JP7347446B2 - 液状の温媒 - Google Patents

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Description

本発明は、液状の温媒に関する。
赤外線を吸収する赤外線吸収微粒子は、例えば熱線遮蔽膜等の各種用途に用いることができるため、従来から各種検討がなされている。
例えば、本出願の出願人は特許文献1において、タングステン酸化物微粒子、または/及び、複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料粒子の粒子直径を1nm以上800nm以下に微粒子化し、当該赤外線遮蔽材料微粒子を媒体中に分散させることで、太陽光線、特に近赤外線領域の光をより効率良く遮蔽し、同時に可視光領域の透過率を保持する等、優れた光学特性を有する赤外線遮蔽材料微粒子分散体を作製できることを開示した。
一方、タングステン酸化物や、複合タングステン酸化物を含む赤外線吸収粒子は、吸収した赤外線を熱に変換する光熱変換特性にも優れており、その特性を利用した各種用途に用いることも出来る。そこで、それに応じた各種検討もなされている。
例えば、本出願の出願人は特許文献2において、複合タングステン酸化物などの機能性微粒子が光を吸収して発熱する特性を利用して、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物を発明し、安定したプラスチック間の接合を提供できる手段を開示した。
さらに、本出願の出願人は特許文献3において、複合タングステン酸化物などの機能性微粒子が光を吸収して発熱する特性を利用して、タングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン酸化物微粒子を、表面および/または内部に含有する繊維である近赤外線吸収繊維や、該近赤外線吸収繊維が加工されてなる繊維製品を発明し、発熱・保温用への応用方法を開示した。
また、これらのアプリケーションに使用される、光を吸収して熱に変換する光熱変換微粒子として、上述のタングステン酸化物、複合タングステン酸化物以外に、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、六ホウ化物等も検討がなされてきた。
さらに、特許文献4においては、光熱変換微粒子の材料として窒化チタンを用い、太陽光エネルギーを効率よく吸収するとともに流体への加熱が可能な窒化チタンナノ粒子を分散させた太陽光吸収流体が提案されている。
国際公開第2005/037932号公報 特開2008-127511号公報 国際公開第2006/049025号公報 特開2016-125679号広報
昨今、エネルギー需要の高まりやCO排出削減への対応に伴い、太陽光エネルギー等を利用した光熱変換技術が強く求められるようになった。これにより、従来は採算が取れなかった技術について見直しが進み、その一部は工業化可能なレベルとなってきた。その中の1つが、太陽光エネルギー等を用いたヒートポンプ、熱電変換素子、他に係る技術である。
当該太陽光エネルギー等を用いたヒートポンプ、熱電変換素子、他、においては、太陽光エネルギー等を吸収し、装置へ熱を移動させる為に液状の温媒が使用される。そして、これらの液状の温媒は、ヒートポンプ、熱電変換素子、他(本発明において、「ヒートポンプ等」と記載する場合がある。)における配管やポンプ等の温媒搬送設備内を循環させて使用されるものである。
ところが、本発明者らの検討によると、例えば特許文献4で開示されているような窒化チタンナノ粒子等を分散させた太陽光吸収流体を温媒として適用すると、当該窒化チタンナノ粒子等が高硬度な粒子である為、ヒートポンプ等の温媒搬送設備の部材が著しく摩耗し、長期間の運転が困難であるという課題が知見された。
本発明では上述の状況の下になされたものであり、その課題とするところは、太陽光からの赤外線吸収特性を有し、且つ、温媒搬送設備の部材を摩耗することが殆どなく当該温媒搬送設備の長期間の運転を可能にする液状の温媒を提供することである。
本発明者等は上述の課題の解決の為、研究を行った結果、優れた可視光透過性と赤外線吸収特性を兼ね備え、且つ、低硬度な赤外線吸収微粒子を光熱変換微粒子として含む液状の温媒に想到し、本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決する為の発明は、太陽光エネルギー等を吸収して熱に変換する光熱変換微粒子を液状媒質中に分散させた液状の温媒である。
本発明では、太陽光エネルギー等を吸収して熱に変換すると共に機器の部材を摩耗させることなく長時間の運転を可能とする、液状の温媒を提供することができる。
六方晶を有する複合タングステン酸化物の結晶構造の模式図。
本発明を実施するための形態について、以下、[1]液状の温媒、[2]液状の温媒に用いる媒質、[3]液状の温媒に用いる光熱変換微粒子、[4]液状の温媒に用いるその他の成分、[5]まとめ、の順に説明する。
[1]液状の温媒
本発明に係る温媒は、太陽光等の光を吸収して熱に変換する光熱変換微粒子を液状媒質中に分散させた液状の温媒である。そして、当該光熱変換微粒子が、赤外線吸収微粒子であるタングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする。
[2]液状の温媒に用いる媒質
本発明に係る液状の温媒に用いる媒質としては、有機溶剤、油脂、石油由来の媒質、液状樹脂、プラスチック用の液状可塑剤、硬化により高分子化される化合物、水から選択される1種以上の液体媒質を用いることが出来る。
有機溶剤としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3-メチル-メトキシ-プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N-メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n-ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
油脂としては、植物油、植物油由来の化合物などが使用できる。
植物油としては、アマニ油、ヒマワリ油、桐油、ゴマ油、綿実油、菜種油、大豆油、米糠油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、脱水ヒマシ油などが好ましい。
また、植物油由来の化合物としては、植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類などが好ましい。
石油由来の媒質としては、市販されている石油系溶剤や鉱物油が使用できる。
石油系溶剤の具体例としては、アイソパーE、エクソールHexane、エクソールHeptane、エクソールE、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル製)等が好ましい。
鉱物油の具体例としては、パラフィン系、ナフテン系等が好ましい。
液状の樹脂としては、メタクリル酸メチル等が好ましい。
プラスチック用の液状可塑剤としては、一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤や、多価アルコール有機酸エステル化合物等のエステル系である可塑剤、有機リン酸系可塑剤等のリン酸系である可塑剤などが好ましい例として挙げられる。なかでもトリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサオネート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルヘキサオネートは、加水分解性が低い為、さらに好ましい。
[3]液状の温媒に用いる光熱変換微粒子
本発明に係る液状の温媒に用いる光熱変換微粒子は、赤外線吸収微粒子であるタングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン酸化物微粒子である。
一般に、タングステン酸化物(WO)中には有効な自由電子が存在しない為、赤外線領域の吸収反射特性が少なく、光熱変換微粒子としては有効ではない。
一方、酸素欠損を持つWOや、WOにNa等の陽性元素を添加した複合タングステン酸化物は、導電性材料であり、自由電子を持つ材料であることが知られている。そして、これらの自由電子を持つ材料の単結晶等の分析により、赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。
本発明者等は、当該タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、光熱変換微粒子として特に有効な範囲があることを見出した。そして、可視光領域においては透明で、赤外線領域においては吸収を持つタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子が、液状の温媒に用いる光熱変換微粒子として好適であることに想到した。
加えて、タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子は、例えばTiN微粒子と比較して遥かに粉砕が容易であることから硬度も低いと考えられる。このことは、後述する実施例、参考例において、複合タングステン酸化物微粒子をZrOビーズによって粉砕した際、当該ビーズは摩耗しなかったが、TiN微粒子をZrOビーズによって粉砕した際は、当該ビーズが摩耗したことからも裏付けられた。
以上のことから、タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子は、ヒートポンプ等の機器の部材を摩耗させることなく長時間の運転を可能とする観点からも、優れた光熱変換微粒子であると考えられる。
ここで、本発明に係る光熱変換微粒子であるタングステン酸化物微粒子または/および複合タングステン酸化物微粒子について、(1)タングステン酸化物微粒子、(2)複合タングステン酸化物微粒子、(3)タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子の順で説明する。
(1)タングステン酸化物微粒子
本発明に係るタングステン酸化物微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物の微粒子である。一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物において、当該タングステンと酸素との組成範囲は、タングステンに対する酸素の組成比が3よりも少なく、さらには、当該タングステン酸化物微粒子をWyOzと記載したとき、2.2≦z/y≦2.999であることが好ましい。
当該z/yの値が2.2以上であれば、当該タングステン酸化物中に目的以外であるWO2の結晶相が現れるのを回避することが出来ると伴に、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので有効な光熱変換微粒子となる。一方、当該z/yの値が2.999以下であれば、必要とされる量の自由電子が生成され効率よい光熱変換微粒子となる。
(2)複合タングステン酸化物微粒子
上述したWOへ、後述する元素Mを添加し複合タングステン酸化物とすることで、当該WO中に自由電子が生成され、特に近赤外線領域に自由電子由来の強い吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収微粒子として有効となる。
即ち、当該WOに対し、酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用することで、より効率の良い光熱変換微粒子を得ることが出来る。この酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用した光熱変換微粒子の一般式をMxWyOz(但し、Mは、前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素)と記載したとき、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3の関係を満たす光熱変換微粒子が望ましい。
まず、元素Mの添加量を示すx/yの値について説明する。
x/yの値が0.001より大きければ、複合タングステン酸化物において十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線吸収効果を得ることが出来る。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線吸収効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該光熱変換微粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
また、元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上であることが好ましい。
ここで、元素Mを添加された当該MxWyOzにおける安定性の観点から、元素Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちから選択される1種類以上の元素であることがより好ましい。そして、光熱変換微粒子としての光学特性、耐候性を向上させる観点から、元素Mは、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素に属するものであることがさらに好ましい。
次に、酸素量の制御を示すz/yの値について説明する。z/yの値については、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物においても、上述したWyOzで表記されるタングステン酸化物と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0や2.0≦z/y≦2.2においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給がある。この為、2.0≦z/y≦3.0が好ましく、より好ましくは2.2≦z/y≦3.0、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、赤外領域の吸収が向上する。この六方晶の結晶構造の模式的な平面図である図1を参照しながら説明する。
図1において、符号11で示すWO単位にて形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に、符号12で示す元素Mが配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
そして、可視光領域における光の透過を向上させ、赤外領域における光の吸収を向上させる効果を得る為には、複合タングステン酸化物微粒子中に、図1を用いて説明した単位構造が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が結晶質であっても非晶質であっても構わない。
この六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域における光の透過が向上し、赤外領域における光の吸収が向上する。ここで一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され易い。具体的には、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snを添加したとき六方晶が形成され易い。勿論これら以外の元素でも、WO単位で形成される六角形の空隙に上述した元素Mが存在すれば良く、上述の元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加元素Mの添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、上述した元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外であって、正方晶、立方晶の複合タングステン酸化物も光熱変換微粒子として有効である。結晶構造によって、赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶、正方晶、立方晶の順である。従って、より可視光領域の光を透過し、より赤外線領域の光を吸収する用途には、六方晶の複合タングステン酸化物を用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
(3)タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子
本発明に係る、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子を含有する光熱変換微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。
また、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子において、2.45≦z/y≦2.999で表される組成比を有する、所謂「マグネリ相」は化学的に安定であり、赤外線領域の吸収特性も良いので、光熱変換微粒子として好ましい。
また、優れた赤外線吸収特性を発揮させる観点から、光熱変換微粒子の結晶子径は1nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上70nm以下である。結晶子径の測定には、粉末X線回折法(θ―2θ法)によるX線回折パターンの測定と、リートベルト法による解析を用いる。X線回折パターンの測定には、例えばスペクトリス株式会社PANalytical製の粉末X線回折装置「X’Pert-PRO/MPD」などを用いて行うことができる。
本発明に係る光熱変換微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Al、Znの一種類以上の金属を含有する酸化物で被覆されていることは、耐候性の向上の観点から好ましい。被覆方法は特に限定されないが、当該光熱変換微粒子を分散した溶液中へ、上記金属のアルコキシドを添加することで、光熱変換微粒子の表面を被覆することが可能である。
[4]液状の温媒に用いるその他の成分
本発明に係る液状の温媒中へは、さらに所望により、分散剤、カップリング剤、界面活性剤等のその他の成分を添加することも出来る。
当該分散剤、カップリング剤、界面活性剤は用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有することが好ましい。これらの官能基は、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子の表面に吸着し、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子の凝集を防ぎ、熱媒中において本発明に係る光熱変換微粒子を均一に分散させる効果を持つ。
好適に用いることのできる分散剤としては、リン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、等があるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤などが挙げられる。
[5]まとめ
以上、詳細に説明した本発明に係る液状の温媒は、太陽光エネルギー等を吸収して熱に変換すると共に機器の部材を摩耗させることなく長時間の運転を可能とするものである。従って、太陽光エネルギー等を用いたヒートポンプ等への温媒として適したものである。
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例および参考例に係る分散液中の光熱変換微粒子の結晶子径は、粉末X線回折装置(スペクトリス株式会社PANalytical製X’Pert-PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)により測定し、リートベルト法を用いて算出した。
光熱変換微粒子の光学特性は、希釈した光熱変換微粒子分散液を光長路20mmの測定用ガラスセルに入れて、分光光度計(日立製作所株式会社製 U-4100)を用いて測定した。可視光透過率と日射透過率は、JISR3106に従って算出した。分光光度計の光の入射方向は測定用ガラスセルに垂直な方向とした。また、当該測定用ガラスセルに主溶媒の純水のみを入れたブランク液を、光の透過率のベースラインとした。
光熱変換微粒子の光熱変換効率は、光熱変換微粒子分散液を可視光透過率70%となるまで希釈し、液温23℃の初期状態から、太陽光線近似スペクトルランプ(SAN-EI ELECTRIC社製ソーラーシミュレーターXES-40S1)を用い、光の放射強度1500W/mでAM(Air Mass)1.5相当の擬似太陽光を20分間照射し、照射前後における光熱変換微粒子分散液の液温上昇幅を測定した。このときの室温は23℃とした。
[実施例1]
光熱変換材料として、セシウム(Cs)と、タングステン(W)との物質量の比が、Cs/W=0.33である、六方晶セシウムタングステンブロンズ(Cs0.33WOz、2.0≦z≦3.0)を含む複合タングステン酸化物粉末(住友金属鉱山株式会社製YM-01)を用意した。
そして、光熱変換材料を20質量%と、純水を80質量%とを混合して得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェイカーに装填し20時間粉砕・分散処理し、Cs0.33WOzの光熱変換微粒子分散液を得た。
得られた光熱変換微粒子分散液の溶媒を除去したあと、当該光熱変換微粒子の結晶子径を測定したところ23nmであった。当該測定結果を表1に示す。
また、得られた光熱変換微粒子分散液を、当該光熱変換微粒子の濃度が0.023質量%なるまで純水で希釈し、実施例1に係る光熱変換微粒子分散液を得た。そして実施例1に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定した結果、可視光透過率が49%、日射透過率19%であった。
さらに、実施例1に係る光熱変換微粒子分散液20mLを50mLのガラスビーカーに入れ、ガラスビーカーの側方部と下部を発泡スチロールで断熱化し、上方の開口部より擬似太陽光を照射して光熱変換効率を測定したところ、擬似太陽光照射前後の液温上昇幅は12.4℃となった。当該測定結果を表1に示す。
[実施例2、3]
実施例1にて説明した光熱変換微粒子分散液を、光熱変換微粒子の濃度が0.0023質量%となるまで純水で希釈して実施例2に係る光熱変換微粒子分散液を得、次に、0.00023質量%となるまで純水で希釈して実施例3に係る光熱変換微粒子分散液を得た。そして、実施例1と同様に操作して、実施例2、3に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定した。当該測定結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例として純水を光熱変換微粒子分散液として用い、実施例1と同様に操作して、比較例1に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定したところ、擬似太陽光照射後の液温上昇幅は、6.9℃となった。当該測定結果を表1に示す。
[参考例1~4]
光熱変換材料を複合タングステン酸化物粉末から錫ドープ酸化インジウム(ITO)粉
末へ変え、参考例1~4に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
但し、光学特性測定時の光熱変換微粒子の濃度を0.071質量%として参考例1に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.050質量%として参考例2に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.0071質量%として参考例3に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.00071質量%として参考例4に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
実施例1と同様に操作して、参考例1~4に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定した。当該測定結果を表1に示す。
[参考例5~8]
光熱変換材料を複合タングステン酸化物粉末からアンチモンドープ酸化錫(ATO)粉末へ変え、参考例5~8に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
但し、光学特性測定時の光熱変換微粒子の濃度を0.099質量%として参考例5に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.066質量%として参考例6に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.0066質量%として参考例7に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.00066質量%として参考例8に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
実施例1と同様に操作して、参考例5~8に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定した。当該測定結果を表1に示す。
[参考例9、10]
光熱変換材料を複合タングステン酸化物粉末からカーボンブラック粉末へ変え、参考例9、10に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
但し、光学特性測定時の光熱変換微粒子の濃度を0.00027質量%として参考例9に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.00018質量%として参考例10に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
実施例1と同様に操作して、参考例9、10に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定した。当該測定結果を表1に示す。尚、カーボンブラックは非晶質である為、参考例9、10に係る光熱変換微粒子分散液の結晶子径は測定出来なかった。
[参考例11、12]
光熱変換材料を複合タングステン酸化物粉末から窒化チタン粉末へ変え、参考例11、12に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
但し、光学特性測定時の光熱変換微粒子の濃度を0.00061質量%として参考例11に係る光熱変換微粒子分散液を得、濃度を0.00052質量%として参考例12に係る光熱変換微粒子分散液を得た。
実施例1と同様に操作して、参考例11、12に係る光熱変換微粒子分散液の光学特性を測定した。当該測定結果を表1に示す。
11 WO単位
12 元素M

Claims (3)

  1. 光を吸収して熱に変換する光熱変換微粒子として、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記される化合物、または/および、一般式MxWyOzで表記される化合物(元素Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表され、結晶子径が1nm以上200nm以下である赤外吸収微粒子を、
    液状媒質中に、0.00023質量%以上、0.023質量%以下分散させた液状の温媒。
  2. 前記液状媒質が、有機溶剤、油脂、液状可塑剤、硬化により高分子化される化合物、水、から選択される1種以上の液体媒質であることを特徴とする請求項1に記載の液状の温媒。
  3. 前記光熱変換微粒子が、Al、Zr、Ti、Si、Znから選択される1種類以上の金属元素を含む化合物で被覆されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の液状の温媒。
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