寸法誤差)が生じるため、この誤差に起因して外側スプリングのセット荷重にも誤差が生じるおそれがある。外側スプリングのセット荷重の誤差によって、レギュレータによるピストンポンプの負荷の変化に対する斜板の傾転角の制御特性(言い換えれば馬力制御特性)にも誤差が生じるおそれがある。
比較例に係るレギュレータ250では、ケース本体3aに対するスリーブ260の螺合位置を調整して、スリーブ260及びスリーブ260に収容される制御スプール52を外側スプリング51aに対して進退させることで、外側スプリング51aを伸縮させて外側スプリング51aのセット荷重を調整することができる。このような手段により、比較例では、制御スプール52の加工誤差に起因したレギュレータ250の制御特性の誤差を調整して、所望の制御特性を実現することができる。
しかしながら、比較例では、スリーブ260に形成される第1ポート260aとケース本体3aに形成される制御圧通路11、及び、スリーブ260に形成される第2ポート260bとケース本体3aに形成される吐出圧通路10とは、常時連通する必要がある。よって、比較例のように制御特性の調整のためにスリーブ260を移動させる構成では、スリーブ260の孔とケース本体3aの通路とが連通する範囲でしかスリーブ260を移動させることができず、制御特性の調整の程度には制限がある。つまり、比較例では、スリーブ260及び制御スプール52とケース本体3aとの相対的な位置関係の制約によって、制御特性の調整の程度(調整幅)に制限が生じる。
これに対し、本実施形態では、上述のように、制御スプール52は、ピストンポンプ100の吐出圧(自己圧)による付勢力、外側スプリング51a及び内側スプリング51bが発揮する付勢力、及び補助スプリング70が発揮する付勢力が釣り合うように移動して、制御圧を調整する。これにより、ピストンポンプ100は馬力制御される。つまり、レギュレータ50による馬力制御の特性は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bが発揮する付勢力と、補助スプリング70が発揮する付勢力と、に影響される。
本実施形態では、外側スプリング51aを伸縮させて(言い換えれば、外側スプリング51aのセット荷重を調整して)制御特性を調整する構成ではなく、調整機構80によって補助スプリング70の付勢力(セット荷重)を調整することによって制御特性を調整する構成である。調整機構80によって補助スプリング70の付勢力を調整することで、制御スプール52とケース本体3aとの相対的な位置関係を変えることなく、言い換えれば、外側スプリング51aを伸縮させることなく制御特性を調整することができる。よって、制御スプール52とケース本体3aとの相対的な位置関係の制約に影響されることなく制御特性を調整できるため、より精度よく所望の制御特性を実現できる。
なお、制御スプール52の加工誤差に起因する制御特性の誤差を調整する目的に限らず、ピストンポンプ100が使用される用途に応じて制御特性を調整することも可能である。
補助スプリング70が発揮する付勢力は、ピストンポンプ100の仕様、ピストンポンプ100の用途(言い換えれば、作動油を供給するアクチュエータの仕様)、動力源(例えばエンジン)の仕様等に応じて定められる。また、補助スプリング70の付勢力(セット荷重)は、斜板8の傾転角に関わらず外側スプリング51a及び内側スプリング51bが発揮する付勢力の合力を超えない範囲において、調整機構80により調整されることが望ましい。つまり、補助スプリング70が発揮する最大のセット荷重は、斜板8の傾転角が最大の状態(図1に示す状態)において外側スプリング51aが発揮する付勢力よりも小さくなるように構成されることが望ましい。これにより、制御特性を定める因子として、外側スプリング51a及び内側スプリング51bが発揮する付勢力が支配的となる。また、補助スプリング70の付勢力の調整(増大)により外側スプリング51aを圧縮するように制御スプール52が移動すること防止できる。よって、ケース本体3aに形成される通路と制御スプール52に形成されるポートとの連通状態が補助スプリング70の付勢力の調整によって意図せず変化することを防止できる。
また、図4に示す比較例では、ケース本体3aの取付孔3eにスリーブ260が挿入され、スリーブ260のスプール収容孔250aに制御スプール52が挿入される構成である。このため、比較例では、ケース本体3aとスリーブ260との間、及び、スリーブ260と制御スプール52の間の2箇所において作動油の漏れが生じるおそれがある。これに対し、本実施形態では、比較例のようなスリーブ260は設けられず、制御スプール52は、ケース本体3aに形成されるスプール収容孔50aに直接挿入される。よって、比較例よりも作動油の漏れが発生する部位が少なくなるため、作動油の漏れを抑制することができる。また、本実施形態は、スリーブ260が設けられず比較例よりも部品点数が少ないため、コストを削減できると共にピストンポンプ100を小型化することができる。
なお、ピストンポンプ100は、少なくとも調整機構80によって補助スプリング70の付勢力を調整する構成であればよく、制御スプール52がケース本体3aに形成されるスプール収容孔50aに直接挿入される構成は必須ではない。ピストンポンプ100は、例えば、図4に示す比較例のスリーブ260を有するものでもよい。言い換えれば、図4に示す比較例に本実施形態の調整機構80を設け、調整機構80によって補助スプリング70の付勢力を調整するように構成した形態も、本発明の範囲内である。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
ピストンポンプ100では、調整機構80によって補助スプリング70の付勢力を調整することで、レギュレータ50の制御特性を調整することができる。よって、制御スプール52の加工誤差等に起因する制御特性の誤差が生じても、補助スプリング70の付勢力を調整することで、所望の制御特性を精度よく実現することができる。
また、ピストンポンプ100では、調整機構80によって補助スプリング70の付勢力を調整する構成であるため、外側スプリング51a及び内側スプリング51bのセット荷重を調整することなく、レギュレータ50の制御特性を調整することができる。このため、制御スプール52とケース本体3aとの相対的な位置関係の制約に影響されることなく制御特性を調整でき、より精度よく所望の制御特性を実現できる。
また、ピストンポンプ100では、補助スプリング70の付勢力(セット荷重)は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力の合力を超えない範囲で調整される。これにより、補助スプリング70の付勢力を大きくしても、外側スプリング51a及び内側スプリング51bを圧縮するような制御スプール52の移動が生じない。このように、補助スプリング70の付勢力の調整の際に制御スプール52の意図しない移動が防止されるため、制御スプール52に形成されるポート(第1制御ポート56a及び第2制御ポート56b)とケース本体3aに形成される通路(吐出圧通路10及び制御圧通路11)との連通状態が意図せず変化することを防止できる。
また、ピストンポンプ100では、制御スプール52がケース本体3aのスプール収容孔50aに直接挿入されるため、作動油の漏れを抑制すると共に部品点数を削減してピストンポンプ100の小型化及び低コスト化を実現することができる。
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態について、説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。具体的には、第2実施形態は、レギュレータ150の構成が第1実施形態のレギュレータ50の構成と異なるのみであり、その他の構成は同様である。
上記第1実施形態では、補助スプリング70は、ストッパ90の中央孔90cを通過して着座部材75と制御スプール52との間に設けられる。また、着座部材75の軸部78が制御スプール52の軸部挿入孔58bに挿入される。
これに対し、第2実施形態のレギュレータ150では、図3に示すように、補助スプリング70は、ストッパ190と着座部材175との間に圧縮した状態で設けられる。以下、具体的に説明する。
第2実施形態では、制御スプール152は、フランジ部54を有しておらず、軸部挿入孔58bも設けられない。ストッパ190側の制御スプール152の端部は、ストッパ190の端面に当接する。
制御スプール152とは反対側のストッパ190の端面には、補助スプリング70の一端が着座すると共に、2つの軸部挿入孔191a,191bがストッパ190の軸方向に沿って形成される。なお、本実施形態におけるストッパ190が「間座部材」に相当する。
着座部材175は、支持部77から軸方向に突出する一対の軸部78a,78bを有する。一対の軸部78a,78bは、ストッパ190に形成される一対の軸部挿入孔191a,191bにそれぞれ挿入される。これにより、一対の軸部78a,78bと当該軸部78a,78bが挿入される軸部挿入孔191a,191bとの内壁によって、馬力制御に利用される信号圧が導かれる一対の信号圧室193a,193bが形成される。
一方の信号圧室193aは、ストッパ190の外周に形成される第1連通ポート190a、信号圧室193aと第1連通ポート190aとを接続する第1接続通路192a、及びキャップ85に形成される第1キャップ通路85aを通じて吐出圧通路10に連通する。他方の信号圧室193bは、ストッパ190の外周に形成される第2連通ポート190b、信号圧室193bと第2連通ポート190bとを接続する第2接続通路192b、及びキャップ85に形成される第2キャップ通路85bを通じて、ケース本体3aに形成される外部圧通路(図示省略)に連通する。外部圧通路には、例えば、ピストンポンプ100と共に動力源によって駆動される他の油圧ポンプから吐出される信号圧としての外部ポンプ圧が導かれる。
このように、本実施形態では、信号圧としてピストンポンプ100の吐出圧と他の油圧ポンプの吐出圧とが信号圧室193a,193bに導かれるが、この構成に限定されるものではない。例えば、ストッパ190には、3つ以上の信号圧室が形成されてもよいし、1つの信号圧室が形成されるものでもよい。また、信号圧の種類も上記実施形態に限定されるものではなく、ピストンポンプ100の用途等に応じて任意に構成することができる。例えば、ピストンポンプ100が、2つのポートから作動油を吐出する、いわゆるスプリットフロータイプである場合には、一方のポートから吐出される作動油の吐出圧を信号圧として一方の信号圧室に導き、他方のポートから吐出される作動油の吐出圧を信号圧として他方の信号圧室に導くように構成してもよい。
信号圧室193a,193bに導かれる信号圧は、軸部78a,78bに対向する信号圧室193a,193bの内壁部に作用する。よって、制御スプール152は、ストッパ190を介して軸部78a,78bの断面積(言い換えれば軸部挿入孔191a,191bの断面積)分に相当する受圧面積によって信号圧を受け、信号圧によって外側スプリング51a及び内側スプリング51bを圧縮する方向に付勢される。
よって、本実施形態に係るピストンポンプ100では、レギュレータ150の制御スプール52は、ストッパ190を介して付与されるピストンポンプ100の吐出圧(信号圧)による付勢力、ストッパ190を介して付与される他の油圧ポンプの吐出圧(信号圧)、及び補助スプリング70による付勢力によって第1ポジションとなるように付勢される。また、制御スプール52は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力によって第2ポジションとなるように付勢される。
なお、第2実施形態におけるレギュレータ150による馬力制御は、制御スプール52を第1ポジションとなるように付勢する信号圧の数・種類が第1実施形態と異なるのみであり、その他の点については同様であるため、具体的な説明は省略する。
以上の第2実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
第2実施形態では、ストッパ190に一対の軸部78a,78bが挿入され、軸部78a,78bによってストッパ内に信号圧室193a,193bが形成される。制御スプール52ではなくストッパ190に信号圧室193a,193bを形成することで、制御スプール52の大型化を抑制することができる。また、ストッパ190に信号圧室193a,193bを形成するため、制御スプール52に信号圧室193a,193bを形成する場合と比較して、複数の信号圧室193a,193bを形成しやすくなる。これにより、馬力制御の制御因子を容易に増加させることができるため、より精度よく馬力制御を行うことができる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
ピストンポンプ100は、シャフト1の回転に伴って回転するシリンダブロック2と、シリンダブロック2に形成されシャフト1の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダ2bと、シリンダ2b内に摺動自在に挿入されシリンダ2bの内部に容積室6を区画するピストン5と、シリンダブロック2の回転に伴って容積室6を拡縮するようにピストン5を往復動させる傾転可能な斜板8と、供給される制御圧に応じて斜板8を付勢する第1付勢機構30と、第1付勢機構30に抗するように斜板8を付勢する第2付勢機構40と、第1付勢機構30に導かれる制御圧をピストンポンプ100の自己圧に応じて制御するレギュレータ50,150と、を備え、レギュレータ50,150は、斜板8の傾転に追従して伸縮する外側スプリング51a及び内側スプリング51bと、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力に応じて移動して、制御圧を調整する制御スプール52と、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力に抗するように制御スプール52に対して付勢力を発揮する補助スプリング70と、補助スプリング70が発揮する付勢力を調整する調整機構80と、を有する。
この構成では、レギュレータ50,150の制御スプール52は、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力と補助スプリング70の付勢力とに応じて移動して、制御圧を調整する。よって、調整機構80により補助スプリング70の付勢力を調整することで、レギュレータ50,150の制御特性を調整し、所望の制御特性を発揮させることができる。したがって、ピストンポンプ100の馬力制御の精度が向上する。
また、ピストンポンプ100では、調整機構80が、外側スプリング51a及び内側スプリング51bが発揮する付勢力を超えない範囲で補助スプリング70の付勢力を調整可能に構成される。
この構成では、補助スプリング70の付勢力を調整する際の制御スプール52の意図しない移動を防止することができる。
また、ピストンポンプ100は、シリンダブロック2を収容するケース3をさらに備え、ケース3には、制御スプール52が摺動自在に挿入されるスプール収容孔50aが形成される。
この構成では、制御スプール52がケース3のスプール収容孔50aに摺動自在に挿入される。図4に示す比較例のように、ケース3に形成される取付孔3eにスリーブ260が収容され、当該スリーブ260に制御スプール52が摺動自在に挿入されるような場合では、ケース3とスリーブ260との間、及び、スリーブ260と制御スプール52との間において、それぞれ作動流体の漏れが生じる。このような場合と比較して、本発明では、制御スプール52がケース本体3aに直接挿入される構成であるため、作動油の漏れを抑制することができる。
また、第2実施形態では、レギュレータ150が、制御スプール52と補助スプリング70との間に設けられるストッパ190と、ストッパ190によって区画され、外側スプリング51a及び内側スプリング51bの付勢力に抗するように制御スプール52を付勢する信号圧が導かれる信号圧室193a,193bと、をさらに有する。
この構成では、信号圧が信号圧室193a,193に導かれることによりレギュレータ150の制御特性を変更できる。よって、ピストンポンプ100が適用される機器に応じた信号圧を信号圧室193a,193bに導くことで、用途に応じた適切な制御特性を発揮することができる。また、制御圧を制御する制御スプール52とは別部材のストッパ190によって信号圧室193a,193bが区画されるため、信号圧室193a,193bを制御スプール52に形成する場合と比較して、容易に加工できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
1…シャフト(駆動軸)、2…シリンダブロック、2b…シリンダ、3…ケース、5…ピストン、6…容積室、8…斜板、30…第1付勢機構、40…第2付勢機構、50,150…レギュレータ、50a…スプール収容孔、51a…外側スプリング(付勢部材)、51b…内側スプリング(付勢部材)、52…制御スプール、59,193a,193b…信号圧室、70…補助スプリング(補助付勢部材)、80…調整機構、100…ピストンポンプ(液圧回転機)、190…ストッパ(間座部材)

Claims (4)

  1. 液圧回転機であって、
    駆動軸と共に回転するシリンダブロックと、
    前記シリンダブロックに形成され前記駆動軸の周方向に所定の間隔をもって配置される複数のシリンダと、
    前記シリンダ内に摺動自在に挿入され前記シリンダの内部に容積室を区画するピストンと、
    前記容積室を拡縮するように前記ピストンを往復動させる傾転可能な斜板と、
    供給される制御圧に応じて前記斜板を付勢する第1付勢機構と、
    前記第1付勢機構に抗するように前記斜板を付勢する第2付勢機構と、
    前記第1付勢機構に導かれる前記制御圧を前記液圧回転機の自己圧に応じて制御するレギュレータと、を備え、
    前記レギュレータは、
    前記斜板の傾転に追従して伸縮する付勢部材と、
    前記付勢部材の付勢力に応じて移動して、前記制御圧を調整する制御スプールと、
    前記付勢部材の付勢力に抗するように前記制御スプールに対して付勢力を発揮する補助付勢部材と、
    前記補助付勢部材が発揮する付勢力を調整する調整機構と、を有することを特徴とする液圧回転機。
  2. 前記調整機構は、前記付勢部材が発揮する付勢力を超えない範囲で前記補助付勢部材の付勢力を調整可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の液圧回転機。
  3. 前記シリンダブロックを収容するケースをさらに備え、
    前記ケースには、前記制御スプールが摺動自在に挿入されるスプール収容孔が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液圧回転機。
  4. 前記レギュレータは、前記制御スプールと前記補助付勢部材との間に設けられる間座部材と、
    前記間座部材によって区画され、前記付勢部材の付勢力に抗するように前記制御スプールを付勢する信号圧が導かれる信号圧室と、をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の液圧回転機。
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