以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがある。また、寸法比率は現実のものと必ずしも一致しない。複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。特定の寸法が実際よりも大きく示され、特定の形状が誇張されることもある。
本開示における「相似」は、数学でいう相似を含むが、これに限定されない。数学でいう相似は、一の形状を拡大若しくは縮小したときに(又はそのようなスケール変換をしないときに)、他の形状と合同になることをいう。しかし、技術常識等に照らして合理的に考えて、この数学の相似に近い関係が成り立てば、相似であるとみなされてよい。例えば、楕円形と、当該楕円形の外縁から一定かつ比較的短い距離(例えば小さい方の図形の最小径の1/4以下の距離)で内側(又は外側)に位置する外縁を有する楕円形とは、長径と短径との比が両者の間で異なるから、数学でいう相似ではない。しかし、このような関係も本開示における相似に含まれてよい。
また、本開示における種々の形状を示す用語(例えば、「円」、「楕円」又は「長方形」)は、これらの用語が数学において示す形状を含むが、これに限定されない。例えば、楕円は、外側に凸となる曲線のみによって構成されており、互いに概ね直交する長手方向と短手方向とを特定できる形状であればよい。また、例えば、長方形は、角部が面取りされていてもよい。
(プリンタの全体構成)
図1Aは、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2(以下で単にヘッドということがある。)を含むカラーインクジェットプリンタ1(記録装置の一例。以下で単にプリンタということがある)の概略の側面図である。図1Bは、プリンタ1の概略の平面図である。
なお、ヘッド2又はプリンタ1は、任意の方向を鉛直方向とすることが可能であるが、便宜上、図1Aの紙面上下方向を鉛直方向として、上面又は下面等の語を用いることがある。また、平面視又は平面透視の語は、特に断りがない限り、図1Aの紙面上下方向に見ることをいうものとする。
プリンタ1は、印刷用紙P(記録媒体の一例)を給紙ローラ80Aから回収ローラ80Bへと搬送することにより、印刷用紙Pをヘッド2に対して相対的に移動させる。なお、給紙ローラ80A及び回収ローラ80B並びに後述する各種のローラは、印刷用紙Pとヘッド2とを相対移動させる移動部85を構成している。制御部88は、画像や文字等のデータである印刷データ等に基づいて、ヘッド2を制御して、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
本実施形態では、ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。記録装置の他の実施形態としては、ヘッド2を印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向(例えば略直交する方向)に移動させつつ液滴を吐出する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
プリンタ1には、印刷用紙Pと略平行となるように、4つの平板状のヘッド搭載フレーム70(以下で単にフレームと言うことがある)が固定されている。各フレーム70には図示しない5個の孔が設けられており、5個のヘッド2がそれぞれの孔の部分に搭載されている。1つのフレーム70に搭載されている5つのヘッド2は、1つのヘッド群72を構成している。プリンタ1は、4つのヘッド群72を有しており、合計20個のヘッド2が搭載されている。
フレーム70に搭載されたヘッド2は、液体を吐出する部位が印刷用紙Pに面するようになっている。ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5~20mm程度とされる。
20個のヘッド2は、制御部88と直接接続されていてもよいし、印刷データを分配する分配部を介して制御部88と接続されていてもよい。例えば、制御部88が印刷データを1つの分配部へ送信し、1つの分配部が印刷データを20個のヘッド2に分配してもよい。また、例えば、4つのヘッド群72に対応する4つの分配部へ制御部88が印刷データを分配し、各分配部は、対応するヘッド群72内の5つのヘッド2に印刷データを分配してもよい。
ヘッド2は、図1Aの手前から奥へ向かう方向、図1Bの上下方向に細長い長尺形状を有している。1つのヘッド群72内において、3つのヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向(例えば略直交する方向)に沿って並んでおり、他の2つのヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3つのヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。別の表現をすれば、1つのヘッド群72において、ヘッド2は、千鳥状に配置されている。ヘッド2は、各ヘッド2で印刷可能な範囲が、印刷用紙Pの幅方向、すなわち、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、印刷用紙Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
4つのヘッド群72は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各ヘッド2には、図示しない液体供給タンクから液体(例えばインク)が供給される。1つのヘッド群72に属するヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)及びブラック(K)である。このようなインクを印刷用紙Pに着弾させることにより、カラー画像を印刷できる。
プリンタ1に搭載されているヘッド2の個数は、単色で、1つのヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、1つでもよい。ヘッド群72に含まれるヘッド2の個数や、ヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の個数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷すれば、同じ性能のヘッド2を使用しても搬送速度を速くできる。これにより、時間当たりの印刷面積を大きくすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、搬送方向と交差する方向にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
さらに、色のあるインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を、ヘッド2で、一様に、あるいはパターンニングして印刷してもよい。コーティング剤としては、例えば、記録媒体として液体が浸み込み難いものを用いる場合において、液体が定着し易いように、液体受容層を形成するものを使用できる。他に、コーティング剤としては、記録媒体として液体が浸み込み易いものを用いる場合において、液体のにじみが大きくなり過ぎたり、隣に着弾した別の液体とあまり混じり合わないように、液体浸透抑制層を形成するものを使用できる。コーティング剤は、ヘッド2で印刷する以外に、制御部88が制御する塗布機76で一様に塗布してもよい。
プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80Aに巻き取られた状態になっており、給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、フレーム70に搭載されているヘッド2の下側を通り、その後2つの搬送ローラ82Cの間を通り、最終的に回収ローラ80Bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82Cを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、ヘッド2によって印刷される。
続いて、プリンタ1の詳細について、印刷用紙Pが搬送される順に説明する。給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、2つのガイドローラ82Aの間を通った後、塗布機76の下を通る。塗布機76は、印刷用紙Pに、上述のコーティング剤を塗布する。
印刷用紙Pは、続いて、ヘッド2が搭載されたフレーム70を収納した、ヘッド室74に入る。ヘッド室74は、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっているが、概略、外部と隔離された空間である。ヘッド室74は、必要に応じて、制御部88等によって、温度、湿度、及び気圧等の制御因子が制御される。ヘッド室74では、プリンタ1が設置されている外部と比較して、外乱の影響を少なくできるので、上述の制御因子の変動範囲を外部よりも狭くできる。
ヘッド室74には、5個のガイドローラ82Bが配置されており、印刷用紙Pは、ガイドローラ82Bの上を搬送される。5個のガイドローラ82Bは、側面から見て、フレーム70が配置されている方向に向けて、中央が凸になるように配置されている。これにより、5個のガイドローラ82Bの上を搬送される印刷用紙Pは、側面から見て円弧状になっており、印刷用紙Pに張力を加えることで、各ガイドローラ82B間の印刷用紙Pが平面状になるように張られる。2つのガイドローラ82Bの間には、1つのフレーム70が配置されている。フレーム70は、その下を搬送される印刷用紙Pと平行になるように、設置される角度が少しずつ変えられている。
ヘッド室74から外に出た印刷用紙Pは、2つの搬送ローラ82Cの間を通り、乾燥機78の中を通り、2つのガイドローラ82Dの間を通り、回収ローラ80Bに回収される。印刷用紙Pの搬送速度は、例えば、100m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
乾燥機78で乾燥することにより、回収ローラ80Bにおいて、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れることが起き難くなる。高速で印刷するためには、乾燥も速く行なう必要がある。乾燥を速くするため、乾燥機78では、複数の乾燥方式により順番に乾燥してもよいし、複数の乾燥方式を併用して乾燥してもよい。そのような際に用いられる乾燥方式としては、例えば、温風の吹き付け、赤外線の照射、加熱したローラへの接触などがある。赤外線を照射する場合は、印刷用紙Pへのダメージを少なくしつつ乾燥を速くできるように、特定の周波数範囲の赤外線を当ててもよい。印刷用紙Pを加熱したローラに接触させる場合は、印刷用紙Pをローラの円筒面に沿って搬送させることで、熱が伝わる時間を長くしてもよい。ローラの円筒面に沿って搬送させる範囲は、ローラの円筒面の1/4周以上がよく、さらにローラの円筒面の1/2周以上にするのがよい。UV硬化インク等を印刷する場合には、乾燥機78の代わりに、あるいは乾燥機78に追加してUV照射光源を配置してもよい。UV照射光源は、各フレーム70の間に配置してもよい。
プリンタ1は、ヘッド2をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、例えば、ワイピング及び/又はキャッピングによって洗浄を行なう。ワイピングは、例えば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面、例えば吐出面11a(後述)を擦ることで、その面に付着していた液体を取り除く。キャッピングしての洗浄は、例えば、次のように行なう。まず、液体を吐出される部位、例えば吐出面11aを覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングと言う)ことで、吐出面11aとキャップとで、略密閉されて空間が作られる。そのような状態で、液体の吐出を繰り返すことで、吐出孔3(後述)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高くなっていた液体や、異物等を取り除く。キャッピングしてあることで、洗浄中の液体がプリンタ1に飛散し難く、液体が、印刷用紙Pやローラ等の搬送機構に付着し難くなる。洗浄を終えた吐出面11aを、さらにワイピングしてもよい。ワイピング及び/又はキャッピングによる洗浄は、プリンタ1に取り付けられているワイパー及び/又はキャップを人が手動で操作して行なってもよいし、制御部88によって自動で行なってもよい。
記録媒体は、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルトを搬送して、記録媒体を搬送ベルトに置いて搬送してもよい。そのようにすれば、枚葉紙、裁断された布、木材又はタイルなどを記録媒体にできる。さらに、ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤又は化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ及び/又は温度センサなどを取り付けて、制御部88が、各センサからの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。例えば、ヘッド2の温度、ヘッド2に液体を供給する液体供給タンクの液体の温度、及び/又は液体供給タンクの液体がヘッド2に加えている圧力などが、吐出される液体の吐出特性(例えば吐出量及び/又は吐出速度)に影響を与えている場合などに、それらの情報に応じて、液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
(吐出面)
図2は、ヘッド2の印刷用紙Pに対向する面(吐出面11a)の一部を示す平面図である。この図では、便宜上、D1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付している。D1軸は、ヘッド2と印刷用紙Pとの相対移動の方向に平行に定義されている。D1軸の正負と、ヘッド2に対する印刷用紙Pの進行方向との関係は、本実施形態の説明では特に問わない。D2軸は、吐出面11a及び印刷用紙Pに平行で、かつD1軸に直交するように定義されている。D2軸の正負も特に問わない。D3軸は、吐出面11a及び印刷用紙Pに直交するように定義されている。-D3側(図2の紙面手前側)は、ヘッド2から印刷用紙Pへの方向である。既述のように、ヘッド2は、D2方向を長手方向とする形状であり、ここでは、その長手方向の一端側部分が示されている。
吐出面11aは、例えば、ヘッド2の印刷用紙Pに対向する面の大部分を構成している平面である。また、吐出面11aは、例えば、D2方向を長手方向とする概略矩形状とされている。吐出面11aには、インク滴を吐出する複数の吐出孔3が開口している。複数の吐出孔3は、ヘッド2と印刷用紙Pとの相対移動の方向(D1方向)に直交する方向(D2方向)の位置を互いに異ならせて配置されている。従って、移動部85によってヘッド2と印刷用紙Pとを相対移動させつつ、複数の吐出孔3からインク滴を吐出することにより、任意の2次元画像が形成される。
より具体的には、複数の吐出孔3は、複数行(図示の例では16行)で配列されている。すなわち、複数の吐出孔3によって、複数の吐出孔行5が構成されている。複数の吐出孔行5同士において、複数の吐出孔3のD2方向における位置は互いに異なっている。これにより、各吐出孔行5における吐出孔3のピッチよりも狭いピッチでD2方向に並ぶ複数のドットを印刷用紙Pに形成することが可能となっている。ただし、ヘッド2は、1行のみ吐出孔行5を有する構成であっても構わない。
複数の吐出孔行5は、例えば、概略、互いに平行であり、また、互いに同等の長さを有している。図示の例では、吐出孔行5は、ヘッド2と印刷用紙Pとの相対移動の方向に直交する方向(D2方向)に平行になっている。ただし、吐出孔行5は、D2方向に対して傾斜していてもよい。また、図示の例では、複数の吐出孔行5間の隙間の大きさ(D1方向の間隔)は均等ではない。これは、例えば、ヘッド2内部の流路の配置の都合に起因する。もちろん、吐出孔行5間の隙間の大きさは均等とされてもよい。
(ヘッド本体)
図3は、図2のIII-IIIにおける断面図である。図3の紙面下方は、印刷用紙P側である。ここでは、主として、1つの吐出孔3に係る構成が示されている。また、ここでは、ヘッド2のうち、吐出面11aを含むヘッド本体7(すなわち吐出面11a側の一部のみ)が示されている。なお、ヘッド本体7が液体吐出ヘッドと捉えられてもよい。
ヘッド本体7は概略板状の部材であり、板状の表裏の一方は既述の吐出面11aとなっている。ヘッド本体7の厚さは、例えば、0.5mm以上2mm以下である。ヘッド本体7は、圧電素子の機械的歪により液体に圧力を付与して液滴を吐出するピエゾ式のヘッドである。ヘッド本体7は、それぞれ吐出孔3を含む複数の吐出素子9を有している。複数の吐出素子9及び複数の吐出素子9に関わる構成(例えば複数の吐出素子9に接続される配線)は、基本的に、互いに同様の構成とされてよい。複数の吐出素子9は、吐出面11aに沿って2次元的に配列されている。
また、別の観点では、ヘッド本体7は、液体(インク)が流れる流路が形成されている概略板状の流路部材11と、流路部材11内の液体に圧力を付与するための圧電アクチュエータ13とを有している。複数の吐出素子9は、流路部材11及び圧電アクチュエータ13により構成されている。吐出面11aは、流路部材11によって構成されている。流路部材11の吐出面11aとは反対側の面を加圧面11bというものとする。
流路部材11は、共通流路15と、共通流路15にそれぞれ接続されている複数の個別流路17(図3では1つを図示)とを有している。各個別流路17は、既述の吐出孔3を有しており、また、共通流路15から吐出孔3へ順に、接続流路19、加圧室21及び部分流路23を有している。
複数の個別流路17及び共通流路15には液体が満たされている。複数の加圧室21の容積が変化して液体に圧力が付与されることにより、複数の加圧室21から複数の部分流路23へ液体が送出され、複数の吐出孔3から複数の液滴が吐出される。また、複数の加圧室21へは複数の接続流路19を介して共通流路15から液体が補充される。
流路部材11は、例えば、複数のプレート25A~25J(以下、A~Jを省略することがある。)が積層されることにより構成されている。プレート25には、複数の個別流路17及び共通流路15を構成する複数の穴(主として貫通孔。凹部にすることも可)が形成されている。複数のプレート25の厚み及び積層数は、複数の個別流路17及び共通流路15の形状等に応じて適宜に設定されてよい。複数のプレート25は、適宜な材料により形成されてよい。例えば、複数のプレート25は、金属又は樹脂によって形成されている。プレート25の厚さは、例えば、10μm以上300μm以下である。プレート25同士は、例えば、プレート25間に介在する不図示の接着剤によって互いに固定されている。
(流路形状)
流路部材11内の各流路の具体的な形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。図示の例では、以下のとおりである。
共通流路15は、ヘッド2の長手方向(図3では紙面貫通方向)に延びている。共通流路15は、1本のみ設けられてもよいが、例えば、互いに並列に複数本で設けられている。共通流路15の横断面の形状は、矩形状とされている。
複数の個別流路17(別の観点では吐出素子9)は、各共通流路15の長さ方向に配列されている。ひいては、複数の個別流路17に個別に含まれている複数の吐出孔3も共通流路15に沿って配列されている。図2に示したような吐出孔3の配列においては、例えば、1本の共通流路15の両側それぞれに2行ずつ吐出孔3が配列されてよい。そして、4本の共通流路15に合計で16行の吐出孔3が配列されてよい。
加圧室21は、例えば、加圧面11bに開口しており、圧電アクチュエータ13によって塞がれている。なお、加圧室21は、プレート25によって塞がれていてもよい。ただし、これは、加圧室21を塞ぐプレート25を流路部材11の一部として捉えるか、圧電アクチュエータ13の一部として捉えるかの問題と考えることもできる。いずれにせよ、加圧室21は、吐出面11a及び加圧面11bのうち加圧面11bの側に偏って位置している。
複数の加圧室21の形状は、例えば、互いに同一である。各加圧室21の形状は適宜に設定されてよい。例えば、加圧室21は、加圧面11bに沿って一定の厚さで広がる薄型形状に形成されている。ただし、加圧室21は、厚さが異なる部位を有していてもよい。薄型形状は、例えば、平面視のいずれの径よりも厚さが小さい形状である。
また、例えば、加圧室21の平面形状は、互いに直交する長手方向及び短手方向を有する形状(例えば菱形又は楕円形)であってもよいし(図示の例)、そのような方向を概念できない形状(例えば円形)であってもよい。また、長手方向及び短手方向と複数の加圧室21の配列態様との関係も任意である。
本実施形態の説明では、後述するように、円形と楕円形とを足し合わせた形状を例に取る。別の観点では、長手方向と短手方向とを概念できる形状を例に取る。図示の例では、図3の紙面左右方向が加圧室21の長手方向である。当該方向は、例えば、共通流路15が延びる方向に交差(例えば直交)する方向であり、また、別の観点では、ヘッド本体7の短手方向である。
部分流路23は、加圧室21から吐出面11aに向かって延びている。部分流路23の形状は、概略、円柱状である。なお、部分流路23は、加圧室21から吐出面11aに向かって上下方向に傾斜して延びていてもよいし(図示の例)、傾斜せずに延びていてもよい。また、部分流路23は、その横断面の面積が上下の位置によって異なっていてもよい。平面視において、部分流路23は、例えば、加圧室21の所定方向(例えば平面視における加圧室21の長手方向)の端部に繋がっている。
吐出孔3は、部分流路23の底面(加圧室21とは反対側の面)の一部に開口している。吐出孔3は、例えば、部分流路23の底面の概ね中央に位置している。ただし、吐出孔3は、部分流路23の底面の中央に対して偏心して設けられていてもよい。吐出孔3の縦断面の形状は、吐出面11a側ほど径が小さくなるテーパ状とされている。ただし、吐出孔3は、一部又は全部が逆テーパであってもよい。
接続流路19は、例えば、共通流路15の上面から上方へ延びる部位と、当該部位からプレート25に沿う方向に延びる部位と、当該部位から上方に延びて加圧室21の下面に接続されている部位とを有している。プレート25に沿う部位は、流れ方向に直交する断面積が小さくされており、いわゆるしぼりとして機能する。平面視において、接続流路19の加圧室21に対する接続位置は、例えば、加圧室21の下面のうちの当該下面の中央に対して部分流路23とは反対側の端部とされている。
複数の加圧室21の配列の態様については、概略、図2を参照して説明した複数の吐出孔3の配列の態様の説明が援用されてよい。ただし、複数の加圧室21の配列の態様と、複数の吐出孔3の配列の態様とは異なっていても構わない。例えば、複数の部分流路23の形状を互いに異ならせることなどによって、複数の加圧室21の配列の態様と、複数の吐出孔3の配列の態様とが異なっていてもよい。そして、例えば、複数の加圧室21は、図2に示した複数の吐出孔3とは異なり、D1方向及びD2方向の双方において一様に分布したり(加圧室21の行間のピッチが一定とされたり)、吐出孔行5の数よりも少ない行数で配列されたりしてよい。
(圧電アクチュエータ)
圧電アクチュエータ13は、例えば、複数の加圧室21に亘る広さを有する概略板状である。圧電アクチュエータ13は、板形状の表面及び裏面として第1面13a及び第2面13bを有している。本実施形態では、第1面13aは、流路部材11の加圧面11bに重ねられる面である。圧電アクチュエータ13は、吐出素子9毎に(加圧室21毎に)加圧室21に圧力を付与する圧電素子27を有している。すなわち、圧電アクチュエータ13は、第1面13aに沿う方向の複数の位置に複数の圧電素子27を有している。
なお、圧電アクチュエータ13において、圧電素子27と捉えられる領域は、適宜に定義されてよい。例えば、当該領域は、後述するU個別電極51が設けられている領域によって定義されてもよいし、平面透視において加圧室21と重なっている領域によって定義されてもよい。
圧電アクチュエータ13は、第1面13aに沿って広がる複数の層状部材が積層されて構成されている。具体的には、例えば、圧電アクチュエータ13は、第1面13a側(流路部材11側)から順に、DD絶縁層29、DD導体層31、D絶縁層33、D導体層35、圧電体層37、U導体層39、U圧電体層41及びUU導体層43を有している。すなわち、圧電体層37及びU圧電体層41も絶縁層の一種として捉えた場合に、圧電アクチュエータ13は、絶縁層と導体層とを交互に有しており、また、合計で4層の絶縁層と4層の導体層とを有している。特に図示しないが、圧電アクチュエータ13は、UU導体層43を覆う絶縁層(例えばソルダーレジスト)を有していてもよい。
なお、絶縁層及び導体層に付した「DD」、「D」、「U」、「UU」は、圧電体層37を基準として、第1面13a側(Down Side)を「D」、第2面13b側(Up side)を「U」とし、圧電体層37から離れるほど「D」及び「U」の文字を多くしている。各層が含む部位にもこの文字を付すことがある。
圧電素子27においては、D導体層35とU導体層39とによって圧電体層37に電圧が印加されることによって、圧電体層37がその平面方向(表面及び裏面に沿う方向)において伸長及び/又は収縮(伸縮)する。この伸縮は、他の絶縁層のいずれかによって規制される。これにより、圧電素子27は、バイメタルのように第1面13a側及び/又は第2面13b側へ撓み変形を生じる。このような圧電素子27の撓み変形によって、加圧室21の容積が縮小及び/又は拡大され、加圧室21の液体に圧力が付与される。
より詳細には、例えば、本実施形態の説明ではD絶縁層33及び/又はDD絶縁層29が圧電体層37の伸縮を規制する。この場合、圧電体層37が収縮するときは、圧電素子27は、第1面13a側に撓み変形を生じる(第1面13a側が凸となる。)。また、圧電体層37が伸長するときは、圧電素子27は、第2面13b側に撓み変形を生じる(第1面13a側が凹となる。)。
U圧電体層41は、U導体層39とUU導体層43とによって電圧が印加されることによって、その平面方向に伸縮する。より詳細には、電圧印加によって圧電体層37が平面方向に伸長するときは、U圧電体層41も電圧印加によって伸長し、電圧印加によって圧電体層37が平面方向に収縮するときは、U圧電体層41も電圧印加によって収縮する。従って、U圧電体層41は、圧電体層37と同様に、伸縮がD絶縁層33及び/又はDD絶縁層29によって規制され、圧電体層37の撓み変形と同一の方向に撓み変形を生じる。
これにより、圧電体層37及びU圧電体層41の合計厚みと等しい厚みの1層の圧電体層がある態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)と比較すると、圧電体層を挟む電極間距離が半分になることにより、圧電体層に印加される電界の強度が強くなり、ひいては、圧電素子27の変位量を大きくすることができる。また、U圧電体層41を有さず圧電体層37のみがある態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)と比較すると、変位する圧電体層の厚さが厚くなることにより、圧電体層と絶縁層とからなる積層体を撓ませる力を強くすることができる。
上記の撓み変形の説明で言及しなかったDD導体層31は、例えば、圧電アクチュエータ13における意図されていない応力及び/又は歪の低減に寄与する。このような応力及び/又は歪としては、例えば、製造時及び/又は使用時における温度変化に起因するものを挙げることができる。より詳細には、例えば、温度変化に起因する圧電アクチュエータ13のその平面方向における伸縮に着目したときに、DD導体層31は、厚み方向(D3方向)の一方側における伸縮と他方側における伸縮とを釣り合せることに寄与する。
本実施形態では、上記のように圧電体層(37及び41)の伸縮を圧電体層よりも第1面13a側において規制して撓み変形を実現する。従って、圧電体層以外の層の材料及び厚さは、圧電体層の伸縮時に圧電体層が第1面13a側から受ける応力が、第2面13b側から受ける応力よりも大きくなるように設定される。このような材料及び厚さの組み合わせは種々存在し、適宜に設定されてよい。
一例を挙げる。各導体層の厚さは絶縁層の厚さに比較して薄くされ、ひいては、圧電体層(37及び41)の伸縮に及ぼす影響が低減されてよい。DD絶縁層29及びD絶縁層33は、互いに同一の圧電体(例えば圧電体層37及び/又はU圧電体層41の材料と同じ材料。別の観点ではヤング率が比較的大きい材料。)によって構成されてよい。そして、圧電体層(37及び41)に対して第1面13a側に位置する絶縁層(29及び33)の合計厚さは、圧電体層(37及び41)に対して第2面13b側に位置する絶縁層(本実施形態ではそのような絶縁層は存在しない。)の合計厚さよりも厚くされてよい。このような構成によって、圧電体層(37及び41)においては、第1面13a側から受ける応力が第2面13b側から受ける応力よりも大きくされる。
上記のような構成において、絶縁層の厚さは適宜に設定されてよい。例えば、圧電体層(37及び41)に対して第1面13a側に位置する絶縁層(29及び33)の合計厚さは、圧電体層(37及び41)の合計厚さに対して、1/2以上3/2以下とされてよい。
図示の例では、DD絶縁層29、D絶縁層33、圧電体層37及びU圧電体層41は、互いに概ね同等の厚さとされている。換言すれば、圧電体層(37及び41)に対して第1面13a側に位置する絶縁層(29及び33)の合計厚さは、圧電体層(37及び41)の合計厚さと概ね同等とされている。別の観点では、D導体層35に対して第1面13a側に位置する絶縁層(29及び33)の合計厚さと、D導体層35に対して第2面13b側に位置する絶縁層(37及び41)の合計厚さとは、概ね同等とされている。
上記のような構成における寸法の一例を挙げる。DD絶縁層29、D絶縁層33、圧電体層37及びU圧電体層41の厚さは、それぞれ10μm以上40μm以下とされてよい。DD導体層31、D導体層35、U導体層39及びUU導体層43の厚さは、それぞれ0.5μm以上3μm以下とされてよい。また、D導体層35の厚さは、他の導体層(例えばU導体層39)の厚さに対して、0.5μm以上2μm以下の差で厚くされていてもよい。
(圧電アクチュエータの各層の詳細)
図4及び図5は、圧電アクチュエータ13の分解斜視図である。図4では、圧電アクチュエータ13の一部の領域であって、複数の圧電素子27が含まれる領域について示されている。図5では、1つの圧電素子27が含まれる領域について示されている。これらの図では、便宜上、導体層(31、35、39及び43)の表面にハッチングを付している。
これらの図では、絶縁層又は圧電体層と、その上面(+D3側の面)に重なる導電層との2層が組み合わされた板状部材が示されている。すなわち、4つの板状部材が示されている。ただし、これは、図示の便宜上のものであり、製造過程において、このような4つの板状部材がそれぞれ作製されることを意味していない。例えば、製造過程において、各導体層は、絶縁層又は圧電体層の下面(-D3側の面)に設けられてもよい。
図3~図5に示すように、圧電体層(37及び41)も絶縁層の一種として捉えた場合に、4つの絶縁層(29、33、37及び41)は、複数の圧電素子27に亘って実質的に隙間無く広がっている。「実質的に」としているのは、例えば、導体層同士を接続するための貫通導体(後述)が絶縁層を貫通していてもよいことなどからである(以下、同様。)。また、D導体層35も、複数の圧電素子27に亘って実質的に隙間無く広がっている。一方、他の導体層(31、39及び43)は、複数の圧電素子27に個別に(換言すれば1対1で)位置する複数の部位(45、51及び53)を有している。
圧電アクチュエータ13の種々の層(29、31、33、35、37、39、41及び43)は、導体層の非配置領域を無視したときに、概略、一定の厚さの層状である。複数の圧電素子27に亘って広がっている層(29、33、35、37及び41)の広さは、例えば、互いに同等の広さとされてよい。別の観点では、これらの層の広さは、圧電アクチュエータ13の広さと同様とされてよい。ただし、いずれかの層が他の層よりも狭くされていても構わない。例えば、D導体層35は、当該D導体層35に重なるD絶縁層33及び圧電体層37よりも狭くされて、外縁が圧電アクチュエータ13の外部に露出しないようにされていてもよい。
各層は、1種類の材料によって一体的に構成されていてもよいし、互いに異なる材料が積層されて構成されていてもよい。各層の材料は、平面方向の互いに異なる位置同士で同一である。ただし、一部の領域の材料が他の領域の材料と異なっていてもよい。
(圧電体層)
圧電体層37及びU圧電体層41は、例えば、少なくとも圧電素子27を構成している領域において、分極軸(単結晶では電気軸又はX軸ともいう。)が厚み方向(D3方向)に概ね平行になっている。また、圧電体層37とU圧電体層41とは、分極の向き(+D3側及び-D3側のいずれであるか)が互いに逆とされている。圧電体層(37及び41)それぞれは、厚み方向において分極の向きと同じ向きで電圧が印加されることによって平面方向に収縮する。また、圧電体層(37及び41)それぞれは、厚み方向において分極の向きと逆の向きで電圧が印加されることによって平面方向に伸長する。なお、圧電体層(37及び/又は41)のうち、圧電素子27を構成している領域以外の領域は、分極されていてもよいし、分極されていなくてもよい。前者の場合において、分極の方向は、圧電素子27を構成している領域における分極の方向と同様であってもよいし、異なっていてもよい。
圧電体層37及びU圧電体層41の材料は、例えば、強誘電性を有するセラミックス材料とされてよい。セラミック材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系、NaNbO3系、BaTiO3系、(BiNa)TiO3系、BiNaNb5O15系のものを挙げることができる。ただし、圧電体層(37及び41)の材料は、セラミック材料以外とされても構わない。圧電体層(37及び41)の材料は、単結晶であってもよいし、多結晶であってもよいし、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよいし、強誘電体であってもなくてもよいし、焦電体であってもなくてもよい。圧電体層37及びU圧電体層41の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
(絶縁層)
DD絶縁層29及びD絶縁層33の厚さは、既に言及したように、適宜に設定されてよい。例えば、これらの層の厚さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、各層の厚さは、圧電体層37及び/又はU圧電体層41の厚さに対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。
DD絶縁層29及びD絶縁層33の材料は、既に言及したように、適宜なものとされてよい。例えば、少なくとも1つの絶縁層の材料は、圧電体層37及び/又はU圧電体層41の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。換言すれば、少なくとも1つの絶縁層の材料は、圧電体であってもよいし、圧電体でなくてもよい。絶縁層の材料が圧電体層の材料と同一又は異なる圧電体である場合において、圧電体層の説明で例示した材料は、絶縁層の材料に援用されてよい。絶縁層は、多結晶からなる場合において、分極されていてもよいし、分極されていなくてもよい。もちろん、少なくとも1つの絶縁層の材料は、圧電体でなくてもよい。
(導体層)
DD導体層31、D導体層35、U導体層39及びUU導体層43の厚さは、適宜に設定されてよい。例えば、これらの層の厚さは、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。各層の厚さは、例えば、圧電体層37の厚さよりも薄くされている。
DD導体層31、D導体層35、U導体層39及びUU導体層43の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、各導体層の材料は、例えば、金属材料とされてよい。金属材料としては、例えば、Ag-Pd系の合金及びAu系の合金が用いられてよい。
(D導体層)
D導体層35は、例えば、既述のように圧電体層37に電圧を印加することに寄与する。D導体層35は、図示の例では(又は図示の範囲では)、共通電極49のみを含んでいる。共通電極49は、複数の圧電素子27に亘って実質的に隙間無く広がっている。圧電素子27の駆動時、共通電極49は、例えば、一定の電位(時間経過に対して変動しない電位)が付与される。当該一定の電位は、例えば、基準電位(グランド電位)である。
(U導体層)
U導体層39は、例えば、既述のように圧電体層37及びU圧電体層41に電圧を印加することに寄与する。U導体層39は、例えば、電圧印加に直接的に寄与する複数のU個別電極51と、複数のU個別電極51に個別に電位(駆動信号)を付与するための複数のU配線53とを有している。複数のU個別電極51及び複数のU配線53は、複数の圧電素子27(別の観点では複数の加圧室21)に対して個別に設けられている。特に図示しないが、U導体層39は、上記以外の部分を有していてもよい。例えば、U導体層39は、圧電体層37及び/又はU圧電体層41の外縁に沿って延びる補強部を有していてもよい。
圧電素子27の駆動時において、共通電極49に一定の電位(例えば基準電位)が付与されているのに対して、U個別電極51には経過時間に対して電位が変化する駆動信号が入力される。これにより、圧電体層37に電圧が印加され、圧電素子27が変位する。また、複数のU個別電極51には個別に駆動信号が入力される。これにより、複数の圧電素子27は個別に(換言すれば独立に)駆動される。
複数のU個別電極51及び複数のU配線53の面積(又は体積)の総和、及びU導体層39の面積(又は体積)の総和は、適宜に設定されてよい。なお、図示の例では、上記2つの総和は同じものである。以下の説明では、便宜上、上記2つの総和を区別せずに説明するものとし、一方の総和の語は、他方の総和の語に置換されてよいものとする。
(U個別電極)
複数のU個別電極51は、複数の加圧室21に対して個別に対向している。U個別電極51の平面形状は、例えば、加圧室21の平面形状と相似であってもよいし(図示の例)、相似でなくてもよい。いずれにせよ、加圧室21の平面形状に関する説明は、U個別電極51の平面形状に援用されてよい。例えば、U個別電極51の平面形状は、互いに直交する長手方向及び短手方向を有する形状であってもよいし(図示の例)、そのような方向を概念できない形状であってもよい。また、長手方向及び短手方向と複数のU個別電極51の配列態様との関係も任意である。
また、U個別電極51の大きさは、適宜に設定されてよい。例えば、平面透視において、U個別電極51の外縁は、加圧室21(より詳細には例えば加圧室21の加圧面11b側の開口面)の外縁に対して、その全体が内側に位置していてもよいし、その全体が概ね一致していてもよいし、その全体が外側に位置していてもよいし、一部のみが一致又は内側に位置していてもよい。
本実施形態では、U個別電極51の平面形状が加圧室21の平面形状と相似である態様を例に取る。この平面形状の詳細については後述するが、互いに直交する長手方向と短手方向とを概念できる形状である。また、本実施形態では、平面透視において、U個別電極51及び加圧室21の(その平面形状の)中心同士が概ね一致し、また、両者の向きが互いに一致する態様を例に取る。図示の例では、U個別電極51の長手方向は、D1方向(すなわち圧電アクチュエータ13の短手方向)とされている。ただし、U個別電極51の長手方向は、他の方向(例えば圧電アクチュエータ13の長手方向)とされてもよい。
なお、本実施形態の説明において、平面図形について中心(あるいは中央等)という場合(あるいは平面視又は断面視において中心という場合)、特に断りが無い限り、中心は、例えば、図心とされてよい。図心は、平面図形の重心であり、その点を通る任意の軸に対する断面一次モーメントが0になる点である。
複数のU個別電極51の配列については、既述の複数の加圧室21の配列についての説明が援用されてよい。図示の例では、複数のU個別電極51は、圧電アクチュエータ13の長手方向(D2方向。別の観点ではU個別電極51の短手方向)に配列されて複数の行(1行でもよい)をなしている。互いに隣り合う行は、行に平行な方向(ここではD2方向)において互いに半ピッチずれている。半ピッチずれる態様において、行に平行な方向に見たとき、互いに隣り合う行は、一部同士が互いに重複していてもよいし、重複していなくてもよい。
(U配線)
U配線53は、U個別電極51から延び出る形状であり、いわゆる引出電極である。U配線53は、例えば、U圧電体層41を貫通している貫通導体61(図3)に接続されている。従って、貫通導体61に駆動信号が入力されることによって、U配線53を介してU個別電極51に駆動信号が入力される。
U配線53の具体的な形状、寸法及び位置等は適宜に設定されてよい。例えば、U配線53は、U個別電極51の所定方向(図示の例ではD1方向)の一方側の端部から前記所定方向の前記一方側へ直線状に延びている。当該所定方向は、任意の方向とされてよいが、例えば、U個別電極51の長手方向及び/又は圧電アクチュエータ13の短手方向である。また、U配線53の幅は、例えば、概略一定である。もちろん、図示の例とは異なり、U配線53は、屈曲又は湾曲する部分を有していてもよい。また、U配線53のU個別電極51とは反対側の端部は、他の部分に比較して拡幅されていてもよい。
(DD導体層)
DD導体層31は、例えば、既述のように、圧電アクチュエータ13における意図されていない応力及び/又は歪の低減に寄与する。圧電素子27の駆動時において、DD導体層31は、例えば、共通電極49と同様に、一定の電位(時間経過に対して変動しない電位)が付与される。当該一定の電位は、例えば、共通電極49の電位と同一の電位とされてよく、また、基準電位(グランド電位)とされてよい。なお、DD導体層31は、圧電素子27の駆動時において、電位が付与されずに、電気的に浮遊状態とされてもよい。
DD導体層31は、例えば、複数の圧電素子27に個別に位置している複数のDD個別電極45と、複数のDD個別電極45を互いに接続している複数のDD配線47とを有している。特に図示しないが、DD導体層31は、上記以外の部分を有していてもよい。例えば、DD導体層31は、DD絶縁層29及び/又はD絶縁層33の外縁に沿って延びる補強部を有していてもよい。また、逆に、DD導体層31は、DD個別電極45同士を接続するDD配線47を有していなくてもよい。この場合、例えば、複数のDD個別電極45は、互いに非接続とされていてもよい。また、例えば、複数のDD個別電極45は、DD個別電極45毎に、配線、及びD絶縁層33を貫通する貫通導体を設けることによって、共通電極49を介して互いに電気的に接続されていてもよい。
複数のDD個別電極45及び複数のDD配線47の面積(又は体積)の総和、及びDD導体層31の面積(又は体積)の総和は、適宜に設定されてよい。なお、図示の例では、上記2つの総和は同じものである。以下の説明では、便宜上、上記2つの総和を区別せずに説明するものとし、一方の総和の語は、他方の総和の語に置換されてよいものとする。上記の面積(又は体積)の総和は、U導体層39の面積(又は体積)の総和に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。例えば、DD導体層31の面積(又は体積)の総和は、U導体層39の面積(又は体積)の総和に対して、1/2以上2倍以下とされてよい。また、DD導体層31の面積(又は体積)の総和がU導体層39の面積(又は体積)の総和よりも大きい場合又は小さい場合、その差は、例えば、U導体層39の面積(又は体積)の総和の1%以上又は50%以上とされてよい。
(DD個別電極)
複数(例えば全て)のDD個別電極45は、既述のように、複数のDD配線47によって互いに接続されている。従って、複数のDD個別電極45は、互いに同一の電位とされる。
上記から理解されるように、本開示において、「個別電極」は、複数の電極が互いに分離した形状とされていることを意味し、互いに別個の電位を付与可能にされている必要は無い。また、ここでいう分離は、完全な分離に限定されない。複数の個別電極は、互いに間隔を空けていればよい。換言すれば、複数の個別電極は、その間に導体層(DD個別電極45の場合においてはDD導体層31)の非配置領域を挟んでいればよい。例えば、本実施形態では、図4に示すように、D2方向において互いに隣り合うDD個別電極45は、その間のDD配線47によって接続されているが、隙間S2を挟んでいる。なお、図示の例において、複数のDD個別電極45がD2方向以外の方向において互いに分離されていることは明らかである。
複数のDD個別電極45は、複数のU個別電極51(別の観点では複数の加圧室21)に個別に対向している。より詳細には、平面透視において、各DD個別電極45は、自己に対応するU個別電極51の中央(中心)に重なっている。DD個別電極45は、任意の領域がU個別電極51の中央に重なってよい。例えば、DD個別電極45の中央側の領域(例えばDD個別電極45を任意の方向において3等分したときの中央の領域)又は中央がU個別電極51の中央に重なってよい。
DD個別電極45の形状は、任意の形状とされてよい。例えば、DD個別電極45の平面形状は、U個別電極51の平面形状と相似であってもよいし(図示の例)、相似でなくてもよい。いずれにせよ、U個別電極51の平面形状に関する説明は、DD個別電極45の平面形状に援用されてよい。例えば、DD個別電極45の平面形状は、互いに直交する長手方向及び短手方向を有する形状であってもよいし(図示の例)、そのような方向を概念できない形状であってもよい。また、長手方向及び短手方向と複数のDD個別電極45の配列態様との関係も任意である。
また、DD個別電極45の大きさは、適宜に設定されてよい。例えば、平面透視において、DD個別電極45の外縁は、U個別電極51の外縁に対して、その全体が内側に位置していてもよいし(図示の例)、その全体が概ね一致していてもよいし、その全体が外側に位置していてもよいし、一部のみが一致又は内側に位置していてもよい。別の観点では、DD個別電極45の面積(又は体積)は、U個別電極51の面積(又は体積)に対して、例えば、小さくてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、大きくてもよい。例えば、DD個別電極45の面積(又は体積)は、U個別電極51の面積(又は体積)の1/2以上2倍以下とされてよい。また、DD個別電極45の面積(又は体積)がU個別電極51の面積(又は体積)よりも大きい場合又は小さい場合、その差は、例えば、U個別電極51の面積(又は体積)の5%以上又は20%以上とされてよい。
本実施形態では、DD個別電極45の平面形状がU個別電極51の平面形状と相似であり、また、平面透視において双方の中心同士が概ね一致する態様を例に取る。また、本実施形態では、平面透視において、DD個別電極45及びU個別電極51の中心同士が概ね一致し、また、両者の向きが互いに一致する態様を例に取る。上記から理解されるように、DD個別電極45の配置位置については、U個別電極51の配置位置の説明が援用されてよい。また、本実施形態では、DD個別電極45の全体がU個別電極51の外縁の内側に位置する(別の観点ではDD個別電極45の面積がU個別電極51の面積よりも小さい)態様を例に取る。
(DD配線)
複数のDD配線47の数、位置、形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。例えば、DD配線47は、D2方向に隣り合うDD個別電極45同士を接続していてもよいし(図示の例)、D2方向以外の方向(D1方向又はD1方向に傾斜する方向)に隣り合うDD個別電極45同士を接続していてもよいし、これらの接続の2以上を組み合わせた接続を実現していてもよい。また、例えば、DD配線47は、直線状に延びていてもよいし(図示の例)、屈曲又は湾曲していてもよい。また、例えば、DD配線47は、その長さ方向に亘って概略一定の幅であってもよいし、長さ方向の位置によって幅が異なっていてもよい。DD配線47の幅は、DD個別電極45の間に隙間(例えば隙間S2)が形成されるように、DD配線47の幅方向におけるDD個別電極45の最大径よりも小さい。例えば、前者は、後者の1/2以下、1/3以下又は1/4以下とされてよい。
図示の例では、DD配線47は、D2方向に互いに隣り合うDD個別電極45同士を接続している。また、DD配線47の形状は、概略、一定の幅でD2方向に直線状に延びる形状とされている。DD配線47が延びている方向(D2方向)は、本実施形態では、U配線53が延びる方向に交差(より詳細には直交)する方向であり、また、DD個別電極45の長手方向(別の観点では加圧室21の長手方向)に交差(より詳細には直交)する方向である。
(UU導体層)
UU導体層43は、例えば、既述のように、U圧電体層41に電圧を印加することに寄与する。圧電素子27の駆動時において、UU導体層43は、例えば、基本的に(例えば後述するパッド59を除いて)、共通電極49と同様に、一定の電位(時間経過に対して変動しない電位)が付与される。当該一定の電位は、例えば、共通電極49及び/又はDD導体層31の電位と同一の電位とされてよく、また、例えば、基準電位(グランド電位)とされてよい。
共通電極49とUU導体層43とに同一の電位(例えば基準電位)が付与され、U導体層39(U個別電極51)に駆動信号が入力されると、共通電極49とU個別電極51とによって圧電体層37に電界が印加されるとともに、UU導体層43とU個別電極51とによってU圧電体層41に電界が印加される。また、前者の電界と後者の電界とは逆向きとなる。一方、既述のように、圧電体層37とU圧電体層41とは分極の向きが逆である。従って、圧電体層37及びU圧電体層41は、共に伸長し、又は共に収縮することになり、これによって圧電素子27が駆動される。
UU導体層43は、例えば、複数の圧電素子27に個別に位置している複数のUU個別電極55と、複数のUU個別電極55を互いに接続している複数のUU配線57と、U圧電体層41よりも下層の導体層(39、35及び/又は31)に対する電位の付与に寄与する複数のパッド59とを有している。特に図示しないが、UU導体層43は、上記以外の部分を有していてもよい。例えば、UU導体層43は、U圧電体層41の外縁に沿って延びる補強部を有していてもよい。また、逆に、UU導体層43は、UU個別電極55同士を接続するUU配線57を有していなくてもよい。この場合、例えば、複数のUU個別電極55は、互いに非接続とされていてもよい。また、例えば、複数のUU個別電極55は、UU個別電極55毎に、配線、並びにU圧電体層41及び圧電体層37を貫通する貫通導体を設けることによって、共通電極49を介して互いに電気的に接続されていてもよい。また、例えば、例えば、複数のUU個別電極55は、圧電アクチュエータ13の第2面13bに対向する不図示のFPC(Flexible printed circuits)を介して互いに接続されていてもよい。
複数のUU個別電極55及び複数のUU配線57の面積(又は体積)の総和(以下、UU導体層43の要部の面積(又は体積)ということがある。)、及びUU導体層43の面積(又は体積)の総和は、適宜に設定されてよい。これらの面積(又は体積)の総和は、U導体層39の面積(又は体積)の総和及びDD導体層31の面積(又は体積)の総和の少なくとも一方に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。例えば、UU導体層43の要部の面積(又は体積)及びUU導体層43の面積(又は体積)の総和の少なくとも一方は、U導体層39の面積(又は体積)の総和に対して、1/2以上2倍以下とされてよい。また、UU導体層43の要部の面積(又は体積)又はUU導体層43の面積(又は体積)の総和がU導体層39の面積(又は体積)の総和よりも大きい場合又は小さい場合、その差は、例えば、U導体層39の面積(又は体積)の総和の1%以上又は50%以上とされてよい。
(UU個別電極)
図4及び図5から理解されるように、本実施形態では、D3方向における位置を除いて、複数のUU個別電極55の位置、形状及び寸法は、複数のDD個別電極45(別の観点では複数のU個別電極51)の位置、形状及び寸法と同様又は類似とされている。従って、例えば、既述のDD個別電極45(又はU個別電極51)についての説明は、基本的にUU個別電極55に援用されてよい。
例えば、UU個別電極55の平面形状は、U個別電極51の平面形状と相似とされてよい。また、平面透視において、UU個別電極55は、U個別電極51の中心に重なってよい。より詳細には、平面透視において、UU個別電極55及びU個別電極51は、互いに中心が概ね一致してよく、また、向きも一致してよい。また、UU個別電極55の面積(又は体積)は、U個別電極51の面積(又は体積)に対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。その差の具体例も既に述べたとおりである。
より詳細には、図示の例では、UU個別電極55の面積(又は体積)は、U個別電極51の面積(又は体積)よりも大きくされている。また、既述のように、図示の例では、DD個別電極45の面積(又は体積)は、U個別電極51の面積(又は体積)よりも小さくされているから、UU個別電極55の面積(又は体積)は、DD個別電極45の面積(又は体積)に対しても大きい。
(UU配線)
図4及び図5から理解されるように、本実施形態では、D3方向における位置を除いて、複数のUU配線57の位置、形状及び寸法は、複数のDD配線47(別の観点では複数のU個別電極51)の位置、形状及び寸法と同様又は類似とされている。従って、例えば、既述のDD配線47についての説明は、基本的にUU配線57に援用されてよい。
例えば、UU配線57は、D2方向に隣り合うUU個別電極55同士を接続してよい。また、例えば、UU配線57は、概略一定の幅でD2方向に直線状に延びてよい。UU配線57の幅は、UU個別電極55の間に隙間が形成されるように、UU配線57の幅方向におけるUU個別電極55の最大径よりも小さい。
図示の例とは異なり、複数のUU配線57の位置、形状及び寸法は、複数のDD配線47の位置、形状及び寸法に対して、同一及び類似のいずれでないものとされてもよい。例えは、UU配線57が延びる方向は、DD配線47が延びる方向と交差する方向(例えば直交する方向)とされてもよい。このような同一及び類似のいずれでない場合においても、DD配線47の説明は、任意の部分がUU配線57に援用されてよい。
(パッド)
複数のパッド59は、図5において点線で示すように、複数のU配線53の端部に重なる位置に設けられている。そして、図3に示すように、複数のパッド59は、U圧電体層41を貫通する複数の貫通導体61によって、複数のU配線53と個別に接続されている。これにより、圧電アクチュエータ13の外部からパッド59を介してU個別電極51に駆動信号を入力可能となっている。
既述のように、圧電アクチュエータ13を構成する各層は、一部の領域の材料が他の領域の材料と異なっていてもよい。UU導体層43において、パッド59は、その全部又は上面側の一部の材料がUU個別電極55の材料と異なっていてもよい。
(個別電極の行同士の接続)
図6は、UU導体層43の一部の拡大平面図である。この図では、複数のUU個別電極55がD2方向に並ぶことによって構成されている行が2つだけ示されている。また、この図では、説明の便宜上、1行が含む複数のUU個別電極55の数が4つであるものと仮定している。また、パッド59の図示は省略されている。
複数のUU個別電極55が成す複数の行同士は、例えば、互いに接続されている。その接続方法は、適宜なものとされてよい。図示の例では、各行の両端には、行の外側(-D2側又は+D2側)へ延びるUU配線57が設けられている。この両端のUU配線57は、複数の行に交差する方向(D1方向)に延びる共通配線63に接続されている。これにより、複数の行は、互いに接続されている。
共通配線63は、UU導体層43の一部である。本実施形態の説明では、共通配線63をUU配線57と区別しているが、共通配線63は、UU配線57と同様に、UU個別電極55同士を接続する配線の一種であると捉えられてもよい。共通配線63の材料は、UU導体層43の他の領域(例えばUU個別電極55及びUU配線57)の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよく、後述する図7では、異なっている態様が例示される。
なお、これまでの説明から理解されるように、図示の例とは異なり、複数のUU個別電極55は、D1方向又はD1方向に傾斜する方向に延びる複数のUU配線57によって行同士が接続されていてもよい。また、そのようなUU配線57は、全てのUU個別電極55に対して設けられていてもよいし、各行内の一部のUU個別電極55(例えば両端のUU個別電極55)に対してのみ設けられていてもよい。また、後述の説明から理解されるように、行同士の接続は、他の導体層(例えばD導体層35)を介してなされてもよい。
UU個別電極55の行同士の接続について述べたが、DD個別電極45の行同士の接続についても同様とされてよい。
(外部との接続)
既述のように、U個別電極51は、U配線53及び貫通導体61を介してパッド59と接続されていることによって、圧電アクチュエータ13の外部との接続が可能となっている。同様に、他の電極(共通電極49及びDD個別電極45)は、絶縁層(圧電体層を含む)を貫通する貫通導体を介して圧電アクチュエータ13の外部と接続されてよい。この場合において、貫通導体は、互いに異なる導体層に対して別個に設けられていてもよいし、互いに同一の電位とされる導体層に共用されていてもよい。後者について換言すれば、互いに同電位とされる電極同士(例えば共通電極49、DD個別電極45及びUU個別電極55)は、貫通導体を介して互いに接続されてよい。以下では、後者の場合について一例を示す。
図7は、図6のVII-VII線における断面図である。
図6及び図7に示すように、共通配線63の直下には、絶縁層を貫通する貫通導体65が設けられている。この貫通導体65は、例えば、図7の紙面右側に示されているように、U圧電体層41、圧電体層37及びD絶縁層33を貫通し、共通配線63、共通電極49及びDD導体層31(より詳細には共通配線63と同様の共通配線)に接続されている。これにより、複数のUU個別電極55、共通電極49及び複数のDD個別電極45は互いに電気的に接続されている。
なお、図7の紙面左側に示されているように、上記のような貫通導体65に加えて、又は代えて、U圧電体層41及び圧電体層37のみを貫通し、複数のUU個別電極55及び共通電極49を電気的に接続する貫通導体65が設けられてもよい。同様に、特に図示しないが、D絶縁層33のみを貫通して共通電極49及び複数のDD個別電極45を電気的に接続する貫通導体65が設けられてもよい。
図6において点線で示すように、貫通導体65は、例えば、共通配線63に沿って複数設けられてよい。これにより、同電位とされる電極の電位が安定する。もちろん、貫通導体65は、1カ所のみに設けられても構わない。
(加圧室の平面形状)
図8は、加圧室21の平面図である。
加圧室21の平面形状は、例えば、円形C1の領域と、円形C1の領域から所定方向(紙面上下方向)の両側に突出した領域R2(一方の領域R2にハッチングを付す。)とを足し合わせた形状である。領域R2の円形C1とは反対側の外縁(実線で示されている外縁)は、外側に膨らむ曲線である。この曲線の曲率(一定でない場合は平均値)は、例えば、円形C1の曲率よりも大きい。
上記の加圧室21の平面形状は、円形C1と、楕円形C2との、互いに重なる領域(点線で囲まれた領域)及び互いに重ならない領域(実線と点線とで囲まれた領域)を足し合わせた形状と捉えることができる。すなわち、円形C1及び楕円形C2それぞれをベン図における閉曲線とみなしたときに、加圧室21の平面形状は、和集合(別の観点では論理和)に相当している。
より詳細には、円形C1の中心と、楕円形C2の中心とは一致している(中心O1参照)。楕円形C2の長径rLは、円形C1の半径r1よりも長く、かつ楕円形C2の短径rSは、円形C1の半径r1よりも短い。そして、楕円形C2の長手方向の両端側の領域R2は、円形C1の外側に位置している。
ただし、領域R2の円形C1とは反対側の外縁(実線で示されている外縁)は、曲率が一定であってもよい。すなわち、領域R2は、楕円の両端として概念される形状ではなく、円形C1の半径よりも半径が小さい円形の一部として概念される形状であってもよい。
このような形状の各種の寸法(例えば半径r1、長径rL及び短径rSの相対長さ)は適宜に設定されてよい。一例を以下に挙げる。長径rLは、半径r1の1.2倍以上1.8倍以下とされてよい。領域R2の円形C1とは反対側の外縁の曲率の平均から求めた曲率半径は、半径r1の0.3倍以上0.6倍以下とされてよい。
既述のように、加圧室21、U個別電極51、DD個別電極45及びUU個別電極55の平面形状は互いに相似とされてよい。従って、上記の加圧室21の平面形状の説明は、U個別電極51、DD個別電極45及びUU個別電極55の平面形状に援用されてよい。
(両端が個別電極につながる配線の形状の例)
図9は、UU導体層43の一部を拡大して示す平面図である。
UU配線57は、例えば、その長さ方向(D2方向)の位置によって幅(D1方向の長さ)が異なっていてもよい。図示の例では、UU配線57は、幅広部57aと、幅広部57aよりも幅が狭い第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cとを有している。幅広部57aは、UU配線57の長さ方向の中央(線CL参照)に位置している(中央に位置する部分を含んでいる。)。第1幅狭部57bは、幅広部57aと、UU配線57がつないでいる互いに隣り合うUU個別電極55のうちの一方との間に介在している。第2幅狭部57cは、幅広部57aと、UU配線57がつないでいる互いに隣り合うUU個別電極55のうちの他方との間に介在している。
図示の例では、1つのUU個別電極55を挟んで両側に位置する2つのUU配線57は、互いに同様の形状とされている。すなわち、2つのUU配線57の一方は、他方をD2方向において平行移動させたものに相当する。ただし、2つのUU配線57は、互いに全く異なる形状とされていてもよいし、両者の間に位置するUU個別電極55に対して線対称の形状とされていてもよい。
特に図示しないが、UU配線57は、幅広部57a、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57c以外の部分を有していてもよい。例えば、図示の例では、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)と、UU個別電極55とが直接につながっているが、両者の間に幅が広い部分が形成されていてもよい。換言すれば、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)は、幅広部57aとUU個別電極55とを直接につなぐのではなく、間接的に繋いでいてもよい。
別の観点では、例えば、UU配線57は、2以上の幅広部及び/又は3以上の幅狭部を有していてもよい。この場合において、例えば、UU配線57の最大幅は、中央に位置する幅広部57a以外の幅広部に位置していてもよい。図示の例では、UU配線57の最大幅w0は、幅広部57aの最大幅である。また、UU配線57の-D2側における最小幅w1は、第1幅狭部57bの最小幅である。UU配線57の+D2側における最小幅w2は、第2幅狭部57cの最小幅である。
特に図示しないが、上記とは逆に、UU配線57は、幅狭部として、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cのうち一方のみを有していてもよい。例えば、幅広部57aは、UU配線の長さ方向の中央から一端に亘っていてもよい。
幅広部57a、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cそれぞれにおいて、幅(D1方向の長さ)は、長さ方向(D2方向)の位置によって異なっていてもよいし(図示の例)、一定であってもよい。また、前者の場合において、長さ方向の位置に対する幅の変化は、連続的なものであってもよいし(図示の例)、外縁が階段状になるような非連続的(段階的)なものであってもよい。幅広部57aと第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)との境界において、長さ方向の位置に対する幅の変化も、連続的なものであってもよいし(図示の例)、非連続的なものであってもよい。長さ方向の位置に対する幅の変化が連続的なものである場合において、UU配線57又はその各部における外縁は、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。換言すれば、幅の変化率は、長さ方向の位置によらずに一定であってもよいし、長さ方向の位置に対して変化してもよい。図9(及び後述する図10)では、最大幅w0等を把握しやすいように、外縁は、直線で示されている。
なお、幅広部57a、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cの長さ方向(D2方向)における範囲(別の観点ではこれらの部位同士の境界)は、適宜に定義されてよい。例えば、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)の最大幅が幅広部57aの最小幅よりも小さいという関係が成り立つように、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)と幅広部57aとの境界が定義されてよい。別の観点では、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)の幅よりも幅広部57aの幅よりも狭いという場合、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)の最大幅が幅広部57aの最小幅よりも小さいことを意味すると捉えられてよい。図示の例では、幅広部57aは、UU配線57の最大幅w0の位置を含み、D2方向の一方側の最小幅w1の位置及び他方側の最小幅w2の位置を含まない限り、任意の範囲で幅広部57aが定義されてよい。
幅広部57aがUU配線57の長さ方向の中央(線CL参照)に位置しているという場合、例えば、上記のように定義した幅広部57aのいずれかの部位が中央(線CL)に位置することとされてよい。換言すれば、幅広部57aは、そのうちの最大幅w0の部位又は長さ方向(D2方向)の中央の部位が、UU配線57の中央(線CL)に位置している必要は無い。幅広部57aの最大幅w0の部位は、適宜な位置に配置されてよいが、例えば、最大幅w0の部位は、UU配線57を長さ方向に3等分したときの中央の範囲に位置してよい。
幅広部57aの幅と、第1幅狭部57b(又は第2幅狭部57c)の幅との差又は比率は適宜に設定されてよい。例えば、幅広部57aの最大幅w0と第1幅狭部57bの最小幅w1(又は最小幅w2)との差は、最大幅w0の1%以上、2%以上又は3%以上とされてよい。また、上記差は、最大幅w0の50%以下、30%以下又は10%以下とされてよい。上記の下限値の例と上限値の例とは適宜に組み合わされてよい。
第1幅狭部57b及び第2幅狭部57c(並びにその周辺部位)は、幅広部57a(又はその中央若しくは最大幅w0の部位)に対して、非対称の形状であってもよいし(図示の例)、線対称の形状であってもよい。前者に関して、以下に一例を述べる。
例えば、第1幅狭部57bの最小幅w1と、第2幅狭部57cの最小幅w2とは、互いに異なっていてよい。図示の例では、最小幅w2が最小幅w1よりも小さくされている。最小幅w1と最小幅w2との差又は比率は適宜に設定されてよい。例えば、両者の差は、幅広部57aの最大幅w0の0.5%以上又は1%以上又は2以上とされてよい。また、当該差は、最大幅w0の30%以下、10%以下又は5%以下とされてよい。上記の下限値の例と上限値の例とは適宜に組み合わされてよい。
また、例えば、上記の最小幅の相違に代えて、又は加えて、第1幅狭部57bの最小幅w1の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置までの長さL1と、第2幅狭部57cの最小幅w2の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置までの長さL2とは異なっていてよい。この場合において、w2<w1かつL2<L1であってもよいし(図示の例)、w2<w1かつL2>L1であってもよい。また、長さL1と長さL2との差又は比率は適宜に設定されてよい。例えば、両者の差は、UU配線57の全長(L1+L2)の5%以上又は10%以上とされてよい。また、両者の差は、UU配線57の全長の70%以下又は40%以下とされてよい。
また、例えば、上記の最小幅の相違及び/又は長さの相違に代えて、又は加えて、第1幅狭部57bの最小幅w1の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置までの部分における幅の変化率と、第2幅狭部57cの最小幅w2の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置まで部分における幅の変化率とが異なっていてよい。幅の変化率は、例えば、その平均値が比較されてよい。すなわち、(w0-w1)/L1と、(w0-w2)/L2とが比較されてよい。この場合において、変化率が大きい側は、相対的に小さい最小幅w2の側であってもよいし(図示の例)、逆であってもよい。同様に、変化率が大きい側は、相対的に短い長さL2の側であってもよいし(図示の例)、逆であってもよい。変化率の差又は比率は適宜に設定されてよい。
以上のUU配線57の形状は、UU配線57に代えて、又は加えて、DD配線47に適用されてもよい。すなわち、上記の説明は、UU配線57をDD配線47に置換し、UU個別電極55をDD個別電極45に置換して、DD配線47に援用されてよい。
(一端のみが個別電極間につながる配線の形状の例)
図10は、U導体層39の一部を拡大して示す平面図である。
配線がその長さ方向の中央に幅広部を有している構成は、両端が個別電極につながっている配線(本実施形態ではUU配線57及びDD配線47)だけでなく、一端のみが個別電極につながっている配線(本実施形態ではU配線53)に適用されてもよい。そして、図10は、長さ方向の中央部の幅広部がU配線53に適用された例を示している。
具体的には、U配線53は、幅広部53aと、幅広部53aよりも幅が狭い第1幅狭部53b及び第2幅狭部53cとを有している。幅広部53aは、U配線53の長さ方向の中央に位置している(中央に位置する部分を含んでいる。)。第1幅狭部53bは、幅広部53aとU個別電極51とをつないでいる。第2幅狭部53cは、幅広部57aに対してU個別電極51とは反対側に位置している。
既述のUU配線57、幅広部57a、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cについての説明は、適宜にU配線53、幅広部53a、第1幅狭部53b及び第2幅狭部53cに適用されてよい。例えば、U配線53は、上記の3つの部位以外の部位を有していてもよいし、幅の変化態様(例えば、幅の変化は連続的か否か、幅の変化率は一定か否か、長さ方向において対称か否か等)も任意である。
UU配線57の説明において、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cのうち一方のみが設けられてよいことについて述べた。U配線53においては、第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cのうち第1幅狭部53bのみが設けられてもよい。別の観点では、例えば、幅広部53aは、U配線53の長さ方向の中央からU個別電極51とは反対側の端部に亘っていてもよい。
U配線53は、既述のように、U個別電極51とは反対側の端部に拡幅部を有していてもよい。この拡幅部は、第2幅狭部57cを挟んで幅広部53aから離れていてもよいし、幅広部53aと直接につながっており、幅広部53aよりも幅が広くされていてもよい。
(ヘッドにおけるその他の構成)
特に図示しないが、ヘッド2は、ヘッド本体7以外に、筐体、ドライバIC、配線基板などを含んでいてよい。ドライバICは、例えば、制御部88からの制御信号に基づいて、不図示のFPCを介してヘッド本体7に電力を供給する。例えば、制御部88は、共通電極49、DD個別電極45及びUU個別電極55に基準電位が付与され、基準電位に対して電位が変動する駆動信号が複数のU個別電極51に個別に入力されるようにドライバIC(ヘッド2)を制御する。また、ヘッド本体7は、流路部材11に液体を供給する他の流路部材を含んでいてよい。そのような他の流路部材は、他の部材を支持したり、ヘッド2のフレーム70に対する固定に寄与したりしてもよい。
(圧電アクチュエータの製造方法)
圧電アクチュエータ13の製造方法は、公知の方法を適宜に応用したものとされてよい。例えば、4つの絶縁層(29、33、37及び41)となる4つのセラミックグリーンシートを準備する。このセラミックグリーンシートの上面又は下面に、4つの導体層(31、35、39及び43)となる導電ペーストを塗布する。また、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成し、貫通孔に貫通導体(61及び65)となる導電ペーストを配置する。そして、4つのセラミックグリーンシートを積層して焼成する。
上記の製造方法の例は、適宜に変更されてよい。例えば、UU導体層43は、絶縁層(29、33、37及び41)となるセラミックグリーンシート及び他の導体(31、35、39、61及び65)となる導電ペーストを焼成した後に、U圧電体層41の上面に蒸着又はスパッタリングによって形成されてもよい。
各種の配線の幅の変化は、適宜に実現されてよい。例えば、導電ペーストをスクリーン印刷によって塗布する場合において、配線に対応するマスクのパターンの幅が変化していることによって配線の幅の変化が実現されてよい。また、例えば、配線に対応するマスクのパターンの幅は一定としておき、塗布後の導電ペーストの流動性を利用して、幅の変化が実現されてもよい。具体的には、配線に対応する導電ペーストの一部が個別電極に対応する導電ペーストに引き寄せられて、配線の幅の変化が実現されてもよい。
以上のとおり、本実施形態では、圧電アクチュエータ13は、圧電体層(圧電体層37及び/又はU圧電体層41)と、圧電体層(37及び/又は41)に直接的又は間接的に重なっている導体層(DD導体層31、U導体層39又はUU導体層43。以下、主としてUU導体層43を例に取る。)とを有している。UU導体層43は、平面視において、互いに間隔を空けている複数のUU個別電極55と、複数のUU個別電極55から延びている複数のUU配線57と、を含んでいる。各UU配線57は、幅広部57aと、第1幅狭部57bとを有している。幅広部57aは、各UU配線57の長さ方向(D2方向)の中央に位置する部分を含んでいる。第1幅狭部57bは、幅広部57aと、各UU配線57がつながっているUU個別電極55との間に介在しており(幅広部57aとUU個別電極55とを直接又は間接につないでおり)、幅広部57a(そのいずれの部位)よりも幅が狭い。
従って、例えば、UU配線57の幅が長さ方向において変化していることによって、UU配線57(及びその上下方向及び/又は平面方向の周囲部分)の共振モードの縮退を解いて、UU配線57が特定の周波数で大きく振動する蓋然性を低減することができる。その結果、例えば、圧電素子27における不要な振動が低減され、圧電素子27に電圧を印加したときの圧電素子27の撓み量の精度が向上する。
また、本実施形態では、UU配線57は、隣り合うUU個別電極55のうちの一方のUU個別電極55から他方のUU個別電極55へ延びている。UU配線57は、上記のように第1幅狭部57bを有しているとともに、第2幅狭部57cを有している。第1幅狭部57bは、幅広部57aと上記一方のUU個別電極55との間に介在している。第2幅狭部57cは、幅広部57aと前記他方のUU個別電極55との間に介在しており、幅広部57aよりも幅が狭い。
この場合、UU配線57には、両端側から圧電素子27の振動が伝わる。換言すれば、不要な共振を生じやすい。このようなUU配線57において、幅が長さ方向において変化していることによって、上記の不要振動を低減する効果が有効に奏される。また、幅広部57aの両側に第1幅狭部57b及び第2幅狭部57cが位置しているということは、幅の変化に富んでいるということであり、この観点においても、上記の不要振動を低減する効果が有効に奏される。
また、本実施形態では、第1幅狭部57bの最小幅w1と、第2幅狭部57cの最小幅w2とが異なっている。
この場合、例えば、幅広部57aの両側における幅の対称性が崩れるから、共振モードの縮退が解かれる効果が向上する。すなわち、不要振動が低減される効果が向上する。また、一方のUU個別電極55からUU配線57への振動の伝わり方と、他方のUU個別電極55からUU配線57への振動の伝わり方とが相違することになるから、この観点においても不要振動が低減される効果が向上する。
また、本実施形態では、第1幅狭部57bの最小幅w1の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置までの長さL1と、第2幅狭部57cの最小幅w2の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置までの長さL2とが異なっている。
この場合、例えば、幅広部57aの両側における長さの対称性が崩れるから、共振モードの縮退が解かれる効果が向上する。また、例えば、最小幅w1と最小幅w2とを異ならせる態様との組み合わせによって、縮退が解かれる効果をさらに向上させることができる。また、別の観点では、長さによって非対称性を実現することから、最小幅w1と最小幅w2との差については、低減されたり、無くしたりされてもよい。その結果、例えば、最小幅w1及び最小幅w2の一方(本実施形態ではw2)を相対的に小さくする必要性を低減し、UU配線57の電気抵抗を低減できる。
また、本実施形態では、第1幅狭部57bの最小幅w1の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置までの部分における幅の変化率((w0-w1)/L1)と、第2幅狭部57cの最小幅w2の位置から幅広部57aの最大幅w0の位置まで部分における幅の変化率((w0-w2)/L2)とが異なっている。
この場合、例えば、幅広部57aの両側における幅の変化率の対称性が崩れるから、共振モードの縮退が解かれる効果が向上する。また、幅広部57aの両側の幅の変化率が異なるということは、別の観点では、最大幅w0から最小幅w1までの部分の一部又は全部の形状と、最大幅w0から最小幅w2まで部分の形状とが合同でないということである。この観点からも、対称性が崩れ、共振モードの縮退が解かれる効果が向上する。
また、本実施形態では、複数のUU個別電極55それぞれの形状は、平面視において、円形C1の領域と、円形C1の領域から所定方向の両側へ突出している領域R2とを足し合わせた形状である。
この場合、例えば、UU個別電極55の形状が円形C1である態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、UU個別電極55の面積を大きくすることができる。一方で、複数のUU個別電極55の短手方向における密度をUU個別電極55の形状が円形Cである態様と同等にすることができる。
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド2は、本実施形態に係る圧電アクチュエータ13と、流路部材11とを有している。流路部材11は、圧電アクチュエータ13に重なっている加圧面11bと、その背面の吐出面11aとを有している。また、流路部材11は、複数の加圧室21と、複数の吐出孔3とを有している。複数の加圧室21は、加圧面11bの平面透視において複数の圧電素子27に個別に重なっている。複数の吐出孔3は、複数の加圧室21に個別に通じており、吐出面11aにて開口している。
従って、例えば、上述したように圧電アクチュエータ13の不要振動が低減されることによって、加圧室21に付与される圧力が安定する。ひいては、吐出孔3から吐出される液滴の精度が向上する。
以上の実施形態において、圧電体層37及びU圧電体層41のそれぞれ又は組み合わせは、圧電体層の一例である。UU導体層43、U導体層39及びDD導体層31はそれぞれ導体層の一例である。UU個別電極55、U個別電極51及びDD個別電極45はそれぞれ個別電極の一例である。UU配線57、U配線53及びDD配線47はそれぞれ配線の一例である。
本開示に係る技術は、上述した実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、圧電アクチュエータは、超音波を生成する装置などの液体吐出ヘッド以外の用途に用いられてもよい。また、圧電アクチュエータは、U圧電体層41、UU導体層43、DD導体層31及びDD絶縁層29を有さない一般的なものであってもよい。また、実施形態の圧電アクチュエータにおいて、UU導体層43及びU圧電体層41の組み合わせを設けないようにしたり、DD絶縁層29を設けないようにしてもよい。実施形態では、圧電アクチュエータ13は、第1面13a側に圧力を付与する用途で用いられたが、第2面13b側に圧力を付与する用途で用いられてもよい。