JP7347821B2 - 外壁タイルの修復方法 - Google Patents
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図1に示すように、保護シート付補修シート1は、基材10、塗膜層20及び粘着剤層30からなる補修シート2と、保護シート40とを備えている。
なお、本明細書では、補修シート2に保護シート40が積層されている形態を「保護シート付補修シート1」といい、保護シート付補修シート1から保護シート40が剥離された形態を「補修シート2」という。また、修復のために補修シート2を貼り付ける既設の外壁タイル3を「外壁タイル3」ともいう。
上述した保護シート付補修シート1は、外壁タイル3とほぼ同一形状となるように作製される。例えば、ロールに巻き取られた保護シート付補修シート1をロールから引き出しながら、外壁タイル3の1つ分に相当する寸法に連続的に切断するようにしてもよい。
外壁タイルの修復は、主に建築物の上層部分(地上数メートルから数十メートル)の外壁タイルに対して行われることも多い。建築物の上層部分は、下層部分に比べて直射日光が当たりやすく、雨、風、雪等にも晒される。また、建築物の上層部分は、地震等による揺れの影響を受けやすく、壁面に飛来物が衝突することもあり得る。そのため、建築物の上層部分の外壁タイルには、下層部分に比べて変色、傷、ひび割れ、欠け等が発生しやすい。一方、外壁タイルの修復は、例えば、図2に示すような形態で行われることが多い。図2は、作業者PがブランコSに座りながら、外壁タイル3の表面に接着剤(後述)を塗布する様子を示している。ブランコによる作業は、ゴンドラや足場を設置する場合に比べて工事費用が安くなるうえ、隣接する建築物との間が狭い場合でも作業がしやすいというメリットがある。
図3(A)及び(B)は、外壁タイル3及び洗浄工程を説明する図である。図4(A)及び(B)は、外壁タイル3に対する接着剤層形成工程を説明する図である。図5は、保護シート付補修シート1から保護シート40を剥離する様子を示す図である。図6(A)及び(B)は、外壁タイル3に対する補修シート2の貼り付け工程を説明する図である。図7(A)~(C)は、外壁タイル3に貼り付けた補修シート2の位置ずれを説明する図である。図8は、外壁タイル3に貼り付けた補修シート2に対する仕上げ工程を説明する図である。
なお、本実施形態において、修復する外壁タイル3は、陶器製又は磁器製(陶磁製)であるが、これに限らず、外壁タイル3は、例えば、樹脂製であってもよい。
図3(A)及び(B)は、補修シート2を貼り付ける外壁タイルの一例として、ひび割れ部分が充填剤3aにより補修された外壁タイル3を示している。図3において、(A)は外壁タイル3の側面図、(B)は外壁タイル3の平面図である。なお、外壁タイル3は、実際には壁面に埋め込まれ、且つ、規則的に敷き詰められている。図3(A)に示すように、補修された外壁タイル3の表面(図中、上側の面)は、ほぼ平坦な面となっている。
次に、図4(A)及び(B)に示すように、洗浄工程により洗浄された外壁タイル3の表面に、一液性樹脂系の接着剤を塗布して、外壁タイル3の表面に接着剤層50を形成する。一液性樹脂系の接着剤としては、例えば、一液性エポキシ樹脂を用いることができる。より具体的には、ビフェニールA型エポキシ樹脂を、キシレン、メチルエチルケトン及びトルエンで希釈化した溶液(混合物)を用いることができる。この接着剤の各成分の含有量は、例えば、ビフェニールA型エポキシ樹脂が20~30%、キシレンが50%、メチルエチルケトンが14.2%、トルエンが7.7%である。接着剤層形成工程では、上記接着剤(溶液)を、例えば、刷毛により外壁タイル3の表面に塗布する。一液性エポキシ樹脂の接着剤は、速乾性であるため、外壁タイル3の表面に塗布した後、すぐに乾燥状態となる。なお、図4と、後述する図6及び図8では、接着剤層50にハッチングを付している。
次に、図5に示すように、保護シート付補修シート1から保護シート40を剥離する。保護シート付補修シート1から保護シート40を剥離することにより、粘着剤層30が露出した補修シート2を得ることができる。続いて、図6(A)に示すように、補修シート2を、外壁タイル3の輪郭と一致するように貼り付ける。このとき、図6(B)に示すように、補修シート2の一部分(例えば、中央部分)を外壁タイル3の表面に貼り付けることが好ましい。補修シート2の全部(全面)を外壁タイル3の表面に一度に貼り付けた場合、後述する理由により、補修シート2の位置ずれを修正しにくくなるためである。
外壁タイル3に対する補修シート2の位置ずれを修正した後、補修シート2の全体を外壁タイル3に貼り付けることにより、貼り付け工程が完了する。
次に、図8に示すように、貼り付けた補修シート2の上をハンドローラ60で押圧して、補修シート2を外壁タイル3の表面に密着させる。本実施形態の補修シート2は、延性に優れたアルミシートを基材10としているため、補修シート2を外壁タイル3の表面に均一に密着させることができる。また、ハンドローラ60に、布やゴムシート等を巻き付けて押圧することにより、補修シート2と外壁タイル3との隙間を少なくできるため、補修シート2を外壁タイル3の表面により均一に密着させることができる。このほか、指先に布やゴムシート等を巻き付けて押圧するようにしてもよい。
なお、補修する外壁タイル3が複数ある場合には、対象となる各外壁タイル3について、それぞれ上述した洗浄工程~仕上げ工程を実施すればよい。
本実施形態の外壁タイルの修復方法によれば、一液性樹脂系の接着剤として、ビフェニールA型エポキシ樹脂を、キシレン、メチルエチルケトン及びトルエンで希釈化した溶液を用いている。この接着剤は、速乾性であるため、補修シート2の貼り付けを、より速やかに行うことができる。
本実施形態の外壁タイルの修復方法によれば、延性に優れたアルミシートを基材10としているため、補修シート2を外壁タイル3の表面により均一に密着させることができる。
実施形態では、ひび割れの発生した外壁タイル3を修復する例について説明したが、修復する外壁タイル3の外観不良は、変色、傷、欠け等のほか、アンカー穴の跡であってもよい。アンカー穴の跡とは、足場継ぎ工事により建築物の壁面にアンカーを装填するために開けられた穴の跡である。一般に、ビル等の建築物の壁面で修復作業を行う場合、建築物の周囲に足場を設置する。その際、足場を確実に固定するために、建築物の壁面に穴を開けてアンカーボルトを装填し、連結用の部材を介して足場と壁面とを連結する。このように、建築物の壁面に穴を開けた場合、作業後に穴の跡が残るため、キャップで穴を塞ぐことが行われている。しかし、壁面に貼り付けられた外壁タイルの模様等によっては、キャップの位置が目立ってしまい、建築物の美観が悪化する。このような場合に、キャップの上に修復シートを貼り付けることにより、建築物の美観が悪化することを抑制することができる。
上述のように、本発明に係る外壁タイルの修復方法は、外壁タイルに生じた変色、傷、ひび割れ、欠け等の補修だけでなく、外壁タイルに残ったアンカー穴が見えないようにする補修にも適用することができる。
実施形態では、一液性樹脂系の接着剤として、ビフェニールA型エポキシ樹脂を、キシレン、メチルエチルケトン及びトルエンで希釈化した溶液を用いる例について説明したが、これに限定されない。
2 補修シート
3 外壁タイル
10 基材
20 塗膜層
30 粘着剤層
40 保護シート
50 接着剤層
Claims (5)
- 建築物の壁面に貼り付けられた外壁タイルであって、修復する外壁タイルの表面を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程により洗浄された前記外壁タイルの表面に樹脂系の接着剤を塗布して、前記外壁タイルの表面に接着剤層を形成する接着剤層形成工程と、
前記外壁タイルの前記接着剤層の表面に、前記外壁タイルと略同一形状の補修シートであって、一方の面に粘着剤層が形成され、他方の面に塗膜層が形成された補修シートの前記粘着剤層を貼り付ける貼り付け工程と、
を含む外壁タイルの修復方法。 - 建築物の壁面に貼り付けられた外壁タイルであって、修復する外壁タイルの表面を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程により洗浄された前記外壁タイルの表面に樹脂系の接着剤を塗布して、前記外壁タイルの表面に接着剤層を形成する接着剤層形成工程と、
前記外壁タイルの前記接着剤層の表面に、前記外壁タイルと略同一形状の補修シートであって、一方の面に粘着剤層が形成され、他方の面に塗膜層が形成された補修シートの前記粘着剤層を部分的に貼り付け、前記外壁タイルと前記補修シートとの位置合わせを行いながら、前記補修シートを前記外壁タイルに貼り付ける貼り付け工程と、
を含む外壁タイルの修復方法。 - 前記貼り付け工程の後、前記補修シートを押圧して、前記外壁タイルの表面に前記補修シートを密着させる仕上げ工程を含む請求項1又は2に記載の外壁タイルの修復方法。
- 前記補修シートは、アルミシートを基材とする請求項1から3のいずれかに記載の外壁タイルの修復方法。
- 修復する前記外壁タイルは、変色、傷、ひび割れ、欠け及びアンカー穴跡のうち、少なくとも1つを有する請求項1から4のいずれかに記載の外壁タイルの修復方法。
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