JP7348516B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼結鉱の製造方法に関する。
現在、高炉製銑法の主な原料は、焼結鉱である。
焼結鉱は、通常、次のように製造される。まず、主原料である鉄鉱石(粉)、スケールや製鉄ダスト等の含鉄雑原料、橄欖岩等のMgO含有副原料、石灰石等のCaO含有副原料(以上を新原料と呼ぶ)、返鉱、および、燃焼熱によって焼結鉱を焼結(凝結)させる燃料となる炭材(凝結材とも言う)を、所定の割合で配合して配合原料とする。配合原料を混合し、混合した配合原料をドラムミキサなどにより造粒して原料造粒物とする。次に、造粒された配合原料(原料造粒物)を、ホッパより、下方吸引式のドワイトロイド(DL)式焼結機のパレット上に装入して、原料充填層を形成する。形成した原料充填層の上方に配置された点火炉(点火器)により、原料充填層の上部(表面層)の炭材に点火する。そして、パレットを連続的に移動させながらパレットの下方から空気(酸素含有ガス)を吸引する。吸引により、原料充填層中に上方から酸素を供給し、炭材の燃焼を下方に進行させる。炭材の燃焼熱により、原料充填層は、上層から下層へ順次焼結される。焼結により得られた焼結部(焼結層)は、粉砕され、篩分け等により所定の粒度に整粒され焼結鉱となる。
DL式焼結機では、下方吸引により上層から下層に向けて順次焼結させるため、原料充填層の下層部では熱量が十分であっても、上方からの空気により冷却される上層部では熱量不足となる。そのため、熱量不足となる上層部では焼結が十分に進行せず、焼結鉱の強度不足を引き起こし、全体の歩留も悪くなる。
上層部の熱量不足に対して、点火炉による点火後、燃料を原料充填層表面から吹き付けて熱量不足を補い、焼結を行う技術が多く開示されている(以下、これらを総称して、「燃料散布焼結法」と呼ぶ。)。
例えば、特許文献1に開示される技術は、固体燃料や液体燃料の添加によるNOx低減を目的に、燃料を原料充填層の表層に吹き付けている。
特許文献2に開示される技術は、焼結層歩留向上を目的に、遅燃性微粉末(高炉ガス灰など)を原料充填層の層表面部に散布している。
特許文献3に開示される技術は、生産性向上を目的に、高揮発分石炭を原料充填層の表層に吹き付けている。
特許文献4に開示される技術は、歩留向上を目的に、点火後に炭材(粉コークス)を原料充填層の表層に供給している。
特開昭51-80608号公報 特公昭41-7041号公報 特開2013-82980号公報 特開昭63-213624号公報
特許文献1に開示される技術は、燃料の増配合におけるNOx低減効果のみに着目し、歩留の向上を検討したものではない。
特許文献2に開示される技術は、実質的に燃料となる高炉ガス灰を数mm程度の厚さに均一に散布する必要があり、また、散布した燃料がすべて燃焼しない点で難がある。
特許文献3に開示される技術は、添加する燃料を含めた投入熱量一定条件でも生産性向上を達成しているものの、従来の炭材や発生ダストとは別に高揮発分石炭を燃料として必要とする上に、それでもなお燃料の燃え残りを十分には防止できない点で難がある。
特許文献4に開示される技術は、1000℃以上の高温保持時間の伸延による歩留向上効果が得られている。実施例では、添加した粉コークスを含めた配合原料全体のコークス配合比を略一定(3.3%~3.4%)として、微粉コークスを内数0.3%で上層へ供給することで成品歩留が3.8%向上している。但し、この場合、コークスを供給する範囲が機長方向広範囲(点火炉後方1m~65m)となるため、供給設備が大規模となり、供給する微粉コークスの総量も多量となる。
上述のように、特許文献1に開示された技術では、歩留の向上が十分ではなかった。また、特許文献2~4に開示された技術では、投入された燃料を十分に燃焼させることが困難であるため、投入燃料の多量の散布が必要となり、歩留向上の効率が悪かった。
本発明の目的は、焼結鉱の製造方法において、投入(散布)した燃料を十分に燃焼させて、焼結鉱の歩留と生産性をさらに向上させることである。
燃料散布焼結法において、少ない燃料の散布により歩留を向上させるためには、散布した全燃料を燃焼させることにより、上層部の温度低下を抑えることが考えられる。本発明者らは、散布した全燃料を十分に燃焼させるには、点火炉による点火後に、再度、バーナーで加熱(フレーム加熱)すればよいと考えた。そして、かかる着想のプロセスを鋭意、実験的に検討し、適正な燃料散布条件を規定した。また、規定した条件に基づいて両者を組み合わせた場合は燃料散布のみの場合とフレーム加熱のみの場合に比較して、より高い歩留、および生産性向上効果が発現することを確認した。組み合わせによる高い歩留、および生産性向上効果は、燃料散布のみの場合に未燃焼で残留する燃料が、フレーム加熱による再点火および温度上昇により十分に燃焼し、有効に活用されるためと考えられる。
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)焼結用配合原料が装入されて原料充填層が形成されるパレットと、
パレット進行方向上流側に配置され、前記原料充填層の上層に点火する点火器と、
前記原料充填層の下方から酸素含有ガスを吸引する風箱と、
前記点火器のパレット進行方向下流側に離間して配置され、前記原料充填層の上面を、フレーム加熱するフレーム加熱装置と、を備えるドワイトロイド式焼結機を使用し、
前記点火器と前記フレーム加熱装置の間の区間において、フリーカーボンを含む固体の燃料である含カーボン固体物質を、前記焼結用配合原料により形成される前記原料充填層の上層に散布し、
散布される前記含カーボン固体物質である散布用含カーボン固体物質中のフリーカーボンが、前記焼結用配合原料に配合される新原料に対し、0.012質量%以上0.056質量%以下である
ことを特徴とする焼結鉱の製造方法。
(2)前記フレーム加熱装置により投入されるフレーム加熱熱量が、前記散布用含カーボン固体物質の発熱量と前記フレーム加熱熱量の和に対して、50%以上70%以下である
ことを特徴とする(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
本発明によれば、炭材散布焼結法において、炭材として含カーボン固体物質を所定の割合で散布することにより、歩留向上効果を伴う大幅な生産性向上効果が得られる。
一般的なDL式焼結機の全体概要図である。 一般的な焼結法を説明する説明概要図である。 燃料散布焼結法を説明する説明概要図である。 フレーム加熱法を説明する説明概要図である。 フレーム加熱装置の配置場所の範囲を算定する方法を示す説明図である。 本発明の燃料散布焼結法とフレーム加熱法とを組み合わせた焼結鉱の製造方法の一実施形態を説明する概略説明図である。 全入熱(投入)熱量と成品歩留との関係を示す図である。 フレーム加熱熱量比率と成品歩留との関係を示す図である。
以下に課題を解決した経緯について詳細に説明する。
DL式焼結機においては、上層表面に点火し、下方吸引により点火した原料充填層の上層から下層に向けて順次焼結を進行させる。そのため、一般的に、焼結過程において、原料充填層の高さ方向の熱的分布が異なり、下層部では熱量が十分であっても、上層部では熱量不足となる。それは、下層部では、上層部の焼結の進行により徐々に昇温し充分に予熱された後にコークスなどの炭材が燃焼し、さらに燃焼完了後も上層部の残熱により徐々に冷却されるのに対し、上層部では、上方より吸引される低温の空気(酸素含有ガス)により燃焼温度が十分に上昇せず、また、炭材の燃焼完了後には低温の空気により急冷されることによるものである。上層部では熱量不足により焼結が十分に進行せず、上層部の焼結鉱の強度不足を引き起こし、全体の歩留も悪くなる。
本発明者は、点火器での点火後に、種々の方法で原料充填層の上面を加熱し、各方法や各条件における歩留を調べた。その結果、点火器での点火完了後、所定の区間に大気吸引領域を設けて一定時間大気(酸素含有ガス)を吸引し、その後、再度、原料充填層の上面を点火して加熱することによって、成品歩留を向上させることができることを見出した。この最初の点火(一段目の点火)後に所定の間隔を空けたタイミングで二段目のフレーム加熱(二段目の点火)で行う技術を以下、フレーム加熱法と呼ぶ。フレーム加熱は、一段目の点火で燃焼されなかった上層部の炭材(コークス)に点火し、十分に加熱して熱量不足を補うことを目的とする。
フレーム加熱法は、比較的簡便な焼結機の装置構成により、脆弱になりがちな原料充填層上層部において高温保持時間を伸延させて、原料充填層上層部の歩留を向上できるものである。具体的には、点火器から所定の間隔を設けて配置したフレーム加熱装置を備えた焼結機を使用し、フレーム加熱装置により、原料充填層の上面を再加熱する。再加熱により、原料充填層上部空間が高温に保たれ、かつ高温に保たれた原料充填層上部空間の空気が焼結層内へ吸引される。そのため、原料充填層上層部からの抜熱は無く、逆にガス顕熱が原料充填層上層部中の炭材への熱供給に活用される。そのため、燃料による加熱が効率的に行われ、熱不足、高温保持時間不足による焼結不良が防止でき、原料充填層上部(上層部)の歩留改善に有効となる。全体の歩留を下げていた上層部の歩留が向上するので、全体としての歩留も向上する。
このフレーム加熱法は、焼結不十分になりやすい上層部を加熱するという原理から、配合原料の種類によらず、その効果を発現する。すなわち、焼結鉱の歩留、冷間強度の両方を向上させることができる。燃料散布焼結法も、上層部の熱量不足の改善を目的としたものであるが、上述したように、投入燃料の多量の散布が必要となり、歩留向上の効率が悪いという問題があった。また、散布した燃料が未燃焼で残留してしまう場合があった。そこで、本発明者らは、これらの問題点の改善を目的として、歩留向上を可能とするフレーム加熱法を適用することを考案した。その結果、予測を超えた、フレーム加熱法と燃料散布焼結法の相乗効果が得られることが明らかとなった。
(焼結機と焼結鉱の製造方法)
まず、一般的な焼結鉱の製造装置および製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は、一般的なDL式焼結機の構成を示す概略図である。図2は、DL式焼結機による焼結鉱の製造方法を説明する説明図である。図2では、DL式焼結機100の一部の構成のみ図示し、パレット9、トラックガイド10、駆動輪11、遊動輪12、ダクト13、風箱14の記載を省略している。なお、後述する燃料散布焼結法、フレーム加熱法、および本発明に使用する焼結機も、このような一般的な焼結機の構成に準拠している。以後の説明において、同様または略同様の構成については、同様の符号や名称を付す等して重複する説明は省略する。
まず、DL式焼結機100の構成について説明する。
図1に示すように、DL式焼結機100は、点火器2、ホッパ7、パレット9、トラックガイド10、駆動輪11、遊動輪12、ダクト13、および風箱14を備えて構成される。DL式焼結機100は、装入された配合原料(配合原料造粒物)を、その上部からバーナー火炎により配合原料中の炭材(凝結材)に点火し、点火した炭材の燃焼熱により配合原料を焼成して、焼結鉱を製造する装置である。
ホッパ7は、配合原料を装入する原料供給部である。上部から配合原料が供給され、下部排出口からパレット9内に所定量の配合原料を切り出す。
パレット9は、焼結機長手方向に隙間なく複数配置され、容器を形成する。パレット9は、2枚の側壁および底部からなる台車であり、上部および進行方向前後が開口されている。また、底部には、パレット進行方向に沿って延びるスリット状の開口が複数形成されている。
パレット9は、駆動輪11によって給鉱側から押し出され、トラックガイド10の上を所定の速度で走行して排鉱部に至る。そこで遊動輪12とトラックガイド10とに誘導されて反転し、下側のトラックガイド10に沿って駆動輪11に戻る。
点火器2は、複数のパレット9のうち、進行方向上流のパレット9上の原料充填層内の炭材に上部から点火する装置である。例えば、パレット9の上部を覆う箱状体(フード)と、その内部に配置される複数の点火用のバーナーを備えている点火炉である。
風箱14は、パレット9の下に配置され、ダクト13を介して、ブロア(図示省略)に接続されている。ブロアの動作により、風箱14からパレット9の下方空間の空気が吸い出される。これに伴い、パレット9の上方からは空気が導気される。
次に、焼結鉱の製造方法について説明する。
焼結鉱の主原料である鉄鉱石、含鉄雑原料、副原料(以上を新原料と呼ぶ)、返鉱、および炭材(凝結材)は、所定の配合割合で配合される。配合された原料(配合原料)は、ドラムミキサなどにより混合され、所定量の水分を添加して造粒される。造粒された配合原料(原料造粒物)は、ホッパ7に投入される。ホッパ7に供給された造粒された配合原料(原料造粒物)は、所定量が、下部排出口からDL式焼結機100のパレット9(図1参照)上に切り出されて、原料充填層1を形成する。上述したように、パレット9は連続的に移動しており、原料充填層1は、パレット9の移動により下流側に配置された点火器2(点火炉)の下方に進む。点火器2のバーナーにより、原料充填層1の上部(表面層)の炭材が点火される。点火により原料充填層1の上部の炭材が燃焼して燃焼帯5を形成し、下方からの吸引による空気(酸素)の供給により燃焼が維持されつつ下部へと進行する。そして、焼結完了層6(焼成した原料充填層)は、下方からの吸引により上方から導気される空気により冷却される。焼結完了層6は、パレットが遊動輪12(図1参照)上を下方に移動する際に破断されて落下し、クラッシャによって破砕されて、所定径の焼結鉱が製造される。
(燃料散布焼結法)
次に、燃料散布焼結法について、図3を参照して説明する。燃料散布焼結法は、DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法である。なお、本発明は、燃料散布焼結法とフレーム加熱法とを組み合わせた技術であり、所定の区間(大気吸引領域3が設けられた区間)において、固体の燃料である含カーボン固体物質を散布することを特徴とするが、その詳細については、後述する(本発明の実施形態)で説明する。
図3に示すように、燃料散布焼結法の特徴は、点火器2により点火した後に、原料充填層1の上方から、液体、あるいは固体の燃料を散布(添加)する。点火器2の下流側で燃料を散布することにより、原料充填層1の上層部の燃焼熱を補って焼結を進行させて、上層部の歩留を向上させるものである。
(フレーム加熱法)
続いて、図4および図5を参照して、本発明の特徴的な構成であるフレーム加熱法について説明する。フレーム加熱法は、DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法である。なお、ここでの説明は、フレーム加熱法を用いた場合のみの説明であり、燃料散布焼結法と組み合わせた際の説明は後述する。
フレーム加熱法を実施する焼結機には、以下の2点の特徴がある。1つ目は、原料充填層1の上面をフレーム加熱するフレーム加熱装置4を設けることである。フレーム加熱装置4は、点火器2の下流側に、点火器2と所定の間隔で離間して設けられる。2つ目は、点火器2とフレーム加熱装置4との間に、大気吸引領域3を設けることである。なお、図4および図5に示された燃焼帯5は模式的なものであり、実際に燃焼帯5が原料充填層1に対して占める割合や燃焼帯5の形状は図示されたものとは異なりうる。
ここで、「フレーム加熱」とは、フレーム(火炎)を用いて加熱することである。フレーム加熱は、加熱対象物である焼結層最上面に火炎を吹き付けて、外部から加熱するものである。燃料を原料充填層1内に吹き込んで燃焼させるなど、原料充填層1を内部から加熱するものではない。なお、フレーム加熱は、火炎が焼結層表面に直接接している状態で、焼結層を加熱することが望ましい。
ここで、「大気吸引領域3」とは、点火器2とフレーム加熱装置4との間の区間(領域)であり、下方吸引により大気が吸引されるものの、上面からはバーナー等による直接加熱が行われない焼結工程における一領域のことをいう。
点火器2での点火により、原料充填層1には燃焼帯5が形成される。引き続きすぐにバーナー加熱を行っても、点火器2での点火により原料充填層1上方空間の酸素濃度が低下しているため、焼結反応は進行しない。本発明では、上面から火炎バーナー等の燃焼加熱を行うことなく大気の吸引を行う区間である大気吸引領域3を設ける。点火器2とフレーム加熱装置4との間に大気吸引領域3を設けることにより、燃焼帯5に十分に酸素が供給される。よって、この大気吸引領域3での原料充填層1内上層部において炭材の燃焼が促進されて、下層への焼結反応が進行し、燃焼帯5が拡大する。
フレーム加熱法においては、フレームが、原料充填層1の上面に直接噴射されるため、原料充填層1上面を十分に加熱できる。同時に原料充填層1上部空間の空気をも加熱できる。原料充填層1上部空間の空気が加熱されるために、冷たい空気による原料充填層1の上層の温度低下を防止できる。また、フレーム加熱装置4による再点火と、原料充填層1の上層の温度低下の解消により、点火器2で点火できなかった燃え残りの炭材を余さず燃焼させることができ、原料充填層1に含まれる炭材の燃焼効率が向上する。
図5を参照して、フレーム加熱法における焼結の進行について、詳細に説明する。
ホッパ7から装入された原料充填層1の上面(表面)の炭材に、点火器2により点火する。点火により、原料充填層1に含まれる炭材が燃焼する。点火器2の配置箇所(図5のX1に対応する箇所)においては、大気を下方吸引する場合もしない場合もありうるが、ここでの炭材の燃焼による焼結は、下層方向に進行せず停滞する。これは、点火器2による点火が完了するまでは、着火はするものの、点火バーナー加熱により原料充填層1の上方の酸素濃度が薄くなるためである。燃焼に必要な酸素の供給が制限され、下方吸引しなければもちろんのこと、下方吸引したとしても、原料充填層1中の炭材の燃焼が停滞するからである。
着火が完了し、点火器2から下流方向にパレット(図4および図5において原料充填層1は長手方向に連続して図示されているが、実際は、原料充填層1は、各箱型のパレット中に載置されている。)が移動することにより、原料充填層1は大気吸引領域3(図5のd1に対応する箇所)に移動する。大気吸引領域3では、下方吸引により燃焼帯5が降下し、下層方向に焼結が進行する。このとき、原料充填層1中の厚さ方向に含まれるすべての炭材が一度に燃焼を開始するものではない。最初は、表面の炭材のみが燃焼し、表面の炭材の燃焼が終了すると、順次、火面(燃焼前線)が下部方向に移動する。すなわち、焼結中において、原料充填層1中で炭材が燃焼している部分(燃焼帯5)は、炭材が燃焼し終わった焼結完了層6と、炭材がこれから燃焼する原料充填層1との間にあり、深さ方向にある程度の厚さを有する。
原料充填層1は、更なるパレットの移動により、大気吸引領域3からフレーム加熱装置4の配置箇所(図5のX2に対応する箇所)に移動する。フレーム加熱装置4で加熱されている最中は、下方吸引しても、しなくても、燃焼前線(燃焼帯下面)は進行せず停滞する。これは、点火器2での加熱中と同様に、フレーム加熱中は原料充填層1の上方の酸素濃度が薄くなり、燃焼に必要な酸素の供給が制限されるからである。なお、「燃焼前線(燃焼帯下面)」とは、炭材が赤熱燃焼している燃焼帯5の最下部で燃焼始まり部分をいう。
フレーム加熱を開始するタイミングは、例えば以下のような点を考慮して決定される。
フレーム加熱を開始するタイミングが遅れると、焼結層上面部が、大気吸引により冷却されて温度が落ち切ってしまう。改めて加熱しても、燃焼帯5において炭材の燃焼に必要な熱量が得られず、フレーム加熱による歩留向上の効果が低下してしまう。
一方、フレーム加熱を開始するタイミングが早いと、十分な長さの大気吸引領域3が確保できず、燃焼帯5の上下方向の長さが短くなる。点火に引き続き連続して加熱した場合、あるいは、必要十分な長さd1の大気吸引領域3を設けない場合などは、十分な大気吸引が行われないことから、原料充填層1内部の炭材に供給される酸素が不足する。そのため、原料充填層1上部(上層部)に、焼結に必要な時点での熱量を供給することができず、焼結を進行させるに十分な温度である1100℃以上の高温保持時間が十分に確保できない。
フレーム加熱を開始するタイミングは、燃焼前線(燃焼帯下面)の深さ位置hに基づいて決めることが望ましいが、燃焼前線の深さ位置hは測定困難な指標である。そこで、燃焼前線の深さ位置hと一定の比例関係にある、点火器2とフレーム加熱装置4の離間距離(大気吸引領域3の長さd1に等しい、以下、長さd1として説明する)を用いて、好ましいタイミングを特定した。以下、図5を参照して、長さd1を特定する方法について、詳細に説明する。
長さd1の範囲は、機長L2(風箱14の全長(図1参照))、風箱の開始端から点火器2の開始端までの距離X3、点火器2の長さX1、フレーム加熱装置4の長さX2、フレーム加熱開始時の燃焼前線深さh、原料充填層1の厚さH、およびFFPにより、特定することができる。ここでいうFFP(燃焼前線到達点:Flame front point)とは、機長L2の始点(焼結層が形成された地点)から燃焼前線が充填層の最下層(最下部)に到達する位置までの距離を、風箱14の全長(機長L2)で除した値である。図5に示すように、燃焼帯5の中で、燃焼最高温度位置は、燃焼前線位置より遅れて充填層の最下部に到達する。すなわち、燃焼前線が充填層の最下層に到達した後も、燃焼が最高温度に到達して焼結が完全に完了し、排鉱できるまでにするには、さらに時間あるいは距離が必要となる。FFPは、その距離を規定する値であり、燃焼前線が充填層の最下部まで到達した地点と燃焼が完了する地点との距離は、機長L2との積で表され、L2×(1-FFP)である。
図5を参照して、長さd1を特定する方法について、詳細に説明する。パレット9は、上述したように、駆動輪11によって所定の速度で移動する。すなわち、原料充填層1は、装入されてから、風箱(図1参照、図5では図示略)の終端である焼結終了点まで、一定の速度で移動する。一方、燃焼前線は、下方に向けて進行する箇所と進行しない箇所とがある。具体的には、大気吸引領域3を通過する間(図5中に示される長さd1の区間)、および、フレーム加熱装置4での加熱後から風箱の終点まで移動する間(図5中に示される距離d2の区間)においては、燃焼前線は一定の速度で下方に進行する。また、点火器2で点火されている間(点火器2の機長方向の長さX1の区間)、および、フレーム加熱されている間(フレーム加熱装置4の機長方向の長さX2の区間)においては、上述したように、酸素濃度不足により、燃焼前線は進行しない。最終的に、燃焼前線は、原料充填層1の層厚H分だけ移動する。
ここで、大気吸引領域3の間に燃焼前線深さはhまで進行する。hと総充填層厚さHとの比h/Hは、長さd1と、燃焼前面が実質的に下方に進行する機長方向の距離(有効機長)L1との比に等しい。すなわち、h=d1×H/L1となる。
例えば、フレーム加熱法のみを行う場合(燃料散布焼結法を組み合わせない場合)、そのタイミングは、燃焼前線(燃焼帯下面)が焼結層最上面より深さ13mm以上86mm以下にある時点が好ましい。この場合、hの範囲は、13~86mmとなり、ゆえに、d1の好ましい範囲は、下記の式(1)となる。
13×L1/H≦d1≦86×L1/H ・・・(1)
なお、有効機長L1は、図4で示すように、L2、X1、X2、X3およびFFPを用いて以下の式(2)で求められる。
L1=L2-(X1+X2+X3)―(1-FFP)×L2
=L2×FFP-(X1+X2+X3)・・・(2)
また、通常、FFPは0.7~0.9の範囲で、Hは500~700mmの範囲で焼結操業が行なわれる。層厚の代表値であるH=600mmでは、式(1)は、
0.02≦d1/L1≦0.14
となる。すなわち、焼結機の機長L2、X1、X2、X3、FFPから計算される有効機長L1に対する比率として、d1は、その2%から14%の間に相当する。よって、長さd1(mm)は、有効機長L1に対し2%から14%の長さが好ましい。
フレーム加熱を開始するタイミングは、深さ方向の燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度V(mm/min)によって、フレーム加熱開始時刻として決定することもできる。
点火器2による点火完了までは、燃焼帯5は下方に進行しないので、点火器2の点火完了時刻0(出口時点)までは、燃焼帯5は表面から動かず、燃焼帯前線の深さは0である。深さ方向の燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度がVであるならば、点火器2による点火完了時刻を基準0minとすると、燃焼前線深さhが13mm~86mmnの間にある時刻tは、深さhを燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度Vで割れば経過時間が算出できるので、点火完了時刻から、13/V~86/V(min)後となる。例えば、燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度を29mm/min程度とした代表的な実機の操業(燃料散布焼結法を用いない場合)においては、13/V~86/V(min)後とは、点火器2による点火完了後、約30秒以上3分以内に相当する。
点火器2は、従来に用いられるものと同様のものが使用できる。効率的な原料充填層表面への着火を図るために、燃焼量(燃焼熱量):25MJ/配合原料t程度となるようなバーナーで構成するのが好ましい。この燃焼熱量は、現行の実機レベルである。なお、空燃比はガスの種類(LPG、COG等)に応じて燃焼に適正な条件で調整する。
フレーム加熱装置4も、燃料ガスに着火して火炎を形成させる。フレーム加熱装置4として、点火器2と同一の構成、すなわち、同一仕様・規模の点火器を併設するものでもよい(図4参照)。既存の点火器、点火炉をそのまま利用できるので、焼結機設置の際のコストダウンを図ることができる。燃焼量は、25MJ/配合原料t程度とすることができる。なお、燃料散布焼結法と組み合わせた本発明における、好ましい燃焼量については後述する。
大気吸引領域3は、例えば、図4および図5に示したように、点火器2とフレーム加熱装置4を独立して設け、それぞれを焼結機のパレット進行方向に離して設けることで実現できる。また、図示は省略するが、点火器2とフレーム加熱装置4を同一フード内に敷設してもよい。このとき、例えば、大気吸引ゾーンと両点火ゾーンとを仕切る壁などをフード内に設けるなどして、大気吸引領域3を形成する。大気吸引領域3において、大気(酸素含有ガス)を供給しつつ、点火器2とフレーム加熱装置4により加熱された高温ガスの顕熱を利用して、焼結層内温度を高めるように構成することが好ましい。
フレーム加熱装置4は、例えば、前記パレット9の走行方向に直行する幅方向に配列される複数のバーナーを有し、フレーム加熱装置4により原料充填層1の幅方向全体がフレーム加熱されることが好ましい。幅方向全体を加熱することにより、上面の幅方向表面全体において、歩留、冷間強度が改善される。
(本発明の実施形態)
本発明は、上述の燃料散布焼結法および上述のフレーム加熱法を同時に組み合わせて実施する方法である。図6は、本発明の焼結鉱の製造方法を説明する概略説明図である。図6に示すように、本発明は、フレーム加熱装置4を備えた焼結機を使用し、点火器2とフレーム加熱装置4の間に設けられた区間である大気吸引領域3において、固体の燃料(散布用含カーボン固体物質16)を散布することを特徴とする。
大気吸引領域3においては、下方吸引により、原料充填層1の焼結が進行すると共に原料充填層1の上層部の温度が低下するが、本発明によれば、散布した散布用含カーボン固体物質16がフレーム加熱装置4で加熱されて燃焼するため、原料充填層1の上層部の熱量不足が補われる。そのため、上層部の焼結不良が防止でき、原料充填層1の上層部の歩留が向上する。上層部の歩留が向上することにより、焼結鉱全体の歩留も向上する。また、散布用含カーボン固体物質16をフレーム加熱装置4にて十分に加熱して燃焼させることができるため、散布用含カーボン固体物質16の全量を有効に利用することができる。
具体的には後述するが、散布用含カーボン固体物質16の散布量は、散布用含カーボン固体物質16中のフリーカーボン質量が、所定の量となるようにする。ここで、フリーカーボン(Free Carbon:遊離炭素)とは、酸素を消費することが可能な形態の炭素であり、例えば、CaCOなどのように無機物として固定されている炭素は含まれない。散布用含カーボン固体物質16におけるフリーカーボンは、JISG1211-5(2011) 「鉄及び鋼-炭素定量方法-第 5 部:遊離炭素定量方法」によって、その含有量(質量)が計測される。
本発明において、含カーボン固体物質とは、粉コークス、高炉1次灰、高炉2次灰、CDQ粉、送骸系集塵粉などのフリーカーボンを含む固体の燃料である。原料充填層の上層に散布する含カーボン固体物質である散布用含カーボン固体物質16には、このうちの少なくとも1つ以上が使用される。ここで、CDQ粉は、コークス炉の乾式消火設備(CDQ)内や付帯する集塵機から発生する、微粉のコークス粉である。また、送骸系集塵粉とは、コークス炉で乾留したコークスを、コークス炉のヤードからコークス工場へ運送する際や、コークス工場から高炉に運送する際に発生するコークス粉である。
表1は、含カーボン固体物質である粉コークス、高炉1次灰、高炉2次灰、CDQ粉、および送骸系集塵粉の代表的な成分と平均粒度を示す。表1に示すように、これらの含カーボン固体物質は、5質量%以上のフリーカーボン(遊離炭素)を含み、その他の成分は、主に、T-Fe(FeまたはFe酸化物等のFe化合物)、SiO、Al、CaO、MgOなどからなる。上記以外の成分は、Na、K、Zn、Pb、Clなどの微量成分である。
Figure 0007348516000001
散布用含カーボン固体物質16の散布量は、散布用含カーボン固体物質16中のフリーカーボンが、原料充填層を形成する焼結用配合原料に配合される新原料に対し、0.012質量%以上0.056質量%以下となる量で行う。ここで、原料充填層を形成する焼結用配合原料に配合される含カーボン固体物質は、新原料ではなく凝結材に分類される。散布用含カーボン固体物質16中のフリーカーボンが、全含カーボン固体物質を除いた新原料の質量に対し、0.012質量%未満で散布されると、上層の保熱に必要な熱量が確保できない。一方、0.056質量%を超えると、燃焼に伴う温度上昇が過多となり、焼結層の通気性が低下する。その結果、ガス流れが乱れて歩留低下を引き起こす。
また、散布用含カーボン固体物質16中のフリーカーボン含有量は、25質量%以上75質量%以下が好ましい。フリーカーボン含有量が25質量%以上75質量%以下であるとは、炭素換算で、散布用含カーボン固体物質16に対する炭素(C)含有量が25質量%以上75質量%以下ということを意味する。散布用含カーボン固体物質16中のフリーカーボン含有量を25質量%以上とすることで、効率的に熱量投入ができる。また、フリーカーボン含有量を25質量%以上75質量%以下とすることにより、フリーカーボン以外のその他の含有物として、スラグ成分を適量含めることができる。焼成の際に、適量のスラグ成分が溶融して原料粒子同士の固着効果をもたらし、歩留がさらに向上するためである。特に、CaOを多く含有するダスト(高炉1次灰、高炉2次灰)を配合した際には、焼結時に液相を生成しやすいため、効果が大きい。
散布用含カーボン固体物質16として、表1に示す含カーボン固体物質のうち、高炉2次灰を単独使用した場合には、フリーカーボン含有量が10.0質量%と低くなるが、フリーカーボン含有量の高い他の含カーボン固体物質(例えば、粉コークス)と合わせて使用することにより、フリーカーボン含有量が25質量%以上75質量%以下とすることが可能である。また、含カーボン固体物質のうち、粉コークスを単独使用した場合には、フリーカーボン含有量が87.0質量%と高くなるが、フリーカーボン含有量の低い他の含カーボン固体物質(例えば、高炉1次灰)と合わせて使用することにより、フリーカーボン含有量が25質量%以上75質量%以下とすることが可能である。
散布用含カーボン固体物質16の粒度は、1mm以下であると、燃焼効率が良いので好ましい。また、気流搬送を考慮すると0.125mm未満がさらに好ましい。
散布用含カーボン固体物質16は、例えば、排ガス(焼結機排ガスや焼結クーラー排ガスなど)を循環させて原料充填層1に供給する際に共に吹き込むか、または小型コンベアを焼結パレット直上に装入して、下方吸引される空気と共に原料充填層1に供給する。
燃料散布にあたって、フレーム加熱装置4により投入されるフレーム加熱熱量は、フレーム加熱熱量と散布用含カーボン固体物質16の発熱量との和(フレーム加熱熱量+散布用含カーボン固体物質16の発熱量)に対して、50%以上70%以下であることが好ましい。実施例(図8)で示すように、フレーム加熱熱量比率が50%および70%において、燃焼散布焼結法とフレーム加熱法とに相乗効果が認められ、高い歩留向上効果が発現するためである。ここで、フレーム加熱熱量と散布用含カーボン固体物質16の発熱量との和(フレーム加熱熱量+散布用含カーボン固体物質16の発熱量)が一定条件では、フレーム加熱熱量が増加すると、散布用含カーボン固体物質16の量、すなわち、添加するダスト(高炉1次灰、高炉2次灰)の量が低下するため、歩留向上効果が抑制される。
本発明によれば、燃料散布焼結法にフレーム加熱法を組み合わせることによって、原料充填層1の上層の熱不足が緩和される。特に、点火器2とフレーム加熱装置4の間に設けられた区間である大気吸引領域3において散布される散布用含カーボン固体物質16は、点火器2の点火後に追加されるので燃え残りやすいが、フレーム加熱装置4の加熱により余さず燃焼させることができるので、原料充填層1の上層の熱量不足を十分に補うことができる。その結果、この上層の歩留が向上し、焼結鉱全体の歩留の向上効果が得られる。また、点火器2とフレーム加熱装置4の間に設けた大気吸引領域3における空塔風速上昇によって、特に上層部の燃焼帯5がより拡大し、歩留と生産性が同時に向上する。
本発明の効果を実証する実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
発明者らは、DL式焼結機を模擬した条件で焼結を行う鍋試験により、本発明の効果を確認した。DL式焼結機のようにパレット9による原料充填層1の移動こそないが、下方吸引できる所定の大きさの容器に燃料を含む配合原料を装入し、上面から着火し、下方吸引させて焼結を進行させる試験である。後述する表4に示すように、比較例1~4、実施例1~6の10の実験を行った。
(実験条件)
表2は、新原料の配合割合を示す。表1の鉄鉱石A~Eは異なる産地のものを使用した。新原料の配合比率は、試験ケースによらず、すべての試験ケースにおいて同一である。
表3は、上段に、原料充填層を形成する焼結用配合原料の配合割合を示す。下段に、原料充填層に散布する高炉1次灰の配合割合およびその高炉1次灰中のフリーカーボン量の割合を、新原料に対する外数で示す。なお、本実施例においては、焼結用配合原料中の含カーボン固体物質および散布用含カーボン固体物質16として表1に示した高炉1次灰(フリーカーボン含有量31%)のみを用い、その使用量は、表3において、新原料ではなく炭材(凝結材)の一種として表示している。粉コークスは、いずれも粒度が-5mm(5mm未満)のもの(5mmの篩目の篩下のもの)を使用した。
表3に示すように、新原料を100質量%として、粉コークス、返鉱の配合割合を、外数で、それぞれ、4.5質量%、15.0質量%とした。また、焼結用配合原料中に添加した含カーボン固体物質(高炉1次灰)と、大気吸引領域で散布した散布用含カーボン固体物質16(高炉1次灰)の合計量は、すべての試験ケースにおいて一定(0.36質量%)とした。大気吸引領域で散布した高炉1次灰中のフリーカーボンの質量が、新原料の全質量に対して、0質量%以上0.112質量%以下の異なる6通りの配合(配合1~6)を準備して、実験に用いた。
Figure 0007348516000002
配合原料は、一括して造粒した。造粒は、ドラムミキサに配合原料を投入し、これらを4分間混合した。その後、配合原料を100質量%として所定の原料水分(7.0%)となるように水分を添加し、さらに4分間造粒処理した。
次に点火条件について述べる。
点火は、1分間(熱量25MJ/配合原料t)とした。1分間の点火完了後直ちに、所定量の高炉1次灰(散布用含カーボン固体物質16)を、スコップで焼結面に均等に散布した。点火完了から2.5分後を、フレーム加熱開始時刻とした。最初の点火完了からフレーム加熱開始までの時間である2.5分間は、実機における距離に換算するとL1の10%の長さとなる。1分間当たりのフレーム加熱熱量は、16.6MJ/新原料tとした。フレーム加熱時間は、試験条件に合わせて、0秒(フレーム加熱を実施しないケース)から116秒の範囲で変更した。なお、これを熱量に換算すると、0MJ/原料tから32.1MJ/原料tの範囲となる。
鍋試験装置は、直径300mm、高さ500mmの寸法のものを使用した。焼結時の吸引負圧は、鍋下における計測値で1300mmAq(12.75kPa)一定となるように、送風機吸引側のバルブ開度で調整した。鍋下では圧力と共に熱電対による温度計測も行った。焼結では、燃焼帯が焼結層の最下部に到達すると、鍋下温度(排ガス温度)が上昇を開始し、やがてピークを迎え、コークスの燃焼完了により低下する。焼結時間は、点火開始から排ガス温度がピークとなるまでの時間とした。
焼結後、得られた焼結ケーキを、2mの高さから4回落下処理を行い、床敷鉱を除く粒径+5mm(5mm超)を焼結成品とした。そして、焼結成品重量を、床敷を除くシンターケーキ重量で除した値を成品歩留と定義した。
なお、生産率は、点火開始から排ガス温度がピークに到達するまでに要した時間を焼結時間として、成品量を焼結時間と鍋底面積で割って算出した。
試験ケースを表4上段に示す。燃料散布のみを実施するケース(比較例1~3)、フレーム加熱のみを実施するケース(比較例4~6)、および燃料散布とフレーム加熱を組み合わせたケース(発明例1~4)を設けた。また、燃料散布もフレーム加熱も実施しないケースを従来例(ベース)とした。
発明例1,2は、散布燃料熱量Aとフレーム加熱熱量Bとを等しくしたケース(熱量比B/(A+B)=50%)とした。
また、燃料散布のみを実施するケースおよびフレーム加熱のみを実施するケースについては、以下に示すように、燃料散布またはフレーム加熱熱量が、発明例の散布燃料熱量Aおよびフレーム加熱熱量Bの合計値(A+B)と等しくなるケースを設けた。
(1)発明例1と等熱量:比較例1および比較例4
(2)発明例2,3,4と等熱量:比較例3および比較例6
(2)の比較例3、発明例2~4、および比較例6については、上述のように散布燃料熱量Aとフレーム加熱熱量Bとの和(A+B)を32.2(MJ/原料t)一定として、フレーム加熱熱量比率(熱量比B/(A+B))を、それぞれ、0%,50%,70%、78%、100%とした。なお、散布した燃料(散布用含カーボン固体物質16)である高炉1次灰の発熱量(散布燃料熱量A)は、燃焼効率を考慮し、カーボン燃焼熱を29MJ/kgとして算出した。
(燃料散布法とフレーム加熱法の併用による相乗効果)
表4の下段に、試験結果(成品歩留)を示す。また、図7および図8は、表4の結果をまとめたものである。図7は、散布燃料熱量Aとフレーム加熱熱量Bとの和(A+B)である投入熱量と、成品歩留との関係を示す図である。図8は、フレーム加熱熱量比率(熱量比B/(A+B))と、成品歩留との関係を示す図である。
表4および図7に示すように、燃料(高炉灰)散布のみを実施するケース(比較例1~3)およびフレーム加熱のみを実施するケース(比較例4~6)に比較して、双方を併用では、同一投入熱量における比較において、歩留向上効果が得られた。
また、表4および図8に示すように、フレーム加熱熱量比率が50%および70%において高歩留となった。
以上の結果より、燃料散布焼結法とフレーム加熱法を併用すると、大幅な歩留向上効果が得られた。さらに、フレーム加熱熱量比率(フレーム加熱熱量/(フレーム加熱熱量+ダスト添加熱量))を50%以上70%以下としたケースで、歩留向上の効果が大きかった。さらに、焼結速度も維持されるため、歩留向上分生産率も向上した。
なお、本実施例では、最初の点火時間を1分で実施したが、発明様態として、この値に縛られない。理由は、実施例における加熱時間は、鍋試験におけるヒートロスを考慮したものである。実機(商用)焼結機において、例えば加熱時間30秒であるのであれば、この加熱時間を1分とする必要は全くなく、実操業の点火時間を維持して、フレーム加熱すればよい。
1…原料充填層、2…点火器、3…大気吸引領域、4…フレーム加熱装置、5…燃焼帯、6…焼結完了層、7…ホッパ、9…パレット、10…レールまたはトラックガイド、11…駆動輪、12…遊動輪、13…ダクト、14…風箱、16…散布用含カーボン固体物質、100…DL式焼結機

Claims (2)

  1. 焼結用配合原料が装入されて原料充填層が形成されるパレットと、
    パレット進行方向上流側に配置され、前記原料充填層の上層に点火する点火器と、
    前記原料充填層の下方から酸素含有ガスを吸引する風箱と、
    前記点火器のパレット進行方向下流側に離間して配置され、前記原料充填層の上面を、フレーム加熱するフレーム加熱装置と、を備え、前記点火器と前記フレーム加熱装置との間に前記原料充填層の上面から燃焼加熱を行うことなく大気の吸引を行う区間である大気吸引領域が設けられているドワイトロイド式焼結機を使用し、
    前記フレーム加熱は前記点火器による点火後の前記原料充填層の上面を再加熱するものであり、
    前記大気吸引領域において、フリーカーボンを含む固体の燃料である含カーボン固体物質を、前記焼結用配合原料により形成される前記原料充填層の上層に散布し、
    散布される前記含カーボン固体物質である散布用含カーボン固体物質中のフリーカーボンが、前記焼結用配合原料に配合される新原料に対し、0.012質量%以上0.056質量%以下である
    ことを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 前記フレーム加熱装置により投入される熱量であるフレーム加熱熱量(新原料当たりの燃焼熱量)が、前記散布用含カーボン固体物質の発熱量(低位発熱量)と前記フレーム加熱熱量の和に対して、50%以上70%以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
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