JP7349334B2 - 接合構造および杭柱接合体 - Google Patents

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本発明は、接合構造、杭柱接合体および杭柱接合体の形成方法に関する。
地盤に埋設された杭の上に鉄骨柱などの上部構造物を支持させる接合構造がある(特許文献1参照)。かかる接合構造では、杭の杭頭の周囲に鞘管を配置し、鞘管と杭の間の空間と、鞘管の天板と鉄骨柱のベースプレートの間の空間にコンクリートを充填し、杭と鉄骨柱を間接的に接合している。
特開2014-169577号公報
しかしながら、上述のような接合構造の場合、杭と上部構造物との間にコンクリートを充填し固化する作業工程が必要になるため、作業時間が増大する。特に、上述のような接合構造を用いて、鉄道の架線を支持する電化柱を線路に沿って立てるような場合には、多数の鉄骨柱を杭に接合する必要があり、作業時間が大幅に増える。よって、より簡単な作業工程で、杭と上部構造物などを接合することができる接合構造が望まれる。
また、かかる接合構造は、打設した杭の水平位置が設計位置(当初設定されていた打設位置)からずれてしまった場合つまり杭芯ずれが生じてしまった場合に対応することを可能とするものであれば便宜である。
そこで、本発明は、より簡単な作業工程で施工することを可能とし、なお且つ、杭などの第1の部材の位置が設計位置からずれた場合にも対応することが可能な構造の接合構造、杭柱接合体および杭柱接合体の形成方法に関する。
本発明の一態様は、第1の部材と第2の部材を互いに接合する接合構造であって、
第1の部材と第2の部材との間に介在されたプレートを備え、
第1の部材とプレートは1個以上の第1締結部材で締結され、
第2の部材とプレートは1個以上の第2締結部材で締結され、
第1締結部材と第2締結部材は異なる締結部材であることを特徴とする接合構造である。
プレートを介して第1の部材と第2の部材とを締結する上記のごとき接合構造は、コンクリートを充填するような場合に比べて簡単な作業工程で施工することを可能とする。また、第1締結部材と第2締結部材は異なる締結部材であることから、これら第1締結部材と第2締結部材との相対位置を適宜オフセットさせることによって、杭などの第1の部材の位置が設計位置からずれた場合にも対応することが可能となる。
本発明の一態様に係る杭柱接合体は、上記の接合構造を有し、第1の部材は杭であり、第2の部材は柱であることを特徴とする。
上記のごとき杭柱接合体におけるプレートは、第1の端面と、第2の端面と、を有し、第1の端面と第2の端面は、平面であり、互いに対し傾斜しているものであってもよい。
上記のごとき杭柱接合体は、プレートにおける第1締結部材の位置と第2締結部材の位置との相対位置がオフセットしており、杭に対する柱の位置がオフセット量に相当する分ずれるようになっていてもよい。
本発明の一態様に係る形成方法は、打設された杭にプレートが第1締結位置で締結され、プレートに柱が第2締結位置で締結される構造の杭柱接合体の形成方法であって、
杭を打設した後、該杭の設定打設位置に対する水平方向のずれ量を測定し、
プレートの加工の際、第1締結位置と第2締結位置とをずれ量に相当する分オフセットさせ、
該加工後のプレートを介して杭と柱とを締結する、杭柱接合体の形成方法である。
本発明によれば、より簡単な作業工程で施工することを可能とし、なお且つ、杭などの第1の部材の位置が設計位置からずれた場合にも対応することが可能な構造の接合構造、杭柱接合体および杭柱接合体の形成方法を提供することができる。
接合構造の構成例を示す、杭柱接合体の側面図である。 図1の杭柱接合体の内部構成を示す縦断面図である。 プレートの平面図である。 プレートの上側からの斜視図である。 プレートの下側からの斜視図である。 本発明の第2の実施形態における杭柱接合体の内部構成を示す縦断面図である。 図6の杭柱接合体におけるプレートの上側からの斜視図である 図6の杭柱接合体におけるプレートの平面図である 本発明の第3の実施形態における杭柱接合体の側面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
[第1の実施形態]
図1~図5に、本発明に係る接合構造の一実施形態としての杭柱接合体1について示す。杭柱接合体1は、第1の部材としての鋼管杭10と、第2の部材としての鉄骨柱20と、中間材として機能するプレート30を主に備えている。
鋼管杭10は、地盤に打ち込まれて埋設される杭である。本実施形態では一例として円管で構成される杭を採用しているが(図1等参照)、この他、角型の杭、H形鋼からなる杭などを採用してもよい。鋼管杭10の上端には、ある程度の厚みのある例えば円形のフランジ(杭フランジ)12が形成されている。
フランジ12は、鋼管杭10とプレート30とを締結する際のプレート30との締結部として機能する。フランジ12の上面は平坦面となっている。フランジ12には、当該フランジ12とプレート30とを締結する際に用いられる複数の貫通したボルト孔11が設けられている。これら複数のボルト孔11は、フランジ12の外周寄りに好ましくは等間隔に配置されている。本実施形態におけるボルト孔11は、フランジ12の中心から等距離となるように環状に配置されている。
鉄骨柱20はプレート30を介して鋼管杭10に接合される柱状構造物である。本実施形態では一例として円管で構成される柱を採用しているが(図2等参照)、この他、角型の杭、H形鋼からなる柱などを採用してもよい。鉄骨柱20の下端部には厚みのある例えば円形のフランジ22が形成されている。
フランジ22は、鉄骨柱20とプレート30とを締結する際のプレート30との締結部(柱ベースプレート)として機能する。フランジ22の下面は平坦面となっている。フランジ22には、当該フランジ22とプレート30とを締結する際に用いられる複数の貫通したボルト孔21が、フランジ22の外周寄りとなる位置に等間隔に配置されている。本実施形態におけるボルト孔21は、フランジ22の中心から等距離となるように環状に配置されている。なお、本実施形態における鉄骨柱20のフランジ22の外径は鋼管杭10のフランジ12の外径よりも小さく、かつ、締結された第1締結部材100(を構成するボルト101とナット102)のいずれもが当該フランジ22の外側に位置する大きさとされている(図2参照)。
プレート30は、鋼管杭10のフランジ12と鉄骨柱20のフランジ22との間に介在する、ある程度の厚みを有する板状部材である(図2等参照)。プレート30は鋼材、アルミニウム、カーボンなどで構成することができる。本実施形態のプレート30はフランジ12と同様の大きさ、形状とされているがこれは一例であって、鋼管杭10と鉄骨柱20とを必要かつ十分な強度で接合するに足る大きさと形状であればよい。プレート30はその中央に孔が設けられた環状の部材であってもよい。
プレート30の表裏各面はそれぞれが平坦である第1の端面30A、第2の端面30Bとなっている。本実施形態のプレート30は、第1の端面30Aがフランジ12と、第2の端面30Bがフランジ22とそれぞれ接するように配置される(図1、図2参照)。
プレート12には、ボルト孔31とボルト孔32とがそれぞれ複数設けられる(図3、図4等参照)。ボルト孔31は、フランジ12のボルト孔11と対応する位置に設けられ、プレート30とフランジ12とが締結された際、第1締結部材100(のボルト101)を通すことができる貫通孔をボルト孔11とともに形成する(図2参照)。
ボルト孔32は、フランジ22のボルト孔21と対応する位置に設けられ、プレート30とフランジ22とが締結された際、第2締結部材200(のボルト201)を通すことができる貫通孔をボルト孔21とともに形成する(図2参照)。各ボルト孔32の第2の端面30B側の開口部には、第2締結部材200を構成するボルト201の頭部が収容される凹部33が座ぐり加工などによって形成される(図2、図5参照)。
上記のごときプレート12は、現場にて鋼管杭10を打設した後、該鋼管杭10の設定打設位置に対する水平方向のずれ(杭心ずれ)の量X(図2参照)に応じて加工されるものであってもよい。本実施形態では、打設後の鋼管杭10の設定打設位置に対する水平方向のずれ(杭心ずれ)を測定した後、当該ずれ量Xに相当する分、ボルト孔31に対するボルト孔32の相対位置をオフセットさせるようにプレート12を加工する。このように後加工されたプレート12を当該鋼管杭10に適用することで、杭打設時の杭心ずれを吸収し、鉄骨柱20を規定の位置(所定の軸心からずれのない位置)に設置することができる(図2参照)。
上記のごときプレート12を用いた施工手順の一例を簡単に説明すれば以下のとおりである。まず、鉄骨柱20のフランジ22とプレート30とを第2締結位置において第2締結部材200で締結する。第2締結部材200は例えばボルト201とナット202の組み合わせであり、ボルト孔21とボルト孔32にボルト201を通した後、ナット202を噛合させて締結される。本実施形態では、ボルト201の頭部が凹部33に収容されるようにしてボルト201とナット202を噛合させる(図2参照)。
次に、鋼管杭10のフランジ12とプレート30とを第1締結位置において第1締結部材100で締結する。第1締結部材100は例えばボルト101とナット102の組み合わせであり、ボルト孔11とボルト孔31にボルト101を通した後、ナット102を噛合させて締結される。
このように、本実施形態の杭柱接合体10ないしはその形成方法によれば、構造が一様である既製の汎用プレートを採用するのではなく、現場において生じた実際の杭心ずれの量Xに応じたオフセット量のプレート30を後加工していわば特注とし、鋼管杭10のそれぞれに個別に適用することによって杭心ずれを吸収することができる。この結果、プレート30を介して鉄骨柱20を任意の水平位置で緊結することができるようになる。別言すれば、本実施形態のごとく別々とした締結部材(第1締結部材100、第2締結部材200)の相対位置を適宜オフセットさせることによって、現場において生じた実際の杭心ずれに対応することができる。
しかも、杭柱接合体1を構成する鉄骨柱20のフランジ(柱ベースプレート)22、鋼管杭10のフランジ(杭フランジ)12、該フランジ12のボルト孔11などは予め製作することができることから、杭施工後の杭心ずれの情報を反映させるとしてもプレート30を後加工するだけでよく、工程への影響が小さく、施工効率が高い。加えて、本実施形態のごとき杭柱接合体(接合構造)1によれば、プレート30のボルト孔31を予め加工しておき、実際の杭心ずれの量Xに応じたぶん、ボルト孔32を後加工でオフセットさせることが可能である(図3等参照)。
また、プレート30を介して鋼管杭(第1の部材)10と鉄骨柱(第2の部材)20とを締結する上記のごとき杭柱接合体(接合構造)1は、コンクリートを充填するような従前の杭柱接合体に比べて簡単な作業工程で施工することができる。
[第2の実施形態]
現場において生じた実際の杭心ずれ量Xが0(ゼロ)ないしは殆ど無い場合、当該情報を反映させて後加工したプレート30は、ボルト孔32が、(外周の)ボルト孔31と同心円状に配置された形状となる(図6~図8参照)。
[第3の実施形態]
プレート30として、厚さが一様でないものを用いてもよい。本実施形態では、第1の端面30Aと第2の端面30Bとが平面であり、なお且つ互いに対し傾斜しているプレート30を採用している(図9参照)。例えば、打設後の測定により、鋼管杭10が設定打設位置よりも水平方向にオフセットしていて、かつ、鋼管杭10の軸P1が鉛直線P0に対し傾いていることがわかった場合、上記のごとき傾斜勾配したプレート30を適用することで、オフセットと傾きの両方の補正を行うことが可能となる。
プレート30として、例えば100mm以下、好ましくは80mm以下、1mm以上の厚みDを有するものを用いることができる。1mm以上の厚みを有していれば鋼管杭10に対する鉄骨柱20の傾きを適切に補正できる。なお、プレート30の厚みDは、軸方向において最も薄い部分とする。仮にプレート30の最も薄い部分の厚みが1mm、プレート30の直径が50mm、傾斜勾配が1/50であるとき最も厚い部分は2mmとなる。
上記のごときプレート30の成形の手順は特に限定されるものではないが、例えば本実施形態では、傾斜勾配したプレートに予めボルト孔31を設けておき、打設後の鋼管杭10の設定打設位置に対する水平方向のずれ(杭心ずれ)が生じた場合に、上記した第1の実施形態と同様、当該ずれ量Xに相当する分オフセットさせた位置にボルト孔32を後加工する。なお、傾斜勾配の異なるプレートを予め複数種類用意しておくことで、一つひとつ異なる鋼管杭10の実際の傾きに対し、それらの中で最も適する傾斜勾配のプレート30を適用することで対応することが可能となる。
上記のごとき構成の杭柱接合体1を施工する際の手順は、例えば以下のとおりである。まず、鋼管杭10を対象地盤に打設してその一部を埋設する。鋼管杭10の軸P1が鉛直線P0に対し傾いている場合には、当該傾きに応じた傾斜勾配のプレート30を選択する。また、プレート30にボルト孔32を後加工する際には、打設した鋼管杭10の杭心ずれ量Xに応じオフセットさせた位置に加工する。
プレート30の後加工を終えたら、鋼管杭10のフランジ12の上に当該プレート30を載置し、当該プレート30を中心軸周りに回転させ、プレート30の上面(第2の端面30B)が最も水平に近づくように調整する。その後、鉄骨柱20のフランジ22とプレート30とを第2締結位置において第2締結部材200で締結し、続いて鋼管杭10のフランジ12とプレート30とを第1締結位置において第1締結部材100で締結する。
本実施形態によれば、互いに傾斜した第1の端面30Aと第2の端面30Bを有するプレート30を鋼管杭10と鉄骨柱20の間に介在させることにより、鋼管杭10の傾きを吸収して補正し、鉄骨柱20を略鉛直に施工することができる。
また、第1~第3の各実施形態における杭柱接合体1においては、フランジ12の上面(端面)とプレート30の第1の端面30Aとが密着し、かつ、プレート30の第2の端面30Bとフランジ22の底面(端面)とが密着することから、鉄骨柱20の荷重がプレート30や鋼管杭10の一部に集中することなく全体的かつ均一的に分散する。これは、杭柱接合体1の耐久性の向上にも資する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば接合構造1や杭柱接合体の構成は上記実施の形態のものに限られない。例えば第1の部材は鋼管杭10に限られず、第2の部材は鉄骨柱20に限られない。本発明における第1の部材と第2の部材の接合は、上下方向に接合するもののみならず、水平方向などの他の方向に接合するものであってもよい。以上の実施の形態は、第1の部材と第2の部材をボルト接合する例であったが、ボルト接合以外の接合や位置合わせの場合(例えば、プレート30の凹部(透孔など)に合わせてフランジ12,22の表面に突部を設けておき、これら凹凸で位置合わせする場合、など)にも本発明は適用できる。
また、上記の実施形態では円形(円盤状)のプレート30を例示したが、例えば環状のプレートを採用すればそのぶん軽量化が図られ、当該プレートの運搬や取り付け作業をより簡単に行うことが可能となる。なお、プレート30の外形は、円に限らず、例えば多角形であってもよい。
また、上記の実施形態では、複数のボルト孔11がフランジ12の外周寄りの位置に、フランジ12の中心から等距離となるよう円周上に等間隔に配置された形態を示したがこれは好適な一例にすぎず、プレート30のボルト孔31の位置と互いが一致するように配置されていればこの限りでない。フランジ22のボルト孔21についても同様である。
本発明は、より簡単な作業工程で施工可能であり、なおかつ第1の部材に対する第2の部材の水平方向のずれ等を補正可能な接合構造として、例えば電化柱や柱脚に適用して好適である。
1…杭柱接合体(接合構造)、10…鋼管杭(第1の部材)、11…ボルト孔、12…フランジ、20…鉄骨柱(第2の部材)、21…ボルト孔、22…フランジ、30…プレート、30A…プレートの第1の端面、30B…プレートの第2の端面、31…ボルト孔、32…ボルト孔、33…凹部、100…第1締結部材、101…ボルト、102…ナット、200…第2締結部材、201…ボルト、202…ナット

Claims (3)

  1. 第1の部材と第2の部材を互いに接合する接合構造であって、
    前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在されたプレートを備え、
    前記第1の部材と前記プレートは1個以上の第1締結部材で締結され、
    前記第2の部材と前記プレートは1個以上の第2締結部材で締結され、
    前記第1締結部材と前記第2締結部材は異なる締結部材であり、
    前記プレートは、第1の端面と、第2の端面と、を有し、前記第1の端面と前記第2の端面は、平面であり、互いに対し傾斜していることを特徴とする接合構造。
  2. 請求項1に記載の接合構造を有し、
    前記第1の部材は杭であり、
    前記第2の部材は柱であることを特徴とする杭柱接合体。
  3. 前記プレートにおける前記第1締結部材の位置と前記第2締結部材の位置との相対位置がオフセットしており、前記杭に対する前記柱の位置が前記オフセット量に相当する分ずれる、請求項に記載の杭柱接合体。
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