JP7350283B2 - 毛髪洗浄剤、エアゾール組成物 - Google Patents

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本発明は、毛髪洗浄剤、およびエアゾール組成物に関する。
日々の毛髪ケアの一つとして、シャンプーやトリートメントを用いた毛髪ケアが行われている。これらの毛髪ケアでは、毛髪洗浄剤等で洗浄し、濡れた毛髪をタオルドライした後、ドライヤーで乾かす一連の作業を行うことが一般的である。しかしながら、洗髪時、タオルドライ時、ドライヤー時、およびブラッシング時における摩擦、ならびにドライヤーの熱が、毛髪へのダメージとなっている。また、日々の毛髪ケアとして、これらの一連の作業を行うことは負担であり、多忙な人でも毛髪ケアが無理なく行えるよう負担の軽減が求められている。
これまで、毛髪へのダメージ軽減、および毛髪ケアの負担を軽減するために、毛髪を早く乾かせることに着目した研究がなされてきた。特に、ドライヤーの時間を短縮することは、熱による毛髪へのダメージを軽減するだけでなく、体力的、時間的負担を軽減することにもつながると考えられた。
例えば、特許文献1には、すすぎ時の髪がばらけやすく、きしみ感がなく、濡れた髪を短時間で乾燥させることができる技術が開示されている。特許文献2には、速乾性および頭髪全体のボリューム感を付与する技術が開示されている。特許文献3には、速乾性および乾燥後の毛髪に柔軟性を与える技術が開示されている。
特開2017-088516号公報 特開2014-141459号公報 特開2018-052821号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、速乾性はあるが、シャンプーのみの場合、乾燥後の毛髪のまとまりが充分ではなく、ぱさついて広がってしまうという問題があった。特許文献2および3の技術では、速乾性はあるが、洗髪時および乾燥後の毛髪の滑らかさ、指通りのよさが充分ではなく、毛髪のやわらかさも充分ではなかった。
このようなことから、本発明は、洗髪時、ならびに洗髪後の乾かす前および乾かした後の、毛髪の滑らかさおよび柔軟性に優れ、乾かした後に毛髪のまとまりがよく、濡れた毛髪を短時間で乾かすことができる速乾性を有する毛髪洗浄剤を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する毛髪洗浄剤は上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[4]である。
[1]セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクおよびセテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクから選ばれる少なくとも一種の成分(A)を0.005~1.5質量%と、加水分解シルク(B)とを含む、毛髪洗浄剤。
[2]ポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルおよびポリオキシエチレン脂肪酸ジグリセリルから選ばれる少なくとも一種のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を0.01~5質量%含む、[1]に記載の毛髪洗浄剤。
[3]前記加水分解シルク(B)を、0.000065~2質量%含む、[1]または[2]に記載の毛髪洗浄剤。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の毛髪洗浄剤と、噴射剤とを含む、エアゾール組成物。
本発明は、洗髪時、ならびに洗髪後の乾かす前および乾かした後の、毛髪の滑らかさおよび柔軟性に優れ、乾かした後に毛髪のまとまりがよく、濡れた毛髪を短時間で乾かすことができる速乾性を有する毛髪洗浄剤を提供することができる。
次に本発明の毛髪洗浄剤、およびエアゾール組成物について具体的に説明する。
<毛髪洗浄剤>
本発明の毛髪洗浄剤は、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクおよびセテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクから選ばれる少なくとも一種の成分(A)を0.005~1.5質量%と、加水分解シルク(B)とを含む。
なお、本発明において、毛髪洗浄剤に含まれる成分の含有量(質量%)は、毛髪洗浄剤を100質量%とした場合の含有量を示している。
<セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクおよびセテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクから選ばれる少なくとも一種の成分(A)>
本発明の毛髪洗浄剤は、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクおよびセテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクから選ばれる少なくとも一種の成分(A)を含む。
セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクは、市販品としては、例えば、Vegetamide(登録商標)18MEA-R(株式会社成和化成)を用いることができる。
セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクは、市販品としては、例えば、Vegetamide(登録商標)18MEA-NJ(株式会社成和化成)を用いることができる。
本発明の毛髪洗浄剤は、成分(A)を0.005~1.5質量%、好ましくは0.025~1質量%、より好ましくは0.04~0.5質量%含む。
本発明の毛髪洗浄剤は、成分(A)が前記範囲内にあると、速乾性、泡立ちに優れ、洗髪時の滑らかさ、柔軟性、すすぎ時の指通り、ドライ後の滑らかさ、柔軟性に優れる。
成分(A)は多量に使用した場合に、独特のにおいが気になる場合があるが、成分(A)の量が前記範囲内にあると、独特のにおいが全く気にならないため好ましい。
成分(A)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。成分(A)として、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクおよびセテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクを併用する場合には、その量比(質量比)としては特に限定はないが、例えばセテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク:セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクが、1:0.01~1:100の範囲であることが好ましい。
本発明者は、速乾性の検討を行うなかで、成分(A)を前記範囲で用いることにより、毛髪表面のキューティクルをなめらかにして疎水性にすること、および、濡れた毛髪の指通りをよくすることで毛髪と毛髪との間にドライヤーの風が通りやすくなり、短時間で乾かすことができるようになると考えた。
<加水分解シルク(B)>
本発明の毛髪洗浄剤は、加水分解シルク(B)を含む。
本発明で用いる加水分解シルク(B)は、絹糸を構成するタンパク質であるフィブロインを、酸、アルカリまたはタンパク質分解酵素の存在下で加水分解して得られた水溶性ペプチドのことを指す。加水分解シルク(B)は、通常水溶液、またはエタノール溶液の状態で用いられる。
加水分解シルク(B)は、通常、グリシン、アラニン、セリンを主成分として含むものである。市販品としては、例えば、Promois(登録商標)SILK-1000(株式会社成和化成)、HSS-300(株式会社トープロ)、シルクゲンGソルブル(一丸ファルコス株式会社)、クロシルク10000(クローダジャパン株式会社)が挙げられる。
なお、本発明における加水分解シルク(B)には、一般的に界面活性剤として使用される加水分解シルクの塩は含まれず、例えば、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、ラウロイルシルクアミノ酸ナトリウムは、本発明における加水分解シルク(B)には含まれない。
加水分解シルク(B)は、少量でも多量でも効果を発揮するため、その量としては特に限定はないが、毛髪洗浄剤は、加水分解シルク(B)を好ましくは0.000065~2質量%、より好ましくは0.00065~0.325質量%、さらに好ましくは0.00325~0.195質量%、最も好ましくは0.0065~0.13質量%含む。前記範囲内では、すすぎ時の指通り、洗髪時および乾燥後の滑らかさ、柔軟性に特に優れるため好ましい。
加水分解シルク(B)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<ポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルおよびポリオキシエチレン脂肪酸ジグリセリルから選ばれる少なくとも一種のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)>
本発明の毛髪洗浄剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルおよびポリオキシエチレン脂肪酸ジグリセリルから選ばれる少なくとも一種のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を含む。
ポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルは、脂肪酸モノグリセリルに酸化エチレンを付加重合したものであり、ポリオキシエチレン脂肪酸ジグリセリルは、脂肪酸ジグリセリルに酸化エチレンを付加重合したものである。
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を構成する脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)としては、例えば、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルが挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)としては、市販品を用いることができ、例えばヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルの市販品である、グリセロックスHE(クローダジャパン株式会社)などを用いることができる。
本発明の毛髪洗浄剤がポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を含有すると、毛髪の保湿に優れ、すすぎ時の指通り、洗髪後の柔軟性が向上するため好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を用いる場合には、毛髪洗浄剤がポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を、好ましくは0.01~5質量%含む。
《その他成分》
本発明の毛髪洗浄剤は、通常は水を含む。水の含有量は特に限定されず、使用する目的に応じて、適宜調整して用いることができる。水として、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水および天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
本発明の毛髪洗浄剤は、水を好ましくは70~90質量%含む。
本発明の毛髪洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分以外に任意の成分を含有することができる。任意の成分としては、例えば、界面活性剤、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、ポリマー、香料、抗菌剤、増粘剤、および色素が挙げられる。
具体的には、界面活性剤としてラウロイルメチルアラニンナトリウム、およびコカミドプロピルベタイン;ポリマーとしてポリクオタニウム-10;防腐剤として安息香酸ナトリウム;pH調整剤としてクエン酸を用いることができる。
なお、本発明の毛髪洗浄剤は、速乾性、およびすすぎ時の指通りを付与する観点から、25℃で固形の油脂類をその他成分として含まないことが好ましく、例えば、シア脂、カカオ脂、パーム油、パーム核油、水添菜種油、モクロウ、牛脂、ロウ・ワックス類、パラフィンは、含まないことが好ましい。
《製法等》
本発明の毛髪洗浄剤は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、加熱条件下で行ってもよい。加熱条件下で製造する場合の温度としては、例えば75~85℃が挙げられる。
本発明の毛髪洗浄剤のpHは、毛髪洗浄剤と共に任意で配合される界面活性剤の特性によって適宜設定することができる。本発明の毛髪洗浄剤のpHは、好ましくはpH3.0~8.0、より好ましくはpH4.0~6.0である。なお、pHの測定方法は特に限定されるものではなく、一般的なpHの測定法(例えばガラス電極法)を用いて、適切な測定条件において測定すればよい。
《剤型》
本発明の毛髪洗浄剤の剤型は、例えば、液状、ジェル状などが挙げられ、液状には、粘度がある粘性液状も含まれる。本発明の毛髪洗浄剤の剤型は、毛髪に均一に塗布しやすいことから、液状が好ましい。
<エアゾール組成物>
本発明のエアゾール組成物は、上述の毛髪洗浄剤と、噴射剤とを含む。
本発明のエアゾール組成物は、噴射時に、噴射剤が急激に膨張することによって、毛髪洗浄剤を泡状にすることが好ましい。
なお、本発明において、毛髪洗浄剤を泡状にしたものを、泡状毛髪洗浄剤と記す。
本発明のエアゾール組成物は、噴射することによって、泡状毛髪洗浄剤を得られることが好ましい。
本発明のエアゾール組成物において、毛髪洗浄剤と噴射剤との割合(質量比)は特に限定されないが、好ましくは99:1~70:30、より好ましくは99:1~80:20、さらに好ましくは99:1~95:5である。
噴射剤は、毛髪洗浄剤を噴射することができる成分であれば特に限定されず、噴射剤の状態は、気体でもよく、液体でもよい。
噴射剤としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン等を主成分とする液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、イソペンタン、窒素ガス、炭酸ガスが挙げられる。
噴射剤は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
噴射剤としては、毛髪洗浄剤を噴射する際の勢いを、より使用に適した勢いとする観点から、LPGを単独で使用する、またはLPGとその他の噴射剤とを混合して使用することが好ましい。
本発明のエアゾール組成物の製造方法は特に制限されないが、例えば、上述した毛髪洗浄剤と噴射剤とを特定の割合で、容器に充填し製造することができる。容器内の初期内圧は、25℃で0.15~0.45MPaに調整することが好ましく、0.2~0.3MPaに調整することがより好ましい。
本発明のエアゾール組成物において、毛髪洗浄剤と、噴射剤とを充填する容器としては、例えば、スチール、アルミ製の缶;ガラス瓶が挙げられる。容器の変形を防ぐため、容器は、噴射剤等の圧力に耐え得る硬さを有していることが好ましく、樹脂製ではないことが好ましい。具体例としては、耐圧容器(アルミ製100mL缶、バルブ(ステム穴径φ0.45mm、ハウジング下穴径φ0.65mm、ハウジング横穴径φ0.42mm)、ボタン(噴口孔径φ0.4mm))を用いることができる。市販品としては、(40×118 D10R(419)白ベタ・4型:武内プレス工業株式会社)が挙げられる。
本発明のエアゾール組成物を用いて、泡状毛髪洗浄剤を得た場合には、例えば、テニスボール大(約6cm)の泡状毛髪洗浄剤を手にとり、毛髪および頭皮を洗浄するシャンプーとして使用することができる。
泡状毛髪洗浄剤は、泡状であることによって、シャンプーとして使用する際に、濡れた毛髪どうしを擦りあわせて発泡させる必要がなく、摩擦による毛髪のダメージを軽減できる。また、泡状毛髪洗浄剤は、泡状であることによって、毛髪に万遍なく薄く塗布して洗浄することができるため、すすぎ後に毛髪に残留する成分(例えば、香料、界面活性剤、ポリマーなど)を必要以上に毛髪に残留させない効果も期待できる。
《剤型》
本発明のエアゾール組成物の剤型は、毛髪洗浄剤と噴射剤とが充填された容器内では、毛髪洗浄剤と噴射剤とは、別々に存在していてもよいし、一部が混合していてもよい。
本発明のエアゾール組成物の剤型は、毛髪洗浄剤は液状であり、噴射剤は気体であることが好ましい。
《用途》
本発明の毛髪洗浄剤およびエアゾール組成物は、毛髪の洗浄に用いることができる。例えば、毛髪の洗浄に用いる場合には、シャンプー(後工程にリンス、コンディショナー、トリートメント等を用いる)、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプー(後工程にリンス、コンディショナー、トリートメント等を用いない)として利用することができる。また、前記シャンプー、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプーの中でも、速乾性、乾燥後の毛髪の滑らかさ、柔軟性をより感じられることから、コンディショニングシャンプーとして用いることが好ましい。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<実施例1~18、比較例1~3>
実施例1~16、および比較例1~3は、表2および表3に示す処方で各成分を混合し、毛髪洗浄剤を製造した。
実施例17および18は、表4に示す処方で各成分を混合した毛髪洗浄剤95gと、噴射剤としてLPG5gとをエアゾール容器(40×118 D10R(419)白ベタ・4型:武内プレス工業株式会社)に充填し、エアゾール組成物を製造した。なお、エアゾール容器内の初期内圧は、25℃で0.29MPaであった。
上記で製造した実施例1~18および比較例1~3の毛髪洗浄剤およびエアゾール組成物を、官能評価(1)~(9)、および乾燥時間の評価(10)の試料とした。
なお、表中の処方の数値は、毛髪洗浄剤を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表している。
毛髪洗浄剤およびエアゾール組成物についての官能評価および乾燥時間の評価の結果は、表2~表4に示す。実施例および比較例では、下記の市販品を使用した。
セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク:Vegetamide 18MEA-R (株式会社成和化成)
セテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパク:Vegetamide 18MEA-NJ(株式会社成和化成)
加水分解シルク:Promois SILK-1000F(株式会社成和化成)
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル:グリセロックスHE(クローダジャパン株式会社)
ラウロイルメチルアラニンナトリウム:アラノンALE(川研ファインケミカル株式会社)
コカミドプロピルベタイン:レボン2000(三洋化成工業株式会社)
ポリクオタニウム-10:カチナールHC-100(東邦化学工業株式会社)
安息香酸ナトリウム:安息香酸ソーダ(大塚化学株式会社)
クエン酸:クエン酸(磐田化学工業株式会社)
〔ダメージ処理〕
実施例および比較例では、一般の人の毛髪の傷みを再現した、ダメージ処理した毛束を用いて評価を行った。ダメージ処理は以下の方法で行った。
表1に記載の配合でダメージ処理用水溶液を調製し、70℃に加熱した。そこに黒髪の毛束(約30cm、10gの人毛)(BS-S3A:株式会社ビューラックス)を10分間浸漬して、ダメージを与えた。その後、ダメージ処理用水溶液から毛束を取り出し、ポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム15質量%と、精製水85質量%とを配合した洗浄液1gで洗浄し、35~40℃の温水で充分にすすいだ後、乾燥させ、ダメージ処理後の毛束とした。
〔評価〕
専門パネラー(美容師)10人が1人ずつ、ダメージ処理後の毛束を40℃程度の温水で濡らした後、実施例および比較例の毛髪洗浄剤を1g塗布した。
下記(1)~(10)に記載の評価方法と評価基準に従って、毛髪洗浄剤の評価を行った。
各項目につき10人の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
(1)泡立ち
試料を毛束に塗布して泡立てた際の、泡立ちの状態を目視で評価した。
4点:非常に泡立ちがよい
3点:泡立ちがよい
2点:あまり泡立たない
1点:全く泡立たない
(2)洗髪時の滑らかさ
試料を毛束に塗布して泡立て、指を通した際の、滑らかさを評価した。
4点:非常に滑らかである
3点:滑らかである
2点:ややひっかかる
1点:ひっかかる
(3)洗髪時の柔軟性
毛束を泡立てながら指を通しているときの、指で感じる柔らかさを評価した。
4点:非常に柔らかい
3点:柔らかい
2点:硬い
1点:非常に硬い
(4)すすぎ時の指通りの良さ
試料を毛束に塗布して泡立てた後、毛束を38℃~40℃のお湯ですすいでいるときの、指通りの良さを評価した。
4点:指通りが非常によい
3点:指通りがよい
2点:指通りが悪い
1点:指通りが非常に悪い
(5)洗髪後の滑らかさ
すすぎ(洗髪)の後、毛束の水分をタオルでふき取り、触ったり、指を通すことで滑らかさを評価した。
4点:非常に滑らかである
3点:滑らかである
2点:ややひっかかる
1点:ひっかかる
(6)洗髪後の柔軟性
すすぎ(洗髪)の後、毛束の水分をタオルでふき取り、触ったり、指を通すことで柔らかさを評価した。
4点:非常に柔らかい
3点:柔らかい
2点:硬い
1点:非常に硬い
(7)ドライ後の滑らかさ
毛束の水分をタオルでふき取った後、ドライヤーで乾かし、毛束を触ったり、指を通すことで滑らかさを評価した。
4点:非常に滑らかである
3点:滑らかである
2点:ややひっかかる
1点:ひっかかる
(8)ドライ後の柔軟性
毛束の水分をタオルでふき取った後、ドライヤーで乾かし、毛束を触ったり、指を通すことで柔らかさを評価した。
4点:非常に柔らかい
3点:柔らかい
2点:硬い
1点:非常に硬い
(9)ドライ後のまとまり
毛束の水分をタオルでふき取った後、ドライヤーで乾かし、毛束に指を通し、広がり具合を目視で評価した。
4点:非常にまとまる
3点:まとまる
2点:広がる
1点:非常に広がる
(10)乾燥時間
洗髪後、毛束の水分をタオルでふき取り、ドライヤーを用いて温風で乾燥し、乾燥時間を測定した。なお、ドライヤーは、solis IQ-7 スーパーライト SD426(ソリスジャパン株式会社)を用い、温風は選択可能な6段階の内、段階6(最強)に設定した。
4点:1分30秒未満
3点:1分30秒以上1分45秒未満
2点:1分45秒以上2分未満
1点:2分以上
実施例1~18で製造した毛髪洗浄剤は、(1)~(10)の評価項目において良好な結果となった。また、実施例15、16、および18は、特に良好な結果となった。
本発明の毛髪洗浄剤は、洗髪時、ならびに洗髪後の乾かす前および乾かした後の、毛髪の滑らかさおよび柔軟性に優れ、乾かした後に毛髪のまとまりがよく、濡れた毛髪を短時間で乾かすことができる速乾性を有することがわかる。
比較例1で製造した毛髪洗浄剤は、成分(A)の配合量が少ないため、乾燥時間が長くかかり、速乾性がなかった。また、洗髪時の滑らかさ、および柔軟性が悪く、ドライ後の柔軟性も悪かった。
比較例2で製造した毛髪洗浄剤は、成分(A)の配合量が多いため、泡立ちが悪く、ドライ後の滑らかさも悪かった。
比較例3で製造した毛髪洗浄剤は、成分(B)が配合されていないため、ドライ後の毛髪が非常に広がり、まとまりがなかった。また、洗髪後の滑らかさ、および柔軟性が悪く、ドライ後の滑らかさも悪かった。乾燥時間は長く、速乾性も悪かった。

Claims (3)

  1. セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパクおよびセテアラミドエチルジエトニウムサクシノイル加水分解エンドウタンパクから選ばれる少なくとも一種の成分(A)を0.005~1.5質量%と、加水分解シルク(B)を0.000065~2質量%とを含む、毛髪洗浄剤。
  2. ポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルおよびポリオキシエチレン脂肪酸ジグリセリルから選ばれる少なくとも一種のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル(C)を0.01~5質量%含む、請求項1に記載の毛髪洗浄剤。
  3. 請求項1または2に記載の毛髪洗浄剤と、噴射剤とを含む、エアゾール組成物。
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