JP7348739B2 - 毛髪用水中油型組成物 - Google Patents
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また、毛髪に馴染みやすい毛髪用組成物(例えば、特許文献2参照)の開発や、塗布時になじみ易く、毛髪にハリ・コシ感を付与する毛髪化粧料(例えば、特許文献3参照)の開発が行われている。
特許文献2の技術では、塗布時のなじみやすさに優れるものの、手から流れ落ちない使用性に優れない場合があった。さらに、経時安定性にも優れない場合があった。
特許文献3の技術では、毛髪にハリ・コシ感に優れるものの、毛髪の滑らかさとツヤ感に関しては優れない場合があった。
すなわち、経時安定性に優れながら、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性、毛髪の滑らかさとツヤ感にも優れる毛髪用組成物は従来知られていなかった。
N-アシル酸性アミノ酸は洗髪時に、カチオン性ポリマー等と複合体(コアセルベーションと言われる場合がある)を形成することで、すすぎ時の滑らかさに優れると考察される。しかし、上記複合体は、通常の洗い流し動作においては、十分に洗い流されずに、毛髪上に残存する場合があった。その場合、その後に適用する毛髪化粧料等が、物理化学的に、毛髪に十分に付着されず、その後に適用する毛髪化粧料の毛髪への効果が十分に発揮されず、すなわち、塗布時のなじみやすさに優れないという課題も判明した。
[1]
次の成分 (A)~(E);
(A)モノ長鎖型アルキル四級アンモニウム
(B)飽和高級アルコール
(C)ジメチルポリシロキサン
(D)リン脂質
(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.1~0.5質量%
を含有し、
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(A)の含有量の割合(A)/[(D)+(E)]が、1.67~7.5である毛髪用水中油型組成物。
[2]
前記成分(E)のHLBが10以下である[1]の項に記載の毛髪用水中油型組成物。
[3]
前記成分(A)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の割合(C)/(A)が、0.5~10である[1]又は[2]のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
[4]
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(B)の含有量の割合(B)/[(D)+(E)]が3.5~20である[1]~[3]のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
[5]
N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料を使用後の毛髪に使用するための[1]~[4]のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
本発明における成分(A)はモノ長鎖型アルキル四級アンモニウムである。成分(A)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
モノ長鎖型アルキル四級アンモニウムは、第四級アンモニウム型であり、毛髪用水中油型組成物中でカチオン性となり得る。成分(A)のモノ長鎖型アルキルのアルキル鎖の炭素数については、通常化粧料に使用できるものであれば、特に限定されるものではないが、経時安定性の点から、炭素数12~22が好ましく、炭素数18~22がより好ましい。
本発明における成分(B)は、飽和高級アルコールである。成分(B)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
本発明における成分(C)は、ジメチルポリシロキサンである。成分(C)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
本発明における成分(D)はリン脂質である。成分(D)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。本発明におけるリン脂質とは、特に記載した場合を除き、グリセリン又はスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエステル結合した構造をもつものをいう。
本発明には、天然の大豆や卵黄から抽出した大豆レシチン、卵黄レシチン及び/又はこれらを水素添加した水素添加レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンや合成リン脂質など、一般にリン脂質として知られるものが使用できる。
より詳細には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、及びホスファチジルイノシトール等を好ましく用いることができる。これらの中から、1種または2種以上を用いることができる。
例えば水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリン等が挙げられる。
本発明における成分(E)は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。成分(E)は、特に限定されないが、通常化粧料等に使用できるものを用いることができる。
成分(E)は特に限定されないが、具体的には、ヒマシ油に水素添加して得られる硬化ヒマシ油にオキシエチレンを付加して得られたものを使用することができる(以下、ポリオキシエチレンをPOEと記載し、( )内の数値により、オキシエチレンの平均付加モル数を示す場合がある)。
成分(E)は、特に限定されないが、塗布時のなじみやすさの点で、硬化ヒマシ油に付加される酸化エチレンの平均付加モル数が10~80モルが好ましく、10~20モルがより好ましい。また、成分(E)のHLBは、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性の点で、10以下であることが好ましく、6~10であることがより好ましい。本発明においては、塗布時のなじみやすさ、手から流れ落ちない使用性の点で、成分(E)が、HLBが6~10であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる2種以上であることが好ましい。
下記表1~5に示すインバス用ヘアトリートメントを下記製造方法により調製し、(イ)経時安定性、(ロ)塗布時のなじみやすさ、(ハ)手から流れ落ちない使用性、(ニ)毛髪の滑らかさとツヤ感の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1~5に示した。
(注2)コノール30C(新日本理化学社製)
(注3)LANETTE 22NF(BASF社製)
(注4)シリコン KF96A(6CS)(信越化学工業社製)
(注5)シリコン KF96A(100CS)(信越化学工業社製)
(注6)シリコン KF9012(信越化学工業社製)
(注7)ニッコール レシノールS-10(日光ケミカルズ社製)
(注8)ニッコール HCO-10(日本サーファクタント工業社製)
A:成分(1)、成分(2)、成分(14)および成分(15)を80℃に加熱して均一混合する。
B:成分(3)~成分(13)を80℃に加熱して均一混合する。
C:AにBを添加して均一に乳化混合し、冷却し、容器に充填してインバス用ヘアトリートメントを得た。
各試料に対し、50℃恒温下での2週間保管した後、室温環境下に戻し、目視測定にて製造後翌日の状態と比較して、以下に示す3段階判定基準に基づいて判定した。
(判定基準)
[判定]:[状態]
◎:キメが良く、油層分離が認められない
○:キメは悪いが、油層分離が認められない
×:油層分離が認められる
〔評価項目(ロ)~(ニ)の評価方法〕
人毛のウィッグ(カツラ) 10個に対し、下記参考調製例のシャンプーA(N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料)で洗髪した。次に、各試料9gを各々人毛ウィッグの毛に塗布したものについて(ロ)塗布時のなじみやすさ、(ハ)手から流れ落ちない使用性について評価した。その後、洗い流し、乾燥させ、(ニ)毛髪の滑らかさとツヤ感を評価した。
[評価基準]:[評点]
なじみやすさを非常に感じる :5点
なじみやすさを感じる :4点
なじみやすさをやや感じる :3点
なじみやすさをやや感じにくい:2点
なじみやすさを感じない :1点
<評価項目(ハ)>:手から流れ落ちない使用性
[評価基準]:[評点]
流れ落ちにくさを非常に感じる :5点
流れ落ちにくさを感じる :4点
流れ落ちにくさをやや感じる :3点
流れ落ちにくさをやや感じにくい :2点
流れ落ちにくさを感じない :1点
<評価項目(ニ)>:毛髪の滑らかさとツヤ感
[評価基準]:[評点]
非常に滑らかさ・ツヤ感を感じる :5点
滑らかさ・ツヤ感を感じる :4点
やや滑らかさ・ツヤ感を感じる :3点
やや滑らかさ・ツヤ感を感じにくい:2点
滑らかさ・ツヤ感を感じない :1点
<判定基準>:
[判定]:[評点の平均点]
◎:4.0以上
○:3.0以上4.0未満
△:2.0以上3.0未満
×:2.0未満
下記処方及び製造方法でシャンプーAを調製した。
(成分) (%)
1.N-ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン 8
2.テトラデセンスルホン酸ナトリウム 5
3.ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 4
4.ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド 3
5.1,3-ブチレングリコール 2
6.カチオン化グアーガム 1
7.エデト酸二ナトリウム 0.2
8.防腐剤 0.1
9.香料 0.1
10.精製水 残量
(製造方法)
成分1~10を70℃で均一に加熱混合し、後に冷却する。
これに対して、成分(A)を含有しない比較品1は、経時安定性に優れなかった。
成分(B)を含有しない比較品2は、経時安定性に優れなかった。
成分(C)をしない比較品3においては、毛髪の滑らかさとツヤ感に優れなかった。
成分(D)をしない比較品4においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
成分(E)を配合しない比較品5においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
また、成分(E)の含有量が0.1%未満である比較品6においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
成分(E)の含有量が0.5%を超える比較品7においては、手から流れ落ちない使用性に優れなかった。
割合(A)/[(D)+(E)]が、7.5を超える比較品8においては、塗布時のなじみやすさに優れなかった。
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 2.0
2.セトステアリルアルコール 3.5
3.ベヘニルアルコール 1.5
4.ジメチルポリシロキサン(25℃において100mPa・s) 10.0
5.水素添加レシチン 0.1
6.水添ヤシ油 0.2
7.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
8.エチルヘキサン酸セチル 0.5
9.ミリスチン酸イソプロピル 0.5
10.グリセリン 1.5
11.POE(10)硬化ヒマシ油 0.4
12.グリセリン 1.5
13.PEG-8 2.0
14.ジプロピレングリコール 1.0
15.エタノール 0.5
16.乳酸 0.01
17.乳酸Na 0.01
18.ポリクオタニウム-51(注9) 0.1
19.香料 0.3
20.精製水 残量
(注9)LIPIDURE-PMB(BG) (日油社製)
A:No.1~11を均一に加熱混合溶解した。
B:No.12~18、20を均一に加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.19を添加し、ヘアマスクを得た。
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.5
2.セトステアリルアルコール 2.5
3.ベヘニルアルコール 1.0
4.ジメチルポリシロキサン(25℃において10mPa・s) 8.0
5.水添ヤシ油 1.5
6.トリエチルヘキサノイン 1.2
7.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
8.エチルヘキサン酸セチル 0.5
9.ステアリン酸グリセリル 0.1
10.水添レシチン 0.3
11.POE(20)硬化ヒマシ油 0.3
12.グリセリン 1.0
13.プロピレングリコール 0.5
14.ジプロピレングリコール 0.5
15.エタノール 0.5
16.クエン酸 0.01
17.クエン酸Na 0.01
18.ジグルコシル没食子酸 0.05
19.香料 0.3
20.精製水 残量
A:No.1~11を均一に加熱混合溶解した。
B:No.12~18、20を均一に加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.19を添加し、ヘアトリートメントを得た。
(成分) (%)
1.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.0
2.セトステアリルアルコール 1.5
3.ベヘニルアルコール 0.8
4.ジメチルポリシロキサン(25℃において6mPa・s) 5.0
5.水添ヤシ油 1.0
6.オレイン酸エチル 0.5
7.イソノナン酸イソノニル 0.3
8.パルミチン酸エチルヘキシル 0.5
9.ジカプリン酸PG 0.2
10.イソステアリン酸PG 0.2
11.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)0.1
12.水添レシチン 0.2
13.POE(60)硬化ヒマシ油 0.2
14.プロピレングリコール 1.0
15.グルコース 0.1
16.スクロース 0.1
17.グリシルグリシン 0.1
18.シトルリン 0.1
19.トレオニン 0.01
20.バリン 0.01
21.ヒスチジン 0.1
22.フェニルアラニン 0.1
23.クエン酸 0.1
24.香料 0.3
25.精製水 残量
A:No.1~13を均一に加熱混合溶解した。
B:No.14~23、25を均一に加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.24を添加し、アウトバス用ヘアミルクを得た。
Claims (6)
- 次の成分(A)~(E);
(A)モノ長鎖型アルキル四級アンモニウム
(B)飽和高級アルコール
(C)ジメチルポリシロキサン
(D)リン脂質
(E)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.1~0.5質量%
を含有し、
前記成分(A)の含有量が、0.2~2.0質量%であり、
前記成分(B)の含有量が、1.5~5.0質量%であり、
前記成分(C)の含有量が、1.0~15.0質量%であり、
前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(A)の含有量の割合(A)/[(D)+(E)]が、1.67~7.5である毛髪用水中油型組成物。 - 前記成分(E)のHLBが10以下である請求項1の項に記載の毛髪用水中油型組成物。
- 前記成分(A)の含有量に対する前記成分(C)の含有量の割合(C)/(A)が、0.5~10である請求項1又は2のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
- 前記成分(D)および前記成分(E)の合計含有量に対する前記成分(B)の含有量の割合(B)/[(D)+(E)]が3.5~20である請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
- N-アシル酸性アミノ酸を含有する毛髪洗浄料を使用後の毛髪に使用するための請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
- 前記成分(C)の25℃における粘度が6~100mPa・sである請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪用水中油型組成物。
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