JP7345031B2 - 床材の製造方法 - Google Patents
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Description
耐動荷重性能を備える床材として、ガラス繊維層の両面に塩化ビニル樹脂層を積層した床材があり、例えば特許文献1に開示されたものがある。
この床材は、架橋剤を配合した塩化ビニル系樹脂ペーストを含浸したガラス繊維層を塩化ビニル系樹脂シートと重ね合わせた後、加熱加圧することで製造されている。
懸濁重合により得られる数平均粒子径が80~120μmの第1の塩化ビニル樹脂原料20~50質量部と、乳化重合あるいはそれにかわる重合で得られる数平均粒子径が0.05~15μmの第2の塩化ビニル樹脂原料80~50質量部とからなる100質量部の塩化ビニル樹脂ペーストを得る第1の工程と、
ガラス繊維を含む坪量が50~120g/m2の繊維質基材層に、前記繊維質基材層の表面から反対側の表面まで染み出すように前記塩化ビニル樹脂ペースト760g/m 2 以上970g/m 2 以下を塗布・充填して前記繊維質基材層の表面に塩化ビニル樹脂の中間層と、前記繊維質基材層の反対側の表面に染み出す塩化ビニル樹脂層とを形成しつつ、前記繊維質基材層の通気性をなくす第2の工程と、
前記繊維質基材層に塗布・充填した前記塩化ビニル樹脂ペーストを固化・ゲル化させた後、前記中間層の表面および前記繊維質基材層の裏面に塩化ビニル樹脂の表面層および裏面層を積層する第3の工程と、を有する、
ことを特徴とする。
本発明の製造方法が適用される床材10は、例えば、繊維質基材層11と、繊維質基材層11に塗布・充填された塩化ビニル樹脂ペースト12により繊維質基材層11の表面に形成される中間層の塩化ビニル樹脂層12aと、繊維質基材層11の裏面に形成される塩化ビニル樹脂層12bと、塩化ビニル樹脂ペースト12による塩化ビニル樹脂層12a,12bの表裏面に積層する表面層13と、裏面層14と、を有して構成される。
繊維質基材層11は、坪量が50~120g/m2とされ、通気性を備えている。坪量が50g/m2未満では、床材10の強度不足となり、床材10として必要な寸法安定性を確保することができない。坪量が120g/m2を超えると、寸法安定性を確保することができるものの、表面の一部を中間層12aとする塩化ビニル樹脂ペースト12を繊維質基材層11の内部まで充填することができなくなり、例えば繊維質基材層11の表面側から充填した塩化ビニル樹脂ペースト12が裏面側に染み出さず、裏面に塩化ビニル樹脂層12bが存在しない状態となる。これにより、第3の工程Cにおける繊維質基材層11の裏面での裏面層14との接着性を確保することができなくなる。
塩化ビニル樹脂ペースト12は、塩化ビニル樹脂成分と、可塑剤、充填剤を含んで構成される。塩化ビニル樹脂成分は、懸濁重合により得られる数平均粒子径が80~120μmの第1の塩化ビニル樹脂原料20~50質量部と、乳化重合あるいはそれにかわる重合で得られる数平均粒子径が0.05~15μmの第2の塩化ビニル樹脂原料80~50質量部とからなる100質量部の塩化ビニル樹脂ペースト12で構成される。すなわち、繊維質基材層11に塩化ビニル樹脂ペースト12を塗布・充填する場合、第2の塩化ビニル樹脂原料のように数平均粒子径が小さい0.05~15μmのものだけとすると、図3(a)に示すように、繊維質基材層11の表面付近で小さな粒子12cが目詰まりを起こし、繊維質基材層11の内部まで充填することができない。そこで、第1の塩化ビニル樹脂原料として数平均粒子径が大きい100μm程度のものを配合し、粒子径の大きな粒子12dによって隙間を形成し、図3(b)に示すように、大きな粒子12dと小さな粒子12cの隙間から塩化ビニル樹脂ペースト12を表面側に一部を残して中間層12aとしつつ繊維質基材層11の内部まで充填させ、裏面まで染み出させるようにしている。
充填材は、特に限定するものではなく、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、マイカ等を用いることができる。
裏面層14は、繊維質基材層11の裏側の表面の加熱ゲル化して形成された塩化ビニル樹脂層12bの表面に設けられ、塩化ビニル樹脂ペーストを塗布し、加熱固化することで形成した塩化ビニル樹脂層14aで構成される。また、予め形成しておいた塩化ビニル樹脂シートを塩化ビニル樹脂層12bに直接加熱圧着して塩化ビニル樹脂層14aとしても良く、塩化ビニル樹脂ペースト、例えば、上記の塩化ビニル樹脂ペースト12とは異なる、いわゆるペースト塩化ビニル樹脂を接着剤として塩化ビニル樹脂層12bに塗布し、塩化ビニル樹脂シートを加熱圧着した塩化ビニル樹脂層14aとしても良い。
床材10の製造工程の概略は、例えば、図2に示すように、繊維質基材層11に塩化ビニル樹脂ペースト12がコーター20で塗工された後、圧着絞りロール21で圧着し、繊維質基材層11の表面に塩化ビニル樹脂ペースト12の一部で中間層となる塩化ビニル樹脂層12aを形成しつつ、繊維質基材層11の表面側から内部まで、さらに内部から裏面側まで染み出すように塩化ビニル樹脂ペースト12を塗布・充填する。この後、ヒーターやオーブン等の加熱装置22によって塩化ビニル樹脂ペースト12を加熱ゲル化させ、繊維質基材層11を内部の塩化ビニル樹脂、表面の塩化ビニル樹脂層(中間層)12aおよび裏面の塩化ビニル樹脂層12b(図1(c)参照)によって通気性がない状態とする。次いで、表面層13および裏面層14を形成する。
すなわち、本発明の床材の製造方法は、懸濁重合により得られる数平均粒子径が80~120μmの第1の塩化ビニル樹脂原料20~50質量部と、乳化重合あるいはそれにかわる重合で得られる数平均粒子径が0.05~15μmの第2の塩化ビニル樹脂原料80~50質量部とからなる100質量部の塩化ビニル樹脂ペーストを得る第1の工程Aと、ガラス繊維を含む坪量が50~120g/m2の繊維質基材層に、前記塩化ビニル樹脂ペーストを塗布・充填して塩化ビニル樹脂の中間層を形成しつつ、前記繊維質基材層の通気性をなくす第2の工程Bと、前記繊維質基材層に塗布・充填した前記塩化ビニル樹脂ペーストを固化・ゲル化させた後、前記中間層の表面および前記繊維質基材層の裏面に塩化ビニル樹脂の表面層および裏面層をそれぞれ積層する第3の工程Cと、を有して構成される。
第1の工程Aは、塩化ビニル樹脂ペースト12を得る工程である。
第1の工程Aは、懸濁重合により得られる数平均粒子径が80~120μmの第1の塩化ビニル樹脂原料20~50質量部と、乳化重合あるいはそれにかわる重合で得られる数平均粒子径が0.05~15μmの第2の塩化ビニル樹脂原料80~50質量部とからなる100質量部の塩化ビニル樹脂ペーストを得る。すなわち、サスペンション塩化ビニル樹脂原料による数平均粒子径が100μm程度の大きいものと、ペースト塩化ビニル樹脂原料による数平均粒子径が0.05~15μmの小さい原料を混合して構成される(図3(b)参照)。これにより、粒子径の小さい塩化ビニル樹脂ペースだけでは、繊維質基材層11の表面付近で目詰まりを起こして内部や裏側まで染み出すように塗布・充填できなくなること(図3(a)参照)を回避している。
第2の工程Bは、ガラス繊維を含む坪量が50~120g/m2の繊維質基材層11に、塩化ビニル樹脂ペースト12を塗布・充填して、中間層12aを形成するとともに、繊維質基材層11の通気性をなくす(図1(b)~(c)参照)。すなわち、図2に示すように、坪量が50~120g/m2の通気性を有する繊維質基材層11の片面、例えば表面に塩化ビニル樹脂ペースト12をコーター20により塗布し、塩化ビニル樹脂ペースト12の中間層12aを形成し、圧着絞りロール21によって繊維質基材層11の塗布面と反対面、例えば裏面まで塩化ビニル樹脂ペースト12の一部が塩化ビニル樹脂層12bとして染み出すようにする。
塩化ビニル樹脂ペースト12は、繊維質基材層11に対して500g/m2以上、好ましくは、760g/m2以上、さらに好ましくは970g/m2以上繊維質基材層11の表面に塗布される。繊維質基材層11の塗布面に中間層12aを形成し、また、塗布面の反対側まで塩化ビニル樹脂ペースト12の一部が塩化ビニル樹脂層12bとして染み出すように塗布・充填する。このためには、最小限でも塗布量を300g/m2以上塗布する必要があるが、繊維質基材11の通気性をなくした状態まで塗布・充填し、しかも反対面に染み出すようにするため、500g/m2以上、好ましくは、760g/m2以上、さらに好ましくは970g/m2以上繊維質基材層11の表面に塗布する。こうすることで、繊維質基材層11は、塗布面に中間層12aを形成しつつ、繊維質基材層11の内部まで塩化ビニル樹脂ペースト12が塗布・充填される。
第3の工程Cは、図1(d)に示すように、繊維質基材層11に塗布・充填した塩化ビニル樹脂ペースト12を固化・ゲル化させた後、繊維質基材層11の表面の塩化ビニル樹脂層(中間層)12aおよび裏面の塩化ビニル樹脂層12bに表面層13および塩化ビニル樹脂の裏面層14をそれぞれ積層する。
繊維質基材層11に塗布・充填した塩化ビニル樹脂ペースト12は、ヒーターやオーブン等の加熱装置22によって固化・ゲル化する。この塩化ビニル樹脂ペースト12の加熱ゲル化によって、繊維質基材層11の表面に塩化ビニル樹脂層(中間層)12aが、繊維質基材層11の裏面に塩化ビニル樹脂層12bがそれぞれ形成された状態にすることができる。
これら表裏面に塩化ビニル樹脂層12a,12bを設けることで、表面層13および裏面層14を構成する塩化ビニル樹脂と同一素材となり、塩化ビニル樹脂層同士を接着とすることにより良好な接着性を確保して積層することができる。
こうして表面層13および裏面層14を積層することで床材10の製造が完了する。
なお、床材10は、シート状として連続製造するようにしたり、所定の長さごとに製造するようにすることもできる。
また、塩化ビニル樹脂ペースト12を、粒子径の小さい塩化ビニル樹脂原料(ペースト原料)だけでなく、粒子径の大きい塩化ビニル樹脂原料(サスペンション原料)を配合するようにしたので、繊維質基材層11の表面で目詰まりを起こすことなく、塗布・充填することができる。
また、塩化ビニル樹脂ペースト12が表面側の中間層12a、繊維質基材層11の内部および裏面側を覆って通気性がない状態とすることで、層間剥離等を生じることなく、表面層13および裏面層14を積層することができる。
(原料等)
繊維質基材層11としてガラス繊維不織布を用意した(オリベスト社製:MSA)。
ガラス繊維不織布は、坪量を35g/m2、40g/m2、80g/m2、120g/m2、150g/m2のものを用意した。
塩化ビニル樹脂ペースト12の原料として、
第1の塩化ビニル樹脂原料:数平均粒子径が100μmのサスペンション塩化ビニル樹脂原料(新第一塩ビ社製:S1101N)、
第2の塩化ビニル樹脂原料:数平均粒子径が5μmのペースト塩化ビニル樹脂原料(新第一塩ビ社製:PQ137)、
可塑剤:フタル酸ジオクチル(シージーエスター社製)、を用意した。
(床材等の評価)
塩化ビニル樹脂ペースト12を塗布・充填した繊維質基材層11の裏面への塩化ビニル樹脂ペースト12の染み出しの有無を観察し、評価した。
塩化ビニル樹脂ペースト12を塗布・充填し、加熱ゲル化した後の繊維質基材層11の通気度の有無を調べ、評価した。
床材10の裏面層14と繊維質基材層11との剥離強度をJIS A 1454に準じて、試験片の幅を25mmとし、実施した。
作業性について、床材10の製造工程中の問題の有無について評価した。
表1に示すように、繊維質基材層11として坪量が80g/m2のガラス繊維不織布を用意した。塩化ビニル樹脂ペースト12を得るため、塩化ビニル樹脂ペースト12の100質量部当たりサスペンション塩化ビニル原料の配合量を40質量部、ペースト塩化ビニル樹脂原料を塩化ビニル樹脂ペースト12の100質量部当たりの配合量を60質量部、可塑剤を塩化ビニル樹脂ペースト12の100質量部当たりの配合量を60質量部配合し、ペースト状の塩化ビニル樹脂塗工液とした。
得られた塩化ビニル樹脂ペーストをガラス繊維不織布にコーター20で塗布量が970g/m2となるように塗布し、圧着絞りロール21で圧着して塗布・充填して塗布面と反対側の面に染み出させた。塩化ビニル樹脂ペースト12を塗布/充填した繊維質基材層11を加熱装置22に送り、加熱ゲル化させ繊維質基材層11の表面に中間層である塩化ビニル樹脂層12aを形成するとともに、裏面に塩化ビニル樹脂層12bを形成した。
中間層である塩化ビニル樹脂層12aの表面にグラビア印刷にて印刷層13aを形成し、印刷層13aの上に透明塩化ビニル樹脂層13bおよび図示しないUV塗料層を積層して厚さが0.3mmの表面層13を形成した。
裏面の塩化ビニル樹脂層12bの表面に塩化ビニル樹脂を塗布して厚さ0.5mmの塩化ビニル樹脂層14aを積層して裏面層14を形成した。
こうして製造された床材10は、全厚さが2.0mmであった。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあり、通気度はなしであった。剥離試験では、27N/25cm幅で剥離強度を確保でき、作業性は、良好の○であった。
塩化ビニル樹脂ペースト12に配合するサスペンション塩化ビニル樹脂原料を20質量部とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあり、通気度はなしであった。剥離試験では、20N/25cm幅で剥離強度を確保でき、作業性は、良好の○であった。
塩化ビニル樹脂ペースト12に配合するサスペンション塩化ビニル樹脂原料を50質量部とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあり、通気度はなしであった。剥離試験では、25N/25cm幅で剥離強度を確保でき、作業性は、良好の○であった。
ガラス繊維不織布の坪量が40g/m2のものを用い、塩化ビニル樹脂ペースト12の目付け量を760g/m2とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあり、通気度はなしであった。剥離試験では、24N/25cm幅で剥離強度が確保でき、作業性は、良好の○であった。
ガラス繊維不織布の坪量が120g/m2のものを用い、塩化ビニル樹脂ペースト12の目付け量を760g/m2とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあり、通気度はなしであった。剥離試験では、20N/25cm幅で剥離強度が高く、作業性は、良好の○であった。
塩化ビニル樹脂ペースト12に配合するサスペンション塩化ビニル樹脂原料を配合せず、ペースト塩化ビニル樹脂原料を100質量部とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しはなかった。剥離試験では、18N/25cm幅で剥離強度を確保できなかった。なお、通気度はなしであり、作業性は、良好の○であった。すなわち、塩化ビニル樹脂ペースト12がペースト塩化ビニル樹脂原料のみからなると、ガラス繊維裏面への染み出しがなく、十分な剥離強度が得られない。
ガラス繊維不織布の坪量が150g/m2のものを用いた以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しはなかった。剥離試験では、13N/25cm幅で剥離強度を確保できなかった。なお、通気度はなしであり、作業性は、良好の○であった。すなわち、ガラス繊維不織布の坪量が大きすぎると、ガラス繊維間に隙間がなくなり、塩化ビニル樹脂ペーストが裏面まで充填されず、十分な剥離強度が得られない。
ガラス繊維不織布の坪量が35g/m2のものを用いた以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあり、通気度はなかった。剥離試験では、16N/25cm幅で剥離強度を確保できなかった。作業性は、ガラス繊維不織布の強度が不足し、悪い×であった。すなわち、ガラス繊維不織布の坪量が小さすぎると、塩化ビニル樹脂ペーストがガラス繊維の裏面まで染み出すが、ガラス繊維不織布の強度がなく、十分な剥離強度が得られない。
塩化ビニル樹脂ペースト12に配合するサスペンション塩化ビニル樹脂原料を配合せず、ペースト塩化ビニル樹脂原料を100質量部とし、塩化ビニル樹脂ペースト12の目付け量を760g/m2とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しはなかった。剥離試験では、10N/25cm幅で剥離強度を確保できなかった。なお、通気度はなしであり、作業性は、良好の○であった。すなわち、塩化ビニル樹脂ペースト12がペースト塩化ビニル樹脂原料のみからなると、ガラス繊維裏面への染み出しがなく、十分な剥離強度が得られない。
塩化ビニル樹脂ペースト12に配合するサスペンション塩化ビニル樹脂原料を5質量部とし、ペースト塩化ビニル樹脂原料を95質量部とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しはなかった。剥離試験では、16N/25cm幅で剥離強度を確保できなかった。なお、通気度はなしであり、作業性は、良好の○であった。すなわち、サスペンション塩化ビニル樹脂原料の配合量が少ないと、ガラス繊維裏面への染み出しがなく、十分な剥離強度が得られない。
塩化ビニル樹脂ペースト12に配合するサスペンション塩化ビニル樹脂原料を70質量部とし、ペースト塩化ビニル樹脂原料を30質量部とした以外は実施例1と同様にした。
塩化ビニル樹脂ペーストを得ようとしたがペースト状にならず、床材の製造ができなかった。
ガラス繊維不織布への塩化ビニル樹脂ペースト12の目付け量を200g/m2とした以外は実施例1と同様にして床材を製造した。
得られた床材10について、上記の観察および試験を行い評価し、その結果を表1に示した。
ガラス繊維層の裏面への塩化ビニル樹脂ペーストの染み出しがあったが、通気度が40cc/cm2であった。剥離試験では、19N/25cm幅で剥離強度が確保できなかった。作業性は、ガラス繊維が露出している部分があり、均一な接着性が得られず、悪い×であった。すなわち、塩化ビニル樹脂ペーストの目付量が少ないと、ガラス繊維不織布の裏面まで染み出すが、通気性があり、均一に接着できず、十分な剥離強度が得られない。
かかる構成によれば、繊維質基材層11に塩化ビニル樹脂が充填されているので、繊維質基材層11の通気性をなくすことで、繊維質基材層11の表面の中間層の塩化ビニル樹脂層12aと裏面の塩化ビニル樹脂層12bを介して塩化ビニル樹脂の表面層13および裏面層14を積層して形成することで、塩化ビニル樹脂同士の積層となり、密着性が良く、剥離強度を確保し、寸法安定性の良い床材を製造することができる。
かかる構成によれば、繊維質基材層11の内部に数平均粒子径が大きい第1の塩化ビニル樹脂原料と、数平均粒子径が小さい第2の塩化ビニル樹脂原料とを配合した塩化ビニル樹脂ペースト12を得ることができ、数平均粒子径が小さい原料だけの場合に生じる目詰まりを防止して繊維質基材層11の塗工面に中間層を形成しつつ、繊維質基材層11の内部まで塩化ビニル樹脂ペーストを塗布・充填することができる。
塩化ビニル樹脂ペースト12を繊維質基材層11の塗工面に中間層を形成しつつ、繊維質基材層11の内部まで塗布・充填し、繊維質基材層11の塗布面から反対面まで染み出させて塩化ビニル樹脂ペーストで覆い、繊維質基材層11の通気性をなくすまで充填することで、繊維質基材層11の表裏面の塩化ビニル樹脂層12a,12bを介して塩化ビニル樹脂の表面層13および裏面層14を積層して形成することで、塩化ビニル樹脂同士の積層となり、密着性が良く、剥離強度を確保し、寸法安定性の良い床材を製造することができる。
かかる構成によれば、塩化ビニル樹脂ペースト12の繊維質基材層11への目付量を500g/m2以上とすることで、繊維質基材層11の塗布面に中間層を形成しつつ、塗工面から内部および内部から反対面まで完全に塗布・充填することができ、表裏面に塩化ビニル樹脂層12a,12bを形成することができる。これにより、塩化ビニル樹脂の表面層13および裏面層14を積層して形成することで、塩化ビニル樹脂同士の積層となり、密着性が良く、剥離強度を確保し、寸法安定性の良い床材を製造することができる。
かかる構成によれば、表面層13として印刷層13a、透明塩化ビニル樹脂層13b、UV塗料層の少なくともいずれかの層を積層することで、密着性が良く、剥離強度を確保し、寸法安定性の良い床材を製造することができる。
11 繊維質基材層
12 塩化ビニル樹脂ペースト
12a 塩化ビニル樹脂層(中間層)
12b 塩化ビニル樹脂層
12c 小さな粒子
12d 大きな粒子
13 表面層
13a 印刷層
13b 透明塩化ビニル樹脂層
14 裏面層
14a 塩化ビニル樹脂層
20 コーター
21 圧着絞りロール
22 加熱装置
Claims (2)
- 懸濁重合により得られる数平均粒子径が80~120μmの第1の塩化ビニル樹脂原料20~50質量部と、乳化重合あるいはそれにかわる重合で得られる数平均粒子径が0.05~15μmの第2の塩化ビニル樹脂原料80~50質量部とからなる100質量部の塩化ビニル樹脂ペーストを得る第1の工程と、
ガラス繊維を含む坪量が50~120g/m2の繊維質基材層に、前記繊維質基材層の表面から反対側の表面まで染み出すように前記塩化ビニル樹脂ペースト760g/m 2 以上970g/m 2 以下を塗布・充填して前記繊維質基材層の表面に塩化ビニル樹脂の中間層と、前記繊維質基材層の反対側の表面に染み出す塩化ビニル樹脂層とを形成しつつ、前記繊維質基材層の通気性をなくす第2の工程と、
前記繊維質基材層に塗布・充填した前記塩化ビニル樹脂ペーストを固化・ゲル化させた後、前記中間層の表面および前記繊維質基材層の裏面に塩化ビニル樹脂の表面層および裏面層を積層する第3の工程と、を有する、
ことを特徴とする床材の製造方法。 - 前記第3の工程で、前記表面層は、印刷意匠層、透明塩化ビニル樹脂層、UV塗料層の少なくともいずれかの層が形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の床材の製造方法。
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