JP5439981B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度高品質の焼結鉱を高歩留りかつ安全に製造することができる下方吸引式焼結機による焼結鉱の製造方法に関するものである。
高炉製銑法の主原料である焼結鉱は、一般に、図1に示すような工程を経て製造される。焼結鉱の原料は、鉄鉱石粉や焼結鉱篩下粉、製鉄所内で発生した回収粉、石灰石およびドロマイトなどの含CaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などであり、これらの原料は、ホッパー1・・・の各々から、コンベヤ上に所定の割合で切り出される。切り出された原料は、ドラムミキサー2および3等によって適量の水が加えられ、混合、造粒されて、平均径が3〜6mmの擬似粒子である焼結原料とされる。この焼結原料は、その後、焼結機上に配置されているサージホッパー4、5からドラムフィーダー6と切り出しシュート7を介して、無端移動式の焼結機パレット8上に装入され、焼結ベッドともいわれる装入層9を形成する。装入層の厚さ(高さ)は通常400〜800mm前後である。なお、装入層表面位置は、焼結パレット上に設置されたカットオフプレート12により一定に制御されており、装入層の厚みは、パレット8上端からカットオフプレート12下端までの距離に相当する。その後、装入層9の上方に設置された点火炉10により、装入層表層の炭材に点火するとともに、パレット8の直下に配設されているウインドボックス11を介して大気を下方に吸引することにより、該装入層中の炭材を順次燃焼させ、このときに発生する燃焼熱で前記焼結原料を溶融して焼結ケーキを得る。このようにして得た焼結ケーキは、その後、破砕、整粒され、所定の粒径(例えば、約5mm)以上の塊成物が、成品焼結鉱として回収される。
上記製造プロセスにおいて、点火炉10によって点火された装入層中の炭材は、その後、ウインドボックスによって装入層の上層から下層に向かって吸引される大気によって燃焼を続け、幅をもった燃焼・溶融帯(以降、単に「燃焼帯」ともいう。)を形成する。この燃焼帯は、パレット8が下流側に移動するのに伴って次第に装入層の上層から下層に移行し、燃焼帯が通過した後には焼結ケーキ層(以降、単に「焼結層」ともいう。)が生成されている。また、燃焼帯が上層から下層に移行するのにともない、焼結原料中に含まれる水分は、炭材の燃焼熱で気化して、まだ温度が上昇していない下層の焼結原料中に濃縮し、湿潤帯を形成する。その水分濃度がある程度以上になると、吸引ガスの流路となる焼結原料の粒子間の空隙が水分で埋まり、通気抵抗を増大させる。また、焼結反応に必要な燃焼帯に発生する溶融部分も、通気抵抗を高める要因となる。
図2は、厚さが600mmの装入層中を移動する燃焼帯が、該装入層のパレットの約400mm上(装入層表面から200mm下)の位置にあるときの、装入層内の圧損と温度の分布を示したものである。このときの圧損分布は、湿潤帯におけるものが約60%、燃焼帯におけるものが約40%である。
さて、焼結機の生産量(t/hr)は、一般に、焼結生産率(t/hr・m)×焼結機面積(m)により決定される。即ち、焼結機の生産量は、焼結機の機幅や機長、原料堆積層の厚さ(装入層厚さ)、焼結原料の嵩密度、焼結(燃焼)時間、歩留りなどにより変化する。したがって、焼結鉱の生産量を増加させるには、装入層の通気性(圧損)を改善して焼結時間を短縮する、あるいは、破砕前の焼結ケーキの冷間強度を高めて歩留りを向上することなどが有効であると考えられている。
図3は、焼結鉱の生産性が高い時と低い時、即ち、焼結機のパレット移動速度が速い時と遅い時の装入層内のある点における温度と時間の推移を示したものである。焼結原料の粒子が溶融し始める1200℃以上の温度に保持される時間(以降、「高温域保持時間」と称する)は、生産性が低い場合はt、生産性が高い場合はtで表されている。生産性が高い時はパレットの移動速度が速いため、高温域保持時間tが、生産性が低い時のtと比べて短くなる。高温域保持時間が短くなると焼成不足となり易く、焼結鉱の冷間強度が低下し、歩留りが低下する。したがって、高強度の焼結鉱を短時間で、高い歩留りをもって生産性よく製造するには、何らかの手段を講じて「高温域保持時間」を延長し、焼結ケーキの強度、即ち焼結鉱の冷間強度を高めてやる必要がある。なお、焼結鉱の冷間強度を表す指標としては、一般に、SI(シャッターインデックス)、TI(タンブラーインデックス)が用いられている。
図4は、点火炉によって着火された装入層表層の炭材が、吸引される空気によって燃焼を続けて燃焼帯を形成し、これが装入層の上層から下層に順次移動し、焼結ケーキが形成されていく過程を模式的に示した図である。また、図5(a)は、上記燃焼帯が、図4に示した太枠内に示した装入層の上層部、中層部および下層部の各層内に存在しているときの温度分布を模式的に示したものである。焼結鉱の強度は、1200℃以上の温度に保持される時間、正確には、1200℃以上の温度に保持される温度と時間の積に影響され、その値が大きいほど焼結鉱の強度は高くなる。装入層の中層部および下層部は、装入層上層部の炭材の燃焼で発生する燃焼熱が吸引される空気と共に運ばれて予熱される。そのため、装入層の中層部や下層部は高温度に長時間にわたって保持されるのに対して、装入層上層部は、燃焼熱が不足し、焼結に必要な燃焼溶融反応(焼結化反応)が不十分となりやすい。その結果、焼結機幅方向断面内の焼結鉱の歩留り分布は、図5(b)に示したように、装入層上層部ほど歩留りが低くなる。
この問題に対しては、装入層上層部を長時間にわたって高温に保持することを目的とした技術が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、装入層に点火後、装入層上に気体燃料を噴射する技術が、特許文献2には、装入層に点火後、装入層に吸引される空気中に可燃性ガスを添加する技術が、また、特許文献3には、焼結原料の装入層内を高温にするため、装入層の上にフードを配設し、そのフードから空気やコークス炉ガスとの混合ガスを点火炉直後の位置で吹き込む技術が、さらに、特許文献4には、低融点溶剤と炭材や可燃性ガスを同時に点火炉直後の位置で吹き込む技術が提案されている。
しかし、これらの技術は、高濃度の気体燃料を使用し、しかも燃料ガスの吹き込みに際して炭材量を削減していないため、装入層内の焼結時の最高到達温度が操業管理上の上限温度である1400℃以上、厳密な化学反応論的な観点からは1380℃を超える高温となり、焼結過程で生成したカルシウムフェライトが分解して、被還元性や冷間強度の低い焼結鉱が生成して歩留改善効果が得られなかったり、気体燃料の燃焼による温度上昇と熱膨張によって通気性が悪化し、生産性が低下したりし、さらには、気体燃料の使用によって焼結ベッド(装入層)上部空間で火災を起こす危険性があったりするため、いずれも実用化には至っていない。
そこで、出願人は、上記問題点を解決する技術として、焼結機の点火炉の下流において、燃焼下限濃度以下に希釈した各種気体燃料を、パレット上の焼結原料層(装入層)の上から供給して装入層内に導入し、燃焼させることにより、装入層内の最高到達温度および高温域保持時間のいずれか一方または両方を調整する方法を特許文献5に提案している。
特開昭48−18102号公報 特公昭46−27126号公報 特開昭55−18585号公報 特開平5−311257号公報 WO2007−052776号公報
上記特許文献5の技術によれば、下方吸引式焼結機の装入層内に、所定の濃度に希釈した気体燃料を導入し、装入層内の目標とする位置で燃焼させることができるので、焼結原料の燃焼時の最高到達温度や高温域保持時間を適正に制御することによって、熱量不足で焼結鉱の冷間強度が低くなりやすい装入層上層部の焼結鉱の強度を高めたり、装入層の中・下層部の焼結鉱の強度をより高めたりすることができる。
上記特許文献5の技術は、気体燃料を均一な濃度に希釈して装入層内に吸引させることを主眼としている。そのため、装入層内に吸引された気体燃料は、装入層の幅方向および進行方向で均一に燃焼するため、気体燃料供給によって起こる燃焼・溶融帯の拡幅効果がいずれの位置でも均一に起こる。しかし、焼結反応が、全ての位置で均一である場合には、気体燃料供給効果が最大限に発揮されず、燃焼・溶融帯の拡幅には限界があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の限界を打破し、気体燃料供給効果を最大限に発現させ、もって高品質の焼結鉱を高歩留まりで製造することができる焼結鉱の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題の解決に向けて検討を重ねた結果、従来技術における気体燃料を均一に供給するという考えから発想を変えて、敢えて気体燃料に濃度分布をもたせて装入層内に供給して燃焼させた方が、高濃度の気体燃料が供給される部分だけでなく、低濃度の部分においても燃焼・溶融反応が促進され、却って、気体燃料供給効果が高まることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する装入工程と、その装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する点火工程と、装入層上方に設けられたフード内の大気中に気体燃料を供給する気体燃料供給工程と、パレット下に配置されたウインドボックスで上記気体燃料と空気を装入層内に吸引し、装入層内の炭材を燃焼させると共に、上記気体燃料を炭材燃焼後の装入層内で燃焼させて焼結鉱を生成する焼結工程を有する焼結鉱の製造方法において、上記気体燃料供給工程では、装入層表面のパレット幅方向および/または進行方向に20〜200mmのピッチで、燃焼下限濃度の1/50以上の濃度差をもたせた気体燃料を装入層内に供給することを特徴とする焼結鉱の製造方法である。
本発明の焼結鉱の製造方法は、上記気体燃料供給工程では、装入層上方30mm以上の高さに200〜800mmの間隔で並列に配設された気体燃料供給配管に50〜200mmの間隔で取付けられた気体燃料噴出ノズルから、下記(1)式;
h<2.5d(200/C+1)+50(1−cosβ) ・・・(1)
ここで、h:装入層表面からのノズル高さ(mm)(ただし、h≧30mm)
d:ノズルの口径(mm)
β:鉛直下方からのノズル吹出角度(度)
C:気体燃料の燃焼下限濃度(vol%)
を満たして気体燃料を噴出することを特徴とする。
また、本発明の焼結鉱の製造方法は、上記焼結原料中に配合される炭材を、供給される気体燃料の燃焼熱に相当する量以上削減し、焼結時の燃焼溶融帯の最高到達温度を1200〜1400℃の範囲に制御することを特徴とする。
また、本発明の焼結鉱の製造方法は、上記気体燃料供給工程では、気体燃料供給装置のフード内に設置した着火検知器からの着火情報に基き、気体燃料の供給配管に設置した緊急遮断弁を閉じて気体燃料の供給を停止することを特徴とする。
また、本発明の焼結鉱の製造方法は、上記気体燃料供給工程では、気体燃料供給装置のフード内に設置した着火検知器からの着火情報に基き、気体燃料供給装置のフードに接続した消炎性ガス吹込配管からフード内に消炎性ガスを吹き込むことを特徴とする。
本発明によれば、装入層内に供給する希釈気体燃料の濃度分布に、敢えて装入層の幅方向、進行方向で濃淡をつけることで、高濃度の気体燃料部分だけでなく、低濃度の部分でも燃焼・溶融反応を進行させて、気体燃料供給効果を最大限に発現さえることができるので、均一に希釈した気体燃料を供給する場合よりも、高強度で高品質の焼結鉱を製造することができる。
焼結鉱の製造工程を説明する図である。 焼結時の装入層内の圧損と温度の分布を説明する図である。 焼結鉱の生産性が高い時と低い時の装入層内温度の時間推移を比較して示した図である。 装入層の焼結進行過程を模式的に説明する図である。 装入層上層部、中層部および下層部における焼結時の温度分布と、装入層幅方向断面内における焼結鉱の歩留り分布を説明する図である。 焼結反応について説明する図である 骸晶状二次ヘマタイトが生成する過程を説明する状態図である。 本発明における気体燃料供給装置の一例を説明する図である。 本発明における気体燃料供給装置の他の例を説明する図である。 本発明の気体燃料供給装置を説明する模式図である。 気体燃料を水平横吹きで大気中に噴出させる供給方法を説明する図である。 気体燃料を鉛直下向きで大気中に噴出させる供給方法を説明する図である。 気体燃料を水平横吹きで大気中に噴出したときの希釈化状況を説明する図である。 気体燃料を鉛直下向きで大気中に噴出したときの希釈化状況を説明する図である。 ノズルからのガス吹出し角度βとガス流路長との関係を説明する図である。 本発明の焼結機における消炎性ガス吹込みを説明する図である。 従来の均一に希釈した気体燃料を供給する気体燃料供給装置を説明する模式図である。
本発明の焼結鉱の製造方法は、装入工程、点火工程、気体燃料供給工程および焼結工程の各工程から構成されている。ここで、装入工程は、循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する工程であり、点火工程は、点火炉によって上記装入層表層の炭材に点火する工程である。また、気体燃料供給工程は、点火炉のパレット進行方向の下流側で、気体燃料供給装置から高濃度の気体燃料を装入層上方の大気中に吐出し、空気と混合させて燃焼下限濃度以下の所定濃度の希釈気体燃料とし、この希釈気体燃料を空気と共にパレット下に配置されたウインドボックスによって吸引して装入層内に導入する工程であり、焼結工程は、装入層内に吸引した上記空気によって装入層内の炭材を燃焼させ、発生した燃焼熱によって焼結原料を溶融・焼結すると共に、希釈気体燃料を燃焼帯が通過した装入層内の所定の位置で燃焼させ、さらに溶融・焼結を促進して焼結鉱(焼結ケーキ)を生成させる工程である。
ここで、本発明の特徴は、上記気体燃料供給工程において、従来技術のように燃焼下限濃度以下の濃度に均一に希釈した気体燃料を供給するのではなく、敢えて、希釈後の気体燃料にパレット幅方向および/または進行方法(長さ方向)に敢えて濃度分布をもたせることにより、装入層内での燃焼・溶融反応に差を設け、もって、供給される気体燃料の高濃度部分のみならず低濃度部分での焼結反応を促進させることにある。
まず、本発明の焼結鉱の製造方法において、装入層内に気体燃料を供給する理由について説明する。
「鉱物工学」(今井秀喜、武内寿久禰,藤木良規編、1976、175、朝倉書店)によれば、焼結反応は、図6の模式図のようにまとめられる。また、表1には、焼結過程で生成する各種鉱物の引張強度(冷間強度)と被還元性の値を示した。図6からわかるように、焼結過程では、1200℃で融液が生成し始め、焼結鉱の構成鉱物の中で最も高強度で被還元性も比較的高いカルシウムフェライトが生成する。さらに昇温が進んで約1380℃を超えると、冷間強度と被還元性が最も低い非晶質珪酸塩(カルシウムシリケート)と、還元粉化しやすい二次ヘマタイトとに分解し始める。したがって、焼結鉱の冷間強度および被還元性のいずれにも優れた焼結鉱を安定して得るには、焼結過程において1200℃以上の温度で得られたカルシウムフェライトを、カルシウムシリケートと二次ヘマタイトとに分解させないことが重要なポイントとなる。
Figure 0005439981
また、上記刊行物「鉱物工学」によれば、焼結鉱の還元粉化の起点となる二次ヘマタイトの析出挙動について、鉱物合成試験の結果から、図7の状態図により説明している。その説明によると、還元粉化の起点となる骸晶状二次ヘマタイトは、Mag.ss+Liq.域まで昇温して冷却したのちに析出するので、状態図上では、(1)の経路でなく、(2)の経路を介して焼結鉱を製造することで、還元粉化を抑制できるとしている。
したがって、還元粉化性(RDI)に優れかつ高強度で被還元性に優れる焼結鉱を得るためには、焼結時における装入層内の最高到達温度を1380℃超えとすることなく、装入層内の温度を1200℃(カルシウムフェライトの固相線温度)〜1380℃(転移温度)の範囲に制御する必要がある。
また、カルシウムフェライトの生成は、前述したように、実操業上、1200℃以上1400℃以下の温度に保持される時間、正確には、1205℃〜1380℃の範囲の保持される温度と時間の積に依存する。したがって、高強度で被還元性がよくかつ低RDIの焼結鉱を得るためには、焼結時の装入層内の温度を1200〜1400℃の範囲に長時間保持するヒートパターンを如何に実現するかが課題となる。そこで、本発明は、焼結に必要な熱源を確保し、焼結時の装入層内の温度を1200〜1400℃の温度範囲に保持する時間を延長するため、炭材に加えてさらに希釈気体燃料を装入層内に供給する焼結方法を採用している。
しかし、気体燃料を供給する場合に注意すべきことは、従来、コークスのみを炭材として用いていた場合には、コークスの燃焼熱によって上記焼結温度を確保していたが、従来と同じ量の炭材が含まれて装入層内に希釈気体燃料の供給を行うと、気体燃料の燃焼熱によって焼結時の最高到達温度が上昇して上述した適正温度範囲(1200〜1400℃)に装入層内の温度を維持することができなくなり、焼結強度の低いカルシウムフェライトが生成して、歩留りや被還元性の低下を招くことがあるということである。したがって、供給する気体燃料に応じて、焼結原料中に配合する炭材の量を低減することが好ましい。さらに、気体燃料を供給することによって、気体燃料の燃焼熱に相当する量以上の炭材を削減できれば、炭材コストが低減できるだけでなく、焼結工程で発生する二酸化炭素の量を削減することも可能となるのでより好ましい。
次に、本発明の焼結鉱の製造方法において、装入層中に供給する希釈気体燃料の種類について説明する。
表2は、製鉄業において使用されている気体燃料(都市ガス、コークス炉ガス(Cガス)、高炉ガス(Bガス))の燃焼下限濃度、供給濃度等を示したものである。焼結原料中に供給する際の気体燃料の濃度は、爆発や火災(着火)を防止する観点からは、燃焼下限濃度より低い方が安全である。この点、都市ガスは、Cガスと燃焼下限濃度が近似しているが、熱量がCガスよりも高いことから、供給濃度を低くできる。しかも、都市ガスは、COを含まないので、ガス中毒を起こすおそれもない。したがって、安全性を確保するには、供給濃度を低くできる都市ガスの方がCガスよりも優位である。なお、都市ガスの主原料はLNGであり、LNGの主成分はメタンである。
Figure 0005439981
表3は、気体燃料中に含まれる燃焼成分(水素,CO,メタン)と、それら成分の燃焼下限・上限濃度、層流、乱流時の燃焼速度等を示したものである。焼結中に気体燃料供給装置から供給している気体燃料への着火を防止するには、逆火防止を図る必要がある。そのためには、気体燃料を、少なくとも層流燃焼速度以上、好ましくは乱流燃焼速度以上の高速で吐出させればよいと考えられる。例えば、メタンを主成分とする都市ガスの場合には、3.7m/secを超える速度で吐出させれば、逆火のおそれはないわけである。一方、水素ガスは、乱流燃焼速度がCOやメタンと比較して速いため、逆火を防止するには、その分、高速で吐出させる必要がある。この点、水素を含まない都市ガス(LNG)は、水素を59vol%含有するCガスと比較して、吐出速度を遅くすることができる。したがって、都市ガス(LNG)は、本発明において使用する気体燃料として、好ましい特性を有するものであると言える。
Figure 0005439981
本発明において装入層中に供給することができる気体燃料としては、上記の都市ガス(LNG)の他に、BガスやCガス、COガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、およびそれらの混合ガスのいずれかを用いることができる。ただし、BガスやCガスを使用する場合には、ガス吐出速度を高めること、および、CO対策を別途講ずることが必要となる。
さらに、本発明の製造方法では、上記気体燃料以外に、気体状態での着火温度が、焼結ベッド表層の温度より高い、アルコール類、エーテル類、石油類、その他の炭化水素系の液体燃料を気化させたものを用いることもできる。本発明で用いることができる液体燃料とその特性について、表7に示した。斯かる液体燃料を気化させた気体燃料は、着火温度が、上述した気体燃料と比較して着火温度が比較的低いため、焼結ベッド表層の温度より高い、装入層のより上部で燃焼し、吹き込む位置での燃焼・溶融帯のすその温度の拡大に有効である。特に、着火温度が300℃前後のものは、その効果が大きい。なお、液体燃料を気化した気体燃料を用いる場合には、気体供給配管は、気化した燃料が再液化しないよう、該液体燃料の沸点以上着火温度未満の温度に保持することが好ましい。
Figure 0005439981
なお、廃油等は、引火しやすい成分や着火温度の低い成分を含むことがあるので、本発明で用いるには好ましくない。着火温度や引火点の低い成分を含む廃油等の液体燃料を予め気化させて、焼結原料ベッド上に供給した場合には、原料ベッド中の燃焼帯近傍に到達する前の原料ベッド表層の上部空間ないしは原料ベッド表層近傍で燃焼してしまうため、本発明が意図する焼結原料ベッドの燃焼帯近傍で燃焼させて高温保持時間の延長を図るという効果を得ることができないためである。
次に、本発明の焼結鉱の製造方法で供給する気体燃料の濃度について説明する。
本発明の製造方法において装入層中に導入する気体燃料は、その中に含まれる可燃性ガス(燃焼成分)の濃度を、大気中の常温における燃焼下限濃度以下とするのが好ましく、燃焼下限濃度の1/4(25%)以下に希釈したものであることがより好ましい。その理由は、装入層上部への高濃度の可燃性ガスの供給は、時として、爆発的燃焼を招くおそれがあり、少なくとも常温では、火種があっても燃焼しない状態としておく必要があること、装入層中で完全に燃焼せず、未燃焼のままウインドボックスの下流にある電気集塵器等に到達したとしても、電気集塵器の放電によって燃焼するおそれがないことが必要であること、さらに、希釈気体燃料の燃焼による酸素の消費によって、焼結原料用に含まれる総燃料(炭材+気体燃料)の燃焼に必要な酸素の不足を招いて燃焼不足を起こさない程度に希釈されたものであることが必要であるからである。
一方、希釈気体燃料の下限濃度は、燃焼下限濃度の1/25(4%)以上であるのが好ましい。燃焼下限濃度の1/25(4%)未満では、燃焼による発熱量が不足し、焼結鉱の強度向上と歩留りの改善効果が得られないからである。
以上のことから、本発明における装入層に供給する希釈気体燃料の濃度は、燃焼下限濃度の4〜25%の範囲とするのがさらに好ましい。これを、天然ガス(LNG)についてみると、LNGの燃焼下限濃度は4.8vol%(表2参照)であるから、希釈気体燃料の濃度は、0.2〜1.2vol%の範囲が好ましいことになる。
なお、上記濃度の希釈気体燃料を装入層中に供給する方法としては、都市ガスやLNG、Cガス等の気体燃料を、高濃度のまま大気中に吐出して周囲の空気と混合させて所定濃度に希釈してから装入層中に導入する直上吹込み方式と、あらかじめ大気と気体燃料とを混合して所定濃度まで希釈したものを装入層の上方から供給する予混合吹込み方式(いわゆるプレミックス形式)がある。表5は、上記両方式の得失を評価したものである。直上吹込み方式では、乱流燃焼速度以上の速度で気体燃料を吐出すれば、逆火防止は容易であるが、気体燃料を周囲の大気と混合して希釈させる際、濃度ムラが発生しやすく、異常燃焼を起こす可能性が予混合吹込み方式に比べて高い。しかし、設備コストを含めて総合的に評価した場合、都市ガス(LNG)の直上吹込み方式が最も優れている。
Figure 0005439981
気体燃料を供給する装置としては、例えば、図8に示したように、パレットの幅方向に沿って、複数の気体燃料供給パイプを配設し、そのパイプに気体燃料を吐出するスリットあるいは開口を設けるかまたはノズルを取付けた気体燃料供給手段を有するもの、あるいは、図9に示したように、パレットの進行方向に沿って、複数の気体燃料供給パイプを配設し、そのパイプに気体燃料を吐出するスリットあるいは開口を設けるかまたはノズルを取付けた気体燃料供給手段を有するものが好ましい。
ところで、前述したように、従来の気体燃料を吹き込んで焼結鉱の製造を行う技術では、燃焼下限濃度以下の濃度に均一に希釈した気体燃料を装入層中に供給していた。装入層中に吸引された希釈気体燃料は、焼結原料中の炭材が燃焼し、燃焼・溶融反応がほぼ完了したまだ高温の焼結層中で燃焼して、再度、燃焼・溶融帯を形成するので、燃焼・溶融帯の装入層厚さ方向の幅を拡大する効果がある。しかし、従来の、均一に希釈した気体燃料を吹き込むだけでは、必ずしも所期した効果が得られなかった。その理由は、燃焼・溶融帯では、ウインドボックスによって吸引された空気が膨張するが、均一に気体燃料を吹き込んだ場合には、すべての領域で空気が膨張するため、それが逆に通気抵抗となって、気体燃料の燃焼を阻害し、燃焼・溶融帯の拡幅効果を低減させるからと考えられた。
そこで、本発明では、従来技術とは逆に、気体燃料に濃度分布を故意にもたせて装入層中に供給してやることにした。これによって、高濃度の気体燃料が供給された部分では、低濃度部分よりも低温で燃焼を開始し、燃焼・溶融帯の幅を増大するとともに、その部分の気体は、燃焼による熱膨張により、装入層内を流れる空気を、また、気体燃料が燃焼していない低濃度側(低温度側)に押しやる。その結果、気体燃料濃度の低い部分の単位面積当たりの通風量が増加して炭材の燃焼が促進されるため、気体燃料が少なくても、十分に焼結反応が進み、焼結鉱の品質が向上し、生産性が改善される。
上記、濃度分布差の効果を得るためには、高濃度部と低濃度部が交互に存在し、高濃度部と隣の高濃度部が40〜400mmの間隔で存在する(即ち、20〜200mmのピッチで、燃焼下限濃度の1/50以上の濃度差をもたせる)ような濃度分布として装入層中に装入してやるのが好ましい。高濃度部と隣接する高濃度部の間隔が40mm未満では、高濃度部同士が近接しすぎて気体が通過しやすい領域が減少し、却って通気抵抗となってしまう。一方、高濃度部と隣接する高濃度部の間隔が400mmを超えると、逆に、低濃度部の領域が広くなりすぎて、通風量増加による燃焼促進効果が得られなくなる。また、気体燃料供給により炭材の配合量を低減している場合には、熱量不足の領域がでてくる。より好ましい間隔は、30〜100mmの範囲である。
また、上記希釈気体燃料の高濃度部と低濃度部の濃度差は燃焼下限濃度の1/50以上とする。燃焼下限濃度の1/50未満では、濃度差が小さすぎて、上記効果が得られない。好ましくは、燃焼下限濃度の1/20以上である。より好ましくは、燃焼下限濃度の1/5以上である。なお、LNGの場合、燃焼下限濃度は4.8vol%であるので、0.1vol%以上の濃度差があればよく、好ましくは0.2vol%以上、より好ましくは1.0vol%以上の濃度差である。また、LNGの場合、均一に希釈した気体燃料を供給する場合の好適な希釈濃度は0.4vol%程度であるので、0.1vol%以上の濃度差とは、平均濃度の1/4以上の濃度差ということになる。
なお、供給する気体燃料に濃度差をもうける場合でも、供給する気体燃料の燃焼熱によって、焼結時の装入層内の温度が1380℃を超えないよう、焼結原料中に含まれる炭材量を削減してやる必要があるのは、前述したとおりである。
次に、上記のような濃度分布をもたせて気体燃料を供給する方法(設備)について説明する。
気体燃料を供給する装置としては、例えば、図10に示したように、装入層の上方にパレットの進行向に沿って、複数の気体燃料供給配管を所定の間隔を開けて複数、並列に配設し、その配管には気体燃料を吐出するスリットあるいは開口を設けるかまたはノズルを、間隔を開けて複数取付けた気体燃料供給手段を有するものであるのが好ましい。もちろん、上記気体燃料供給配管は、パレットの幅方向に沿って、複数の気体燃料供給配管を配設したものでもよい。
そして、上記気体燃料供給配管のノズル(噴出口)から噴出した気体燃料を均一に希釈することなく濃度分布をもたせて装入層表面まで到達させるためには、気体燃料を周囲の大気と完全に混合させないことが必要となる。この条件を検討するため、装入層上に並列配置した気体燃料供給配管から気体燃料を、図11のように水平横吹きした場合と、図12のように鉛直下方吹きした場合について、気体燃料の希釈化状況をシミュレーションした結果を示したのが、図13および図14である。これらの図から、気体燃料を鉛直下方吹きした方が、水平横吹きするよりも、周囲の大気との混合が弱く、不均一濃度のまま装入層表面に到達しやすいこと、また、気体燃料と空気との混合は下方にいくほど進む、したがって、気体燃料の噴出高さは低いほど不均一濃度が得やすいことがわかる。
そこで、発明者らは、上記の結果を基に、気体燃料を燃焼下限濃度以下まで希釈し、さらに、高濃度部と低濃度部の濃度差が燃焼下限濃度の1/50以上でかつ高濃度部と隣の高濃度部が40〜400mmの間隔で存在するような濃度分布をもたせたままで装入層表面まで到達させるための気体燃料の供給条件を検討した。その結果、上記のような濃度分布をもたせるためには、気体燃料供給装置のフード内で、装入層上方30mm以上の高さに並列配置された気体燃料供給配管の間隔を200〜800mmとし、その気体燃料供給配管に取り付けたれた気体燃料を噴出するノズル間隔を50〜200mmとした上で、さらに上記気体燃料供給配管のノズルからは、下記(1)式;
h<2.5d(200/C+1)+50(1−cosβ) ・・・(1)
ここで、h:装入層表面からのノズル高さ(mm)(ただし、h≧30mm)
d:ノズルの口径(mm)
β:鉛直下方からのノズル吹出角度(度)
C:気体燃料の燃焼下限濃度(vol%)
を満たして気体燃料を噴出させることが重要であることを見出した。
上記気体燃料供給配管の装入層表面からの設置高さを30mm以上とする理由は、それ未満では、気体燃料供給配管が、装入層表面に存在する凹凸のために接触を起こし、損傷を受けるおそれがあるからである。また、上限高さは、特に制限しないが、濃度差を保持する観点からは、300mm以下であるのが好ましい。より好ましくは、100〜200mmの範囲である。また、気体燃料供給配管の間隔を200〜800mm、ノズル間隔を50〜200mmとする理由は、ノズルから噴出された希釈後の気体燃料が、高濃度部と低濃度部が交互に存在し、高濃度部と隣の高濃度部が40〜400mmの間隔で存在するような濃度分布をもたせるためである。上記間隔よりも小さいと、高濃度部の間隔が小さくなり過ぎ、また、上記感覚よりも大きいと、高濃度部の間隔が大きくなりすぎるからである。
また、上記(1)式は、気体燃料の均一化が抑制されて、濃度差を有したまま気体燃料が装入層表面まで到達させることができる条件を表す式である。気体燃料供給配管のノズルから大気中に供給された気体燃料は、ノズル先で膨張し始め、周囲の空気を巻き込みながら希釈されつつ装入層表面に到達し、その内部に吸引されるが、上記の希釈は、ノズルの位置から装入層表面までの流路(カットオフプレートにより決まる装入層表面からのノズル高さ)が長いほど進行する。さらに、発明者らの経験によれば、上記周囲の空気の巻き込みは、気体燃料が噴出されるノズル径やノズル角度(ウインドボックスによって吸引される空気の流れる方向である鉛直下方からの角度)、気体燃料の燃焼下限濃度に強く影響される。そして、上記因子と希釈挙動との関係を詳細に検討した結果、発明者らは、上記(1)式を満たすことにより、燃焼下限濃度の1/50以上の気体燃料の濃度分布差が得られ易いことを見出したのである。
ここで、上記(1)式について説明する。
J.M.ベア、N.A.シガー著「燃焼の空気力学」(田中良一訳、社団法人日本熱エネルギー技術協会、昭和51年6月30日発行)に記載されている、噴流に随伴されて巻き込まれる周囲のガス量を求める計算手法を基に、焼結機の装入層表面から高さhの位置に設置されたノズルから、図15(a)のように、気体燃料を鉛直下方に噴出したときの、気体燃料が焼結層表面に到達するまでに巻き込む空気の量を、噴出するガスを100%の都市ガス(主成分がメタン)として求めると、下記(i)式で表される。
/V≒0.4(h/d)−1 ・・・(i)
ここで、V:噴出する都市ガスに巻き込まれる周囲の空気の容積
:噴出する都市ガス容積
d:ノズル径(mm)
h:ノズル先端からの距離(ノズル高さ)(mm)
なお、都市ガスの代わりに、別の気体燃料を用いる場合には、ガスの密度が異なるので補正が必要であるが、希釈度合いが大きい場合には、上記(i)式を用いても大きな誤差は生じない。
上記(i)式から、hの高さから噴出され、装入層表面に到達した都市ガス濃度Cは、空気を巻き込んで希薄濃度まで希釈されているとすると、V>Vであるので、
(vol%)=100・V/(V+V)≒100・V/V ・・・(ii)
ここで、C(vol%)を、濃度分率で表すとC/100であるので、
/100≒V/V≒1/(0.4・(h/d)−1) ・・・(iii)
となる。
この式を、hを求める式に変換すると、
h=2.5(100/C+1)d ・・・(iv)
が得られる。
次に、目標とする気体燃料の希釈濃度をCとすると、実際には均一に希釈されることは難しく少なからず濃度のバラツキが存在するので、(iv)式のCがCの1/2の濃度となるときに、気体燃料がCまで均一に希釈されたと判断するものとすると、濃度C/2まで希釈される(均一にCまで希釈されたと判断できる)ためのノズル高さhは、C=C/2であるから、
h=2.5(200/C+1)d ・・・(v)
となる。
よって、気体燃料の目標希釈濃度Cの場合、気体燃料を噴出するノズルの高さhが、
h≧2.5(200/C+1)d
を満たすときは、ノズル間隔が適正であれば、気体燃料は十分に均一に希釈されていると判断でき、一方、
h<2.5(C/200+1)d
であれば、気体燃料への空気の巻き込みが不十分であると判断できることになる。
上記(v)式は、気体燃料(都市ガス)を鉛直下方に噴出した場合の計算式であるが、次に、ノズルからの都市ガスの噴出方向が、図15(b)〜(d)のように、鉛直下方からβの角度を有している場合について検討する。
この場合、ノズルから噴出された気体燃料は、装入層表面に到達するまで、鉛直下方に噴出した場合よりも長い距離を移動することになるので、その分を、上記ノズル高さhに対して補正してやることが必要となる。
発明者らが行った数多くの気体燃料吹込みに関する数値熱流体解析や実験結果からの知見によれば、ノズルから噴出された気体燃料は、図15に示したように、ノズル先端から50mm程度先では、ウインドボックスによって吸引される空気の流れに沿った、鉛直下方に向かう流れとなっている。
そこで、β≦90度の場合(図15(b),(c))を考えると、気体燃料が装入層表面に到達するまでの流路長は、+50mm増加し、50cosβ(mm)分減少するので、その分をhに対して補正すると、
h=2.5(200/C+1)d+50(1−cosβ) ・・・(vi)
が得られる。
同様に、β>90度の場合(図15(d))を考えると、気体燃料の流路長は、+50mm増加し、さらに50cosβ(mm)分増加するので、その分をhに対して補正する必要があるが、β>90度では、cosβの符号が−となるので、結局、上記(vi)式と同じ式が得られる。
よって、気体燃料噴出ノズルの高さhを、下記(1)式;
h<2.5(200/C+1)d+50(1−cosβ) ・・・(1)
を満たすように設置してやれば、気体燃料は、均一に希釈されることなく、濃淡分布を有することになる。
次に、本発明の焼結機における安全対策について説明する。
本発明の焼結機は、ウインドボックスによって吸引される空気によって、焼結原料中に含まれる炭材(コークス)を燃焼させると共に、気体燃料供給装置のフード内の大気中に気体燃料を供給し、上記空気と共に装入層内に導入して、装入層内の所定の位置で燃焼させることにより、焼結鉱を製造する設備である。上記気体燃料は、高濃度で大気中に供給され、周囲の空気と混合し、燃焼下限濃度以下まで希釈されて装入層内に導入されるため、通常であれば、装入層上では燃焼を起こさない。しかし、何らかの原因で、着火して燃焼を起こす可能性がある。気体燃料が燃焼を起こすと、気体燃料供給効果が失われる他、異常燃焼や爆発を招くおそれがある。さらに、気体燃料の燃焼によってウインドボックスによって吸引される空気中の酸素が消費されて、本来の焼結燃料である炭材の燃焼に必要な酸素が不足し、焼結不足を招くおそれもある。
そこで、本発明では、気体燃料供給装置のフード内に着火検知器を設置し、上記検知機がフード内の着火や燃焼を検知した場合には、気体燃料の供給経路に設けられた緊急遮断を閉じて気体燃料の供給を停止する機能を設けておくことが好ましい。上記フード内に設置する着火検知機としては、例えば、火炎発生時の紫外線を検知する方式のファイヤーディテクター(ヤマタケハネウェル社製)などが好適に用いることができる。
しかし、上記方法は、気体燃料の供給を一旦遮断し、配管中の燃料をパージし、消火してから、再度、燃料供給し始めるので、少なくとも数分、長い場合には10分近く、気体燃料の供給が絶たれることになり、焼結機の生産性や焼結鉱の品質に悪影響を与えてしまう。そこで、上記着火検知器で気体燃料への着火が検知された場合には、図16に示したように、フード内および気体燃料の供給経路内に消炎性ガスを吹き込む機能を設けておくのがより好ましい。これにより、気体燃料の吹き込み停止に伴う、焼結鉱の品質低下や、生産性の低下を招くことなく、高品質の焼結鉱の製造を安全に行うことができる。上記フード内に吹き込む消炎性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、水蒸気あるいはアルゴンガスなどを用いることができる。
下方吸引式の実機焼結機に、濃度分布差をもたせた希釈気体燃料を供給することができる図10に示した本発明に係る気体燃料供給装置と、均一希釈気体燃料を供給する図17に示した従来タイプの気体燃料供給装置とを設置して、表6に示した条件で焼結実験を行い、焼結鉱の品質、歩留まりおよび生産性に及ぼす影響を調べた。
なお、本発明の気体燃料供給装置は、気体燃料供給配管が装入層表面から100mmの高さに、幅方向に400mmの間隔をもって13本、並列に配列され、そのそれぞれの配管には、口径が10mmφのノズル角度βが0度で、100mmの間隔をもって取付けられており、このノズルから、燃焼下限濃度のモル分率が4.8vol%のLNGガスを流速3m/secで噴出させた。なお、このときの{2.5(200/C+1)d+50(1−cosβ)}は630(mm)で、(1)式を満たしている。
また、従来タイプの発明の気体燃料供給装置は、気体燃料供給配管が装入層表面から500mmの高さに、幅方向に800mmの間隔をもって7本、並列に配列され、そのそれぞれの配管には、口径が1mmφのノズルが、200mmの間隔をもって取付けられており、このノズルからLNGガスを流速200m/secで噴出させた。
なお、参考例として、気体燃料を供給しないで炭材のみで焼結を行うばあいについても調査した。また、焼結原料中に配合する炭材量は、気体燃料を供給しない場合は、5.0kg/t(焼結鉱)、気体燃料を供給する場合は、4.2kg/t(焼結鉱)とした。この炭材の削減量は、供給する気体燃料の燃焼熱に相当する量の約2倍である。
Figure 0005439981
上記試験の結果を、表6に併記して示した。表6から、本発明の焼結機と製造方法を用いることにより、タンブラー強度が高い焼結鉱を、高歩留まりで生産性よく製造できることがわかる。さらに、本発明を用いることにより、炭材添加量を大幅に削減することができるので、製造コストの低減および二酸化炭素の排出量の削減も期待できる。
本発明の技術は、一般的な下方吸引式焼結機以外に、回転炉床式や充填層構造の焼結・反応装置にも適用することができ、また、造粒・塊成化のためのプロセス・装置にも適用することができる。
1:原料ホッパー
2、3:ドラムミキサー
4:床敷鉱ホッパー
5:サージホッパー
6:ドラムフィーダー
7:切り出しシュート
8:パレット
9:装入層
10:点火炉
11:ウインドボックス(風箱)
12:カットオフプレート

Claims (5)

  1. 循環移動するパレット上に粉鉱石と炭材を含む焼結原料を装入して装入層を形成する装入工程と、
    その装入層表面の炭材に点火炉を使って点火する点火工程と、
    装入層上方に設けられたフード内の大気中に気体燃料を供給する気体燃料供給工程と、
    パレット下に配置されたウインドボックスで上記気体燃料と空気を装入層内に吸引し、装入層内の炭材を燃焼させると共に、上記気体燃料を炭材燃焼後の装入層内で燃焼させて焼結鉱を生成する焼結工程を有する焼結鉱の製造方法において、
    上記気体燃料供給工程では、装入層表面のパレット幅方向および/または進行方向に20〜200mmのピッチで、燃焼下限濃度の1/50以上の濃度差をもたせた気体燃料を装入層内に供給することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 上記気体燃料供給工程では、装入層上方30mm以上の高さに200〜800mmの間隔で並列に配設された気体燃料供給配管に50〜200mmの間隔で取付けられた気体燃料噴出ノズルから、下記(1)式を満たして気体燃料を噴出することを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。

    h<2.5d(200/C+1)+50(1−cosβ) ・・・(1)
    ここで、h:装入層表面からのノズル高さ(mm)(ただし、h≧30mm)
    d:ノズルの口径(mm)
    β:鉛直下方からのノズル吹出角度(度)
    C:気体燃料の燃焼下限濃度(vol%)
  3. 上記焼結原料中に配合される炭材を、供給される気体燃料の燃焼熱に相当する量以上削減し、焼結時の燃焼溶融帯の最高到達温度を1200〜1400℃の範囲に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 上記気体燃料供給工程では、気体燃料供給装置のフード内に設置した着火検知器からの着火情報に基き、気体燃料の供給配管に設置した緊急遮断弁を閉じて気体燃料の供給を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 上記気体燃料供給工程では、気体燃料供給装置のフード内に設置した着火検知器からの着火情報に基き、気体燃料供給装置のフードに接続した消炎性ガス吹込配管からフード内に消炎性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
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