以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状はあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
本発明細書において、説明の便宜上、「上」、「上方」、または「上部」もしくは「下」、「下方」、または「下部」という語句を用いて説明するが、各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物(例えば、台車または牽引用ロボットなど)の構成の位置関係を説明する場合、構造物の通常使用する態様を基準とし、構造物が設置される面側(例えば、接地面側)を「下」、「下方」、または「下部」とすることがある。
本明細書において、「平行」とは、完全に平行である場合だけでなく、実質的に平行である場合を含む。
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、「第3」、「第4」の文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
本明細書および図面において、同一又は類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字又は小文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、一つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
本明細書において、「自動搬送車(AGV)」とは、指示に基づいて所定の場所まで自動走行することができる車両をいう。指示は、統括システムからの指示であってもよく、作業者からの指示であってもよい。なお、「自動搬送車」は、牽引用ロボットを含む。
本明細書において、「牽引用ロボット」とは、台車と連結し、指示された所定の場所まで台車を牽引しながら自動走行することができるロボットをいう。なお、ロボットは車両を含む。
本明細書において、「台車」とは、資材などを積載して車輪を利用して移動することができるものをいう。
本明細書において、「自動走行」とは、自動搬送車が統括システムと通信接続し、統括システムからの指示に基づく走行と、自動搬送車が具備する制御装置による自律走行とを含む。自律走行には、自動搬送車が所定の経路に沿って目的地に向かう走行だけでなく、目標物を追従した走行も含まれる。
本明細書において、「統括システム」とは、自動搬送車を制御するとともに、自動搬送車が走行する建造物を制御し、自動搬送車および建造物と通信接続して自動搬送車および建造物を管理するシステムをいう。「統括システム」は、制御部、送信部、受信部、または記憶部などを含み、例えば、コンピュータを用いることができる。
本明細書において、「レーザーセンサー」とは、赤外線または可視光のレーザーを照射し、構造物からの反射光を検出することができるセンサーをいう。「レーザーセンサー」のレーザーは、走査することができるものであってもよく、「レーザーセンサー」はレーザーレンジファインダーを含む。
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
<第1実施形態>
図1、図2、および図3を用いて、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10および台車20について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10が取り付けられた台車20の模式図である。具体的には、図1は、台車20の下面側から眺めた台車20の斜視図である。図1に示すように、台車20は、荷台210と、キャスター220と、第1締結器230と、台車用ストッパー10-1および10-2と、を含む。キャスター220ならびに台車用ストッパー10-1および10-2は、荷台210の下面に取り付けられている。
以下では、2つの台車用ストッパー10-1および10-2を特に区別する必要がない場合は、便宜上、台車用ストッパー10として説明する。
図1では、2つの台車用ストッパー10-1および10-2が取り付けられているが、台車用ストッパー10の数は2つに限られない。台車用ストッパー10の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。但し、台車20の位置を安定して固定するためには、荷台210の下面に複数の台車用ストッパー10が対称的に取り付けられていることが好ましい。
荷台210の上面は、資材などを積載することができる。そのため、荷台210の上面は、資材などが積載できるように平坦であることが好ましいが、これに限られない。荷台210の上面は、少なくとも平坦な部分を含み、一部に窪みや開口が設けられていてもよい。同様に、荷台210の下面も、平坦であることが好ましい。荷台210の材料としては、スチール、ステンレス、またはプラスチックなどを用いることができる。また、荷台210がスチール、ステンレスを用いている場合、荷台210の表面には防錆塗装が施されていてもよい。例えば、防錆塗装として、荷台210の表面に亜鉛メッキ処理を行うことができる。さらに、荷台210の上面には、積載した資材が崩れることを防止するためのストッパー、例えば、パイプなどを設けることもできる。
キャスター220は、台車20を移動させることができる。キャスター220は、取付部と、本体と、車輪とを含む。車輪は、本体の車軸を中心軸として回動する。また、本体は、取付部によって荷台210に取り付けられ、車輪の向きを変えるように可動する。そのため、台車20は、キャスター220により、あらゆる方向に移動することができる。さらに、キャスター220は、台車20を所定の位置に固定しておくことができるように、ストッパーが設けられていてもよい。
車輪は、例えば、スチールまたはステンレスなどの金属部材で構成されていてもよく、例えば、ゴム、ナイロン、またはウレタンなどの樹脂部材で構成されていてもよい。
台車20の下部、すなわち、荷台210の下面側には、台車20を牽引する牽引用ロボット30が入り込むため、台車20の下部は、牽引用ロボット30が入り込むための間隙を設ける必要がある。また、そのため、キャスター220の高さは、牽引用ロボット30の高さよりも大きい。台車20の下部の間隙(床面から荷台210の下面までの高さ)は、キャスター220の取付部の長さによって調整することができ、また、車輪の直径によっても調整することができる。
第1締結器230は、台車20が牽引用ロボット30と連結するためのものである。第1締結器230は、台車20と牽引用ロボット30との位置合わせを容易にするため、荷台210の下面の中央に設けられていることが好ましい。
続いて、図2を用いて、台車用ストッパー10の構成を説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10が取り付けられた台車20の正面図である。具体的には、図2は、台車20の短辺側から眺めた台車20の正面図である。図2に示すように、台車用ストッパー10は、固定部110と、第1アーム120と、第2アーム130と、シャフト140とを含む。第1アーム120は、固定部110の第1端部111に第1ピン150を介して係合されている。また、第2アーム130は、固定部110の第2端部112に第2ピン160を介して係合されている。
第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131は接地面側に位置し、第1アーム120の第2端部122および第2アーム130の第2端部132は固定部110側に位置している。第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131の各々には、接地面と接する弾性部材190が設けられている。第1アーム120の第2端部122および第2アーム130の第2端部132は、固定部110に設けられたガイドの中に収められていてもよい。
シャフト140の第1端部141は、第1アーム120に第3ピン170を介して係合され、シャフト140の第2端部142は、第2アーム130の第2端部132に第4ピン180を介して係合されている。なお、第3ピン170は、第1ピン150よりも下方に位置している。
第1アーム120は、第1ピン150を回動軸として回動することができる。すなわち、第1アーム120の第1端部121と第1アーム120の第2端部122は、第1ピン150を中心として、それぞれが逆方向に移動することができる。同様に、第2アーム130は、第2ピン160を回動軸として回動することができる。また、第2アーム130の第1端部131と第2アーム130の第2端部132は、第2ピン160を中心として、それぞれが逆方向に移動することができる。
第1アーム120、第2アーム130、およびシャフト140は、棒状であってもよく、板状であってもよい。また、第1アーム120、第2アーム130、およびシャフト140の断面形状は特に限定されてないが、矩形であってもよく、円形であってもよく、または楕円形であってもよい。
第1アーム120の一部または第2アーム130の一部は屈曲していてもよい。また、第1アーム120は、第1アーム120の第1端部121が第1アーム120の第2端部122よりも荷台210の内側に位置するように屈曲してもよい。同様に、第2アーム130は、第2アーム130の第1端部131が第2アーム130の第2端部132よりも荷台210の内側に位置するように屈曲してもよい。第1アーム120および第2アーム130の屈曲角度は、110°以上170°以下、または120°以上150°以下が好ましい。さらには、第1アーム120の第1ピン150から第2端部122および第2アーム130の第2ピン160から第2端部132、それぞれが接地面に対して法線方向に位置することが好ましい。第1アーム120および第2アーム130が屈曲していることで、シャフト140の少ない移動量で、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131を接地面から容易に離すことができる。この結果、台車用ストッパー10の解除を確実に行うことができる。
弾性部材190は、台車20のキャスター220の接地面と接して、台車20の位置を固定することができる。そのため、弾性部材190は接地面に対して摩擦係数の高い部材であることが好ましい。弾性部材190として、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、アクリルゴム、またはイソブチエン・イソプレンゴムなどを用いることができる。
さらに、図3を用いて、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10の駆動機構について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10の駆動機構について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10の駆動機構を、牽引用ロボット30の移動とともに説明する図である。具体的には、図3(A)は、牽引用ロボット30が荷台210の下に入り込む状態を示し、図3(B)は、牽引用ロボット30が荷台210の下に入り込んだ後の状態を示す。
図3(A)および図3(B)に示すように、牽引用ロボット30は、第1アーム120側から荷台210の下に入り込む。牽引用ロボット30は第1アーム120に接触し、牽引用ロボット30がさらに進むと、第1アーム120の第1端部121を押し上げる。一方、第1アームの第2端部122は、第1ピン150を回動軸として回動し、牽引用ロボット30の進行方向と逆方向に移動する。
第1アーム120の第1端部121が押し上げられると、シャフト140の第1端部141は、第3ピン170を回動軸として回動しながら、牽引用ロボット30の進行方向と同じ方向に移動する。また、シャフト140の第2端部142も同様に、第4ピン180を回動軸として回動しながら、牽引用ロボット30の進行方向と同じ方向に移動する。
シャフト140の第2端部142が牽引用ロボット30の進行方向に移動すると、第2アーム130の第2端部132は、第2ピン160を回動軸として回動し、第2アーム130の第1端部131が押し上げられる。
牽引用ロボット30が荷台210の下に入り込む前では、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131の各々の弾性部材190が接地面と接している。弾性部材190の摩擦係数が大きいため、弾性部材190の摩擦力によって台車20は動かず、台車20の位置は固定されている。一方、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131が押し上げられると、弾性部材190が接地面から離れ、弾性部材190の摩擦力はなくなる。その結果、台車20は移動することができるようになる。すなわち、台車20は、台車用ストッパー10が解除された状態となる。
また、図示しないが、牽引用ロボット30が荷台210の下から抜けると、第1アーム120および第2アーム130の重さで、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131が自然と下がる。その結果、弾性部材190が接地面と接し、台車20は動けなくなり、台車20の位置が固定される。すなわち、台車20は、台車用ストッパー10が設定された状態となる。
なお、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131を下げる場合、バネなどの弾性体を用いて第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131を下げるようにしてもよい。
上記では、牽引用ロボット30が第1アーム120側から荷台210の下に入り込む構成について説明したが、本実施形態に係る台車用ストッパー10は、牽引用ロボット30が第2アーム130側から荷台210の下に入り込んでも同様に駆動することができる。
ここで、図4を用いて、牽引用ロボット30と連結した台車20の移動について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10が取り付けられた台車20に牽引用ロボット30が連結され、台車20の移動を説明する図である。
図4(A)は、牽引用ロボット30が台車20の荷台210の下に入り込む構成を示す。図4(A)に示すように、牽引用ロボット30は、荷台210の長辺側から荷台210の下に入り込む。荷台210の長辺側は、荷台210の短辺側よりも2つの隣接するキャスター220の間隔が大きい。そのため、牽引用ロボット30は、荷台210の短辺側からよりも荷台210の長辺側からの方が荷台210の下に入りやすい。
ここで、図5を用いて、牽引用ロボット30について説明する。
図5は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10が取り付けられた台車20と連結する牽引用ロボット30の模式図である。具体的には、図5は、牽引用ロボット30を上方から眺めた牽引用ロボット30の斜視図である。図5に示すように、牽引用ロボット30は、本体制御部310と、クローラー部320と、第2締結器330と、レーザーセンサー340を含む。本体制御部310は、2つのクローラー部320の間に位置している。第2締結器330は、本体制御部310の上部に設けられている。また、レーザーセンサー340は、牽引用ロボット30の正面に搭載されている。
本体制御部310は、統括システムからの指示を受信し、クローラー部320を制御することができる。本体制御部310には、コントローラ、無線モジュール、バッテリー、またはクローラー部320を駆動するためのモータ、ギヤヘッド、もしくはブレーキなどが設けられている。
クローラー部320は、牽引用ロボット30を前後に移動させるだけでなく、その場所で牽引用ロボット30を回転(旋回)させることができる。
牽引用ロボット30に搭載されたレーザーセンサー340は、牽引用ロボット30の前方にレーザー光を走査しながら照射し、出射光と反射光とに基づいて牽引用ロボット30の周囲の構造物などを検出することができる。具体的には、レーザーセンサー340は、牽引用ロボット30と構造物との距離を算出することによって構造物を検出する。牽引用ロボット30と構造物との距離の算出は、演算装置を用いて行われるが、演算装置は、レーザーセンサー340に設けられていてもよく、牽引用ロボット30の本体制御部310に設けられていてもよい。なお、牽引用ロボット30と構造物との距離の算出は、TOF(Time of Flight)方式またはAM(Amplitude Modulation)方式によって行うことができる。
TOF方式は、測定領域に向けて出射したパルス状の出射光と、構造物からの反射光との検出時間差に基づいて距離を算出する。一方、AM方式は、測定領域に向けて出射した拡幅変調された出射光と、構造物からの反射光との位相差に基づいて距離を算出する。
レーザーセンサー340は、レーザーレンジファインダーが好ましい。
牽引用ロボット30の本体制御部310は、さらに、ジャイロセンサーやGPS(Global Positioning System)信号受信器を含むIMU(Inertial Measurement Unit)を有することができる。ジャイロセンサーやGPSを利用して構造物を検知し、ジャイロセンサーやGPSで得られたデータを基に牽引用ロボット30と構造物との距離を算出してもよい。
再び図4(A)に戻り、牽引用ロボット30が台車20の荷台210の下に入り込む構成について説明する。図4(A)において、台車20は、台車用ストッパー10(図1参照)により、位置が固定されている。
牽引用ロボット30は、レーザーセンサー340を用いて、長辺側の2つのキャスター220の位置を検出し、その2つキャスター220の中心位置に向かって荷台210の下に入り込む。荷台210の下に入り込んだ牽引用ロボット30は、荷台210のもう一方の長辺側の2つのキャスター220の位置を検出する。レーザーセンサー340によって4つのキャスター220の位置が検出されるため、4つのキャスター220の位置を頂点とした矩形の対角線が交差する位置、すなわち、荷台210の中心位置を決定することができる。そのため、牽引用ロボット30は、台車用ストッパー10(図1参照)の第1アーム120および第2アーム130を押し上げながら荷台210の中心位置まで進台車用ストッパーによる台車20の位置の固定が解除される。この後、牽引用ロボット30は、牽引用ロボット30に設けられた第2締結器330を荷台210の中心に設けられた第1締結器230と締結する。第2締結器330は、荷台210の中心位置で牽引用ロボット30から突出して第1締結器230と締結してもよいが、台車20のキャスター220を接地面から浮かせるほど、第2締結器330を突き出す必要はない。自動搬送においては、牽引用ロボット30に牽引された台車20は、キャスター220を利用して移動する。そのため、牽引用ロボット30を小型化することができる。
図4(B)は、台車20と牽引用ロボット30とが連結した状態を示す。この状態では、台車用ストッパー10(図1参照)による台車20の位置の固定が解除されているため、台車20は、牽引用ロボット30の移動方向に合わせて移動することができる。すなわち、牽引用ロボット30は、荷台210の長辺側を先頭にして台車20を牽引することができる。また、牽引用ロボット30に搭載されたレーザーセンサー340を用いて、台車20の進行方向の障害物を認識することができる。
図4(C)は、牽引用ロボット30が荷台210の下で90度回転し、台車20と牽引用ロボット30とが連結した状態を示す。この状態では、牽引用ロボット30は、荷台210の短辺側を先頭にして台車20を牽引することができる。
以上、本実施形態に係る台車用ストッパー10が取り付けられた台車20は、牽引用ロボット30が荷台210の下へ出入りするだけで台車用ストッパー10を設定し、解除することができる。そのため、台車20を自動搬送するときだけ台車用ストッパー10を解除し、台車20のキャスター220を利用して自動搬送を実行することができる。また、台車用ストッパー10は機構が簡便であり、牽引用ロボット30のパワーを必要としない。そのため、牽引用ロボット30が大型化することがない。したがって、台車20および牽引用ロボット30は、建設現場における自動搬送で利用することが可能である。
<変形例1>
図6を用いて、本発明の一実施形態の変形例の1つである台車用ストッパー10Aについて説明する。なお、以下では、台車用ストッパー10と同様の構成については説明を省略し、主に、台車用ストッパー10と異なる構成について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10Aが取りつけられた台車20の正面図である。具体的には、図6は、台車20の短辺側から眺めた台車20の正面図である。図6に示すように、台車用ストッパー10は、固定部110と、第1アーム120Aと、第2アーム130Aと、シャフト140とを含む。第1アーム120Aは、固定部110の第1端部111に第1ピン150を介して係合されている。また、第2アーム130は、固定部110の第2端部112に第2ピン160を介して係合されている。
第1アーム120Aおよび第2アーム130Aの各々は、直線形状である。第1アーム120Aおよび第2アーム130Aの各々が直線形状であっても、第1アーム120Aの第1端部121が押し上げられると、シャフト140を介して、第2アーム130Aの第1端部131が押し上げられる。したがって、弾性部材190が接地面から離れるため、台車20は移動することができるようになる。
本変形例によれば、接地面に対する第1アーム120Aおよび第2アーム130Aの角度を大きくすることができるため、台車用ストッパー10が固定された場合に、台車20のブレーキ力を高めることができる。
<変形例2>
図7を用いて、本発明の一実施形態の変形例の1つである台車用ストッパー10Bについて説明する。なお、以下では、台車用ストッパー10と同様の構成については説明を省略し、主に、台車用ストッパー10と異なる構成について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係る台車用ストッパー10Bの駆動機構を、牽引用ロボット30の移動とともに説明する図である。具体的には、図7(A)は、牽引用ロボット30が台車20Bの荷台210の下に入り込む状態を示し、図7(B)は、牽引用ロボット30が台車20Bの荷台210の下に入り込んだ後の状態を示す。
図7(A)および図7(B)に示す台車用ストッパー10Bでは、シャフト140Bの第1端部141Bが、第1ピン150よりも下方の位置で第1アーム120と接し、固定されていない。すなわち、台車用ストッパー10Bでは、第3ピン170が設けられていない。一方、台車用ストッパー10Bでは、第1アーム120に押え部172Bが設けられている。また、第1アーム120の第1端部141Bが押え部172Bまでスライドする溝が、設けられてもよい。
図7(A)および図7(B)に示すように、牽引用ロボット30は、第1アーム120側から荷台210の下に入り込む。牽引用ロボット30は第1アーム120に接触し、牽引用ロボット30がさらに進むと、第1アーム120の第1端部121を押し上げる。一方、第1アームの第2端部122は、第1ピン150を回動軸として回動し、牽引用ロボット30の進行方向と逆方向に移動する。
第1アーム120の第1端部121が押し上げられると、シャフト140Bの第1端部141Bは、第1アーム120の上をスライドしながら、牽引用ロボット30の進行方向と同じ方向に移動するが、押え部172Bによってシャフト140Bのスライドは止められる。しかしながら、押え部172Bによってシャフト140Bが押されるため、シャフト140の第2端部142は、第4ピン180を回動軸として回動しながら、牽引用ロボット30の進行方向と同じ方向に移動する。
シャフト140の第2端部142が牽引用ロボット30の進行方向に移動すると、第2アーム130の第2端部132は、第2ピン160を回動軸として回動し、第2アーム130の第1端部131が押し上げられる。
牽引用ロボット30が荷台210の下に入り込む前では、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131の各々の弾性部材190が接地面と接している。弾性部材190の摩擦係数が大きいため、弾性部材190の摩擦力によって台車20は動かず、台車20Bの位置は固定されている。一方、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131が押し上げられると、弾性部材190が接地面から離れ、弾性部材190の摩擦力はなくなる。その結果、台車20Bは移動することができるようになる。すなわち、台車20Bは、台車用ストッパー10Bが解除された状態となる。
また、図示しないが、牽引用ロボット30が荷台210の下から抜けると、第1アーム120および第2アーム130の重さで、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131が自然と下がる。その結果、弾性部材190が接地面と接し、台車20Bは動けなくなり、台車20Bの位置が固定される。すなわち、台車20Bは、台車用ストッパー10Bが設定された状態となる。
なお、第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131を下げる場合、バネなどの弾性体を用いて第1アーム120の第1端部121および第2アーム130の第1端部131を下げるようにしてもよい。例えば、シャフト140Bの第1端部141Bと第1アームの第1アーム120の第1端部121とをバネで連結しておいてもよい。
以上、本変形例に係る台車用ストッパー10Bにおいても、牽引用ロボット30が荷台210の下へ出入りするだけで台車用ストッパー10Bを設定し、解除することができる。そのため、台車20Bを自動搬送するときだけ台車用ストッパー10Bを解除し、台車20Bのキャスター220を利用して自動搬送を実行することができる。また、台車用ストッパー10Bも機構が簡便であり、牽引用ロボット30のパワーを必要としない。そのため、牽引用ロボット30が大型化することがない。したがって、台車20Bおよび牽引用ロボット30は、建設現場における自動搬送で利用することが可能である。
<変形例3>
シャフト140の第1端部141は、変形例2以外の変形も可能である。そこで、図8および図9を用いて、シャフト140の第1端部141のいくつかの変形例について説明する。
図8は、シャフト140Bの第1端部141Bの変形例の構成を説明する図である。
図8(A)は、シャフト140Cの第1端部141Cの構成を示す。第1アーム120にはスライダー173Cが取り付けられ、スライダー173Cは第1アーム120上を移動することができる。また、シャフト140Cの第1端部141Cは、スライダー173Cに第3ピン170Cを介して係合され、シャフト140Cの第1端部141Cは、第3ピン170Cを回動軸として回動することができる。したがって、第1アーム120が押し上げられると、スライダー173Cが第1アーム120に沿って移動し、押え部172Bによってシャフト140Cのスライドは止められる。押え部172Bによってシャフト140Cが押されるため、シャフト140Cも移動する。第2アーム130の第1端部131は、シャフト140Cの移動により、押し上げられる。
図8(B)は、シャフト140Dの第1端部141Dの構成を示す。第1アーム120Dには開口部174Dが設けられ、第3ピン170Dが開口部174Dを貫通するように設けられている。また、シャフト140Dの第1端部141Dは、第1アーム120Dの開口部174Dに、第3ピン170Dを介して係合されている。したがって、第1アーム120Dが押し上げられると、第3ピン170Dが開口部174Dに沿って移動するとともに、シャフト140Dも移動する。第2アーム130の第1端部131は、シャフト140Dの移動により、押し上げられる。
図9は、シャフト140Eの第1端部141Eの構成を示す。具体的には、図9(A)はシャフト140Eの上面から眺めた上面図であり、図9(B)は図9(A)に示されたA-A’線に沿って切断した断面図であり、図9(C)は図9(A)に示されたB-B’線に沿って切断した断面図である。
第1アーム120Eには溝部175Eが設けられ、シャフト140Eの第1端部141Eが溝部175Eに嵌合されている。また、シャフト140Eの第1端部141Eは、溝部175E内をスライドすることができる。したがって、第1アーム120Eが押し上げられると、シャフト140Eの第1端部141Eが溝部175Eに沿って移動するとともに、シャフト140Eも移動する。第2アーム130の第1端部131は、シャフト140Eの移動により、押し上げられる。
なお、図9に示すように、シャフト140Eの幅は、第1端部141Eを大きくしてもよい。また、図9に示すように、第1端部141Eの幅がその他の部分よりも大きい場合には、溝部175Eの開口面の幅を第1端部141Eの幅よりも小さくしてもよい。このような構成にすることで、シャフト140Eの第1端部141Eが、溝部175Eから抜け落ちることを防止することができる。
以上、シャフト140の第1端部141の変形例について説明したが、図8(A)に示すスライダー173C、図8(B)に示す開口部174D、および図9に示す溝部175Eは、いずれもシャフト140の第1端部141のガイドであるということもできる。したがって、本変形例では、シャフト140の第1端部141の移動がガイドに沿って行われるため、シャフト140の移動が安定する。
<第2実施形態>
図10および図11を用いて、本発明の一実施形態に係る自動搬送システムについて説明する。本実施形態に係る自動搬送システムは、台車用ストッパー10が取り付けられた台車20と、牽引用ロボット30とを含む。
図10は、本発明の一実施形態に係る自動搬送システムを利用した建築現場の模式図である。図10に示す建築現場の建造物50は、複数のフロアを有している。建造物50の隣には、フロア間、すなわち、建造物50の高さ方向への資材53の搬送を可能にする工事用エレベータ60が設置されている。工事用エレベータ60は、建造物50の高さ方向に沿って延伸する脚柱61に昇降機62が取り付けられている。昇降機62は、脚柱61に沿って移動し、建造物50の各フロアで停止することができるように設定されている。自動搬送システムには統括システムが含まれていてもよく、牽引用ロボット30および工事用エレベータ60の移動は、統括システムによって制御することができる。
作業フロア(資材の荷取り場または荷置き場)では、フロアの壁面の開口部を塞ぐようにシャッター51が設置されている。シャッター51は、工事用エレベータ60側に設置され、工事用エレベータ60を利用する場合にはシャッター51を開く。すなわち、シャッター51は、工事用エレベータ60の出入口ということもできる。また、シャッター51の前には、フロアの床面と昇降機62の床面との段差を小さくするためのスロープ52が設置されている。なお、シャッター51の開閉も統括システムによって制御することができる。
自動搬送システムにおいては、資材53が積載された台車20と牽引用ロボット30が連結し、牽引用ロボット30が、台車20を牽引しながら荷取り場から荷置き場までを自動搬送する。建築現場においては、資材53などがフロアの床面上に置いてあることも多く、牽引用ロボット30の搬送経路が限定される。そのため、牽引用ロボット30の自動搬送を可能とするためには、牽引用ロボット30の走行可能な搬送経路を特定しておく必要がある。したがって、自動搬送システムの利用を開始する前に、フロアの状況を示した地図(自動搬送用フロア地図)を生成しておく必要がある。
図11は、建築現場において、自動搬送用フロア地図の生成について説明する図である。具体的には、図11(A)は、建築現場のフロアの状況を示す模式図であり、図11(B)は、生成された自動搬送用フロア地図の模式図である。
図11(A)に示すように、建築現場における建造物50のフロアの床面上には、第1資材53-1および第2資材53-2が置かれている。牽引用ロボット30が自動搬送する上で、第1資材53-1および第2資材53-2は障害物となり得る。また、建造物50のフロアには、建造物50を支えるための柱54が設置されている。柱54もまた、牽引用ロボット30の自動搬送における障害物となり得る。そのため、牽引用ロボット30の自動搬送の障害物となり得る、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱54などを全て障害物55としてマーキングした自動搬送用フロア地図を生成する。
自動搬送用フロア地図を生成するため、牽引用ロボット30が自動搬送するフロア(例えば、荷取り場または荷置き場など)内において、作業者は、牽引用ロボット30を手動で操作し、走行させる。牽引用ロボット30には、レーザーセンサー340が搭載されており、牽引用ロボット30は、レーザーセンサー340を用いて、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱54などを検知することができる。牽引用ロボット30は、検知された情報を基にして、図11(B)に示すような、第1資材53-1、第2資材53-2、または柱54などが障害物55としてマーキングされた自動搬送用フロア地図を生成することができる。なお、自動搬送用フロア地図の生成における処理は、牽引用ロボット30でなくてもよい。牽引用ロボット30と通信接続し、牽引用ロボット30から情報を受信した統括システムで処理を行い、自動搬送用フロア地図を生成してもよい。
また、自動搬送用フロア地図は、リアルタイムでディスプレイに表示できるようにしてもよい。作業者は、実際の牽引用ロボット30の走行と、ディスプレイに表示された自動搬送用フロア地図とを比較して確認することができるため、自動搬送用フロア地図の精度が向上する。
牽引用ロボット30が、ジャイロセンサーを搭載している場合、フロアの床面上の段差を検出することができる。この場合、自動搬送用フロア地図には、障害物55だけでなく、段差も示すことが可能となる。
自動搬送用フロア地図の生成においては、牽引用ロボット30と異なるロボットを使用することもできる。例えば、牽引用ロボット30よりも小さいロボットを使用すれば、牽引用ロボット30が走行することができない場所に入り込むことができるため、より詳細な自動搬送用フロア地図を生成することができる。
再び、図10に戻り、自動搬送システムについて説明する。
自動搬送用フロア地図の情報、ならびに台車20および牽引用ロボット30の位置の情報など、自動搬送で必要な情報は統括システムによって制御され、管理される。例えば、台車20の初期位置(スタート位置)および搬送位置(ゴール位置)、または自動搬送システムの実行開始時間などは、統括システムを通じて制御し、管理することができる。
統括システムによって自動搬送が実行されると、牽引用ロボット30は、自動走行を開始し、荷取り場フロアの初期位置の資材53が積載された台車20の荷台210の下に入り込み、台車20と連結する。牽引用ロボット30は、自動搬送用フロア地図を基にして障害物55を避け、台車20を牽引しながら自動走行する。牽引用ロボット30は、荷取り場フロアのシャッター51の前、より具体的にはスロープ52の前で停止する。
統括システムは、牽引用ロボット30がシャッター51の前で停止している信号を受信すると、工事用エレベータ60の昇降機62を牽引用ロボット30のいる荷取り場フロアまで移動させ、昇降機62の扉(図示しない。)を開ける。また、統括システムが、昇降機62が荷取り場フロアで停止した信号を受信すると、荷取り場フロアのシャッター51を開く。牽引用ロボット30は、昇降機62の扉およびシャッター51が開いた信号を受信すると、スロープ52を昇り、工事用エレベータ60の昇降機62に乗り込む。統括システムは、牽引用ロボット30が昇降機62の中で停止している信号を受信すると、昇降機62の扉およびシャッター51を閉じ、昇降機62を荷置き場フロアに移動させる。また、統括システムが、昇降機62が荷置き場フロアで停止し、昇降機62の扉が開く信号を受信すると、荷取り場フロアのシャッター51を開く。
牽引用ロボット30は、シャッター51が開いた信号を受信すると、自動走行を開始し、スロープ52を通って、昇降機62から荷置き場フロアに降りる。統括システムは、牽引用ロボット30がスロープ52を降りた信号を受信すると、昇降機62の扉およびシャッター51を閉める。牽引用ロボット30は、自動生成用フロア地図を基にして、障害物55を避けながら、自動走行し、搬送位置で停止する。
統括システムは、牽引用ロボット30が搬送位置で停止している信号を受信すると、台車20と牽引用ロボット30との連結を解除する指示を送信する。台車20との連結が解除された牽引用ロボット30は、シャッター51の前まで進み、上述した走行経路を逆に走行して、荷取り場フロアまで戻る。牽引用ロボット30は、別の資材53が積載された台車20と連結し、台車20を牽引しながら自動走行する。
自動搬送システムは、1つの牽引用ロボット30に限られない。自動搬送システムは、複数の牽引用ロボット30を含むこともできる。すなわち、自動搬送システムでは、複数の台車20および複数の牽引用ロボット30を同時に利用して自動搬送することができる。また、統括システムは、複数の牽引用ロボット30が同時または連続的に、荷取り場フロアと荷置き場フロアを行き来できるように制御することができる。
また、上記では、牽引用ロボット30を含む自動搬送システムを説明したが、自動搬送システムは、牽引用ロボット30に限られず、あらゆる自動搬送車に適用することができる。
以上、本実施形態に係る自動搬送システムによれば、牽引用ロボット30が、資材53が積載された台車20と連結し、台車20を荷取り場から荷置き場に自動搬送することができる。例えば、夜間に自動搬送システムによる自動搬送を実行しておけば、作業者は、翌日の朝から自動搬送システムによって搬送された資材53を用いて作業を開始することができる。自動搬送システムを利用しない場合では、作業者は、翌日の朝に資材53の搬送作業から開始する必要があるが、自動搬送システムを利用すれば、資材53の搬送作業を省略することができる。そのため、自動搬送システムを利用することで、作業者の負担が軽減し、建築現場における作業効率が大幅に向上する。
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、または設計変更を行ったもの、もしくは、工程の追加、省略、または条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。