JP2020002457A - Dl焼結機およびdl焼結機を用いた焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡便な焼結機の装置構成により、被還元性を維持しつつ、原料充填層上層部の歩留、冷間強度が向上した焼結鉱を製造できるDL焼結機およびDL焼結機を用いた焼結鉱の製造方法を提供すること。【解決手段】上流から下流に至る進行方向に連続して設けられ、焼結原料が装入される複数のパレットと、複数のパレットのうち、進行方向上流のパレット内の原料充填層を上部から点火する点火器と、複数のパレットの下方から大気を吸引する風箱と、点火器の下流側に離間して配置され、前記原料充填層の上面の全幅をフレーム加熱するフレーム加熱装置と、点火器及びフレーム加熱装置の間に形成され、下方吸引により大気が吸引され、上面からは直接加熱が行われない大気吸引領域と、を備えることを特徴とするDL式焼結機。【選択図】図3

Description

本発明は、DL焼結機およびDL焼結機を用いた焼結鉱の製造方法に関する。
現在、高炉製銑の主原料は、焼結鉱である。焼結鉱は、通常、次のように製造される。まず、原料となる鉄鉱石、返鉱、製鋼ダスト等の含鉄原料粉、炭材、CaOを含む副原料を所定の割合で配合し、混合し、混合物を、造粒又は塊成化して焼結原料とする。次に、造粒又は塊成化された焼結原料を、ホッパより下方吸引式のドワイトロイド(DL)式焼結機のパレット上に焼結充填層を形成して載置し、載置した焼結充填層に上層(表層)から点火炉により焼結充填層中の炭材に点火する。パレットを移動させながらパレットの下方から空気を吸引することにより酸素を供給し、焼結充填層内の炭材の燃焼が上層から下層に向けて進行することにより、炭材の燃焼熱による焼結が進行する。得られた焼結体(シンターケーキ)は、粉砕、ふるい分け等により所定の粒度に整粒して高炉製銑の原料である焼結鉱となる。
DL式焼結機において、点火された上層から下層に向けて順次焼結させて焼結させる場合、一般に、原料層の高さ方向の熱的分布は、下層部では熱量が十分であっても、上層部では熱量不足となる。下層部では、上層部の焼成の進行により予熱された後に炭材が燃焼し、さらに燃焼完了後も上層部の残熱により徐々に冷却されるのに対し、上層部では、原料中のコークスの燃焼完了後に上層より吸引される低温の空気により急冷されるためである。
上層部が熱量不足となると、焼結が十分に進行せず、上層部の焼結鉱の強度不足を引き起こし、全体の歩留も悪くなる。
焼結鉱の品質と歩留、生産性を向上させるという課題に対して、たとえば、特許文献1−3においては、焼結原料の装入層に燃焼下限濃度以下の希釈気体燃料を噴出して、当該希釈気体燃料と炭材を装入層内において燃焼させてシンターケーキとする技術が開示されている。
特許文献4には、点火部を、パレット上流から、予熱昇温帯、昇温均一帯、着火保熱帯として、各々仕切で炉体と風箱を分離させる技術が開示されている。特許文献4では、予熱昇温帯、昇温均一帯、着火保熱帯各々で、表層温度、および、酸素濃度、空気比等の雰囲気を所定のものに制御している。
特許文献5には、点火用ラインバーナーの下流の、熱量が不足するパレット壁際を燃焼バーナーで加熱する技術が記載されている。
特許文献6には、点火炉の下流側に発生した着火不良個所を焼結原料層の表面温度を測定することにより特定し、補助バーナーにより着火不良個所を着火する技術が記載されている。
特開2008−95170号公報 特開2008−291354号公報 特開2010−47801号公報 特開昭58−11747号公報 特開2006−225682号公報 特開2006−194456号公報
歩留を向上させるためには、焼結原料中のコークスを増配させることが考えられる。図1は、横軸の成品歩留(%)と、縦軸の高炉に装入した際の被還元性(%)との関係を示したものである。図1中の左上◆は、通常の方法で、コークス(Coke)を4.0%配合した際のものであり、右下◆は、コークス(Coke)を4.4%配合した際のデータである。図1からも明らかであるように、歩留を向上しようと、焼結原料中の炭材の配合割合を増加させると、右下向き矢印の方向に、焼結鉱の被還元性が低下してしまう。
焼結鉱においては、高炉に装入した際の被還元性を維持しつつ、原料充填層上層部の歩留、冷間強度のさらなる向上が求められる。
特許文献1−3に記載の技術では、歩留を向上させた際の被還元性の低下をある程度は抑えられるものの、十分ではない。また、安全上、気体燃料を希釈する必要があり、上層部が高温である時間帯に熱量を供給することができない。さらに、特許文献1−3に記載の発明は、希釈した気体燃料を、燃焼・溶融帯が上層から100mm以上のある程度以上、下がった位置で供給するのが好ましいものである。その理由は、100mm以上、下がった位置であれば、焼結層を通して吸引される大気による冷却に伴う影響が軽減され、燃焼・溶融帯の厚み拡大を伴うからである(特許文献1の[0031]等参照)。すなわち、焼結層を通して吸引される大気による冷却に伴う影響が大きい上層部を対象とするものではなく、中・下層部領域を対象として希釈された気体燃料を供給するものであり、表面から50mm程度の上層部の歩留強度改善には結び付かない。
特許文献4に記載の技術では、点火前に、予熱昇温帯、昇温均一帯を設け、温度及び雰囲気制御を行うことは、焼結機の設備、特に点火器まわりの配管を煩雑化させるために、好ましくない。
特許文献5に記載の技術では、上記文献には、壁際以外を加熱する示唆は見当たらず、また、実質的に、点火用ラインバーナー位置から下流側3m以内に、燃焼バーナーを配置するものである。しかしながら、点火直後は燃焼により焼結原料表層が酸素不足であるため、この状態で燃焼バーナーによる加熱を行っても、燃焼が進まず、成品歩留が充分に向上しないという問題があった。
特許文献6には、着火不良個所以外の表面について、熱量不足、焼結不足となる旨の課題は想定されておらず、成品歩留以外の、被還元性、冷間強度の向上については記載も示唆もなされていない。
本発明の目的は、比較的簡便な焼結機の装置構成により、被還元性を維持しつつ、原料充填層上層部の歩留、冷間強度が向上した焼結鉱を製造できるDL焼結機およびDL焼結機を用いた焼結鉱の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、点火炉での点火後に、種々の方法で原料充填層の上面を加熱する条件について歩留、冷間強度、被還元性を調べた。その結果、点火器での点火完了後、所定の範囲の大気吸引領域を設け、再度原料充填層の上面を所定のタイミングでフレーム加熱することによって、被還元性を維持しつつ、焼結鉱の歩留、冷間強度の両方を向上させることができることを見出した。
本発明は、この知見に基づいて上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
[1].上流から下流に至る進行方向に連続して設けられ、焼結原料が装入される複数のパレットと、
前記複数のパレットのうち、進行方向上流のパレット内の原料充填層を上部から点火する点火器と、
前記複数のパレットの下方から大気を吸引する風箱と、
前記点火器の下流側に離間して配置され、前記原料充填層の上面の全幅をフレーム加熱するフレーム加熱装置と、
前記点火器及び前記フレーム加熱装置の間に形成され、下方吸引により大気が吸引され、上面からは直接加熱が行われない大気吸引領域と、
を備えることを特徴とするDL式焼結機。
[2].[1]に記載のDL式焼結機を使用し、
前記点火器による点火完了後、燃焼前線位置(燃焼帯下面)が、焼結層最上面より深さ13mm以上86mm以下にある時点で、前記フレーム加熱装置により、前記原料充填層の上面を加熱することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
[3].前記点火器及びフレーム加熱装置の間の距離d1(mm)を、下記の式(1)で表される範囲とした、前記フレーム加熱装置により、前記原料充填層の上面を加熱することを特徴とする[2]に記載の焼結鉱の製造方法。
13×L1/H≦d1≦86×L1/H ・・・(1)
ただし
L1:L2×BTP−(X1+X2+X3)
L2:機長
BTP:燃焼完了点
X1:点火器の幅
X2:フレーム加熱装置の幅
X3:風箱の開始端から点火器の開始端までの距離
H:原料充填層の層厚さ(mm)
[4].前記フレーム加熱装置により加熱するのは、前記点火器及びフレーム加熱装置の間の距離を、焼結機の機長に対する比率として、上流側から2%から14%の間の位置であることを特徴とする[3]に記載の焼結鉱の製造方法。
[5].深さ方向の燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度をV(mm/min)としたとき、前記点火器による点火完了後、13/V〜86/V(min)経過後に前記フレーム加熱装置により、前記原料充填層の上面を加熱することを特徴とする[2]に記載の焼結鉱の製造方法。
[6].前記フレーム加熱装置により加熱するのは、前記点火完了後、30秒以上3分以内であることを特徴とする[5]に記載の焼結鉱の製造方法。
[7].焼結鉱の製造方法において、前記フレーム加熱装置で消費する熱量は、点火器で消費される熱量およびフレーム加熱装置で消費される熱量の和に対して、25〜50%であることを特徴とする[2]乃至[6]のいずれか1つに記載の焼結鉱の製造方法。
[8].装入層内の最高到達温度が1200℃以上1350℃未満かつ装入層内の1200℃以上の保持時間が3分以上となるように、点火熱量、フレーム加熱熱量および焼結用凝結材量の少なくとも一つを調整することを特徴とする[2]乃至[7]のいずれか1つに記載の焼結鉱の製造方法。
本発明によれば、点火器から所定の間隔を設けて設置したフレーム加熱装置により、焼結層上部空間が高温に保たれ、かつ高温に保たれた焼結充填層上部空間の空気が焼結層へ吸引されるため、焼結層上部からの抜熱は無く、逆にガス顕熱が焼結充填層の原料への熱供給に活用される。そのため、燃料による加熱が効率的に行われ、熱不足、高温保持時間不足による焼結不良が防止でき、焼結充填層上部の歩留強度改善に有効となる。
焼結原料中のコークス量を4.0質量%と4.4質量%とした場合の焼結鉱の成品歩留と被還元性の関係を示す図。 DL式焼結機の全体概要図。 焼結の際の燃焼前線深さの変化を説明するための図。 フレーム加熱装置の配置場所範囲を原料充填層と機長から算定する方法を説明する図であって、(A)は焼結原料の断面図。(B)は(A)の焼結原料断面の、点火炉付近の拡大図。 点火器とフレーム加熱装置を同一フード内に配置した焼結機の構成概念図。 焼結実験装置の構成図。 総点火時間と成品歩留の関係を示す図。 総点火時間と被還元性の関係を示す図。 フレーム加熱のタイミングと成品歩留の関係を示す図。 フレーム加熱のタイミングと被還元性の関係を示す図。 焼結層上面より50mm位置の実施例および比較例のヒートパターンを示す図。
本発明は、DL(ドワイトロイド)式焼結機およびDL焼結機を使用する方法である。本発明者は、実験的手法により、点火器とフレーム加熱装置との距離と、焼結層深さを所定の関係とすることで、課題を解決できることを見出し、発明を完成した。
図2に、一般的なドワイトロイド式の焼結機を示した。本発明に使用する焼結機もこのような一般的な焼結機の構成に準拠している。本発明の特徴的な点は詳細に後述するが、まずは一般的な構成を説明する。
焼結機は、粉末状の金属酸化物に、生石灰、酸化ケイ素、粉コークス等の凝結材および燃料を添加し、水分を加えて混練した焼結原料をパレット中に装入し、上部からバーナー火炎により燃料の粉コークスに着火し、着火した燃料の燃焼熱により焼結させ、焼結鉱を製造する装置であり、ホッパ7、パレット9、レール又はトラックガイド10、駆動輪11、遊動輪12、ダクト13、風箱14、及び点火器2を備えて構成される。
ホッパ7は、上部から焼結原料が供給され、下部排出口からパレット9内に所定量の焼結原料を装入する原料供給部である。
パレット9は、2枚の側壁と底部からなる台車であって、上部および進行方向前後が開口されている。底部には、パレット進行方向に沿って延びるスリット状の開口が複数形成されている。複数のパレット9が進行方向に隙間なく配置されることで、焼結機長手方向にわたる容器を形成する。
パレット9は、駆動輪11によって給鉱側から押し出され、レール10の上を所定の速度で走行して排鉱部に至る。そこで遊動輪12とトラックガイド10とに誘導されて反転し、下側のレール10に沿って駆動輪11に戻る。
ダクト13は、図示を略したが、ブロアに接続されており、ブロアを動作させると、パレット9の下に配置された風箱14より下方空間の空気を吸い出し、これに伴い、パレット9の上方から冷却された空気が導入され、点火器2によって点火された焼結原料の燃焼を維持するとともに、燃焼後の焼結鉱を冷却する。
点火器2は、複数のパレットのうち、進行方向上流のパレット内の原料充填層を上部から点火する装置である。たとえば、パレット9の上部を覆う箱状体から構成され、内部に点火用のバーナーを複数備えている点火炉である。
このような焼結機では、ホッパ7に焼結原料が供給されると、下部排出口から所定量の焼結原料がパレット9内に装入され、駆動輪11の駆動とともに、各パレット9は、点火器2に進行し、点火器2で焼結原料が点火される。焼結原料の点火後、点火した焼結原料は、風箱14を通じたダクト13の吸い出しに伴う空気により燃焼が維持されつつ、空気により冷却され、遊動輪12の部分で燃焼中の焼結鉱は、遊動輪12上を下方に移動しながら途中で破断した後、落下し、クラッシャによって破砕され、所定径の焼結鉱が製造される。
次に本発明の特徴について、図3を参照して説明する。本発明は、焼結機において、点火器2の下流側に、点火器2と所定の間隔で離間して、原料充填層1の上面をフレーム加熱するフレーム加熱装置4を設け、点火器2及びフレーム加熱装置4の間には、大気吸引領域3が形成されたことを特徴とするものである。なお、図3〜5においては、図2において示したパレット9、レール10、駆動輪11、遊動輪12、ダクト13、風箱14の記載は省略している。なお、図3〜5において、燃焼帯5は、相対的に非常に太く大きな領域として図示されている。これらの図は、概念図として理解しやすく誇張した太さで図示したものであり、実際に燃焼帯5が、原料充填層1に対し、図示された割合を占めるものではない。
本発明の焼結機は、点火器2と所定の間隔に離間して配置したフレーム加熱装置4を設けたことが特徴である。
フレーム加熱装置4は、たとえば、パレットの走行方向に直行する幅方向に配列される複数のバーナーを有し、フレーム加熱装置4により原料充填層1の全幅(幅方向全体)がフレーム加熱される。幅方向全体を加熱することにより、上面の幅方向表面全体において、歩留、冷間強度が改善される。
ここで、「フレーム加熱」とは、火炎を用いて加熱することであり、フレーム(火炎)が、加熱対象物である焼結層最上面に吹き付けられ、炎が表面に直接接している状態で加熱することを意味している。フレーム加熱は、焼結原料を外部から加熱するものである。燃料を原料充填層1内に吹き込んで原料充填層1内で燃焼させることにより、焼結原料を内部から加熱するものではない。また、本発明において、「フレーム加熱」とは、点火器2での点火を行った後に、所定の大気吸引領域3での吸引を行った後に再加熱した加熱工程のことを意味する。
本発明において、フレームが直接原料充填層1の上面に噴射されて加熱しているため、原料充填層1自体を十分に加熱でき、原料充填層1内の炭材の燃焼効率を向上でき、同時に原料充填層1上部空間の空気をも加熱できる。原料充填層1上部空間の空気が加熱されるために、冷たい空気による焼結層上部の温度低下を防止できる。また、直接フレームが原料充填層1の上面に吹き付けられ、点火器2で点火できなかった燃え残りの炭材を余さず点火することができるために、原料充填層1内炭材による加熱の効率が優れている。
また、本発明における「大気吸引領域3」とは、点火器2と、フレーム加熱装置4の間の領域であり、下方吸引により大気が吸引されるものの、上面からはバーナー等による直接加熱が行われない領域のことをいう。
点火器2により点火されると、原料充填層1は、燃焼帯5が形成され、点火器2とフレーム加熱装置4の間に設けた大気吸引領域3における大気吸引によって、上層から下層へ焼結反応が進行するため、特に上層部の燃焼帯5が拡大する。一方、点火器2での点火後、引き続きすぐにバーナー加熱を行うと、バーナーの火炎により原料充填層1上方空間の酸素濃度が低下する。本発明では、大気吸引領域3において上面からの火炎バーナー等の燃焼加熱が行われていないため、燃焼帯5に十分に酸素が供給されることから、この大気吸引領域3での原料充填層1内の炭材の燃焼が促進される。
フレーム加熱を開始するタイミングは、焼結層最上面より深さ13mm以上86mm以下にある時点が好ましい。
焼結機の構成である機長L2(風箱14の全長)、風箱の開始端から点火器2の開始端までの距離X3、点火器2の幅X1およびフレーム加熱装置の幅X2と、操業条件である原料充填層1の層高Hおよび燃焼完了点(Burn Through Point:BTP(−))で表せば、下記の式(1)を満たす範囲が好ましい。
13×L1/H≦d1≦86×L1/H ・・・(1)
L1=L2−(X1+X2+X3)―(1−BTP)×L2
=L2×BTP−(X1+X2+X3)
ここでいうBTPとは、風箱の開始端から、燃焼前線が充填層の最下層に到達する位置までの機長方向の距離を、風箱14の機長L2で除して無次元化した値である。
以下に、燃焼前線(燃焼帯下面)位置が、焼結層最上面より深さ13mm以上86mm以下であることの技術的意義と、このことがどのように式(1)の決定につながるかを詳細に説明する。
まず、「燃焼前線(燃焼帯下面)が焼結層最上面より13mm以上86mm以下である時点」について、図3を参照して説明する。
ホッパ7から装入された原料充填層1の上面(表面)に、点火器2により点火すると、原料充填層1に含まれる炭材が燃焼する。点火中の炭材の燃焼においては、下方吸引する場合もしない場合もありうるが、この燃焼は、点火器2による点火が完了するまでは、着火はするものの、下層方向に焼結は進行しない。これは、点火バーナー加熱により原料充填層1の上方の酸素濃度が薄くなるため、酸素の供給が制限され、下方吸引しなければ、もちろん、下方吸引したとしても、原料充填層1中の炭材の燃焼が停滞するからである。着火が完了し、点火器2から下流方向にパレット(図3において原料充填層1は長手方向に連続して図示されているが、実際は、原料充填層1は、各箱型のパレット中に載置されている。)が移動し、大気吸引領域3に原料充填層1が移動すると、そこから、下方より大気吸引することにより、燃焼帯5が降下し、上面より下面に向かって進行する。このとき、原料充填層1中の厚さ方向に含まれるすべての炭材が一度に燃焼を開始するものではない。最初は、表面の炭材のみが燃焼し、表面の炭材の燃焼が終了すると、順次、火面が下部方向に移動する。すなわち、焼結中において、原料充填層1中で炭材が燃焼している部分(燃焼帯5)は、炭材が燃焼し終わった焼結完了層6と、炭材がこれから燃焼する原料充填層1に挟まれた、深さ方向にある程度の厚さを有する。「燃焼帯下面」とは、炭材が赤熱燃焼している燃焼帯の最下部で燃焼始まり部分をいう。「燃焼前線(燃焼帯下面)が焼結層最上面より13mm以上86mm以下である」とは、燃焼前線が、焼結層最上面から深さで13mmであるかより深く、86mmであるか、より浅い深さにある時点をいう。また、フレーム加熱装置4で加熱されている最中は、点火器2での加熱中と同様に、フレーム加熱中は、下方吸引しても、しなくても、燃焼前線は進行せず、停滞している。これは、フレーム加熱により原料充填層1の上方の酸素濃度が薄くなるため、酸素の供給が制限され、原料充填層1中の炭材の燃焼が停滞するからである。
フレーム加熱を開始するタイミングが、燃焼前線(燃焼帯下面)が焼結層最上面より86mmを超える場合は、焼結層上面部が、大気吸引により冷却されて温度が落ち切ってしまい、改めて加熱しても、フレーム加熱による歩留向上の効果が低下してしまう。
一方、フレーム加熱を開始するタイミングが、燃焼前線(燃焼帯下面)が焼結層最上面より13mm未満の場合は、十分な長さの大気吸引領域3が確保できず、原料充填層1上面での1100℃以上の高温保持時間が十分に確保できず短いことから、上記のように上限を定めた。逆に、点火に引き続き連続して加熱しても、あるいは、十分な大気吸引領域3を設けないと、原料充填層1内部の炭材に、十分な大気吸引が行われないことから酸素不足となり、原料充填層1上部の焼結に必要な時点での熱を供給することができない。
したがって、フレーム加熱を開始するタイミングを、燃焼前線(燃焼帯下面)が焼結層最上面より13mm以上86mm以下の時点とすることが好ましい。第2発明ではこのように規定した。
これを踏まえると、焼結機の構成として、点火器2とフレーム加熱装置4の間隔である大気吸引領域の長さd1の範囲を、機長L2(風箱の全長)、風箱の開始端から点火器2の開始端までの距離、点火器2、フレーム加熱装置4の長さ、燃焼前線深さh、総充填層厚さH、およびBTPにより、特定することができる。図4を参照して詳細に説明する。
原料充填層1の上部に点火し、下方から吸引する風箱(図4では図示略)の終端である焼結終了点にパレットが移動する間に、燃焼前線は、大気吸引領域3を通過する間(図4中に示される距離d1)、および、フレーム加熱装置4での加熱後から風箱の終点まで移動する間(図4中に示される距離d2)において、一定の速度で進行する。点火器2で点火されている間の距離(点火器2の機長方向の長さX1)、フレーム加熱されている間の距離(フレーム加熱装置4の機長方向の長さX2)は、原料充填層1の上部空間の酸素が、点火器2やフレーム加熱装置4のバーナー加熱により低くなるので燃焼前線は進行しない。そして、トータルで、燃焼前線は、原料充填層1の層厚H分だけ移動する。燃焼前線が充填層の最下部まで到達した地点は、機長L2とBTPの積で表され、L2×BTPである。それは、燃焼前線が充填層の最下層に到達した後も、排鉱できるまで完全に焼結完了するにはさらに時間あるいは距離が必要なためである。排鉱するのは、燃焼帯の中でも、前線位置より遅れて最下部に到達する、燃焼帯の燃焼最高温度位置が、充填層の最下部に到達した時点である。
さて、大気吸引領域の間に燃焼前線深さはhまで進行する。hと総充填層厚さHとの比h/Hは、点火器2及びフレーム加熱装置4の距離d1と、燃焼が実質的に進行している機長方向の距離(有効機長)L1との比に等しい。すなわち、h=d1×H/L1となる。したがって、hの範囲の13〜86mmは、13≦d1×H/L1≦86となる。ゆえに、d1の好ましい範囲は、13×L1/H≦d1≦86×L1/Hとなる。第3発明においては、フレーム加熱を開始するタイミングを、点火器2及びフレーム加熱装置4の間の距離d1(mm)を用いて、下記の式(1)と規定した。
13×L1/H≦d1≦86×L1/H ・・・(1)
ここに、有効機長L1は、図4で示すように、L2、X1、X2、X3およびBTPを用いて以下で求められる。
L1=L2−(X1+X2+X3)―(1−BTP)×L2
=L2×BTP−(X1+X2+X3)
通常、BTPは0.7〜0.9の範囲で、Hは500〜700mmの範囲で焼結操業は行なわれる。層厚の代表値であるH=600mmでは、式(1)は、
0.02≦d1/L1≦0.14
となる。すなわち、焼結機の機長L2、X1、X2、X3、BTPから計算される有効機長L1に対する比率として、上流側から2%から14%の間に相当する。これを、焼結鉱の製造方法に関する第4発明として規定した。
フレーム加熱を開始するタイミングは、深さ方向の燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度V(mm/min)によっても、フレーム加熱時刻を決定することができる。
点火器2による点火完了までは、燃焼帯5は下方向に進行しないので、点火器2の点火完了時刻0(出口時点)までは、燃焼帯5は表面から動かず、燃焼帯前線の深さは0である。深さ方向の燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度がVであるならば、点火器2による点火完了時刻を基準0minとすると、燃焼前線深さhが13mm〜86mmnの間にある時刻tは、深さhを燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度Vで割れば経過時間が算出できるので、点火完了時刻から、13/V〜86/V(min)後となる。したがって、第5発明においては、フレーム加熱を開始するタイミングを点火器2による点火完了後、13/V〜86/V(min)経過後とした。
燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度を29mm/min程度とした代表的な実機の操業においては、13/V〜86/V(min)後とは、点火器2による点火完了後、約30秒以上3分以内に相当する。第6発明においては、このように時間を用いて規定した。
次に点火器2とフレーム加熱装置4における燃焼熱量の分配の視点から、その好適様態について述べる。
点火とフレーム加熱の熱量の配分は、フレーム加熱熱量/(点火熱量+フレーム加熱熱量)として0.25(25%)以上0.50(50%)以下が好ましい。0.25未満の場合、フレーム加熱しても焼結層温度が上がらないため、焼結の進行が不十分になる場合があり、成品歩留が低い。一方、0.50を超えると、最初の点火において、焼結層の着火が不十分となり、成品歩留が下がり始める。そのため、第7発明においては、このように規定した。
点火器のみを有する既存の焼結機にフレーム加熱装置を追加する場合、既存の点火器用ガス配管から分岐して、フレーム加熱装置へガス供給を行なうのが現実的である。この場合、点火器とフレーム加熱装置をあわせた全ガス供給量は増加させられない。換言すれば、最初の点火熱量とフレーム加熱熱量の和が現状の点火熱量と等しい。上記規定は、このような場合における熱量分配に対する指針となる。
更に、点火器およびフレーム加熱装置のガス種や燃焼時の空燃比は通常、同じである、また、燃焼ガスをベッド内へ導く吸引圧力も両者で同等である。従って、通常、前述の燃焼熱量の分配は、ガス供給量の分配、別の見方をすれば、加熱時間の分配で調節される。加熱時間の視点からの好適様態は次のようになる。
フレーム加熱装置による加熱時間は、加熱時間が長すぎると成品歩留向上の効果が飽和するので、最初にコークスに着火させるための点火時間より短いことが好ましい。最初に点火した点火時間よりも加熱時間が長いと、フレーム加熱に消費される加熱燃料のコストがかかるため、好ましくない。加熱時間の上限を最初に点火した点火時間を基準としたのは、この時間の長さと同等程度であれば、加熱時間が長すぎる時間となりすぎることがないためである。さらに、フレーム加熱の目的の一つは、点火時に未燃で残存するカーボンを燃焼させることである。未燃で残存するカーボン量は点火時に燃焼した炭材よりも少ない。
点火器2は、従来に用いられるものと同様のものが使用できる。効率的な原料ベッド表面への着火を図るために、燃焼量:25MJ/原料t程度となるようなバーナーで構成するのが好ましい。この燃焼熱量は、現行の実機レベルである。なお、空燃比はガスの種類(LPG、COG等)に応じて燃焼に適正な条件で調整する。
フレーム加熱装置4も、燃料ガスに着火して火炎を形成させる。燃焼量は、25MJ/原料t程度とすることができる。点火器2と同一の構成、すなわち、同一仕様・規模の点火器を併設するものでもよい(図3、4)。既存の点火器、点火炉をそのまま利用できるので、焼結機設置の際のコストダウンを図ることができる。たとえば、図3、4に示したように、大気吸引領域3は、点火器2とフレーム加熱装置4を独立したフード8内に設け、それぞれのフード8を焼結機のパレット進行方向に放して設けることで実現できる。
点火器2とフレーム加熱装置4は、図5に示したように、同一フード内に敷設することが好ましい。なぜなら、常温より高温なガスを吸引するため、その顕熱利用により焼結層内温度を高められるからである。このとき、大気吸引領域3を形成するには、大気吸引ゾーンを両点火ゾーンとを仕切る壁をフード内に設ければよい。
さらに、点火器2およびフレーム加熱装置4の燃焼熱量に加えて、炭材配合量や炭材燃焼速度を適宜調整することができる。
この調整は、焼結層内の最高到達温度を融液生成温度(たとえば1200℃)以上であって、ヘマタイト・マグネタイト変態温度(1350℃)未満となるように行う。この範囲のできるだけ高温側に制御することによって、焼結鉱の被還元性の悪化を防止しつつ成品歩留をさらに向上できる。同時に、この調整は、装入層内の高温域保持時間(融液生成温度以上の時間)が長くなるように行う。高温保持時間は、3分以上がよい。3分まではその増加とともに概ね比例して成品歩留が向上し、3分以上で、十分な成品歩留の向上効果が得られる。より好ましくは、6分以下がよい。高温保持時間が6分を超えると、燃焼進行速度の低下が顕著となり生産性の低下の懸念があるためである。
最高到達温度と高温域保持時間の把握には、焼結機の給鉱部から点火炉までの間で、焼結層の表層から垂直方向に、ないしは、サイドウォールから水平方向に所望の位置まで熱電対を差し込んで計測できる。
具体的な調整方法は、たとえば、点火器2およびフレーム加熱装置4のガス側からの入熱量と炭材の燃焼熱量と総入量を一定としつつ、両者のバランスを調製する。炭材の配合量は特に最高到達温度に影響を与える。その配合量を増すと最高到達温度が上昇する。一方、高温保持時間の延長には、ガス側入熱量、特にフレーム加熱装置4の燃焼熱量を増加させるのが有効である。
その他、炭材の燃焼速度を、無煙炭、コークス、石炭チャーやバイオマス炭の使用比率を変えることで調整して、最高到達温度や高温保持時間の調整も可能である。これら炭材は、順に、燃焼速度が速くなる。しかし、炭材の燃焼速度の最高到達温度や高温域保持時間に及ぼす影響は単純ではない。従って、操業状況を確認しながら、適宜調整することになる。
炭材の粒径を変えることでも燃焼速度を変えることができる。この影響も単純ではないので、操業状況を確認しながら、適宜調整することになる。
焼結実験を行い、フレーム加熱に関する好適な条件を検討した結果を、実施例として説明する。
(実験装置)
図6に焼結実験装置100の構成を示す。鍋110は、下端にグレート111を有する直径300mm、高さ500mmの円筒であり、約50kgの焼結原料112を収納する。原料充填層の上面から50mmの深さに鍋110の側面から熱電対113が挿入され、その位置での温度変化が計測される。鍋110は風箱120の上に着脱可能に設置される。風箱120はブロア130とダクト140で繋がれており、ブロア130の排気によって鍋110の上面から下方に向けて通気される。風箱120には圧力計121が設けられ、焼結時の吸引圧力が計測される。ダクト140にはオリフィス流量計141が設けられ、焼結時の排ガス流量が計測される。鍋110の上方に、点火装置150が配置される。点火装置150はバーナー151と大気吸引口152を有する。バーナー151には、LPGと燃焼用空気が空気比1.2で供給される。大気吸引口152は、バーナー151からの燃焼ガスと焼結原料112を通過するガスとのバランスを保つ。すなわち、焼結原料112に吸引される燃焼ガスの温度を下げる場合には、LPGの流量を下げて燃焼ガス量を低減し、それに見合う大気を大気吸引口152から吸引させる。
(実験方法)
焼結原料112は、標準的な配合原料を使用した。配合原料は、ドラムミキサーで加水されつつ造粒された後、鍋に装入される。
点火およびフレーム加熱は、点火装置150により再現される。フレーム加熱操作も、点火操作と同様に、LPGを燃焼させた火炎を原料充填層表面に当てて行った。その条件は、実験結果とともに後述する。点火およびフレーム加熱操作(併せて、点火工程)が完了すると、点火装置150は退避位置に移動される。そして、焼成は、点火工程から大気吸引による焼成工程に移行する。点火工程および焼成工程ともに、風量一定で焼成を行った。すなわち、オリフィス流量計141での計測値が、風速1.8Nm/min一定の速度となるように、ブロア130の吸引力を制御した。
フレーム加熱条件の良否の判定は、成品歩留と得られた焼結鉱の被還元性との両面から評価した。成品歩留は、焼結ケーキを2m高さから4回落下処理後の+5mm収率とした。被還元性は、粒径19−21mmの焼結鉱500gを、900℃において、還元ガス(CO[30vol%]/N[70vol%])15l(15リットル)にて、3時間処理した後の重量変化から算出される脱酸素量を、酸化鉄中の酸素量で除して求めた。
(実験結果)
1.フレーム加熱の優位性
従来の点火のみの場合(従来例)と総入熱が同じフレーム加熱の場合(発明例)を、総入熱を変えて比較した。試験水準は、コークス比4.4%の水準において、LPGによる点火時間およびフレーム加熱時間を変更した。
フレーム加熱を実施するケースは、点火時間1分(25.1MJ/原料t)とし、フレーム加熱開始時刻は、点火完了時刻から1分後とし、フレーム加熱時間を1分、30秒、20秒、10秒と変更した。フレーム加熱時間1分あたりの熱量は25MJ/原料tである。また、比較のため、1回目の点火時間を2分、1分30秒、1分20秒、および1分10秒とするフレーム加熱は行わないが、点火時間を延長するケースを比較例として設けた。
試験結果を表1および図7、図8に示す。
成品歩留については、いずれの総入熱量で比較しても、図7に示す通り、同一総点火時間(点火時間+フレーム加熱時間)では、フレーム加熱の方が高成品歩留であった。
また、被還元性については、図8に示す通り、総入熱量の増加とともに低下するが、従来法とフレーム加熱法との差はみられなかった。
以上より、フレーム加熱法の従来法に対する優位性が確認された。
参考までに、図7、図8に粉コークスの配合を0.4%増やして増熱した場合(参考例1)を○印で示す。なお、増熱量は100MJ/原料tである。比較例0と参考例1を比較すると、成品歩留は向上するが被還元性が大きく悪化した。実施例4では参考例1に対して増熱1/4にも関わらす成品歩留は高く、被還元性低下代が小さく、本発明の優位性が確認された。
別の参考例2として、LPG吸引させるケースを設けた場合の図7、8の●印で示す。これは、点火完了から3分後から6分間、吸引大気中へLPGを添加して、大気とともに吸引する方法である。ここで、吸引したLPG量は、フレーム加熱1分で消費されるLPG量と合致させた。参考例2は実施例4と比較して、成品歩留が1%強低位であった。
ここで、フレーム加熱における増熱が、粉コークス増配による増熱に対して1/4にもかかわらず、同等以上の成品歩留となった点、およびLPG吸引法よりも歩留向上効果が大きくなった点の要因は、粉コークスの燃焼効率の改善にある。即ち、フレーム加熱、LPG吸引法および粉コークス増配時における粉コークス燃焼効率は、それぞれ、89、82、81質量%であり、フレーム加熱は粉コークス増配やLPG吸引と比較して、粉コークス燃焼効率が高かった。これは、フレーム加熱が単なる入熱増のみならず、未燃カーボン量の低減に有効な手段であることが確認された。
Figure 2020002457
3.フレーム加熱タイミング
大気吸引の適正な時間を把握するために、コークス比4.4%の水準において、フレーム加熱開始時刻の違いによる歩留、被還元性の違いを比較した。フレーム加熱時間は、先の実験と同様に1分間実施した(熱量25MJ/原料t;粉コークス配合比0.1%相当)。
粉コークス配合4.4%において、細かくフレーム加熱時刻を、点火完了後から15秒30秒、1分、2分、3分、7分、11分、15分(燃焼前線位置では、焼結層最上面より深さ7、14、29、57、86、201、316、430mm、実施例5、6、4、7−11)について評価した。ここで、燃焼前線降下速度は原料層内に挿入した熱電対情報として、計測温度の上昇開始時刻が燃焼前線到達と判断した。この熱電対は高さ方向に4か所、それぞれ鍋の中心を計測することで、燃焼前線位置の経時変化が判る。なお、点火および再点火時間は共に1分間(熱量25MJ/原料t)とした。
また、比較のため、フレーム加熱は行わない、1回目の点火加熱時間を1分間および2分間としたケース(表1の比較例0、4)を設けた。
実験結果を表2、図9、図10にまとめて示す。その結果、成品歩留については、図9に示す通り、点火炉にフレーム加熱を追加する(したがって増入熱となる)場合は、いずれの大気吸引時間であっても、点火単独(比較例0)よりは成品歩留は向上した。総入熱量が等しい点火のみの場合(比較例4)と比較しても、実施例6、4、7、8、すなわち、大気吸引時間:0.5〜3分の範囲で、成品歩留は向上した。中でも実施例6、4、7において、成品歩留が最も高かった。本発明において、フレーム加熱するタイミングは、燃焼前線位置が、深さ86mm以下の浅い場所にある時点とした効果が確認できた。
なお、点火完了後からフレーム加熱開始時刻までの好適時間は、第5発明では13/V〜86/Vとした。本実施例では、燃焼前線降下速度が28.7m/minであったので、この値を代入すると0.45分〜3.00分となり、本実施例で効果が発現した条件と整合した。
Figure 2020002457
一方、被還元性については、図10に示す通り、一部に落ち込みが見られるものの、実施例はすべて71%以上の高い還元率を維持できた。
図11に、実施例8、比較例0、比較例4における焼結層上面より50mm位置のヒートパターンを示す。
図11より、フレーム加熱によって高温(1100℃以上)保持時間上昇が図れることがわかる。この効果は点火時間延長(1分加熱を2分間加熱)ではみられない。
すなわち、2分間の連続点火加熱の場合と、点火により1分間加熱に加えて3分後にさらに1分間のフレーム加熱の場合、は、双方ともに投入した熱の総量は同一であるにもかかわらず、後者は前者に比べて、高温(1100℃以上)の保持時間は、上昇した。したがって、所定の間隔をあけて再加熱することにより、焼結層上面より50mm位置の保持時間を確保することができることから、表面の十分な焼結を行うことができる。
なお、図11に示すように、点火時間2分の場合は温度立ち上がりが遅くなる。この理由として、加熱中は原料層を通過する酸素量が低下するので、燃焼帯5が降下しないためである。その視点からも単なる時間延長や連続加熱よりも、一度空気を吸引する再加熱方法が優位であるといえる。
4.点火熱量とフレーム加熱熱量との適正分配
同じ試験装置で、点火時間とフレーム加熱時間の和を一定とし、フレーム加熱時間を変更し、点火熱量とフレーム加熱熱量との適正分配を評価した。
コークス比4.4%の水準において、点火時間とフレーム加熱時間の和を2分として、LPGによるフレーム加熱時間を0、0.25、0.5、1.0、1.5分と変更した。それぞれ、比較例4、実施例12、13、4、14に対応する。ここで、0%のケース(比較例4)は、フレーム加熱無しの条件である。
Figure 2020002457
その結果、成品歩留については、表3に示す通り、フレーム加熱時間/(点火時間+フレーム加熱時間)=25、50%において向上(>77%)した。また、被還元性については、表3に示す通り、大きな差異がなかった。これは投入熱量が等しいことによる。
5.粉コークス配合調整も含めたヒートパターンの適正化
総入熱について、大気吸引時間を1分とした一定条件において、あらかじめ調査した成品歩留がほぼ等しくなる条件(コークスと点火ガスの熱量置換比(4:1))で入熱比率を調整した。具体的には、実施例4を軸に、粉コークス配合率を0.2%減少、0.2%増加条件でフレーム加熱を0.5分増加、0.5分減少させた(それぞれ、実施例15,16)。
さらに、実施例15を軸に、大気吸引時間のみを1分から3分に変更した(実施例17)。
Figure 2020002457
表4に結果を示す。フレーム加熱を実施すれば、粉コークス調整によるヒートパターン適正化のいずれの実施例においても、フレーム加熱を行わない比較例0に比較して、成品歩留を高く維持できた。
さらに、最高温度が1250℃以上1350℃未満の範囲とした実施例15および17は、最高温度が1350℃以上の実施例16と比較して、いずれもJIS−RIが向上した。また、大気吸引時間を変更して、1200℃以上の高温保持時間を3.0分以上とした実施例15および16は、実施例17に比較して成品歩留が向上する結果が得られた。
以上より、最高温度が1250℃以上1350℃未満であり、かつ、高温保持時間を3.0分以上とした実施例15において、高歩留かつ還元性が良好となることが確認できた。
焼結鉱の製造方法において、点火器による点火後、所定の間隔をあけた大気吸引領域を設け、フレーム加熱により再加熱を行うことにより、焼結鉱の被還元性を低下させずに、焼結鉱の歩留、冷間強度を向上させ、炭材の燃焼効率を向上させることができる焼結鉱の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、公知の点火器の構成をそのままフレーム加熱装置に適用することもできるので、新たな装置開発の負担が少なく建設コストが抑えられるため、速やかに発明を実施することができる。さらに、加熱燃料を効率的に使用することができることから燃料コストも抑えられるという、特段の産業上の利用性を有する。
1…原料充填層、2…点火器、3…大気吸引領域、4…フレーム加熱装置、5…燃焼帯、6…焼結完了層、7…ホッパ、8…フード、9…パレット、10…レール又はトラックガイド、11…駆動輪、12…遊動輪、13…ダクト、14…風箱、100…焼結実験装置、110…鍋、111…グレート、112…焼結原料、113…熱電対、120…風箱、121…圧力計、130…ブロア、140…ダクト、141…オリフィス流量計、150…点火装置、151…バーナー、152…大気吸引口。

Claims (8)

  1. 上流から下流に至る進行方向に連続して設けられ、焼結原料が装入される複数のパレットと、
    前記複数のパレットのうち、進行方向上流のパレット内の原料充填層を上部から点火する点火器と、
    前記複数のパレットの下方から大気を吸引する風箱と、
    前記点火器の下流側に離間して配置され、前記原料充填層の上面の全幅をフレーム加熱するフレーム加熱装置と、
    前記点火器及び前記フレーム加熱装置の間に形成され、下方吸引により大気が吸引され、上面からは直接加熱が行われない大気吸引領域と、
    を備えることを特徴とするDL式焼結機。
  2. 請求項1に記載のDL式焼結機を使用し、
    前記点火器による点火完了後、燃焼前線位置(燃焼帯下面)が、焼結層最上面より深さ13mm以上86mm以下にある時点で、前記フレーム加熱装置により、前記原料充填層の上面を加熱することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  3. 前記点火器及びフレーム加熱装置の間の距離d1(mm)を、下記の式(1)で表される範囲とした、前記フレーム加熱装置により、前記原料充填層の上面を加熱することを特徴とする請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
    13×L1/H≦d1≦86×L1/H・・・(1)
    ただし
    L1:L2×BTP−(X1+X2+X3)
    L2:機長
    BTP:燃焼完了点
    X1:点火器の幅
    X2:フレーム加熱装置の幅
    X3:風箱の開始端から点火器の開始端までの距離
    H:原料充填層の層厚さ(mm)
  4. 前記フレーム加熱装置により加熱するのは、前記点火器及びフレーム加熱装置の間の距離を、焼結機の機長に対する比率として、上流側から2%から14%の間の位置であることを特徴とする請求項3に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 深さ方向の燃焼前線(燃焼帯下面)降下速度をV(mm/min)としたとき、前記点火器による点火完了後、13/V〜86/V(min)経過後に前記フレーム加熱装置により、前記原料充填層の上面を加熱することを特徴とする請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
  6. 前記フレーム加熱装置により加熱するのは、前記点火完了後、30秒以上3分以内であることを特徴とする請求項5に記載の焼結鉱の製造方法。
  7. 焼結鉱の製造方法において、前記フレーム加熱装置で消費する熱量は、点火器で消費される熱量およびフレーム加熱装置で消費される熱量の和に対して、25〜50%であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  8. 装入層内の最高到達温度が1200℃以上1350℃未満かつ装入層内の1200℃以上の保持時間が3分以上となるように、点火熱量、フレーム加熱熱量および焼結用凝結材量の少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
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