JP7344599B2 - 電子ラッチ錠 - Google Patents
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Description
請求項1の電子ラッチ錠は、ケーシングと、当該ケーシング内に配されたモータと、
当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に従動して揺動するトリガーと、当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、を有する電子ラッチ錠である。ここで、当該カム部材には、外周面を有し当該モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路が設けられる。当該トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられ、当該カム部材には、当該ロック部材が当該開錠位置に存在もしくは近接することをホールセンサに検出させるための磁石片が当該カム本体若しくは当該傾斜カム路の外周に取り付けられる。さらに、外部から開錠信号を受信するための接続端子を含むとともに、当該モータを通電制御するモータ制御部が設けられる。最後に当該モータ制御部は、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させた後、当該ホールセンサによる当該磁石片の近接検出の結果に基づき当該ロック部材の揺動を当該開錠位置で停止させるように、当該モータを通電制御するように構成されている。
請求項2の電子ラッチ錠は、請求項1の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記モータ制御部には、開錠エラー信号を生成するエラー検出部と、当該エラー検出部が生成した開錠エラー信号を出力するための開錠エラー信号出力端子が、さらに設けられている。ここで前記モータ制御部は、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させようとしたが所定時間が経過したにも関わらず当該ホールセンサによる当該磁石片の近接が検出されないとき(開錠されないとき)、開錠不能を示す開錠エラー信号を当該エラー検出部に生成させ、生成した開錠エラー信号を当該開錠エラー信号出力端子に出力するように構成されている、ことを特徴とする。
請求項3の電子ラッチ錠は、ケーシングと、当該ケーシング内に配されたモータと、当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に従動して揺動するトリガーと、当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、を有する電子ラッチ錠である。当該カム部材には、外周面を有し当該モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路が設けられ、当該トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられている。当該カム部材には、第1のホールセンサに検出させるための第1の磁石片と、第2のホールセンサに検出させるための第2の磁石片がそれぞれ当該カム本体若しくは当該傾斜カム路の外周に取り付けられている。さらに、ロック不全を検出してエラー信号を出力するためのエラー検出部と、外部から開錠信号を受信するための接続端子を含むとともに、当該モータを通電制御するモータ制御部が設けられている。ここで、当該モータ制御部は、当該エラー検出部がエラー信号を出力していないことを前提に、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させた後、当該第1のホールセンサによる当該第1の磁石片の近接検出の結果に基づき当該ロック部材の揺動を当該開錠位置で停止させるように、当該モータを通電制御するように構成されている。これに加え、当該エラー検出部がエラー信号を出力しているときは、外力により当該施錠位置に揺動させられようとした当該ロック部材を、当該施錠位置に留まらせずに当該トリガーを介して揺動させた後、当該第2のホールセンサによる当該第2の磁石片の近接検出の結果に基づき当該施錠位置以外の任意の待機位置で停止させることで施錠不能となるように、当該モータを通電制御するように構成されている。以上が請求項3の電子ラッチ錠の特徴である。
請求項4の電子ラッチ錠は、ケーシングと、当該ケーシング内に配されたモータと、当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に従動して揺動するトリガーと、当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、を有する電子ラッチ錠である。ここで、当該カム部材には、外周面を有し当該モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路が設けられている。当該トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられている。当該カム部材には、第1のホールセンサに検出させるための第1の磁石片と、第2のホールセンサに検出させるための第2の磁石片がそれぞれ当該カム本体若しくは当該傾斜カム路の外周に取り付けられている。外部から開錠信号を受信するための接続端子、開錠エラー信号を生成するエラー検出部と、当該エラー検出部が生成した開錠エラー信号を出力するための開錠エラー信号出力端子、を含むとともに、当該モータを通電制御するモータ制御部が設けられている。 前記モータ制御部は、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させようとしたが所定時間が経過したにも関わらず当該ホールセンサによる当該少なくとも1個の磁石片の近接が検出されないとき、開錠不能を示す開錠エラー信号を当該エラー検出部に生成させ、生成した開錠エラー信号を当該開錠エラー信号出力端子に出力するように構成されている。以上が請求項4の電子ラッチ錠の特徴である。
請求項5の電子ラッチ錠は、請求項3又は4の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記第1のホールセンサと前記第2のホールセンサの代わりに、交番検知用ホールセンサ1個が設けられ、前記第1の磁石片の両極性のうち当該交番検知用ホールセンサに対向する第1の極性と、前記第2の磁石片の両極性のうち当該交番検知用ホールセンサに対向する第2の極性とが、交番検知可能となるように互いに逆極性に設置されている、ことを特徴とする。
請求項6の電子ラッチ錠は、請求項1の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記トリガー本体には、スイッチアームが一体に設けられ、外部にある外部管理装置(たとえば、管理コンピューター)と、外部管理端子を介して電気的に接続可能なスイッチが設けられ、当該スイッチアームは、前記ロック部材が施錠状態にあるときのみ当該スイッチをオン操作するように構成されている。
請求項7の電子ラッチ錠は、請求項5の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記トリガー本体には、スイッチアームが一体に設けられ、外部にある外部管理装置と、外部管理端子を介して電気的に接続可能なスイッチが設けられ、当該スイッチアームは、前記ロック部材が施錠状態にあるときのみ当該スイッチをオン操作するように構成されている。
請求項8の電子ラッチ錠は、請求項6又は7の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記スイッチは、前記トリガーに設けられた開閉検知用磁石片と、前記ケーシング側に設けられた、当該開閉検知用磁石片の近接を検出する開閉検出用ホールセンサを含めて構成されている、ことを特徴とする。
請求項9の電子ラッチ錠は、ケーシングと、当該ケーシング内に配されたモータと、
当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に直接従動して揺動するトリガーと、当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、外部から開錠信号を受信するための接続端子と、を含む電子ラッチ錠である。ここで、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該モータを回転させることで、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を当該開錠位置に揺動可能に構成されている。
請求項10の電子ラッチ錠は、請求項9の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記カム部材には、外周面を有し前記モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路と、が設けられ、前記トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられている。
請求項11の電子ラッチ錠は、請求項9又は10の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記モータを通電制御するモータ制御部が設けられ、当該モータ制御部は、揺動させた前記ロック部材を前記開錠位置で停止させるように構成されている。
請求項12の電子ラッチ錠は、請求項11の電子ラッチ錠の好ましい態様として、前記カム部材には、前記ロック部材が前記開錠位置に存在もしくは近接することをホールセンサに検出させるための磁石片が取り付けられ、前記モータ制御部は、前記ロック部材を前記開錠位置で停止させる通電制御を当該ホールセンサによる当該磁石片の近接検出の結果に基づき行うように構成されている。
請求項13のカム部材は、トリガーを直接従動させてロック部材を開錠位置と施錠位置の間で揺動させるため、モータのモータ軸と一体回転するように固定された、電子ラッチ錠に用いられるカム部材である。ここで、当該カム部材には、前記ロック部材が前記開錠位置に存在もしくは近接することをホールセンサに検出させるための磁石片が取り付けられている。
請求項14のカム部材は、トリガーを直接従動させてロック部材を開錠位置と施錠位置の間で揺動させるため、モータのモータ軸と一体回転するように固定された、電子ラッチ錠に用いられるカム部材である。ここで、当該ガム部材には、外周面を有し前記モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路と、が設けられ、前記トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられている。
請求項1の電子ラッチ錠によれば、カム部材が直接トリガーを揺動させ、これに伴いロック部材を揺動させるので、主要部材の点数が少なくても施錠・開錠できる。磁石片とホールセンサの検知結果を通じて、外力により施錠位置に揺動させられていたロック部材を、モータ駆動により開錠位置に揺動させて開錠待機するので、構造も簡単で多くの部品を必要としない。
請求項2の電子ラッチ錠によれば、外力により当該施錠位置に揺動させられていた(施錠状態にある)当該ロック部材を、開錠信号に基づいてモータに通電し開錠しようとしたが、所定時間が経過しても当該ホールセンサによる当該磁石片の近接が検出されないとき(たとえば、モータの故障、電圧不足でモータが回転しない、ホールセンサの不良、その他の部品の故障、さらに、ロッカー扉に荷物が噛み込んだ等の物理的障害により開錠できない)、開錠不能を示すエラー信号を出力する。エラー信号を使用者等が認知可能な方法(たとえば、LED点灯、警告音発生)にして使用者等に報知することができる。
請求項3の電子ラッチ錠によれば、カム部材が直接トリガーを揺動させ、これに伴いロック部材を揺動させるので、主要部材の点数が少なくても施錠・開錠できる。第1のホールセンサによる第1の磁石片の検出に基づき、外力により施錠位置に揺動させられていたロック部材を、モータ駆動により開錠位置に揺動させて開錠待機するので、構造も簡単で多くの部品を必要としない。一方で、開錠状態においてロック不全を示すエラー信号が出力されたときモータ制御部は、モータを回転させてロック部材を、第2ホールセンサの検出信号に基づいて当該施錠位置以外の任意の待機位置(すなわち、ロックできない位置)に移動させる。開錠できない可能性があるのに施錠させない効果が生じる。
請求項4の電子ラッチ錠によれば、外力により当該施錠位置に揺動させられていた(施錠状態にある)当該ロック部材を、開錠信号に基づいてモータに通電し開錠しようとしたが、所定時間が経過しても当該ホールセンサによる少なくとも1個の磁石片の近接が検出されないとき(たとえば、モータの故障、電圧不足でモータが回転しない、ホールセンサの不良、その他の部品の故障、さらに、ロッカー扉に荷物が噛み込んだ等の物理的障害により開錠できない)、開錠不能を示すエラー信号を出力する。エラー信号を使用者等が認知可能な方法(たとえば、LED点灯、警告音発声)にして使用者等に報知することができる。
請求項5の電子ラッチ錠によれば、交番検知用ホールセンサを1個のみで構成することができるので、ホールセンサの数、すなわち部品点数を最小限とすることができる。このとき交番検知用ホールセンサは、第1の磁石片の両極のうち、たとえばS極を検出したら第2の磁石片の両極のうちN極を検出する、もしくは、上記の逆の検出を行う。
請求項1ないし4何れかの電子ラッチ錠において、ロック部材が施錠状態にあることを、スイッチを介して外部管理装置に知らせることができる。これにより、外部管理装置による、電子ラッチ錠の施錠開錠の状態を集中管理することができる。
請求項5の電子ラッチ錠において、ロック部材が施錠状態にあることを、スイッチを介して外部管理装置に知らせることができる。これにより、外部管理装置による、電子ラッチ錠の施錠開錠の状態を集中管理することができる。
請求項8の電子ラッチ錠によれば、開閉検知用磁石片と、当該開閉検知用磁石片の近接を検出する開閉検出用ホールセンサを介してロック部材が施錠状態にあることを外部管理装置に知らせることができる。これにより、外部管理装置による、電子ラッチ錠の施錠開錠の状態を集中管理することができる。開閉検知用磁石片の近接を検出する開閉検出用ホールセンサの組み合わせは、たとえばマイクロスイッチのような機械的スイッチ類に比べ故障が少ないので使い勝手がよい。
請求項9の電子ラッチ錠によれば、カム部材が直接トリガーを揺動させ、これに伴いロック部材を揺動させるので、主要部材の点数が少なくても施錠・開錠できる。外力により施錠位置に揺動させられていたロック部材を、モータ駆動により開錠位置に揺動させて開錠待機するので、構造も簡単で多くの部品を必要としない。
請求項10の電子ラッチ錠によれば、カム部材が回転すると、回転してきた傾斜カム路トリガー11の従動アーム11cが当接し、さらなる回転により従動アームは傾斜カム路に摺動案内され揺動する。
請求項11の電子ラッチ錠によれば、ロック部材が開錠位置で停止するようにモータが通電制御される。
請求項12の電子ラッチ錠によれば、ロック部材の開錠位置停止の通電制御がホールセンサによる磁石片の近接検出に基づいて行われる。
請求項13のカム部材によれば、電子ラッチ錠に組み込んでモータ軸と一体回転させることで直接トリガーを揺動させ、これに伴いロック部材を揺動させられるので、主要部材の点数が少なくても施錠・開錠できる。モータの通電制御をホールセンサによる磁石片の近接検出に基づいて行うことができる。
請求項14のカム部材によれば、電子ラッチ錠に組み込んでモータ軸と一体回転させることで直接トリガーを揺動させ、これに伴いロック部材を揺動させられるので、主要部材の点数が少なくても施錠・開錠できる。トリガーの従動アームがカム部材の傾斜カム路に摺動してトリガーが揺動する。
図1乃至5を参照する。電子ラッチ錠1を外観構成するのは、蓋部3a付きケーシング3である。ケーシング3は、金属もしくは合成樹脂を素材とする、概ね薄型で一方の側面が開口する横長箱体である。ケーシング3の開放面は、ネジ3b,3bによって蓋部3aにより固定閉鎖される。横長のケーシング3の一方の短辺側には、ケーシング3の外にある被ロック部材R(図10)を受け入れるための錠止め凹部3hが外向き開放のU字状に形成されている。ケーシング3の内部には、それぞれ後述するモータ25、カム部材27,トリガー11、ロック部材5が主要部材として納められている。
図3乃至9を参照する。ケーシング3の内部において、符号25で示すものは開錠駆動源となるモータである。モータ25に対する給電は、後述するモータ制御部29を介して図外から行われる。モータ25のモータ軸25aは、カム部材27のモータ軸孔27b(図9(f))に差し込まれ、側方に開口するピン孔27hに差し込まれたカム固定ピン27p(図5)によってカム部材27と一体回転するように固定される。
図3、4及び9を参照する。カム部材27は、モータ軸25a(図5参照)と同軸で円筒状のカム本体27aと、カム本体27aの外周面に沿って部分周回する傾斜カム路27dが設けられている。図9(b)が示すように本実施形態の傾斜カム路27(図9)では、モータ25側から見たとき時の位置(始点27e)から9時の位置(終点27f)まで反時計回り180度強にわたって傾斜カム路27が部分周回している。傾斜カム路27dの登り傾斜角度は、特に限定はないが、たとえば、20度~70度なら好適である。20度未満では傾斜が緩やかすぎて従動アーム11c(後述)の揺動時間が長すぎてしまう一方、70度を超えると急傾斜すぎて円滑な揺動に支障が出やすいからである。傾斜カム路27の外周の始点27e寄りには、たとえば、本実施形態で採用する四角形や、楕円その他の形状の磁石片27mが取り付けられている。この磁石片27mをカム本体27aの外周に設けることもできるが、傾斜カム路27の外周に取り付けた方が後述するホールセンサとの距離を短くできる、すなわち、検知精度を高めることができる。
図3乃至5及び7を参照する。トリガー11は、トリガー11の主要部位であるトリガー軸13によってケーシング13に揺動自在に支持される部材であって、トリガー軸13は、概ね縦長四角形のトリガー本体11aに設けられる。トリガー本体11のトリガー軸13の近傍からロック部材5方向(図3の右方向)に側方アーム11bが突き出している。側方アーム11bの先端部の正面視裏側には、回転ローラー17(図4に破線で表示)が、ピン孔11p(図7)に差し通されたローラー軸17aにより回転自在に設けられている。側方アーム11bとトリガー本体11aによって形成される略直角の端面は、押圧角部11eになっている(図13,14)。トリガー本体11aからカム部材27方向(図3の下方向)に従動アーム11cが突き出している。従動アーム11cは、カム部材27のカム本体27aの開放端近傍に達し、後述するように駆動モータ25の駆動により傾斜カム路27dと摺動接触可能な位置に配されている。
続いて図3乃至5及び6を参照する。ロック部材5は、変形四角形のロック部材本体5aと、ロック部材本体5aの下方(一端側)に一体形成されたくの字状のフック部5bとを主要部位とする部材である。ロック部材本体5aのフック部5bの近傍には、軸孔5hが貫通形成され(図6)、軸孔5hを差し通したロック軸7により、ケーシング3に対し揺動自在、かつ、ロックスプリング9(図5参照。図3、4等ではロック部材の下に隠れて見えない)により開放方向に付勢された状態で支持されている。フック部5bはケーシング3の鍵止め凹部3hの近傍に位置し、施錠位置まで揺動したときに、鍵止め凹部3hの底部との間に被ロック部材R(図10)を抱き込む空間を形成する位置に配されている。
開錠レバー19は、直線状に並ぶ開錠アーム19aと押圧アーム19bを、両者の間でやや膨らんだフランジ部19cを有している。フランジ部19cには軸孔19hが貫通形成され、そこに差し入れられたレバー軸21によりケーシング3内に位置するように蓋体3aの内側に揺動自在に支持されている。開錠レバー19は、レバー軸21に巻き付けられたレバースプリング23(図5)により、トリガー11のレバー当接面11d´から離れる方向に付勢されている。開錠アーム19aは、ケーシング3の側面に貫通形成された開口3kを抜け、外部操作できるように外に突き出している。開錠レバー19は、トリガー11の開錠アーム11gと同じ目的で儲けられている。開錠アーム11gが存在するのに、併せて開錠レバー19を設けた理由は、電子ラッチ錠1の取り付け環境の違いに柔軟に対応するためと、万が一、一方の操作に妨げがあっても他方の操作により開錠可能とするためである。
図16を参照する。モータ制御部29は、基板本体29aに取り付けられ、所定のプログラムを実行するワンチップマイコン29b等の電子部品群やホールセンサ(ホール素子、ホールIC)29c、外部から電力を受けるための電力接続端子29dや開錠信号を有線ないし無線で受信するための開錠信号入力端子29eなどから構成されている。ホールセンサ29cは、基板本体29aのカム部材27側において、カム部材27の磁石片27mの磁力を効率よく検知できる位置に配されている。ワンチップマイコン29bの中には、電圧不足その他の正常動作不能を検出して開錠エラー信号を生成するエラー検出部30aと、モータ25への通電時間を計測するタイマー部30bが設けられている。符号29fはエラー信号出力端子を、符号35はエラー信号出力端子29fに電気的接続された発光素子(LED)である。発光素子35は、電子ラッチ錠1が正常動作しない可能性を利用者や管理者等に視覚的に報知するエラー報知手段である。図示していないが、たとえばアラームなどの聴覚的に報知するものもエラー報知手段として使用可能であり、これらのエラー報知手段は外部コンピュータなどを介して間接的に機能させることもできる。
図10乃至15を参照する。図10は図13に、図11は図14に、そして、図12は図15に対応している。図10及び13は施錠位置を、図11及び14は施錠と開錠の間の位置を、そして、図12及び15は開錠位置を、それぞれ示す。順番が逆になるが、図12及び15が示す開錠位置から説明を始める。
図19乃至26を参照しながら、本実施形態の変形例(以下、「本変形例」という)を説明する。本変形例に係る電子ラッチ錠51が先に説明した本実施形態の電子ラッチ錠1と主たる相違点は、エラー検出部がエラー信号を出力しているときに、外力により施錠位置に移動させられたロック部材を、モータ駆動により開錠位置で揺動停止させる、つまり、施錠させずに開錠状態を維持する、という点である。開錠しない可能性が生じた場合にエラー検出部がエラー信号を出力し、これによって、施錠後に開錠できなくなる状態を防ぐためのものである。なお、以下の説明において、本実施形態の電子ラッチ錠1と構造的・機能的に共通する部材については、本実施形態の説明で用いた部材番号と同じ部材番号を本変形例で用い、それらの部材についての説明は本実施形態のそれらに委ねることにする。
図19に示すようにカム部材57は、カム本体57aとカム傾斜路57d、さらに、貫通孔であるピン孔57hを備えている。本実施形態のカム部材27との違いを、図9をも参照しながら説明する。本変形例に係るカム部材57の外観構成と、カム機能については、カム部材27のそれらと同じであるから、それらの説明は省略する。異なる点は、磁石片の数である。
カム部材27にはロック部材5が開錠位置にあることを検知させるための磁石片27mが1個設けられているところ、カム部材57には第1の磁石片57m1と第2の磁石片57m2の2個設けられている。第1の磁石片57m1は磁石片27mとほぼ同じ位置となるカム傾斜路57dの外側に設けられ、後述する第1のホールセンサ59c1にロック部材5(図21)が開錠位置に存在もしくは近接することを検知させる機能については本実施形態の磁石片27mのそれと異ならない。図19に示すように第1の磁石片57m1は楕円形であり、図9に示す磁石片27mは四角形であるが、形状の違いは作用的に差異を生じさせない。後述する第2の磁石片57m2の形状についても同じである。
第2の磁石片57m2は、カム傾斜路57dの外周の、第1の磁石片57m1と周方向に並び終点57fのモータ25寄りに設けられている。もっとも、第1の磁石片57m1とともに第2の磁石片57m2を設ける位置は、後述する第1のホールセンサ59c1と第2のホールセンサ59c2との相対関係に左右されるものであるから、上記位置以外の位置に配置することを妨げない。第2の磁石片57m2は、第1の磁石片57m1と構造的に同じである。第2の磁石片57m2は、ロック部材5が施錠位置と異なる所定の待機位置、すなわち、開錠位置を含む施錠不能位置にある、若しくは近接していることを後述する第2のホールセンサ59c2に検知させるためのものである。
図20を参照する。本変形例に係るモータ制御部59は、基板本体59aに取り付けられたワンチップマイコン59b、第1のホールセンサ59c1、第2のホールセンサ59c2、開閉検出用ホールセンサ61等の電子部品群の他、電子ラッチ錠51の動作状況を外部のコンピュータ(図示せず)などに管理させるための信号を出力するための外部管理端子53、エラー信号出力端子59e、外部からの電力供給を受けるための接続端子59dなどから構成されている。ワンチップマイコン59bの中には、エラー検出部50aとタイマー部50bが設けられている。
図19乃至26を参照する。開錠位置にあるロック部材5は、ロックスプリング9の時計回り方向の付勢により、錠止め凹部3hを開放している(図24に示す状態と同じ状態)。ここで、開放状態にある、たとえばコインロッカーの扉(図示を省略)が人の手(外力)により閉鎖方向に揺動させられる。これに伴い扉に設けられている被ロック部材Rが錠止め凹部3h内に侵入してロック部材5を押圧すると、この押圧力を受けたロック部材5は、ロックスプリング9の付勢力に逆らいながら反時計回り方向に揺動する。本実施形態の作用と作用を奏するため詳細を省略するが、最終的にロック部材5は施錠位置に到達し、フック部5bが錠止め凹部3hの中に被ロック部材R(図23)を抱き込んだ状態で閉鎖し、それ以上の揺動が制限される(図22)。
これまで説明したように本変形例では、第1の磁石片57m1と第1のホールセンサ59c1がペアになり、第2の磁石片57m2と第2のホールセンサ59c2が他のペアになっている(図29(a))。この場合、第1の磁石片57m1の両極性のうち、何れの極性が第1のホールセンサ59c1と検出可能に対向するものであっても構わない。すなわち、第1のホールセンサ59c2に対向する第1の磁石片57m1の極性はN極であってもS極であってもよい。この点は、第2の磁石片57m2と第2のホールセンサ59c2のペアについても同じである。
Claims (14)
- ケーシングと、
当該ケーシング内に配されたモータと、
当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、
当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に従動して揺動するトリガーと、
当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、を有する電子ラッチ錠において、
当該カム部材には、外周面を有し当該モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路が設けられ、
当該トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられ、
当該カム部材には、当該ロック部材が当該開錠位置に存在もしくは近接することをホールセンサに検出させるための磁石片が当該カム本体若しくは当該傾斜カム路の外周に取り付けられ、
外部から開錠信号を受信するための接続端子を含むとともに、当該モータを通電制御するモータ制御部が設けられ、
当該モータ制御部は、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させた後、当該ホールセンサによる当該磁石片の近接検出の結果に基づき当該ロック部材の揺動を当該開錠位置で停止させるように、当該モータを通電制御するように構成されている、
ことを特徴とする電子ラッチ錠。 - 前記モータ制御部には、開錠エラー信号を生成するエラー検出部と、当該エラー検出部が生成した開錠エラー信号を出力するための開錠エラー信号出力端子が、さらに設けられ、
前記モータ制御部は、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させようとしたが所定時間が経過したにも関わらず当該ホールセンサによる当該磁石片の近接が検出されないとき、開錠不能を示す開錠エラー信号を当該エラー検出部に生成させ、生成した開錠エラー信号を当該開錠エラー信号出力端子に出力するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子ラッチ錠。 - ケーシングと、
当該ケーシング内に配されたモータと、
当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、
当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に従動して揺動するトリガーと、
当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、を有する電子ラッチ錠において、
当該カム部材には、外周面を有し当該モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路が設けられ、
当該トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられ、
当該カム部材には、第1のホールセンサに検出させるための第1の磁石片と、第2のホールセンサに検出させるための第2の磁石片がそれぞれ当該カム本体若しくは当該傾斜カム路の外周に取り付けられ、
ロック不全を検出してエラー信号を出力するためのエラー検出部と、外部から開錠信号を受信するための接続端子を含むとともに、当該モータを通電制御するモータ制御部が設けられ、
当該モータ制御部は、当該エラー検出部がエラー信号を出力していないことを前提に、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させた後、当該第1のホールセンサによる当該第1の磁石片の近接検出の結果に基づき当該ロック部材の揺動を当該開錠位置で停止させるように、当該モータを通電制御するように構成され、かつ、
当該エラー検出部がエラー信号を出力しているときは、外力により当該施錠位置に揺動させられようとした当該ロック部材を、当該施錠位置に留まらせずに当該トリガーを介して揺動させた後、当該第2のホールセンサによる当該第2の磁石片の近接検出の結果に基づき当該施錠位置以外の任意の待機位置で停止させることで施錠不能となるように、当該モータを通電制御するように構成されている、
ことを特徴とする電子ラッチ錠。 - ケーシングと、
当該ケーシング内に配されたモータと、
当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、
当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に従動して揺動するトリガーと、
当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、を有する電子ラッチ錠において、
当該カム部材には、外周面を有し当該モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路が設けられ、
当該トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられ、
当該カム部材には、ホールセンサに検出させるための少なくとも1個の磁石片が当該カム本体若しくは当該傾斜カム路の外周に取り付けられ、
外部から開錠信号を受信するための接続端子、開錠エラー信号を生成するエラー検出部と、当該エラー検出部が生成した開錠エラー信号を出力するための開錠エラー信号出力端子、を含むとともに、当該モータを通電制御するモータ制御部が設けられ、
前記モータ制御部は、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を、当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該トリガーを介して揺動させようとしたが所定時間が経過したにも関わらず当該ホールセンサによる当該少なくとも1個の磁石片の近接が検出されないとき、開錠不能を示す開錠エラー信号を当該エラー検出部に生成させ、生成した開錠エラー信号を当該開錠エラー信号出力端子に出力するように構成されている、
ことを特徴とする電子ラッチ錠。 - 前記第1のホールセンサと前記第2のホールセンサの代わりに、交番検知用ホールセンサ1個が設けられ、
前記第1の磁石片の両極性のうち当該交番検知用ホールセンサに対向する第1の極性と、前記第2の磁石片の両極性のうち当該交番検知用ホールセンサに対向する第2の極性とが、交番検知可能となるように互いに逆極性に設置されている、
ことを特徴とする請求項3載の電子ラッチ錠。 - 前記トリガー本体には、スイッチアームが一体に設けられ、
外部にある外部管理装置と、外部管理端子を介して電気的に接続可能なスイッチが設けられ、
当該スイッチアームは、前記ロック部材が施錠状態にあるときのみ当該スイッチをオン操作するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の電子ラッチ錠。 - 前記トリガー本体には、スイッチアームが一体に設けられ、
外部にある外部管理装置と、外部管理端子を介して電気的に接続可能なスイッチが設けられ、
当該スイッチアームは、前記ロック部材が施錠状態にあるときのみ当該スイッチをオン操作するように構成されている、
ことを特徴とする請求項5記載の電子ラッチ錠。 - 前記スイッチは、前記トリガーに設けられた開閉検知用磁石片と、
前記ケーシング側に設けられた、当該開閉検知用磁石片の近接を検出する開閉検出用ホールセンサを含めて構成されている、
ことを特徴とする請求項6又は7記載の電子ラッチ錠。 - ケーシングと、
当該ケーシング内に配されたモータと、
当該モータのモータ軸に一体回転するように固定されたカム部材と、
当該ケーシングにトリガー軸によって揺動自在に支持され、かつ、当該カム部材に直接従動して揺動するトリガーと、
当該ケーシングにロック軸によって揺動自在に支持され、当該トリガーの揺動に従動して開錠位置と施錠位置の間で揺動するロック部材と、
外部から開錠信号を受信するための接続端子と、を含み、
当該接続端子に開錠信号が入力されたことを契機に当該モータを回転させることで、外力により当該施錠位置に揺動させられていた当該ロック部材を当該開錠位置に揺動可能に構成されている、
ことを特徴とする電子ラッチ錠。 - 前記カム部材には、外周面を有し前記モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路と、が設けられ、
前記トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられている、
ことを特徴とする請求項9記載の電子ラッチ錠。 - 前記モータを通電制御するモータ制御部が設けられ、
当該モータ制御部は、揺動させた前記ロック部材を前記開錠位置で停止させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項9又は10記載の電子ラッチ錠。 - 前記カム部材には、前記ロック部材が前記開錠位置に存在もしくは近接することをホールセンサに検出させるための磁石片が取り付けられ、
前記モータ制御部は、前記ロック部材を前記開錠位置で停止させる通電制御を当該ホールセンサによる当該磁石片の近接検出の結果に基づき行うように構成されている、
ことを特徴とする請求項11記載の電子ラッチ錠。 - トリガーを直接従動させてロック部材を開錠位置と施錠位置の間で揺動させるため、モータのモータ軸と一体回転するように固定された、電子ラッチ錠に用いられるカム部材であって、
当該カム部材には、前記ロック部材が前記開錠位置に存在もしくは近接することをホールセンサに検出させるための磁石片が取り付けられている、
ことを特徴とする電子ラッチ錠に用いられるカム部材。 - トリガーを直接従動させてロック部材を開錠位置と施錠位置の間で揺動させるため、モータのモータ軸と一体回転するように固定された、電子ラッチ錠に用いられるカム部材であって、
当該ガム部材には、外周面を有し前記モータ軸と同軸の円筒状に形成されたカム本体と、当該カム本体の外周面に沿って部分周回する傾斜カム路と、が設けられ、
前記トリガーには、トリガー本体と、当該傾斜カム路に摺動して当該トリガー全体を揺動させるための従動アームが一体に設けられている、
ことを特徴とする電子ラッチ錠に用いられるカム部材。
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