JP7344934B2 - メラミン化粧板 - Google Patents
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Description
図1に示すように、メラミン化粧板10は、フェノール樹脂含浸紙層20と、フェノール樹脂含浸紙層20の厚さ方向の片側に配置されたメラミン樹脂含浸紙層30とを有する。フェノール樹脂含浸紙層20は、4枚のフェノール樹脂含浸紙21が積層されて構成されている。メラミン樹脂含浸紙層30は、1枚のメラミン樹脂含浸紙によって構成されている。
<フェノール樹脂含浸紙21>
フェノール樹脂含浸紙21は、コア紙と、コア紙に含浸されたフェノール樹脂とを有している。コア紙としては特に制限されず、公知のクラフト紙を用いることができる。クラフト紙の坪量は、100g/m2以上300g/m2以下であることが好ましい。
フェノール樹脂含浸紙21におけるフェノール樹脂の含浸率は、40%以上60%以下であることが好ましい。なお、上記含浸率は、次式で求められる。
フェノール樹脂含浸紙層20を構成するフェノール樹脂含浸紙21の積層枚数は、4枚に限定されず、適宜積層枚数を選択することができる。
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙と、パターン紙に含浸されたメラミン樹脂、無機粒子、及びカチオン性界面活性剤とを有している。パターン紙としては特に制限されず、公知のチタン紙を用いることができる。チタン紙の坪量は、60g/m2以上160g/m2以下であることが好ましい。
メラミン樹脂含浸紙におけるメラミン樹脂の含浸率は、70%以上140%以下であることが好ましい。
無機粒子は、シリカ粒子、及びアルミナ粒子から選ばれる少なくとも一つである。
メラミン樹脂含浸紙が無機粒子を含有することにより、メラミン樹脂含浸紙の表面に分散した無機粒子に被膜としての機能を付与することができる。無機粒子が被膜として機能することにより、メラミン化粧板のメラミン樹脂含浸紙層内への水及びアルコールの浸透を抑制することができる。
公知のシリカゾルやアルミナゾルとしては、ナノサイズのシリカ粒子やアルミナ粒子を、水又はアルコールに分散させたコロイド溶液を挙げることができる。
メラミン樹脂含浸紙中の無機粒子の含有割合は、メラミン樹脂に対して固形分比で0.1質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
<カチオン性界面活性剤>
カチオン性界面活性剤は、特に制限されず、公知のカチオン性界面活性剤を用いることができる。
カチオン性界面活性剤は、抗ウイルス性を有することが知られている。そのため、カチオン性界面活性剤を含有することにより、メラミン樹脂含浸紙は、抗ウイルス作用を発現するようになる。
まず、メラミン樹脂を用意する。また、上記カチオン性界面活性剤の溶液と、上記無機粒子のコロイド溶液とを用意する。さらに、ローラに巻き取られた長尺状のパターン紙を用意する。
この混合液に、ローラから引き出されたパターン紙を連続的に浸漬して、パターン紙にメラミン樹脂とカチオン性界面活性剤と無機粒子を含浸する。含浸を行ったパターン紙は、連続して加熱し、乾燥させる。乾燥後に、所定の寸法となるように裁断することにより、メラミン樹脂含浸紙が得られる。
上記フェノール樹脂含浸紙21を4枚積層する。その上に、メラミン樹脂含浸紙を1枚積層して積層体を作製する。この積層体を、約140℃に加熱しながら約8МPaの圧力でプレス成型することにより、フェノール樹脂含浸紙層20と、メラミン樹脂含浸紙層30とを有するメラミン化粧板10が作製される。この方法で作製されたメラミン化粧板10を、高圧メラミン化粧板ともいう。
本実施形態の作用について記載する。
(1)メラミン樹脂含浸紙層30がカチオン性界面活性剤を含有することにより、カチオン性界面活性剤に起因する抗ウイルス性を発現させることができる。また、カチオン性界面活性剤は、メラミン樹脂含浸紙層30に含有されているため、カチオン性界面活性剤の脱離は抑制される。したがって、抗ウイルス性の低下を好適に抑制することができる。また、メラミン樹脂含浸紙層30が無機粒子を有することにより、メラミン樹脂含浸紙層30において、フェノール樹脂含浸紙層20側とは反対側の表面に位置する無機粒子を被膜として機能させることができる。無機粒子が被膜として機能することにより、メラミン樹脂含浸紙層30内への水及びアルコールの浸透を抑制することができる。カチオン性界面活性剤が、メラミン樹脂含浸紙層30内に浸透した水及びアルコールに溶解して流出することを抑制することができるため、抗ウイルス性の低下を好適に抑制することができる。したがって、メラミン樹脂含浸紙層30の抗ウイルス性に関する耐久性を向上させることができる。
(4)カチオン性界面活性剤のメラミン樹脂中の含有割合が、メラミン樹脂に対して固形分比で1質量%以上6質量%以下である。したがって、メラミン樹脂含浸紙の抗ウイルス性が好適なものとなる。また、メラミン樹脂含浸紙の外観を良好にすることができる。
・本実施形態のメラミン化粧板10は、フェノール樹脂含浸紙層20と、フェノール樹脂含浸紙層20の厚さ方向の片側に配置されたメラミン樹脂含浸紙層30とで構成されていたが、この態様に限定されない。フェノール樹脂含浸紙層20の厚さ方向の両側にメラミン樹脂含浸紙層30が配置されていてもよい。
(実施例1)
上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
(実施例2)
実施例1において、カチオン性界面活性剤として塩化ジアルキルジメチルアンモニウムを使用した以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
実施例1において、カチオン性界面活性剤として塩化ジデシルジメチルアンモニウムを使用した以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
実施例1において、カチオン性界面活性剤の含有割合を0.5質量%にした以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
実施例1において、カチオン性界面活性剤の含有割合を8質量%にした以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
実施例1において、シリカの含有割合を0.05質量%にした以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
実施例1において、シリカの含有割合を3質量%にした以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図1に示すメラミン化粧板10を作製した。
上記の製造手順に従って、図2に示すメラミン化粧板10を作製した。
カチオン性界面活性剤と無機粒子の原料は、実施例1と同じものを使用した。
実施例8において、カチオン性界面活性剤として実施例2と同じものを使用した以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図2に示すメラミン化粧板10を作製した。
上記の製造手順に従って、図3に示すメラミン化粧板10を作製した。OPP層52の厚さは25μmであった。カチオン性界面活性剤と無機粒子の原料は、実施例1と同じものを使用した。OPP層52におけるカチオン性界面活性剤とシリカの含有割合は、それぞれ、メラミン樹脂含浸オーバレイ紙層40のメラミン樹脂に対して固形分比で3質量%、0.5質量%となるように塗布した。
実施例10において、カチオン性界面活性剤として実施例2と同じものを使用した以外は同様に実施し、上記の製造手順に従って、図3に示すメラミン化粧板10を作製した。
カチオン性界面活性剤と無機粒子を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、メラミン化粧板を作製した。
無機粒子を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、メラミン化粧板を作製した。
無機粒子を含有させなかったこと以外は、実施例2と同様の方法により、メラミン化粧板を作製した。
無機粒子を含有させなかったこと以外は、実施例8と同様の方法により、メラミン化粧板を作製した。
実施例1~11、比較例1~4のメラミン化粧板について、化粧板の外観と、抗ウイルス性の即効性と耐久性を評価した。
メラミン化粧板10を目視により観察し、化粧板の外観を下記の評価基準で評価した。
・化粧板外観の評価基準
○(良好):仕上りにむらが無く、外観が良好である場合
△(可):若干仕上りにむらがある場合
<抗ウイルス性の即効性の評価>
抗ウイルス性の即効性の評価は、JISR1756(ファインセラミックス-可視光応答形光触媒材料の抗ウイルス試験方法)に準拠して行った。具体的には、まず、各例のメラミン化粧板10から、縦50mm×横50mmの試験片を採取した。試験片の上にバクテリオファージQβの試験液(107個/mL濃度)を滴下した後、フィルムで覆い、蛍光灯の光を照射して30分間放置した。放置後の試験液に、SCDLP培地を加えた。さらに、生理食塩水に入れた。その後、10倍希釈および100倍希釈した液に大腸菌と軟質寒天培地を加えて撹拌した。これをシャーレに入った寒天培地上に流し込み、37℃で18時間培養した。培養後、シャーレ内のプラーク数をカウントして、感染価を算出した。
・抗ウイルス性の即効性の評価基準
◎(優れる):比較例1の感染価と比較して、減少率が99%以上である場合
○(良好):比較例1の感染価と比較して、減少率が90%以上99%未満である場合
×(不可):比較例1の感染価と比較して、減少率が90%未満である場合
なお、比較例1の感染価を評価基準に使用しているため、比較例1の即効性の評価は×(不可)とした。
抗ウイルス性の耐久性の評価は、上記の抗ウイルス性の即効性の評価と同様に、各例のメラミン化粧板から、縦50mm×横50mmの試験片を採取した。この試験片に、機械を用いて85gの荷重をかけて36500回水拭きを行った。水拭きを行った試験片について、放置時間を8時間とした以外は、上記の抗ウイルス性の即効性の評価と同様の手順を行って、感染価を算出した。
・抗ウイルス性の耐久性の評価基準
◎(優れる):比較例1の感染価と比較して、減少率が99%以上である場合
○(良好):比較例1の感染価と比較して、減少率が90%以上99%未満である場合
×(不可):比較例1の感染価と比較して、減少率が90%未満である場合
なお、耐久性の評価においても、比較例1の感染価を評価基準に使用しているため、比較例1の耐久性の評価は×(不可)とした。
Claims (1)
- メラミン樹脂にシリカ粒子、及びアルミナ粒子から選ばれる少なくとも一つの無機粒子と、カチオン性界面活性剤とを含有した抗ウイルス層を有し、
前記無機粒子の粒子径が100nm以下であり、
前記無機粒子の前記メラミン樹脂中の含有割合が、前記メラミン樹脂に対して固形分比で0.1質量%以上2質量%以下であり、
前記カチオン性界面活性剤の前記メラミン樹脂中の含有割合が、前記メラミン樹脂に対して固形分比で1質量%以上6質量%以下であることを特徴とするメラミン化粧板。
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