JP7347885B1 - アスベスト除去システム - Google Patents

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Abstract

【課題】アスベスト除去システムについての利便性を向上させること。【解決手段】アスベスト除去システム1のアスベスト除去装置15は、壁Wに付着したアスベスト部を覆うことで閉鎖空間を形成するケーシングと、塗材を剥離するための液体をミストとして前記閉鎖空間内に噴射する1個以上のノズルと、を有する。汚染水排出ホースL21は、剥離して粉砕されたアスベストを含む汚染水を閉鎖空間内から排出するための排出口を有する。ジェクター16は、汚染水排出ホースの経路中に設けられ、汚染水を吸い込み、吸い込んだ当該汚染水を加速して吐き出す機能を有する。第1貯水タンク17は、ジェクター16から吐き出されて前記汚染水排出ホースを通過した前記汚染水を貯留する。【選択図】図1

Description

本発明は、アスベスト除去システムに関する。
従来、建築物の壁面や屋根、梁などには、耐火性や断熱性、防音性などの特性を改善するため、アスベストが付着されていた。アスベストは、非常に軽量であり、飛散しやすい。また、アスベストは、肺癌や肺線維症、中皮腫等の疾患の原因となる。そのため、建築物の解体等に際して、アスベストの除去をするための技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
特開2008-297884号公報
上述したように、アスベストは肺線維症、中皮腫などの疾患の原因となるため、建築物の解体等に際してアスベストの除去をするときにも、曝露や飛散漏洩の防止を徹底することが求められる。一方で、アスベストの除去の作業における効率やコスト削減も重要である。上述した特許文献1を含む従来技術では、これらの要求に十分にこたえることができているとは言えない状況であった。即ち、アスベストの除去システムにおける利便性の向上が求められていた。
本発明は、アスベスト除去システムについての利便性を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様のアスベスト除去システムは、
屋外の建築物の壁に付着した下地調整剤及びアスベストを含む塗材を覆うことで閉鎖空間を形成するケーシングと、前記塗材を剥離するための液体をミストとして前記閉鎖空間内に噴射する1個以上のノズルと、を含むアスベスト除去装置と、
前記閉鎖空間内で前記建築物からミ剥離して粉砕された前記塗材を含む汚染水を前記閉鎖空間内から排出するための汚染水排出ホースと、
前記汚染水排出ホースの経路中に設けられ、前記汚染水を吸い込み、吸い込んだ当該汚染水を加速して吐き出す機能を有する搬送機と、
前記搬送機から吐き出されて前記汚染水排出ホースを通過した前記汚染水を貯留する貯留タンクと、
を備える。
本発明によれば、アスベスト除去システムについての利便性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るアスベスト除去システムを示す概要図である。 図1のアスベスト除去システムにおける、ロータリミストヘッダの側面図である。 図2のアスベスト除去システムにおける、ロータリミストヘッダの正面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るアスベスト除去システム1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアスベスト除去システムを示す概要図である。
本実施形態のアスベスト除去システム1には、水源11と、ポンプ12と、コンプレッサ13と、コントロールバルブ14と、アスベスト除去装置15と、ジェクター16と、第1貯水タンク17と、PH処理装置18と、活性炭ボンベ19と、第2貯水タンク20と、発電機21と、が含まれて構成されている。
作業者P1乃至P3は、アスベスト除去システム1を用いてアスベスト除去作業を行う者であり、当該アスベスト除去システムの各構成要素の操作や監視を行う。
具体的には例えば、作業者P3は、ノズルマンであり、アスベスト除去装置15を手に持ち、壁Wに押し当て、噴射される高圧水で、アスベストを含む塗材を剥離して回収する作業(以下、「剥離作業」と適宜呼ぶ)を行う者である。作業者P3の作業時間は、アスベスト除去装置15の重量が約8kg(水を通すと体感重量はそれ以上)であることから、連続30分程度を目安とし、3人交代(3人で作業者P1、作業者P2、及び作業者P3の役割を順次交代)で剥離作業を切れ目なく実施すると好適である。
作業者P2は、監視人であり、コントロールバルブ14の付近で当該コントロールバルブ14の動作及び圧力が正常であることを確認すると共に、作業者P3(ノズルマン)に異常があった際にコントロールバルブ14に付属しているリモコンスイッチでポンプ12やコンプレッサ13の水流や圧縮空気を緊急停止する等の監視役を務める者である。
後述の作業者P1(オペレーター)でも緊急停止はできるが、多くの場合作業者P1と作業者P3は互いに死角となる場所に存在することが多く、安全確保のためには作業者P2が必要である。
作業者P1は、オペレーターであり、ポンプ12やコンプレッサ13に張り付き、電圧、空気圧力、水流を正常に維持する管理を担当する者である。
また、作業者P1や作業者P2は、接続部(後述の各種ホースやコネクター等)の状態を常時確認したり、回収した廃棄物の管理を行う。ここでいう管理には、第1貯水タンク17や第2貯水タンク20といった回収タンクからあふれていないかの確認、後述の領域Rに存在する水処理設備の動作確認、水処理後の残渣(石綿含有廃棄物)の袋詰め等が含まれる。
常に誰かが剥離作業をし、圧力等の管理をし、廃棄物や接続の管理をしている状態であるが、作業者P3以外の作業者P1及び作業者P2の身体的負担は少ない。
作業終了1時間前程度から、清掃及び後片付け、機械メンテナンス、並びに、廃棄物の袋詰めが、作業者P1、作業者P2、及び作業者P3で実施される。
水源11は、水の供給源である。ここで、水は、後述するポンプ12等で利用可能なものであればよく、例えば上水道や井戸水等であってもよい。
ポンプ12は、水源11からの水を、後述するコントロールバルブ14に高圧で圧送する。
具体的には例えば、ポンプ12の最大水圧は245MPaであり、これを超えることはできない。また、おおよその機械がそうであるように、アスベスト除去装置15は、最大出力で連続稼働すると寿命が早い。壁Wの塗材を剥離できる圧力は、経験値から180MPa以上(塗膜の厚みによる。参考値として3~5mm厚)であり、これ以下の圧力では削り残しが発生しやすい。実際の稼働圧力は200乃至220MPa程度を推奨している。
これは、アスベスト除去装置15の使用水量が後述するように6リットル/分程度になることによるもので、水量が多ければ多いほど削れる能力は大きくなるが、水量か少ないことをコンプレッサ13からの圧縮空気(後述の図3に示すように、ノズル32がつけられているノズルヘッド321を水流の代わりに風により回転させる)でカバーしている。
コンプレッサ13は、後述のアスベスト除去装置15のノズルヘッド321の回転(ブレード回転)をさせるための送気 、及び後述のジェクター16による汚水の吸引のための送気を行うべく、周囲の空気を、後述するコントロールバルブ14及びジェクター16に高圧で圧送する。図示はしないが、コンプレッサ13には、20HPコンプレッサアフタークーラーがついている。
コントロールバルブ14は、ポンプ12及びコンプレッサ13の夫々から圧送されてきた水及び空気の夫々を、調整(コントロール)をしてアスベスト除去装置15に送る。ここで、調整(コントロール)とは、水及び空気についての減圧(レギュレート)の程度や送るか否かの切り替えをいう。
コントロールバルブ14は、本実施形態のアスベスト除去システム1の全体が正常に機能しているかを探知する 安全装置の役割も果たす。
アスベスト除去装置15は、屋外の建築物の壁Wからアスベストを含む塗材を除去する装置である。
詳しくは後述するが、アスベスト除去装置15は、コンプレッサ13からエアホースL12を介して圧送されてきた空気により回転するノズルヘッド(例えば、図3のノズルヘッド321)を有している。また、ノズルヘッド(例えば、図3のノズルヘッド321)は、ポンプ12から液体供給ホースL11を介して圧送されてきた水等を噴出するノズル(例えば、図3のノズル32)を有している。そして、アスベスト除去装置15をアスベストが付された施工対象である壁Wにあてることにより、回転するノズルヘッドのノズルから水のミストが噴出されることで、壁Wからアスベストを含む塗材が剥離される。
ここで、本実施形態のアスベスト除去装置15は、屋外用としては排水量が少ないのが特徴である。
具体的には、空気によりノズルヘッドを回転させるため、水圧でノズルヘッドを回転させるものと比較して、水の利用量がすくないため、排水量も少ない。また、剥離のための水も、単なる高圧洗浄としての高圧の水ではなく、ミストとして噴射するため、排水量が少ないのである。
また、詳しくは後述するが、剥離して粉砕されたアスベストを含む汚染水は、アスベスト除去装置15に接続された汚染水排出ホースL21から排出される。
この時、基本的に、剥離して粉砕されたアスベストを含む汚染水は、重力に従って、即ち、汚染水排出ホースL21の勾配に従って排水されていく。
ジェクター16は、コンプレッサ13からエアホースL22を介して送られてきた圧縮空気の力により、汚染水を吸い込み、吸い込んだ当該汚染水を加速して吐き出す機能を有する搬送機である。即ち、ジェクター16は、自然流下してきた汚染水排出ホースL21内に滞留した汚染水を、汚染水排出ホースL21が接続された接続口から吸引し、排水ホースL3が接続された接続口から加速して排出する。
これにより、アスベスト除去装置15から排出された汚染水は、重力に逆らって後述する第1貯水タンク17の壁を乗り越えることができる。
なお、ジェクター16は、搬送対象(ここでは、汚染水)が流入する口(汚染水排出ホースL21が接続された口)と、搬送対象が排出される口(排水ホースL3が接続された口)とが、直線上に配置されていると好適である。これにより、汚染水に含まれる剥離して粉砕されたアスベストの搬送能力が向上する。
即ち、アスベスト除去装置15と第1貯水タンク17との間には、ジェクター16が設置されている。アスベスト除去装置15はジェクター16と汚染水排出ホースL21を接続され、ジェクター16から排出された汚染水は排水ホースL3を介して第1貯水タンク17に搬送される。このようにして、閉鎖空間S内の汚染水が第1貯水タンク17に貯留される。
第1貯水タンク17は、アスベスト除去装置15から排出された汚染水を貯留するタンクである。第1貯水タンク17は、空き状態で運搬用意な上部の空いた容器状となっている。
第1貯水タンク17内では、貯留された汚染水中の重い不純物が下層に沈殿し、軽い不純物が上層に浮上して、不純物を含まない循環水が中間層に分離する。アスベストを含む不純物は、PH処理装置18及び活性炭ボンベ19により除去される。
PH処理装置18は、第1貯水タンク17に貯留された汚染水を側溝等に放流して廃棄する前にpH値の調整処理をする装置である。
活性炭ボンベ19は、PH処理装置18における汚染水の処理において利用するボンベであって、活性炭が含まれており、アスベスト等をろ過する機能を有している。
このように、汚染水は、PH処理装置18及び活性炭ボンベ19により処理され、廃棄可能なレベルまで処理されるのである。
第2貯水タンク20は、PH処理装置18及び活性炭ボンベ19により処理された後の汚染水を貯留するタンクである。
第2貯水タンク20に貯留された汚染水は、適宜廃棄される。
発電機21は、ポンプ12、コンプレッサ13、コントロールバルブ14及びPH処理装置18等を駆動する電力を発生させる。
このように、本実施形態のアスベスト除去システム1は、アスベスト除去装置15からの汚染水を、ジェクター16を用いることで加速して、第1貯水タンク17の壁を越えて、当該第1貯水タンク17の内部に流し込んで貯留し、その汚染水を処理して廃棄することができる。
ここで、屋外の壁等の構造物に塗装されたアスベストに水を加圧噴射する「高圧水洗工法」を採用した従来のアスベスト除去システムには、アスベストの剥離のための所定器具から排出された汚染水を、バキュームカー等で吸入して廃棄していた。また、従来の剥離のための所定器具は、多量の水を利用するものであった。そのため、バキュームカーで吸入する場合、作業場所が広大な場所であれば何台ものバキュームカーを待機させ、或いは作業場所がそこまで広くない場所であれば1台のバキュームカーを何回も入れ替えて、適宜吸入する必要があった。
さらに言えば、厚生労働省及び環境省の「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」によれば、バキュームカーを利用する場合、集塵機能を有するHEPAフィルタを備えたものを利用するべきであるとされている。即ち、バキュームカーは、タンクの排気などを行いながら汚染水を排水するため、HEPAフィルタにより、アスベストの飛散を防ぐべきとされている。
しかしながら、HEPAフィルタを有するバキュームカーは、日本国内にも10台前後しか存在しないとされ、実態として、そのようなバキュームカーは利用されていない。
また、バキュームカーで吸引した汚染水は、バキュームカーの再利用のため廃棄する必要があるが、従来の現場においては、バキュームカーから重力に任せてブルーシート等で作られたプールに排水を行い、プールにためられた排水を適宜ポンプでくみ出して処理するものであった。このような排水方式では、汚染水が飛散し、アスベストの飛散や曝露は防げていないのが現状であった。
これに対して、本実施形態のアスベスト除去システム1は、屋外用としては排水量の少ないアスベスト除去装置15を採用している。また、ジェクター16を用いることにより、バキュームカーの利用が不要となっている。
具体的には例えば、従来のアスベスト除去システムにおいて、排水処理として使用する通常のバキュームカーは、1回当たり3立米程度の排水を貯める必要がある。従来のアスベスト除去システムは、例えば、1分間に26リットル程度の大量の水を使用するため、6時間(だいたいの1日の工事作業時間)で約10立米の排水を必要とする。そのため、作業場所がそこまで広くない場所では、バキュームカーを3~4回往復させないといけなくなる。そのため、バキュームカーの移動往復がかかり、「時間ロス」に繋がる。
これに対して、本実施形態のアスベスト除去システム1において、ジェクター16は、排水処理中も、接続したまま排水ができるため、バキュームカーの交換のような「時間ロス」が生じない。
また、特殊なバキュームカーの準備が不要となり、バキュームカーの出入りのためのスペースも不要となる。さらに、バキュームカーに比較してジェクター16は遥かに小さいため、従来のアスベスト除去システムと比較すると施工スペースが小さくて済む。
さらに言えば、第1貯水タンク17、PH処理装置18、及び、第2貯水タンク20といった汚染水を処理する領域Rはコンパクトなものとなる。
具体的には例えば、本実施形態のアスベスト除去システム1は、屋外用としては排水量の少ないアスベスト除去装置15を採用しているため、排水処理として1分間に6リットルの水の使用で済む。即ち、本実施形態のアスベスト除去システム1においては、6時間(だいたいの1日の工事作業時間)で約2立米強の排水といった、従来のアスベスト除去システムと比較すると1/5の排水で済む。そのため、排水を直接放流する第1貯水タンク17、及び第2貯水タンク20として、一般的に市販されているコンパクトな「2立米の貯水タンク」をそのまま採用することができる。
ここで、仮に、従来のアスベスト除去システムにおいて、排水処理として、バキュームカーの代わりに、貯水タンクを使用したとしても、上述のように大排水量に対応するために、10立米等の非常に大きな貯水タンクが必要になる。
以上まとめると、本実施形態のアスベスト除去システム1においては、領域Rがコンパクトとなるため、領域Rを容易に、養生することが可能となる。これにより、アスベストの飛散や曝露が回避されるのである。
そして、本実施形態のアスベスト除去システム1においては、バキュームカーを不要とする小さなジェクター16を配置する僅かな小スペース、及び、コンパクトな領域Rを用意するだけで済むため、市街地といった建物同士の距離が近く、工事のためのヤードを広く取れない場所においても、アスベスト除去の施工が可能となるのである。
ここで、本実施形態のアスベスト除去システムで用いられるアスベスト除去装置15の詳細について説明する図2及び図3を参照しながら説明する。
図2は図1のアスベスト除去システムにおける、ロータリミストヘッダの側面図である。
図3は、図2のアスベスト除去システムにおける、ロータリミストヘッダの正面図である。
まず、アスベスト除去装置15の概要について説明する。図2及び図3に示すように、アスベスト除去装置15は、壁面や屋根、梁など(以下、「壁W」として説明する。)の各種建築物の壁Wに付着した塗材(図2参照)を覆うことで閉鎖空間S(図4参照)を形成するケーシング31と、塗材を壁Wから剥離するための水や処理剤などの液体(以下、「水」として説明する。)をミストとして閉鎖空間S内に噴射する1個以上のノズル32と、を備えている。
アスベスト除去装置15は、ノズル32に水を供給するための液体供給ホースL11をさらに備えている。アスベスト除去装置15は、閉鎖空間S内で壁Wから剥離して粉砕されアスベストがミストに付着した汚染水を前記閉鎖空間Sから排出するための汚染水排出ホースL21をさらに備えている。
以下、アスベスト除去装置15について詳細に説明する。ケーシング31は、アスベスト除去装置15が壁Wに付着した塗材を除去するとき(使用状態)において塗材に向き合う円盤状の基盤部311と、使用状態において基盤部311の外周縁から塗材の方へ突出する円環状の周壁部312とを備えている。ケーシング31には、さらに、一対の棒状のハンドル313と、閉鎖空間Sの内外を気密及び水密に遮蔽するブラシ314と、3個以上のアジャスタ115と、を備えている。
図2及び図3に示すように、一対のハンドル313は、基盤部311から離れてハ字状に配置される。各ハンドル313は、一対の棒状の支持具113aによって固定されている。各支持具113aは、基端部が周壁部312に固定され、先端部が基盤部311よりも突出し、ハンドル313を固定する。一対のハ字状のハンドル313は、使用状態において、幅狭側が上側に位置し、幅広側が下側に位置するように配置される。
ブラシ314は、ケーシング31の周壁部312の端縁から環状に突出し、撓曲できるように柔軟性を有している。使用状態において、ブラシ314の先端部が壁Wに付着した塗材(アスベスト含)に密着することで、閉鎖空間Sの気密性及び水密性が維持される。塗材がボルト付きの梁などに付着し、壁Wにボルトなどの頭部が突出していても、ブラシ314が撓曲することで、閉鎖空間Sは、気密性及び水密性が維持される。
アジャスタ115は、ブラシ314の先端部が塗材に密着するように塗材からのケーシング31の位置を調整する。アジャスタ115は、ケーシング31の周壁部312に固定されたL字型のブラケット115aと、ケーシング31の周壁部312に沿うようにブラケット115aに取り付けられた軸状部材115bとを備えている。軸状部材115bの基端側は、ブラケット115aに対して固定位置が調整できるように雄ネジが形成されている。雄ネジは、ナット115cによってブラケット115aに固定される。軸状部材115bの先端側は、塗材に点接触するように曲面状に形成されている。例えば、軸状部材115bの先端部に回転し、先端部のみ露出するボールを装備し、塗材上をスムーズに移動できるようにしてもよい。
液体供給ホースL11から水がノズル32に供給される。そのため、ケーシング31の基盤部311の中心に液体供給ホースL11の供給用接続口316が設けられている。液体供給ホースL11と供給用接続口316とは、ロータリージョイントによって接続され、液体供給ホースL11の接続部が搖動できるようにされている。液体供給ホースL11は、可撓性を有している。
液体供給ホースL11から供給された水は、ノズル32によってミストとして噴射される。図4に示すように、複数個のノズル32は、ケーシング31内で回転する棒状のノズルヘッド321に取り付けられる。液体供給ホースL11の供給用接続口316とノズル32とが連通するように、ノズルヘッド321内には管路(図示せず)が設けられている。
ノズルヘッド321は、その中心が基盤部311の中心に回転自在に軸支される。ノズル32は、例えばノズルヘッド321の中心からそれぞれの先端側に3個ずつ合計6個装着される。ただし、中心からのそれぞれのノズル32までの距離が異なり、ノズルヘッド321が回転したときに、ミストが塗材に対して6重円を描くように噴射される。
ノズル32について、本実施形態ではノズル径φが0.2mmのものが6個採用されているが、特にこれに限定されない。例えば、状況によりノズル径φが0.25mmのものを混合または単独で組み合わせて使用してもよい。具体的には例えば外側の2本のノズル32としてノズル径φが0.25mmのものを採用し、内側の4本のノズル32としてノズル径が0.2mmのものを採用してもよい。ただし、穴の数や径が小さくなるほど1点のノズル32から噴射される圧力は高くなるが、その分ノズル32の消耗が進み、使用水量も少なくなる(逆にノズル径φを大きくすると、全体水量は変わらない(max6リットル)のうえに1ケ所の圧力が低くなるので離能力は低下する)。従って、ノズル32について、ノズル径φが0.2mmのものを6個にするのが最適である。
なお、上述の値は、RC(鉄筋コンクリート)造建造物の場合に適用され、S(鉄骨)造、木造等の躯体に使用すると水圧により躯体が瞬時に破壊されるため圧力調整が必要である。ただし、あまり低い圧力(150MPa以下程度)ではポンプ12の性能上安定して正常な圧力を維持できないため低圧力での使用は推奨できない。
ノズル32からミストが噴射されるようにするため、ケーシング31の基盤部311は、高圧のエアを供給するためのエアホースL12を接続するエアホース接続口317を備えている。エアホース接続口317とノズル32とが連通するように、ノズルヘッド321内に管路(図示せず)が設けられている。したがって、ノズルヘッド321内には、水が流れる管路と、高圧の空気が流れる管路とが設けられている。ケーシング31の基盤部311は、エアホース接続口317に隣接して排気ポート318を備えている。排気ポート318は、ミストの生成に使われなかった高圧の空気のみが逃がされる。なお、エアホースL12から供給される高圧のエアは、ノズルヘッド321を回転させる動力源としても使用される。
ミストは、各ハンドル313に備えられたスイッチが押されることで、噴射するようにされている。スイッチが押されると、ノズルヘッド321が回転する。両ハンドル313のスイッチがともに押されることで、水が液体供給ホースL11からノズル32に供給され、高圧の空気がエアホースL12からノズル32に供給され、ノズル32内で高圧の水と高圧の空気とが衝突し、水が微細化され、多数の水の微粒子を含むミストが形成され、ノズル32から100~300MPa程度の圧力(高圧)で噴射される。
高圧に噴射されたミストは、壁Wに付着した塗材に吹き付けられる。この塗材は、壁Wから剥離し、粉砕され、粉々のアスベストを含む粉状物になる。粉々の粉状物がミストに付着し、泥のように澱んだような濃い液体のような汚染水(図示せず)となる。この汚染水は、閉鎖空間S内から汚染水排出ホースL21によって排出される。ケーシング31の周壁部312には、汚染水排出ホースL21を接続する排出用接続口319が備えられている。排出用接続口319は、使用状態において、下側から導出されるような位置に設けられる。汚染水排出ホースL21は、液体供給ホースL11よりも大径で、柔軟性に富む蛇腹ホースである。
次に、本実施形態のアスベスト除去システムで用いられるアスベスト除去装置15を用いた、アスベスト除去方法について説明する。作業者P3がアスベスト除去装置15のハンドル313を掴み、アジャスタ115の先端部を壁Wに付着した塗材に宛がう。この状態において、ブラシ314の先端部が塗材に密着する。作業者P3が各ハンドル313に設けられた各スイッチをともに押すことで、液体供給ホースL11に水が吸い込まれ、エアホースL12に高圧の空気が吸い込まれ、ノズル32から高圧のミストが噴射される。余分な高圧の空気は、排気ポート318から排気される。
同時にノズルヘッド321が高圧の空気によって回転する。複数個のノズル32は、各ノズル32に異なる距離で反対方向に向けられたノズルヘッド321に配置されている。したがって、ミストは、閉鎖空間S内で面状になって塗材に向けて噴射される。塗材は、高圧のミストが噴射されることで、壁Wから剥離し、粉砕され、粉々のアスベストを含む粉状物となる。
このアスベストを含む粉状物は、閉鎖空間S内でミストと入り混じる。アスベストを含む粉状物がミストに付着することで、泥のように澱んだ濃い液体のような汚染水が生成される。閉鎖空間S内には、ミストが噴射されることで、余剰水が生成されない。汚染水は、閉鎖空間S内から汚染水排出ホースL21へ排出される。
作業者P3がケーシング31を壁Wに沿って徐々に移動することで、壁Wに付着した塗材は、広範囲に除去される。ケーシング31が移動するときにブラシ314が撓曲する。したがって、閉鎖空間Sの気密性及び水密性が維持され、粉々になった粉状物や汚染水が閉鎖空間S内からケーシング31周辺に漏出しない。したがって、作業者P3は、アスベストを吸い込まない。
汚染水排出ホースL21内に排出された汚染水は、ジェクター16により加速され、第1貯水タンク17の壁を重力に逆らって乗り越えて、当該第1貯水タンク17の内部に流れ込んで貯留される。汚染水は、第1貯水タンク17内で、重い不純物が下層に沈殿し、軽い不純物が上層に浮上して、不純物を含まない循環水が中間層に分離する。アスベストを含む不純物は、処理装置7で処理される。アスベストを含まなくなった処理水は、排水される。
ここで、本実施形態のアスベスト除去システム1を用いた(以下、「ミストジェット工法」と呼ぶ)の特徴について、説明する。
上述したように、アスベスト除去システム1は、建築物の屋外の壁Wからアスベストを除去することができるが、ここで、アスベストがどのように建築物の屋外の壁Wに付されており、どのように処理すべきものであるかについて説明する。
アスベストは、アスベストが含有された塗材として屋外の壁Wに付されている。この塗材としては、例えばRC外壁仕上塗材(レベル3)が採用されている。即ち、アスベスト除去システム1は、アスベストが含有された塗材を剥離して汚染水として収集するものである。アスベストが含有された塗材には、主材・骨材・上塗材に加えて、接着剤の役割を果たす下地調整剤が含まれている。
主材・骨材・上塗材は、従来のアスベストを除去するための工法である「手ケレン工法」や「ディスクグラインダー工法」剥離することができる。しかしながら、下地調整剤は、「手ケレン工法」や「ディスクグラインダー工法」では除去するために極めて多くの時間と手間(コスト)を要する。
高圧水洗工法は、高圧の水洗により短時間で下地調整剤を除去することができる。しかしながら、単純に高圧水洗工法をそのまま採用したとしても、吸引する際に、除去した下地調整剤が配管・パイプに詰まってしまい、貯水タンクまで流れないという課題があった。
そのため、上述の従来のアスベスト除去システムが採用している「既存の高圧水洗工法」では、大量の水を使用することで、その大量の水により発生する水圧を用いて圧送することで除去した塗材及び下地調整剤を、配管を通じてバキュームカーに流し込むことを可能にしている。ここで、従来のアスベスト除去システムでも、バキュームカーを使用せずに施工場所に配置される貯水タンクを採用することも理論上不可能ではない。しかしながら、上述したように非常に大きな貯水タンクが必要となり、都市部などの広大な土地を施工場所として用意できなければ実現的ではない。さらに、汚染水には、アスベストが含まれているため、単なる水として処分することはできず、所定の水処理を行なってから処分する必要がある。その結果、大量の水を使用する「既存の高圧水洗工法」には、汚染水の処理コストが増加してしまう。さらに言えば、所定の水処理を行なった後の排水であっても、排水が多ければ多いほど、環境への負荷が大きくなることは言うまでもない。
このため、「ミストジェット工法」は、次の第1の特徴乃至第4の特徴を有している。
即ち、第1の特徴として、上述したように除去する対象物に特殊性が存在し、「ミストジェット工法」は、その特殊性に最適化された工法である。
「ミストジェット工法」は、アスベストが含有された塗材に含まれる「主材・骨材・上塗材」に加えて、接着剤の役割を果たす「下地調整剤」に対して、水と「風」を利用する。これにより、少ない水量で排水管・排水パイプ(汚染水排出ホースL21、排水ホースL3等)に、除去した塗材及び下地調整剤が詰まることなく、コンパクトな第1貯水タンク17等に流し込むことができる。
即ち、第2の特徴として、「ミストジェット工法」は、屋外用として、「既存の高圧水洗工法」の欠点である「大量の水を使用すること」及び「大量の汚染水を生むもとで汚染水の処理コストが増加すること」を解決することができる。
また、第3の特徴として「ミストジェット工法」と「既存の高圧水洗工法」とは以下の点が異なる。
「既存の高圧水洗工法」は、屋外の壁Wに付されたアスベストを水の水圧で剥離することで除去し、水量によって排出を行う工法である。
これに対して、「ミストジェット工法」は、水の水圧で壁Wに付されたアスベストを剥離することで除去するという点は「既存の高圧水洗工法」と同様である。しかしながら、除去されたものを水と風の力をバランスよく使用することで排出する点で大きく異なる。
つまり排出方法に、水に加えて「風の力」を使うことが「既存の高圧水洗工法」と大きく違う点である。
即ち、「既存の高圧水洗工法」は、「風の力」は使っておらず、大量の水の水圧を使っていた。これに対して、アスベスト除去システム1は、「風の力」を使うため上述したように、大量の水の水圧を使わず、「既存の高圧水洗工法」よりも排出される汚染水の量が削減されると言う効果を奏するのである。ここでいう「風の力」は、アスベスト除去装置15のみならず、ジェクター16も利用している。なお、ジェクター16が用いる「風の力」の詳細については、第4の特徴として後述する。
汚染水の量が削減されることは、さらに以下のような効果を奏する。
即ち、汚染水の量が削減される「ミストジェット工法」は、環境への負荷が削減された工法である。換言すれば、「ミストジェット工法」は、使用する水の量を少なくすることで地球環境に配慮した工法である。
また、汚染水の量が削減される「ミストジェット工法」は、排水の処理コストを抑えることができる工法である。即ち、使用する水の量が少ないと排水量が少なくなる。そのため、汚染水の処理コストが軽減できる。
なお、汚染水は、「石綿含有廃棄物」となるため、通常の排水と異なりその処理にコストが多くかかる。ここで、「石綿含有廃棄物」の日本国における取扱については、環境省より提供されている「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」に詳しい。具体的には、抜粋すると、「石綿含有廃棄物」の処理のため溶融又は無害化処理施設が必要であって、「(6)施設から排水を放流する場合は、その水質を生活環境の保全上支障が生じないものとするために必要な排水処理設備が設けられていること」とされている。
このように、汚染水(排水)からのアスベストの除去には費用が多くかかる。その費用(コスト)は、施主・最終ユーザが負担することになる。つまり、汚染水の処理コストは。ユーザが負担すべき最終的な解体費用全体のコストに影響する。そのため排水処理コストをいかに少なくすることが重要である。
また、第4の特徴として、「ミストジェット工法」は、ジェクター16及びコントロールバルブ14、コンプレッサ13の組合せによる「風量」を活用した技術である。
そして、風量と水量を「最適化」することは単にジェクター16を用いるだけでは実現することができない。ジェクター16に加えてコンプレッサ13及びコントロールバルブ14の組合せを用いることで、風量と水量の最適化が可能となる。換言すれば、コントロールバルブ14を用いることで、風量と水量を「最適化」することで、より公的な上述のように特殊性のある除去したアスベスト含有塗材を排出が実現可能になる。
ここで、除去したアスベストが含有された塗材を排出するためコンプレッサ13及びジェクター16に求められる仕様は、例えば、以下の通りである。
ジェクター16用のエアーは、15馬力以上あると公的である。そこで、例えば、コンプレッサ13として、35馬力のエンジン式コンプレッサが採用されるとよい。
また、コンプレッサ13は、風量と水量を最適化するためのコントロールセンターの機能を有する。
上記の通り、除去したアスベストが含有された塗材の排出に「最適な仕様のジェクター16」に加えて、「最適な仕様のコンプレッサ」及びコントロールバルブ14を組み合わせることが、既存の高圧水洗工法よりも少量で排水することが可能となる。
さらに以下、本実施形態のアスベスト除去システム1について、上述した従来の例とは別例の従来のアスベスト除去システムと比較してみる。
別例の従来のアスベスト除去システムは、特開2008-196132号公報(以下、「従来公報」と呼ぶ)に開示されたシステムである。この別例の従来のアスベスト除去システムは、従来公報の図1等に示されるように、アスベスト含有物が天井や壁に施工された既設建築物の一室内(屋内)で使用されることが前提となっている。そこで、以下、この別例の従来のアスベスト除去システムを、「従来の屋内用のアスベスト除去システム」と呼ぶ。
屋外用の本実施形態のアスベスト除去システム1は、屋外で使用されること、即ち、外壁に付されたRC外壁仕上塗材(レベル3)等、アスベストが含まれる塗材を除去するものである。
ここで、レベル3及び後述のレベル1とは、日本国の国土交通省の規制の厳格性のレベルのことをいう(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/Q&A/index.html#a8)。
レベル3の塗材は、上述したように、下地調整剤も含まれており、「手ケレン工法」や「ディスクグラインダー工法」で剥がすことは困難である。そのため、レベル3の塗材を除去するためには、100MPa超の高い水圧及び水量が必要となる。このため、除去されたアスベストを含む「汚染水」を屋外で排水処理する必要がある。
このため、本実施形態のアスベスト除去システム1には、ジェクター16、第1貯水タンク17、PH処理装置18、活性炭ボンベ19、及び第2貯水タンク20が設けられているのである。
これに対して、従来の屋内用のアスベスト除去システムは、屋内の天井や壁等の構造物に付されたS造耐火被覆材(レベル1)等のアスベスト含有物を除去するものである。即ち、当該アスベスト含有物については上述の従来の「手ケレン工法」でも剥がせるレベルである。
このため、従来の屋内用のアスベスト除去システムは、水又は懸濁水の噴射により構造物に付着したアスベスト含有物を剥離する際には、水の圧力はさほど高める必要はなく(例えば、10MPa程度で足り)、使用する水量も少量で済む。従って、従来の屋内用のアスベスト除去システムは、噴射された水又は懸濁水を排水するための配管や貯水タンクは不要である。この点、公知文献においても、噴射された水又は懸濁水の取り扱いについては特に記載されていない。
ここで、従来の屋内用のアスベスト除去システムも、ジェクターを有しているが、通常の用途の空気搬送機92として用いているに過ぎない。即ち、従来の屋内用のアスベスト除去システムは、屋内(部屋の中の)視界を向上させることを目的として、剥離されたアスベスト含有物(固体)を空気と共に空気搬送機92で搬送して除去するものである。
具体的には、公知文献を引用すると、段落[0026]には、「・・・天井、壁等に付着したアスベスト含有物に対して噴射ノズル5aから水又は懸濁水を噴出することで、アスベスト含有物が壁等から剥離される。剥離されたアスベスト含有物は、粉塵となって浮遊するものと、床上に落下するものとが存在する」という記載がある。
段落[0027]には、「したがって、噴射ノズル5aによる水又は懸濁水の噴射により作業空間である室1内には、アスベスト含有物の粉塵等の浮遊物が浮遊するが、このような浮遊物は圧送装置9によって吸引部材7の吸引口部7aから吸引され、回収装置10へ圧送されて袋体105に袋詰されて回収される。したがって、室1内にアスベスト含有物の粉塵が浮遊、散乱することが抑制され、視界が向上する。」という記載がある。
[0028]には、「剥離作業が終了すると、剥離したアスベスト含有物を土工板4cにより掻き集める。続いて、ロボット4の多関節アーム4bの先端に、噴射装置5に代えてバケット6を装着し、また、ホッパ8のダクト8bに配管9aを接続する。そして、床上に掻き集められたアスベスト含有物をバケット6により掬い上げてホッパ8に投入する。ホッパ8に投入されたアスベスト含有物は圧送装置9により回収装置10へ圧送され、袋体105に袋詰されて回収される。」という記載がある。
これに対して、屋外用の本実施形態のアスベスト除去システム1は、除去されたアスベストを含む「汚染水」を屋外で排水処理する必要があるため、上述の屋外用の従来のアスベスト除去システムと比較すすれば圧倒的に少量の排水で済むものの(それゆえにバキュームカーは不要となるものの)、汚染水排出ホースL21及びL3並びに第1貯水タンク17を有している。
ただし、汚染水排出ホースL21及びL3並びに第1貯水タンク17だけでは、「汚染水」は重力に逆らって第1貯水タンク17の壁(高さ)を乗り越えて排水されることは困難である。
そこで、本実施形態のアスベスト除去システム1は、単に「空気」を搬送するという通常の目的ではなく、「汚染水」を第1貯水タンク17まで搬送して配送するという本発明者により新たに考案された目的で、ジェクター16を採用しているのである。この点、第4特徴でも上述したように、ジェクター16のみならず、コントロールバルブ14及びコンプレッサ13を組合せると好適である。


ここで、「汚染水」とは、水圧で削り取ったアスベストを含む水又は懸濁水に加えて、飛散した石綿含有の空気が付着されたミストも含むものである。
このように、従来の屋内用のアスベスト除去システムにおいては、ジェクターとしての空気搬送機92は、「飛散したアスベスト含有の空気を搬送」を目的として採用されている。即ち、噴射ノズル5aによる噴射した「水又は懸濁水」を配する目的で、空気搬送機92を採用するという概念については、従来公報には開示は勿論示唆もされていない。
これに対して、本実施形態のアスベスト除去システム1においては、「汚染水」を排水するという目的で、水の水圧及びジェクター16の空気の2つの要素を活用するという本発明者により新たに考案された思想のもと、ジェクター16が採用されており、さらに当該ジェクター16と、コントロールバルブ14及びコンプレッサ13の組合せも採用されているのである。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形改良等は本発明に含まれるものである。
建築物の屋外の壁に付着した下地調整剤及びアスベスト層を含む塗材(例えば、図1の壁Wに付着した塗材(ハッチング部))を覆うことで閉鎖空間を形成するケーシング(例えば、図2や図3のケーシング31)と、前記塗材を剥離するための液体をミストとして前記閉鎖空間内に噴射する1個以上のノズル(例えば、図3のノズル32)と、を含むアスベスト除去装置(例えば、図1乃至図3のアスベスト除去装置15)と、
前記閉鎖空間内で前記壁から剥離して粉砕された前記塗材を含む汚染水を前記閉鎖空間内から排出するための汚染水排出ホース(例えば、図2及び図3の汚染水排出ホースL21)と、
前記汚染水排出ホースの経路中(例えば、図1の汚染水排出ホースL21の経路及び排水ホースL3の経路からなるホースの間)に設けられ、前記汚染水を吸い込み、吸い込んだ当該汚染水を加速して吐き出す機能を有する搬送機(例えば、図1のジェクター16)と、
前記搬送機から吐き出されて前記汚染水排出ホースを通過した前記汚染水を貯留する貯留タンク(例えば、図1の第1貯水タンク17)と、
を備えれば足りる。
前記アスベスト除去装置の前記ケーシングは、
前記ノズルに前記液体を供給するための液体供給ホース(例えば、図1乃至図3のホースL11)を接続する供給用接続口(例えば、図2の供給用接続口316)と、
前記汚染水排出ホースを接続する排出用接続口(例えば、図2の排出用接続口319)と、
をさらに備える、ことができる。
さらに、前記ノズルをケーシング内で回転させるノズルヘッド(例えば、図3のノズルヘッド321)を備える、ことができる。
前記ノズルは、回転する前記ノズルヘッドの中心からそれぞれの方向に複数個配置され、中心からのそれぞれのノズルまでの距離が異ならせることができる。
前記液体をミストにするための高圧エアを前記ノズルに供給するためのエアホースを接続するエアホース接続口と、
前記高圧エアの圧力を弱めるための排気ポートと、
をさらに備える、ことができる。
さらに、前記ノズルから噴射されるミストの圧力は、100~300MPa、とすることができる。
1・・・アスベスト除去システム
11・・・水源
12・・・ポンプ
13・・・コンプレッサ
14・・・コントロールバルブ
15・・・ロータリミストヘッダ
16・・・ジェクター
17・・・第1貯水タンク
18・・・PH処理装置
19・・・活性炭ボンベ
20・・・第2貯水タンク
21・・・発電機
311・・・ケーシング
311・・基盤部
312・・周壁部
313・・ハンドル
314・・ブラシ
316・・供給用接続口
317・・エアホース接続口
318・・排気ポート
319・・排出用接続口
32・・・ノズル
321・・ノズルヘッド
L11・・・液体供給ホース
L12・・・エアホース
L21・・・汚染水排出ホース
2・・・・貯水槽
A・・・・塗材
S・・・・閉鎖空間
W・・・・壁面(建築物)

Claims (6)

  1. 屋外の建築物の壁に付着した下地調整剤及びアスベストを含む塗材を覆うことで閉鎖空間を形成するケーシングと、前記塗材を剥離するための液体をミストとして前記閉鎖空間内に噴射する1個以上のノズルと、前記液体をミストにするための第1高圧エアを前記ノズルに供給するためのエアホースを接続するエアホース接続口と、を含むアスベスト除去装置と、
    前記閉鎖空間内で前記壁から剥離して粉砕された前記塗材を含む汚染水、前記第1高圧エアに基づくエアを前記閉鎖空間内から排出するための汚染水排出ホースと、
    前記汚染水排出ホースの経路中に設けられ、前記汚染水を吸い込み、吸い込んだ当該汚染水を、外部から取り込んだ第2高圧エアを用いて加速して吐き出す機能を有する搬送機と、
    前記搬送機から吐き出されて前記汚染水排出ホースを通過した前記汚染水を貯留する貯留タンクと、
    周囲の空気を高圧にして前記第1高圧エア及び前記第2高圧エアを生成し、当該第1高圧エアを前記エアホースを介して前記ノズルに圧送すると共に、当該第2高圧エアを前記搬送機に圧送するコンプレッサと、
    前記コンプレッサから圧送されてくる前記第1高圧エアの圧力を制御して、前記エアホースを介して前記ノズルに圧送するコントロールバルブと、
    を備えるアスベスト除去システム。
  2. 前記アスベスト除去装置の前記ケーシングは、
    前記ノズルに前記液体を供給するための液体供給ホースを接続する供給用接続口と、
    前記汚染水排出ホースを接続する排出用接続口と、
    をさらに備える、
    請求項1に記載のアスベスト除去システム。
  3. 前記ノズルをケーシング内で回転させるノズルヘッドを備えている、
    請求項1に記載のアスベスト除去システム。
  4. 前記ノズルは、回転する前記ノズルヘッドの中心からそれぞれの方向に複数個配置され、中心からのそれぞれのノズルまでの距離が異なっている、
    請求項3に記載のアスベスト除去システム。
  5. 第1高圧エアの圧力を弱めるための排気ポート
    をさらに備える、
    請求項1に記載のアスベスト除去システム。
  6. 前記ノズルから噴射されるミストの圧力は、100~300MPaである、
    請求項1に記載のアスベスト除去システム。
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