JP7344909B2 - リチウム含有ガラスの逆イオン交換処理 - Google Patents

リチウム含有ガラスの逆イオン交換処理 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条の下、2018年5月31日出願の米国仮特許出願第62/678,569号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、リチウム含有ガラス系物品のイオン交換を逆向きに戻す処理に関する。
ガラス系物品は、電子装置で、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ビデオプレーヤー、情報端末(IT)装置、ラップトップコンピュータなどの携帯またはモバイル電子通信娯楽装置のカバープレートまたはウインドウとして、更に、他の用途で広く使われている。ガラス系物品が、より広範囲で用いられるようになったので、耐破壊性、特に、引張応力が加えられた時や、並びに/若しくは、堅いか、および/または、先鋭な面との接触により比較的深い傷を受けた時の耐破壊性が改良された強化ガラス系物品を開発することが、より重要になった。
化学強化処理は、引っ掻き傷などの表面欠陥、または、望ましくない応力プロファイルを有するガラス系物品を製造しうる。経済的理由から、そのような欠陥を有するガラス系物品を再生して、望ましい特徴を有する強化ガラス系物品の収量を増加させるのが望ましい。しかしながら、強化ガラス系物品の表面から材料を除去するには、材料の再イオン交換を行って、望ましい表面圧縮応力特性を実現する必要があるが、それは、望ましくないガラス系物品の寸法変化または反りを生じうる。更に、再イオン交換工程は、化学強化手順中に導入されたイオンの望ましくない内部拡散、および、ガラス系物品の応力緩和を生じうる。
したがって、望ましくない応力プロファイルまたは表面欠陥を有する化学強化ガラス系物品を、結果的に得られるガラス系物品が望ましい応力プロファイルおよび表面圧縮応力を示すように再生可能にすることによって、化学強化された物品の収量を増加させる処理が必要である。
態様(1)によれば、方法を提供する。方法は、イオン交換されたガラス系物品を、逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を生成する工程を含む。逆イオン交換媒体は、リチウム塩、および、非イオン交換可能な多価金属塩を含むものである。
態様(2)によれば、リチウム塩は、硝酸リチウムである、態様(1)に記載の方法を提供する。
態様(3)によれば、非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物の少なくとも1つを含むものである、態様(1)または(2)に記載の方法を提供する。
態様(4)によれば、非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、および、硝酸ストロンチウムの少なくとも1つを含むものである、態様(1)から(3)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(5)によれば、逆イオン交換媒体は、非イオン交換可能な多価金属塩を、5質量%以上の量で含むものである、態様(1)から(4)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(6)によれば、逆イオン交換媒体は、非イオン交換可能な多価金属塩を、50質量%以上の量で含むものである、態様(1)から(5)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(7)によれば、逆イオン交換媒体は、非イオン交換可能な多価金属塩を、80質量%以下の量で含むものである、態様(1)から(6)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(8)によれば、逆イオン交換媒体は、更に、ナトリウム塩を含むものである、態様(1)から(7)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(9)によれば、逆イオン交換媒体におけるリチウム塩のナトリウム塩に対する比は、イオン交換されたガラス系物品の中心での酸化リチウムの酸化ナトリウムに対する含有量の比の10%以内である、態様(8)に記載の方法を提供する。
態様(10)によれば、逆イオン交換媒体は、340℃以上から520℃以下の温度である、態様(1)から(9)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(11)によれば、逆イオン交換媒体は、1質量%以下の硝酸カリウムを含むものである、態様(1)から(10)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(12)によれば、逆イオン交換媒体は、硝酸カリウムを実質的に含まないものである、態様(1)から(11)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(13)によれば、逆イオン交換媒体での逆イオン交換は、1時間以上から48時間以下の期間に及ぶものである、態様(1)から(12)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(14)によれば、逆イオン交換されたガラス系物品は、逆イオン交換媒体での逆イオン交換後に、KOを、逆イオン交換されたガラス系物品の中心で組成物の1モル%以内の量で含むものである、態様(1)から(13)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(15)によれば、方法を提供する。方法は、イオン交換されたガラス系物品を、第1の逆イオン交換媒体で逆イオン交換する工程と、イオン交換されたガラス系物品を、第2の逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を生成する工程とを含み、第1の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩を含み、第2の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩およびリチウム塩を含むものである。
態様(16)によれば、第2の逆イオン交換媒体は、更に、非イオン交換可能な多価金属塩を含むものである、態様(15)に記載の方法を提供する。
態様(17)によれば、非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物の少なくとも1つを含むものである、態様(16)に記載の方法を提供する。
態様(18)によれば、非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、および、硝酸ストロンチウムの少なくとも1つを含むものである、態様(16)または(17)に記載の方法を提供する。
態様(19)によれば、第2の逆イオン交換媒体は、非イオン交換可能な多価金属塩を、5質量%以上の量で含むものである、態様(16)から(18)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(20)によれば、第1の逆イオン交換媒体中のナトリウム塩は、硝酸ナトリウムである、態様(15)から(19)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(21)によれば、第2の逆イオン交換媒体中のリチウム塩は、硝酸リチウムである、態様(15)から(20)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(22)によれば、第2の逆イオン交換媒体中のナトリウム塩は、硝酸ナトリウムである、態様(15)から(21)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(23)によれば、第1の逆イオン交換媒体は、400℃以上から420℃以下の温度である、態様(15)から(22)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(24)によれば、第1の逆イオン交換媒体での逆イオン交換は、5分以上から24時間以下の期間に及ぶものである、態様(15)から(23)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(25)によれば、第1の逆イオン交換媒体での逆イオン交換は、第1の逆イオン交換媒体および第2の逆イオン交換媒体での合計イオン交換時間の半分未満の期間に及ぶものである、態様(15)から(24)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(26)によれば、第2の逆イオン交換媒体での逆イオン交換は、380℃以上から400℃以下の温度で行われるものである、態様(15)から(25)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(27)によれば、第2の逆イオン交換媒体での逆イオン交換は、第1の逆イオン交換媒体および第2の逆イオン交換媒体での合計イオン交換時間の半分以上の期間に及ぶものである、態様(15)から(26)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(28)によれば、イオン交換されたガラス系物品は、第1の逆イオン交換媒体での逆イオン交換後に、KOを、イオン交換されたガラス系物品の中心で組成物の4モル%以内の量で含むものである、態様(15)から(27)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(29)によれば、逆イオン交換されたガラス系物品は、第2の逆イオン交換媒体での逆イオン交換後に、KOを、逆イオン交換されたガラス系物品の中心で組成物の1モル%以内の量で含むものである、態様(15)から(28)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(30)によれば、第1の逆イオン交換媒体は、更に、カリウムを含むものである、態様(15)から(29)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(31)によれば、第1の逆イオン交換媒体は、更に、6質量%以上の量のKNOを含むものである、態様(15)から(30)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(32)によれば、第1の逆イオン交換媒体は、第2の逆イオン交換媒体のNa/Li比より大きいNa/Li比を有するものである、態様(15)から(31)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(33)によれば、逆イオン交換されたガラス系物品の表面から、1μmから10μmを除去する工程を、更に含む、態様(1)から(32)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(34)によれば、逆イオン交換されたガラス系物品を、再イオン交換媒体で再イオン交換して、再イオン交換されたガラス系物品を形成する工程を、更に含む、態様(1)から(33)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(35)によれば、再イオン交換媒体は、15質量%以上から40質量%以下のNaNOと、60質量%以上から85質量%以下のKNOとを含むものである、態様(34)に記載の方法を提供する。
態様(36)によれば、再イオン交換媒体での再イオン交換は、30分以上から120分以下の期間に及ぶものである、態様(34)または(35)に記載の方法を提供する。
態様(37)によれば、再イオン交換媒体は、350℃以上から420℃の温度の温度である、態様(34)から(36)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(38)によれば、再イオン交換されたガラス系物品を、第2の再イオン交換媒体で再イオン交換する工程を、更に含む、態様(34)から(37)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(39)によれば、第2の再イオン交換媒体は、3質量%以上から15質量%以下のNaNOと、85質量%以上から97質量%以下のKNOとを含むものである、態様(38)に記載の方法を提供する。
態様(40)によれば、第2の再イオン交換媒体は、350℃以上から420℃以下の温度である、態様(38)または(39)に記載の方法を提供する。
態様(41)によれば、第2の再イオン交換媒体での再イオン交換は、10分以上から30分以下の期間に及ぶものである、態様(38)から(40)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(42)によれば、ガラス系物品をイオン交換媒体でイオン交換して、イオン交換されたガラス系物品を形成する工程を、更に含む、態様(1)から(41)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(43)によれば、イオン交換媒体は、15質量%以上から40質量%以下のNaNOと、60質量%以上から85質量%以下のKNOとを含むものである、態様(42)に記載の方法を提供する。
態様(44)によれば、イオン交換媒体でのイオン交換は、30分以上から120分以下の期間に及ぶものである、態様(42)または(43)に記載の方法を提供する。
態様(45)によれば、イオン交換媒体は、350℃以上から420℃以下の温度である、態様(42)から(44)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(46)によれば、イオン交換されたガラス系物品を、第2のイオン交換媒体でイオン交換する工程を、更に含む、態様(42)から(45)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(47)によれば、第2のイオン交換媒体は、3質量%以上から15質量%以下のNaNOと、85質量%以上から97質量%以下のKNOとを含むものである、態様(46)に記載の方法を提供する。
態様(48)によれば、第2のイオン交換媒体は、350℃以上から420℃以下の温度である、態様(46)または(47)に記載の方法を提供する。
態様(49)によれば、第2のイオン交換媒体でのイオン交換は、10分以上から30分以下の期間に及ぶものである、態様(46)から(48)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(50)によれば、イオン交換されたガラス系物品は、リチウムを含むものである、態様(1)から(49)のいずれか1つに記載の方法を提供する。
態様(51)によれば、態様(1)から(50)のいずれか1つに記載の方法によって製造された逆イオン交換されたガラス系物品を提供する。
これらの、および、他の態様、利点、および、主な特徴は、以下の詳細な記載、添付の図面、および、添付の請求項から明らかになるだろう。
1つ以上の実施形態による強化されたアルカリアルミノケイ酸ガラス系物品を概略的に示す断面図である。 イオン交換されたガラス系物品の製造処理を示すフローチャートである。 逆イオン交換処理を含む再生処理のフローチャートである。 本明細書に記載のアルカリアルミノケイ酸ガラス系物品の1つ以上の実施形態を含む消費者用電子製品を概略的に示す前から見た平面図である。 図4の消費者用電子製品を概略的に示す斜視図である。 パーセントで表した質量増加を、実施形態および比較例によるイオン交換処理の関数として示すプロットである。 NaO濃度を、イオン交換後、標準再生処理後、および、実施形態によるCa(NOを用いた再生処理後の深さの関数として示すプロットである。 LiO濃度を、イオン交換後、標準再生処理後、および、実施形態によるCa(NOを用いた再生処理後の深さの関数として示すプロットである。 O濃度を、イオン交換後、標準再生処理後、および、実施形態によるCa(NOを用いた再生処理後の深さの関数として示すプロットである。
以下の記載において、類似の参照符号は、いくつかの図面を通して、類似または対応する部分を示している。更に、別段の記載がない限りは、「上部」、「底部」、「外側に向かって」、「内側に向かって」などの用語は、便宜的なものであり、限定する用語として解釈されるべきではないと理解されるものである。別段の記載がない限りは、値の範囲を記載する場合には、その範囲の上限および下限の両方を含み、更に、それらの間の任意の範囲も含む。本明細書で用いるように、原文の英語の不定冠詞および対応する定冠詞は、別段の記載がない限りは、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味する。本明細書および図面で開示した様々な特徴を、任意および全ての組合せで用いうることも分かるだろう。
本明細書で用いるように、「ガラス系物品」という用語は、最も広義で用いており、全体的に、または、部分的にガラスで製造された任意の物体を含み、ガラスセラミックを含む。別段の記載がない限りは、本明細書に記載の全ての組成物は、モルパーセント(モル%)で表され、含有量は、酸化物を基準にして示している。
別段の記載がない限りは、全ての温度は、摂氏(℃)で表している。本明細書で用いるように、「液相線粘度」は、溶融ガラスの液相線温度での粘度を称し、液相線温度は、溶融ガラスが融点から冷却されて結晶が最初に現れる温度、または、温度が室温から上昇して正に最後の結晶が溶融して消える温度のことを称する。
本明細書において、「実質的」および「約」という用語を用いて、任意の量的比較、値、測定値、または、他の表現に起因しうる内在する程度の不確実さを表しうる。本明細書において、これらの用語を用いて、本主題の基本的機能を変化させることなく、量的表現が、記載したものから異なりうる程度も表しうる。例えば、「KOを実質的に含まない」ガラスは、KOがガラスに積極的に加えられたり、バッチ材料に加えられたりしないが、不純物として、非常に少量存在してもよいものである。本明細書で、値に「約」を付けて開示する際は、丁度その値も開示することを意図する。
(表面CSを含む)圧縮応力は、折原製作所(日本)が製造するFSM-6000などの装置を用いた市販の表面応力計で測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。次に、SOCは、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress‐Optical Coefficient」という名称のASTM規格C770-16に記載の手順C(ガラスディスク法)により測定され、その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。最大引張応力または中心張力(CT)値は、従来から知られた散乱光偏光器(SCALP)技術を用いて測定される。
本明細書で用いるように、圧縮深さ(DOC)は、本明細書に記載の化学強化されたアルカリアルミノケイ酸ガラス系物品の応力が、圧縮状態から引張状態に変化する深さを意味する。DOCは、イオン交換処理に応じて、FSMまたは散乱光偏光器(SCALP)によって測定されうる。ガラス系物品の応力が、カリウムイオンをガラス系物品に取り込む交換によって生じた場合には、FSMを用いてDOCを測定する。応力が、ナトリウムイオンをガラス系物品に取り込む交換によって生じた場合には、SCALPを用いてDOCを測定する。ガラス系物品の応力が、カリウムイオンとナトリウムイオンの両方をガラスに取り込む交換によって生じた場合には、ナトリウムの交換深さがDOCを示し、カリウムイオンの交換深さが(圧縮応力から引張応力への変化ではなく)圧縮応力の大きさ変化を示すと考えられるので、SCALPを用いてDOCを測定する。そのようなガラス系物品のカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定される。
概して図面について、特定の実施形態を記載するために図示したものであり、本開示も、添付の請求項も限定することを意図しないことが分かるだろう。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、図面のある特徴および図は、縮尺を強調したり、概略的に示したりして、明確で簡潔に示している。
本明細書は、ガラス系物品の逆イオン交換方法を記載する。例えば、逆イオン交換方法を、製造欠陥を示す化学強化ガラス系物品の再生処理の一部として用いうる。欠陥は、表面欠陥、または、望ましくない応力プロファイルを含みうる。表面欠陥は、製造処理中の取扱いにより生じ、引っ掻き傷、へこみ、および、窪みを含みうる。望ましくない応力プロファイルは、仕様外のイオン交換条件から生じうる。
表面欠陥は、化学強化ガラス系物品から、表面から材料を研磨またはエッチングにより取り除くことによって除去されうる。材料をガラス系物品の表面から除去することで、ガラス系物品の圧縮応力が加わった部分も除去される。したがって、材料を表面から除去した後に、ガラス系物品に追加のイオン交換を行って、望ましい応力プロファイルを実現しなくてはならない。追加のイオン交換は、ガラス系物品の強度および寸法安定性に負の影響を与えうる。例えば、追加のイオン交換は、ガラス系物品において内部拡散および応力緩和を生じ、更に、部分的成長を生じて、ガラス系物品を望ましい寸法許容度を超えたものにさせうる。
本明細書に記載の方法は、化学強化されたガラス系物品を、化学強化イオン交換前のガラス系物品の組成物に、ほぼ戻す役割を果たす逆イオン交換工程を含む。実施形態において、逆イオン交換工程は、リチウム塩および非イオン交換可能な多価金属塩を含む逆イオン交換媒体を用いる。いくつかの実施形態において、逆イオン交換工程は、2つの工程からなる処理を用いうるもので、第1の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩を含み、第2の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩およびリチウム塩を含む。逆イオン交換後に、ガラス系物品を再イオン交換する前に、ガラス系物品を任意で処理して材料を表面から除去し、望ましい応力プロファイルを生成しうる。再生されたガラス系物品は、KO濃度が局所KO濃度最大値まで増加する部分を有するKO濃度プロファイルに対応する埋め込まれた高屈折率ピークを含み、再生されたガラス系物品を非再生ガラス系物品と識別可能にしうる。
化学強化ガラス系物品を製造し、部分が再生を必要とするかを決定する例示的な処理を、図2に示している。図2に示したように、ガラス系物品製造処理は、溶融処理で形成されたガラス系シートを、スコア切断する工程と、縁部を機械加工する工程と、および/または、結果的に得られた部分に孔を形成し、任意で、機械加工した部分を3次元形成し、次に、任意で、部分の縁部および表面を研磨する工程を含みうる。次に、部分は、イオン交換処理で化学強化されて、イオン交換されたガラス系物品が形成される。次に、イオン交換されたガラス系物品は、ガラス系物品を検査して製造基準を満たすかを特定する前に、任意で研磨されて、1μm未満の材料がイオン交換されたガラス系物品の各面から除去される。次に、望ましい基準を満たさない部分は再生処理されて、製造処理の収量を高めるようにする。部分は、表面欠陥を含むか、または、望ましくない応力プロファイルを有するなど様々な理由から製造基準を満たさないことがありうる。表面欠陥は、製造処理の様々な段階での取扱いの結果、形成されうる。検査後に、再生用として指定されなかった部分には、指紋防止膜、および/または、装飾を付与しうる。次に、部分を再検査して、製造基準を満たすかを特定し、製造基準を満たさない部分は、再生用として処理される。
図3は、例示的な再生処理方法を示す。いくつかの実施形態において、図3に示した1つ以上の工程は行われない。いくつかの実施形態において、図3に示されない追加の処理を、再生処理方法の一部として行いうる。再生処理方法は、イオン交換されたガラス系物品を、リチウム塩を含む逆イオン交換浴で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を製造する工程を含む。イオン交換された物品が装飾を含む場合、逆イオン交換の前に、装飾を除去しうる。いくつかの実施形態において、イオン交換されたガラス系物品に逆イオン交換を行う前に、指紋防止(AF)膜を除去する必要はない。逆イオン交換されたガラス系物品に、任意で、機械的な研磨、または、化学的エッチングを行って、逆イオン交換されたガラス系物品の表面から材料を除去しうる。逆イオン交換されたガラス系物品の表面から材料を除去する工程は、表面欠陥も除去しうる。次に、逆イオン交換されたガラス系物品を、再イオン交換浴で再イオン交換して、再イオン交換されたガラス系物品を形成する。次に、再イオン交換されたガラス系物品を検査して、部分が望ましい製造基準を満たすかを特定する。次に、最終検査を行って部分が望ましい製造基準を満たすかを特定する前に、指紋防止膜、および/または、装飾を、再イオン交換されたガラス系物品に加えうる。
逆イオン交換処理は、イオン交換されたガラス系物品からイオンを放出して、ガラス系物品を、ほぼイオン交換前の状態に戻すようにする。逆イオン交換媒体の組成は、イオン交換処理中にガラス系物品に取り込まれたイオンが放出されるように選択される。いくつかの実施形態において、例えば、限定するものではないが、イオン交換されていないガラス系物品が、LiO、および、NaOを含む場合、逆イオン交換媒体は、LiNO、および、NaNOを含み、LiNOとNaNOの相対量は、イオン交換されていないガラス系物品の逆イオン交換媒体での平衡質量増加が、ゼロ近くか、正になるように選択されうる。逆イオン交換媒体のLiNOの含有量が高すぎると、過剰なLiOが、逆イオン交換されたガラス系物品の表面に蓄積して、ガラス系物品に表面亀裂を生じうる表面張力を生じうる。
実施形態において、逆イオン交換は、単一工程で行われる。単一工程の逆イオン交換で用いられる逆イオン交換媒体は、リチウム塩、および、非イオン交換可能な多価金属塩を含みうる。逆イオン交換媒体は、溶融塩浴でありうるもので、以下、簡略にするために、逆イオン交換浴と称するものとする。本明細書で用いるように、「非イオン交換可能な多価金属塩」は、イオン交換浴の作動条件、時間、および、温度でイオン交換が実質的に行われない多価金属塩のことを称する。実質的にイオン交換が行われないことは、浴に曝された後に、1μm未満の交換深さであることを特徴とする。換言すれば、1μmより深い深さでの多価金属の濃度は、イオン交換前にガラス系物品を形成するのに用いられた組成物の多価金属濃度と同じである。非イオン交換可能な多価金属塩を逆イオン交換浴に含むことで、浴のリチウム成分の他の塩に対する比を望ましいレベルに維持しながら、浴のリチウム塩の総量の削減が可能になる。例えば、逆イオン交換浴のNaNOのLiNOに対する望ましい比が4:1の場合、50質量%の非イオン交換可能な多価金属塩を浴に含むことで、望ましい比を維持しながら、NaNOとLiNOの合計含有量を、半分に削減することが可能になる。
浴のNaNOとLiNOの量を削減することで、比較的高額のリチウム塩の必要量を削減することによって、逆イオン交換処理の費用を削減する。逆イオン交換浴のリチウム塩の濃度を低下させることで、同じ量のドラッグアウトで浴から取り除かれるリチウム塩の量が削減されるので、ガラス系物品を逆イオン交換浴から取り除く際のドラッグアウトによるリチウムの損失も削減する。ドラッグアウトとは、ガラス物品を溶融塩浴から取り除く時に、ガラス系物品、および、ガラス系物品を保持する固定部に付着する溶融塩のことを称する。更に、逆イオン交換浴のLiNOの量を削減することで、硝酸リチウムが逆イオン交換浴の温度で分解されることによる酸化窒素の放出を削減し、安全性を高めうる。
実施形態において、逆イオン交換浴に含まれる非イオン交換可能な多価金属塩は、浴の作動温度で実質的にイオン交換されず、溶解される任意の多価金属塩でありうる。例示的な非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸、硫酸、および、塩化物から選択されうる。非イオン交換可能な多価金属塩の金属は、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、スズ、および、銅から選択されうる。実施形態において、非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、および、硝酸ストロンチウムの少なくとも1つを含みうる。
逆イオン交換浴は、任意の適切な量の非イオン交換可能な多価金属塩を含みうる。実施形態において、逆イオン交換浴は、非イオン交換可能な多価金属塩を、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、または、75質量%以上など、5質量%以上の量で含みうる。実施形態において、逆イオン交換浴は、非イオン交換可能な多価金属塩を、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、または、10質量%以下など、80質量%以下の量で含みうる。実施形態において、逆イオン交換浴は、非イオン交換可能な多価金属塩を、10質量%以上から75質量%以下、15質量%以上から70質量%以下、20質量%以上から65質量%以下、25質量%以上から60質量%以下、30質量%以上から55質量%以下、35質量%以上から50質量%以下、または、40質量%以上から45質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、5質量%以上から80質量%以下の範囲で含みうる。
実施形態において、逆イオン交換浴のリチウム塩は、硝酸リチウム(LiNO)でありうる。実施形態において、逆イオン交換浴は、望ましい程度の逆イオン交換を生じるのに十分な任意の適切な量のリチウム塩を含みうる。実施形態において、逆イオン交換浴は、LiNOを、3質量%以上から33質量%以下、5質量%以上から30質量%以下、10質量%以上から25質量%以下、または、15質量%以上から20質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、3質量%以上から40質量%以下の範囲で含みうる。
実施形態において、逆イオン交換浴は、更に、硝酸ナトリウム(NaNO)などのナトリウム塩を含みうる。逆イオン交換浴は、NaNOを、35質量%以上から90質量%以下、40質量%以上から85質量%以下、45質量%以上から80質量%以下、50質量%以上から75質量%以下、55質量%以上から70質量%以下、または、60質量%以上から65質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、30質量%以上から95質量%以下の範囲で含みうる。
いくつかの実施形態において、逆イオン交換浴は、硝酸カリウム(KNO)を含みうる。逆イオン交換浴のKNOは、同じ逆イオン交換浴を多数の逆イオン交換サイクルに用いて、ガラス系物品から放出されたカリウムが逆イオン浴を汚染したことにより生じたものでありうる。逆イオン交換浴は、1質量%以下のKNOなど、5質量%以下のKNOを含みうる。逆イオン交換浴は、KNOを実質的に含まないか、または、含まなくてもよい。
逆イオン交換浴の組成は、イオン交換前のガラス系物品の組成に基づいて決定されうる。適切な逆イオン交換浴の組成は、ガラス系物品の望ましいLiOおよびNaOの含有量に基づいて決定されうる。例えば、リチウム塩の量は、逆イオン交換浴のリチウム塩のナトリウム塩の含有量に対する比が、イオン交換前のガラス系組成物のLiOのNaOに対する比と実質的に同様になるように選択されうる。実施形態において、逆イオン交換浴のリチウム塩のナトリウム塩に対する比は、イオン交換前のガラス系組成物のLiOのNaOに対する比の9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、または、1%以内など、10%以内でありうる。いくつかの実施形態において、逆イオン交換浴のリチウム塩のナトリウム塩に対する比は、イオン交換前のガラス系組成物のLiOのNaOに対する比に等しい。多くの化学強化処理において、ガラス系物品の中心は有意にイオン交換されないので、化学強化ガラス系物品の中心の組成物は、イオン交換前のガラス系物品の組成物の近似物として用いうる。
単一工程の逆イオン交換処理は、イオン交換されたガラス系物品を逆イオン交換浴で任意の適切な時間、逆イオン交換する処理を含みうる。実施形態において、逆イオン交換は、2時間以上から24時間以下、3時間以上から16時間以下、4時間以上から14時間以下、6時間以上から12時間以下、8時間以上から10時間以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、1時間以上から48時間以下の範囲の時間に及びうる。
逆イオン交換浴は、イオン交換されたガラス系物品の逆イオン交換が単一工程で行われる時に、任意の適切な温度でありうる。実施形態において、逆イオン交換浴は、360℃以上から500℃以下、380℃以上から480℃以下、400℃以上から460℃以下、または、420℃以上から440℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、340℃以上から520℃以下の範囲の温度でありうる。
実施形態において、単一工程の逆イオン交換処理によって製造された逆イオン交換されたガラス系物品は、逆イオン交換されたガラス系物品の中心で、組成物の1モル%以下のKO含有量を有しうる。このKO含有量は、逆イオン交換されたガラス系物品が、イオン交換処理前のガラス系物品の組成物に実質的に戻ったことを示している。
実施形態において、逆イオン交換は、2つの工程の処理で行われる。2つの工程の処理は、イオン交換されたガラス系物品を第1の逆イオン交換媒体で逆イオン交換する工程と、次に、イオン交換されたガラス系物品を第2の逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を製造する工程とを含む。
第1の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩を含む。第1の逆イオン交換媒体は、溶融塩浴であり、以下、簡略にするために、第1の逆イオン交換浴と称するものとする。実施形態において、ナトリウム塩は、硝酸ナトリウムでありうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴は、更に、非イオン交換可能な多価金属塩を含む。非イオン交換可能な多価金属塩は、単一工程の逆イオン交換処理について記載した任意の量の任意のものでありうる。
第1の逆イオン交換浴は、更に、他のイオン交換塩を含みうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴は、カリウム塩の形態などで、カリウムを含みうる。第1の逆イオン交換浴は、KNOを、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、または、45質量%以上など、6質量%以上の量で含みうる。第1の逆イオン交換浴は、KNOを、7質量%以上から45質量%以下、8質量%以上から40質量%以下、9質量%以上から35質量%以下、10質量%以上から30質量%以下、15質量%以上から25質量%以下、または、20質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、6質量%以上から50質量%以下の量で含みうる。カリウムを含む第1の逆イオン交換浴を用いることで、第1の逆イオン交換について、使用中の汚染を起因とするような、より高い量のカリウムを含む浴を連続して使用することが可能になる。例えば、第2の逆イオン交換浴として用いられたが、カリウムの汚染レベルが望ましい程度の逆イオン交換を実現するには、もう適さないレベルに達した浴を、第1の逆イオン交換浴として用いうる。そのようなカリウムで汚染された浴の再利用は、逆イオン交換処理の費用および廃棄物を削減する。
第1の逆イオン交換浴は、更に、リチウム塩を含みうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴は、第2の逆イオン交換浴のNa/Li比より大きいNa/Li比を有する。
第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、任意の適切な時間行われうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、10分以上から20時間以下、30分以上から18時間以下、1時間以上から16時間以下、2時間以上から14時間以下、4時間以上から12時間以下、6時間以上から10時間以下、または、8時間以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、5分以上から24時間以下の範囲の時間行われうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、第1の逆イオン交換浴および第2の逆イオン交換浴での合計逆イオン交換時間の半分未満に及ぶ時間行われうる。
第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、任意の適切な温度で行われうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、405℃以上から415℃以下、または、410℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、400℃以上から420℃以下の範囲の温度で行われうる。実施形態において、第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、第2の逆イオン交換浴で逆イオン交換が行われる温度より高い温度で行われうる。
第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換の結果、イオン交換されたガラス系物品は、KOを、イオン交換前のガラス系物品の組成物の3モル%以内、または、2モル%以内など、4モル%以内の量で含みうる。ガラス系物品の組成物は、第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換後のイオン交換されたガラス系物品の中心での組成物によって、近似されうる。更に、第1の逆イオン交換浴での逆イオン交換の結果、イオン交換中にガラス系物品に加えられたカリウムが、60%以上から80%以下の量で削減されうる。カリウムの実質的な部分を、第1のイオン交換浴でイオン交換されたガラス系物品から除去することで、第2の逆イオン交換浴がカリウムによって汚染される速度を低下させて、第2の逆イオン交換浴の使用寿命を長くする。
第2の逆イオン交換浴は、ナトリウム塩、および、リチウム塩を含む。第2の逆イオン交換媒体は、溶融塩浴でありうるもので、以下、簡略にするために、第2の逆イオン交換浴と称するものとする。実施形態において、ナトリウム塩は、硝酸ナトリウムでありうる。実施形態において、リチウム塩は、硝酸リチウムでありうる。実施形態において、第2の逆イオン交換浴は、更に、非イオン交換可能な多価金属塩を含む。非イオン交換可能な多価金属塩は、単一工程の逆イオン交換処理について記載した任意の量の任意のものでありうる。
第2の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、任意の適切な時間行われうる。実施形態において、第2の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、第1の逆イオン交換浴および第2の逆イオン交換浴での合計逆イオン交換時間の半分以上に及ぶ時間行われうる。
第2の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、任意の適切な温度で行われうる。実施形態において、第2の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、385℃以上から395℃以下、または、390℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、380℃以上から400℃以下の範囲の温度で行われうる。実施形態において、第2の逆イオン交換浴での逆イオン交換は、第1の逆イオン交換浴で逆イオン交換が行われる温度より低い温度で行われうる。第2の逆イオン交換浴の温度を低くすることで、硝酸リチウムが第2の逆イオン交換浴の温度で分解されることによる酸化窒素の放出を削減し、安全性を高めうる。
実施形態において、第2の逆イオン交換浴での逆イオン交換によって製造された逆イオン交換されたガラス系物品は、KOを、逆イオン交換されたガラス系物品の中心で、組成物の1モル%以内の含有量で含みうる。このKOの含有量は、逆イオン交換されたガラス系物品が、イオン交換処理前のガラス系物品の組成物に実質的に戻ったことを示している。
本明細書に記載の任意の逆イオン交換処理によって製造された逆イオン交換されたガラス系物品は、次に、機械的に研磨されるか、または、化学的にエッチングされて、ガラス系物品の表面から材料が取り除かれうる。この材料の除去は、任意の表面欠陥を、逆イオン交換されたガラス系物品から除去する役割を果たす。実施形態において、逆イオン交換されたガラス系物品から除去された材料の量は、3μm以上から10μm以下、または、5μm以上から10μm以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、1μm以上から10μm以下の範囲でありうる。実施形態において、材料除去処理は、酸によるエッチング処理などの化学的エッチング処理でありうる。酸によるエッチングは、フッ化水素酸によるエッチング処理でありうる。
本明細書に記載の任意の逆イオン交換処理によって製造された逆イオン交換されたガラス系物品は、次に、再イオン交換媒体で再イオン交換されて、再イオン交換されたガラス系物品が製造されうる。再イオン交換媒体は、溶融塩浴でありうるもので、以下、簡略にするために、再イオン交換浴と称するものとする。再イオン交換浴は、イオン交換されたガラス系物品を製造するのに用いたイオン交換浴と同じでありうる。同様に、再イオン交換されたガラス系物品に、第2の再イオン交換媒体で、第2の再イオン交換処理が行われうる。第2の再イオン交換媒体は、溶融塩浴でありうるもので、簡略にするために、第2の再イオン交換浴と称するものとする。第2の再イオン交換浴は、イオン交換されたガラス系物品を製造するのに用いられる第2のイオン交換浴と同じでありうる。
第1の再イオン交換浴は、任意の適切な塩混合物を含みうる。例えば、第1の再イオン交換浴は、NaNO、および、KNOの混合物を含みうる。実施形態において、第1の再イオン交換浴は、NaNOを、20質量%以上から35質量%以下、または、25質量%以上から30質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、15質量%以上から40質量%以下の範囲で含みうる。実施形態において、第1の再イオン交換浴は、KNOを、65質量%以上から80質量%以下、または、70質量%以上から75質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、60質量%以上から85質量%以下の範囲で含みうる。
第1の再イオン交換浴での再イオン交換は、任意の適切な時間行われうる。実施形態において、第1の再イオン交換浴での再イオン交換は、40分以上から110分以下、50分以上から100分以下、60分以上から90分以下、または、70分以上から80分以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、30分以上から120分以下の範囲の時間行われうる。
第1の再イオン交換浴での再イオン交換は、任意の適切な温度で行われうる。実施形態において、第1の再イオン交換浴での再イオン交換は、360℃以上から410℃以下、370℃以上から400℃以下、または、380℃以上から390℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、350℃以上から420℃以下の範囲の温度で行われる。
第2の再イオン交換浴は、任意の適切な塩混合物を含みうる。例えば、第2の再イオン交換浴は、NaNO、および、KNOの混合物を含みうる。実施形態において、第2の再イオン交換浴は、NaNOを、4質量%以上から10質量%以下、または、5質量%以上から9質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、3質量%以上から15質量%以下の範囲で含みうる。実施形態において、第2の再イオン交換浴は、KNOを、90質量%以上から95質量%以下、または、91質量%以上から94質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、85質量%以上から97質量%以下の範囲で含みうる。
第2の再イオン交換浴での再イオン交換は、任意の適切な時間行われうる。実施形態において、第2の再イオン交換浴での再イオン交換は、12分以上から28分以下、14分以上から26分以下、16分以上から24分以下、18分以上から22分以下、または、20分以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、10分以上から30分以下の範囲の時間行われる。
第2の再イオン交換浴での再イオン交換は、任意の適切な温度で行われうる。実施形態において、第2の再イオン交換浴での再イオン交換は、360℃以上から410℃以下、370℃以上から400℃以下、または、380℃以上から390℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、350℃以上から420℃以下の範囲の温度で行われる。
1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、均一な微細構造を有する(つまり、ガラスは、相分離していない)。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、非晶質である。本明細書で用いるように、ガラス系物品を記載するのに「非晶質」という用語を用いた場合には、晶子も結晶相も実質的に含まないこと(つまり、1体積%未満の晶子または結晶相を含むこと)を意味する。いくつかの実施形態において、ガラス系物品は、ガラスセラミックを含みうる(つまり、1つ以上の結晶相を含みうる)。
本明細書に記載のガラス系物品は、溶融成形自在なガラス組成物から形成されうる。1つ以上の実施形態において、溶融成形自在なガラス組成物は、約200キロポアズ(kP)より高い液相線粘度を有しうるもので、いくつかの実施形態において、少なくとも約600kPの液相線粘度を有しうる。いくつかの実施形態において、これらのガラス系物品および組成物は、ジルコンアイソパイプと適合しうるものである。ガラスがジルコンアイソパイプを破損させて、ジルコニア欠陥を生じる粘度は、35kP未満である。本明細書に記載の組成範囲内で選択されたガラス組成物は、35kPより高いジルコン破損粘度を有しうる。そのような場合には、アルミナアイソパイプを用いて、これらのガラス系物品を溶融成形しうる。
本明細書に記載のガラス系物品は、任意の適切なガラス組成物から成形されうる。実施形態において、ガラス系物品は、アルカリアルミノケイ酸ガラス組成物から形成されうる。実施形態において、ガラス系物品は、58モル%以上のSiO、0.5モル%以上から3モル%以下のP、11モル%以上のAl、NaO、および、LiOを含むか、または、それらから実質的になる。実施形態において、ガラス系物品は、58モル%以上から65モル%以下のSiO、11モル%以上から20モル%以下のAl、0.5モル%以上から3モル%のP、6モル%以上から18モル%のNaO、0.1モル%以上から10モル%のLiO、0モル%以上から6モル%以下のMgO、および、0モル%以上から6モル%以下のZnOを含むか、それらから、実質的になる。実施形態において、ガラスは、63モル%以上から65モル%以下のSiO、11モル%以上から19モル%以下のAl、1モル%以上から3モル%以下のP、9モル%以上から20モル%以下のNaO、2モル%以上から10モル%以下のLiO、0モル%以上から6モル%以下のMgO、および、0モル%以上から6モル%以下のZnOを含むか、それらから、実質的になる。
1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、1.8以下、1.6以下、1.5以下、または、1.4以下など、2以下のRO(モル%)/Al(モル%)の比を有する組成物から形成されうる。本明細書で用いるように、RO=LiO+NaO+KOである。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、SiO、および、Pの合計量が、65モル%より多く、67モル%未満(つまり、65モル%<SiO(モル%)+P(モル%)<67モル%)であるガラス組成物から形成されうる。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、RO(モル%)+R’O(モル%)-Al(モル%)+P(モル%)が-3モル%以上(つまり、RO(モル%)+R’O(モル%)-Al(モル%)+P(モル%)>-3モル%)である組成物から形成されうる。本明細書で用いるように、R’Oは、組成物に存在する2価の金属酸化物の合計量である。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、RO(モル%)+R’O(モル%)-Al(モル%)+P(モル%)が、-2モル%以上、-1.5モル%以上、-1モル%以上、-0.5モル%以上、0モル%以上、0.5モル%以上、1モル%以上、1.5モル%以上、2モル%以上、2.5モル%以上、3モル%以上、3.5モル%以上、4モル%以上、4.5モル%以上、5モル%以上、5.5モル%以上、6モル%以上、6.5モル%以上、7モル%以上、7.5モル%以上、8モル%以上、8.5モル%以上、9モル%以上、または、9.5モル%以上など、-2.5モル%以上である組成物から形成されうる。
1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、少なくとも0.5モル%のP、NaO、および、LiOを含む組成物から形成されうる。いくつかの実施形態において、ガラス系物品を形成するのに用いたガラス組成物におけるLiO(モル%)/NaO(モル%)は、1未満でありうる。更に、これらのガラスは、B、および、KOを含まないものでありうる。本明細書に記載のガラス系物品は、更に、ZnO、MgO、および、SnOを含みうる。
本明細書に記載のアルカリアルミノケイ酸ガラス系物品の基部(または、強化されていない部分)および強化された(つまり、イオン交換で化学強化された)部分の各酸化物成分は、ガラスの製造性および物性について機能を果たすか、および/または、効果を有する。例えば、シリカ(SiO)、主ガラス形成酸化物であり、溶融ガラスのネットワークバックボーンを形成する。純粋なSiOは、低いCTEを有し、アルカリ金属を含まない。しかしながら、純粋なSiOは、非常に融点が高いので、フュージョンドロー処理に適合しない。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、SiOを、59モル%以上から64モル%以下、60モル%以上から63モル%、61モル%以上から62モル%以下、63.2モル%以上から65モル%以下、63.3モル%以上から65モル%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、58モル%以上から65モル%以下の範囲の量で含む組成物から形成されうる。
シリカに追加で、本明細書に記載のガラス系物品は、ネットワーク形成体であるAlを含む組成物から形成され、安定したガラス形成、低いCTE、低いヤング率、および、低い剪断弾性率を実現し、溶融処理および形成処理を容易にしうる。SiOのように、Alは、ガラスネットワークの剛性に貢献する。アルミナは、ガラスに4配位または5配位のいずれかで存在しうるもので、ガラスネットワークの充填密度を高め、したがって、化学強化により生じる圧縮応力を高める。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、Alを、12モル%以上から19モル%以下、13モル%以上から18モル%以下、14モル%以上から17モル%以下、または、15モル%以上から16モル%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、11モル%以上から20モル%以下の範囲の量で含む組成物から形成されうる。
五酸化リン(P)は、本明細書に記載のガラス系物品を形成するのに用いる組成物に組み込みうるネットワーク形成体である。Pは、ガラスネットワークにおいて擬四面体構造をとる。つまり、4つの酸素原子で配位されるが、そのうちの3つの原子のみが、残りのネットワークに接続される。第4の酸素原子は、リンの陽イオンと二重結合する末端酸素である。Pをガラスネットワークに取り込むことは、ヤング率および剪断弾性率を低下させるに非常に効果的である。Pをガラスネットワークに取り込むことは、更に、高温でのCTEを低下させ、イオン交換相互拡散速度を高めて、ガラスのジルコン耐火材料との適合性を改良する。1つ以上の実施形態において、ガラス系物品は、Pを、0.6モル%以上から5モル%以下、0.8モル%以上から5モル%以下、1モル%以上から5モル%以下、1.2モル%以上から5モル%以下、1.4モル%以上から5モル%以下、1.5モル%以上から5モル%以下、1.6モル%以上から5モル%以下、1.8モル%以上から5モル%以下、2モル%以上から5モル%以下、0.5モル%以上から3モル%以下、0.5モル%以上から2.8モル%以下、0.5モル%以上から2.6モル%以下、0.5モル%以上から2.5モル%以下、0.5モル%以上から2.4モル%以下、0.5モル%以上から2.2モル%以下、0.5モル%以上から2モル%以下、2.5モル%以上から5モル%以下、2.5モル%以上から4モル%以下、または、2.5モル%以上から3モル%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、0.5モル%以上から5モル%以下の範囲の量で含む組成物から形成されうる。
本明細書に記載のガラス系物品は、Bを実質的に含まないか、または、含まない組成物から形成されうるもので、Bが存在すると、ガラスをイオン交換によって強化する時に圧縮応力に悪影響を与えるからである。いくつかの実施形態において、ガラス系物品は、Bを、0.5モル%以上から9モル%以下、1モル%以上から8モル%以下、2モル%以上から7モル%以下、3モル%以上から6モル%以下、または、4モル%以上から5モル%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、0.1モル%以上から10モル%以下の量で含む組成物から形成されうる。
アルカリ酸化物NaOを用いて、イオン交換によって、本明細書に記載のガラス系物品の化学強化を実現する。本明細書に記載のガラス系物品は、例えば、KNOを含む塩浴に存在するカリウムの陽イオンと交換されるNa陽イオンを提供するNaOを含む組成物から形成されうる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガラス系物品は、NaOを、4.5モル%以上から19.5モル%以下、5モル%以上から19モル%以下、5.5モル%以上から18.5モル%以下、6モル%以上から18モル%以下、6.5モル%以上から17.5モル%以下、7モル%以上から17モル%以下、7.5モル%以上から16.5モル%以下、8モル%以上から16モル%以下、8.5モル%以上から15.5モル%以下、9モル%以上から15モル%以下、9.5モル%以上から14.5モル%以下、10モル%以上から14モル%以下、10.5モル%以上から13.5モル%以下、11モル%以上から13モル%以下、または、11.5モル%以上から12.5モル%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、4モル%以上から20モル%以下の範囲で含む組成物から形成されうる。
本明細書に記載のガラス系物品は、LiOを含む組成物から形成される。いくつかの実施形態において、ガラス系物品は、LiOを、10モル%以下など、13モル%以下の量で含む組成物から形成されうる。いくつかの実施形態において、ガラス系物品は、LiOを、0.5モル%以上から9.5モル%以下、1モル%以上から9モル%以下、1.5モル%以上から8.5モル%以下、2モル%以上から8モル%以下、2.5モル%以上から7.5モル%以下、3モル%以上から7モル%以下、3.5モル%以上から6.5モル%以下、4モル%以上から6モル%以下、4.5モル%以上から5.5モル%以下、または、4モル%以上から以下8モル%、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、0.1モル%以上から10モル%以下の範囲の量で含む組成物から形成される。
ガラスに酸化カリウムが存在すると、イオン交換を通してガラスにおいて高い表面圧縮応力レベルを実現する能力に悪影響を与える。初めにイオン交換前に形成された本明細書に記載のガラス系物品は、KOを実質的に含まないか、または、含まないものでありうる。実施形態において、ガラス系物品は、KOを含む組成物から形成されうる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガラス系物品は、ZnOを、0.5モル%以上から5.5モル%以下、1モル%以上から5モル%以下、1.5モル%以上から4.5モル%以下、2モル%以上から4モル%以下、2.5モル%以上から3.5モル%以下、0.1モル%以上から6モル%以下、0.1モル%以上から3モル%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、0モル%以上から6モル%以下の量で含む組成物から形成されうる。2価の酸化物であるZnOは、粘性が200ポアズである温度(200Pの温度)を低下させることによって、ガラスの溶融挙動を改良する。
MgO、および、CaOなどのアルカリ土類酸化物も、ガラス系物品を形成するのに用いる組成物に含み、200Pの温度について、同様の効果を実現しうる。実施形態において、本明細書に記載のガラス系物品は、MgOを、0.02モル%以上から6モル%以下など、0モル%以上から6モル%以下含む組成物から形成されうる。SrO、および、BaOなど、他のアルカリ土類酸化物も、本明細書に記載のガラス系物品を形成するのに用いる組成物に含みうる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガラス系物品は、スロットドロー処理、および、フュージョンドロー処理など、従来から知られたダウンドロー処理によって形成される。
フュージョンドロー処理は、薄いガラスシートの大規模製造で用いられてきた産業技術である。フロートまたはスロットドロー処理などの他の平坦ガラス製造技術と比べて、フュージョンドロー処理は、平坦性および表面品質が優れた薄いガラスシートを生成する。その結果、フュージョンドロー処理は、液晶表示用、および、ノートブック型コンピュータ、エンターテインメント装置、タブレット、ラップトップ、携帯電話などの個人用電子装置のカバーガラス用の薄いガラス基板の製造において、主要な製造技術になった。
フュージョンドロー処理は、典型的には、ジルコン、または、他の耐火材料で製作された「アイソパイプ」として知られる桶部を越える溶融ガラスの流れを含む。溶融ガラスは、アイソパイプの最上部を両側から越えて流れ、アイソパイプの底部で合流して単一のシートを形成し、その場合には、最終的シートの内側のみが、アイソパイプと直接接触したものとなる。最終的ガラスシートのいずれの露出面も、ドロー処理中にアイソパイプの材料と接触せず、ガラスの両方の外面が処女ガラス品質であり、更なる仕上げ処理を必要としない。
フュージョンドローを可能とするためには、ガラス組成物は、十分に高い液相線粘度(つまり、溶融ガラスの液相線温度での粘度)を有しなければならない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガラス系物品を形成するのに用いた組成物は、少なくとも約200キロポアズ(kP)の液相線粘度を有し、他の実施形態において、少なくとも約600kPの液相線粘度を有する。
ガラス系物品の形成後に、物品を化学強化する。イオン交換は、ガラスを化学強化するのに広く用いられている。1つの特定の例において、そのような陽イオン源(例えば、溶融塩浴)内のアルカリ陽イオンは、ガラス系物品内のより小さいアルカリ陽イオンと交換されて、ガラス系物品の表面近くで圧縮応力が加わった層を実現する。圧縮層は、表面から、ガラス系物品内の圧縮深さ(DOC)に延伸する。本明細書に記載のガラス系物品において、イオン交換中に、例えば、ガラス系物品を、限定するものではないが硝酸カリウム(KNO)などのカリウム塩を含む溶融塩浴に浸漬させることによって、陽イオン源からのカリウムイオンは、ガラス系物品内のナトリウムおよびリチウムイオンと交換される。イオン交換処理で用いうる他のカリウム塩は、限定するものではないが、塩化カリウム(KCl)、硫酸カリウム(KSO)、および、それらの組合せを含む。本明細書に記載のイオン交換浴は、カリウム以外のアルカリイオン、および、対応する塩を含みうる。例えば、イオン交換浴は、硝酸ナトリウム(NaNO)、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および、それらの組合せなどのナトリウム塩も含みうる。1つ以上の実施形態において、2つの異なる塩の混合物を用いうる。例えば、ガラス系物品を、KNO、および、NaNOの塩浴に浸漬させうる。いくつかの実施形態において、1つより多くの浴を用いて、ガラスを1つの浴に浸漬させた後、続けて、他の浴に浸漬させるようにしうる。それらの浴は、同じ、または、異なる組成、温度、および/または、浸漬時間を有しうる。
実施形態において、ガラス系物品は、第1のイオン交換浴および第2のイオン交換浴を用いる2つの工程のイオン交換処理で強化される。第1のイオン交換浴は、任意の適切な塩混合物を含みうる。例えば、第1のイオン交換浴は、NaNO、および、KNOの混合物を含みうる。実施形態において、第1のイオン交換浴は、NaNOを、20質量%以上から35質量%以下、または、25質量%以上から30質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、15質量%以上から40質量%以下の範囲で含みうる。実施形態において、第1のイオン交換浴は、KNOを、65質量%以上から80質量%以下、または、70質量%以上から75質量%、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、60質量%以上から85質量%以下の範囲で含みうる。
第1のイオン交換浴でのイオン交換は、任意の適切な時間行われうる。実施形態において、第1のイオン交換浴でのイオン交換は、40分以上から110分以下、50分以上から100分以下、60分以上から90分以下、または、70分以上から80分以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、30分以上から120分以下の範囲の時間行われる。
第1のイオン交換浴でのイオン交換は、任意の適切な温度で行われうる。実施形態において、第1のイオン交換浴でのイオン交換は、360℃以上から410℃以下、370℃以上から400℃以下、または、380℃以上から390℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、350℃以上から420℃以下の範囲の温度で行われる。
第2のイオン交換浴は、任意の適切な塩混合物を含みうる。例えば、第2のイオン交換浴は、NaNO、および、KNOの混合物を含みうる。実施形態において、第2のイオン交換浴は、NaNOを、4質量%以上から10質量%以下、または、5質量%以上から9質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、3質量%以上から15質量%以下の範囲で含みうる。実施形態において、第2のイオン交換浴は、KNOを、90質量%以上から95質量%以下、または、91質量%以上から94質量%以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、85質量%以上から97質量%以下の範囲で含みうる。
第2のイオン交換浴でのイオン交換は、任意の適切な時間行われうる。実施形態において、第2のイオン交換浴でのイオン交換は、12分以上から28分以下、14分以上から26分以下、16分以上から24分以下、18分以上から22分以下、または、20分以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、10分以上から30分以下の範囲の時間行われる。
第2のイオン交換浴でのイオン交換は、任意の適切な温度で行われうる。実施形態において、第2のイオン交換浴でのイオン交換は、360℃以上から410℃以下、370℃以上から400℃以下、または、380℃以上から390℃以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、350℃以上から420℃以下の範囲の温度で行われる。
図1に示した実施形態は、強化ガラス系物品100を、平坦なシートまたはプレートとして図示しているが、ガラス系物品は、3次元形状または非平面構成など、他の構成を有しうる。強化ガラス系物品100は、厚さtを画定する第1の表面110および反対側の第2の表面112を有する。(図1に示した実施形態などの)1つ以上の実施形態において、強化ガラス系物品は、厚さtを画定する第1の表面110および第2の表面112を含むシートである。強化ガラス系物品100は、第1の表面110から層深さdへガラス系物品100のバルク中に延伸する第1の圧縮層120を有する。図1に示した実施形態において、強化ガラス系物品100は、第2の表面112から第2の層深さdへガラス系物品100のバルク中に延伸する第2の圧縮層122も有する。ガラス系物品は、dからdに延伸する中心領域130も有する。中心領域130には、引張応力または中心張力(CT)が加わり、層120、122の圧縮応力と釣り合うか、または、相殺される。第1および第2の圧縮層120、122の深さd、dは、強化ガラス系物品100を、強化ガラス系物品100の第1および第2の表面110、112への鋭利な衝撃によって導入された傷の伝播から保護し、一方、圧縮応力は、傷が第1および第2の圧縮層120、122の深さd、dを貫通する尤度を、最小にする。DOC dと、DOC dは、互いに等しいか、または、異なりうる。いくつかの実施形態において、中心領域の少なくとも一部(例えば、DOCから、物品の厚さの0.5倍に等しい深さに延伸する部分)は、KOを、(本明細書に定義した意味で)含まないものでありうる。
DOCを、ガラス系物品の厚さtの分数の値として記載しうる。例えば、1つ以上の実施形態において、DOCは、0.11t以上、0.12t以上、0.13t以上、0.14t以上、0.15t以上、0.16t以上、0.17t以上、0.18t以上、0.19t以上、0.2t以上、または、0.21t以上など、0.1t以上でありうる。いくつかの実施形態において、DOCは、0.09t以上から0.24t以下、0.10t以上から0.23t以下、0.11t以上から0.22t以下、0.12t以上から0.21t以下、0.13t以上から0.20t以下、0.14t以上から0.19t以下、0.15t以上から0.18t以下、0.16t以上から0.19t以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、0.08t以上から0.25t以下の範囲でありうる。いくつかの実施形態において、DOCは、20μm以下でありうる。1つ以上の実施形態において、DOCは、40μm以上から300μm以下、50μm以上から280μm以下、60μm以上から260μm以下、70μm以上から240μm以下、80μm以上から220μm以下、90μm以上から200μm、100μm以上から190μm以下、110μm以上から180μm以下、120μm以上から170μm以下、140μm以上から160μm以下、または、150μm以上から300μm以下、並びに、上記端点から形成された任意および全ての部分範囲など、40μm以上でありうる。
1つ以上の実施形態において、強化ガラス系物品は、500MPa以上、600MPa以上、700MPa以上、800MPa以上、900MPa以上、930MPa以上、1000MPa以上、または、1050MPa以上など、400MPa以上の(表面またはガラス系物品内の深さ位置で見つけうる)最大圧縮応力を有しうる。
1つ以上の実施形態において、強化ガラス系物品は、45MPa以上、50MPa以上、60MPa以上、70MPa以上、75MPa以上、80MPa以上、または、85MPa以上など、40MPa以上の最大引張応力または中心張力(CT)を有しうる。いくつかの実施形態において、最大引張応力または中心張力(CT)は、40MPa以上から100MPa以下の範囲でありうる。
いくつかの実施形態において、イオン交換されたガラス系物品は、銀、銅、セシウム、または、ルビジウムなどの大きいイオンを含みうる。イオン交換されたガラス系物品における、これらの大きいイオンの含有量は、約3モル%までなど、約5モル%まででありうる。いくつかの実施形態において、再イオン交換浴は大きいイオンの塩を含み、大きいイオンが再イオン交換されて、再生処理の一部として、逆イオン交換されたガラス系物品に取り込まれるようにしうる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のガラス系物品は、携帯電話またはスマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットなどの消費者用電子製品の一部を形成する。消費者用電子製品(例えば、スマートフォン)を、図4、5に概略的に示している。消費者用電子装置500は、前面504、裏面506、および、側面508を有する筐体502、少なくとも部分的に、または、全体的に筐体の中に位置して、少なくとも制御部、メモリ、および、筐体の前面か前面に隣接した表示部510を含む電気的構成要素(不図示)、並びに、筐体の前面か前面の上で表示部を覆うようにするカバー基板512を含む。いくつかの実施形態において、カバー基板512、および/または、筐体は、本明細書に開示の任意の強化ガラス系物品を含みうる。
例示的な実施形態
以下の限定するものではない例示的な実施形態を製造した。
ガラス系基板を、酸化物を基にした以下の組成で用意した:63.60モル%のSiO、15.67モル%のAl、10.81モル%のNaO、6.24モル%のLiO、1.16モル%のZnO、2.48モル%のP、および、0.04モル%のSnO。ガラス系基板は、0.7mmの厚さ、44mmの幅、および、60mmの長さを有した。ガラス系基板は、2つの工程のイオン交換処理で化学強化されて、イオン交換されたガラス系物品を形成した。
第1のイオン交換工程において、ガラス系基板を、溶融塩浴に380℃の温度で3時間10分間、浸漬させた。第1のイオン交換浴は、75質量%のNaNO、および、25質量%のKNOを含むものだった。
第2のイオン交換工程において、ガラス系基板を、溶融塩浴に380℃の温度で25分間、浸漬させた。第2のイオン交換浴は、9質量%のNaNO、および、91質量%のKNOを含むものだった。
イオン交換されたガラス系物品に、次に、逆イオン交換処理を行った。イオン交換されたガラス系物品を、溶融塩浴で420℃の温度で、2時間、4時間、および、8時間、逆イオン交換した。逆イオン交換浴は、41.5質量%のNaNO、8.5質量%のLiNO、および、50質量%のCa(NOを含むものだった。これらの例を、「Ca(NOを用いた再生」例とも称しうる。
比較例として、イオン交換されたガラス系物品を、溶融塩浴で420℃の温度で、2時間、4時間、および、8時間、逆イオン交換した。対照逆イオン交換浴は、83質量%のNaNO、および、17質量%のLiNOを含むものだった。比較例は、「標準再生」例とも称しうる。
平均質量増加、表面から30μmの深さにおけるアルカリ濃度、および、カリウム濃度が、試料をイオン交換する前のガラス系基板の濃度に達する深さを、各イオン交換工程後に測定した。アルカリ成分の深さプロファイルを、本明細書に記載のように、グロー放電発光分光分析(GDOES)法を用いて測定した。測定値を、次の表1で報告する。
Figure 0007344909000001
図6に、測定した質量増加を、パーセントでイオン交換処理の関数として示している。図7に、測定したNaO濃度プロファイルを、表面からの深さの関数として示している。図8に、測定したLiO濃度プロファイルを、表面からの深さの関数として示している。図9に、測定したKOの濃度プロファイルを、表面からの深さの関数として示している。図6から9、および、表1に示したように、Ca(NOを用いた再生例、および、標準再生例は、同様の物性を示し、本明細書に記載の逆イオン交換処理が、十分な逆イオン交換性能を提供することを示している。
典型的な実施形態を例示のために示したが、ここまでの記載が、本開示の範囲も、添付の請求項の範囲も、限定するものであると、みなされるべきではない。したがって、当業者であれば、本開示または添付の請求項の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更、適合、および、変形を行いうる。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
方法において、
イオン交換されたガラス系物品を、逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を生成する工程を含み、
前記逆イオン交換媒体は、リチウム塩、および、非イオン交換可能な多価金属塩を含むものである方法。
実施形態2
前記リチウム塩は、硝酸リチウムである、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物の少なくとも1つを含むものである、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4
前記非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、および、硝酸ストロンチウムの少なくとも1つを含むものである、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5
前記逆イオン交換媒体は、前記非イオン交換可能な多価金属塩を、5質量%以上の量で含むものである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6
前記逆イオン交換媒体は、前記非イオン交換可能な多価金属塩を、50質量%以上の量で含むものである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態7
前記逆イオン交換媒体は、前記非イオン交換可能な多価金属塩を、80質量%以下の量で含むものである、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8
前記逆イオン交換媒体は、更に、ナトリウム塩を含むものである、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9
前記逆イオン交換媒体における前記リチウム塩の前記ナトリウム塩に対する比は、前記イオン交換されたガラス系物品の中心での酸化リチウムの酸化ナトリウムに対する含有量の比の10%以内である、実施形態8に記載の方法。
実施形態10
前記逆イオン交換媒体は、340℃以上から520℃以下の温度である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11
前記逆イオン交換媒体は、1質量%以下の硝酸カリウムを含むものである、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12
前記逆イオン交換媒体は、硝酸カリウムを実質的に含まないものである、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13
前記逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、1時間以上から48時間以下の期間に及ぶものである、実施形態1から12のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14
前記逆イオン交換されたガラス系物品は、前記逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換後に、KOを、該逆イオン交換されたガラス系物品の中心で組成物の1モル%以内の量で含むものである、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15
方法において、
イオン交換されたガラス系物品を、第1の逆イオン交換媒体で逆イオン交換する工程と、
前記イオン交換されたガラス系物品を、第2の逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を生成する工程と
を含み、
前記第1の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩を含み、前記第2の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩およびリチウム塩を含むものである方法。
実施形態16
前記第2の逆イオン交換媒体は、更に、非イオン交換可能な多価金属塩を含むものである、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物の少なくとも1つを含むものである、実施形態16に記載の方法。
実施形態18
前記非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、および、硝酸ストロンチウムの少なくとも1つを含むものである、実施形態16または17に記載の方法。
実施形態19
前記第2の逆イオン交換媒体は、前記非イオン交換可能な多価金属塩を、5質量%以上の量で含むものである、実施形態16から18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20
前記第1の逆イオン交換媒体中の前記ナトリウム塩は、硝酸ナトリウムである、実施形態15から19のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21
前記第2の逆イオン交換媒体中の前記リチウム塩は、硝酸リチウムである、実施形態15から20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22
前記第2の逆イオン交換媒体中の前記ナトリウム塩は、硝酸ナトリウムである、実施形態15から21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23
前記第1の逆イオン交換媒体は、400℃以上から420℃以下の温度である、実施形態15から22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24
前記第1の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、5分以上から24時間以下の期間に及ぶものである、実施形態15から23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25
前記第1の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、該第1の逆イオン交換媒体および前記第2の逆イオン交換媒体での合計イオン交換時間の半分未満の期間に及ぶものである、実施形態15から24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26
前記第2の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、380℃以上から400℃以下の温度で行われるものである、実施形態15から25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27
前記第2の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、前記第1の逆イオン交換媒体および該第2の逆イオン交換媒体での合計イオン交換時間の半分以上の期間に及ぶものである、実施形態15から26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28
前記イオン交換されたガラス系物品は、前記第1の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換後に、KOを、該イオン交換されたガラス系物品の中心で組成物の4モル%以内の量で含むものである、実施形態15から27のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29
前記逆イオン交換されたガラス系物品は、前記第2の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換後に、KOを、該逆イオン交換されたガラス系物品の中心で組成物の1モル%以内の量で含むものである、実施形態15から28のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30
前記第1の逆イオン交換媒体は、更に、カリウムを含むものである、実施形態15から29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31
前記第1の逆イオン交換媒体は、更に、6質量%以上の量のKNOを含むものである、実施形態15から30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32
前記第1の逆イオン交換媒体は、前記第2の逆イオン交換媒体のNa/Li比より大きいNa/Li比を有するものである、実施形態15から31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33
前記逆イオン交換されたガラス系物品の表面から、1μmから10μmを除去する工程を、
更に含む、実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34
前記逆イオン交換されたガラス系物品を、再イオン交換媒体で再イオン交換して、再イオン交換されたガラス系物品を形成する工程を、
更に含む、実施形態1から33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35
前記再イオン交換媒体は、
15質量%以上から40質量%以下のNaNOと、
60質量%以上から85質量%以下のKNO
を含むものである、実施形態34に記載の方法。
実施形態36
前記再イオン交換媒体での前記再イオン交換は、30分以上から120分以下の期間に及ぶものである、実施形態34または35に記載の方法。
実施形態37
前記再イオン交換媒体は、350℃以上から420℃の温度の温度である、実施形態34から36のいずれか1つに記載の方法。
実施形態38
前記再イオン交換されたガラス系物品を、第2の再イオン交換媒体で再イオン交換する工程を、
更に含む、実施形態34から37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39
前記第2の再イオン交換媒体は、
3質量%以上から15質量%以下のNaNOと、
85質量%以上から97質量%以下のKNO
を含むものである、実施形態38に記載の方法。
実施形態40
前記第2の再イオン交換媒体は、350℃以上から420℃以下の温度である、実施形態38または39に記載の方法。
実施形態41
前記第2の再イオン交換媒体での前記再イオン交換は、10分以上から30分以下の期間に及ぶものである、実施形態38から40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42
ガラス系物品をイオン交換媒体でイオン交換して、イオン交換されたガラス系物品を形成する工程を、
更に含む、実施形態1から41のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43
前記イオン交換媒体は、
15質量%以上から40質量%以下のNaNOと、
60質量%以上から85質量%以下のKNO
を含むものである、実施形態42に記載の方法。
実施形態44
前記イオン交換媒体での前記イオン交換は、30分以上から120分以下の期間に及ぶものである、実施形態42または43に記載の方法。
実施形態45
前記イオン交換媒体は、350℃以上から420℃以下の温度である、実施形態42から44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46
前記イオン交換されたガラス系物品を、第2のイオン交換媒体でイオン交換する工程を、
更に含む、実施形態42から45のいずれか1つに記載の方法。
実施形態47
前記第2のイオン交換媒体は、
3質量%以上から15質量%以下のNaNOと、
85質量%以上から97質量%以下のKNO
を含むものである、実施形態46に記載の方法。
実施形態48
前記第2のイオン交換媒体は、350℃以上から420℃以下の温度である、実施形態46または47に記載の方法。
実施形態49
前記第2のイオン交換媒体での前記イオン交換は、10分以上から30分以下の期間に及ぶものである、実施形態46から48のいずれか1つに記載の方法。
実施形態50
前記イオン交換されたガラス系物品は、リチウムを含むものである、実施形態1から49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51
実施形態1から50のいずれか1つに記載の方法によって製造された逆イオン交換されたガラス系物品。
100 ガラス系物品
110 第1の表面
112 第2の表面
120 第1の圧縮層
122 第2の圧縮層
130 中心領域

Claims (10)

  1. 方法において、
    イオン交換されたガラス系物品を、逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を生成する工程を含み、
    前記逆イオン交換媒体は、リチウム塩、および、非イオン交換可能な多価金属塩を含むものである方法。
  2. 前記リチウム塩は、硝酸リチウムである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非イオン交換可能な多価金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物の少なくとも1つを含むものである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記逆イオン交換媒体は、前記非イオン交換可能な多価金属塩を、5質量%以上で80質量%以下の量で含むものである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記逆イオン交換媒体は、更に、ナトリウム塩を含み、
    前記逆イオン交換媒体における前記リチウム塩の前記ナトリウム塩に対する比は、前記イオン交換されたガラス系物品の中心での酸化リチウムの酸化ナトリウムに対する含有量の比の10%以内である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記逆イオン交換媒体は、340℃以上から520℃以下の温度であること、および、
    前記逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、1時間以上から48時間以下の期間に及ぶものであること
    の少なくとも1つを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 方法において、
    イオン交換されたガラス系物品を、第1の逆イオン交換媒体で逆イオン交換する工程と、
    前記イオン交換されたガラス系物品を、第2の逆イオン交換媒体で逆イオン交換して、逆イオン交換されたガラス系物品を生成する工程と
    を含み、
    前記第1の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩を含み、前記第2の逆イオン交換媒体は、ナトリウム塩およびリチウム塩を含むものである方法。
  8. 前記第2の逆イオン交換媒体は、更に、非イオン交換可能な多価金属塩を含むものである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第1の逆イオン交換媒体中の前記ナトリウム塩は、硝酸ナトリウムであり、
    前記第2の逆イオン交換媒体中の前記リチウム塩は、硝酸リチウムであり、
    前記第2の逆イオン交換媒体中の前記ナトリウム塩は、硝酸ナトリウムである、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記第1の逆イオン交換媒体は、400℃以上から420℃以下の温度であること、
    前記第1の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、5分以上から24時間以下の期間に及ぶものであること、
    前記第1の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、該第1の逆イオン交換媒体および前記第2の逆イオン交換媒体での合計イオン交換時間の半分未満の期間に及ぶものであること、
    前記第2の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、380℃以上から400℃以下の温度で行われるものであること、
    前記第2の逆イオン交換媒体での前記逆イオン交換は、前記第1の逆イオン交換媒体および該第2の逆イオン交換媒体での合計イオン交換時間の半分以上の期間に及ぶものであること、
    前記第1の逆イオン交換媒体は、更に、カリウムを含むものであること、および、
    前記第1の逆イオン交換媒体は、前記第2の逆イオン交換媒体のNa/Li比より大きいNa/Li比を有するものであること
    の少なくとも1つを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
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