JP7352375B2 - 粘土鉱物複合体 - Google Patents
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Description
かかる状況に鑑み、本発明は、微小粒子の皮膚表面への付着を抑制する技術を提供することを課題とする。
[1]有機化合物で修飾された粘土鉱物複合体であって、
前記有機化合物の分子サイズが前記粘土鉱物の電荷間距離の100%以下である、複合体。
[2]前記有機化合物の前記粘土鉱物に対する実測修飾率が50%以上である、[1]に記載の複合体。
[3]前記有機化合物がカチオン性又は両性化合物である、[1]又は[2]に記載の複合体。
[4]前記有機化合物がレシチンである、[3]に記載の複合体。
[5]前記粘土鉱物がベントナイト及びヘクトライトからなる群から選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の複合体。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の複合体を含有する、皮膚外用剤。
[7]化粧料である、[6]に記載の皮膚外用剤。
[8]微小粒子付着抑制用である、[6]又は[7]に記載の皮膚外用剤。
粘土鉱物としては、スクメタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモントリロナイト、カオリナイト、イライト、マリーン粘土鉱物(海泥)、デザートローズ粘土鉱物、パスカライトなどが挙げられ、これらのうちベントナイト及びヘクトライトが特に好ましい。なお、これらはいずれも負電荷を有する。
粘土鉱物の帯電部位は、等間隔に配置しており、板状粉体では板に並行な方向に規則的に並んでいる。通常その電荷間距離は特開2011-150037号公報に開示される方法で算出することができる。例えば、ベントナイトの主成分であるNa型モンモリロナイトのアニオンサイト間の距離は約1nmである。
粘土鉱物は、通常化粧料に配合され得る大きさのものを複合体調製に用いることができる。例えば、粘土鉱物は、原料として流通時に通常は凝集しているところ、かかる二次粒子の体積平均粒子径が、0.5~1000μmのものが好ましいが、特に限定されない。なお、粘土鉱物は一般的に、化粧料等の組成物に配合・分散する際に加温・攪拌等の処理を施され、通常は粒子径が小さくなる。例えば、25~80℃程度の加温と高せん断速度の攪拌により、体積平均粒子径が好ましくは5μm以下、3μm以下、より好ましくは1μm以下となり得る。ここで粒子径は、乾式粒度分布測定装置(例えば、ベックマンコルター社製、LS 13 320)を用いてレーザー回折散乱法により測定された値である。
すなわち、本発明の複合体を構成する粘土鉱物と有機化合物とは、負電荷を有する粘土鉱物とカチオン性有機化合物との組み合わせが好ましい。
本明細書において「分子サイズ」は、協和界面科学製自動表面張力計CBVP-Zを用いる表面張力測定により表面過剰濃度を算出し、その逆数である分子断面積の平方根をとった値である分子間距離の値を指すものとすることができる。また、単分子膜の表面膜圧を測定してπ-A曲線(表面圧-面積曲線)から算出した値であってもよい(椿信之ら、油化学、第41巻、第7号、551-557、(1992) 参照)。
天然由来のものとしては、レシチンが好ましく挙げられる。ここで、レシチンには水添レシチン及び非水添レシチンが含まれ、本発明においては所定の分子サイズを満たす限りにおいていずれも好ましく用いることができる。なお、水添のレシチン(ジステアロイルホスファチジルコリン)場合、その分子サイズは、0.71nmである。
複合化は、修飾に用いる有機化合物がカチオン化するpH領域の水媒体中で、該有機化
合物と粘土鉱物とを混合することにより行うことができる。例えば、有機化合物としてレシチンを用いる場合は、好ましくはpH6以下、より好ましくはpH3以下、さらに好ましくはpH2~3条件であり、かかるpH条件の水溶液中でカチオン化したレシチンが粘土鉱物に結合することにより複合体が形成される。
ここで、修飾率とは、複合化している有機化合物と粘土鉱物の単位格子平面あたりに存在する、有機化合物の有する電荷(通常はカチオン)のモル量を、粘土鉱物の交換可能な電荷(通常はアニオン)部位のモル量で除した値であり、有機化合物が粘土鉱物の結合部位(通常は電荷部位)に充填している率を表す。
理論修飾率は、有機化合物の分子サイズと粘土鉱物の電荷間距離とから、算出することができる。具体的には、粘土鉱物の表面をその電荷間距離の間隔の格子に見立てて、該格子の上に有機化合物の分子サイズを直径とする円を重ならないように最密充填した場合の、粘土鉱物の表面積に対する有機化合物分子の占有面積の割合として算出できる。また、理論修飾率は、特開2011-150037号公報の段落0031~0034に開示されるイオン間距離に係る記載に基づいても算出することができる。
また、実測修飾率は、熱分析装置により複合体の加熱重量変化を測定し、酸化発熱分解による重量減少量を複合化していた有機化合物の量とみなし、これを用いて算出した修飾率とすることができる。
また、本発明の複合体は、電荷的に中性に近く、具体的にはイースパートアナライザ(ホソカワミクロン、EST-G)で測定(印加電圧:100V、粒子カウント数:1000、室温25℃±2℃、湿度30%±3%、窒素ガス圧:0.02MPa)したときの、複合体の粒子の帯電量の絶対値が好ましくは1.5μC/g以下、より好ましくは1.0μC/g以下、さらに好ましくは0.7μC/g以下、さらに好ましくは0.5μC/g以下、特に好ましくは0.4μC/g以下である。
これは、本発明の複合体が形成する導電性の被膜が、通常帯電している微小粒子を電荷反発により避けるためである。なお、被膜による物理的な付着抑制作用をも同時に生じることは妨げられない。
により炎症が生じた状態や、その結果シワや色素沈着等が生じた状態をいう。
本発明の複合体は、組成物に他の界面活性剤を配合せずとも優れた分散性をも発揮するため、乳化剤型やオイルゲル剤型がより好ましい。
かかる範囲とすることにより、所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、5,5'-ジプロピルビフェニル-2,2'-ジオール、5'-アデニル酸二ナトリウム、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ハイドロキノン、パントテン酸等が挙げられる。
に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マヨナラエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
極性油としては、合成エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
ン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等が挙げられる。
(1)カチオン領域の確認
修飾に用いる有機化合物においては、その水溶液においてカチオン化するpH領域をゼータ電位測定(大塚電子製ELSZ-2)により確認した。
前記有機化合物としては、レシチン(水添レシチンEmulmetik 950、Lucas Meyer Cosmetics製)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(富士フイルム和光純薬株式会社製)、及びラウリルベタイン(Amphitol 24B、花王株式会社製)を用いた。
ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド及びラウリルベタインについては、表面張力測定(協和界面科学製自動表面張力計CBVP-Z)により、表面過剰濃度を算出した。表面過剰濃度の逆数である分子断面積から分子サイズを求めた。
レシチンの分子サイズは、単分子膜のπ-A曲線から算出された文献値((椿信之ら、油化学、第41巻、第7号、551-557、(1992))を採用した。
各種有機化合物(終濃度1~25 mM)、ベントナイト(ホージュン、ベンゲルA)8 g、1N
HClまたはクエン酸を適量(pH調整用)、及び純水(up to 800g)を混合し、80±5℃下で2時間、スターラー撹拌した。その後、pH2.5~3に調整したHCl水溶液にて洗浄し、遠心分離したのち、上清廃棄する洗浄操作を3回実施した。さらに純水で1回洗浄後、吸引ろ過した残渣を減圧乾燥機(80℃、-0.1 MPa)にて一晩乾燥後、粉砕した。
熱分析装置(リガク製TP2-R/TG-DTA)により、加熱重量変化を測定し、酸化発熱分解に
よる重量減少量を複合化した有機化合物量とし、中性化度を算出した。
測定条件:温度範囲20~500℃、昇温速度5℃/min.、大気雰囲気下
試料容器:アルミパン
修飾率は、複合化している有機化合物/ベントナイトのmol比×100(%)とした
分子サイズが1.12 nmのジメチルジオクダデシルアンモニウムクロリドや1.78 nmのラウリルベタインでは、修飾率はそれぞれ46.4%、24.7%と低かった。一方、分子サイズが0.71 nmと小さいレシチンでは、92.3%と高い修飾率となりほぼ完全に中性化されたといえる。
(1)試料 以下の粉体粒子を用いた。
実施例1:試験例1で調製したレシチン修飾ベントナイト複合体
比較例1:ジアルキルアンモニウム塩修飾ベントナイト「ベントン38V」(エレメンティスジャパン社製)
比較例2:ベントナイト
比較例3:ケラチンパウダー
実施例・比較例のいずれかの粉体粒子をガラス棒瓶に入れ3分間振とうし帯電前処理(強制帯電)とした。帯電している各粉体粒子の帯電量を、イースパートアナライザ(ホソカワミクロン、EST-G)を用いて測定した。測定条件は、印加電圧:100V、粒子カウント数:1000、室温25℃±2℃、湿度30%±3%、窒素ガス圧:0.02MPaとした。
花粉をガラス棒瓶に入れ3分間振とうし、帯電前処理(強制帯電)とした。
実施例・比較例のいずれかの粉体粒子の10質量%エタノール溶液を調製し、人工皮革(サプラーレ)に均一に塗布・乾燥した後、その人工皮革上に帯電している花粉を散布し、窒素ガスを吹き付け花粉を剥離した。遊離した花粉1000個の帯電量をイースパートアナライザを用いて測定した(測定条件は(2)と同様)。(剥離後の花粉の帯電量-散布前の花粉の帯電量)の絶対値を花粉への帯電移行量とした。
Claims (6)
- 有機化合物で修飾された粘土鉱物複合体であって、
前記有機化合物の分子サイズが前記粘土鉱物の電荷間距離の100%以下であり、
前記有機化合物が水添レシチンであり、
前記粘土鉱物がベントナイト及びヘクトライトからなる群から選択される、複合体。 - 前記有機化合物の前記粘土鉱物に対する実測修飾率が50%以上である、請求項1に記載の複合体。
- 請求項1又は2に記載の複合体を含有する、皮膚外用剤。
- 化粧料である、請求項3に記載の皮膚外用剤。
- 微小粒子付着抑制用である、請求項3又は4に記載の皮膚外用剤。
- 前記微小粒子が、粒子状物質、花粉、粉塵、排出ガス、及び石綿からなる群から選択される、請求項5に記載の皮膚外用剤。
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